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技術 印刷物の表面処理方法及び表面処理装置

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 江田昌之出島一直濱本寿彦
出願日 2007年3月26日 (13年8ヶ月経過) 出願番号 2007-079764
公開日 2008年10月9日 (12年2ヶ月経過) 公開番号 2008-238482
状態 未査定
技術分野 版および印刷用紙の供給、装着、排除 印刷方法
主要キーワード 表面加熱装置 艶消し部分 材料条件 光沢印刷物 光沢状態 熱風装置 加熱手法 資材コスト
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

印刷物表面処理方法及び表面処理装置に関し、資材コスト設備コストの負担増を抑えながら、印刷物の表面を艶消し状態にすることができるようにする。

解決手段

印刷された印刷物7の印刷面に水性ニス9を塗布し、印刷面を加熱して水性ニス9の水分を蒸発させることにより、水性ニス9の表面にシワを発生させて印刷物の表面のグロスを低下させ印刷物の表面を艶消し状態にするように構成する。

概要

背景

近年、印刷物の表面のグロス(光沢)に関する種々の要求が高まっている。例えば、印刷表面のグロスを大きくした高光沢印刷物は華やかな印象を与えるため、印刷物のグロスを高める技術が開発されている。このような高光沢印刷物の場合、例えば蒸着紙金属光沢インキを使用することにより実現でき、また、印刷後のニス塗工によっても実現できる。しかしながら、高光沢印刷物の場合、重厚感や高級感を与えにくい。

一方、印刷表面のグロスを小さくした、いわゆる艶消しの低光沢印刷物は、重厚感や高級感を与えやすく、このような観点からは、グロスを低下させる技術が開発されている。低光沢印刷物の場合、最も一般的には、印刷基材を作る時にエンボス加工したり、印刷後、印刷表面にエンボス加工を行ったりする技術が用いられている。しかし、このようなエンボス加工を行う技術は、通常の印刷とは異なる技術であり、製造コストが大きく増加してしまう。

そこで、エンボス加工を施すことなくグロスを低下させる技術が開発されている。
例えば、いわゆる「マットニス引き」と称される技術があり、この技術では、印刷面に艶消し塗料(マットニス)を塗布し熱風乾燥することにより、印刷面をざらざらしていてのないものに仕上げることができ、印刷物に立体感や高級感等を与えることができる。この技術では、エンボス加工を施すのに比べれば、容易に加工を行うことができる。

また、特許文献1には、エンボス加工を用いずに、高光沢印刷物の上に、透明な樹脂皮膜を表面が凹凸を成すように形成する技術が記載されている。この際、樹脂皮膜の表面を凹凸にするには、グラビア印刷スクリーン印刷によって、0.5mm程度の水玉状或いは和紙調模様の版を用いて樹脂層を塗布することで、塗布した箇所(水玉状或いは和紙調の模様)は凸部となり塗布しない箇所は凹部となることを利用して凹凸を形成する技術(段落0013,0022)や、樹脂皮膜の下層に弾かせる層を設け、この層の上に樹脂皮膜をベタ状に塗布し、樹脂皮膜が下層に弾かれることにより凹凸を形成する技術(段落0011,0023)が提案されている。

透明樹脂層が固化する時間が長いと、印刷版で凹凸と成った樹脂層が固化中に平坦になるため、透明樹脂層に用いる材料は、基材転移してからできる限り早く固化する樹脂がよいとされ、例えばUV硬化型樹脂,EB硬化型樹脂蒸発乾燥型樹脂が例示されている。また、樹脂皮膜を弾かせる層に用いる材料には、シリコン系,パラフィン系,フッ素系のワックスが例示されている。

また、特許文献2には、印刷層を有する基材上に撥液性を有するニス層を設け少なくともこの撥液性を有するニス層上に紫外線硬化型グロスニス層を設ける技術が記載されている(請求項1)。また、この技術によれば、撥液性を有するニス層に弾かれた紫外線硬化型ハイグロスニスが撥液性を有するニス層上に斑点状に凝集し、光を散乱させマット感のある印刷表現を与え、かつ硬化した紫外線硬化型ハイグロスニスは非常に硬い為、従来のマットニスを塗布した場合に比較し耐摩擦性が向上する旨が記載されている。
特開2005−53208号公報
特開2004−114654号公報

概要

印刷物の表面処理方法及び表面処理装置に関し、資材コスト設備コストの負担増を抑えながら、印刷物の表面を艶消し状態にすることができるようにする。印刷された印刷物7の印刷面に水性ニス9を塗布し、印刷面を加熱して水性ニス9の水分を蒸発させることにより、水性ニス9の表面にシワを発生させて印刷物の表面のグロスを低下させ印刷物の表面を艶消し状態にするように構成する。

目的

本発明は、このような課題に鑑み案出されたもので、資材コストや設備コストの負担増を抑えながら、印刷物の表面を艶消し状態にすることができるようにした、印刷物の表面処理方法及び表面処理装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

印刷された印刷物の印刷面に水性ニスを塗布する水性ニス塗布工程と、その後、前記印刷面を加熱して前記水性ニスの水分を蒸発させる加熱工程と、を備えていることを特徴とする、印刷物の表面処理方法

請求項2

前記水性ニス塗布工程及び前記加熱工程は、印刷機の印刷部で行われる印刷工程の後の工程で実施されることを特徴とする、請求項1記載の印刷物の表面処理方法。

請求項3

前記水性ニス塗布工程の前に、前記印刷面に、印刷工程で用いられるインキよりも流動性が高い下地OPニスを塗布する下地OPニス塗布工程を備えていることを特徴とする、請求項1又は2記載の印刷物の表面処理方法。

請求項4

前記下地OPニス塗布工程では、前記印刷面に部分的に下地OPニスを塗布することを特徴とする、請求項3記載の印刷物の表面処理方法。

請求項5

前記加熱工程では、赤外線ランプ及び熱風装置を用いて前記印刷面を加熱することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理方法。

請求項6

前記加熱工程では、加熱シリンダを用いて前記印刷面を加熱することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理方法。

請求項7

前記加熱工程では、赤外線レーザを用いて前記印刷面を部分的に加熱することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理方法。

請求項8

前記水性ニス塗布工程では、前記水性ニスのガラス転移点に着目して、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど前記ガラス転移点の低い前記水性ニスを選定することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理方法。

請求項9

前記水性ニス塗布工程では、前記水性ニスの蒸発潜熱に着目して、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど前記蒸発潜熱の低い前記水性ニスを選定することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理方法。

請求項10

前記加熱工程では、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど前記加熱による熱量を多くすることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理方法。

請求項11

印刷機の印刷部の下流に装備され、前記印刷部で印刷された印刷物の印刷面に水性ニスを塗布する水性ニス塗布装置と、該水性ニス塗布装置の下流に備えられ前記印刷面を加熱して前記水性ニスの水分を蒸発させる加熱装置と、を有することを特徴とする、印刷物の表面処理装置

請求項12

前記印刷部と前記水性ニス塗布装置との間に、前記印刷面に、前記印刷部での印刷に用いられるインキよりも流動性が高い下地OPニスを塗布する下地OPニス塗布装置を備え、前記下地OPニス塗布装置は、前記下地OPニスを供給される版を装着された版胴と、該版胴の該版から前記下地OPニスを転写され前記印刷面に前記下地OPニスを塗布するブランケット胴と、を備えていることを特徴とする、請求項11記載の印刷物の表面処理装置。

請求項13

前記加熱装置による前記印刷面への加熱熱量を、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下目標に応じて制御する熱量制御手段が備えられていることを特徴とする、請求項11又は12記載の印刷物の表面処理装置。

請求項14

前記加熱装置は、赤外線ランプ及び熱風装置、又は、加熱シリンダであることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理装置。

請求項15

前記加熱装置は赤外線レーザであって、前記印刷面の所要箇所赤外線照射するように前記赤外線レーザを操作する赤外線レーザ制御手段が備えられていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の印刷物の表面処理装置。

技術分野

0001

本発明は、印刷物の表面を艶消し状態にする、印刷物の表面処理方法及び表面処理装置に関するものである。

背景技術

0002

近年、印刷物の表面のグロス(光沢)に関する種々の要求が高まっている。例えば、印刷表面のグロスを大きくした高光沢印刷物は華やかな印象を与えるため、印刷物のグロスを高める技術が開発されている。このような高光沢印刷物の場合、例えば蒸着紙金属光沢インキを使用することにより実現でき、また、印刷後のニス塗工によっても実現できる。しかしながら、高光沢印刷物の場合、重厚感や高級感を与えにくい。

0003

一方、印刷表面のグロスを小さくした、いわゆる艶消しの低光沢印刷物は、重厚感や高級感を与えやすく、このような観点からは、グロスを低下させる技術が開発されている。低光沢印刷物の場合、最も一般的には、印刷基材を作る時にエンボス加工したり、印刷後、印刷表面にエンボス加工を行ったりする技術が用いられている。しかし、このようなエンボス加工を行う技術は、通常の印刷とは異なる技術であり、製造コストが大きく増加してしまう。

0004

そこで、エンボス加工を施すことなくグロスを低下させる技術が開発されている。
例えば、いわゆる「マットニス引き」と称される技術があり、この技術では、印刷面に艶消し塗料(マットニス)を塗布し熱風乾燥することにより、印刷面をざらざらしていてのないものに仕上げることができ、印刷物に立体感や高級感等を与えることができる。この技術では、エンボス加工を施すのに比べれば、容易に加工を行うことができる。

0005

また、特許文献1には、エンボス加工を用いずに、高光沢印刷物の上に、透明な樹脂皮膜を表面が凹凸を成すように形成する技術が記載されている。この際、樹脂皮膜の表面を凹凸にするには、グラビア印刷スクリーン印刷によって、0.5mm程度の水玉状或いは和紙調模様の版を用いて樹脂層を塗布することで、塗布した箇所(水玉状或いは和紙調の模様)は凸部となり塗布しない箇所は凹部となることを利用して凹凸を形成する技術(段落0013,0022)や、樹脂皮膜の下層に弾かせる層を設け、この層の上に樹脂皮膜をベタ状に塗布し、樹脂皮膜が下層に弾かれることにより凹凸を形成する技術(段落0011,0023)が提案されている。

0006

透明樹脂層が固化する時間が長いと、印刷版で凹凸と成った樹脂層が固化中に平坦になるため、透明樹脂層に用いる材料は、基材転移してからできる限り早く固化する樹脂がよいとされ、例えばUV硬化型樹脂,EB硬化型樹脂蒸発乾燥型樹脂が例示されている。また、樹脂皮膜を弾かせる層に用いる材料には、シリコン系,パラフィン系,フッ素系のワックスが例示されている。

0007

また、特許文献2には、印刷層を有する基材上に撥液性を有するニス層を設け少なくともこの撥液性を有するニス層上に紫外線硬化型グロスニス層を設ける技術が記載されている(請求項1)。また、この技術によれば、撥液性を有するニス層に弾かれた紫外線硬化型ハイグロスニスが撥液性を有するニス層上に斑点状に凝集し、光を散乱させマット感のある印刷表現を与え、かつ硬化した紫外線硬化型ハイグロスニスは非常に硬い為、従来のマットニスを塗布した場合に比較し耐摩擦性が向上する旨が記載されている。
特開2005−53208号公報
特開2004−114654号公報

発明が解決しようとする課題

0008

ところで、上述のマットニスを用いる従来技術の場合、印刷機の主要部を図13に示すように構成することが考えられる。つまり、印刷部1には、上流側に印刷ユニット1A〜1Dをインキ色数だけ装備し、これらの印刷ユニット1A〜1Dの下流にマットニスを塗布するニス塗布ユニット20を装備し、さらに、マットニス塗布ユニット20の下流に加熱装置30を配備する。

0009

ここでは、4色のプロセスインキに応じて4つの印刷ユニット1A〜1Dを備え、各印刷ユニット1A〜1Dは、版胴11,ブランケット胴12,中間胴13,圧胴14を備えている。マットニス塗布ユニット20も、版胴21,ブランケット胴22,中間胴23,圧胴24をそなえ、版胴21に装備された版の画線部に応じて印刷物の印刷面にスポット的にマットニスを塗布するようになっている。加熱装置30は、UVランプをそなえ、塗布されたマットニスを固化させる。

0010

また、上述の特許文献1或いは特許文献2に記載の樹脂皮膜或いはニスを弾かせる層を用いる従来技術の場合、印刷機の主要部を図14に示すように構成することが考えられる。つまり、印刷部には、上流側に印刷ユニット1A〜1Dをインキ色数だけ備え、これらの印刷ユニット1A〜1Dの下流に、樹脂皮膜或いはニスを弾かせる層(撥液性の層)を形成するためのOPニスを塗布するOPニス塗布ユニット40と、透明樹脂層或いは紫外線硬化型グロスニス層を形成するためのクリアニスを塗布するクリアニス塗布ユニット50とを、この順に備え、さらに、これらのユニット40,50の下流に加熱装置60を配置する。

0011

この場合も、4色のプロセスインキに応じて4つの印刷ユニット1A〜1Dを備え、各印刷ユニット1A〜1Dは、版胴11,ブランケット胴12,中間胴13,圧胴14を備えている。OPニス塗布ユニット40も、版胴41,ブランケット胴42,中間胴43,圧胴44をそなえ、版胴41に装備された版の画線部に応じて印刷物の印刷面にスポット的にOPニスを塗布するようになっている。クリアニス塗布ユニット50は、ブランケット胴52,中間胴53,圧胴54をそなえ、ブランケット胴52から印刷物の印刷面にクリアニスをベタ塗りするようになっている。加熱装置60は、UVランプをそなえ、塗布されたクリアニスを固化させる。

0012

図13に示す装置によれば、スポット的にマットニスを塗布するので印刷面にスポット的に艶消し部分を形成できる。また、図14に示す装置によれば、OPニスにより撥液性の層が印刷面上にスポット的に形成されるので、この上にクリアニスがベタ塗りされると、撥液性の層が形成されない箇所は、クリアニスが平滑に分布して光沢を放つが、撥液性の層が形成された箇所は、クリアニスが斑点状に凝集して、艶消し部分を形成する。

0013

しかしながら、これらの技術では、以下のような課題がある。
図13に示す装置のように、マットニスを用いる場合、スポット的にマット感(艶消し状態)を表現できる効果が得られるものの、マットニスを瞬時に乾燥させることが必要であり、マットニスに油性のものを用いると乾燥に時間を要してしまいこの要求を満たせず、マットニスやインキをUV硬化タイプ(紫外線硬化型)のものにすればこの要求を満たすことが可能であるが、UV硬化タイプのものは高価であり資材コストの負担増を招き、その上、UVランプ71,72等の紫外線照射手段が必要になるため、設備コストの負担増を招く。

0014

図14に示す装置のように、撥液性の層を用いる場合も、スポット的にマット感(艶消し状態)を表現できる効果が得られるものの、OPニスやクリアニスを瞬時に乾燥させることが必要であり、クリアニスやインキをUV硬化タイプ(紫外線硬化型)のものにし、UVランプ73,74,75等の紫外線照射手段が必要になるため、やはり、資材コストや設備コストの負担増を招く。

0015

本発明は、このような課題に鑑み案出されたもので、資材コストや設備コストの負担増を抑えながら、印刷物の表面を艶消し状態にすることができるようにした、印刷物の表面処理方法及び表面処理装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

上記目的を達成するために、本発明の印刷物の表面処理方法(請求項1)は、印刷された印刷物の印刷面に水性ニスを塗布する水性ニス塗布工程と、その後、前記印刷面を加熱して前記水性ニスの水分を蒸発させる加熱工程と、を備えていることを特徴としている。
前記水性ニス塗布工程及び前記加熱工程は、印刷機の印刷部で行われる印刷工程の後で実施されることが好ましい(請求項2)。

0017

前記水性ニス塗布工程の前に、前記印刷面に、印刷工程で用いられるインキよりも流動性が高い下地OPニスを塗布する下地OPニス塗布工程を備えていることが好ましい(請求項3)。この下地OPニス塗布工程では、前記印刷面に部分的に下地OPニスを塗布することも好ましい(請求項4)。
前記加熱工程では、赤外線ランプ及び熱風装置を用いて前記印刷面を加熱することが好ましい(請求項5)。

0018

前記加熱工程では、加熱シリンダを用いて前記印刷面を加熱することが好ましい(請求項6)。
前記加熱工程では、赤外線レーザを用いて前記印刷面を部分的に加熱することが好ましい(請求項7)。
前記水性ニス塗布工程では、前記水性ニスのガラス転移点に着目して、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど前記ガラス転移点の低い前記水性ニスを選定することが好ましい(請求項8)。

0019

前記水性ニス塗布工程では、前記水性ニスの蒸発潜熱に着目して、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど前記蒸発潜熱の低い前記水性ニスを選定することが好ましい(請求項9)。
前記加熱工程では、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど前記加熱による熱量を多くすることが好ましい(請求項10)。

0020

本発明の印刷物の表面処理装置(請求項11)は、印刷機の印刷部の後に装備され、前記印刷部で印刷された印刷物の印刷面に水性ニスを塗布する水性ニス塗布装置と、該水性ニス塗布装置の下流に備えられ前記印刷面を加熱して前記水性ニスの水分を蒸発させる加熱装置と、を有することを特徴としている。
前記印刷部と前記水性ニス塗布装置との間に、前記印刷面に、前記印刷部での印刷に用いられるインキよりも流動性が高い下地OPニスを塗布する下地OPニス塗布装置を備え、前記下地OPニス塗布装置は、前記下地OPニスを供給される版を装着された版胴と、該版胴の該版から前記下地OPニスを転写され前記印刷面に前記下地OPニスを塗布するブランケット胴と、を備えていることが好ましい(請求項12)。

0021

前記加熱装置による前記印刷面への加熱熱量を、前記加熱工程での加熱による前記水性ニスの表面のグロス低下目標に応じて制御する熱量制御手段が備えられていることが好ましい(請求項13)。
前記加熱装置は、赤外線ランプ及び熱風装置、又は、加熱シリンダであることが好ましい(請求項14)。

0022

前記加熱装置は赤外線レーザであって、前記印刷面の所要箇所赤外線照射するように前記赤外線レーザを操作する赤外線レーザ制御手段が備えられていることが好ましい(請求項15)。

発明の効果

0023

本発明の印刷物の表面処理方法(請求項1)及び印刷物の表面処理装置(請求項11)によれば、印刷物の印刷面に塗布された水性ニスは加熱されることにより水分を蒸発させる。この際、水性ニスの下面に流動性の高い材料が存在すると、水分の蒸発が急激に生じるため水性ニスの収縮によって表面にシワが発生し、印刷面のグロス(光沢)を低下させ艶消し状態にすることができ、印刷面に重厚感や高級感を与えることができる。

0024

また、一般に、インキが転写された印刷部分(画線部)は一定以上の流動性があるのに対して、インキが転写されない非印刷部分(非画線部)は流動性がないので、印刷直後の印刷面にガラス転移点Tgが低い若しくは蒸発潜熱が低い水性ニスを塗布して乾燥させた場合、印刷部分(画線部)のみグロス低下して艶消し状態になる。したがって、印刷部分のみ、グロス(光沢)を低下させ艶消し状態にすることができ、印刷面に特有の重厚感や高級感を与えることができる。

0025

また、水性ニス自体が安価であるうえ、UVインキを用いてUV処理を行うことも必要なく、インキには安価で一般的な油性インキを用いることができるため、資材コストや設備コストを抑えることができる。
印刷機における印刷工程と乾燥工程との間で、前記水性ニスの塗布とその後の加熱とを実施するように構成すれば、印刷物の表面処理一連の印刷工程内に組み込んで容易に且つ速やかグロス低下の処理をすることができる(請求項2,11)。

0026

また、水性ニスを塗布する前に、印刷面に、印刷に用いられるインキよりも流動性が高い下地OPニスを塗布するようにすれば、下面に流動性の高い下地OPニスが塗布された箇所では、塗布された水性ニスの水分が急激に蒸発した際に、収縮によって表面にシワが発生し易くなり、この発生したシワにより印刷面のグロス(光沢)を低下させ艶消し状態となるが、下地OPニスが塗布されない箇所では、表面に塗布された水性ニスの水分が蒸発しても、これに伴う収縮による表面シワの発生は軽度なものになり、印刷面のグロス低下は少なく、艶消し状態とはならない。したがって、艶消し状態にしたい箇所だけ下地OPニスを塗布すれば、スポット的な艶消しを容易に且つ自在に行うことができる(請求項3,4,12)。

0027

水性ニスを塗布した後の加熱に、赤外線ランプ及び熱風装置を用いれば、短期間に確実に所望の加熱を行うことができ、加熱による印刷面のグロス低下を確実に実現することができる(請求項5,14)。
また、加熱シリンダを用いてこの加熱を行えば、加熱による印刷面のグロス低下を容易に実現することができる(請求項6,14)。

0028

また、赤外線レーザを用いて印刷面を部分的に加熱すれば、過熱をした箇所のみ、塗布された水性ニスの急激な水分蒸発による収縮によって表面シワが発生し、印刷面のグロス(光沢)を低下させ艶消し状態となるため、艶消し状態にしたい箇所だけに、スポット的な艶消しを実施することができる(請求項7)。
特に、この赤外線レーザを操作する赤外線レーザ制御手段を備えれば、グロス低下の程度、つまり、艶消しの程度を、確実にコントロールすることができる(請求項15)。

0029

また、水性ニスの表面のグロス低下を大きくしたいほど、つまり、艶消しを強くしたいほど、水性ニスに、ガラス転移点の低いものや蒸発潜熱の低いものを選定したり、加熱による熱量を多くしたりすればよく、グロス低下の程度、つまり、艶消しの程度を、容易にコントロールすることができる(請求項8〜10)。
特に、印刷面を加熱する熱量を、水性ニスの表面のグロス低下目標に応じて制御する熱量制御手段を備えれば、グロス低下の程度、つまり、艶消しの程度を、確実にコントロールすることができる(請求項13)。

発明を実施するための最良の形態

0030

以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明のグロス調整処理のメカニズムを説明し、続いて、それを具体化した各実施形態を説明する。

0031

A.本発明のグロス調整処理のメカニズム
まず、各実施形態に共通する本発明にかかるグロス(光沢)の低下処理のメカニズムを説明する。

0032

本発明では、図1に示すように、印刷物である紙7の印刷面7aにインキ8を転写した印刷後に水性ニス9を塗布し、その直後に水性ニス9を加熱することにより急激な水分蒸発を発生させ、この急激な水分蒸発によりニス9が急激に収縮するためニス9の表面にシワが発生してグロスが低下するものである。このようにニス表面にシワが発生するためには、ニスが一定以上の水分を含んでいる水性ニスであることが前提条件となるが、さらに、シワの発生は、(1)水性ニスのガラス転移点tg、(2)水性ニスの蒸発潜熱、(3)塗布した水性ニスの層へ加える熱量、(4)水性ニスの層の下に存在する材料の流動性、に依存する。

0033

つまり、(1)水性ニスのガラス転移点tgが低いほど、(2)水性ニスの蒸発潜熱が低いほど、(3)塗布した水性ニスの層へ加える熱量が大きいほど、(4)水性ニスの層の下に存在する材料の流動性が高いほど、ニス表面のシワが強く(深く)発生する。
なお、いわゆる水性ニスは、水を主成分とするにアクリル樹脂等を主成分とするニス材料を溶解させたもので、溶剤である水分は一般に50重量パーセント程度(1重量パーセント程度のアルコール等を含む)となっている。この程度の水分を含んでいれば、前提となる水分含有条件を満たす。

0034

したがって、紙7の印刷面7aにインキ8が転写された印刷部分(画線部)上の水性ニス9と、紙7の印刷面7aにインキが転写されない印刷部分(非画線部)上の水性ニス9とを比較すると、印刷面7aに転写されたインキ8には一定の流動性があるのに対して印刷面7a自体には流動性はないため、水性ニス9を印刷面7aに塗布して加熱すれば、インキ8が転写された画線部では、インキ8の流動性によってその上の水性ニス9の表面に深いシワが生じやすくこの深いシワによりグロスが低下するのに対して、非画線部では水性ニス9の表面に深いシワは発生し難く、グロスはあまり低下しない。これにより、画線部は光沢のない艶消し状態になり、非画線部は光沢のある状態になり、画線部に、浮き出るような立体感や、重厚感や高級感といった特有の印象を与えることができる。

0035

また、このような処理によりグロスを調整する際、(1)の水性ニスのガラス転移点tgに対するグロスの状態は、図2に示すような特性となる。図2は、ガラス転移点tgが低(約40℃),中(約80℃),高(約120℃)と異なる3種の水性ニスを用いて、水性ニスの他の特性や水性ニス層の下の材料条件加熱条件等は同一として、上述のように水性ニスの塗布及び加熱を実施した試験の結果を示す図(一部は図面代用写真)であり、(a),(b),(c)の順に、ガラス転移点tgの高いものを示す。なお、図2(a),(b),(c)中の水性ニス表面の広がり方向(X方向及びY方向)の目盛りは2目盛りが約35μmであり、水性ニス表面の深さ方向(Z方向)の目盛りは2目盛りが約8.7μmである。

0036

図2(a)に示すように、ガラス転移点tgが低い水性ニスの場合、表面に深いシワが発生して、グロスが大幅に低下する。これは、ガラス転移点tgが低い水性ニスは柔らかいため、水分蒸発時に水性ニス層の内部でニス成分流動し易く、このように流動しながらの水分蒸発によって、水性ニス表面のレベルが低下する際に表面にシワが生じるものと考えられる。

0037

図2(b)に示すように、ガラス転移点tgが中程度の水性ニスの場合、表面に深いシワは発生せずに、表面は略平滑でありグロスはほとんど低下しない。これは、ガラス転移点tgが低くない水性ニスは柔らくないため、水分蒸発時に水性ニス層の内部でニス成分が流動し難いためシワが発生し難いと考えられる。
図2(c)に示すように、ガラス転移点tgが高い水性ニスの場合、表面にひび割れが発生して、グロスはやや低下するが、つやがやや低下する程度で、外観上の有効な低下とは言いがたい。このようにひび割れが発生するのは、ガラス転移点tgが高いと水性ニスは硬くなり、水性ニスの伸縮性がなくなることが原因と考えられる。

0038

また、(2)の水性ニスの蒸発潜熱については、蒸発潜熱が低いと、水分がより蒸発し易いため、急激に水性ニス表面のレベルが低下する際に表面にシワが生じ易くなるものと考えられる。
(3)の水性ニスへ加える熱量については、この熱量が大きいほど、短時間に水性ニスの水分を十分に蒸発させることができ、しかも、より多くの熱エネルギによってニス成分の流動を促進することができるためシワが生じ易くなるものと考えられる。

0039

(4)の水性ニスの層の下に存在する材料の流動性は、この部分の流動性が高いと、水分蒸発時に水性ニス層だけでなく水性ニス層の下も流動するため、水性ニス層の流動が促進され、水性ニス表面のレベルが低下する際に表面により深いシワが生じるようになるものと考えられる。

0040

B.第1実施形態
本発明の第1実施形態について、図3図5を用いて説明する。
まず、本実施形態にかかる装置構成を説明すると、本実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は、図3に示すように、印刷機の印刷部の下流部分に配置される。つまり、印刷部1には、上流側に印刷ユニット1A〜1Dをインキ色数だけ備え、これらの印刷ユニット1A〜1Dの下流に、OPニスを塗布するOPニス塗布ユニット4と、水性ニスを塗布する水性ニス塗布ユニット5とを、この順に備え、さらに、これらのユニット4,5の下流に加熱装置6が配置されている。

0041

本実施形態の場合、印刷部には、4色のプロセスインキに応じて4つの印刷ユニット1A〜1Dを備え、各印刷ユニット1A〜1Dは、版胴11,ブランケット胴12,中間胴13,圧胴14を備え、版胴11に装備された刷版(図示略)の画線部(絵柄)に応じてそれぞれ(シアンマゼンタイエローブラック)のプロセスインキを印刷物(ここでは、印刷用紙)の表面(印刷面)に転写するようになっている。なお、ここで用いる各インキにはセット性の高い、即ち、紙面上での流動性の低いものを用いる。

0042

OPニス塗布ユニット4も、版胴41,ブランケット胴42,中間胴43,圧胴44をそなえ、版胴41に装備された版の画線部に応じて印刷用紙の表面にスポット的に下地OPニスを塗布するようになっている。なお、ここで用いる下地OPニス各にはセット性の低い、即ち、流動性の高いものを用いる。つまり、下地OPニスは、インキに比べて十分に流動性が高いものを用いている。

0043

水性ニス塗布ユニット5は、ニス版胴52,中間胴53,圧胴54をそなえ、ニス版胴52から印刷用紙の表面に水性ニスをベタ塗りするようになっている。
加熱装置6は、加熱シリンダ61,62と、IRランプ(赤外線ランプ)及び熱風装置からなる表面加熱装置81とをそなえ、加熱シリンダ61,62の表面で印刷用紙の裏面を加熱しながら、表面加熱装置81により、印刷用紙の表面に塗布された水性ニスを加熱し、水性ニスの水分を蒸発させるようになっている。特に、表面加熱装置81は、コントローラ100によって作動を制御されるようになっている。

0044

なお、水性ニス塗布ユニット5によって塗布する水性ニスは、前述のようにガラス転移点tgがある程度低く、蒸発潜熱がある程度低いものを選定する。
また、加熱装置6により水性ニスが加熱されるが、本実施形態では、表面加熱装置81が主体となって塗布した水性ニス層への加熱を行い、加熱シリンダ61,62も印刷用紙の側から補助的に水性ニス層への加熱を行う。

0045

水性ニスの層へ加える熱量によって、水性ニスの表面、即ち、印刷用紙の印刷面のグロスが変わるので、本実施形態では、目的とするグロス状態が得られるように、表面加熱装置81から印刷面へ供給する熱量をコントローラ100によって制御するようになっている。上述のように、印刷面のグロスは、水性ニスの物性(ガラス転移点tg,蒸発潜熱)や水性ニスの層の下に存在する材料の流動性にも依存するため、これらとの兼ね合いで印刷面への供給熱量を制御する。

0046

この熱量制御は、印刷面のグロス状態を、例えば表面反射の光量を計測することなどにより検出して、印刷面の表面(ここでは、下地OPニスが塗布された部分の表面)が所要のグロス状態となるように印刷面への供給熱量を制御することができる。この場合、通常印刷時にフィードバック制御により行ってもよいが、例えば試し刷りの際等に、所要のグロス状態となるように表面加熱装置81を調整しておき、通常印刷時には、この予め適正に調整した状態に基づいて表面加熱装置81を運転するようにしてもよい。

0047

なお、ここで言う供給熱量とは、印刷面の単位面積当たりの供給熱量であり、表面加熱装置81の出力が等しくても印刷機の運転速度が変わると単位面積当たりの供給熱量は変わってしまうので、印刷面に、所定の単位面積当たりの供給熱量を供給するには、印刷機の運転速度に応じて表面加熱装置81の出力(印刷面への単位時間当たりの供給熱量)を制御することが必要になる。

0048

本発明の第1実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は上述のように構成されており、かかる装置を用いて、例えば図4に示すように、本実施形態にかかる印刷物の表面処理方法が実施される。
つまり、印刷部で、印刷ユニット1A〜1Dにより印刷用紙の印刷面に各インキが転写して印刷を実施したら(ステップS10)、印刷された印刷面に、OPニス塗布ユニット4により下地OPニスをスポット的に塗布する(ステップS20)。つまり、版胴41に装備された版の画線部に応じて印刷用紙の表面にスポット的にOPニスを塗布する。なお、このOPニスは印刷面への印刷に用いられた各インキよりも流動性が十分に高いものとし、しかも、印刷面に転写されたインキの膜厚よりも十分に大きな厚みとなるようにOPニスを塗布する。

0049

この後、下地OPニスをスポット的に塗布された印刷面に、水性ニス塗布ユニット5により水性ニスをベタ塗りする(ステップS30)。さらに、加熱装置6により、印刷面を加熱して(ステップS40)、後工程の処理、つまり、印刷面の乾燥処理や必要に応じてダイカットミシン目等の処理、を行う(ステップS50)。
加熱工程においては、IRランプ及び熱風装置からなる表面加熱装置81を、コントローラ100によって作動を制御しながら、印刷用紙の表面に塗布された水性ニスに十分な熱量を供給して加熱する。塗布した水性ニスに十分な熱量が加えられると、水性ニスでは急激な水分蒸発が発生しニスの急激な収縮に伴ってニスの表面にシワが発生しやすくなり、特に、水性ニスの層の下に流動性の高い下地OPニスが存在すると、外観的に効果が生じる程度までの深さのあるシワが十分な頻度で発生してグロスが低下する。

0050

これにより、印刷面のうち下地OPニスを塗った部分については、光沢のない艶消し状態になり、下地OPニスを塗ってない部分は光沢のある状態になり、艶消し状態になった部分には、浮き出るような立体感や、重厚感や高級感といった特有の印象を与えることができる。したがって、このような立体感や重厚感や高級感といった見栄え上の効果を得たい部分にスポット的に下地OPニスが塗布されるように、OPニス塗布ユニット4の版胴41に装備する版を予め形成することが必要である。

0051

なお、本実施形態の場合、印刷面の上には、印刷用紙7に直接水性ニス9が塗られる箇所(直塗り箇所)と、図5に示すように、印刷用紙7にインキ8´のみが塗られた上で水性ニス9が塗られる箇所(インキ塗り箇所)と、印刷用紙7に下地OPニス10のみが塗られた上で水性ニス9が塗られる箇所(下地OPニス塗り上箇所)と、図5に示すように、印刷用紙7にインキ8´が塗られその上に下地OPニス10が塗られ、更にその上に水性ニス9が塗られる箇所(インキ及び下地OPニス塗り箇所)と、の4種類の態様が発生し、下地OPニス10はインキ8´に比べて流動性が高いので、インキ及び下地OPニス塗り箇所が最も流動性が高く、下地OPニス塗り上箇所、インキ塗り箇所、直塗り箇所と次第に低くなる。

0052

したがって、グロスの低下(艶消しの度合い)も、インキ及び下地OPニス塗り箇所が最も高く、下地OPニス塗り上箇所、インキ塗り箇所、直塗り箇所と次第に低くなる。
この点、下地OPニスの流動性がインキに比べて十分に大きくなるように、下地OPニス及びインキを選定しているので、表面加熱装置81の出力を調整することにより、図5に示すように、インキ及び下地OPニス塗り箇所と下地OPニス塗り上箇所とについては、外観的に効果が生じる程度の深さのあるシワが十分な頻度で発生してグロスが低下する(符号9´参照)が、インキ塗り箇所と直塗り箇所とについては、外観的に効果が生じる程度の深さのあるシワは発生し難く、グロス低下は少なく、光沢状態を保持する。

0053

もちろん、下地OPニス10をインキ8´が転写された画線部のみに塗布すれば、印刷面7aの上には、直塗り箇所と、インキ及び下地OPニス塗り箇所と、の2種類の態様しか発生せず、画線部のみを十分にグロス低下させて光沢のない深い艶消し状態として、非画線部については光沢のある状態とすることができ、画線部に、浮き出るような立体感や、重厚感や高級感といった特有の印象を強く与えることができる。

0054

しかも、装置的には、印刷ユニットを流用可能な、OPニス塗布ユニット4や水性ニス塗布ユニット5を使用し、加熱装置6には比較的安価なIRランプ及び熱風装置からなる表面加熱装置81を追加するだけであり、また、資材的にも、インキには高価なUVインキでなく油性インキを使用でき、下地OPニスや水性ニスも高価なものは不要なため、資材コストや設備コストの負担増を抑えながら、グロス低下を実現できる。

0055

C.第2実施形態
本発明の第2実施形態について、図6図8を用いて説明する。
まず、本実施形態にかかる装置構成を説明すると、本実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は、第1実施形態のものからOPニス塗布ユニット4を除いたものであり、図6に示すように、印刷機の印刷部の下流部分に配置される。つまり、印刷部には、上流側に印刷ユニット1A〜1Dをインキ色数だけ備え、これらの印刷ユニット1A〜1Dの下流に、水性ニスを塗布する水性ニス塗布ユニット5と加熱装置6とを、この順に備えている。

0056

これらの印刷ユニット1A〜1D,水性ニス塗布ユニット5,加熱装置6は、いずれも第1実施形態のものと同様に構成されるのでここでは説明を省略する。
ただし、本実施形態の場合、下地OPニスを塗布する代わりに、4つの印刷ユニット1A〜1Dでそれぞれ用いるプロセスインキに、セット性の低い、即ち、紙面上での流動性の高いものを用いている。

0057

本発明の第2実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は上述のように構成されており、かかる装置を用いて、例えば図7に示すように、本実施形態にかかる印刷物の表面処理方法が実施される。
つまり、印刷部で、印刷ユニット1A〜1Dにより印刷用紙の印刷面に各インキが転写して印刷を実施したら(ステップS10)、印刷された印刷面に、水性ニス塗布ユニット5により水性ニスをベタ塗りする(ステップS30)。さらに、加熱装置6により、印刷面を加熱して(ステップS40)、後工程の処理、つまり、印刷面の乾燥処理や必要に応じて折りや断裁等の処理、を行う(ステップS50)。

0058

加熱工程においては、IRランプ及び熱風装置からなる表面加熱装置81を、コントローラ100によって作動を制御しながら、印刷用紙の表面に塗布された水性ニスに十分な熱量を供給して加熱する。
こうして、塗布した水性ニスに十分な熱量が加えられると、水性ニスでは急激な水分蒸発が発生しニスの急激な収縮に伴ってニスの表面にシワが発生しやすくなる。

0059

本実施例の場合、印刷面の上には、印刷用紙に直接水性ニスが塗られる箇所(直塗り箇所)と、印刷用紙にインキが塗られた上で水性ニスが塗られる箇所(インキ塗り箇所)とがあり、インキには流動性が高い物が用いられているので、印刷面のうちインキを塗った部分(画線部)については、光沢のない艶消し状態になり、インキを塗ってない部分(非画線部)は光沢のある状態になり、艶消し状態になった画線部には、浮き出るような立体感や、重厚感や高級感といった特有の印象を与えることができる。

0060

図8は画線部と非画線部とのグロスを比較する図面代用写真(大幅に拡大した写真)であり、所定条件下での試験結果を示す。図8(a)に示すように、加熱が十分な場合(IR照射Eが100パーセント)には、画線部には明確なシワが発生して外観上で有効なグロス低下が生じるが、非画線部にはあまりシワは発生せずに外観上で有効なグロス低下は生じない。ただし、図8(b)に示すように、加熱が不十分な場合(IR照射Eが50パーセント)には、画線部には僅かにシワが発生するものの外観上で有効なグロス低下とは言えず、もちろん、非画線部にはシワは発生せずにグロス低下は生じない。また、資材コストや設備コストの負担増を抑えながら、グロス低下を実現できる。

0061

D.第3実施形態
本発明の第3実施形態について、図9図11を用いて説明する。
まず、本実施形態にかかる装置構成を説明すると、本実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は、第2実施形態と同様に、第1実施形態のものからOPニス塗布ユニット4を除いたものであり、図9に示すように、印刷機の印刷部の下流部分に配置される。つまり、印刷部には、上流側に印刷ユニット1A〜1Dをインキ色数だけ備え、これらの印刷ユニット1A〜1Dの下流に、水性ニスを塗布する水性ニス塗布ユニット5と加熱装置6とを、この順に備えている。

0062

これらの印刷ユニット1A〜1D,水性ニス塗布ユニット5は、いずれも第1実施形態のものと同様に構成されるのでここでは説明を省略する。
ただし、本実施形態の場合、加熱装置6にそなえられた表面加熱装置91には、IRレーザ(赤外線レーザ)装置が用いられている。
そして、このIRレーザ装置によるIR照射量はもちろんのこと、所要の部分にスポット的に所定量のIRを照射するように、コントローラ100によって作動を制御されるようになっている。この場合、単一のレーザビーム光を移動させて所要の部分にIR照射を行うようにしてもよいが、より高速で所要の部分へのIR照射を完了するために、複数のレーザビーム光を併用して各レーザビーム光で領域分担しながら所要の部分へのIR照射を行うようにしてもよい。

0063

本発明の第3実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は上述のように構成されており、かかる装置を用いて、例えば図10に示すように、本実施形態にかかる印刷物の表面処理方法が実施される。
つまり、印刷部で、印刷ユニット1A〜1Dにより印刷用紙の印刷面に各インキが転写して印刷を実施したら(ステップS10)、印刷された印刷面に、水性ニス塗布ユニット5により水性ニスをベタ塗りする(ステップS30)。さらに、加熱装置6により、印刷面を加熱して(ステップS41)、後工程の処理、つまり、印刷面の乾燥処理や必要に応じてダイカットやミシン目等の処理、を行う(ステップS50)。

0064

加熱工程においては、IRレーザ装置を用いた表面加熱装置91をコントローラ100によって作動を制御しながら、図11に示すように、印刷用紙の表面に塗布された水性ニスのうちの所要の部分にIRレーザを照射してスポット的に十分な熱量を供給し加熱する。
こうして、塗布した水性ニスに十分な熱量が加えられると、水性ニスでは急激な水分蒸発が発生しニスの急激な収縮に伴ってニスの表面にシワが発生し易くなり、水性ニス層の下の材料の流動性にもよるが、加熱量が多いほどシワが発生し易いので、IRレーザを照射された箇所は、その照射量に応じてシワが発生する。つまり、シワを深く高頻度で発生させてグロスを低下させたい箇所ほどIRレーザを強く或いは時間を多く照射すれば、グロスを低下させたい箇所及びグロスの程度を自在に調整すること可能である。また、資材コストや設備コストの負担増を抑えながら、グロス低下を実現できる。

0065

もちろん、グロスの変化は水性ニス層の下の材料の流動性にも依存するので、IRレーザの照射量は、水性ニス層の下の材料の流動性を考慮して、例えば画線部と非画線部とを区別して、それぞれに合わせて設定すればよい。
なお、水性ニス層の下の材料の流動性が高い方が水性ニスの水分蒸発に伴うシワが発生し易くグロスを低下させ易いが、例えば非画線部のように水性ニス層の下はほとんど流動性のない紙であっても、水性ニス層に十分な厚みがあって且つ水性ニス層を十分に加熱できれば、水性ニス層の表面にシワを発生させグロスを低下させることが可能と考えられる。

0066

したがって、本実施形態の場合には、インキには比較的セット性の高い、即ち、紙面上での流動性の低いものを用いて、水性ニス層が十分な厚みをもつように水性ニスの塗布を行えば、画線部,非画線部に関係なく、印刷面の好みの箇所をスポット的にグロス低下させることや、グロス低下の程度を場所により変化させることも可能である。
もちろん、インキには比較的セット性の低い、即ち、紙面上での流動性の高いものを用いて、水性ニス層を特に厚くはせずに、画線部の特定の箇所にIRレーザを照射するようにしてもよい。この場合も、IRレーザ照射量に変化をつけて、画線部の場所に応じてグロスの低下の程度を調整することもでき、これにより、特有の立体感や重量感や高級感を期待することができる。

0067

E.第4実施形態
本発明の第4実施形態について、図12を用いて説明する。
本実施形態にかかる装置構成を説明すると、本実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は、第2,3実施形態と同様に、第1実施形態のものからOPニス塗布ユニット4を除いたものであり、図11に示すように、印刷機の印刷部の下流部分に配置される。つまり、印刷部には、上流側に印刷ユニット1A〜1Dをインキ色数だけ備え、これらの印刷ユニット1A〜1Dの下流に、水性ニスを塗布する水性ニス塗布ユニット5と加熱装置6とを、この順に備えている。

0068

これらの印刷ユニット1A〜1D,水性ニス塗布ユニット5は、いずれも第1実施形態のものと同様に構成されるのでここでは説明を省略する。
ただし、本実施形態の場合、下地OPニスを塗布する代わりに、4つの印刷ユニット1A〜1Dでそれぞれ用いるプロセスインキに、セット性の低い、即ち、紙面上での流動性の高いものを用いている。また、本実施形態の場合、加熱装置6には、IRランプ及び熱風装置からなる表面加熱装置81又はIRレーザを用いた表面加熱装置91はそなえず、加熱シリンダ61a,62aのみにより、印刷用紙の表面に塗布された水性ニスを加熱し、水性ニスの水分を蒸発させるようになっている。
そこで、加熱シリンダ61a,62aは、コントローラ100によって印刷用紙に供給する熱量を制御されるようになっている。

0069

本発明の第4実施形態にかかる印刷物の表面処理装置は上述のように構成されており、かかる装置を用いて、本実施形態にかかる印刷物の表面処理方法が実施される。この加熱は、第2実施形態において、加熱工程(ステップ40)でIRランプ及び熱風装置の作動を制御しながら加熱を行なうのに代えて、加熱シリンダ61a,62aを制御しながら加熱を行なうことになる。

0070

このような簡素な構成によっても、第2実施形態と同様に、画線部については、光沢のない艶消し状態になり、非画線部は光沢のある状態になり、艶消し状態になった画線部には、浮き出るような立体感や、重厚感や高級感といった特有の印象を与えることができるという効果を得ることができる。また、資材コストや設備コストの負担増をより一層抑えながら、グロス低下を実現できる。

0071

F.その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
例えば、各実施形態では、コントローラ100を用いて自動で加熱装置6の要部を制御しているが、表面加熱装置81,91や加熱シリンダ61a,62aの作動(熱量供給状態や移動等)を手動で制御してもよい。

図面の簡単な説明

0072

本発明にかかるグロス低下処理のメカニズムを説明する印刷物の模式的な断面図である。
水性ニスのガラス転移点に対するグロス低下特性を示す図であり、一部に図面代用写真を用いており、(a)はガラス転移点が低(流動性が大)の場合を、(b)はガラス転移点が中(流動性が中)の場合を、(c)はガラス転移点が高(流動性が小)の場合を、それぞれ示す。
本発明の第1実施形態にかかる印刷機の要部構成を示す構成図である。
本発明の第1実施形態にかかる印刷工程の要部を説明するフローチャートである。
本発明の第1実施形態にかかるグロス低下処理のメカニズムを説明する印刷物の模式的な断面図である。
本発明の第2実施形態にかかる印刷機の要部構成を示す構成図である。
本発明の第2実施形態にかかる印刷工程の要部を説明するフローチャートである。
本発明の第2実施形態にかかるグロス低下処理の加熱効果を説明する印刷物の図面代用写真(拡大図)であり、(a),(b)ではIR照射量が異なったものを示している。
本発明の第3実施形態にかかる印刷機の要部構成を示す構成図である。
本発明の第3実施形態にかかる印刷工程の要部を説明するフローチャートである。
本発明の第3実施形態にかかるグロス低下処理の加熱手法を説明する模式的な斜視図である。
本発明の第4実施形態にかかる印刷機の要部構成を示す構成図である。
第1の従来技術にかかる印刷機の要部構成を示す構成図である。
第2の従来技術にかかる印刷機の要部構成を示す構成図である。

符号の説明

0073

1印刷部
1A〜1D印刷ユニット
4OPニス塗布ユニット
5水性ニス塗布ユニット
6,60加熱装置
7 紙
7a 印刷面
8,8´インキ
9,9´ 水性ニス
10下地OPニス
11,21,41版胴
12,22,42,52ブランケット胴
13,23,43,53中間胴
14,24,44,54圧胴
31,32,61,62,61a,62a加熱シリンダ
71,72,73,74,75UVランプ
81IRランプ及び熱風装置からなる表面加熱装置
91 IRレーザを用いた表面加熱装置
100 コントローラ

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