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技術 毒素やウイルスを除去する糖鎖ポリマー固定化フィルター

出願人 国立大学法人東京大学DIC株式会社
発明者 畑中研一宮川淳
出願日 2007年3月19日 (13年1ヶ月経過) 出願番号 2007-070074
公開日 2008年10月2日 (11年7ヶ月経過) 公開番号 2008-229435
状態 未査定
技術分野 体外人工臓器 半透膜を用いた分離 濾過材 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード 結合高分子 総合開発 糖鎖高分子 フィルター状 ラクトース水和物 吸着対象 ガラス栓 自然ろ過
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

孔径に依存することなく病原性ウイルス毒素を除くことのできるフィルターを提供する。

解決手段

シアリルラクトースラクトース硫酸シアリル化オリゴ糖ヘパリンデキストラン硫酸硫酸化セルロース硫酸化キチン、硫酸化コロミン酸ヘパラン硫酸ガラクトシルラクトース、およびガラクトシルガラクトースからなる群から選択される糖質の少なくとも1つを結合した高分子化学結合したことを特徴とする、フィルター。 本発明は、フィルターの孔径に依存することなく病原性ウイルスや毒素を除くことを目的とする。

概要

背景

ウイルスに起因する種々の疾病が大きな社会問題になっており、エイズHIVにより、B型肝炎C型肝炎はそれぞれHBV、HCVによりもたらされ、インフルエンザはA型、B型C型などの各種インフルエンザウイルスによりもたらされることが知られている。インフルエンザウイルスは、突然変異を頻繁に起こすため、ワクチンによる予防が極めて困難とされている。また、HIV感染患者の完全な治療法は未だ見出されていない。また、大腸菌O−157などが出すベロ毒素溶血性尿毒症候群を引き起こし死者が多数発生している。これらのウイルスは完全に除去できなくても相当量吸着などにより除去できれば、発症を遅らせたり、その後の治療効果を向上させることができ、毒素の相当量を除去できれば症状の軽減あるいは快癒をもたらすので、これらのウイルス、毒素などの病原性微粒子の除去に対する期待は高い。

ある種の糖質は、病原性のウイルスやタンパク質、例えばインフルエンザウイルス、HIVやベロ毒素などと特異的に結合できるので、このような糖質を結合させた高分子糖質高分子)も病原性のウイルスやタンパク質と結合することができる。例えば、インフルエンザウイルスは、シアリルラクトースラクトース硫酸を結合したポリマー(糖質高分子)と結合できる。また、ベロ毒素は、ガラクトシルラクトースをポリマーに結合した糖質高分子と結合できる。また、HIVは硫酸化多糖類に結合することが知られている。

また、シアリルラクトースやラクトース硫酸がポリマーに結合した糖質高分子と結合したインフルエンザウイルスは、感染性阻害されることも知られている。

特許文献1(特開平10−45601号公報)には、マンノース結合型レクチン親水性高分子を介して疎水性高分子鎖よりなる基材に結合した、ビーズ状またはろ過型フィルター状抗ウイルス素材が開示されている。特許文献1に記載された、マンノース結合型レクチンを結合した親水性高分子を含有するろ過型フィルターは、細胞成分や微生物の入った培養液血漿から、目的のバイオプロダクツ蛋白質をマンノース結合型レクチンとの結合性を利用して得ることを目的としており、細胞成分やウイルスの除去はフィルターの孔径に依存している。このようなフィルターは、分子の大きさに基づいて分離するので、フィルターの孔径より大きいウイルスや毒素以外の粒子も非選択的に除かれるため、有用な成分も失われる可能性がある。

特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2には、ガラクトシルラクトースを再生セルロース化学結合したベロ毒素除去用病原体除去装置が開示されている。特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2に記載された病原性微粒子吸着性中空糸は中空糸の内側表面に糖質高分子を結合させたもので、これに患者血液を通過させウイルスや毒素の除去を行うものである。病原性微粒子を除去するためには、中空糸内側表面に固定化した糖質高分子と病原性微粒子を十分に接触させなければならないが、中空糸内径により接触効率が異なり、十分な接触を得るには中空糸内側に流す血液の流速を維持しながら繰り返し通液させなければならず、時間と費用を要する。特に血液製剤中の病原体微粒子除去には、同様の理由で中空糸法は適していない。

特許文献3には、シアリルラクトース結合高分子をフィルターに固定化したインフルエンザウイルス補捉空気清浄装置が開示されている。特許文献3に記載されたインフルエンザウイルス捕捉用シアリルラクトース結合高分子固定化空気清浄装置は、合成樹脂ポリエチレンポリスチレン等)基板上に糖鎖高分子スプレー法等で塗布しているため、物理的吸着などの弱い力で固定化している。よって、容易に糖鎖高分子が剥離してウイルス補捉効果が無くなることが懸念される。
特開平10−45601号公報
特開2003−135596号公報
特開平11−188214号公報
未来材料、第6巻第7号32〜37頁(2006)
Biomaterials、第27巻3304〜3311頁(2006)

概要

孔径に依存することなく病原性ウイルスや毒素を除くことのできるフィルターを提供する。シアリルラクトース、ラクトース硫酸、シアリル化オリゴ糖ヘパリンデキストラン硫酸硫酸化セルロース硫酸化キチン、硫酸化コロミン酸ヘパラン硫酸、ガラクトシルラクトース、およびガラクトシルガラクトースからなる群から選択される糖質の少なくとも1つを結合した高分子を化学結合したことを特徴とする、フィルター。 本発明は、フィルターの孔径に依存することなく病原性ウイルスや毒素を除くことを目的とする。 なし

目的

本発明は、フィルターの孔径に依存することなく病原性ウイルスや毒素などを簡便に除くことを目的とする。
本発明は、1回通過させるだけで高効率に患者血液、血液製剤中から毒素やウイルスを除去可能な糖鎖ポリマー固定化フィルターの作製を目的とする。
本発明は、化学共有)結合で糖鎖ポリマーを基材に固定させることにより、糖鎖ポリマーの剥離が生じない、安定な性能を有する糖鎖ポリマー固定化フィルターの作製を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

高分子とフィルターのいずれかが、親水性高分子、または疎水性高分子であることを特徴とする、請求項1記載のフィルター。

請求項3

フィルターがセルロースフィルターであることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルター。

請求項4

フィルターがろ過膜であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルター。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルターを含有することを特徴とする、装置。

技術分野

0001

本発明は、ウイルス毒素と結合することのできる糖質を結合させた高分子(以後、糖質高分子とも呼ぶ)を化学結合させたフィルターおよび該フィルターを有する装置に関する。
本発明は、「平成18年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願」である。

背景技術

0002

ウイルスに起因する種々の疾病が大きな社会問題になっており、エイズHIVにより、B型肝炎C型肝炎はそれぞれHBV、HCVによりもたらされ、インフルエンザはA型、B型C型などの各種インフルエンザウイルスによりもたらされることが知られている。インフルエンザウイルスは、突然変異を頻繁に起こすため、ワクチンによる予防が極めて困難とされている。また、HIV感染患者の完全な治療法は未だ見出されていない。また、大腸菌O−157などが出すベロ毒素溶血性尿毒症候群を引き起こし死者が多数発生している。これらのウイルスは完全に除去できなくても相当量吸着などにより除去できれば、発症を遅らせたり、その後の治療効果を向上させることができ、毒素の相当量を除去できれば症状の軽減あるいは快癒をもたらすので、これらのウイルス、毒素などの病原性微粒子の除去に対する期待は高い。

0003

ある種の糖質は、病原性のウイルスやタンパク質、例えばインフルエンザウイルス、HIVやベロ毒素などと特異的に結合できるので、このような糖質を結合させた高分子(糖質高分子)も病原性のウイルスやタンパク質と結合することができる。例えば、インフルエンザウイルスは、シアリルラクトースラクトース硫酸を結合したポリマー(糖質高分子)と結合できる。また、ベロ毒素は、ガラクトシルラクトースをポリマーに結合した糖質高分子と結合できる。また、HIVは硫酸化多糖類に結合することが知られている。

0004

また、シアリルラクトースやラクトース硫酸がポリマーに結合した糖質高分子と結合したインフルエンザウイルスは、感染性阻害されることも知られている。

0005

特許文献1(特開平10−45601号公報)には、マンノース結合型レクチン親水性高分子を介して疎水性高分子鎖よりなる基材に結合した、ビーズ状またはろ過型フィルター状抗ウイルス素材が開示されている。特許文献1に記載された、マンノース結合型レクチンを結合した親水性高分子を含有するろ過型フィルターは、細胞成分や微生物の入った培養液血漿から、目的のバイオプロダクツ蛋白質をマンノース結合型レクチンとの結合性を利用して得ることを目的としており、細胞成分やウイルスの除去はフィルターの孔径に依存している。このようなフィルターは、分子の大きさに基づいて分離するので、フィルターの孔径より大きいウイルスや毒素以外の粒子も非選択的に除かれるため、有用な成分も失われる可能性がある。

0006

特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2には、ガラクトシルラクトースを再生セルロースに化学結合したベロ毒素除去用病原体除去装置が開示されている。特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2に記載された病原性微粒子吸着性中空糸は中空糸の内側表面に糖質高分子を結合させたもので、これに患者血液を通過させウイルスや毒素の除去を行うものである。病原性微粒子を除去するためには、中空糸内側表面に固定化した糖質高分子と病原性微粒子を十分に接触させなければならないが、中空糸内径により接触効率が異なり、十分な接触を得るには中空糸内側に流す血液の流速を維持しながら繰り返し通液させなければならず、時間と費用を要する。特に血液製剤中の病原体微粒子除去には、同様の理由で中空糸法は適していない。

0007

特許文献3には、シアリルラクトース結合高分子をフィルターに固定化したインフルエンザウイルス補捉空気清浄装置が開示されている。特許文献3に記載されたインフルエンザウイルス捕捉用シアリルラクトース結合高分子固定化空気清浄装置は、合成樹脂ポリエチレンポリスチレン等)基板上に糖鎖高分子スプレー法等で塗布しているため、物理的吸着などの弱い力で固定化している。よって、容易に糖鎖高分子が剥離してウイルス補捉効果が無くなることが懸念される。
特開平10−45601号公報
特開2003−135596号公報
特開平11−188214号公報
未来材料、第6巻第7号32〜37頁(2006)
Biomaterials、第27巻3304〜3311頁(2006)

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、フィルターの孔径に依存することなく病原性ウイルスや毒素などを簡便に除くことを目的とする。
本発明は、1回通過させるだけで高効率に患者血液、血液製剤中から毒素やウイルスを除去可能な糖鎖ポリマー固定化フィルターの作製を目的とする。
本発明は、化学共有)結合で糖鎖ポリマーを基材に固定させることにより、糖鎖ポリマーの剥離が生じない、安定な性能を有する糖鎖ポリマー固定化フィルターの作製を目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等はこのような状況に鑑み鋭意検討した結果、ウイルスや毒素を除去する方法を見出し、本発明に到達した。即ち、
(1)本発明は、シアリルラクトース、ラクトース硫酸、シアリル化オリゴ糖ヘパリンデキストラン硫酸硫酸化セルロース硫酸化キチン、硫酸化コロミン酸ヘパラン硫酸、ガラクトシルラクトース、およびガラクトシルガラクトースからなる群から選択される糖質の少なくとも1つを結合した高分子を化学結合したことを特徴とする、フィルターに関する。
(2)本発明は、高分子とフィルターがいずれも親水性高分子であるか、いずれも疎水性高分子であることを特徴とする、上記(1)記載のフィルターに関する。
(3)本発明は、フィルターがセルロースフィルターであることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のフィルターに関する。
(4)本発明は、フィルターがろ過膜である、上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のフィルターに関する。
(5)本発明は、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のフィルターを含有することを特徴とする、装置に関する。

発明の効果

0010

本発明のフィルターは、ウイルスや毒素を吸着する糖質高分子がフィルターに化学結合しているので、フィルターにウイルスや毒素を含む液体気体を1回通過させるだけで高効率にウイルスや毒素を除去できる。ウイルスや毒素を吸着するものが糖質であるので、毒性がなく、安全であるという特徴を有する。
本発明は、化学(共有)結合で糖鎖ポリマーを基板に固定化しているため、長期間にわたりウイルスや毒素吸着効果を維持するとともに、フィルターが液体に接触しても糖鎖高分子は容易に剥離しない。

0011

また本発明は、フィルターに結合した糖鎖高分子とウイルスや毒素との特異的結合を利用して除去するものであって、フィルターの孔径の影響を受けない。したがって、平均孔径1μm以上のフィルターに糖鎖高分子を固定すれば良く、重力のみの自然ろ過が可能である。よって、一般的にウイルスや毒素の除去に用いられる限外ろ過で使用するような加圧あるいは送液装置を必要としないため、簡便にウイルスや毒素を除去できる。

発明を実施するための最良の形態

0012

本発明に用いる糖質は、吸着対象となるウイルス、毒素の種類に応じて優れた吸着活性を有する糖質を選択すればよく、除去対象のウイルスがインフルエンザウイルスの場合は、シアリルラクトース、ラクトース硫酸、シアリル化オリゴ糖等を例示できる。また、吸着対象となるウイルスがHIVの場合は、ヘパリン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、硫酸化キチン、硫酸化コロミン酸等を例示できる。吸着対象がヘルペスウイルスの場合は、ヘパラン硫酸等を例示できる。また、吸着対象となる毒素がベロ毒素の場合は、ガラクトシルラクトース、ガラクトシルガラクトース等を例示できる。
これら糖質は、単量体の形態であっても、単一又は2種類以上の糖質からなる多量体の形態であってもよい。
これら糖質は、市販のものを用いても、細胞等から調製しても、人工的に合成してもよい。

0013

糖質と結合する高分子としては、糖質の有する官能基と結合するための官能基を有する高分子であればどのようなものも用いることができる。さらに、糖質および高分子の官能基としては、何らかの反応により高分子側の官能基、糖質側の官能基の一方または両方を改質して結合可能となるものであってもよい。
このような高分子としては、水性溶液中で動けるように親水性であることが好ましい。このような親水性高分子としては、アクリルアミドメタクリルアミド、及びこれらの誘導体;N−ビニルアセトアミドやN−ビニルアルキルアミド類;ビニルアミンアリルアミンアクリル酸メタクリル酸、及び例えばヒドロキシエチルメタクリレートなどのように親水性基を有するこれらの誘導体;アミノ酸等を構成成分とする重合体共重合体を例示できる。これらの共重合体には親水性を維持できる範囲で疎水性の単量体を共重合することができる。

0014

これらの親水性高分子の中では、蛋白質の非特異的な吸着を抑制するものが好ましく、アクリルアミド及びその誘導体、N−ビニルアセトアミド類が好ましく用いられる。
高分子としては疎水性のものも用いることができる。このような高分子の例としては、ポリスチレン、ポリスルホンポリメタクリル酸メチル等を例示できる。
なお、高分子は、単量体の形態であっても、単一又は2種類以上の上記高分子からなる多量体の形態であってもよい。
これら高分子は、市場より入手可能であり、糖質と結合させるために市販品の高分子の官能基を改質してもよい。これら高分子の官能基の改質方法は、当業者には周知である。

0015

糖質と高分子の結合方法としては、高分子と結合するための官能基を有する糖質を合成後、高分子と結合させ、糖質を有する高分子の単量体を合成し、さらにこの単量体を重合する方法、カルボジイミド試薬ウッドワード試薬等を用いて糖質を親水性高分子に結合する方法等(Biomacromolecules 2006, 7, 2882-2889など)、公知の方法を採用することができる。糖質を高分子に結合させる方法の一例としては、例えば、糖質の1つの水酸基炭酸水素アンモニウムと反応させてアミノ基を導入し、これとp−ビニルベンゾイルクロライドと反応させて、スチレンパラ位置に糖質側鎖を導入したスチレンモノマーを得、これを重合、またはスチレンと共重合して、スチレンのパラ位置に糖質側鎖を有するポリスチレンを得る方法がある。

0016

糖質高分子を構成する糖質の数と高分子の数は、共に1以上であれば限定されない。
糖質高分子を構成する糖質と高分子の比は、糖質と高分子の合計を1とした時、0<糖質<1、0<高分子<1であり、好ましくは、0.5<糖質<1、0<高分子<0.5である。

0017

本発明で用いるフィルターとしては、液体や気体を通過できるフィルターが用いられる。フィルターの素材としては何ら制限がなく、セルロース、再生セルロース、セルロースアセテートエチレンビニルアルコール共重合体ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリ4−メチルペンテン等を例示できる。糖質と結合する高分子が親水性である場合は、フィルターも親水性であることが好ましく、糖質と結合する高分子が疎水性である場合は、フィルターも疎水性であることが好ましい。

0018

本発明で用いるフィルターとは、孔を有する膜を意味し、フィルターは、孔径より大きい物質を通さないが、孔径より小さい物質を通すことにより、物質の大きさに基づいて物質を分離するのに使用するろ過膜が好ましい。孔径や孔数は、物質に依存して適宜選択することができる。フィルターの大きさ、厚さ、形状は、限定されない。ろ過膜としては、薄膜化が可能で液体や気体のろ過速度が高く、液体への湿潤強度が高く、かつ糖質高分子の固定に使用可能な官能基を有していることから、セルロース膜が好ましい。

0019

本発明においては、糖質高分子はフィルターに化学結合している。化学結合により糖質高分子を固定化する方法は、糖質高分子中のアミノ基(またはカルボキシル基)とフィルター中のカルボキシル基(またはアミノ基)とを1−[3−(ジメチルアミノプロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩ジシクロヘキシルカルボジイミド塩酸塩などの縮合剤を用いて縮合反応させる方法などが用いられる。

0020

本発明においては、ウイルスや毒素の吸着とは、糖質高分子とウイルスや毒素を接触させたとき、接触前に比べて、接触後のウイルスや毒素の量が減少していた場合を意味する。
本発明においては、フィルターにウイルスや毒素を含む液体や気体を通すだけでウイルスや毒素を除去できるとは、フィルター通過前に比べて、通過後のウイルスや毒素の量が減少することを意味する。
本発明において、装置とは、例えば、本発明のフィルターを備えているろ過装置や、口やを覆うマスクなどが挙げられる。

0021

以下に、糖質高分子の製造と糖質高分子のフィルターへの固定につき、糖質としてD−ラクトースを用い、高分子としてポリアクリルアミドを合成し、フィルターとしてセルロースフィルターを用いた代表例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。

0022

ガラクトシルラクトース結合ポリアクリルアミドを結合したセルロースフィルターの作製
1:糖質合成(ラクトシドの合成)
1−1:4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−1,2,3,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(2)の合成
酢酸ナトリウム(109g,1.33mol)を無水酢酸(1.75l,18.7mmol)に懸濁し、110℃に加熱した。そこへ、D−ラクトース一水和物(1)(300g,833mmol、東京化成工業株式会社、D−(+)−ラクトース水和物)を少しずつ加え、1時間攪拌する。反応終了後反応液氷水にあけ、一晩攪拌し、溶液濾過し、冷水で洗い、結晶化した。粗結晶をメタノール530mlに溶かし再結晶し、結晶した化合物2(428g,収率75.8%)を得た。

0023

1−2:ノルマル−ヘキセル4−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−アセチルl−β−D−グルコピラノシド(3)の合成
窒素雰囲気下、化合物2(60.0g,88.4mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶かし、5−ヘキセン−1−オール(46.0ml,389mmol)を加えた。−50℃に冷やし、BF3・Et2O(100ml,796mmol)を加え、1時間攪拌し、0℃で4時間、室温で2時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、飽和炭酸水素ナトリム溶液、飽和食塩水洗浄した。有機層無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液をグラスフィルターで濾過して濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフヘキサン酢酸エチル2:1→1.5:1)で精製後、濃縮してシラップ状の化合物3(23.1g,収率36.4%)を得た。

0024

1−3:ノルマル−ヘキセル4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−β−D−グルコピラノシド(4)の合成
窒素雰囲気下、化合物3(35.4g,49.3mmol)をメタノール(505ml)に溶かし、ナトリウムメトキシド(2.10g,38.9mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、反応液にアンバーライトIR−120B(H+)を加え、中和した。溶液からイオン交換樹脂ろ紙濾別した後、濃縮しアモルファス状の化合物4(18.9g,収率90.1%)を得た。

0025

1−4:ノルマル−ヘキセル4−O−(4,6−O−ベンジリデン−β−D−ガラクトピラノシル)−β−D−グルコピラノシド(5)の合成
化合物4(9.88g,23.3mmol)をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)(40.0ml)に溶かし、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(5.24ml,34.9mmol)とCSA(カンファスルホン酸)(541mg,2.33mmol)を加え、減圧下、60℃で時間攪拌した。反応終了後、反応液を空冷後、トリエチルアミン(0.649ml)を加え、濃縮し、トルエン共沸した。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、濾過して目的物5を含む混合物を得た。

0026

1−5:ノルマル−ヘキセル4−O−(2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−β−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(6)の合成
50%油性水素化ナトリウム(6.97g,174mmol)を窒素雰囲気下、ヘキサンで洗浄して油分を除去した後、DMF(20ml)を水素化ナトリウムに加え、氷冷下、化合物5の混合物(11.9g,23.2mmol)のDMF(180ml)溶液を水素化ナトリウム−DMF溶液滴下した。滴下後、アスピレーターで発生する水素を引き、1時間攪拌した。さらに、氷冷下、ベンジルブロミド(20.7ml,174mmol)を滴下し、室温で9時間攪拌した。反応終了後、氷冷下、メタノール(15.0ml)を加え、反応液をエバポレーターを用いて濃縮した。残渣をジエチルエーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過してエバポレーラーを用いて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(トルエン:酢酸エチル10:1→へキサン:酢酸エチル3:1)で精製後、エバポレーターを用いて、濃縮してシラップ状の化合物6(18.0g,収率80.6%)を得た。

0027

1−6:ノルマル−ヘキセル4−O−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−β−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(7)の合成
窒素雰囲気下、化合物6(15.5g,16.1mmol)をTHF(テトラヒドロフラン)(250ml)に溶かし、モレキュラーシーブ4Åパウダー(15.5g、関東化学株式会社、モレキュラーシーブ0.4nm)を加え、室温で40分間攪拌した。続いて、ボラントリメチルアミン錯体(8.20g,112mmol)を加え、氷冷下、塩化アルミニウム(15.0g,112mmol)を数回に分けて加え、室温で5時間攪拌した。反応終了後、反応液をセライト濾過し、濾液をクロロホルムで希釈し、氷水、1N塩酸飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(へキサン:酢酸エチル4:1)で精製後、エバポレーターを用いて、濃縮してアモルファス状の化合物7(11.2g,収率72.2%)を得た。

0028

2:糖質合成(ガラクトシドの合成)
2−1:メチルD−ガラクトピラノシド(9)の合成
アルゴン雰囲気下、D−ガラクトース(8)(100g,555mmol、東京化成工業株式会社、D−(+)−ガラクトース)をメタノール(900ml)に溶かし、イオン交換樹脂のアンバーライトIR120B(H+)(100ml、オルガノ株式会社)を加え、80℃で一晩攪拌した。反応終了後、空冷し、イオン交換樹脂を濾別して濃縮した。イソプロパノール120ml、メタノール6ml、蒸留水〜1mlで再結晶し、α型、β型の比が、11:1の混合物として化合物9(40.1g,収率37.2%)を得た。

0029

2−2:メチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトピラノシド(10)の合成
50%油性水素化ナトリウム(43.3g,1.08mol)を窒素雰囲気下、ヘキサンで洗浄して油分を除去した後、DMF(100ml)を水素化ナトリウムに加え、氷冷下、化合物9(35.0g,180mmol)のDMF(900ml)溶液を水素化ナトリウム−DMF溶液に滴下した。滴下後、アスピレーターで発生する水素を引き、2時間攪拌した。さらに、氷冷下、ベンジルブロミド(124ml,1.08mol)を滴下し、室温で4時間半攪拌した。反応終了後、氷冷下、メタノール(70ml)を加え、反応液を濃縮した。残渣をクロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(へキサン:酢酸エチル6:1)で精製後、エバポレーターを用いて、濃縮し、シラップ状の化合物10(86.3g,収率86.3%)を得た。
1H NMRδ(400MHz,CDCl3)

0030

2−3:2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトピラノース(11)の合成
化合物10(9.97g,18.0mmol)を酢酸(103ml,1.80mol)に溶かし、3M硫酸(12.34ml,37.0mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過して濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル4:1→3:1)で精製後、エバポレーターを用いて濃縮し、シラップ状の化合物11(7.35g,収率75.6%)を得た。

0031

2−4:2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトピラノシルクロライド(12)の合成
窒素雰囲気下、化合物11(1.00g,1.85mmol)を1,2−ジクロロエタン(8ml)に溶かし、DMF(71.6μl,0.925mmol)を加え、氷冷下、塩化チオニル(0.806ml,11.1mmol)を加え、直ちにガラス栓をして氷冷下、一晩攪拌した。反応終了後、反応液をシリカゲル濾過し、エバポレーターを用いて、溶液を濃縮し、さらにトルエンで共沸させて濃縮し、シラップ状の化合物12(1.02g,収率99.3%)を得た。

0032

3:糖質合成(ガラクトシルラクトシドの合成)
3−1:ノルマル−ヘキセル4−O−[4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル]−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(13)の合成
窒素雰囲気下、グルコシル供与体になる上記化合物12(6.70g,12.0mmol)とグルコシル受容体になる上記化合物7(5.30g,5.49mmol)を脱水トルエン(250ml)に溶かし、γ−コリジン(0.868ml,6.59mmol)とモレキュラーシーブ4Åパウダー(3.35g)を加え、室温で30分間攪拌した後、−20℃でAgOTf(4.23g,16.5mmol)を加え、2時間半攪拌した。反応終了後、反応液をクロロホルムで希釈し、セライト濾過した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル8:1)で精製後、エバポレーターを用いて濃縮し、シラップ状の化合物13(7.04g,収率86.2%)を得た。

0033

3−2:ノルマル−ヘキセル4−O−[4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル]−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(14)の合成
−78℃の液体アンモニア(300ml)へ金属ナトリウム(8.91g,387mmol)を加え、そこへ化合物13(12.8g,8.60mmol)を溶解させた1,2−ジメトシキエタン(80ml)溶液を滴下し、2時間攪拌し、塩化アンモニウム(20.7g,387mmol)を加えて、一晩攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣をピリジン(180ml)に懸濁し、無水酢酸(170ml)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、反応液に氷水を加え、クロロホルムで抽出し、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過してエバポレーターを用いて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル1:1.5)で精製し、化合物14(4.47g,収率51.7%)を得、原料であった化合物13(4.99g,収率39.0%)を回収した。

0034

3−3:ノルマル−ヘキセル4−O−[4−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル]−β−D−グルコピラノシド(15)の合成
窒素雰囲気下、化合物14(1.1g,1.09mmol)をメタノール(11ml)に溶かし、ナトリウムメトキシド(58.9mg,1.09mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、反応液にアンバーライトIR−120B(H+)を加え、中和した。溶液からイオン交換樹脂を濾別した後、エバポレーターを用いて濃縮し、アモルファス状の化合物15(694mg,収率108%)を得た。

0035

3−4:6−(アミノエタンチオニルヘキシル−O−[4−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル]−β−D−グルコピラノシド塩酸塩(16)の合成
窒素雰囲気下、化合物15(660mg,1.13mmol)をメタノール(15ml)に溶かし、アミノエタンチオール塩酸塩(639mg,5.63mmol)を加え、0℃で、UV(λ=254nm)を4時間半照射した。反応終了後、濃縮し、残渣をゲル濾過セファデックスLH−20、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)で精製し、化合物16(840mg,106%)を得た。収率が100%を越えているのは、ゲル濾過により、アミノエタンチオール塩酸塩を完全に分けることができなかったためである。

0036

3−5:6−(アクイルアミノエタンチオニル)ヘキシル−O−[4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシル)2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル]−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(17)の合成
窒素雰囲気下、化合物16(974mg,1.39mmol)をメタノール(15ml)に溶かし、炭酸ナトリウム(442mg,4.17mmol)を加え、0℃に冷やし、アクリル酸クロライド(0.226ml,2.78mmol)を8分間かけて、ゆっくり滴下した。その後、12分間攪拌し、室温にして、30分間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、大過剰の無水酢酸(20ml)とピリジン(30ml)を加え、一晩攪拌した後、氷水を加え、クロロホルムで抽出して、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル1:3)で精製後、エバポレーターを用いて濃縮して化合物17(1.44g,収率90.0%)を得た。

0037

3−6:6−(アクロイルアミノエタンチオニル)ヘキシル−O−[4−O−D−ガラクトピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル]−β−D−グルコピラノシド(18)の合成
窒素雰囲気下、化合物17(1.00g,0868mmol)をメタノール(10.0ml)に溶かし、ナトリウムメトキシド(46.9mg,0.868mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、反応液にアンバーライトIR−120B(H+)を加え、中和した。溶液からイオン交換樹脂を濾別した後、エバポレーターを用いて濃縮し、アモルファス状の化合物18(661mg,収率106)を得た。

0038

4:アミンモノマーの合成
6−アミノヘキシルアクリルアミド(20)の合成
窒素雰囲気下、ヘキサメチレンジアミン(19)(500mg,4.30mmol)をメタノール(20ml)に溶かし、0℃に冷やし、アクリル酸クロライド(0.384ml,4.73mmol)を3分間かけて、ゆっくり滴下し、30分間攪拌した。その後、室温にして、1時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール 1:0→2:1)で精製後、エバポレーターを用いて濃縮して化合物20(481mg,収率55.8%)を得た。

0039

5:糖質高分子である6−(アクロイルアミノエタンチオニル)ヘキシル−O−[4−O−D−ガラクトピラノシル]−β−D−ガラクトピラノシル]−β−D−グルコピラノシド−6−アミノヘキシルアクリルアミド共重合体(21)の合成
窒素雰囲気下、化合物18(100mg,139μmol)と化合物20(1.17mg,6.97μmol)をH2O(1.0ml)に溶かし、減圧下、脱気を行った後、TEMED(N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミン)(2.08μl,13.9μmol)とAPS過硫酸アンモニウム)(1.27mg,5.57μmol)を加え、一晩攪拌した。反応終了後、エタノール再沈殿により精製し、化合物21(92.0mg,90.9%)を得た。化合物21中の化合物18と化合物20の比は、化合物18:化合物20=1.0:0.04の比であり(1H NMRの積分比により決定)、化合物21の分子量は、数平均分子量Mn=8.13×104、GPCにより測定された分子量Mw=2.25×105であった。
化合物21を、以後、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーと呼ぶ。

0040

図1−1〜図1−5は、ラクトースからラクトシドの合成、ガラクロースからガラクトシルの合成、ラクトシドおよびガラクトシルからのガラクトシルラクトースの合成、およびガラクトシルラクトースおよびアミンモノマーからのガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーの合成の概略を示す。

0041

6:ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーの固定化されたセルロースフィルターの作製
6−1:セルロースフィルターへのカルボキシル基の導入による活性
セルロースフィルター100枚(ワットマンセミミクロ濾紙グレード1、φ=25mm)を1MNaOH水溶液(60ml)と飽和食塩水(60ml)の混合溶液中に加え、1時間攪拌した後、ブロモ酢酸(2.73g)を加え、一晩撹拌した。反応終了後、水で中性になるまで十分に洗い、自然乾燥させた。

0042

6−2:ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーのセルロースフィルターへの固定化
カルボキシル基を導入して活性化したセルロースフィルター(10枚)を、水(10ml)と1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(11.5mg)を加え、2時間攪拌した。その後、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー(10mg)を水(10ml)に溶かして、反応溶液中に加え、一晩攪拌した。反応終了後、反応溶液を回収し、濃縮後、透析膜スペクトラムラボラトリー社、スペクトポア3透析膜(分画分子量=3,500))を用いて、透析を行い、未反応のポリマーを回収した。セルロースフィルターは、自然乾燥を行った。フィルターには、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが0.71μg/mm2(0.70mg/枚)(フィルターに固定化されたガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー量は、固定化ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー(mg)=仕込みのガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー(mg)−回収したガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー(mg)より計算される)、ガラクトシルラクトース(グロボトリオース、Gb3、またはGalα1−4Galβ1−4Glcとも表すことができる)が1.0nmol/mm2(0.99μmol/枚)(フィルターに固定化されたガラクトシルラクトース量は、重量(ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー)/分子量(ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー)x[m(Gb3の比)/(m(Gb3の比)+n(NH2の比))]=モル数(Gb3)より計算される。なお、m(Gb3の比)とn(NH2の比)は上記5に記載のように1H NMRにより決定される化合物18:化合物20の積分比から決定される)固定化されていた。以後、このガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーの固定化されたセルロースフィルターを、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー固定化フィルターと呼ぶ。

0043

図2は、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが固定化されたセルロースフィルターの作製の概略を示す。

0044

7:ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー固定化フィルターへのベロ毒素吸着実験
濾過用ホルダーミリポア社、スウィクスフィルターホルダー)にガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが固定化されたセルロースフィルターを5枚入れ、1mlシリンジを用いてPBSリン酸緩衝液)を10ml流した。その後、Stx1−PBS溶液(1mg/ml)を1ml、10秒かけて流し、続いて、PBSを4ml流して、計5mlを回収した。回収液は、PBSにより希釈後、次の毒性評価実験に用いた。Stx2についても、同様に行った。
また、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが固定化されていないセルロースフィルターについても、Stx1−PBS溶液、Stx2−PBS溶液を用いて、同様に行い、回収液を調製した。
なお、Stx1、Stx2はナカラテクス株式会社より購入した。
図3は、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー固定化フィルターへのベロ毒素吸着実験の概略を示す。

0045

8:ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマー固定化フィルターを通したStx1、Stx2溶液の毒性試験
8−1:ベロ細胞の培養
ベロ細胞(理化学研究所セルバンクより購入)は、10%FBS牛胎児血清)を補給したDMEMダルベッコ変法イーグル培地)で、37℃、CO2インキュベーター(5%CO2)で培養する。
ベロ細胞の調製は、0.25%トリプシン−1mMEDTA溶液でベロ細胞を処理して、シャーレから剥がし、チューブに移し、遠心分離(1000rpm)により回収後、10%FBS を補給したDMEMに、50000cells/mlになるようにベロ細胞を懸濁して行う。この細胞懸濁液を、試験の前日に、96well plate(ヌンク社)に5000cells/well程度にまいて毒性評価実験に用いた。

0046

8−2:毒性評価方法
上記4の希釈された回収液(ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが固定化されているセルロースフィルターを用いた回収液およびガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが固定化されていないセルロースフィルターを用いた回収液)をベロ細胞の入っているwellに、100μl加え、WST法により、生存率を求めた。
スタンダードとして、上記4のベロ毒素吸着実験の最初に用いた毒素溶液をPBSにより200ng/ml〜0.2pg/mlに希釈したものを、ベロ細胞の入っているwellに、100μl加え、WST法を用いて、吸光度を測定することにより、細胞の生存率を求めた。そして、毒素濃度と細胞の生存率との検量線を作製した。

0047

0048

WST法とは、上記スキームに示すように生細胞内で生成される脱水素酵素により、高感度水溶性ホルマザン(WST)は還元され、水溶性のホルマザンを生成する。このホルマザンの吸光度(450nm)を測定することにより、生細胞数計測する方法である。
操作方法
1.細胞を5000cells/wellになるように、培地で希釈し、96穴マイクロプレートの各wellに100μlずつ播種する。
2.24時間、前培養する。
3.培地を除去し、希釈した毒素溶液を100μlずつ加え、72時間インキュベートする。
4.毒素を含む培養液を除去し、バッファーで洗浄し、Cell Counting Kit-8溶液(同仁化学研究所より購入)を適量含む培地を加え、炭酸ガスインキュベーター内で1〜4時間呈色反応を行う。
5.マイクロプレートリーダーを用い、450nmの吸光度を測定する。
6.吸光度から、細胞の生存率を計算する(毒素を加えていないwellを100%とする)。

0049

8−3:毒素溶液の評価結果
図4ノーマルは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化していないフィルター、ガラクトシルラクトースは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化したフィルターを用いたStx1の結果である。Stx1は、フィルターは通さずに毒素溶液を希釈して、細胞に加え、評価したスタンダードの結果である。
ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化したフィルターでは、スタンダードと比較すると、Stx1を吸着し、Stx1の濃度が10万分の1に希釈されていることがわかる。

0050

図5のノーマルは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化していないフィルター、ガラクトシルラクトースは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化したフィルターを用いたStx2の結果である。Stx2は、フィルターは通さずに毒素溶液を希釈して、細胞に加え、評価したスタンダードの結果である。ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化したフィルターではStx2を吸着し、Stx2の濃度が1000分の1に希釈されていることがわかる。

0051

本発明の毒素やウイルスの除去フィルターは、輸血用の血液などの医薬品の製造や医療用マスクなどの医療器具等に用いることができる。

図面の簡単な説明

0052

ラクトースからラクトシドの合成の概略を示す。
ガラクトースからガラクトシドの合成の概略を示す。
ラクトシドおよびガラクトシドからのガラクトシルラクトースの合成の概略を示す。
アミンモノマーの合成の概略を示す。
ガラクトシルラクトースおよびアミンモノマーからのガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーの合成の概略を示す。
ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーが固定化されたセルロースフィルターの作製の概略を示す。
ガラクトシルラクトースアクリルアミドフィルターへのベロ毒素吸着実験の概略を示す。
Stx1の毒素評価を示す。ノーマルは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化していないセルロースフィルター、ガラクトシルラクトースは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化したセルロースフィルターを通過後のStx1−PBS溶液、Stx1は、セルロースフィルターを通過していないStx1−PBS溶液を示す。
Stx2の毒素評価を示す。ノーマルは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化していないセルロースフィルター、ガラクトシルラクトースは、ガラクトシルラクトースアクリルアミドポリマーを固定化したセルロースフィルターを通過後のStx2−PBS溶液、Stx2は、セルロースフィルターを通過していないStx2−PBS溶液を示す。

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