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課題
解決手段
概要
背景
通常、発酵パンの主原料として利用されているのは、小麦粉またはライ麦粉であり、小麦パンはふっくら膨らんだ食感が好まれている。小麦粉は、水を加えて練り合わせると、小麦粉中のタンパク質のグリアジンとグルテニンによってガム状の粘弾性を有するグルテンになり、発酵で生じる炭酸ガスを生地中に包蔵する機能が発揮され、発酵パンの容積拡大につながることが知られている。
一方、東南アジア諸国では米が伝統的に主食として用いられているが、日本では米の消費量が年々低下しており、自給率の高い米を消費して食糧自給率を上げることが望まれている。また、将来予測される食料不足の問題を解決するため、小麦に比べて単位面積当たりの収量が多く、栄養学的にもすぐれたバランス食品である米を、その用途を拡大したり消費量を増加させることも望まれている。
日本で栽培されている米は、大別すると粳米ともち米の2種類がある。このうち、発酵パンの主原料として、粳米の米粉を小麦粉の代替として利用する方法が提案されている。しかし、従来から和菓子の材料として用いられている上新粉等を小麦粉の代替として用いても小麦粉の場合のようには発酵生地が得られず、食味に劣るパンしか得られなかった。そこで、粳米の米粉を小麦粉の代替として利用するためには、例えば、特許文献1には、ロール製粉機で粗粉砕した後、気流粉砕機で微粉砕して200メッシュの篩を通過する区分を90%以上にした米粉を製造する方法、特許文献2には、ペクチナーゼを溶解した水溶液に米を浸漬処理した後、脱水、製粉、仮焼する方法、あるいは、特許文献3には、有機酸水溶液(ペクチナーゼを含んでもよい)に米を浸漬した後、脱水、製粉する方法などが開示されている(特許文献1〜3を参照)。このように、粳米は、積極的に用途を拡大する試みがなされているのが現状である。一方、もち米は、餅、団子、赤飯、ぎゅうひ、あられ等の食品に加工されているが、その用途は限られていた。
特公平4−73979号公報
特公平7−100002号公報
特開2002−153215号公報
概要
小麦粉や小麦由来のグルテンを使用することなく、米粉を使用しつつ、公知の米粉パンと比較してさらにおいしい米粉パンの製造方法並びにパン粉の製造方法を提供する。また一般的な小麦粉を使用したパンのようなサクッとした食感や大きな気泡を有するパンを得ることが可能な米粉パンの製造方法並びにパン粉の製造方法を提供する。少なくとも米粉100重量部、澱粉1〜20重量部を水と混合して加熱した糊状体、酵母及び水を混合し、発酵させた後に焼成する米粉パンの製造方法とする。米粉は、インディカ米粉、乳白米粉の少なくとも1種10〜100重量部と完全粒米粉90重量部以下を含むものであることが好ましい。なし
目的
そこで、本発明の目的は、もち米の用途を拡大して米の消費量を増やすとともに、従来にはない新規な食品を製造することのできる米粉組成物、当該組成物を用いて製造された生地および食品、ならびに当該食品の製造方法を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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技術分野
0001
本発明は、パン・菓子用もち米粉組成物、もち米粉パン・菓子およびその製造方法に関する。より詳細には、白玉粉等を主成分とするもち米粉組成物、当該組成物を用いて製造された発酵生地または生地およびパン・菓子、ならびに当該パン・菓子の製造方法に関するものである。
背景技術
0002
通常、発酵パンの主原料として利用されているのは、小麦粉またはライ麦粉であり、小麦パンはふっくら膨らんだ食感が好まれている。小麦粉は、水を加えて練り合わせると、小麦粉中のタンパク質のグリアジンとグルテニンによってガム状の粘弾性を有するグルテンになり、発酵で生じる炭酸ガスを生地中に包蔵する機能が発揮され、発酵パンの容積拡大につながることが知られている。
0003
一方、東南アジア諸国では米が伝統的に主食として用いられているが、日本では米の消費量が年々低下しており、自給率の高い米を消費して食糧自給率を上げることが望まれている。また、将来予測される食料不足の問題を解決するため、小麦に比べて単位面積当たりの収量が多く、栄養学的にもすぐれたバランス食品である米を、その用途を拡大したり消費量を増加させることも望まれている。
0004
日本で栽培されている米は、大別すると粳米ともち米の2種類がある。このうち、発酵パンの主原料として、粳米の米粉を小麦粉の代替として利用する方法が提案されている。しかし、従来から和菓子の材料として用いられている上新粉等を小麦粉の代替として用いても小麦粉の場合のようには発酵生地が得られず、食味に劣るパンしか得られなかった。そこで、粳米の米粉を小麦粉の代替として利用するためには、例えば、特許文献1には、ロール製粉機で粗粉砕した後、気流粉砕機で微粉砕して200メッシュの篩を通過する区分を90%以上にした米粉を製造する方法、特許文献2には、ペクチナーゼを溶解した水溶液に米を浸漬処理した後、脱水、製粉、仮焼する方法、あるいは、特許文献3には、有機酸水溶液(ペクチナーゼを含んでもよい)に米を浸漬した後、脱水、製粉する方法などが開示されている(特許文献1〜3を参照)。このように、粳米は、積極的に用途を拡大する試みがなされているのが現状である。一方、もち米は、餅、団子、赤飯、ぎゅうひ、あられ等の食品に加工されているが、その用途は限られていた。
0005
特公平4−73979号公報
特公平7−100002号公報
特開2002−153215号公報
発明が解決しようとする課題
0006
そこで、本発明の目的は、もち米の用途を拡大して米の消費量を増やすとともに、従来にはない新規な食品を製造することのできる米粉組成物、当該組成物を用いて製造された生地および食品、ならびに当該食品の製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0007
本発明者は、上記目的を達成すべく、従来パンや洋菓子の主原料には不向きであると信じられていた白玉粉等のもち米粉を用いて、配合する副原料および配合割合について鋭意研究したところ、意外にも以下の構成を有するもち米粉組成物を用いることにより新規な食品を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
0008
即ち、本発明のパン・菓子用もち米粉組成物は、もち米粉80〜85重量部とグルテン20〜15重量部とからなる穀粉100重量部と、マルトース1.5〜3重量部と,砂糖6重量部以上を含み、前記もち米粉が胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉または高速回転打撃製粉により得られたものであることを特徴とする。
0009
前記もち米粉は、石臼製粉により得られたものであることが好ましく、前記石臼製粉は水挽き製粉であることが好ましい。
0010
前記もち米粉組成物は、さらに白糠1〜30重量部を含むことが好ましい。
0012
本発明の発酵生地は、前記もち米粉組成物に酵母を作用させてなることを特徴とする。
0013
本発明の生地は、前記もち米粉組成物に液体を加えてなることを特徴とする。
0014
本発明のもち米粉を主原料とするパン・菓子の製造方法は、前記もち米粉組成物に水および酵母を加えて混合し、発酵させて発酵生地を作る工程、および発酵生地を成形して焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱または加圧加熱により調理する工程を含むことを特徴とする。
0015
本発明のもち米粉を主原料とするパン・菓子の製造方法は、前記もち米粉組成物に液体を加えて混合し、生地を作る工程、および生地を成形して焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱または加圧加熱により調理する工程を含むことを特徴とする。
0016
本発明のもち米粉パン・菓子は、前記方法により得られることを特徴とする。
0017
前記もち米粉パン・菓子は、コッペパン、バターロール、揚げパン、菓子パン、フランスパン、ドイツパン、ベーグル、デニッシュパン、中華饅頭、イーストドーナツ、プレッツェル、ピザもしくはナン、またはケーキ、パイ、スコーン、マフィンもしくはシュークリームであることが好ましい。
0018
[作用効果]
本発明のもち米粉組成物によると、従来の製粉方法により得られるもち米粉を、従来の小麦粉パン・菓子の製造工程と同様の工程でもち米粉パン・菓子を製造するための原料を提供することができる。前記もち米粉組成物に種々の副原材料を配合することにより、様々な種類のパン・菓子の製造に便利な原料を提供することができる。
0019
本発明の発酵生地または生地によると、時間と手間のかかる生地を作る工程を省略することができるとともに所望の時間に品質のばらつきの少ないパン・菓子を製造することができ、一定の品質で出来立てのパン・菓子を各地の消費者に提供することができる。また、本発明の発酵生地または生地は、長期の冷蔵または冷凍保存でも品質が劣化しにくく、一定期間中は一定の品質のパン・菓子を提供することができる。
0020
本発明のもち米粉パン・菓子の製造方法によると、本発明のもち米粉組成物または生地を使用することにより、既存の設備を利用して小麦粉パン・菓子と同等以上の外観、内相、食味および日持ちに優れたもち米粉パン・菓子を製造することができる。また、本発明の製造方法は、本発明のもち米粉組成物を使用することにより、発酵工程が周囲の温度に大きく依存して熟練を要する小麦粉の場合と比較して、発酵時間が短縮されるので所要時間が半減するとともに、周囲の温度に影響されにくく、発酵時間を制御するだけで容易にもち米粉パン・菓子を製造することができる。
0021
本発明のもち米粉パン・菓子は、小麦粉パン・菓子とは異質の効果、すなわち原料のもち米の特徴である粘り感やのどごしの良さがあり、食べると餅のように伸びて未経験の食感もある。さらに、本発明のもち米粉パン・菓子は、日持ちがよく、食味も落ちにくいので、流通経路を拡大することができ、米の消費拡大ばかりでなくパン・菓子全体の消費拡大にもつながる。
発明を実施するための最良の形態
0022
本発明のパン・菓子用もち米粉組成物は、もち米粉80〜85重量部とグルテン20〜15重量部とからなる穀粉100重量部と、マルトース1.5〜3重量部と,砂糖6重量部以上を含み、前記もち米粉が胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉または高速回転打撃製粉により得られたものであることを特徴とする。
0023
本発明で用いられるもち米粉は、もち米の生米を粉砕、粉末化したものである。もち米は、粳米とは異なり、でんぷんとしてアミロースをほとんど含まずアミロペクチンを構成成分とするものである。粉砕する前の生米は、精白米、玄米、屑米、古米など特に制限されるものではないが、精白米が好ましい。
0024
前記もち米粉は、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉等の従来からの製粉方法により得られたものである。なかでも、もち米粉の品質の点から石臼製粉で得られたもち米粉が好ましい。
0026
製粉装置としては、例えば胴搗き製粉の場合は杵やスタンプミル、ロール製粉の場合はロール製粉機、石臼製粉の場合は各種石臼、気流粉砕製粉の場合は気流粉砕機、高速回転打撃製粉の場合はハンマーミルがあげられる。石臼製粉は、各種石臼を用いて乾式製粉または水挽き製粉(湿式製粉)を行うが、もち米粉の品質の点から、水挽き製粉が好ましい。
0027
このようにして得られるもち米粉としては、従来から和菓子の原料として用いられている白玉粉やぎゅうひ粉と称されるものが例示されるが、前記製粉方法により得られるもち米粉であれば特に制限されない。
0028
前記もち米粉の水分率は、通常7〜15%であり、11〜12%が好ましい。水分率は、加熱乾燥法によりもち米粉を常圧下100℃で乾燥させ、恒量に達した後乾燥前後の重量を測定し、下記式:
(乾燥前の重量−乾燥後の重量)÷乾燥前の重量×100
により求める。水分率が前記範囲であればもち米粉の固まりが生じにくく、本発明の生地を作製する際の作業性に優れる。
0029
本発明で用いられるグルテンは、活性グルテンが望ましい。
0030
本発明における穀粉は、前記もち米粉とグルテンとからなり、その割合は、製造するパン・菓子の種類により、もち米粉80〜85重量部とグルテン20〜15重量部、即ち、もち米粉とグルテンとの重量比が80:20〜85:15となるように混合して得られる。最も好ましい膨らみをもつ生地を得るためには、好ましくはもち米粉85重量部に対してグルテン15重量部である。
0031
本発明で用いられるマルトースは、前記もち米粉とグルテンのなじみをよくするために配合されるものであり、マルトースの割合は、穀粉100重量部に対して1〜30重量部であり、1.5〜3重量部が好ましい。
0032
前記もち米粉組成物には、さらに白糠を含むことが好ましい。
0033
本発明で用いられる白糠は、日本酒の原料となる「酒米」を搗精するときに得られる糠のうち、玄米の外皮部分の糠(赤糠)を除いたものをいう。前記白糠としては、搗精率10%〜15%程度の中糠、搗精率15%〜25%程度の上白粉または搗精率25%以上の極上糠があげられる。これらを単独であるいは任意の割合で混合したものを用いることができる。ここで、搗精率とは、(玄米重量−搗精後の米重量)÷玄米重量×100で求めた数字である。
0034
白糠の割合は、穀粉100重量部に対して1〜30重量部であり、5〜20重量部が好ましく、7.5〜15重量部がより好ましい。もち米粉組成物が白糠を前記範囲で含むことにより、生地を作製する際の作業性や機械適性がさらによくなる。
0035
本発明のもち米粉組成物には、製造するパン・菓子の種類によって必要に応じ、マルトースを除く糖類、食塩、ガム質、乳成分、卵成分、油脂、無機塩類およびビタミン類からなる群より選ばれる1種または2種以上をさらに配合することが好ましい。
0042
前記無機塩類としては、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、焼成カルシウム、アンモニウムミョウバン等があげられる。
0045
もち米粉組成物中におけるこれら原料の含有量は、パン・菓子の種類に応じて適宜設定することができる。
0046
本発明のもち米粉組成物は、プレミックス粉として業務用または家庭用に供され、工業的または家庭的にもち米粉パン・菓子の(発酵)生地を好適に作ることができる。また、前記生地を調理して、もち米粉パン・菓子を好適に作ることができる。
0047
本発明の発酵生地は、前記もち米粉組成物に水および酵母を加え、所望によりその他の原料を加え、混合し、所定の時間発酵させることにより得られる。加える水は特に制限されるものではなく、牛乳などの液体であってもよい。
0048
前記加水量は、水分率が11〜12%のもち米粉を用いた場合、穀粉100重量部に対して85〜97重量部である。加水量が85重量部未満であると製造したパン・菓子が粉っぽくなり、97重量部を越えると生地が粥状になり、作業性、機械適性に劣るようになる。なお、生地に牛乳や卵等の液体成分を混合する場合は、前記加水量にこれらの液体成分中の水分も加える。
0049
前記穀粉100重量部に対してさらに白糠を加える場合、白糠10重量部当たり6〜7重量部の水を追加する。
0050
前記酵母は、パンや菓子の製造に通常用いられているサッカロミセス・セレビシエのパン酵母が制限なく用いられ、生酵母が好ましい。その他の原料は、前記もち米粉組成物に加えるもの(例えば、卵、油脂など)を組成物中に配合せずに生地の製造直前に加えてもよい。
0051
混合条件は、市販のミキサーを用い、製造するパン・菓子の種類に応じて当業者であれば適宜設定することができる。同様に、捏ね上げ温度および発酵時間も、当業者であれば適宜設定することができるが、捏ね上げ温度は23〜27℃が好ましく、第1発酵時間(フロアータイム)は30〜50分が好ましい。捏ね上げ温度が前記範囲を大きく逸脱しない限り、フロアータイムを前記範囲に制御するだけで良好な第1発酵状態が得られる。次に、ベンチタイムを15〜20分設けることが好ましい。
0052
本発明の生地は、前記もち米粉組成物に液体を加え、所望によりその他の原料を加え、混合することにより得られる。加える液体およびその他の原料は、前記発酵生地の場合と同様である。混合条件は、製造するパン・菓子の種類に応じて当業者であれば適宜設定することができる。目的に応じて、適宜生地をねかせてもよい。
0054
本発明のもち米粉パン・菓子の製造方法は、前記発酵生地を成形して焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱または加圧加熱により調理する工程を含む。発酵生地は、成形した後調理する前に、ホイロタイムを設けることが好ましい。
0055
前記工程のなかで、フロアータイムおよびホイロタイムは、良好な発酵状態が得られるためにはそれぞれ30分以上が好ましく、40〜50分がより好ましい。本発明のもち米粉組成物を用いた場合、ベンチタイム(15〜20分)も含めた全製造工程の所要時間が約120〜150分で外観、内相、食味に優れた高品質のもち米粉パンに仕上げることができる。これは、小麦粉を用いたパン製造の所要時間の約半分の時間であり、本発明の製造方法は、作業性の点からも優れた方法である。
0056
また、本発明のもち米粉パン・菓子の製造方法は、前記生地を成形して焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱または加圧加熱により調理する工程を含む。
0057
発酵生地または生地を調理する方法は、焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱または加圧加熱などの公知の方法が適宜採用できる。焼成方法としては、例えば、上面及び/又は下面から加熱するオーブン、または、前もって加熱された炉面などに直接接触させて加熱するなどの方法を用いることができる。フライ方法としては、例えば、食用油を使って加熱する調理法、いわゆる妙める、揚げるなどの方法を用いることができる。蒸煮方法としては、例えば、火炎上で加熱することにより蒸気を発生させて加熱する蒸し器、または、ボイラーを用いて予め作られた蒸気を容器内に送り込んで加熱するなどの方法を用いることができる。マイクロ波による方法としては、例えば、マイクロ波を発生、照射することのできる機能を備えた機器、装置を用いて加熱するなどの方法を用いることができる。加圧加熱方法としては、例えば、高温高圧条件で加熱することのできる圧力鍋、装置を用いて加圧加熱する方法を用いることができる。
0058
前記発酵生地または生地を成形する際に、アン、カレー、各種惣菜などの具材料を包み込んでアンパン、カレーパン、惣菜パンや中華饅頭等に仕上げることも有利に実施できる。あるいは、生地を加熱した後に生クリーム、カスタードクリーム等を加えることにより、ケーキ、シュークリーム等に仕上げることも可能である。
0059
本発明の製造方法により得られたもち米粉パン・菓子は、コッペパン、バターロール、揚げパン、菓子パン、フランスパン、ドイツパン、ベーグル、デニッシュパン、中華饅頭、イーストドーナツ、プレッツェル、ピザもしくはナン等の発酵により得られるパン・菓子、またはケーキ、パイ、スコーン、マフィンもしくはシュークリームなどの発酵せずに得られるパン・菓子など多種多様に及ぶが、本発明のもち米粉組成物を用いて、本発明の製造方法により得られるものであればこれらに限定されるものではない。
0060
このようにして得られたもち米粉パン・菓子は、日持ちがよく、冷蔵または冷凍保存することも容易であり、必要に応じて加温、解凍して喫食し、その食味を楽しむことも有利に実施できる。
0061
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
(実施例1)
もち米粉コッペパンの製造
白玉粉(水分率14%、水挽き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、砂糖6重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳3重量部およびイーストフード0.1重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3重量部および水88重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
0062
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は80gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、成形を行った。成形した生地の一部は、−20℃で冷凍保存した。
0063
成形した生地を38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、もち米粉コッペパンを得た。
0064
(比較例1)
小麦粉コッペパンの製造
実施例1において、白玉粉85重量部、小麦グルテン15重量部およびマルトース2.5重量部の代わりに小麦粉102.5重量部用い、水を68重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、生地を作製した。
0065
次いで、これをフロアータイムとして120分間発酵させた。生地は80gに分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、成形を行った。成形した生地の一部は、−20℃で冷凍保存した。
0066
成形した生地を38℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、小麦粉コッペパンを得た。
0067
(評価試験1)
実施例1で得られたもち米粉コッペパンおよび比較例1で得られた小麦粉コッペパンの外観、内相および食味について7人のパネラーによる官能試験を行い、以下の項目について評価した。
評価項目:(1)外観については,へこみ,膨らみ,色調
(2)内相については,切り口のきめ,色調,食感
(3)食味については,味,香を中心とした風味,口当たりを中心とした食感
もち米粉コッペパンは、膨らみ、色調が小麦粉コッペパンと同等に良好である上、小麦粉コッペパンに見られるような焼成後のへこみがなかった。もち米粉コッペパンの内相は、きめ、色調および触感も程良く、小麦粉コッペパンと遜色のないものであった。もち米粉コッペパンの食味は、食べると餅のように伸びて未経験の食感であり、もち米粉のほのかな香りもあり、小麦粉コッペパンと同等かそれ以上の評価が得られた。
0068
(評価試験2)
コッペパンの冷凍による食味の影響
実施例1で得られたもち米粉コッペパンおよび比較例1で得られた小麦粉コッペパンを−20℃で冷凍保存し、30日後に室温で解凍した。実施例1または比較例1と同様にして、ホイロタイムをとり、オーブンにて焼成し、もち米粉コッペパンまたは小麦粉コッペパンを得た。得られたコッペパンの食味について7名のパネラーにより官能試験を行ったところ、もち米粉コッペパンは冷凍後もしっとりとして食味がほとんど変化しなかったのに対し、小麦粉コッペパンはぱさつき、冷凍による食味の低下が感じられた。
0069
(実施例2)
白糠含有もち米粉コッペパンの製造
白玉粉(水分率14%、水挽き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.2重量部、砂糖6.6重量部、食塩2.2重量部、脱脂粉乳3.3重量部およびイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.3重量部および水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6.6重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
0070
前記生地を、実施例1と同様に発酵、成形および焼成を行い、白糠含有もち米粉コッペパンを得た。
0071
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程およびホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったコッペパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、餅のような食感であった。また、本実施例のコッペパンは、実施例1のコッペパンと比べて白糠に由来する甘味の食味も感じた。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
0072
(実施例3)
もち米粉アンパンの製造
白玉粉(水分率14%、水挽き製粉により製造されたもの)82重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)18重量部、マルトース2.5重量部、砂糖6重量部、食塩2重量部および脱脂粉乳5重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)2.5重量部および水97重量部をミキサーを用い、27℃で、低速3分、中速3分で混捏し、一時停止してマーガリン7重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
0073
次いで、これをフロアータイムとして30分間発酵させた。生地は20gに分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、胡麻あん種を入れて成形を行い、38℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火180℃、下火200℃のオーブンにて7分間焼成し、もち米粉アンパンを調製した。
0074
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程およびホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったアンパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、餅のような食感であった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
0075
(実施例4)
もち米粉バターロールの製造
白玉粉(水分率14%、水挽き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.4重量部、砂糖14.4重量部、食塩2.04重量部、脱脂粉乳3.3重量部およびイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.6重量部、全卵18重量部、牛乳24重量部および水46重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速4分で混捏し、一時停止して無塩バター14.4重量部を加えた後、更に中速で4分間混捏し、生地を作製した。
0076
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は40gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、ロールパンに成形を行い、38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火220℃、下火200℃のオーブンにて10分間焼成し、ロールパンを調製した。
0077
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程およびホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったロールパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、餅のような食感であった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
0078
(実施例5)
もち米粉デニッシュパンの製造
白玉粉(水分率14%、水挽き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.4重量部、砂糖12重量部、食塩2.5重量部、脱脂粉乳4.8重量部およびイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)4.8重量部、および水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速4分で混捏し、一時停止して無塩バター6重量部を加えた後、更に中速で2分間混捏し、生地を作製した。
0079
次いで、これをフロアータイムとして20分間発酵させた。生地は238gに分割してシート状にし、−10℃で30分間ねかせた。次いで、シートの三折りを2回行い、さらに−10℃で30分間ねかせ、三折りをさらに1回行った。次いで、生地を厚さ3mmにのし、細三角形に切って成形を行い、30℃、加湿なしのホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて13分間焼成し、もち米粉デニッシュの一種もち米粉クロワッサンを調製した。
0080
クロワッサン生地製造時の生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べて製造時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張も小麦粉を使用した場合と同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったクロワッサンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、餅のような食感であった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のもち米粉クロワッサンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性も良かった。
0081
(実施例6)
もち米粉カレーパンの製造
白玉粉(水分率14%、水挽き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.4重量部、砂糖6重量部、食塩2.4重量部、脱脂粉乳3.6重量部、ベーキングパウダー2.16重量部およびイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.6重量部および水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6.6重量部を加えた後、更に中速で2分間混捏し、生地を作製した。
0082
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は40gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、カレー種を入れて成形を行い、38℃、湿度75%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火170℃、下火200℃のオーブンにて8分間焼成した後、170℃の油で揚げ、もち米粉カレーパンを調製した。
0083
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程およびホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったもち米粉カレーパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、餅のような食感であった。