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技術 リンパ浮腫治療用素材、リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材、及びこれらの素材から構成される医療用物品

出願人 セラスメディコ株式会社
発明者 宗像靖彦吉田一晴
出願日 2007年3月8日 (13年8ヶ月経過) 出願番号 2007-058513
公開日 2008年9月25日 (12年1ヶ月経過) 公開番号 2008-223149
状態 未査定
技術分野 職業用、工業用またはスポーツ用保護衣 包帯、被覆用品 不織物
主要キーワード カバー生地 予備酸化処理 くぼむ 無圧状態 長期間経過後 摩擦強度 高圧水蒸気処理 押圧部位
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

リンパ浮腫治療用素材及び治療用物品を提供することを目的とする

解決手段

本発明のリンパ浮腫用素材及び治療用物品は、植物性炭素繊維を有効成分として含むことを特徴とする。

概要

背景

リンパ浮腫は、リンパ系循環不全により皮下組織に過剰なリンパ液蓄積することにより生じる疾患である。具体的に、リンパ浮腫では、リンパ管閉塞破壊機能欠損等が生じ、リンパ液の輸送能力が低下して皮下組織が腫脹(むくみ)を生じる。このようなリンパ浮腫は、発生要因に応じ、原発性リンパ浮腫と続発性リンパ浮腫とに大別される。原発性リンパ浮腫は、例えば、先天的リンパ管形成不全が発生し、リンパ液の輸送が減少してリンパ液が貯留することにより生じる。

一方、続発性リンパ浮腫の要因としては、例えば、1)癌、特に、子宮癌乳癌等に関連した要因、2)感染、3)炎症、4)外傷が挙げられる。特に、近年では癌患者の増加に伴い、癌治療の為に行ったリンパ節郭清手術放射線療法によってリンパ管が障害を受け、これが要因となりリンパ浮腫を生じる事例が増加している。この場合、リンパ浮腫の発症は癌治療を受けてから短期間での発症に限られず、5年以上といった長期間経過後に発症することもある。

リンパ浮腫では、症状の進行に伴い皮下組織の線維化が生じるとともに、時間経過に伴って、浮腫の大きさや硬さだけでなく皮膚自体に変化が生じる。具体的には、リンパ浮腫はその進行によって重症度分類されている。国際リンパ学会によるリンパ浮腫の臨床分類によれば、浮腫(言い換えると、「むくみ」、「腫脹」)の状態に応じて、軽度である「重症度1」から重度である「重症度3」まで分類される。以下に、重症度の分類をまとめる。なお、「患肢拳上」とは、患部である四肢心臓より高位置に保つことである。
「重症度1」:線維化が全くない又はごく少量、圧迫によりくぼむ、患肢拳上により軽減する。
「重症度2」:臨床的組織の線維化を認める、圧迫によりくぼまない、患肢拳上でも軽減しない。
「重症度3」:重症度2に象皮症(もしくは象皮症のような)変化を伴う。

浮腫(腫脹)の評価方法としては、周径測定が一般的であり、その他の方法としては、超音波検査、CTやMRIによる方法、RIリンパ管造影を行う方法がある。
具体的なリンパ浮腫の症状としては、腫脹(むくみ)、重苦しさ、緊満感、倦怠感、患部四肢の萎縮筋肉締め付けや神経の圧迫による痛み等、心身両面の苦痛が挙げられる。そして、さらに症状が進行すると、運動障害知覚障害、疼痛等を生じることがある。また、腫脹により手や足の指が密着して擦れて傷つきやすくなることから、リンパ浮腫の患部は細菌や真菌の感染を誘発しやすく、皮膚が炎症を起こしやすい。特に、炎症が進んで線維化が進行すると、蜂窩織炎等の急性炎症性変化を生じることがある(以上、例えば、非特許文献1参照)。

症状が軽度のうちに早期に適切な処置を施して症状の進行を阻止・遅延する必要があるにもかかわらず、初期段階のリンパ浮腫は痛みがほぼなく、また、リンパ浮腫に関する情報が少ないといったことから、積極的対応や適切な処置が行われないことが多く、その結果、症状が進行して深刻な状態を生じることがある。また、リンパ浮腫についてはこれまで有効な治療薬がなく、薬物療法により根治的療法を望むことができない。例えば、リンパ浮腫の薬物療法として利尿薬が使用されることがあるが、疾患の要因が水分ではなくリンパ液の排出障害であるため、治療効果は奏されない。

薬物以外の治療方法として、例えば、手術により浮腫体液を患部から除去する外科的療法(リンパ管細静脈吻合術等)や、経皮的電気神経刺激法が挙げられる。しかしながら、これらの方法では患者への負担が大きいとともに、十分な効果を奏することが困難である。一方、症状の改善緩和に有効な方法として、リンパドレナージ法、圧迫法、運動療法、及びスキンケアが挙げられる。リンパ浮腫では、これらの療法を患者の状態に応じて適宜組み合わせて複合理学療法を行うのが一般的である。(以上、例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照。)
リンパドレナージ法は、患者自身あるいは看護師等の専門家がリンパ系に沿ってマッサージを行い、表皮刺激を与えることでリンパ液の排出を促進させる手技である。リンパドレナージにより、表皮のリンパ管から深部のリンパ管へのリンパ液の流れの増加が図られ、静脈系がリンパ液を再吸収可能となる。それにより、リンパ液を流せるチャネル確立が促される。

圧迫法は、患部領域外圧を加えて当該領域の大きさを維持する(言い換えれば、浮腫を小さい状態に維持する)とともに、圧迫に伴うマッサージ作用により筋肉に働きかけ、リンパ液及び静脈ポンプ機能を改善あるいは静脈内の局所血液量を減らして静脈内の流速向上を図り流体流量の増加を図る方法である。具体的には、患部領域を適切な圧力で圧迫するよう構成されたスリーブストッキングサポータ包帯肌着等の装着具を使用する。これら装着具については、患部に加える圧の調節法、着脱容易性装着感使用感の改善等に関し、種々の研究開発がなされている(例えば、特許文献1〜5参照)。

運動療法は、運動により筋肉を引き締めることで心拍及び呼吸を増加させ、それにより、血液及びリンパ還流を促進させるものである。特に、圧迫法を施した状態で適度な運動を行うと効果が増進されるので好ましく、例えば、圧迫包帯をして階段昇降サイクリング等の運動を行うことが有効である。

スキンケアは、様々な皮膚の問題を生じやすいリンパ浮腫の治療において、皮膚の潤いを保持し皮膚を健康な状態に維持することにより急性炎症性変化の発生や感染症の発生を抑える点で有効である。例えば、腫脹した手(又は足)の指は、互いに擦れ易く擦傷が生じやすく、このような状態を放置しておくと細菌や真菌の感染が誘発されやすい。この場合に、クリーム軟膏等によりスキンケアを行っていれば、感染を防止することが可能となる。
「月刊ナーシングVol.25 No.2 2005.2」(佐々木知美 著)
「リンパ浮腫 適切なケアの知識と技術」(中央法規出版:委羽倭文子ら監訳)
特許第3609341号公報
実用新案登録第3118611号公報
特開2005−232664号公報
特表2005−536650号公報
特表平11−501828号公報

概要

リンパ浮腫治療用素材及び治療用物品を提供することを目的とする本発明のリンパ浮腫用素材及び治療用物品は、植物性炭素繊維を有効成分として含むことを特徴とする。なし

目的

以上のように、リンパ浮腫では、治療に有効な薬剤がなく、また、これまで最も有効である複合理学的療法を鑑みても利便性等に問題があることから、更なる有効な治療法の確立が望まれる。そこで、本発明は、副作用がなく安全・簡便かつ有効にリンパ浮腫の症状を改善することが可能な新規のリンパ浮腫治療用素材及び治療用物品を提供することを目的とし、ひいては、リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材、当該循環不全に起因する疾患の治療及び予防用素材ならびに物品を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

植物性炭素繊維を有効成分として含むことを特徴とする、リンパ浮腫治療用素材

請求項2

前記植物性炭素繊維が綿花原料とするものである、請求項1記載の素材

請求項3

リンパ浮腫症状改善に用いられるリンパ浮腫治療用物品であって、請求項1又は2記載の素材から構成されることを特徴とする、リンパ浮腫治療用物品。

請求項4

少なくとも患部上流リンパ経路に位置する当該患部の周辺領域に、直接又は間接的に、1日当たり6時間以上接触させて使用する、請求項3記載の物品

請求項5

スリーブストッキング肌着サポータ包帯医療用クロスブランケット及び寝具から選ばれるいずれか一つの形態を有する、請求項3又は4記載の物品。

請求項6

植物性炭素繊維を有効成分として含むことを特徴とする、リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材

請求項7

請求項6記載の素材から構成され、リンパ流及び/又は静脈流の循環不全に起因する疾患の治療及び予防に用いられる、医療用素材。

請求項8

リンパ流及び/又は静脈流の循環不全に起因する疾患の治療及び予防に用いられる医療用物品であって、請求項7記載の素材から構成されることを特徴とする、医療用物品。

技術分野

0001

本発明は、リンパ浮腫治療用素材リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材、及びこれら素材を用いて構成される医療用物品に関する。

背景技術

0002

リンパ浮腫は、リンパ系循環不全により皮下組織に過剰なリンパ液蓄積することにより生じる疾患である。具体的に、リンパ浮腫では、リンパ管閉塞破壊機能欠損等が生じ、リンパ液の輸送能力が低下して皮下組織が腫脹(むくみ)を生じる。このようなリンパ浮腫は、発生要因に応じ、原発性リンパ浮腫と続発性リンパ浮腫とに大別される。原発性リンパ浮腫は、例えば、先天的リンパ管形成不全が発生し、リンパ液の輸送が減少してリンパ液が貯留することにより生じる。

0003

一方、続発性リンパ浮腫の要因としては、例えば、1)癌、特に、子宮癌乳癌等に関連した要因、2)感染、3)炎症、4)外傷が挙げられる。特に、近年では癌患者の増加に伴い、癌治療の為に行ったリンパ節郭清手術放射線療法によってリンパ管が障害を受け、これが要因となりリンパ浮腫を生じる事例が増加している。この場合、リンパ浮腫の発症は癌治療を受けてから短期間での発症に限られず、5年以上といった長期間経過後に発症することもある。

0004

リンパ浮腫では、症状の進行に伴い皮下組織の線維化が生じるとともに、時間経過に伴って、浮腫の大きさや硬さだけでなく皮膚自体に変化が生じる。具体的には、リンパ浮腫はその進行によって重症度分類されている。国際リンパ学会によるリンパ浮腫の臨床分類によれば、浮腫(言い換えると、「むくみ」、「腫脹」)の状態に応じて、軽度である「重症度1」から重度である「重症度3」まで分類される。以下に、重症度の分類をまとめる。なお、「患肢拳上」とは、患部である四肢心臓より高位置に保つことである。
「重症度1」:線維化が全くない又はごく少量、圧迫によりくぼむ、患肢拳上により軽減する。
「重症度2」:臨床的組織の線維化を認める、圧迫によりくぼまない、患肢拳上でも軽減しない。
「重症度3」:重症度2に象皮症(もしくは象皮症のような)変化を伴う。

0005

浮腫(腫脹)の評価方法としては、周径測定が一般的であり、その他の方法としては、超音波検査、CTやMRIによる方法、RIリンパ管造影を行う方法がある。
具体的なリンパ浮腫の症状としては、腫脹(むくみ)、重苦しさ、緊満感、倦怠感、患部四肢の萎縮筋肉締め付けや神経の圧迫による痛み等、心身両面の苦痛が挙げられる。そして、さらに症状が進行すると、運動障害知覚障害、疼痛等を生じることがある。また、腫脹により手や足の指が密着して擦れて傷つきやすくなることから、リンパ浮腫の患部は細菌や真菌の感染を誘発しやすく、皮膚が炎症を起こしやすい。特に、炎症が進んで線維化が進行すると、蜂窩織炎等の急性炎症性変化を生じることがある(以上、例えば、非特許文献1参照)。

0006

症状が軽度のうちに早期に適切な処置を施して症状の進行を阻止・遅延する必要があるにもかかわらず、初期段階のリンパ浮腫は痛みがほぼなく、また、リンパ浮腫に関する情報が少ないといったことから、積極的対応や適切な処置が行われないことが多く、その結果、症状が進行して深刻な状態を生じることがある。また、リンパ浮腫についてはこれまで有効な治療薬がなく、薬物療法により根治的療法を望むことができない。例えば、リンパ浮腫の薬物療法として利尿薬が使用されることがあるが、疾患の要因が水分ではなくリンパ液の排出障害であるため、治療効果は奏されない。

0007

薬物以外の治療方法として、例えば、手術により浮腫体液を患部から除去する外科的療法(リンパ管細静脈吻合術等)や、経皮的電気神経刺激法が挙げられる。しかしながら、これらの方法では患者への負担が大きいとともに、十分な効果を奏することが困難である。一方、症状の改善緩和に有効な方法として、リンパドレナージ法、圧迫法、運動療法、及びスキンケアが挙げられる。リンパ浮腫では、これらの療法を患者の状態に応じて適宜組み合わせて複合理学療法を行うのが一般的である。(以上、例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照。)
リンパドレナージ法は、患者自身あるいは看護師等の専門家がリンパ系に沿ってマッサージを行い、表皮刺激を与えることでリンパ液の排出を促進させる手技である。リンパドレナージにより、表皮のリンパ管から深部のリンパ管へのリンパ液の流れの増加が図られ、静脈系がリンパ液を再吸収可能となる。それにより、リンパ液を流せるチャネル確立が促される。

0008

圧迫法は、患部領域外圧を加えて当該領域の大きさを維持する(言い換えれば、浮腫を小さい状態に維持する)とともに、圧迫に伴うマッサージ作用により筋肉に働きかけ、リンパ液及び静脈のポンプ機能を改善あるいは静脈内の局所血液量を減らして静脈内の流速向上を図り流体流量の増加を図る方法である。具体的には、患部領域を適切な圧力で圧迫するよう構成されたスリーブストッキングサポータ包帯肌着等の装着具を使用する。これら装着具については、患部に加える圧の調節法、着脱容易性装着感使用感の改善等に関し、種々の研究開発がなされている(例えば、特許文献1〜5参照)。

0009

運動療法は、運動により筋肉を引き締めることで心拍及び呼吸を増加させ、それにより、血液及びリンパ還流を促進させるものである。特に、圧迫法を施した状態で適度な運動を行うと効果が増進されるので好ましく、例えば、圧迫包帯をして階段昇降サイクリング等の運動を行うことが有効である。

0010

スキンケアは、様々な皮膚の問題を生じやすいリンパ浮腫の治療において、皮膚の潤いを保持し皮膚を健康な状態に維持することにより急性炎症性変化の発生や感染症の発生を抑える点で有効である。例えば、腫脹した手(又は足)の指は、互いに擦れ易く擦傷が生じやすく、このような状態を放置しておくと細菌や真菌の感染が誘発されやすい。この場合に、クリーム軟膏等によりスキンケアを行っていれば、感染を防止することが可能となる。
「月刊ナーシングVol.25 No.2 2005.2」(佐々木知美 著)
「リンパ浮腫 適切なケアの知識と技術」(中央法規出版:委羽倭文子ら監訳)
特許第3609341号公報
実用新案登録第3118611号公報
特開2005−232664号公報
特表2005−536650号公報
特表平11−501828号公報

発明が解決しようとする課題

0011

上述のように、リンパ浮腫の治療には、通常、リンパドレナージ法、圧迫法、運動療法、及びスキンケアを組み合わせた複合的な治療が行われる。しかしながら、かかる治療では、各療法がそれぞれ以下のような問題・困難性を有しており、それゆえ、より有効かつ簡便な治療法が望まれる。

0012

具体的に、例えば、リンパドレナージ法は、リンパ系の構造と生理学に準じた適切な手技が重要であり専門的な技術が要求されるとともに、毎日かつ長期的に継続して行う必要がある。この為、当該治療法を患者自身が日常生活の中で継続して実施するにあたっては負担が大きく利便性に問題がある。また、患者が意識的に治療を実施していても、適切な手技が施されないがゆえに十分な効果が奏されない、あるいはかえって悪化することがある。さらに、リンパドレナージは全てのリンパ浮腫患者に適用できるものではなく、急性炎症性変化を伴う患者や静脈血栓症を起こしている患者に対しては適用不可である。また、進行性癌の患者には医師との相談が必要である。

0013

圧迫法では、圧迫包帯等の専用の装着具を患部(腫脹)領域に装着して当該領域に適切な圧力(例えば、5〜60mmHg)を加える必要があるが、この際、腫脹や患者の状態に応じた適切な圧力に調節することは非常に難しい。また、押圧する時間や、患部領域における押圧部位の間隔等も症状改善には重要であるが、これらを最適に設定することは非常に難しい。例えば、不適切な圧力(具体的には、均一及び/又は過剰な圧力)を加えた場合、かえって逆の効果(具体的には、静脈やリンパ管の閉塞、毛細血管漏洩、リンパ液の移動の妨げ等)が生じて症状が悪化する。このように、圧力の精密な制御が困難であることから、圧迫包帯等を装着する場合には、熟練者や医師・看護師に任せる必要がある。

0014

一方、あらかじめ装着部位の形状に合わせて成形加工され所望の圧力に調整可能に構成された圧迫用の装着具(サポータ、スリーブ、ストッキング、肌着等)を用いる場合には、着脱困難性、装着感及び使用感の悪さといった利便性の問題がある。また、適切な圧力に調整すべく装着部位の形状に合わせて設計するため、装着具のコストが高くなるといった問題がある。例えば、一対の圧迫用ストッキング(下)であっても、各足の腫脹に応じた適切な設計のもとで左右別々に製造する為、高価なものとなる。ここで、背景技術において前述したように、圧迫法に用いる装着具については種々の研究開発がなされその成果も出願されているが、圧力の制御や利便性の問題に関して十分な効果を実現するものが確立されていない。

0015

運動療法やスキンケア療法では、リンパドレナージ法や圧迫法のような専門/熟練の知識や技術は必要とはされないが、リンパドレナージ法や圧迫法と組み合わせなければ十分な効果が得られず、これら単独あるいはこれらのみを組み合わせた治療では症状の改善が有効に奏されない。

0016

以上のように、リンパ浮腫では、治療に有効な薬剤がなく、また、これまで最も有効である複合理学的療法を鑑みても利便性等に問題があることから、更なる有効な治療法の確立が望まれる。そこで、本発明は、副作用がなく安全・簡便かつ有効にリンパ浮腫の症状を改善することが可能な新規のリンパ浮腫治療用素材及び治療用物品を提供することを目的とし、ひいては、リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材、当該循環不全に起因する疾患の治療及び予防用素材ならびに物品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0017

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、植物性炭素繊維から構成される素材が優れた浮腫低減効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(請求項1)
植物性炭素繊維を有効成分として含むことを特徴とする、リンパ浮腫治療用素材。
(請求項2)
前記植物性炭素繊維が綿花原料とするものである、請求項1記載の素材。
(請求項3)
リンパ浮腫の症状改善に用いられるリンパ浮腫治療用物品であって、請求項1又は2記載の素材から構成されることを特徴とする、リンパ浮腫治療用物品。
(請求項4)
少なくとも患部上流のリンパ経路に位置する当該患部の周辺領域に、直接又は間接的に、1日当たり6時間以上接触させて使用する、請求項3記載の物品。
(請求項5)
スリーブ、ストッキング、肌着、サポータ、包帯、医療用クロスブランケット及び寝具から選ばれるいずれか一つの形態を有する、請求項3又は4記載の物品。
(請求項6)
植物性炭素繊維を有効成分として含むことを特徴とする、リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材。
(請求項7)
請求項6記載の素材から構成され、リンパ流及び/又は静脈流の循環不全に起因する疾患の治療及び予防に用いられる、医療用素材。
(請求項8)
リンパ流及び/又は静脈流の循環不全に起因する疾患の治療及び予防に用いられる医療用物品であって、請求項7記載の素材から構成されることを特徴とする、医療用物品。

0018

また、本発明のさらなる具体的態様は、
前記植物性炭素繊維が綿花を原料とするものである、請求項1に記載のリンパ浮腫治療用素材、または請求項6に記載のリンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材;
前記植物性炭素繊維は、木酢液及び/又は竹酢液含浸させ乾燥したものである、請求項1に記載のリンパ浮腫治療用素材、または請求項6に記載のリンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材;
である。

発明の効果

0019

本発明に係るリンパ浮腫治療用素材及び当該素材を含んで構成されるリンパ浮腫治療用物品(医療用物品)によれば、副作用を生じず、安全かつ簡便に有効なリンパ浮腫の治療を行うことが可能となる。具体的には、かかる治療により、四肢等の患部において、腫脹の改善、静脈瘤の改善、ならびに静脈うっ滞に伴う皮膚の青紫変色の改善を図ることが可能となる。

0020

特に、本発明に係る素材や物品は、リンパドレナージ法や圧迫法において必要とされる専門的・熟練した手技や特殊な構造・高価な装着具を必要とせず、手軽かつ容易に治療に用いることが可能である。したがって、患者の負担が少なく、継続して使用することが可能である。以上のように、本発明に係るリンパ浮腫治療用素材及び医療用物品は、効果的な薬剤がなく治療が困難とされているリンパ浮腫に対し有用である。

0021

また、本発明の適用はリンパ浮腫に限定されるものではない。リンパ浮腫がリンパ系の循環不全に起因する点に鑑み、リンパ浮腫の症状改善効果から、本発明のリンパ流及び静脈流の循環改善効果導出される。したがって、本発明に係るリンパ流及び/又は静脈流改善用素材、医療用素材及び医療用物品によれば、当該循環不全に起因するリンパ浮腫以外の疾患、例えば、塞栓症血栓症、静脈流不全から生じる四肢の浮腫等の治療及び予防において、副作用を生じず、安全かつ簡便に有効な効果を奏することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0022

以下に本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはない。下記の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。また、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.定義
本明細書において、「治療」、「改善」とは、悪い状態から良い状態にすることはもちろんのこと、そのまま放っておけばさらに悪化する状態を一定レベルに保持したり、あるいは悪化の程度を最小限に止めることも含む意味である。具体的に、例えば「治療」、「症状改善」とは、疾患症状が完全に消失することはもちろん、完全には消失しないものの、以前に比べて低減、後退、進行逆転する場合や、その進行を阻止あるいは遅延させる場合も含む。また、ここでは、このような治療や症状改善効果が一時的である場合と継続的である場合の双方を含める。一方、「予防」とは、疾患の発症が完全に抑えられる場合はもちろんのこと、最小限に抑えるといった完全防止以外の場合も含める。

0023

本発明に係る各種素材及び物品の適用対象は特には限定されない。例えば、哺乳動物への適用が挙げられ、その中でもヒトへの適用が特に有効である。
本発明に係る素材及び物品の適用疾患であるリンパ浮腫は、原発性及び続発性のいずれであってもよく、浮腫発症の要因は特には限定されない。例えば、乳癌、子宮癌、膵癌悪性リウマチ等であってもよい。
2.植物性炭素繊維について
本発明に係る「リンパ浮腫治療用素材」、「リンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材(医療用素材含む)」及びこれら素材を利用した各物品は、植物性炭素繊維を有効成分として含むものである。以下においては、まず、本発明に係る素材及び物品の特徴的構成である植物性炭素繊維について詳述する。

0024

植物性」とは、セルロース系の有機物から構成されたものであることを意図する。植物性炭素繊維は、綿(綿花)、ウバメガシ繊維、竹繊維、その他の天然植物繊維、あるいは材木を原料とし、これらを高温焼成することにより得られる。植物性炭素繊維から構成される本発明の素材や物品では、化学繊維に炭を練り混ぜたものとは異なり均一な組成構造の繊維を形成している為、シート等への加工が容易である。さらに、炭を素材にする通常の製品が有するデメリット、例えば、加工により生じる炭の特徴や作用の低下等を回避することが可能となる。

0025

植物性炭素繊維の分子構造は特に限定されず、例えば、黒鉛質炭素非晶質系炭素、これらの中間的結晶構造を持つ炭素等が挙げられる。また、繊維径は、所望の効果を得られる限り特には限定されないが、例えば、5〜20μm程度、好ましくは7〜15μm程度、より好ましくは7〜11μm程度である。また。トウを形成してもよく、撚糸されていてもよい。撚糸された炭素繊維束の直径は、所望の効果を得られる限り特には限定されないが、例えば、0.05〜10mm程度、好ましくは0.1〜5mm程度である。

0026

植物性炭素繊維について、その製造方法は、当該技術分野で知られる種々の公知技術を用いることができる。例えば、このような植物性炭素繊維の製造方法では、焼成前に、まず予備酸化処理として、原料の植物繊維(具体的には、綿繊維及び竹繊維等)を酸化雰囲気中(例えば、空気中)で加熱することにより不融化処理又は耐炎化処理を行ってもよい。また、原料の植物繊維を硫酸塩酸リン酸及び硝酸等の無機酸の溶液に浸漬した後、不融化処理又は耐炎化処理を行うこともできる。このような酸で処理することにより不融化処理又は耐炎化処理が促進される。その後、適宜適切に不活性ガス雰囲気中で加熱(すなわち焼成)することにより、植物性炭素繊維を製造することができる。

0027

予備酸化処理時の加熱温度は、例えば100〜300℃であり、好ましくは150〜250℃である。また、加熱時間は、例えば0.1〜10時間、好ましくは0.2〜5時間、また好ましくは0.5〜2時間である。

0028

上記焼成時の加熱は、例えば高圧水蒸気処理等を適宜行ってもよい。また、上記焼成時の温度は、150〜1500℃、好ましくは200〜1100℃、またより好ましくは250〜350℃であり、そして、不活性ガスとしては窒素ガス等を用いることができる。焼成時間は、例えば0.1〜10時間、好ましくは0.2〜5時間、また好ましくは0.3〜1時間である。このような炭化及び賦活工程を適宜行うことにより、得られる植物性炭素繊維の一本一本にミクロ単位のポアミクロ細孔)を適宜形成してもよい。

0029

以上のような植物性炭素繊維の製造方法により、有害物質(例えば、焼成中に発生する一酸化炭素)等の不純物が使用時に放出されない、言い換えれば使用者の身体に影響を及ぼすことのない安全な素材が得られる。また、繊維一本ごとに柔軟性を付与することができるので、十分な引張強度摩擦強度を実現することが可能であり、耐久性にも優れる。

0030

また、特開平11−206539号公報及び特開2000−160476号公報に開示されるように、植物性炭素繊維は、木酢液及び竹酢液の少なくともいずれか一方を主成分とする処理液中に浸漬及び加熱処理し、その後に乾燥させることにより製造されることが好ましい。このような処理を施した植物性炭素繊維では、真菌及び細菌に対して優れた抗菌活性が実現される。上記処理液としては、木酢液及び竹酢液をそれぞれ単独で使用してもよく、あるいは、これらを所望の割合で混合して使用してもよい。木酢液及び竹酢液は、原液で用いてもよく、所望の濃度に希釈(例えば2倍希釈程度)して用いてもよい。また、上記処理液は、木酢液及び竹酢液以外の成分、例えば、ヨモギエキス等を含むものであってもよい。

0031

本発明の植物性炭素繊維は、原料の植物繊維を空気中、150〜250℃の温度で加熱することによって予備酸化処理し、その後、窒素雰囲気下、250〜350℃の温度で焼成し、そして木酢液で処理することによって製造されたものであることが好ましい。当該処理液は、炭素繊維を浸漬させる前に加熱しておくことが好ましい。処理液の加熱温度は、90℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは煮沸温度(例えば、120〜150℃)とする。

0032

処理液への浸漬時間は、3〜15秒、好ましくは5〜8秒である。このような浸漬処理により、木酢液及び/又は竹酢液を含む処理液を含浸させた炭素繊維は、蒸留水洗浄した後に乾燥させる。かかる洗浄により、木酢液や竹酢液による独特の臭いを除去することができる。植物性炭素繊維を乾燥させる工程では、温風により乾燥を行ってもよく、あるいは真空中での加熱により乾燥を行ってもよい。温風で乾燥する場合及び真空で加熱乾燥する場合の加熱温度や真空度は、適宜適切に選択される。

0033

以上の方法により製造される植物性炭素繊維によれば、後述の実施例及び図1及び図2に示すように、簡易使用形態及び使用方法により安全性及び利便性(取り扱い性)を充足しつつ、優れたリンパ浮腫の治療効果が奏される。具体的には、腫脹の改善すなわち腫脹周径の低減や腫脹の軟化(押圧してもくぼまない状態からくぼむ状態に改善されること)、静脈瘤の改善、静脈うっ滞に伴う皮膚の青紫変色(以下、単に、「うっ滞」と呼ぶ)の改善といった症状改善効果を奏する。また、リンパ浮腫はリンパ系の排出不全(言い換えれば、リンパ流及び静脈流の循環不全)に起因して生じる点に鑑み、かかる植物性炭素繊維のリンパ流及び/又は静脈流の循環改善効果が導出される。したがって、かかる植物性炭素繊維を含んで構成される本発明の各種素材及びこれらを利用した物品によれば、安全性及び利便性(取り扱い性)を充足しつつ、リンパ流及び/又は静脈流の循環不全に起因する疾患の治療・予防効が図られる。
3.本発明に係るリンパ浮腫治療用素材
次に、本発明に係るリンパ浮腫治療用素材(以下、単に「リンパ浮腫用素材」と呼ぶことがある)について説明する。本発明のリンパ浮腫用素材は、植物性炭素繊維を有効成分として含むものである。かかるリンパ浮腫用素材の一実施態様として、上記植物性炭素繊維から構成された繊維素材が挙げられる。当該繊維素材は、植物性炭素繊維のみから構成されてもよく、また、当該繊維以外の材料を含んで構成されてもよい。例えば、素材の適用部位の形状や動作に適切に対応するよう、適度な伸縮性を有するべく当該繊維素材が植物性炭素繊維以外の繊維を材料を含んでもよい。

0034

例えば、リンパ浮腫用素材に含まれる上記植物性炭素繊維以外の繊維としては、ポリアクリルニトリル系炭素繊維;フェノール樹脂系炭素繊維、フラン系炭素繊維及びポリカルボジイミド系炭素繊維等のガラス状炭素繊維;異方性ピッチ又は合成ピッチ等のピッチ系炭素繊維ポリビニルアルコール系炭素繊維;活性炭繊維;その他のセルロース系炭素繊維などが挙げられ、これらの繊維を適宜組み合わせて構成されてもよい。このように他の材料と組み合わせる場合、その混合比率は、所望する素材の強度、手触り製造効率、コスト等を鑑みて適宜選択される。

0035

本発明のリンパ浮腫用素材の形態は特に限定されず、例えば、織布、不織布、フェルト等のいずれであってもよい。また、加工形状は特に限定されず、例えばシート状であってもよい。シート状に加工する場合、厚さが2〜3mm程度のシートに加工することができ、さらに、植物性炭素繊維からなる基材表裏面を、天然繊維合成繊維等からなる生地により被覆する構成であってもよい。

0036

具体的に、例えば、リンパ浮腫用素材は、シート状に加工された上記植物性炭素繊維からなる基材の炭素繊維シートと、その表裏面に配置されたカバー生地とを有し、キルティング加工が施されて炭素繊維シートがカバー生地間に挟持された構成を有してもよい。炭素繊維シートは、編物状、織物状及び不織布のいずれであってもよいが、例えばこの場合には織物状である。また、カバー生地は、綿等の天然繊維やポリエステル等の合成繊維から構成された任意の生地である。

0037

また、上記においてはキルティング加工が施される場合について説明したが、炭素繊維シートの表裏面にカバー生地が接着ボンディング加工)された構成であってもよい。例えば、炭素繊維シートの表裏面に接着剤により2枚のカバー生地がそれぞれ接着されて構成されてもよい。この場合、例えば、炭素繊維シートは、編物状又は織物状の炭素繊維から構成される。接着剤としては、従来から使用されている熱可塑性接着剤を任意に利用可能であり、ポリアミド樹脂系接着剤等を用いることができる。熱圧着時における接着剤の接着温度は、特に限定されないが、例えばポリアミド樹脂系接着剤の場合は125〜130℃であることが好ましい。また、この場合のカバー生地の素材は、天然繊維や合成繊維等、特に限定されない。例えば、ポリエステルからなる生地であってもよい。

0038

以上の構成を有する本発明に係るリンパ浮腫用素材の使用方法や用途等の詳細については「4.リンパ浮腫治療用物品」において後述するが、かかる本発明の素材は、例えば、患部である腫脹領域及び当該腫脹領域のリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域に対し、一定面積を覆うべく直接的あるいは間接的に接触させて使用する。ここで、間接的とは、例えば衣類等の上に本発明の素材を配置し、布越しに患部の皮膚と接触させる場合に相当する。一方、直接的とは、患部の皮膚表面に直接配置して接触させる場合に相当する。

0039

本発明の素材は、特に、腫脹領域のリンパ経路上流に位置する腫脹周辺のリンパ系に作用するべく、上流の腫脹周辺領域を含むよう接触させることが好ましい。例えば、手の手先に腫脹が生じている場合には、これら患部のリンパ経路上流の部分すなわち手首からにかかる領域、さらに好ましくは上腕も含むよう配置することが好ましい。また、ひざ下から足首までの領域で腫脹が生じている場合には、患部のリンパ経路上流の部分すなわち、ひざ下から足首にかかる領域、さらに好ましくは大腿部も含むよう配置することが好ましい。

0040

また、腫脹領域及び当該腫脹領域のリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域の一部を覆うよう配置されてもよいが、当該領域の外周表面全体を覆うよう配置することが好ましい。当該素材の配置は、局在あるいは連続のいずれであってもよく、また、単層及び多層のいずれであってもよい。

0041

また、上記のように腫脹領域等に直接的・間接的に接触させる使用態様のみならず、例えば、当該素材からシーツベッドパッド等の寝具を構成し、腫脹領域及び当該腫脹領域のリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域を含む広範囲に対し本発明の素材を使用する構成であってもよい。本明細書中では、このような寝具等の使用態様についても、「接触させる使用態様」に含めるものとする。

0042

本発明のリンパ浮腫素材は、使用に際し、腫脹及びその周辺領域の表面に無圧状態で接触させる。リンパ浮腫素材を接触させる時間は長いほど好ましく、接触時間は、1日当たり少なくとも6時間、好ましくは8時間以上、特に好ましくは12時間以上である。また、日中及び夜間のいずれの使用であってもよく、起立時及び仰臥時のいずれであってもよい。例えば、前述の接触時間を鑑み、就寝時に使用することが好ましい。また、治療効果の点から、このような所定時間の使用を継続して行うことが有効である。間欠的使用であっても効果はあるが、リンパ浮腫では保存的治療が有効であることを考慮すると、好ましくは6日以上、特に好ましくは13日以上連続して使用を継続する。

0043

本発明に係るリンパ浮腫用素材の使用により、リンパ浮腫の症状改善、具体的には、四肢等の患部における腫脹の改善、静脈瘤の改善、ならびに静脈うっ滞に伴う皮膚の青紫変色の改善を図ることが可能となり、有効な治療効果が奏される。具体的には、後述の実施例、図1及び図2に示すように、腫脹の周径測定における周径の減少、腫脹の軟化(押圧してもくぼまない状態からくぼむ状態に改善されること)、目視によるうっ滞の解消が挙げられる。なお、ここでの解消とは、完全解消のみならず、完全解消に至らない場合であってうっ滞が薄くなる場合も含む。

0044

本発明の素材は、患部の部位を問わず使用可能である。また、原発性及び続発性のいずれを問わず使用可能であり、特に、続発性リンパ浮腫に対して有効である。また、患部の重症度が1〜3のいずれであっても使用可能であり、特に、重症度1及び重症度2のリンパ浮腫治療において有効である。また、かかる素材は、リンパ浮腫の発症部位についてこのように治療効果を奏する一方、リンパ浮腫を発症していない部位と接触していても、当該部位に何ら障害をもたらすものではない。

0045

また、ここではデータの開示を省略するが、本発明のリンパ浮腫用素材に関し、皮膚における安全性を常法に従い検討したところ、安全性が有意に確認された。以上のことから、本発明に係るリンパ浮腫用素材では、副作用を生じることなく、安全かつ有効なリンパ浮腫治療効果を実現することが可能となる。また、リンパドレナージ法や圧迫法を適用する場合とは異なり、専門的知識や手技の熟練度は要求されず、装着感・使用感、継続使用への負担が少なく良好な利便性(取り扱い性)が実現される。

0046

また、植物性炭素繊維の機能に鑑み、本発明のリンパ浮腫用素材が、細菌及び真菌に対する抗菌作用脱臭作用血流促進作用遠赤外線放射作用等の作用を奏することが期待される。特に、植物性炭素繊維は、細菌及び真菌に対して優れた抗菌性を有することが知られていることから(例えば、特開平11−206539号公報、特開2000−160476号公報及び特願2007−28800号等)、本発明のリンパ浮腫用素材が、細菌や真菌により引き起こされる患部の皮膚の炎症を防止・抑制することができ、感染によるリンパ浮腫のさらなる悪化を防止できると考えられる。さらに、本発明のリンパ浮腫用素材が、血流促進作用や遠赤外線放射作用による、物質代謝の向上並びに水分発散及び老廃物発散等の促進をもたらすことが考えられる。
4.リンパ浮腫治療用物品
本発明に係るリンパ浮腫治療用物品は、植物性炭素繊維を有効成分として含む上記リンパ浮腫用素材から構成されるものである。かかる本発明のリンパ浮腫治療用物品によれば、当該物品を構成するリンパ浮腫用素材によって前述の効果が奏される為、リンパ浮腫に対し有効な治療効果が安全かつ簡便に奏される。

0047

本発明に係るリンパ浮腫治療用物品の形態は、特に限定されない。例えば、本発明のリンパ浮腫治療用物品は、物品の全体又は少なくとも一部分が本発明のリンパ浮腫用素材により構成された繊維製品であってもよい。本発明は、繊維製品のいずれにも適用可能であるが、例えば、スリーブ、ストッキング(靴下含む)、手袋、衣類(肌着や下着を含む)、サポータ、包帯、医療用クロス、シーツやベッドパッド等の寝具、ブランケット等が例示される。ここで、医療用クロスとは、四角形矩形正方形)等の任意の形状を有し、患部及び当該患部のリンパ経路上流に位置する患部周辺領域において接触するよう構成された布である。

0048

上記繊維製品は、所望の用途及び機能に合わせて本発明のリンパ浮腫用素材を最適な形態に加工(具体的には、裁断、縫製、貼付等)することにより得られる。この場合、製品の用途及び機能に合わせ、炭素繊維シートの形状が綿状・編物状・織物状のいずれかから適宜選択されるとともに、前述のキルティング加工やボンディング加工等が適宜施される。また、カバー生地を配置する場合には、カバー生地の構成繊維が天然繊維・合成繊維から適宜選択される。

0049

以下、本発明に係るリンパ浮腫用治療物品の一実施形態として医療用クロスについて説明する。本発明の医療用クロスは、腫脹及びその周辺領域の一部表面あるいは外周表面全体を覆うよう構成された、前述のリンパ浮腫治療用素材からなる布である。その大きさ及び形状は特には限定されず、例えば実施例では、50cm×30cmの四角形状である。このような布を、例えば、腕や脚の腫脹領域及びそのリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域に、単層(一重)あるいは多層(多重)で巻回する。腕や脚を動かした際に布の位置がずれるのを防止あるいは巻回がほどけるのを防止する為、固定テープ固定具(包帯止め)等を医療用クロスに使用してもよい。また、医療用クロス自体に面ファスナーフックファスナー等の留め具が設けられていてもよい。

0050

医療用クロスの使用に際し、例えば、手の甲や手先に腫脹が生じている場合には、これら患部のリンパ経路上流の部分すなわち手首から肘にかかる領域、さらに好ましくは上腕も含むよう医療用クロスで被覆することが好ましい。また、ひざ下から足首までの領域で腫脹が生じている場合には、患部のリンパ経路上流の部分、すなわち、ひざ下から足首にかかる領域、さらに好ましくは大腿部も含むよう医療用クロスで被覆することが好ましい。この時、医療用クロスは、これらの領域に無圧状態で接触させ領域の外周表面全体を被覆する。この時、当該被覆は、皮膚に直接接触であってもよく、あるいは、衣類を介した間接的接触であってもよい。

0051

医療用クロスを接触させる時間は長いほど好ましく、接触時間は、1日当たり少なくとも6時間、好ましくは8時間以上、特に好ましくは12時間以上である。また、日中及び夜間のいずれの使用であってもよく、起立時及び仰臥時のいずれであってもよい。例えば、前述の接触時間を鑑み、就寝時に使用することが好ましい。また、治療効果の点から、このような所定時間の使用を継続して行うことが有効である。間欠的使用であっても効果はあるが、リンパ浮腫では保存的治療が有効であることを考慮すると、6日以上、好ましくは7日以上、特に好ましくは14日以上連続して使用を継続する。

0052

後述の実施例1及び図1に示すように、医療用クロスを日中及び夜間就寝時に12時間かつこれを7日間に渡り使用したところ、腫脹の周径の低減が見られるとともに、腫脹の軟化(押圧してもくぼまない状態からくぼむ状態に改善されること)、うっ滞の改善が見られた。このような効果は、少なくとも使用中止後一週間以上継続して見られた。

0053

本発明の他の実施形態として、ベッドパッドの形態を有する医療用物品であってもよい。本発明に係るベッドパッドは、少なくとも腫脹及びその周辺領域に接触するよう構成され、前述のリンパ浮腫治療用素材からなる。ベッドパッドの大きさ及び形状は特には限定されず、例えば実施例では、100cm×100cmの四角形状である。このようなベッドパッドは、使用時において、患者が仰臥した状態で少なくとも腫脹領域及びそのリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域に間接的あるいは直接的に接触するようベッドに配置される。ここで、間接的とは、例えばシーツの下に当該ベッドパッドを敷く場合に相当し、一方、直接的とは、シーツの上に当該ベッドパッドを敷き、衣服越しあるいは皮膚と直接的に接触させる場合に相当する。

0054

ベッドパッドの使用に際し、例えば手の甲や手先に腫脹が生じている場合には、これら患部のリンパ経路上流の部分すなわち手首から肘にかかる領域、さらに好ましくは上腕も含むようベッドパッドを配置することが好ましい。また、ひざ下から足首までの領域で腫脹が生じている場合には、患部のリンパ経路上流の部分すなわち、ひざ下から足首にかかる領域、さらに好ましくは大腿部も含むようベッドパッドを配置することが好ましい。

0055

ベッドパッドの使用状況については、前述の医療用クロスの場合と同様である。特に、ベッドパッドの場合には、就寝時に使用することができる為、一定時間(好ましくは6時間以上)の使用を負担なく継続して実現することが容易に可能となる。

0056

後述の実施例2及び図2に示すように、ベッドパッドを日中及び夜間就寝時に8時間以上かつこれを14日に渡り使用したところ、顕著な腫脹の周径の低減、腫脹の軟化(押圧してもくぼまない状態からくぼむ状態に改善されること)、うっ滞の改善が見られるとともに、このような効果が少なくとも使用中止後一週間以上継続して見られた。

0057

以上のように、医療用クロスやベッドパッドといった本発明に係るリンパ浮腫治療用物品は、患部の部位を問わず使用可能である。また、原発性及び続発性のいずれを問わず使用可能であり、特に、続発性リンパ浮腫に対して有効である。また、患部の重症度が1〜3のいずれであっても使用可能であり、特に、重症度1及び重症度2のリンパ浮腫治療において有効である。このようなリンパ浮腫治療用物品によれば、副作用を生じることなく、安全かつ簡便に有効な治療効果を実現することが可能となる。このような本発明に係るリンパ浮腫治療用物品は、単独で用いても十分な効果が実現されるが、リンパドレナージ法、圧迫法、運動療法、スキンケア等の従来の方法と併用することも可能である。

0058

また、リンパドレナージ法や圧迫法を適用する場合とは異なり、専門的知識や手技の熟練度した手技等は特には必要がないとともに、装着感・使用感、継続使用への負担が少なく、良好な利便性(取り扱い性)が実現される。

0059

本発明に係るリンパ浮腫治療用物品では、植物性炭素繊維の機能に鑑み、細菌及び真菌に対する抗菌作用、脱臭作用、血流促進作用、遠赤外線放射作用が奏される。それゆえ、リンパ浮腫治療用素材において前述したように、感染症及びそれに伴う浮腫の悪化を防止や、物質代謝の向上、水分発散、老廃物発散等が促進される。
5.本発明に係るリンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材ならびに当該循環の不全に起因する疾患の治療及び予防に用いられる医療用素材及び医療用物品
上記においては本発明をリンパ浮腫に適用する場合について説明したが、本発明は、リンパ浮腫への適用に限定されず、これ以外のリンパ流及び/又は静脈流の循環不全に起因する疾患にも適用可能である。すなわち、リンパ浮腫がリンパ系の循環不全に起因する点に鑑み、本発明の上記のようなリンパ浮腫の症状改善効果から、本発明のリンパ流及び静脈流の循環改善効果が導出される。

0060

したがって、本発明は、リンパ流及び/又は静脈流の循環不全を解消することが可能な素材、すなわち、循環改善用素材や、当該循環不全に起因する疾患の治療及び予防用素材や、これら素材を利用した物品に利用することが可能である。リンパ流及び/又は静脈流循環不全に起因するリンパ浮腫以外の疾患としては、例えば、塞栓症、血栓症、静脈流不全から生じる四肢の浮腫等が挙げられる。

0061

本発明に係るリンパ流及び/又は静脈流の循環改善用素材ならびに当該循環の不全に起因する疾患の治療及び予防に用いられる医療用素材及び医療用物品について、その構成、形態、使用態様は、前述のリンパ浮腫治療用素材及びリンパ浮腫治療用物品と同様である。このような本発明の素材及び物品によれば、副作用を生じることなく、安全かつ簡便に有効な治療及び予防効果を実現することが可能となる

0062

以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1においては、リンパ浮腫患者に対して本発明に係るリンパ浮腫治療用物品である医療用クロスを使用しその効果を調べた。また、実施例2においては、リンパ浮腫患者に対して本発明に係るリンパ浮腫治療用物品であるベッドパッドを使用しその効果を調べた。なお、実施例の試験は、検討対象とする患者に対し試験への参加承諾を取得し、医師により行われたものである。
1.<対象患者
実施例1及び実施例2で試験対象とする患者について、下記の表1にまとめる。なお、重症度は国際リンパ学会によるリンパ浮腫の臨床分類である。

0063

0064

2.<試験試料
試験試料として使用する医療用クロス(実施例1)及びベッドパッド(実施例2)は、ともに本発明に係るリンパ浮腫用素材から構成されるものである。当該リンパ浮腫用素材は、次のようにして作製した。

0065

まず、綿繊維の織布(厚さ0.7mm)を予備酸化処理(空気中、温度200℃、1時間)した後、焼成(窒素雰囲気中、温度300℃、0.5時間)した。焼成後、木酢液に含浸し、蒸留水で洗浄した後、温風で乾燥して炭素繊維シートを得た。次に、その炭素繊維シート、ポリエステルのカバー生地(東レ(株)製、テトニット(登録商標)、厚さ0.4mm)及びポリアミド系接着剤を用いて、炭素繊維シートの表裏面にカバー生地が配置されてなるリンパ浮腫用素材を作製した。そして、実施例1においては、当該素材を50cm×30cmの四角形状に裁断し医療用クロスを作製し、実施例2においては、当該素材を100cm×100cmの四角形状に裁断しベッドパッドを作製した。
3.<試験方法
実施例1では、本発明の医療用クロスを次のように使用した。すなわち、リンパ浮腫の発症部位である腫脹領域及びそのリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域を被覆すべく、医療用クロスを下肢足甲部からふくらはぎを含むひざ下全体の皮膚に単層で巻回し、直接接触させた。かかる接触は、無圧状態での接触とした。このような医療用クロスの使用は、患者の日中及び夜間就寝時に行った。患者の就寝時間は普段の生活習慣を踏襲し、ここでは、日中及び就寝中において、1日当たり少なくとも12時間使用した。

0066

上記のような使用を7日間継続して行った後、リンパ浮腫の治療効果を、下腿部の最大腫脹部の周径の変化、下肢甲部を押圧した際のくぼみの有無及びうっ滞の変化に基づき評価した。

0067

実施例2では、本発明のベッドパッドを次のように使用した。すなわち、リンパ浮腫の発症部位である腫脹領域及びそのリンパ経路上流に位置する腫脹周辺領域と接触させるべく、ベッドパッドを、シーツの下、両肩を上端に配置して間接的に接触させた。このようなベッドパッドの使用は、患者の日中及び夜間就寝時に行った。患者の就寝時間は普段の生活習慣を踏襲し、日中及び就寝中において、1日当たり少なくとも8時間使用した。

0068

上記のような使用を14日間継続して行った後、リンパ浮腫の治療効果を、下腿部の最大腫脹部の周径の変化、足甲部を押圧した際のくぼみの有無及びうっ滞の変化に基づき評価した。

0069

なお、実施例1及び実施例2の実施に際し、当該患者は、通常行われるリンパドレナージ療法や圧迫法等の他の治療を本試験開始から終了までの期間一切行わなかった。
4.<結果>
実施例1及び実施例2の評価結果を表2に示す。また、実施例1及び実施例2の患者のリンパ浮腫発症部位の経過を示した写真を、各々、図1及び図2に示す。なお、図1及び図2中の矢印は、浮腫の部位を示している。

0070

0071

図1及び図2ならびに表2に示すように、本発明に係るリンパ浮腫治療用物品である医療用クロス及びベッドパッドによれば、腫脹の周径の低減、腫脹の軟化(押圧してもくぼまない状態からくぼむ状態に改善されること)及びうっ滞の改善が図られることが明らかとなった。そして、これらの結果から、本発明に係る医療用クロス及びベッドパッドがリンパ浮腫の治療に有効であることが示された。

図面の簡単な説明

0072

実施例1の患者のリンパ浮腫発症部位の経過を示した写真である。
実施例2の患者のリンパ浮腫発症部位の経過を示した写真である。

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