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技術 共重合ポリエステルの連続製造方法

出願人 東洋紡株式会社
発明者 松本治男久世勝朗野瀬克彦
出願日 2007年3月12日 (13年0ヶ月経過) 出願番号 2007-061929
公開日 2008年9月25日 (11年5ヶ月経過) 公開番号 2008-222827
状態 特許登録済
技術分野 ポリエステル、ポリカーボネート
主要キーワード 楕円柱形 流通気体 ライン詰まり 循環液温度 冷却固化装置 組成評価 カッター間 循環ライン内
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年9月25日)のものです。
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図面 (3)

課題

品質共重合ポリエステル低コストで且つ品質変動を抑制しつつ製造でき、かつ該共重合ポリエステルチップの製造工程において、チップ脱水および乾燥を行うことにより、ポリエステル成型体の製造工程における乾燥工程を省略し、チップ乾燥の大幅な省エネルギーコスト低減を行うことによりさらなるコスト低減した共重合ポリエステルの連続製造方法を提供する。

解決手段

工程1:スラリー調製工程、工程2:エステル化反応工程、工程3:重縮合反応工程、工程4:チップ化工程を含み、工程4の貯蔵サイロより取り出される共重合ポリエステルチップの水分率が100ppm以下となるように乾燥を行う。

概要

背景

ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性化学的特性に優れるものである。これらポリエステルは、それぞれの特性に応じて、例えば衣料用産業資材用の繊維、包装用磁気テープ用、光学用などのフィルムシート中空成形品であるボトル電気電子部品ケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。
近年、市場多様化により、上記ポリエステルに他のグリコール成分を共重合した共重合ポリエステルが注目されている(例えば、特許文献1と2を参照)。特に、ネオペンチルグリコール残基を含む共重合ポリエステルは、非晶質でガラス転移点が高いという特徴を有しており、フィルム分野等で広く使用されている。

上記共重合ポリエステルの用途の1つとしては、フィルムやシートがある。これらフィルムやシートでは、厚みの均一性が極めて重要な特性であり、この特性をいかにして確保するかが問題となる。また、フィルム等の生産性キャスティング速度に直接依存するため、その向上のためにはキャスティング速度をいかにして高めるかが重要な課題となる。
この課題を解決するためには、T−ダイスから溶融押出したシート状物回転冷却ドラム面で急冷する際に、当該シート状物とドラム表面との密着性を高めることが必要となる。このシート状物とドラム表面の密着性を高める方法として、T−ダイスと回転冷却ドラムの間にワイヤー状電極を設けて高電圧印加し、未固化のシート状物面に静電気を析出させて当該シートを冷却体表面に密着させながら急冷する方法(静電密着キャスト法)が有効である。

静電密着キャスト法を効果的に行うためには、シート状物とドラム表面との静電密着性を高めることが必要であり、そのためには、シート状物表面にいかに多くの電荷量を析出させるかが重要である。電荷量を多くするためには、共重合ポリエステルを改質して比抵抗を低くすることが有効であり、従来から多くの検討がなされている。例えば、共重合ポリエステルに関しても、上記の特許文献1および2等において静電密着性を高める方法が開示されている。

ところでポリエステルを製造するに当たっては、一般的に、生産性の面から連続的な方法が用いられる。かかる連続製造方法では、エステル化反応工程と重縮合反応工程からなる2段階の反応が行なわれる。詳しくは、先ず、テレフタル酸等のジカルボン酸エチレングリコール等のグリコール成分から直接エステル化するか、或いはジカルボン酸エステルとグリコール成分からエステル交換反応によって、反応性のより高いオリゴマーを得る。次に、高温かつ減圧下でエステル交換することによって、このオリゴマーを重縮合し、高分子量の共重合ポリエステルが製造される。

近年、エステル化反応工程では、製造コストがより安価な直接エステル化法が主流となってきている。また、両工程においては、重合度が高まるにつれ反応液の粘度も上昇する。よって、粘度に応じた反応槽を使用するためや、反応を均一に進行させるために、複数の反応槽を用いた多段階の反応を行なっている。

また、直接エステル化法においては、ジカルボン酸とグリコール成分を原料としてエステル化反応を行なう。この際、特に芳香族ジカルボン酸固体でありグリコール成分に不溶であるために、先ずジカルボン酸とグリコール成分からスラリーを調製し、これをエステル化反応槽に供給するが、このスラリーの流動性を確保するため、理論必要量以上のグリコール成分が必要となる。さらに、オリゴマーを重縮合反応に付して高分子量のポリエステルとする際には、脱グリコール反応によりグリコール成分が生成する。これらのグリコール成分は、回収して再利用する必要がある。かかる回収や再利用の方法は、ポリエステルの製造コストに大きく影響を及ぼすので、様々な方法が検討されている。

例えば特許文献3には、エステル化反応槽の留出液低沸点留分精留除去しスラリー調合槽循環し再使用する方法が、特許文献4には、エステル化反応槽から排出されるエチレングリコールの低沸点留分を精留除去しエチレングリコール貯槽に供給するとともに、その一部を重縮合反応槽に設けられた湿式コンデンサー循環液として用い凝縮液をエチレングリコール貯槽に供給し、当該エチレングリコール貯槽に滞留したエチレングリコールをスラリー調合用に再使用する方法が開示されている。

また、特許文献5には、重縮合反応槽より発生する留出液を湿式コンデンサーにて凝縮し、エステル化反応槽に設けられた蒸留塔送り低沸点留分を除いた後、スラリー調合槽に戻して再使用する方法が、また、特許文献6には、重縮合反応槽で発生する留出液を連続的に単蒸留し、この連続単蒸留の底部抜き出し液を回分式単蒸留缶に送液して単蒸留を行い、初留部分を除いた蒸留液を重縮合反応ガス凝縮用冷媒液の一部と使用する方法が、特許文献7には、エステル化反応槽留出液および重縮合反応槽留出液の一部は低沸点留分を精留除去し、重縮合反応槽留出液の残りの一部は低沸点留分と高沸点留分を除去し、スラリー調合に循環し再使用する方法が記載されている。

さらに特許文献8には、エステル化反応2段階目の反応槽から排出される留出液を蒸留精製せずに、直接原料の一部または全量として再使用する方法が、特許文献9には、重縮合反応槽からの留出液をフラッシュ蒸留により低沸点留分を精留除去して原料グリコールの一部として再使用する方法が開示されている。

上記の通り、ポリエステルの連続製造方法については、留出グリコール回収再利用してポリエステルの製造コストを低減する方法の効率向上のために、様々な検討が為されている。しかし、これら特許文献3〜9に記載されている連続製造方法はホモポリエステルに関するものであり、共重合ポリエステルに関する記載はされていない。

また、ポリエステルの製造においては、リン酸トリメチル等のリン化合物を添加することが多い。かかるリン化合物の添加は、エステル化やエステル交換反応触媒に用いられる金属化合物封鎖ポリエステル製造工程で例えば金属化合物との反応により微粒子を析出させるいわゆる内部粒子の生成、または、ポリエステルの静電密着性を向上させるため等の目的で実施される。例えば、ポリエステルの静電密着性を向上するためには、アルカリ土類金属などを含む金属化合物が添加されるが、さらにリン化合物を適量添加することによって、静電密着性を一層高めることができる。

しかし、これらのリン化合物の一部は、留出グリコール成分に混入する。そのために、この留出グリコール成分を再利用する場合には、回収グリコール成分に混入したリン化合物の量を制御しなければ、ポリエステルへ含有されるリン化合物の量が変動する。また、回収グリコール成分へ混入したリン化合物は、その構造が変化している場合がある。その結果、添加したリン化合物が本来示すべき作用効果が、ポリエステルへ再現よく付与できないという問題が生じる。よって、リン化合物の留出グリコールへの混入を阻止または制御する必要があるが、上記の特許文献3〜9で開示された技術では、循環再使用されるグリコールへのリン化合物の混入に関しては全く配慮がなされていない。

一方、上記のリン化合物の問題を解決する方法として、特許文献10と11には、ポリエステルの製造工程より留出したエチレングリコールを、アルカリ化合物の存在下で、或いはエチレングリコールと同容量以上の水を加えて加熱処理する方法が開示されている。また、特許文献12には、留出エチレングリコールに対して0.2〜10wt%の水を添加して加熱処理した後、蒸留して回収したエチレングリコールを使用する方法が記載されている。

しかし、上記特許文献10〜12の方法は、リン化合物の回収エチレングリコールへの混入を阻止する方法としては有効な方法であるが、アルカリ化合物の添加や加熱処理工程が必要であるなど、経済性の点で不利であるという問題を有する。
特開2004−256819号公報
特開2004−67733号公報
特開昭53−126096号公報
特開昭55−56120号公報
特開昭60−163918号公報
特開平8−325363号公報
特開平11−505551号公報
特開平10−279677号公報
WO01/083582号公報
特開昭57−14619号公報
特開昭57−14620号公報
特開昭59−96124号公報

上記共重合ポリエステルは、一般には重縮合反応で得られた溶融共重合ポリエステルを、重縮合反応装置からこれを吐出し、冷水冷却固化した後、切断してチップ状として、直接または一旦貯蔵サイロ移送した後、乾燥機で乾燥され溶融成型に供給されている。

ポリエステルは、水分により加水分解を受けるために、溶融成型に供給されるポリエステルチップは、水分率を100ppm以下に制御しないと、成型時の操業定性や得られるポリエステル成型体の特性が低下する。一方、前述のごとく溶融ポリエステルは冷水で冷却固化されるために、切断されたポリエステルチップは1質量%%以上の水分を有している。そのために該ポリエステルチップは、乾燥機を用いて常圧または減圧下で乾燥されるが、該乾燥においては乾燥機内部でのチップの融着防止のためにポリエステルの融点より50〜150℃低い温度で乾燥する必要が、乾燥に長時間を有すると共に、多大なエネルギーが必要である。そのために、製造コスト増大の一要因となっている。

京都議定書の執行に見られるように、地球環境を護る観点より、製造業における省エネルギー対策は重要課題となってきている。上記ポリエステルチップの製造工程においても、該チップの乾燥における省エネルギーが強く嘱望されている。また、国際的な競争激化により上記共重合ポリエステルの製造においても製造コスト低減の要求が強くなってきている。

上記背景により、ポリエステルチップの乾燥方法の改善が進められてきている。

例えば、冷却固化装置を出た走行しているポリエステルストランドノズルより空気を吹き付けることにより、ストランド表面に付着している水の脱水を行う方法が開示されている(特許文献13参照)。
実開平5−54557号公報

また、ポリエステルチップの移送途中に予備乾燥機を設置する方法が開示されている(特許文献14参照)。該方法における予備乾燥機はポリエステルチップを滞留させて行われており移送が不連続になるとい課題がある。
実開平7−26107号公報

さらに、水冷却固化、切断されたポリエステルチップを減圧または加圧状態に保ちつつ輸送して第1の貯槽に滞留させて乾燥を行うポリエステルの製造方法が開示されている(特許文献15参照)。該方法において、切断されたポリエステルチップを遠心分離式脱水機にかけ、付着水分の一部を除去した後に輸送することの記載がされている。該方法もチップバンカ等の貯槽に溜められ後に脱水処理されており移送が不連続になっている。また、該方法において、除湿雰囲気下でチップを第1の貯槽に滞留させることが好ましい実施態様であることが開示されており、チップ貯槽乾燥空気投入する方法が記載されているが該乾燥気体の投入は吸湿防止効果を狙ったものであることが述べられている。
特開平8−244033号公報

また、上記の特許文献で開示されている方法は、いずれもが、予備乾燥法に関するものであり、乾燥機による乾燥工程の時間短縮乾燥装置の小型化を目指した技術であり、乾燥機による乾燥工程を省略し、ポリエステルチップの乾燥における大幅な省エネルギーとコスト低減を図る方法は知られていない。

概要

品質な共重合ポリエステルを低コストで且つ品質変動を抑制しつつ製造でき、かつ該共重合ポリエステルチップの製造工程において、チップの脱水および乾燥を行うことにより、ポリエステル成型体の製造工程における乾燥工程を省略し、チップ乾燥の大幅な省エネルギーとコスト低減を行うことによりさらなるコスト低減した共重合ポリエステルの連続製造方法を提供する。工程1:スラリー調製工程、工程2:エステル化反応工程、工程3:重縮合反応工程、工程4:チップ化工程を含み、工程4の貯蔵サイロより取り出される共重合ポリエステルチップの水分率が100ppm以下となるように乾燥を行う。なし

目的

また、グリコール成分を回収再利用するに当っては、製品品質を維持するために、留出したグリコール成分からリン化合物を除去する必要がある。しかし、従来方法は新たにアルカリ化合物や水を添加する工程が必要となるなど、効率的なものではなかった。
そこで、本発明が解決すべき課題は、共重合ポリエステルを長期にわたり安定的かつ連続的に製造できる方法であって、高品質な共重合ポリエステルを低コストで且つ品質変動を抑制しつつ製造でき、かつ該共重合ポリエステルの製造における共重合ポリエステルチップの製造工程において、該共重合ポリエステルチップの脱水および乾燥を行うことにより、従来技術で実施されてきているポリエステル成型体の製造工程における乾燥機による乾燥工程を省略し、ポリエステルチップの乾燥の大幅な省エネルギーとコスト低減を行うことによりさらなるコスト低減した共重合ポリエステルの連続製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

共重合ポリエステルを連続して製造する方法であって、工程1:少なくともテレフタル酸エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールスラリー調製槽へ導入してスラリーを調製する工程;工程2:調製したスラリーを、直列に連結した2以上のエステル化反応槽へ連続的に導入し、エステル化反応に付してオリゴマー化合物を得る工程;および工程3:得られたオリゴマー化合物を重縮合反応に付して共重合ポリエステルを製造する工程;および工程4:得られた共重合ポリエステルを溶融状態吐出口金よりストランド状に吐出し、水よりなる冷却槽で冷却、固化後チップ状に切断して得られ共重合ポリエステルチップを空送により貯槽サイロ移送して共重合ポリエステルチップを貯蔵する工程;の各工程を含み、工程1において、新規固体ネオペンチルグリコールを、溶融状態でおよび/またはエチレングリコール溶液とした後に濾過してスラリー調製槽へ導入し、工程2において、第2エステル化反応槽以降でネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給し、当該追加供給するエステル化反応槽の反応温度を、前段階のエステル化反応槽の反応温度よりも低く設定し、工程4の貯蔵サイロより取り出される共重合ポリエステルチップの水分率が100ppm以下であることを特徴とする共重合ポリエステルの連続製造方法

請求項2

ネオペンチルグリコールを溶融状態でおよび/またはエチレングリコール溶液としたものを、平均孔径が20μm以下のフィルターで濾過することを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

請求項3

ネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給するエステル化反応槽の反応温度を、前段階のエステル化反応槽の反応温度より5〜15℃低くすることを特徴とする請求項1または2に記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

請求項4

工程4において、チップ化直後からポリエステルチップ貯蔵サイロに入るまでの間に該ポリエステルチップを実質的に滞留させること無しに連続的に脱水し、かつ上記の貯蔵サイロに除湿気体流通させることによりポリエステルチップの乾燥を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

請求項5

上記ポリエステルチップ貯蔵サイロに供給するポリエステルチップ中の水分率が、150〜1000ppmであることを特徴とする請求項4に記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

請求項6

上記ポリエステルチップの脱水を、該ポリエステルチップに気体を吹きつけて行うことを特徴とする請求項4または5に記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

請求項7

上記脱水処理に供給するポリエステルチップの表面温度を、40℃から該ポリエステルチップのガラス転移温度に制御することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

請求項8

上記の貯蔵サイロに流通させる除湿気体が窒素ガス製造で発生する廃ガスであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の共重合ポリエステルの連続製造方法。

技術分野

0001

本発明は、共重合ポリエステルを連続して製造する方法に関するものである。

背景技術

0002

ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性化学的特性に優れるものである。これらポリエステルは、それぞれの特性に応じて、例えば衣料用産業資材用の繊維、包装用磁気テープ用、光学用などのフィルムシート中空成形品であるボトル電気電子部品ケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。
近年、市場多様化により、上記ポリエステルに他のグリコール成分を共重合した共重合ポリエステルが注目されている(例えば、特許文献1と2を参照)。特に、ネオペンチルグリコール残基を含む共重合ポリエステルは、非晶質でガラス転移点が高いという特徴を有しており、フィルム分野等で広く使用されている。

0003

上記共重合ポリエステルの用途の1つとしては、フィルムやシートがある。これらフィルムやシートでは、厚みの均一性が極めて重要な特性であり、この特性をいかにして確保するかが問題となる。また、フィルム等の生産性キャスティング速度に直接依存するため、その向上のためにはキャスティング速度をいかにして高めるかが重要な課題となる。
この課題を解決するためには、T−ダイスから溶融押出したシート状物回転冷却ドラム面で急冷する際に、当該シート状物とドラム表面との密着性を高めることが必要となる。このシート状物とドラム表面の密着性を高める方法として、T−ダイスと回転冷却ドラムの間にワイヤー状電極を設けて高電圧印加し、未固化のシート状物面に静電気を析出させて当該シートを冷却体表面に密着させながら急冷する方法(静電密着キャスト法)が有効である。

0004

静電密着キャスト法を効果的に行うためには、シート状物とドラム表面との静電密着性を高めることが必要であり、そのためには、シート状物表面にいかに多くの電荷量を析出させるかが重要である。電荷量を多くするためには、共重合ポリエステルを改質して比抵抗を低くすることが有効であり、従来から多くの検討がなされている。例えば、共重合ポリエステルに関しても、上記の特許文献1および2等において静電密着性を高める方法が開示されている。

0005

ところでポリエステルを製造するに当たっては、一般的に、生産性の面から連続的な方法が用いられる。かかる連続製造方法では、エステル化反応工程と重縮合反応工程からなる2段階の反応が行なわれる。詳しくは、先ず、テレフタル酸等のジカルボン酸エチレングリコール等のグリコール成分から直接エステル化するか、或いはジカルボン酸エステルとグリコール成分からエステル交換反応によって、反応性のより高いオリゴマーを得る。次に、高温かつ減圧下でエステル交換することによって、このオリゴマーを重縮合し、高分子量の共重合ポリエステルが製造される。

0006

近年、エステル化反応工程では、製造コストがより安価な直接エステル化法が主流となってきている。また、両工程においては、重合度が高まるにつれ反応液の粘度も上昇する。よって、粘度に応じた反応槽を使用するためや、反応を均一に進行させるために、複数の反応槽を用いた多段階の反応を行なっている。

0007

また、直接エステル化法においては、ジカルボン酸とグリコール成分を原料としてエステル化反応を行なう。この際、特に芳香族ジカルボン酸固体でありグリコール成分に不溶であるために、先ずジカルボン酸とグリコール成分からスラリーを調製し、これをエステル化反応槽に供給するが、このスラリーの流動性を確保するため、理論必要量以上のグリコール成分が必要となる。さらに、オリゴマーを重縮合反応に付して高分子量のポリエステルとする際には、脱グリコール反応によりグリコール成分が生成する。これらのグリコール成分は、回収して再利用する必要がある。かかる回収や再利用の方法は、ポリエステルの製造コストに大きく影響を及ぼすので、様々な方法が検討されている。

0008

例えば特許文献3には、エステル化反応槽の留出液低沸点留分精留除去しスラリー調合槽循環し再使用する方法が、特許文献4には、エステル化反応槽から排出されるエチレングリコールの低沸点留分を精留除去しエチレングリコール貯槽に供給するとともに、その一部を重縮合反応槽に設けられた湿式コンデンサー循環液として用い凝縮液をエチレングリコール貯槽に供給し、当該エチレングリコール貯槽に滞留したエチレングリコールをスラリー調合用に再使用する方法が開示されている。

0009

また、特許文献5には、重縮合反応槽より発生する留出液を湿式コンデンサーにて凝縮し、エステル化反応槽に設けられた蒸留塔送り低沸点留分を除いた後、スラリー調合槽に戻して再使用する方法が、また、特許文献6には、重縮合反応槽で発生する留出液を連続的に単蒸留し、この連続単蒸留の底部抜き出し液を回分式単蒸留缶に送液して単蒸留を行い、初留部分を除いた蒸留液を重縮合反応ガス凝縮用冷媒液の一部と使用する方法が、特許文献7には、エステル化反応槽留出液および重縮合反応槽留出液の一部は低沸点留分を精留除去し、重縮合反応槽留出液の残りの一部は低沸点留分と高沸点留分を除去し、スラリー調合に循環し再使用する方法が記載されている。

0010

さらに特許文献8には、エステル化反応2段階目の反応槽から排出される留出液を蒸留精製せずに、直接原料の一部または全量として再使用する方法が、特許文献9には、重縮合反応槽からの留出液をフラッシュ蒸留により低沸点留分を精留除去して原料グリコールの一部として再使用する方法が開示されている。

0011

上記の通り、ポリエステルの連続製造方法については、留出グリコール回収再利用してポリエステルの製造コストを低減する方法の効率向上のために、様々な検討が為されている。しかし、これら特許文献3〜9に記載されている連続製造方法はホモポリエステルに関するものであり、共重合ポリエステルに関する記載はされていない。

0012

また、ポリエステルの製造においては、リン酸トリメチル等のリン化合物を添加することが多い。かかるリン化合物の添加は、エステル化やエステル交換反応触媒に用いられる金属化合物封鎖ポリエステル製造工程で例えば金属化合物との反応により微粒子を析出させるいわゆる内部粒子の生成、または、ポリエステルの静電密着性を向上させるため等の目的で実施される。例えば、ポリエステルの静電密着性を向上するためには、アルカリ土類金属などを含む金属化合物が添加されるが、さらにリン化合物を適量添加することによって、静電密着性を一層高めることができる。

0013

しかし、これらのリン化合物の一部は、留出グリコール成分に混入する。そのために、この留出グリコール成分を再利用する場合には、回収グリコール成分に混入したリン化合物の量を制御しなければ、ポリエステルへ含有されるリン化合物の量が変動する。また、回収グリコール成分へ混入したリン化合物は、その構造が変化している場合がある。その結果、添加したリン化合物が本来示すべき作用効果が、ポリエステルへ再現よく付与できないという問題が生じる。よって、リン化合物の留出グリコールへの混入を阻止または制御する必要があるが、上記の特許文献3〜9で開示された技術では、循環再使用されるグリコールへのリン化合物の混入に関しては全く配慮がなされていない。

0014

一方、上記のリン化合物の問題を解決する方法として、特許文献10と11には、ポリエステルの製造工程より留出したエチレングリコールを、アルカリ化合物の存在下で、或いはエチレングリコールと同容量以上の水を加えて加熱処理する方法が開示されている。また、特許文献12には、留出エチレングリコールに対して0.2〜10wt%の水を添加して加熱処理した後、蒸留して回収したエチレングリコールを使用する方法が記載されている。

0015

しかし、上記特許文献10〜12の方法は、リン化合物の回収エチレングリコールへの混入を阻止する方法としては有効な方法であるが、アルカリ化合物の添加や加熱処理工程が必要であるなど、経済性の点で不利であるという問題を有する。
特開2004−256819号公報
特開2004−67733号公報
特開昭53−126096号公報
特開昭55−56120号公報
特開昭60−163918号公報
特開平8−325363号公報
特開平11−505551号公報
特開平10−279677号公報
WO01/083582号公報
特開昭57−14619号公報
特開昭57−14620号公報
特開昭59−96124号公報

0016

上記共重合ポリエステルは、一般には重縮合反応で得られた溶融共重合ポリエステルを、重縮合反応装置からこれを吐出し、冷水冷却固化した後、切断してチップ状として、直接または一旦貯蔵サイロ移送した後、乾燥機で乾燥され溶融成型に供給されている。

0017

ポリエステルは、水分により加水分解を受けるために、溶融成型に供給されるポリエステルチップは、水分率を100ppm以下に制御しないと、成型時の操業定性や得られるポリエステル成型体の特性が低下する。一方、前述のごとく溶融ポリエステルは冷水で冷却固化されるために、切断されたポリエステルチップは1質量%%以上の水分を有している。そのために該ポリエステルチップは、乾燥機を用いて常圧または減圧下で乾燥されるが、該乾燥においては乾燥機内部でのチップの融着防止のためにポリエステルの融点より50〜150℃低い温度で乾燥する必要が、乾燥に長時間を有すると共に、多大なエネルギーが必要である。そのために、製造コスト増大の一要因となっている。

0018

京都議定書の執行に見られるように、地球環境を護る観点より、製造業における省エネルギー対策は重要課題となってきている。上記ポリエステルチップの製造工程においても、該チップの乾燥における省エネルギーが強く嘱望されている。また、国際的な競争激化により上記共重合ポリエステルの製造においても製造コスト低減の要求が強くなってきている。

0019

上記背景により、ポリエステルチップの乾燥方法の改善が進められてきている。

0020

例えば、冷却固化装置を出た走行しているポリエステルストランドノズルより空気を吹き付けることにより、ストランド表面に付着している水の脱水を行う方法が開示されている(特許文献13参照)。
実開平5−54557号公報

0021

また、ポリエステルチップの移送途中に予備乾燥機を設置する方法が開示されている(特許文献14参照)。該方法における予備乾燥機はポリエステルチップを滞留させて行われており移送が不連続になるとい課題がある。
実開平7−26107号公報

0022

さらに、水冷却固化、切断されたポリエステルチップを減圧または加圧状態に保ちつつ輸送して第1の貯槽に滞留させて乾燥を行うポリエステルの製造方法が開示されている(特許文献15参照)。該方法において、切断されたポリエステルチップを遠心分離式脱水機にかけ、付着水分の一部を除去した後に輸送することの記載がされている。該方法もチップバンカ等の貯槽に溜められ後に脱水処理されており移送が不連続になっている。また、該方法において、除湿雰囲気下でチップを第1の貯槽に滞留させることが好ましい実施態様であることが開示されており、チップ貯槽乾燥空気投入する方法が記載されているが該乾燥気体の投入は吸湿防止効果を狙ったものであることが述べられている。
特開平8−244033号公報

0023

また、上記の特許文献で開示されている方法は、いずれもが、予備乾燥法に関するものであり、乾燥機による乾燥工程の時間短縮乾燥装置の小型化を目指した技術であり、乾燥機による乾燥工程を省略し、ポリエステルチップの乾燥における大幅な省エネルギーとコスト低減を図る方法は知られていない。

発明が解決しようとする課題

0024

上述した様に、フィルム等に広く適用できる優れた材質として共重合ポリエステルが知られており、また、ポリエステルの連続製造方法については様々な検討が為されている。また、ポリエステルを製造するに当たってはリン化合物が用いられるが、最終ポリエステルへ混入するリン化合物の量を制御するために、回収グリコール成分からリン化合物を除去するための方法も公知である。

0025

そして近年、共重合ポリエステルに関しても、その使用用途や使用量の拡大に伴い製造コストの低減に対する要求が強くなってきている。よって、共重合ポリエステルでも連続的な製造方法を用い、且つ過剰のグリコール成分を回収して再利用することが考えられる。ところが、共重合ポリエステルの連続製造においてグリコール成分を回収再利用すると安定的な操業ができなくなったり、また、製品品質が低下する場合があった。

0026

また、グリコール成分を回収再利用するに当っては、製品品質を維持するために、留出したグリコール成分からリン化合物を除去する必要がある。しかし、従来方法は新たにアルカリ化合物や水を添加する工程が必要となるなど、効率的なものではなかった。
そこで、本発明が解決すべき課題は、共重合ポリエステルを長期にわたり安定的かつ連続的に製造できる方法であって、高品質な共重合ポリエステルを低コストで且つ品質変動を抑制しつつ製造でき、かつ該共重合ポリエステルの製造における共重合ポリエステルチップの製造工程において、該共重合ポリエステルチップの脱水および乾燥を行うことにより、従来技術で実施されてきているポリエステル成型体の製造工程における乾燥機による乾燥工程を省略し、ポリエステルチップの乾燥の大幅な省エネルギーとコスト低減を行うことによりさらなるコスト低減した共重合ポリエステルの連続製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0027

本発明者らは、上記課題を解決すべく、特に連続製造方法の構成につき鋭意研究を進めた。その結果、以下の知見を見出して本発明を完成した。
すなわち、共重合ポリエステルを連続して製造する方法であって、
工程1: 少なくともテレフタル酸、エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールをスラリー調製槽へ導入してスラリーを調製する工程;
工程2: 調製したスラリーを、直列に連結した2以上のエステル化反応槽へ連続的に導入し、エステル化反応に付してオリゴマー化合物を得る工程;および
工程3: 得られたオリゴマー化合物を重縮合反応に付して共重合ポリエステルを製造する工程;および
工程4: 得られた共重合ポリエステルを溶融状態吐出口金よりストランド状に吐出し、水よりなる冷却槽で冷却、固化後チップ状に切断して得られ共重合ポリエステルチップを空送により貯槽サイロに移送して共重合ポリエステルチップを貯蔵する工程、を含み、
工程1において、新規の固体ネオペンチルグリコールを、溶融状態でおよび/またはエチレングリコール溶液とした後に濾過してスラリー調製槽へ導入し、
工程2において、第2エステル化反応槽以降でネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給し、
当該追加供給するエステル化反応槽の反応温度を、前段階のエステル化反応槽の反応温度よりも低く設定し、
工程4の貯蔵サイロより取り出される共重合ポリエステルチップの水分率が100ppm以下であること、
を特徴とする共重合ポリエステルの連続製造方法である。

0028

この場合において、ネオペンチルグリコールを溶融状態でおよび/またはエチレングリコール溶液としたものを、平均孔径が20μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。

0029

また、この場合において、ネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給するエステル化反応槽の反応温度を、前段階のエステル化反応槽の反応温度より5〜15℃低くすることが好ましい。

0030

また、この場合において、工程4において、チップ化直後からポリエステルチップ貯蔵サイロに入るまでの間に該ポリエステルチップを実質的に滞留させること無しに連続的に脱水し、かつ上記の貯蔵サイロに除湿気体流通させることによりポリエステルチップの乾燥を行うことが好ましい。

0031

また、この場合において、上記ポリエステルチップ貯蔵サイロに供給するポリエステルチップ中の水分率が150〜1000ppmであることが好ましい。
また、この場合において、上記ポリエステルチップの脱水を該ポリエステルチップに気体を吹きつけて行うことが好ましい。

0032

また、この場合において、上記脱水処理に供給するポリエステルチップの表面温度を40℃から該ポリエステルチップのガラス転移温度に制御することが好ましい。
また、この場合において、上記の貯蔵サイロに流通させる除湿気体が窒素ガス製造で発生する廃ガスであることが好ましい。

発明の効果

0033

本発明による共重合ポリエステルの連続製造方法は、異物混入が抑制されているので、清澄度の高い共重合ポリエステルを得ることができる。また、本発明に係る製造方法は、連続重縮合法において長期にわたり連続生産をしても、共重合組成等の品質変動が抑制されており且つ工程トラブルが抑制されているので、高品質な共重合ポリエステルが品質変動を抑制した形で安定生産できるという利点を有する。さらに、本発明に係る製造方法は、共重合ポリエステルの品質、特に静電密着性や重縮合活性を低下させることなく、製造途中で留出するグリコール成分を製造装置に連結した蒸留塔により経済性の高い方法で分留し、回収されたグリコール成分を循環再使用することができるので経済性が高い。その上に、本発明においては、上記製造方法において溶融共重合ポリエステルを水冷固化する冷却槽、該水冷固化したポリエステルをチップ状に切断する切断装置、該切断されたポリエステルチップを空送する空送装置および該ポリエステルチップを貯蔵する貯蔵サイロよりなるポリエステルチップの製造方法を導入し、さらに該工程において、ポリエステルチップの連続脱水工程の導入およびポリエステルチップの貯槽サイロに除湿気体を流通させるという簡便でかつ、少ないエネルギー供給により、ポリエステルチップを溶融成型するに際して必要な水分率である100ppm以下までの乾燥が実施できるので、従来技術で実施されてきている乾燥機を用いたポリエステルチップの乾燥工程の省略可能となり、ポリエステル成型体の製造におけるポリエステルチップの乾燥に必要なエネルギー消費量とコストを大幅に低減できる。また、本発明においては、該乾燥に用いる流通気体として窒素ガス製造工程で発生する廃品である廃ガスを有効活用しており、環境負荷や経済性において有利である。従って、コストパフォーマンスに優れている。よって、本発明の連続製造方法は、品質の高い共重合ポリエステルを低コストで且つ長期にわたり安定的に製造できるものとして、産業上極めて有用である。

発明を実施するための最良の形態

0034

本発明に係る共重合ポリエステルの連続製造方法は、
工程1: 少なくともテレフタル酸、エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールをスラリー調製槽へ導入してスラリーを調製する工程;
工程2: 調製したスラリーを、直列に連結した2以上のエステル化反応槽へ連続的に導入し、エステル化反応に付してオリゴマー化合物を得る工程;および
工程3: 得られたオリゴマー化合物を重縮合反応に付して共重合ポリエステルを製造する工程;および
工程4: 得られた共重合ポリエステルを溶融状態で吐出口金よりストランド状に吐出し、水よりなる冷却槽で冷却、固化後チップ状に切断して得られ共重合ポリエステルチップを空送により貯槽サイロに移送して共重合ポリエステルチップを貯蔵する工程、を含み、
工程1において、新規の固体ネオペンチルグリコールを、溶融状態でおよび/またはエチレングリコール溶液とした後に濾過してスラリー調製槽へ導入し、
工程2において、第2エステル化反応槽以降でネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給し、
当該追加供給するエステル化反応槽の反応温度を、前段階のエステル化反応槽の反応温度よりも低く設定し、
工程4の貯蔵サイロより取り出される共重合ポリエステルチップの水分率が100ppm以下であること、
を特徴とする。

0035

以下、工程1から順番に説明する。

0036

工程1)スラリー調製工程
本発明では、先ず、少なくともテレフタル酸、エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールをスラリー調製槽へ導入してスラリーを調製する。
スラリーにおけるこれら成分の含有割合は、スラリーがエステル化反応槽へ運搬されるに十分な流動性を有するものであれば特に制限されないが、共重合ポリエステルにおけるテレフタル酸残基が95モル%以上、エチレングリコール残基が60〜75モル%およびネオペンチルグリコール残基が25〜35モル%となる様に配合することが好ましい。より具体的には、テレフタル酸1モルに対して、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとの合計量を1〜3モルとすることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5モルとしてスラリーとする。上記の酸成分およびグリコール成分の組成を満たすスラリーからは、非晶質でガラス転移点が高いという特徴を有する共重合ポリエステルを製造できる。かかる共重合ポリエステルは、例えば、ポリエステルフィルムポリエステルシート等の各種成型体や、これらの改質剤等として好適に用いることができる

0037

上記スラリーへは、好適には酸成分において5モル%以下で、テレフタル酸以外の酸を添加してもよい。例えば、オルソフタル酸イソフタル酸、テレフタル酸、5−(アルカリ金属スルホイソフタル酸ジフェニン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シュウ酸マロン酸コハク酸グルタル酸アジピン酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸セバシン酸デカンジカルボン酸ドデカンジカルボン酸テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5—ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸フマル酸マレイン酸イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸などを、併用してもよい。

0038

また、スラリーへは、上記範囲であれば、例えばトリメリット酸ピロメリット酸グリセロール等の三官能以上の多官能化合物安息香酸イソシアン酸フェニル等の単官能化合物等の化合物を併用してもよい。
また、ヒドロキシカルボン酸を併用しても良い。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸クエン酸リンゴ酸酒石酸ヒドロキシ酢酸、3—ヒドロキシ酪酸p−ヒドロキシ安息香酸、p—(2—ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4—ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。

0039

さらに、グリコール成分としては、共重合ポリエステルにおける他のグリコール成分残基が5モル%以下であれば、他のグリコール化合物を含んでもよい。他のグリコール成分としては、ジエチレングリコール(DEG)が挙げられる。このDEGは、積極的に添加しなくても共重合ポリエステル製造工程において副生し、共重合ポリエステルに取り込まれる点で、その他のグリコール成分とは異なる。さらに、共重合ポリエステルにおけるDEG残基は、耐熱酸化安定性等の特性に影響を及ぼす。特に、本発明の共重合ポリエステルを熱収縮性ポリエステルフィルムの原料として用いた場合に、フィルムの重要特性の1つである溶剤接着性に大きな影響を及ぼす。従って、DEG残基を1.3〜2.5モル%の範囲に制御するのが好ましい。より好ましくは1.5〜2.3モル%である。DEG残基が1.3モル%未満の場合は、溶剤接着性が悪化することがあるので好ましいない。逆に、2.5モル%を超えた場合は、フィルムの熱収縮性特性や耐熱性に悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。

0040

DEG残基含有量の制御方法は、特に制限されない。例えば、DEGは、製造工程においてもエチレングリコールの二量化により副生するため、共重合ポリエステルの製造工程で副生するDEG量をエステル化反応条件等の最適化により制御してもよい。しかし、共重合ポリエステルにおけるDEG残基含有量の最適範囲は上記の通り狭いため、製造工程における生成量を極力抑制する様に製造条件を設定した上で、好ましい範囲に対する不足分のDEGを添加することが好ましい。この場合のDEGの添加場所は限定されない。スラリー調製槽へ添加してもよいし、エステル化反応工程で添加してもよい。また、この場合におけるDEGの添加量は、共重合ポリエチレンに占めるDEG残基の所望量に応じて適宜調節すればよいが、例えば生成共重合ポリエステルに対して0.1〜1.0モル%とすることができる。

0041

(リン化合物等の説明)
近年、共重合ポリエステルよりなるフィルムやシートに対する品質に対する要求特性はますます厳しくなり、それに伴い厚み精度を向上させることが重要な要件となってきており、これも共重合ポリエステルの重要な特性の一つである。

0042

また、本発明においては、最終的に得られる共重合ポリエステルの275℃における溶融比抵抗を最適化し、その静電密着性等を高めるのが好ましい。
上記の共重合ポリエステルの275℃における溶融比抵抗は、共重合ポリエステルの静電密着性の尺度である。静電密着性とは、例えば、共重合ポリエステルをフィルムやシートに溶融押出し法で成型する場合のキャスティング時に必要な特性である。即ち、押出口金から溶融押出したフィルム状物を回転冷却ドラムで急冷する際、当該フィルム状物の表面に静電荷を析出させ、フィルム状物を冷却ドラムの表面に静電力で密着させる静電密着法が知られている。しかし、この方法においては、生産能力を高めるために冷却ドラムの回転速度を上げるとフィルム状物と冷却ドラムとの密着力が減少し、フィルム状物と冷却ドラムとの間に気体を噛み込むようになってピンナーバブルの発生が起こり、厚み斑外観不良発生の原因となる。静電密着性とは、この静電密着法において、大きな静電密着力が付与でき、高速でキャスティングしても厚み精度の高い製膜製品が得られる共重合ポリエステルの特性である。

0043

この静電密着性は共重合ポリエステルの溶融比抵抗と相関しており、共重合ポリエステルの溶融比抵抗を下げることにより、静電密着キャスト法においてピンナーバブルの発生を抑制しながらキャストできる最高のキャスティング速度、即ち静電密着性を向上させることができる。従って、共重合ポリエステルの溶融比抵抗の最適化は、フィルム生産性の面から非常に重要である。

0044

共重合ポリエステルの溶融比抵抗は、0.5×108Ω・cm以下であることが好ましい。溶融比抵抗が0.5×108Ω・cmより高ければ、静電密着性が悪化し、キャスティング速度が遅くなり生産性が悪くなる。好ましくは、0.4×108Ω・cm以下、さらに好ましくは、0.3×108Ω・である。一方、耐熱性や着色の点から、下限値は0.05×108Ω・cmとすることが好ましく、特に好ましくは0.09×108Ω・cmである。
共重合ポリエステルの溶融比抵抗を上記範囲にする方法は限定されないが、マグネシウム化合物およびナトリウム化合物の添加により実施するのが好ましい。

0045

マグネシウム化合物の添加量は、マグネシウム原子換算で3〜300ppmが好ましく、100〜250ppmがより好ましい。マグネシウム原子含有量が3ppm未満では、共重合ポリエステルの溶融比抵抗が大きくなり、静電密着性が悪化しやすくなる場合がある。一方、300ppmを超えた場合は、共重合ポリエステルの熱安定性が低下しやすくなり、共重合ポリエステルの着色が増大するおそれがある。

0046

また、ナトリウム化合物の添加量は、ナトリウム原子量換算で0.5〜50ppmが好ましく、3〜30ppmがより好ましい。ナトリウム原子含有量が0.5ppm未満では、共重合ポリエステルの溶融比抵抗が大きくなり、静電密着性が悪化しやすくなる場合がある。さらに、副反応であるグリコール成分同士の縮合反応が増加し、例えば、DEGの副生の増大や変動に繋がり、本発明方法の共重合ポリエステルの重要組成であるDEG量の制御に悪影響を及ぼし得る。一方、50ppmを超えた場合は、共重合ポリエステルの溶融比抵抗の低下やグリコール成分同士の縮合反応の抑制効果が頭打ちになり、かつ共重合ポリエステルの着色が増大により色調の低下が起こるおそれがある。

0047

上記のマグネシウム化合物やナトリウム化合物は、マグネシウム等を含む化合物の形態で添加すればよい。かかる化合物としては、例えば、これら金属のギ酸酢酸プロピオン酸酪酸、シュウ酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩;アクリル酸メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩;安息香酸などの芳香族カルボン酸塩トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩;乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩炭酸硫酸硝酸リン酸ホスホン酸炭酸水素リン酸水素硫化水素亜硫酸チオ硫酸塩酸臭化水素酸塩素酸臭素酸などの無機酸塩;1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩ラウリル硫酸などの有機硫酸塩;メトキシエトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイドアセチルアセトネートなどとのキレート化合物水素化物酸化物水酸化物などが挙げられる。

0048

上記マグネシウム化合物等の添加は、スラリー調製工程に限定されず、エステル化反応工程や重縮合反応工程で添加してもよい。

0049

本発明では、目的物である共重合ポリエステルの静電密着性をさらに向上するために、リン化合物を添加するのが好ましい。なお、かかるリン化合物は、マグネシウム化合物等と同様に、スラリー調製工程に限られるものではなく、後述するエステル化反応工程や重縮合反応工程、或いはこれら工程間で添加してもよいが、第1エステル化反応槽出口以降の工程で添加するのが好ましい。
特に、リン化合物は、第2エステル化反応以降で添加することが好ましい。リン化合物を添加する前の反応槽から留出するグリコール成分と、添加以降の反応槽から留出するグリコール成分を、区別してそれぞれ精製できるからである。後述する様に、リン化合物はエステル化反応槽または重縮合反応槽から留出するグリコール成分と共に留出する。回収したグリコール成分に混入したリン化合物は、その量を制御することが極めて困難であるために、目的化合物である共重合ポリエステルの品質に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、留出したグリコール成分の精製は、リン化合物を含まない反応系から回収したグリコール成分と含む反応系からのものとを区別して行なった上で、回収グリコール成分を再使用した方がよいからである。また、再利用のためには、低沸点留分のみならず高沸点のリン化合物等をも分留除去しなければならない留出グリコール成分の量を低減できるという効果もある。
但し、工程3の重縮合反応工程でのリン化合物の添加は、減圧系になるためにリン化合物の残存量が低下するので避けた方がよい。従って、リン化合物の添加は、エステル化反応工程の最終段階または当該最終段階から重縮合工程への移送ラインラインミキサーを設置して、当該ラインミキサーに添加する方法で実施するのが好ましい。

0050

かかるリン化合物としては、リン酸ならびにトリメチルリン酸トリエチルリン酸、フェニルリン酸トリフェニルリン酸等のリン酸エステル亜リン酸ならびにトリメチルホスファイトトリエチルホスファイトトリフェニルホスファイトトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト等の亜リン酸エステルなどが挙げられる。

0051

リン化合物の添加量は、リン原子/マグネシウム化合物に含まれる金属の原子比で、0.1〜1.0とするのが好ましく、0.2〜0.8とすることがより好ましい。リン原子/当該金属原子の原子比が0.1未満では共重合ポリエステルの熱安定性が低下しやすくなり得る。一方、リン原子/当該金属原子の原子比が1.0超えた場合は、共重合ポリエステルの溶融比抵抗が大きくなり、静電密着性が悪化するおそれがある。

0052

また、本発明においては、共重合ポリエステルの色調を改善するために、コバルト化合物を含有させても良い。かかるコバルト化合物としては、酢酸コバルト塩化コバルト、安息香酸コバルトクロム酸コバルト等が挙げられる。なかでも、酢酸コバルトが好ましい。コバルト化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して通常50ppm以下となるように含有させるが、使用する重合触媒の種類に応じて適宜変更することが好ましい。
また、本発明の共重合ポリエステルの製造時に、本発明の目的を妨げない限り、酸化チタンシリカ炭酸カルシウムなどの不活性粒子顔料、耐熱・酸化安定剤、離型剤UV吸収剤着色剤などを必要に応じて添加してもよい。

0053

その他、有機系、無機系、及び有機金属系トナー、ならびに蛍光増白剤などを添加してもよい。これらを一種もしくは二種以上配合することによって、共重合ポリエステルの黄み等の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の任意の重合体制電剤消泡剤染色性改良剤染料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されていてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が使用可能である。

0054

以上の添加剤は、特に断らない限り工程1〜3を通じて任意の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは対象とする共重合ポリエステルの構造や得られる共重合ポリエステルの要求性能に応じてそれぞれ適宜選択すれば良い。

0055

テレフタル酸等の酸成分は、例えば図1計量タンク1から所定量をスラリー調製槽2へ供給する。また、グリコール成分については、大部分は新規のグリコール成分を用いるが、後述する工程2および/または工程3から回収して精製したグリコール成分を一部用いてもよい。その他の成分も、適宜スラリー調製槽へ添加する。
但し、本発明においては、新規の固体ネオペンチルグリコールを使用する場合は、溶融状態でおよび/またはエチレングリコールとの混合溶液とした後に濾過したものを用いることが好ましい。ネオペンチルグリコールは常温で固体であるので、通常は紙袋包装されて流通している。この固体状のネオペンチルグリコールをスラリー原料として用いると、得られる共重合ポリエステルに異物が混入し、その清澄度が低下し得る。特にスラリー調製に用いる新規のネオペンチルグリコールの量は多いため、スラリー調製に新規の固体ネオペンチルグリコールをそのまま用いると、その影響が最終共重合ポリエチレンに直接表れるという問題があった。そこで、上記処理を行なうことにより異物混入が抑制され、共重合ポリエステルの清澄度が向上する。

0056

上記濾過には、平均孔径20μm以下のフィルターを用いることが好ましく、また、当該フィルターとしては平均孔径が15μm以下のものがより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。一方、清澄度に対する要求度と濾過の操業性の点より、平均孔径の下限は1μm程度である。フィルターの形式や容量は限定されず、共重合ポリエステルの清澄度や操業性等を考慮して適宜選択すればよい。

0057

濾過手段の設置場所は、特に限定されない。例えば、ネオペンチルグリコールの供給タンクから共重合ポリエステルの製造装置までの間の任意の場所に設置すればよい。
なお、ネオペンチルグリコールを溶融状態または溶液状態で取り扱うことは、ネオペンチルグリコール供給量の精度向上にも繋がる。ネオペンチルグリコールの溶融は、共重合ポリエステルの製造設備内溶融槽を設置して行ってもよいし、溶融状態のものを購入して使用してもよい。

0058

新規のネオペンチルグリコールは、直接スラリー調製槽に供給してもよいし、事前にエチレングリコールや後述の回収グリコール成分と混合してスラリー調製槽に供給してもよい。

0059

なお、本発明においては、回収PETボトル化学分解回収法で得られたテレフタル酸、或いはグリコール成分等のリサイクル原料を用いることは、省資源環境保護に役立つので好ましい実施態様である。

0060

工程2)エステル化反応工程
上記工程1で得られたスラリーを、直列に連結した2以上のエステル化反応槽へ導入し、エステル化反応に付することによって、テレフタル酸の両末端カルボキシル基にグリコールが縮合したオリゴマー化合物を得る。
ここで、本発明に係る共重合ポリエステルの連続製造方法は、工程2(エステル化反応)と共に後述する工程3(重縮合反応)を含め、連続的なものであることが重要である。連続式の製造方法は、回分式の製造方法に比して品質の均一性や経済性において有利である。
エステル化反応工程における反応槽の個数やサイズは限定なく適宜選択できる。また、各工程の製造条件は、重縮合触媒や静電密着性向上のための添加剤の種類や量、反応槽の個数やサイズ等により適宜選択できる。
例えば、工程2のエステル化反応は、複数のエステル化反応槽を直列に連結した多段式装置(図1において、エステル化反応槽3〜5)を用いて、反応によって生成した水を蒸留塔9と10で系外に除去しながら実施するのが好ましい。エステル化反応の温度は240〜290℃、好ましくは245〜280℃とし、圧力はゲージ圧で常圧〜290KPa、好ましくは20〜190KPaとする。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。また、上記エステル化反応槽としては、その内部に等を設けて一個の反応槽内で多段化したものを用いてもよい。

0061

(重縮合触媒の説明)
本発明方法では、エステル化反応に引き続いて重縮合反応を連続的に行なう。この重縮合反応に必要な重縮合触媒の添加時期は特に問わないが、好適にはエステル化反応の第1段階から供給することが好ましい。重縮合触媒は、エステル化反応の触媒にもなり得るからである。

0062

かかる重縮合触媒は、ポリエステルの製造で一般的に用いられているものであれば特に制限されないが、例えばアンチモン化合物チタン化合物スズ化合物ゲルマニウム化合物およびアルミニウム化合物等を用いることができる。

0063

アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン五酸化アンチモン酢酸アンチモンアンチモングリコサイドなどが好適であり、特に好ましくは三酸化アンチモンである。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネートテトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネートテトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート、シュウ酸チタンリチウム、シュウ酸チタン酸カリウム、シュウ酸チタン酸アンモニウム、酸化チタン、チタンケイ素ジルコニウムやアルカリ金属やアルカリ土類金属などとの複合酸化物;チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステル、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸からなる反応生成物;チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物;チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルと少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多価アルコール;2−ヒドロキシカルボン酸および塩基からなる反応生成物などが挙げられ、このうちチタンとケイ素の複合酸化物、チタンとマグネシウムの複合酸化物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物が好ましい。

0064

スズ化合物としては、ジブチルスズオキサイドメチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズアセテートジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸などが挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキサイドの使用が好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム四塩化ゲルマニウムなどが好適であり、特に好ましくは二酸化ゲルマニウムである。二酸化ゲルマニウムとしては、結晶性のものと非晶性のものもいずれもが使用できる。

0065

また、アルミニウム化合物としては、ギ酸アルミニウム酢酸アルミニウム塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウムラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウムクエン酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム水酸化アルミニウム水酸化塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩が挙げられる。これらのうちカルボン酸塩が特に好ましい。

0066

このような触媒を供給する位置や供給方法については、特に限定されるものではなく、製造条件に対応して適宜決定すればよい。例えば、これら重縮合触媒をそのまま反応槽へ投入してもよいし、エチレングリコール等のグリコール成分に溶解または懸濁した上で供給してもよい。

0067

(グリコール成分の分割添加の説明)
本発明では、工程2の第2エステル化反応槽以降でネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給するのが好ましい。従来方法におけるネオペンチルグリコール共重合ポリエステルの製造では、グリコール成分はスラリー調製においてその全量が供給されていた。しかしかかる従来方法では、長期にわたり連続生産をした場合に、共重合ポリエステル中のグリコール成分組成が変動することがあるという問題があり、その抑制方法確立が嘱望されていた。本発明者らは、この問題を解決するために検討をして、ネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を工程2の第2エステル化反応槽以降で追加供給することによって、この変動が抑制できることを見出した。

0068

上記の追加供給は2回以上に分割して実施してもよい。追加供給するグリコール成分の組成、エステル化反応槽への分割供給回数および分割供給比率は特に限定されない。また、添加すべきエステル化反応槽も、第2段階以降であれば特に制限されない。当該グリコール成分の組成は、ネオペンチルグリコールとエチレングリコールの混合物であるのが好ましい。その組成比は目的とした共重合ポリエステルのグリコール組成物比や得られる共重合ポリエステルの組成変動の抑制効果等を考慮し適宜決定すればよい。また、第2段階以降のエステル化反応槽へ、製造工程全体におけるグリコール成分の全添加量の2〜10質量%を添加するのが好ましく、4〜8質量%添加することがより好ましい。
かかるグリコール成分の分割供給により共重合ポリエステル中のグリコール成分組成の変動が抑制される理由は不明であるが、エステル化反応におけるグリコール成分の系外への留出割合の変動が抑制されることによると推察している。

0069

(反応温度の説明)
本発明では、工程2の第2エステル化反応槽以降でネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給する際において、ネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を供給する反応槽の反応温度は、前段階の反応温度よりも低く設定するのが好ましい。かかる態様によって、ネオペンチルグリコールを含むグリコールが追加供給されるエステル化反応槽における反応液のネオペンチルグリコールにより引き起こされる発泡が抑制され、長期にわたり安定した運転が可能となる。通常、複数個の反応槽でエステル化反応を行う場合は、反応の進行に従い反応槽内温度を高めて行く方法で実施されるが、それではネオペンチルグリコールを含むグリコールの追加供給により当該追加供給される反応液の発泡が増大することによって、当該反応槽に設置されている蒸留塔への配管や蒸留塔にポリエステルオリゴマー飛散し、操業が困難になる場合がある。一方本発明では、かかる追加供給を行なうエステル化反応槽における反応温度を前段階よりも低くすることによって、この問題の解決を図っている。
ネオペンチルグリコールを含むグリコール成分を追加供給する段階の反応温度は、前段階よりも5〜15℃低くすることが好ましい。15℃を超えて反応温度を低くすると、エステル化反応を効率的に行なえないおそれがある一方で、5℃未満であると発泡する場合がある。

0070

(グリコール成分の回収の説明)
本発明における工程2または後述する工程3において、反応系から留出するグリコール成分を、蒸留塔へ導入して精製し、再使用することが好ましい。かかる態様によって、新規グリコールの使用量を減らすことができるので、共重合ポリエステルの製造コストの大幅な低減が可能となる。また、回収したグリコール成分は、新規のグリコール成分を添加する場合に比べて、その組成を調節する手間が少ない。さらに、新規のグリコール成分をそのまま反応槽へ投入すると反応温度が下がり製造効率が低下する場合があるが、回収グリコール成分は比較的温度が高いため、かかる熱ショックも少ない。
前述した様に、本発明の工程2または工程3で添加されるリン化合物は、その一部が留出グリコールに混入する。かかるリン化合物の量は制御し難い上に、構造が変化して活性も変わっている場合がある。よって、留出グリコール成分を精製して再使用する場合には、リン化合物の混入を阻止またはできる限り抑制した上で、目的物である共重合ポリエステルに配合されるリン化合物の量は、最初の添加量のみで制御することによって、共重合ポリエステルの特性を維持することが好ましい。

0071

特に、前述したリン化合物と共にマグネシウム化合物およびナトリウム化合物を反応系に添加し、これらの原子比を特定範囲にすることにより共重合ポリエステルの静電密着性を向上させる場合においては、マグネシウム化合物含有量に対するリン化合物含有量の変動により静電密着性が大きく変化する。また、重縮合触媒としてチタン系、錫系あるいはアルミニウム系触媒を用いる場合は、リン化合物の量は、重縮合触媒活性にも大きく影響する。さらに留出グリコールに混入するリン化合物は、添加時とは構造が変化しており、上記の静電密着性や重縮合触媒に対してより顕著な影響を及ぼすという側面を有している。従って、回収精製したグリコール中のリン原子含有量が10ppm以下になるようにして循環再使用するのが好ましい。当該含有量としては、8ppm以下がより好ましく、5ppm以下がさらに好ましい。リン原子含有量が10ppmを超えるグリコール成分を使用した場合、共重合ポリエステルに残存するリン原子量が設計値から変動することにより静電密着性や触媒活性が不安定になり、品質や操業性に悪影響を及ぼす場合がある。
共重合ポリエステルの製造工程で添加されたリン化合物は、化学反応によりその構造が変化して、例えばリン酸のグリコールエステル等の構造になっている。その結果、留出するグリコール成分中に含まれるリン化合物は、グリコールより高沸点の化合物に変質している。従って、上記の回収グリコール中のリン原子含有量が10ppm以下になるようにするには、蒸留塔による蒸留により高沸点留分を分留除去することが好ましい。

0072

一方、留出するグリコール成分中にリン化合物が含まれていなければ、水等の低沸点混入物を分留除去するのみで、高沸点留分を分留除去せずに循環再使用してもポリエステルの品質等に悪影響を及ぼすことは少ないので、高沸点留分を除去せず循環再使用することが好ましい。従って、グリコール成分の回収精製は、リン化合物を添加する前の反応槽より留出する留出物(A)と、リン化合物を添加した以降の反応槽より留出する留出物(B)とを区分して行うことが好ましい。リン化合物を添加する前の反応槽より留出する留出物にはリン化合物は混入しないので、両者を区分して回収精製し循環再使用することは、経済性、即ち運転経費節減設備の簡略化に大きく寄与する。

0073

上述した様に、リン化合物を添加する前の反応槽より留出する留出物(A)には、リン化合物は含まれていない。よって留出物(A)から蒸留塔により低沸点留分を分留除去して、残留分(A’)を回収グリコール成分として循環再使用することが好ましい。
リン化合物を添加する前の反応槽より留出する留出物(A)を処理する蒸留塔の本数や性能は限定されないが、8〜18段が好ましく、9〜15段がより好ましい。また、泡鐘カラムおよび充填カラムのどちらでもよい。還流比は蒸留塔の段数や回収グリコールの要求品質により適宜設定される。

0074

ここで、低沸点留分とは、水、アセトアルデヒドメタノールなど、留出グリコール成分に伴って反応槽より放出されるグリコール成分よりも沸点が低い副生物等をいう。
上記の低沸点留分を分留除去する分留においては、蒸留塔の塔底より抜き出した残留分の一部を同蒸留塔に循環させること(以下、「蒸留塔液循環法」と称する)が好ましい実施態様である。当該方法の実施により、残留分の送液ラインライン詰りの発生が抑制され、長期の安定操業が可能となる。留出するグリコール成分中には、飛沫同伴等により共重合ポリエステルのオリゴマー類等よりなるグリコールに難溶性または不溶性固形分が含まれる。この固形分は、当然のことであるが上記蒸留において、蒸留塔残留分中に含まれ共重合ポリエステル製造工程に循環される。従って、共重合ポリエステルの製造を長期にわたり連続して実施した場合に、残留分の送液ラインにおいて、残留分中に存在する固形分または送液ライン中で析出する固形分により送液ラインの送液性の低下やライン詰まりが発生し、安定運転が困難になるという課題を有しており、その改善が嘱望されていた。この問題は、蒸留塔液循環法により解決することができる。この蒸留塔液循環法の実施により上記問題が解決される理由は明確でないが、残留分の送液流量および流速の増加、液温度維持、該温度変動抑制および残留分の蒸留塔内の滞留延長による固形分の構造変化等の複数の要因の総和によって、固形分の析出が抑制されることにより引き起こされるものと推察される。ここで、構造変化は、化学変化物理変化の両方の効果が加味されていると推察される。即ち化学変化としては、固形分中のオリゴマーのグリコリシスによる低分子量化によりグリコールへの溶解性の向上および結晶性低下等が起こり、また、物理変化としては、固形分の結晶性等の変化が考えられる。また、蒸留塔液循環法の実施は、ライン詰りの抑制に加えて分留精度の向上にも繋がる。

0075

上記蒸留塔においては、残留分の液温や当該温度範囲の設定、蒸留塔底部の残留分の貯留容量、循環液の戻し位置や循環量等が重要となる。これらの条件は限定されないが、以下の方法が好ましい。例えば、循環液の戻し位置は、蒸留塔の中段から蒸留塔底部の残留分の貯留部の最上部が好ましい。蒸留精度向上の点では蒸留塔の中段への戻しが好ましいが、温度管理の点では不利になる。具体的には、両者のバランスにおいて適宜決定される。また、循環液の蒸留塔への供給は、当該液を噴霧状態で供給することによるのが好ましい。この態様によって、分留効率の増進や蒸留塔トレイの飛沫同伴による汚染防止効果が付加される上に、供給液量を安定させることができ、循環液の流量変動による循環ライン詰まり発生が抑制できる。さらに、循環ライン内での詰まり発生防止のために循環ラインの配管内面バフ研磨電解研磨処理をしたり、配管の曲がり半径を大きくする等の対応をすることが好ましい。循環に用いるポンプリバース形とノンリバース形のどちらでもよいが、リバース形が好ましい。貯留量は循環量に対し25〜70質量%に保つことが好ましく、循環量は残留分の30〜75質量%が好ましい。また、循環液温度は160〜180℃が好ましく、164〜173℃がより好ましく、168〜175℃がさらに好ましい。温度が160℃未満の場合はライン詰り頻度が高くなる場合がある。逆に180℃を超えた場合は、エネルギーロスの増加に繋がり経済的に不利となった蒸留精度の低下に繋がり得る。当該温度維持温度制御のために、循環ラインに温度調整機能を付加するのが好ましい。

0076

上記蒸留塔による分留の条件は限定されず、それぞれの蒸留塔の性能や必要とされる分留精度等により適宜設定すればよい。例えば、精製された回収グリコール中に水分が含まれるとエステル化反応が影響を受け、最終的には共重合ポリエステルの品質に大きく影響するので、水分量を制御するのが好ましい。回収グリコール中の水分量やその変動は、共重合ポリエステルの品質や経済性を考慮して適宜設定すればよい。制御方法も限定されない。

0077

一方、リン化合物を添加した以降の反応段階より留出する留出物(B)からは、水を主体とした低沸点留分とポリエステルオリゴマーやリン化合物等を含む高沸点留分を分留除去し、得られた中留分(B’)を回収グリコールとして循環再使用することが好ましい。
留出物(B)については、従来技術の様に、留出物(A)と同様に低沸点留分のみを分留除去し、残留分を共重合ポリエステル製造用のグリコールの一部または全量として再使用すると、回収グリコールにリン化合物が混入して、共重合ポリエステルに残存するリン原子の量が設計値から変動する。その結果、静電密着性や触媒活性が不安定になり、品質や操業性に悪影響を及ぼす場合がある。
それに対して、留出物(A)も留出物(B)と同様に低沸点留分と高沸点留分の両方を分留除去した中留分を再使用する場合は、留出物(A)の処理が過剰となり、設備や運転経費の増大に繋がり経済的に不利となり好ましくない。一般に、留出物(A)は留出物(B)に比して量が多いので、本発明の方法である両者を区分して回収処理を実施することによる経済的効果は大きい。

0078

従って、前述のごとくリン化合物を第1エステル化反応槽出口以降で添加をすることが好ましい実施態様である。

0079

上記の中留分(B’)の分留は1基の蒸留塔を用いて低沸点留分と高沸点留分とを同時に分留除去する方法で実施してもよいし、前述した留出物(A)の分留と同様の方法により先ず低沸点留分を除去し、得られた残留分を別の蒸留塔に供給して、高沸点留分を除去する多段蒸留法で実施してもよい。後者の態様の方が効率的な分留ができ、また、運転経費の低減にも繋がる。後者の態様で実施する場合の高沸点留分を除去する蒸留塔の段数は、20〜30段が好ましい。還流比は、蒸留塔の段数や回収グリコールの要求品質により適宜設定すればよい。

0080

本発明において、エステル化反応槽からの留出物の低沸点留分の分留除去は、留出物自体が有する熱により連続的に行うことが好適である。このことにより、運転経費の節減と設備の簡略化をより高めることができる。必要に応じて、配管の加熱や熱交換により補助加熱してもよい。なお、エステル化反応槽より留出するグリコール成分に含まれる固形分は融点が低く、エステル化反応工程で反応系に溶解、反応してポリエステルに取り込まれるので除去する必要はない。但し、前述した蒸留塔液循環法等による固形分析出を原因とする蒸留残留分の送液ラインの詰り防止を行うことが好ましい。

0081

上記方法で回収精製されたグリコール成分の再使用方法は限定されないが、グリコール貯槽に蓄えた後に、共重合ポリエステル製造用のグリコール成分として再使用するのが好ましい。留出物(A)および(B)からの回収グリコールはそれぞれ別個の貯槽に蓄えてもよいし、一括して蓄えてもよい。また、回収されたプラントで使用してもよいし、別プラントで使用してもよい。また、留出物(A)の場合は、蒸留塔下部の体積を大きくしてこの部分に貯留をしてもよい。

0082

上記方法で回収されたグリコール成分は、精製された回収グリコールをそのままスラリー調製に用いてもよい。回収されたグリコール成分は、その組成を測定した上で、必要に応じて新規のグリコール成分を所定量混合し、スラリー調製に必要な所望の組成を有するグリコール成分とした上で、スラリー調製槽に供給してもよい。回収グリコールのグリコール組成評価は、ガスクロマトグラフィー分析近赤外線分光法およびNMR分析法等から選ばれた方法で行うのが好ましい。

0083

上記方法で回収されたグリコール成分の一部は、工程2における第2段階以降のエステル化反応に供給することが好ましい。

0084

また、本発明においては、ネオペンチルグリコールを含むグリコール成分の追加供給方法として、リン化合物を添加する前の反応段階より留出したグリコールを蒸留塔で分留して得た残留分(A’)の一部を、工程2(エステル化反応)へ供給してもよい。これにより、グリコール組成が適切となり得られる共重合ポリエステル組成の変動抑制効果が向上する。また、当該残留分は加温状態になっており、反応槽へ供給した時の熱ショックが抑制され反応の安定化に繋がる。従って、新規グリコール成分を供給する場合に必要なグリコール組成の調整や加温操作が不要となる。

0085

(工程2のまとめ)
本発明の工程2(エステル化反応)は、直列に連結した2以上のエステル化反応槽で行なう。具体的には、図1の様に複数のエステル化反応槽を設け、各反応槽での液面が一定となる様に反応液の供給と抜き出しをし、次の反応段階における反応槽へ反応液を供給する。エステル化反応の最終段階を経た反応液は、続いて工程3(重縮合反応)へ供給される。なお、本発明においては、工程2や工程3を通じて、或いはこれらを連結するパイプ等において、オリゴマーやポリマーをフィルターにより濾過することが好ましい。これにより、反応物の清澄度を高めることができる。ここで使用できるフィルターの目開き、構造、容量および設置場所等は、特に限定されない。

0086

工程3)重縮合反応工程
工程2のエステル化反応を経た反応液は、引き続き重縮合反応槽に移送して重縮合反応を行う。
重縮合反応工程における反応槽の個数やサイズは限定なく適宜選択できる。また、各工程の製造条件は、前記した重縮合触媒や静電密着性向上のための添加剤の種類や量、反応槽の個数やサイズ等により適宜選択できる。

0087

例えば、図1の様に複数の重縮合反応槽を設け、各反応槽での液面が一定となる様に反応液の供給と抜き出しをし、次の反応段階における反応槽へ反応液を供給する。
重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は10〜2.7KPa、好ましくは2.7〜0.27KPaで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は1.3〜0.13KPa、好ましくは0.65〜0.065KPaである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件とする。これらの重縮合反応工程の各々において到達される固有粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
本発明における重縮合反応の条件は、共重合ポリエステルの品質や生産性を考慮し適宜設定すればよい。

0088

工程3でもグリコール成分が留出するため、これを回収精製して再利用することが好ましい。この回収精製の詳しい条件等は、上記工程2と同様にすることができる。
但し、重縮合反応槽からの留出物は、湿式コンデンサーで冷却凝縮して回収されるので、加熱して蒸留塔に供給することが必要となる。また、重縮合反応槽より留出する留分に含有される固形分は融点が高く、これが回収グリコールに含有されたままポリエステル製造工程に循環されると、ポリエステル製造工程でポリエステルに反応せずに異物の発生に繋がる場合があるので好ましくない。従って、かかる固形分を回収グリコールに混入させない方策取り入れるのが好ましい。その様な方策は限定されないが、湿式コンデンサーで冷却凝縮して回収された凝縮液中の固形分を除去し蒸留塔に供給するのが好ましい。該固形分の除去方法も限定されない。例えば、濾過、遠心分離あるいは自然沈降等およびこれらを組み合わせた方法で実施するのが好ましい。

0089

本発明における以上の方法で回収された回収グリコールの使用割合は制限がなく、適宜設定して使用することができる。その全量を用いてもよいし、その一部のみを用いてもよい。

0090

また、本発明においては、必要に応じて、工程内外において未精製または精製グリコールに対して濾過等の処理を行うことにより共重合ポリエステルオリゴマー等の固形分を除去し、配管詰りを回避したり、純度を向上させる等の方法を取り入れることも好ましい実施態様である。

0091

工程3の最終段階で得られた共重合ポリエステルを、減圧下あるいは不活性ガス気流下で加熱してさらに重縮合を進めたり、共重合ポリエステル中に含まれている環状3量体等のオリゴマーやアセトアルデヒド等の副生成物を除去する等の手段を取ることも、何ら制約を受けない。また、例えば超臨界圧抽出法等の抽出法で共重合ポリエステルを精製し前記の副生成物等の不純物を除去する等の処理を行うことを取り入れても良い。さらに、最終段階の反応槽の出口に、平均孔径が20μm程度のフィルターを設置して、共重合ポリエステルを濾過してもよい。

0092

工程4)チップ化工程
工程3の重縮合反応工程経た溶融状態の共重合ポリエステルは、引き続きダイヘッドからストランド状に吐出し、水よりなる冷却槽で冷却、固化後チップ状に切断して得られる共重合ポリエステルチップ(以下、単にポリエステルチップと称する)を空送によりポリエステルチップ貯蔵サイロに移送しポリエステルチップを貯蔵するのが好ましい。さらに本発明では、該チップ化工程において、該チップ化直後からポリエステルチップ貯蔵サイロに入るまでの間に該ポリエステルチップを実質的に滞留させること無しに連続的に脱水し、かつ上記の貯蔵サイロに除湿気体を流通させることによりポリエステルチップの乾燥を行うことが好ましい。

0093

上記対応により、ポリエステルをチップ化、該チップの移送および該チップの貯蔵という、いわゆるポリエステルチップの製造および貯蔵工程において、ポリエステルチップの脱水および乾燥を行うことにより成型加工が可能な水分率に低減されるので、通常実施されている後続の乾燥機を用いた乾燥工程を省略することができる。したがってポリエステル成型体の製造におけるポリエステルチップの乾燥に必要なエネルギー消費量とコストを大幅に低減できる。

0094

本発明におけるチップ化手段は、重縮合反応装置より押し出された溶融状態のポリエステルが吐出口金よりストランド状に吐出し、水よりなる冷却槽で冷却、固化後にチップ状に切断されるのが好ましい。冷却水には、水中の菌類藻類の増殖を防ぐ薬品等を任意に加えてもよい。また、冷却槽を出てからカッター間で、走行するストランドを弾性ロールに挟んで通過させることによりストランドに付着している水分の水切りを行ってもよい。この場合、弾性ロールとスロランドの接触圧を任意に変化させ、ストランドの走行速度を低下させることなく水切りを調整できるものが好ましい。弾性ロールの材質や硬度は限定されない。エラストマープラストマーおよびゴム等から柔軟性ポリマーからなるものが挙げられる。形状も限定されないが、スポンジ状のものが好ましい。また、該水切りの前後において、走行するストランドに空気等の気体を吹き付けて付着水を吹き飛ばし水切りの効率を上げてもよい。例えば、ストランドの走行部分にノズル等の吐出部を設けて気体を吹き付けるのが好ましい。また、減圧吸引によって実施してもよい。また、これらの方法を組み合わせて実施してもよい。該対応により切断後のポリエステルチップの水分率を上記範囲にすることが可能となる。本発明においては、切断後のポリエステルチップを遠心分離なお、切断時のポリエステルは完全に固化されている必要はなく、チップ化した後に冷却固化してもよい。

0095

本発明においては、上記方法でチップ化されたポリエステルチップを空送によりポリエステルチップ貯蔵サイロに移送される。

0096

上記空送は圧送式または吸引輸送装置により、減圧または加圧状態に保ちつつ輸送するのが好ましい。該方法で空送することにより、ポリエステルチップの移送と共に、該移送工程にポリエステルチップの水分率を減少させることができる。減圧または加圧状態に保ちつつ移送する距離は、ポリエステルチップの水分率の低減効果発現する観点からは3メートル以上さらには、10メートル以上とするのが好ましい。加圧状態に保ちつつ移送する方法が好ましい。

0097

本発明においては、上記の空送を2工程以上に分割して行うことが好ましい。さらに、該方法において、上記空送ライン間の接続部分にサイクロン分離機を設けて、固/気分離を行い空送に用いた気体を系外に放出することがより好ましい実施対応である。該対応により、空送中にポリエステルチップよりの水分を吸湿した空送気体を逃してやり、引き続き行う空送工程の空送用の気体は新規な気体を取り入れて行うのが好ましい。該対応により該空送工程におけるポリエステルチップの水分率の低減効果を増進することができる。

0098

該空送工程において空送に用いる気体の温度を高めることにより該工程における水分率の低減度を高めてもよい。

0099

上記方法におけるチップ輸送能力はチップ化設備のチップ化能力と等しいかまたはこれを上回る必要があり、チップ化能力に対し、1.5〜2.5倍の能力があるものが好ましい。

0100

本発明においては、上記の該チップ化直後からポリエステルチップ貯蔵サイロに入るまでの間に該ポリエステルチップを実質的に滞留させること無しに連続的に脱水するのが好ましい。

0101

ポリエステルチップ表面に付着した水分は経時によりチップ内部に浸透していく。該ポリエステルチップ内部に浸透した水分は、表面付着水に比べて乾燥除去に大きなエネルギーを要する。従って、表面付着水をチップ内部に浸透する前にできるかぎり除去しておくのが好ましい。従って、上記の脱水処理はチップ化直後に行い、かつ滞留させることなく連続して脱水処理を行い、該脱水処理されたチップを空送するのが好ましい。

0102

上記脱水処理は実質的に滞留させることなく連続して行うのが好ましい。前記した公知化されている一端貯槽に貯留させて脱水を行う方法は、該貯槽の設備や該貯槽を設置する設備のスペースが必要であり経済的に不利であるうえに、該滞留により表面付着水がチップ内部に浸透して行き水分除去のエネルギーの増大に繋がるので不利である。

0103

脱水方法は上記要件を満たせばその方法は限定されない。例えば、市販されているスクリュータイプ回転軸高速回転させながらポリエステルチップに遠心力と推進力を付与し遠心力で脱水を行う連続式の遠心脱水機を用いてもよいが、該方法はポリエステルチップ同士の衝突磨耗によるファインの発生が増大するという課題がある。従って、ポリエステルチップを空気で搬送し、該搬送部に金網等の空気透過部を設けて含水空気を逃して脱水する連続式の脱水装置を用いて行うのが好ましい実施態様である。該方法においては、搬送用の空気と別の空気流を該脱水機の途中で吹き付けて脱水効率を上げるのが好ましい。該脱水に用いる空気は室温でよいが、必要に応じて加温して行ってもよい。

0104

本発明においては、上記脱水処理によりポリエステルチップの水分率を150100〜1000ppmとして貯槽サイロに供給するのが好ましい。該対応により後述する後続の貯槽サイロによるポリエステルチップの乾燥の安定化ができる。

0105

脱水処理後の水分率を上記範囲に安定化する方法は限定されないが、上記脱水処理に供給するポリエステルチップの表面温度を40℃から該ポリエステルチップのガラス転移温度に制御することが好ましい。該表面温度がポリエステルチップのガラス転移点温度を超えた場合は、ポリエステルチップ同士のブロッキングの発生に繋がるので好ましくない。逆に、40℃未満ではポリエステルチップの脱水や乾燥効率が低下して貯槽サイロの入、出口のポリエステルチップの水分率の変動に繋がるので好ましく。前記方法で冷却固化されたポリエステルチップは表面温度を上記範囲にしてもチップ内部の温度は該温度よりも高い。当然であるが該表面温度に比例して内部温度も高くなる。従って、表面温度を高めることでチップ表面に付着した水分の脱水効率が上がると共に、該表面付着水のチップ内部への浸透が抑制されるので、脱水および乾燥効率の向上に繋がる。ポリエステルチップ同士のブロッキング防止との兼ね合いで上記範囲が好ましいといえる。

0106

上記のポリエステルチップの表面温度の制御は限定されないが、前述したストランドを冷却する冷却槽の長さや該冷却槽に用いる水の温度等を変化させることにより制御するのが好ましい。

0107

本発明においては、上記方法で空送されたポリエステルチップは貯蔵サイロに供給されて貯蔵される。本発明においては、該ポリエステルチップの貯蔵サイロを利用して、ポリエステルチップの乾燥を進めて、成型加工が可能な水分率に低減することが好ましい。すなわち、該貯蔵サイロより取り出されるポリエステルチップの水分率が10050ppm以下であることが好ましい。8040ppmがより好ましく、6030ppmがより好ましい。該水分率にすることで、従来技術で実施されてきている乾燥機を用いたポリエステルチップの乾燥工程が省略して直接成型加工が可能となる。水分率の下限は0ppmが最も好ましいが、コストパフォーマンスより3ppm以上が好ましい。

0108

上記水分率を達成するには、貯蔵サイロに除湿気体を流通させることにより行うのが好ましい実施態様である。該除湿気体は露点がー70℃以下が好ましい。ー75℃以下がより好ましい。また、該除湿気体の温度は室温から40℃程度の温度で行うのが好ましい。乾燥の点においてはより高温にした方が好ましいがポリエステルチップ同士のブロッキング発生を抑制する点より上記範囲が好ましい。

0109

本発明においては、上記の除湿気体として、窒素ガス製造で発生する廃ガスを用いるのが好ましい。一般に、ポリエステルの製造工程においては、該製造工程で使用する窒素ガスを確保するために、ポリエステルの製造工程には、窒素ガスの製造プラントが併設されている。本発明の方法は、該窒素製造工程で発生する廃品である廃ガスを有効利用しており、この点においても経済的に有利である。さらに環境負荷低減にも繋がる。また、該廃ガスは、一般には除湿された状態で得られるので、上記の露点を満たすための除湿工程が省略されるのでさらなるコスト低減に繋がる。

0110

本発明における上記の貯蔵サイロにおける除湿気体の流通方法や流通方法は限定されないが、例えば、除湿気体は貯蔵サイロの下部より上部へ流通させるのが好ましい。また、該除湿気体の供給は貯蔵サイロ内に均一に流通されるように複数の廃ガス口から流通させる、サイロ下部にインナーパイプを設け廃ガスを流通させる等の工夫をすることが好ましい。また、チップ偏析対策として、偏析が発生しやすいサイロ下傾斜部に複数のチップ抜き出し口を設ける、サイロ内部を多段構造にすることにより上部から空送されたチップが直ぐに下部へ行くことを防ぐ等の工夫をすることが好ましい。

0111

本発明においては、例えば、窒素製造装置故障等で該廃ガスの供給が停止した場合は、該廃ガスの代わりに除湿された空気や窒素ガス等を用いて行ってもよい。また、廃ガスの供給量が不足した場合は、除湿された空気や窒素ガス等を廃ガスに混合して実施しても構わない。

0112

上記貯蔵サイロは2基以上を設けて、切り替えにより連続生産を対応してもよい。

0113

前述の特許文献3において中間的なチップ貯槽に滞留させて、該チップ貯槽に除湿気体を供給することによりポリエステルチップの吸湿防止を図る方法が開示されおり本発明の方法と類似しているが、技術思想が異なっており、かつ、ポリエステルチップ中の水分率も120±50pmmであり成型加工が可能な水分率には低減されていない。

0114

本発明方法で製造された共重合ポリエステルの固有粘度は、0.7〜0.8とすることが好ましい。当該範囲の固有粘度を有する共重合ポリエステルを用いて得られる成型体は、力学特性と成型時の操業性とのバランスが取れる。なお、かかる固有粘度は、常法により測定することができる。例えば、フェノール/テトラクロロエタン(60:40、重量比混合溶媒を用いて、30℃で測定することができる。
また、本発明方法で得られる共重合ポリエステルは、静電密着性等の特性に優れ、また、粗大粒子の含有量が少ない高品質なものであり、特にフィルムやシート等の材料として非常に有用である。

0115

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、下記実施例における評価は、以下の方法で実施した。

0116

1.固有粘度(IV)の測定
フェノール:テトラクロロエタン=60:40(重量比)の混合溶媒を用いて、30℃で測定した。

0117

2.ポリマー溶融比抵抗(ρi)
275℃で溶融した共重合ポリエステル中に2枚の電極板を置き、120Vの電圧を印加した時の電流値(i0)を測定し、比抵抗値ρiを次式により求めた。
ρi(Ω・cm)=A/l×V/ i0
ここで、A=電極面積(cm2)、l=電極間距離(cm)、V=電圧(V)である。

0118

3.静電密着性
押出機口金部と冷却ドラムとの間にタングステンワイヤー製の電極を設け、電極とキャスティングドラム間に10〜15KVの電圧を印加してキャスティングを行い、得られたキャスティング原反の表面を肉眼で観察し、ピンナーバブルの発生が起こり始めるキャスティング速度で評価した。キャスティング速度が大きいポリマー程、静電密着性が良好であることを示す。

0119

4.共重合ポリエステルの組成比
サンプル約5mgを、重クロロホルムトリフルオロ酢酸=9:1(体積比)の混合溶媒0.7mlに溶解し、1H−NMR(Varian製、UNITY500)を使用して求めた。

0120

5.回収グリコール成分の組成分析
試料液に30容量%のジメチルスルホキサイドを添加し、1H−NMRおよび13C−NMR測定を行い評価した。

0121

6.回収グリコール成分中のリン原子含有量の定量
試料硝酸マグネシウム共存下、550℃で灰化後、1.2M塩酸溶液としてから高周波プラズマ発光分析法により定量した。

0122

7、回収グリコール中の水分量
試料中の水分量に見合った量の試料をマイクロシリンジあるいは注射器採取し、電子天秤で精した後、KF水分率計(京都電子工業(株)製、MKC−210を用いて水の量を測定し、試料に対する質量%として算出した。

0123

8.ポリエステル中の粗大粒子数(粒径5μm以上の粒子数
ポリエステルチップ(一粒)を2枚のカバーグラス間に挟んで280℃で溶融プレスし、急冷した後に100倍の位相差顕微鏡で20視野観察し、イメージアナライザーで5μm以上の粒子の数をカウントした。

0124

9、ポリエステルチップ中の含水率測定方法
約2gのポリエステルチップを精秤し、測定装置(三菱化学電量滴定水分測定装置VA−06型、CA−06型)に入れ、試料を230℃に加熱気化し、250ml/分の窒素流量気化した水分を測定セルに送る、セル内の電解液(アクアミクロンAX及びアクアミクロンCXU)に吸収された水分を電位差滴定により測定した。
実施例1
(1)スラリー調製
スラリー調製槽に、テレフタル酸1質量部;後述の方法で留出物(A)より回収した水分3.4質量%、エチレングリコール70.8質量%、ネオペンチルグリコール25.8質量%よりなる回収グリコール成分0.464質量部;および留出物(B)より回収された回収グリコール成分および/または新規のエチレングリコールと新規のネオペンチルグリコールよりなるエチレングリコール45.7質量%とネオペンチルグリコール54.3質量%からなる混合グリコール成分を0.325質量部入れた。ここへ、新規のエチレングリコールを0.044質量部ずつ供給し攪拌しながら、テレフタル酸のグリコールスラリーを調製した。なお、新規のネオペンチルグリコールは、ネオペンチルグリコールの溶融槽で溶融し、エチレングリコールと上記組成になるように混合槽で混合したものを、平均孔径が5μmのフィルターで濾過した上で、スラリー調製槽へ供給した。

0125

(2)エステル化反応
エステル化反応装置として、攪拌装置、蒸留塔、原料仕込口および生成物取り出し口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を使用した。上記(1)で調製したテレフタル酸のグリコールスラリー1651kg/時間と共に、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液(濃度1.3wt%)を41kg/時間、DEGを2kg/時間ずつ第1のエステル化反応槽に供給し、絶対圧122kpa、温度258℃、平均滞留時間6時間でエステル化反応を行った。

0126

第1のエステル化反応槽内の液面が一定となるように反応液を取り出し、第2のエステル化反応槽に投入した。第2のエステル化反応槽の別の投入口からは、後述方法で第1および第2エステル化反応槽より留出したグリコール成分を蒸留塔で分留して得た残留分(A’)を50kg/時間で投入し、絶対圧122kpa、温度247℃、平均滞留時間1.5時間でエステル化反応を行った。第1のエステル化反応槽出口のオリゴマー酸価は、平均値で1950eq/トンであった。

0127

第2エステル化反応槽内の液面が一定となるように反応液を取り出し、第3のエステル化反応槽に投入した。第3のエステル化反応槽の別の添加口からは、酢酸マグネシウム水和物のエチレングリコール溶液(濃度4.3質量%)を0.051質量部、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液(濃度5.9質量%)を0.018質量部、酢酸ナトリウムのエチレングリコール溶液(濃度1.0質量%)を0.009質量部、酢酸コバルト4水和物のエチレングリコール溶液(濃度1.76質量%)を0.003質量部ずつ投入し、圧力は常圧、温度253℃、平均滞留時間1.0時間でエステル化反応を行った。第3エステル化反応槽出口オリゴマーの酸価は、平均値で350eq/トンであった。

0128

(3)重縮合
上記第3エステル化反応槽内の液面が一定となるように反応液を取り出し、第1重縮合反応槽に投入して、圧力5.3kpa、温度261℃、平均滞留時間1.5時間で第1重縮合反応を行った。
第1重縮合反応槽内の液面が一定となるように反応液を取り出し、第2重縮合反応槽に投入した。圧力0.45kpa、温度272℃、平均滞留時間1.2時間で第2重縮合反応を行った。
第2重縮合反物の液面が一定となるように反応液を取り出し、第3重縮合反応槽に投入した。温度272℃、平均滞留時間1.2時間で、反応生成物の平均固有粘度が0.74となるように真空度(圧力)を調節した。圧力は0.06〜0.15kpaの範囲であった。
第3重縮合反応内の液面が一定となるように共重合ポリエステルをストランド状に取り出し、当該共重合ポリエステルを水冷却固化し、ストランドカッターペレット化した。なお、第3重縮合反応槽出口に平均孔径20μmのフィルターを設置して、共重合ポリエステルを濾過した。

0129

(4)チップ化および乾燥
重縮合反応で生産された溶融状態のポリエチレンテレフタレートに圧力をかけて2トン/時間の速度でストランド状に口金より押し出し、該ポリエステルを水冷却槽を通過させることにより冷却固化した。チップ化カッターでチップ化した。チップの重さは100個当たり3.2gであった。チップは楕円柱形であり、切断面の短径が2.5mm、長径が4.0mmの楕円状、非切断面の長さが3.2mmであった。

0130

該チップをカッターから排出後、ポリエステルチップを空気で搬送し、該搬送部に金網等の空気透過部を設けて含水空気を逃して脱水する連続式の脱水装置を用いて脱水し、引き続き圧送式輸送設備で空送した。風速12m3/分で輸送し、容量が600m3の貯蔵サイロに投入した。該貯蔵サイロに供給するポリエステルチップ中の水分率は100〜700ppmであった。搬送用の空気と別の空気流を該脱水機の途中でチップの進行方向と直角の方向より吹き付けて脱水効率を上げた。これらの空気は室温のものを用いた。また、カッターから排出後の脱水機に供給するポリエステルチップの表面温度は50℃であった。

0131

上記貯蔵サイロの下部より窒素ガス製造の際に発生する露点がー70〜ー90℃、温度が90〜100℃の廃ガス200m3/時間の流量で導入して貯蔵サイロの塔頂より大気中に放出した。該貯蔵サイロにおけるポリエステルチップの最低滞留時間は96時間とした。該貯蔵サイロより抜き出したポリエステルチップの水分率は5〜50ppmであった。得られたポリエステルチップ中の水分率は低く乾燥をすることなく成型加工に供給することができた。また、該廃ガスの供給は貯蔵サイロ内に均一に流通されるように複数の廃ガス口から流通させ、チップ偏析防止のために偏析が発生しやすいサイロ下傾斜部に複数のチップ抜き出し口を設けた。

0132

10日間連続運転し、12時間毎に共重合ポリエステルのサンプルを得た。これらサンプルの性質を上記方法により測定したところ、固有粘度は0.73〜0.75、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコールの含有量は28〜32モル%、溶融比抵抗は0.17〜0.19×108Ω・cm、5μm以上の粒子数は42〜48個であった。また当該共重合ポリエステルのDEGの含有量は1.5モル%、酸価は13eq/トン、融点(流動点)は181℃、テレフタル酸とエチレングリコールの環状3量体の含有量は3700ppm、テレフタル酸とネオペンチルグリコールの環状2量体の含有量は200ppmであった(何れも平均値)。結果を表1に示す。当該結果の通り、本実施例で得られた共重合ポリエステルは高品質で、しかも品質変動が抑制されていた。

0133

(5)グリコール成分の回収
上記(1)〜(3)に示した共重合ポリエステル製造工程におけるグリコール成分の流れを図1に示す。
第1エステル化反応槽3および第2エステル化反応槽4より留出する留出分(留出分A)を、段数が15段の泡鐘タイプの蒸留塔9に、第3エステル化反応槽5および3基の重縮合反応槽6〜8よりから留出する留出分(留出分B)を、段数が9段の泡鐘タイプの蒸留塔10に供給し、水を主体とする低沸点留分を除去した。両蒸留塔ともに、底部より取り出される残留分の一部を、それぞれの蒸留塔の中間部に循環させた。当該循環液の温度は、168℃近辺で安定していた。これら蒸留塔9と10では、塔頂の圧力を100kPa±1.3%以内に制御した。この圧力は、蒸留塔ベント配管に設置した調圧弁で制御した。なお、エステル化反応槽3〜5からの留出分に関しては、蒸留に必要な熱は留出分自体が有する熱量で足りるので加熱の必要はなかった。かかる循環によって、蒸留塔底部より取り出される残留液(本実施例の場合は回収グリコール成分)の送液ラインの詰まりは発生しなかった。

0134

蒸留塔9は、7段目に設置した温度検出器で検出した温度が130±2℃になるよう制御した。得られた残留分はグリコール成分貯層15に供給した。得られた回収グリコール成分の組成は、平均値で水分3.4質量%、エチレングリコール70.8質量%、ネオペンチルグリコール25.8質量%であった。得られた回収グリコール成分をスラリー調製に用いた。また、前述のごとくその一部を第2エステル化反応槽に供給した。
蒸留塔10において、水を主体とする低沸点留分が除去されており、蒸留塔底部より取り出される残留液は、高沸点留分除去用の25段の蒸留塔14に供給した。蒸留塔14で高沸点留分を留去した回収グリコール成分中の水分は0.1wt%以下、DEG成分は0.2wt%であり、特にリン原子含有量は1.3ppmまで低減できた。この回収グリコール成分へ新規ネオペンチルグリコールを添加してネオペンチルグリコール含有量を54.3質量%に調節した後、回収グリコール成分貯槽16に貯留し、スラリー調合の原料の一部とした。

0135

3基の重縮合反応槽6〜8から留出する留出分は、減圧系で発生するため各反応槽に設置された湿式コンデンサー11〜13で凝縮して、グリコール成分凝液貯槽17〜19へ供給した後に蒸留塔10に供給する。そのために、熱交換器23において、蒸留に必要な熱量がグリコール成分凝縮液へ付与される。また、湿式コンデンサーに噴霧されるグリコール成分液の温度の上昇を抑えるために、グリコール成分液を冷却器20〜22で冷却した上で、湿式コンデンサーに供給する。このグリコール成分液は、各湿式コンデンサーで凝縮された凝縮液自体の自己循環で実施されるが、その一部または全部として新規エチレングリコールを供給してもよい。

0136

比較例1
実施例1の方法において、蒸留塔10の塔底留分を蒸留塔14に供給した後に高沸点留分の除去処理を行うことなくグリコール成分貯槽15に供給するように変更する以外は実施例1と同様にして重縮合を行って、共重合ポリエステルを得た。本比較例1に係る共重合ポリエステル製造工程におけるグリコール成分の流れを図2に示す。
蒸留塔10の塔底留分を分析したところ、リン原子が200ppm含まれていた。また、本比較例で得られた共重合ポリエステルの性質を、上記方法により測定した。結果を表2に示す。
溶融比抵抗の平均値は0.88×108Ω・cmと高く、最大キャスティング速度は28m/分であり、静電密着性が著しく劣っていた。また、当該共重合ポリエステルの溶融比抵抗を実施例1と同様の方法で求めたところ、その変動範囲は表2の通り0.78〜1.05×108Ω・cmであり、著しく劣っていた。本比較例において、静電密着性が低下し且つ溶融比抵抗の変動が増大するのは、回収グリコール成分中のリン化合物が重縮合系に循環されるために引き起こされたものである。

0137

比較例2
実施例1の方法において、回収グリコール成分を第2エステル化反応槽へ供給しない以外は実施例1と同様にして、比較例2の共重合ポリエステルを得た。結果を表2に示す。表2の通り、10日間連続運転をした時の共重合ポリエステル特性の平均値は同等であったが、12時間毎に測定した時のネオペンチルグリコール含有量の変動範囲は26〜34モル%であり、実施例1の方法に比べて劣っていた。

0138

比較例3
実施例1の方法において、第2エステル化反応槽温度を260℃に変更する以外は、比較例1と同様の方法で実施した。その結果、第2エステル化反応槽の発泡が多く、長期の安定生産が困難であった。

0139

比較例4
実施例1の方法において、新規のネオペンチルグリコールをスラリー調製槽へ供給するに当り溶融濾過することなく、固体状態のままスラリー調製槽へ直接添加するように変更する以外は実施例1と同様の方法で、共重合ポリエステルを製造した。結果を表2に示す。表2の通り、本比較例で得られた共重合ポリエステルは粗大粒子の量が多く低品質であった。

0140

比較例5
比較例1の方法において、蒸留塔9および10に設けた蒸留塔底部より抜き出した残留分の蒸留塔への循環ラインを取り外し、循環を取りやめて残留分の全量をそれぞれの供給先に送液するように変更した。本比較例で実施した場合は、比較例1の方法での課題に加えて、蒸留塔底部から抜き出した残留分の送液ラインにおいて、時々固形分析出によるライン詰りが起こり、長期に渡り安定生産をすることが困難な場合があった。よって、蒸留塔における留出グリコール成分の精製では、蒸留塔残留液の一部を循環することがより好ましいということが明らかとなった。

0141

比較例6
実施例2の方法において、グリコール成分の回収方法を比較例1と同様の方法に変更する以外は実施例2と同様にして、比較例6の共重合ポリエステルを得た。その結果、回収グリコール成分中に存在するリン化合物の影響で、比較例1方法における課題に加えてチタン触媒失活が起こり、固有粘度が0.50で頭打ちになり所定の固有粘度の共重合ポリエステルは得られなかった。

0142

比較例7
実施例1の方法において、脱水処理を行うことなくチップカッターでチップ化したチップを直接空送するように変更する以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルチップを製造した。得られたポリエステルチップのポリエステルチップ貯蔵サイロに供給するポリエステルチップ中の水分率は500〜2000ppmであり、貯蔵サイロより取り出されるポリエステルチップの水分率が80〜250ppmであり、成型に用いるにはポリエステルチップの乾燥が必要であった。

0143

比較例8
実施例1の方法において、貯蔵サイロへの廃ガスの導入を取りやめる以外は、実施例1と同様の方法で貯蔵サイロに滞留させた後に貯蔵サイロより抜き出したポリエステルチップの水分率は500〜2200ppmであり、成型に用いるにはポリエステルチップの乾燥が必要であった。

0144

実施例2
実施例1の方法で、回収グリコール成分の第2エステル化反応槽への供給を取りやめ、代わりに新規のネオペンチルグリコール/エチレングリコール=73/27の混合溶液(質量比)を50Kg/時間で供給するように変更する以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の共重合ポリエステルを得た。結果を表1に示す。表1の通り、実施例1と同等の特性の共重合ポリエステルが安定生産できた。

0145

実施例3
実施例1の方法において、(1)溶融状態のネオペンチルグリコールを平均孔径が5μmのフィルターで濾過した後にエチレングリコールと混合し、当該混合溶液は濾過せずスラリー調製槽に導入したこと、および(2)第3エステル化反応槽より留出したグリコール成分の蒸留塔10による分留を取り止め、全量を凝縮器16で凝縮し、全重縮合反応槽より留出したグリコール成分の凝縮液とを併せて、段数が30段の蒸留塔15を用いて分留し、低沸点留分および高沸点留分をカットした中留分を回収グリコール成分貯槽18に貯留しスラリー調合の原料の一部とするように変更する以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の共重合ポリエステルを得た。
得られた共重合ポリエステルの品質は、表1に示す通り、実施例1で得られた共重合ポリエステルと同等の品質を有しており高品質であった。なお、上記中留分のリン原子含有量は1.8ppmと十分に抑制されていた。本実施例4における共重合ポリエステル製造工程におけるグリコール成分の流れを図3に示す。

0146

実施例4
実施例1の方法において、ストランドの冷却槽の冷却を強化してカッターから排出後の脱水機に供給するポリエステルチップの表面温度は30℃にする以外は、実施例1と同様にしてポリエステルチップを得た。本実施例の方法においては実施例1の方法に比べて脱水および乾燥効率が低下し、脱水機出口および貯槽サイロ出口におけるポリエステルチップの含水率の変動範囲が大きくなり貯槽サイロ出口で水分率が100ppmを超えることが時々起こることがあり、ポリエステルの水分率管理を厳しくすることが必要な成形においては乾燥不足によるトラブルが発生することがあり、実施例1の方法より、長期運転におけるポリエステルチップの乾燥に対する信頼性がやや劣っていた。

0147

0148

0149

本発明による共重合ポリエステルの連続製造方法は、異物混入が抑制されているので、清澄度の高い共重合ポリエステルを得ることができる。また、本発明に係る製造方法は、連続重縮合法において長期にわたり連続生産をしても、共重合組成等の品質変動が抑制されており且つ工程トラブルが抑制されているので、高品質な共重合ポリエステルが品質変動を抑制した形で安定生産できるという利点を有する。さらに、本発明に係る製造方法は、共重合ポリエステルの品質、特に静電密着性や重縮合活性を低下させることなく、製造途中で留出するグリコール成分を製造装置に連結した蒸留塔により経済性の高い方法で分留し、回収されたグリコール成分を循環再使用することができるので経済性が高い。その上に、本発明においては、上記製造方法において溶融共重合ポリエステルを水冷固化する冷却槽、該水冷固化したポリエステルをチップ状に切断する切断装置、該切断されたポリエステルチップを空送する空送装置および該ポリエステルチップを貯蔵する貯蔵サイロよりなるポリエステルチップの製造方法を導入し、さらに該工程において、ポリエステルチップの連続脱水工程の導入およびポリエステルチップの貯槽サイロに除湿気体を流通させるという簡便でかつ、少ないエネルギー供給により、ポリエステルチップを溶融成型するに際して必要な水分率である10050ppm以下までの乾燥が実施できるので、従来技術で実施されてきている乾燥機を用いたポリエステルチップの乾燥工程の省略可能となり、ポリエステル成型体の製造におけるポリエステルチップの乾燥に必要なエネルギー消費量とコストを大幅に低減できる。また、本発明においては、該乾燥に用いる流通気体として窒素ガス製造工程で発生する廃品である廃ガスを有効活用しており、環境負荷や経済性において有利である。従って、産業界に寄与することが大である。

図面の簡単な説明

0150

実施例1に係る共重合ポリエステル製造工程におけるグリコール成分の流れを示す図である。
比較例1に係る共重合ポリエステル製造工程におけるグリコール成分の流れを示す図である。
実施例3に係る共重合ポリエステル製造工程におけるグリコール成分の流れを示す図である。

符号の説明

0151

1:計量タンク
2:スラリー調製槽
3:第1エステル化反応槽
4:第2エステル化反応槽
5:第3エステル化反応槽
6:第1重縮合反応槽
7:第2重縮合反応槽
8:第3重縮合反応槽
9、10、14、15:蒸留塔
16:凝縮器
11〜13:湿式コンデンサー
17、18:回収グリコール成分貯槽
19〜22:グリコール成分凝縮液貯槽
23〜25:冷却器
26:熱交換器
27〜44:ポンプ

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