図面 (/)

技術 単結晶引上げ装置用高温部材、その高温部材を配備してなる単結晶引上げ装置及びその高温部材の製造方法

出願人 東洋炭素株式会社
発明者 山地雅俊蜜石雅行
出願日 2008年5月7日 (12年2ヶ月経過) 出願番号 2008-121323
公開日 2008年9月25日 (11年9ヶ月経過) 公開番号 2008-222547
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 黒鉛リング 炭素質シート 下層基材 事前運転 部分コーティング 表面気孔 真空到達 炭素混入
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年9月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

高温部材寿命延長及び高品質結晶製造効率を向上させる単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法、単結晶引上げ装置用高温部材及び単結晶引上げ装置を提供する。

解決手段

炭素質基材の表面に熱分解炭素被覆した単結晶引上げ装置用高温部材の製造において、前記熱分解炭素の被覆層は、下層の炭素質基材が露出する開口部を有していて、前記開口部は、予め開口部を所望の形状に加工された可撓性シートにより形成されている。特に、炭素質基材の表面の一部に可撓性シートを密着した後化学反応操作を行って、前記炭素質基材の表面に該炭素質基材が露出する開口部を有する緻密質の被覆層が形成された高温部材を得ることが好ましい。なお、可撓性シートとして、可撓性炭素質シートを用いることが好ましい。

概要

背景

単結晶引上げ装置を代表するものの一つに半導体用シリコン単結晶引上げ装置があり、製法としては一般にチョクラルスキー法が広く採用されている。この方法では、例えば図5に示すような装置を用い、まず支持台41上の炭素質ルツボ42内に収容した石英ルツボ43内に多結晶シリコンを収容し、装置内を不活性ガス雰囲気とした後、ルツボ42の外周に配置したヒーター黒鉛発熱体)45によりルツボ42を加熱して多結晶シリコンを融解する。次に、このシリコン融解液44にシリコン種結晶46を浸し、これを回転させつつ上方に引き上げることにより種結晶46の下端単結晶シリコン47が連続的に成長するようにして製造されている。

シリコン単結晶引上げ装置内には、上記のようにルツボ42やヒーター45をはじめ高温度雰囲気に耐え得る部材、つまり高温部材(図5では符号48,49等が相当)として炭素質材料からなる部材(以下「炭素質基材」という)が汎用されている。しかし、炭素質基材は一般に多孔質であるため、表面の気孔内には加工時に発生した炭素質微粉末が残留しており、このため、炭素質基材を所定形状に加工しただけの高温部材を装置内に配備して使用した場合、その炭素質微粉末は炭素質基材より容易に離脱し、シリコン融解液44内に混入する。シリコン融解液44内に混入した炭素質微粉末はシリコン単結晶47の結晶欠陥を誘発するだけでなく、炭素質微粉末内には種々の金属を微量に含んでいるため、半導体電気特性をも大きく変化させてしまうことになる。

また、最近では引き上げられるシリコン単結晶47がますます大口径化する傾向にあり、それに伴い石英ルツボ43の中に一度に充填する原料としての多結晶シリコンの量が増え、それを溶解させるためにヒーター45の発熱量を大きくし、発熱温度を高め、炭素質ルツボ42への供給熱量をさらに増加する必要がある。そのため、装置の運転時における高温部材自体の温度、即ち炭素質基材自体の温度も高くなり、高温化した炭素質基材は、シリコン融解液44の上方で発生するSiOガスと反応し易いため、消耗劣化激しく、その使用回数が短くなるという問題があった。

本出願人は、かねてより炭素質基材からなる単結晶引上げ装置用高温部材に関する研究を進めており、その研究の一環として、上記問題を解決するための有力な手段となる、熱分解炭素被覆層(以下「被膜」という)を表面に施した炭素質基材からなる高温部材を開発した。この高温部材は、熱分解炭素の高緻密性ガス不透過性耐熱性等の特性に着目してこれを生かすべく開発されたものであり、高温部材のうち特に耐久性の面から改善要請の大きかったルツボとヒーターについては、「黒鉛基材表面に、高純度且つガス不透過性の緻密な熱分解炭素被膜を形成させて成ることを特徴とするシリコン単結晶引上げ装置用黒鉛ルツボ及びヒーター」として先に出願している(下記特許文献1参照)。即ち、この熱分解炭素被膜の形成により、下層基材である黒鉛反応性を抑制し、ひいてはケイ素(Si)又は一酸化ケイ素(SiO)との反応に基づく望ましくない現象を未然に防止し、黒鉛に亀裂が発生しにくくして高温部材であるルツボ及びヒーターの延命化を可能としたものである。

特開昭61−256993号公報

概要

高温部材の寿命延長及び高品質結晶製造効率を向上させる単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法、単結晶引上げ装置用高温部材及び単結晶引上げ装置を提供する。炭素質基材の表面に熱分解炭素を被覆した単結晶引上げ装置用高温部材の製造において、前記熱分解炭素の被覆層は、下層の炭素質基材が露出する開口部を有していて、前記開口部は、予め開口部を所望の形状に加工された可撓性シートにより形成されている。特に、炭素質基材の表面の一部に可撓性シートを密着した後化学反応操作を行って、前記炭素質基材の表面に該炭素質基材が露出する開口部を有する緻密質の被覆層が形成された高温部材を得ることが好ましい。なお、可撓性シートとして、可撓性炭素質シートを用いることが好ましい。なし

目的

本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、熱分解炭素の被膜を形成してなる単結晶引上げ装置用高温部材を使用することによる基本的な効果、即ち高温部材の寿命延長及び高品質単結晶の製造を確実に享受しながら、さらにその高品質単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化に貢献することができるような単結晶引上げ装置用高温部材、その高温部材を配備してなる単結晶引上げ装置及びその高温部材の製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

炭素質基材の表面に熱分解炭素被覆した単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法であって、前記熱分解炭素の被覆層は、下層の炭素質基材が露出する開口部を有していて、前記開口部は、予め開口部を所望の形状に加工された可撓性シートにより形成されたことを特徴とする単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法。

請求項2

前記可撓性シートを複数重ねることを特徴とする請求項1に記載の単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法。

請求項3

前記可撓性シートは、熱膨張黒鉛シートである請求項1又は2に記載の単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法。

請求項4

炭素質基材の表面に熱分解炭素を被覆してなり、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって、前記熱分解炭素の被覆層の一部に下層の炭素質基材が露出する開口部が形成されていることを特徴とする単結晶引上げ装置用高温部材。

請求項5

請求項4に記載の高温部材配備してなることを特徴とする単結晶引上げ装置

技術分野

0001

発明は、単結晶引上げ装置に関する技術であり、さらに詳しくはチョクラスキー(CZ)法等によるシリコン単結晶ガリウム砒素ガリウム燐、ガリウムインジウム燐等の化合物の単結晶引き上げる際に使用する優れた高温部材、該高温部材を配備した引上げ装置及びその高温部材の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

単結晶引上げ装置を代表するものの一つに半導体用シリコン単結晶引上げ装置があり、製法としては一般にチョクラルスキー法が広く採用されている。この方法では、例えば図5に示すような装置を用い、まず支持台41上の炭素質ルツボ42内に収容した石英ルツボ43内に多結晶シリコンを収容し、装置内を不活性ガス雰囲気とした後、ルツボ42の外周に配置したヒーター黒鉛発熱体)45によりルツボ42を加熱して多結晶シリコンを融解する。次に、このシリコン融解液44にシリコン種結晶46を浸し、これを回転させつつ上方に引き上げることにより種結晶46の下端単結晶シリコン47が連続的に成長するようにして製造されている。

0003

シリコン単結晶引上げ装置内には、上記のようにルツボ42やヒーター45をはじめ高温度雰囲気に耐え得る部材、つまり高温部材(図5では符号48,49等が相当)として炭素質材料からなる部材(以下「炭素質基材」という)が汎用されている。しかし、炭素質基材は一般に多孔質であるため、表面の気孔内には加工時に発生した炭素質微粉末が残留しており、このため、炭素質基材を所定形状に加工しただけの高温部材を装置内に配備して使用した場合、その炭素質微粉末は炭素質基材より容易に離脱し、シリコン融解液44内に混入する。シリコン融解液44内に混入した炭素質微粉末はシリコン単結晶47の結晶欠陥を誘発するだけでなく、炭素質微粉末内には種々の金属を微量に含んでいるため、半導体電気特性をも大きく変化させてしまうことになる。

0004

また、最近では引き上げられるシリコン単結晶47がますます大口径化する傾向にあり、それに伴い石英ルツボ43の中に一度に充填する原料としての多結晶シリコンの量が増え、それを溶解させるためにヒーター45の発熱量を大きくし、発熱温度を高め、炭素質ルツボ42への供給熱量をさらに増加する必要がある。そのため、装置の運転時における高温部材自体の温度、即ち炭素質基材自体の温度も高くなり、高温化した炭素質基材は、シリコン融解液44の上方で発生するSiOガスと反応し易いため、消耗劣化激しく、その使用回数が短くなるという問題があった。

0005

本出願人は、かねてより炭素質基材からなる単結晶引上げ装置用高温部材に関する研究を進めており、その研究の一環として、上記問題を解決するための有力な手段となる、熱分解炭素被覆層(以下「被膜」という)を表面に施した炭素質基材からなる高温部材を開発した。この高温部材は、熱分解炭素の高緻密性ガス不透過性耐熱性等の特性に着目してこれを生かすべく開発されたものであり、高温部材のうち特に耐久性の面から改善要請の大きかったルツボとヒーターについては、「黒鉛基材表面に、高純度且つガス不透過性の緻密な熱分解炭素被膜を形成させて成ることを特徴とするシリコン単結晶引上げ装置用黒鉛ルツボ及びヒーター」として先に出願している(下記特許文献1参照)。即ち、この熱分解炭素被膜の形成により、下層基材である黒鉛反応性を抑制し、ひいてはケイ素(Si)又は一酸化ケイ素(SiO)との反応に基づく望ましくない現象を未然に防止し、黒鉛に亀裂が発生しにくくして高温部材であるルツボ及びヒーターの延命化を可能としたものである。

0006

特開昭61−256993号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、熱分解炭素の被膜を形成してなる炭素質基材を高温部材として引上げ装置内で使用した場合、確かに高温部材の寿命は長くなり、また高品質のシリコン単結晶が得られやすくなるものの、表面被膜が形成されていない高温部材の場合に比べて、引上げ装置の運転開始に先立って装置内を真空引きする際における装置内の真空到達時間がかなり長くなり、その結果単結晶の生産効率がむしろ低下し、ひいては生産コストの上昇にもつながるという問題があった。

0008

本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、熱分解炭素の被膜を形成してなる単結晶引上げ装置用高温部材を使用することによる基本的な効果、即ち高温部材の寿命延長及び高品質単結晶の製造を確実に享受しながら、さらにその高品質単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化に貢献することができるような単結晶引上げ装置用高温部材、その高温部材を配備してなる単結晶引上げ装置及びその高温部材の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段及び効果

0009

上記目的を達成し得た本発明の単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法は、炭素質基材の表面に熱分解炭素を被覆した単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法であって、前記熱分解炭素の被覆層は、下層の炭素質基材が露出する開口部を有していて、前記開口部は、予め開口部を所望の形状に加工された可撓性シートにより形成されている。特に、炭素質基材の表面の一部に可撓性シートを密着した後化学反応操作を行って、前記炭素質基材の表面に該炭素質基材が露出する開口部を有する緻密質の被覆層が形成された高温部材を得ることが好ましい。なお、可撓性シートとして、可撓性炭素質シートを用いることが好ましい。

0010

上記構成によると、従来の炭素質基材(通常は黒鉛基材)表面への部分コーティング方法に比べて以下(1)〜(3)に要約する利益を得ることができる。
(1)可撓性に富むため、炭素質基材の曲面形状部に対しても無理なく当接することができ、形状保持が容易である。
(2)炭素質基材への当接に必要な面積分のマスキング材調達するには、可撓性シートをカッティングすれば済み、従来の黒鉛製マスキング材のときのように複雑な加工を必要としないので、その分コストの低減を図ることができる。
(3)コーティング処理の終了後におけるマスキング材の取り外しが容易である。
また、緻密質の被覆層が熱分解炭素の被覆層であるので、上記の種々の利益を有する部分コーティング方法を本発明の単結晶引上げ装置用高温部材に適用することにより、その高温部材及びその高温部材を配備してなる単結晶引上げ装置を真に有意なものとすることができる。

0011

また、本発明の単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法においては、前記可撓性シートを複数重ねることが好ましい。

0012

上記構成によると、本発明の効果を確実なものとできる。また、可撓性シートとして熱膨張黒鉛シートを用いた場合に、熱膨張黒鉛シートの可撓性や密度等の物性に合わせて複数重ねることができるので好ましい。

0013

また、本発明の単結晶引上げ装置用高温部材の製造方法においては、前記可撓性シートは、熱膨張黒鉛シートであることが好ましい。

0014

上記構成によると、さらに以下(4)及び(5)の効果が得られ、上記製造方法に係るの発明の効果を一層確実、顕著なものとすることができる。
(4)超高純度膨張化黒鉛シートの製作も可能であり、これを使用することにより、コーティング処理時の黒鉛基体への不純物混入防止効果を高めることができる。
(5)緻密質であると共に表面が平滑なため、黒鉛基体に当接させたときの密着性及びシール性は非常に良好である。また、黒鉛基体を傷つけるおそれも少ない。

0015

また、本発明の単結晶引上げ装置用高温部材は、炭素質基材の表面に熱分解炭素を被覆してなり、上記製造方法によって、前記熱分解炭素の被覆層の一部に下層の炭素質基材が露出する開口部が形成されているものである。

0016

上記構成によると、熱分解炭素の被膜を形成してなる単結晶引上げ装置用高温部材を使用することによる基本的な効果、即ち高温部材の寿命延長及び高品質単結晶の製造を確実に享受しながら、さらにその高品質単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化に貢献することができるような単結晶引上げ装置用高温部材を提供することができる。なお、上記単結晶引上げ装置用高温部材の全表面積に対する前記開口部の占める面積が、5%以上50%以下であることが好ましい。これにより、上記発明の効果を一層確実、顕著なものとすることができる。

0017

また、本発明の単結晶引上げ装置は、上記高温部材を配備してなることが好ましい。これにより、熱分解炭素の被膜を形成してなる単結晶引上げ装置用高温部材を使用することによる基本的な効果、即ち高温部材の寿命延長及び高品質単結晶の製造を確実に享受しながら、さらにその高品質単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化に貢献することができるような単結晶引上げ装置を提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、本発明を詳しく説明する。本出願人は、熱分解炭素の被膜が形成された炭素質基材からなる高温部材を装置内に配備して事前運転として真空引きを行った際に装置内の真空到達時間が何故に長くなるのか、その原因を明らかにすべく、様々な角度から検討を進めてきた。その結果、当初は熱分解炭素被膜内に一旦吸着した気体がその被膜内から徐々に離脱することが原因と予想されたが、そうではなく、熱分解炭素の下層にある炭素質基材内部の微細気孔吸蔵されている気体が上層の熱分解炭素被膜を透過して外部に吸引される際に、その上層の熱分解炭素被膜が緻密質であるがゆえに非常に透過しにくく、その結果、真空度に達するまでの時間が長くなることを見いだした。

0019

この事実に着目し、さらに考察を進めた結果、炭素質基材の表面の熱分解炭素被膜を部分的に切り欠いた状態、つまり被膜の一部に下層地の炭素質基材が露出する開口部を形成すれば、先行出願でなし得た効果(高温部材の寿命延長と高品質単結晶の製造確保)をほぼ維持しながら欠点(装置の運転開始の遅れ生産性向上のブレーキとなっている点)の改善を図れることを見い出し、本発明を完成するに至った。

0020

本発明の単結晶引上げ装置用高温部材をより有意義なものとするためには、上記炭素質基材の露出の割合が適切な範囲内にあることが好ましい。具体的には、炭素質基材の露出面積、つまり熱分解炭素被膜に形成された開口部の占める面積が、炭素質基材の形状や大きさとは無関係に、まず炭素質基材の全表面積の5%以上となるように開口部を形成することが好ましい。5%以上の露出面積を確保することにより、単結晶引上げ装置内の真空引きの際に炭素質基材内の吸蔵気体がその露出部から急速に放出され、熱分解炭素で被覆していない炭素質基材の場合と比べて真空到達時間をほぼ同じ程度にまで短縮することができるからである。

0021

一方、露出させる面積が大きすぎると、炭素質基材の表面気孔等に残留する炭素質微粉末のルツボへの混入等により単結晶シリコンの品質面に悪影響が生じやすくなるので、注意が必要である。具体的には、炭素質基材の全表面積の50%以下の露出面積とすることが好ましい。露出面積を50%以下とすることにより、炭素質基材から単結晶シリコン融解液への炭素混入量を許容範囲に抑え、引き上げられるシリコン単結晶中の不純物濃度を熱分解炭素の全面被覆からなる炭素質基材を使用した場合のシリコン単結晶中の不純物濃度とほぼ同じ程度に良好なものとすることができるからである。

0022

なお、本発明でいう「炭素質基材」とは、特別の限定はないが、室温から400℃までの平均熱膨張係数が0.5〜6.0×10−6/℃である等方性黒鉛材がより好ましく、さらに炭素繊維強化炭素複合材(以下「C/C材」という)やガラス状炭素材の採用も可能である。また、本発明でいう「単結晶引上げ装置用高温部材」には、炭素質ルツボ(図5では42に相当)やヒーター(図5では45に相当)に限らず、保温用部材図5では48に相当)、熱遮蔽用部材(図5では49に相当)、断熱部材図5には図示されていない)などシリコン単結晶引上げ装置内に配備されるあらゆる炭素質基材製の高温部材が含まれる。

0023

次に、本発明で炭素質基材の表面に形成された「熱分解炭素」とは、メタンガスプロパンガス等の炭化水素ガスもしくは炭化水素化合物所定条件下で熱分解させた、密度1.99(g/cm3)以上のガス不透過性に優れた緻密質の炭素を意味する。具体的には、前記炭化水素ガスあるいは炭化水素化合物に対して濃度調整用として通常N2ガス又はH2 ガスを用い、炭化水素濃度3〜30%好ましくは5〜15%とし、100Torr以下で800〜2500℃(好ましくは1800℃以上)の条件下で熱分解操作することにより、炭化水素基材表面及び内部で巨大分子炭素化合物が形成され、これが基材上に析出し、さらに脱水素反応が進み、最終的に基材表面に緻密な被膜を形成させたものである。

0024

なお、熱分解炭素の被膜の厚みとしては、5〜100μm、さらには20〜60μmであることが好ましい。厚みが5μm未満であると熱分解炭素の被覆の効果が不十分となり、100μmを超えると被覆効果のメリットがあまり期待できなくなるばかりか、逆に熱分解炭素被膜の剥離の発生の可能性が大きくなり、製造コストの低減化の促進にかえって支障となるからである。

0025

本発明によれば、引上げ装置内の真空引きの際に炭素質基材内に吸蔵されている気体が基材表面の熱分解炭素被膜の開口部から急速に放出されるので、熱分解炭素で被覆していない炭素質基材を用いた場合と比べて真空到達時間をほぼ同じ程度にまで短縮することができ、シリコン単結晶の生産効率を低下させることはない。即ち、本発明による場合は、基材表面に熱分解炭素被膜を形成させたことによる基本的な効果(炭素質基材の寿命延長及び高品質シリコン単結晶の製造)を確保しながら、さらにその高品質シリコン単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化を図ることができる。

0026

次に、本発明に係る熱分解炭素の部分被覆の好ましい形成方法について説明するが、この形成方法に到達した検討の経緯も踏まえて、その有意性を明らかにする。本発明者らは、まず黒鉛基体に対してこれまで必要に応じて通常実施されるか、考えられる部分被覆の形成方法を利用することを試みた。

0027

即ち、黒鉛基体の表面を部分被覆しようとする場合、これまでは大別して、(1)黒鉛基体の表面全体を被覆した後、不必要な所の被覆部を機械加工後加工)で削り取る方法、(2)被覆しようとする部位以外の区域に相当する黒鉛基体の表面を予めマスキング材(通常は黒鉛製)で覆った後、コーティング処理を施す方法、のいずれかの方法が採用され、又は考えることができる。

0028

しかし、上記(1)の方法の場合、研削がしにくいために部分被覆の寸法精度の確保が難しく、また表面全体の被覆加工を施した後に研削加工を施すという2段階の加工を必要とするため、製作期間納期)が長くなり、コストアップにもつながるという問題がある。一方、上記(2)の方法の場合、黒鉛製マスキング材は通常薄板状であるため、円筒面を含めて曲面状の黒鉛基体に対して適用できないばかりか、平面状の黒鉛基体に対して適用する場合も、各平面毎にそのマスキング材を黒鉛基体に当接させるための治具を必要とし、非常に不経済である。また、コスト上の制約もあってマスキング材の表面は、通常100μm程度の表面粗さに加工されるため、コーティング処理時にコーティング原料物質がマスキング材と黒鉛基体との間に浸入しやすく、十分なマスキング効果が得られないという問題がある。

0029

そこで、本発明者らは、少なくとも2段階加工の必要がない上記(2)の方法の改善策、つまり適切なマスキング材の開発に着手した。そして、高温下で使用可能であることはもちろん、コーティング処理時に曲面状の黒鉛基体にたいしても無理なく当接することができ、しかもコーティング処理によってマスキング材と黒鉛基体との間にコーティング原料物質が浸入することがないようなマスキング材を採用すべく鋭意検討を重ねた結果、可撓性の炭素質シート、望ましくは圧密化した可撓性の炭素質シートが有効であることを見い出した。

0030

即ち、可撓性炭素質シートをマスキング材として使用した場合、以下(1)〜(3)に要約するような利益を得ることができる。
(1)可撓性に富むため、黒鉛基体の曲面形状部に対しても無理なく当接することができ、形状保持が容易である。
(2)黒鉛基体への当接に必要な面積分のマスキング材を調達するには、可撓性炭素質シートをカッティングすれば済み、従来の黒鉛製マスキング材のときのように複雑な加工を必要としないので、その分コストの低減を図ることができる。
(3)コーティング処理の終了後におけるマスキング材の取り外しが容易である。さらに、可撓性炭素質シートとして膨張化黒鉛を圧密化した可撓性のシート(以下「膨張黒鉛シート」という。)をマスキング材として使用した場合には、上記(1)〜(3)以外にも以下(4)及び(5)の効果が付加され、部分被覆の形成が一層良好に行えることが分かった。
(4)超高純度の膨張化黒鉛シートの製作も可能であり、これを使用することにより、コーティング処理時の黒鉛基体への不純物混入の防止効果を高めることができる。
(5)緻密質であると共に表面が平滑なため、黒鉛基体に当接させたときの密着性及びシール性は非常に良好である。また、黒鉛基体を傷つけるおそれも少ない。

0031

次に具体的なマスキング要領を被マスキング材たる炭素質基材の形状ごとに図面を参照しつつ説明する。
(イ)炭素質基材が平面の場合(図1
図1に示すように、炭素質基材1の上面に膨張黒鉛シート2を敷いた後、その上から重りとして黒鉛ブロック3を載せる。この状態を保持して、上述の所定の熱分解操作を実施する。

0032

(ロ)炭素質基材が円筒の場合(図2図4
外側をマスキングする場合は、図2に示すように、まず円筒状炭素質基材4の外側の所定部位(図では下側半分)に膨張黒鉛シート5を巻いた後、さらにその外周から炭素繊維コード6を巻き付けて膨張黒鉛シート5を炭素質基材4に固定する。この状態で熱分解操作を実施する。なお、膨張黒鉛シートの可撓性や密度等の物性によっては膨張黒鉛シートを複数重ねて巻いてもよく、例えば図3では2層巻いた例を示している。図中5aは、内側の膨張黒鉛シートであり、5bは外側の膨張黒鉛シートである。

0033

一方、内側をマスキングする場合は、図4断面模式図)に示すように、円筒状炭素質基材7の内側の所定部位(図では下側半分)に膨張黒鉛シート8を添わせた後、さらにこの膨張黒鉛シート8で形成された円筒の内径よりわずかに大きめ外径寸法を有する黒鉛リング9を嵌め込んで、膨張黒鉛シート8を炭素質基材7に固定する。この状態で熱分解操作を実施する。

0034

なお、上記のマスキング方法そのものは、本発明に係る熱分解炭素の部分コーティングに限らず、化学反応操作により炭素質基材の表面に緻密質の被膜を部分的に形成しようとする場合すべてに有効に適用することができる。例えば、熱分解炭素被膜の形成よりも製造コスト的には高価であるが、ほぼ同様の効果を発揮し得る炭化ケイ素窒化ケイ素あるいはこれらを含むセラミックの被膜の部分コーティングを実施する場合においても、本発明に係るマスキング方法は非常に有効である。

0035

上記製造方法によると、従来の炭素質基材(通常は黒鉛基材)表面への部分コーティング方法に比べて以下(1)〜(3)に要約する利益を得ることができる。
(1)可撓性に富むため、炭素質基材の曲面形状部に対しても無理なく当接することができ、形状保持が容易である。
(2)炭素質基材への当接に必要な面積分のマスキング材を調達するには、膨張黒鉛シートをカッティングすれば済み、従来の黒鉛製マスキング材のときのように複雑な加工を必要としないので、その分コストの低減を図ることができる。
(3)コーティング処理の終了後におけるマスキング材の取り外しが容易である。
また、緻密質の被覆層が熱分解炭素の被覆層であるので、上記の種々の利益を有する部分コーティング方法を本発明の単結晶引上げ装置用高温部材に適用することにより、その高温部材及びその高温部材を配備してなる単結晶引上げ装置を真に有意なものとすることができる。

0036

また、膨張黒鉛シートを複数重ねることによって、本発明の効果を確実なものとできる。また、膨張黒鉛シートの可撓性や密度等の物性に合わせて複数重ねることができるので好ましい。

0037

また、膨張黒鉛シートとして、熱膨張黒鉛シートを用いているので、さらに以下(4)及び(5)の効果が得られ、上記製造方法に係るの発明の効果を一層確実、顕著なものとすることができる。
(4)超高純度の膨張化黒鉛シートの製作も可能であり、これを使用することにより、コーティング処理時の黒鉛基体への不純物混入の防止効果を高めることができる。
(5)緻密質であると共に表面が平滑なため、黒鉛基体に当接させたときの密着性及びシール性は非常に良好である。また、黒鉛基体を傷つけるおそれも少ない。

0038

また、上記製造方法によって製造された単結晶引上げ装置用高温部材は、熱分解炭素の被膜を形成してなる単結晶引上げ装置用高温部材を使用することによる基本的な効果、即ち高温部材の寿命延長及び高品質単結晶の製造を確実に享受しながら、さらにその高品質単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化に貢献することができるような単結晶引上げ装置用高温部材を提供することができる。さらに、上記単結晶引上げ装置用高温部材の全表面積に対する前記開口部の占める面積が、5%以上50%以下であるので、本発明の効果を一層確実、顕著なものとすることができる。

0039

また、上記高温部材を配備した単結晶引上げ装置によると、熱分解炭素の被膜を形成してなる単結晶引上げ装置用高温部材を使用することによる基本的な効果、即ち高温部材の寿命延長及び高品質単結晶の製造を確実に享受しながら、さらにその高品質単結晶の製造効率を向上させることによって、生産コストの低減化に貢献することができる。

0040

[実験例]
本発明に係るマスキング方法を実施した場合のマスキングの効果を調べるために行った実験例について説明する。
(実験例1)
100×100×厚み10(mm)の等方性黒鉛板(表面粗さRmax35s)上に、図1に示す要領で50×50×厚み0.4(mm)の膨張黒鉛シートを載せ、さらにその上に50×50×厚み50(mm)の黒鉛ブロックを載せた。この後、1800℃で10Torr、メタンガス1Nl/min、H2ガス10Nl/min、処理時間2hrという熱分解炭素生成条件の下で熱分解炭素のコーティング処理を行い、処理後のマスキング率を算出してマスキングの効果を調べた。なお、マスキング率は、(未被覆面積)/(マスキング予定面積)×100で求めた。結果を表1に示す。
比較実験例1)
実験例1と同じ寸法の等方性黒鉛板の上に直接50×50×厚み50(mm)の黒鉛ブロックを載せた。この後、実験例1と同様に熱分解炭素のコーティング処理を行って、マスキング率を算出した。結果を表1に示す。

0041

(実験例2)
直径100×高さ100(mm)の等方性黒鉛円柱体(表面粗さRmax35s)に対し、その外周に図2に示す要領で50×厚み0.4(mm)の膨張黒鉛シートを1層巻き付けた後、さらにその外周から炭素繊維コードを巻いて膨張黒鉛シート(1層)を固定した。この後、実験例1と同様に熱分解炭素のコーティング処理を行って、マスキング率を算出した。結果を表1に示す。
(実験例3)
実験例2における膨張黒鉛シートの巻き付け回数を2回、つまり2層とする以外は実験例2と同様に実施した。結果を表1に示す。
(比較実験例2)
実験例2と同じ寸法の等方性黒鉛円柱体に対し、その外周下側半分に外径110×内径100×高さ50(mm)の等方性黒鉛円筒体を直接被せた。この後、実験例1と同様に熱分解炭素のコーティング処理を行って、マスキング率を算出した。結果を表1に示す。

0042

(実験例4)
外径110×内径100×高さ100(mm)の等方性黒鉛円筒体(表面粗さRmax35s)に対し、その内周図4に示す要領で巾50×厚み0.4(mm)の膨張黒鉛シートを1層巻き付けた後、さらにその内側に外径99.3×高さ50(mm)の等方性黒鉛短円柱体を挿入して、膨張黒鉛シートを固定した。この後、実験例1と同様に熱分解炭素のコーティング処理を行って、マスキング率を算出した。結果を表1に示す。
(比較実験例3)
実験例4と同じ寸法の等方性黒鉛円筒体に対し、外径100×高さ50(mm)の等方性黒鉛短円柱体を挿入した。この後、実験例1と同様に熱分解炭素のコーティング処理を行って、マスキング率を算出した。結果を表1に示す。

0043

(実験例5)
直径100×高さ100(mm)の等方性黒鉛円柱体(表面粗さRmax35s)に対し、その外周に図2に示す要領で巾50×厚み0.4(mm)の膨張黒鉛シートを1層巻き付けた後、さらにその外周から炭素繊維コードを巻いて膨張黒鉛シート(1層)を固定した。この後、SiCl4とメタンガスを1300℃で反応させる条件下でCVD処理し、炭化ケイ素の部分コーティングを施した後のマスキング率を算出した。結果を表1に示す。
(比較実験例4)
実験例5と同じ寸法の等方性黒鉛円柱体に対し、その外周下側半分に外径110×内径100×高さ50(mm)の等方性黒鉛円筒体を直接被せた。この後、実験例5と同様に炭化ケイ素のコーティング処理を行って、マスキング率を算出した。結果を表1に示す。

0044

0045

表1からも明らかなように、実験例1〜5の場合は良好なマスキング効果が得られているが、比較実験例1〜4の場合はいずれも十分なマスキング効果は得られていない。

0046

次に、本発明に係る単結晶引上げ装置用高温部材及びその高温部材を配置した単結晶引上げ装置の実施例について説明する。

0047

[実施例]
冷間等方加圧成形を経て製造した高純度等方性黒鉛部材(高温部材)に対して、上述のマスキング方法を実施して熱分解炭素を部分被覆した保温用部材(図5の48に相当)、熱遮蔽用部材(図5の49に相当)などの各種シリコン単結晶引上げ装置用高温部材を、実際に図5に示すシリコン単結晶引上げ装置内にそれぞれ使用した時の真空到達時間の結果を表2に示し、高温部材(本発明品)の寿命(使用耐用回数)の結果を表3に示す。但し、真空引きの条件及び装置内温度は以下の通りとした。引上げ装置容積:400リットル真空到達度:133.3Pa、排気効率:3000リットル/分、引上げ装置内温度:室温。

0048

0049

0050

表2からも明らかなように、黒鉛部材(高温部材)として熱分解炭素を部分被覆し一部黒鉛を露出させたものを使用した場合、熱分解炭素を全く被覆していない黒鉛部材と同等のレベルの真空到達時間が得られること、つまりより早く真空度に達することが分かり、また表3からは本発明に係る高温部材の寿命(使用耐用回数)が熱分解炭素を全面に被覆したものとほぼ同じレベルにあることが分かる。

0051

以上、本発明の実施形態の単結晶引上げ装置用高温部材、その高温部材を配備してなる単結晶引上げ装置及びその高温部材の製造方法について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。

図面の簡単な説明

0052

平面状の高温部材に対してマスキングする要領を説明するための概略斜視図である。
円筒状高温部材の外側に対してマスキングする要領を説明するための概略斜視図である。
円筒状高温部材の外側に対してマスキングする要領の他の例を説明するための概略斜視図である。
円筒状高温部材の内側に対してマスキングする要領を説明するための断面模式図である。
シリコン単結晶引上げ装置の一例を示した模式図である。

符号の説明

0053

1炭素質基材
2,5,5a,5b,8膨張黒鉛シート
3黒鉛ブロック
4,7円筒状炭素質基材
6炭素繊維コード
9黒鉛リング
41ルツボ支持台
42黒鉛ルツボ
43石英ルツボ
44多結晶シリコン融解液
45ヒーター(黒鉛発熱体)
46種結晶
47単結晶シリコン
48保温用部材
49熱遮蔽用部材
50回転軸
51気体封鎖止用部材

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ