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技術 誤差推定装置及び誤差推定方法

出願人 株式会社東芝
発明者 内田憲山本哲三山崎之崇瀧川幸夫清水武司
出願日 2007年2月28日 (13年10ヶ月経過) 出願番号 2007-050324
公開日 2008年9月18日 (12年3ヶ月経過) 公開番号 2008-217139
状態 特許登録済
技術分野 CAD
主要キーワード 単位時間当たり流量 格子線間隔 現象解析 差分スキーム 再付着点 熱流動解析 誤差幅 安全裕度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

幾何学的な寸法公差に起因する誤差境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差、数値関連誤差を考慮して、数値解において解析値がどれくらいの誤差幅を持つかを推定する誤差推定装置及び誤差推定方法を提供する。

解決手段

幾何学的な寸法を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する幾何学的感度算出手段(手順A)と、入力値を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する入力値感度算出手段(手順B)と、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅を誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得手段(手順C)と、手順Aまたは手順Bで算出された誤差幅と感度、及び手順Cで取得された誤差幅の誤差因子うちの少なくとも一つ以上の誤差因子を用いて注目値の誤差を推定する誤差推定手段(S117)と、を備えた。

概要

背景

近年、計算機能力向上と共に計算科学も大幅に発展し、機器等の開発現場においては数値計算を多用することにより大きなコストが必要となる模型試験等の回数削減を図るなど、数値解析数値シミュレーションなどとも呼ばれる)は産業界において不可欠なものになってきている。

しかし、数値解析結果ベース安全率安全裕度を見込んで設計を行う場合、数値解において注目している値(例えば熱流動解析であれば流れから構造物が受ける力であるとか、冷却媒体の流れによる素子除熱性能の評価であれば素子の温度上昇量など)がどれくらいの誤差を持つのか、つまり、同じ体系で試験測定を行なったとき、測定値は数値解析の結果からどのくらい異なる可能性があるのか、に関し、試験をなるべく行わずに評価したいという要求が高まってきている。

特に原子炉等の大型で高温高圧の機器・装置に関しては、モックアップ模型)を製作して試験測定を行うには莫大費用がかかるため、数値解の信頼性を数値解析のみ、もしくは数値解析と小規模な試験あるいは単純化した試験のみで評価することに大きなメリットがある。数値解析手法としては、例えば差分法有限体積法有限要素法等のように空間を離散化して解く方法がある。

一般に、数値解析結果とその解析が対象としている元の物理現象との間には、大別すると、モデル化誤差、離散化誤差、計算誤差の3種類の誤差が存在する。ここではこれら3種類の誤差をまとめて数値解析誤差と呼ぶことにする。モデル化誤差には例えば乱流モデル、離散化誤差には差分スキームなどによる誤差が含まれる。また、方程式を繰り返し法で解く際の残差を誤差として定義しているものもある(特許文献1参照)。

しかし、実際に物を製作して試験する場合、もしくは製品が実際に製作されて稼動する場合、そこで起きる現象と数値解析で算出された現象との間には、前述の数値解析誤差以外に幾何学的な寸法公差に起因するものや、数値解析で与えた境界条件など入力値の持つ誤差に起因するものも存在する。産業界における機器・製品開発にて必要とされる数値解の誤差評価手法は、これらも含められれば極めて有用なものとなる。

また、検証問題が特定され、その検証問題を対象にした数値解析において試験結果を良好に再現したものを数値解析プログラムとする方法も提案されている(特許文献2参照)。工業的な流れを解く場合にほぼ必ず用いられる乱流モデルは、解析対象によって精度が大きく異なることが知られており、もし、この検証問題においてある値を測定結果と比較して誤差のパーセンテージを求めたとしても、他の体系を解析するときに必ずしも誤差が同じパーセンテージになるとは言えないため、この検証問題を使用してある解析者が直面している解析対象における数値解の誤差のパーセンテージを推測することは不可能である。

他方、CSAU(Code Scaling, Applicability, and Uncertainty)と呼ばれる評価手法がある。これは、最適評価モデルを使用して、原子力プラント安全解析を行う際に米国原子力規制委員会(NRC)が要求する、その解析の不確かさを評価する概念的な枠組みについて述べたものである。この最適評価モデルとは、常に保守側の値を出力するような解析モデルではなく、現象を可能な限り忠実に再現しようと意図されて作成された数値解析モデルのことである。

しかし、CSAU手法はその手法が開発されたときに意図された原子炉の安全解析においては実績があるが、例えば多次元熱流動解析には実績が無く、CSAUを実現させる具体的手法が存在しない。

例えば機器内部などの多次元熱流動場の数値解析においては、用いるモデル(例えば乱流モデル)が良好な精度で解析できる流れと悪い精度でしか解析できない流れが一つの解析対象領域中に混在することが普通である。この点において、多次元熱流動解析は機器や現象を特定して経験式などで構成されるいわゆる設計コードと大きく異なるため、CSAU手法の多次元熱流動解析の誤差推定への適用が難しくなっている。

以上に述べたように、現在のところ、数値解析、特に多次元熱流動解析において、同じ体系で試験測定を行わない限り、解析者自身が直面する問題において数値解の持つ誤差を正確に推定することができていない。
特開平4−232568号公報
特開2002−7947号公報

概要

幾何学的な寸法公差に起因する誤差、境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差、数値関連誤差を考慮して、数値解において解析値がどれくらいの誤差幅を持つかを推定する誤差推定装置及び誤差推定方法を提供する。幾何学的な寸法を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する幾何学的感度算出手段(手順A)と、入力値を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する入力値感度算出手段(手順B)と、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅を誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得手段(手順C)と、手順Aまたは手順Bで算出された誤差幅と感度、及び手順Cで取得された誤差幅の誤差因子うちの少なくとも一つ以上の誤差因子を用いて注目値の誤差を推定する誤差推定手段(S117)と、を備えた。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、任意の解析対象の数値解析に適用が可能であるとともに、幾何学的な寸法公差に起因する誤差、境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差、数値関連誤差を考慮して、数値解において解析者が注目している値がどれくらいの誤差幅を持つかを推定する誤差推定装置及び誤差推定方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値誤差推定する誤差推定装置において、幾何学的な寸法を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する幾何学的感度算出手段と、入力値を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する入力値感度算出手段と、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅を誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得手段と、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅と感度、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅の誤差因子うちの少なくとも一つ以上の誤差因子を用いて、前記注目値の誤差を推定する誤差推定手段と、を備えたことを特徴とする誤差推定装置。

請求項2

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値の誤差を推定する誤差推定装置において、1以上の幾何学的な寸法を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する幾何学的感度算出手段と、1以上の入力値を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する入力値感度算出手段と、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅εanalを誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得手段と、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(a)式により前記注目値の誤差εyを推定する誤差推定手段と、を備えたことを特徴とする誤差推定装置。

請求項3

前記幾何学的感度算出手段は、誤差因子xiの値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出するとともに、前記入力値感度算出手段は、誤差因子xiの値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出し、前記誤差推定手段は、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、感度∂2y/∂xi2、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(b)式により前記注目値の誤差εyを推定する、を備えた請求項2記載の誤差推定装置。

請求項4

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値の誤差を推定する誤差推定装置において、1以上の幾何学的な寸法を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する幾何学的感度算出手段と、1以上の入力値を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する入力値感度算出手段と、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅εanalを誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得手段と、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅εi、感度∂y/∂xi、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(c)式により前記注目値の誤差εyを推定する誤差推定手段と、を備えたことを特徴とする誤差推定装置。

請求項5

前記幾何学的感度算出手段は、誤差因子xiの値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出するとともに、前記入力値感度算出手段は、誤差因子xiの値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出し、前記誤差推定手段は、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、感度∂2y/∂xi2、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(d)式により前記注目値の誤差εyを推定する、請求項4記載の誤差推定装置。

請求項6

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値の誤差を推定する誤差推定装置において、1つ以上の幾何学的な寸法を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する幾何学的感度算出手段と、1以上の入力値を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する入力値感度算出手段と、前記所定現象を一つ以上の単純現象に分解し、各単純現象の数値解において一つ以上の評価量を定義し、前記評価量について複数の方法で得た値の差を誤差幅εxiとするとともに、各単純現象の評価量の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する数値解析感度算出手段と、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(e)式により前記注目値の誤差εyを推定する誤差推定手段と、を備えたことを特徴とする誤差推定装置。

請求項7

前記幾何学的感度算出手段は、誤差因子xiの値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出し、前記入力値感度算出手段は、誤差因子xiの値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出するとともに、前記数値解析感度算出手段は、単純現象の評価量の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂2y/∂xi2を算出し、前記誤差推定手段は、前記幾何学的感度算出手段、入力値感度算出手段、及び数値解析感度算出手段により算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、感度∂2y/∂xi2を用いて、以下の(f)式により前記注目値の誤差εyを推定する、請求項6記載の誤差推定装置。

請求項8

前記数値解析誤差幅取得手段は、誤差幅εanalを、大きい側と小さい側に分けて取得し、前記誤差推定手段は、大きい側と小さい側に分けて誤差を推定する請求項4記載の誤差推定装置。

請求項9

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値の誤差を推定する誤差推定方法において、幾何学的な寸法を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する幾何学的感度算出ステップと、入力値を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する入力値感度算出ステップと、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅を誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得ステップと、前記幾何学的感度算出ステップ及び入力値感度算出ステップにて算出された誤差幅と感度、及び数値解析誤差幅取得ステップにて取得された誤差幅の誤差因子うちの少なくとも一つ以上の誤差因子を用いて、前記注目値の誤差を推定する誤差推定ステップと、を行うことを特徴とする誤差推定方法。

請求項10

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値の誤差を推定する誤差推定方法において、1以上の幾何学的な寸法を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する幾何学的感度算出ステップと、1以上の入力値を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する入力値感度算出ステップと、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅εanalを誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得ステップと、前記幾何学的感度算出ステップ及び入力値感度算出ステップにて算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、及び数値解析誤差幅取得ステップにて取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(a)式により前記注目値の誤差εyを推定する誤差推定ステップと、を行うことを特徴とする誤差推定方法。

請求項11

所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の注目値の誤差を推定する誤差推定方法において、1以上の幾何学的な寸法を誤差因子xiとして、誤差幅εi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する幾何学的感度算出ステップと、1以上の入力値を誤差因子xiとして、誤差幅εxi、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する入力値感度算出ステップと、前記所定現象を一つ以上の単純現象に分解し、各単純現象の数値解において一つ以上の評価量を定義し、前記評価量について複数の方法で得た値の差を誤差幅εxiとするとともに、各単純現象の評価量の増減が前記所定現象の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを算出する数値解析感度算出ステップと、前記幾何学的感度算出ステップ及び入力値感度算出ステップにて算出された誤差幅εxi、感度∂y/∂xi、及び数値解析誤差幅取得ステップにて取得された誤差幅εanalを用いて、以下の(e)式により前記注目値の誤差εyを推定する誤差推定ステップと、を行うことを特徴とする誤差推定方法。

技術分野

0001

数値解析を行う際に、数値解が持つ誤差の大きさを推定する誤差推定装置及び誤差推定方法に関する。

背景技術

0002

近年、計算機能力向上と共に計算科学も大幅に発展し、機器等の開発現場においては数値計算を多用することにより大きなコストが必要となる模型試験等の回数削減を図るなど、数値解析(数値シミュレーションなどとも呼ばれる)は産業界において不可欠なものになってきている。

0003

しかし、数値解析結果ベース安全率安全裕度を見込んで設計を行う場合、数値解において注目している値(例えば熱流動解析であれば流れから構造物が受ける力であるとか、冷却媒体の流れによる素子除熱性能の評価であれば素子の温度上昇量など)がどれくらいの誤差を持つのか、つまり、同じ体系で試験測定を行なったとき、測定値は数値解析の結果からどのくらい異なる可能性があるのか、に関し、試験をなるべく行わずに評価したいという要求が高まってきている。

0004

特に原子炉等の大型で高温高圧の機器・装置に関しては、モックアップ模型)を製作して試験測定を行うには莫大費用がかかるため、数値解の信頼性を数値解析のみ、もしくは数値解析と小規模な試験あるいは単純化した試験のみで評価することに大きなメリットがある。数値解析手法としては、例えば差分法有限体積法有限要素法等のように空間を離散化して解く方法がある。

0005

一般に、数値解析結果とその解析が対象としている元の物理現象との間には、大別すると、モデル化誤差、離散化誤差、計算誤差の3種類の誤差が存在する。ここではこれら3種類の誤差をまとめて数値解析誤差と呼ぶことにする。モデル化誤差には例えば乱流モデル、離散化誤差には差分スキームなどによる誤差が含まれる。また、方程式を繰り返し法で解く際の残差を誤差として定義しているものもある(特許文献1参照)。

0006

しかし、実際に物を製作して試験する場合、もしくは製品が実際に製作されて稼動する場合、そこで起きる現象と数値解析で算出された現象との間には、前述の数値解析誤差以外に幾何学的な寸法公差に起因するものや、数値解析で与えた境界条件など入力値の持つ誤差に起因するものも存在する。産業界における機器・製品開発にて必要とされる数値解の誤差評価手法は、これらも含められれば極めて有用なものとなる。

0007

また、検証問題が特定され、その検証問題を対象にした数値解析において試験結果を良好に再現したものを数値解析プログラムとする方法も提案されている(特許文献2参照)。工業的な流れを解く場合にほぼ必ず用いられる乱流モデルは、解析対象によって精度が大きく異なることが知られており、もし、この検証問題においてある値を測定結果と比較して誤差のパーセンテージを求めたとしても、他の体系を解析するときに必ずしも誤差が同じパーセンテージになるとは言えないため、この検証問題を使用してある解析者が直面している解析対象における数値解の誤差のパーセンテージを推測することは不可能である。

0008

他方、CSAU(Code Scaling, Applicability, and Uncertainty)と呼ばれる評価手法がある。これは、最適評価モデルを使用して、原子力プラント安全解析を行う際に米国原子力規制委員会(NRC)が要求する、その解析の不確かさを評価する概念的な枠組みについて述べたものである。この最適評価モデルとは、常に保守側の値を出力するような解析モデルではなく、現象を可能な限り忠実に再現しようと意図されて作成された数値解析モデルのことである。

0009

しかし、CSAU手法はその手法が開発されたときに意図された原子炉の安全解析においては実績があるが、例えば多次元熱流動解析には実績が無く、CSAUを実現させる具体的手法が存在しない。

0010

例えば機器内部などの多次元熱流動場の数値解析においては、用いるモデル(例えば乱流モデル)が良好な精度で解析できる流れと悪い精度でしか解析できない流れが一つの解析対象領域中に混在することが普通である。この点において、多次元熱流動解析は機器や現象を特定して経験式などで構成されるいわゆる設計コードと大きく異なるため、CSAU手法の多次元熱流動解析の誤差推定への適用が難しくなっている。

0011

以上に述べたように、現在のところ、数値解析、特に多次元熱流動解析において、同じ体系で試験測定を行わない限り、解析者自身が直面する問題において数値解の持つ誤差を正確に推定することができていない。
特開平4−232568号公報
特開2002−7947号公報

発明が解決しようとする課題

0012

数値解析結果の持つ誤差を推定する技術において上述した従来の特許文献の手法は、一部の誤差の種類しか扱うことができなかったり、精度を把握するための検証問題が特定されてしまったりしており、任意の解析対象において数値解が持つ誤差を知ることができないということが課題であった。また、数値解析の不確かさを評価する概念的な枠組みを示したCSAU手法は例えば多次元熱流動解析にて実現させるための具体的手順が存在しない。

0013

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、任意の解析対象の数値解析に適用が可能であるとともに、幾何学的な寸法公差に起因する誤差、境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差、数値関連誤差を考慮して、数値解において解析者が注目している値がどれくらいの誤差幅を持つかを推定する誤差推定装置及び誤差推定方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

上記課題を解決するために、本発明に係る誤差推定装置は、所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の値(注目値)の誤差を推定する誤差推定装置において、幾何学的な寸法を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する幾何学的感度算出手段と、入力値を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する入力値感度算出手段と、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅を誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得手段と、前記幾何学的感度算出手段及び入力値感度算出手段により算出された誤差幅と感度、及び数値解析誤差幅取得手段により取得された誤差幅の誤差因子うちの少なくとも一つ以上の誤差因子を用いて、前記注目値の誤差を推定する誤差推定手段と、を備えたことを特徴とする。

0015

また、本発明に係る誤差推定方法は、所定現象を対象としたモデル方程式に関して数値解析を行う際に、得られる数値解のうちの所定の値(注目値)の誤差を推定する誤差推定方法において、幾何学的な寸法を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する幾何学的感度算出ステップと、入力値を誤差因子として、誤差幅、及び誤差因子の値の増減が前記所定現象の数値解における注目値に及ぼす感度を算出する入力値感度算出ステップと、前記所定現象の数値解析誤差の誤差幅を誤差因子として取得する数値解析誤差幅取得ステップと、前記幾何学的感度算出ステップ及び入力値感度算出ステップにて算出された誤差幅と感度、及び数値解析誤差幅取得ステップにて取得された誤差幅の誤差因子うちの少なくとも一つ以上の誤差因子を用いて、前記注目値の誤差を推定する誤差推定ステップと、を行うことを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明に係る誤差推定装置及び誤差推定方法によると、任意の解析対象の数値解析に適用が可能であるとともに、幾何学的な寸法公差に起因する誤差、境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差、数値関連誤差を考慮して、数値解において解析者が注目している値がどれくらいの誤差幅を持つかを推定することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0017

本発明に係る数値解が持つ誤差の大きさを推定する誤差推定装置及び誤差推定方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。

0018

図1は、本発明に係る誤差推定装置1の構成図である。誤差推定装置1は、図1に示すように、誤差を推定する誤差推定処理、及びその他の様々な演算処理制御処理を行うCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)2と、CPU2が処理を行う際に一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)3と、CPU2が処理をするために必要なデータやプログラムを長期的に記憶するROM(Read Only Memory)4と、ハードディスク5を制御するハードディスク制御部6と、ディスプレイ等の表示装置7を制御する表示制御部8と、キーボードマウス等の入力装置9を制御する入力制御部10とがバス11を介して接続されることにより構成される。

0019

始めに、本発明に係る誤差推定装置1の実施例1について説明する。

0020

誤差推定装置1は、『ある現象』の数値解析を行う際に、その解析結果の誤差を推定する誤差推定処理を行う。この誤差推定処理の手順を、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、誤差推定装置1が数値解析を行う対象を“元の体系”もしくは“全体体系”と呼ぶ。以下、「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」を省略して説明する。

0021

CPU2は、『ある現象』の数値解析を全体体系にて行い、得られた数値解から、誤差を推定する対象とする値を得る。誤差の推定対象となる値を、ここでは“注目値”yとする(S101)。

0022

次に、CPU2は、誤差を発生させる要因として、幾何学的な寸法公差に起因する誤差(手順A)、境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差(手順B)、数値関連誤差(手順C)を求める。なお、手順Aの処理が幾何学的感度算出手段であり、手順Bの処理が入力値感度算出手段であり、手順Cの処理が数値解析誤差幅取得手段あるいは数値解析感度算出手段である。

0023

手順A(S103〜S107)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、幾何学的な寸法に関するものを扱う。

0024

まず、CPU2は、幾何学的な寸法公差や誤差に関する誤差因子xiを抽出して、誤差幅εxiを把握する(S103)。誤差幅としては、製作公差製作誤差の範囲、温度変化に伴う寸法変化の範囲、当該寸法が測定された値である場合は測定誤差の範囲、あるいはこれら誤差や変化の標準偏差σから決められた値(例えば、1.5σ、2σ、3σ等)、などを取れば良い。なお、注目値yの持つ誤差に対する影響が明らかに無視できると考えられる誤差因子は存在しないものとしてみなして良い。これを誤差因子のスクリーニングと呼ぶことにする。S103には、このスクリーニング作業が含まれる。

0025

CPU2は、S101における全体体系での『ある現象』の数値解析において、S103にて抽出された各誤差因子xiそれぞれを単独で変化させた解析を行い、そのときの注目値yの値を把握する(S105)。ここでは、後ステップにて1次の感度のみを必要とするため、異なるxi値にて最低1回の解析がこのステップにて必要である。但し、解くべきモデル方程式や用いる数値解析手法(多次元熱流動解析の例では、数値解析プログラム、用いる乱流モデル、差分スキーム、時間積分手法、などがこれに該当する)はS101で用いたものと同一とする。各誤差因子xiの値をS101で使用した値から変化させる範囲は前述の誤差範囲εxi程度とするのを基本とする。

0026

CPU2は、S105の結果に基づき、各誤差因子に対して、誤差因子xiの値の増減が『ある現象』の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを求める(S107)。例としてある誤差因子xiにおいて、S101における解析ではxi0という値を用いて注目値としてはy0という値を得、前ステップではこの値を



として数値解析を行い、注目値としてy1という値を得ているとする。このとき、この誤差因子xiに対する1次の感度は以下の(1)式にて求めることができる。

0027

また、3ケース以上の解析結果から最小二乗法により∂y/∂xiを求めたり、近似曲線を作成して微分をとることにより∂y/∂xiを求めても良い。また、良く知られた実験計画法応答曲面法の組み合わせを用いてxiに対する注目値yの応答曲面関数を作成し、微分を取ることにより求めても良い。

0028

手順B(S109〜S113)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、境界条件など入力値の持つ誤差に起因するものを扱う。

0029

CPU2は、境界条件など入力値の持つ誤差に関する誤差因子xiを抽出して、誤差幅εxiを把握する(S109)。誤差幅としては、この値の変化の範囲、この値が測定された値である場合は測定誤差の範囲、この値が機器などにより制御されている値であれば制御範囲制御誤差の範囲、あるいはこれら誤差や変化の標準偏差σから決められた値(例えば、1.5σ、2σ、3σなど)、などを取れば良い。S103と同様に、注目値yの誤差への影響が明らかに無視できると考えられるものは存在しないものとして考える(誤差因子のスクリーニング)。

0030

S111及びS113の処理は、S109で抽出された誤差因子xiに対して、S105及びS107の処理とそれぞれ同様の処理を行う。なおこの説明を省略する。

0031

手順C(S115)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、数値解析誤差に関するものを扱う。

0032

CPU2は、数値解析誤差εanalの値を与える(S115)。例えば、過去に類似の試験と解析の比較を行っている場合とか、『ある現象』に比較的近い現象での誤差のパーセンテージαが文献に記載されていたりする場合、このパーセンテージαとS101で得られた注目値yにより、εanal=αy等のようにして求めれば良い。

0033

CPU2は、手順A、手順B、及び手順Cが終了したら、以下の式(2)の右辺の∂y/∂xi、εxi、εanalに手順A〜手順Cで求められた値を代入することにより、『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅εyを求める(S117)。また、このとき、例えば式に代入した全てのεxiが3σ(σ:標準偏差)であれば、得られたεyは注目値yの3σの値が得られることになる。

0034

S117により、注目値yの持つ誤差幅は「±εy」と推定されたことになる。

0035

誤差推定装置1の実施例1によると、数値解から得た注目値の持つ誤差幅に関し、幾何学的な寸法公差、境界条件など入力値の持つ誤差、数値解析誤差の3ヶの影響を全て含めた値として、数値解析のみで推定することが可能となる。

0036

次に、本発明に係る誤差推定装置1の実施例2について、図3に基づいて説明する。

0037

誤差推定装置1が誤差推定処理を行う際の手順を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。

0038

まずCPU2は、『ある現象』の数値解析を全体体系にて行い、数値解から注目値yを得る(S201)。

0039

次に、CPU2は、誤差を発生させる要因として、幾何学的な寸法公差に起因する誤差(手順A)、境界条件など入力値の持つ誤差に起因する誤差(手順B)、数値関連誤差(手順C)を求める。

0040

手順A(S203〜S207)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、幾何学的な寸法に関するものを扱う。

0041

まず、CPU2は、幾何学的な寸法公差や誤差に関する誤差因子xiを抽出して、誤差幅εxiを把握する(S203)。誤差幅としては、製作公差、製作誤差の範囲、温度変化に伴う寸法変化の範囲、当該寸法が測定された値である場合は測定誤差の範囲、あるいはこれら誤差や変化の標準偏差σから決められた値(例えば、1.5σ、2σ、3σなど)、などを取れば良い。なお、注目値yの持つ誤差に対する影響が明らかに無視できると考えられる誤差因子は存在しないものとしてみなして良い。これを誤差因子のスクリーニングと呼ぶことにする。S203には、このスクリーニング作業が含まれる。

0042

CPU2は、S105と同様の処理を行うが、誤差因子xiの値を変更した2回以上の解析を必要とする点のみが異なる(S205)。

0043

CPU2は、前ステップでの結果に基づき、各誤差因子に対して、誤差因子xiの値の増減が『ある現象』の数値解における注目値yに及ぼす感度として、線型(1次)の感度である∂y/∂xiと、2次の感度∂2y/∂xi2を求める(S207)。例としてある誤差因子xiにおいて、S101における解析ではxi0という値を用いて注目値としてはy0という値を得、前ステップではこの値をxi1としてy1という値を得、また、xi2としてy2という値を得たとする。このとき、(xi0,y0)、(xi1,y1)、(xi2,y2)という3組の値を「y=axi2+bxi+c」の形の式に代入することによりa、b、cの値を求める。

0044

a、b、cの値を(3)式、(4)式に代入することにより、線型(1次)の感度∂y/∂xiと2次の感度∂2y/∂xi2を求めることができる。また、さらに多いケース数の解析を行い、近似曲線の式を算出し、同様に処理しても良い。また、良く知られた実験計画法と応答曲面法の組み合わせを用いて誤差因子xiに対する注目値yの応答曲面の2次以上の関数を作成し、微分を取ることによりこれら1次と2次の感度を求めても良い。

0045

手順B(S209〜S213)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、境界条件など入力値の持つ誤差に起因するものを扱う。

0046

CPU2は、境界条件など入力値の持つ誤差に関する誤差因子xiを抽出して、誤差幅εxiを把握する(S209)。誤差幅としては、この値の変化の範囲、この値が測定された値である場合は測定誤差の範囲、この値が機器などにより制御されている値であれば制御範囲や制御誤差の範囲、あるいはこれら誤差や変化の標準偏差σから決められた値(例えば、1.5σ、2σ、3σなど)、などを取れば良い。S103と同様に、注目値yの誤差への影響が明らかに無視できると考えられるものは存在しないものとして考える(誤差因子のスクリーニング)。

0047

S211及びS213の処理は、S209で抽出された誤差因子xiに対して、S205及びS207の処理とそれぞれ同様の処理を行う。なおこの説明を省略する。

0048

手順C(S215)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、数値解析誤差に関するものを扱う。

0049

CPU2は、S115と同様の処理を行う(S215)。

0050

CPU2は、(5)式の右辺の∂y/∂xi、εxi、∂2y/∂xi2、εxi2、εanalに手順A〜手順Cで求められた値を代入することにより、『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅εyを求める。

0051

また、例えば式に代入した全てのεxiが3σ(σ:標準偏差)であれば、得られたεyは注目値yの3σの値が得られることになるのは実施例1と同様である。

0052

誤差推定装置1の実施例2によると、OiteTaylor展開の2次の項まで取っているので、これにより得られるεyは実施例1で得られた値よりも原理的に推定精度が向上する。

0053

次に、本発明に係る誤差推定装置1の実施例3について、図4に基づいて説明する。実施例3は、実施例1におけるS117の処理を改良したものである。

0054

まずCPU2は、『ある現象』の数値解析を全体体系にて行い、数値解から注目値yを得る(S301)。

0055

CPU2は、手順A〜手順C(S303〜S315)として、実施例1の手順A〜手順C(S103〜S115)と同様の処理を行う。

0056

手順A〜手順Cが全て終了したら、(6)式に手順A〜手順Cで求められた値を代入することにより、『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅εyを求める。

0057

また、例えば式に代入した全てのεxiが3σ(σ:標準偏差)であれば、得られたεyは注目値yの3σの値が得られることになるのは実施例1、実施例2と同様である。

0058

実施例1の代案として、この式によってもεyを評価することが可能である。

0059

次に、本発明に係る誤差推定装置1の実施例4について、図5に基づいて説明する。実施例4は、実施例2におけるS217の処理を改良したものである。

0060

まずCPU2は、『ある現象』の数値解析を全体体系にて行い、数値解から注目値yを得る(S401)。

0061

CPU2は、手順A〜手順C(S403〜S415)として、実施例2の手順A〜手順C(S203〜S215)と同様の処理を行う。

0062

手順A〜手順Cが全て終了したら、(7)式に手順A〜手順Cで求められた値を代入することにより、『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅εyを求める。

0063

また、例えば式に代入した全てのεxiが3σ(σ:標準偏差)であれば、得られたεyは注目値yの3σの値が得られることになるのは実施例1から3と同様である。

0064

実施例2の代案として、(7)式によってもεyを評価することが可能である。

0065

次に、本発明に係る誤差推定装置1の実施例5について、図6に基づいて説明する。実施例5は、実施例1におけるS117の処理を改良したものである。

0066

まずCPU2は、『ある現象』の数値解析を全体体系にて行い、数値解から注目値yを得る(S501)。

0067

CPU2は、手順A、手順B(S503〜S513)として、実施例1の手順A、手順B(S103〜S113)と同様の処理を行う。

0068

手順C(S515〜S523)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、数値解析誤差に関するものを扱う。

0069

CPU2は、『ある現象』を、その現象に含まれる一つ以上の『単純現象』に分解する(S515)。なお、注目値yの誤差への影響が明らかに無視できると考えられる単純現象は存在しないものとして考えて良く(誤差因子のスクリーニング)、S515はこのスクリーニング作業を含む。

0070

CPU2は、各『単純現象』を対象とした数値解析を行う準備として、単純現象の数値解析誤差を評価するための量(誤差因子xi)(一つの単純現象に対して複数あっても良い)を決定する(S517)。この誤差因子xiは、後に『ある現象』の注目値yの誤差因子として扱われるものである。

0071

単純現象の数値解析誤差の評価量(誤差因子xi)として何を定義するか、に関しては、『ある現象』の中において当該単純現象の誤差による変化範囲が注目値yに対して及ぼす影響が最も顕著になると考えられるものを選択すれば良い。最も顕著になる因子が複数存在すると考えられるときにはその中の一つを選ぶ。いずれにしても後のステップにて選択した誤差因子xiに対する注目値yへの感度∂(j)y/∂xi(j)を求めて適用するため、原理的にはどれを選択しても良い。

0072

CPU2は、各単純現象に対してS501で用いたものと同じモデル方程式を同じ数値解析手法で解く数値解析を行い、数値解から単純現象の数値解析誤差を評価するための量であるxi値を得る(S519)。ここで同じ数値解析手法とは、多次元熱流動解析の例では、数値解析プログラム、用いる乱流モデル、差分スキーム、時間積分手法に加え、格子分割条件、たとえば壁面格子点のy+(ワイプラス)値、格子間隔拡大率、最大格子幅等の必要な値もS101での全体体系での計算にあわせる。

0073

CPU2は、S519にて求められたそれぞれのxi値に対し、文献値、実験相関式、単純現象の小規模試験、などから別途得た値であるziを用い、単純現象の数値解析誤差εxiを、εxi=xi−ziにより求める(S521)。

0074

CPU2は、それぞれのxi値が『ある現象』の中で変化するように境界条件や寸法などの解析条件(以降、パラメータと呼ぶ)を変更した1回以上の『ある現象』の数値解析を行い、xi値の増減が『ある現象』の数値解における注目値yに及ぼす感度∂y/∂xiを求める(S523)。但し、解くべきモデル方程式や用いる数値解析手法はS101で用いたものと同じとする。感度の算出方法はS107に準じる。

0075

CPU2は、手順A(S503〜S507)、手順B(S509〜S513)、手順C(S515〜S523)から得られた各誤差因子xiに対して求められた誤差幅εxiと感度∂y/∂xiを用いて(8)式により『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅または誤差の標準偏差から決められる値であるεyを求める(S525)。

0076

ここで、この誤差推定装置1の実施例5を対象に、数値解が持つ誤差を推定する方法について、その考え方成立性について述べる。

0077

数値解から取り出したある注目値yが、その値に影響を与えるn個の種々の因子xiにより決まることは、fを関数として下式にて表現できる。但し誤差因子xiはn個あるとする。

0078

なお、因子としては注目値yへの影響が無視できないものは全て取り上げられているものとする。

0079

数値解から取り出した注目値yを試験測定値と比較したときの差、つまり誤差をεyと書く。このとき、『注目値yの誤差は、その値に影響を与える種々の誤差因子xiの持つ誤差εxiにより決まる』ことはgを関数としてTaylor展開を用いて下式で表現できる。

0080

この式が適用できる誤差因子xiは連続量で、εyは微小量でなければならない。∂(j)y/∂xi(j)は誤差因子xiが注目値yに及ぼすj次の感度である。

0081

ここで、本解析にて考慮しなければならない誤差要因カテゴリは、前述の通り、以下の(1)〜(3)であった。
(1)幾何学的な寸法誤差・公差
(2)境界条件など入力値の持つ誤差
(3)数値解析誤差

0082

上記(1)の幾何学的な寸法公差に関しては連続量であり、通常、寸法公差は微小と考えて良い場合が多く、条件を満たすことが多い。(2)の入力値の誤差も通常、微小と考えて良い場合が多い。これら2ヶのカテゴリにおいては、誤差や公差はεxiに対応し、∂(j)y/∂xi(j)はそれら要因の値が変わったときに注目値yに与える影響の大きさ(感度)を表す。

0083

しかし、(3)の数値解析誤差に関しては誤差因子xiとその誤差εxiの定義が単純前記の2ヶの誤差要因とは異なり単純ではない。本発明の実施例5記載の方法では、数値解析誤差は以下のように扱うこととした。これにより、例えば多次元熱流動解析であっても他の2ヶの要因カテゴリと同様に連続量で微小な値として扱うことができる事象が多くなる。
・解析対象である全体現象(例えば多次元の流動場)は複雑現象であるが、ここではこれを主要な1つ以上の“単純現象”に分解する(注目値yへの影響が無視できないもの全て)。
・使用する解析手法(乱流モデル、差分スキーム、格子分割幅など)を決定(統一)する。
・各単純現象のみを単独で解析した際、ある評価量(誤差因子xi)に関して数値解析誤差を求める。この単純現象解析時の誤差がεxiに対応する。

0084

単純現象解析時に評価量(誤差因子xi)として何を定義するかに関しては、最も注目値yへの値に影響があることが考えられるものを適切に選択すれば良い。最も影響がありそうな因子が複数存在するときにはその中の一つを選ぶ。選択した因子に対する注目値yへの感度∂(j)y/∂xi(j)を求めて適用するため、原理的にはどれを選択しても良い。

0085

各単純現象を単独で数値解析した時の評価量(誤差因子xi)の持つ誤差は、数値解から取り出した評価量(誤差因子xi)を文献値や実験式からの値、もしくは単純現象に関する試験を行って試験値と比較すれば良い。文献値が存在すれば通常、試験のコストより大幅に安価に評価できるし、単純現象の試験を行ったとしても単純な体系であることや、領域を大きく取らなくても済む場合もあり、単純現象に分解することにより元の複雑体系の試験を行うよりもはるかにコストが小さくて済む場合が多い。縮小スケールモデルでの誤差の変化が別途わかっていればそれを用いることにより大型の試験が不要となり、さらにコストを削減できる可能性もある。

0086

数値解析上の誤差をこのように単純現象に分解し、各単純現象を数値解析したときの誤差を全体現象の数値解析における誤差因子と考えると、連続量で微小な値として考えて良い場合が多い。この場合、幾何学的な寸法誤差や入力値の持つ誤差と同様に扱うことができ、以下の性質を有することがわかる。

0087

種々の誤差因子の誤差εxiが微小量であると考えることができれば、(10)式において高次微小項を無視することにより、注目値yの誤差は以下のように表すことができる。つまり、(10)式の内、感度∂(j)y/∂xi(j)の中で線型項∂y/∂xiを考慮するのみでも精度の大きな低下はないことがわかる。

0088

また、関数gは、例えば「n=3」において以下の(12)式ように表すことができる。

0089

ここで、(12)式において、交互作用項は微小量εxiの2次以上の高次微小量となるため無視することができ、1次の項の線型結合式のみで表すことができる。nが「2」でも「4」以上であってもこれと同様である。

0090

つまり、注目値yの誤差εyは、注目値yに影響を与える種々の誤差因子xiの持つ誤差が連続量で微小な誤差εxiと考えて良い時には、高次微小量を無視するのみで下式のように線型表現できることがわかった。

0091

注目値yの誤差εyを(14)式のような形で表すことができるとき、誤差因子の持つ誤差が正規分布を呈すると近似できる場合は誤差εyの統計的な推定方法として誤差伝播の法則を用いることができる。誤差伝播の法則は以下の通りである。注目値yの誤差の標準偏差σyは、注目値yに影響を与える種々の誤差因子xiの持つ誤差の標準偏差σxiと誤差因子xiがyに与える感度∂y/∂xiを用いて下式にて評価できる。

0092

ここで、『標準偏差』は『標準偏差のn倍(nは正の実数)』と読み替えても良く、その場合は下式のように表現できる。

0093

各誤差因子xiについて、誤差や公差のみが与えられているというときは、良く行われる考え方として、その誤差や公差の最大値εxi(εxi>0)がばらつきの3σ(σ:標準偏差)を表すと仮定する方法を用いる。つまり、99.7%程度の確率で誤差の絶対値がεxi以内に収まる、と考える方法である。このように、標準偏差ではなく、誤差や公差の幅を用いて(16)式を表現した場合、以下の形となる。

0094

これにより求められるεyは統計的な値であり、例えば右辺の評価が前述したような、ばらつきの3σを表すとの考え方によれば、『注目値yの誤差のばらつき範囲は99.7%の確率で(17)式により評価された±εyの範囲にある』ことを示す。

0095

(17)式の右辺に表れる1次の感度∂y/∂xiは実験計画法にて注目値yに対する誤差因子xiの応答曲面の関数を作成し、その勾配として求めることができる。但し、前述の考察によれば、各誤差因子xiの誤差幅が微小であるとみなすことが可能であれば線型近似ができ、交互作用が無視できるため、各誤差因子xiあたり、その誤差因子xiの値を単独で変更した2回の数値解析を行うことにより感度を求めることができる。

0096

ここで、図7から図11までを用いて、誤差推定装置1の実施例5の手続きを熱流動解析の誤差評価に適用して具体的に説明する。

0097

図7に示す流路形状は、左側から流体が流入し、右側に行くと段差があり、流路が下方に拡大し、右端部から流出するという体系であり、奥行きとしてある長さを持つ3次元体系であるとする。流入する流体の流れ20は、流路高さB0を有する流入部21から流入し、流路高さB1の流出部22から流出する。流出部22には、複数の管からなる管群23が備えられる。図7において流体の流れを流線24で示しているが、この流線24からわかるように、流入した流体の一部は再付着点25にて逆流する。このように流路が下方にステップ状に拡大する流路をバックステップ流れと呼ぶ。

0098

通常、バックステップ流れにおいては、図8において流線24で示したような流れ場となることが多い。この流れ場においてハッチ部でしめした領域を逆流領域26と呼ぶ。

0099

また、図9に、図7にて示した管群23を上から見た図を示す。管群23は、図9に示すように、例えば千鳥配列に配列されている。

0100

ここでは、解析者は図7の体系における再付着点位置sを知りたいと考え、S501において、図7の体系を対象に数値解析により流れ場を解析したとする。

0101

このS501の解析では、流入部の流路高さB0はAmm、系を流れる流量はQm3/sec、の管1本の直径はDmm、管群ピッチはPmm、であるとして計算し、数値解より再付着点25の位置sとして、s1という値が得られたとする。

0102

この解析者は数値解から得たこの再付着点25の位置sがどのくらいの誤差を持つものかを知りたいものとする。つまりここでは注目値として再付着点25の位置sを取り上げている。この際の誤差推定処理を、実施例5の手順に従って説明する。

0103

(1)ステップS503(S103)
幾何学的寸法に関する誤差因子としては、流入部21の流路高さB0、流路拡大後の流出部22の流路高さB1、管群23の管1本の直径D、管群ピッチPなどがある。それぞれの寸法は、ある製作公差を図面指示された値があるものとする。

0104

ここでスクリーニングを実施する。上でのオーダ評価などにより、再付着点25の位置sに与える影響がほとんど無視できると考えられる要素は切り捨てることにより、後の作業を簡略化できる。影響がわからない場合は全てを考慮すると良い。ここでは説明を簡略化するため、例として寸法の図面指示がA±1mmである流入部21の流路高さB0以外は再付着点25の位置sに与える影響は無視できると仮定する。ここでは流入部21の流路高さB0を誤差因子xiとする。誤差幅はεxi=1〔mm〕となる。

0105

(2)ステップS505(S105)
このステップでは、S501にて行った計算の流入部21の流路高さB0をA+1mmに増加させた数値解析を行い、数値解から注目値yとしてs2という値が得られたとする。

0106

(3)ステップS507(S107)
以下の(18)式により、流入部21の流路高さB0の再付着点25の位置sに対する感度εs/εx1を求める。

0107

(4)ステップS509(S109)
境界条件などの入力値に関する誤差因子としては、系を流れる流体の単位時間当たり流量がある。流量は測定された値であり、その値は誤差範囲も含めて記述するとQ±1m3/secであるとする。この流量Qm3/secの誤差範囲±1m3/secは注目値sに与える影響が無視できないと判断したと仮定する。ここでは流量を誤差因子x2とする。誤差幅はεx2=1〔m3/sec〕となる。

0108

(5)ステップS511(S111)
このステップではS501にて行った計算の流量Qを1m3/sec増加させた数値解析を行い、その数値解から注目値としてs3という値が得られたとする。

0109

(6)ステップS513(S113)
以下の(19)式により、流量Qの再付着点(2104)の位置s(2105)に対する感度∂y/∂x2を求める。

0110

(7)ステップS515
図7の元の体系内にて発生する全体現象を単純現象に分解する。単純現象としては、管群内流れ、バックステップ流れ、壁面摩擦の影響する流れ、が挙げられ、スクリーニングにより、壁面摩擦の影響に関しては、再付着点25の位置sに与える影響がほとんど無視できるとして切り捨てる。つまり、ここでは単純現象として、図10に示す『管群内流れ』と図11に示す『(管群が無い)バックステップ流れ』の2つを取り上げる。図10に示す管群23の管1本の直径D及び管群ピッチPは、図7と同様に、それぞれDmm及びPmmである。また、図11に示す寸法形状は、図7に示す寸法形状から管群23を取り去った寸法形状に等しい。

0111

(8)ステップS517
取り上げた前記2つの単純現象を対象とした数値解析を行うにあたり、単純現象の数値解析誤差を評価する量(誤差因子xi)を決定する。

0112

まず、『管群内流れ』に関して考える。図7に示した体系の再付着点25の位置sの算出精度に与える影響として、単純現象の一つである『管群内流れ』における管群23に直交する流れによる圧力損失予測精度の影響が大きいと考えられる。そこで、『管群内流れ』という単純現象に関する数値解析誤差を評価する量として、管群に直交する流れによる管群単位長さあたりの圧力損失をとり、これを誤差因子x3とする。

0113

次に、『(管群が無い)バックステップ流れ』に関して考える。図7に示した体系の再付着点25の位置sの予測精度に与える影響として、単純現象の一つである管群が無いバックステップ流れにおける再付着点25の位置sの予測精度の影響が大きいと考えられる。そこで、『管群が無いバックステップ流れ』という単純現象を数値解析するときにその数値解析誤差を評価する量として、図11における再付着点25の位置sをとり、これをx4と書くことにする。

0114

(9)ステップS519
『管群内流れ』、および『(管群が無い)バックステップ流れ』の数値解析を、S501で用いたものと同じモデル方程式を同じ数値解析手法で解く数値解析にて行う。そして、『管群内流れ』の数値解からは管群23に直交する流れによる管群単位長さあたりの圧力損失x3Aが得られ、『(管群が無い)バックステップ流れ』の数値解からは再付着点25の位置s、x4Aが得られたとする。

0115

ここで、『管群内流れ』の数値解析に用いる格子モデルの格子幅の分布は、S501で行った図7を対象にした格子モデルにおける管群領域の格子分割に合わせるものとする。また、『(管群が無い)バックステップ流れ』の数値解析に用いる格子モデルの格子幅の分布に関しても、空間の格子線間隔壁面付近の粗さなどをS501にて数値解析を行った図7を対象にした格子モデルに合わせるものとする。

0116

(10)ステップS521
『管群内流れ』と『(管群が無い)バックステップ流れ』のそれぞれにおける数値解析誤差を評価する量に対し、この量を文献値や単純現象の試験などから別途値を得る。この値をziと書く。

0117

『管群内流れ』の単位長さあたりの圧力損失(x3)に関しては、文献等(例えば「流体力学ハンドブック」(丸善)、「“管群の流動抵抗係数推算法に関する考察”、日本機械学会論文集(B編)、v.51、n.461、pp.356.」に抵抗係数を求める実験式の記載があるので、これらを用いて図10の体系を対象にx3A値を得れば良い。もちろん、図10の体系を新たに試験測定を行うことによりz3A値を求めても良い。

0118

また、『(管群が無い)バックステップ流れ』の再付着点25の位置s(x4)に関しても、同様に、信頼性のある文献値を参照するか、文献値が無ければ図11の単純体系の試験測定を新たに行うことによりz4A値を求める。

0119

得られたz3A値とz4A値と、S519にて得たx3A、x4A値を用い、単純現象の数値解析誤差εx3およびεx4を、以下の(20)式、(21)式により求める。

0120

(11)ステップS523
ここでは、各単純現象の数値解析誤差を評価する量の、図7に示した体系の再付着点25の位置sに対する感度∂y/∂x3、∂y/∂x4を算出する。

0121

まず、一つ目の素現象『管群内流れ』の数値解析誤差を評価する量である、『管群に直交する流れによる管群単位長さあたりの圧力損失』について、図7に示した体系の再付着点25の位置sに対する感度∂y/∂x3を算出する。感度の算出方法としては複数考えられるが、一例として、手順を以下に示す。

0122

図10に示した体系において、ピッチはPmmのまま、管群の管直径をDからD+D’mmに変更した数値解析をS501にて用いたものと同じモデル方程式を同じ数値解析手法で解くことにより行い、その結果、S519にて求めた管群23に直交する流れによる管群単位長さあたりの圧力損失x3Aはx3Bに変化したとする。

0123

図7に示す元の体系において、その中の管群23のピッチはPmmのまま変更せずに、管直径をD+D’mmに変更した体系の数値解析をS501にて用いたものと同じモデル方程式を同じ数値解析手法で解くことにより行い、それにより得られた再付着点25の位置をs4とする。

0124

S515〜S521にて得られた結果及びS501で行った図7の体系での数値解析から得られた再付着点25の距離s1を用い、管群単位長さあたりの圧力損失の、図7に示した体系の再付着点25の位置sに対する感度を下式により算出する。

0125

次に、二つ目の素現象『(管群が無い)バックステップ流れ』の数値解析誤差を評価する量である、『(管群が無い)バックステップ流れにおける再付着点25の位置s』について、図7に示した体系の再付着点25の位置sに対する感度∂s/∂x4を算出する。この算出方法の一例を以下に述べる。

0126

図11のモデルを対象とした解析において、再付着点25の位置sが変化するように何らかのパラメータを変更した解析を行う。ここでは単位時間当たりの流入流量QからQ+Q’に変化させ、そのときの数値解析をS501で用いたものと同じモデル方程式を同じ数値解析手法で解くことにより行い、その結果、S519にて求めた再付着点25の位置sは、x4Aはx4Bに変化したとする。

0127

同様に、S501にて行った図7の体系での数値解析において単位時間当たりの流入流量をQからQ+Q’に変化させた数値解析を行い再付着点距離への影響を見るのであるが、単純に図7の体系で流量のみを変化させてしまった場合、もう一つの単純現象である管群圧力損失に関しても変化してしまう。ここでの感度の算出は各単純現象ごとに独立に行う必要があるため、流量をQ+Q’流したときの圧力損失が変わらないような管群23の管直径Dを求め、そのような管直径Dを持つ管群23を図7の流出部22に備えたこととして数値解析を行う。事前にこの条件を満たす管直径Dがわからなければ試行錯誤的に複数回の数値解析を行うことにより求めても良い。このときに得られた再付着点25の位置sをs5とする。

0128

この結果を用い、管群の無いバックステップ流れにおける再付着点25の位置sの、図7に示した体系での再付着点25の位置sに対する感度を下式により算出する。

0129

(12)ステップS525
S503〜S523にて、∂y/∂x1、∂y/∂x2、∂y/∂x3、∂y/∂x4、および、εx1、εx2、εx3、εx4、が算出された。これらを用いて、下式により、S501で得た図7の体系の数値解における再付着点14の位置sの誤差幅εsを評価する。

0130

つまり、本発明の実施例5の方法にて、S501の数値解析で得た再付着点25の位置s1の持つ誤差は±εsと推定された。

0131

誤差推定装置1の実施例5によると、数値解析誤差に関して、単純現象に分解することにより、文献値を使用することが可能となり、また試験を行うとしても小規模試験のみで上記誤差を推測することが可能となる。例えば管群の領域が多い沸騰水型原子炉の下部プレナムシュラウドヘッド上の流れなどの数値解の誤差評価を行う場合、全体体系の試験を行うと莫大な費用がかかるのに対し、管群という単純体系の試験は管の数を減らして小さな体系での試験で済むため、大きなコスト削減効果が期待できる。

0132

次に、本発明に係る誤差推定装置1の実施例6について、図12に基づいて説明する。実施例6は、実施例2におけるS217の処理を改良したものである。

0133

まずCPU2は、『ある現象』の数値解析を全体体系にて行い、数値解から注目値yを得る(S601)。

0134

CPU2は、手順A〜手順B(S603〜S613)として、実施例2の手順A〜手順B(S203〜S213)と同様の処理を行う。

0135

手順C(S615〜S625)では、注目値yの誤差を発生させる要因(誤差因子)として、数値解析誤差に関するものを扱う。

0136

CPU2は、S615〜S623の処理として、実施例5のS515〜S523の処理を行う。

0137

CPU2は、それぞれのxi値が『ある現象』の中で変化するように境界条件や寸法などの解析条件(パラメータ)を変更した2回以上の『ある現象』の数値解析を行い、xiの値の増減が『ある現象』の数値解における注目値yに及ぼす感度として、線型(1次)の感度である∂y/∂xiと、2次の感度∂2y/∂xi2を求める(S625)。但し、解くべきモデル方程式や用いる数値解析手法、感度の算出方法はS207と同様である。

0138

CPU2は、下記の(25)式により、『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅または誤差の標準偏差から決められる値であるεyを求める(S627)。

0139

誤差推定装置1の実施例6によると、εyを求める際に、Taylor展開の2次の項まで取っているので、これにより得られる『ある現象』の数値解における注目値yの値の誤差幅εyは実施例5で得られた値よりも、原理的には推定精度が向上する。

0140

なお、実施例1〜実施例6に記したεyの式において、注目値yよりも大きい側と小さい側で別々に評価し、この小さい側の誤差εy−と大きい側の誤差εy+を用いても良い。例えば実施例5であれば、下記の(26)式による注目値yの誤差幅の評価は、誤差評価の右辺に含まれる誤差因子xiやその誤差幅εxiの性質により、注目値yよりも大きい側と小さい側で別々に評価し、この小さい側の誤差εy−と大きい側の誤差εy+を用いる。この場合は注目値yの誤差幅を考慮した値の範囲は、y−|εy−|からy+|εy+|の範囲となる。

0141

例えば実施例3のεyの式において、数値解析誤差εanalのみが、注目値yを必ず大きくする誤差であることがわかっているときには、

図面の簡単な説明

0142

本発明に係る誤差推定装置の構成図。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う際の手順(実施例1)を示すフローチャート。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う際の手順(実施例2)を示すフローチャート。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う際の手順(実施例3)を示すフローチャート。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う際の手順(実施例4)を示すフローチャート。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う際の手順(実施例5)を示すフローチャート。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う対象となる体系の例を示す図。
図7の体系における典型的なバックステップ流れを説明する図。
図7の体系における管群を上から見た上面図。
図7の体系における単純現象『管群内流れ』を数値解析するための体系を示す図。
図7の体系における単純現象『(管群が無い)バックステップ流れ』を数値解析するための体系を示す図。
本発明に係る誤差推定装置が誤差推定処理を行う際の手順(実施例6)を示すフローチャート。

符号の説明

0143

1誤差推定装置
2 CPU
20 流入する流れ
21 流入部
22 流出部
23管群
24 流入する流体の流線
25再付着点
26 逆流領域

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