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概要
背景
光通信用機器における光回路の小型化および集積化に向けて、各種の光通信用部品が使用されている。その一つの例が図7に示した多芯型の光合分波器である。この光合分波器では、光ファイバ整列用基板に先端レンズ付き光ファイバを実装したものを2個(103a、103b)準備する。ここで、先端レンズ付き光ファイバは、シングルモードファイバ(以下、「SMファイバ」という。)104の片端に、屈折率分布型(Graded Index型、以下、略して「GI」という。)マルチモードファイバを切断したGIファイバレンズ105を融着接続することにより構成される。一方の基板103aには、先端レンズ付き光ファイバを1個実装し、その基板103aのレンズ装着端面側に、レンズ端を外して全反射ミラー106を装着する。もう一方の基板103bには、先端レンズ付き光ファイバを4個実装し、その片端面にバンドパスフィルタ107を装着する。バンドパスフィルタ107は、積層した複数の誘電体多層膜から成り、誘電体多層膜は、一定方向における厚さが連続的に変化している。この誘電体多層膜は、場所によって反射および透過する光の波長が異なるもので、これにより各レンズ付き光ファイバ端において、異なる波長光を反射および透過できるものである。この多芯型の光分波器では、一方の基板103aの先端レンズ付き光ファイバから入射した多波長光(λ1+λ2+λ3+λ4)を、片端面にバンドパスフィルタ107を装着したもう一方の基板103bの先端レンズ付き光ファイバに入射することにより、各波長λ1、λ2、λ3、λ4を順番に分波して、取り出すことができる。(例えば、特許文献1参照。)
特開平11−190809号公報
概要
小型、かつアライメントが容易な光フィルタモジュールを提供する。 対応する波長の光を反射する反射面をそれぞれ有する複数の基板が、反射面が平行になるように積層されてなるフィルタ基板を備え、第1光ファイバおよび複数の第2光ファイバの一方の先端部は、各反射面に関して同じ側において、フィルタ基板に光学的にそれぞれ接続され、第1光ファイバは、その軸方向が各反射面に垂直な方向に対して角度αになるように配置され、複数の第2光ファイバは、第1光ファイバと同一平面上において、各反射面に垂直な方向に関して第1光ファイバと反対側に、その軸方向が反射面に垂直な方向に対して角度αになるようにそれぞれ配置されている。
目的
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型、かつアライメントが容易な光フィルタモジュールを提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 2件
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請求項1
一方の先端部にGIファイバをそれぞれ有する第1光ファイバおよび複数の第2光ファイバと、対応する波長の光を反射する反射面をそれぞれ有する複数の基板が、前記反射面が平行になるように積層されてなるフィルタ基板とを備え、前記第1光ファイバおよび前記各第2光ファイバの前記一方の先端部は、前記各反射面に関して同じ側において、前記フィルタ基板に光学的にそれぞれ接続され、前記第1光ファイバは、その軸方向が前記各反射面に垂直な方向に対して角度αになるように配置され、前記複数の第2光ファイバは、前記第1光ファイバと同一平面上において、前記各反射面に垂直な方向に関して前記第1光ファイバと反対側に、その軸方向が前記反射面に垂直な方向に対して角度αになるようにそれぞれ配置されていることを特徴とする光フィルタモジュール。
請求項2
前記各反射面は、前記複数の基板のうち対応する1つの基板上に、入射された光のうち対応する波長の光を反射し、他の波長の光を透過する誘電体多層膜が付着されてそれぞれ成ることを特徴とする請求項1に記載の光フィルタモジュール。
請求項3
一方の先端部にGIファイバをそれぞれ有する第1光ファイバおよび複数の第2光ファイバと、対応する波長の光がそれぞれ透過する複数の透過領域を有する透過面と、該透過面に対向する全反射面とを有するフィルタ基板と、を備え、前記第1光ファイバおよび前記各第2光ファイバの前記一方の先端部は、前記フィルタ基板の前記透過面に光学的にそれぞれ接続され、前記第1光ファイバは、その軸方向が前記フィルタ基板の前記透過面に垂直な方向に対して角度αになるように配置され、前記複数の第2光ファイバは、前記第1光ファイバと同一平面上において、前記フィルタ基板の前記透過面に垂直な方向に関して前記第1光ファイバと反対側に、その軸方向が前記フィルタ基板の前記透過面に垂直な方向に対して角度αになるようにそれぞれ配置されていることを特徴とする光フィルタモジュール。
請求項4
前記透過面は、前記フィルタ基板上に、入射された光のうち対応する波長の光を透過し、他の波長の光を反射する複数の誘電体多層膜がそれぞれ付着されて成ることを特徴とする請求項3に記載の光フィルタモジュール。
請求項5
前記第1光ファイバおよび前記各第2光ファイバは、前記一方の先端部が接着剤を介して前記フィルタ基板に光学的にそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光フィルタモジュール。
請求項6
前記第1光ファイバおよび前記各第2光ファイバは、前記GIファイバの先端に連結された第3光ファイバをそれぞれ有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光フィルタモジュール。
請求項7
前記第3光ファイバはコアレスファイバであることを特徴とする請求項6に記載の光フィルタモジュール。
請求項8
前記第1光ファイバおよび前記各第2光ファイバの前記一方の先端部における端面は、その軸方向に対して角度αだけ傾斜していることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の光フィルタモジュール。
請求項9
前記第1光ファイバにおける前記GIファイバと前記各第2光ファイバにおける前記GIファイバとの間の光路長がそれぞれ等しくなるように、前記各第2光ファイバの前記第3光ファイバの長さが設定されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の光フィルタモジュール。
技術分野
0001
本発明は、例えば複数の光波長を用いる光多重伝送方式の光通信用機器および光センシングシステム用機器等に使用する光フィルタモジュールに関する。
背景技術
0002
光通信用機器における光回路の小型化および集積化に向けて、各種の光通信用部品が使用されている。その一つの例が図7に示した多芯型の光合分波器である。この光合分波器では、光ファイバ整列用基板に先端レンズ付き光ファイバを実装したものを2個(103a、103b)準備する。ここで、先端レンズ付き光ファイバは、シングルモードファイバ(以下、「SMファイバ」という。)104の片端に、屈折率分布型(Graded Index型、以下、略して「GI」という。)マルチモードファイバを切断したGIファイバレンズ105を融着接続することにより構成される。一方の基板103aには、先端レンズ付き光ファイバを1個実装し、その基板103aのレンズ装着端面側に、レンズ端を外して全反射ミラー106を装着する。もう一方の基板103bには、先端レンズ付き光ファイバを4個実装し、その片端面にバンドパスフィルタ107を装着する。バンドパスフィルタ107は、積層した複数の誘電体多層膜から成り、誘電体多層膜は、一定方向における厚さが連続的に変化している。この誘電体多層膜は、場所によって反射および透過する光の波長が異なるもので、これにより各レンズ付き光ファイバ端において、異なる波長光を反射および透過できるものである。この多芯型の光分波器では、一方の基板103aの先端レンズ付き光ファイバから入射した多波長光(λ1+λ2+λ3+λ4)を、片端面にバンドパスフィルタ107を装着したもう一方の基板103bの先端レンズ付き光ファイバに入射することにより、各波長λ1、λ2、λ3、λ4を順番に分波して、取り出すことができる。(例えば、特許文献1参照。)
特開平11−190809号公報
発明が解決しようとする課題
0003
しかしながら、こうした光合分波器には、2個の基板3a、3b同士を接続する必要性があるため、光軸の調整、すなわちアライメントが困難であり、製作に手間がかかるという課題がある。加えて、光合分波器の両端に入射用および出射用の光ファイバがそれぞれ配置されているため、小型化が難しいという課題がある。
0004
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型、かつアライメントが容易な光フィルタモジュールを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0005
本発明に係る第1の光フィルタモジュールは、一方の先端部にGIファイバをそれぞれ有する第1光ファイバおよび複数の第2光ファイバと、対応する波長の光を反射する反射面をそれぞれ有する複数の基板が、前記の反射面が平行になるように積層されてなるフィルタ基板とを備え、前記の第1光ファイバおよび前記の各第2光ファイバの前記の一方の先端部は、前記の各反射面に関して同じ側において、前記のフィルタ基板に光学的にそれぞれ接続され、前記の第1光ファイバは、その軸方向が前記の各反射面に垂直な方向に対して角度αになるように配置され、前記の複数の第2光ファイバは、前記の第1光ファイバと同一平面上において、前記の各反射面に垂直な方向に関して前記の第1光ファイバと反対側に、その軸方向が前記の反射面に垂直な方向に対して角度αになるようにそれぞれ配置されている。
0006
好ましくは、第1の光フィルタモジュールにおいて、前記の各反射面は、前記の複数の基板のうち対応する1つの基板上に、入射された光のうち対応する波長の光を反射し、他の波長の光を透過する誘電体多層膜が付着されてそれぞれ成る。この光フィルタモジュールを第2の光フィルタモジュールという。
0007
本発明にかかる第3の光フィルタモジュールは、一方の先端部にGIファイバをそれぞれ有する第1光ファイバおよび複数の第2光ファイバと、対応する波長の光がそれぞれ透過する複数の透過領域を有する透過面と、該透過面に対向する全反射面とを有するフィルタ基板とを備え、前記の第1光ファイバおよび前記の各第2光ファイバの前記の一方の先端部は、前記のフィルタ基板の前記の透過面に光学的にそれぞれ接続され、前記の第1光ファイバは、その軸方向が前記のフィルタ基板の前記の透過面に垂直な方向に対して角度αになるように配置され、前記の複数の第2光ファイバは、前記の第1光ファイバと同一平面上において、前記のフィルタ基板の前記の透過面に垂直な方向に関して前記の第1光ファイバと反対側に、その軸方向が前記のフィルタ基板の前記の透過面に垂直な方向に対して角度αになるようにそれぞれ配置されている。
0008
好ましくは、第3の光フィルタモジュールにおいて、前記の透過面は、前記のフィルタ基板上に、入射された光のうち対応する波長の光を透過し、他の波長の光を反射する複数の誘電体多層膜がそれぞれ付着されて成る。この光フィルタモジュールを第4の光フィルタモジュールという。
0009
好ましくは、第1から第4のいずれかの光フィルタモジュールにおいて、前記の第1光ファイバおよび前記の各第2光ファイバは、前記一方の先端部が接着剤を介して前記フィルタ基板に光学的にそれぞれ接続されている。この光フィルタモジュールを第5の光フィルタモジュールという。
0010
好ましくは、第1から第4のいずれかの光フィルタモジュールにおいて、前記の第1光ファイバおよび前記の第2光ファイバは、前記のGIファイバの先端に連結された第3光ファイバをそれぞれ有する。この光フィルタモジュールを第6の光フィルタモジュールという。
0012
好ましくは、第6又は第7の光フィルタモジュールにおいて、前記の第1光ファイバおよび前記の各第2光ファイバの前記の一方の先端部における端面は、その軸方向に対して角度αだけ傾斜している。この光フィルタモジュールを第8の光フィルタモジュールという。
0013
好ましくは、第6から第8のいずれかの光フィルタモジュールにおいて、前記の第1光ファイバにおける前記のGIファイバと前記の各第2光ファイバにおける前記のGIファイバとの間の光路長がそれぞれ等しくなるように、前記の各第2光ファイバの前記の第3光ファイバの長さが設定される。
発明の効果
0014
本発明の光フィルタモジュールによれば、第1光ファイバ、第2光ファイバおよびフィルタ基板を同一基板上に配置することができることから、各光ファイバとフィルタ基板との位置を僅かに調整するだけで、アライメントが容易な構造が実現できる。また、入射用および出射用の各光ファイバが、フィルタ基板の反射面若しくは透過面に関して同じ側にあるので、小型の光フィルタモジュールを実現することができる。
発明を実施するための最良の形態
0015
以下に、添付の図面を参照し、本発明の反射型光フィルタモジュールの実施形態について詳細に説明する。
0016
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による反射型光フィルタモジュールの構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図1に示されるように、本実施の形態による反射型光フィルタモジュール1では、4本の光ファイバ2a,2b,2c,2dが、実装用基板3上にそれぞれ固定実装されている。各光ファイバ2a,2b,2c,2dは、所定の長さのGIファイバ4の一方の先端をSMファイバ5の片端に融着接続により装着し、そのGIファイバ4の他方の先端にコアレスファイバ6を同様な手段で融着接続することにより構成される。実装用基板3は、上面に、V溝、U溝又は矩形溝形状の光ファイバ固定溝を有し、各光ファイバ固定溝に、対応する光ファイバ2a,2b,2c,2dがそれぞれ固定実装されている。ここで、光ファイバ2b、2c、2dは、光ファイバ2aの軸方向に対する各光ファイバ2b、2c、2dの軸方向の角度が2αになるようにそれぞれ固定実装される。また、実装用基板3上には、フィルタ基板8が配置される。そして、そのフィルタ基板8の1つの面が、光ファイバ2aの軸方向に対して角度αの方向に垂直になるように配置される。すなわち、光ファイバ2aのコアレスファイバ6の端面が、光ファイバ2aの軸方向に対して角度αだけ傾斜している。各光ファイバ2a,2b,2c,2dのコアレスファイバ6側の先端部は、フィルタ基板8の上記一面にそれぞれ接合される。ここで、フィルタ基板8は、3つのフィルタ素子9a,9b,9cを密着積層して一つの光学素子として構成したものである。なお、以下の説明では、光ファイバ2a,2b,2c,2dを区別せずに、単に「光ファイバ2」と記載する場合がある。また、フィルタ素子9a,9b,9cを区別せずに、単に「フィルタ素子9」と記載する場合がある。
0017
図2は、図1に示された多分岐反射型光モジュール1における光接続部の拡大図である。図2に示されるように、各フィルタ素子9a,9b,9cは、対応する誘電体多層膜10a,10b,10cがそれぞれ形成された面を有した基板からなる。各フィルタ素子9a,9b,9cを構成する基板は、誘電体多層膜10a,10b,10cが互いに平行になるように積層され、光ファイバ2a,2b,2c、2dは、同一平面上において、誘電体多層膜10a,10b,10cの面方向に垂直な方向に対して角度αになるようにそれぞれ配置される。なお、光ファイバ2aと各光ファイバ2b,2c,2dとは、誘電体多層膜10a,10b,10cの面方向に垂直な方向に関して反対側に配置される。ここでは、フィルタ素子9a,9b,9cを構成する3つの基板は、それぞれ矩形状の基板であり、各基板の対向する2つの主面の一方に誘電体多層膜10が形成されることから、各光ファイバ2a,2b,2c,2dの先端部がそれぞれ接合されるフィルタ基板8の面は、誘電体多層膜10の面方向に平行である。なお、以下では、誘電体多層膜10a,10b,10cを区別せずに、単に「誘電体多層膜10」と記載する場合がある。
0018
図3は、誘電体多層膜10a,10b,10cの波長−反射特性を示した図である。図3に示されるように、誘電体多層膜10aは、中心波長がλ1、反射波長帯域がω1のバンドパスフィルタであり、誘電体多層膜10bは、中心波長がλ2、反射波長帯域がω2のバンドパスフィルタであり、誘電体多層膜10cは、中心波長がλ3、反射波長帯域がω3のバンドパスフィルタである。各フィルタを構成する誘電体多層膜10a,10b,10cは、一般的に膜厚λ/4の高屈折率のTiO2等の薄膜媒体と低屈折率のSiO2薄膜媒体を交互に対応するフィルタ素子9a,9b,9c上に積層して構成したものであり、膜厚をλ/4から僅かにずらしたり、異なる膜厚で多層膜を構成したりすることで、狭帯域又は広帯域な特性を得ることができる。なお、誘電体多層膜10をフィルタ素子9上に構成せずに多層膜単体として扱うこともできる。
0019
誘電体多層膜10aを有する厚さT1のフィルタ素子9aは、入射角がα、波長がλ1±ω1/2の光を反射し、その他の波長の光を透過する。また、誘電体多層膜10bを有する厚さT2のフィルタ素子9bは、入射角がα、波長がλ2±ω2/2の光を反射し、その他の波長の光を透過する。さらに、誘電体多層膜10cを有する厚さT3のフィルタ素子9cは、波長がλ3±ω3/2の光を反射し、その他の波長の光を透過する。ここで、フィルタ基板8は、フィルタ素子9a,9b,9cを密着積層して、厚さ(T1+T2+T3)の多層フィルタ基板として構成したものである。各フィルタ素子9a,9b,9cの積層手段としては、透光性のUV接着剤による接着、表面活性化常温接合、または低融点ガラス付けなどを用いる方法がある。本実施の形態による反射型光フィルタモジュール1において、フィルタ基板8は、フィルタ素子9a,9b,9cを積層することにより一旦大型のフィルタ基板を得た後、それをダイシングソーにより微小片に切断することにより得られる。
0020
図2に示されるように、光ファイバ2aには、3波長の光(λ1+λ2+λ3)が入射する。そして、光ファイバ2a内のGIファイバ4から出射した出射コリメータ光は、フィルタ素子9aに入射し、装着された誘電体多層膜10aのバンドパスフィルタに入射角αで入射する。誘電体多層膜10aに入射した波長λ1の光は、反射角αで反射され、光ファイバ1bのコアレスファイバ6に入射する。誘電体多層膜10aを透過した波長λ2、λ3の光のうち、波長λ2の光は、フィルタ素子9bの誘電体多層膜10bにおいて反射角αで反射され、光ファイバ1cのコアレスファイバ6に入射する。誘導体多層膜8bを透過した波長λ3の光は、フィルタ素子9cの誘電体多層膜10cにて反射角αで反射され、光ファイバ1dのコアレスファイバ6に入射する。
0021
この場合、光ファイバ2aにおけるGIファイバ4と光ファイバ2bにおけるGIファイバ4との間の中心軸上の距離をW1,光ファイバ2aにおけるGIファイバ4と光ファイバ2cにおけるGIファイバ4と間の中心軸上の距離をW2,光ファイバ2aにおけるGIファイバ4と光ファイバに2dにおけるGIファイバ4との間の中心軸上の距離をW3とすると、各光ファイバ2a,2b,2c,2dは、以下の式(1)の関係が成り立つように実装用基板3に固定される。なお、コアレスファイバ6の屈折率とフィルタ基板8は共に石英製で、屈折率がほぼ等しいものとする。
0022
また、W1、W2、W3は、使用するGIファイバ4の作動距離WDの2倍とみなせるので、Wn=2WD (n=1〜3)が成り立つ。近軸光線近似で考察すると、作動距離WDは、以下の式(2)のようになる。
0023
なお、ここで使用するGIファイバ4は、屈折率分布型のマルチモード光ファイバの製法で製作されるものであり、クラッド径に対しコア径が大きく、その外径比はクラッド径1に対し、コア径は0.9以上あり、クラッド径としては、125〜500μm程度のものである。GIファイバ4の基本的な光学特性は、屈折率分布型レンズに類するもので、その長さZは、以下の式(3)の関係を満たすように定められる。
0024
本実施の形態による反射型光フィルタモジュール1の場合、P>0.25のピッチ長のGIファイバ4を用いた光ファイバ2を使用している。コアレスファイバ6は、コアの無いクラッド部のみの石英製光ファイバで、外径は同様に、125〜500μm程度のものである。
0025
図4は、光ファイバ2を用いた本実施の形態による反射型光フィルタモジュールの製法を示したものであり、(a)および(b)は、光ファイバ2の製法プロセスを説明するための図である。(a)に示されるように、所定の長さのSMファイバ5,所定の長さに切断したGIファイバ4、ある長さに切断したコアレスファイバ6を準備する。なお、各ファイバの切断は、通常のファイバカッターと長さ設定用治具とを用いて行うことができる。次に、融着接続器により、SMファイバ5の一方の端部とGIファイバ4の一方の端部とを融着接続する。そして、その融着接続したGIファイバ4を所定の長さZにファイバカッターにより高精度で切断する。次に、コアレスファイバ6をGIファイバ4に融着接続し、ファイバカッターにより所定の長さに切断する。それにより(b)に示した光ファイバ2を構成することができる。次に、(c)に示されるように、上記光ファイバ2を4本準備し、実装用基板3の固定溝部の所定の位置にそれぞれ実装固定する。各光ファイバ2の固定溝内での固定位置は、予め実装用基板3上に、基準位置として、基板の側面に対して角度αでスリットをカットしておくことにより、そのスリットと各光ファイバ2のGIファイバ4との間の長さから設定することができる。その後、ダイシングソー等により、基板3のスリット右側部分を所定の深さに平坦に除去し、フィルタ基板8を設置固定するテラス部11を形成するとともに、スリット右側部分に位置している各光ファイバ2の部位を切断する。そして、基板3の上記スリット右側部分が除去された部分において、フィルタ基板8を、コアレスファイバ6の端部が露出した壁にほぼ密着させた状態で、設置固定する。このとき、フィルタ基板8を設置して、光ファイバ2b,2c,2cへの各反射光をモニターし、フィルタ基板8の位置を微調整することにより、フィルタ基板8を正確に位置決めすることができる。更にフィルタ基板8を固定した実装用基板3を円筒状又は矩形状の実装ケース内に固定、入出射ファイバ挿入部をシールすることにより反射型光フィルタモジュールとして製作する。
0026
本実施の形態による光フィルタモジュール1によれば、フィルタ基板をコアレスファイバの端部に接続して僅かに調整するだけで、アライメントが容易な実装構造が実現できる。また、入射用光ファイバ2aと各出射用光ファイバ2b,2c,2dとを対向させるのではなく、フィルタ基板に関して同じ側に配置することができるため、小型の反射型光フィルタモジュールを実現することができる。
0027
また、本実施の形態による光フィルタモジュール1によれば、GIファイバ4の一端にコアレスファイバ6を連結し、そのコアレスファイバ6をフィルタ基板8に接続することから、GIファイバ4の端部が傾斜することがなく、収差の増大が生じない。例えば、図7に示した従来の多芯型フィルタモジュールでは、反射光を用いて分波するため、対向する各基板103a,103bの端面を傾斜して構成する必要があり、同時にGIファイバ104の端部を傾斜して削る必要があることから、その削られた部分のレンズ機能が削除され、それにより収差が増大し、光損失が増えるという問題がある。本実施の形態による光フィルタモジュール1によれば、このような光損失の増大を防止することができる。
0028
また、本実施の形態による光フィルタモジュール1によれば、GIファイバ4の先端にコアレスファイバ6を連結することにより、コアレスファイバ6の長さによってGIファイバ4の間の作動距離W1,W2,W3を適切に調整することができるため、全てのGIファイバ4の間で低損失な接続が可能である。
0029
なお、本実施の形態による光フィルタモジュール1では、GIファイバ4の先端にコアレスファイバ6を連結したが、これに限らず、コアレスファイバ6と同じ屈折率を有する透光性樹脂製のファイバを連結してもよい。
0030
また、上述の光フィルタモジュール1では、GIファイバ4の端部にコアレスファイバ6を連結してそのコアレスファイバ6の端部をフィルタ基板8に接続していたが、GIファイバ4の端部を、接着剤層を介してフィルタ基板8に接続してもよい。そのような場合にも、GIファイバ4の端部が傾斜することがなく、収差の増大を防ぐことができる。なお、各GIファイバ4間の作動距離W1,W2,W3を適切に調整するためには、接着剤よりもコアレスファイバ4等のファイバを用いる方がより好ましい。
0031
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態による反射型光フィルタモジュールの構成例を示す平面図である。本実施の形態による反射型光フィルタモジュールが第1の実施の形態による反射型光フィルタモジュール1と異なる点は、使用するフィルタ基板22が、多層ではなく単層である点である。すなわち、各誘電体多層膜10a,10b,10cからなるバンドパスフィルタが、基板の一方の主面に隣接して装着される。装着は、透光性接着剤を用いて行えば可能であるが、表面活性化常温接合等、他の手法でもよい。上記基板の他方の主面は、誘電体多層膜からなる全反射ミラー面となっており、入射用光ファイバ1aから入射された波長λ1、λ2、λ3の光を反射する。この場合、誘電体多層膜10の特性が図1の実施例の場合と異なり、誘電体多層膜10aは、波長λ1の光を透過、他の波長の光を反射する。誘電体多層膜10bは、波長λ2の光を透過、他の波長の光を反射する。誘電体多層膜10cは、波長λ3の光を反射、他の波長の光を反射する。すなわち、図3のグラフの反射率ηを、そのまま透過率に置き換えた特性のものになる。
0032
図5に示されるように、本実施の形態による反射型光フィルタモジュール21では、光ファイバ2aから入射された光が全反射面に到達して全反射面によって反射される。そして、その反射された光が誘電体多層膜10aに入射し、波長λ1の光が誘電体多層膜10aを透過して、その他の波長の光が再び全反射面に向けて反射される。全反射面に到達した光は、反射されて誘電体多層膜10bに入射し、波長λ2の光が誘電体多層膜10bを透過して、その他の波長の光が再び全反射面に向けて反射される。さらに、全反射面に到達した光は、反射されて誘電体多層膜10cに入射し、波長λ3の光が誘電体多層膜10cを透過する。各光ファイバ2b,2c,2dは、対応する波長の光がそれぞれ入射されるように、その先端部が対応する誘電体多層膜10a,10b,10cにそれぞれ接合される。
0033
図6は、使用するGIファイバ4のピッチ長と、各GIファイバ4にコアレスファイバ6をそれぞれ接続した場合の各GIファイバ4の間隔(コアレスファイバ長)を示したもので、比屈折率差Δが小さく、コア径が大きい程、各GIファイバ4の間隔が大きくとれることがわかる。第1および第2の実施の形態による光フィルタモジュールでは、GIファイバ4のピッチ長に応じて、各GIファイバ4の間隔を等しくすることにより、低損失化を図っている。図6を参照すると、例えば、Δ=0.7%、コア径120μmのGIファイバ4を使用する場合、GIファイバの長さ(GIF長)が900μmのとき、石英媒体内でのGIファイバ4の間隔W1,W2,W3、すなわち2WD(ワーキングデイスタンス)の最適値は、3000μmである。このように、必要なGIファイバ4の間隔W1〜W3は、図6のグラフから、GIファイバ4の長さを用いて設定すればよい。
0034
次に、第1の実施の形態による反射型光フィルタモジュールを、図1に基づいて実際に試作した。所定の長さのSMファイバ5、コアレスファイバ6、Δ=0.7%、コア径120μmのGIファイバ4をそれぞれ準備し、図4に示したプロセスに沿って、SMファイバ5の一端にGIファイバ4を融着接続し、そのGIファイバ4を長さZ=900μm±20μmで切断した。そして、その切断断面にコアレスファイバ6を融着接続し、そのコアレスファイバ6を長さ2mm前後の箇所で切断し、光ファイバ2を構成した。そして、このようにして構成された光ファイバ2を12本準備した。図6から、この光ファイバ2の石英媒体、すなわちGIファイバ間のコアレスファイバの最適の長さは3000μmである。
0035
次に、所定の形状の基板3(長さ10mm、幅4mm、高さ2mm)であって、V溝(α=6°)を4カ所を有し、かつフィルタ固定面には角度αのスリットが切ってある石英基板3を3個準備した。また、フィルタ素子9として、厚さ0.4mmの石英基板の一方の主面に異なる誘電体多層膜10a,10b,10cをそれぞれ蒸着したものを3個準備し、それらを透光性接着剤により積層し、その積層体をダイシングソーにより微小片(□0.75〜1mm程度)に切断したものを多数個準備した。ここで、誘電体多層膜8からなる各フィルタの中心波長は、
λ1=1310nm(ω1=±50nm) λ2=1495nm(ω2=±5nm)
λ3=1555nm(ω3=±5nm) である。
0036
次に、4カ所のV溝内に光ファイバ2をそれぞれ固定し、実装した。このとき、角度αで微幅にカットしたスリットを基準にして、式(1)に基づき、 L1=0.4mm、L2=1.8mm、L3=1.0mm、L4=0.2mm が成り立つ場所に、GIファイバ4を紫外線硬化型接着剤にて固定し、実装した
次に、フィルタ基板8を固定実装するためのテラス部を加工した。加工は、ダイシングソーにより角度αの溝に沿って、深さ0.8mmで切削領域11の部分を切削し、フィルタ基板8を固定実装するテラス部として形成した。次にフィルタ3をテラス部上に載せ、角度αの壁にUV接着剤を介して密着固定した。このとき、必要に応じてP2、P3,P4ポートの出力をモニターしながら、フィルタ基板8の位置を精密微調整により最適化してもよい。固定用接着剤安定化のため、ある時間所定の温度条件で放置安定化させた。次に、フィルタ基板8を実装した基板3を、長さ17mm、外径5mmの円筒状の金属ケースに実装し、入出射用ファイバ2をシーリングして評価用サンプル3個(S1,S2,S3)完成した。尚ケースは、円筒状でなく、矩形状のものでもよい。これらの評価用サンプルS1〜S3の常温(25℃)での各光学特性を表1に示す。
0037
表1で示したように評価用サンプルS1〜S3の挿入損失は、0.28〜0.49dBであり、図7で示した実施例の2.1〜2.8dBに比較して、挿入損失が大幅に低減している。又、偏光依存性は0.1dB以下、反射減衰量は50dB以上と実用上十分な特性を有していることが示された。また、反射型の光フィルタモジュールであり、実装ケース長が17mmと小型で、ファイバ余長処理も片側だけで済むため、実装する上でも小型化を図ることができることを示した。
図面の簡単な説明
0038
本発明の第1の実施の形態による反射型光フィルタモジュールの実施例を示した図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図1に示した反射型光フィルタモジュールのフィルタリング部を拡大して示した図である。
第1の実施の形態による反射型光フィルタモジュールに使用する誘電体多層膜の特性例を示したグラフである。
図1に示した反射型光フィルタモジュールの製作プロセスの一例を示した図であり、(a)、(b)はそれぞれGIファイバ製作プロセスを示し、(c)はGIファイバの基板実装を示した図である。
本発明の第2の実施の形態による反射型光フィルタモジュールの構成例を示した平面図である。
本発明の反射型光フィルタモジュールに用いるGIファイバ長と石英媒体内の最適GIファイバ間隔の関係を示したグラフである。
従来の多芯型フィルタモジュールの実施例を示した図である。
符号の説明
0039
1.光フィルタモジュール
2.光ファイバ
3.実装用基板
4.GIファイバ
5.SMファイバ
6.コアレスファイバ
8.フィルタ基板
9.フィルタ素子
10.誘電体多層膜
11.テラス部
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