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技術 架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法およびコーティング剤。

出願人 株式会社武蔵野化学研究所株式会社ミューチュアル
発明者 木村良晴中山寛子宮本真敏
出願日 2007年2月14日 (13年4ヶ月経過) 出願番号 2007-032951
公開日 2008年8月28日 (11年10ヶ月経過) 公開番号 2008-195838
状態 特許登録済
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 塗料、除去剤
主要キーワード 紫外線照射ステップ 塗布ステップ 混合エマルジョン 生分解性成形品 ステレオコンプレックス構造 シンナモイルクロライド 紙素材 エマルジョン溶液
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年8月28日)のものです。
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図面 (2)

課題

安全上、環境上の問題がなく、高温を要せずとも強度の高い膜を形成するコーティング剤、および強度の高いポリ乳酸フィルムの製造方法を提供する。

解決手段

光反応性置換基が導入されたスター型ポリL−乳酸水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型ポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基材に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップと、混合エマルジョンが乾燥されて生じた皮膜紫外線照射する紫外線照射ステップとを含むことを特徴とする架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法、および、コーティング剤。

概要

背景

近年、自然環境保護の観点から、自然環境中で分解する脂肪族ポリエステルなどの生分解性ポリマーの研究が活発に行われている。特に、ポリ乳酸融点が130〜180℃と十分に高く、しかも透明性に優れるため、包装材料や透明性を生かした成形品等としての用途に使用されている。またポリ乳酸の原料となる乳酸は、植物等の再生可能資源から得られ、石油等の枯渇資源を使用しない点からも大いに期待されている。

ポリL−乳酸およびポリ−D−乳酸は、下記式で表されるL−乳酸単位およびD−乳酸単位から実質的になる高分子である。

ポリ乳酸による成形品の表面をコーティングするコーティング剤としては、やはり生分解性の材料を用いることが好ましく、ポリ乳酸水性エマルジョンを含有してなるコーティング剤が提案されている(特許文献1および2)。

一方、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合することにより、融点の高いステレオコンプレックスポリ乳酸が得られることが知られている。ステレオコンプレックスポリ乳酸を製造する方法として、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸をクロロホルム等の溶剤に溶解させ生成させる方法が提案されている(非特許文献1)。

しかし、上記方法で生成させたステレオコンプレックスポリ乳酸は、各種の溶媒に溶解しにくいためコーティング剤の製造が難しく、また、これを成形品表面に塗布するのは、ステレオコンプレックスポリ乳酸が沈殿しやすいため困難である。またクロロホルム等の溶剤を用いることによる安全上、環境上の問題点がある。

これらの問題を解決する方法として、特許文献3には、ポリ−L−乳酸の水性エマルジョンとポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基板に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップを含むフィルムの製造方法が開示されている。この方法によると、ポリ−L−乳酸の水性エマルジョンとポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合すると安定な混合エマルジョンが得られ、さらに、該混合エマルジョンを乾燥させる過程で、ステレオコンプレックスポリ乳酸が得られるものである。しかしながら、表面硬度等のフィルムの強度を更にあげるには、架橋が必要と考えられるが、通常の架橋手段である熱架橋の温度の80℃では、コーティングされる基材であるポリ乳酸成形品熱変形温度が60℃程度であるため、基材が熱変形しポリ乳酸をコーティングし架橋することができないという問題があった。

特開2003—321600号公報
特許第3616465号公報
WO2006/088241
辻秀人・義人著、「ポリ乳酸−医療・製剤・環境のために−」、高分子刊行会、1997年

概要

安全上、環境上の問題がなく、高温を要せずとも強度の高い膜を形成するコーティング剤、および強度の高いポリ乳酸フィルムの製造方法を提供する。光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型ポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基材に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップと、混合エマルジョンが乾燥されて生じた皮膜紫外線照射する紫外線照射ステップとを含むことを特徴とする架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法、および、コーティング剤。なし

目的

本発明は、安全上、環境上の問題がなく、高温を要せずとも強度の高い膜を形成するコーティング剤、および強度の高いポリ乳酸フィルムの製造方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

光反応性置換基が導入されたポリL−乳酸水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基材に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップと、混合エマルジョンが乾燥されて生じた皮膜紫外線照射する紫外線照射ステップとを含むことを特徴とする架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法。

請求項2

光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基材に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップと、混合エマルジョンが乾燥されて生じた皮膜に紫外線を照射する紫外線照射ステップとを含むことを特徴とする架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法。

請求項3

光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合した混合エマルジョンを含有することを特徴とするコーティング剤

請求項4

光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合した混合エマルジョンを含有することを特徴とするコーティング剤。

技術分野

0001

本発明は、架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法およびコーティング剤に関する。

背景技術

0002

近年、自然環境保護の観点から、自然環境中で分解する脂肪族ポリエステルなどの生分解性ポリマーの研究が活発に行われている。特に、ポリ乳酸融点が130〜180℃と十分に高く、しかも透明性に優れるため、包装材料や透明性を生かした成形品等としての用途に使用されている。またポリ乳酸の原料となる乳酸は、植物等の再生可能資源から得られ、石油等の枯渇資源を使用しない点からも大いに期待されている。

0003

ポリL−乳酸およびポリ−D−乳酸は、下記式で表されるL−乳酸単位およびD−乳酸単位から実質的になる高分子である。

0004

ポリ乳酸による成形品の表面をコーティングするコーティング剤としては、やはり生分解性の材料を用いることが好ましく、ポリ乳酸水性エマルジョンを含有してなるコーティング剤が提案されている(特許文献1および2)。

0005

一方、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合することにより、融点の高いステレオコンプレックスポリ乳酸が得られることが知られている。ステレオコンプレックスポリ乳酸を製造する方法として、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸をクロロホルム等の溶剤に溶解させ生成させる方法が提案されている(非特許文献1)。

0006

しかし、上記方法で生成させたステレオコンプレックスポリ乳酸は、各種の溶媒に溶解しにくいためコーティング剤の製造が難しく、また、これを成形品表面に塗布するのは、ステレオコンプレックスポリ乳酸が沈殿しやすいため困難である。またクロロホルム等の溶剤を用いることによる安全上、環境上の問題点がある。

0007

これらの問題を解決する方法として、特許文献3には、ポリ−L−乳酸の水性エマルジョンとポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基板に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップを含むフィルムの製造方法が開示されている。この方法によると、ポリ−L−乳酸の水性エマルジョンとポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合すると安定な混合エマルジョンが得られ、さらに、該混合エマルジョンを乾燥させる過程で、ステレオコンプレックスポリ乳酸が得られるものである。しかしながら、表面硬度等のフィルムの強度を更にあげるには、架橋が必要と考えられるが、通常の架橋手段である熱架橋の温度の80℃では、コーティングされる基材であるポリ乳酸成形品熱変形温度が60℃程度であるため、基材が熱変形しポリ乳酸をコーティングし架橋することができないという問題があった。

0008

特開2003—321600号公報
特許第3616465号公報
WO2006/088241
辻秀人・義人著、「ポリ乳酸−医療・製剤・環境のために−」、高分子刊行会、1997年

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、安全上、環境上の問題がなく、高温を要せずとも強度の高い膜を形成するコーティング剤、および強度の高いポリ乳酸フィルムの製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

請求項1記載の発明に係る架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法(以下、本発明1という)は、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基材に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップと、混合エマルジョンが乾燥されて生じた皮膜紫外線照射する紫外線照射ステップとを含むことを特徴とする。

0011

また、請求項2記載の発明に係る架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法(以下、本発明2という)は、光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとをそれぞれ調製するステップと、両者を混合し混合エマルジョンとするステップと、基材に混合エマルジョンを塗布する塗布ステップと、塗布された混合エマルジョンを乾燥させる乾燥ステップと、混合エマルジョンが乾燥されて生じた皮膜に紫外線を照射する紫外線照射ステップとを含むことを特徴とする。

0012

ポリ−L−乳酸の水性エマルジョンのみから形成されるフィルムは強度が弱く、被塗布体である基材の表面から粉状となって剥がれ落ちやすいのに対して、この製造方法で製造される架橋されたポリ乳酸フィルムは、表面硬度が高くなって、耐擦傷性が改善される。またフィルム形状を保ったままはがすことも可能になる。上記表面硬度は、鉛筆硬度でみると、紫外線架橋前のポリ乳酸フィルムでは3H程度であるが、紫外線架橋後のポリ乳酸フィルムでは6Hでも傷がつかず、6Hより高い値となる。

0013

このように、表面硬度が上昇することの、推測される理由について、以下に説明する。本発明の製造方法では、混合エマルジョン中では、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸と光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸とは、乳化剤の作用もあってほとんど混合しない。しかしながら、混合エマルジョンを基材に塗布した後、乾燥させる工程で両者の混合が生じる。さらに、乾燥された混合エマルジョンにてなる皮膜に紫外線を照射することにより、光反応性置換基が反応して分子量が増加し、更に、耐熱性、強度、表面硬度が向上する。さらに、本発明2の場合は、ポリ乳酸がスター型になって分子量が高められているので、上記の効果が更に高められる。

0014

請求項3記載の本発明のコーティング剤は、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合した混合エマルジョンを含有することを特徴とするコーティング剤である。

0015

請求項4記載の本発明のコーティング剤は、光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合した混合エマルジョンを含有することを特徴とするコーティング剤である。

発明の効果

0016

本発明に係る架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法によると、架橋に高温を必要としないという効果がある。また、有害な溶剤を用いる必要がないという効果がある。さらに、本発明の製造方法によると、ポリ−L−乳酸から成るポリ乳酸フィルムよりも耐熱性、強度、中でも表面硬度を向上させることができる。本発明のコーティング剤によると、ポリ乳酸をコーティング剤に用いるに際して、架橋に高温を必要とせず、耐熱性、強度、中でも表面硬度の高い塗膜が形成され、また生分解性に優れるため生分解性成形品に塗布するにおいて、塗膜も同時に生分解されるという環境上の効果がある。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明において、基材とは、被塗布体のことであり、材質は特に限定されないが、例えば、プラスチックスガラスセラミックス、金属などが挙げられ、ポリ乳酸成形品の場合に、本発明の利点が特に発揮される。

0018

本発明において、光反応性置換基とは、紫外線によって反応し架橋する置換基であれば、特に限定されないが、例えば、シンナモイル基が挙げられる。

0019

本発明1の架橋されたポリ乳酸フィルムの製造方法では、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸と光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸のそれぞれについて別途水性エマルジョンを生成して、その両者を混合する。水性エマルジョンの生成方法としては、まず、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸と光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸とのそれぞれについてクロロベンゼン等の有機溶剤に溶解させ、乳化剤と水とを加える。その後、有機溶剤を、溶剤抽出分液ロートを用いて分離したり、減圧除去したりして水性エマルジョンとする。

0020

乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステルα−オレフィンスルホン酸アルキルサルフェートアルキルフェニルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートなどの各種アニオン性乳化剤ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等のノニオン性乳化剤、その他公知の各種乳化剤を用いることができる。特にアニオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤を用いることが好ましく、アニオン性乳化剤を用いる方がより好ましい。乳化剤の使用量は、通常は、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸または光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の100重量部に対して、固形分換算で1〜35重量部程度である。

0021

次に、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸と光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸のそれぞれの水性エマルジョンを混合し、次に、基板上にキャストして乾燥させてポリ乳酸を形成させたフィルムを得ることができる。混合エマルジョンは、o/wの形態で、平均粒径が、好ましくは、0.05〜2μm、より好ましくは0.07〜0.5μmである。膜厚は任意である。保護性能上は厚い方がよいが、エマルジョンコーティング剤の乾燥上からは数〜200μm程度が好ましく、より好ましくは10〜100μmである。乾燥は常温でもよいが、加熱によりステレオコンプレックス化が促進されるため加熱乾燥がより好ましい。

0022

本発明1の製造方法では、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸および光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンを混合して、基板等の被塗布体に塗布し、乾燥させる。

0023

光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸および光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンの混合比は任意であるが、両者の平均分子量を同程度に調整するとともに、乳酸基準で両者を等モル程度するようにすることが好ましい。本発明の製造方法では、もっとも、両者の平均分子量や混合比はこれに限定されない。

0024

本発明1の製造方法では、乾燥後のフィルムに紫外線を照射する。紫外線照射条件は、架橋反応が起こる条件であれば、特に限定されないが、例えば、100Wの高圧UVランプを用いて1時間照射することが挙げられる。これにより、上記フィルムの光反応性置換基が導入された部分が架橋され高分子化される。それによって、フィルムの耐熱性、強度、中でも表面硬度が向上する。

0025

本発明2の製造方法では、本発明1の製造方法における、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸および光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の代わりに、光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸および光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−D−乳酸が用いられる他は、本発明1と同様であり、各ステップで生成されるものも、スター型のポリ乳酸構造のものになる他は本発明1の製造方法と同様である。

0026

スター型のポリ−L−乳酸またはスター型のポリーD−乳酸とは、分子式の形がポリ−L−乳酸またはポリーD−乳酸が星の形に似た形状に並んでいるようになっているものを指す。上記のスター型のポリ乳酸の製造方法の一例としては、ジペンタエリトリトール(dipentaerithoritol)とラクチド(Lactide)とを反応させる方法が挙げられる。なお、ラクチドの化学式は下記の通りである。

0027

上記ジペンタエリトリトールとラクチドとの反応式は下記式の通りである。なお、下記式でPLAとは、ポリ乳酸のことである。なお、ポリ乳酸については、L型D型とを区別しては示してはいない。下記式に示すように、この反応は、ラクチドを重合させてポリ乳酸を生成させながら、ジペンタエリトリトールのOH基とポリ乳酸のCOOH基の間にエステル結合を生成させるものである。

0028

本発明2において、スター型のポリ乳酸に、光反応性置換基を導入したものの一例として、上記のスター型のポリ乳酸にシンナモイルクロライドCinnnamoyl Chloride)を反応させ、スター型のポリ乳酸のPLAのOH末端にシンナモイル基を導入したもの(この場合は、PLAのOH末端とシンナモイルクロライドとの間にエステル結合が形成される)が挙げられる。この反応式を以下に示す(以下、この反応の生成物シンナモイル化スター型ポリ乳酸と言う)。

0029

また、上記の光反応性置換基が導入されたスター型のポリ乳酸に紫外線を照射することによって、光反応性置換基部分で架橋が進む反応の反応式を以下に示す。

0030

請求項3記載の発明のコーティング剤は、光反応性置換基が導入されたポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合した混合エマルジョンを含有するものである。

0031

請求項4記載の発明のコーティング剤は、光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−L−乳酸の水性エマルジョンと光反応性置換基が導入されたスター型のポリ−D−乳酸の水性エマルジョンとを混合した混合エマルジョンを含有するものである。

0032

請求項3または4記載の発明において、混合エマルジョンを各種公知のポリマーエマルジョン樹脂エマルジョンゴム系ラテックスなどと配合して使用することができる。その他、必要に応じて、増粘剤消泡剤酸化防止剤紫外線吸収剤耐水化剤防腐剤防錆剤顔料染料等の各種公知の添加剤を適宜含有してもよく、これらにより目的とするコーティング剤を製造することができる。本発明のコーティング剤は、紙パックダンボール紙袋等の紙素材や、生分解性プラスチックの成形品等の表面被覆剤等に用いることができる。

0033

以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。

0034

(1)スター型ポリ乳酸(PLLA−DPE)の調製
ジペンタエリトリトール(Dipentaerythoritol)を80℃で1日以上真空乾燥させた。重合管にL−ラクチド(L−Lactide)5gと上記乾燥させたジペンタエリトリトール20mgを加えて乾燥と窒素置換を繰り返し行った。この系にオクチル酸スズの0.2g/mlトルエン溶液を0.25ml加え、さらに6時間乾燥して窒素置換を行った。次に120℃に温度を上げ3時間重合を行った。得られた固体ポリマー塩化メチレンに溶解させ、メタノール再沈殿した。

0035

(2)光反応性置換基の導入
上記で調製したPLLA−DPE1gを塩化メチレン4mlに溶解させ、また、シンナモイルクロライド(Cinnnamoyl Chloride)100mgを塩化メチレン1mlに溶解させた。上記PLLA−DPEの塩化メチレン溶液を0℃にしておき、これに上記のCinnamoyl Chlorideの塩化メチレン溶液を滴下し、30分間撹拌した。その後、30℃にして、トリエチルアミンを40μl加えて、撹拌しながら反応を行った。12時間後、メタノールで再沈殿を行った。

0036

(3)シンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸エマルジョンの調製
上記(2)で得られたシンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸100重量部を80℃でクロロベンゼン1000重量部に溶解させた。この溶液を60℃で撹拌しながら乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸2ナトリウム塩を30重量部加え、完全に溶解したところで、蒸留水3000重量部に安定剤としてD−ソルビトール70重量部をあらかじめ溶解させた溶液を滴下し、1時間撹拌して、乳化を行った。得られた水性エマルジョンを分液ロートに移し、トルエン1500重量部を加えて静置した。二層に分かれたところで下層をとり、これをシンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸エマルジョンとした。このエマルジョンの動的光散乱測定(DLS)を行うと、粒子の平均粒径は147.9nmであった。

0037

(4)シンナモイル化スター型ポリ−D−乳酸エマルジョンの作製
上記(1)におけるL−ラクチドの代わりに、D−ラクチドを用いた他は、上記(1)、(2)および(3)と同じ操作を繰り返し、粒子の平均粒径が152.1nmのシンナモイル化スター型ポリ−D−乳酸エマルジョンを得た。

0038

(5)混合エマルジョンの作製
上記(3)で得られたシンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸エマルジョンと上記(4)で得られたシンナモイル化スター型ポリ−D−乳酸エマルジョンを重量比で1:1で混合して混合エマルジョンを得た。

0039

(6)塗布、乾燥
得られた混合エマルジョン溶液をガラスシャーレ上にキャストして乾燥させ膜厚35μmのフィルムを得た。得られたフィルムを以下PLAフィルムという。

0040

(7)UV(紫外線)処理
上記(6)で得られたPLAフィルムに、ウシ電機株式会社製の高圧UVランプUM−102(100W)を用いて1時間UV照射を行った。

0041

(測定・評価方法
上記(2)で調製されたシンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸、上記(4)の工程中で調製されたシンナモイル化スター型ポリ−D−乳酸、上記(6)で作製されたPLAフィルムおよび上記(7)で作製されたPLAフィルムについて、重量平均分子量(Mw)の測定を行った。重量平均分子量(Mw)は、ショーデックス製GPCHFIP−806Mを使用し、サンプル10mgを1mlのHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)に溶解させ、40℃のHFIPにて展開した。重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値として算出した。

0042

(結果)
(8)図1にスター型ポリ−L−乳酸(すなわち、実施例1における、(1)スター型ポリ乳酸(PLLA−DPE)の調製後)の1H−NMRスペクトルを、図2にシンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸(すなわち、実施例1における(2)光反応性置換基の導入反応後のものであり、水性エマルジョンにする前のもの)の1H−NMRスペクトルを示した。NMRスペクトルはBruker Arx−500(500Hz)を使用し、CDCl3(重水素化クロロホルム)に溶解させて測定を行った。化学シフトテトラメチルシランTMS)を内部基準とするδ値を用いた。図2においてピークg,h,i,jが顕れているので、PLA末端にシンナモイル基が導入されたことが分った。また、図1にあったピークbが消失していることから、PLAのOH末端の全てがシンナモイル化していることが分った。

0043

(9)シンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸の数平均分子量(Mn)は80999、重量平均分子量(Mw)は132856であり、Mw/Mnは1.640であった。また、このエマルジョン溶液でのDLS(動的光散乱測定)による平均粒径は147.9nmであった。なお、DLSは、1wt%程度の濃度に純水で希釈し、大塚電子(株)製のスーパーダイナミック光散乱光度計DLS7000によってHeレーザー、25℃の条件下で測定を行った。

0044

(10)シンナモイル化スター型ポリ−D−乳酸の数平均分子量(Mn)は59823、重量平均分子量(Mw)は93982であり、Mw/Mnは1.571であった。また、このエマルジョン溶液でのDLSによる平均粒径は152.1nmであった。

0045

(11)作製されたPLAフィルムのUV照射前の数平均分子量(Mn)は72549、重量平均分子量(Mw)は112271であり、Mw/Mnは1.548であった。UV照射後の数平均分子量(Mn)は97230、重量平均分子量(Mw)は166019であり、Mw/Mnは1.707であった。このように、UV照射後は分子量の増加がみられた。

0046

(12)鉛筆硬度の測定結果
UV照射前後の鉛筆硬度を測定した。実施例1の(6)の項で得られたPLAフィルムの鉛筆硬度は3Hであった。実施例1の(7)の項で得られたUV照射後のフィルムの鉛筆硬度は6Hでも傷がつかず、6Hより高い値となった。このことは、紫外線照射によって架橋反応が起こり、表面硬度が向上したことを示している。

0047

(13)加熱処理
上記(6)で得られたPLAフィルムに対して、25℃、75℃、150℃、180℃で、それぞれ10分間加熱処理を行った後、広角X線回折(WAXS測定)を行った。なお、この加熱処理は、ステレオコンプレックス構造の形成について検討を行うために行ったものである。上記WAXS測定は以下のようにして行った。すなわち、(株)リガク製のX線回折装置RINT−2500V(40kV、30mAで発生)を用いて、NiでフィルターしたCu−Kα線波長:0.1542nm)で2θ角5°から40°まで毎分4°でWAXS測定を行った。

0048

(14)上記(13)の加熱処理温度とWAXS測定の結果をみると、25℃と75℃では、2θ角17°と19°に、150℃では、2θ角12°と17°に、180℃では、2θ角12°、21°および24°にそれぞれ回折ピークが見られた。ホモ結晶によるピークは17゜と19゜であり、ステレオコンプレックスによる結晶ピークは12°、21°および24°であるので、加熱することによってステレオコンプレックスの形成が促進されることが分った。

0049

本発明は、ポリ乳酸による成形品の表面をコーティングするフィルム及びコーティング剤等の製造に適用することができる。

図面の簡単な説明

0050

スター型ポリ−L−乳酸の1H−NMRスペクトルを示す図である。
シンナモイル化スター型ポリ−L−乳酸の1H−NMRスペクトルを示す図である。

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