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技術 MgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法およびP型III族窒化物半導体の製造方法

出願人 日本碍子株式会社国立大学法人名古屋工業大学
発明者 江川孝志ハオチャン三好実人田中光浩
出願日 2007年2月1日 (13年10ヶ月経過) 出願番号 2007-022715
公開日 2008年8月21日 (12年4ヶ月経過) 公開番号 2008-192677
状態 特許登録済
技術分野 気相成長(金属層を除く) アニール
主要キーワード 保持時間範囲 段階熱処理 アクセプタ元素 受光デバイス 条件範囲 デバイス構成 エピタキシャル形成 テンプレート基板
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

良好なP型導電性を有するAlリッチIII族窒化物半導体を得ることができる方法を提供する。

解決手段

MgをドープしたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる結晶層に対し、第1熱処理として、水素を含まない雰囲気中で、好ましくは窒素雰囲気中で、700℃〜850℃の範囲の第1保持温度で20分以上保持する処理を行った後、第2熱処理として、水素を含まない雰囲気中で、900℃〜1000℃の範囲の第2熱処理温度で2分以下の短時間だけ保持する処理を行う。

概要

背景

GaNなどのIII族窒化物半導体は、発光デバイス受光デバイスなどの光デバイスをはじめとする種々のデバイスに用いられる。これらのデバイスは、所定の基板上に、III族窒化物半導体からなる結晶層エピタキシャル成長法にて積層形成することによって形成されるのが一般的であり、その中には、通常、所定の元素をドープすることなどによってP型N型導電型が与えられた低抵抗の結晶層が含まれる。

GaNなどのIII族窒化物半導体をP型化するには、結晶成長時にMgをアクセプタとしてドーピングするのが一般的である。ただし、MOCVDなどのエピタキシャル成長法によってP−GaNからなる半導体層を形成する場合は、成長中に、窒素源となるアンモニア由来した水素混入することにより、Mgが水素によって不活性化されてしまっている(Mgのイオン化が抑制されている)ために、得られた半導体層は高抵抗のままである。そのため、成長後に、水素を含まない雰囲気にて熱処理を行うことで、水素を脱離させてMgのイオン化を促進する処理(いわゆる活性化処理)を行うのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、こうした方法のほか、電子線照射によりMgのイオン化を促進できることも知られている(例えば、特許文献2参照)。

特開平05−183189号公報
特開平03−218625号公報

概要

良好なP型の導電性を有するAlリッチなIII族窒化物半導体を得ることができる方法を提供する。MgをドープしたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる結晶層に対し、第1熱処理として、水素を含まない雰囲気中で、好ましくは窒素雰囲気中で、700℃〜850℃の範囲の第1保持温度で20分以上保持する処理を行った後、第2熱処理として、水素を含まない雰囲気中で、900℃〜1000℃の範囲の第2熱処理温度で2分以下の短時間だけ保持する処理を行う。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好なP型の導電性を有するIII族窒化物半導体、特に、Alの組成比が大きなIII族窒化物半導体を得ることができる方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

MgがドープされたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)なるIII族窒化物半導体におけるP型導電性を向上させる方法であって、前記III族窒化物半導体を水素を含まない雰囲気中において700℃〜850℃の温度範囲に属する第1の保持温度で保持する第1熱処理工程と、前記第1熱処理工程を経た前記III族窒化物半導体を900℃〜1000℃の温度範囲に属する第2の保持温度で2分間以下の短時間保持する第2熱処理工程を行う、ことを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法

請求項2

請求項1に記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記III族窒化物半導体がAlxInyGa1-x-yN(0.4≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)であることを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記第2の保持温度を950℃とすることを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法。

請求項4

請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度での保持時間を20分以上とする、ことを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法。

請求項5

請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度を800℃とする、ことを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法。

請求項6

請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、所定の下地層の上にエピタキシャル形成されてなる、前記III族窒化物半導体からなる半導体層を加熱することで、前記第1および第2熱処理工程を行う、ことを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法。

請求項7

請求項6に記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記下地層として、サファイア単結晶基材の上にAlNエピタキシャル膜を形成したテンプレート基板を用いる、ことを特徴とするMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法。

請求項8

AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなるP型のIII族窒化物半導体の製造方法であって、所定の下地層の上にMgをドープさせつつ前記III族窒化物半導体からなる半導体層をMOCVD法によってエピタキシャル成長させる成長工程と、前記成長工程によって得られた前記半導体層を水素を含まない雰囲気中において700℃〜850℃の温度範囲に属する第1の保持温度で保持する第1熱処理工程と、前記第1熱処理工程を経た前記半導体層を水素を含まない雰囲気中において900℃〜1000℃の温度範囲に属する第2の保持温度で2分間以下の短時間保持する第2熱処理工程と、を備えることを特徴とするP型III族窒化物半導体の製造方法。

請求項9

請求項8に記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記III族窒化物半導体がAlxInyGa1-x-yN(0.4≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)であることを特徴とするP型III族窒化物半導体の製造方法。

請求項10

請求項8または請求項9に記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記第2の保持温度を950℃とすることを特徴とするP型III族窒化物半導体の製造方法。

請求項11

請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度での保持時間を20分以上とする、ことを特徴とするP型III族窒化物半導体の製造方法。

請求項12

請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度を800℃とする、ことを特徴とするP型III族窒化物半導体の製造方法。

請求項13

請求項8ないし請求項12のいずれかに記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記下地層として、サファイア単結晶基材の上にAlNエピタキシャル膜を形成したテンプレート基板を用いる、ことを特徴とするP型III族窒化物半導体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、良好なP型導電性を有するIII族窒化物半導体、特に、Alの組成比が大きなIII族窒化物半導体を得る技術に関する。

背景技術

0002

GaNなどのIII族窒化物半導体は、発光デバイス受光デバイスなどの光デバイスをはじめとする種々のデバイスに用いられる。これらのデバイスは、所定の基板上に、III族窒化物半導体からなる結晶層エピタキシャル成長法にて積層形成することによって形成されるのが一般的であり、その中には、通常、所定の元素をドープすることなどによってP型やN型導電型が与えられた低抵抗の結晶層が含まれる。

0003

GaNなどのIII族窒化物半導体をP型化するには、結晶成長時にMgをアクセプタとしてドーピングするのが一般的である。ただし、MOCVDなどのエピタキシャル成長法によってP−GaNからなる半導体層を形成する場合は、成長中に、窒素源となるアンモニア由来した水素混入することにより、Mgが水素によって不活性化されてしまっている(Mgのイオン化が抑制されている)ために、得られた半導体層は高抵抗のままである。そのため、成長後に、水素を含まない雰囲気にて熱処理を行うことで、水素を脱離させてMgのイオン化を促進する処理(いわゆる活性化処理)を行うのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、こうした方法のほか、電子線照射によりMgのイオン化を促進できることも知られている(例えば、特許文献2参照)。

0004

特開平05−183189号公報
特開平03−218625号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1や特許文献2に開示された手法は、III族元素としてGaのみならずAlやInを含み、かつアクセプタとして作用させるべくMgがドープされたIII族窒化物混晶半導体をP型化する場合であっても、同様に適用される。ただし、Alの組成比が他のIII族元素の組成比よりも相対的に大きいIII族窒化物半導体は、そうではない他のIII族窒化物半導体に比して大きなバンドギャップを有し、Mgを活性化させるための活性化エネルギーが大きいことから、特許文献1に開示されているような活性化処理をAlの組成比が相対的に大きいIII族窒化物半導体に対して行う場合には、より高温で熱処理が行う必要があると考えられている。

0006

しかしながら、そうしたAl組成比が大きいIII族窒化物半導体に対して高温で熱処理を行うと、酸素の混入が生じやすいことに加えて表面近傍での窒素空乏が生じて化学量論的組成からのずれが起こり、これらによって導入される酸素または窒素空孔がIII族窒化物半導体中においてドナーとして作用するので、熱処理によって得られるMgのアクセプタとしての作用を補償してしまい、十分なP型化が実現されない、という問題がある。

0007

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好なP型の導電性を有するIII族窒化物半導体、特に、Alの組成比が大きなIII族窒化物半導体を得ることができる方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、請求項1の発明は、MgがドープされたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)なるIII族窒化物半導体におけるP型導電性を向上させる方法であって、前記III族窒化物半導体を水素を含まない雰囲気中において700℃〜850℃の温度範囲に属する第1の保持温度で保持する第1熱処理工程と、前記第1熱処理工程を経た前記III族窒化物半導体を900℃〜1000℃の温度範囲に属する第2の保持温度で2分間以下の短時間保持する第2熱処理工程を行う、ことを特徴とする。

0009

請求項2の発明は、請求項1に記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記III族窒化物半導体がAlxInyGa1-x-yN(0.4≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)であることを特徴とする。

0010

請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記第2の保持温度を950℃とすることを特徴とする。

0011

請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度での保持時間を20分以上とする、ことを特徴とする。

0012

請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度を800℃とする、ことを特徴とする。

0013

請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、所定の下地層の上にエピタキシャル形成されてなる、前記III族窒化物半導体からなる半導体層を加熱することで、前記第1および第2熱処理工程を行う、ことを特徴とする。

0014

請求項7の発明は、請求項6に記載のMgドープIII族窒化物半導体のP型導電性向上方法であって、前記下地層として、サファイア単結晶基材の上にAlNエピタキシャル膜を形成したテンプレート基板を用いる、ことを特徴とする。

0015

請求項8の発明は、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなるP型のIII族窒化物半導体の製造方法であって、所定の下地層の上にMgをドープさせつつ前記III族窒化物半導体からなる半導体層をMOCVD法によってエピタキシャル成長させる成長工程と、前記成長工程によって得られた前記半導体層を水素を含まない雰囲気中において700℃〜850℃の温度範囲に属する第1の保持温度で保持する第1熱処理工程と、前記第1熱処理工程を経た前記半導体層を水素を含まない雰囲気中において900℃〜1000℃の温度範囲に属する第2の保持温度で2分間以下の短時間保持する第2熱処理工程と、を備えることを特徴とする。

0016

請求項9の発明は、請求項8に記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記III族窒化物半導体がAlxInyGa1-x-yN(0.4≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)であることを特徴とする。

0017

請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記第2の保持温度を950℃とすることを特徴とする。

0018

請求項11の発明は、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度での保持時間を20分以上とする、ことを特徴とする。

0019

請求項12の発明は、請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記第1熱処理工程における前記第1の保持温度を800℃とする、ことを特徴とする。

0020

請求項13の発明は、請求項8ないし請求項12のいずれかに記載のP型III族窒化物半導体の製造方法であって、前記下地層として、サファイア単結晶基材の上にAlNエピタキシャル膜を形成したテンプレート基板を用いる、ことを特徴とする。

発明の効果

0021

請求項1ないし請求項13の発明によれば、例えば比抵抗が約1Ωcm以下という、P型導電性の優れたIII族窒化物半導体を、Al組成比によらず得ることができる。

0022

特に、請求項2および請求項9の発明によれば、Al組成比が大きなIII族窒化物半導体のP型導電体を得ることが出来る。

発明を実施するための最良の形態

0023

本実施の形態に係る方法は、アクセプタ元素として作用させることを目的としてMgがドープされたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)なるIII族窒化物半導体にP型の導電性を発現させる方法、換言すれば、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなり、Mgがアクセプタ元素として作用するP型のIII族窒化物半導体を得る方法である。

0024

適用対象
本実施の形態に係る方法が適用対象とするのは、アクセプタ元素として作用させることを目的としてMgがドープされたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)なるIII族窒化物半導体である。係るIII族窒化物半導体は、C面サファイア単結晶基板などの下地基板(下地層)の上に、MOCVD法などの公知のエピタキシャル成長手法を用いて形成した結晶層(半導体層)の形で取り扱われることが多い。本実施の形態においても、係る場合を対象として説明する。ただし、下地基板が付随する態様は必須のものではなく、これを有しない態様で本実施の形態に係る方法に供されても、同様の作用効果を得ることは出来る。

0025

なお、下地基板としては、上述のようなC面サファイア単結晶基板を直接に用いる態様の他、係る単結晶基板の上に、MOCVD法を用いてAlN層をエピタキシャル成長したいわゆるテンプレート基板(エピタキシャル基板)が用いられてもよい。例えば、数百μm程度の厚みのC面サファイア単結晶基板の上に、数μm程度の厚みのAlN層をMOCVD法によって形成した下地基板を用いるのが、好適な一例である。係る場合、III族窒化物半導体からなる結晶層を良好な結晶品質で形成することが出来る。

0026

AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる結晶層は、作製しようとするデバイスに応じて、種々の手法を用い、種々の厚みに形成されてよい。また、結晶層中のMgの濃度は、1020/cm3程度のオーダーであれば、良好な導電性の確保に十分である。

0027

Mgのドープは、MOCVD法で結晶層をエピタキシャル成長させる場合であれば、係る成長時に、CP2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム:Mg(C5H5)2)ガスを、TMA(トリメチルアルミニウム;Al(CH3)3)、TMG(トリメチルガリウム;Ga(CH3)3)、TMIトリメチルインジウム;In(CH3)3)などのIII族金属原料ガスやNH3などの窒素原料ガスなどとともに所定の流量で供給することによって実現される。他の公知の手法でIII族窒化物半導体を得る場合も、それぞれの方法に応じて、適宜、公知のドープ手法を適用することで実現可能である。

0028

また、同一のあるいは異なる組成のAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる複数の結晶層を含んでなる積層体について、そのいくつかの層についてそれぞれにMgがドープされてなる場合であれば、それらの層について一度にまとめて本実施の形態に係る方法の適用対象とし、P型の導電性を発現させることも可能である。

0029

<P型導電性を得るための処理>
本実施の形態においても、MgがドープされたIII族窒化物半導体を加熱する熱処理によってMgを活性化させ、P型導電性を得る点は、特許文献1に開示されているような従来技術と同様である。しかしながら、本実施の形態に係る方法は、いったんそうした従来より行われている熱処理を第1熱処理として行った後に、より高温での熱処理を第2熱処理として短時間行うことが特徴的である。

0030

まず、第1熱処理では、処理対象として、上述のようにMgをドープしたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる結晶層を所定の下地基板上に形成したものを用意し、これを、少なくとも水素を含まない雰囲気が形成された、好ましくは窒素雰囲気が形成された所定の熱処理炉の中に載置し、700℃〜850℃の範囲の任意の保持温度(第1保持温度、第1熱処理温度ともいう)で、好ましくは800℃で、20分以上の時間(第1保持時間ともいう)加熱保持するようにする。なお、水素を含まない雰囲気とするのは、Mgの活性化が、結晶層内においてMgと結合している水素を脱離させることによって実現されるものであることから、雰囲気中の水素分圧をできるだけ低減しておくことで係る脱離を促進させるためである。

0031

この第1熱処理は、上述のように従来手法として行われている処理と同様であるが、結晶層におけるAlの組成比が小さい場合にはそれだけでもMgの活性化にある程度有効であるものの、結晶層の組成がAlリッチである場合には必ずしもMgを十分に活性化させることはできないことが、本発明の発明者によって確認されている。

0032

例えば、図1は、AlxGa1-xN(0≦x≦1)で表される結晶層を対象に、第1熱処理を、第1保持温度を800℃として20分間行い、第2熱処理を、保持温度を950℃として1分間行った場合の、熱処理前とそれぞれの熱処理後における比抵抗を示す図である。図1からは、Alの組成比が比較的大きなx≧0.4の範囲では、第1熱処理を行った後の比抵抗は約20Ωcm以上であり、特にAlリッチなものほど必ずしも十分に比抵抗が減少していないことがわかる。

0033

そして、本実施の形態では、係る第1熱処理を行った後の結晶層に対し(下地基板ともども)、第2熱処理として、少なくとも水素を含まない雰囲気形成された、好ましくは窒素雰囲気が形成された所定の熱処理炉の中に載置し、900℃〜1000℃の範囲の任意の保持温度(第2保持温度、第2熱処理温度ともいう)で、好ましくは950℃で、2分以下の短時間(第2保持時間ともいう)だけ加熱保持するようにする。

0034

このような第2熱処理後を行うことで、第1熱処理後では十分な導電性が得られなかったx≧0.4の範囲においても、Mgが十分に活性化され、良好なP型導電性が得られることは、これまで知られてはおらず、本発明の発明者によって初めて見出された知見である。

0035

例えば、図1に示すAlxGa1-xN(0≦x≦1)の場合であれば、第2熱処理後は、x≧0.4の組成範囲でも比抵抗が1Ωcm以下と十分に減少していることがわかる。すなわち、x≧0.4の組成範囲については、従来より知られている熱処理に相当する第1熱処理を行うのみではMgの活性化による十分なP型導電性を得ることは出来ず、その後に第2熱処理を行うことによって初めて、良好なP型導電性を得ることができる。加えて、第1熱処理後にすでに1Ωcm程度以下が実現されていた組成のものでも、第2熱処理によってさらに比抵抗が減少することもわかる。すなわち、第1熱処理を行った後、第2熱処理を行うことによって、P型導電性のさらなる向上を実現することができる。

0036

一方、図2は、結晶層の組成がAl0.5Ga0.5Nであるものについて、第1保持温度を800℃とし、保持時間を種々に違えて第1熱処理を行った後の比抵抗の値の変化を示す図である。図2からは、第1熱処理を長く行ったとしても、それだけでは第2熱処理を行った場合のような比抵抗の減少は得られないことがわかる。このことは、第1熱処理における保持時間を長くすることでは、第2熱処理と同様の効果が得られず、特に、Alリッチな結晶層における比抵抗の低減には、第2熱処理が必須であることを意味するものと解される。なお、図2からは、第1熱処理としては20分以上行ってもその効果が小さいことも確認される。これらの傾向は他の組成範囲についても同様であることが、本発明の発明者によって確認されている。

0037

すなわち、図1および図2からは、従来手法と同様の第1熱処理を行った後、第2熱処理を行うという2段階熱処理を行うことで、Alの組成比によらず(Alリッチな場合であっても)Mgが十分に活性化された良好なP型導電性が得られることが確認される。すなわち、P型導電性が向上することが確認される。

0038

次に、このような2段階熱処理で良好なP型導電性が得られる条件範囲について、さらに考察する。

0039

図3は、結晶層の組成がAl0.5Ga0.5Nであるものについて、第1熱処理を800℃、20分行った後、相異なる保持温度条件で第2熱処理を行った場合の比抵抗について示す図である。なお、保持時間は、いずれも1分としている。図3からは、第2熱処理温度が875℃、1025℃である場合に比して、900℃、950℃、1000℃の場合の比抵抗が著しく小さいことがわかる。係る傾向は他の組成範囲についても同様であり、特にx≧0.4の範囲で顕著であることが、本発明の発明者によって確認されている。

0040

また、図4は、同様に、結晶層の組成がAl0.5Ga0.5Nであるものについて、第1熱処理を800℃、20分行った後、第2保持温度を950℃とし、相異なる種々の保持時間で第2熱処理を行った場合の比抵抗について図である。なお、第2熱処理時間が0というのは、第1熱処理のみを行い、第2熱処理を行っていない場合を意味している。図4からは、2分以下の短時間だけ第2熱処理を行った場合には比抵抗が著しく減少し、熱処理の効果が良好に得られるものの、2分を超える熱処理を行ってもその効果が小さいことがわかる。係る傾向は他の組成範囲についても同様であることが、本発明の発明者によって確認されている。図示は省略するが、係る傾向は他の組成範囲についても同様であり、特にx≧0.4の範囲で顕著であることが、本発明の発明者によって確認されている。

0041

すなわち、図3および図4の結果からは、第2熱処理には好適な条件範囲があることが確認される。具体的には、第2保持温度を900℃〜1000℃の間とし、保持時間を2分以下とすることが好適であることが確認される。この結果は、Alリッチな組成範囲のIII族窒化物半導体を、1000℃より高温にあるいは2分よりも長く加熱した場合には、酸素の混入や窒素の空乏化が顕著に引き起こされるために、第2熱処理によるMgの活性化の効果が相殺されてしまうことに由来すると考えられる。

0042

さらに、図5は、結晶層の組成がAl0.5Ga0.5Nであるものについて、第1保持温度を種々に違えた保持時間20分の第1熱処理を行った後、さらに、第2保持温度を950℃、保持時間を1分として、第2熱処理を行った後の比抵抗を示す図である。図5は、例えば、第1熱処理における保持温度が800℃の場合であれば、第2保持温度を950℃、保持時間を1分とする第2熱処理を行うことで、図内に矢印にて示すように比抵抗が減少することを示している。

0043

図5からは、第2熱処理の効果を好適に得ることができる第1熱処理の保持温度範囲が存在することが確認される。すなわち、図5の場合であれば、少なくとも第1保持温度を700℃〜850℃の間とすることで、第2熱処理と組み合わせた2段階熱処理での比抵抗の低減効果を良好に得ることが出来るといえる。これは、700℃より低温での第1熱処理は、たとえ第2熱処理を組み合わせたとしても十分にMgを活性化させることには至らないこと、および、850℃より高温での第1熱処理は、Mgの活性化の点では有利であるとしても結晶層への酸素の混入や窒素の空乏化までも引き起こしてしまい、Mgの活性化の効果を相殺してしまうことを示唆する結果であるといえる。なお、上述のような温度範囲での第1熱処理が好適であることは、他の組成範囲についても同様であることが、本発明の発明者によって確認されている。

0044

以上、説明したように、本実施の形態によれば、MgをドープしたAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる結晶層に対し、第1熱処理として、水素を含まない雰囲気中で、700℃〜850℃の範囲の第1保持温度で20分以上保持する処理を行った後、第2熱処理として、水素を含まない雰囲気中で、900℃〜1000℃の範囲の第2熱処理温度で2分以下の短時間だけ保持する処理を行うことで、該結晶層の比抵抗の著しい低減が実現される。すなわち、該結晶層に良好なP型導電性を実現させることができる。

0045

(実施例1)
面サファイア基板(厚み400μm)上に、MOCVD法を用いてAlN層(1μm)をエピタキシャル成長することで、下地基板としてのテンプレート基板を用意した。

0046

次いで、該テンプレート基板の上に、MOCVO法を用いて、AlxGa1-xNからなる結晶層を1μmの厚みに形成した。その際、前半の0.5μmの成長の際には意図的なドープは行わず、後半の0.5μmについては、濃度が1×1020/cm3となるようにMgをドープしつつ成長させた。なお、それぞれの結晶層の組成比は、x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7とした。すなわち、互いにAl組成比が異なる結晶層が同種のテンプレート基板上に形成された、計8種類のサンプルを作製した。

0047

このようにして作製した各々のサンプルについて、ホール移動度正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。なお、以下においては、ホール移動度が8cm2/Vs以上であり、正孔濃度が5×1017/cm3以上であり、比抵抗が約1Ωcm以下であれば、良好なP型導電性を有しているものと判断する。ただし、係る基準は、絶対的なものではなく、デバイス構成使用環境等によっては、多少数値が劣っていても実際の使用のうえでは支障がないことはいうまでもない。

0048

その後、第1熱処理として、窒素雰囲気中にて保持温度を800℃として20分間保持する熱処理を行い、熱処理後のサンプルについて、ホール移動度、正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。

0049

その後、第2熱処理として、保持温度を950℃として1分間保持する熱処理を行い、熱処理後のサンプルについて、ホール移動度、正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。

0050

得られた測定結果を表1に示す。なお、表1に示す比抵抗の関係を図示したものが、図1である。

0051

0052

表1からは、Alリッチな組成範囲のサンプルについて第1熱処理を施した後に第2熱処理を行うことで、第1熱処理のみでは得られなかった、ホール移動度および正孔濃度が増加がみられることがわかる。また比抵抗の減少が、これらの増加と相関があることも確認される。

0053

(比較例1)
実施例1のx=0.5の場合のサンプル(Al0.5Ga0.5N)を7個作製し、第1保持温度を800℃として保持時間を種々に違えて第1熱処理のみを行った。熱処理後のサンプルについて、ホール移動度、正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。

0054

得られた測定結果を表2に示す。なお、表2に示す比抵抗の関係を図示したものが、図2である。

0055

0056

表2からは、第1熱処理のみを長時間行っても、実施例1の第2熱処理後の程度にまでは良好な導電性を得られないことが確認される。すなわち、実施例1のように第2熱処理を行うことが有効であることが確認される。

0057

(実施例2)
本実施例では、実施例1のx=0.5の場合のサンプル(Al0.5Ga0.5N)を5個作製し、第1保持温度を800℃、保持時間1分として第1熱処理を行い、第2熱処理を種々の保持温度で、保持時間を1分として行った。熱処理後のサンプルについて、ホール移動度、正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。

0058

得られた測定結果を表3に示す。なお、表3に示す比抵抗の関係を図示したものが、図3である。

0059

0060

表3からは、第2保持温度が900℃〜1000℃の範囲では高いホール移動度と正孔濃度が得られるとともに比抵抗が著しく低減されるものの、さらに保持温度を高くすると、より低温で処理した場合と同程度のホール移動度と正孔濃度しか得られず、比抵抗も高くなることが確認される。

0061

すなわち、第2熱処理においては好適な保持温度範囲が存在することが分かる。

0062

(実施例3)
本実施例では、実施例1のx=0.5の場合のサンプル(Al0.5Ga0.5N)を6個作製し、第1保持温度を800℃、保持時間1分として第1熱処理を行い、第2熱処理を、950℃の保持温度に固定する一方、保持時間を種々に違えて行った。熱処理後のサンプルについて、ホール移動度、正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。

0063

得られた測定結果を表4に示す。なお、表4に示す比抵抗の関係を図示したものが、図4である。

0064

0065

表4からは、第2保持時間が2分以下の範囲では高いホール移動度と正孔濃度が得られるとともに比抵抗が著しく低減されるものの、さらに保持時間を長くすると、ホール移動度と正孔濃度は減少し、比抵抗は高くなることが確認される。

0066

すなわち、第2熱処理においては好適な保持時間範囲が存在することが分かる。

0067

(実施例4)
本実施例では、実施例1のx=0.5の場合のサンプル(Al0.5Ga0.5N)を6個作製し、第1保持温度を種々に違えつつ、保持時間20分とする第1熱処理を行った後、保持温度950℃、保持時間1分の第2熱処理を行った。熱処理後のサンプルについて、ホール移動度、正孔濃度、および比抵抗をそれぞれ測定した。

0068

得られた測定結果を表5に示す。なお、表5に示す比抵抗の関係を図示したものが、図5である。

0069

0070

表5からは、保持温度を700℃〜850℃の範囲として第1熱処理を行っておけば、第2熱処理を行うことによって良好な導電性が得られる一方、第1熱処理における保持温度が該温度範囲より低すぎても、あるいは高すぎても、第2熱処理の効果を十分に得ることができないことが確認される。

図面の簡単な説明

0071

AlxGa1-xN(0≦x≦1)で表される結晶層についての、熱処理前、第1熱処理後、第2熱処理後における比抵抗を示す図である。
Al0.5Ga0.5Nで表される結晶層について、第1保持温度を800℃とし、保持時間を種々に違えて第1熱処理を行った後の比抵抗の値の変化を示す図である。
Al0.5Ga0.5Nで表される結晶層について、第1熱処理を800℃、20分行った後、相異なる保持温度条件で第2熱処理を行った場合の比抵抗について示す図である。
Al0.5Ga0.5Nで表される結晶層について、第1熱処理を800℃、20分行った後、第2保持温度を950℃とし、相異なる種々の保持時間で第2熱処理を行った場合の比抵抗について図である。
Al0.5Ga0.5Nで表される結晶層について、第1保持温度を種々に違えた第1熱処理を行った後、さらに、第2保持温度を950℃、保持時間を1分として、第2熱処理を行った場合の比抵抗を示す図である。

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