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技術 分散方式高速波長掃引光源及び分散方式高速波長掃引光発生方法

出願人 日本電信電話株式会社学校法人北里研究所
発明者 浅香航太柴田泰夫三条広明大林康二清水公也
出願日 2007年2月5日 (13年2ヶ月経過) 出願番号 2007-025265
公開日 2008年8月21日 (11年8ヶ月経過) 公開番号 2008-191370
状態 特許登録済
技術分野 光偏向、復調、非線型光学、光学的論理素子
主要キーワード ゲート周波数 光出力口 一次元情報 連続掃引 高速掃引 測定ダイナミックレンジ 掃引動作 発振周波数変化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年8月21日)のものです。
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図面 (20)

課題

波長掃引幅が広く、波長掃引動作が速い分散方式高速波長掃引光源を提供する。

解決手段

分散方式高速波長掃引光源10は、スーパーコンティニウム光源11と、光ゲートスイッチ12と、分散制御ファイバ13と、広帯域光増幅器14により構成されている。SC光源11からは、波長が異なると共に周波数間隔がf0となっている複数のパルス光多重化した光パルス列が出力される。光ゲートスイッチ12は、各掃引繰り返し時間t3内において、サンプリング時間t2(但し、t2<1/f0)だけ光パルス列を切り出す動作を複数回行う。切り出された光パルス列の光パルスは、分散制御ファイバ13により、周波数の違いに応じて時間軸上で分離される。このため、ステップ状に波長の異なる光パルスが、繰り返し出力される。

概要

背景

近年、波長周波数または波数掃引光源を用いた計測断層画面撮像方法などの研究開発活発化している。このような分野においては、測定分解能の向上のため前記波長掃引光源は50nm以上の広い波長掃引幅を有することが求められる。また、特に測定対象物生体である場合、測定時間中に生体の僅かな動き測定ダイナミックレンジ感度)を低下させてしまうため、波長掃引動作を100μs以下で行うことも必要であり、さらに三次元計測を行う場合は、画像表示レートと同等の速度で計測を行うことが求められるため、msオーダでの波長掃引動作が必要になる。また、前記波長掃引光源と光学干渉計とを組み合わせて計測を行う場合は、測定可能距離の拡大のために前記波長掃引光源の可干渉距離コヒーレンス長)が長い方が有利である。そのため、前記波長掃引光源からの出射光は、同時に複数の波長が発振することのないシングルモード単一モード発振)であることが求められる。

このような用途の波長掃引光源として従来用いられてきた技術について説明を行う。図1に従来のOCT用に開発された波長掃引光源を示す(非特許文献1)。図1に示したように、前記従来の波長掃引光源は、フェルール付き光ファイバ1、ファイバ結合用フォーカスレンズ2、光アイソレータ3、ファイバ結合用コリメータレンズ4、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier,SOA)5、コリメータレンズ6、回折格子7、レゾナント・ガルバノメータミラー(Resonant Galvanometer Mirror, RGM)8、フォーカスレンズ9、スリット付き高反射鏡10から構成されている。前記SOA5の光出力口側の端面Aとフェルール付き光ファイバ1の間における光線の様子を模式的に光線b1(出力光)として点線で示す。また、前記SOA5のコリメータレンズ6側の端面Bと前記スリット付き高反射鏡10との間における光線の様子を模式的に光線b2(共振器内部)として点線で示す。なお、前記端面Bは、10-4オーダの低反射鏡具備しており、光出力口側の端面Aは反射率15%を有する。よって、前記端面Aと、前記スリット付き高反射鏡10で構成された共振器の中に、波長選択機能及び波長掃引機能を有する前記回折格子7と前記RGM8が内蔵された形式となるため、共振器長が450mm程度と半導体レーザ(共振器長:数百μm)に比べ非常に長くなっている。

続いて、図1に示した従来の波長掃引光源の動作原理について説明する。まず、前記共振器長から決定される複数の発振モード縦モード)のうち、前記回折格子7と前記スリット付き高反射鏡10のスリット部10aで決定される波長分解能で与えられる波長範囲において、複数の縦モードを選択してレーザ発振を行う。続いて、前記回折格子7は回転機能を有する前記RGM8に固定されているため、前記RGM8を僅かに動かすことにより前記回折格子7が僅かに回転する。そのため、選択される波長は先に選択した複数の縦モードより長波側(または短波側)の複数のモード(波長)となる。この前記回折格子7の回転動作を連続的に行うことにより広い波長域における波長掃引動作を実現する。なお、図1に示した例では、波長掃引幅約130nm、測定分解能10μm(大気中)、波長掃引速度は16kHz(62.5μs)を実現している。

R.Huber, M.Wojtkowski, J.G.Fujimoto, J.Y.Jiang and A.E.Cable,“Three-dimensional and C-modeOCTimaging with a compact,frequency swept laser source at 1300nm ”,Optics Express,Vol.13,No.26,2005,pp.10523-10538
E.Yamada et al, “150 channel supercontinuumCW optical source with high SNR and precise 25GHz spacing for 10 Gbit/sDWDMsystems ”,IEEElectronics Letters,Vol.37,No.5,2001,pp.304-306
D.S.Mehte et al., “Spectral interferometric microscops with tandem liquid-crystalFabry-Perot interferometers for extension of the dynamic range in three-dimensional step-height measurement”,Applied Optics,Vol.42,No.4,2003,pp-682-690
D.S.Mehta et al., “Spectral interference Mirau microscope with an acousto-optic tunable filter for three-dimensional surface profilometry”,Applied Optics,Vol.42,No.4,2003,pp.1296-1305

概要

波長掃引幅が広く、波長掃引動作が速い分散方式高速波長掃引光源を提供する。分散方式高速波長掃引光源10は、スーパーコンティニウム光源11と、光ゲートスイッチ12と、分散制御ファイバ13と、広帯域光増幅器14により構成されている。SC光源11からは、波長が異なると共に周波数間隔がf0となっている複数のパルス光多重化した光パルス列が出力される。光ゲートスイッチ12は、各掃引繰り返し時間t3内において、サンプリング時間t2(但し、t2<1/f0)だけ光パルス列を切り出す動作を複数回行う。切り出された光パルス列の光パルスは、分散制御ファイバ13により、周波数の違いに応じて時間軸上で分離される。このため、ステップ状に波長の異なる光パルスが、繰り返し出力される。

目的

また、波数軸上へのリスケーリングが不要となるため、リスケーリング用のエタロンフィルタ等が不要となり光源のシステムが簡略化されるため、生産性が高い分散方式高速波長掃引光源を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

波長が異なると共に周波数間隔が予め決めた周波数f0となっている複数のパルス光多重化してなる光パルス列を発生する多波長光発生手段と、予め決めた各掃引繰り返し時間t3内において、前記周波数f0の逆数で決定される時間t1に比べて長いサンプリング時間t2だけ、前記多波長光発生手段から発生した前記光パルス列を出力させる切り出し動作を複数回行う光切り出し手段と、前記光切り出し手段から出力された光パルス列を構成する各パルス光を、波長の違いに応じて時間軸上でシフトさせて時間軸上で分離する時分割手段と、を有することを特徴とする分散方式高速波長掃引光源

請求項2

前記光パルス列を構成する各パルス光の波長数Nと、前記サンプリング時間t2と、前記掃引繰り返し時間t3との間に、t2×N<t3なる関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項3

前記多波長光発生手段は、それぞれの発振波長が異なる複数の単一波長レーザ、またはモード同期レーザ、またはスーパーコンティニウム光源のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項4

前記スーパーコンティニウム光源は、能動半導体モード同期レーザと、前記能動半導体モード同期レーザから発生したパルス光を増幅する光増幅器と、前記光増幅器により増幅したパルス光が入力されて伝搬することにより、波長が異なる共に周波数間隔が一定となっている複数のパルス光からなる光パルス列を発生して出力する、正常分散かつ分散平坦特性を有する光ファイバと、から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項5

前記光切り出し手段は、リチウムナイオベート光変調器であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項6

前記時分割手段は、屈折率波長依存性を有する波長分散媒質であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項7

前記前記波長分散媒質は、波長1310nm付近における波長分散が0ps/nm/kmであるシングルモードファイバよりも、波長分散の絶対値が大きい波長分散値を有する分散制御ファイバであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項8

前記分散制御ファイバは、波長1550nm付近における波長分散が、−32ps/nm/km以下である分散補償ファイバであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項9

前記時分割手段の後段に、光強度増幅用の広帯域光増幅手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項10

前記広帯域光増幅手段は、エルビウム添加テルライトファイバ利得媒質とする光ファイバ増幅器であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の分散方式高速波長掃引光源。

請求項11

波長が異なると共に周波数間隔が予め決めた周波数f0となっている複数(N波)のパルス光を多重化してなる光パルス列を一括して発生する工程と、予め決めた各掃引繰り返し時間t3内において、前記周波数f0の逆数で決定される時間t1に比べて長いサンプリング時間t2だけ、前記多波長光発生手段から発生した前記光パルス列を切り出して出力させる工程と、前記光切り出し手段から出力された光パルス列を構成する各パルス光を、波長の違いに応じて時間軸上でシフトさせて時間軸上で分離させる工程を有し。前記光パルス列を構成する各パルス光の波長数Nと、前記サンプリング時間t2と、前記掃引繰り返し時間t3との間に、t2×N<t3なる関係が成り立つことを特徴とする分散方式高速波長掃引光発生方法。

技術分野

0001

本発明は、光計測・Optical Coherence Tomography(OCT光断層画像測定)・光信号処理等で用いられる分散方式高速波長掃引光源及び分散方式高速波長掃引光発生方法に関する。

背景技術

0002

近年、波長周波数または波数掃引光源を用いた計測断層画面撮像方法などの研究開発活発化している。このような分野においては、測定分解能の向上のため前記波長掃引光源は50nm以上の広い波長掃引幅を有することが求められる。また、特に測定対象物生体である場合、測定時間中に生体の僅かな動き測定ダイナミックレンジ感度)を低下させてしまうため、波長掃引動作を100μs以下で行うことも必要であり、さらに三次元計測を行う場合は、画像表示レートと同等の速度で計測を行うことが求められるため、msオーダでの波長掃引動作が必要になる。また、前記波長掃引光源と光学干渉計とを組み合わせて計測を行う場合は、測定可能距離の拡大のために前記波長掃引光源の可干渉距離コヒーレンス長)が長い方が有利である。そのため、前記波長掃引光源からの出射光は、同時に複数の波長が発振することのないシングルモード単一モード発振)であることが求められる。

0003

このような用途の波長掃引光源として従来用いられてきた技術について説明を行う。図1に従来のOCT用に開発された波長掃引光源を示す(非特許文献1)。図1に示したように、前記従来の波長掃引光源は、フェルール付き光ファイバ1、ファイバ結合用フォーカスレンズ2、光アイソレータ3、ファイバ結合用コリメータレンズ4、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier,SOA)5、コリメータレンズ6、回折格子7、レゾナント・ガルバノメータミラー(Resonant Galvanometer Mirror, RGM)8、フォーカスレンズ9、スリット付き高反射鏡10から構成されている。前記SOA5の光出力口側の端面Aとフェルール付き光ファイバ1の間における光線の様子を模式的に光線b1(出力光)として点線で示す。また、前記SOA5のコリメータレンズ6側の端面Bと前記スリット付き高反射鏡10との間における光線の様子を模式的に光線b2(共振器内部)として点線で示す。なお、前記端面Bは、10-4オーダの低反射鏡具備しており、光出力口側の端面Aは反射率15%を有する。よって、前記端面Aと、前記スリット付き高反射鏡10で構成された共振器の中に、波長選択機能及び波長掃引機能を有する前記回折格子7と前記RGM8が内蔵された形式となるため、共振器長が450mm程度と半導体レーザ(共振器長:数百μm)に比べ非常に長くなっている。

0004

続いて、図1に示した従来の波長掃引光源の動作原理について説明する。まず、前記共振器長から決定される複数の発振モード縦モード)のうち、前記回折格子7と前記スリット付き高反射鏡10のスリット部10aで決定される波長分解能で与えられる波長範囲において、複数の縦モードを選択してレーザ発振を行う。続いて、前記回折格子7は回転機能を有する前記RGM8に固定されているため、前記RGM8を僅かに動かすことにより前記回折格子7が僅かに回転する。そのため、選択される波長は先に選択した複数の縦モードより長波側(または短波側)の複数のモード(波長)となる。この前記回折格子7の回転動作を連続的に行うことにより広い波長域における波長掃引動作を実現する。なお、図1に示した例では、波長掃引幅約130nm、測定分解能10μm(大気中)、波長掃引速度は16kHz(62.5μs)を実現している。

0005

R.Huber, M.Wojtkowski, J.G.Fujimoto, J.Y.Jiang and A.E.Cable,“Three-dimensional and C-modeOCTimaging with a compact,frequency swept laser source at 1300nm ”,Optics Express,Vol.13,No.26,2005,pp.10523-10538
E.Yamada et al, “150 channel supercontinuumCW optical source with high SNR and precise 25GHz spacing for 10 Gbit/sDWDMsystems ”,IEEElectronics Letters,Vol.37,No.5,2001,pp.304-306
D.S.Mehte et al., “Spectral interferometric microscops with tandem liquid-crystalFabry-Perot interferometers for extension of the dynamic range in three-dimensional step-height measurement”,Applied Optics,Vol.42,No.4,2003,pp-682-690
D.S.Mehta et al., “Spectral interference Mirau microscope with an acousto-optic tunable filter for three-dimensional surface profilometry”,Applied Optics,Vol.42,No.4,2003,pp.1296-1305

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、前記従来の波長掃引光源は以下に示す重大な問題点を有する。まず、波長掃引速度はμsオーダであるため、波長掃引を1000回以上繰り返して行うリアルタイム三次元計測を行うことができないという重大な問題があった。また、光計測においては計測後に行う高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform,FFT)などのデータ処理を波長軸上ではなく、波数(または周波数)軸上で行うことが一般的である。そのため、前記従来の波長掃引光源は連続的に波長掃引を行っているため、前記従来の波長掃引光源からの出力光の一部を分岐する。次に前記分岐された出力光を、例えばエタロンフィルタなどの周期的な周波数間隔透過特性を有するフィルタを通すなどして、波数軸上へのリスケーリングを行う。そのため、光源のシステムが複雑になってしまうという重大な問題もあった。また、共振器長が450mm程度と非常に長いため、さらに、回折格子7やRGM8を用いた波長選択及び掃引機構が複雑であり、かつ組立には精密な位置合わせが必要となるため、生産性が低いという重大な問題がある。

0007

さらに、連続掃引を行っているため、測定データをサンプリングしている間にも発振波長は僅かに変化する問題がある。この問題について、以下に詳細を述べる。図2に、従来の波長掃引光源の掃引動作時における発振波長λの時間t依存性概念図を示す。図2に示したように、従来技術の波長掃引光源を用いて波長掃引を行うと、時間軸上において連続的に波長が変化することになる。一方、前記波長掃引光源を用いたOCT装置において、前記波長掃引光源から発生した光を試料照射することにより得られた信号光受光器受光し、電気信号に変換した後、前記電気信号をOCT画像に変換するためにコンピュータ内部でデータ処理を行う。このデータ処理を行うためには、受光器から得られるアナログ電気信号を、アナログデジタル(AD)変換回路を用いてデジタル信号に変換する必要がある。AD変換回路においてアナログデータからデジタルデータに変換を行う際には、サンプリング(標本化)が必要になるが、前記サンプリングに必要な時間tsamp(サンプリング時間あるいはサンプリングレート)は短い(高速である)ほど正確なデータ変換を行うことが可能となる。しかしながら、従来技術の波長掃引光源においては波長掃引を連続的に行っているため、前記サンプリング時間内にも波長が変化している。このような波長シフトΔλsamp[m]は、波長掃引速度vsamp[m/s]とサンプリング時間tsamp[s]を用いて(1)式で表される。

0008

0009

(1)式に示したサンプリング時間中の波長シフトΔλsampにより、波長掃引光源の発振スペクトル線幅が実効的に大きくなるため、可干渉距離(コヒーレンス長)が短くなり、深さ方向の計測距離(侵達度)が短くなることが重大な問題となる。例えば、図1に示した波長掃引光源においては、cw発振状態(ある特定の波長においてレーザ発振を行っていて、波長掃引動作を行っていない状態)においては80mm以上のコヒーレンス長を有しているが、掃引速度2.128[nm/μs]で前記光源を掃引動作し、OCT装置のAD変換回路のサンプリング時間10nsの条件下においては、(1)式より波長シフトΔλsampは21[pm]と大きくなり、掃引動作時のコヒーレンス長は15mm程度まで大幅に劣化したことが報告されている(非特許文献1)。そのため、前記光源を用いて行ったOCT測定においても侵達度が3mm程度に制限され、重大な問題となっていた。また、波長シフトΔλsampは(1)式より、波長掃引速度が速いほどシフト量が大きくなるため、高速化と侵達度はトレードオフの関係にあることも重大な問題となっていた。また、サンプリング時間を短くすることにより波長シフト量を小さくすることは可能であるが、サンプリング時間はAD変換回路のサンプリング処理速度に依存するため、サンプリング時間の値は有限であり、波長掃引時のコヒーレンス長はcw発振時のコヒーレンス長に比べ必ず短くなり、その結果OCT測定においては侵達度が劣化することも重大な問題となっていた。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決する本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
波長が異なると共に周波数間隔が予め決めた周波数f0となっている複数のパルス光多重化してなる光パルス列を発生する多波長光発生手段と、
予め決めた各掃引繰り返し時間t3内において、前記周波数f0の逆数で決定される時間t1に比べて長いサンプリング時間t2だけ、前記多波長光発生手段から発生した前記光パルス列を出力させる切り出し動作を複数回行う光切り出し手段と、
前記光切り出し手段から出力された光パルス列を構成する各パルス光を、波長の違いに応じて時間軸上でシフトさせて時間軸上で分離する時分割手段と、
を有することを特徴とする。

0011

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記光パルス列を構成する各パルス光の波長数Nと、前記サンプリング時間t2と、前記掃引繰り返し時間t3との間に、
t2×N<t3
なる関係が成り立つことを特徴とする。

0012

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記多波長光発生手段は、
それぞれの発振波長が異なる複数の単一波長レーザ、またはモード同期レーザ、またはスーパーコンティニウム光源のうちのいずれかであることを特徴とする。

0013

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記スーパーコンティニウム光源は、
能動半導体モード同期レーザと、
前記能動半導体モード同期レーザから発生したパルス光を増幅する光増幅器と、
前記光増幅器により増幅したパルス光が入力されて伝搬することにより、波長が異なる共に周波数間隔が一定となっている複数のパルス光からなる光パルス列を発生して出力する、正常分散かつ分散平坦特性を有する光ファイバと、
から成ることを特徴とする。

0014

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記光切り出し手段は、
リチウムナイオベート光変調器であることを特徴とする。

0015

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記時分割手段は、
屈折率波長依存性を有する波長分散媒質であることを特徴とする。

0016

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記前記波長分散媒質は、
波長1310nm付近における波長分散が0ps/nm/kmであるシングルモードファイバよりも、波長分散の絶対値が大きい波長分散値を有する分散制御ファイバであることを特徴とする。

0017

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記分散制御ファイバは、
波長1550nm付近における波長分散が、−32ps/nm/km以下である分散補償ファイバであることを特徴とする。

0018

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記時分割手段の後段に、光強度増幅用の広帯域光増幅手段を具備することを特徴とする。

0019

また本発明の分散方式高速波長掃引光源の構成は、
前記広帯域光増幅手段は、
エルビウム添加テルライトファイバ利得媒質とする光ファイバ増幅器であることを特徴とする。

0020

また本発明の分散方式高速波長掃引光発生方法の構成は、
波長が異なると共に周波数間隔が予め決めた周波数f0となっている複数(N波)のパルス光を多重化してなる光パルス列を一括して発生する工程と、
予め決めた各掃引繰り返し時間t3内において、前記周波数f0の逆数で決定される時間t1に比べて長いサンプリング時間t2だけ、前記多波長光発生手段から発生した前記光パルス列を切り出して出力させる工程と、
前記光切り出し手段から出力された光パルス列を構成する各パルス光を、波長の違いに応じて時間軸上でシフトさせて時間軸上で分離させる工程を有し。
前記光パルス列を構成する各パルス光の波長数Nと、前記サンプリング時間t2と、前記掃引繰り返し時間t3との間に、
t2×N<t3
なる関係が成り立つことを特徴とする。

0021

[作用]
上記の課題を解決するために、本発明において問題点が以下のように解決されている。本発明は、多波長光発生光源により周波数軸上で等間隔に周波数(波長)多重化されたN波の光を、前記多波長光の隣接する発振波長の光周波数の差f0の逆数で決定される時間t1(=1/f0)に比べて長い時間間隔t2だけ光ゲートスイッチなどにより時間軸上で切り出す。また、この切り出し動作は一定時間t3毎に繰り返して行う。続いて、光ゲートスイッチなどにより一括して切り出された多波長光は、波長分散媒質などによる分散制御により、ステップ状にN−1回発振波長が変化するレーザ光を出力することを、一定の時間t3毎に繰り返す波長(周波数)掃引光源を実現する。そのため、原理的に波長チャネル数N=1000程度の波長掃引速度がnsオーダと従来技術に比べ飛躍的に高速化が可能となる。また、モード同期レーザあるいはSC光源を用いる多波長光発生光源の場合、前記モード同期レーザあるいはSC光源の種光源である能動モード同期レーザの駆動電気周波数f1を変化させることにより、多波長光発生光源の周波数間隔を変えることができる。また、光ゲートスイッチの繰り返し時間t3を調整することにより、波長掃引繰り返し速度tS(=t3)を調整することができる。

0022

図3に、本発明の分散方式高速波長掃引光源における発振周波数fの時間t依存性を示す(波長チャネル数N=8のときに簡略化して表示している)。図3に示したように、本技術は、従来技術における波長掃引が図2に示したように波長軸上で連続的に行っているのに対し、本発明の分散方式高速波長掃引光源に用いる種光源の周波数間隔f0で決められた間隔で周波数(波長)掃引を行うため、波長(周波数)をサンプリング時間(=t2)内で一定にして周波数(波長)軸上で不連続に掃引できる。よって、従来技術において必要であった波数軸上へのリスケーリングが不要であるため、光源のシステムを簡素化することが可能となる。なお、図3において、ts,tr,t2,tsampは、それぞれ掃引時間、掃引繰り返し時間、任意の波長チャネルが発振している時間、サンプリング時間を表している。

0023

また、本発明による高速掃引光源の波長掃引機構において、RGMなどの機械駆動部を有さないため精密な組立や位置合わせが不要であり、生産性を高くすることが可能となる。また、本発明の分散方式高速波長掃引光源として複数の異なった波長を有する単一波長レーザ、モード同期レーザ、SC光源のいずれかを用い分散制御によって掃引動作を実現するため、OCT装置におけるAD変換回路のサンプリング時間の長さによらず掃引時においてもcw駆動時と同じ発振スペクトル線幅を有する。一般に、単一波長レーザ、モード同期レーザ、SC光源のいずれもcw駆動時の発振スペクトル線幅は数10MHz以下であるため、cw駆動時のコヒーレンス長は5m以上である。そのため、掃引時のコヒーレンス長もcw駆動時と比べ劣化することなく5m以上のコヒーレンス長を有するレーザ光を得ることができる。そのため、掃引動作時において侵達度が短くなることはなく、かつ掃引時のコヒーレンス長は掃引速度によらず一定である。

発明の効果

0024

以上述べたように、本発明の分散方式高速波長掃引光源及び分散方式高速波長掃引光発生方法を用いれば、コヒーレンス長が長くかつ等周波数間隔で発振した単一モード光を高速で掃引することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下に本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき詳細に説明する。

0026

(SC光源を用いた高速波長掃引光源によるOCT装置)
以下、図4に基づいて本発明の第1実施例について詳細に説明する。まず、装置構成について説明する。図4に示したように、本発明の分散方式高速波長掃引光源は、スーパーコンティニウム(Supercontinuum, SC)光源11、光ゲートスイッチ12、分散制御ファイバ13、広帯域光増幅器14から構成される。前記SC光源11は、さらに種光源15、光増幅器16、SC光発生用光ファイバ17から構成され、全ての装置間は光ファイバで接続されている。以下、詳細について述べる。

0027

前記SC光源11の種光源15として用いる能動半導体モード同期レーザは、共振器内部の光変調器に、共振器長から決まる繰り返し周波数印加することによりパルス光を発生させることができる強制モード同期型のレーザである。前記能動半導体モード同期レーザの光変調器部に繰り返し周波数f0=12.5GHzの高周波信号を印加すると、繰り返し周波数f0と同じ周期で繰り返し発生する光パルス列が生成される。このとき、前記繰り返し光パルス列光周波数スペクトルは、フーリエ変換の関係により、繰り返し周波数f0と同じ周波数間隔を有する複数の縦モードを有している。この繰り返し光パルス列を光増幅器により増幅し、光強度を増大させる。続いて、光強度が増大された前記繰り返し光パルス列を、前記SC光発生用光ファイバ17である偏波保持型分散フラットファイバに入力すると、前記SC光発生用光ファイバ17を伝搬中に光スペクトルの相互非線形光学効果により、もとの光スペクトルの短波長および長波長側に新たに光スペクトルが生じる。続いて、さらに前記SC光発生用光ファイバ17中を前記波長スペクトルが広がった繰り返し光パルス列が伝搬すると、さらに短波長および長波長側に新たな光スペクトルが発生する。こうした一連の作用を繰り返して、前記SC光発生用光ファイバ17を伝搬するうちに入射した前記繰り返し光パルス列は、繰り返し周波数f0と周波数間隔f0を維持したまま前記SC光発生用光ファイバ17に入射する前よりもはるかに広い波長域(79nm)を有する光スペクトルになる。よって、本実施例の場合f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)であるため、波長数Nは790にもなる。

0028

このような多波長光発生手段は、スーパーコンティニウム(Supercontinuum. SC)光源と呼ばれ、公開特許公報(特開2002−236301)や非特許文献2(E.Yamada et al, “150 channel supercontinuumCW optical source with high SNR and precise 25GHz spacing for 10 Gbit/sDWDMsystems ”,IEEElectronics Letters,Vol.37,No.5,2001,pp.304-306)に詳細な説明がある。SC光源の特徴は、広帯域であると同時に周波数間隔が種光源の駆動周波数のみで決定されることから、周波数間隔の設定精度が1kHz以下と非常に良好であるため、広帯域光ファイバ通信への適用が期待されている。なお、SC光源11により生成された多波長光の様子を、図5(a)に示す。この図は、図4においてAの場所で観測される多波長光を、波長数が4波長のときに簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。また、先に述べたように波長チャネル間隔は、周波数軸上で等間隔である(周波数間隔f0=12.5GHz)。前記SC光源11から生成される多波長光パルス列は、フーリエ変換の関係から、唯一の波長を光フィルタにより取り出して観測した場合、連続光として観測される。

0029

本発明は前記SC光源11から一括生成された多波長光を、光ゲートスイッチ12と分散制御ファイバ13を用いて、波長掃引光源を実現したことを最大の特徴とする。以下、さらに詳細について説明を続ける。

0030

続いて、連続して生成される繰り返し光パルス列の一部を時間軸上で切り出すために、前記SC光源11からの繰り返し光パルス列を光切り出し手段である光ゲートスイッチ12に入射する。前記光ゲートスイッチ12には、リチウムナイオベート(LN)光変調器を用いた。ここで、前記光ゲートスイッチ12への駆動電圧は、ゲート時間幅t2=50ps(ゲート周波数20.0GHz)の光パルス列を周波数12.5MHz(繰り返し時間t3=80ns)で繰り返し得られるように設定した。このようにして前記SC光源11により生成された繰り返し光パルス列を、時間軸上で切り出した様子を図5(b)に示す。なお、図5(b)は、図4においてBの場所で観測される光パルス列を簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。

0031

次に、時間軸上で切り出された光パルス列を、波長分散媒質である分散制御ファイバ13に入射する。前記分散制御ファイバ13は、通常の光ファイバ通信で用いられるシングルモードファイバよりも強い波長分散特性を有することを特徴とし、本実施例においては波長1550nmにおける波長分散が−85ps/nm/km、伝搬損失が0.4dB/kmである分散補償ファイバを用いた。なお、従来、前記分散補償ファイバは、ファイバ内で伝播される光信号の波長が異なると波長ごとに伝播速度が異なるという波長分散を抑制(補償)するために用いられるものである。一方、本発明においては、光信号(スペクトル)を波長ごとに時間軸上にシフトさせるために、従来とは逆に波長分散を促進させるように前記分散補償ファイバを用いる。このように、前記分散補償ファイバの波長分散の絶対値が、通常のシングルモードファイバのそれの5倍程度の値になっていることを積極的に利用することを特徴とする。この点で、本発明における前記分散補償ファイバの作用効果は従来の利用方法とは異なる。そのため、本実施例においては前記分散補償ファイバを分散補償の目的で用いないことを明確化するために、以下分散制御ファイバと称することにする。

0032

前記分散制御ファイバ13に入射された光パルス列は、前記分散制御ファイバ13の強い波長分散特性により、比較的短距離を伝搬しただけで波長毎に伝搬時間が異なる現象が起こる。そのため、ある波長におけるσの波長分散特性を有する分散制御ファイバ13を用いて周波数間隔f0(波長間隔λ0)である波長λ1の光パルスと波長λ2の光パルスの伝搬時間差遅延時間)をtdとしたいときには、前記分散制御ファイバ13の長さLfiberは(2)式のように表される。

0033

0034

よって、たとえば周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)である波長λ1の光パルスと波長λ2の光パルスの遅延時間tdを100psとしたいときには、前記分散制御ファイバ13の長さLfiberを11.8kmに設定すれば良い。このように、前記分散制御ファイバ13の強い波長分散特性を積極的に利用することにより、前記多波多重化された光パルス列を、時間軸上で波長毎に分離することが可能となる。すなわち、時間軸上で波長毎に分離された個々の光パルスは単一波長、すなわちシングルモード発振した波長スペクトルを有する。このときの様子を図5(c)に示す。なお、図5(c)は、図4においてCの場所で観測される光パルス列を簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。なお、ここで遅延時間tdとしてゲート時間幅t2の2倍の値、すなわちtd=100psとした。遅延時間は、前記分散制御ファイバ13の分散特性に波長依存性があるため、波長チャネル毎に僅かに異なる。そのため、ここでの遅延時間は平均値を示している。また、本実施例における分散方式高速波長掃引光源10の波長掃引時間tsと掃引繰り返し時間tr(=t3)は、それぞれ79ns、80nsである。本発明の分散方式高速波長掃引光源10は、上記の方法により波長多重化された光パルス列を、波長毎に時間的に分離することを実現したことを特徴とする。

0035

最後に、生成された光パルス列(分散制御ファイバ13から出力された光パルス列)は、光ゲートスイッチ12、分散制御ファイバ13を経たことにより、波長毎の光強度が−32dBm程度に低下している。そのため、広帯域光増幅器14により光強度を−7dBm程度まで増大した。本実施例では、広帯域光増幅器14としてエルビウム添加テルライトファイバを利得媒質とする光ファイバ増幅器(Erbium-Doped Tellurite Fiber Amplifier, EDTFA)を用いた。

0036

以上のようにして、本発明により分散方式高速波長掃引光源10を用いれば、周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)、波長帯域79nm(周波数帯域Δf=9.875THz)、波長チャネル数N=790のシングルモード光を、掃引時間ts=80nsで掃引することが可能となる。本発明の分散方式高速波長掃引光源10を用いて波長掃引を2回行った際の様子を図6に示す。なお、本発明の分散方式高速波長掃引光源10の発振スペクトル線幅は、10MHz以下であるため、コヒーレンス長は10m以上と非常に長い。また、先に述べた理由からコヒーレンス長は波長掃引時においても劣化することなく10m以上のコヒーレンス長を有している。

0037

続いて、本発明の分散方式高速波長掃引光源を用いて行ったOCT測定について示す。図7に本発明者等が開発したOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を示す(特願2004−276773)。本装置は主に、本発明の分散方式高速波長掃引光源10、ファイバ型Mach-Zehnder干渉計32、バランスレシーバ33、AD変換回路34、DA変換回路35、ガルバノミラー制御回路36、演算制御装置37、画像表示装置38から構成される。本発明の分散方式高速波長掃引光源10からの出射光は、9:1カプラ39により試料光路40に90%、参照光路41に10%の光が入射する。試料光路40に入射したレーザ光は、試料光路側サーキュレータ42、測定光入力/信号光送出口43、試料光路側コリメータレンズ44、ガルバノメータミラー45、試料光路側対物レンズ46を経て試料47に入射した後、試料47からの後方反射または散乱された信号光として再び同じ光路を経て試料光路側サーキュレータ42に戻り試料光路側偏波コントローラ(PC)48を経て、5:5カプラ49に入射する。即ち、試料光路40は光路A−B−C−D−E−F−E−D−C−G−Hで表され、そのうちの光路D−E−F−E−Dは、大気中を光が伝搬する空間光路であり(ただし、試料光路側コリメータレンズ部と試料光路側対物レンズ部を除く)、それ以外の部分(光路A−B−C−D、光路D−C−G−H)は光通信用シングルモードファイバ(SMF)で構成されている(ただし、試料光路側サーキュレータ及び試料光路側偏波コントローラの内部を除く)。

0038

一方、参照光路41に入射した参照光は、参照光路側サーキュレータ50、参照光入力/送出口51、参照光路側コリメータレンズ52、参照光路側対物レンズ53を経て参照反射鏡54に入射した後、参照反射鏡54により反射された参照光は再び同じ光路を経て参照光路側サーキュレータ50に戻り参照光路側偏波コントローラ(PC)55を経て5:5カプラ49に入射する。即ち、参照光路は光路I−J−K−L−M−L−K−N−Oで表され、そのうちの光路L−M−Lは、大気中を光が伝搬する空間光路であり(ただし、参照光路側コリメータレンズ部と参照光路側対物レンズ部を除く)、それ以外の部分(光路I−J−K−L、光路L−K−N−O)は光通信用シングルモードファイバ(SMF)で構成されている(ただし、参照光路側サーキュレータ及び参照光路側偏波コントローラの内部を除く)。

0039

5:5カプラ49に入射した信号光と参照光は干渉信号となり、バランスレシーバ33に入射され電気信号に変換される。バランスレシーバ33は光入力ポートを2つ有し、干渉信号の直流成分を自動的に除去し干渉成分のみを取り出すことができる。バランスレシーバ33から出力された電気信号は、A/D変換回路34においてアナログ電気信号からデジタル電気信号に変換された後、演算制御装置37に取り込まれ、数値処理される。数値処理された測定データは、画像表示装置38上に表示される。干渉信号電流は、本発明の分散方式高速波長掃引光源10の発振周波数切替と同期してサンプリングされ、高速Fourier 変換(FFT)または離散Fourier 変換(DFT)により反射強度の深さ方向依存性の情報を得ることができる。

0040

ここで、先に述べたように分散方式高速波長掃引光源10の周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)、波長帯域79nm(周波数帯域Δf=9.875THz)、波長チャネル数N=790のシングルモード光を、掃引時間ts=80nsで掃引することにより干渉信号を得る。このとき、1回の掃引で得る干渉信号を、演算制御装置37においてFFTまたはDFTによる数値処理を経て変換されたデータをA-line信号と称し、これは深さ方向の反射強度分布を示す一次元情報である。そのため、A-line走査時間(走査率)は掃引時間tsと同じ80ns(12.5MHz)となり、前記従来技術(16kHz)と比べ、飛躍的に高速化を実現している。また、二次元情報を得るためには、ガルバノミラー45を駆動することにより、試料光ビームを偏向して僅かに試料47へのビームの照射位置をずらした状態で波長掃引を行いA-line信号を取得する。この動作を複数回繰り返すことにより二次元情報(B-scan信号)を得ることができる。そのため、A-line信号を500本取得して得たB-scan信号を得る為に要した時間、すなわちB-scan走査時間(走査率)は、40μs(25kHz)である。さらに、前記ガルバノミラー45をB-scan信号取得時のビーム走査時に対し、直角に交わる方向に沿って照射位置を連続的に複数回ずらしていくことにより、三次元情報を得ることができる。よって、B-scan信号を500個取得して得た三次元情報を得るために要した時間(走査率)は、20ms(50Hz)である。よって、本発明の分散方式高速波長掃引光源10を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を用いれば、1秒間に50フレーム三次元画像を取得できるため、リアルタイムで三次元画像を表示することが可能となる。前記ガルバノミラー45の制御は、演算制御装置37において前記分散方式高速波長掃引光源10の掃引トリガと同期して行い、制御信号はDA変換回路35とガルバノ制御回路36を経てガルバノミラー45に伝達される。

0041

図8に、本発明の分散方式高速波長掃引光源10を用いたOFDI−OCT法による断層像撮像装置によって測定した、ヒトから摘出した歯を試料としたときのA-line信号を示す。同図は、信号光強度の深さ位置依存性を示しており、500本取得したA-line信号の一つである。同図において、深さ1.5mmと3.0mm付近とにおける反射ピークは、それぞれ、大気とエナメル質の界面による反射ピーク、エナメル質と象牙質の界面における反射ピークに対応している。また、深さ5.8mm付近における反射ピークは、象牙質内部に存在するクラック(空隙)による反射ピークである。また、同図において侵達度は6mm(光路長)、深さ方向の分解能は23.5μm、A-line信号取得時間は80nsである。

0042

深さ方向の測定範囲(侵達度)は、各波数における測定光の掃引時のコヒーレント長に依存する。従って、侵達度は測定光の掃引時の実効的なスペクトル線幅によって制限される。侵達度とスペクトル線幅は比例関係にあり、10mmの侵達度を確保するためには出射光のスペクトル線幅が13GHz以下、測定範囲2.5mmを確保するためには出射光のスペクトル線幅が52GHz以下に設定することが必要である(特願2004−276773)。

0043

一方、侵達度Δzは測定光の波数間隔δkによっても制限される。ODFDI−OCT法においては、コヒーレント長がmオーダと十分に長い場合、侵達度Δzは波数間隔δkを用いて、(3)式のように表される(特願2004−276773)。

0044

0045

よって、周波数間隔f0=12.5GHzより、波数に換算するとδk=261.98m-1であるため、侵達度Δzの理論値は、6mmであり、図8測定結果と良く一致する。なお、(3)式より、OFDI−OCT法において侵達度の長大化を図るには、δkを小さくすれば良い。そのため、例えばΔz=12mmを得るためには、δk=130.99m-1にすれば良い。これを実現するには、本発明の分散方式高速波長掃引光源10におけるSC光源11の種光源15であるモード同期レーザを、駆動電気周波数f0=6.25GHzでモード同期できる素子に置き換えることにより容易に実現可能である。

0046

次に、掃引繰り返し時間t3の設定値について説明する。
まず、t3についてここで、測定対象が生体に係るものである場合に測定対象が微動することを考慮すれば、許容される分解能Δz、測定対象が動く速度がvとすれば、t3の許容範囲
t3 < (又は=) Δx/v
である。ここで、Δxは80μm程度である(特願2004−276773)。したがって、v=1mm/sec程度のときt3は80msec以下、v=10mm/sec程度のときt3は8msec以下であることを必要とする。したがって、t3は最大で80msecまで設定できれば本測定に十分適用できる。

0047

次に、ゲート時間幅(サンプリング時間)t2の設定値について説明する(図6参照)。波長数をNとすれば、
t2 < (又は=) t3/N
である。これより、N=1000のときにt2は80(v=1mm/secのとき)−8μsec(v=10mm/secのとき)以下であること、N=100のときにt2は800(v=1mm/secのとき)−80μsec(v=10mm/secのとき)以下であることを必要とする。したがって、t2は最大で800μsecまで設定できれば本測定に十分適用できる。

0048

また、図9には同じ試料のB-scan信号を示す。B-scan信号は、先に説明したようにガルバノミラー45により試料光の照射位置を30μmずつB-scan方向に沿ってずらしてA-line信号を取得することを500回繰り返して得られた信号であり、B-scan範囲は15mmである。同図中、一点鎖線部分は図8に示したA-line信号に対応しており、B-scan信号取得時間は、40μsである。図9より、大気とエナメル質の界面、エナメル質と象牙質の界面、クラックの様子が二次元断層像として明瞭に観測できることを確認した。さらに、図示はしないが、図9に示したB-scan画像を、先に説明したように試料光の照射位置を30μmずつB-scan方向の直角方向に沿ってずらしてB-scanを取得することを500回繰り返すことにより、歯の三次元画像を得ることに成功した。このときの三次元画像サイズは、深さ6mm、縦および横15mmであり、三次元画像取得時間は20msであった。

0049

よって、本発明を用いれば、例えば三次元光計測において1秒間に50程度の三次元画像を取得することができるため、リアルタイムの三次元計測が可能となる。また、種光源15の駆動時に、周波数間隔が等間隔になるように設定されているので、周波数間隔の設定精度が高く(1kHz)、また従来技術とは異なり波数軸上へのリスケーリングも不要であるため、光源のシステムが簡素化される。また前記種光源15である能動モード同期レーザの駆動電気周波数f0を変化させることにより、多波長光発生光源の周波数間隔f0を変えることができ、また光ゲートスイッチの繰り返し時間t3を調整することにより、波長掃引繰り返し速度tr(=t3)を調整することができるなど柔軟性が高い分散方式高速波長掃引光源を提供できる。また、光源の波長掃引機構には回折格子やRGMなどの機械駆動部分を含まない。よって、精密な組立や位置合わせを全く必要としないため、生産性が高い。さらに、コヒーレンス長の長い能動半導体モード同期レーザを種光源15として用いるため、発振スペクトル幅が5MHz以下、コヒーレント長10m程度の非常に良好で、かつ単一モード発振した光スペクトルを有する光を得ることが可能となる。さらに、掃引時におけるコヒーレンス長は掃引速度の増加に伴い劣化することなく、cw発振時と同じコヒーレンス長を維持することが可能となる。そのため、OCT測定においては侵達度の劣化がなく、理論値と同じ侵達度を得ることが可能となる。

0050

そのため、光計測においてはリアルタイムで三次元画像が取得可能になる。また、波数軸上へのリスケーリングが不要となるため、リスケーリング用のエタロンフィルタ等が不要となり光源のシステムが簡略化されるため、生産性が高い分散方式高速波長掃引光源を提供することが可能となる。

0051

上述の実施例においては、スペクトル形状矩形の場合について説明したが、スペクトル形状をガウシアン形状等別のものに変えても、分解能等は大きくは変わらず得られる効果も矩形の場合とほぼ同じである。

0052

(SC光源を用いた高速波長掃引光源による光学部品評価装置
以下、実施例1で用いた本発明の分散方式高速波長掃引光源10を用いた光学部品評価装置について図10を用いて説明する。本装置は、本発明の分散方式高速波長掃引光源10、被評価光デバイス(DUT)202、受光器203、AD変換回路204、演算制御装置205、画像表示装置206から成り、前記分散方式高速波長掃引光源10とDUT202,DUT202と受光器203はSMFで接続されている。分散方式高速波長掃引光源10からの出力は、DUT202に入射し、DUT202を透過した光は受光器203を入射し、アナログ電気信号に変換される。アナログ電気信号は、AD変換回路204によりデジタル信号に変換された後、演算制御装置205によりデータ処理され、画像表示装置206にデータが表示される。よって、本装置は光デバイス透過率の波長依存性を高速に測定することのできる光学部品評価装置である。

0053

図11に示したPLC(Planar LightwaveCircuit、平面光波回路)型Mach-Zehnder(MZ)干渉計をDUT202として測定したときの例について詳細を述べる。図11において、MZ干渉計ガラス材質から成るPLC基板210上に光導波路構造を形成することにより作成される。同MZ干渉計のポートAに入力した光は、前記MZ干渉計を経てポートB及びポートCから出力される。前記ポートBおよびポートCから出力される光強度は、前記MZ干渉計の光路長差ΔL(本実施例の場合、1.00mmに設定)から決まるフィルタ特性により、波長依存性を有する。よって、前記MZ干渉計をDUT202として本発明の波長掃引光源からの光を入射することにより、前記DUT202における透過率の波長依存性を計測することが可能となる。

0054

なお、本発明の光学部品評価装置における分散方式高速波長掃引光源10は、実施例1と同じ装置構成のものを用い、周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)、波長帯域79nm(周波数帯域Δf=9.875THz)、波長チャネル数N=790のシングルモード光を、掃引時間ts=80nsで掃引することができるため、非常に高速に評価を行うことができる。

0055

図12に本装置を用いて、図11に示したPLC型MZ干渉計をDUT202とした場合の評価結果を示す。図12において、前記DUT202のポートBからの光出力強度縦軸に、本発明の波長掃引光源10の出力光波長横軸プロットしている。図12に示したように、前記MZ干渉系の光路長差ΔL=1.00mmに対応した波長軸上において周期的に光強度が変化する様子が分かる。このようにして、光学部品の透過率の波長依存性を評価することが可能となる。

0056

(モード同期レーザを用いた高速波長掃引光源によるOCT装置)
以下、図13に基づいて本発明の第3実施例について詳細に説明する。まず、装置構成について説明する。図13に示したように、本発明の分散方式高速波長掃引光源300は、能動半導体モード同期レーザ301、光ゲートスイッチ302、分散制御ファイバ303、広帯域光増幅器304から構成される。全ての装置間は光ファイバで接続されている。以下、詳細について述べる。

0057

前記能動半導体モード同期レーザ301は、共振器内部の光変調器に、共振器長から決まる繰り返し周波数を印加することによりパルス光を発生させることができる強制モード同期型のレーザである。前記能動半導体モード同期レーザ301の光変調器部に繰り返し周波数f0=12.5GHzの高周波信号を印加すると、繰り返し周波数f0と同じ周期で繰り返し発生する光パルス列が生成される。このとき、前記繰り返し光パルス列の光周波数スペクトルは、フーリエ変換の関係により、繰り返し周波数f0と同じ周波数間隔を有する複数の縦モードを有している。光周波数スペクトル幅は、4.875THz(波長帯域39nm)と広帯域になる。

0058

前記能動半導体モード同期レーザ301の特徴は、広帯域であると同時に周波数間隔が前記能動半導体モード同期レーザ301の駆動周波数のみで決定されることから、周波数間隔の設定精度が1kHz以下と非常に良好であるため、広帯域光ファイバ通信への適用が期待されている。なお、前記能動半導体モード同期レーザ301により生成された多波長光の様子を、図14(a)に示す。この図は、図13においてAの場所で観測される多波長光を、波長数が4波長のときに簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。また、先に述べたように波長チャネル間隔は、周波数軸上で等間隔である(周波数間隔f0=12.5GHz)。前記能動半導体モード同期レーザ301から生成される多波長光パルス列は、フーリエ変換の関係から、唯一の波長を光フィルタにより取り出して観測した場合、連続光として観測される。

0059

本発明は前記能動半導体モード同期レーザ301から一括生成された多波長光を、光ゲートスイッチ302と分散制御ファイバ303を用いて、波長掃引光源を実現したことを最大の特徴とする。以下、さらに詳細について説明を続ける。

0060

続いて、連続して生成される繰り返し光パルス列の一部を時間軸上で切り出すために、前記能動半導体モード同期レーザ301からの繰り返し光パルス列を光切り出し手段である光ゲートスイッチ302に入射する。前記光ゲートスイッチ302には、リチウムナイオベート(LN)光変調器を用いた。ここで、前記光ゲートスイッチ302への駆動電圧は、ゲート時間幅t2=20.0GHz(50ps)の光パルス列を周波数12.5MHz(繰り返し時間t3=80ns)で繰り返し得られるように設定した。このようにして前記能動半導体モード同期レーザ301により生成された繰り返し光パルス列を、時間軸上で切り出した様子を図14(b)に示す。なお、図14(b)は、図13においてBの場所で観測される光パルス列を簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。

0061

次に、時間軸上で切り出された光パルス列を、波長分散媒質である分散制御ファイバ303に入射する。前記分散制御ファイバ303は、通常の光ファイバ通信で用いられるシングルモードファイバよりも強い波長分散特性を有することを特徴とし、本実施例においては波長1550nmにおける波長分散が−85ps/nm/km、伝搬損失が0.4dB/kmである分散補償ファイバを用いた。なお、前記分散補償ファイバは、通常のシングルモードファイバで構築した光ファイバ通信網において、光信号の伝搬と共に累積した波長分散を補償し、受信感度の低下を防ぐため、または伝送距離長距離化のために製造されたファイバである。しかしながら、ここでは前記分散補償ファイバの波長分散の絶対値が、通常のシングルモードファイバのそれの5倍程度の値になっていることを積極的に利用することを特徴とする。そのため、本実施例においては前記分散補償ファイバを分散補償の目的で用いないことを明確化するために、以下分散制御ファイバ303と称することにする。

0062

前記分散制御ファイバ303に入射された光パルス列は、前記分散制御ファイバ303の強い波長分散特性により、比較的短距離を伝搬しただけで波長毎に伝搬時間が異なる現象が起こる。そのため、ある波長におけるσの波長分散特性を有する分散制御ファイバ303を用いて周波数間隔f0(波長間隔λ0)である波長λ1の光パルスと波長λ2の光パルスの伝搬時間差(遅延時間)をtdとしたいときには、前記分散制御ファイバ303の長さLfiberは(4)式のように表される。

0063

0064

よって、たとえば周波数間隔f0=12.5GHz(波長間隔λ0=0.1nm)である波長λ1の光パルスと波長λ2の光パルスの遅延時間tdを100psとしたいときには、前記分散制御ファイバ303の長さLfiberを11.8kmに設定すれば良い。このように、前記分散制御ファイバ303の強い波長分散特性を積極的に利用することにより、前記多波多重化された光パルス列を、時間軸上で波長毎に分離することが可能となる。すなわち、時間軸上で波長毎に分離された個々の光パルスは単一波長、すなわちシングルモード発振した波長スペクトルを有する。このときの様子を図14(c)に示す。なお、図14(c)は、図13においてCの場所で観測される光パルス列を簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。なお、ここで遅延時間tdとしてゲート時間幅t2の2倍の値、すなわちtd=100psとした。遅延時間は、前記分散制御ファイバ303の分散特性に波長依存性があるため、波長チャネル毎に僅かに異なる。そのため、ここでの遅延時間は平均値を示している。また、本実施例における分散方式高速波長掃引光源300の波長掃引時間tsと掃引繰り返し時間tr(=t3)は、それぞれ39ns、40nsである。本発明の分散方式高速波長掃引光源300は、上記の方法により波長多重化された光パルス列を、波長毎に時間的に分離することを実現したことを特徴とする。

0065

最後に、生成された光パルス列(分散制御ファイバ303から出力された光パルス列)は、光ゲートスイッチ302、分散制御ファイバ303を経たことにより、波長毎の光強度が−32dBm程度に低下している。そのため、広帯域光増幅器304により光強度を−7dBm程度まで増大した。本実施例では、広帯域光増幅器として光ファイバ増幅器(Erbium-Doped Tellurite Fiber Amplifier, EDTFA)を用いた。

0066

以上のようにして、本発明により分散方式高速波長掃引光源300を用いれば、周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)、波長帯域39nm(周波数帯域Δf=4.875THz)、波長チャネル数N=390のシングルモード光を、掃引時間ts=40nsで掃引することが可能となる。本発明の分散方式高速波長掃引光源300を用いて波長掃引を2回行った際の様子を図15に示す。なお、本発明の分散方式高速波長掃引光源300の発振スペクトルの線幅は、10MHz以下であるため、コヒーレンス長は10m以上と非常に長い。また、先に述べた理由からコヒーレンス長は波長掃引時においても劣化することなく10m以上のコヒーレンス長を有している。

0067

続いて、本発明の分散方式高速波長掃引光源を用いて行ったOCT測定について示す。図16に本発明者等が開発したOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を示す(特願2004−276773)。本装置は主に、本発明の分散方式高速波長掃引光源300、ファイバ型Mach-Zehnder干渉計32、バランスレシーバ33、AD変換回路34、DA変換回路35、ガルバノミラー制御回路36、演算制御装置37、画像表示装置38から構成される。本発明の分散方式高速波長掃引光源300からの出射光は、9:1カプラ39により試料光路40に90%、参照光路41に10%の光が入射する。試料光路40に入射したレーザ光は、試料光路側サーキュレータ42、測定光入力/信号光送出口43、試料光路側コリメータレンズ44、ガルバノメータミラー45、試料光路側対物レンズ46を経て試料47に入射した後、試料47からの後方反射または散乱された信号光として再び同じ光路を経て試料光路側サーキュレータ42に戻り試料光路側偏波コントローラ(PC)48を経て、5:5カプラ49に入射する。即ち、試料光路40は光路A−B−C−D−E−F−E−D−C−G−Hで表され、そのうちの光路D−E−F−E−Dは、大気中を光が伝搬する空間光路であり(ただし、試料光路側コリメータレンズ部と試料光路側対物レンズ部を除く)、それ以外の部分(光路A−B−C−D、光路C−G−H)は光通信用シングルモードファイバ(SMF)で構成されている(ただし、試料光路側サーキュレータ及び試料光路側偏波コントローラの内部を除く)。

0068

一方、参照光路41に入射した参照光は、参照光路側サーキュレータ50、参照光入力/送出口51、参照光路側コリメータレンズ52、参照光路側対物レンズ53を経て参照反射鏡54に入射した後、参照反射鏡54により反射された参照光は再び同じ光路を経て参照光路側サーキュレータ50に戻り参照光路側偏波コントローラ(PC)55を経て5:5カプラ49に入射する。即ち、参照光路は光路I−J−K−L−M−L−K−N−Oで表され、そのうちの光路L−M−Lは、大気中を光が伝搬する空間光路であり(ただし、参照光路側コリメータレンズ部と参照光路側対物レンズ部を除く)、それ以外の部分(光路I−J−K−L、光路L−K−N−O)は光通信用シングルモードファイバ(SMF)で構成されている(ただし、参照光路側サーキュレータ及び参照光路側偏波コントローラの内部を除く)。

0069

5:5カプラ49に入射した信号光と参照光は干渉信号となり、バランスレシーバ33に入射され電気信号に変換される。バランスレシーバ33は光入力ポートを2つ有し、干渉信号の直流成分を自動的に除去し干渉成分のみを取り出すことができる。バランスレシーバ33から出力された電気信号は、A/D変換回路34においてアナログ電気信号からデジタル電気信号に変換された後、演算制御装置37に取り込まれ、数値処理される。数値処理された測定データは、画像表示装置38上に表示される。干渉信号電流は、本発明の分散方式高速波長掃引光源300の発振周波数切替と同期してサンプリングされ、高速Fourier 変換(FFT)または離散Fourier 変換(DFT)により反射強度の深さ方向依存性の情報を得ることができる。

0070

ここで、先に述べたように分散方式高速波長掃引光源300の周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)、波長帯域39nm(周波数帯域Δf=4.875THz)、波長チャネル数N=390のシングルモード光を、掃引時間ts=40nsで掃引することにより干渉信号を得る。このとき、1回の掃引で得る干渉信号を、演算制御装置37においてFFTまたはDFTによる数値処理を経て変換されたデータをA-line信号と称し、これは深さ方向の反射強度分布を示す一次元情報である。そのため、A-line走査時間(走査率)は掃引時間tsと同じ40ns(25MHz)となり、前記従来技術(16kHz)と比べ、飛躍的に高速化を実現している。また、二次元情報を得るためには、ガルバノミラー45を駆動することにより、試料光のビームを偏向して僅かに試料47へのビームの照射位置をずらした状態で波長掃引を行いA-line信号を取得する。この動作を複数回繰り返すことにより二次元情報(B-scan信号)を得ることができる。そのため、A-line信号を500本取得して得たB-scan信号を得る為に要した時間、すなわちB-scan走査時間(走査率)は、20μs(50kHz)である。さらに、前記ガルバノミラー45をB-scan信号取得時のビーム走査時に対し、直角に交わる方向に沿って照射位置を連続的に複数回ずらしていくことにより、三次元情報を得ることができる。よって、B-scan信号を500個取得して得た三次元情報を得るために要した時間(走査率)は、10ms(100Hz)である。よって、本発明の分散方式高速波長掃引光源300を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を用いれば、1秒間に100フレームの三次元画像を取得できるため、リアルタイムで三次元画像を表示することが可能となる。前記ガルバノミラー45の制御は、演算制御装置において前記分散方式高速波長掃引光源300の掃引トリガと同期して行い、制御信号はDA変換回路35とガルバノ制御回路36を経てガルバノミラー45に伝達される。

0071

図17に、本発明の分散方式高速波長掃引光源300を用いたOFDI−OCT法による断層像撮像装置によって測定した、ヒトから摘出した歯を試料としたときのA-line信号を示す。同図は、信号光強度の深さ位置依存性を示したおり、500本取得したA-line信号の一つである。同図において、深さ1.5mmと3.0mm付近とにおける反射ピークは、それぞれ、大気とエナメル質の界面による反射ピーク、エナメル質と象牙質の界面における反射ピークに対応している。また、深さ5.8mm付近における反射ピークは、象牙質内部に存在するクラック(空隙)による反射ピークである。また、同図において侵達度は6mm(光路長)、深さ方向の分解能は27μm、A-line信号取得時間は40nsである。OFDI−OCT法においては、コヒーレンス長がmオーダと十分に長い場合、侵達度Δzは波数間隔δkを用いて、(5)式のように表される(特願2004−276773)。

0072

0073

よって、周波数間隔f0=12.5GHzより、波数に換算するとδk=261.98m-1であるため、侵達度Δzの理論値は、6mmであり、図17の測定結果と良く一致する。なお、(5)式より、OFDI−OCT法において侵達度の長大化を図るには、δkを小さくすれば良い。そのため、例えばΔz=12mmを得るためには、δk=130.99m-1にすれば良い。これを実現するには、前記能動半導体モード同期レーザ301を、駆動電気周波数f0=6.25GHzでモード同期できる素子に置き換えることにより容易に実現可能である。

0074

また、図18には同じ試料のB-scan信号を示す。B-scan信号は、先に説明したようにガルバノミラー45により試料光の照射位置を30μmずつB-scan方向に沿ってずらしてA-line信号を取得することを500回繰り返して得られた信号であり、B-scan範囲は15mmである。同図中、一点鎖線部分は図17に示したA-line信号に対応しており、B-scan信号取得時間は、20μsである。図18より、大気とエナメル質の界面、エナメル質と象牙質の界面、クラックの様子が二次元断層像として明瞭に観測できることを確認した。さらに、図示はしないが、図18に示したB-scan画像を、先に説明したように試料光の照射位置を30μmずつB-scan方向の直角方向に沿ってずらしてB-scanを取得することを500回繰り返すことにより、歯の三次元画像を得ることに成功した。このときの三次元画像サイズは、深さ6mm、縦および横15mmであり、三次元画像取得時間は10msであった。

0075

よって、本発明を用いれば、例えば三次元光計測において1秒間に100程度の三次元画像を取得することができるため、リアルタイムの三次元計測が可能となる。また、前記能動半導体モード同期レーザ301の駆動時に、周波数間隔が等間隔になるように設定されているので、周波数間隔の設定精度が高く(1kHz)、また従来技術とは異なり波数軸上へのリスケーリングも不要であるため、光源のシステムが簡素化される。また前記能動半導体モード同期レーザ301の駆動電気周波数f0を変化させることにより、周波数間隔f0を変えることができ、また光ゲートスイッチの繰り返し時間t3を調整することにより、波長掃引繰り返し速度tr(=t3)を調整することができるなど柔軟性が高い分散方式高速波長掃引光源を提供できる。また、光源の波長掃引機構には回折格子やRGMなどの機械駆動部分を含まない。よって、精密な組立や位置合わせを全く必要としないため、生産性が高い。さらに、コヒーレンス長の長い能動半導体モード同期レーザ301を用いるため、発振スペクトル幅が5MHz以下、コヒーレンス長10m程度の非常に良好で、かつ単一モード発振した光スペクトルを有する光を得ることが可能となる。さらに、掃引時におけるコヒーレンス長は掃引速度の増加に伴い劣化することなく、cw発振時と同じコヒーレンス長を維持することが可能となる。そのため、OCT測定においては侵達度の劣化がなく、理論値と同じ侵達度を得ることが可能となる。

0076

(モード同期レーザを用いた高速波長掃引光源による光学部品評価装置)
以下、実施例3で用いた本発明の分散方式高速波長掃引光源300を用いた光学部品評価装置について図19を用いて説明する。本装置は、本発明の分散方式高速波長掃引光源300、被評価光デバイス(DUT)402、受光器403、AD変換回路404、演算制御装置405、画像表示装置406から成り、前記分散方式高速波長掃引光源300とDUT402,DUT402と受光器403はSMFで接続されている。分散方式高速波長掃引光源300からの出力は、DUT402に入射し、DUT402を透過した光は受光器403を入射し、アナログ電気信号に変換される。アナログ電気信号は、AD変換回路404によりデジタル信号に変換された後、演算制御装置405によりデータ処理され、画像表示装置406にデータが表示される。よって、本装置は光デバイスの透過率の波長依存性を高速に測定することのできる光学部品評価装置である。

0077

図20に示したPLC(Planar LightwaveCircuit、平面光波回路)型Mach-Zehnder(MZ)干渉計をDUT402として測定したときの例について詳細を述べる。図20において、MZ干渉計はガラス系材質から成るPLC基板410上に光導波路構造を形成することにより作成される。同MZ干渉計のポートAに入力した光は、前記MZ干渉計を経てポートB及びポートCから出力される。前記ポートBおよびポートCから出力される光強度は、前記MZ干渉計の光路長差ΔL(本実施例の場合、1.00mmに設定)から決まるフィルタ特性により、波長依存性を有する。よって、前記MZ干渉計をDUT402として本発明の波長掃引光源300からの光を入射することにより、前記DUT402における透過率の波長依存性を計測することが可能となる。

0078

なお、本発明の光学部品評価装置における分散方式高速波長掃引光源300は、実施例3と同じ装置構成のものを用い、周波数間隔f0=12.5GHz(波長換算で約0.1nm)、波長帯域39nm(周波数帯域Δf=4.875THz)、波長チャネル数N=390のシングルモード光を、掃引時間ts=40nsで掃引することができるため、非常に高速に評価を行うことができる。

0079

図21に本装置を用いて、図20に示したPLC型MZ干渉計をDUT402とした場合の評価結果を示す。図21において、前記DUT402のポートBからの光出力強度を縦軸に、本発明の波長掃引光源300の出力光波長を横軸にプロットしている。図21に示したように、前記MZ干渉系の光路長差ΔL=1.00mmに対応した波長軸上において周期的に光強度が変化する様子が分かる。このようにして、光学部品の透過率の波長依存性を評価することが可能となる。

0080

(複数の単一波長光源を用いた分散方式高速波長掃引光源によるOCT装置)
以下、図22に基づいて本発明の第5実施例について詳細に説明する。まず、装置構成について説明する。図22に示したように、本発明の分散方式高速波長掃引光源500は、N個の異なった波長(周波数)で発振する単一波長レーザ501−1〜501−N(以下、これらをN個の単一波長レーザ501とする)、合波器505、光ゲートスイッチ502、分散制御ファイバ503、広帯域光増幅器504から構成される。全ての装置間は光ファイバで接続されている。以下、詳細について述べる。

0081

前記N個の単一波長レーザ501は、光ファイバ通信において実用化されている半導体DFBレーザを用い、個々の半導体DFBレーザの発振周波数間隔f0=25GHzになるように設定し、cw発振状態で用いる。また、個々の半導体DFBレーザ内部には波長ロッカー機能を具備しており、発振周波数変化を常に±2.5GHz以下に保つことができる。本実施例においては、N=95としたため全体の光周波数スペクトル幅は、2.375THz(波長帯域19nm)になる。これらのN個の単一波長レーザ501から出射されたN波のレーザ光は、それぞれN本の光ファイバにより合波器505に導入され、合波器505の出口では1本のファイバにN波の波長の光が入射するため、波長多重光が生成されることによる。ここで、合波器505はPLC型AWG(Arraved Waveguide Gratings:アレイ導波路回折格子)を用い、前記AWGの周波数間隔は25GHz、チャネル数は100のものを用いた。

0082

なお、前記N個の単一波長レーザ501とAWG505により生成された多波長光の様子を、図23(a)に示す。この図は、図22においてAの場所で観測される多波長光を、波長数が4波長のときに簡略化して示したものである。また、先に述べたように波長チャネル間隔は、周波数軸上で等間隔である(周波数間隔f0=25GHz)。

0083

本発明は前記N個の単一波長レーザ501とAWG505により生成された多波長光を、光ゲートスイッチ502と分散制御ファイバ503を用いて、波長掃引光源を実現したことを最大の特徴とする。以下、さらに詳細について説明を続ける。

0084

続いて、連続して生成される多波長光の一部を時間軸上で切り出すために、前記N個の単一波長レーザ501およびAWG505から出射される多波長光を光切り出し手段である光ゲートスイッチ502に入射する。前記光ゲートスイッチ502には、リチウムナイオベート(LN)光変調器を用いた。ここで、前記光ゲートスイッチ502への駆動電圧は、ゲート時間幅t2=20.0GHz(50ps)の多波長光を周波数25MHz(繰り返し時間t3=40ns)で繰り返し得られるように設定した。このようにしてN個の単一波長レーザ501およびAWG505により生成された多波長光を、時間軸上で切り出した様子を図23(b)に示す。なお、図23(b)は、図22においてBの場所で観測される多波長光を簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。

0085

次に、時間軸上で切り出された多波長光を、波長分散媒質である分散制御ファイバ503に入射する。前記分散制御ファイバ503は、通常の光ファイバ通信で用いられるシングルモードファイバよりも強い波長分散特性を有することを特徴とし、本実施例においては波長1550nmにおける波長分散が−85ps/nm/km、伝搬損失が0.4dB/kmである分散補償ファイバを用いた。なお、前記分散補償ファイバは、通常のシングルモードファイバで構築した光ファイバ通信網において、光通信の伝搬と共に累積した波長分散を補償し、受信感度の低下を防ぐため、または伝送距離の長距離化のために製造されたファイバである。しかしながら、ここでは前記分散補償ファイバの波長分散の絶対値が、通常のシングルモードファイバのそれの5倍程度の値になっていることを積極的に利用することを特徴とする。そのため、本実施例においては前記分散補償ファイバを分散補償の目的で用いないことを明確化するために、以下分散制御ファイバ503と称することにする。

0086

前記分散制御ファイバ503に入射された多波長光2は、前記分散制御ファイバ503の強い波長分散特性により、比較的短距離を伝搬しただけで波長毎に伝搬時間が異なる現象が起こる。そのため、ある波長におけるσの波長分散特性を有する分散制御ファイバ503を用いて周波数間隔f0(波長間隔λ0)である波長λ1の光と波長λ2の光の伝搬時間差(遅延時間)をtdとしたいときには、前記分散制御ファイバ503の長さLfiberは(6)式のように表される。

0087

0088

よって、たとえば周波数間隔f0=25GHz(波長間隔λ0=0.2nm)である波長λ1の光と波長λ2の光の遅延時間tdを100psとしたいときには、前記分散制御ファイバ503の長さLfiberを5.8kmに設定すれば良い。このように、前記分散制御ファイバ503の強い波長分散特性を積極的に利用することにより、前記多波長光を、時間軸上で波長毎に分離することが可能となる。すなわち、時間軸上で波長毎に分離された個々の光は単一波長、すなわちシングルモード発振した波長スペクトルを有する。このときの様子を図23(c)に示す。なお、図23(c)は、図22においてCの場所で観測される光パルス列を簡略化して示したものであり、光フィルタにより唯一の波長チャネルを取り出して観測を行った結果を、4波長について重ね書きしたものである。なお、ここで遅延時間tdとしてゲート時間幅t2の2倍の値、すなわちtd=100psとした。遅延時間は、前記分散制御ファイバ503の分散特性に波長依存性があるため、波長チャネル毎に僅かに異なる。そのため、ここでの遅延時間は平均値を示している。また、本実施例における分散方式高速波長掃引光源500の波長掃引時間tsと掃引繰り返し時間tr(=t3)は、それぞれ19ns、20nsである。本発明の分散方式高速波長掃引光源500は、上記の方法により多波長光を、波長毎に時間的に分離することを実現したことを特徴とする。

0089

最後に、生成された光パルス列(分散制御ファイバ503から出力された光パルス列)は、光ゲートスイッチ502、分散制御ファイバ503を経たことにより、波長毎の光強度が−32dBm程度に低下している。そのため、広帯域光増幅器504により光強度を−7dBm程度まで増大した。本実施例では、広帯域光増幅器504として光ファイバ増幅器(Erbium-Doped Fiber Amplifier, EDFA)を用いた。

0090

以上のようにして、本発明により分散方式高速波長掃引光源500を用いれば、周波数間隔f0=25GHz(波長換算で約0.2nm)、波長帯域19nm(周波数帯域Δf=2.375THz)、波長チャネル数N=95のシングルモード光を、掃引時間ts=20nsで掃引することが可能となる。本発明の分散方式高速波長掃引光源500を用いて波長掃引を2回行った際の様子を図24に示す。なお、本発明の分散方式高速波長掃引光源500の発振スペクトルの線幅は、10MHz以下であるため、コヒーレンス長は10m以上と非常に長い。また、先に述べた理由からコヒーレンス長は波長掃引時においても劣化することなく10m以上のコヒーレンス長を有している。

0091

続いて、本発明の分散方式高速波長掃引光源500を用いて行ったOCT測定について示す。図25に本発明者等が開発したOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を示す(特願2004−276773)。本発明の分散方式高速波長掃引光源500、ファイバ型Mach-Zehnder干渉計32、バランスレシーバ33、AD変換回路34、DA変換回路35、ガルバノミラー制御回路36、演算制御装置37、画像表示装置38から構成される。本発明の分散方式高速波長掃引光源500からの出射光は、9:1カプラ39により試料光路40に90%、参照光路41に10%の光が入射する。試料光路40に入射したレーザ光は、試料光路側サーキュレータ42、測定光入力/信号光送出口43、試料光路側コリメータレンズ44、ガルバノメータミラー45、試料光路側対物レンズ46を経て試料47に入射した後、試料47からの後方反射または散乱された信号光として再び同じ光路を経て試料光路側サーキュレータ42に戻り試料光路側偏波コントローラ(PC)48を経て、5:5カプラ49に入射する。即ち、試料光路40は光路A−B−C−D−E−F−E−D−C−G−Hで表され、そのうちの光路D−E−F−E−Dは、大気中を光が伝搬する空間光路であり(ただし、試料光路側コリメータレンズ部と試料光路側対物レンズ部を除く)、それ以外の部分(光路A−B−C−D、光路C−G−H)は光通信用シングルモードファイバ(SMF)で構成されている(ただし、試料光路側サーキュレータ及び試料光路側偏波コントローラの内部を除く)。

0092

一方、参照光路41に入射した参照光は、参照光路側サーキュレータ50、参照光入力/送出口51、参照光路側コリメータレンズ52、参照光路側対物レンズ53を経て参照反射鏡54に入射した後、参照反射鏡54により反射された参照光は再び同じ光路を経て参照光路側サーキュレータ50に戻り参照光路側偏波コントローラ(PC)55を経て5:5カプラ49に入射する。即ち、参照光路は光路I−J−K−L−M−L−K−N−Oで表され、そのうちの光路L−M−Lは、大気中を光が伝搬する空間光路であり(ただし、参照光路側コリメータレンズ部と参照光路側対物レンズ部を除く)、それ以外の部分(光路I−J−K−L、光路L−K−N−O)は光通信用シングルモードファイバ(SMF)で構成されている(ただし、参照光路側サーキュレータ及び参照光路側偏波コントローラの内部を除く)。

0093

5:5カプラ49に入射した信号光と参照光は干渉信号となり、バランスレシーバ33に入射され電気信号に変換される。バランスレシーバ33は光入力ポートを2つ有し、干渉信号の直流成分を自動的に除去し干渉成分のみを取り出すことができる。バランスレシーバ33から出力された電気信号は、A/D変換回路34においてアナログ電気信号からデジタル電気信号に変換された後、演算制御装置37に取り込まれ、数値処理される。数値処理された測定データは、画像表示装置38上に表示される。干渉信号電流は、本発明の分散方式高速波長掃引光源500の発振周波数切替と同期してサンプリングされ、高速Fourier 変換(FFT)または離散Fourier 変換(DFT)により反射強度の深さ方向依存性の情報を得ることができる。

0094

ここで、先に述べたように分散方式高速波長掃引光源500の周波数間隔f0=25GHz(波長換算で約0.2nm)、波長帯域19nm(周波数帯域Δf=2.375THz)、波長チャネル数N=95のシングルモード光を、掃引時間ts=20nsで掃引することにより干渉信号を得る。このとき、1回の掃引で得る干渉信号を、演算制御装置37においてFFTまたはDFTによる数値処理を経て変換されたデータをA-line信号と称し、これは深さ方向の反射強度分布を示す一次元情報である。そのため、A-line走査時間(走査率)は掃引時間tsと同じ20ns(50MHz)となり、前記従来技術(16kHz)と比べ、飛躍的に高速化を実現している。また、二次元情報を得るためには、ガルバノミラー45を駆動することにより、試料光のビームを偏向して僅かに試料47へのビームの照射位置をずらした状態で波長掃引を行いA-line信号を取得する。この動作を複数回繰り返すことにより二次元情報(B-scan信号)を得ることができる。そのため、A-line信号を500本取得して得たB-scan信号を得る為に要した時間、すなわちB-scan走査時間(走査率)は、10μs(100kHz)である。さらに、前記ガルバノミラー45をB-scan信号取得時のビーム走査時に対し、直角に交わる方向に沿って照射位置を連続的に複数回ずらしていくことにより、三次元情報を得ることができる。よって、B-scan信号を500個取得して得た三次元情報を得るために要した時間(走査率)は、5ms(200Hz)である。よって、本発明の分散方式高速波長掃引光源500を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を用いれば、1秒間に200フレームの三次元画像を取得できるため、リアルタイムで三次元画像を表示することが可能となる。前記ガルバノミラー45の制御は、演算制御装置37において前記分散方式高速波長掃引光源500の掃引トリガと同期して行い、制御信号はDA変換回路35とガルバノ制御回路36を経てガルバノミラー45に伝達される。

0095

図26に、本発明の分散方式高速波長掃引光源500を用いたOFDI−OCT法による断層像撮影装置によって測定した、ヒトから摘出した歯を試料としたときのA-line信号を示す。同図は、信号光強度の深さ位置依存性を示しており、500本取得したA-line信号の一つである。同図において、深さ1.5mmと3.0mm付近とにおける反射ピークは、それぞれ、大気とエナメル質の界面による反射ピーク、エナメル質と象牙質の界面における反射ピークに対応している。また、同図において侵達度は3mm(光路長)、深さ方向の分解能は54μm、A-line信号取得時間は20nsである。OFDI−OCT法においては、コヒーレンス長がmオーダと十分に長い場合、侵達度Δzは波数間隔δkを用いて、(7)式のように表される(特願2004−276773)。

0096

0097

よって、周波数間隔f0=25GHzより、波数に換算するとδk=523.96m-1であるため、侵達度Δzの理論値は、3mmであり、図26の測定結果と良く一致する。

0098

また、図27には同じ試料のB-scan信号を示す。B-scan信号は、先に説明したようにガルバノミラーにより試料光の照射位置を30μmずつB-scan方向に沿ってずらしてA-line信号を取得することを500回繰り返して得られた信号であり、B-scan範囲は15mmである。同図中、一点鎖線部分は図26に示したA-line信号に対応しており、B-scan信号取得時間は、10μsである。図27より、大気とエナメル質の界面、エナメル質と象牙質の界面の様子が二次元断層像として明瞭に観測できることを確認した。さらに、図示はしないが、図27に示したB-scan画像を、先に説明したように試料光の照射位置を30μmずつB-scan方向の直角方向に沿ってずらしてB-scanを取得することを500回繰り返すことにより、歯の三次元画像を得ることに成功した。このときの三次元画像サイズは、深さ3mm、縦および横15mmであり、三次元画像取得時間は5msであった。

0099

よって、本発明を用いれば、例えば三次元光計測において1秒間に200程度の三次元画像を取得することができるため、リアルタイムの三次元計測が可能となる。また、前記N個の単一波長レーザ501の駆動時に、周波数間隔が等間隔になるように設定されているので、周波数間隔の設定精度が高く(1kHz)、また従来技術とは異なり波数軸上へのリスケーリングも不要であるため、光源のシステムが簡素化される。また前記N個の単一波長レーザ501の駆動電気周波数f0を変化させることにより、周波数間隔f0を変えることができ、また光ゲートスイッチ502の繰り返し時間t3を調整することにより、波長掃引繰り返し速度tr(=t3)を調整することができるなど柔軟性が高い分散方式高速波長掃引光源を提供できる。また、光源の波長掃引機構には回折格子やRGMなどの機械駆動部分を含まない。よって、精密な組立や位置合わせを全く必要としないため、生産性が高い。さらに、コヒーレンス長の長い単一波長レーザを用いるため、発振スペクトル幅が5MHz以下、コヒーレンス長10m程度の非常に良好で、かつ単一モード発振した光スペクトルを有する光を得ることが可能となる。さらに、掃引時におけるコヒーレンス長は掃引速度の増加に伴い劣化することなく、cw発振時と同じコヒーレンス長を維持することが可能となる。

0100

そのため、OCT測定においては侵達度の劣化がなく、理論値と同じ侵達度を得ることが可能となる。

0101

(複数の単一波長レーザを用いた高速波長掃引光源による光学部品評価装置)
以下、実施例5で用いた本発明の分散方式高速波長掃引光源500を用いた光学部品評価装置について図28を用いて説明する。本装置は、本発明の分散方式高速波長掃引光源500、被評価光デバイス(DUT)602、受光器603、AD変換回路604、演算制御装置605、画像表示装置606から成り、前記分散方式高速波長掃引光源500とDUT502,DUT502と受光器603はSMFで接続されている。分散方式高速波長掃引光源500からの出力は、DUT602に入射し、DUT602を透過した光は受光器603を入射し、アナログ電気信号に変換される。アナログ電気信号は、AD変換回路604によりデジタル信号に変換された後、演算制御装置605によりデータ処理され、画像表示装置606にデータが表示される。よって、本装置は光デバイスの透過率の波長依存性を高速に測定することのできる光学部品評価装置である。

0102

図29に示したPLC(Planar LightwaveCircuit、平面光波回路)型Mach-Zehnder(MZ)干渉計をDUT602として測定したときの例について詳細を述べる。図29において、MZ干渉計はガラス系材質から成るPLC基板610上に光導波路構造を形成することにより作成される。同MZ干渉計のポートAに入力した光は、前記MZ干渉計を経てポートB及びポートCから出力される。前記ポートBおよびポートCから出力される光強度は、前記MZ干渉計の光路長差ΔL(本実施例の場合、1.00mmに設定)から決まるフィルタ特性により、波長依存性を有する。よって、前記MZ干渉計をDUT602として本発明の波長掃引光源500からの光を入射することにより、前記DUT602における透過率の波長依存性を計測することが可能となる。

0103

なお、本発明の光学部品評価装置における分散方式高速波長掃引光源500は、実施例5と同じ装置構成のものを用い、周波数間隔f0=25GHz(波長換算で約0.2nm)、波長帯域19nm(周波数帯域Δf=2.375THz)、波長チャネル数N=95のシングルモード光を、掃引時間ts=20nsで掃引することができるため、非常に高速に評価を行うことができる。

0104

図30に本装置を用いて、図29に示したPLC型MZ干渉計をDUT602とした場合の評価結果を示す。図30において、前記DUT602のポートBからの光出力強度を縦軸に、本発明の波長掃引光源の出力光波長を横軸にプロットしている。図30に示したように、前記MZ干渉系の光路長差ΔL=1.00mmに対応した波長軸上において周期的に光強度が変化する様子が分かる。このようにして、光学部品の透過率の波長依存性を評価することが可能となる。

図面の簡単な説明

0105

従来の波長掃引光源を示す構成図。
従来の波長掃引光源の掃引動作時における発振波長の時間依存性を示す概念図。
本発明の分散方式高速波長掃引光源における発振周波数の時間依存性を示す概念図。
本発明の実施例1に係る分散方式高速波長掃引光源を示す構成図。
実施例1における光の状態を示す特性図。
実施例1の分散方式高速波長掃引光源を用いて波長掃引を2回行った際の様子を示す特性図。
実施例1の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を示す構成図。
実施例1の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置よって測定した、A-line信号を示す特性図。
実施例1の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置よって測定した、B-scan信号を示す特性図。
光学部品評価装置を示す構成図。
PLC型のMZ干渉計を示す構成図。
光学部品評価装置による評価結果を示す特性図。
本発明の実施例3に係る分散方式高速波長掃引光源を示す構成図。
実施例3における光の状態を示す特性図。
実施例3の分散方式高速波長掃引光源を用いて波長掃引を2回行った際の様子を示す特性図。
実施例3の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を示す構成図。
実施例3の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置よって測定した、A-line信号を示す特性図。
実施例3の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置よって測定した、B-scan信号を示す特性図。
光学部品評価装置を示す構成図。
PLC型のMZ干渉計を示す構成図。
光学部品評価装置による評価結果を示す特性図。
本発明の実施例5に係る分散方式高速波長掃引光源を示す構成図。
実施例5における光の状態を示す特性図。
実施例5の分散方式高速波長掃引光源を用いて波長掃引を2回行った際の様子を示す特性図。
実施例5の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置を示す構成図。
実施例5の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置よって測定した、A-line信号を示す特性図。
実施例5の分散方式高速波長掃引光源を用いたOFDI−OCT法を利用した断層像撮影装置よって測定した、B-scan信号を示す特性図。
光学部品評価装置を示す構成図。
PLC型のMZ干渉計を示す構成図。
光学部品評価装置による評価結果を示す特性図。

符号の説明

0106

10分散方式高速波長掃引光源
11スーパーコンティニウム光源
12光ゲートスイッチ
13分散制御ファイバ
14広帯域光増幅器
15種光源
16光増幅器
17SC光発生用光ファイバ
300 分散方式高速波長掃引光源
301能動半導体モード同期レーザ
302 光ゲートスイッチ
303 分散制御ファイバ
304 広帯域光増幅器
500 分散方式高速波長掃引光源
501単一波長レーザ
502 光ゲートスイッチ
503 分散制御ファイバ
504 広帯域光増幅器
505 合波器

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