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技術 建築用低YR角鋼管の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 小高幹雄小林章横山泰康
出願日 2007年1月31日 (13年11ヶ月経過) 出願番号 2007-022014
公開日 2008年8月14日 (12年4ヶ月経過) 公開番号 2008-184686
状態 未査定
技術分野 他に分類されない板、線、管の製造と清浄 鋼の加工熱処理
主要キーワード 略丸形状 割増係数 鋼管材料 一次設計 試験片素材 管理目標 断面丸形 造管設備
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図面 (4)

課題

電縫鋼管製造設備を用い、ロール成形法により建築用YR角鋼管能率よく製造する製造方法を提案する。

解決手段

電縫鋼管の素材として成分が、質量%で、C:0.05〜0.20、Si:0.55以下、Mn:0.40〜1.60、P:0.030以下、S:0.015以下、Ti:0.005〜0.035、N:0.0060、残部部Feおよび不可避的不純物であり、かつベイナイト比率が5%以上50%以下である帯鋼を用い、電縫鋼管の造管工程で角鋼管管軸方向に圧縮ひずみを付与する建築用低YR角鋼管の製造方法。

概要

背景

YR角鋼管は、主に柱などの建築用構造部材としてよく使用される。建築用低YR角鋼管に対しては、管軸方向の何れの位置においても溶接ビード部11を含まないように試験片素材Wを採取し(図3参照)、その試験片を用い、引張試験(JIS Z 2241)により求めた降伏比YRの値が0.80以下を満たすことが要求されている。
従来、建築用低YR角鋼管は厚板製品プレス機により角形状にプレス成形した後、溶接する方法(BCP法)により製造していた。この方法で製造したものと、ロール成形法で製造したもの(BCR法)との、地震時柱応力に乗じる「応力割増係数」を表1に示す。

BCP法で製造した角鋼管の方が、BCR法よりも、地震時柱応力に乗じる「応力割増係数」が小さく、耐震性に優れる。

近年、生産能率の低いBCP法に代わり、コストダウンを図る意味からロール成形法により建築用低YR角鋼管を製造する試みがなされるようになった。図1に、本発明に用いて好適なロール成形法により低YR角鋼管を製造する電縫鋼管製造設備を示す。

図1中、1は電縫鋼管の素材である帯鋼10を巻き戻すアンコイラーを示し、2は繰り返し曲げ加工を行うことにより帯鋼10を平坦とするレベラーを示す。3、4は平坦とした帯鋼10をロール成形して、略丸形状オープン管とする複数の成形ロールを示す。ケージロール3は、両エッジ部を除去した帯鋼10からオープン管の下半分をロール成形し、フィンパスロール4は、オープン管の上半分をロール成形する役割をもつ。

ここで5は誘導コイルと一対のサイドロール具備した電縫溶接機を示し、略丸形状のオープン管の円周方向端部を電気抵抗によるジュール熱で加熱しつつ、一対のサイドロールで管外面押し付け圧接接合する。6はオープン管の円周方向端部を圧接・接合することで形成された盛り上がり部を除去する内外ビード切削機、7は溶接ビード部11を有する略丸形状の鋼管8にリダクションを与え、略丸形状から角形状にロール成形するサイジングロール列である。なお、図1には、帯鋼10から連続的にロール成形により製造した角鋼管9を所定寸法に切断する切断機の図示を省略した。

上記したサイジングロール列7は、図2に示すように、複数のスタンドに組み込んだサイジングロールからなる。この略丸形成の鋼管8にリダクションを与えるサイジング工程は、必須工程であり、下記式(1)で定義するサイジングリダクションRを製造条件に応じて適切な値に設定している。
サイジングリダクションR=(1−L2/L1)×100・・・・(1)
ただし、L1:外径Dの略丸形状の鋼管の外周長(≒π・D)、L2:角鋼管の外周長(=2・A+2・B)。

断面丸形状の電縫鋼管を製造する場合には、寸法精度を確保するうえからサイジングリダクションR>0となるように設定している(非特許文献1)が、角鋼管9を製造する場合にも、R>0となるように設定し、サイジング工程前の外周長L1よりも後の外周長L2が短くなるようにしている。
したがって、電縫鋼管の製造設備を用い、サイジングロールの形状および使用するスタンド数を変更することで、ロール成形法により寸法精度のよい角鋼管を能率よく製造することが可能である。だが、電縫鋼管の造管工程では、角鋼管を製造する際、管軸方向に加えるひずみについては考慮していなかった。
日本鉄鋼協会編、第3版 鉄鋼便覧第III巻(2)、丸善出版、1980年5月15日発行、p1066〜1075

概要

電縫鋼管の製造設備を用い、ロール成形法により建築用低YR角鋼管を能率よく製造する製造方法を提案する。電縫鋼管の素材として成分が、質量%で、C:0.05〜0.20、Si:0.55以下、Mn:0.40〜1.60、P:0.030以下、S:0.015以下、Ti:0.005〜0.035、N:0.0060、残部部Feおよび不可避的不純物であり、かつベイナイト比率が5%以上50%以下である帯鋼を用い、電縫鋼管の造管工程で角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみを付与する建築用低YR角鋼管の製造方法。

目的

(4)また、BSR法に代わり、電縫鋼管の造管工程を経た後に、角鋼管全体を誘導加熱で加熱するオンライン熱処理法により、低YR角鋼管を能率よく製造しようとした場合、電気エネルギー消費が膨大となるため、この方法も採用することができない。
本発明は、上記問題点を解消し、電縫鋼管の製造設備を用い、ロール成形法により建築用低YR角鋼管を能率よく製造する製造方法を提案することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

帯鋼を連続的にロール成形して略丸形状オープン管とする曲げ成形工程と、このオープン管の円周方向端部を電気抵抗によるジュール熱で加熱し、圧接接合する電縫溶接工程と、この電縫溶接工程で得た略丸形状の鋼管に複数のスタンドに組み込んだサイジングロールリダクションを与え、角形状の鋼管とするサイジング工程と、を有する電縫鋼管造管工程において、前記電縫鋼管の素材として成分が、質量%で、C:0.05〜0.20、Si:0.55以下、Mn:0.40〜1.60、P:0.030以下、S:0.015以下、Ti:0.005〜0.035、N:0.0060以下、残部部Feおよび不可避的不純物であり、かつベイナイト比率が5%以上50%以下である帯鋼を用い、前記電縫鋼管の造管工程で角鋼管管軸方向に圧縮ひずみを付与することを特徴とする建築用YR角鋼管の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、建築用YR角鋼管の製造方法に関し、詳しくは、骨組耐震設計を行う際、一次設計における地震時柱応力に乗じる「応力割増係数」を、プレス成形法角鋼管(BCP)と同等にできる耐震性に優れた建築用低YR角鋼管の製造方法に関する。
このような低YR角鋼管とは、溶接ビード部を含まないように角鋼管の平板部から管軸方向に採取した5号全厚試験片(JIS Z 2201)を用い、引張試験(JIS Z 2241)により求めた降伏比YR(=YS/TS、YS:降伏強さ、TS:引張り強さ)の値が0.80以下を満たす場合をいう。

背景技術

0002

低YR角鋼管は、主に柱などの建築用構造部材としてよく使用される。建築用低YR角鋼管に対しては、管軸方向の何れの位置においても溶接ビード部11を含まないように試験片素材Wを採取し(図3参照)、その試験片を用い、引張試験(JIS Z 2241)により求めた降伏比YRの値が0.80以下を満たすことが要求されている。
従来、建築用低YR角鋼管は厚板製品プレス機により角形状にプレス成形した後、溶接する方法(BCP法)により製造していた。この方法で製造したものと、ロール成形法で製造したもの(BCR法)との、地震時柱応力に乗じる「応力割増係数」を表1に示す。

0003

BCP法で製造した角鋼管の方が、BCR法よりも、地震時柱応力に乗じる「応力割増係数」が小さく、耐震性に優れる。

0004

近年、生産能率の低いBCP法に代わり、コストダウンを図る意味からロール成形法により建築用低YR角鋼管を製造する試みがなされるようになった。図1に、本発明に用いて好適なロール成形法により低YR角鋼管を製造する電縫鋼管製造設備を示す。

0005

図1中、1は電縫鋼管の素材である帯鋼10を巻き戻すアンコイラーを示し、2は繰り返し曲げ加工を行うことにより帯鋼10を平坦とするレベラーを示す。3、4は平坦とした帯鋼10をロール成形して、略丸形状オープン管とする複数の成形ロールを示す。ケージロール3は、両エッジ部を除去した帯鋼10からオープン管の下半分をロール成形し、フィンパスロール4は、オープン管の上半分をロール成形する役割をもつ。

0006

ここで5は誘導コイルと一対のサイドロール具備した電縫溶接機を示し、略丸形状のオープン管の円周方向端部を電気抵抗によるジュール熱で加熱しつつ、一対のサイドロールで管外面押し付け圧接接合する。6はオープン管の円周方向端部を圧接・接合することで形成された盛り上がり部を除去する内外ビード切削機、7は溶接ビード部11を有する略丸形状の鋼管8にリダクションを与え、略丸形状から角形状にロール成形するサイジングロール列である。なお、図1には、帯鋼10から連続的にロール成形により製造した角鋼管9を所定寸法に切断する切断機の図示を省略した。

0007

上記したサイジングロール列7は、図2に示すように、複数のスタンドに組み込んだサイジングロールからなる。この略丸形成の鋼管8にリダクションを与えるサイジング工程は、必須工程であり、下記式(1)で定義するサイジングリダクションRを製造条件に応じて適切な値に設定している。
サイジングリダクションR=(1−L2/L1)×100・・・・(1)
ただし、L1:外径Dの略丸形状の鋼管の外周長(≒π・D)、L2:角鋼管の外周長(=2・A+2・B)。

0008

断面丸形状の電縫鋼管を製造する場合には、寸法精度を確保するうえからサイジングリダクションR>0となるように設定している(非特許文献1)が、角鋼管9を製造する場合にも、R>0となるように設定し、サイジング工程前の外周長L1よりも後の外周長L2が短くなるようにしている。
したがって、電縫鋼管の製造設備を用い、サイジングロールの形状および使用するスタンド数を変更することで、ロール成形法により寸法精度のよい角鋼管を能率よく製造することが可能である。だが、電縫鋼管の造管工程では、角鋼管を製造する際、管軸方向に加えるひずみについては考慮していなかった。
日本鉄鋼協会編、第3版 鉄鋼便覧第III巻(2)、丸善出版、1980年5月15日発行、p1066〜1075

発明が解決しようとする課題

0009

そこで、電縫鋼管の製造設備を用い、角鋼管を製造しようとした場合(BCR法)、管軸方向に加えるひずみが考慮されていないこと、および以下の点で建築用低YR角鋼管を製造するのが非常に難しいという問題があった。
(1)角形状にロール成形するサイジング工程において、図2に示すように、溶接ビード部11を有する略丸形状の鋼管8にリダクションを与える際、溶接ビード部11に曲げ変形が加わる。したがって、溶接ビード部11の近傍に割れなどが生じないよう、成分設計する必要があり、電縫鋼管素材の成分が制約される(サイジング工程での溶接ビード部の品質確保のため)。

0010

(2)また、電縫溶接工程において、電気抵抗によるジュール熱で加熱しつつ、一対のサイドロールで管外面を押し付け、圧接・接合する際、良好な溶接ビード部を形成するため、電縫鋼管素材の成分が制約される(電縫溶接性の確保のため)。
(3)また、電縫鋼管の造管工程を経た後に、熱処理炉で角鋼管を熱処理する方法(BSR法という)では、熱処理炉での熱処理に時間がかかるため、リードタイムが長くなり、また処理能力が熱処理炉で規制されるという欠点や、熱処理炉内の位置によって角鋼管の機械的特性ばらつくという欠点がある。したがって、BSR法は採用することが困難である。

0011

(4)また、BSR法に代わり、電縫鋼管の造管工程を経た後に、角鋼管全体を誘導加熱で加熱するオンライン熱処理法により、低YR角鋼管を能率よく製造しようとした場合、電気エネルギー消費が膨大となるため、この方法も採用することができない。
本発明は、上記問題点を解消し、電縫鋼管の製造設備を用い、ロール成形法により建築用低YR角鋼管を能率よく製造する製造方法を提案することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、電縫鋼管の素材を規定するとともに、電縫鋼管の造管工程で角鋼管の管軸方向に加えるひずみを圧縮ひずみとすることで、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなした。
すなわち、本発明は、帯鋼を連続的にロール成形して略丸形状のオープン管とする曲げ成形工程と、このオープン管の円周方向端部を電気抵抗によるジュール熱で加熱し、圧接・接合する電縫溶接工程と、この電縫溶接工程で得た略丸形状の鋼管に複数のスタンドに組み込んだサイジングロールでリダクションを与え、角形状の鋼管とするサイジング工程と、を有する電縫鋼管の造管工程において、前記電縫鋼管の素材として成分が、質量%で、C:0.05〜0.20、Si:0.55以下、Mn:0.40〜1.60、P:0.030以下、S:0.015以下、Ti:0.005〜0.035、N:0.0060以下、残部部Feおよび不可避的不純物であり、かつベイナイト比率が5%以上50%以下である帯鋼を用い、前記電縫鋼管の造管工程で角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみを付与することを特徴とする建築用低YR角鋼管の製造方法である。

発明の効果

0013

本発明によれば、電縫鋼管の素材を規定するとともに、電縫鋼管の造管工程で角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみを付与することで、帯鋼のベイナイト組織可動転移を効果的に導入することができる。その結果、電縫鋼管の造管工程を経た後に、角鋼管全体を加熱する熱処理を行わず、角鋼管の管軸方向の何れの位置においても、溶接ビード部を含まないように平板部から管軸方向に採取した5号試験片を用い、引張試験により求めた降伏比YRの値が0.80以下を満たす建築用低YR角鋼管を能率よく製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明の建築用低YR角鋼管の製造方法について説明する。
まず、建築用低YR角鋼管の素材の成分の限定理由を説明する。本発明に用いる電縫鋼管素材は、電縫溶接性およびサイジング工程での溶接ビード部の品質を確保できるように成分設計され、かつ、ベイナイト組織を出す組織制御のためにTiを含有する。
すなわち建築用低YR角鋼管の素材の成分は、質量%で、C:0.05〜0.20、Si:0.55以下、Mn:0.40〜1.60、P:0.030以下、S:0.015以下、Ti:0.005〜0.035、N:0.0060以下、残部部Feおよび不可避的不純物である。

0015

Cは炭化物として析出強化に寄与する元素であり、C:0.05〜0.20質量%とする。C:0.05質量%未満では角鋼管の強度が不十分となり、一方C:0.20質量%を超えでは、角鋼管の各種溶接施工において、割れ等の欠陥が生じ易いため、0.20質量%以下とする。Si:0.55質量%以下とするのは、電縫溶接性を確保するためである。Mnは角鋼管の強度、靭性を確保するため添加する。Mn:0.40質量%未満では強度が不十分となり、一方1.60質量%を超えると強度が過大となり、帯板から角形状の鋼管にロール成形するのが困難となる。そこでMn:0.40〜1.60質量%とする。P、Sは電縫溶接性を劣化させるので少ない程よく、また、角鋼管の靭性を確保するため、P:0.030質量%以下、S:0.015質量%以下とする。

0016

Ti:0.005〜0.035質量%とするのは、Ti:0.005質量%未満では、鋼片熱間圧延時、窒化物微細析出によりベイナイトを出す組織制御を十分行うことができず、素材のベイナイト比率を5%以上にできない。Ti含有量を増やすほど、窒化物の微細析出により素材のベイナイト比率が大きくなり、素材の強度が高くなる。そして、Ti:0.035質量%を超えると、鋼片の加熱時、TiNとならないフリーTiにより、素材強度が過大となるため、帯板から角形状の鋼管にロール成形するのが困難となる。このような理由によって、Ti:0.005質量%以上、0.035質量%以下とする。

0017

また、N:0.0060質量%以下とするのは、フリーのNによる時効により、角鋼管の平板部から管軸方向に採取した試験片の降伏比YRの値が0.80以下を満たすことができなくなるのを防止するためである。つまり、0.0060質量%を超えてNを含有する素材の場合、Ti:0.005〜0.035質量%に対し、フリーNが鋼中に生じる。この結果、たとえ電縫鋼管の造管工程で角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみを付与することで、帯鋼のベイナイト組織に可動転移を導入したとしても、角鋼管を使用するまでの間に、可動転移がフリーNにより固着され、電縫鋼管の造管工程で帯鋼のベイナイト組織に可動転移を導入したことによる降伏強さYSの低下代(素材の降伏強さと角鋼管の降伏強さYSとの差)がなくなる。このため、0.0060質量%を超えてNを含有する素材の場合、降伏比YRの値が0.80以下を満たすことができなくなるのである。

0018

なお、炭素当量Ceq.は0.44質量%未満が好ましい。Ceq.は斜めy型ルート割れ試験を実施して、割れの発生しない限界合金添加量を示した量であるが、角鋼管の各種溶接施工において、割れ等の欠陥が生じ難いため、この範囲に規制するのが好ましい。
Ceq.は、式:Ceq.=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14、で表される。但し、右辺元素記号項は同号元素の鋼中成分含有量(質量%)であり、含有されない成分元素の項は無視する。

0019

このような成分を含有する電縫鋼管素材のベイナイト比率、すなわちフェライト組織およびベイナイト組織の2相組織からなる素材中の、ベイナイト組織の占める比率を5%以上50%以下とする理由は以下のとおりである。
ベイナイト比率が5%未満の素材を用いた場合、電縫鋼管の造管工程で管軸方向に圧縮ひずみを付与しても、可動転移が導入されるベイナイト組織の占める割合が少ないため、素材の降伏強さに対する角鋼管のYSの低下代が小さく、したがって、十分な低YR化を図ることが難しい。一方、ベイナイト比率が大きいほど、可動転移が導入されるベイナイト組織が増えるが、ベイナイト組織の効果によって素材の強度が高くなるから、帯板から角形状の鋼管にロール成形するのが難しくなる。ベイナイト比率が50%を超えた場合、きわめて造管が困難となり、しかも電縫鋼管の造管工程、たとえば、図2に示すサイジングロール列7により管軸方向に圧縮ひずみを付与することも難しくなる。

0020

サイジングロール列7で管軸方向に圧縮ひずみを付与するには、隣接するロールスタンドにおいて、上流側の鋼管の送り速度を下流側の鋼管の送り速度よりも速くするロール速度制御法により、スタンド間にある鋼管材料圧縮力を加えることで実現できる。その場合、あるスタンド間(たとえば#1と#2のスタンド間)で鋼管材料に圧縮力を加えるだけでなく、その他のスタンド間でも鋼管材料に圧縮力を加えるのが、管軸方向に付与する圧縮ひずみを分散させることができ、あるスタンド間だけで所定の圧縮ひずみを管軸方向に付与する場合に比べて、圧縮力を小さくできるので好ましい。

0021

ところで、上記のように成分を規定した電縫鋼管素材のベイナイト比率を5%以上50%以下にするには、鋼片の熱間圧延条件を以下のようにすればよい。
鋼片の加熱条件:1100〜1300℃×3〜5時間、熱間圧延条件:仕上げ出側の温度=750〜900℃、ランアウトテーブルでの冷却速度:5〜20℃/秒、巻取り温度:520〜650℃。

0022

辺の長さA、Bが550mm、肉厚が22mmの角鋼管製品(BCP325相当のものを、BCR法で製造する)を得ることを目標とし、表2に示す成分を含有する鋼種の鋼片を熱間圧延し、コイル状に巻き取って電縫鋼管の素材とした。この電縫鋼管の素材を用い、図1に示した電縫鋼管の造管設備にて帯鋼10から連続的に角形状にロール成形して角鋼管を得た。なお、鋼片の厚み=220mm、帯鋼10の厚み=22mmとした。また、電縫鋼管の製造設備を用い、サイジング工程で外径Dが2152mm、肉厚が22.2mmの略丸形状の鋼管にサイジングロールでリダクションを与えた。その際、図2に示すサイジングロール列において、隣接するスタンド間のロール速度を調整し、表3に示すように、角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみ(3水準:0%以下、0.50%、1.0%)を付与した。サイジングリダクションR=2.2%とした。

0023

0024

得られた電縫鋼管(角鋼管)の溶接シーム部のない平板部から管軸方向に採取したJIS5号全厚引張試験片を用い、引張試験(JIS Z 2241) を行ってYS(LYS若しくは0.2%PS)、TSを測定し、降伏比YR(=YS/TS、YS:降伏強さ、TS:引張り強さ)を求めた。ただし、サイジング工程で溶接シーム部に割れが発生した場合は造管不良につき、引張試験を実施しなかった。また、製品の辺の長さA、Bが管理目標550±3.0mm以内とならないか、もしくは製品の肉厚が管理目標22mmに対し、+1.2mm、−0.3mm以内とならない場合、造管不良と判定した。ただし、肉厚の管理目標は、平板部分溶接余盛り部分を除いた部分に適用した。

0025

そして、造管不良が発生せず、角鋼管の降伏比YRの値が0.80以下を満たす場合、建築用低YR角鋼管が製造可能であるとして、評価(○)とし、造管不良が発生したか、もしくは角鋼管の降伏比YRの値が0.80以下を満たさない場合、評価(×)とした。その結果を、電縫鋼管の造管工程で付与した圧縮ひずみと合わせて表3に示す。
表3に示した結果から、電縫鋼管の素材の成分と、ベイナイト比率を本発明内とし、サイジング工程で角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみを付与した場合(実験No.:A2、A3およびB2、B3)には、評価(○)となっている。

0026

これに対して、電縫鋼管の素材が本発明の範囲内であっても、サイジング工程で角鋼管の管軸方向に圧縮ひずみを付与していないものは、角鋼管の降伏比YRの値が0.80以下を満たさないので、評価(×)となっている(実験No.:A1およびB1)。
また電縫鋼管の素材が本発明の範囲外である場合(鋼種C、D、E)には、鋼種C、Eのように造管不良が発生するか、あるいは電縫鋼管の造管工程で圧縮ひずみを付与しても、鋼種D、Eのように、角鋼管の降伏比YRの値が0.80以下を満たさないため、評価(×)となっている。

図面の簡単な説明

0027

本発明に用いて好適な電縫鋼管の製造設備を示す斜視図である。
サイジング工程のサイジングロール列を示す斜視図である。
角鋼管から採取する試験片素材の位置を示す斜視図である。

符号の説明

0028

1アンコイラー
2レベラー
3ケージロール(成形ロール)
4フィンパスロール(成形ロール)
5電縫溶接機
6内外面ビード切削機
7サイジングロール列
8略丸形状の鋼管
9角形状の鋼管(角鋼管)
10帯鋼(素材)
11溶接ビード部
D外径
A、B 辺の長さ
W 試験片素材

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