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技術 油圧駆動装置及び油圧駆動車両

出願人 株式会社小松製作所
発明者 大司成俊
出願日 2007年1月24日 (13年11ヶ月経過) 出願番号 2007-013873
公開日 2008年8月7日 (12年4ヶ月経過) 公開番号 2008-180274
状態 特許登録済
技術分野 流体伝動装置の制御 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御 掘削機械の作業制御
主要キーワード 油圧供給管 基準指令値 主油圧回路 全回転数域 トラクションモード ポンプ指令値 走行モード切替スイッチ 補正指令値
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

操作の煩雑化を招来することなく、油圧効率が良好な状態で操作者の意に即した操作を容易に実行すること。

解決手段

エンジン3の回転数に応じてHSTポンプ10に対するポンプ基準指令値を設定するポンプ基準指令値設定部31aと、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、特定したインチング率に従ってポンプ基準指令値を補正することによりポンプ指令値を設定するポンプ補正指令値演算部31bと、ポンプ補正指令値演算部31bの設定したポンプ指令値に基づいてHSTポンプ10の容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定するポンプ制御指令値設定部31cとを有したポンプ制御部31を備えている。

概要

背景

ホイールローダブルドーザ等、建設機械として使用される車両には、駆動源であるエンジンと、駆動車輪との間にHST(Hydro-Static Transmission)と称される油圧駆動装置が設けられているものがある。油圧駆動装置は、閉回路である主油圧回路に、エンジンによって駆動される可変容量型油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備えて構成されており、油圧モータの駆動を駆動車輪に伝達することによって車両を走行させるようにしたものである。

この油圧駆動装置を適用した車両によれば、油圧ポンプの容量及び油圧モータの容量を適宜調節することにより、互いの回転数比率を任意に変更することができるため、煩雑なレバー操作を行うことなくアクセルペダルの操作のみにより車両の速度を無段階に変更することができ、操作性を著しく向上させることが可能となる。

通常、この種の油圧駆動装置では、駆動する際の主油圧回路の圧力を減少させることによって圧力損失を低減させ、油圧効率の向上を図ることが行われている。例えば、チャージポンプからのパイロット圧に応じて油圧ポンプの傾転角を制御するようにした油圧駆動装置では、パイロット圧を供給する油路カットオフバルブを介在させたものが提供されている。この油圧駆動装置では、主油圧回路の圧力がカットオフバルブに設定されたカットオフ圧以上となった場合にパイロット圧が減圧され、油圧ポンプの傾転角が減少することによって主油圧回路に対する油圧ポンプの圧油吐出量が低下されることになる(例えば、特許文献1参照)。

また、HSTを適用した油圧駆動装置では、パイロット圧を供給する油路にインチングバルブを介在させたものも提供されている。この油圧駆動装置では、操作者インチングペダルを操作した場合にパイロット圧が減圧され、油圧ポンプの傾転角が減少することにより主油圧回路に対する油圧ポンプの圧油吐出量が制限されることになる。

特開2004−232469号公報(図1)

概要

操作の煩雑化を招来することなく、油圧効率が良好な状態で操作者の意に即した操作を容易に実行すること。エンジン3の回転数に応じてHSTポンプ10に対するポンプ基準指令値を設定するポンプ基準指令値設定部31aと、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、特定したインチング率に従ってポンプ基準指令値を補正することによりポンプ指令値を設定するポンプ補正指令値演算部31bと、ポンプ補正指令値演算部31bの設定したポンプ指令値に基づいてHSTポンプ10の容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定するポンプ制御指令値設定部31cとを有したポンプ制御部31を備えている。

目的

本発明の目的は、上記実情に鑑みて、操作の煩雑化を招来することなく、油圧効率が良好な状態で操作者の意に即した操作を容易に実行することのできる油圧駆動装置及び油圧駆動車両を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

エンジンによって駆動される可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置において、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧ポンプに対するポンプ基準指令値を設定するポンプ基準指令値設定部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記ポンプ基準指令値を補正することによりポンプ指令値を設定するポンプ補正指令値演算部と、前記ポンプ補正指令値演算部の設定したポンプ指令値に基づいて前記油圧ポンプの容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定するポンプ制御指令値設定部とを有したポンプ制御手段を備えることを特徴とする油圧駆動装置。

請求項2

前記ポンプ制御指令値設定部は、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの間を流通する圧油の圧力に応じてポンプ制御指令上限値を設定し、前記ポンプ指令値がこのポンプ制御指令上限値以下の場合には当該ポンプ指令値をポンプ制御指令値として設定する一方、前記ポンプ指令値が前記ポンプ制御指令上限値を上回る場合には当該ポンプ制御指令上限値をポンプ制御指令値として設定することを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動装置。

請求項3

前記油圧モータに要求される出力トルクの上限値を設定するトルク上限値設定手段をさらに備え、前記ポンプ制御手段は、前記トルク上限値設定手段によって設定された出力トルクの上限値に応じて前記ポンプ制御指令上限値を設定し、該設定したポンプ制御指令上限値に従って前記ポンプ制御指令値を設定することを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動装置。

請求項4

エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置において、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧モータに対するモータ基準指令値を設定するモータ基準指令値設定部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記モータ基準指令値を補正することによりモータ指令値を設定するモータ補正指令値演算部と、前記モータ補正指令値演算部の設定したモータ指令値に基づいて前記油圧モータの容量を制御するためのモータ制御指令値を設定するモータ制御指令値設定部とを有したモータ制御手段を備えることを特徴とする油圧駆動装置。

請求項5

前記モータ制御指令値設定部は、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの間を流通する圧油の圧力に応じてモータ制御指令上限値を設定し、前記モータ指令値がこのモータ制御指令上限値以下の場合には当該モータ指令値をモータ制御指令値として設定する一方、前記モータ指令値が前記モータ制御指令上限値を上回る場合には当該モータ制御指令上限値をモータ制御指令値として設定することを特徴とする請求項4に記載の油圧駆動装置。

請求項6

エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置において、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧ポンプに対するポンプ基準指令値を設定するポンプ基準指令値設定部と、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧モータに対するモータ基準指令値を設定するモータ基準指令値設定部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記ポンプ基準指令値を補正することによりポンプ指令値を設定するポンプ補正指令値演算部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記モータ基準指令値を補正することによりモータ指令値を設定するモータ補正指令値演算部と、前記ポンプ補正指令値演算部の設定したポンプ指令値に基づいて前記油圧ポンプの容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定するポンプ制御指令値設定部と、前記モータ補正指令値演算部の設定したモータ指令値に基づいて前記油圧モータの容量を制御するためのモータ制御指令値を設定するモータ制御指令値設定部とを有した制御手段を備えることを特徴とする油圧駆動装置。

請求項7

請求項1〜6のいずれかの一つに記載の油圧駆動装置を駆動源として走行することを特徴とする油圧駆動車両

技術分野

0001

本発明は、エンジンによって駆動される可変容量型油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置及び油圧駆動車両に関するもので、特に、ホイールローダブルドーザ等の建設機械として使用される車両の走行系として好適な油圧駆動装置及び油圧駆動車両に関する。

背景技術

0002

ホイールローダやブルドーザ等、建設機械として使用される車両には、駆動源であるエンジンと、駆動車輪との間にHST(Hydro-Static Transmission)と称される油圧駆動装置が設けられているものがある。油圧駆動装置は、閉回路である主油圧回路に、エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備えて構成されており、油圧モータの駆動を駆動車輪に伝達することによって車両を走行させるようにしたものである。

0003

この油圧駆動装置を適用した車両によれば、油圧ポンプの容量及び油圧モータの容量を適宜調節することにより、互いの回転数比率を任意に変更することができるため、煩雑なレバー操作を行うことなくアクセルペダルの操作のみにより車両の速度を無段階に変更することができ、操作性を著しく向上させることが可能となる。

0004

通常、この種の油圧駆動装置では、駆動する際の主油圧回路の圧力を減少させることによって圧力損失を低減させ、油圧効率の向上を図ることが行われている。例えば、チャージポンプからのパイロット圧に応じて油圧ポンプの傾転角を制御するようにした油圧駆動装置では、パイロット圧を供給する油路カットオフバルブを介在させたものが提供されている。この油圧駆動装置では、主油圧回路の圧力がカットオフバルブに設定されたカットオフ圧以上となった場合にパイロット圧が減圧され、油圧ポンプの傾転角が減少することによって主油圧回路に対する油圧ポンプの圧油吐出量が低下されることになる(例えば、特許文献1参照)。

0005

また、HSTを適用した油圧駆動装置では、パイロット圧を供給する油路にインチングバルブを介在させたものも提供されている。この油圧駆動装置では、操作者インチングペダルを操作した場合にパイロット圧が減圧され、油圧ポンプの傾転角が減少することにより主油圧回路に対する油圧ポンプの圧油吐出量が制限されることになる。

0006

特開2004−232469号公報(図1

発明が解決しようとする課題

0007

上述した特許文献1に記載のものによれば、操作者が操作パネルスイッチ操作を行うことにより、少なくとも2段階のカットオフ圧を選択して設定することができ、油圧効率の向上を図ることができるようになる。

0008

しかしながら、圧力のみを考慮した特許文献1に記載のものにあっては、例えば、上述したカットオフ圧を、一旦定格付近のエンジン回転数運転するのに最適な値に設定してしまうと、エンジンの燃費効率の点で好ましくない事態を招来する虞れがある。すなわち、カットオフ圧を定格付近のエンジン回転数で運転するのに最適な値に設定すると、アクセルペダルの踏み込みを緩めてエンジン回転数を下げたり、インチングペダルを踏み込んで油圧ポンプの圧油吐出量を低下させた場合には、エンジン出力に対して余裕がある状況下になったとしても、主油圧回路の圧力が定格エンジン回転数での作動を考慮したカットオフ圧による圧力のままとなり、燃費効率の悪いエンジン出力で運転することになる。

0009

こうした事態を回避するためには、主油圧回路が所望とする圧力となるように、状況に応じて都度操作者がカットオフ圧を切り替えなければならないこととなり、油圧駆動装置の操作を煩雑化する虞れがある。

0010

本発明の目的は、上記実情に鑑みて、操作の煩雑化を招来することなく、油圧効率が良好な状態で操作者の意に即した操作を容易に実行することのできる油圧駆動装置及び油圧駆動車両を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る油圧駆動装置は、エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置において、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧ポンプに対するポンプ基準指令値を設定するポンプ基準指令値設定部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記ポンプ基準指令値を補正することによりポンプ指令値を設定するポンプ補正指令値演算部と、前記ポンプ補正指令値演算部の設定したポンプ指令値に基づいて前記油圧ポンプの容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定するポンプ制御指令値設定部とを有したポンプ制御手段を備えることを特徴とする。

0012

また、本発明の請求項2に係る油圧駆動装置は、上述した請求項1において、前記ポンプ制御指令値設定部は、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの間を流通する圧油の圧力に応じてポンプ制御指令上限値を設定し、前記ポンプ指令値がこのポンプ制御指令上限値以下の場合には当該ポンプ指令値をポンプ制御指令値として設定する一方、前記ポンプ指令値が前記ポンプ制御指令上限値を上回る場合には当該ポンプ制御指令上限値をポンプ制御指令値として設定することを特徴とする。

0013

また、本発明の請求項3に係る油圧駆動装置は、上述した請求項1において、前記油圧モータに要求される出力トルクの上限値を設定するトルク上限値設定手段をさらに備え、前記ポンプ制御手段は、前記トルク上限値設定手段によって設定された出力トルクの上限値に応じて前記ポンプ制御指令上限値を設定し、該設定したポンプ制御指令上限値に従って前記ポンプ制御指令値を設定することを特徴とする。

0014

また、本発明の請求項4に係る油圧駆動装置は、エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置において、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧モータに対するモータ基準指令値を設定するモータ基準指令値設定部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記モータ基準指令値を補正することによりモータ指令値を設定するモータ補正指令値演算部と、前記モータ補正指令値演算部の設定したモータ指令値に基づいて前記油圧モータの容量を制御するためのモータ制御指令値を設定するモータ制御指令値設定部とを有したモータ制御手段を備えることを特徴とする。

0015

また、本発明の請求項5に係る油圧駆動装置は、上述した請求項4において、前記モータ制御指令値設定部は、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの間を流通する圧油の圧力に応じてモータ制御指令上限値を設定し、前記モータ指令値がこのモータ制御指令上限値以下の場合には当該モータ指令値をモータ制御指令値として設定する一方、前記モータ指令値が前記モータ制御指令上限値を上回る場合には当該モータ制御指令上限値をモータ制御指令値として設定することを特徴とする。

0016

また、本発明の請求項6に係る油圧駆動装置は、エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出した圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータとを備え、前記油圧モータの駆動を外部出力する油圧駆動装置において、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧ポンプに対するポンプ基準指令値を設定するポンプ基準指令値設定部と、前記エンジンの回転数に応じて前記油圧モータに対するモータ基準指令値を設定するモータ基準指令値設定部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記ポンプ基準指令値を補正することによりポンプ指令値を設定するポンプ補正指令値演算部と、インチング操作が行われた場合にその操作量に応じたインチング率を特定し、該特定したインチング率に従って前記モータ基準指令値を補正することによりモータ指令値を設定するモータ補正指令値演算部と、前記ポンプ補正指令値演算部の設定したポンプ指令値に基づいて前記油圧ポンプの容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定するポンプ制御指令値設定部と、前記モータ補正指令値演算部の設定したモータ指令値に基づいて前記油圧モータの容量を制御するためのモータ制御指令値を設定するモータ制御指令値設定部とを有した制御手段を備えることを特徴とする。

0017

また、本発明の請求項7に係る油圧駆動車両は、上述した請求項1〜6のいずれか一つの油圧駆動装置を駆動源として走行することを特徴とする。

発明の効果

0018

本発明によれば、エンジンの回転数に応じて設定した容量基準指令値を、インチング操作が行われた場合の操作量に応じたインチング率に従って補正し、この補正した容量指令値に基づいて油圧ポンプや油圧モータの容量を制御するようにしている。従って、インチング操作が行われさえすればエンジン回転数の全域に亘って圧力を減少させ、油圧効率の向上を図ることが可能になる。しかも、インチング操作は、従来より車両を微動寸動させる際に一般的に実行されるものであり、所望とする圧力の状況に応じて都度操作者が切り替えなければならない専用の切り替え手段ではない。従って、油圧駆動装置の操作を煩雑化することはなく、油圧効率が良好な状態で操作者の意に即した操作を容易に実施することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0019

以下に添付図面を参照して、本発明に係る油圧駆動装置及び油圧駆動車両の好適な実施の形態について詳細に説明する。

0020

図1は、本発明の実施の形態である油圧駆動装置を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、いわゆるHSTと称され、ホイールローダやブルドーザ等、建設機械として使用される油圧駆動車両に搭載されるもので、閉回路となる主油圧回路100の油圧供給管路1,2によって接続された油圧ポンプ10及び油圧モータ20を備えている。

0021

油圧ポンプ(以下、「HSTポンプ10」という)は、車両のエンジン3によって駆動されるもので、例えば斜板傾転角を変更することによって容量を変更することのできる可変容量型のものを適用している。

0022

油圧モータ(以下、「HSTモータ20」という)は、HSTポンプ10から吐出した圧油によって駆動されるもので、例えば斜軸傾転角を変更することによって容量を変更することのできる可変容量型のものを適用している。HSTモータ20は、その出力軸20aがトランスファ4を介して図示せぬ車両の駆動車輪に接続してあり、駆動車輪を回転駆動することで車両を走行させることができる。このHSTモータ20は、HSTポンプ10からの圧油の供給方向に応じて回転方向を切り替えることが可能であり、車両を前進、もしくは後進させることができる。尚、以下の説明においては便宜上、油圧供給管路1からHSTモータ20に圧油が供給された場合に車両が前進する一方、油圧供給管路2からHSTモータ20に圧油が供給された場合に車両が後進するものとして説明を行う。

0023

この油圧駆動装置には、ポンプ容量設定ユニット11、モータ容量設定ユニット21及びチャージポンプ5が設けてある。

0024

ポンプ容量設定ユニット11は、HSTポンプ10に付設されるもので、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ(以下、「前進ポンプEPCバルブ12」という)、後進用ポンプ電磁比例制御バルブ(以下、「後進ポンプEPCバルブ13」という)及びポンプ容量制御シリンダ14を備えて構成してある。このポンプ容量設定ユニット11では、前進ポンプEPCバルブ12及び後進ポンプEPCバルブ13に対して後述するコントローラ30から指令信号が与えられると、この指令信号に応じてポンプ容量制御シリンダ14が作動し、HSTポンプ10の斜板傾転角が変化することによってその容量が設定変更されることになる。

0025

より詳細に説明すると、まず、ポンプ容量制御シリンダ14は、無負荷状態においてピストン14aが中立位置に保持されている。この状態においては、HSTポンプ10の斜板傾転角もゼロとなっており、エンジン3が回転した場合にも主油圧回路100への圧油の吐出量はゼロである。

0026

この状態から、例えば、前進ポンプEPCバルブ12に対してコントローラ30からHSTポンプ10の容量を増大する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて前進ポンプEPCバルブ12からポンプ容量制御シリンダ14に対してポンプ制御圧力が与えられ、ピストン14aが図1において左側に移動する。ポンプ容量制御シリンダ14のピストン14aが図1において左側に移動すると、これに連動してHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路1に対して圧油を吐出する方向へ向けて傾転する。HSTポンプ10における斜板の傾転角は、前進ポンプEPCバルブ12から供給されるポンプ制御圧力が増大するに従ってピストン14aの移動量が大きくなるため、その変化量も大きなものとなる。つまり、前進ポンプEPCバルブ12に対してコントローラ30から指令信号が与えられると、この指令信号に応じたポンプ制御圧力が前進ポンプEPCバルブ12からポンプ容量制御シリンダ14に与えられ、ポンプ容量制御シリンダ14の作動によりHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路1に対して所望量の圧油を吐出できるように傾転する。この結果、エンジン3を回転させれば、HSTポンプ10から油圧供給管路1に圧油が吐出され、HSTモータ20を前進方向に回転させることができるようになる。

0027

上述の状態から前進ポンプEPCバルブ12に対してコントローラ30からHSTポンプ10の容量を減少する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて前進ポンプEPCバルブ12からポンプ容量制御シリンダ14に供給するポンプ制御圧力が減少するため、ピストン14aが中立位置に向けて移動する。この結果、HSTポンプ10の斜板傾転角が減少し、HSTポンプ10から油圧供給管路1への圧油の吐出量が減少する。

0028

一方、後進ポンプEPCバルブ13に対してコントローラ30からHSTポンプ10の容量を増大する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて後進ポンプEPCバルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に対してポンプ制御圧力が与えられ、ピストン14aが図1において右側に移動する。ポンプ容量制御シリンダ14のピストン14aが図1において右側に移動すると、これに連動してHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路2に対して圧油を吐出する方向へ向けて傾転する。HSTポンプ10の斜板傾転角は、後進ポンプEPCバルブ13から供給されるポンプ制御圧力が増大するに従ってピストン14aの移動量が大きくなるため、その変化量も大きなものとなる。つまり、後進ポンプEPCバルブ13に対してコントローラ30から指令信号が与えられると、この指令信号に応じたポンプ制御圧力が後進ポンプEPCバルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に与えられ、ポンプ容量制御シリンダ14の作動によりHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路2に対して所望量の圧油を吐出できるように傾転する。この結果、エンジン3を回転させれば、HSTポンプ10から油圧供給管路2に圧油が吐出され、HSTモータ20を後進方向に回転させることができるようになる。

0029

上述の状態から後進ポンプEPCバルブ13に対してコントローラ30からHSTポンプ10の容量を減少する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて後進ポンプEPCバルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に供給するポンプ制御圧力が減少し、ピストン14aが中立位置に向けて移動する。この結果、HSTポンプ10の斜板傾転角が減少し、HSTポンプ10から油圧供給管路2への圧油の吐出量が減少する。

0030

モータ容量設定ユニット21は、HSTモータ20に付設されるもので、モータ電磁比例制御バルブ(以下、「モータEPCバルブ22」という)、モータ用シリンダ制御バルブ23及びモータ容量制御シリンダ24を備えて構成してある。このモータ容量設定ユニット21では、モータEPCバルブ22に対してコントローラ30から指令信号が与えられると、モータEPCバルブ22からモータ用シリンダ制御バルブ23にモータ制御圧力が供給されてモータ容量制御シリンダ24が作動する。モータ容量制御シリンダ24が作動すると、これに連動してHSTモータ20の斜軸傾転角が変化することになり、指令信号に応じてHSTモータ20の容量が設定変更されることになる。具体的には、モータEPCバルブ22から供給されるモータ制御圧力が増加するに従ってHSTモータ20の斜軸傾転角が減少するようにモータ容量設定ユニット21が構成してある。

0031

チャージポンプ5は、車両のエンジン3によって駆動されるもので、上述した前進ポンプEPCバルブ12及び後進ポンプEPCバルブ13を介してポンプ容量制御シリンダ14にポンプ制御圧力を供給し、またモータEPCバルブ22を介してモータ用シリンダ制御バルブ23にモータ制御圧力を供給する機能を有している。

0032

尚、図1中の符号6は、車両のエンジン3によって駆動される作業機油圧ポンプである。この作業機油圧ポンプ6は、建設機械の油圧作業機7を駆動するための圧油を供給するものである。

0033

また、上記油圧駆動装置には、インチングポテンショメータ40、走行モード切替スイッチ41、方向入力レバースイッチ42、エンジン回転センサ43及び2つの圧力検出センサ44,45が設けてある。

0034

インチングポテンショメータ40は、インチングペダル40aが操作された場合にその検出信号を出力するものである。インチングペダル40aは、従前の建設機械において一般的に用いられるインチングペダルと同様に、操作者が車両を微動や寸動させる際に操作するものとして設けたもので、従前の建設機械と同様に車両の運転席から足踏み操作できる位置に配設してある。本実施の形態では、このインチングペダル40aに、ペダルストロークに応じた検出信号を連続的に出力することのできるインチングポテンショメータ40が設けてある。このインチングポテンショメータ40からの検出信号は、コントローラ30に与えられる。

0035

走行モード切替スイッチ41は、車両の操作者が走行モードを選択するためのスイッチである。走行モードとは、車両の使用状況牽引力の上限値(=HSTモータ20の出力トルク上限値)として規定したものである。本実施の形態では、互いに車両の牽引力上限値が異なる「ハイトクションモード」、「ミッドトラクションモード」、「ロートラクションモード」の3つ走行モード(車両の牽引力上限値は「ハイトラクションモード」>「ミッドトラクションモード」>「ロートラクションモード」)が用意してあり、走行モード切替スイッチ41によってこれらの走行モードを択一的に選択できるように構成してある。この走行モード切替スイッチ41は、運転席から選択操作できる位置に設けてある。この走行モード切替スイッチ41によって選択された走行モードを示す情報は、選択信号としてコントローラ30に与えられることになる。

0036

方向入力レバースイッチ42は、車両の進行方向を入力するための選択スイッチである。本実施の形態では、運転席から選択操作できる位置に設けた方向入力レバー42aの操作により、「前進」、「ニュートラル」、「後進」の3つの進行方向を選択することのできる方向入力レバースイッチ42を適用している。この方向入力レバースイッチ42によって選択された進行方向を示す情報は、選択情報としてコントローラ30に与えられることになる。

0037

エンジン回転センサ43は、エンジン3の回転数を検出するものである。圧力検出センサ44,45は、HSTポンプ10とHSTモータ20との間の油圧供給管路1,2を流通する圧油の圧力を個別に検出するものである。エンジン回転センサ43によって検出されたエンジン3の回転数を示す情報及び圧力検出センサ44,45によって検出された油圧供給管路1,2の圧力を示す情報は、それぞれ検出信号としてコントローラ30に与えられることになる。

0038

一方、上記油圧駆動装置は、コントローラ30を備えている。コントローラ30は、インチングポテンショメータ40、走行モード切替スイッチ41、方向入力レバースイッチ42、エンジン回転センサ43及び圧力検出センサ44,45からの入力信号に基づいて、前進ポンプEPCバルブ12、後進ポンプEPCバルブ13及びモータEPCバルブ22に対する指令信号を生成し、かつ生成した指令信号をそれぞれのEPCバルブ12,13,22に与える電子制御装置である。本実施の形態のコントローラ30は、図2に示すように、ポンプ制御部31、モータ制御部32を備えている。

0039

ポンプ制御部31は、インチングポテンショメータ40、エンジン回転センサ43、方向入力レバースイッチ42、走行モード切替スイッチ41、圧力検出センサ44,45から入力信号が与えられた場合に、これらの入力信号及び予めメモリ33に格納したデータに基づいてHSTポンプ10の容量を制御するためのポンプ制御指令値を設定し、この設定したポンプ制御指令値を指令信号として前進ポンプEPCバルブ12や後進ポンプEPCバルブ13に出力するものである。ポンプ制御部31がポンプ制御指令値を設定する際に参照するデータとしては、インチング率データ(図3参照)、エンジン回転数−指令圧力データ(図4参照)、ポンプ特性データ(図5及び図6参照)がある。図2に示すように、本実施の形態のポンプ制御部31は、ポンプ基準指令値設定部31a、ポンプ補正指令値演算部31b、ポンプ制御指令値設定部31cを有している。

0040

ポンプ基準指令値設定部31aは、エンジン回転センサ43からの入力信号と、予め設定したエンジン回転数−指令圧力データとに基づいてHSTポンプ10に対するポンプ基準指令値を設定するものである。図4は、本実施の形態で適用するエンジン回転数−指令圧力データの一例を示すものである。図4実線で示すように、本実施の形態では、エンジン回転数の増加に伴って指令圧力の増加率漸次増大するようにエンジン回転数に対して指令圧力が設定してある。

0041

ポンプ補正指令値演算部31bは、インチングポテンショメータ40からの入力信号と予め設定したインチング率データとに基づいてポンプ基準指令値を補正し、これをポンプ指令値として出力するものである。図3は、本実施の形態で適用するインチング率データの一例を示すものである。図3に示すインチング率データでは、インチングペダル40aのペダルストローク(インチング操作量)に応じてインチング率(=ゲイン)が設定してある。具体的には、インチングペダル40aのペダルストロークが0〜25%になるまではインチング率を1.0と設定し、以降、ペダルストロークが増加するに従ってインチング率が減少するように設定してある。

0042

ポンプ制御指令値設定部31cは、方向入力レバースイッチ42及び圧力検出センサ44,45からの入力信号と、予め設定したポンプ制御圧力−負荷圧力データとに基づいてポンプ制御指令上限値を設定する。さらにポンプ制御指令値設定部31cは、ポンプ補正指令値演算部31bから出力されたポンプ指令値と、このポンプ制御指令上限値とのいずれか小さい値をポンプ制御指令値として設定するものである。

0043

ここで、負荷圧力とは、HSTポンプ10からHSTモータ20に至る油圧供給管路1,2のうち、HSTモータ20の回転方向に対して順方向となる油圧供給管路の圧力である。例えば、HSTモータ20が前進方向に回転している状況下では油圧供給管路1に設けた圧力検出センサ44の検出結果が負荷圧力となり、HSTモータ20が後進方向に回転している状況下では油圧供給管路2に設けた圧力検出センサ45の検出結果が負荷圧力となる。

0044

図5は、本実施の形態で適用するポンプ制御圧力−負荷圧力データを示すものである。このポンプ制御圧力−負荷圧力データは、図6に示す負荷圧力−ポンプ容量データに基づいて設定したもので、複数の負荷圧力上限閾値ごとに負荷圧力に対応したポンプ制御指令上限値が予め設定してある。負荷圧力上限閾値は、上述した走行モード切替スイッチ41によって走行モードを選択した場合に一義的に設定されるもので、「ハイトラクションモード」=負荷圧力上限閾値:1>「ミッドトラクションモード」=負荷圧力上限閾値:2>「ロートラクションモード」=負荷圧力上限閾値:3となるように設定してある。尚、図6からも明らかなように、本実施の形態で適用するHSTポンプ10には、負荷圧力が増大した場合に容量を減少させることによって駆動トルクを低減させ、エンジン3がストールする事態を防止するための機能(いわゆる、アンチストール機能)が設けてある。

0045

モータ制御部32は、インチングポテンショメータ40、エンジン回転センサ43、圧力検出センサ44,45から入力信号が与えられた場合に、これらの入力信号及び予めメモリ33に格納したデータに基づいてHSTモータ20の容量を制御するためのモータ制御指令値を設定し、この設定したモータ制御指令値を指令信号としてモータEPCバルブ22に出力するものである。モータ制御部32がモータ制御指令値を設定する場合に参照するデータとしては、インチング率データ(図3参照)、エンジン回転数−指令圧力データ(図4参照)、モータ特性データ(図7及び図8参照)がある。図2に示すように、本実施の形態のモータ制御部32は、モータ基準指令値設定部32a、モータ補正指令値演算部32b、モータ制御指令値設定部32cを有している。

0046

モータ基準指令値設定部32aは、エンジン回転センサ43からの入力信号と、予め与えられたエンジン回転数−指令圧力データとに基づいてHSTモータ20に対するモータ基準指令値を設定するものである。エンジン回転数−指令圧力データは、先に図4で示したものである。

0047

モータ補正指令値演算部32bは、インチングポテンショメータ40からの入力信号と、図3に示したインチング率データとに基づいてモータ基準指令値を補正し、これをモータ指令値として出力するものである。

0048

モータ制御指令値設定部32cは、方向入力レバースイッチ42及び圧力検出センサ44,45からの入力信号と、予め設定したモータ制御圧力−負荷圧力データとに基づいてモータ制御指令上限値を設定する。さらにモータ制御指令値設定部32cは、モータ補正指令値演算部32bから出力されたモータ指令値と、このモータ制御指令上限値とのいずれか小さい値をモータ制御指令値として設定するものである。

0049

図7は、本実施の形態で適用するモータ制御圧力−負荷圧力データを示すものである。このモータ制御圧力−負荷圧力データは、図8に示す負荷圧力−モータ容量データに基づいて設定したもので、複数の負荷圧力上限閾値ごとに負荷圧力に対応したモータ制御指令上限値が設定してある。負荷圧力上限閾値は、先と同様、「ハイトラクションモード」=負荷圧力上限閾値:1>「ミッドトラクションモード」=負荷圧力上限閾値:2>「ロートラクションモード」=負荷圧力上限閾値:3となるように設定してある。

0050

図9は、上述したコントローラ30のポンプ制御部31が実行するポンプ制御圧設定処理の内容を示すフローチャート図10は、上述したコントローラ30のモータ制御部32が実行するモータ制御圧設定処理の内容を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照しながら、上述した油圧駆動装置の動作について詳述する。

0051

図9に示したポンプ制御圧設定処理においてポンプ制御部31は、まず、エンジン回転センサ43を通じてエンジン3の回転数を取得するとともに、方向入力レバースイッチ42を通じて車両の進行方向を取得する処理を行う(ステップS101)。エンジン3の回転数情報を取得したポンプ制御部31は、メモリ33に格納したエンジン回転数−指令圧力データに基づいてエンジン3の回転数に対応したHSTポンプ10に対するポンプ基準指令値を設定する(ステップS102)。

0052

次いで、ポンプ制御部31は、インチングポテンショメータ40を通じてインチングペダル40aのペダルストロークを取得し(ステップS103)、このペダルストロークとメモリ33に格納したインチング率データとに基づいてそのインチング率を読み出す(ステップS104)。インチング率を読み出したポンプ制御部31は、このインチング率とポンプ基準指令値との積をポンプ指令値として設定する(ステップS105)。

0053

この結果、操作者が車両を微動・寸動させたり、停止させたりする等の目的でインチングペダル40aを操作した場合には、図4に示すように、インチング操作がない場合にエンジン回転数から決定される実線のポンプ基準指令値に対して、破線や一点鎖線で示すような減率されたポンプ指令値が設定されることになる。

0054

ポンプ指令値を設定したポンプ制御部31は、次いで、方向入力レバースイッチ42及び圧力検出センサ44,45を通じて主油圧回路100の負荷圧力を取得するとともに、走行モード切替スイッチ41を通じて現在の走行モードを取得する(ステップS106)。さらに走行モードから特定される負荷圧力上限閾値と負荷圧力とからポンプ制御圧力−負荷圧力データに基づいてポンプ制御指令上限値を設定する(ステップS107)。

0055

ポンプ制御指令上限値とステップS105で設定したポンプ指令値とを設定したポンプ制御部31は、これらの比較を行い(ステップS108)、いずれか小さい値をポンプ制御指令値として設定する処理を行う(ステップS109、ステップS110)。

0056

さらに、方向入力レバースイッチ42を通じて取得した車両の進行方向から、制御すべきポンプEPCバルブ12,13の選択を行い(ステップS111)、選択したポンプEPCバルブにポンプ制御指令値に見合った電流を出力する(ステップS112)。

0057

これにより、HSTポンプ10の斜板傾転角がポンプ制御指令値で示されるポンプ制御圧力に応じて変化し、変化した斜板傾転角に対応する容量を基準としてHSTポンプ10が駆動する。

0058

ここで、この油圧駆動装置では、上述した前進ポンプEPCバルブ12、もしくは後進ポンプEPCバルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に供給するポンプ制御圧力に従ってHSTポンプ10の斜板傾転角が変化するようにポンプ容量設定ユニット11を構成している。従って、インチング操作に応じて減率されたポンプ制御圧力が設定された場合には、インチング操作がなかった場合に比べてHSTポンプ10の斜板傾転角も小さくなる。つまり、インチング操作が行われた場合には、そのペダルストロークに応じてポンプ指令値が減率されることになるため、このポンプ指令値に基づいて設定されるポンプ制御指令値、つまりポンプ制御圧力も減じられたものとなる。従って、同じ回転数でエンジンが運転されている状況下であってもインチング操作が行われた場合には、ポンプ容量制御シリンダ14においてピストン14aの中立位置からの移動量が小さくなるため、HSTポンプ10の斜板傾転角も小さくなり、その容量も小さく設定されることになる結果、主油圧回路100への圧油の吐出量も減少することになる。これにより、主油圧回路100の負荷圧力を抑え、油圧駆動装置の油圧効率向上を図ることが可能となる。

0059

しかも、上述した油圧効率の向上は、エンジン3の回転数に関わらずインチング操作が行われさえすれば奏することができるものである。従って、エンジン回転数の制限を受けることなくその全回転数域に亘って主油圧回路100の負荷圧力を抑えられることが可能である。

0060

さらに、建設機械におけるインチング操作は、従来より車両を微動や寸動させる際に一般的に実行されているものであり、所望とする負荷圧力の状況に応じて都度操作者が切り替えなければならない専用の切り替え手段ではない。しかも、インチング操作を行うインチングペダル40aについては、これを従前の建設機械と同様に、車両の運転席から足踏み操作できる位置に配設してある。これらの結果、従前の建設機械と全く同様の操作を行えば、操作者が何等意識することなく上述した作用効果を奏することができるようになり、油圧駆動装置の操作を煩雑化する虞れも全くない。

0061

以降、所定のサイクルタイムごとに上述したポンプ制御圧設定処理が繰り返し実行されることになり、エンジン3の回転数及びインチング操作の有無、主油圧回路100の負荷圧力に応じて容量が設定されたHSTポンプ10によって油圧駆動装置が運転されることになる。

0062

一方、図10に示したモータ制御圧設定処理においてモータ制御部32は、まず、エンジン回転センサ43を通じてエンジン3の回転数を取得する処理を行い(ステップS201)、取得したエンジン3の回転数情報と、メモリ33に格納したエンジン回転数−指令圧力データとに基づいてエンジン3の回転数に対応したHSTモータ20に対するモータ基準指令値を設定する(ステップS202)。

0063

次いで、モータ制御部32は、インチングポテンショメータ40を通じてインチングペダル40aのペダルストロークを取得し(ステップS203)、このペダルストロークとメモリ33に格納したインチング率データとに基づいてそのインチング率を読み出す(ステップS204)。さらにステップS202で設定したモータ基準指令値と、ステップS204で読み出したインチング率との積をモータ指令値として設定する(ステップS205)。

0064

この結果、操作者が車両を微動・寸動させたり、停止させたりする等の目的でインチングペダル40aを操作した場合には、図4に示すように、インチング操作がない場合にエンジン回転数から決定される実線のモータ基準指令値に対して、破線や一点鎖線で示すような減率されたモータ指令値が設定されることになる。

0065

モータ指令値を設定したモータ制御部32は、次いで、方向入力レバースイッチ42及び圧力検出センサ44,45を通じて油圧供給管路1,2の負荷圧力を取得するとともに、走行モード切替スイッチ41を通じて現在の走行モードを取得する(ステップS206)。さらに走行モードから特定される負荷圧力上限閾値と負荷圧力とからモータ制御圧力−負荷圧力データに基づいてモータ制御指令上限値を設定する(ステップS207)。さらに、このモータ制御指令上限値とステップS205で設定したモータ指令値との比較を行い(ステップS208)、これらのうちのいずれか小さい値をモータ制御指令値として設定する(ステップS209、ステップS210)。しかる後、モータ制御指令値に見合った電流をモータEPCバルブ22に出力し(ステップS211)、手順をリターンさせる。これにより、HSTモータ20の斜軸傾転角がモータ制御指令値で示されるモータ制御圧力に応じて変化し、変化した斜軸傾転角に対応する容量を基準としてHSTモータ20が駆動する。

0066

ここで、上述したようにHSTモータ20では、モータEPCバルブ22からモータ用シリンダ制御バルブ23に供給するモータ制御圧力が増加するに従ってHSTモータ20の斜軸傾転角が減少するようにモータ容量設定ユニット21を構成している。従って、インチング操作に応じて減率されたモータ制御圧力が設定された場合には、インチング操作がなかった場合に比べてHSTモータ20の容量が大きく設定されることになる。HSTモータ20の容量が大きく設定された場合には、油圧供給管路1,2を含んだ主油圧回路100の負荷圧力を低減する方向に作用する。従って、主油圧回路100の負荷圧力を抑え、油圧駆動装置の油圧効率向上を図ることが可能となる。

0067

しかも、上述した油圧効率の向上は、エンジン3の回転数に関わらずインチング操作が行われさえすれば奏することができるものである。従って、エンジン回転数の制限を受けることなくその全回転数域に亘って主油圧回路100の負荷圧力を抑えられることが可能である。

0068

さらに、建設機械におけるインチング操作は、従来より車両を微動や寸動させる際に一般的に実行されているものであり、所望とする負荷圧力の状況に応じて都度操作者が切り替えなければならない専用の切り替え手段ではない。しかも、インチング操作を行うインチングペダル40aについては、これを従前の建設機械と同様に、車両の運転席から足踏み操作できる位置に配設してある。これらの結果、従前の建設機械と全く同様の操作を行えば、操作者が何等意識することなく上述した作用効果を奏することができるようになり、油圧駆動装置の操作を煩雑化する虞れも全くない。

0069

以降、所定のサイクルタイムごとに上述したモータ制御圧設定処理が繰り返し実行されることになり、エンジン3の回転数及びインチング操作の有無、主油圧回路100の負荷圧力に応じて容量が設定変更されたHSTモータ20によって油圧駆動装置が運転されることになる。

0070

以上説明したように、上記油圧駆動装置では、コントローラ30のポンプ制御部31で実行されるポンプ制御圧設定処理においてインチング操作及び主油圧回路100の負荷圧力を考慮したポンプ制御圧力が設定され、油圧供給管路1,2を含む主油圧回路100の負荷圧力を低減することができる。また、コントローラ30のモータ制御部32で実行されるモータ制御圧設定処理においてインチング操作及び主油圧回路100の負荷圧力を考慮したモータ制御圧力が設定され、油圧供給管路1,2を含む主油圧回路100の負荷圧力を低減することができる。従って、上記油圧駆動装置によれば、圧力損失を低減して油圧効率の向上を図ることができるようになる。

0071

しかも、インチング操作が行われてさえいれば、これに応じて負荷圧力が低減されることになるため、エンジン3の回転数全域に亘って上述した作用効果を奏する。

0072

さらに、カットオフバルブ等のハードウェアを何等設ける必要がないため、製造コストの低減を図ることができるばかりでなく、インチング率を調整することでポンプ制御圧力やモータ制御圧力を容易に、かつ任意に変更することができ、油圧駆動装置の制御を柔軟に行うことが可能となる。

0073

また、走行モード切替スイッチ41によって走行モードを選択することにより、負荷圧力上限閾値を変更し、この負荷圧力上限閾値に応じてポンプ制御圧力の上限値が変更されることになるため、車両に要求される牽引力の上限値に応じて油圧供給管路1,2を含む主油圧回路100の負荷圧力上限値を変更することができ、油圧効率の向上に寄与する。

0074

尚、上述した実施の形態では、HSTポンプ10のポンプ制御指令値及びHSTモータ20のモータ制御指令値双方をインチング率に応じて補正するようにしているが、少なくとも一方に対してのみ実施しても構わない。

0075

また、上述した実施の形態では、車両を走行させるための油圧駆動装置を例示しているが、必ずしも車両を走行させるものに限らず、汎用駆動装置として用いることが可能である。

0076

さらに、上述した実施の形態では、走行モードの選択によってHSTモータ20の出力トルク上限値を設定入力するようにしているが、必ずしもこれに限らず、直接出力トルクの上限値を設定入力するようにしても良い。この場合、出力トルクとしては必ずしも3段階の設定入力に限らず、3以上の複数であっても良いし、連続的に任意の値を設定入力できるようにしても構わない。

図面の簡単な説明

0077

本発明の実施の形態である油圧駆動装置の構成を示す回路図である。
図1に示した油圧駆動装置の制御系を示すブロック図である。
図1に示した油圧駆動装置に適用するインチングペダルのペダルストロークとインチング率との関係を例示するグラフである。
図1に示した油圧駆動装置に適用するエンジン回転数−指令圧力データの一例を示すグラフである。
図1に示した油圧駆動装置に適用する油圧ポンプの負荷圧力に対するポンプ制御圧力の関係を例示する図表である。
図1に示した油圧駆動装置に適用する油圧ポンプのポンプ容量に対する負荷圧力の関係を例示するグラフである。
図1に示した油圧駆動装置に適用する油圧モータの負荷圧力に対するモータ制御圧力の関係を例示するグラフである。
図1に示した油圧駆動装置に適用する油圧モータのモータ容量に対する負荷圧力の関係を例示するグラフである。
図2に示したコントローラのポンプ制御部が実行する処理の内容を示すフローチャートである。
図2に示したコントローラのモータ制御部が実行する処理の内容を示すフローチャートである。

符号の説明

0078

1,2油圧供給管路
3エンジン
4トランスファ
5チャージポンプ
6作業機油圧ポンプ
7油圧作業機
10HSTポンプ
11ポンプ容量設定ユニット
12前進ポンプEPCバルブ
13後進ポンプEPCバルブ
14ポンプ容量制御シリンダ
20HSTモータ
21モータ容量設定ユニット
22モータEPCバルブ
23 モータ用シリンダ制御バルブ
24モータ容量制御シリンダ
30コントローラ
31ポンプ制御部
31aポンプ基準指令値設定部
31b ポンプ補正指令値演算部
31c ポンプ制御指令値設定部
32モータ制御部
32a モータ基準指令値設定部
32b モータ補正指令値演算部
32cモータ制御指令値設定部
33メモリ
40インチングポテンショメータ
40aインチングペダル
41走行モード切替スイッチ
42方向入力レバースイッチ
42a 方向入力レバー
43エンジン回転センサ
44,45圧力検出センサ
100 主油圧回路

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