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技術 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置

出願人 シャープ株式会社
発明者 福島功太郎金澤朋子中村知己
出願日 2007年1月18日 (13年10ヶ月経過) 出願番号 2007-009324
公開日 2008年7月31日 (12年3ヶ月経過) 公開番号 2008-176054
状態 特許登録済
技術分野 電子写真における感光体
主要キーワード 遅延弾性 塑性仕事 荷重除去 荷重増大 塑性変形率 保持過程 押込み荷重 ビッカース硬度試験
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

長期間の繰り返し使用に対しても、耐磨耗性クリーニング性電気的耐久性に優れ、異常画像のない高品位画像出力が可能な電子写真感光体を提供することを課題とする。

解決手段

導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体の最表面層フィラー粒子を均一な分散状態で含有し、前記最表面層中のフィラー粒子が式(1)1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足し、前記最表面層は、表面皮膜硬度試験試験条件:25℃/50%RH、最大荷重:5mN)に付した場合、200N/mm2〜350N/mm2の塑性硬さ値(Hpl)と、40%〜60%の弾性仕事率とを有することを特徴とする電子写真感光体により上記課題を解決する。

概要

背景

複写機プリンタ又はファクシミリ装置等として用いられる電子写真方式画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電器によって所定の電位に一様に帯電させ、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザ光等の光によって露光し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーと呼ばれる着色された微粒子を付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙等の転写材上に転写し、定着手段によって定着させる。

転写手段による転写動作の際、感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写して移行されるのではなく、一部が感光体表面に残留する。また転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。このような感光体表面の残留トナー及び付着紙粉等の異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。また近年ではクリーナーレス化技術が進み、独立したクリーニング手段を有することなく現像手段に付加されるクリーニング機能、いわゆる現像兼クリーニングシステムによって残留トナーを回収している。このようにして感光体表面をクリーニングした後、除電器等によって感光層表面除電し、静電潜像を消失させる。

このような電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体は、導電性材料からなる導電性基体上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成される。電子写真感光体としては、従来から、無機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以下、無機系感光体と称する)が用いられている。無機系感光体の代表的なものとしては、アモルファスセレン(a−Se)又はアモルファスセレンひ素(a−AsSe)等からなる層を感光層に用いたセレン系感光体酸化亜鉛化学式:ZnO)又は硫化カドミウム(化学式:CdS)を色素等の増感剤とともに樹脂中に分散したものを感光層に用いた酸化亜鉛系又は硫化カドミウム系感光体、及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる層を感光層に用いたアモルファスシリコン系感光体(以下、a−Si感光体と称する)等がある。

しかしながら、無機系感光体には以下のような欠点がある。セレン系感光体及び硫化カドミウム系感光体は、耐熱性及び保存安定性に問題がある。またセレン及びカドミウム人体及び環境に対する毒性を有するので、これらを用いた感光体は、使用後には回収され、適切に廃棄される必要がある。また酸化亜鉛系感光体は、低感度であって、かつ耐久性が低いという欠点があり、現在ではほとんど使用されていない。また、無公害性の無機系感光体として注目されるa−Si感光体は、高感度及び高耐久性等の長所を有する反面、プラズマ化学気相成長法を用いて製造されるので、感光層を均一に成膜することが難しく、画像欠陥が発生しやすい等の短所を有する。またa−Si感光体は、生産性が低く、製造原価が高いという短所も有する。

このように無機系感光体には多くの欠点があることから、電子写真感光体に用いられる光導電性材料の開発が進み、従来から用いられている無機系の光導電性材料に代えて、有
機系の光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor;略称:OPC)が多用されるようになっている。有機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以下、有機系感光体と称する)は、感度、耐久性及び環境に対する安定性等に若干の問題を有するけれども、毒性、製造原価及び材料設計の自由度等の点において、無機系感光体に比べ、多くの利点を有する。また有機系感光体は、感光層を浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成することが可能であるという利点も有する。このように多くの利点を有することから、有機系感光体は次第に電子写真感光体の主流を占めてきている。また近年の研究開発によって、有機系感光体の感度及び耐久性は向上されており、現在では、特別な場合を除き、電子写真感光体としては、有機系感光体が用いられるようになってきている。

特に、有機系感光体の性能は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、有機系感光体の有する前述の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。

機能分離型感光体には積層型単層型とがある。積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層された積層型の感光層が設けられる。電荷発生層及び電荷輸送層は、通常、電荷発生物質及び電荷輸送物質がそれぞれ結着剤である結着樹脂中に分散された形で形成される。また単層型の機能分散型感光体では、電荷発生物質と電荷輸送物質とが結着樹脂中に共に分散されてなる単層型の感光層が設けられる。

また、電子写真装置では、感光体に対して、前述の帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電の動作が種々の環境下で繰返し実行される。そのため、感光体には、感度が高いこと及び光応答性に優れることに加えて、環境安定性、電気的安定性及び機械的外力に対する耐久性(耐刷性)に優れることが求められる。具体的には、感光体の表面層が、クリーニング部材等による摺擦によって磨耗しにくいことが求められる。

感光層の耐刷性を向上させるための先行技術としては、感光体の最表面層に保護層を設ける技術(特許文献1)、保護層に潤滑性を付与する技術(特許文献2)、保護層を硬化させる技術(特許文献3)、保護層にフィラー粒子を含有させる技術(特許文献4)が知られている。これら保護層は、感光層の基本機能阻害しないという観点から可能な限り薄層化することが基本的には望まれる。また、保護層を設けることにより、さまざまな弊害が発生する。例えば、感光体と保護層が不連続な層構造となっている場合、長期的な使用により保護層が剥離することがある。また長期の繰り返し使用により、露光部電位が上昇する。逆に保護層と感光層が連続的な層構成、すなわち感光層が引き続き塗布される保護層塗布液により溶解される場合には、その溶解状況により感光層の画像特性が悪化する。

中でもフィラー粒子を含有させる技術については、フィラー粒子の分散性制御という新たな感光体の特性への影響因子が付与されることとなる。すなわち、単純なフィラー粒子の添加量のみによって、特性を規定できないからである。保護層の全固形分に対して0.1〜10重量%程度までの添加により、耐刷性が向上することが特許文献5で開示されている。しかし、例えば、同じ添加量であっても、分散状態の全く異なる保護層は、感光体の画像特性/電気特性/耐刷性が異なることは、容易に推測される。また、保護層の誘電率が不均一になると、黒ベタ画像出力時のエッジ部の画像太り及びトナー飛散が発生する場合があり、このことから保護層内部でのフィラー粒子の分散状態が感光体の性質に大きく影響していることがわかる。

耐刷性を向上させると、その弊害として、感光体(ドラム)表面上に付着する帯電生成物等の影響による画像ボケ画像流れが、特に高温高湿下にて発生する。これら弊害を排除するために、ある程度“削れる”感光体設計をおこなう方法、もしくはクリーニング手段に工夫を施す方法により、均一で不活性ドラム表面を提供する技術が開示されている(特許文献6)。
機能分離型感光体において、その最表面に耐磨耗効果を付与できれば、生産プロセスに余分な工程を含むことがないため、保護層を付与する場合と比較して大きなコスト上のメリットがある。また、感光層と保護層を積層して設けることによっておこる上記の弊害を回避することが可能となる。しかしながら、その一方で、システム上の新たな課題を考慮することが必要となる。例えば、フィラー粒子を添加して耐刷性向上を図る際、フィラー粒子と感光層に含まれる高分子バルク(結着樹脂)との間に数10μmに及ぶ電荷輸送層全体にわたるトラップが生じる。その結果、露光部の残留電位の上昇をまねく危険性が、保護層に添加する場合と比較して、極めて大きくなることとなる。また、積層型感光体の場合に、フィラー粒子と電荷発生層の相互作用によると思われる電荷発生層と電荷輸送層との界面近傍の層の不均一性由来する画像欠陥が発生する場合もある。

また、従来から感光体の耐刷性を強化し、長期にわたってキズ等の発生しない感光体表面の物性を特定することが行なわれてきた。電子写真感光体表面の物性に限らず、広く材料の物性、特に機械的性質を評価する指標の一つに、硬さがある。硬さは、圧子押込みに対する材料からの応力と定義される。この硬さを、材料の物性を知る物理的なパラメータに用いて、電子写真感光体表面を構成する膜の機械的性質を定量化する試みがなされている。例えば引っ掻き強度試験鉛筆硬度試験ビッカース硬度試験等は、硬さを測定する試験方法として広く知られている。しかしながら、いずれの硬さ試験においても、有機物によって構成される膜のように、塑性弾性遅延成分を含む)等の複雑な挙動を示す材料の機械的性質を測定するには問題がある。

例えば、ビッカース硬度試験は、膜についた圧痕の長さを測定して硬さを評価している。しかし、これは、膜の塑性のみを反映したものであり、有機物のような弾性変形をも大きい割合で含む変形形態をとるものの機械的性質を正確に評価することはできない。従って、有機物によって構成される膜の機械的性質は、多様な性質に配慮して評価されなければならない。

上記の状況を鑑み、最表面層が有機感光層を有する電子写真感光体において、有機感光層の長期的な、耐摩耗性、耐久性及び動作安定性を判断する物性としては、例えば、塑性仕事率(塑性変形率、ηplast、%)、弾性仕事率弾性変形率、ηHU、%)等が知られている(例えば、特許文献7)。この塑性仕事率とは、塑性変形仕事量(塑性変形に要したエネルギ−)と弾性仕事量(弾性変形に要したエネルギ−)との和に対する塑性変形仕事量の割合の百分率である。また、弾性仕事率とは、塑性変形仕事量と弾性仕事量との和に対する弾性変形仕事量の割合の百分率である。従って、塑性仕事率と弾性仕事率との和は100(%)となる。

また、特許文献8には、具体的に、弾性仕事率(弾性変形率)を48〜65%に設定するとともに、DIN50359−1に規定されるユニバーサル硬さ試験によるユニバーサル硬さ値(Hu)を150〜220N/mm2に設定することが記載されている。更に、中間転写体よりHuが大きいと規定することにより、最表面層の機械的劣化が防止されることが記載されている。

ただし、上記のフィラー粒子のように、まわりの樹脂等の有機組成物とは極端にその機械的特性値の異なる構造が、混入した場合には、最表面層に要求される特性値もおのずと変化することとなる。特許文献9では、フィラー粒子を含む表面層の機械的特性値を上記
の塑性変形率及びHuにより規定している。しかしながら、規定された機械的特性値Huは、従来の結着樹脂及びフィラー粒子との組み合わせを主体とする塗膜にて実現した場合、硬さが際立ち脆性の悪化が危惧され、長期にわたる耐久性の保持が難しいと考えられる。

他方、長期にわたり、画像の安定性を確保する手段として、最表面層の表面自由エネルギーを低下(低γ化)させ、トナー、クリーニングブレードを初めとするさまざまな接触部材との付着力を低減し、最表面層の清浄性をたもつ手段が考えられる。代表的なものとして、最表面層の樹脂にシリコーンフッ素系の修飾基を設け低γ化させること手段がある(特許文献10)。また、フッ素系微粒子等を添加することによって同様な改良効果が見出される。更には、外部から、長鎖脂肪酸塩を最表面層に強制的に付着させることによってもこの表面自由エネルギーを低下させることができる。これらの処理を施すことによって、高画質画像形成が実現される。しかし、これらの使用にあたって、例えば、樹脂成分の磨耗・劣化により、長期にわたる安定した特性値の確保が難しいという欠点がある。そのため、使用枚数の増加により、クリーニング性の悪化が起こり画質が劣化する。また、外部から表面に付着させる場合には、その安定供給手段の確保が課題となり、安定した低γ化表面の実現は実質的に難しい課題である。

特開昭57−30846号公報
特開平1−23259号公報
特開昭61−72256号公報
特開平1−172970号公報
特開平1−205171号公報
特開2004−61560号公報
特開2002−6526号公報
特開2005−250455号公報
特開2004−212562号公報
特開2004−205542号公報

概要

長期間の繰り返し使用に対しても、耐磨耗性/クリーニング性/電気的耐久性に優れ、異常画像のない高品位画像出力が可能な電子写真感光体を提供することを課題とする。導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体の最表面層がフィラー粒子を均一な分散状態で含有し、前記最表面層中のフィラー粒子が式(1)1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足し、前記最表面層は、表面皮膜硬度試験試験条件:25℃/50%RH、最大荷重:5mN)に付した場合、200N/mm2〜350N/mm2の塑性硬さ値(Hpl)と、40%〜60%の弾性仕事率とを有することを特徴とする電子写真感光体により上記課題を解決する。

目的

本発明の課題は、長期間の繰り返し使用に対しても、機械的/電気的耐久性に優れ、異常画像のない高耐久な画像出力が可能な電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体の最表面層フィラー粒子を含有し、前記最表面層中のフィラー粒子が下記式(1)1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2(1)(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であり、前記最表面層は、表面皮膜硬度試験試験条件:25℃/50%RH、最大荷重:5mN)に付した場合、200N/mm2〜350N/mm2の塑性硬さ値(Hpl)と、40%〜60%の弾性仕事率とを有することを特徴とする電子写真感光体。

請求項2

前記フィラー粒子が酸化珪素からなる請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項3

前記フィラー粒子が100nm以下の粒子径を有する請求項1又は2に記載の電子写真感光体。

請求項4

前記電荷輸送層が、下記一般式(1)(式中、R1とR2は、互いに同一か又は異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基を表すか、又はR1とR2は互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成してもよく、nは1〜4の整数を表し、Arは置換ブタジエニル基を有する芳香環基を表す)で示されるアミン系化合物を更に含有する請求項1〜3いずれか1つに記載の電子写真感光体。

請求項5

酸化防止剤を更に含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。

請求項6

最表面層が、20(mN/m)以上35(mN/m)以下の表面自由エネルギー(γ)を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。

請求項7

最表面層が、28(mN/m)以上35(mN/m)以下の表面自由エネルギー(γ)を有する請求項6に記載の電子写真感光体。

請求項8

感光体帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、前記感光体が請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真感光体を含むことを特徴とする画像形成装置

技術分野

0001

本発明は、電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置に関する。更に詳しくは、本発明は、電子写真方式画像形成に用いられる電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置に関する。

背景技術

0002

複写機プリンタ又はファクシミリ装置等として用いられる電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電器によって所定の電位に一様に帯電させ、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザ光等の光によって露光し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーと呼ばれる着色された微粒子を付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙等の転写材上に転写し、定着手段によって定着させる。

0003

転写手段による転写動作の際、感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写して移行されるのではなく、一部が感光体表面に残留する。また転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。このような感光体表面の残留トナー及び付着紙粉等の異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。また近年ではクリーナーレス化技術が進み、独立したクリーニング手段を有することなく現像手段に付加されるクリーニング機能、いわゆる現像兼クリーニングシステムによって残留トナーを回収している。このようにして感光体表面をクリーニングした後、除電器等によって感光層表面除電し、静電潜像を消失させる。

0004

このような電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体は、導電性材料からなる導電性基体上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成される。電子写真感光体としては、従来から、無機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以下、無機系感光体と称する)が用いられている。無機系感光体の代表的なものとしては、アモルファスセレン(a−Se)又はアモルファスセレンひ素(a−AsSe)等からなる層を感光層に用いたセレン系感光体酸化亜鉛化学式:ZnO)又は硫化カドミウム(化学式:CdS)を色素等の増感剤とともに樹脂中に分散したものを感光層に用いた酸化亜鉛系又は硫化カドミウム系感光体、及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる層を感光層に用いたアモルファスシリコン系感光体(以下、a−Si感光体と称する)等がある。

0005

しかしながら、無機系感光体には以下のような欠点がある。セレン系感光体及び硫化カドミウム系感光体は、耐熱性及び保存安定性に問題がある。またセレン及びカドミウム人体及び環境に対する毒性を有するので、これらを用いた感光体は、使用後には回収され、適切に廃棄される必要がある。また酸化亜鉛系感光体は、低感度であって、かつ耐久性が低いという欠点があり、現在ではほとんど使用されていない。また、無公害性の無機系感光体として注目されるa−Si感光体は、高感度及び高耐久性等の長所を有する反面、プラズマ化学気相成長法を用いて製造されるので、感光層を均一に成膜することが難しく、画像欠陥が発生しやすい等の短所を有する。またa−Si感光体は、生産性が低く、製造原価が高いという短所も有する。

0006

このように無機系感光体には多くの欠点があることから、電子写真感光体に用いられる光導電性材料の開発が進み、従来から用いられている無機系の光導電性材料に代えて、有
機系の光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor;略称:OPC)が多用されるようになっている。有機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以下、有機系感光体と称する)は、感度、耐久性及び環境に対する安定性等に若干の問題を有するけれども、毒性、製造原価及び材料設計の自由度等の点において、無機系感光体に比べ、多くの利点を有する。また有機系感光体は、感光層を浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成することが可能であるという利点も有する。このように多くの利点を有することから、有機系感光体は次第に電子写真感光体の主流を占めてきている。また近年の研究開発によって、有機系感光体の感度及び耐久性は向上されており、現在では、特別な場合を除き、電子写真感光体としては、有機系感光体が用いられるようになってきている。

0007

特に、有機系感光体の性能は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、有機系感光体の有する前述の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。

0008

機能分離型感光体には積層型単層型とがある。積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層された積層型の感光層が設けられる。電荷発生層及び電荷輸送層は、通常、電荷発生物質及び電荷輸送物質がそれぞれ結着剤である結着樹脂中に分散された形で形成される。また単層型の機能分散型感光体では、電荷発生物質と電荷輸送物質とが結着樹脂中に共に分散されてなる単層型の感光層が設けられる。

0009

また、電子写真装置では、感光体に対して、前述の帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電の動作が種々の環境下で繰返し実行される。そのため、感光体には、感度が高いこと及び光応答性に優れることに加えて、環境安定性、電気的安定性及び機械的外力に対する耐久性(耐刷性)に優れることが求められる。具体的には、感光体の表面層が、クリーニング部材等による摺擦によって磨耗しにくいことが求められる。

0010

感光層の耐刷性を向上させるための先行技術としては、感光体の最表面層に保護層を設ける技術(特許文献1)、保護層に潤滑性を付与する技術(特許文献2)、保護層を硬化させる技術(特許文献3)、保護層にフィラー粒子を含有させる技術(特許文献4)が知られている。これら保護層は、感光層の基本機能阻害しないという観点から可能な限り薄層化することが基本的には望まれる。また、保護層を設けることにより、さまざまな弊害が発生する。例えば、感光体と保護層が不連続な層構造となっている場合、長期的な使用により保護層が剥離することがある。また長期の繰り返し使用により、露光部電位が上昇する。逆に保護層と感光層が連続的な層構成、すなわち感光層が引き続き塗布される保護層塗布液により溶解される場合には、その溶解状況により感光層の画像特性が悪化する。

0011

中でもフィラー粒子を含有させる技術については、フィラー粒子の分散性制御という新たな感光体の特性への影響因子が付与されることとなる。すなわち、単純なフィラー粒子の添加量のみによって、特性を規定できないからである。保護層の全固形分に対して0.1〜10重量%程度までの添加により、耐刷性が向上することが特許文献5で開示されている。しかし、例えば、同じ添加量であっても、分散状態の全く異なる保護層は、感光体の画像特性/電気特性/耐刷性が異なることは、容易に推測される。また、保護層の誘電率が不均一になると、黒ベタ画像出力時のエッジ部の画像太り及びトナー飛散が発生する場合があり、このことから保護層内部でのフィラー粒子の分散状態が感光体の性質に大きく影響していることがわかる。

0012

耐刷性を向上させると、その弊害として、感光体(ドラム)表面上に付着する帯電生成物等の影響による画像ボケ画像流れが、特に高温高湿下にて発生する。これら弊害を排除するために、ある程度“削れる”感光体設計をおこなう方法、もしくはクリーニング手段に工夫を施す方法により、均一で不活性ドラム表面を提供する技術が開示されている(特許文献6)。
機能分離型感光体において、その最表面に耐磨耗効果を付与できれば、生産プロセスに余分な工程を含むことがないため、保護層を付与する場合と比較して大きなコスト上のメリットがある。また、感光層と保護層を積層して設けることによっておこる上記の弊害を回避することが可能となる。しかしながら、その一方で、システム上の新たな課題を考慮することが必要となる。例えば、フィラー粒子を添加して耐刷性向上を図る際、フィラー粒子と感光層に含まれる高分子バルク(結着樹脂)との間に数10μmに及ぶ電荷輸送層全体にわたるトラップが生じる。その結果、露光部の残留電位の上昇をまねく危険性が、保護層に添加する場合と比較して、極めて大きくなることとなる。また、積層型感光体の場合に、フィラー粒子と電荷発生層の相互作用によると思われる電荷発生層と電荷輸送層との界面近傍の層の不均一性由来する画像欠陥が発生する場合もある。

0013

また、従来から感光体の耐刷性を強化し、長期にわたってキズ等の発生しない感光体表面の物性を特定することが行なわれてきた。電子写真感光体表面の物性に限らず、広く材料の物性、特に機械的性質を評価する指標の一つに、硬さがある。硬さは、圧子押込みに対する材料からの応力と定義される。この硬さを、材料の物性を知る物理的なパラメータに用いて、電子写真感光体表面を構成する膜の機械的性質を定量化する試みがなされている。例えば引っ掻き強度試験鉛筆硬度試験ビッカース硬度試験等は、硬さを測定する試験方法として広く知られている。しかしながら、いずれの硬さ試験においても、有機物によって構成される膜のように、塑性弾性遅延成分を含む)等の複雑な挙動を示す材料の機械的性質を測定するには問題がある。

0014

例えば、ビッカース硬度試験は、膜についた圧痕の長さを測定して硬さを評価している。しかし、これは、膜の塑性のみを反映したものであり、有機物のような弾性変形をも大きい割合で含む変形形態をとるものの機械的性質を正確に評価することはできない。従って、有機物によって構成される膜の機械的性質は、多様な性質に配慮して評価されなければならない。

0015

上記の状況を鑑み、最表面層が有機感光層を有する電子写真感光体において、有機感光層の長期的な、耐摩耗性、耐久性及び動作安定性を判断する物性としては、例えば、塑性仕事率(塑性変形率、ηplast、%)、弾性仕事率弾性変形率、ηHU、%)等が知られている(例えば、特許文献7)。この塑性仕事率とは、塑性変形仕事量(塑性変形に要したエネルギ−)と弾性仕事量(弾性変形に要したエネルギ−)との和に対する塑性変形仕事量の割合の百分率である。また、弾性仕事率とは、塑性変形仕事量と弾性仕事量との和に対する弾性変形仕事量の割合の百分率である。従って、塑性仕事率と弾性仕事率との和は100(%)となる。

0016

また、特許文献8には、具体的に、弾性仕事率(弾性変形率)を48〜65%に設定するとともに、DIN50359−1に規定されるユニバーサル硬さ試験によるユニバーサル硬さ値(Hu)を150〜220N/mm2に設定することが記載されている。更に、中間転写体よりHuが大きいと規定することにより、最表面層の機械的劣化が防止されることが記載されている。

0017

ただし、上記のフィラー粒子のように、まわりの樹脂等の有機組成物とは極端にその機械的特性値の異なる構造が、混入した場合には、最表面層に要求される特性値もおのずと変化することとなる。特許文献9では、フィラー粒子を含む表面層の機械的特性値を上記
の塑性変形率及びHuにより規定している。しかしながら、規定された機械的特性値Huは、従来の結着樹脂及びフィラー粒子との組み合わせを主体とする塗膜にて実現した場合、硬さが際立ち脆性の悪化が危惧され、長期にわたる耐久性の保持が難しいと考えられる。

0018

他方、長期にわたり、画像の安定性を確保する手段として、最表面層の表面自由エネルギーを低下(低γ化)させ、トナー、クリーニングブレードを初めとするさまざまな接触部材との付着力を低減し、最表面層の清浄性をたもつ手段が考えられる。代表的なものとして、最表面層の樹脂にシリコーンフッ素系の修飾基を設け低γ化させること手段がある(特許文献10)。また、フッ素系微粒子等を添加することによって同様な改良効果が見出される。更には、外部から、長鎖脂肪酸塩を最表面層に強制的に付着させることによってもこの表面自由エネルギーを低下させることができる。これらの処理を施すことによって、高画質の画像形成が実現される。しかし、これらの使用にあたって、例えば、樹脂成分の磨耗・劣化により、長期にわたる安定した特性値の確保が難しいという欠点がある。そのため、使用枚数の増加により、クリーニング性の悪化が起こり画質が劣化する。また、外部から表面に付着させる場合には、その安定供給手段の確保が課題となり、安定した低γ化表面の実現は実質的に難しい課題である。

0019

特開昭57−30846号公報
特開平1−23259号公報
特開昭61−72256号公報
特開平1−172970号公報
特開平1−205171号公報
特開2004−61560号公報
特開2002−6526号公報
特開2005−250455号公報
特開2004−212562号公報
特開2004−205542号公報

発明が解決しようとする課題

0020

本発明の課題は、長期間の繰り返し使用に対しても、機械的/電気的耐久性に優れ、異常画像のない高耐久画像出力が可能な電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0021

かくして本発明によれば、導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体の最表面層がフィラー粒子を含有し、
前記最表面層中のフィラー粒子が下記式(1)
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であり、
前記最表面層は、表面皮膜硬度試験試験条件:25℃/50%RH、最大荷重:5mN)に付した場合、200N/mm2〜350N/mm2の塑性硬さ値(Hpl)と、40%〜60%の弾性仕事率とを有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
更に、本発明によれば、感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、前記感光体が上記電子写真感光体を含むことを特徴とする画像形成装置が提供される。

発明の効果

0022

本発明によれば、耐刷性に優れ、長期の使用にわたっても、突発的な傷等に起因する画像不良等の発生がなく、電気的安定性を保持する電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置を提供できる。

発明を実施するための最良の形態

0023

以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態の電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料からなる円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12の上に更に積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とを含む。電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
また、図4に示すように、導電性基体11と電荷発生層12との間に中間層15を設けた積層型感光体であってもよい。

0024

(導電性基体)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、他の各層12、13の支持部材としても機能する。なお導電性基体11の形状は、図1では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状又は無端ベルト状等であってもよい。

0025

導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、亜鉛ニッケルチタン等の金属単体アルミニウム合金ステンレス鋼等の合金を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレートナイロンもしくはポリスチレン等の高分子材料硬質紙又はガラス等の表面に、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)箔をラミネートしたもの、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)材料を蒸着したもの、又は導電性高分子酸化スズ酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したもの等を用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。

0026

導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理薬品もしくは熱水等による表面処理着色処理、又は表面を粗面化する等の乱反射処理を施してもよい。レーザ露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っている。そのため、感光体表面で反射されたレーザ光と感光体内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。導電性基体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止できる。

0027

(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。主成分とは、その成分がその主たる機能を発現できる量を含有することを意味する。電荷発生物質として有効な物質としては、モノアゾ系顔料ビスアゾ系顔料トリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料、インジゴ又はチオインジゴ等のインジゴ系顔料ペリレンイミド又はペリレン酸無水物等のペリレン系顔料アントラキノン又はピレンキノン等の多環キノン系顔料、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料メチルバイオレットクリスタルバイオレット、ナイトブルービクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系色素エリスロシンローダミンBローダミン3R、アクリジンオレンジフラペオシン等に代表されるアクリジン系色素、メチレンブルーメチレングリーン等に代表されるチアジン系色素カプリブルー又はメルドラ
ルー等に代表されるオキサジン系色素、スクアリリウム色素ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素シアニン系色素、トリフェニルメタン系色素等の有機光導電性材料、ならびにセレン及び非晶質シリコン等の無機光導電性材料等を挙げることができる。これら電荷発生物質は、一種が単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記の電荷発生物質の中でも、下記一般式(A):

0028

0029

(式中、X1、X2、X3及びX4は、それぞれハロゲン原子アルキル基又はアルコキシ基を示し、r、s、y及びzは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
上記一般式(A)における、X1、X2、X3及びX4が示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
また、上記X1、X2、X3及びX4が示すアルキル基としては、メチルエチルプロピルイソプロピルブチルイソブチル、t−ブチル基のようなC1〜C4のアルキル基が挙げられる。
更に、上記X1、X2、X3及びX4が示すアルコキシ基としては、メトキシエトキシプロポキシイソプロポキシブトキシイソブトキシ、t−ブトキシ基のようなC1〜C4のアルコキシ基が挙げられる。

0030

前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、高い電荷発生効率と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、該化合物を用いた電荷発生層12は、光を吸収することによって多量の電荷を発生するとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく、電荷輸送層13に含有される電荷輸送物質に効率よく注入でき、感光層14表面に円滑に輸送される。

0031

前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、例えばMoser, Frank H及びArthur L. ThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載されている方法等の公知の製造方法によって製造できる。

0032

例えば、前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物のうち、r、s、y及びzが0である無置換のオキソチタニウムフタロシアニンの場合は、フタロニトリル四塩化チタンとを、加熱融解するか又はα−クロロナフタレン等の適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基又は水で加水分解することによって得られる。
またイソインドリンテトラブトキシチタン等のチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドン等の適当な溶剤中で加熱反応させることによっても、オキソチタニウムフタロシアニンを製造できる。

0033

主成分として含まれる電荷発生物質以外の任意成分としては、増感染料、結着樹脂、酸化防止剤レベリング剤可塑剤等が挙げられる。
増感染料としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー及びビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ及びフラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー及びメチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー及びメルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、シアニン染料スチリル染料、ピリリウム塩染料又はチオピリリウム塩染料等が挙げられる。増感染料は、電荷発生物質100重量部に対して、10重量部以下の割合で使用することが好ましい、0.5〜2.0重量部の割合で使用することがより好ましい。

0034

電荷発生層12の形成方法としては、前述の電荷発生物質を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、又は前述の電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法等が挙げられる。これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。

0035

電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂ポリスチレン樹脂ポリウレタン樹脂フェノール樹脂アルキッド樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂シリコーン樹脂アクリル樹脂メタクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリアリレート樹脂フェノキシ樹脂ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルホルマール樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる。結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用できる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。

0037

電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)以上100分の200(200/100)以下であることが好ましい。前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。前記比率W1/W2が100分の200を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下
するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなることがある。比率W1/W2は、50/100以上、150/100以下であることがより好ましい。

0038

電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されていてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミルサンドミルアトライタ振動ミル及び超音波分散機等を挙げることができる。
電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが好ましい。

0039

電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法バーコート法ロールコート法ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性及び生産性等を考慮に入れて最適な方法を選択できる。これらの塗布方法の中で、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法である。このように浸漬塗布法は、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。

0040

電荷発生層12の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程律速段階となり、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。

0041

(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、感光体の耐久性を向上させるフィラー粒子とを主成分とし、任意に電荷輸送物質及びフィラー粒子を結着させる結着樹脂とを含んで構成できる。バインダー樹脂は、電荷輸送層全体に対して、30〜80重量%の範囲で含まれていることが好ましい。電荷輸送物質、フィラー粒子、結着樹脂以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、可塑剤等が含まれていてもよい。電荷輸送物質としては、ホール輸送物質及び電子輸送物質を用いることができる。

0044

電荷輸送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独又は2種以上を混合して用いることができる。
更に、電荷輸送物質として、電子写真プロセス中で発生するオゾン、NOx等のガスに対する耐性のある下記一般式(1)で示される化合物

0045

0046

(式中、R1とR2は、互いに同一か又は異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基を表すか、又はR1とR2は互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成してもよく、nは1〜4の整数を表し、Arは置換ブタジエニル基を有する芳香環基を表す)を用いることにより、繰り返し使用後においても、画像劣化の少ない安定した感光体を形成することが可能となる。

0047

電荷輸送層13を構成する結着樹脂としては、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用できる。特に、有機溶剤に対する可溶性向上、塗膜の透明性向上等の理由から、ポリカーボネートを主成分とする樹脂が好ましい。ここで主成分とは、結着樹脂の50重量%以上を占めることを意味し、より好ましくは60〜100重量%の範囲である。

0048

ポリカーボネート以外の樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル重合体樹脂及びこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上の混合物を使用してもよい。

0049

更に、電荷輸送層13を構成するフィラー粒子には、大別して、有機系フィラー金属酸化物を中心とする無機系フィラーがある。一般に、感光体表面の濡れ性を制御し、異物等の付着を抑制する目的でフッ素系材料を中心とする有機系フィラーが用いられ、耐刷性向上を目的とした用途に無機系フィラーが主に用いられる。本発明では、無機系フィラーを使用することが好ましい。無機系フィラーとしては、材料としての硬度が高く、結着樹脂に分散しやすいものが好ましい。例えば、酸化珪素シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム酸化アルミニウムアルミナ)等の酸化物、あるいは、窒化珪素窒化アルミニウム等の窒化化合物が挙げられる。特に、電荷輸送層中での光散乱を考慮した
結果、フィラー粒子以外の成分の屈折率との差の小さい酸化珪素(シリカ)が好適である。

0050

フィラー粒子は、その分散状態が耐摩耗性、電気安定性に大きく影響を及ぼすため、単純な添加ではなく、粒子が均一な分散状態でありその分散状態を加味した下記式(1)で規定される範囲の量で添加される。この範囲の量であれば、良好な耐刷性を示す感光体が得られる。
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
上記式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)、bは平均フィラー粒子径(nm)、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する。なお、a、b、df及びdmは、以下の方法により測定できる。

0051

また、aは正確にはTEMによる断面観察により測定することが好ましいが、均一な分散状態が確認できていればフィラー粒子の添加量と媒体である塗膜の体積より計算値として求めてもよい。
bは、正確にはSEM観察により求めることができるが、市販のフィラー粒子であればカタログ値より引用してもよい。
dfは、作製前のフィラー粒子の体積と重量を測定して計算、又は市販品であればカタログ値を引用してもよい。
dmは、塗膜の体積と重量を測定して計算して求めることができる。
ここで最表面層の固形分とは、塗布液を塗布し溶媒を乾燥して固化した電荷輸送層の塗膜のことである。

0052

均一な分散状態とは、塗布液中の図2中◆のような1次粒子径に近い状態が塗膜として固化した後も固定化され、塗膜中の粒子の平均粒子径が作製前の原材料の粒子の1次粒子径にほぼ等しい状態をいう。すなわち、本式においては、均質固形媒質中に、フィラー粒子が真球かつ粒度分布のない粒子であると仮定し、この粒子が上記媒質中均一分散されていることとする。フィラー粒子の添加量・粒子径・密度、及び媒質の密度(正確にはフィラー粒子を含む固形分全体の密度)が決まれば、a:平均フィラー粒子間距離が決まる。得られた値aを、式(1)に代入することで、フィラー粒子が式(1)満たすか否か判定できる。

0053

言い換えると、式(1)は、フィラー粒子が均一に"分布"していることが前提となる。そのため、本発明では、塗液/塗膜中でのフィラー粒子の分散が均一であり、かつ、上式(1)を満たすように、フィラー粒子の添加濃度が規定されている。
ここで、aは、光散乱及び系中での電気的キャリア電子及び/又は正孔)への弊害をできるだけ少なくするために小さいことが好ましい。具体的には、400nm以下(1次粒子径)が好適である。より好ましくは、aの範囲は20〜200nmである。

0054

bの範囲は5〜100nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ましい。dfの範囲は1.5〜7g/cm3であることが好ましく、1.5〜3g/cm3であることがより好ましい。dmの範囲は1〜2g/cm3であることが好ましく、1〜1.5g/cm3であることがより好ましい。

0055

フィラー粒子の添加にあたっては、均一な粒子分散状態を形成するため、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等さまざまな分散手法を用いることができる。そして、電子写真感光体の優れた特性を引き出すために、電子写真感光体の最表面の塗膜を形成するための分散液中あるいは塗膜形成後の分散状態を把握することが望まれる。図2では、同一塗布液処方(ポリカーボネート樹脂であるGH503:出光興産製とTS2040:帝人化成製をそれぞれ1.55g及びシリカ(T
S−610:キャボットスペシャルティケミカルズ製:一次粒子径17μm)3.1gをテトラヒドロフラン55.9gに混合)にて2種類の分散を実施した場合、分散処理後の塗布液中での粒度分布状態の違いが比較されている。図2中◆はボールミルにて5時間分散処理して得られた電荷輸送層用一次分散塗布液中のシリカ粒子の粒度分布を、□はペイントシェーカにて5時間分散処理して得られた塗布液中のシリカ粒子の粒度分布を示す。◆は、1次粒子径に近い状態まで安定に分散されており、他方□は、ミクロンオーダー凝集体が形成されていることがわかる。□は再凝集による凝集体が形成されていることを示していることは確かであるが、この状態が得られる詳細な原因は解明されていない。図2のような凝集状態の変化は、最終塗膜の電気特性や表面の均一性等に直接対応し、分散液中での均一かつ1次粒子径に近い分散体の形成が、塗膜中でも反映される。そのため、◆の分散手法は、結果として耐久性に優れた最表面層が形成できるため好ましい。

0056

上記では未凝集のフィラー粒子の好適な例を挙げたが、式(1)を満たすならば、フィラー粒子の凝集体を使用してもよい。凝集体の場合、式(1)のa、b、df中の「フィラー粒子」は「凝集体」と読み替えるものとする。また、上記ではペイントシェーカによる分散処理は、凝集体が形成される条件で行っているが、条件を変更することにより、一次粒子径に近い状態に分散させることも可能である。
なお、上記塗布液中のフィラー粒子の分散状態は、例えば光散乱式粒度分布測定装置等を用いて評価できる。

0057

しかし、これらのフィラー粒子の添加の状態を保持するのみでは、突発的なキズ等の発生がおこり、長期にわたる画像の安定性が損なわれることがある。すなわち、フィラー粒子及びそれを取り巻く熱可塑性樹脂を主体とする有機化合物の塗膜が、所望の機械的特性を有することが望まれる。

0058

以下に、弾性仕事率ηHUについて説明する。固体材料押込み荷重された場合、その荷重により費やされる機械的仕事量Wtotalは、その一部だけが塑性変形仕事量(塑性変形に要したエネルギー)Wplastとして使われ、残りは荷重除去時弾性回復仕事量(弾性変形仕事量;弾性変形に要したエネルギー)Welastとして解放される。
また、弾性回復仕事量(弾性変形仕事量)Welastには瞬時弾性変形成分と遅延弾性変形成分とが含まれる。
弾性仕事率ηHUは材料の粘弾性の程度を表し、特に材料の弾性回復に寄与するパラメータである。本実施の形態における弾性仕事率ηHUは、以下の通り求められる。

0059

図3に示すヒステリシスライン8は、表面皮膜硬度試験から求められ、感光体1の表面に押込み荷重を開始して、予め定める押込み最大荷重Fmaxに達するまでの押込み過程(A→B)、押込み最大荷重Fmaxで一定時間t保持する負荷荷重保持過程(B→C)、除荷を開始して荷重(0)に達して除荷を完了するまでの除荷過程(C→D)の変形(押込み深さ変化)履歴を示す。図3において、縦軸は荷重(Force)、横軸は反発押込み深さ(Disp)を意味する。

0060

このヒステリシスライン8のうち、機械的仕事量WtotalはW=∫Fdhであるので、荷重増大中の押し込み深さ曲線(A→B)と押し込み深さh1で囲まれる面積で表される。その内の弾性回復仕事量Welastは荷重除去中の押し込み深さ曲線(C→D)と押し込み深さh2で囲まれる面積で表される。この仕事量の比率が弾性仕事率ηHUであり、式(2):
ηHU=Welast/Wtotal×100(%) …(2)
(ただし、Wtotal=Welast+Wplast である)
によって表される。

0061

他方、塑性変形の硬さ値(Hplast)は、図3から与えられる。即ち、図3において、最大押込み位置(C)から除荷する際の除荷曲線のC切片とX軸との交点(hr)における圧痕表面積Aと最大押込み加重Fmaxとから、以下の式により塑性硬さHplastが求められる。
Hplast=Fmax/A(hr)
式中、Fmax:最大押し込み荷重、A(hr):反発押し込み深さhrでの圧痕表面積を意味する。

0062

このような弾性仕事率ηHU及び塑性変形の硬さ値Hplastは、四角錐のダイヤモンド圧子(Vickers圧子)を接触させて上記履歴を評価可能な機器、例えばフィッシャースコープH100Vによって求めることができる。この内、圧痕表面積は、規定の圧子形状及び測定後の試料表面の表面粗さを測長することにより求めることができる。

0063

感光体の高耐久化主要因は、クリーニングブレード及びトナーとの接触に伴う感光体表面の摺擦を最小限にすることに帰着すると考えられる。即ち、摺擦時に加わる力に対して、感光体表面が弾性体として振舞うことが理想である。しかしながら、有機高分子を主体とする感光体表面は、分子構造上、弾性体として振舞う条件を設定することは難しい。無理やりゴム弾性を加えた場合、瞬時弾性は低下し遅延弾性が向上するため、クリーニング性の低下等の新たな弊害が出現することとなる。

0064

他方、ポリカーボネート等の熱可塑性高分子を主体とする塗膜の瞬時弾性向上は、一般に塑性変形の硬さ値の向上を促す。しかし、過度の硬さの向上は、脆性の低下をもたらす。結果として、キズ等の発生による濃度ムラ等が生じるため、感光体としての耐刷性の低下につながることとなる。

0065

従って、フィラー粒子を添加した有機感光体表面の材料の特性を鑑み、本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、有機感光体の最表面層が、40%以上60%以下の弾性仕事率ηHUであり、200N/mm2以上350N/mm2以下の塑性変形の硬さ値Hplastである場合(試験条件:25℃/50%RH、最大荷重:5mN)が好適であることを見出した。より好ましい弾性仕事率ηHUは、45〜60%である。また、より好ましい塑性変形の硬さ値Hplastは、250〜350N/mm2である。

0066

これら物性値の調整にあたっては、電荷輸送剤、フィラー粒子種、樹脂種、また各成分の添加量により大きく異なり、またこれら成分間の相互作用の度合いにより単純な加成性成立するものとも限らない。但し、実験的には、全成分中最も添加量の多い成分の物性値に近いものが得られる場合が多い。

0067

最表面としての電荷輸送層13の表面自由エネルギーは、20[mN/m]以上、35[mN/m]以下であることが好ましい。20[mN/m]より小さい場合、トナー等の付着力が小さくなりすぎ機内での当該成分の飛散等が顕在化し、画像上欠陥がしばしば発生する場合があるので好ましくない。一方、35[mN/m]より大きい場合、逆にトナー等の付着力が強固になり、ブレードによるクリーニング性が悪化し、画像不良を引き起こす場合があるので好ましくない。より好ましい表面自由エネルギーは、28[mN/m]以上35[mN/m]以下である。

0068

また、電荷輸送層13の表面自由エネルギーの前述範囲への制御は、以下のようにして行うことができる。比較的低い表面自由エネルギー値を有する、例えばポリテトラフルオロエチレンPTFE)を代表とするフッ素系材料、ポリシロキサン系材料等を、感光層14に導入し、その含有量を調整することによって実現できる。含有量としては、0.01〜20重量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜5重量%である。また、感光層14に含まれる電荷発生物質、電荷輸送物質及び結着樹脂の種類、これらの組成比を変化させることによっても実現できる。また、感光層14を形成する際の乾燥温度を調整することによっても実現できる。

0069

結果として、感光体の最表面層の適正な表面自由エネルギー値の調整、及び上記式のフィラー粒子の適正な添加量によって、高耐磨耗でかつ長期にわたって安定した画像を提供できる。すなわち、実写初期にあっては、適正な表面自由エネルギーの調整により、トナーの適正な転写効率を維持でき、かつ紙粉等の異物の除去がクリーニングブレードを介してスムーズに行なえる。また、実写の進行に伴い、表面自由エネルギーは上昇するが、上記の適正なクリーニング性と良好な画質は長期にわたって維持できる。詳細なメカニズムは明らかでないが、均一に配置されたフィラー粒子による表面の微細凹凸が、良好なクリーニング性を維持させていると考えられる。

0070

電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、成膜性、可撓性又は表面平滑性を向上させるために、可塑剤又はレベリング剤等を電荷輸送層13に添加してもよい。可塑剤としては、例えばビフェニル塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル二塩基酸エステル(例えば、フタル酸エステル)、脂肪酸エステルリン酸エステル、各種フルオロ炭化水素塩素化パラフィンエポキシ型可塑剤等を挙げることができる。表面改質剤としては、シリコーンオイルのようなシリコーン系レベリング剤フッ素樹脂系レベリング剤等が挙げられる。

0071

電荷輸送層13は、前述の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶剤中に、電荷輸送物質、結着樹脂、フィラー粒子、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解又は分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。

0072

電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジベンジルエーテル及びジメトキシメチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン類、安息香酸メチル又は酢酸エチル等のエステル類、ジフェニルスルフィド等の含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノール等のフッ素系溶剤、ならびにN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また前述の溶剤に、必要に応じてアルコール類アセトニトリル又はメチルエチルケトン等の溶剤を更に加えて使用できる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。

0073

電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも多く利用されている。

0074

電荷輸送層13の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下することがあるので好ましくない。電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、解像度が低下することで画像劣化が生じることがあるので好ましくない。

0075

(感光層)
感光層14の各層には、感度の向上を図り、更に繰返し使用による残留電位の上昇及び疲労等を抑えるために、電子受容物質及び色素等の増感剤を1種又は2種以上添加してもよい。
電子受容物質としては、例えば無水コハク酸無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物等の酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等の多環もしくは複素ニトロ化合物、又はジフェノキノン化合物等の電子吸引性材料等を用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものを用いることもできる。

0076

色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料又は銅フタロシアニン等の有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また、感光層14の各層には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。これによって、オゾン、窒素酸化物等の酸化性のガスに対しての劣化を少なくできる。また各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。

0077

また、フィラー粒子を含有する最表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。フィラー粒子を含有する最表面層は、感光体の帯電時の活性ガス、例えばオゾンやNOx等、で酸化されやすく、画像ボケが発生しやすい。そのため酸化防止剤を共存させることにより、画像ボケの発生を防止できる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物ハイドロキノン系化合物トコフェロール系化合物又はアミン系化合物等が用いられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体もしくはヒンダードアミン誘導体、又はこれらの混合物が好適に用いられる。これらの酸化防止剤の使用量は、合計で、電荷輸送物質100重量部当たり、0.1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない場合があるので好ましくない。また、50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。

0078

(他の感光体構成例)
図4は、本発明の第2の実施の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。電子写真感光体2は、電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性基体11と感光層14との間に、中間層(下引き層)15が設けられていることである。

0079

導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11から感光層14に電荷が注入されることがある。この電荷は、感光層14の帯電性を低下させることで、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷を減少させ、その結果、画像にかぶり等の欠陥を発生させることがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー画像が形成される場合がある。そのため、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生し、その結果、画質の著しい劣化が生じることがある。すなわち、導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11又は感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽち等の画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となることがある。

0080

電子写真感光体2では、前述のように導電性基体11と感光層14との間には中間層15が設けられているので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止できる。従って、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶり等の欠陥が発生することを防止できる。

0081

また、中間層15を設けることによって、導電性基体11表面の凹凸被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上できる。
中間層15には、各種樹脂材料からなる樹脂層又はアルマイト層等が用いられる。

0082

樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリアミド樹脂等の樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。また、カゼインゼラチンポリビニルアルコール及びエチルセルロース等も挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロン及び12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的変性させた樹脂等を挙げることができる。

0083

中間層15は、金属酸化物粒子を含有してもよい。中間層15にこの粒子を含有させることによって、中間層15の体積抵抗値を調節できるので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができる。加えて、各種の環境下において感光体の電気特性を維持できる。粒子径は、0.02〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化スズ等の粒子を挙げることができる。

0084

中間層15は、例えば前述の樹脂を適当な溶剤中に溶解又は分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。中間層15に前述の金属酸化物粒子等を含有させる場合には、例えば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製する。次いで、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって中間層15を形成できる。

0085

中間層用塗布液の溶剤には、水もしくは各種有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が用いられる。例えば、水、メタノールエタノールもしくはブタノール等の単独溶剤、又は水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソラン等とアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタン等の塩素系溶剤とアルコール類等の混合溶剤が用いられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等を用いる一般的な方法を使用できる。

0086

中間層用塗布液中において、樹脂及び金属酸化物の合計重量Cと、中間層用塗布液に使
用されている溶剤の重量Dとの比率C/Dは、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂の重量Eと金属酸化物の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。

0087

中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、中間層16を形成する場合にも多く利用されている。

0088

中間層15の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能し難くなり、導電性基体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることが困難となる。その結果、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することが困難となり、感光層14の帯電性の低下が生じることがあるため好ましくない。膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層15を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層15の形成が困難であるとともに、中間層15上に感光層14を均一に形成できないため、感光体の感度が低下する場合があるので好ましくない。

0089

(感光体の製造方法)
感光体の製造方法に際して、好ましくは電荷発生層12、電荷輸送層13、中間層15等、各層の形成毎に乾燥工程が含まれることが好ましい。感光体の乾燥温度としては、約50℃〜約140℃が適当であり、特に約80℃〜約130℃の範囲が好ましい。感光体の乾燥温度が約50℃未満では乾燥時間が長くなる又は溶剤が充分に蒸発せず感光層中に残るため好ましくない。また、乾燥温度が約140℃を越えると、繰返し使用時電気的特性が悪くなり、感光体を使用して得られる画像が劣化することがあるため好ましくない。

0090

(画像形成装置)
図5は、本発明の画像形成装置30の構成を簡略化して示す配置側面図である。図5に示す画像形成装置30は、感光体1を搭載するレーザプリンタである。以下、図5を参照してレーザプリンタ30の構成及び画像形成動作について説明する。なお、図5に記載のレーザプリンタ30は、本発明の画像形成装置の単なる例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。

0091

画像形成装置であるレーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45及びクリーニング手段であるクリーナ46を含んで構成される。半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34及びミラー35は、露光手段49を構成する。半導体レーザに代えて発光ダイオードを用いてもよい。

0092

感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を前述のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。

0093

前述のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42よびクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。従って、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前述の静電潜像が形成される。

0094

現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。

0095

感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、更に回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナー及び紙粉等の異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる図示しない除電ランプによって除電された後、更に回転され、前述の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰返される。
また、感光体を複数設けることで複数の異なるトナーを用いて重ね併せ画像を形成可能な構成も採用できる。この構成はタンデム方式と称される。

0096

以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
まず、直径:30mm、長さ:340mmのアルミニウム製円筒状支持体上に種々の条件にて感光層を形成し、実施例及び比較例として準備した感光体について説明する。

0097

(実施例1)
酸化チタンTTO−MI−1(石原産業製)3g、CM−8000(東レ社製):アルコール可溶性ナイロン樹脂3g、メタノール60g、1,3−ジオキソラン40gとをペイントシェーカにて10時間分散処理することで、下引き層用塗布液を調製した。調整した下引き層用塗布液を、直径30mm、長さ340mmのアルミニウム製円筒状支持体上に膜厚0.9μmとなるように浸漬塗布法によって成膜することで、下引き層を形成した。

0098

次に、ブチラール樹脂エスレックBM−2:積水化学製商標)10g、1,3−ジオキソラン1400g、構造式(A−1)で示されるチタニルフタロシアニン(例えば、特許登録3569422号公報に記載された公知の方法により作製)15gをボールミルにより72時間分散することで、電荷発生層用塗工液を作製した。この塗布液を、前記下引き層を設けたアルミニウム製円筒状支持体上に浸漬塗布法により膜厚が0.2μmとなるように成膜することで、電荷発生層を形成した。

0099

0100

次に、2種類のポリカーボネート樹脂、GH503(出光興産製)とTS2040(帝人化成製)をそれぞれ0.9g及びシリカ(TS−610:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.8gをテトラヒドロフラン32.4gに混合した。得られた混合物を、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いてボールミルにて5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。なお、この段階でフィラー粒子が均一に分散し、1次粒子径(約17nm)に対応する分散状態が保持されていることを、光散乱式粒度分布測定装置:マイクロトラックUPA−150(日機装製)を用いて確認した。次に、電荷輸送物質として下記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製T-405)100g、2種類のポリカーボネート樹脂GH503とTS2040をそれぞれ69.1g、酸化防止剤(スミライザーHT:住友化学製)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。この溶解液に前記電荷輸送層用一次分散塗布液3.6gを混合し、15時間攪拌処理することで、電荷輸送層用二次分散塗布液を調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前述の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚28μmの電荷輸送層を形成することで、実施例1の感光体を作製した。

0101

0102

(実施例2)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、前記ポリカーボネート樹脂(G400)1.8gとシリカ(TS−610)1.8gをTHF32.4gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理することで電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(G400)138.3g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。

0103

(実施例3)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例2と同様に電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)13.8g及び(M300:出光興産製)124.4g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散
布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。

0104

(実施例4)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、2種類のポリカーボネート樹脂(GH503)と(TS2040)をそれぞれ0.62g及びシリカ(TS−610)1.25gをテトラヒドロフラン22.5gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理することで電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503とTS2040をそれぞれ69.9g及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。

0105

(実施例5)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、2種類のポリカーボネート樹脂(GH503)と(TS2040)をそれぞれ1.55g及びシリカ(TS−610)3.1gをテトラヒドロフラン55.9gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503とTS2040をそれぞれ68.5g及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン992gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。

0106

(実施例6)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(G400)137g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0107

(実施例7)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)13.7g及び(M300)123.3g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0108

(実施例8)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)123.3g及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE:ルブロンL−2:ダイキン工業製)13.7g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0109

(実施例9)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタ
エン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)130.2g及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE:ルブロンL−2)6.8g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。

0110

(実施例10)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)133.6g及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE:ルブロンL−2)3.4g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0111

(実施例11)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)137.0g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。

0112

(実施例12)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)と(TS2040)をそれぞれ27.4g及び109.6g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0113

(実施例13)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例5と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(GH503)と(TS2040)をそれぞれ6.9g及び130.2g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0114

(実施例14)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、電荷輸送層用塗布液として、前記ポリカーボネート樹脂:GH503及びTS2040をそれぞれ2.33g、及びシリカ(TS−610)4.65gをテトラヒドロフラン83.7gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂:GH503及びTS2040をそれぞれ67.7g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン998gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0115

(実施例15)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例14と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(G400)135.4g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン998gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例14と同様にして、感光体を作製した。

0116

(実施例16)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、実施例14と同様にして、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂;GH503及びM300をそれぞれ、13.5g及び121.9g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン998gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例14と同様にして、感光体を作製した。

0117

(実施例17)
フィラー粒子をアルミナ(スミコランダムAA−04:住友化学工業製)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0118

(実施例18)
フィラー粒子をシリカ(X−24−9163A:信越化学工業製)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0119

(実施例19)
フィラー粒子をシリカ(SO−E5:アドマテクス製)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0120

(実施例20)
電荷輸送物質を下記構造式(II)で示されるトリアリールアミン化合物(日本蒸溜工業社製)90gと下記構造式(III)に示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)10gに変更したこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作成した。

0121

0122

(実施例21)
電荷輸送物質を上記構造式(II)で示されるトリアリールアミン化合物(日本蒸溜工業社製)100gに変更したこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0123

(実施例22)
電荷輸送物質を下記構造式(IV)で示されるスチリル系化合物(保土谷化学工業社製)100gに変更したこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0124

0125

(実施例23)
電荷輸送層用一次分散塗布液に、酸化防止剤(スミライザーBHT)を添加しないこと以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0126

(比較例1)
ポリカーボネート樹脂(GH503)3.1g及び(TS2040)をそれぞれ1.55gずつ、シリカ(TS−610)3.1gをテトラヒドロフラン55.8gに混合して、ペイントシェーカにて5時間分散処理することで電荷輸送層用一次分散塗布液を調整し
た。その後、塗布液中のシリカの粒度分布を測定したところ、明らかに1次粒子径より極めて大きな粗大凝集体が形成されていることを確認した。この一次分散塗布液を使用すること以外は、実施例5と同様にして感光体を作製した。

0127

(比較例2)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)1.2g及びシリカ(TS−610)1.2gをテトラヒドロフラン21.6gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂:GH503及びTS2040をそれぞれ69.9gずつ、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン980gに混合して溶解した。得られた電荷輸送層用二次分散塗布液に一次分散塗布液2.4gを添加し、更に15時間攪拌すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0128

(比較例3)
比較例2と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した後、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂(J500:出光興産製)及び(G400)をそれぞれ69.5g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン980gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、比較例2と同様にして、感光体を作製した。

0129

(比較例4)
比較例2と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した後、電荷輸送物質として下記構造式(V)で示されるエナミン系化合物(特開2004−151666号記載の方法にて作製した)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503及びM300をそれぞれ13.9及び125.1g、酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)2.5gをテトラヒドロフラン980gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、比較例2と同様にして、感光体を作製した。

0130

0131

(比較例5)
実施例1と同様に電荷発生層まで塗布した後、実施例5と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次いで、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂J500及びG400をそれぞれ68.5g、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0132

(比較例6)
実施例1と同様に電荷発生層まで塗布した後、実施例5と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次いで、電荷輸送物質として上記構造式(V)で示されるエナミン系化合物(特開2004−151666号記載の方法にて作製した)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503及びM300をそれぞれ13.7g及び123.3g、酸化防止剤(イルガノックス1010)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0133

(比較例7)
実施例1と同様に電荷発生層まで形成した後、電荷輸送層用塗布液として、2種類のポリカーボネート樹脂(GH503)と(TS2040)をそれぞれ2.5g及びシリカ(TS−610)5.0gをテトラヒドロフラン90gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503とTS2040をそれぞれ67.5g及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン1005.6gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。

0134

(比較例8)
実施例1と同様に電荷発生層まで塗布した後、比較例7と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次いで、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂J500及びG400をそれぞれ67.5gずつ、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン1005.6gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、比較例7と同様にして、感光体を作製した。

0135

(比較例9)
実施例1と同様に電荷発生層まで塗布した後、比較例7と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次いで、電荷輸送物質として上記構造式(V)で示されるエナミン系化合物(特開2004−151666号記載の方法にて作製した)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503及びM300をそれぞれ13.5g及び121.5g、酸化防止剤(イルガノックス1010)5gをテトラヒドロフラン1005.6gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、比較例7と同様にして、感光体を作製した。

0136

(比較例10)
実施例5と同様にして電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した後、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製T-405)100g、前記ポリカーボネート樹脂GH503及びTS2040をそれぞれ63gずつ、酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン980gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例5と同様にして、最表面層にフィラー粒子の存在しない感光体を作製した。

0137

実施例1〜23及び比較例1〜10について、フィラー粒子の特性及び使用した電荷輸送物質を表1及び2に示す。なお、フィラー粒子のa、b、df及びdmの測定方法を下記する。
[a、b、df及びdmの測定方法]
aは、本実施例では均一な分散状態が確認できたのでフィラー粒子の添加量と媒体であ
る塗膜の体積より計算値として求めた。
bは、市販のフィラー粒子なのでカタログ値より引用した。
dfは、市販品のフィラー粒子なのでカタログ値を引用した。
dmは、塗膜の体積と重量を測定して計算して求めた。

0138

また、以下の方法で測定したフィラー粒子分散状態、塑性硬さ、弾性仕事率及び表面自由エネルギーを表3及び4に示す。
[フィラー粒子の分散状態]
フィラー粒子の分散状態の優劣については、粒度分布を粒度分布測定装置(UPA−150(日機装製))にて測定した。フィラー粒子が、一次粒子径に近い状態まで安定に分散されている状態(分布を示している場合)を○、ミクロンオーダーの凝集体が形成されている状態(分布を示している場合)を×とした。
[塑性硬さ値及び弾性仕事率測定(表面皮膜性試験)]
弾性仕事率及び塑性硬さ値は、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、フィッシャースコープH100V(フィッシャー・インストルメンツ製)によって測定した。測定条件は、押込み最大荷重W=5mN、押込み最大荷重までの負荷所要時間5秒、荷重保持時間t=5秒、除荷時間5秒とした。

0139

[表面自由エネルギー(γ)測定]
以上の実施例及び比較例の各感光体の最表面層の表面自由エネルギー(γ)は、接触角測定機CA−X(協和界面製)及び解析ソフトEG−11(協和界面製)によって求めた。

0140

0141

0142

0143

0144

また、実施例1〜23及び比較例1〜10の各感光体を、現像器と表面電位測定器交換できるよう試験用改造したデジタル複写機AR−450(シャープ製)に装着し、ISO19752で規定された文字テストチャートを10万枚画像形成することによって、感度、耐刷性及び画像を以下の方法により評価した。
[感度(電気特性)評価]
試験用複写機から現像器を取外し、代わりに現像部位表面電位計トレック・ジャパン製:model 344)を取り付けた。この複写機を用い、温度25℃、相対湿度50%の常温常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−650Vに調整し、その状態でレーザ光により露光(0.4μJ/cm2)し、感光体の初期の表面電位を露光電位VL(V)として測定した。露光電位VLの絶対値が小さい程、高感度であると評価した。
判定基準
○:|VL|<90(V)
△:90(V)≦|VL|<130(V)
×:130(V)≦|VL|

0145

[耐刷性評価]
AR−450改造機に備わるクリーニング器のクリーニングブレードが、感光体に当接する圧力、いわゆるクリーニングブレード圧を初期線圧で21gf/cm(2.06×10-1N/cm:初期線圧)に調整した。N/N環境中で、各感光体毎に上記文字テストチャートを記録紙10万枚に形成して耐刷試験を行なった。
耐刷試験開始時と10万枚画像形成後の感光層の厚みを、膜厚測定装置商品名:F−20−EXR、フィルメトリックス製)を用いて測定した。耐刷試験開始時の膜厚と10万枚画像形成後の膜厚との差から、感光体ドラム10万回転あたりの削れ量を求めた。得られた削れ量から以下の基準で耐刷性を評価した。削れ量が多い程、耐刷性が悪いと評価した。
<判定基準>
○:削れ量d<0.8μm/100k回転
△:0.8μm/100k回転≦削れ量d<1.0μm/100k回転
×:1.0μm/100k回転≦削れ量d

0146

画像評価
1.耐キズ判定
耐刷試験後の画質の低下レベル調査するため、半導体レーザのパルス幅変調させて255階調分の80階調としたハーフトーン画像における感光体表面キズに起因する白スジドラム周方向に沿った鋭敏コントラスト)の有無を観察した。画像劣化の判定基準は、以下の通りである。
○:目視にて、ハーフトーン画像に白スジなし。良好な画像。
△:目視にて、ハーフトーン画像に白スジ確認。実使用上問題ないレベル
×:目視にて、ハーフトーン画像に明らかに白スジ発生。実使用上問題となるレベル。
2.耐ガス判定
耐刷試験後の画質の低下レベルを調査するため、ハーフトーン画像における濃度ムラ(主にドラム軸方向に沿ったドラム円周の長さと対応して発生する周期的なムラ)の有無を観察した。濃度ムラの判定基準は、以下の通りである。
○:目視にて、ハーフトーン画像に濃度ムラなし。良好な画像。
△:目視にて、ハーフトーン画像に濃度ムラあり。実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、ハーフトーン画像に濃度ムラあり。実使用上問題となるレベル。

0147

クリーニング性評価
前述の文字テストチャート及び記録紙を共通して用い、画像形成初期(≒0k)、及び100,000(100k)枚において、形成された画像を目視することによって、黒白2色の境界部の鮮明度感光体回転方向へのトナー漏れによる黒すじの有無を試験した。更に、後述の測定器によってかぶり量Wkを求めて、クリーニング性を評価した。形成画像のかぶり量Wkは、日本電色工業製Z−Σ90 COLORMEASURING SYSTEMを用いて反射濃度を測定することで求めた。具体的には、まず画像形成前の記録紙の反射平均濃度Wrを測定した。次にその記録紙に対して画像形成し、画像形成後、記録紙の白地部分各所の反射濃度を測定した。最もかぶりの多いと判断された部分、すなわち白地部でありながら濃度の最も濃い部分の反射濃度Wsを測定した。WrとWsとから式{100×(Wr−Ws)/Wr}で求められるWkをかぶり量と定義した。得られたWkから以下の基準でクリーニング性を評価した。
○:良好。鮮明度よく黒すじなし。かぶり量Wkが5%未満。
△:実用上問題なし。鮮明度実用上問題のないレベルであり黒すじの長さが2.0mm以下かつ5個以下。かぶり量Wkが5%以上10%未満。
×:実用不可。鮮明度実用上問題あり。黒すじの上記△の範囲を超えるもの。かぶり量Wkが10%以上。

0148

総合評価
上記5項目の判定結果を基に、下記のとおり判定する。
◎:5項目すべて○
○:5項目とも○或いは△
×:少なくとも1つ以上×
評価結果を表5及び6に示す。

0149

0150

0151

1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2を満たすフィラー粒子を使用した実施例1〜23の感光体は、100,000実写時の平均削れ量が、0.8μm以下であり、良好な耐刷性を示した。また、電気的安定性に優れ、画像/クリーニング性について実使用上問題のないレベルであることが確認された。

0152

また、実施例5、18、19の比較より、粒子径の小さいフィラー粒子を使用した感光体の方が、より電気特性が安定化することがわかった。更に、実施例5、18、19と実施例17との露光電位の比較より、アルミナよりシリカの方が、電気的安定性において、やや優れている傾向が確認された。また、特定の窒素系化合物すなわち、構造式(I)及び構造式(III)のCTMを含有する実施例5及び20の感光体は、これら実施例と、上記以外のCTMを含有する実施例21、22との比較より、100,000実写後においても、画像濃度のムラが生じず、より安定した画像を提供している。これは、これらのCTMが、実写時に帯電器付近で発生するO3あるいはNOx等のガスに対する耐性を与えていると推測される。また、実施例5と実施例23の比較により、酸化防止剤の導入によって、上記ガスに対する耐性が向上していることも明らかとなった。

0153

更に、実施例5及び実施例8〜13の比較により、表面自由エネルギーが20〜35mN/mの範囲にあることにより、クリーニング性がより良好になることが確認された。
比較例3〜6及び8〜9は、主として感光体表面の機械的特性値が規定の範囲になくその結果弊害が発生することとなった。すなわち、比較例3、5、8については、塑性硬さが規定値より小さいため、最表面層の塑性が著しく小さい。その結果、クリーニング不良が発生した。他方、塑性硬さが規定値より大きい比較例4、6、9については、逆に最表面層の脆性が際立ち、感光体表面にキズが発生した。
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2の範囲外のフィラー粒子を使用した比較例1〜4及び7〜10は、いずれも感度/安定性あるいは膜べり量が所望の値に至らないことがわかった。

図面の簡単な説明

0154

本発明の電子写真感光体の概略部分断面図である。
フィラー粒子の分散条件による凝集粒子径の差異を示すグラフである。
表面皮膜物性試験の概要を示すグラフである。
本発明の電子写真感光体の概略部分断面図である。
本発明の画像形成装置の概略側面図である。

符号の説明

0155

1,2電子写真感光体
8ヒステリシスライン
11導電性基体
12電荷発生層
13電荷輸送層
14感光層
15 中間層
30レーザプリンタ(画像形成装置)
31半導体レーザ
32回転多面鏡
34結像レンズ
35ミラー
36コロナ帯電器
37現像器
38転写紙カセット
39給紙ローラ
40レジストローラ
41転写帯電器
42分離帯電器
43搬送ベルト
44定着器
45排紙トレイ
46クリーナ
47矢符
48 転写紙
49露光手段

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