図面 (/)

技術 アテローム性動脈硬化症の治療のためのペプチドに基づいた免疫治療、及び酸化した低密度リポ蛋白質に対する免疫応答の測定のためのペプチドベースのアッセーの開発

出願人 フォルスカーパテントイーエスイーデーアーベーセダーズ-シナイメディカルセンター
発明者 ニルソン,ジャンシャー,プレディマン,ケイ.
出願日 2008年1月25日 (13年1ヶ月経過) 出願番号 2008-015545
公開日 2008年7月24日 (12年7ヶ月経過) 公開番号 2008-169215
状態 拒絶査定
技術分野 医薬品製剤 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 代替ツール 放射物 ギャング 補助形態 Bモード SLIP 外部放射 高リスクグループ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年7月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

解決手段

アポリポタンパク質B断片、特に、虚血性心疾患に対する免疫源としてのまたは治療的な性質を有し、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay))の一またはそれ以上の前記ペプチドを使用して、虚血性心疾患の進展の危険の増加または減少に関する抗体の存在または不存在を分析するヒトを含む哺乳類免疫感作または治療のための定義されたペプチドに関する。

概要

背景

アテローム性動脈硬化症大動脈または中動脈の最も内側の層(内膜)の肥厚を引き起こす慢性病である。これは血流を減少させ、罹患した血管によって供給される器官中の虚血及び組織破壊を引き起こしうる。アテローム性動脈硬化症は心筋梗塞、脳卒中及び周辺動脈疾患を含む心疾患の主な原因である。それは西欧諸国における主な死因であり、20年以内に全世界の主要な死因になることが予測される。

この疾病は、主に低密度リポ蛋白質(LDL)であるリポタンパク質の血管の細胞外マトリックスへの蓄積によって始まる。これらのLDL粒子凝集し、酸化変性を進行させる。酸化LDLは毒性であり、血管損傷を引き起こす。アテローム性動脈硬化症は、多くの点で炎症と繊維化を含むこの傷に対する反応を表す。

1989年には、パリンスキ(Palinski)及びその同僚が、ヒトにおける酸化LDLに対する循環する自己抗体を確認した。この観察により、アテローム性動脈硬化症が酸化したリポタンパク質に対する免疫応答によって引き起こされる自己免疫疾患であることが提案された。この時に、いくつかの研究所は、酸化LDLに対する抗体価と心疾患との関係を探索し始めた。しかしながら、これらの研究から出現した臨床像は明白と言うにはほど遠いものであった。酸化LDLの多くの異なるエピトープに対する抗体は存在していたが、これらのエピトープの構造は未知であった。従って、「酸化LDL抗体」の語は、1つの特異抗体よりはむしろ、異なる抗体の未知の混合物を意味するものであった。T細胞に依存しないIgM抗体は、T細胞に依存するIgG抗体より頻度が高かった。

酸化LDLに対する抗体は、心疾患を有する患者にも、健全コントロールにも存在した。いくつかの初期の研究には酸化LDL抗体価と心疾患との関連を報告したものもあるが、そのような関連を見いだせないものもあった。これらの研究の主な弱点は、抗体価の測定に使用されるELISA試験リガンドとして酸化LDL粒子を使用していたことである。LDLの組成は個体が異なれば異なり、酸化の変性の程度は制御するのも評価するのも困難であり、酸化LDL粒子中の異なるエピトープに対する抗体のレベルを測定することはできない。ある程度までは技術的な問題により、それまでのところ利用可能な技術を使用して、酸化LDLに対する抗体反応の役割を評価することは困難であった。しかしながら、完全な酸化LDL粒子を使用する場合、よく定義され複製可能なワクチンコンポーネントを作成することは可能ではなかった。

血管壁の酸化LDLに対する自己免疫応答がアテローム性動脈硬化症の進展に重要な役割を果たす可能性を調査する別の方法は、それ自身の酸化LDLに対して動物免疫感作することである。このアプローチの背後にある考えは、酸化LDLに対する自己免疫応答が古典的免疫技術を用いて強化されると、血管炎症の増加及びアテローム性動脈硬化症の進行をもたらすことである。この仮説テストするために、ウサギ同族の酸化LDLで免疫し、次に、3か月間、この動物に高コレステロール食を与えて、アテローム性動脈硬化症を引き起こした。

しかしながら、もとの仮説とは対照的に、酸化LDLによる免疫感作は、アテローム性動脈硬化症を約50%縮小する保護効果を有していた。より積極的なプラークの進展を生じさせる血管バルーンインジュリーと高コレステロール食を組み合わせた後続の研究でも、同様の結果が得られた。我々の研究と平行して、他のいくつかの研究所は同様の観察を報告した。利用可能なデータをともに採用すると、アテローム性動脈硬化症の進展に対して保護を行う、酸化LDLに対する自己免疫を含む免疫応答が存在することが明白に実証された。

これらの観察は、さらに人におけるアテローム性動脈硬化症をベースとする心疾患の治療のための免疫治療あるいは「ワクチン」の開発の可能性を示唆する。これを行う1つのアプローチは、個体を、自己のLDLで、例えば銅により酸化した後、免疫感作することであろう。しかしながら、このアプローチは、酸化LDLにおけるどの構造が防御免疫を引き起こす原因であるか、また酸化LDLがさらに逆の免疫応答を生じさせるエピトープを含んでいるかどうかが知られていないという事実によって複雑になる。

酸化LDL中のエピトープの同定は、いくつかの観点から重要である:
まず、これらのエピトープのうちの1つあるいはいくつかのものは、酸化LDLで免疫感作した動物中で観察される抗アテローム発生免疫応答を活性化する原因となると考えられる。従って、これらのエピトープを含むペプチドは、ヒトの免疫治療あるいは「アテローム性動脈硬化症ワクチン」の開発の可能性を表わすかもしれない。さらに、それらは、ヒトにおいて進展したアテローム性動脈硬化症の治療のために使用することができる。

第2に、同定されたエピトープを含むペプチドは、酸化LDLの特定の構造に対する抗体を検出することができるELISAを開発するために使用することができる。そのようなELISAは、現在利用可能な、抗原として酸化LDL粒子を使用するものより正確で且つ信頼できるであろう。さらに、それは、心疾患に関連した、酸化LDLの中の異なるエピトープに対する免疫応答の分析を可能にするであろう。

米国特許5,972,890は、アテローム性動脈硬化症を分析するためのペプチドの使用に関する。該米国特許に示されている技術は、原理として放射物理学的診断形式である。ペプチド配列放射能で標識され、血流に注射される。このペプチド配列がアポリポタンパクBの中にある配列と同一である場合は、アポリポタンパクBについて存在しているレセプターが存在する組織に結合するであろう。血管では、これは上記全てのアテローム性動脈硬化のプラークである。その後、血管壁の放射能の濃度は、例えば、ガンマカメラによって測定することができる。従って、この技術は、放射標識されたペプチド配列がアテローム性動脈硬化のプラークに存在する正常な組織レセプターに結合するであろうという事実に基づいた放射物理学的方法であり、これは外部放射能分析を使用して検出される。これは、アテローム性動脈硬化のプラークを識別する直接分析方法である。それは、患者に放射性化合物投与されることを必要とする。

本発明の技術は全く異なる法則及び方法に基づく。請求項1によると、本発明は、アポリポタンパクBのペプチド配列に対する免疫反応を分析する方法、並びに心疾患に対する免疫用のアポリポタンパクBの断片に関する。そのような免疫反応は、進展したアテローム性動脈硬化症の個体中で増加していることが示された。本発明の技術は、ポリマーウェルの底にペプチド配列を結合させることに基づく。血液サンプルが添加されると、該ペプチドはこれらの配列に特異的な抗体を結合させるであろう。その後、結合した抗体の量を免疫学的方法/技術を用いて調べる。従って、前記米国特許の技術とは対照的に、これは、アテローム性動脈硬化のプラークを識別し局在化させる直接の測定方法でなく、アテローム性動脈硬化症の進展の高度な共変を示す免疫学的応答を調べるものである。

このように、本発明の基本原理は、前述の特許のものとは全く異なる。後者が、アテローム性動脈硬化の組織の中にあるリポタンパク質の正常なレセプターへのペプチド配列の結合に依存するのに対し、前者は、ペプチド配列に対する免疫反応の検出及びこれらのペプチド配列の抗体の測定に基づいている。

公表された研究(パリンスキ他(Palinski et al)、1995年、そしてジョージ他(George et al)、1998)により、酸化LDLに対する免疫感作により、アテローム性動脈硬化症の進展が縮小されることを示された。これは、一般に酸化LDLに対する免疫反応が保護する効果があることを示すであろう。しかしながら、ここに与えられた結果は、驚くべきことに、これが必ずしもそうとは限らないことを示した。例えば、ペプチド#10、45、154、199及び240の混合物を用いた免疫感作は、アテローム性動脈硬化症の進展を増加させた。他のペプチド配列、例えばペプチド配列#1、及び30〜34を用いた免疫感作は、アテローム性動脈硬化症の進展に対する総合的な効果を欠いている。これらの結果は驚くべきである。その酸化LDLに対する免疫反応は、酸化LDLの中のどの構造に向けられるかに依存して、アテローム性動脈硬化症の進展を保護し、該進展に寄与し、または全く効果を奏しないからである。これらの発見は、免疫反応を保護することを活性化することを分離した免疫方法を開発することを可能にする。さらに、それらは、使用される粒子がアテローム発生の免疫反応を生じさせる構造を高レベルで含んでいる場合、完全な酸化LDLを使用する免疫感作が不利益な効果を奏するかもしれないことを示す。

WO 99/08109は、血清血漿中の酸化LDLの存在を測定するための、酸化LDLの粒子に結合するマウスモノクローナル抗体パネルの使用に関する。従って、これは、酸化LDLに対する抗体を測定する方法が示されている本発明とは全く異なる。

米国特許4,970,144号は、ペプチド配列を用いた免疫感作によって抗体を調製する方法に関し、該抗体は、ELISAを使用したアポリポタンパクの測定のために使用することができる。従って、これはこのように本発明と全く異なるものである。

米国特許5,861,276号はアポリポタンパクの正常型組換え抗体を記載する。この抗体は、血漿及び血清中の正常なアポリポタンパクBの存在を調べ、循環中の正常なLDLの粒子の量を低下させることにより、アテローム性動脈硬化症を治療するために使用される。

本発明において、抗体の使用は、アテローム性動脈硬化症の治療のために記述されている。しかしながら、米国特許5,861,276号とは異なり、これらの抗体は、LDLの正常な粒子ではなく酸化LDLの粒子中に存在する構造を指向する。その効果は、それがアテローム性動脈硬化症の進展を生じさせると予測される酸化LDLであるということである。酸化LDLに特有の構造を指向する抗体の使用は、該米国特許には記載されていない。

発明の要約
血管壁におけるリポタンパク質、主としてLDLの酸化は、アテローム性動脈硬化症の進展において重要な要素であると考えられる。LDLの酸化中に生じた生成物は、血管細胞にとって有毒であり、炎症を引き起こし、プラーク形成を開始する。酸化LDL中のエピトープは免疫系によって認識され、抗体産生を生じさせる。動物実験により、これらの免疫応答のうちのいくつかがアテローム性動脈硬化症に対する保護効果を持っていることが示された。抗体は、通常、ペプチドに基づいた構造をほとんど排他的に指向する。LDL、アポリポタンパクB中に存在する唯一蛋白質の完全な配列をカバーするポリペプチドライブラリーを使用して、ヒトにおいて抗体産生を生じさせる酸化LDL中のエピトープが同定された。これらのペプチドエピトープは酸化LDLと心疾患に対する免疫応答の関連を研究し、かつ虚血性心疾患の予防及び治療のための免疫療法または抗アテローム性動脈硬化症「ワクチン」を開発するためのELISAを開発するために使用することができる。

発明の詳細な説明
酸化LDL中のエピトープの分子特性は、ヒトにおいて抗体依存性の免疫応答を生じさることが実証された。使用されたアプローチは、免疫応答が5−6のアミノ酸長のペプチド配列を殆ど排他的に指向するという事実の利点を利用する。LDLは唯一の蛋白質、4563アミノ酸長のアポリポタンパクBのみを含む。酸化の間、アポリポタンパクBは断片化され、アルデヒド付加物が正に帯電したアミノ酸、特にリジンに結合する。これは、アポリポタンパクBの三次元構造のために通常は露出していないペプチド配列が免疫細胞アクセス可能になるか、及び/またはその通常露出しているペプチド配列がアルデヒドとのハプテン化により免疫原性となることを意味する。

これにより、下記のペプチド、天然型またはMDA誘導体が、免疫反応を生じるような効果を有することが調べられた。これらのペプチドは:

FLDTVYGNCSTHFTVKTRKG
QCSTHILQWLKRVHAPL
ISIPRLQAEARSEIAHWS

KLVKEALKESQLPTVMDFRK
LKFVTQAEGAKQTEATMTFK
DGSLRHKFLDSNIKFSHVE
GTYGLSCQRDPNTGRLNG
RLNGESNLFNSSLQGTNQ
LTSTSDLQSGIIKNTASLK
TASLKYENYELTLKSDTNGK
DMFSKNALLRSEYQADYE
MKVKIRTDQMQNSELQWP

IALDDAKINFNEKLSQLQTY
KTTKQSFDLSVKAQYKKNKH

EEEMLENVSLVCPKDATRFK
GSTSHHLVSRKSISAALEHK
IENIDFNKSGSSTASWIQNV
IREVTQRLNGEIQALELPQK
EVDVLTKYSQPEDSLIPFF

HTFLIYITELLKKLQSTTVM
LLDIANYLMEQIQDDCGD
CTGDEDYTYKIKRVIGNMGQ
GNMGQTMEQLTPELSSILK
SSILKCVQSTKPSLMIQKAA
IQKAAIQALRKMEPKDKDQE
RLNGESNLRFNSSYLQGTNQ
SLNSHGLELNADILGTDKIN
WIQNVDTKYQIRIQIQEKLQ
TYISDWTLAAKNLTDFAE
EATLQRIYSLWEHSTKNHLQ

ALLVPPETEEAKQVLFLDTV
IEIGLEGKGFEPTLEALFGK
SGASMKLTTNGRFREHNAK
NLIGDFEVAEKINAFRAKVH
GHSVLTAKGMALFGEGKAEF
FKSSVITLNTNAELFNQSDI
FPDLGQEVALNANTKNQKIR, 並びに非抗体産生ペプチド
ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS
またはこれらのペプチドの一またはそれ以上の活性部位である。

材料及び方法
LDL酸化の結果免疫原性になるアポリポプロテインBの部分を調べるために、ヒトアポリポプロテインBの全配列をカバーする20アミノ酸の長さのペプチドからなるポリペプチドライブラリーを形成した。これらのペプチドは、全ての配列をカバーするために破断点で5アミノ酸の重複を有するように製造した。ペプチドは、そのままの状態で、またはリン脂質リポソーム挿入した後、銅に接触させて酸化した後またはLDL酸化中に生じ得るアミノ酸の異なる変性を模したマロンデアルデヒド(MDA)変性の後に使用した。

ペプチド
ヒトアポリポプロテインBの全アミノ酸配列に相当する302ペプチドを合成し(ユーロ−ダイアグスティアクボラゲット(Euro-Diagnostica AB)、マルモ(Malmo)、スウェーデン及びケイアイロスペタソンエイエス(KIRoss Petersen AS)、 ホーホルム(Horholm)、デンマーク)、ELISAで使用した。各合成ペプチドフラクションを、0.5MのMDA(シグマアルドリッチスウェーデン アクチボラゲット(Sigma-Aldrich Sweden AB)、ストックホルム、スウェーデン)で37℃で3時間、そしてリポソームの存在下で、0.5MのMDAにより37℃で3時間または5μMのCuCl2(シグマ)により37℃で18時間変性させた。MDAで変性させたペプチドはいくつかの変更をした1mMのEDTAを含むPBSで、4℃で18時間透析した。これらのペプチドの変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲルバイオ−ラッドラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories)、ハーキュリーズ(Hercules)、カリフォルニア(CA))で試験した。ペプチドは、該タンパク質N末端から出発して、1−302の番号を付された。

他のアルデヒドをヒドロキシノネナル等の誘導体の製造に使用することもできる。

リポソーム
クロロホルム中、モル比9:1のホスファチジルコリン(EPC)(シグマ)及びホスファチジルセリン(PS)(シグマ)と3mM濃度リン脂質(PL)の混合物を、ガラス容器中、緩やかなアルゴン流の下で蒸発させた。その後、該容器を3時間真空下に置いた。滅菌濾過した10mMのHEPES緩衝液pH7.4中、0.10mMペプチド(5ml)、145mMのNaCl及び0.003%のアジ化ナトリウムを含有する溶液をEPC/PS乾燥フィルムに添加し、50℃で15分間インキュベートした。この混合物を室温で約5分間穏やかにボルテックスミキサーで混合し、その後、氷冷浴中に入れ、1分間の間隙をおいて7.5アンプチューミクロンで3分間で3回超音波処理した(ソニープレップ(Sonyprep)150 MSEサンヨー(Sanyo)、タムロ−メドラブ(Tamro-Medlab)、スウェーデン)。天然のまたは0.5MのMDAにより37℃で3時間もしくは5mMのCuCl2により37℃で18時間変性したPLペプチド混合物を、アルミホイルで封をしたガラスバイアルに4℃、アルゴン下で保存し、1週間以内に使用した。このMDA変性混合物を、貯蔵前に、いくつかの変化を加えた1mMのEDTAを含有するPBSで、4℃で18時間透析した。該混合物の変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲル(バイオ−ラッドラボラトリーズエイエス(Bio-Rad Laboratories AB)、サンドバイバーグ(Sundbyberg)、スウェーデン)で試験した。

血漿サンプル
心疾患の患者(AHP)10人及び健常な血液ドナー(NHP)50人(女性25人、男性25人)からの血漿サンプルを集めプールした。二つのプールを分割し、−80℃で貯蔵した。

ELISA
リポソームの存在下または不存在下でPBS,pH7.4(20μg/ml)で希釈した天然のまたは変性した合成ペプチドを、マイクロタイタープレートウェル(ヌンクマキシソープ(Nunc Maxisorp)、ヌンク(Nunc)、ロスキルド(Roskilde)、デンマーク)に吸着させ、4℃で一晩インキュベートした。参考用として、ペプチドの一つ(P6)を、各プレートに流した。0.05%Tween−20を含有するPBS(PBS−T)で洗浄した後、コーティングされたプレートを、TBS中のスーパーブロック(SuperBlock)(ピアース(Pierce)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ(IL))で室温で5分間ブロックし、続いて、TBS−0.05%Tween−20(TBS−T)で希釈されたプールされたヒト血漿、AHPまたはNHPを室温で2時間、その後4℃で一晩インキュベートした。すすいだ後、該ペプチドに対する自己抗体の付着を、TBS−Tで適当に希釈したビオチニル化ウサギ抗ヒトIgGまたはIgM抗体(ダコエイ/エス(DakoA/S)、グロストラップ(Glostrup)、デンマーク)を用いることにより検出した。さらに室温で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、結合したビオチニル化抗体をアルカリホスファターゼ結合ストレプトアビジン(シグマ)で検出し、室温で2時間インキュベートした。着色反応を、ホスファターゼ基質キット(ピアース)を用いて展開し、室温で1時間インキュベートした後、405nmの吸収を測定した。異なるペプチドの吸収値をP6の吸収値で分け、比較した。

アポリポプロテインBの配列は、添付図面の配列番号1〜37に示されている。AHP及びNHPのいずれも、大量の異なるペプチドに対する抗体を含んでいた。天然及び変性ペプチドの両方に対する抗体が同定された。通常、MDA変性ペプチドに対する抗体力価は、対応する天然型ペプチドのものより高いか等しい。天然型、MDA変性、銅酸化ペプチドを比較すると、高い相関度を示し、MDA変性ペプチドを用いた場合にもっとも高い抗体力価が検出された。リポソームに組み込まれたペプチドを使用すると、抗体レベルは増加しなかった。IgMサブクラスの抗体は、IgGサブタイプの抗体に比べてはるかに一般的である。

最も高い抗体レベルが検出されたペプチドは、一般的な特性により6グループに分けることができた(表1):
(A)MDA変性ペプチドに対する高レベルのIgG抗体(n=3)
(B)高レベルのIgM抗体であるが、天然型及びMDA変性ペプチドに差はなかった(n=9)
(C)高レベルのIgG抗体であるが、天然型及びMDA変性ペプチドに差はなかった(n=2)
(D)MDA変性ペプチドに対する高レベルのIgG抗体、AHP−プールに比べて、NHP−プールにおいて少なくとも2倍高い(n=5)
(E)MDA変性ペプチドに対する高いレベルのIgM抗体、AHP−プールに比べて、NHP−プールにおいて少なくとも2倍高い(n=11)
(F)高レベルのIgG抗体であるが、無傷の及びMDA変性ペプチドの差はなく、AHPプール中の抗体はNHPプールと比較して少なくとも2倍である(n=7)
(G)IgGまたはIgM抗体がない

表1
A.高レベルIgG,MDA−差
P 11.FLDTVYGNCSTHFTVKTRKG
P 25. PQCSTHILQWLKRVHANPLL
P 74. VISIPRLQAEARSEILAHWS

B. 高レベルIgM, MDA−差なし
P 40. KLVKEALKESQLPTVMDFRK
P 68. LKFVTQAEGAKQTEATMTFK
P 94. DGSLRHKFLDSNIKFSHVEK
P 99. KGTYGLSCQRDPNTGRLNGE
P 100. RLNGESNLRFNSSYLQGTNQ
P 102. SLTSTSDLQSGIIKNTASLK
P 103. TASLKYENYELTLKSDTNGK
P 105.DMTFSKQNALLRSEYQADYE
P 177. MKVKIIRTIDQMQNSELQWP

C. 高レベルIgG, MDA 差なし
P 143. IALDDAKINFNEKLSQLQTY
P 210. KTTKQSFDLSVKAQYKKNKH

D. NHS/AHP, IgG−ak > 2, MDA−差
P l. EEEMLENVSLVCPKDATRFK
P 129. GSTSHHLVSRKSISAALEHK
P 148.IENIDFNKSGSSTASWIQNV
P 162. IREVTQRLNGEIQALELPQK
P 252. EVDVLTKYSQPEDSLIPFFE

E. NHS/AHP, IgM−ak > 2, MDA−差
P 301.HTFLIYITELLKKLQSTTVM
P 30. LLDIANYLMEQIQDDCTGDE
P 31. CTGDEDYTRKIKRVIGNMGQ
P 32. GNMGQTMEQLTPELKSSILK
P 33. SSILKCVQSTKPSLMIQKAA
P 34. IQKAAIQALRKMEPKDKDQE
P 100. RLNGESNLRFNSSYLQGTNQ
P 107. SLNSHGLELNADILGTDKlN
P 149. WIQNVDTKYQIRIQIQEKLQ
P 169. TYISDWWTLAAKNLTDFAEQ
P 236. EATLQRIYSLWEHSTKNHLQ

F. NHS/AHP, IgG−ak < 0.5, MDA−差なし
P l0. ALLVPPETEEAKQVLFLDTV
P 45. IEIGLEGKGFEPTLEALFGK
P 1l1. SGASMKLTTNGRFREHNAK
P 154. NLIGDFEVAEKINAFRAKVH
P 199.GHSVLTAKGMALFGEGKAEF
P 222. FKSSVITLNTNAELFNQSDI
P 240.FPDLGQEVALNANTKNQKIR

G.
P 2.ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS

これらの38のペプチド配列の全ては、アテローム動脈硬化症及び虚血性心疾患の進展に重要な役割を果たす免疫応答の標的を表す。従って、これらのペプチドは、アポリポプロテインBにおけるMDA変性アミノ酸の定められた配列に対する抗体レベルと心疾患の進展のリスクとの関連を決定するELISAの開発に使用され得る。

これらのペプチドは、酸化LDLで免疫した実験動物に見られる保護免疫の可能なメディエータをも表し、アテローム動脈硬化症に対する免疫療法またはワクチンのさらなる開発における試験のために使用され得る。

このように、ヒトアポリポプロテインBにおける38の異なる配列が、ヒトにおいて免疫応答を著しく上昇させることが確認された。これらのエピトープは、酸化LDLに対する抗体としてあらかじめ記載されたものを表すと考えられる。殆どの免疫応答は、ペプチド配列を指向し、アポリポプロテインBはLDLにおける唯一のタンパク質であるので、このプロジェクトで用いられる試みは、酸化LDL粒に対する本質的に全ての抗体についての特異的なエピトープを同定することができるであろう。カルジオリピンに対する抗体を含むリン脂質特異的抗体ファミリーが酸化LDLと反応するが、これらの抗体の特異性及び役割は完全に特徴的であり続けることが記載されている。

多くの場合、MDA変性ペプチドに対する抗体力価は、対応する天然型ペプチドのものより高い。MDA変性ペプチドに対する抗体が検出された場合、それはほぼ常に天然型配列に対する抗体の存在と関連する。これに対する説明としては、アポリポプロテインBにおいてMDA変性アミノ酸(LDL酸化の結果生じるMDA変性)に対する免疫応答が天然型の配列に対する許容性破壊を導くことが考えられる。他の配列については、MDA変性と天然型配列に対する抗体力価に差はない。これは、免疫応答が天然型配列に対するものを指向していることを提案する。免疫系に通常さらされているタンパク質のアミノ酸配列に対する免疫応答はない。天然型LDL粒において、アポリポプロテインBの大部分はLDLのリン脂質層に隠れているので、免疫系にアクセスできない。LDLの酸化の間に、アポリポプロテインBのアミノ酸鎖は断片化され、三次元構造に変化が生じる。これにより、通常は免疫応答にアクセス不可能なペプチド配列が露出し、これらの配列に対する抗体が生成すると考えられ、これが天然型のアポリポプロテインBに対する抗体の存在が見られることを説明するであろう。さもなければ、真の免疫応答は、MDA変性配列に対するものであるが、天然型の配列と交差反応性を有し、結合に差がないほど大きいことが示されるであろう。

表2
78人の被験者(後天的に進展した心筋梗塞、26の健常対照群(healthy controls)及び26の疾病はないが高リスクの個体)における異なるペプチドと内膜/中膜の厚さとして評価した頸動脈におけるアテローム動脈硬化症との相関



+,r>0.2<0.3,p=<0.05;++,r>0.3<0.4,p=0.01;+++,r>0.4,p=<0.001,灰色,心筋梗塞に罹患した群で顕著に増加したペプチド抗体レベル

酸化LDL中の特定のエピトープに対する免疫反応と心疾患の進展の存在及び/または危険性との関係を調べるために、これらのペプチド(天然型またはMDA変性型)に基づいたELISAを使用し得る可能性を、予備的研究として調べた。この研究は、マルモダイエットキャンサースタディ(Malmo Diet Cancer study)(人口ベースの研究)に参加した被験者について行われ、1989年と1993年の間に30,000以上の個体を募集した。表1に列挙した38のペプチドのうちの24のペプチドに対する抗体レベルを、継続期間に急性心筋梗塞が進展した26人の被験者、年齢、性及び喫煙の有無を合わせた26の健常者対照群基線の血漿サンプルについて調べた。年齢、性及び喫煙の有無を合わせた、LDLコレステロール値が5.0 mmol/l以上の群も、心疾患が進展していない高リスクグループ中の抗体レベルを研究するために含めた。

分析された24のペプチドのうちの19のペプチドについては、MDA変性ペプチドに対するIgM抗体レベルと、総頚動脈の超音波調査によって評価されるような頚動脈(内膜/中膜厚さ)中のアテローム性動脈硬化症の程度の間に著しい相関性が確認された。即ち、より高い抗体レベルはより増大したアテローム性動脈硬化症となる(表2)。これらのペプチドの多くに、天然のペプチドに対する抗体のレベルと頚動脈の内膜/中膜厚さとの著しい相関性が存在した。4つのペプチドだけが、IgG抗体と頚動脈の内膜/中膜厚さとの著しい相関性を示した。これらの観察は、アテローム性動脈硬化症が進展した患者の確認に、MDA変性ペプチド(単独で、あるいは組み合わせて)を使用するELISAを使用し得ることを示唆する。

試験したペプチドのうちの4つは、アテローム性動脈硬化症が進展した存在に関連するだけでなく、その後心梗塞を罹患した患者群においても著しく上昇した(表2)。これらのペプチドのうちの1つ(ペプチド240)のデータを図7に示す。これらの観察は、さらに、ペプチドベースのELISAが心筋梗塞が進展する危険が増加している患者を確認するのにも使用し得ることを示す。

また、後に心筋梗塞に罹患した群においても、天然型のペプチド103、162及び199、及びMDA変性ペプチド102に対するIgG抗体レベルの著しい増加があった。しかしながら、これらのペプチドに対するIgG抗体は、頚動脈中のアテローム性動脈硬化症の存在にはそれほど関係していなかった。

特に興味深い観察は、健常者対照群及び高リスクグループ(5.0 mmol/lより高いLDLコレステロール)において、心筋梗塞が進展したグループよりも著しく高いレベルのIgM抗体が存在したMDA変性ペプチド210に対する抗体に見られた。従って、MDA変性ペプチド210に対する抗体は、心疾患が進展する危険性が減少した個体のためのマーカーを表わし得る。

天然型及びMDA変性アポB−100ペプチド配列による免疫感作が実験動物にアテローム性動脈硬化症の抑制をもたらすことが示された(ノーディンフレドリクソン(Nordin Fredrikson)、(ソダーバーグ他)(Soderberg et al)、シュー他(Chyu et al))。これらのアテローム防御免疫応答が作動するメカニズムはまだ完全には解明されていない。しかしながら、考えられる可能性は、これらのペプチド配列に対して生成された抗体によってアテロームの保護効果が媒介されるということである。これらの抗体は、例えばマクロファージFc受容体による酸化的に損傷したLDL粒子の除去を促進するであろう。

マクロファージスカベンジャー受容体は、広範囲酸化的損傷を伴うLDLのみを認識する。最近の研究により、循環する酸化LDLの存在が確認された(10,11)。これらの粒子は、最小の酸化的損傷のみを有しており、スカベンジャー受容体によって認識されない。循環する酸化LDL粒子への抗体の結合は、それらが血管組織に蓄積する前に、循環からそれらを取り除かれるのを助ける(12)。

いくつかの研究は、アテローム性動脈硬化症からの保護における抗体用の役割を支持した。B細胞再構成は、脾臓摘出されたアポE nullマウス(13)におけるアテローム性動脈硬化症の進展及びRAG−1マウスにおける頚動脈の傷の後の新内膜形成を抑制した(我々の研究所からの出版されていない観察)。さらに、免疫グロブリンを繰り返し注射することによりアポ E nullマウス中のアテローム性動脈硬化症が縮小されることが示された(6)。

上記で論じたように、アポB−100の中のMDA変性ペプチド配列に対する抗体は、合成ペプチドを用いた能動免疫感作により生じ得る。この方法は、抗体産生の完全な効果が得られるまでに、2〜3週間を要する。

いくつかの状況においては、より迅速な効果が必要であり得る。一例として、酸化LDLが炎症に寄与している不安定なアテローム性動脈硬化のプラークが挙げられる。これらの状況下では、天然型及びMDA変性配列に対する精製された、または遺伝子組み換えにより生産された抗体の注入による受動免疫法が、より速い効果を奏し得る。

精製された、または遺伝子組み換えにより生産された抗体の注入による受動免疫法が有効である別の状況として、高齢の個体における冠動脈疾患が挙げられる。我々の研究により、人が高齢となるに従ってアポBペプチド配列に対する抗体の減少が生じ、これが酸化LDLの血漿レベルの増加に関係していることが示された(ノーディンフレドリクソン、ヘドラブ他(Hedblad et al))。このことは、酸化LDLにおいて、抗原に対する抗体産生を担う免疫細胞の老化を示唆し得る。また、循環からの酸化的に損傷したLDL粒子の不完全クリアランスに帰するかもしれない。従って、これらの患者は、アポ B−100ペプチド配列による能動免疫法からよりも、精製された、または遺伝子組み換えにより生産された抗体の注入による受動免疫法により、さらに利益を受け得る。

下記で使用される合成の天然型ペプチド(ユーロ−ダイアグノスティカアクチボラゲット(Euro-Diagnostica AB)、マルモ(Malmo)、スウェーデン)は、最初にスクリーニングされたポリペプチドライブラリーからのペプチド1、2及び301であった。ペプチド1(アミノ酸配列: EEEMLENVSLVCPKDATRFK、n=10)及びペプチド301(アミノ酸配列:HTFLIYITELLKKLQSTTVM、n=10)は、各々天然型ペプチドよりも、MDA変性ペプチドに対する高いIgGまたはIgM抗体応答を有することが見出された。また、両方の力価健常者において、より高い値であった。これらのペプチドは、これらのペプチドに対する抗体反応がアテローム性動脈硬化症に対して保護するかもしれないという仮定に基づいて選択された。

ペプチド2(アミノ酸配列:ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS、n=10)は、初期の抗体スクリーニングにおいて抗体反応を誘起しなかったので、コントロールペプチドとして選択された。ミョウバンを投与したマウスをコントロール(n=9)に供した。

アポE(−/−)マウスに、6−7週齢で皮下に一次免疫を受けさせ、3週間後に腹腔ブースターを行った。マウスに、免疫感作の開始からの高コレステロール食を与え、25週齢で屠殺するまで継続した。屠殺時に、4グループのマウス中の体重に著しい違いはなかった。また、市販のキット(シグマ)を使用して測定された血清コレステロールに統計的な有意差はなかった。それらの平均血清コレステロール値はすべて715mg/dlより高かった。

アテローム性動脈硬化のプラークによって覆われた下行大動脈の領域をオイルレッドO染色の後のen face調製で測定した。コントロール群と比較すると、ペプチド番号2及び301で免疫したマウスにおいては、アテローム性動脈硬化の病巣が実質的に減少した(図2)。ペプチド番号1による免疫感作は、コントロール群と比較して、アテローム性動脈硬化症の顕著な減少を生じなかった。下行大動脈とは対照的に、大動脈根中のアテローム性動脈硬化症の病巣は4つの実験群で異なることはなかった(図3)。

大動脈洞プラークの大きさあるいはその脂質含量については、4つのグループで差はなかった(表A)。4グループのマウスにおいて、大動脈弓中の平均プラークサイズに違いはなかった。しかしながら、オイルレッドO染色による胸部及び腹部の下行大動脈のプラークサイズのen face評価は、コントロールグループとペプチド番号1のグループが大動脈に同様の量のアテローム性動脈硬化のプラークを有するのに対し、ペプチド番号2及び9のグループが大動脈に著しく縮小されたアテローム性動脈硬化の病巣を有していることを明らかにした(表A)。ペプチド免疫感作は大動脈洞あるいは大動脈弓のプラークサイズに影響しなかったが、下行大動脈のプラークを縮小したという観察は興味深く、ペプチド免疫感作が新しいプラーク形成を縮小するかもしれないがプラークの進行に影響しないことを示唆する。

さらに、ペプチド免疫がアテローム性動脈硬化のプラークの表現型を調整するかどうか試験した。凍結切片の形態の大動脈洞プラークを単球/マクロファージ抗体(MOMA−2、セロテック(Serotec))で免疫組織化学的に染色した。

en face観察による発見と一致して、ペプチド番号2は、マクロファージの浸潤を実質的に減少させた(図l)。三色染色により、ペプチド番号2のグループからの大動脈洞プラークにおいて、平均40.0±7.7%のコラーゲン含量が明らかになった;ミョウバンコントロールグループ、ペプチド番号1番のグループ、ペプチド番号9のグループの平均コラーゲン含量は、それぞれ32.3±5.3%、35.6±8.5%及び29.4±9.6%であった。

各グループにおいて免疫感作したペプチドに対する抗体反応が測定された。免疫感作後の抗体価はペプチド番号1の群で6.1±3.1倍、ペプチド番号2のグループで2.4±1.0倍、ペプチド番号9のグループで1.8±0.6倍であったのに対し、ミョウバングループはペプチド番号1に対して3.9±2.7倍の増加、ペプチド番号2に対し2.0±0.5倍の増加、ペプチド番号9に対して2.0±0.9倍の増加であった。免疫グループとミョウバン処理グループの両方で免疫ペプチドに対する抗体価が並列的に増加したことは驚くべきことである。このことは、下記の可能性を意味するであろう:
(1)体液の免疫応答(細胞の免疫応答のような)以外のメカニズムは、アテローム性動脈硬化症を調整することに関与し得る;あるいは、(2)この抗体の増加は経時的コレステロール過剰血症に対するバイ−ストランダー(by-stander)反応であった。

なぜペプチド免疫感作がアテローム性動脈硬化症を縮小したかを説明し、及び/またはプラーク表現型を調整する明瞭な推定メカニズムはないが、この発明の新規性は免疫原としてLDLのペプチドを使用すること及び免疫修飾手段としてのその実現可能性の点にある。このペプチドベースの免疫手段はアテローム性動脈硬化のプラークを調節する。抗原として同族のoxLDLあるいは天然型のLDLを使用した免疫感作により、プラークサイズが縮小されることが示されたが1−3、同族のヒトLDLの有用性、生産、感染及び安全性の点から、このアプローチを臨床に適用するのは魅力欠ける。我々の最終結果は、健常者におけるより高いIgMまたはIgG抗体反応を有するペプチドを使用する免疫感作が、進行したアテローム性動脈硬化のプラークの進展から、実験動物を保護するかもしれないという我々の初期の仮説と異なるが、ペプチドベースの免疫療法が実現可能であることはここで実証される。

免疫ペプチド番号2を使用する免疫感作が下行大動脈における新しいアテローム性動脈硬化症の進展及びマクロファージ潜入の減少及びプラーク中のより高いコラーゲン含有量から動物を保護したことを見いだしたのは、そのペプチドが初期のヒトスクリーニングではなんの抗体応答をも与えなかったので、驚くべきことである。これは、(a)ペプチド番号2がヒトの免疫系に露出されていないアポ−B−100蛋白質構造の一部であるからかもしれない。従って、抗体は健康なヒトの血清プールから生成されず検知されなかった;(b)また、それはペプチド番号2のアミノ酸配列が、マウスにとっては外来であり、マウスは、新しいアテローム性動脈硬化症の形成を調整するこのペプチド及びその表現形に対する免疫応答を進展させないためであるとも考えられる。

プラークサイズが大動脈枝の異なる部分で評価される場合、プラークサイズに対する同族のLDL免疫の効果が変動した。例えば、アメリ他(Ameli et al)は、高コレステロール血症のウサギにおいて、天然型のLDLによる免疫感作により大動脈のプラーク形成が縮小されることを示し1、フレイギャング(Freigang et al)は、プラークサイズの縮小を大動脈ではなく大動脈洞で示した。彼らの発見と本発明の発見を合わせると、ペプチド免疫がプラークサイズだけでなくプラークの組成をも調整することが推測された。プラークを縮小する効果は、下行大動脈でのみ観察された。アポE(−/−)マウスは単一の動物の中の発展の様々な段階で、特に高コレステロール食を供給された時、アテローム性動脈硬化症を進展させることが知られている。若い動物におけるアテローム性動脈硬化症の初期の外観は大動脈洞にあり6,7、また15週後の高脂、高コレステロール食による大動脈洞の疾病は進行したプラークであった。これに対し、アテローム性動脈硬化症の初期段階は下行大動脈にあった6。下行大動脈中のプラーク成熟及び進展の一時的な進行が、大動脈洞のそれと比べて遅いので、免疫感作が下行大動脈中の疾病の大きさを縮小したが、大動脈洞中の疾病はしないという発見は、免疫感作がアテローム性動脈硬化症組成の初期の段階に影響することを示唆する。高齢の、そして血清コレステロールの値が超生理学的である動物は、コレステロール過剰血の悪影響によって免疫感作のプラーク縮小効果が打ち消される可能性がある。さらに、大動脈洞プラークが早く成熟し、25週齢で屠殺された場合、プラークサイズになんらかの差異を検出するには遅すぎる。病巣の大きさは大動脈洞プラーク中では調整されないが、ペプチド免疫感作によりプラークの組成は調整された。本発明の実験計画は、下行大動脈の進展の初期の段階のプラークの組成を検討することを妨げた。

実験結果は、アテローム性動脈硬化症を防ぐ新規なアプローチのための、あるいは重篤高脂血症の場合でも順調にプラーク表現型を調整するための免疫源として、LDL関連アポB−100のペプチド配列を使用する実現可能性を強調する。このペプチドベースの免疫感作の手法は、同族のLDLの絶縁及び単離及び調製の必要性及びそれに付随する汚染の危険性を排除できるので、抗原として同族のoxLDLまたは天然型LDLを使用するよりも有利である。ペプチド番号2及び301による免疫感作のプラーク縮小効果は、下行大動脈でのみ見られた。これらの発見は、他の治療の介在も大動脈弓よりも下行大動脈で高い効果を示すという過去の報告とも矛盾せず、おそらく疾病が下行大動脈より大動脈の根及び大動脈弓でより急速に進展するので14〜17、介在14、15、16、18、19のためのより小さな機会を作り出すと考えられる。下行大動脈中のプラーク成熟及び進展の一時的な進行が、大動脈洞及び大動脈弓でのそれと比べて遅いので、免疫感作が下行大動脈中で病巣サイズを縮小するが、大動脈洞中及び大動脈弓ではしないという発見は、免疫感作がアテローム性動脈硬化症組成の初期の段階を優先的に防ぐことを示唆する。高齢の、そして血清コレステロールの値が超生理学的である動物は、コレステロール過剰血の悪影響によって免疫感作のプラーク縮小効果が打ち消される可能性がある。病巣サイズは大動脈洞か大動脈弓で調整されなかったが、ペプチド番号2による免疫感作は、縮小されたマクロファージ浸潤及び増加したコラーゲン量の、より安定したプラーク表現型を生じさせる好ましい方向にプラークの組成を調整しなかった。要約すると、マウスモデル中のアテローム性動脈硬化症の抑制のための新規なペプチドベースの免疫調節アプローチが実証される。

要約すると、新規なペプチドベースの免疫調節アプローチが、アテローム性動脈硬化のプラークを調整することが実証される。我々のモデル中のアテローム性動脈硬化症組成の変化は中程度でしかなかったが、このペプチドベースの免疫感作はアテローム性動脈硬化症の研究、予防または治療において、代替ツールを提供し得る。

方法
ペプチドの調製
ペプチドは、イムジェクト(Imject)(登録商標スーパーキャリヤ(SuperCarrier)(登録商標)EDCキット(ピアース、ロックフォード、イリノイ)を用い、製造者の指示に従い、小さな変更を加えて製造した。結合バッファー500μl中のペプチド1gを200μlの脱イオン水中の2mgの担体と混合した。その後、この混合物を1mgの結合試薬(EDC,1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドHCl)と共に室温で2時間インキュベートした。その後、0.083Mリン酸ナトリウム、0.9Mの塩化ナトリウムpH7.2溶液で4℃で一晩透析した。この透析結合物を、Imject乾燥配合生バッファーで希釈し、最終容量を1.5mlとした。免疫アジュバントとしてミョウバンを用い、容量比1:1でペプチド結合物と混合した。各免疫感作におけるペプチドの量は、注射一回あたり33μg/100μlであった。

動物プロトコル
ジャクソンラボラトリーズ(Jackson Laboratories)(バーハーバー(Bar Habor)、メイン(Me))からのアポE(−/−)マウスに、6〜7週齢で皮下投与による第一回の免疫感作を行い、続いて3週後に腹腔内ブースターを行った。免疫感作開始時からマウスに高コレステロール食を与え、25週齢で屠殺するまで続けた。2週間後、屠殺時に血液サンプルを集めた。ミョウバンを投与したマウスをコントロールとした。実験プロトコルは、セダーズ−シナイ(Cedars-Sinai)医療センターの動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)に認可された。全てのマウスを米国認定動物管理研究所(American Association of Accreditation of Laboratories Animal Care)に委託した動物施設内に入れ、12時間の昼夜サイクル飼育し、水及びを制限せずに与えた。屠殺時にマウスにエンフルレン吸入による麻酔をかけた。屠殺前に血漿をレトロオービタブリード(retro-orbital bleeding)により採取した。

組織採取及び分割
アテローム動脈硬化の形成に対するペプチド免疫感作の効果を評価するために、大動脈洞、大動脈弓及び下行胸部及び腹部大動脈のプラークの大きさを評価した。心臓及び大動脈枝(tree)に生理学的な圧力で規定の食塩水をかけた後、心臓及び近位の大動脈を取り出し、OCT化合物ティシュー−テック(Tissue-Tek))に埋め込み、冷凍した。連続的な6μmの厚切片を少なくとも2つの大動脈弁の外観から集め、大動脈洞プラーク評価用の大動脈弁の一片消失させた。典型的には、連続する3つの切片が1枚のスライド上に置き、合計25−30枚のスライドを一匹のマウスから集めた。また、スライド五枚目毎に染色のためにグループ分けした。また、左鎮骨下動脈までの上行大動脈及び大動脈弓も同様に切片にし、処理した。胸部及び腹部の下行大動脈を、オイルレッドO染色の後にプラークの組成のen face評価のために別々に処理した。

胸部及び腹部下行大動脈のen face調製物
8g/mlの水中濃度鶏卵アルブミン(シグマ)を、グリセリンと1:1で混合した。アジ化ナトリウムを添加し、アジ化ナトリウムの最終濃度を0.2%とした。胸部及び腹部の大動脈から周辺の組織及び脂肪を除去して清浄にした後、左側の腎臓部の動脈から鎮骨下動脈までの大動脈切片を、ヒストチイス(Histochoice)(アムレスコ(Amresco))内で一晩定着させるために注意深く除去した。その後、大動脈は注意深く縦に開き、卵アルブミン溶液新たに被覆されたスライド上にルミナールと共にサイドアップで置いた。アルブミン溶液が乾燥したら、大動脈をオイルレッドOで染色し、コンピューター補助組織学でアテローム性動脈硬化症の範囲を評価した。

免疫組織化学と組織学
大動脈洞からの切片を、標準のプロトコルを使用して、MOMA−2抗体(セロテック)で免疫組織化学的に染色した。コラーゲンの量及びプラークの大きさ及び脂質含有量についてのオイルレッドO染色を評価するためのトリクロム染色を、標準の染色プロトコルを用いて行った。コンピューター補助形態分析を、前記のように組織構造を評価するために行った8。

抗体力価測定
ペプチド免疫感作の後の抗体応答を測定するために、ELISAを開発した。免疫化したペプチドに対する抗体力価を、ブースターの2週間後、屠殺時に集めた血液を使用して測定した。3つのペプチドに対する抗体応答を、同じタイミングのミョウバングループにおいて測定した。PBSpH 7.4(20μg/ml)で希釈した天然型の合成ペプチドを、マイクロタイタープレートウェル(ヌンクマキシソープ、ヌンク、ロスキルド、デンマーク)に吸着させ、4℃で一晩インキュベートした。0.050%のTween−20を含有するPBSで洗浄した後、コーティングしたプレートを、TBS中のスーパーブロック(ピアース)で室温で5分間ブロックし、その後、室温で2時間、TBS−0.05%Tween−20(TBS−T)中、1/50に希釈したマウス血清を室温で2時間、その後4℃で一晩インキュベートした。すすいだ後、ペプチドを指向する抗体の付着物を、TBS−Tの中で適切に薄められた、該ペプチドを指向する抗体の付着物を、TBS−Tで適切に希釈したビオチニル化ウサギ抗マウスIg抗体(ダコエイ/エス(Dako A/S),グロストラップ(Glostrup)、デンマーク)を使用して検出した。さらに2時間インキュベートした後、該プレートを洗浄し、結合したビオチニル化抗体をアルカリフォスファターゼ結合ストレプトアビジン(シグマ)によって検出し、室温で2時間でインキュベートした。ホスファターゼ基質キット(ピアース)を用いて着色反応を展開した。405nmにおける吸光度を、室温で1時間のインキュベートの後に測定した。バックグランドを差し引いた後、平均値を計算した。

当然ながら、他のアッセーモデル、例えば、放射性免疫測定のような抗体を検出するイムノアッセー、ウェスタンブロッティング及びサザンブロッティング、並びにペプチドに結合した抗体の検出、酵素電極、及び他の分析方法も同様に利用できる。

統計
データは平均値±Std.として示される。使用される統計方法は、本文、表または図に挙げた。P<0.05の時、統計的に有意であるとした。

表A大動脈洞のプラークサイズ及びその脂質含有量、大動脈弓プラークサイズ及び下行大動脈中のプラークの比率


*ミョウバングループとの有意差。統計分析にはANOVA、続いてターキークラマー(Tukey-Kramer)試験を使用した。

アポEノックアウトマウスのアテローム性動脈硬化症におけるアポリポプロテインB−100ペプチド配列の免疫感作の効果のデータを表Bに示す。

表B
アポEノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症のアポリポプロテインB−100ペプチド配列による免疫感作の効果

複数のペプチド配列の混合物を用いた免疫感作

大動脈におけるアテローム性動脈硬化症に対する効果
l. ペプチド配列 143 及び 210 −64.6%
2. ペプチド配列 11, 25 及び 74 −59.6%
3. ペプチド配列 129, 148 及び 167 −56.8%
4. ペプチド配列 99, 100, 102, 103 及び 105 −40.1%
5. ペプチド配列 30, 31, 32, 33 及び 34 +6.6%
6. ペプチド配列 10, 45, 154, 199 及び 240 +17.8%

単一ペプチド配列を用いた免疫感作

1. ペプチド配列 2 −67.7%
2. ペプチド配列 210 −57.9%
3. ペプチド配列 301 −55.2%
4. ペプチド配列 45 −47.4%
5. ペプチド配列 74 −31.0%
6. ペプチド配列 1 −15.4%
7. ペプチド配列 240 0%

ペプチドの投与は、通常、皮下注射静脈注射筋肉注射あるいは腹腔内注射のような注射によって行われる。第一の免疫の投与量は、体重、年齢及び他の身体的医学的条件に依存して、患者一人当たり1〜100mgであり得る。特別な状況下では、1種類またはそれ以上のペプチドを含有する溶液をカテーテルによって冠状動脈の血管に局所投与することも可能である。血流への吸収を可能にするには認めるために特別の注意を払わなければならないが、経口投与も同様に考慮され得る。注射剤は、本発明の断片またはペプチドの一種類またはそれ以上を0.5〜99.5重量%を含有し得る。

ペプチドは通常、陽イオン化したウシ血清アルブミンに結合して、またアジュバントとして水酸化アルミニウムを使用して投与される。当該分野で知られている他のアジュバントも同様に使用することができる。

ペプチドの投与のための溶液はEDTAまたは酸化防止剤を含まない。
ペプチドは、アテローム性動脈硬化症に既に罹患している患者に治療剤として使用されてもよい。従って、本発明の断片またはペプチドの一種類またはそれ以上を加えるために、いかなる適切な投与経路を使用してもよい。

初期の研究は、ペプチドのどのタイプの酸化変性がヒトの血漿中で抗体によって認識されるに至るかを決定することに焦点を絞っていた。これらの研究は、ペプチド1−5及び297−302を使用して行われた。LDLの酸化中に、リン脂質及びコレステロールエステル中のポリ不飽和脂肪酸は、悪玉アルデヒド(MDA)のような高度に反応性ブレークダウン生成物の生成にいたる過酸化を進行させる。その後、MDAは、それらを高度に免疫原性にするアポB−100の中のリジン及びヒスチジン残基との共有結合付加物を形成し得る。LDLの酸化は、さらに、免疫系には通常アクセス可能でないペプチド配列を露呈させるアポ B−100の分割に至る。天然型のペプチドが使用された実験において、MDA変性の後、あるいはリン脂質リポソーム中への進入及びそれに続く銅の酸化またはMDA変性の後、IgM抗体が、天然型のMDA及びリポソーム酸化ペプチドに対して同定され、抗体力価はMDA−ペプチド>MDA変性リポソームペプチド>リポソーム酸化ペプチド>天然型ペプチドであった。特異性試験は、MDA変性ペプチドへの抗体の結合が、MDA−LDLと銅酸化LDLの両方と競合することを示した。

その後、我々は、健常者対照群由来のプールされた血漿、及び抗原として、天然型及びMDA変性ペプチドを用いて、完全なペプチドライブラリーのスクリーニングを行った。アポB−100中の多く部位に対する抗体が同定された。バックグラウンドコントロールの吸光度の2倍を陽性力価として切り落とし、完全なアポ B−100配列を構成する302個のペプチドのうちの102個に対する抗体を検出した。IgM結合は、IgG結合より本質的に豊富であった。一般に、結合はMDA変性ペプチド配列の方が対応する天然型ペプチド配列よりも高かったが、両者には著しい相関性があった。天然型及びMDA変性配列の両方への結合は、MDA変性LDL及び銅酸化LDLの添加により競合するが、天然型のLDLによってはされない。これらの観察は、アポB−100中のMDA変性ペプチド配列に対する免疫応答が、天然型の配列に対して交差反応性となることを示唆する。天然型のLDLが天然型のアポ B−100ペプチド配列に結合する抗体に競合できないことは興味深いことであるが、これらの配列は単にLDL酸化の結果生じるアポ B−100の蛋白質分解の後に露出されるようになることを示し得る。分子親水性疎水性の部分のいずれも抗体により認識された。アポ B−100ペプチドライブラリーの第二のスクリーニングは、冠動脈疾患(CHD、急性心筋梗塞(AMI)及び不安定狭心症; n=10)の臨床上の兆候のある患者からのプールされた血漿を使用して行われた。プールされたCHD血漿中の抗体は同じ配列に結合し、健常者対照群血漿中の抗体と全く同じ分布であった。しかしながら、CHDの患者からの血漿と比較し、コントロールの血漿ではいくつかのペプチド(#1、30〜34、100、107、148、149、162、169、236、252及び301)の抗体力価は少なくとも2倍高く、少数のペプチド(#10、45、111、154、199、222及び240)に対する力価はコントロールと比較して、CHD患者からの血漿において高かった。その後、我々は、アポB−100中のMDA変性ペプチド配列に対する抗体レベルがCHDの進展の危険性を予測するかどうか調査する予想臨床研究を実施した。我々は、枝分かれケースコントロールデザイン(nested case control design)を用いて、冠動脈疾患(CHDによる、AMIあるいは死)を有する78人の患者及びマルモダイエットキャンサースタディからの149人のコントロールを選択した。症例にもコントロール個体にもMIまたは脳卒中の病歴はなかった。封入から急性冠動脈疾患の平均期間は2.8年(0.1〜5.9年の範囲)であった。抗体レベルを酸化防止剤を補充した基線血漿サンプル中で測定した。基線における超音波検査法によって評価される頚動脈の内膜−中膜厚さ(IMT)を用いて、我々はさらに抗体レベルと既存の血管疾病の程度の関連性を調べた。我々は、初期のスクリーニング研究で、8つのMDA変性ペプチド配列を研究し、高い血漿抗体レベル(74、102及び210)及び/またはコントロールとCHDの血漿プールの著しい差(32、45、129、162及び240)を関連づけた。コントロールは、MDAペプチド74に対するより高いIgMレベルを有することが見いだされ(0.258、範囲0〜1.123の吸光度単位対0.178、範囲0〜0.732の吸光度単位、p<0.05)、さもなければ症例とコントロールの間の抗体レベルの差はなかった。MDAペプチド102、129及び162(それぞれr=0.233、0.232及び0.234、p<0.05)に対する、IMTとIgMの間の関連が症例において見られ、IMTとMDAペプチド45(r=0.18、p<0.05)との関連がコントロールにおいて見られた。MDAペプチド129の抗体と総及びLDLコレステロール(r=0.19及びr=0.19、p<0.01) 間で弱い相関性が見られた。さもなければ、ペプチド抗体レベルは、総血漿コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールあるいは血漿トリグリセリドと何の関連も示さなかった。異なるペプチドに対する抗体のレベルに強い共変動r値の範囲0.6〜0.9)があった。唯一の例外は、他のペプチドに対する抗体に関連して、弱いか全くなかったMDAペプチド74に対する抗体であった。

MDAペプチド74以外のすべての配列に対する抗体は、症例において年齢と逆の相関を示したが(−0.38〜−0.58の範囲のr値、p<0.010.001)、コントロールではそうではなかった。酸化LDLの血漿レベルは対照的に、年齢につれて増加した。この関連もコントロールより症例においてより強かった。MDA変性ペプチド配列に対する免疫応答と心疾患の間の関連が異なる年齢グループにおいて異なっていたかを調査するために、平均年齢(61)の上か下かで、症例及びコントロールについてサブグループ分析を実施した。より若い年齢群の症例については、コントロールと比較してペプチド32及び45に対する抗体レベルが上昇し、ペプチド74に対する抗体レベルが減少した。しかし、より高齢の年齢グループでは差は見い出されなかった。ペプチド74を除くすべてのMDAペプチド配列に対する抗体は、より若い年齢グループの中ではIMTに著しく関連していたが、より高齢のグループでは関連しなかった(表)。

これらの研究により、ヒトの抗体によって認識されるアポB−100の中の多くのMDA変性配列が同定された。LDL酸化の結果アポ B−100のMDA変性が生じることは、これらの抗体が前記の酸化LDL自己抗体のファミリーに属することを示す。この概念は、MDA変性アポ B−100ペプチドに結合する抗体が酸化LDLの添加により競合されるという観察によっても支持される。ホーッコ(Horkko)らによって識別された、酸化したリン脂質と共に、これらのMDA変性ペプチド配列は、酸化LDLの中の大多数抗原構造を構成すると考えられる。酸化LDL抗リン脂質抗体と同様に、MDA変性アポ B−100配列に対する抗体はIgM型であった。これは、さらに、後者の抗体がT 15天然型抗体のファミリーに属していることを提案し得る。T 15抗体は、初期の細菌感染に対するT細胞非依存性防御において、またアポトーシス細胞の除去において重要な役割を果たす。ここに記載したMDAペプチド抗体が同様の機能を有するか調べることが残されている。多くの天然型アポ B−100配列に対する抗体も同定されている。しかしながら、天然型及びMDA変性された配列の抗体間の共変は、これらの抗体がLDL酸化に応じて形成されることをも提案する。さらに、MDA変性ペプチド配列が、対応する天然型の配列と交差反応することも可能である。天然型のアポ B−100配列に対する抗体がさらに天然型のLDL粒子に結合する場合、これはLDLの代謝にも重要な影響があると考えられる。しかしながら、天然型のLDLが、天然型のアポ B−100に結合する抗体と競合しないという発見、及び天然型アポB−100の配列に対する抗体とLDLコレステロール値に関連がないことは、そのような減少の存在に反する。

MDA変性ペプチド配列に対する抗体は、症例においては年齢とともに次第に減少したが、コントロールにおいてはそうではなかった。MDAペプチド74を除き、MDAペプチドに対するIgM抗体は、より若い年齢グループ(62才未満)では頚動脈のIMTに関係していたが、より高齢のグループの中ではしていなかった。これらの発見は、50才と70才の間に、免疫系とアテローム性動脈硬化の血管壁の相互作用の著しい変化がおきることを提案する。1つの可能性は、より若い個体では、アテローム性動脈硬化の疾病プロセスが、免疫細胞のより顕著な関与のある、より活発な段階にあるということである。別の可能性は、より高齢の患者におけるMDA変性ペプチド配列に対する抗体レベルの減少が、アテローム性動脈硬化症に関与する免疫細胞の老化を反映するということである。免疫老化(immunosenescence)により免疫細胞の機能が害されることが、高齢者における伝染及び癌への感受性の増加に寄与することが提案されている。興味深いことに、免疫老化は酸化のストレスへの関与を示す酸化防止剤によって抑制される。酸化LDLの中のエピトープに相互作用する免疫細胞は酸化ストレスに特に露出されるであろう。酸化LDLが非常に若い年齢で動脈の中に既にあるので、これらの免疫応答は、数十年間の間連続的に挑戦されており、これが免疫老化の進展にさらに寄与しているのであろう。

アポB−100内の2つの部位に対する増加した抗体は、62より下の患者の心筋梗塞及び冠動脈の死のための危険を予言することが見いだされた。これらの部位に対する抗体は、同じ根本的な病態生理学のプロセスに応じてそれらが生産されたことを提案する高レベルの共同変化を示した。血液のサンプリングから冠動脈疾患までの平均期間わずか2.8年であったという事実により、これらの抗体が特に増加したCHDの危険のためのマーカーとして興味深くなる。MDA変性アポ B−100ペプチド配列に対する抗体レベルが高脂血症、高血圧症及び糖尿病のような他のCHD危険因子とは関連を示さなかったことは、これらの抗体がCHDの危険性の独立したマーカーであると示唆する。本発明の研究におけるCHDの症例はそれほどハイリスクの個体ではなく、この点で一般的なCHD患者の代表例であった。MDA変性アポ B−100配列に対するIgMにより、確立している危険因子のスクリーニングによっては高リスクであるとはされなかった個体において急性冠動脈疾患の進展の短期の危険を予測されるという発見は、それが積極的な予防治療を必要とする個体を識別する際の有用な器具となることを提案する。しかしながら、アポ B−100のMDA変性ペプチド配列に対する抗体を決定する臨床値を完全に確立するには、多変量解析によるかなり大規模の予測研究が必要である。本発明の臨床研究の別の制限は、我々がアポ B−100の中の少数の抗原部位に対する抗体を分析しただけであり、他の部位に対する抗体力価が心血管の危険のよりよいマーカーとなるかもしれないということである。

60才未満の患者においては、アポB−100中の多くのMDA変性部位が、頚動脈のIMTによって評価されるような既存の血管疾病の範囲と関連付けられた。IgM抗体はIgG抗体よりも密接に頚動脈のIMTに関係していた。頚動脈のIMTは一般的なアテローム性動脈硬化の程度の基準として明白な制限があるが、これらの観察は、アポ B−100の中のMDA変性配列に対するIgMの測定が存在しているアテローム性動脈硬化症の程度を評価する方法の一つとなり得ることを提案する。これらの観察は、さらに冠動脈疾病及び頚動脈疾病と酸化LDLに対するIgM抗体との関連をを報告したいくつかの従来の研究に整合する。

ペプチド74に対する抗体は多くの点において他のアポB−100ペプチド抗体と異なっていた。それらは症例よりもコントロールにおいて高く、年齢とともに減少することがなく、頚動脈疾患の程度には関連していなかった。従って、このペプチド配列に対する抗体は、アテロームの保護免疫応答のための興味深い候補を表わす。

重要な疑問は、なぜこれらの関連が生じるかである。それらは、MDA変性アポB−100部位に対する免疫応答がいかにアテローム性動脈硬化の疾病プロセスに関係するかを明白に実証する。高い抗体レベルは、より重篤なアテローム性動脈硬化症及びより増加した急性冠状動脈疾患の進展の危険と関連するので、一つの明白な可能性は、これらの免疫応答がアテローム発生を促進するということである。HSP 65のような熱衝撃蛋白質に対する免疫応答がアテロームを発生することを実証する研究は、この概念をある程度支持する。しかしながら、動物実験研究は、酸化LDL免疫のアテロームの保護効果を示した。脾臓摘出アポ E NullマウスのB細胞の再構築により、アテローム性動脈硬化症が減少した。アテローム性動脈硬化症の縮小は、免疫グロブリンを繰り返し注射したアポ E nullマウスでも見られた。本発明の観察は、必ずしも、酸化LDLに対する免疫応答のアテロームの保護役割について論じているのではない。これらの免疫応答は、LDL酸化のような前アテローム発生のプロセスによって活性化される。従って、それらは、さらに疾病プロセスの重篤さに比例すると考えられ、疾病進行に寄与することなく、疾病の重篤さ及びCHDの危険のマーカーとして寄与することができた。二つの関連文献で報告されたアポ B−100ペプチド配列によるアポ E nullマウスの免疫が、アテローム性動脈硬化症の進展を抑制するという発見は、症例となると考えられる。確かに、本発明の研究の最も重要な結果は、アテローム性動脈硬化症に対するワクチンコンポーネントとして使用することができる構造の同定である。年齢により生じるアポ B−100の中のMDA変性ペプチド配列に対する抗体の減少には、酸化LDLの血漿レベルの増加が伴うという認識は、循環からの最小に酸化されたLDLのクリアランスの増加が、これらの抗体がアテローム性動脈硬化症に対して保護することができるメカニズムの一つであることを提案する。

方法
研究人口
研究対象、1926−45の間の、マルモ(Malmo)「ダイエットアンドキャンサー(Diet and Cancer)(MDC)」研究集団に属するボー(borr)。1991年11月と1994年2月の間のMDC研究に入った人間の任意の50%に、頚動脈の疫学に関する研究に参加することを依頼した。健康診断に続いて、動脈疾病、罹患率及び致死率についての情報の確認用ルーチン、並びに伝統的な危険因子の定義が報告された。

急性冠動脈疾患の85の症例、即ち、致命的または非致命的なMIまたは冠動脈疾患(CHD)による死が確認された。心筋梗塞か脳卒中の病歴を有する参加者(n=6)は、本発明の研究に参加する資格がない。各症例について、心筋梗塞または脳卒中の病歴のないコントロール2名を、年齢、性別喫煙習慣、高血圧症の存在、スクリーニング試験への参加月数及び継続期間を個々に合わせて用いた。ロジスティックの理由(血液サンプルはペプチドの評価に十分な量で利用することはできなかった)により、7つの症例については1名のコントロールのみが利用可能であり、1つの症例にはコントロールがなかった。この症例は分析から除外された。従って、研究人口は、227人の患者、78の症例及び149のコントロールからなり、基線において年齢は49−67才(平均61才)であった。

研究所分析
一晩絶食した血液サンプルを、総コレステロール、トリグリセリド、HDLコレステロール、LDLコレステロール及び全血グルコースの血清値の測定のために採取した。LDLコレステロールは、フライドウルド(Friedewald)式によりmmol/Lに計算した。酸化LDLは、ELISA(マーコーディア(Mercordia))によって測定した。Bモード超音波バスキュログラフィー(vasculography)MH変換器を備えたアキューソン128コンピュータ断層撮影法ステム(アキューソン(Acuson)、マウンテンビュー(Mountain View)、カリフォルニア)を、前記のような右頚動脈の中で頚動脈プラークの評価に使用した。

アポB100ペプチド配列に対するELISAの開発
全ヒトアポリポプロテインBアミノ酸配列に相当する302個のペプチドを合成し(ユーロ−ダイアグノスティカアクチボラゲット、マルモ、スウェーデン及びケイアイロスペターソンエイエス、ホーホルム、デンマーク)、ELISAで使用した。各合成ペプチドのフラクションを0.5MのMDA(シグマ−アルドリッチスウェーデン アクチボラゲット、ストックホルム、スウェーデン)、0.5MのMDAにより37℃で3時間、及びリポソームの存在下で0.5MのMDAにより37℃で3時間または5mMのCuCl2(シグマ)により37℃で18時間変性した。MDA変性ペプチドを、いくつかの変更をした1mMのEDTAを含有するPBSで4℃で18時間透析した。該ペプチドの変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲル(バイオ−ラッドラボラトリーズ、ハーキュリーズ、カリフォルニア)で試験した。

クロロホルム溶液中、モル比9:1の卵ホスファチジルコリン(EPC)(シグマ)とホスファチジルセリン(PS)(シグマ)の混合物及び3mMのリン脂質(PL)を、ガラス管中、穏やかなアルゴン流下で蒸発させた。その後、該溶液を真空下に3時間置いた。滅菌濾過10mMHEPESバッファー,pH7.4中の0.10mMペプチド(5ml)、145mMのNaCl及び0.003%のナトリウムアジドをEPC/PS乾燥フィルムに添加し、50℃で15分間インキュベートした。この混合物を室温で5分間おだやかにボルテックスミキサーで混合し、その後氷冷浴に入れ、7.4アンプリチュードミクロンで1分間の間隙を入れて3分間で3回、超音波処理した(ソニープレップ150 MSEサンヨー、タムロ−メドラブ、スウェーデン)。このPLペプチド混合物(天然型または0.5MのMDAにより37℃で311変性または5mMのCuCl2により37℃で18時間変性したもの)をガラスバイアル中にアルゴン下、4℃で、アルミホイルで封をして貯蔵し、1週間以内に使用した。このMDA変性混合物を、貯蔵前に、いくつかの変更をした1mMのEDTAを含有するPBSで4℃で18時間透析した。該混合物の変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲル(バイオ−ラッドラボラトリーズエイエス、サンドバイバーグ、スウェーデン)で試験した。

リポソームの存在下または不存在下でPBS,pH7.4(20leg/ml)で希釈した天然のまたは変性した合成ペプチドを、マイクロタイタープレートウェル(ヌンクマキシソープ、ヌンク、ロスキルド、デンマーク)に吸着させ、4℃で一晩インキュベートした。参照用として、ペプチドの一つ(P6)を、各プレートに流した。0.05%Tween−20を含有するPBS(PBS−T)で洗浄した後、コーティングされたプレートを、TBS中のスーパーブロック(ピアース、ロックフォード、イリノイ)で室温で5分間ブロックし、続いて、TBS−0.05%Tween−20(TBS−T)で希釈されたプールされたヒト血漿を室温で2時間、その後4℃で一晩インキュベートした。すすいだ後、該ペプチドに対する自己抗体の付着を、TBS−Tで適当に希釈したビオチニル化ウサギ抗ヒトIgGまたはIgM抗体(ダコエイ/エス、グロストラップ、デンマーク)を用いることにより検出した。さらに室温で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、結合したビオチニル化抗体をアルカリホスファターゼ結合ストレプトアビジン(シグマ)で検出し、室温で2時間インキュベートした。着色反応を、ホスファターゼ基質キット(ピアース)を用いて展開し、室温で1時間インキュベートした後、405nmの吸収を測定した。異なるペプチドの吸収値をP6の吸収値で分け、比較した。

統計
SPSSを統計分析のために使用した。適切な場合、結果は平均値と範囲として、および比率として示される。ボックスプロット(Boxplot)とスキャッタープロット(scatterplots)を、症例および対応するコントロール中の年齢と選択されたペプチドの関係を説明するために使用した。対応するグラフも、年齢と選択されたペプチドの関係を、症例およびコントロールについて、基線の平均年齢(61才)未満または以上で、また別に平均年齢未満の症例及びコントロールについて例証するために使用した。症例とコントロールでは、別々に、年齢と性別のために調整された部分的な相関係数が、選択されたペプチドおよび血液脂質レベルと共通の頚動脈のIMTの間で計算された。年齢及び性別で調節した部分的な相関係数は、平均年齢以下およびそれ以上で症例およびコントロールにおける共通の頚動脈のIMTと選択されたペプチドの間で計算された。独立のサンプt−検定は通常分配された連続変数を評価するために、カイ二乗検定は症例とコントロールの比率を評価するために使用された。非パラメーター検定マンホイットニー)は症例とコントロールの間の非通常分配された連続変数を評価するために使用された。p−値はすべて両側(two-tail)である。


心筋梗塞心筋梗塞のある若い患者(49−61才)および高齢の患者(62−67才)における、及び年齢、性別、喫煙および高血圧症を一致させたそれらの対応するコントロールにおける、年齢及び性別で合わせた異なる基線MDAペプチドおよび共通の頚動脈内膜中膜厚さのための相関係数

ヘ゜フ゜チト゛ 49-61才の症例及びコントロール 62-67才の症例及びコントロール
n=116 n=111
IGM
MDA32 0.235t -0.101
MDA45 0.366$ -0.030
MDA74 0.178 0.063
MDA102 0.255$ -0.039
MDA129 0.330$ -0.009
MDA 162 0.2451 0.001
MDA 210 0.254 0.013
MDA、240
IGG
MDA215 0.119 -0.059
p<0.05;$/xO.Ol

概要

アテローム性動脈硬化症をベースとする心疾患の治療法の提供。アポリポタンパク質B断片、特に、虚血性心疾患に対する免疫源としてのまたは治療的な性質を有し、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay))の一またはそれ以上の前記ペプチドを使用して、虚血性心疾患の進展の危険の増加または減少に関する抗体の存在または不存在を分析するヒトを含む哺乳類の免疫感作または治療のための定義されたペプチドに関する。なし

目的

血管壁の酸化LDLに対する自己免疫応答がアテローム性動脈硬化症の進展に重要な役割を果たす可能性を調査する別の方法は、それ自身の酸化LDLに対して動物を免疫感作することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

虚血性心疾患に対するヒトを含むほ乳類予防的治療又は治療のための,アポリポタンパク質Bの1又はそれ以上の断片に対する,精製又は遺伝子組換え生産された抗体。

請求項2

1又はそれ以上の前記断片が下記のペプチドの群又は該ペプチドの活性部位から選択される請求項1記載の抗体。IEIGLEGKGFEPTLEALFGKFLDTVYGNCSTHFTVKTRKGPQCSTHILQWLKRVHAPLLVISIPRLQAEARSEIAHSKLVKEALKESQLPTVMDFRKLKFVTQAEGAKQTEATMTFKDGSLRHKFLDSNIKFSHVEKKGTYGLSCQRDPNTGRLNGERLNGESNLFNSSLQGTNQSLTSTSDLQSGIIKNTASLKTASLKYENYELTLKSDTNGKDMFSKNALLRSEYQADYEMKVKIRTDQMQNSELQWPIALDDAKINFNEKLSQLQTYKTTKQSFDLSVKAQYKKNKHEEEMLENVSLVCPKDATRFKGSTSHHLVSRKSISAALEHKIENIDFNKSGSSTASWIQNVIREVTQRLNGEIQALELPQKEVDVLTKYSQPEDSLIPFFHTFLIYITELLKKLQSTTVMLLDIANYLMEQIQDDCGDECTGDEDYTYKIKRVIGNMGQGNMGQTMEQLTPELSSILKSSILKCVQSTKPSLMIQKAAIQKAAIQALRKMEPKDKDQERLNGESNLRFNSSYLQGTNQSLNSHGLELNADILGTDKINWIQNVDTKYQIRIQIQEKLQTYISDWWTLAAKNLTDFAEQEATLQRIYSLWEHSTKNHLQALLVPPETEEAKQVLFLDTVSGASMKLTTNGRFREHNAKFNLIGDFEVAEKINAFRAKVHGHSVLTAKGMALFGEGKAEFFKSSVITLNTNAELFNQSDIFPDLGQEVALNANTKNQKIR及び,ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS

請求項3

1又はそれ以上の前記断片が天然型又は酸化型である請求項1又は2記載の抗体。

請求項4

1又はそれ以上の前記断片がアルデヒド誘導体である請求項3記載の抗体。

請求項5

1又はそれ以上の前記断片がマロンアルデヒド又はヒドロキシノネナルである請求項4記載の抗体。

請求項6

1又はそれ以上の前記断片がアルデヒドのハプテンである請求項4又は5記載の抗体。

請求項7

1又はそれ以上の前記断片が銅を用いて酸化されている請求項3記載の抗体。

請求項8

1又はそれ以上の前記断片がリン脂質リポソームとの組み合わせで存在する請求項1〜7いずれか1項記載の抗体。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の精製された又は遺伝子組換えで生産された1又はそれ以上の抗体の治療有効量を含有する,虚血性心疾患に対する,ヒトを含むほ乳類の予防的治療又は治療のための医薬組成物

請求項10

虚血性心疾患に対する,ヒトを含むほ乳類の予防的治療又は治療のための医薬組成物の調製における、請求項1〜8いずれか1項記載の抗体の使用。

技術分野

0001

本発明は、新規ペプチド、特にアテローム性動脈硬化症治療のための免疫治療に使用されるペプチド、及び酸化低密度リポ蛋白質に対する免疫応答の測定の及びアテローム性動脈硬化症の存在または不存在の診断のためのペプチドベースELISAの開発に関する。

0002

特に、本発明は下記のものを含む:
l) 表1に列挙した、天然型または変性したペプチドを単独でまたは組み合わせて、好ましくは適当な担体及び助剤と共に、虚血性の予防及び治療用のための免疫療法としてまたは抗アテローム性動脈硬化症「ワクチン」として使用すること
2)心疾患
3)虚血性心疾患進展の危険の増加または減少に関する抗体の検出用のELISAにおける該ペプチドの使用。

背景技術

0003

アテローム性動脈硬化症は大動脈または中動脈の最も内側の層(内膜)の肥厚を引き起こす慢性病である。これは血流を減少させ、罹患した血管によって供給される器官中の虚血及び組織破壊を引き起こしうる。アテローム性動脈硬化症は心筋梗塞、脳卒中及び周辺動脈疾患を含む心疾患の主な原因である。それは西欧諸国における主な死因であり、20年以内に全世界の主要な死因になることが予測される。

0004

この疾病は、主に低密度リポ蛋白質(LDL)であるリポタンパク質の血管の細胞外マトリックスへの蓄積によって始まる。これらのLDL粒子凝集し、酸化的変性を進行させる。酸化LDLは毒性であり、血管損傷を引き起こす。アテローム性動脈硬化症は、多くの点で炎症と繊維化を含むこの傷に対する反応を表す。

0005

1989年には、パリンスキ(Palinski)及びその同僚が、ヒトにおける酸化LDLに対する循環する自己抗体を確認した。この観察により、アテローム性動脈硬化症が酸化したリポタンパク質に対する免疫応答によって引き起こされる自己免疫疾患であることが提案された。この時に、いくつかの研究所は、酸化LDLに対する抗体価と心疾患との関係を探索し始めた。しかしながら、これらの研究から出現した臨床像は明白と言うにはほど遠いものであった。酸化LDLの多くの異なるエピトープに対する抗体は存在していたが、これらのエピトープの構造は未知であった。従って、「酸化LDL抗体」の語は、1つの特異抗体よりはむしろ、異なる抗体の未知の混合物を意味するものであった。T細胞に依存しないIgM抗体は、T細胞に依存するIgG抗体より頻度が高かった。

0006

酸化LDLに対する抗体は、心疾患を有する患者にも、健全コントロールにも存在した。いくつかの初期の研究には酸化LDL抗体価と心疾患との関連を報告したものもあるが、そのような関連を見いだせないものもあった。これらの研究の主な弱点は、抗体価の測定に使用されるELISA試験リガンドとして酸化LDL粒子を使用していたことである。LDLの組成は個体が異なれば異なり、酸化の変性の程度は制御するのも評価するのも困難であり、酸化LDL粒子中の異なるエピトープに対する抗体のレベルを測定することはできない。ある程度までは技術的な問題により、それまでのところ利用可能な技術を使用して、酸化LDLに対する抗体反応の役割を評価することは困難であった。しかしながら、完全な酸化LDL粒子を使用する場合、よく定義され複製可能なワクチンのコンポーネントを作成することは可能ではなかった。

0007

血管壁の酸化LDLに対する自己免疫応答がアテローム性動脈硬化症の進展に重要な役割を果たす可能性を調査する別の方法は、それ自身の酸化LDLに対して動物免疫感作することである。このアプローチの背後にある考えは、酸化LDLに対する自己免疫応答が古典的免疫技術を用いて強化されると、血管炎症の増加及びアテローム性動脈硬化症の進行をもたらすことである。この仮説テストするために、ウサギ同族の酸化LDLで免疫し、次に、3か月間、この動物に高コレステロール食を与えて、アテローム性動脈硬化症を引き起こした。

0008

しかしながら、もとの仮説とは対照的に、酸化LDLによる免疫感作は、アテローム性動脈硬化症を約50%縮小する保護効果を有していた。より積極的なプラークの進展を生じさせる血管バルーンインジュリーと高コレステロール食を組み合わせた後続の研究でも、同様の結果が得られた。我々の研究と平行して、他のいくつかの研究所は同様の観察を報告した。利用可能なデータをともに採用すると、アテローム性動脈硬化症の進展に対して保護を行う、酸化LDLに対する自己免疫を含む免疫応答が存在することが明白に実証された。

0009

これらの観察は、さらに人におけるアテローム性動脈硬化症をベースとする心疾患の治療のための免疫治療あるいは「ワクチン」の開発の可能性を示唆する。これを行う1つのアプローチは、個体を、自己のLDLで、例えば銅により酸化した後、免疫感作することであろう。しかしながら、このアプローチは、酸化LDLにおけるどの構造が防御免疫を引き起こす原因であるか、また酸化LDLがさらに逆の免疫応答を生じさせるエピトープを含んでいるかどうかが知られていないという事実によって複雑になる。

0010

酸化LDL中のエピトープの同定は、いくつかの観点から重要である:
まず、これらのエピトープのうちの1つあるいはいくつかのものは、酸化LDLで免疫感作した動物中で観察される抗アテローム発生免疫応答を活性化する原因となると考えられる。従って、これらのエピトープを含むペプチドは、ヒトの免疫治療あるいは「アテローム性動脈硬化症ワクチン」の開発の可能性を表わすかもしれない。さらに、それらは、ヒトにおいて進展したアテローム性動脈硬化症の治療のために使用することができる。

0011

第2に、同定されたエピトープを含むペプチドは、酸化LDLの特定の構造に対する抗体を検出することができるELISAを開発するために使用することができる。そのようなELISAは、現在利用可能な、抗原として酸化LDL粒子を使用するものより正確で且つ信頼できるであろう。さらに、それは、心疾患に関連した、酸化LDLの中の異なるエピトープに対する免疫応答の分析を可能にするであろう。

0012

米国特許5,972,890は、アテローム性動脈硬化症を分析するためのペプチドの使用に関する。該米国特許に示されている技術は、原理として放射物理学的診断形式である。ペプチド配列放射能で標識され、血流に注射される。このペプチド配列がアポリポタンパクBの中にある配列と同一である場合は、アポリポタンパクBについて存在しているレセプターが存在する組織に結合するであろう。血管では、これは上記全てのアテローム性動脈硬化のプラークである。その後、血管壁の放射能の濃度は、例えば、ガンマカメラによって測定することができる。従って、この技術は、放射標識されたペプチド配列がアテローム性動脈硬化のプラークに存在する正常な組織レセプターに結合するであろうという事実に基づいた放射物理学的方法であり、これは外部放射能分析を使用して検出される。これは、アテローム性動脈硬化のプラークを識別する直接分析方法である。それは、患者に放射性化合物投与されることを必要とする。

0013

本発明の技術は全く異なる法則及び方法に基づく。請求項1によると、本発明は、アポリポタンパクBのペプチド配列に対する免疫反応を分析する方法、並びに心疾患に対する免疫用のアポリポタンパクBの断片に関する。そのような免疫反応は、進展したアテローム性動脈硬化症の個体中で増加していることが示された。本発明の技術は、ポリマーウェルの底にペプチド配列を結合させることに基づく。血液サンプルが添加されると、該ペプチドはこれらの配列に特異的な抗体を結合させるであろう。その後、結合した抗体の量を免疫学的方法/技術を用いて調べる。従って、前記米国特許の技術とは対照的に、これは、アテローム性動脈硬化のプラークを識別し局在化させる直接の測定方法でなく、アテローム性動脈硬化症の進展の高度な共変を示す免疫学的応答を調べるものである。

0014

このように、本発明の基本原理は、前述の特許のものとは全く異なる。後者が、アテローム性動脈硬化の組織の中にあるリポタンパク質の正常なレセプターへのペプチド配列の結合に依存するのに対し、前者は、ペプチド配列に対する免疫反応の検出及びこれらのペプチド配列の抗体の測定に基づいている。

0015

公表された研究(パリンスキ他(Palinski et al)、1995年、そしてジョージ他(George et al)、1998)により、酸化LDLに対する免疫感作により、アテローム性動脈硬化症の進展が縮小されることを示された。これは、一般に酸化LDLに対する免疫反応が保護する効果があることを示すであろう。しかしながら、ここに与えられた結果は、驚くべきことに、これが必ずしもそうとは限らないことを示した。例えば、ペプチド#10、45、154、199及び240の混合物を用いた免疫感作は、アテローム性動脈硬化症の進展を増加させた。他のペプチド配列、例えばペプチド配列#1、及び30〜34を用いた免疫感作は、アテローム性動脈硬化症の進展に対する総合的な効果を欠いている。これらの結果は驚くべきである。その酸化LDLに対する免疫反応は、酸化LDLの中のどの構造に向けられるかに依存して、アテローム性動脈硬化症の進展を保護し、該進展に寄与し、または全く効果を奏しないからである。これらの発見は、免疫反応を保護することを活性化することを分離した免疫方法を開発することを可能にする。さらに、それらは、使用される粒子がアテローム発生の免疫反応を生じさせる構造を高レベルで含んでいる場合、完全な酸化LDLを使用する免疫感作が不利益な効果を奏するかもしれないことを示す。

0016

WO 99/08109は、血清血漿中の酸化LDLの存在を測定するための、酸化LDLの粒子に結合するマウスモノクローナル抗体パネルの使用に関する。従って、これは、酸化LDLに対する抗体を測定する方法が示されている本発明とは全く異なる。

0017

米国特許4,970,144号は、ペプチド配列を用いた免疫感作によって抗体を調製する方法に関し、該抗体は、ELISAを使用したアポリポタンパクの測定のために使用することができる。従って、これはこのように本発明と全く異なるものである。

0018

米国特許5,861,276号はアポリポタンパクの正常型組換え抗体を記載する。この抗体は、血漿及び血清中の正常なアポリポタンパクBの存在を調べ、循環中の正常なLDLの粒子の量を低下させることにより、アテローム性動脈硬化症を治療するために使用される。

0019

本発明において、抗体の使用は、アテローム性動脈硬化症の治療のために記述されている。しかしながら、米国特許5,861,276号とは異なり、これらの抗体は、LDLの正常な粒子ではなく酸化LDLの粒子中に存在する構造を指向する。その効果は、それがアテローム性動脈硬化症の進展を生じさせると予測される酸化LDLであるということである。酸化LDLに特有の構造を指向する抗体の使用は、該米国特許には記載されていない。

0020

発明の要約
血管壁におけるリポタンパク質、主としてLDLの酸化は、アテローム性動脈硬化症の進展において重要な要素であると考えられる。LDLの酸化中に生じた生成物は、血管細胞にとって有毒であり、炎症を引き起こし、プラーク形成を開始する。酸化LDL中のエピトープは免疫系によって認識され、抗体産生を生じさせる。動物実験により、これらの免疫応答のうちのいくつかがアテローム性動脈硬化症に対する保護効果を持っていることが示された。抗体は、通常、ペプチドに基づいた構造をほとんど排他的に指向する。LDL、アポリポタンパクB中に存在する唯一蛋白質の完全な配列をカバーするポリペプチドライブラリーを使用して、ヒトにおいて抗体産生を生じさせる酸化LDL中のエピトープが同定された。これらのペプチドエピトープは酸化LDLと心疾患に対する免疫応答の関連を研究し、かつ虚血性心疾患の予防及び治療のための免疫療法または抗アテローム性動脈硬化症「ワクチン」を開発するためのELISAを開発するために使用することができる。

0021

発明の詳細な説明
酸化LDL中のエピトープの分子特性は、ヒトにおいて抗体依存性の免疫応答を生じさることが実証された。使用されたアプローチは、免疫応答が5−6のアミノ酸長のペプチド配列を殆ど排他的に指向するという事実の利点を利用する。LDLは唯一の蛋白質、4563アミノ酸長のアポリポタンパクBのみを含む。酸化の間、アポリポタンパクBは断片化され、アルデヒド付加物が正に帯電したアミノ酸、特にリジンに結合する。これは、アポリポタンパクBの三次元構造のために通常は露出していないペプチド配列が免疫細胞アクセス可能になるか、及び/またはその通常露出しているペプチド配列がアルデヒドとのハプテン化により免疫原性となることを意味する。

0022

これにより、下記のペプチド、天然型またはMDA誘導体が、免疫反応を生じるような効果を有することが調べられた。これらのペプチドは:

FLDTVYGNCSTHFTVKTRKG
QCSTHILQWLKRVHAPL
ISIPRLQAEARSEIAHWS

KLVKEALKESQLPTVMDFRK
LKFVTQAEGAKQTEATMTFK
DGSLRHKFLDSNIKFSHVE
GTYGLSCQRDPNTGRLNG
RLNGESNLFNSSLQGTNQ
LTSTSDLQSGIIKNTASLK
TASLKYENYELTLKSDTNGK
DMFSKNALLRSEYQADYE
MKVKIRTDQMQNSELQWP

IALDDAKINFNEKLSQLQTY
KTTKQSFDLSVKAQYKKNKH

EEEMLENVSLVCPKDATRFK
GSTSHHLVSRKSISAALEHK
IENIDFNKSGSSTASWIQNV
IREVTQRLNGEIQALELPQK
EVDVLTKYSQPEDSLIPFF

HTFLIYITELLKKLQSTTVM
LLDIANYLMEQIQDDCGD
CTGDEDYTYKIKRVIGNMGQ
GNMGQTMEQLTPELSSILK
SSILKCVQSTKPSLMIQKAA
IQKAAIQALRKMEPKDKDQE
RLNGESNLRFNSSYLQGTNQ
SLNSHGLELNADILGTDKIN
WIQNVDTKYQIRIQIQEKLQ
TYISDWTLAAKNLTDFAE
EATLQRIYSLWEHSTKNHLQ

ALLVPPETEEAKQVLFLDTV
IEIGLEGKGFEPTLEALFGK
SGASMKLTTNGRFREHNAK
NLIGDFEVAEKINAFRAKVH
GHSVLTAKGMALFGEGKAEF
FKSSVITLNTNAELFNQSDI
FPDLGQEVALNANTKNQKIR, 並びに非抗体産生ペプチド
ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS
またはこれらのペプチドの一またはそれ以上の活性部位である。

0023

材料及び方法
LDL酸化の結果免疫原性になるアポリポプロテインBの部分を調べるために、ヒトアポリポプロテインBの全配列をカバーする20アミノ酸の長さのペプチドからなるポリペプチドライブラリーを形成した。これらのペプチドは、全ての配列をカバーするために破断点で5アミノ酸の重複を有するように製造した。ペプチドは、そのままの状態で、またはリン脂質リポソーム挿入した後、銅に接触させて酸化した後またはLDL酸化中に生じ得るアミノ酸の異なる変性を模したマロンデアルデヒド(MDA)変性の後に使用した。

0024

ペプチド
ヒトアポリポプロテインBの全アミノ酸配列に相当する302ペプチドを合成し(ユーロ−ダイアグスティアクボラゲット(Euro-Diagnostica AB)、マルモ(Malmo)、スウェーデン及びケイアイロスペタソンエイエス(KIRoss Petersen AS)、 ホーホルム(Horholm)、デンマーク)、ELISAで使用した。各合成ペプチドフラクションを、0.5MのMDA(シグマアルドリッチスウェーデン アクチボラゲット(Sigma-Aldrich Sweden AB)、ストックホルム、スウェーデン)で37℃で3時間、そしてリポソームの存在下で、0.5MのMDAにより37℃で3時間または5μMのCuCl2(シグマ)により37℃で18時間変性させた。MDAで変性させたペプチドはいくつかの変更をした1mMのEDTAを含むPBSで、4℃で18時間透析した。これらのペプチドの変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲルバイオ−ラッドラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories)、ハーキュリーズ(Hercules)、カリフォルニア(CA))で試験した。ペプチドは、該タンパク質N末端から出発して、1−302の番号を付された。

0025

他のアルデヒドをヒドロキシノネナル等の誘導体の製造に使用することもできる。

0026

リポソーム
クロロホルム中、モル比9:1のホスファチジルコリン(EPC)(シグマ)及びホスファチジルセリン(PS)(シグマ)と3mM濃度リン脂質(PL)の混合物を、ガラス容器中、緩やかなアルゴン流の下で蒸発させた。その後、該容器を3時間真空下に置いた。滅菌濾過した10mMのHEPES緩衝液pH7.4中、0.10mMペプチド(5ml)、145mMのNaCl及び0.003%のアジ化ナトリウムを含有する溶液をEPC/PS乾燥フィルムに添加し、50℃で15分間インキュベートした。この混合物を室温で約5分間穏やかにボルテックスミキサーで混合し、その後、氷冷浴中に入れ、1分間の間隙をおいて7.5アンプチューミクロンで3分間で3回超音波処理した(ソニープレップ(Sonyprep)150 MSEサンヨー(Sanyo)、タムロ−メドラブ(Tamro-Medlab)、スウェーデン)。天然のまたは0.5MのMDAにより37℃で3時間もしくは5mMのCuCl2により37℃で18時間変性したPLペプチド混合物を、アルミホイルで封をしたガラスバイアルに4℃、アルゴン下で保存し、1週間以内に使用した。このMDA変性混合物を、貯蔵前に、いくつかの変化を加えた1mMのEDTAを含有するPBSで、4℃で18時間透析した。該混合物の変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲル(バイオ−ラッドラボラトリーズエイエス(Bio-Rad Laboratories AB)、サンドバイバーグ(Sundbyberg)、スウェーデン)で試験した。

0027

血漿サンプル
心疾患の患者(AHP)10人及び健常な血液ドナー(NHP)50人(女性25人、男性25人)からの血漿サンプルを集めプールした。二つのプールを分割し、−80℃で貯蔵した。

0028

ELISA
リポソームの存在下または不存在下でPBS,pH7.4(20μg/ml)で希釈した天然のまたは変性した合成ペプチドを、マイクロタイタープレートウェル(ヌンクマキシソープ(Nunc Maxisorp)、ヌンク(Nunc)、ロスキルド(Roskilde)、デンマーク)に吸着させ、4℃で一晩インキュベートした。参考用として、ペプチドの一つ(P6)を、各プレートに流した。0.05%Tween−20を含有するPBS(PBS−T)で洗浄した後、コーティングされたプレートを、TBS中のスーパーブロック(SuperBlock)(ピアース(Pierce)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ(IL))で室温で5分間ブロックし、続いて、TBS−0.05%Tween−20(TBS−T)で希釈されたプールされたヒト血漿、AHPまたはNHPを室温で2時間、その後4℃で一晩インキュベートした。すすいだ後、該ペプチドに対する自己抗体の付着を、TBS−Tで適当に希釈したビオチニル化ウサギ抗ヒトIgGまたはIgM抗体(ダコエイ/エス(DakoA/S)、グロストラップ(Glostrup)、デンマーク)を用いることにより検出した。さらに室温で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、結合したビオチニル化抗体をアルカリホスファターゼ結合ストレプトアビジン(シグマ)で検出し、室温で2時間インキュベートした。着色反応を、ホスファターゼ基質キット(ピアース)を用いて展開し、室温で1時間インキュベートした後、405nmの吸収を測定した。異なるペプチドの吸収値をP6の吸収値で分け、比較した。

0029

アポリポプロテインBの配列は、添付図面の配列番号1〜37に示されている。AHP及びNHPのいずれも、大量の異なるペプチドに対する抗体を含んでいた。天然及び変性ペプチドの両方に対する抗体が同定された。通常、MDA変性ペプチドに対する抗体力価は、対応する天然型ペプチドのものより高いか等しい。天然型、MDA変性、銅酸化ペプチドを比較すると、高い相関度を示し、MDA変性ペプチドを用いた場合にもっとも高い抗体力価が検出された。リポソームに組み込まれたペプチドを使用すると、抗体レベルは増加しなかった。IgMサブクラスの抗体は、IgGサブタイプの抗体に比べてはるかに一般的である。

0030

最も高い抗体レベルが検出されたペプチドは、一般的な特性により6グループに分けることができた(表1):
(A)MDA変性ペプチドに対する高レベルのIgG抗体(n=3)
(B)高レベルのIgM抗体であるが、天然型及びMDA変性ペプチドに差はなかった(n=9)
(C)高レベルのIgG抗体であるが、天然型及びMDA変性ペプチドに差はなかった(n=2)
(D)MDA変性ペプチドに対する高レベルのIgG抗体、AHP−プールに比べて、NHP−プールにおいて少なくとも2倍高い(n=5)
(E)MDA変性ペプチドに対する高いレベルのIgM抗体、AHP−プールに比べて、NHP−プールにおいて少なくとも2倍高い(n=11)
(F)高レベルのIgG抗体であるが、無傷の及びMDA変性ペプチドの差はなく、AHPプール中の抗体はNHPプールと比較して少なくとも2倍である(n=7)
(G)IgGまたはIgM抗体がない

0031

表1
A.高レベルIgG,MDA−差
P 11.FLDTVYGNCSTHFTVKTRKG
P 25. PQCSTHILQWLKRVHANPLL
P 74. VISIPRLQAEARSEILAHWS

B. 高レベルIgM, MDA−差なし
P 40. KLVKEALKESQLPTVMDFRK
P 68. LKFVTQAEGAKQTEATMTFK
P 94. DGSLRHKFLDSNIKFSHVEK
P 99. KGTYGLSCQRDPNTGRLNGE
P 100. RLNGESNLRFNSSYLQGTNQ
P 102. SLTSTSDLQSGIIKNTASLK
P 103. TASLKYENYELTLKSDTNGK
P 105.DMTFSKQNALLRSEYQADYE
P 177. MKVKIIRTIDQMQNSELQWP

C. 高レベルIgG, MDA 差なし
P 143. IALDDAKINFNEKLSQLQTY
P 210. KTTKQSFDLSVKAQYKKNKH

D. NHS/AHP, IgG−ak > 2, MDA−差
P l. EEEMLENVSLVCPKDATRFK
P 129. GSTSHHLVSRKSISAALEHK
P 148.IENIDFNKSGSSTASWIQNV
P 162. IREVTQRLNGEIQALELPQK
P 252. EVDVLTKYSQPEDSLIPFFE

E. NHS/AHP, IgM−ak > 2, MDA−差
P 301.HTFLIYITELLKKLQSTTVM
P 30. LLDIANYLMEQIQDDCTGDE
P 31. CTGDEDYTRKIKRVIGNMGQ
P 32. GNMGQTMEQLTPELKSSILK
P 33. SSILKCVQSTKPSLMIQKAA
P 34. IQKAAIQALRKMEPKDKDQE
P 100. RLNGESNLRFNSSYLQGTNQ
P 107. SLNSHGLELNADILGTDKlN
P 149. WIQNVDTKYQIRIQIQEKLQ
P 169. TYISDWWTLAAKNLTDFAEQ
P 236. EATLQRIYSLWEHSTKNHLQ

F. NHS/AHP, IgG−ak < 0.5, MDA−差なし
P l0. ALLVPPETEEAKQVLFLDTV
P 45. IEIGLEGKGFEPTLEALFGK
P 1l1. SGASMKLTTNGRFREHNAK
P 154. NLIGDFEVAEKINAFRAKVH
P 199.GHSVLTAKGMALFGEGKAEF
P 222. FKSSVITLNTNAELFNQSDI
P 240.FPDLGQEVALNANTKNQKIR

G.
P 2.ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS

0032

これらの38のペプチド配列の全ては、アテローム動脈硬化症及び虚血性心疾患の進展に重要な役割を果たす免疫応答の標的を表す。従って、これらのペプチドは、アポリポプロテインBにおけるMDA変性アミノ酸の定められた配列に対する抗体レベルと心疾患の進展のリスクとの関連を決定するELISAの開発に使用され得る。

0033

これらのペプチドは、酸化LDLで免疫した実験動物に見られる保護免疫の可能なメディエータをも表し、アテローム動脈硬化症に対する免疫療法またはワクチンのさらなる開発における試験のために使用され得る。

0034

このように、ヒトアポリポプロテインBにおける38の異なる配列が、ヒトにおいて免疫応答を著しく上昇させることが確認された。これらのエピトープは、酸化LDLに対する抗体としてあらかじめ記載されたものを表すと考えられる。殆どの免疫応答は、ペプチド配列を指向し、アポリポプロテインBはLDLにおける唯一のタンパク質であるので、このプロジェクトで用いられる試みは、酸化LDL粒に対する本質的に全ての抗体についての特異的なエピトープを同定することができるであろう。カルジオリピンに対する抗体を含むリン脂質特異的抗体ファミリーが酸化LDLと反応するが、これらの抗体の特異性及び役割は完全に特徴的であり続けることが記載されている。

0035

多くの場合、MDA変性ペプチドに対する抗体力価は、対応する天然型ペプチドのものより高い。MDA変性ペプチドに対する抗体が検出された場合、それはほぼ常に天然型配列に対する抗体の存在と関連する。これに対する説明としては、アポリポプロテインBにおいてMDA変性アミノ酸(LDL酸化の結果生じるMDA変性)に対する免疫応答が天然型の配列に対する許容性破壊を導くことが考えられる。他の配列については、MDA変性と天然型配列に対する抗体力価に差はない。これは、免疫応答が天然型配列に対するものを指向していることを提案する。免疫系に通常さらされているタンパク質のアミノ酸配列に対する免疫応答はない。天然型LDL粒において、アポリポプロテインBの大部分はLDLのリン脂質層に隠れているので、免疫系にアクセスできない。LDLの酸化の間に、アポリポプロテインBのアミノ酸鎖は断片化され、三次元構造に変化が生じる。これにより、通常は免疫応答にアクセス不可能なペプチド配列が露出し、これらの配列に対する抗体が生成すると考えられ、これが天然型のアポリポプロテインBに対する抗体の存在が見られることを説明するであろう。さもなければ、真の免疫応答は、MDA変性配列に対するものであるが、天然型の配列と交差反応性を有し、結合に差がないほど大きいことが示されるであろう。

0036

表2
78人の被験者(後天的に進展した心筋梗塞、26の健常対照群(healthy controls)及び26の疾病はないが高リスクの個体)における異なるペプチドと内膜/中膜の厚さとして評価した頸動脈におけるアテローム動脈硬化症との相関



+,r>0.2<0.3,p=<0.05;++,r>0.3<0.4,p=0.01;+++,r>0.4,p=<0.001,灰色,心筋梗塞に罹患した群で顕著に増加したペプチド抗体レベル

0037

酸化LDL中の特定のエピトープに対する免疫反応と心疾患の進展の存在及び/または危険性との関係を調べるために、これらのペプチド(天然型またはMDA変性型)に基づいたELISAを使用し得る可能性を、予備的研究として調べた。この研究は、マルモダイエットキャンサースタディ(Malmo Diet Cancer study)(人口ベースの研究)に参加した被験者について行われ、1989年と1993年の間に30,000以上の個体を募集した。表1に列挙した38のペプチドのうちの24のペプチドに対する抗体レベルを、継続期間に急性心筋梗塞が進展した26人の被験者、年齢、性及び喫煙の有無を合わせた26の健常者対照群基線の血漿サンプルについて調べた。年齢、性及び喫煙の有無を合わせた、LDLコレステロール値が5.0 mmol/l以上の群も、心疾患が進展していない高リスクグループ中の抗体レベルを研究するために含めた。

0038

分析された24のペプチドのうちの19のペプチドについては、MDA変性ペプチドに対するIgM抗体レベルと、総頚動脈の超音波調査によって評価されるような頚動脈(内膜/中膜厚さ)中のアテローム性動脈硬化症の程度の間に著しい相関性が確認された。即ち、より高い抗体レベルはより増大したアテローム性動脈硬化症となる(表2)。これらのペプチドの多くに、天然のペプチドに対する抗体のレベルと頚動脈の内膜/中膜厚さとの著しい相関性が存在した。4つのペプチドだけが、IgG抗体と頚動脈の内膜/中膜厚さとの著しい相関性を示した。これらの観察は、アテローム性動脈硬化症が進展した患者の確認に、MDA変性ペプチド(単独で、あるいは組み合わせて)を使用するELISAを使用し得ることを示唆する。

0039

試験したペプチドのうちの4つは、アテローム性動脈硬化症が進展した存在に関連するだけでなく、その後心梗塞を罹患した患者群においても著しく上昇した(表2)。これらのペプチドのうちの1つ(ペプチド240)のデータを図7に示す。これらの観察は、さらに、ペプチドベースのELISAが心筋梗塞が進展する危険が増加している患者を確認するのにも使用し得ることを示す。

0040

また、後に心筋梗塞に罹患した群においても、天然型のペプチド103、162及び199、及びMDA変性ペプチド102に対するIgG抗体レベルの著しい増加があった。しかしながら、これらのペプチドに対するIgG抗体は、頚動脈中のアテローム性動脈硬化症の存在にはそれほど関係していなかった。

0041

特に興味深い観察は、健常者対照群及び高リスクグループ(5.0 mmol/lより高いLDLコレステロール)において、心筋梗塞が進展したグループよりも著しく高いレベルのIgM抗体が存在したMDA変性ペプチド210に対する抗体に見られた。従って、MDA変性ペプチド210に対する抗体は、心疾患が進展する危険性が減少した個体のためのマーカーを表わし得る。

0042

天然型及びMDA変性アポB−100ペプチド配列による免疫感作が実験動物にアテローム性動脈硬化症の抑制をもたらすことが示された(ノーディンフレドリクソン(Nordin Fredrikson)、(ソダーバーグ他)(Soderberg et al)、シュー他(Chyu et al))。これらのアテローム防御免疫応答が作動するメカニズムはまだ完全には解明されていない。しかしながら、考えられる可能性は、これらのペプチド配列に対して生成された抗体によってアテロームの保護効果が媒介されるということである。これらの抗体は、例えばマクロファージFc受容体による酸化的に損傷したLDL粒子の除去を促進するであろう。

0043

マクロファージスカベンジャー受容体は、広範囲酸化的損傷を伴うLDLのみを認識する。最近の研究により、循環する酸化LDLの存在が確認された(10,11)。これらの粒子は、最小の酸化的損傷のみを有しており、スカベンジャー受容体によって認識されない。循環する酸化LDL粒子への抗体の結合は、それらが血管組織に蓄積する前に、循環からそれらを取り除かれるのを助ける(12)。

0044

いくつかの研究は、アテローム性動脈硬化症からの保護における抗体用の役割を支持した。B細胞再構成は、脾臓摘出されたアポE nullマウス(13)におけるアテローム性動脈硬化症の進展及びRAG−1マウスにおける頚動脈の傷の後の新内膜形成を抑制した(我々の研究所からの出版されていない観察)。さらに、免疫グロブリンを繰り返し注射することによりアポ E nullマウス中のアテローム性動脈硬化症が縮小されることが示された(6)。

0045

上記で論じたように、アポB−100の中のMDA変性ペプチド配列に対する抗体は、合成ペプチドを用いた能動免疫感作により生じ得る。この方法は、抗体産生の完全な効果が得られるまでに、2〜3週間を要する。

0046

いくつかの状況においては、より迅速な効果が必要であり得る。一例として、酸化LDLが炎症に寄与している不安定なアテローム性動脈硬化のプラークが挙げられる。これらの状況下では、天然型及びMDA変性配列に対する精製された、または遺伝子組み換えにより生産された抗体の注入による受動免疫法が、より速い効果を奏し得る。

0047

精製された、または遺伝子組み換えにより生産された抗体の注入による受動免疫法が有効である別の状況として、高齢の個体における冠動脈疾患が挙げられる。我々の研究により、人が高齢となるに従ってアポBペプチド配列に対する抗体の減少が生じ、これが酸化LDLの血漿レベルの増加に関係していることが示された(ノーディンフレドリクソン、ヘドラブ他(Hedblad et al))。このことは、酸化LDLにおいて、抗原に対する抗体産生を担う免疫細胞の老化を示唆し得る。また、循環からの酸化的に損傷したLDL粒子の不完全クリアランスに帰するかもしれない。従って、これらの患者は、アポ B−100ペプチド配列による能動免疫法からよりも、精製された、または遺伝子組み換えにより生産された抗体の注入による受動免疫法により、さらに利益を受け得る。

0048

下記で使用される合成の天然型ペプチド(ユーロ−ダイアグノスティカアクチボラゲット(Euro-Diagnostica AB)、マルモ(Malmo)、スウェーデン)は、最初にスクリーニングされたポリペプチドライブラリーからのペプチド1、2及び301であった。ペプチド1(アミノ酸配列: EEEMLENVSLVCPKDATRFK、n=10)及びペプチド301(アミノ酸配列:HTFLIYITELLKKLQSTTVM、n=10)は、各々天然型ペプチドよりも、MDA変性ペプチドに対する高いIgGまたはIgM抗体応答を有することが見出された。また、両方の力価健常者において、より高い値であった。これらのペプチドは、これらのペプチドに対する抗体反応がアテローム性動脈硬化症に対して保護するかもしれないという仮定に基づいて選択された。

0049

ペプチド2(アミノ酸配列:ATRFKHLRKYTYNYQAQSSS、n=10)は、初期の抗体スクリーニングにおいて抗体反応を誘起しなかったので、コントロールペプチドとして選択された。ミョウバンを投与したマウスをコントロール(n=9)に供した。

0050

アポE(−/−)マウスに、6−7週齢で皮下に一次免疫を受けさせ、3週間後に腹腔ブースターを行った。マウスに、免疫感作の開始からの高コレステロール食を与え、25週齢で屠殺するまで継続した。屠殺時に、4グループのマウス中の体重に著しい違いはなかった。また、市販のキット(シグマ)を使用して測定された血清コレステロールに統計的な有意差はなかった。それらの平均血清コレステロール値はすべて715mg/dlより高かった。

0051

アテローム性動脈硬化のプラークによって覆われた下行大動脈の領域をオイルレッドO染色の後のen face調製で測定した。コントロール群と比較すると、ペプチド番号2及び301で免疫したマウスにおいては、アテローム性動脈硬化の病巣が実質的に減少した(図2)。ペプチド番号1による免疫感作は、コントロール群と比較して、アテローム性動脈硬化症の顕著な減少を生じなかった。下行大動脈とは対照的に、大動脈根中のアテローム性動脈硬化症の病巣は4つの実験群で異なることはなかった(図3)。

0052

大動脈洞プラークの大きさあるいはその脂質含量については、4つのグループで差はなかった(表A)。4グループのマウスにおいて、大動脈弓中の平均プラークサイズに違いはなかった。しかしながら、オイルレッドO染色による胸部及び腹部の下行大動脈のプラークサイズのen face評価は、コントロールグループとペプチド番号1のグループが大動脈に同様の量のアテローム性動脈硬化のプラークを有するのに対し、ペプチド番号2及び9のグループが大動脈に著しく縮小されたアテローム性動脈硬化の病巣を有していることを明らかにした(表A)。ペプチド免疫感作は大動脈洞あるいは大動脈弓のプラークサイズに影響しなかったが、下行大動脈のプラークを縮小したという観察は興味深く、ペプチド免疫感作が新しいプラーク形成を縮小するかもしれないがプラークの進行に影響しないことを示唆する。

0053

さらに、ペプチド免疫がアテローム性動脈硬化のプラークの表現型を調整するかどうか試験した。凍結切片の形態の大動脈洞プラークを単球/マクロファージ抗体(MOMA−2、セロテック(Serotec))で免疫組織化学的に染色した。

0054

en face観察による発見と一致して、ペプチド番号2は、マクロファージの浸潤を実質的に減少させた(図l)。三色染色により、ペプチド番号2のグループからの大動脈洞プラークにおいて、平均40.0±7.7%のコラーゲン含量が明らかになった;ミョウバンコントロールグループ、ペプチド番号1番のグループ、ペプチド番号9のグループの平均コラーゲン含量は、それぞれ32.3±5.3%、35.6±8.5%及び29.4±9.6%であった。

0055

各グループにおいて免疫感作したペプチドに対する抗体反応が測定された。免疫感作後の抗体価はペプチド番号1の群で6.1±3.1倍、ペプチド番号2のグループで2.4±1.0倍、ペプチド番号9のグループで1.8±0.6倍であったのに対し、ミョウバングループはペプチド番号1に対して3.9±2.7倍の増加、ペプチド番号2に対し2.0±0.5倍の増加、ペプチド番号9に対して2.0±0.9倍の増加であった。免疫グループとミョウバン処理グループの両方で免疫ペプチドに対する抗体価が並列的に増加したことは驚くべきことである。このことは、下記の可能性を意味するであろう:
(1)体液の免疫応答(細胞の免疫応答のような)以外のメカニズムは、アテローム性動脈硬化症を調整することに関与し得る;あるいは、(2)この抗体の増加は経時的コレステロール過剰血症に対するバイ−ストランダー(by-stander)反応であった。

0056

なぜペプチド免疫感作がアテローム性動脈硬化症を縮小したかを説明し、及び/またはプラーク表現型を調整する明瞭な推定メカニズムはないが、この発明の新規性は免疫原としてLDLのペプチドを使用すること及び免疫修飾手段としてのその実現可能性の点にある。このペプチドベースの免疫手段はアテローム性動脈硬化のプラークを調節する。抗原として同族のoxLDLあるいは天然型のLDLを使用した免疫感作により、プラークサイズが縮小されることが示されたが1−3、同族のヒトLDLの有用性、生産、感染及び安全性の点から、このアプローチを臨床に適用するのは魅力欠ける。我々の最終結果は、健常者におけるより高いIgMまたはIgG抗体反応を有するペプチドを使用する免疫感作が、進行したアテローム性動脈硬化のプラークの進展から、実験動物を保護するかもしれないという我々の初期の仮説と異なるが、ペプチドベースの免疫療法が実現可能であることはここで実証される。

0057

免疫ペプチド番号2を使用する免疫感作が下行大動脈における新しいアテローム性動脈硬化症の進展及びマクロファージ潜入の減少及びプラーク中のより高いコラーゲン含有量から動物を保護したことを見いだしたのは、そのペプチドが初期のヒトスクリーニングではなんの抗体応答をも与えなかったので、驚くべきことである。これは、(a)ペプチド番号2がヒトの免疫系に露出されていないアポ−B−100蛋白質構造の一部であるからかもしれない。従って、抗体は健康なヒトの血清プールから生成されず検知されなかった;(b)また、それはペプチド番号2のアミノ酸配列が、マウスにとっては外来であり、マウスは、新しいアテローム性動脈硬化症の形成を調整するこのペプチド及びその表現形に対する免疫応答を進展させないためであるとも考えられる。

0058

プラークサイズが大動脈枝の異なる部分で評価される場合、プラークサイズに対する同族のLDL免疫の効果が変動した。例えば、アメリ他(Ameli et al)は、高コレステロール血症のウサギにおいて、天然型のLDLによる免疫感作により大動脈のプラーク形成が縮小されることを示し1、フレイギャング(Freigang et al)は、プラークサイズの縮小を大動脈ではなく大動脈洞で示した。彼らの発見と本発明の発見を合わせると、ペプチド免疫がプラークサイズだけでなくプラークの組成をも調整することが推測された。プラークを縮小する効果は、下行大動脈でのみ観察された。アポE(−/−)マウスは単一の動物の中の発展の様々な段階で、特に高コレステロール食を供給された時、アテローム性動脈硬化症を進展させることが知られている。若い動物におけるアテローム性動脈硬化症の初期の外観は大動脈洞にあり6,7、また15週後の高脂、高コレステロール食による大動脈洞の疾病は進行したプラークであった。これに対し、アテローム性動脈硬化症の初期段階は下行大動脈にあった6。下行大動脈中のプラーク成熟及び進展の一時的な進行が、大動脈洞のそれと比べて遅いので、免疫感作が下行大動脈中の疾病の大きさを縮小したが、大動脈洞中の疾病はしないという発見は、免疫感作がアテローム性動脈硬化症組成の初期の段階に影響することを示唆する。高齢の、そして血清コレステロールの値が超生理学的である動物は、コレステロール過剰血の悪影響によって免疫感作のプラーク縮小効果が打ち消される可能性がある。さらに、大動脈洞プラークが早く成熟し、25週齢で屠殺された場合、プラークサイズになんらかの差異を検出するには遅すぎる。病巣の大きさは大動脈洞プラーク中では調整されないが、ペプチド免疫感作によりプラークの組成は調整された。本発明の実験計画は、下行大動脈の進展の初期の段階のプラークの組成を検討することを妨げた。

0059

実験結果は、アテローム性動脈硬化症を防ぐ新規なアプローチのための、あるいは重篤高脂血症の場合でも順調にプラーク表現型を調整するための免疫源として、LDL関連アポB−100のペプチド配列を使用する実現可能性を強調する。このペプチドベースの免疫感作の手法は、同族のLDLの絶縁及び単離及び調製の必要性及びそれに付随する汚染の危険性を排除できるので、抗原として同族のoxLDLまたは天然型LDLを使用するよりも有利である。ペプチド番号2及び301による免疫感作のプラーク縮小効果は、下行大動脈でのみ見られた。これらの発見は、他の治療の介在も大動脈弓よりも下行大動脈で高い効果を示すという過去の報告とも矛盾せず、おそらく疾病が下行大動脈より大動脈の根及び大動脈弓でより急速に進展するので14〜17、介在14、15、16、18、19のためのより小さな機会を作り出すと考えられる。下行大動脈中のプラーク成熟及び進展の一時的な進行が、大動脈洞及び大動脈弓でのそれと比べて遅いので、免疫感作が下行大動脈中で病巣サイズを縮小するが、大動脈洞中及び大動脈弓ではしないという発見は、免疫感作がアテローム性動脈硬化症組成の初期の段階を優先的に防ぐことを示唆する。高齢の、そして血清コレステロールの値が超生理学的である動物は、コレステロール過剰血の悪影響によって免疫感作のプラーク縮小効果が打ち消される可能性がある。病巣サイズは大動脈洞か大動脈弓で調整されなかったが、ペプチド番号2による免疫感作は、縮小されたマクロファージ浸潤及び増加したコラーゲン量の、より安定したプラーク表現型を生じさせる好ましい方向にプラークの組成を調整しなかった。要約すると、マウスモデル中のアテローム性動脈硬化症の抑制のための新規なペプチドベースの免疫調節アプローチが実証される。

0060

要約すると、新規なペプチドベースの免疫調節アプローチが、アテローム性動脈硬化のプラークを調整することが実証される。我々のモデル中のアテローム性動脈硬化症組成の変化は中程度でしかなかったが、このペプチドベースの免疫感作はアテローム性動脈硬化症の研究、予防または治療において、代替ツールを提供し得る。

0061

方法
ペプチドの調製
ペプチドは、イムジェクト(Imject)(登録商標スーパーキャリヤ(SuperCarrier)(登録商標)EDCキット(ピアース、ロックフォード、イリノイ)を用い、製造者の指示に従い、小さな変更を加えて製造した。結合バッファー500μl中のペプチド1gを200μlの脱イオン水中の2mgの担体と混合した。その後、この混合物を1mgの結合試薬(EDC,1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドHCl)と共に室温で2時間インキュベートした。その後、0.083Mリン酸ナトリウム、0.9Mの塩化ナトリウムpH7.2溶液で4℃で一晩透析した。この透析結合物を、Imject乾燥配合生バッファーで希釈し、最終容量を1.5mlとした。免疫アジュバントとしてミョウバンを用い、容量比1:1でペプチド結合物と混合した。各免疫感作におけるペプチドの量は、注射一回あたり33μg/100μlであった。

0062

動物プロトコル
ジャクソンラボラトリーズ(Jackson Laboratories)(バーハーバー(Bar Habor)、メイン(Me))からのアポE(−/−)マウスに、6〜7週齢で皮下投与による第一回の免疫感作を行い、続いて3週後に腹腔内ブースターを行った。免疫感作開始時からマウスに高コレステロール食を与え、25週齢で屠殺するまで続けた。2週間後、屠殺時に血液サンプルを集めた。ミョウバンを投与したマウスをコントロールとした。実験プロトコルは、セダーズ−シナイ(Cedars-Sinai)医療センターの動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)に認可された。全てのマウスを米国認定動物管理研究所(American Association of Accreditation of Laboratories Animal Care)に委託した動物施設内に入れ、12時間の昼夜サイクル飼育し、水及びを制限せずに与えた。屠殺時にマウスにエンフルレン吸入による麻酔をかけた。屠殺前に血漿をレトロオービタブリード(retro-orbital bleeding)により採取した。

0063

組織採取及び分割
アテローム動脈硬化の形成に対するペプチド免疫感作の効果を評価するために、大動脈洞、大動脈弓及び下行胸部及び腹部大動脈のプラークの大きさを評価した。心臓及び大動脈枝(tree)に生理学的な圧力で規定の食塩水をかけた後、心臓及び近位の大動脈を取り出し、OCT化合物ティシュー−テック(Tissue-Tek))に埋め込み、冷凍した。連続的な6μmの厚切片を少なくとも2つの大動脈弁の外観から集め、大動脈洞プラーク評価用の大動脈弁の一片消失させた。典型的には、連続する3つの切片が1枚のスライド上に置き、合計25−30枚のスライドを一匹のマウスから集めた。また、スライド五枚目毎に染色のためにグループ分けした。また、左鎮骨下動脈までの上行大動脈及び大動脈弓も同様に切片にし、処理した。胸部及び腹部の下行大動脈を、オイルレッドO染色の後にプラークの組成のen face評価のために別々に処理した。

0064

胸部及び腹部下行大動脈のen face調製物
8g/mlの水中濃度鶏卵アルブミン(シグマ)を、グリセリンと1:1で混合した。アジ化ナトリウムを添加し、アジ化ナトリウムの最終濃度を0.2%とした。胸部及び腹部の大動脈から周辺の組織及び脂肪を除去して清浄にした後、左側の腎臓部の動脈から鎮骨下動脈までの大動脈切片を、ヒストチイス(Histochoice)(アムレスコ(Amresco))内で一晩定着させるために注意深く除去した。その後、大動脈は注意深く縦に開き、卵アルブミン溶液新たに被覆されたスライド上にルミナールと共にサイドアップで置いた。アルブミン溶液が乾燥したら、大動脈をオイルレッドOで染色し、コンピューター補助組織学でアテローム性動脈硬化症の範囲を評価した。

0065

免疫組織化学と組織学
大動脈洞からの切片を、標準のプロトコルを使用して、MOMA−2抗体(セロテック)で免疫組織化学的に染色した。コラーゲンの量及びプラークの大きさ及び脂質含有量についてのオイルレッドO染色を評価するためのトリクロム染色を、標準の染色プロトコルを用いて行った。コンピューター補助形態分析を、前記のように組織構造を評価するために行った8。

0066

抗体力価測定
ペプチド免疫感作の後の抗体応答を測定するために、ELISAを開発した。免疫化したペプチドに対する抗体力価を、ブースターの2週間後、屠殺時に集めた血液を使用して測定した。3つのペプチドに対する抗体応答を、同じタイミングのミョウバングループにおいて測定した。PBSpH 7.4(20μg/ml)で希釈した天然型の合成ペプチドを、マイクロタイタープレートウェル(ヌンクマキシソープ、ヌンク、ロスキルド、デンマーク)に吸着させ、4℃で一晩インキュベートした。0.050%のTween−20を含有するPBSで洗浄した後、コーティングしたプレートを、TBS中のスーパーブロック(ピアース)で室温で5分間ブロックし、その後、室温で2時間、TBS−0.05%Tween−20(TBS−T)中、1/50に希釈したマウス血清を室温で2時間、その後4℃で一晩インキュベートした。すすいだ後、ペプチドを指向する抗体の付着物を、TBS−Tの中で適切に薄められた、該ペプチドを指向する抗体の付着物を、TBS−Tで適切に希釈したビオチニル化ウサギ抗マウスIg抗体(ダコエイ/エス(Dako A/S),グロストラップ(Glostrup)、デンマーク)を使用して検出した。さらに2時間インキュベートした後、該プレートを洗浄し、結合したビオチニル化抗体をアルカリフォスファターゼ結合ストレプトアビジン(シグマ)によって検出し、室温で2時間でインキュベートした。ホスファターゼ基質キット(ピアース)を用いて着色反応を展開した。405nmにおける吸光度を、室温で1時間のインキュベートの後に測定した。バックグランドを差し引いた後、平均値を計算した。

0067

当然ながら、他のアッセーモデル、例えば、放射性免疫測定のような抗体を検出するイムノアッセー、ウェスタンブロッティング及びサザンブロッティング、並びにペプチドに結合した抗体の検出、酵素電極、及び他の分析方法も同様に利用できる。

0068

統計
データは平均値±Std.として示される。使用される統計方法は、本文、表または図に挙げた。P<0.05の時、統計的に有意であるとした。

0069

表A大動脈洞のプラークサイズ及びその脂質含有量、大動脈弓プラークサイズ及び下行大動脈中のプラークの比率


*ミョウバングループとの有意差。統計分析にはANOVA、続いてターキークラマー(Tukey-Kramer)試験を使用した。

0070

アポEノックアウトマウスのアテローム性動脈硬化症におけるアポリポプロテインB−100ペプチド配列の免疫感作の効果のデータを表Bに示す。

0071

表B
アポEノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症のアポリポプロテインB−100ペプチド配列による免疫感作の効果

0072

複数のペプチド配列の混合物を用いた免疫感作

大動脈におけるアテローム性動脈硬化症に対する効果
l. ペプチド配列 143 及び 210 −64.6%
2. ペプチド配列 11, 25 及び 74 −59.6%
3. ペプチド配列 129, 148 及び 167 −56.8%
4. ペプチド配列 99, 100, 102, 103 及び 105 −40.1%
5. ペプチド配列 30, 31, 32, 33 及び 34 +6.6%
6. ペプチド配列 10, 45, 154, 199 及び 240 +17.8%

0073

単一ペプチド配列を用いた免疫感作

1. ペプチド配列 2 −67.7%
2. ペプチド配列 210 −57.9%
3. ペプチド配列 301 −55.2%
4. ペプチド配列 45 −47.4%
5. ペプチド配列 74 −31.0%
6. ペプチド配列 1 −15.4%
7. ペプチド配列 240 0%

0074

ペプチドの投与は、通常、皮下注射静脈注射筋肉注射あるいは腹腔内注射のような注射によって行われる。第一の免疫の投与量は、体重、年齢及び他の身体的医学的条件に依存して、患者一人当たり1〜100mgであり得る。特別な状況下では、1種類またはそれ以上のペプチドを含有する溶液をカテーテルによって冠状動脈の血管に局所投与することも可能である。血流への吸収を可能にするには認めるために特別の注意を払わなければならないが、経口投与も同様に考慮され得る。注射剤は、本発明の断片またはペプチドの一種類またはそれ以上を0.5〜99.5重量%を含有し得る。

0075

ペプチドは通常、陽イオン化したウシ血清アルブミンに結合して、またアジュバントとして水酸化アルミニウムを使用して投与される。当該分野で知られている他のアジュバントも同様に使用することができる。

0076

ペプチドの投与のための溶液はEDTAまたは酸化防止剤を含まない。
ペプチドは、アテローム性動脈硬化症に既に罹患している患者に治療剤として使用されてもよい。従って、本発明の断片またはペプチドの一種類またはそれ以上を加えるために、いかなる適切な投与経路を使用してもよい。

0077

初期の研究は、ペプチドのどのタイプの酸化変性がヒトの血漿中で抗体によって認識されるに至るかを決定することに焦点を絞っていた。これらの研究は、ペプチド1−5及び297−302を使用して行われた。LDLの酸化中に、リン脂質及びコレステロールエステル中のポリ不飽和脂肪酸は、悪玉アルデヒド(MDA)のような高度に反応性ブレークダウン生成物の生成にいたる過酸化を進行させる。その後、MDAは、それらを高度に免疫原性にするアポB−100の中のリジン及びヒスチジン残基との共有結合付加物を形成し得る。LDLの酸化は、さらに、免疫系には通常アクセス可能でないペプチド配列を露呈させるアポ B−100の分割に至る。天然型のペプチドが使用された実験において、MDA変性の後、あるいはリン脂質リポソーム中への進入及びそれに続く銅の酸化またはMDA変性の後、IgM抗体が、天然型のMDA及びリポソーム酸化ペプチドに対して同定され、抗体力価はMDA−ペプチド>MDA変性リポソームペプチド>リポソーム酸化ペプチド>天然型ペプチドであった。特異性試験は、MDA変性ペプチドへの抗体の結合が、MDA−LDLと銅酸化LDLの両方と競合することを示した。

0078

その後、我々は、健常者対照群由来のプールされた血漿、及び抗原として、天然型及びMDA変性ペプチドを用いて、完全なペプチドライブラリーのスクリーニングを行った。アポB−100中の多く部位に対する抗体が同定された。バックグラウンドコントロールの吸光度の2倍を陽性力価として切り落とし、完全なアポ B−100配列を構成する302個のペプチドのうちの102個に対する抗体を検出した。IgM結合は、IgG結合より本質的に豊富であった。一般に、結合はMDA変性ペプチド配列の方が対応する天然型ペプチド配列よりも高かったが、両者には著しい相関性があった。天然型及びMDA変性配列の両方への結合は、MDA変性LDL及び銅酸化LDLの添加により競合するが、天然型のLDLによってはされない。これらの観察は、アポB−100中のMDA変性ペプチド配列に対する免疫応答が、天然型の配列に対して交差反応性となることを示唆する。天然型のLDLが天然型のアポ B−100ペプチド配列に結合する抗体に競合できないことは興味深いことであるが、これらの配列は単にLDL酸化の結果生じるアポ B−100の蛋白質分解の後に露出されるようになることを示し得る。分子親水性疎水性の部分のいずれも抗体により認識された。アポ B−100ペプチドライブラリーの第二のスクリーニングは、冠動脈疾患(CHD、急性心筋梗塞(AMI)及び不安定狭心症; n=10)の臨床上の兆候のある患者からのプールされた血漿を使用して行われた。プールされたCHD血漿中の抗体は同じ配列に結合し、健常者対照群血漿中の抗体と全く同じ分布であった。しかしながら、CHDの患者からの血漿と比較し、コントロールの血漿ではいくつかのペプチド(#1、30〜34、100、107、148、149、162、169、236、252及び301)の抗体力価は少なくとも2倍高く、少数のペプチド(#10、45、111、154、199、222及び240)に対する力価はコントロールと比較して、CHD患者からの血漿において高かった。その後、我々は、アポB−100中のMDA変性ペプチド配列に対する抗体レベルがCHDの進展の危険性を予測するかどうか調査する予想臨床研究を実施した。我々は、枝分かれケースコントロールデザイン(nested case control design)を用いて、冠動脈疾患(CHDによる、AMIあるいは死)を有する78人の患者及びマルモダイエットキャンサースタディからの149人のコントロールを選択した。症例にもコントロール個体にもMIまたは脳卒中の病歴はなかった。封入から急性冠動脈疾患の平均期間は2.8年(0.1〜5.9年の範囲)であった。抗体レベルを酸化防止剤を補充した基線血漿サンプル中で測定した。基線における超音波検査法によって評価される頚動脈の内膜−中膜厚さ(IMT)を用いて、我々はさらに抗体レベルと既存の血管疾病の程度の関連性を調べた。我々は、初期のスクリーニング研究で、8つのMDA変性ペプチド配列を研究し、高い血漿抗体レベル(74、102及び210)及び/またはコントロールとCHDの血漿プールの著しい差(32、45、129、162及び240)を関連づけた。コントロールは、MDAペプチド74に対するより高いIgMレベルを有することが見いだされ(0.258、範囲0〜1.123の吸光度単位対0.178、範囲0〜0.732の吸光度単位、p<0.05)、さもなければ症例とコントロールの間の抗体レベルの差はなかった。MDAペプチド102、129及び162(それぞれr=0.233、0.232及び0.234、p<0.05)に対する、IMTとIgMの間の関連が症例において見られ、IMTとMDAペプチド45(r=0.18、p<0.05)との関連がコントロールにおいて見られた。MDAペプチド129の抗体と総及びLDLコレステロール(r=0.19及びr=0.19、p<0.01) 間で弱い相関性が見られた。さもなければ、ペプチド抗体レベルは、総血漿コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールあるいは血漿トリグリセリドと何の関連も示さなかった。異なるペプチドに対する抗体のレベルに強い共変動r値の範囲0.6〜0.9)があった。唯一の例外は、他のペプチドに対する抗体に関連して、弱いか全くなかったMDAペプチド74に対する抗体であった。

0079

MDAペプチド74以外のすべての配列に対する抗体は、症例において年齢と逆の相関を示したが(−0.38〜−0.58の範囲のr値、p<0.010.001)、コントロールではそうではなかった。酸化LDLの血漿レベルは対照的に、年齢につれて増加した。この関連もコントロールより症例においてより強かった。MDA変性ペプチド配列に対する免疫応答と心疾患の間の関連が異なる年齢グループにおいて異なっていたかを調査するために、平均年齢(61)の上か下かで、症例及びコントロールについてサブグループ分析を実施した。より若い年齢群の症例については、コントロールと比較してペプチド32及び45に対する抗体レベルが上昇し、ペプチド74に対する抗体レベルが減少した。しかし、より高齢の年齢グループでは差は見い出されなかった。ペプチド74を除くすべてのMDAペプチド配列に対する抗体は、より若い年齢グループの中ではIMTに著しく関連していたが、より高齢のグループでは関連しなかった(表)。

0080

これらの研究により、ヒトの抗体によって認識されるアポB−100の中の多くのMDA変性配列が同定された。LDL酸化の結果アポ B−100のMDA変性が生じることは、これらの抗体が前記の酸化LDL自己抗体のファミリーに属することを示す。この概念は、MDA変性アポ B−100ペプチドに結合する抗体が酸化LDLの添加により競合されるという観察によっても支持される。ホーッコ(Horkko)らによって識別された、酸化したリン脂質と共に、これらのMDA変性ペプチド配列は、酸化LDLの中の大多数抗原構造を構成すると考えられる。酸化LDL抗リン脂質抗体と同様に、MDA変性アポ B−100配列に対する抗体はIgM型であった。これは、さらに、後者の抗体がT 15天然型抗体のファミリーに属していることを提案し得る。T 15抗体は、初期の細菌感染に対するT細胞非依存性防御において、またアポトーシス細胞の除去において重要な役割を果たす。ここに記載したMDAペプチド抗体が同様の機能を有するか調べることが残されている。多くの天然型アポ B−100配列に対する抗体も同定されている。しかしながら、天然型及びMDA変性された配列の抗体間の共変は、これらの抗体がLDL酸化に応じて形成されることをも提案する。さらに、MDA変性ペプチド配列が、対応する天然型の配列と交差反応することも可能である。天然型のアポ B−100配列に対する抗体がさらに天然型のLDL粒子に結合する場合、これはLDLの代謝にも重要な影響があると考えられる。しかしながら、天然型のLDLが、天然型のアポ B−100に結合する抗体と競合しないという発見、及び天然型アポB−100の配列に対する抗体とLDLコレステロール値に関連がないことは、そのような減少の存在に反する。

0081

MDA変性ペプチド配列に対する抗体は、症例においては年齢とともに次第に減少したが、コントロールにおいてはそうではなかった。MDAペプチド74を除き、MDAペプチドに対するIgM抗体は、より若い年齢グループ(62才未満)では頚動脈のIMTに関係していたが、より高齢のグループの中ではしていなかった。これらの発見は、50才と70才の間に、免疫系とアテローム性動脈硬化の血管壁の相互作用の著しい変化がおきることを提案する。1つの可能性は、より若い個体では、アテローム性動脈硬化の疾病プロセスが、免疫細胞のより顕著な関与のある、より活発な段階にあるということである。別の可能性は、より高齢の患者におけるMDA変性ペプチド配列に対する抗体レベルの減少が、アテローム性動脈硬化症に関与する免疫細胞の老化を反映するということである。免疫老化(immunosenescence)により免疫細胞の機能が害されることが、高齢者における伝染及び癌への感受性の増加に寄与することが提案されている。興味深いことに、免疫老化は酸化のストレスへの関与を示す酸化防止剤によって抑制される。酸化LDLの中のエピトープに相互作用する免疫細胞は酸化ストレスに特に露出されるであろう。酸化LDLが非常に若い年齢で動脈の中に既にあるので、これらの免疫応答は、数十年間の間連続的に挑戦されており、これが免疫老化の進展にさらに寄与しているのであろう。

0082

アポB−100内の2つの部位に対する増加した抗体は、62より下の患者の心筋梗塞及び冠動脈の死のための危険を予言することが見いだされた。これらの部位に対する抗体は、同じ根本的な病態生理学のプロセスに応じてそれらが生産されたことを提案する高レベルの共同変化を示した。血液のサンプリングから冠動脈疾患までの平均期間わずか2.8年であったという事実により、これらの抗体が特に増加したCHDの危険のためのマーカーとして興味深くなる。MDA変性アポ B−100ペプチド配列に対する抗体レベルが高脂血症、高血圧症及び糖尿病のような他のCHD危険因子とは関連を示さなかったことは、これらの抗体がCHDの危険性の独立したマーカーであると示唆する。本発明の研究におけるCHDの症例はそれほどハイリスクの個体ではなく、この点で一般的なCHD患者の代表例であった。MDA変性アポ B−100配列に対するIgMにより、確立している危険因子のスクリーニングによっては高リスクであるとはされなかった個体において急性冠動脈疾患の進展の短期の危険を予測されるという発見は、それが積極的な予防治療を必要とする個体を識別する際の有用な器具となることを提案する。しかしながら、アポ B−100のMDA変性ペプチド配列に対する抗体を決定する臨床値を完全に確立するには、多変量解析によるかなり大規模の予測研究が必要である。本発明の臨床研究の別の制限は、我々がアポ B−100の中の少数の抗原部位に対する抗体を分析しただけであり、他の部位に対する抗体力価が心血管の危険のよりよいマーカーとなるかもしれないということである。

0083

60才未満の患者においては、アポB−100中の多くのMDA変性部位が、頚動脈のIMTによって評価されるような既存の血管疾病の範囲と関連付けられた。IgM抗体はIgG抗体よりも密接に頚動脈のIMTに関係していた。頚動脈のIMTは一般的なアテローム性動脈硬化の程度の基準として明白な制限があるが、これらの観察は、アポ B−100の中のMDA変性配列に対するIgMの測定が存在しているアテローム性動脈硬化症の程度を評価する方法の一つとなり得ることを提案する。これらの観察は、さらに冠動脈疾病及び頚動脈疾病と酸化LDLに対するIgM抗体との関連をを報告したいくつかの従来の研究に整合する。

0084

ペプチド74に対する抗体は多くの点において他のアポB−100ペプチド抗体と異なっていた。それらは症例よりもコントロールにおいて高く、年齢とともに減少することがなく、頚動脈疾患の程度には関連していなかった。従って、このペプチド配列に対する抗体は、アテロームの保護免疫応答のための興味深い候補を表わす。

0085

重要な疑問は、なぜこれらの関連が生じるかである。それらは、MDA変性アポB−100部位に対する免疫応答がいかにアテローム性動脈硬化の疾病プロセスに関係するかを明白に実証する。高い抗体レベルは、より重篤なアテローム性動脈硬化症及びより増加した急性冠状動脈疾患の進展の危険と関連するので、一つの明白な可能性は、これらの免疫応答がアテローム発生を促進するということである。HSP 65のような熱衝撃蛋白質に対する免疫応答がアテロームを発生することを実証する研究は、この概念をある程度支持する。しかしながら、動物実験研究は、酸化LDL免疫のアテロームの保護効果を示した。脾臓摘出アポ E NullマウスのB細胞の再構築により、アテローム性動脈硬化症が減少した。アテローム性動脈硬化症の縮小は、免疫グロブリンを繰り返し注射したアポ E nullマウスでも見られた。本発明の観察は、必ずしも、酸化LDLに対する免疫応答のアテロームの保護役割について論じているのではない。これらの免疫応答は、LDL酸化のような前アテローム発生のプロセスによって活性化される。従って、それらは、さらに疾病プロセスの重篤さに比例すると考えられ、疾病進行に寄与することなく、疾病の重篤さ及びCHDの危険のマーカーとして寄与することができた。二つの関連文献で報告されたアポ B−100ペプチド配列によるアポ E nullマウスの免疫が、アテローム性動脈硬化症の進展を抑制するという発見は、症例となると考えられる。確かに、本発明の研究の最も重要な結果は、アテローム性動脈硬化症に対するワクチンコンポーネントとして使用することができる構造の同定である。年齢により生じるアポ B−100の中のMDA変性ペプチド配列に対する抗体の減少には、酸化LDLの血漿レベルの増加が伴うという認識は、循環からの最小に酸化されたLDLのクリアランスの増加が、これらの抗体がアテローム性動脈硬化症に対して保護することができるメカニズムの一つであることを提案する。

0086

方法
研究人口
研究対象、1926−45の間の、マルモ(Malmo)「ダイエットアンドキャンサー(Diet and Cancer)(MDC)」研究集団に属するボー(borr)。1991年11月と1994年2月の間のMDC研究に入った人間の任意の50%に、頚動脈の疫学に関する研究に参加することを依頼した。健康診断に続いて、動脈疾病、罹患率及び致死率についての情報の確認用ルーチン、並びに伝統的な危険因子の定義が報告された。

0087

急性冠動脈疾患の85の症例、即ち、致命的または非致命的なMIまたは冠動脈疾患(CHD)による死が確認された。心筋梗塞か脳卒中の病歴を有する参加者(n=6)は、本発明の研究に参加する資格がない。各症例について、心筋梗塞または脳卒中の病歴のないコントロール2名を、年齢、性別喫煙習慣、高血圧症の存在、スクリーニング試験への参加月数及び継続期間を個々に合わせて用いた。ロジスティックの理由(血液サンプルはペプチドの評価に十分な量で利用することはできなかった)により、7つの症例については1名のコントロールのみが利用可能であり、1つの症例にはコントロールがなかった。この症例は分析から除外された。従って、研究人口は、227人の患者、78の症例及び149のコントロールからなり、基線において年齢は49−67才(平均61才)であった。

0088

研究所分析
一晩絶食した血液サンプルを、総コレステロール、トリグリセリド、HDLコレステロール、LDLコレステロール及び全血グルコースの血清値の測定のために採取した。LDLコレステロールは、フライドウルド(Friedewald)式によりmmol/Lに計算した。酸化LDLは、ELISA(マーコーディア(Mercordia))によって測定した。Bモード超音波バスキュログラフィー(vasculography)MH変換器を備えたアキューソン128コンピュータ断層撮影法ステム(アキューソン(Acuson)、マウンテンビュー(Mountain View)、カリフォルニア)を、前記のような右頚動脈の中で頚動脈プラークの評価に使用した。

0089

アポB100ペプチド配列に対するELISAの開発
全ヒトアポリポプロテインBアミノ酸配列に相当する302個のペプチドを合成し(ユーロ−ダイアグノスティカアクチボラゲット、マルモ、スウェーデン及びケイアイロスペターソンエイエス、ホーホルム、デンマーク)、ELISAで使用した。各合成ペプチドのフラクションを0.5MのMDA(シグマ−アルドリッチスウェーデン アクチボラゲット、ストックホルム、スウェーデン)、0.5MのMDAにより37℃で3時間、及びリポソームの存在下で0.5MのMDAにより37℃で3時間または5mMのCuCl2(シグマ)により37℃で18時間変性した。MDA変性ペプチドを、いくつかの変更をした1mMのEDTAを含有するPBSで4℃で18時間透析した。該ペプチドの変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲル(バイオ−ラッドラボラトリーズ、ハーキュリーズ、カリフォルニア)で試験した。

0090

クロロホルム溶液中、モル比9:1の卵ホスファチジルコリン(EPC)(シグマ)とホスファチジルセリン(PS)(シグマ)の混合物及び3mMのリン脂質(PL)を、ガラス管中、穏やかなアルゴン流下で蒸発させた。その後、該溶液を真空下に3時間置いた。滅菌濾過10mMHEPESバッファー,pH7.4中の0.10mMペプチド(5ml)、145mMのNaCl及び0.003%のナトリウムアジドをEPC/PS乾燥フィルムに添加し、50℃で15分間インキュベートした。この混合物を室温で5分間おだやかにボルテックスミキサーで混合し、その後氷冷浴に入れ、7.4アンプリチュードミクロンで1分間の間隙を入れて3分間で3回、超音波処理した(ソニープレップ150 MSEサンヨー、タムロ−メドラブ、スウェーデン)。このPLペプチド混合物(天然型または0.5MのMDAにより37℃で311変性または5mMのCuCl2により37℃で18時間変性したもの)をガラスバイアル中にアルゴン下、4℃で、アルミホイルで封をして貯蔵し、1週間以内に使用した。このMDA変性混合物を、貯蔵前に、いくつかの変更をした1mMのEDTAを含有するPBSで4℃で18時間透析した。該混合物の変性を、ペプチドの分離に適する変性ポリアクリルアミドゲル(バイオ−ラッドラボラトリーズエイエス、サンドバイバーグ、スウェーデン)で試験した。

0091

リポソームの存在下または不存在下でPBS,pH7.4(20leg/ml)で希釈した天然のまたは変性した合成ペプチドを、マイクロタイタープレートウェル(ヌンクマキシソープ、ヌンク、ロスキルド、デンマーク)に吸着させ、4℃で一晩インキュベートした。参照用として、ペプチドの一つ(P6)を、各プレートに流した。0.05%Tween−20を含有するPBS(PBS−T)で洗浄した後、コーティングされたプレートを、TBS中のスーパーブロック(ピアース、ロックフォード、イリノイ)で室温で5分間ブロックし、続いて、TBS−0.05%Tween−20(TBS−T)で希釈されたプールされたヒト血漿を室温で2時間、その後4℃で一晩インキュベートした。すすいだ後、該ペプチドに対する自己抗体の付着を、TBS−Tで適当に希釈したビオチニル化ウサギ抗ヒトIgGまたはIgM抗体(ダコエイ/エス、グロストラップ、デンマーク)を用いることにより検出した。さらに室温で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、結合したビオチニル化抗体をアルカリホスファターゼ結合ストレプトアビジン(シグマ)で検出し、室温で2時間インキュベートした。着色反応を、ホスファターゼ基質キット(ピアース)を用いて展開し、室温で1時間インキュベートした後、405nmの吸収を測定した。異なるペプチドの吸収値をP6の吸収値で分け、比較した。

0092

統計
SPSSを統計分析のために使用した。適切な場合、結果は平均値と範囲として、および比率として示される。ボックスプロット(Boxplot)とスキャッタープロット(scatterplots)を、症例および対応するコントロール中の年齢と選択されたペプチドの関係を説明するために使用した。対応するグラフも、年齢と選択されたペプチドの関係を、症例およびコントロールについて、基線の平均年齢(61才)未満または以上で、また別に平均年齢未満の症例及びコントロールについて例証するために使用した。症例とコントロールでは、別々に、年齢と性別のために調整された部分的な相関係数が、選択されたペプチドおよび血液脂質レベルと共通の頚動脈のIMTの間で計算された。年齢及び性別で調節した部分的な相関係数は、平均年齢以下およびそれ以上で症例およびコントロールにおける共通の頚動脈のIMTと選択されたペプチドの間で計算された。独立のサンプt−検定は通常分配された連続変数を評価するために、カイ二乗検定は症例とコントロールの比率を評価するために使用された。非パラメーター検定マンホイットニー)は症例とコントロールの間の非通常分配された連続変数を評価するために使用された。p−値はすべて両側(two-tail)である。

0093


心筋梗塞心筋梗塞のある若い患者(49−61才)および高齢の患者(62−67才)における、及び年齢、性別、喫煙および高血圧症を一致させたそれらの対応するコントロールにおける、年齢及び性別で合わせた異なる基線MDAペプチドおよび共通の頚動脈内膜中膜厚さのための相関係数

ヘ゜フ゜チト゛ 49-61才の症例及びコントロール 62-67才の症例及びコントロール
n=116 n=111
IGM
MDA32 0.235t -0.101
MDA45 0.366$ -0.030
MDA74 0.178 0.063
MDA102 0.255$ -0.039
MDA129 0.330$ -0.009
MDA 162 0.2451 0.001
MDA 210 0.254 0.013
MDA、240
IGG
MDA215 0.119 -0.059
p<0.05;$/xO.Ol

図面の簡単な説明

0094

図1〜6は本発明により調製された異なるペプチドの抗体反応を示す。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社カネカの「 多能性幹細胞凝集抑制剤」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】この出願は、細胞周期停止剤を含むことを特徴とする多能性幹細胞の浮遊培養に用いるための多能性幹細胞凝集抑制剤、その凝集抑制剤を含む培地中で多能性幹細胞を浮遊培養する工程を含む、多能性幹... 詳細

  • 国立大学法人大阪大学の「 アスタチン溶液及びその製造方法」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明は、甲状腺疾患等の治療のためのRI内用療法等に用いることができるアスタチン溶液およびその製造方法の提供を課題とする。本発明は、核反応によって得られた211Atを原料として、21... 詳細

  • イクソバダームリミテッドの「 皮膚に活性化合物を供与するキット」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明は、皮膚へ浸透するため、皮膚に活性化合物を供与することができるキット、活性化合物の供与する供与デバイス及び活性化合物を供与する方法に関するものである。1つの態様では、患者の皮膚... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ