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技術 永久磁石回転電機とその製造方法及び永久磁石式回転電機を備えた自動車

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 日野徳昭小室又洋佐通祐一松延豊
出願日 2006年12月28日 (14年0ヶ月経過) 出願番号 2006-353650
公開日 2008年7月17日 (12年5ヶ月経過) 公開番号 2008-167565
状態 特許登録済
技術分野 永久磁石型同期機 同期機の永久磁石界磁
主要キーワード ベンゾトリアゾール系防錆剤 芯円度 部品ベース 曲率円 機械強度的 リチュームイオン電池 含浸処理前 生産性悪化
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図面 (20)

課題

本発明は、永久磁石回転子の表面に使用した回転電機において、特性が良好な回転電機を提供することである。

解決手段

SiO系の材料によって磁性粉体結着して成形した永久磁石を回転子の表面に設けた。SiO2 の前駆体は、磁石材料濡れ性が良好な結着剤となるため、磁石における磁性材料の割合を多くでき、エポキシ樹脂を結着剤として使用した場合に比べ磁気特性の低下を低減でき、良好な特性を維持できる。また、永久磁石を複雑な形状に成形することが可能となるため、連続的なスキューを構成することができる。

概要

背景

近年、永久磁石の特性は著しく向上している。代表的な高性能の永久磁石は希土類磁石材料焼結して製造した焼結磁石である。この焼結磁石は磁気特性が優れているが、高温で焼結する製造工程が必要であり、生産性悪化要因となっている。

これに対し、特許文献1に示すような、磁石材料を熱硬化性エポキシ樹脂で固めるいわゆるボンド磁石が研究されている。このボンド磁石は、焼結する製造工程が不要であり、ある程度複雑な形状も成形することができる。

特開平11−238640号公報

概要

本発明は、永久磁石を回転子の表面に使用した回転電機において、特性が良好な回転電機を提供することである。SiO系の材料によって磁性粉体結着して成形した永久磁石を回転子の表面に設けた。SiO2 の前駆体は、磁石材料と濡れ性が良好な結着剤となるため、磁石における磁性材料の割合を多くでき、エポキシ樹脂を結着剤として使用した場合に比べ磁気特性の低下を低減でき、良好な特性を維持できる。また、永久磁石を複雑な形状に成形することが可能となるため、連続的なスキューを構成することができる。

目的

本発明の目的は、磁気特性及び生産性が良好な永久磁石式回転電機とその製造方法及び永久磁石式回転電機を備えた自動車を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

固定子に対して回転子相対回転を行う永久磁石式回転電機であって、前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻装される固定子巻線とから構成されており、前記回転子は、前記固定子鉄心と対向する回転子鉄心の表面に、周方向に異なった磁極が交互に形成されるように着磁された永久磁石を配置し、該永久磁石は、磁性粉体SiO系の材料にて結着して構成されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項2

請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、回転子の上記回転子鉄心の表面には周方向に一定間隔で窪みが形成され、上記窪みにそれぞれ、磁性粉体をSiO系の材料にて結着して構成された永久磁石が配置されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項3

請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、前記固定子は、前記固定子鉄心の夫々の前記スロットに集中的に3相の前記固定子巻線を巻くことで構成されており、前記回転子における前記永久磁石の極数をPとし、前記固定子鉄心の前記スロット数をNとした際、2/3<=P/N<=4/3の関係を満たすことを特徴とする回転電機

請求項4

請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、前記回転子における前記永久磁石は前記回転子における回転軸線と平行な方向に対して周方向にずれるように配置されることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項5

請求項4に記載の永久磁石式回転電機において、前記永久磁石を連続的に周方向にずれるようにしたことを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項6

請求項4に記載の永久磁石式回転電機において、前記永久磁石は、前記回転子における回転軸線と平行な方向に略V字形状となるように着磁されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項7

請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、少なくとも1つの前記永久磁石は、切削加工により形成されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項8

請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、前記固定子巻線に3相交流電流が供給されて前記回転子に回転トルクが発生することを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項9

請求項8に記載の永久磁石式回転電機において、ハイブリッド車両駆動源として用いられることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項10

請求項8に記載の永久磁石式回転電機において、車両用電動パワーステアリング装置に用いられることを特徴とする永久磁石式回転電機。

請求項11

固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、30℃における粘度が0.52 〜100mPa・sの結着剤溶液含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項12

固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、SiO系の材料を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項13

請求項12に記載の永久磁石式回転電機の製造方法において、複数の前記永久磁石のアンバランスを調節するために、前記永久磁石を切削していることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項14

固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、SiO系の材料を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程と、前記加圧成形体を切削する工程と、前記加圧成形体の切削部に防腐対策を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項15

固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、SiO2の前駆体を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項16

請求項12に記載の永久磁石式回転電機の製造方法において、結着剤溶液は、アルコキシシロキサンアルコキシシラン、その加水分解生成物、及びその脱水縮合物の少なくとも一種と水とを含み、更に必要な場合アルコール加水分解用触媒から形成されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項17

請求項12に記載の永久磁石式回転電機の製造方法において、前記加圧成形体は、曲面を有する形状に成形されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。

請求項18

固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機を備えた自動車であって、前記回転子は回転子鉄心と回転子の周方向に偶数個界磁極を作るために回転子鉄心の外周側に配置された永久磁石とを備え、前記永久磁石は前記界磁極の極性が交互に反転するように着磁されており、該永久磁石は、磁性粉体を結着剤にて結着することで構成され、前記結着剤は、その前駆体が前記磁性粉体に対し良好な濡れ特性を有する材料で構成されていることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。

請求項19

請求項18に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、前記結着剤は、SiO2 を主成分としアルコキシ基が含有するものであることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。

請求項20

請求項19に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、前記結着剤は、その前駆体において、SiO2の前駆体であるアルコキシシロキサン,アルコキシシラン,その加水分解生成物、及びその脱水縮合物の少なくとも一種と水とを含み、更に必要な場合アルコールと加水分解用触媒から形成されることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。

請求項21

請求項18に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、前記磁性粉体には、10μm〜10nm厚の無機絶縁膜が施されていることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。

請求項22

請求項18に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、前記永久磁石は、連続的にスキューしていることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。

請求項23

固定子と回転可能に配置された回転子とを有し、前記固定子は固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された固定子巻線とを有し、前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心の周方向に設けられた複数の界磁極をそれぞれ構成する複数の永久磁石とを有しており、前記永久磁石はその固定子側面が前記回転子鉄心の固定子側の面より固定子側に位置するように配置されており、さらに前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に逆極性となるように磁化されており、前記永久磁石は、磁性粉体をSiO系の材料により結着して成形されていることを特徴とする永久磁石回転電機

請求項24

固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された3相の固定子巻線とを有する固定子と、回転可能に配置された回転子とを有しており、前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心に保持された複数の永久磁石とを備えており、前記回転子には前記永久磁石により構成される偶数個の界磁極が周方向に形成され、前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に異なる極性に磁化されており、前記永久磁石は、SiO系の材料がアモルファス状態希土類磁性粉体を結着して形成されており、前記永久磁石を形成する前記希土類磁性粉体は幅の広い第1の面と幅の狭い第2の面を有する扁平形状を成し、扁平形状の前記希土類磁性粉体の前記第1の面が対向するように前記希土類磁性粉体が積層され、前記積層状態の希土類磁性粉体をアモルファス状態のSiO系結着剤が結着して前記永久磁石が形成されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項25

固定子鉄心と3相の固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子との間に空隙を有して回転可能に配置された回転子とを有し、前記回転子は、回転子鉄心と複数の永久磁石とを備えており、前記永久磁石は回転子の界磁極を構成すると共に、前記回転子には偶数個の界磁極が周方向に形成されており、前記永久磁石は、幅の広い第1の面と前記第1の面に比べ幅の狭い第2の面を有する扁平形状の希土類磁性粉体を前記第1の面が対向するように積層した積層状の希土類磁性粉体と、SiO2 が主成分でアルコキシ基を含有する結着剤とを有しており、前記永久磁石を形成する扁平形状の希土類磁性粉体を、前記SiO2 を主成分とするアモルファス状態で連続膜形状の結着剤により結着して、前記永久磁石が形成されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項26

請求項23乃至25に記載の永久磁石回転電機において、前記磁性粉体は表面に10μm〜10nm厚の無機絶縁膜を有し、前記無機絶縁膜を有する磁性粉体をSiO2 により結着して前記永久磁石が形成されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項27

固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された3相の固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子との間に空隙を設けて回転可能に配置された回転子とを有しており、前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心に保持された複数の永久磁石とを備えており、前記回転子には前記永久磁石により構成される偶数個の界磁極が周方向に略等間隔に配置され、前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に逆極性に磁化されており、前記永久磁石は、SiO2 を主成分とするアモルファス状態の結着剤で希土類磁性粉体を結着して、形成されており、前記永久磁石を形成する前記希土類磁性粉体は第1の面と前記第1の面より幅の狭い第2の面を有する扁平形状を成しており、前記永久磁石は、前記第1の面が互いに対向するように前記希土類磁性粉体が積層され前記積層状態の希土類磁性粉体をアモルファス状態の前記結着剤が結着した積層構造主構造として有しており、前記永久磁石は、主構造を成している前記積層構造の前記第1の面がほぼ固定子側を向くように、上記回転子に保持されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項28

請求項27に記載の車載用の永久磁石回転電機において、前記永久磁石は、その固定子側面が回転軸に垂直な面による断面状態において回転子の周方向の両サイドより中央部が固定子側に突出した曲線形状を成し、さらに前記主構造を成している積層構造の前記第1の面が前記断面状態においてほぼ固定子側を向くように形成されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項29

固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された3相の固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子との間に空隙を設けて回転可能に配置された回転子とを有しており、前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心に保持された複数の永久磁石とを備えており、前記回転子には前記永久磁石により構成される偶数個の界磁極が周方向に略等間隔に配置され、前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に逆極性に磁化されており、前記永久磁石は、SiO2を主成分とするアモルファス状態の結着剤で希土類磁性粉体を結着して、形成されており、前記永久磁石を形成する前記希土類磁性粉体は第1の面と前記第1の面より幅の狭い第2の面を有する扁平形状を成しており、前記永久磁石は、前記第1の面が互いに対向するように前記希土類磁性粉体が積層され前記積層状態の希土類磁性粉体をアモルファス状態の前記結着剤が結着した積層構造を主構造として有しており、前記永久磁石は、主構造を成している前記積層構造の前記第1の面が回転子の回転軸にほぼ沿った方向を向くように、上記回転子に保持されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項30

請求項29に記載の車載用の永久磁石回転電機において、前記永久磁石は、その固定子側面が回転軸に垂直な面による断面状態において回転子の周方向の両サイドより中央部が固定子側に突出した曲線形状を成し、さらに前記主構造を成している積層構造の前記第1の面が前記断面状態においてほぼ回転軸に沿った方向を向くように形成されている、車載用の永久磁石回転電機。

請求項31

請求項27乃至請求項30に記載の車載用の永久磁石回転電機において、SiO2 を主成分とする結着剤はアルコキシ基を含有している、車載用の永久磁石回転電機。

技術分野

0001

本発明は、永久磁石式回転電機とその製造方法及び永久磁石式回転電機を備えた自動車に関する。

背景技術

0002

近年、永久磁石の特性は著しく向上している。代表的な高性能の永久磁石は希土類磁石材料焼結して製造した焼結磁石である。この焼結磁石は磁気特性が優れているが、高温で焼結する製造工程が必要であり、生産性悪化要因となっている。

0003

これに対し、特許文献1に示すような、磁石材料を熱硬化性エポキシ樹脂で固めるいわゆるボンド磁石が研究されている。このボンド磁石は、焼結する製造工程が不要であり、ある程度複雑な形状も成形することができる。

0004

特開平11−238640号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、エポキシ樹脂結着剤として使用した磁石では、磁石材に対するエポキシ樹脂材の割合が多くなってしまい、磁石にしめる磁石材料の割合が低下してしまう。このため、磁気特性が悪くなり、それに伴って回転電機の特性も著しく低下する問題があった。

0006

本発明の目的は、磁気特性及び生産性が良好な永久磁石式回転電機とその製造方法及び永久磁石式回転電機を備えた自動車を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明の永久磁石式回転電機は、回転子鉄心の表面に磁性粉体SiO系の材料にて結着した永久磁石を配置したことを特徴としている。

0008

また、本発明の永久磁石式回転電機の製造方法は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形し、該加圧成形体に、SiO系の材料を含浸させて永久磁石を製造し、この永久磁石を回転子鉄心の表面に固定したことを特徴としている。

0009

また、本発明の永久磁石式回転電機を備えた自動車は、回転子鉄心の表面に、結着剤にて磁性粉体を結着した永久磁石を配置し、前記結着剤は、その前駆体が磁性粉体に対し良好な濡れ特性を有する材料で構成されていることを特徴としている。

発明の効果

0010

本発明の永久磁石式回転電機は、磁気特性及び生産性を良好とすることができる。

発明を実施するための最良の形態

0011

[第1実施例]
図1は、本発明による第1実施例としての永久磁石式回転電機が搭載されたハイブリッド型電気自動車の一実施形態を示す構成図である。なお本発明による回転電機は、純粋な電気自動車にもハイブリッド型の電気自動車にも適用できるが、以下代表してハイブリッド型の電気自動車の実施例を説明する。

0012

ハイブリッド型の電気自動車100には、エンジン120と第1の回転電機200と第2の回転電機202と、第1の回転電機200と第2の回転電機202に高電圧直流電力を供給するあるいは第1の回転電機200と第2の回転電機202から高電圧の直流電力を受けるバッテリ180が搭載されている。さらに14ボルト電力である低電圧電力を供給するバッテリがこの車両に搭載されており、以下に説明する制御回路低電圧の直流電力を供給するが、この低電圧電力を供給するバッテリの図示を省略する。

0013

エンジン120および第1の回転電機200と第2の回転電機202に基づく回転トルクは、変速機130とデファレンシャルギア132に伝達され、前輪110に伝達される。変速機130を制御する変速機制御装置134とエンジン120を制御するエンジン制御装置124と電力変換装置600を制御する回転電機制御回路604とリチュームイオン電池などのバッテリ180を制御するバッテリ制御装置184と統合制御装置170とが、それぞれ通信回線174によって接続されている。

0014

統合制御装置170は、統合制御装置170より下位の制御装置である変速機制御装置134やエンジン制御装置124や電力変換装置600やバッテリ制御装置184から、それぞれの状態を表す情報を通信回線174を介して受け取る。これらの情報に基づき、統合制御装置170によって各制御装置の制御指令演算され、統合制御170から各制御装置への制御指令が通信回線174を介してそれぞれの制御装置へ送信される。

0015

例えば、バッテリ制御装置184はリチュームイオン電池であるバッテリ180の放電状況やリチュームイオン電池を構成する各単位セル電池の状態をバッテリ180の状態として統合制御装置170に通信回線174を介して報告する。

0016

統合制御装置170は上記報告からバッテリ180の充電が必要と判断すると、電力変換装置600に発電運転の指示を出す。統合制御装置170はまたエンジン120と第1や第2の回転電機200,202の出力トルクを管理し、エンジンと第1や第2の回転電機200,202の出力トルクの総合トルクあるいはトルク分配比演算処理し、処理結果に基づく制御指令を変速機制御装置134やエンジン制御装置124や電力変換装置
600へ送信する。トルク指令に基づき電力変換装置600は第1の回転電機200と第2の回転電機202を制御し、どちらか一方の回転電機であるいは両方の回転電機で指令トルク出力を、あるいは発電電力を発生するようにこれらの回転電機を制御する。

0017

電力変換装置600は統合制御装置170からの指令に基づき第1の回転電機200と第2の回転電機202を運転するためにインバータを構成するパワー半導体スイッチング動作を制御する。これらパワー半導体のスイッチング動作により、第1の回転電機200と第2の回転電機202が電動機としてあるいは発電機として運転される。

0018

電動機として運転する場合は高電圧のバッテリ180からの直流電力が前記電力変換装置600のインバータの直流端子に供給される。インバータを構成するパワー半導体のスイッチング動作を制御することにより上記供給された直流電力が3相交流電力に変換され、回転電機200あるいは202に供給される。一方第1の回転電機200あるいは第2の回転電機202が発電機として運転される場合、回転電機200あるいは202の回転子が外部から加えられる回転トルクで回転し、この回転トルクに基づき前記回転電機の固定子巻線に3相交流電力を発生する。発生した3相交流電力は前記電力変換装置600で直流電力に変換され、直流電力が前記高電圧のバッテリ180に供給され、前記バッテリ180が直流電力により充電される。

0019

図1に示すとおり、電力変換装置600は、直流電源電圧変動押える複数の平滑用のコンデンサモジュールと、複数のパワー半導体を内蔵するパワーモジュールと、このパワーモジュールのスイッチング動作を制御するスイッチング駆動回路および前記スイッチング動作の時間幅を決める信号すなわちパルスワイドモデュレーションの制御を行うPWM信号を発生する回路を備えた回転電機制御回路から構成されている。

0020

高電圧のバッテリ180はリチュームイオン電池あるいはニッケル水素電池などの2次電池であり、250ボルトから600ボルト、あるいはそれ以上の高電圧の直流電力が前記2次電池に充電され、あるいは前記2次電池から出力される。

0021

図2図1に示す電力変換装置600の回路図である。電力変換装置600には第1の回転電機200のための第1のインバータ装置と第2の回転電機202のための第2のインバータ装置とが設けられている。第1のインバータ装置は、第1のパワーモジュール
610と第1のパワーモジュール610における各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第1の駆動回路652と回転電機200の電流を検知する電流センサ660と以下に説明する第2のインバータ装置と共通に使用される制御回路648とコネクタ基板642に実装された送受信回路644やコンデンサジュール630を備えている。なお、駆動回路652は駆動回路基板650に設けられており、制御回路648は制御回路基板646に設けられている。

0022

第2のインバータ装置は、第2のパワーモジュール620と第2のパワーモジュール
620における各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第2の駆動回路656と回転電機202の電流を検知する電流センサ662と第1のインバータと共通に使用される制御回路648と送受信回路644とコンデンサジュール630とを備えている。第2の駆動回路656は第2の駆動回路基板654に実装されており、また制御回路648は回転電機制御回路基板646に実装されており、送受信回路644はコネクタ基板642に実装されている。

0023

第1のパワーモジュール610と第2のパワーモジュール620は、それぞれ対応する第1および第2の駆動回路652と656とから出力された駆動信号によって動作し、高電圧バッテリ180から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、その電力を対応する回転電機200や202の電機子巻線に供給する。また回転電機200や202のの電機子巻線である固定子巻線に誘起された交流電力を直流に変換して高電圧バッテリに供給する。

0024

第1および第2のパワーモジュール610や620は、図2に記載のごとく3相ブリッジ回路を備えており、3相に対応した直列回路がそれぞれバッテリ180の正極側と負極側との間に電気的に並列に接続されている。各直列回路は上アームを構成するパワー半導体と下アームを構成するパワー半導体とを備え、上アームのパワー半導体21と下アームを構成するパワー半導体21とは直列に接続されている。

0025

第1のパワーモジュール610と第2のパワーモジュール620とは図2に示す如く、回路構成がほぼ同じであり、第1のパワーモジュール610で代表して説明する。本回路では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)21を用いている。IGBT21は、コレクタ電極エミッタ電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。IGBT21のコレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード38が電気的に接続されている。ダイオード38は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT21のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT21のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT21のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。

0026

スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい。MOSFETは、ドレイン電極ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。尚、MOSFETは、ソース電極とドレイン電極との間に、ドレイン電極からソース電極に向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを備えているので、図2のダイオード38を設ける必要がない。

0027

各相のアームはIGBT21のソース電極とIGBT21のドレイン電極が電気的に直列に接続されて構成されている。尚、本実施例では、各相の各上下アームのIGBTを1つしか図示していないが、制御する電流容量が大きいので、実際には複数のIGBTが電気的に並列に接続されて構成されている。以下説明を簡単にするため、1個のパワー半導体として説明する。

0028

図2に示す実施例では、各相の各上下アームはそれぞれ3個のIGBTによって構成している。各相の各上アームのIGBT21のドレイン電極はバッテリ180の正極側に、各相の各下アームのIGBT21のソース電極はバッテリ180の負極側それぞれ電気的に接続されている。

0029

各相の各アームの中点(上アーム側IGBTのソース電極と下アーム側のIGBTのドレイン電極との接続部分)は、対応する回転電機200や202の対応する相の電機子巻線に電気的に接続されている。

0030

第1と第2の駆動回路652と656は、対応するインバータ装置610や620を制御するための駆動部を構成しており、制御回路648から出力された制御信号に基づいて、IGBT21を駆動させるための駆動信号を発生する。それぞれの駆動回路652や
656で発生した駆動信号は、対応する第1のパワーモジュール610や第2のパワーモジュール620における各パワー半導体のゲートにそれぞれ出力される。各相の各上下アームのゲートに供給する駆動信号を発生する2組の回路を1つの集積回路としている。駆動回路652や656はそれぞれ、6個の上記集積回路を有しており、これら6個の集積回路を収めて1ブロックとして駆動回路652や656を構成している。

0031

制御回路648は各インバータ装置610や620の制御部を構成しており、複数のスイッチング用パワー半導体素子を動作(オンオフ)させるための制御信号(制御値)を演算するマイクロコンピュータによって構成されている。制御回路648には、上位制御装置からのトルク指令信号トルク指令値),電流センサ660や662及び回転電機
200や202に搭載された回転センサが検知した信号(センサ出力)が入力されている。制御回路648はそれらの入力信号に基づいて制御値を演算し、駆動回路652や656にスイッチングタイミングを制御するための制御信号を出力する。

0032

コネクタ基板642に実装された送受信回路644は、電力変換装置600と外部の制御装置との間を電気的に接続するためのもので、図1の通信回線174を介して他の装置と情報の送受信を行う。

0033

コンデンサジュール630は、IGBT21のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制するための平滑回路を構成するためのものであり、第1のパワーモジュール610や第2のパワーモジュール620における直流側端子に電気的に並列に接続されている。

0034

図3は、図1図2に記載の回転電機200あるいは202の断面図である。回転電機200と202とはほぼ同じ構造であり、回転電機200の構造をこれらの代表例として図3から図5を用いて説明する。図4図3にのA−A断面を示す図4図3固定子
230および回転子250のA−A断面であり、ハウジング212およびシャフト218の記載を省略した。

0035

ハウジング212の内部に固定子230が保持されており、固定子230は固定子鉄心232と固定子巻線238とを備えている。固定子鉄心232の内側面に対して空隙222を介して回転子250が配置されている。回転子250は回転子鉄心252と永久磁石
254とを備えており、回転子鉄心252はシャフト218に固定されている。ハウジング212はシャフト218の回転軸方向の両側にエンドブラケット214をそれぞれ有しており、前記回転子鉄心252を有するシャフト218はエンドブラケット214のそれぞれに軸受216により回転自在に保持されている。

0036

シャフト218には回転子の極の位置を検出する回転子位置センサ224と回転子の回転速度を検出する回転速度センサ226とが設けられている。これらのセンサ224と
226からの出力は図2に示す制御回路648に取り込まれ、これらセンサの出力に基づいてパワーモジュール610が制御される。

0037

図4図3に示す固定子230および回転子250のA−A断面図を示す。図4により図3に示す固定子230および回転子250の具体的な構造を説明する。固定子230は固定子鉄心232を有しており、固定子鉄心232は周方向に均等に多数のスロット234とティース236とを有しており、スロット234には分布巻された固定子巻線238が設けられている。図4で、固定子の回転子側には全周に渡ってティース236とスロット234が設けられている。尚、これら全てに符号を付すことはせず、代表して一部のティースとスロットにのみに符号を付した。

0038

また、回転子鉄心252の表面には、永久磁石254,256が接着剤などで貼り付けられている。用途によって細心の安全対策が必要な場合には、この永久磁石254,256の外周に非磁性材である例えばステンレス管などをかぶせて上記磁石の遠心力による永久磁石254,256の回転飛散を防止することができる。更には、回転子鉄心252の表面側に磁石挿入孔を設けて、この挿入孔内に永久磁石254,256を装着しても構わない。上記磁石は回転子250の界磁極として作用し、これら界磁極を構成する永久磁石
254,256の磁化方向は、磁石の固定子側面がN極またはS極となる方向で、界磁極毎に磁化方向が反転している。

0039

永久磁石254,256は磁化され、永久磁石となった状態で回転子鉄心252に貼り付けても良いし、あるいは永久磁石254,256が磁化されていない状態で回転子鉄心252に貼り付け、回転子250を構成した後に強力な磁界を与えて磁化されることにより永久磁石となるようにしてもよい。この場合、磁化されない状態の永久磁石254,
256を回転子鉄心252に貼り付け、その後に磁化する方が、回転電機の生産性が向上する。すなわち、これらの永久磁石254,256はたいへん強力な磁石であり、回転子250に永久磁石254,256を固定する前に磁石を着磁すると、永久磁石254,
256の固定時に回転子鉄心252との間に強力な吸引力が生じ、この求心力が作業の妨げとなる。また強力な吸引力により、永久磁石254,256に鉄粉などのごみが付着する恐れがある。

0040

図4に示す実施形態では、各磁極すなわち各界磁極が1個の永久磁石254,256で構成されており界磁極毎に着磁方向が反転している。この実施形態では永久磁石254と256とでは極性が反対である。永久磁石254と256とを備えた回転子250の磁極は回転子250の周方向に等間隔に配置されており、この実施形態では8極である。

0041

また、図4の実施形態は、回転子250の極ピッチτpが角度で45°である。これに対して、は小さくなっている。この割合、τm/τpを調節することにより、回転子の作る磁束密度分布高調波成分を変化させることができる。これにより、回転電機の基本的な特性であるコギングトルク通電時のトルクリプル誘起電圧波形などを調節することができる。

0042

また図5図3および図4に記載の分布巻された固定子巻線の代わりに集中巻の固定子を試用した回転電機を示す。また同一符号は対応する構成を示している。図5に示すような集中巻モータの場合にも同じように磁石の幅τmを調節することができる。尚、固定子のティースに図に示すようにコイルを集中的に巻回しているものを、ここでは集中巻と呼ぶ。一方、分布巻とは、スロットを跨いでコイルを挿入しているものとする。図5にはW相の巻線のみ図示したが、これらのコイルは直列、あるいは並列に接続することで端子からみた電圧を調節することができる。

0043

図5の実施形態では、回転子側は、永久磁石254や256の固定子側の表面を図示したようにギャップ面半径よりも磁石表面曲率円弧を小さくしている。回転軸の垂直面での断面の状態を見ると各磁石は、回転子250の周方向両端部において回転子250から固定子230方向に向く形状を持ち、固定子230側面が回転子250面より極率の大きい曲線形状を成して、磁石の周方向における中央部が最も固定子230に近くなる形状をしている。

0044

この形状(以下かまぼこ型と記す)により、磁石の固定子230側表面の磁束密度を周方向に正弦波状になめらか分布させることができる。この効果により、高調波成分が減り、コギングトルクを低減させ、誘起電圧の波形の高調波を少なくすることができる。このような、かまぼこ型の形状の永久磁石も、本実施例を用いれば簡単に作ることができる。

0045

ここで、本実施形態に用いられる永久磁石と、従来の回転電機に用いられていた焼結磁石及びボンド磁石との違いを以下に説明する。

0046

焼結磁石は、その高エネルギー密度を活かして、モータを小型化できるので、電気自動車やハイブリッド車などに用いられている。しかしながら、焼結磁石は、その製法上、焼結工程での高温処理が不可欠なので、設備費用を含め、生産コストが高くなる。また、磁石材を高温に熱する焼結工程により、焼結工程前の形状・寸法に対し焼結工程後の形状・寸法が熱収縮等により変化してしまい、正確な寸法の部品を得るためには、焼結工程の後の成形工程で、寸法精度を得るために大幅な切削を含む成形作業が必要であった。これが磁石モータコスト増を招いており、安価で制御性の良いモータを得る上での障害となっている。

0047

また、ボンド磁石は、熱硬化性エポキシ樹脂と磁石材料とを混合し、この混合物成型し製造する。つまり、エポキシ樹脂で磁石材料を接着した磁石である。エポキシ樹脂を結着剤として使用した磁石では、磁石材料とエポキシ樹脂との混合物を圧縮成型して磁石を製造している。このようなエポキシ樹脂で磁石材を接着するボンド磁石は、磁石材に対するエポキシ樹脂材の割合が多くなり、磁石にしめる磁石材料の割合が低下し、磁気特性が悪く、回転電機の特性が著しく低下する問題がある。このようなボンド磁石は、エネルギー密度が小さいため、大容量大トルク用途にはあまり用いられず、小型のファンモータなどに用いられている。

0048

以上、説明したように焼結磁石でこのような形状にするためには、表面加工が必要となり、コストが上昇してしまう。実際には、焼結磁石は、1000℃以上で焼結させるため、熱収縮による変形を補正する必要があり、後で加工することが不可欠である。また、有機物により結着されたボンド磁石では、結着材であるエポキシ樹脂を150℃以上の高温で使用することが困難であり、150℃を超える熱的環境で使用するニーズの多い自動車用の回転電機には耐久性の点で不向きであった。

0049

図5に示すかまぼこ型磁石の実施形態を図4の実施形態に適用できる。図4に示す実施形態において、回転子250に保持された永久磁石254や256を図5に示すかまぼこ型形状の磁石に変えることができる。分布巻のモータでは固定子が発生する回転磁界を集中巻より滑らかにすることができる。これに加え永久磁石をかまぼこ型形状にして回転子鉄心外周に配置することで、磁石の固定子側面の磁束密度の変化を正弦波関数に近い状態にすることができ、これらの結果から回転電機のトルクリプルを低減させることができる。特に低速回転おいて、低脈動トルクを発生できるので、車両の発進時の加速が滑らかとなり、運転者に車両の運転性に関し高級感を与えるのに適する。

0050

このような永久磁石は、従来の焼結磁石タイプでは、熱処理後の変形のため、成形が必要であり、高価なものになっていた。しかし、本発明の永久磁石を用いた回転機の場合、プレス型でこの形状を作れば、プレス加工後の変形が少なくなり、磁石の後加工は必要ない。あるいは後加工が必要であっても、加工作業量が少なく、加工工程が簡単になる効果がある。

0051

図6は回転子250の他の作り方である。磁石抑え260により、遠心力による永久磁石の飛散を防止している。この磁石抑え260は、回転子鉄心252と一体でも良いし、後から回転子鉄心252に固定しても良い。また、磁石抑え260を磁性体で構成すると、リラクタンストルク活用したモータにすることもできる。リラクタンストルクは、分布巻のモータの方がよく利用できるため、固定子構造は分布巻とする方法もある。

0052

尚、本発明が適用される適用対象は8極に固定されるものではない。回転子250の極数は10極や12極などさらに多くの極であっても良い。また逆に少ない極数であっても良い。固定子巻線の巻回方式には分布巻と集中巻の方式がある。3相モータの場合、分布巻の固定子のスロット数は、極数の3n(nは自然数)になる。また、集中巻の場合には、固定子のスロット数をN,極数をPとすると、2/3<=P/N<=4/3の関係で、効率の良い3相モータになり、どの組合せに対しても適用できる。集中巻モータでは、1極を構成する固定子側のコイル数が少ないため、固定子が基本同期周波数以外の調波成分が大きい。特に基本同期周波数よりも低次の調波成分が多い。このため、回転子表面の永久磁石に流れる渦電流が多く、従来の焼結磁石を使ったモータでは、分割などの方策が不可欠であった。この原理や応用例については後述する。以下に説明するSiO系結着剤で磁性粉を結着した磁石では磁性粉間絶縁材である結着剤が存在するため、永久磁石の内部抵抗高抵抗なり渦電流がその分減少する。また表面に絶縁膜を形成した磁石粉を使用して結着することも可能である。このため従来の焼結型磁石に比べ、永久磁石の分割などの対策の必要性が少なく、対策が不要の場合は安価に回転電機を作ることができる。また従来対策しなかった回転電機に対して効率を向上でき、また磁石の発熱を減少できることで熱対策が容易となる。

0053

ここで永久磁石254と256は磁石材料である希土類材料のネオジウム(Nd)の粉体をこのネオジウム(Nd)と前駆体が濡れ性の良い性質を備えている結着剤で結着した構造をしている。ここで濡れ性の優れた前駆体とは例えばSiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサンまたはアルコキシシランである。ネオジウム(Nd)の粉体は板状の形状を為しており、高さ方向であるZ軸方向の値に対しX軸やY軸方向の大きさが数倍以上である、厚みが薄い形状をしている。ネオジウム(Nd)粉体のX軸やY軸方向の大きさは大きい方が良く、例えば粉体のX軸またはY軸方向の大きさが45μメータ以上の大きさの粉体を使用する方が残留特性を良くする。成形中にネオジウム(Nd)の粉体が割れるなどで細かくなり、小さい形状の粉体が混ざることはしかたないが、粉体の半分以上が
45μメータ以上の大きさ粉体であることが望ましく、さらには7割以上が45μメータ以上の大きさの粉体であるとより好ましい結果が得られる。9割以上が45μメータ以上の大きさの粉体であるとさらにより好ましい結果が得られる。なおネオジウム(Nd)にさらにディスプロシウム(Dy)を若干含んでいると特性が改善される。このディスプロシウム(Dy)を含むことにより、回転電機の温度が上昇しても良好な磁気特性が維持される。ディスプロシウム(Dy)の含有割合は数%程度で、多くても10%以下である。バインダー希土類磁石材料の粉体を結着した構造の磁石及び磁石の製造方法についての詳細は後述する。

0054

図3および図4で、回転子の回転速度センサ226と回転子位置センサ224との出力に基づき図2に示す第1の駆動回路652が第1のパワーモジュール610を制御する制御信号を発生して第1のパワーモジュール610に送信する。第1のパワーモジュールは制御信号に基づきスイッチング動作を行い、バッテリ180から供給される直流電力を3相交流電力に変換する。この3相交流電力は図3図4に示す固定子巻線238に供給され、回転速度センサ226の検出値に基づいて3相交流電流周波数が制御され、回転子位置センサ224の検出値に基づいて3相交流電流の回転子に対する位相が制御される。

0055

上記位相と周波数の回転磁界が3相交流電流により固定子230に発生する。固定子
230の回転磁界が回転子250の永久磁石254,256に作用して回転子250に永久磁石254,256に基づく磁石トルクが生じる。

0056

次に永久磁石254,256の製造方法について説明する。図7には、本実施形態に係る永久磁石254,256の製造プロセスの一例を示す。工程10では、粉体状の磁石材料を生成する。例えば希土類の磁石用磁粉は、組成を調整した母合金急冷することにより製造できる。

0057

工程15では、前記粉体状の磁石材料を圧縮成形する。例えば回転電機に使用する永久磁石を製造する場合は、この工程15では、回転電機に使用する永久磁石の最終磁石形状の型を用い、型に粉体状の磁石材料を供給し、圧縮成形する。圧縮成形された磁石材料は型により形状が決められた多孔質の状態であり、機械的強度は弱く、強い衝撃を受けると壊れる状態である。また磁化されていないので、永久磁石としての特性は有していない。この圧縮成形の状態のままで磁化しても回転電機の構成部品として使用することは機械強度的に困難である。

0058

圧縮成形された磁石は、以下に詳述する製造方法を用いることで、磁石形状の寸法関係がその後の工程であまり変化しない。すなわち工程15で圧縮成形された形状が高い精度で維持できる。例えば以下の製造工程を使用した場合、磁石材料を結着するバインダーのバリなどの一部分を切削成形することが必要かもしれないが、形状の多くの部分は高い精度が維持されており、回転電機において要求される磁石の精度を達成できる可能性が高い。

0059

焼結磁石では、圧縮成形された磁石材料を製造工程で高温に熱することが必要で、高温に熱した後冷却されることで磁石の形状は圧縮成形の形状から変形してしまう問題がある。このため従来の焼結磁石では最終形状の精度を維持するために切削加工が必須であった。このことにより生産性が悪くなる問題があった。また切削加工では曲線形状の加工が困難であり、曲線形状を備えた磁石を簡単に生産することができなかった。

0060

工程20では、圧縮成形された磁石成形体にSiO2 の前駆体の溶液を含浸する。圧縮成形された磁石成形体は多孔質の状態であり、粘性が低く、磁石材料に対して濡れ性の良い性質を持つ結着剤の前駆体を含浸する。圧縮成形された磁石成形体に対し前駆体は濡れ性が良好で粘性も低いので、多孔質の圧縮成形体に前駆体が吸い込まれるように含浸される。具体的な前駆体は以下で詳述する。

0061

磁石成形体に対する濡れ性の良好な結着剤の前駆体溶液を含浸することで、磁石成形体を構成するそれぞれの磁性粉体の表面を前記結着剤が被い、結果として多数の粉体を良好につなぎ合わせる作用を為す。また良好な濡れ性の作用で結着剤の前駆体溶液が磁石成形体の細部入り込むので、量的に少ない結着剤で良好な結着効果が得られる。また良好な濡れ性を利用しているので、エポキシ樹脂の使用に比べ設備が比較的シンプルで安価になる。そらに以下に詳述する前駆体は比較的低い温度で硬化するので、圧縮成形体の寸法,形状が高い精度で維持したまま最終的な磁石が得られる。もちろん前駆体の含浸の工程で結着剤のバリなどができるが、粉末磁石の圧縮成形体の寸法や形状が変化するわけでは無いので、結着剤の切削処理を行うことで磁石が製造される。

0062

工程25は、含浸された圧縮成形体を熱処理することにより結着剤で磁石材料を結着する工程である。以下に詳述する如くSiO系の材料であるSiO2 を結着剤として磁石材料を結着することで良好な磁石を得ることができる。以下に詳述するように、工程25での処理温度は比較的低い温度であり、この熱処理で磁石成形体の形状や寸法が変化することがほとんど無く、製造された磁石の形状や寸法関係は圧縮成形された形状や寸法に対し高い精度が維持されている。

0063

次に永久磁石254と256の結着剤について説明する。上記工程20で使用される結着剤の前駆体の溶液は、SiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサン,アルコキシシランを有しており、化学式1や化学式2に示すような末端基及び側鎖にアルコキシ基を有する化合物を有している。

0064

0065

0066

また、溶媒アルコールにはアルコキシシロキサン,アルコキシシラン中のアルコキシ基と同じ骨格の化合物が好ましいがこれらに限られるものではない。具体的にはメタノールエタノールプロパノールイソプロパノール等が挙げられる。また、加水分解及び脱水縮合触媒としては酸触媒塩基触媒中性触媒のいずれでも良いが中性触媒が金属の腐食を最小限に抑えられるので最も好ましい。中性触媒としては、オルガノスズ触媒が効果的で、具体的にはビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、n−ブチルトリス(2−エチルヘキサノエート)スズ,ジ−n−ブチルビス(2−エチルヘキサノエート)スズ,ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ,ジ−n−ブチルジラウリルスズ,ジメチルネオデカノエートスズ,ジオクチルジラリル酸スズ,ジオクチルジネオデカノエートスズ等が挙げられるがこれらに限られるものではない。また、酸触媒としては希塩酸希硫酸希硝酸蟻酸酢酸等が、塩基触媒としては水酸化ナトリウム水酸化カリウムアンモニア水等が挙げられるがこれらに限られるものではない。

0067

結着剤の溶液中のSiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサン,アルコキシシラン、その加水分解生成物、及びその脱水縮合物総量の含有量体積分率として5vol% 以上かつ96vol% 以下が好ましい。アルコキシシロキサン,アルコキシシラン、その加水分解生成物、及びその脱水縮合物総量の含有量が5vol% 未満になると、磁石中の結着剤の含有率が低いため、硬化後の結着剤の材料としての強度がやや小さくなる。一方、アルコキシシロキサン,アルコキシシラン、その加水分解生成物、及びその脱水縮合物総量の含有量が96vol% 以上になると、SiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサン,アルコキシシランの高分子量化の反応が速いため、結着剤溶液増粘速度も速くなる。これは結着剤溶液の適正粘度の制御がより困難であることを意味しており、この結着剤溶液を含浸法に用いることが先に説明した材料に比べ難しくなる。

0068

結着剤溶液中のSiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサン又はアルコキシシランと水とは、以下の化学式3,化学式4に示した加水分解反応が生じる。ここで化学反応式は加水分解が部分的に生じた時の反応式である。

0069

0070

0071

この際、水の添加量がアルコキシシロキサン又はアルコキシシランの加水分解反応の進行度を支配する因子の一つとなる。この加水分解反応は硬化後の結着剤の機械的強度が大きくするためには重要である。アルコキシシロキサン又はアルコキシシランの加水分解反応が発生していないと、その次に起こるアルコキシシロキサン又はアルコキシシランの加水分解反応物同士の脱水縮合反応が進行しないからである。この脱水縮合反応生成物
SiO2であり、このSiO2が磁粉との接着性が高く、結着剤の機械的強度を大きくする重要な材料となるからである。更に、シラノールOH基が磁粉表面のO原子又はOH基と相互作用が強く高接着化に寄与するからである。しかしながら、加水分解反応が進みシラノール基の濃度が高くなるとシラノール基を含む有機ケイ素化合物(アルコキシシロキサン又はアルコキシシランの加水分解生成物)同士の脱水縮合反応が進行し、有機ケイ素化合物の分子量が大きくなり、結着剤の溶液の粘度は高くなる。これは含浸法に用いる結着剤の溶液としては適正な状態が遠ざかる特性である。従って、結着剤溶液中のSiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサン又はアルコキシシランに対する適正な水の添加量が必要となる。ここで、絶縁層形成処理液中の水の添加量として、化学反応式1,2に示した加水分解反応における反応当量の1/10〜1が好ましい。水の添加量が化学反応式1,2に示した加水分解反応における反応当量の1/10以下では、有機ケイ素化合物のシラノール基の濃度が低いため、シラノール基を含む有機ケイ素化合物と磁粉表面との相互作用が低く、また、脱水縮合反応が生じにくいため生成物中にアルコキシ基が多量に残存したSiO2 が生成するため、SiO2 中に欠陥部が多数発生し、SiO2 の強度が低くなる。一方、水の添加量が化学反応式1,2に示した加水分解反応における反応当量の1より大きくなると、シラノール基を含む有機ケイ素化合物は脱水縮合が発生し易くなり、結着剤溶液が増粘するため、磁粉と磁粉の隙間に結着剤溶液は浸透できなくなり含浸法に用いる結着剤溶液としては適正な状態から遠ざかる特性である。結着剤溶液中の溶媒には通常アルコールを用いる。それは結着剤溶液に用いる溶媒にはアルコキシシロキサン中のアルコキシ基は解離反応が速く、溶媒のアルコールと置換平衡状態にあるからである。そのため溶媒のアルコールには沸点が水より低く粘度の低いメタノール,エタノール,n−プロパノール,iso −プロパノールが好ましい。しかし、化学的には溶液の安定性が若干低下するものの、結着剤の溶液の粘度が数時間で増加してしまうことが無く、かつ、沸点が水より低い溶媒であれば本発明の結着剤として用いることが可能で、アセトン等のケトン類などの水溶性溶媒であれば適用できる。

0072

次に永久磁石254,256の他の製造方法を説明する。本発明に係る磁石製造プロセスの他の実施形態を図8および図9に示す。図8の実施形態では、粉体状の磁石材料を生成後で圧縮成形前絶縁皮膜を作る処理を施す工程が加わる点が、上記で説明した図7のプロセスと異なる。また図9では、圧縮成形した磁石を回転子に装着し、その後に結着剤を含浸する処理を行っている点がことなる。

0073

図8図7と同じ工程の番号はほぼ同様の処理内容であることを示す。工程10で粉体状の磁石材料を生成し、工程12で生成された磁石材料の各粉体の表面に電気的な絶縁膜を作る処理を行う。磁粉表面のできるだけ全面にさらにできるだけ均一に電気的な絶縁層を作ることが望ましく、具体的な処理方法は後述する。製造された磁石が回転電機に使用される場合、上述の通り交流磁場で使用される。磁石を通る磁束が周期的に変化し、磁束の変化により、磁石内に渦電流が発生する。この渦電流は回転電機の効率を低下させる問題があり、また渦電流により磁石内の発熱を増大する恐れがある。磁石材料におけるそれぞれの粉体の表面を絶縁層で被うことによりこの渦電流を抑え、回転電機の効率低下を抑えることができ、また磁石の発熱しいては回転電機の発熱を抑制できる。特に回転子に内蔵される磁石では回転子は回転電機のハウジングと軸受を介して機械的につながっており、熱伝導性が良くない。このため磁石の発熱を抑えることは重要なことである。

0074

高調波を含む交流磁束が磁石に印加される条件下で磁石が使用される場合は、希土類の磁石材料は電気抵抗が低く、渦電流を抑えて発熱を抑える観点から希土類の磁石粉体の表面に無機絶縁膜を形成されていることが好ましい。希土類の磁石粉体の表面に無機絶縁膜を形成するには、無機絶縁膜としてリン酸塩化成処理膜を適用するのが良い。リン酸塩化成処理液リン酸マグネシウムほう酸を用いた場合、以下のような組成が良い。リン酸量は1〜163g/dm3が望ましく、163g/dm3より大きいと磁束密度の低下を招き、1g/dm3 より小さいと絶縁性が悪くなる。また、ほう酸量はリン酸1gに対して0.05〜0.4gが望ましくこの範囲を超えると絶縁層の安定性が悪くなる。磁粉表面の全面に絶縁層をできるだけ均一に形成するためには、絶縁層の形成処理液の磁粉に対する濡れ性を向上させることが有効である。これには界面活性剤の添加が望ましい。こうした界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキル系,アルキルベンゼンスルホン酸系,両性イオン系、またはポリエーテル系の界面活性剤が挙げられ、その添加量は、絶縁層形成処理液中に0.01〜1重量%含有させることが望ましく、0.01重量%未満では表面張力下げて磁粉表面を濡れさせる効果が不十分であり、1重量%を超えてもそれ以上の効果は望めず不経済である。

0075

さらに防錆剤を入れることが磁石の特性劣化を防止するなどの観点から望ましい。防錆剤の量は0.01〜0.5mol/dm3 が望ましく、0.01mol/dm3未満では磁粉表面の錆の抑制が難しく、0.5mol/dm3より多くしても以上の効果は望めず経済的でない。

0076

リン酸塩化成処理液の添加量は、希土類磁石用磁粉平均粒径に依存する。希土類磁石用磁粉の平均粒径が0.1 〜500μmの場合、希土類磁石用磁粉1kgに対して300〜25mlが望ましい。300mlより多いと磁粉表面の絶縁膜が厚くなりすぎ、また、錆が発生し易くなるために磁石作製時の磁束密度の低下を招き、25mlより少ないと絶縁性が悪く、処理液の濡れない部分で錆の発生量が多くなり、磁石の特性劣化を引き起こす恐れがある。

0077

コート膜形成処理液中の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤させるのは、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ゲルゼラチン状の柔軟な構造を有することと、アルコールが希土類磁石用磁粉に対して優れた濡れ性を有するからである。また、ゲル状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の平均粒径が10μm以下のレベルまで粉砕する必要があるのは、希土類磁石用磁粉表面に形成されたコート膜が均一厚になり易いからである。更に、アルコールを主成分とした溶媒にすることにより、非常に酸化され易い希土類磁石用磁粉の酸化の抑制が可能となる。

0078

更に、磁粉の絶縁性並びに磁気特性の向上を図ることを目的とした無機絶縁膜としてはフッ化物コート膜が望ましい。このような理由で希土類磁石粉体表面にフッ化物コート膜を形成する場合、フッ化物コート膜形成処理液中の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の濃度に関しては希土類磁石用磁粉表面に形成する膜厚に依存するが、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、ゲル状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の平均粒径が10μm以下のレベルまで粉砕され、かつアルコールを主成分とした溶媒に分散された状態を保つことが重要で、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の濃度として200g/dm3から1g/dm3となる。

0079

希土類フッ化物コート膜形成処理液の添加量は、希土類磁石用磁粉の平均粒径に依存する。希土類磁石用磁粉の平均粒径が0.1 〜500μmの場合、希土類磁石用磁粉1kgに対して300〜10mlが望ましい。これは処理液量が多いと溶媒の除去に時間を要するだけでなく、希土類磁石用磁粉が腐食し易くなるためである。一方、処理液量が少ないと希土類磁石用磁粉表面に処理液の濡れない部分が生じるためである。以上の事項に関し、表1には希土類フッ化物,アルカリ土類金属フッ化物コート膜について、処理液として有効な濃度等を纏めている。

0080

0081

図8のプロセスでは工程12で希土類の磁石材料における各粉体の表面に絶縁膜を形成し、その後工程15で磁石材料を圧縮成形して多孔質の磁石を成形する。その後図7と同様工程20で結着剤の前駆体を含浸し、工程25で前駆体を硬化して磁石材料を結着剤で結着する。

0082

以上、図7図8を用いて本発明に係る磁石製造プロセスの例を述べた。図9は、回転子の外周表面側に永久磁石を挿入する磁石挿入孔を有する回転電機において、結着剤の含浸工程の前に圧縮成形された多孔質の磁石を回転子の磁石挿入孔に挿入し、その後結着剤の前駆体を磁石挿入孔に流し込み含浸する方法である。工程15までは既に説明したプロセスと同じである。工程17で回転子鉄心に設けられた磁石挿入孔に多孔質の圧縮磁石を挿入し、工程磁石22でSiO2 の前駆体の溶液を回転子の磁石挿入孔に流し込む

0083

次に工程27で回転子自身の温度を上げると前駆体が硬化し、圧縮成形された磁石の強度が強くなると共に磁石が前記回転子鉄心の磁石挿入孔に固定される。

0084

以上、本発明に係る磁石製造プロセスの例を述べたが、具体的な永久磁石の実施例については以下に説明する。

0085

[永久磁石の実施例1]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、組成を調整した母合金を急冷することにより作製したNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。NdFeB系母合金は鉄,
Fe−B合金フェロボロン)にNdを混合して真空あるいは不活性ガス中または還元ガス雰囲気中で溶解し組成を均一化しされている。必要に応じて切断した母合金を単ロール双ロール法などのロールを用いた手法で、回転するロールの表面に溶解させた母合金をアルゴンガスなどの不活性ガスあるいは還元ガス雰囲気で噴射急冷し薄帯とした後、不活性ガス中あるいは還元性ガス雰囲気中で熱処理する。熱処理温度は200℃以上700℃以下でありこの熱処理によりNd2Fe14B の微結晶成長する。薄帯は10〜100
μmの厚さでありNd2Fe14Bの微結晶の大きさは10から100nmである。

0086

Nd2Fe14Bの微結晶が平均30nmの大きさの場合、粒界層はNd70Fe30 に近い組成であり、単磁区臨界粒径よりも薄いためにNd2Fe14B の微結晶内に磁壁が形成されにくい。Nd2Fe14B 微結晶の磁化はそれぞれの微結晶で磁気的に結合しており磁化の反転は磁壁の伝搬によって起こっていると推定されている。磁化反転を抑制するためのひとつの手法として薄帯を粉砕した磁粉同士の磁気的結合をしやすくすることが挙げられる。そのために、磁粉間の非磁性部をできるだけ薄くすることが有効となり、粉砕粉
Coを添加したWC製超硬金型内に挿入後上下パンチプレス圧力5t−20t/cm2 で圧縮成形しプレス方向に垂直な方向で磁粉間の非磁性部が少ない。これは磁粉が薄帯を粉砕した扁平粉であるために、圧縮成形した成形体で扁平粉の配列に異方性が生じ、プレス方向に垂直方向に扁平粉の長軸(薄帯の厚さ方向と垂直な方向に平行)方向がそろうことによる。扁平粉の長軸方向がプレス方向の垂直方向に向きやすくなる結果、成形体においてプレス方向の垂直方向は、プレス方向よりも磁化が連続しておりそれぞれの粉においてパーミアンスが大きくなるため、磁化反転し難くなる。このため成形体のプレス方向とプレス方向に垂直な方向では減磁曲線に差が生じてくる。10×10×10mmの成形体において、プレス方向と垂直方向に20kOeで着磁し減磁曲線を測定すると残留磁束密度
(Br)は0.64T、保磁力(iHc)は12.1kOeであるのに対し、プレス方向に平行方向で20kOe の磁界で着磁後、着磁方向で減磁曲線を測定するとBr0.60T,iHc11.8kOe であった。このような減磁曲線の差は成形体に使用している磁粉に扁平粉を用いており、その扁平粉の向きが成形体内で異方性を有しているために生じているものと考えられる。

0087

このような減磁曲線の差は成形体に使用している磁粉に扁平粉を用いており、その扁平粉の向きが成形体内で異方性を有しているために生じているものと考えられる。個々の扁平粉の結晶粒は10−100nmと小さく、その結晶方位の異方性は少ないが、扁平粉の形状が異方性をもつため、扁平粉の配列方向に異方性がある場合には磁気的にも異方性が生じることになる。このような成形体の試験片に下記1)〜3)のSiO2前駆体溶液を含浸し熱処理した。実施した工程を以下に説明する。

0088

結着剤であるSiO2前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

0089

1)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を5ml,水0.96ml,脱水メチルアルコール95ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0090

2)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0091

3)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を100ml,水3.84ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、4時間25℃の温度で放置した。

0092

1)〜3)のSiO2前駆体溶液の粘度はオストワルド粘度計を用いて30℃の温度で測定した。

0093

(1)上記Nd2Fe14Bの磁粉を成形型充填し、16t/cm2の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0094

(2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、結着剤である1)〜3)のSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0095

(3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0096

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0097

(5)(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0098

(6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法比抵抗を測定した。

0099

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0100

(8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0101

図10に前記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片の断面部のSEM観察結果の一例を示す。図10(a)が二次電子像、(b)が酸素面分析像、(c)は珪素面分析像である。(a)に示すように扁平粉が異方性をもって堆積しており部分的にクラックが発生している。また、扁平粉の表面及び扁平粉内部のクラックに沿って酸素及び珪素が検出されている。このクラックは圧縮成形時に発生したものであり、含浸処理前は空洞になっている。このことから、SiO2前駆体溶液は磁粉中のクラック内部まで含浸されていることが分かった。

0102

(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃(発明者に確認要)で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃(発明者に確認要)大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2含浸ボンド磁石で3.0%でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に200℃(発明者に確認要)1時間後に室温に戻して再着磁した後の不可逆熱減磁率含浸処理を施した場合1%未満であるのに対し、エポキシ系ボンド磁石(比較例1)場合3%近い値であった。これは含浸処理によりクラックを含む粉末表面がSiO2 により保護されるため酸化等の腐食が抑制され、不可逆熱減磁率が低減されたからである。即ち、SiO2 前駆体による含浸処理によりクラックを含む粉末表面が保護されるため酸化等の腐食が抑制され、不可逆熱減磁率が低減される。不可逆熱減磁の抑制だけでなく、PCT試験塩水噴霧試験でも含浸処理磁石の方が減磁の少ない結果が得られている。

0103

更に(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片について大気中で225℃に1時間保持し冷却後20℃で減磁曲線を測定した。磁界印加方向は10mm方向であり、最初に+20kOeの磁界で着磁後±1kOeから±10kOeの磁界でプラスマイナス交互に磁界を印加して減磁曲線を測定した。

0104

その結果を図11に示す。ここでは、上記2)の条件で含浸処理した磁石と、後述する、エポキシ樹脂をバインダーとして15vol% 含有した圧縮成形ボンド磁石と、の減磁曲線を比較している。図11横軸は印加した磁界、縦軸は残留磁束密度を示す。含浸処理した磁石は磁界が−8kOeよりも負側に大きな磁界が印加されると磁束が急激に低下する。圧縮成形ボンド磁石は含浸処理した磁石よりもさらに磁界の絶対値が小さい値で磁束が急激に低下し、−5kOeよりも負側の磁界で磁束の低下が著しい。−10kOeの磁界印加後の残留磁束密度は、含浸処理磁石の場合0.44、圧縮成形ボンド磁石では0.11Tであり含浸処理磁石の残留磁束密度は圧縮成形ボンド磁石の値の4倍となっている。これは圧縮成形ボンド磁石が225℃で加熱中に各NdFeB粉の表面やNdFeB粉のクラック表面が酸化することで各NdFeB粉を構成しているNdFeB結晶磁気異方性が低下し、その結果保磁力が減少し負の磁界印加により磁化が反転し易くなったためと考えられる。これに対し、含浸処理磁石ではNdFeB粉及びクラック表面がSiO2 膜で被覆されているため大気中加熱時の酸化が防止された結果、保磁力の減少が少ないものと考えられる。

0105

(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度はSiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は30MPa以上、本実施例中の2),3)のSiO2前駆体溶液を用いたときは100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0106

尚、磁石の比抵抗については焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の値を有したが、圧縮型希土類ボンド磁石と比較して約1/10の値となった。しかし、回転電機として使用する場合、渦電流損の発生は小さく、問題ない。特に磁石内蔵型の回転電機においては、高調波の磁束は回転子の磁極片280から内部に深く入り込まないので、磁石内の渦電流は少なく、それほど大きな問題では無い。

0107

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%向上し、曲げ強度は同等〜3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0108

尚、本実施例と後述の[永久磁石の実施例2]〜[永久磁石の実施例5]について、結着剤1)〜3)を用いた場合の磁石特性を、表2にまとめている。

0109

0110

[永久磁石の実施例2]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。また、結着剤であるSiO2 の前駆体として以下の3つの溶液を用いた。

0111

1)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水0.96ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0112

2)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0113

3)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を100ml,水9.6ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0114

1)〜3)のSiO2前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計を用いて30℃の温度で測定した。

0115

(1)上記Nd2Fe14Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm2の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0116

(2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、結着剤である1)〜3)のSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2前駆体溶液をバット中に注入した。

0117

(3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0118

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0119

(5)(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0120

(6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0121

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0122

(8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0123

(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、
SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0124

(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度はSiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は70MPa以上、本実施例中の2),3)のSiO2前駆体溶液を用いたときは100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0125

尚、磁石の比抵抗については焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の値を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較して約1/10の値となった。渦電流損がやや増加する恐れがあるが、使用を妨げるほどの障害とはならない。

0126

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は2〜3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0127

[永久磁石の実施例3]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるSiO2 前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

0128

1)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 を25ml,水5.9ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0129

2)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0130

3)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは6〜8、平均は7)を25ml,水4.6ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0131

1)〜3)のSiO2前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計を用いて30℃の温度で測定した。

0132

(1)上記Nd2Fe14Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm2の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0133

(2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、結着剤である1)〜3)のSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1
mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0134

(3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0135

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0136

(5)(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0137

(6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0138

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0139

(8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0140

(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃(発明者に確認要)で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前と
SiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃(発明者に確認要)大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0%でありSiO2含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2含浸熱処理後で1%以下でありSiO2含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0141

(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度はSiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0142

尚、磁石の比抵抗については焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の値を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較して約1/10の値となった。しかし、この抵抗値の減少はそれほど大きな問題ではない。例えば回転電機として使用する場合、渦電流損はやや増加するが使用を妨げるほどの問題とはならない。

0143

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は2〜3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0144

[永久磁石の実施例4]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるSiO2 前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

0145

1)CH3O−(Si(CH3O)2−O)−CH3 を25ml,水5.9ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0146

2)C2H5O−(Si(C2H5O)2−O)−CH3 を25ml,水4.3ml,脱水エチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、3昼夜25℃の温度で放置した。

0147

3)n−C3H7O−(Si(C2H5O)2−O)−n−C3H7 を25ml,水3.4ml,脱水iso−プロピルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、6昼夜25℃の温度で放置した。

0148

1)〜3)のSiO2前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計を用いて30℃の温度で測定した。

0149

(1)上記Nd2Fe14Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm2の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0150

(2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、結着剤である1)〜3)のSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1
mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0151

(3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0152

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0153

(5)(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0154

(6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0155

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0156

(8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0157

(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0%でありSiO2含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0158

(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度はSiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は80MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0159

尚、磁石の比抵抗については焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の値を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較して約1/10の値となった。渦電流損の発生がやや増加するが、この程度の抵抗値の減少は問題ではない。

0160

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は約2倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0161

[永久磁石の実施例5]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるSiO2 前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

0162

1)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水9.6ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、1昼夜25℃の温度で放置した。

0163

2)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水9.6ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

0164

3)CH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を100ml,水9.6ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、4昼夜25℃の温度で放置した。

0165

1)〜3)のSiO2前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計を用いて30℃の温度で測定した。

0166

(1)上記Nd2Fe14Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm2の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0167

(2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、結着剤である1)〜3)のSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0168

(3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0169

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0170

(5)(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0171

(6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0172

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0173

(8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0174

上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0175

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は130MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0176

尚、磁石の比抵抗については焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の値を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較して約1/10の値となった。渦電流損の発生がやや増加するが、この程度の抵抗値の減少は問題ではない。

0177

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は3〜4倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0178

[永久磁石の実施例6]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する処理液は以下のようにして作製した。

0179

(1)水に溶解度の高い塩、例えばLaの場合は酢酸La、または硝酸La4gを100mlの水に導入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。

0180

(2)10%に希釈したフッ化水素酸をLaF3 が生成する化学反応当量分を徐々に加えた。

0181

(3)ゲル状沈殿のLaF3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。

0182

(4)4000〜6000r.p.m の回転数遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノールを加えた。

0183

(5)ゲル状のLaF3 を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後、超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。

0184

(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されなくなるまで、3〜10回繰り返した。

0185

(7)最終的にLaF3 の場合、ほぼ透明なゾル状のLaF3 となった。処理液としてはLaF3が1g/5mlのメタノール溶液を用いた。

0186

その他の使用した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成処理液について、表3に纏めた。

0187

0188

希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。

0189

NdF3コート膜形成プロセスの場合:NdF3濃度1g/10ml半透明ゾル状溶液
(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対して15mlのNdF3 コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0190

(2)(1)のNdF3コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を行った。

0191

(3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英ボートに移し、1×10-5torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。

0192

(4)(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付きマコール製(理研電子社製)容器に移したのち、1×10-5torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った。

0193

結着剤であるSiO2前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3(mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0194

(1)上記希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を施したNd2Fe14B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横
10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0195

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0196

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0197

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0198

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0199

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0200

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0201

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0202

上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0203

本実施例の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成した希土類磁粉を用いた磁石は後述する絶縁膜として機能するだけでなく、TbF3とDyF3を、又効果は小さいがPrF3 をコート膜形成に用いた場合、磁石の保磁力向上に寄与可能であることが分かった。

0204

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は50MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0205

更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って渦電流損が小さく、良好な特性を有する。

0206

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は約20%、曲げ強度は同等〜3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能、その上TbF3とDyF3とをコート膜形成に用いた時は磁気特性大幅向上が可能であることが分った。

0207

[永久磁石の実施例7]
本実施例において、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。

0208

PrF3コート膜形成プロセスの場合:PrF3濃度0.1g/10ml半透明ゾル状溶液を用いた。

0209

(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対して1〜30mlのPrF3コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0210

(2)上記(1)のPrF3コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を行った。

0211

(3)上記(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。

0212

(4)上記(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付きマコール製(理研電子社製)容器に移したのち、1×10-5torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った。

0213

結着剤であるSiO2 前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3(mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0214

(1)上記PrF3コート膜を施したNd2Fe14Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0215

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0216

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0217

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0218

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0219

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0220

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0221

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0222

上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0223

本実施例のPrF3コート膜を形成した希土類磁粉を用いた磁石は後述する絶縁膜として機能するだけでなく、効果は小さいが磁石の保磁力向上に寄与可能であることが分かった。

0224

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0225

更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って渦電流損の発生は小さく、良好な特性を有する。

0226

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は約20%、曲げ強度は2〜3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能、その上PrF3 をコート膜形成に用いた時は磁気特性向上が可能であることが分かった。PrF3 をコート膜形成した希土類磁粉を用いた磁石は磁気特性,曲げ強度,信頼性が全体的に向上しておりバランスの取れた磁石であることが分かった。

0227

[永久磁石の実施例8]
本実施例において、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。

0228

DyF3コート膜形成プロセスの場合:DyF3濃度2〜0.01g/10ml半透明ゾル状溶液を用いた。

0229

(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対して10mlのDyF3コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0230

(2)上記(1)のDyF3コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を行った。

0231

(3)上記(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。

0232

(4)上記(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付きマコール製(理研電子社製)容器に移したのち、1×10-5torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った。

0233

結着剤であるSiO2前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3(mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0234

(1)上記DyF3コート膜を施したNd2Fe14Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0235

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2前駆体溶液をバット中に注入した。

0236

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0237

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0238

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0239

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0240

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0241

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0242

上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0243

本実施例のDyF3コート膜を形成した希土類磁粉を用いた磁石は後述する絶縁膜として機能するだけでなく、磁石の保磁力向上に寄与可能であることが分かった。

0244

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は40MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0245

更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って、渦電流損が小さく、良好な特性を有する。

0246

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は約20%、曲げ強度は同等〜3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能、その上TbF3とDyF3とをコート膜形成に用いた時は磁気特性大幅向上が可能であることが分かった。

0247

[永久磁石の実施例9]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。リン酸塩化成処理膜を形成する処理液は以下のようにして作製した。

0248

水1lにリン酸20g,ほう酸4g,金属酸化物としてMgO,ZnO,CdO,CaOまたはBaOの4gを溶解し、界面活性剤としてEF−104(トーケムプロダクツ製),EF−122(トーケムプロダクツ製),EF−132(トーケムプロダクツ製)を
0.1wt% になるように加えた。防錆剤としてはベンゾトリアゾール(BT),イミダゾール(IZ),ベンゾイミダゾール(BI),チオ尿素(TU),2−メルカプトベンゾイミダゾールMI),オクチルアミンOA),トリエタノールアミン(TA),o−トルイジンTL),インドール(ID),2−メチルピロール(MP)を0.04mol/lになるように加えた。

0249

リン酸塩化成処理膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。使用したリン酸塩化成処理液の組成を表4に示す。

0250

0251

(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対して5mlのリン酸塩化成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0252

(2)(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を180℃,30分、2〜5torrの減圧下で熱処理を行った。

0253

結着剤であるSiO2前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3(mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0254

(1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd2Fe14B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0255

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0256

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0257

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0258

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0259

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0260

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0261

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0262

(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、
SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0263

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0264

更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って、渦電流損が小さく、良好な特性を有する。

0265

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は約3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0266

[永久磁石の実施例10]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。リン酸塩化成処理膜を形成する処理液は以下のようにして作製した。水1lにリン酸20g,ほう酸4g,金属酸化物としてMgO4gを溶解し、界面活性剤としてEF−104(トーケムプロダクツ製)を0.1wt% になるように加えた。防錆剤としてはベンゾトリアゾール(BT)を用い、その濃度として0.01〜0.5mol/lになるように加えた。リン酸塩化成処理膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。

0267

(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対して5mlのリン酸塩化成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0268

(2)上記(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を180℃,
30分,2〜5torrの減圧下で熱処理を行った。

0269

結着剤であるSiO2前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3(mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0270

(1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd2Fe14B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0271

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2 前駆体溶液をバット中に注入した。

0272

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0273

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0274

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0275

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0276

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0277

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0278

上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度はSiO2 含浸前で2MPa以下であるが、SiO2 含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って、渦電流損が小さく、良好な特性を有する。

0279

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は約3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0280

[永久磁石の実施例11]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。リン酸塩化成処理膜を形成する処理液は以下のようにして作製した。水1lにリン酸20g,ほう酸4g,金属酸化物としてMgO4gを溶解し、防錆剤としてベンゾトリアゾール(BT)を0.04mol/lになるように加えた。界面活性剤としてEF−104(トーケムプロダクツ製)を用い、その濃度として0.01 〜1
wt%になるように加えた。リン酸塩化成処理膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。

0281

(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対してのリン酸塩化成処理液5mlを添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0282

(2)(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を180℃,30分,2〜5torrの減圧下で熱処理を行った。

0283

結着剤であるSiO2前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0284

(1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd2Fe14B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm2の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0285

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2前駆体溶液をバット中に注入した。

0286

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0287

(4)上記圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0288

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0289

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0290

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0291

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0292

(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、
SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0293

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は90MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0294

更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って、渦電流損が小さく、良好な特性を有する。

0295

本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は20〜30%、曲げ強度は約3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させること及び磁石の高信頼化が可能であることが分かった。

0296

[永久磁石の実施例12]
本実施例において、希土類磁石用磁粉には、〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。

0297

リン酸塩化成処理膜を形成する処理液は以下のようにして作製した。水1lにリン酸
20g,ほう酸4g、金属酸化物としてMgO4gを溶解し、界面活性剤としてEF−
104(トーケムプロダクツ製)を0.1wt%、防錆剤としてベンゾトリアゾール(BT)を0.04mol/lになるように加えた。リン酸塩化成処理膜を上記Nd2Fe14B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。

0298

(1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対して2.5〜30ml のリン酸塩化成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合した。

0299

(2)(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉を180℃,30分,2〜5torrの減圧下で熱処理を行った。

0300

結着剤であるSiO2 前駆体にはCH3O−(Si(CH3O)2−O)m−CH3 (mは3〜5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルアルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用いた。

0301

(1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd2Fe14B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用として縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製した。

0302

(2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向が水平方向になるようにバット内に配置し、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるSiO2前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1mm/min になるように注入した。最終的に圧縮成形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO2前駆体溶液をバット中に注入した。

0303

(3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットを真空容器内にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なくなるまで放置した。

0304

(4)圧縮成形試験片は配置され、SiO2前駆体溶液が満たされたバットをセットした真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧縮成形試験片をSiO2 前駆体溶液内から取り出した。

0305

(5)上記(4)で作製したSiO2前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を真空乾燥炉内にセットし、1〜3Paの圧力,150℃の条件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を施した。

0306

(6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測定した。

0307

(7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験片に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加した。その圧縮成形試験片について磁気特性を調べた。

0308

(8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試験により曲げ強度を評価した。

0309

上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験片に対する磁気特性については、残留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較して、20〜30%向上可能であり、20℃で測定した減磁曲線は、SiO2含浸前とSiO2含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はSiO2 含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保持後、SiO2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。これはSiO2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているためである。

0310

上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は
SiO2含浸前で2MPa以下であるが、SiO2含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有する磁石成形体を作製することが可能であった。

0311

更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較しても同等の値となった。従って、渦電流損が小さく、良好な特性を有する。

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