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技術 沸騰水型原子炉の炉心および運転方法

出願人 株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
発明者 金子浩久
出願日 2006年12月13日 (13年11ヶ月経過) 出願番号 2006-335317
公開日 2008年6月26日 (12年4ヶ月経過) 公開番号 2008-145359
状態 特許登録済
技術分野 原子炉、減速部及び炉心部の構造
主要キーワード コーナ領域 混入濃度 発生エネルギー 臨界超過 ボトムピーク 加工施設 出力ピーク 燃料移動
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

原子炉の安全を確保しつつ、炉心平均濃縮度を高める。

解決手段

軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心は、第1の燃料集合体3が配列された外周領域と、その外周領域よりも半径方向の内側であって、第1の燃料集合体3よりも核分裂性物質を少なく含有する第2の燃料集合体1,2,4が配列された内周領域と、を備える。第2の燃料集合体1,2,4は、第1の燃料集合体3よりも可燃性毒物含有量が小さい燃料集合体であってもよい。

概要

背景

原子炉は、中性子核分裂性物質に吸収されて核分裂が起こり、その際にエネルギーとともに放出される中性子が次の核分裂を引き起こすという連鎖反応により、エネルギーを出し続けている。この連鎖反応が平衡にある状態を臨界といい、一定の出力で運転される原子炉はこの状態を保ち続けている。また、連鎖反応が増大していく状態を臨界超過といい、逆に減少していく状態を未臨界という。

原子炉は、たとえば1年程度の所定の期間にわたって燃料補給なしに運転し続けねばならないために、炉心内には臨界維持に必要な量よりも多い核分裂性物質が装荷されている。したがって、所定の運転期間の途中までの期間では、原子炉は、制御材なしには臨界超過になる。

この超過した反応度余剰反応度といい、余剰反応度を運転期間を通じて適切に制御することが重要である。余剰反応度を運転期間を通じて制御する技術としては、可燃性毒物を燃料中に混入するものがよく知られている。可燃性毒物とは、運転期間を通じて徐々に燃焼しその物質量が減少していく中性子吸収材のことで、核燃料物質に混ぜて使用されるガドリニアなどが知られている。

可燃性毒物を含有する燃料集合体無限増倍率は、燃焼に伴って一旦上昇した後、減少していく。一般に、可燃性毒物を含有する燃料棒の本数が増加すれば、燃焼初期での無限増倍率が低下する。また、可燃性毒物の濃度を増加させれば、可燃性毒物が燃え尽きる時期を遅らせることができるため、無限増倍率の最大値を抑えることが可能になる。このため、可燃性毒物の混入濃度とそれが混入した燃料棒の本数の組み合わせにより、余剰反応度を適切に制御することができる。

初装荷炉心では、装荷された燃料集合体の一部が第1サイクル運転終了後に取り出され、新しい取替燃料集合体と交換される。第1サイクルで取り出される燃料集合体は他の燃料集合体に比べて燃焼度が低く、発生エネルギーが少ない。このため、第1サイクルで取り出される燃料集合体の体数が少ないほど、燃料経済性が高くなる。

燃料経済性を向上させるために、初装荷炉心の炉心平均濃縮度をさらに上げることが望まれている。初装荷炉心に装荷される高濃縮燃料集合体では、燃料集合体内の内側の燃料棒は濃縮度が4.9wt%のペレットが用いられる。しかし、加工施設輸送における制限のため、5wt%以上の濃縮度のペレットを用いることは困難である。したがって、さらに燃料集合体平均濃縮度を増加させるためには、従来、比較的低濃縮の燃料棒が配置されていた燃料集合体コーナ領域近傍の燃料棒の濃縮度を上げる必要がある。

また、核分裂性物質の有効活用を図るために、炉内滞在期間に応じてウラン濃縮度を変えた複数の燃料集合体を用いる初装荷炉心が知られている。

たとえば特許文献1には、ガドリニア入り燃料棒の配置を工夫することにより熱的特性を向上できることが記載されている。また、特許文献2には、ガドリニア入り燃料棒を集合体内で隣接させて配置することにより、ガドリニアの燃焼を抑制できることが記載されている。これらの技術を用いつつ、炉心平均濃縮度を上げることで、第1サイクル終了後に初装荷燃料を取り出さずにに、第2サイクルを運転することができる。さらに、特許文献3には、第1サイクルで外周領域に装荷した燃焼の進んでいない可燃性毒物入り燃料集合体を、第2サイクルで内周領域に装荷することで、余剰反応度を適正化できることが記載されている。
特許第3186546号公報
特許第2577367号公報
特許第3779299号公報

概要

原子炉の安全を確保しつつ、炉心平均濃縮度を高める。軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心は、第1の燃料集合体3が配列された外周領域と、その外周領域よりも半径方向の内側であって、第1の燃料集合体3よりも核分裂性物質を少なく含有する第2の燃料集合体1,2,4が配列された内周領域と、を備える。第2の燃料集合体1,2,4は、第1の燃料集合体3よりも可燃性毒物の含有量が小さい燃料集合体であってもよい。

目的

そこで本発明は、原子炉の安全を確保しつつ、炉心平均濃縮度を高めることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉炉心において、第1の燃料集合体が配列された外周領域と、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体よりも核分裂性物質を少なく含有する第2の燃料集合体が配列された内周領域と、を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心。

請求項2

軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心において、第1の燃料集合体が配列された外周領域と、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体のコーナー部の燃料棒よりも核分裂性物質を少なく含有する燃料棒がコーナー部に配置された第2の燃料集合体が配列された内周領域と、を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心。

請求項3

軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心において、第1の燃料集合体が配列された外周領域と、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体よりも可燃性毒物含有量が小さい第2の燃料集合体が配列された内周領域と、を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心。

請求項4

前記第1の燃料集合体に含まれる可燃性毒物の濃度の最大値は第2の燃料集合体に含まれる可燃性毒物の濃度の最大値よりも小さく、第1の燃料集合体に含まれる可燃性毒物を収めた燃料棒の本数は第2の燃料集合体に含まれる可燃性毒物を収めた燃料棒の本数よりも多いことを特徴とする請求項3に記載の沸騰水型原子炉の炉心。

請求項5

前記第1の燃料集合体の下端部から所定の軸方向長さの下部領域における可燃性毒物の含有量が、前記第2の燃料集合体の前記下部領域における可燃性毒物の含有量に比べて小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉の炉心。

請求項6

初装荷炉心であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉の炉心。

請求項7

軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、第1の燃料集合体を配列して前記炉心の外周領域を形成し、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体よりも核分裂性物質を少なく含有する第2の燃料集合体を配列して前記炉心の内周領域を形成する炉心形成工程と、前記炉心形成工程の後に、前記炉心を所定の期間臨界に保つ第1サイクル工程と、を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。

請求項8

前記第1サイクル工程の後に、前記第1の燃料集合体のうち少なくも1体を前記内周領域に移動して前記炉心を形成する燃料移動工程と、前記燃料移動工程の後に、前記炉心を所定の期間臨界に保つ第2サイクル工程と、を有することを特徴とする請求項7に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。

技術分野

0001

本発明は、沸騰水型原子炉炉心および運転方法に関する。

背景技術

0002

原子炉は、中性子核分裂性物質に吸収されて核分裂が起こり、その際にエネルギーとともに放出される中性子が次の核分裂を引き起こすという連鎖反応により、エネルギーを出し続けている。この連鎖反応が平衡にある状態を臨界といい、一定の出力で運転される原子炉はこの状態を保ち続けている。また、連鎖反応が増大していく状態を臨界超過といい、逆に減少していく状態を未臨界という。

0003

原子炉は、たとえば1年程度の所定の期間にわたって燃料補給なしに運転し続けねばならないために、炉心内には臨界維持に必要な量よりも多い核分裂性物質が装荷されている。したがって、所定の運転期間の途中までの期間では、原子炉は、制御材なしには臨界超過になる。

0004

この超過した反応度余剰反応度といい、余剰反応度を運転期間を通じて適切に制御することが重要である。余剰反応度を運転期間を通じて制御する技術としては、可燃性毒物を燃料中に混入するものがよく知られている。可燃性毒物とは、運転期間を通じて徐々に燃焼しその物質量が減少していく中性子吸収材のことで、核燃料物質に混ぜて使用されるガドリニアなどが知られている。

0005

可燃性毒物を含有する燃料集合体無限増倍率は、燃焼に伴って一旦上昇した後、減少していく。一般に、可燃性毒物を含有する燃料棒の本数が増加すれば、燃焼初期での無限増倍率が低下する。また、可燃性毒物の濃度を増加させれば、可燃性毒物が燃え尽きる時期を遅らせることができるため、無限増倍率の最大値を抑えることが可能になる。このため、可燃性毒物の混入濃度とそれが混入した燃料棒の本数の組み合わせにより、余剰反応度を適切に制御することができる。

0006

初装荷炉心では、装荷された燃料集合体の一部が第1サイクル運転終了後に取り出され、新しい取替燃料集合体と交換される。第1サイクルで取り出される燃料集合体は他の燃料集合体に比べて燃焼度が低く、発生エネルギーが少ない。このため、第1サイクルで取り出される燃料集合体の体数が少ないほど、燃料経済性が高くなる。

0007

燃料経済性を向上させるために、初装荷炉心の炉心平均濃縮度をさらに上げることが望まれている。初装荷炉心に装荷される高濃縮燃料集合体では、燃料集合体内の内側の燃料棒は濃縮度が4.9wt%のペレットが用いられる。しかし、加工施設輸送における制限のため、5wt%以上の濃縮度のペレットを用いることは困難である。したがって、さらに燃料集合体平均濃縮度を増加させるためには、従来、比較的低濃縮の燃料棒が配置されていた燃料集合体コーナ領域近傍の燃料棒の濃縮度を上げる必要がある。

0008

また、核分裂性物質の有効活用を図るために、炉内滞在期間に応じてウラン濃縮度を変えた複数の燃料集合体を用いる初装荷炉心が知られている。

0009

たとえば特許文献1には、ガドリニア入り燃料棒の配置を工夫することにより熱的特性を向上できることが記載されている。また、特許文献2には、ガドリニア入り燃料棒を集合体内で隣接させて配置することにより、ガドリニアの燃焼を抑制できることが記載されている。これらの技術を用いつつ、炉心平均濃縮度を上げることで、第1サイクル終了後に初装荷燃料を取り出さずにに、第2サイクルを運転することができる。さらに、特許文献3には、第1サイクルで外周領域に装荷した燃焼の進んでいない可燃性毒物入り燃料集合体を、第2サイクルで内周領域に装荷することで、余剰反応度を適正化できることが記載されている。
特許第3186546号公報
特許第2577367号公報
特許第3779299号公報

発明が解決しようとする課題

0010

燃料経済性を向上させるためには、炉心平均濃縮度を高めることが好ましい。しかし、燃料集合体コーナ領域近傍は熱中性子が多いことから、高濃縮度の燃料棒を用いると熱的特性を満足できない場合がある。

0011

そこで本発明は、原子炉の安全を確保しつつ、炉心平均濃縮度を高めることを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上述の目的を達成するため、本発明は、軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心において、第1の燃料集合体が配列された外周領域と、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体よりも核分裂性物質を少なく含有する第2の燃料集合体が配列された内周領域と、を有することを特徴とする。

0013

また、本発明は、軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心において、第1の燃料集合体が配列された外周領域と、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体のコーナー部の燃料棒よりも核分裂性物質を少なく含有する燃料棒がコーナー部に配置された第2の燃料集合体が配列された内周領域と、を有することを特徴とする。

0014

また、本発明は、軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される沸騰水型原子炉の炉心において、第1の燃料集合体が配列された外周領域と、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体よりも可燃性毒物の含有量が小さい第2の燃料集合体が配列された内周領域と、を有することを特徴とする。

0015

また、本発明は、軸を鉛直方向とするほぼ円筒の領域に、その軸方向に延びる燃料集合体を配列して形成される炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、第1の燃料集合体を配列して前記炉心の外周領域を形成し、前記外周領域よりも前記円筒の半径方向の内側であって、前記第1の燃料集合体よりも核分裂性物質を少なく含有する第2の燃料集合体を配列して前記炉心の内周領域を形成する炉心形成工程と、前記炉心形成工程の後に、前記炉心を所定の期間臨界に保つ第1サイクル工程と、を有することを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、原子炉の安全を確保しつつ、炉心平均濃縮度を高めることができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。

0018

[第1の実施の形態]
図2は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における横断面(水平断面)図である。図3は、本実施の形態における燃料集合体の横断面図である。図2は、炉心の横断面の左上1/4を示した図であって、残りの部分は炉心の鉛直方向中心軸を対称軸とする図示した部分の回転対称となっている。なお、炉心全体が回転対称になっている必要はなく、鏡面対称であってもよいし、対称性がない炉心であってもよい。

0019

沸騰水型原子炉には、角筒状の燃料集合体26を配置する空間22が正方格子状に配列された領域10を有している。この領域10は、全体としてほぼ円筒形に形成されていて、燃料集合体26の軸は、その円筒の軸と同じ方向に向かっている。これらの空間22に燃料集合体26が配置されて、炉心を形成する。

0020

また、燃料集合体26を配置する空間22は、燃料集合体26よりも若干大きく、隣り合う4体の燃料集合体26の間に、制御棒21が挿入できるようになっている。なお、領域10の半径方向の外側の一部には、制御棒21と隣接しない燃料集合体26を配置する空間22も存在する。

0021

本実施の形態の炉心では、872体の燃料集合体26が装荷され、205本の制御棒21が配置される。

0022

燃料集合体26は、正方格子状に9行9列で配列された円筒状の燃料棒24、および、燃料棒24の配列の中央部分に配置された角筒状のウォータチャンネル25を有している。ウォータチャンネル25は、燃料棒24の3行3列の9本分の領域を占めている。燃料棒24およびウォータチャンネル25は、軸方向の両端に設けられたタイプレート(図示せず)および軸方向の数箇所に設けられたスペーサ(図示せず)で保持されている。燃料集合体26の外周は、角筒状のチャンネルボックス23で囲まれている。

0023

燃料棒24の内部には、ウラン235などの核分裂性物質が、たとえばウラン238などとともに円筒状に焼き固められたペレットとして収められている。各燃料棒24中のウラン235の濃縮度は、燃料棒24ごとに異なっていて、各燃料棒24に収められた核分裂性物質量も燃料棒24ごとに異なっている。なお、燃料棒24の軸方向に濃縮度が異なる領域を設けてもよい。

0024

図1は、本実施の形態における第1サイクルの炉心の燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。符号1,2,3,4はそれぞれ燃料集合体26の種類を示しており、同一の符号は、燃料棒24の配置が同一の燃料集合体を示している。

0025

第1サイクルの炉心11、すなわち初装荷炉心11の外周部には、符号3で示す燃料集合体が配列されている。また、初装荷炉心11の内周部には、符号1,2,4で示す燃料集合体が配置されている。ここで、符号3で示す燃料集合体26を第1の燃料集合体、符号1,2,4で示す燃料集合体26を第2の燃料集合体と呼ぶこととする。

0026

第1の燃料集合体3に含まれる核分裂性物質量は、第2の燃料集合体1,2,4に含まれる核分裂性物質量よりも多い。燃料棒の数などの濃縮度以外の燃料型式が同一の燃料集合体24の場合には、第1の燃料集合体3の集合体平均濃縮度は、第2の燃料集合体1,2,4の集合体平均濃縮度よりも高くなる。

0027

なお、第2の燃料集合体の、符号1および符号2で示される燃料集合体は集合体平均濃縮度が比較的高い高濃縮燃料であり、符号4で示される燃料集合体は集合体平均濃縮度が比較的低い低濃縮燃料である。

0028

一般に、炉心の外周部では中性子の漏れが大きいため、燃料集合体一体あたりの出力が、内周部に比べて小さくなる傾向がある。このため、炉心11の外周部に装荷される第1の燃料集合体3は、内周部に装荷される第2の燃料集合体1,2,4に比べて集合体平均濃縮度を高めても熱的制限値を容易に満足させることができる。

0029

図4は、本実施の形態における第1の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。図5は、本実施の形態における第2の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。なお、図5は、第2の燃料集合体のうち、符号1で示される燃料集合体を例として示したものである。図4および図5において、U1、U2、U3で示される位置はウラン燃料棒が配置され、Gで示される位置はガドリニア入り燃料棒が配置されることを示している。Wは、ウォータチャンネルの位置を示している。

0030

ウラン燃料棒とは、内部にガドリニアなどの可燃性毒物を含有しない燃料棒26のことであり、ガドリニア入り燃料棒とは、ガドリニアなどの可燃性毒物を核分裂性物質とともに含有する燃料棒24のことである。U1、U2、U3で示されるウラン燃料棒はそれぞれウラン235の濃縮度が異なり、U1で示されるウラン燃料棒の濃縮度が最も高く、U3で示される位置のウラン燃料棒の濃縮度が最も低い。U1で示されるウラン燃料棒の濃縮度は、たとえば4.9wt%である。なお、図4図5におけるU1で示される位置に配置される燃料棒の濃縮度は互いに異なっていてもよい。

0031

一般に、燃料集合体26のコーナー部では熱中性子が多いため、他の位置に比べて出力が高くなる傾向がある。また、原子炉を安全に運転するためには、燃料集合体26は、最大線出力密度最小限界出力比などの熱的特性が所定の制限値(熱的制限値)を満足する必要がある。そこで、炉心11の内周部に装荷される第2の燃料集合体1,2,4では、コーナー部およびその近傍のU2およびU3で示される位置に、他の位置に配置される燃料棒24よりも濃縮度が低い燃料棒24が配置される。

0032

一方、炉心11の外周部に装荷される第1の燃料集合体3では、燃料集合体一体あたりの出力が内周部に装荷される燃料集合体に比べて低くなる傾向があるため、コーナー部およびその近傍にも、濃縮度が高い符号U1で示す燃料棒24を配置することができる。

0033

また、本実施の形態の第1の燃料集合体3は、炉心11の中心に近いコーナー部31からの距離が、炉心11の中心から遠いコーナー部30からの距離よりも短い位置に、より多くのガドリニア入り燃料棒を配置している。このように燃料棒24を配置することにより、外周部の燃料棒24の中でもより出力が高くなる傾向がある炉心11の中心に近い部分において過度に出力が高くなることを抑制し、熱的制限値を満足させることができる。

0034

炉心11の外周部では、ガドリニア入り燃料棒によって炉心の余剰反応度を抑制する効果が小さく、熱的制限値を満足させるために第1の燃料集合体3に多数のガドリニア入り燃料棒を使用しても、余剰反応度が過度に低下することはない。

0035

このように炉心外周部の燃料集合体の燃料集合体平均濃縮度を上げることにより、原子炉を安全に保ったまま、経済性を向上させることができる。

0036

図6は、本実施の形態における第2サイクルの炉心の燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。

0037

初装荷炉心11の外周部に配置されていた第1の燃料集合体3は、第2サイクルの炉心12の内周部に配置される。なお、第1の燃料集合体3の全てが第2サイクルの炉心12の内周部に配置される必要はない。

0038

一般に、炉心の外周部に装荷された燃料集合体は、炉心の内周に装荷された燃料集合体に比べて遅いものの、ある程度燃焼は進む。つまり、初装荷炉心11の外周部に配置された第1の燃料集合体3は、第1サイクル終了時点までにある程度燃焼が進む。このため、第1の燃料集合体3は集合体平均の濃縮度が高いが、第2サイクルで炉心12の内周部に配置されたとしても、第2サイクルでの熱的制限値を満足させることができる。特に、燃料集合体26のコーナー部およびその近傍では燃焼が速く進むため、局所ピーキングは速やかに減少し、一旦初装荷炉心11の外周部で燃焼させた燃料集合体26は熱的制限値を満足させやすくなる。

0039

また、炉心の外周部ではガドリニアの燃焼が遅れるため、ガドリニア入り燃料棒の本数やガドリニアの濃度によっては、次サイクルで炉心の内周部に装荷されて余剰反応度を下げる。

0040

このように第1サイクルの炉心11の外周部に配置された燃料集合体平均濃縮度が高い燃料集合体3を第2サイクルの炉心12の内周部に配置することにより、原子炉を安全に保ったまま、経済性を向上させることができる。

0041

[第2の実施の形態]
図7は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第2の実施の形態における第1の燃料集合体の軸方向ガドリニア分布を示す模式図である。図8は、本実施の形態における第2の燃料集合体の軸方向ガドリニア分布を示す模式図である。なお、図8は、第2の燃料集合体1,2,4のうち、符号1で示される燃料集合体を示したものであるが、他の燃料集合体2,4についても同様である。

0042

本実施の形態の燃料集合体は、ガドリニア濃度が異なる軸方向の複数の領域を有している。

0043

初装荷炉心11で外周部に装荷される第1の燃料集合体3は、上下端のガドリニアを含まない領域41の間に、上から順にガドリニア濃度が小さい領域42、ガドリニア濃度が中程度の領域43、ガドリニア濃度が大きい領域44およびガドリニア濃度が小さい領域45を有している。なお、上端に近いガドリニア濃度が小さい領域42と下端に近いガドリニア濃度が小さい領域45のガドリニア濃度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0044

初装荷炉心11で内周部に装荷される第2の燃料集合体1,2,4は、上下端のガドリニアを含まない領域41の間に、上から順にガドリニア濃度が小さい領域46、ガドリニア濃度が中程度の領域47およびガドリニア濃度が大きい領域48を有している。

0045

図9は、炉心の軸方向熱出力分布の例を示すグラフである。

0046

炉心の熱出力は、一般的に軸方向の上下端で低くなっている。このため、軸方向の上下端に近い部分では、ガドリニウムの燃焼が遅れる傾向がある。

0047

また、沸騰水型原子炉では、下端部に近い領域の熱出力が高い状態(ボトムピーク)になりやすい。そこで、初装荷炉心11の内周部に装荷される第2の燃料集合体1,2,4の下端部に近い領域のガドリニウム含有量を大きくしている。

0048

一方、初装荷炉心11の外周部に装荷される第1の燃料集合体3の下端に近い領域では、第2の燃料集合体1,2,4と同様にガドリニウム含有量を多くしておくと、第1サイクル終了時点までに燃焼が十分に進まない場合がある。燃焼が十分に進まないと、ウラン235などの核分裂性物質が多く残留した状態となり、第2サイクル以降、下端に近い領域のガドリニアの燃焼が進むと極端なボトムピークの状態になるおそれがある。

0049

このため、第2サイクルの炉心12の内周部に装荷される燃料集合体のうち、ある程度の数の燃料集合体の下端近傍の燃焼を進ませておいたほうが、第2サイクルでのボトムピークを回避する上で好ましい。しかし、第1サイクルの炉心11の内周部に装荷される第2の燃料集合体1,2,4の下部のガドリニウム含有量を減らすと、第1サイクルにおいて熱的制限値を満足できない場合がある。

0050

そこで、本実施の形態では、第1の燃料集合体3の下端に近い位置にガドリニウム含有量が小さい領域45を設け、初装荷炉心11の外周部に装荷される第1の燃料集合体3の下端に近い部分のガドリニウム含有量を、内周部に装荷される第2燃料集合体1,2,4よりも少なくしている。このようにして、第1の燃料集合体3の下端に近い領域の燃焼を第1サイクルの間に促進させている。

0051

初装荷炉心11の外周部に位置する燃料集合体であれば、極端な下部出力ピークになっても、燃料集合体26全体としての出力が低いので熱的制限値を満足しつつ、ガドリニアの燃焼を促進できる。このため、第2サイクルの炉心12で内周部に装荷されたとしても、炉心12の熱出力分布が極端なボトム出力ピークになることを抑制できる。

0052

[第3の実施の形態]
図10は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第3の実施の形態における第1の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。図11は、本実施の形態における第2の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。図10および図11において、U1、U2、U3で示される位置はウラン燃料棒が配置され、G1およびG2で示される位置はガドリニア入り燃料棒が配置されることを示している。WRは、ウォータロッドの位置を示している。U1、U2、U3で示されるウラン燃料棒はウラン235の濃縮度が異なり、U1で示されるウラン燃料棒の濃縮度が最も高く、U3で示される位置のウラン燃料棒の濃縮度が最も低い。G1およびG2で示されるガドリニア入り燃料棒はガドリニア濃度が異なり、G1で示される燃料棒のガドリニア濃度は、G2で示される燃料棒のガドリニア濃度よりも低い。

0053

本実施の形態の第1の燃料集合体5および第2の燃料集合体6は、いずれも9行9列に配列された燃料棒24と、中央部の7本分の燃料棒24に対応する位置に配置された2本のウォータロッドを有している。本実施の形態の第1の燃料集合体5は、第1の実施の形態における第1の燃料集合体3の代わりに用いられる。本実施の形態の第2の燃料集合体6は、第1の実施の形態における第2の燃料集合体1,2,4のいずれかの代わりに用いられる。なお、初装荷炉心11の内周部に装荷される他の燃料集合体は、本実施の形態の第2の燃料集合体6と同様に2本のウォータロッドを有する燃料集合体でもよいし、第1の実施の形態の1本のウォータチャンネルを有する燃料集合体でもよい。

0054

本実施の形態の第2の燃料集合体6は、ガドリニア入り燃料棒を20本有していて、それらのガドリニウム入り燃料棒は互いに隣り合わないよう配置されている。一方、第1の燃料集合体5は、第2の燃料集合体6に用いるガドリニア入り燃料棒よりもガドリニア含有率が低いガドリニア入り燃料棒を22本有していて、それらのガドリニア入り燃料棒の一部は互いに隣り合って配置されている。

0055

燃焼期間の長期にわたって、ガドリニアにより余剰反応度を抑制するためには、ガドリニア濃度を上げる必要がある。しかし、ガドリニアを添加した燃料ペレット熱伝導率が低下するため、燃料ペレット温度が上昇する傾向にある。このため、燃料健全性の観点からは、ガドリニア濃度は低いことが好ましい。

0056

そこで、たとえば特許文献2には、ガドリニア入り燃料棒を隣接させて配置することで、ガドリニアの燃焼を抑制し、ガドリニア濃度が高くなくても長期にわたって中性子吸収効果持続させる方法が開示されている。

0057

このようにガドリニア入り燃料棒を隣接させて配置し、ガドリニア入り燃料棒本数をなるべく多くすることで、ガドリニア濃度を下げつつ余剰反応度を長期にわたり抑制することができる。しかし、炉心の内周部にそのような燃料集合体を装荷すると、ガドリニア入り燃料棒本数が多いことから、燃焼初期の余剰反応度が過度に低下する場合がある。

0058

本実施の形態の初装荷炉心11では、ガドリニア入り燃料棒を隣接配置した第1の燃料集合体5を外周部に装荷している。これにより、第1サイクル初期の余剰反応度を適切に保ちつつ、かつガドリニア濃度を過度に高くすることなく、長期にわたり余剰反応度を抑制することができる。

0059

なお、本発明は、上述の各実施の形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。たとえば、以上の説明は沸騰水型原子炉の第1サイクルおよび第2サイクルを例として説明したが、任意の連続する2サイクルにおいても同様である。また、上述の各実施の形態は、872体で構成される炉心について説明したが、これよりも小型あるいは大型の炉心であっても適用可能である。また、燃料集合体も9×9型燃料を用いて説明したが、他の型式の燃料、たとえば燃料棒が10行10列に配列された燃料などであってもよい。ウランプルトニウム混合酸化物燃料についても適用することができる。これらの燃料集合体が混在していてもよい。可燃性毒物としては、ガドリニアを例に説明しているが、エルビアなど他の可燃性毒物を使用してもよい。

0060

さらに、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。

図面の簡単な説明

0061

本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における第1サイクルの炉心の燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における1/4横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における燃料集合体の横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における第1の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における第2の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における第2サイクルの炉心の燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第2の実施の形態における第1の燃料集合体の軸方向ガドリニア分布を示す模式図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第2の実施の形態における第2の燃料集合体の軸方向ガドリニア分布を示す模式図である。
炉心の軸方向熱出力分布の例を示すグラフである。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第3の実施の形態における第1の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第3の実施の形態における第2の燃料集合体の各燃料棒の濃縮度の例を示す横断面図である。

符号の説明

0062

1,2,3,4,5,6…燃料集合体、11…第1サイクルの炉心(初装荷炉心)、12…第2サイクルの炉心、21…制御棒、23…チャンネルボックス、24…燃料棒、25…ウォータチャンネル、26…燃料集合体

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