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技術 Bを添加した低炭快削鋼の製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 宮本健一郎橋村雅之水野淳青木淳松井剛伊藤智
出願日 2006年11月28日 (13年5ヶ月経過) 出願番号 2006-320063
公開日 2008年6月12日 (11年10ヶ月経過) 公開番号 2008-133503
状態 特許登録済
技術分野 連続鋳造 溶融状態での鋼の処理
主要キーワード 環境負荷元素 生産障害 起電力差 LF処理 鋳造特性 ドリル穿孔 熱間変形 工具磨耗
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

被削性に優れるB添加低炭快削鋼の製造において、連続鋳造用スライディングノズルプレート溶損を防止する製造方法を提供する。

解決手段

質量%で,C:0.005〜0.2%,Si:0.001〜0.5%,Mn:0.3〜3.0%,P:0.001〜0.2%,S:0.40〜0.50%,B:0.001〜0.015%,O:0.005〜0.012%,Ca:0.0001〜0.0010%,N:0.003〜0.015%、Al≦0.01%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を、LF工程での溶鋼処理を経て連続鋳造により製造するに際し,LF工程前の溶鋼溶解酸素濃度を200ppm以下とし、あるいは、連続鋳造に供する溶鋼中介在物の平均MnO濃度を30質量%以下とすることを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。

概要

背景

一般機械や自動車は多種の部品を組み合わせて製造されているが,その部品は要求精度製造効率の観点から多くの場合,切削工程を経て製造されている。その際,コスト低減生産能率の向上が求められ,鋼にも被削性の向上が求められている。特に低炭硫黄快削鋼SUM23や低炭硫黄鉛複合快削鋼SUM24Lは,被削性を重視して発明されてきた。これまで被削性を向上させるために,S,Pbなどの被削性向上元素を添加するのが有効であることが知られている。しかし需要家によってはPbを環境負荷元素として使用を避ける場合もあり,その使用量を低減する方向にある。

Pbの添加を避けて被削性を向上させる技術として、例えば特許文献1、2には、Bを添加した低炭快削鋼が提案されている。

連続鋳造において、タンディッシュから鋳型への溶鋼注入量制御のため、スライディングノズルが用いられる。スライディングノズルは、一般的にタンディッシュと浸漬ノズルとの間に2枚重ねまたは3枚以上の中部に孔を有したスライディングノズルプレートが用いられている。タンディッシュのスライディングノズルプレートの耐火材料としては,耐熱衝撃性が良く原料コストが安いAl2O3−カーボン質耐火物やMgO−カーボン質耐火物が広く適用されている。

スライディングノズルプレートの溶損対策として、例えば特許文献3、4には、マグネシアアルミナ質プレート煉瓦を使用することが提案されている。しかし、特に効果を発揮する具体的な溶鋼成分組成については、何ら開示していない。

特開2001−329335号公報
特開2004−176176号公報
特開2002−29833号公報
特開2002−362969号公報

概要

被削性に優れるB添加低炭快削鋼の製造において、連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損を防止する製造方法を提供する。質量%で,C:0.005〜0.2%,Si:0.001〜0.5%,Mn:0.3〜3.0%,P:0.001〜0.2%,S:0.40〜0.50%,B:0.001〜0.015%,O:0.005〜0.012%,Ca:0.0001〜0.0010%,N:0.003〜0.015%、Al≦0.01%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を、LF工程での溶鋼処理を経て連続鋳造により製造するに際し,LF工程前の溶鋼溶解酸素濃度を200ppm以下とし、あるいは、連続鋳造に供する溶鋼中介在物の平均MnO濃度を30質量%以下とすることを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。

目的

本発明は上記事情を鑑みてなされたもので,自動車や一般機械に用いられ,特に切削時の工具寿命仕上げ面粗さ,及び切り屑処理性に代表される被削性に優れる,B添加低炭快削鋼の製造において、連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損を防止する製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

質量%で,C:0.005〜0.2%,Si:0.001〜0.5%,Mn:0.3〜3.0%,P:0.001〜0.2%,S:0.40〜0.50%,B:0.001〜0.015%,O:0.005〜0.012%,Ca:0.0001〜0.0010%,N:0.003〜0.015%、Al≦0.01%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を、LF工程での溶鋼処理を経て連続鋳造により製造するに際し,LF工程前の溶鋼溶解酸素濃度を200ppm以下とすることを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。

請求項2

質量%で,C:0.005〜0.2%,Si:0.001〜0.5%,Mn:0.3〜3.0%,P:0.001〜0.2%,S:0.40〜0.50%,B:0.001〜0.015%,O:0.005〜0.012%,Ca:0.0001〜0.0010%,N:0.003〜0.015%、Al≦0.01%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を、LF工程での溶鋼処理を経て連続鋳造により製造するに際し,連続鋳造に供する溶鋼中介在物の平均MnO濃度を30質量%以下とすることを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。

請求項3

請求項1または2記載の製造方法において、連続鋳造する際、Al2O3含有量が60〜80質量%,MgO含有量が20〜35質量%である連続鋳造用スライディングノズルプレートを使用することを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。

技術分野

0001

本発明は,自動車一般機械などに用いられ,切削時の工具寿命仕上げ面粗さおよび切り屑処理性に優れる,Bを添加した低炭快削鋼の製造方法に関わり、詳しくは、連続鋳造用スライディングノズルプレート溶損防止を図る方法に関するものである。

背景技術

0002

一般機械や自動車は多種の部品を組み合わせて製造されているが,その部品は要求精度製造効率の観点から多くの場合,切削工程を経て製造されている。その際,コスト低減生産能率の向上が求められ,鋼にも被削性の向上が求められている。特に低炭硫黄快削鋼SUM23や低炭硫黄鉛複合快削鋼SUM24Lは,被削性を重視して発明されてきた。これまで被削性を向上させるために,S,Pbなどの被削性向上元素を添加するのが有効であることが知られている。しかし需要家によってはPbを環境負荷元素として使用を避ける場合もあり,その使用量を低減する方向にある。

0003

Pbの添加を避けて被削性を向上させる技術として、例えば特許文献1、2には、Bを添加した低炭快削鋼が提案されている。

0004

連続鋳造において、タンディッシュから鋳型への溶鋼注入量制御のため、スライディングノズルが用いられる。スライディングノズルは、一般的にタンディッシュと浸漬ノズルとの間に2枚重ねまたは3枚以上の中部に孔を有したスライディングノズルプレートが用いられている。タンディッシュのスライディングノズルプレートの耐火材料としては,耐熱衝撃性が良く原料コストが安いAl2O3−カーボン質耐火物やMgO−カーボン質耐火物が広く適用されている。

0005

スライディングノズルプレートの溶損対策として、例えば特許文献3、4には、マグネシアアルミナ質プレート煉瓦を使用することが提案されている。しかし、特に効果を発揮する具体的な溶鋼成分組成については、何ら開示していない。

0006

特開2001−329335号公報
特開2004−176176号公報
特開2002−29833号公報
特開2002−362969号公報

発明が解決しようとする課題

0007

タンディッシュにスライディングノズルを用いた連続鋳造において、特にBを添加した低炭快削鋼の鋳造時にスライディングノズルプレートの溶損が激しく進行する現象が見られた。スライディングノズルプレートのうち、溶鋼と接する内孔部(孔の壁及び摺動面)が特に溶損しやすく、鋳造中に溶鋼の流量が乱れて安定的な鋳造が出来なくなるばかりか,鋳造間でのダンディッシュ交換が必要となるなど連々鋳の実施などにも支障をきたし生産障害を引き起こしてしまう場合がある。

0008

本発明は上記事情を鑑みてなされたもので,自動車や一般機械に用いられ,特に切削時の工具寿命,仕上げ面粗さ,及び切り屑処理性に代表される被削性に優れる,B添加低炭快削鋼の製造において、連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損を防止する製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0009

B添加低炭快削鋼の鋳造時に発生するスライディングノズルプレートの溶損は、B添加低炭快削鋼の溶鋼中に含まれる非金属介在物高濃度のMnOやB2O3の低融点酸化物を含有しており、そのような組成を有する介在物がスライディングノズルプレートに付着し、スライディングノズルプレートの粒界侵食を助長し、それが耐火物溶損の主要因となるためである。そのため、上記のような低融点酸化物を多量に含む鋼で、良好な被削性と耐溶損性両立させることは困難であった。

0010

本発明者らは,種々の実験調査を行なうことにより,低炭系の快削鋼に代表される高酸素,高Mn含有し、且つBを含有する鋼を転炉LF工程で溶製し、次いで連続鋳造するに際し,低融点酸化物であるMnOやB2O3を含有した介在物の生成挙動がタンディッシュのスライディングノズルプレートの溶損現象と多大な相関があることを知見し得た。本発明はこれらの知見に基づきなされたものであり,その要旨は以下に示す通りである。
(1)質量%で,C:0.005〜0.2%,Si:0.001〜0.5%,Mn:0.3〜3.0%,P:0.001〜0.2%,S:0.40〜0.50%,B:0.001〜0.015%,O:0.005〜0.012%,Ca:0.0001〜0.0010%,N:0.003〜0.015%、Al≦0.01%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を、LF工程での溶鋼処理を経て連続鋳造により製造するに際し,LF工程前の溶鋼中溶解酸素濃度を200ppm以下とすることを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。
(2)質量%で,C:0.005〜0.2%,Si:0.001〜0.5%,Mn:0.3〜3.0%,P:0.001〜0.2%,S:0.40〜0.50%,B:0.001〜0.015%,O:0.005〜0.012%,Ca:0.0001〜0.0010%,N:0.003〜0.015%、Al≦0.01%を含有し,残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を、LF工程での溶鋼処理を経て連続鋳造により製造するに際し,連続鋳造に供する溶鋼中介在物の平均MnO濃度を30質量%以下とすることを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。
(3)上記(1)または(2)記載の製造方法において、連続鋳造する際、Al2O3含有量が60〜80質量%,MgO含有量が20〜35質量%である連続鋳造用スライディングノズルプレートを使用することを特徴とするBを添加した低炭快削鋼の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によれば,切削時の工具寿命,仕上げ面粗さ,及び切り屑処理性の被削性に優れる快削鋼を連続鋳造するに際し、連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損を防止して安定して製造できる。

発明を実施するための最良の形態

0012

以下に本発明について最良の形態に基づいて詳細に説明する。

0013

本発明は、鉛を添加しなくても十分な被削性,特に良好な仕上げ面粗さを得るための鋼成分組成を特定すると共に,LF工程前の溶鋼中溶解酸素濃度を制御して、連続鋳造に供する溶鋼中の介在物組成を適正に制御することにより上記課題が解決できることを見出し、完成されたものである。

0014

先ず、本発明の快削鋼に含有させる成分元素の規定理由を以下に説明する。

0015

[C];0.005〜0.2%
Cは鋼材の基本強度と鋼中の酸素量に関係するので被削性に大きな影響を及ぼす。Cを多く添加して強度を高めると被削性を低下させるのでその上限を0.2%とした。一方,単純に吹錬によってC量を低減させすぎるとコストが嵩むだけでなく,Cによる脱酸が行なわれなくなるため鋼中酸素量が多量に残存してピンホール等の不具合の原因となる。従ってピンホール等の不具合を容易に防止できるC量である0.005%を下限とした。

0016

[Si];0.001〜0.5%
Siの過度な添加は硬質酸化物を生じて被削性を低下させるが,適度な添加は酸化物を軟質化させ,被削性を低下させない。その上限は0.5%であり,それ以上では硬質酸化物を生じる。0.001%未満では酸化物の軟質化が困難になるとともに工業的にはコストがかかる。

0017

[Mn];0.3〜3.0%
Mnは鋼中硫黄をMnSとして固定・分散させるために必要である。また,鋼中酸化物を軟質化させ,酸化物を無害化させるために必要である。その効果は添加するS量にも依存するが,0.3%未満では添加SをMnSとして十分に固定できず,表面疵が生じ,SがFeSとなり脆くなる。MnS量が大きくなると素地の硬さが大きくなり被削性や冷間加工性が低下するので,3.0%を上限とした。

0018

[P];0.001〜0.2%
Pは鋼中において素地の硬さが大きくなり,冷間加工性だけでなく,熱間加工性鋳造特性が低下するので,その上限を0.2%にしなければならない。一方,被削性向上に効果がある元素で下限値を0.001%とした。

0019

[S];0.40〜0.50%
SはMnと結合してMnSを主成分とする硫化物として存在する。MnSを主成分とする硫化物は被削性を向上させるが,伸延したMnSを主成分とする硫化物は鋳造時の異方性を生じる原因の一つである。大きなMnSを主成分とする硫化物は避けるべきであるが,被削性向上の観点からは多量の添加が好ましい。従ってMnSを主成分とする硫化物を微細分散させることが好ましい。Pbを添加しない場合の被削性向上には0.4%以上の添加が必要である。一方,S添加量が多すぎると粗大MnSを主成分とする硫化物の生成が避けられないだけでなく,FeS等による鋳造特性,熱間変形特性の劣化から製造中に割れを生じる。そのため上限を0.50%とした。

0020

[B];0.001〜0.015%
BはBNとして析出すると被削性向上に効果がある。特にMnSを主成分とする硫化物と複合析出してマトリックス中に微細分散することでより顕著となる。これらの効果は0.001%未満では顕著でなく,0.015%を超えて添加すると溶鋼中で耐火物との反応が激しくなり,鋳造時に耐火物の溶損が大きくなり,製造性を著しく損なう。そこで0.001%〜0.015%を適正範囲とした。

0021

被削性と共に熱間延性を得るには、B含有量とN含有量とが、1.3×B−0.0022≦N≦1.3×B+0.0034の関係を満足するのが好ましい。

0022

[O];0.005〜0.012%
本発明鋼は、MnSの微細分散により被削性を向上させる際に析出核として酸化物を利用している。酸素濃度が0.005%未満では十分にMnSを主成分とする硫化物を微細分散させることができず,粗大なMnSを生じ被削性や機械的性質にも悪影響を及ぼす。またSimsのII型といわれる形態のMnSを主成分とする硫化物が生成することで被削性は劣化する。更に溶鋼中で脱硫反応が起き易くなり,安定したS添加が出来なくなる。従って0.005%を酸素量の下限とした。

0023

一方、鋼中の酸素濃度が高すぎると、Oは酸化物ならず単独で存在する場合には冷却時に気泡となり,ピンホールの原因となる。硬質介在物の生成により被削性の劣化や疵の原因となる場合もある。更に被削性向上のために添加しているBを溶鋼中で酸化物として消費してしまい,BNになる有効B量を減少させて被削性に影響を及ぼす場合がある。酸素量が0.012%を超えると溶鋼中でBの酸化物が生成しやすくなり,実質的にBNとなるBが減少して被削性を劣化させ,更には硬質酸化物が多量に生成し疵発生量が増大するため,0.012%を酸素量の上限とした。なおOの制御にはCaの添加が有効である。

0024

[Ca];0.0001〜0.0010%
Caは脱酸元素であり,鋼中の酸素量を制御することができ,酸化物を形成しやすいBの歩留りを安定させ,更に硬質酸化物の生成を抑制することができる。また微量であれば軟質酸化物を生成し,被削性を向上させる働きがある。0.0001%未満ではその効果は全く無く,0.0010%超では多量の軟質酸化物を生成することで工具刃先凹凸をもって付着し,更に被削性や熱間延性を低下させる。従って成分範囲を0.0001〜0.0010%と規定した。

0025

[N];0.003〜0.015%
NはBと結合してBNを生成し、被削性を向上させる。この効果はN濃度0.003%未満では十分に得られず、さらにB濃度によっては多量の固溶Bが残存し、鋼材の硬化を招き好ましくない。よって下限を0.003%とする。また、N濃度が0.015%を超えるとBNによる被削性向上効果飽和し、さらにB濃度によっては多量の固溶Nが残存し、圧延疵の発生を招き好ましくない。よって上限を0.015%とする。そのうえで、製造性と被削性の両立を図るには、N濃度に関して本発明の範囲内でさらに以下の式で限定される範囲とすることが好ましい。
1.3×[%B]−0.0022≦[%N]≦1.3×[%B]+0.0034
ここで、[%B]および[%N]はそれぞれ鋼中BおよびN濃度を質量%で表したものである。

0026

[Al];≦0.01%
Alは脱酸元素で,鋼中にはAl2O3やAlNを生成する。しかしAl2O3は硬質なので切削時に工具損傷の原因となり,磨耗を促進させる。またAlNを形成することでBNを形成するためのNが減少してしまい被削性が低下する。そこでAl2O3やAlNを多量に生成しない0.01%以下とした。

0027

次に、スライディングノズルプレートの溶損を防止するための、LF工程前の溶鋼中溶解酸素濃度、あるいは連続鋳造に供する溶鋼中介在物の平均MnO濃度の規定根拠について説明する。

0028

本発明鋼の鋼成分組成において、Mn,Bは同時に酸素との親和力の強い元素であり,一定量の溶解酸素フリー酸素)存在下においてはMnOやB2O3などの酸化物系介在物の形成が不可避である。さらにこれらの酸化物は低融点であるという特徴を有し,MnOやB2O3を多量に含んだ介在物と耐火物とが接触すると容易に耐火物を侵食してしまうことになる。

0029

このような低融点系介在物の生成回避のためにはフリー酸素の制御が必要であるが,上記鋼を転炉−LF工程経由にて連続鋳造する際にダンディッシュノズルプレートの溶損を回避し安定製造するためには,特にLF処理前でのフリー酸素を制御することにより介在物中のMnOやB2O3の生成量を低減させることが重要となる。

0030

具体的には,LF処理前の溶鋼中溶解酸素濃度(フリー酸素濃度)を200ppm以下とすることにより、介在物中のMnOやB2O3の生成量が低減し、スライディングノズルプレートの溶損が防止される。このとき、鋳造直前の溶鋼中介在物組成のうち、平均MnO濃度が30質量%以下となっており、これによってスライディングノズルプレートの溶損が防止される。

0031

LF処理前に溶鋼中に生成した介在物の大部分はLF処理中に浮上除去される。しかし、介在物組成のうちでMnOやB2O3については、主にLF処理中に溶鋼中の溶解酸素とMnやBが反応することによって生成する。そしてLF処理中に生成した介在物はLF処理が完了するまでに十分に浮上除去することができず、連続鋳造の段階で溶鋼中に残存する。

0032

LF処理前のフリー酸素濃度が200ppmを超えて存在すると、LF処理中のMnO,B2O3が過剰に生成してしまい,LF処理中の浮上分離が起こったとしても一部は溶鋼中に残存し、これらMnO,B2O3がスライディングノズルプレートを溶損することとなる。即ち、鋳造時のノズルプレート溶損を防止するに十分な低融点介在物濃度の制御が困難となる。これに対し、LF処理前の溶鋼中溶解酸素濃度(フリー酸素濃度)を200ppm以下とすることにより、介在物中のMnOやB2O3の濃度が低減し、スライディングノズルプレートの溶損が防止される。

0033

低融点介在物生成回避の観点からは,LF前のフリー酸素濃度は低いほど良いが,150ppm未満まで低下させてしまうとスラグメタル間での脱硫反応が進行し,被削性維持のために必要なSの確保が困難となってしまうので、150ppm以上とするのが好ましい。

0034

LF処理前の溶鋼中溶解酸素濃度(フリー酸素濃度)の測定方法としては、起電力差測定法を用いることができる。

0035

図1は、溶鋼成分としてC:0.04〜1.0%,Si:0.01%,Mn1.1:1.2〜%,P:0.07〜0.09%,S:0.40〜0.50%,B:0.007〜0.014%,O:0.007〜0.011%,Ca:0.0002〜0.0005%,N:0.007〜0.014%,Al:≦0.01%の組成の溶鋼について,LF処理前のフリー酸素レベルとタンディッシュのスライディングノズルの溶損状況の関係を調査した結果を示したものである。

0036

図2は、ダンディッシュ中溶鋼から金型サンプラーにより採取したサンプルにおける介在物中平均MnO濃度とタンディッシュのスライディングノズルの溶損状況を調査した結果を示したものである。

0037

図1、2中、□はスライディングノズルの材料としてMgO−C質(MgO=87%,Al2O3=10%,C=3%)のものを使用し,●はスピネル−C質(Al2O3=69%,MgO=27%,C=2.5%,金属Al=1%,CaO=0.5%)のものを使用した結果である。また,溶損指数はMgO−C耐火物使用時のLF前フリー酸素レベルが200ppmであるときの溶損速度を1として,各々の溶損速度を指数化した値である。

0038

図3は、LF処理前のフリー酸素レベルとダンディッシュ段階における介在物中平均MnO濃度との関係を調査した結果を示す図である。

0039

図1図2から明らかなように従来の耐火物(MgO−C耐火物)を使用した際にはLF前フリー酸素レベルが200ppmを超える場合や介在物中MnO濃度が30%を超えるとスライディングノズルプレートの溶損が大幅に促進される。これは図3から明らかなように,LF前フリー酸素レベルと介在物中MnO濃度に明らかな相関が認められるためである。

0040

以上により、本発明は、LF処理前の溶鋼中溶解酸素濃度(フリー酸素濃度)を200ppm以下、或いは鋳造直前の溶鋼中介在物の平均MnO濃度を30質量%以下と規定した。

0041

本発明で、介在物中のMnO濃度のみを規定する理由は,B2O3もスライディングノズルプレートの溶損に寄与するが、B2O3はMnOと同様な挙動を示し、また、MnOの方が溶鋼中での存在量が十分に多いことから、MnO濃度で代表させても十分に目的を達成できるためである。

0042

LF処理前のフリー酸素制御方法及び介在物中のMnO,B2O3の低減策としては,LF処理前に事前脱酸を行なうことが効果的である。事前脱酸は、転炉出鋼時、あるいはLF処理開始時に取鍋内溶鋼に脱酸剤を添加することによって行う。ここで,脱酸剤としては,Si,Al,Ti,Zr,Mg,Caなどの元素が挙げられる。

0043

フリー酸素の制御方法としては転炉出鋼時の吹止炭素濃度を上昇させる,すなわち高炭吹操業も効果的である。溶鋼中のフリー酸素濃度は転炉吹止時の[C]−[O]平衡で決まる。従って,転炉吹止時の炭素濃度を0.07質量%以上とすることで,LF前のフリー酸素濃度を適正範囲に制御することが可能となる。

0044

MnOやB2O3の酸化物系介在物の生成を低減することにより,MnS及びBNの生成消費されるべきMn,Bの量が増加し,これらの析出物の微細分散が促進されることから,より被削性に優れた快削鋼を得ることが可能となる。

0045

さらに、より安定して連続鋳造するためには,上述のLF前のフリー酸素と介在物中MnO濃度の制御に加えて,タンディッシュのスライディングノズルプレート材質としてはスピネル(MgO・Al2O3)質を使用することが好ましい。これは,スピネル材質がMnOやB2O3などの低融点化合物に対し極めて高い耐食性を示すからである。なお,スピネル材質として好ましい組成としては,Al2O3含有量が60〜80質量%,MgO含有量が20〜35質量%である。残余の好ましい成分としては,スラグとの対濡れ性確保の観点からグラファイトなどの炭素系物質:1〜3質量%,結合材バインダー成分)としてのCaOあるいはY2O3:0.1〜1.0質量%,耐食性保護材としての金属Al:1〜3質量%などの成分含むことが望ましい。

0046

図1図2に見られるように、LF前のフリー酸素と介在物中MnO濃度の制御に加えて,スライディングノズルプレートにスピネル−C質の耐火物を使用することで、溶損がさらに抑制される。

0047

本発明の効果を実施例によって説明する。

0048

表1に示す組成の鋼を300t転炉−LF工程経由にて連続鋳造に供した。表2には、表1に示す各実施例の転炉吹き止めC濃度、LF前の事前脱酸の有無、LF前フリー酸素濃度及びダンディッシュ中溶鋼から金型サンプラーにより採取したサンプル中の介在物中平均MnO濃度を示す。ここで,LF前のフリー酸素は起電力差測定方法によって測定した。また介在物中各成分の平均濃度とは,採取したサンプルの1000mm2断面中から検出される任意の10個の酸化物,硫化物についてEPMA等にて定量調査した組成の平均値であり,圧延後の平均介在物濃度も同一の断面積内に存在する任意の介在物10個のEPMA等調査による平均組成を示す。

0049

なおこの場合,LF処理前のフリー酸素濃度調整のために事前脱酸を行う場合、事前脱酸材としては,Siを用いた。

0050

タンディッシュのスライディングノズル材質としてはMgO・Al2O3を主としたスピネル−C材質のもの(MgO=27%,Al2O3=69%)とMgOを主成分としたMgO−C質(MgO=87%,Al2O3=10%)のものを使用した事例を示した。各実施例毎のスライディングノズルプレート材質を表2に示す。またスライディングノズルプレートの溶損状況については、比較例の溶損速度の平均値を1とし、相対的な溶損速度を表2に溶損指数として示した。

0051

なお,表1、2に比較例を併せて示す。比較例は,工程としては発明例と同じく300t転炉−LF工程にて溶製を行なったが,いずれの事例でもLF処理前の事前脱酸を行なわず,かつタンディッシュのスライディングノズルプレート材質としてはMgO−C質のみを使用した。

0052

材料の被削性はドリル穿孔試験プランジ切削試験長手旋削試験の代表的な3種類の切削方法によって評価した。ドリル穿孔試験は累積穴深さ1000mmまで切削可能な最高の切削速度(いわゆるVL1000,単位:m/min)で被削性を評価する方法である。プランジ切削試験は高速度鋼の突切工具によって工具形状構成刃先形状)を転写して仕上げ面粗さを評価する方法である。長手旋削試験は超硬工具を長手方向に送りながら鋼材外周を切り込む切削方法で、プランジ切削と同様、工具形状の転写での仕上げ面粗さを評価する方法である。実験では工具磨耗が進行した状態での被削性の差を評価できる800個切削後の仕上げ面粗さで評価した。仕上げ面粗さは触針式粗さ計で測定し、10点表面粗さRz(単位:μm)を仕上げ面粗さを示す指標とした。切り屑処理性に関しては切り屑カール時の半径が小さいもの、あるいは分断されているものが好ましく、○とした。巻き数が多くとも曲率半径が小さいもの、あるいは曲率半径が大きくとも切り屑長さが100mmに達しなかったものは良好で○とした。切り屑が20mmを超えた曲率半径で3巻き以上連続してカールして長く伸びた切り屑を不良とし、×とした。

0053

0054

0055

0056

本発明1〜10は本発明による発明例を示す。これに対し,比較例11〜13は従来法としての比較例を示す。なお表2中のタンディッシュスライディングノズルプレート溶損指数とは,比較例において見られた溶損速度の平均値を1として示したものである。

0057

本発明1〜4、7〜10については、LF前事前脱酸を行った結果として、また本発明5、6は転炉吹き止めC濃度を0.07質量%以上とすることにより、いずれもLF前フリー酸素濃度を200ppm以下に抑えることができた。その結果、本発明1〜10においては、いずれもタンディッシュ内介在物中の平均MnO濃度が30質量%以下であり、いずれもタンディッシュのスライディングノズルの溶損が少なく、特にスライディングノズルプレートにスピネル−C材質を使用した実施例1〜6は極めて良好な製造性を示す。これに対し,比較例ではいずれもLF処理前のフリー酸素濃度が高いことに起因して鋳造前(タンディッシュ内)の介在物中MnO濃度が30%を超えておりスライディングノズルの溶損大という結果となっている。

0058

また、表3に示すとおり、タンディッシュのスライディングノズル溶損が少なく良好な製造性を示す本発明例1〜10ではMnS及びBNの生成消費されるべきMn,Bの量が増加しているため、良好な被削性を示した。

図面の簡単な説明

0059

LF処理前のフリー酸素レベルとタンディッシュのスライディングノズル溶損指数の関係を示す図である。
ダンディッシュ段階にて金型サンプラーにより採取したサンプルにおける介在物中平均MnO濃度とタンディッシュのスライディングノズル溶損指数の関係を示す図である。
LF処理前のフリー酸素レベルとダンディッシュ段階における溶鋼中介在物の平均MnO濃度との関係を示す図である。

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