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技術 発光素子及びその製造方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 高橋祐彦
出願日 2006年11月22日 (14年9ヶ月経過) 出願番号 2006-315362
公開日 2008年6月5日 (13年3ヶ月経過) 公開番号 2008-130883
状態 未査定
技術分野 電場発光光源(EL) エレクトロルミネッセンス光源
主要キーワード 化学改質剤 シリカマトリクス 有機化合物溶液 シリカ固体 シリカ骨格中 骨格材料 基本層 無機骨格
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

有機化合物無機化合物中に分散した構造を有する発光素子において、有機化合物が無機化合物中に均一に分散した構造を形成する。

解決手段

有機化合物が分散した無機化合物層を有する発光素子において、該無機化合物層が、炭素原子との共有結合を少なくとも一つ有する金属原子を含む発光素子。

概要

背景

有機電界発光素子(Organic Light Emitting Diode;OLED)は、発光性有機化合物電荷輸送性有機化合物などを薄膜状に形成し、電極で挟み込んだ構造の発光素子である。電極間電圧印加することにより、電子正孔有機薄膜中に注入され再結合し、発光性有機化合物の励起子が生成する。この励起された発光性有機化合物が基底状態に戻る際に光が放出されるのが、OLEDの仕組みである。

現在用いられているOLEDにおける課題の一つとして、低い耐久性が挙げられる。基本的に有機材料無機材料に比べて熱や水分に弱いため、長時間駆動時の輝度低下が大きく、実用上十分なレベルに達するにはまだ改良が必要とされる。これを解決するために耐熱性の高い分子設計、より高発光効率な材料開発・層構造設計、封止技術の向上などが求められている。

特許文献1には、電子輸送材料発光材料としてアルミニウムキノリール錯体(Alq3)、正孔輸送材料としてテトラフェニルベンジジンTPD)誘導体を用い、これらを無機物(フッ化マグネシウム)中に共蒸着により分散した構造が報告されている。

また、OLED材を無機物中に分散した構造の他の例として、塗布法により分散構造を形成している例もある(特許文献2)。この例では、OLED材としてAlq3とTPD誘導体を用い、ゾルゲル法により形成したシリカ中にこれらのOLED材を分散した構造を形成している。

ゾルゲル法を用いることで、無機酸化物構造を塗布法により形成できるものの、成膜時に無機成分のシリカ有機成分のOLED材が層分離する可能性が高い。そのため所望の分散構造を得るために、OLED材の構造を変えてシリカマトリクスへの結合能を付与し、OLED材の分散性が向上したとしている。

特開平8−102360号公報
特開平9−279135号公報

概要

有機化合物無機化合物中に分散した構造を有する発光素子において、有機化合物が無機化合物中に均一に分散した構造を形成する。有機化合物が分散した無機化合物層を有する発光素子において、該無機化合物層が、炭素原子との共有結合を少なくとも一つ有する金属原子を含む発光素子。

目的

そこで本発明は、有機化合物が無機化合物中に分散した構造を有する発光素子において、有機化合物が無機化合物中に均一に分散した構造を、有機化合物の構造を選ぶことなく形成することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

有機化合物が分散した無機化合物層を有する発光素子において、該無機化合物層が、炭素原子との共有結合を少なくとも一つ有する金属原子を含むことを特徴とする発光素子。

請求項2

前記有機化合物が、蛍光発光燐光発光電子輸送正孔輸送のうち少なくとも一つ以上の機能を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。

請求項3

前記発光素子が、電界発光素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。

請求項4

前記無機化合物層が、金属酸化物よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発光素子。

請求項5

前記金属原子が、Al、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Zn、In、Snのうちいずれか、もしくはこれらのうちの2種類以上の組み合わせから成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光素子。

請求項6

前記無機化合物層をゾルゲル法により形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発光素子の製造方法。

請求項7

前記無機化合物層を構成する無機化合物の前駆体をゾル状態にした溶液と、有機化合物溶液または有機化合物及び溶媒と、を混合した塗布液基板上に塗布し、該塗布液層固化する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の発光素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、発光素子及びその製造法に関し、特に有機化合物が分散した無機化合物層を有する発光素子及びその製造法に関する。

背景技術

0002

有機電界発光素子(Organic Light Emitting Diode;OLED)は、発光性有機化合物電荷輸送性有機化合物などを薄膜状に形成し、電極で挟み込んだ構造の発光素子である。電極間電圧印加することにより、電子正孔有機薄膜中に注入され再結合し、発光性有機化合物の励起子が生成する。この励起された発光性有機化合物が基底状態に戻る際に光が放出されるのが、OLEDの仕組みである。

0003

現在用いられているOLEDにおける課題の一つとして、低い耐久性が挙げられる。基本的に有機材料無機材料に比べて熱や水分に弱いため、長時間駆動時の輝度低下が大きく、実用上十分なレベルに達するにはまだ改良が必要とされる。これを解決するために耐熱性の高い分子設計、より高発光効率な材料開発・層構造設計、封止技術の向上などが求められている。

0004

特許文献1には、電子輸送材料発光材料としてアルミニウムキノリール錯体(Alq3)、正孔輸送材料としてテトラフェニルベンジジンTPD)誘導体を用い、これらを無機物(フッ化マグネシウム)中に共蒸着により分散した構造が報告されている。

0005

また、OLED材を無機物中に分散した構造の他の例として、塗布法により分散構造を形成している例もある(特許文献2)。この例では、OLED材としてAlq3とTPD誘導体を用い、ゾルゲル法により形成したシリカ中にこれらのOLED材を分散した構造を形成している。

0006

ゾルゲル法を用いることで、無機酸化物構造を塗布法により形成できるものの、成膜時に無機成分のシリカ有機成分のOLED材が層分離する可能性が高い。そのため所望の分散構造を得るために、OLED材の構造を変えてシリカマトリクスへの結合能を付与し、OLED材の分散性が向上したとしている。

0007

特開平8−102360号公報
特開平9−279135号公報

発明が解決しようとする課題

0008

OLEDの各種特徴を活かしつつ次世代発光デバイスとして実用化するためには、低コスト生産技術確立素子寿命の向上が必須である。低コスト生産技術としては、塗布法による有機層の形成が、大掛かりな真空装置なども必要とせず有望である。一方、素子寿命の向上のためには、OLED材を無機物中に分散させることによる、耐熱性・耐候性の向上が期待される。

0009

簡易素子形成法と、OLED材の耐熱性・耐候性の向上を両立する手段として、特許文献2に示される、ゾルゲル法により形成した無機化合物中にOLED材を分散した構造が、期待されている。

0010

しかし単純にOLED材と無機化合物を混合しただけでは、無機化合物の加熱処理乾燥段階でOLED材が無機化合物中で層分離してしまい、均一分散薄膜を得ることができない。特に前記発光素子を電界発光素子として利用する場合、有機化合物が無機化合物中で層分離してしまうと、所望の発光特性が得られない場合があり、状態によっては発光機能自体が失われる。このように、有機化合物を無機化合物中に分散させる場合、有機化合物の均一な分散状態の達成が課題となっている。

0011

特許文献2では、無機化合物中での有機化合物の分散性を向上させるために、OLED材自体の構造を発光能とは別に設計する必要がある。さらに、OLED材に導入された水酸機などの官能基が、水分の吸着サイトのような、素子にとって好ましくない効果をもたらす可能性もあるため、耐候性が十分とはいえない。

0012

そこで本発明は、有機化合物が無機化合物中に分散した構造を有する発光素子において、有機化合物が無機化合物中に均一に分散した構造を、有機化合物の構造を選ぶことなく形成することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

すなわち、本発明の発光素子は、有機化合物が分散した無機化合物層を有する発光素子において、該無機化合物層が、炭素原子との共有結合を少なくとも一つ有する金属原子を含むことを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明の発光素子は、無機化合物層において、有機化合物の凝集結晶化が抑制され、有機化合物が均一に分散している。

0015

特に有機化合物としてOLEDに使用される有機化合物を用いることにより、耐熱性に優れたOLED素子を得ることができる。また、このように無機骨格中に導入された炭素原子を含む有機基は、無機化合物骨格中の水酸基などの親水性イト置換と同等の効果を成し、さらに外部から進入する水分をはじく効果をもつため、耐候性にも優れる。

0016

更に、前記無機化合物として金属酸化物を用いることにより、耐熱性・耐候性に優れた無機化合物骨格構造をゾルゲル法により形成することが可能となる。

0017

ゾルゲル法を用いることにより、低温プロセス膜構造を形成できるため、分散体である有機化合物の熱分解など、素子形成時の悪影響と成り得る要因を防ぐことができる。また、前記炭素原子と共有結合を持つ金属元素を無機化合物骨格中に組み込む過程も、出発原料の混合のみで制御でき、プロセス的にも非常に簡易である。

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。

0019

まず、有機化合物が分散した無機化合物層について説明する。

0020

有機化合物を、熱分解などを起こすことなく、安定に無機化合物中に分散させるために、無機化合物層の形成プロセスを300℃以下の低温条件で行うことが望ましい。また、素子作製の観点からは、高真空などの大掛かりな装置を必要としない、溶液法で行うことが望ましい。さらに、無機化合物層は耐熱性・耐候性に優れ、かつ安全な物である必要がある。以上を踏まえると、ゾルゲル法により、金属酸化物からなる層を形成することが、本発明の最良の形態の一つとして挙げられる。

0021

ゾルゲル法は、金属アルコキシドなどの溶液を出発原料とし、加水分解脱水縮合を進行させて金属酸化物を得る手法である。低温で緻密に焼結した多結晶体を得られることから、微粒子合成やコーティング用途で広く用いられている。

0022

以下、シリカを例に、ゾルゲル法の反応機構について説明する。

0023

出発原料の金属アルコキシドのアルコール溶液に適量の水と酸触媒(又は塩基性触媒)を加えて攪拌することにより、式−1に示す加水分解反応が進行する。

0024

Si(OC2H5)4+4H2O→Si(OH)4+4C2H5OH (式−1)

0025

生成したSi−OH結合間では式−2に示す脱水縮合が進行し、乾燥・加熱を経て、最終的に固体化したシリカを得る。

0026

Si(OH)4→SiO2+2H2O (式−2)

0027

式−1において、添加する水の量を適量にすることにより、シリカの微粒子状の析出を防ぎ、かつ基板上に塗布・乾燥により緻密なシリカ固体薄膜を得られるようなゾル状態の溶液を形成することができる。

0028

ゾルゲル法により固体を得ることのできる金属原子としてはSiの他に、Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Zn、In、Snなどが挙げられる。これらの金属アルコキシドのうち1種類のみを用いても良いし、複数種の金属アルコキシドを混合して反応進行させても良い。また、クロロシランのようなクロロ系化合物を出発原料としても良い。

0029

本発明の無機化合物層は、炭素原子との共有結合を少なくとも一つ有する金属原子を含む。例えば、無機化合物層がシリカよりなる場合、図1に示すように反応させればよい。つまり、出発原料のシリコンアルコキシド(例えばテトラエトキシシラン;TEOS)に、所望の有機基を持つシランカップリング剤(例えばフェニルトリエトキシシラン;PTES)を混合した条件で式−1、式−2に示すようなゾルゲル反応を進行させればよい。この結果、ゾルゲル反応終了時に、TEOSを出発原料とするシリカ骨格中に、Siにフェノール基炭素直接共有結合した構造が、シランカップリング材の残存基として部分的に形成される。

0030

なお、ゾルゲル反応においては、金属アルコキシドのアルコキシル基を加水分解するために水の添加が必要であるが、OLED素子において水の混入は避ける必要がある。上記方法ではシランカップリング材を無機酸化物骨格材料の一部として用いているため、シリコンアルコキシドのみの系に比べてアルコキシル基の割合が減る。そのため、加水分解に必要な水分量を抑えることができる。わずかに残る水分は,薄膜形成後アニール処理により、揮発させることができる。

0031

ゾルゲル法に用いる塗布液は、1)金属アルコキシドのゾル状態液、2)シランカップリング剤のゾル状態溶液、3)有機化合物溶解液の3種を最終的に含む混合液である。1)および2)のゾル状態液は、急激にゾル化反応が進行してしまうと、局所的に金属酸化物の微粒子が生成してしまう。これを防ぐために、穏やかな条件で時間をかけて加水分解・脱水縮合を進行する必要がある。分散体である有機化合物が酸性条件、及び水の共存下で変質などを起こさなければ、あらかじめ金属アルコキシド、シランカップリング剤及び有機化合物を混合した状態でゾル化反応を進行させ、塗布液とすればよい。これにより、溶液状態での有機化合物の分散性を上げた状態で、基板上に塗布することができる。

0032

一方、有機化合物としてOLED材を分散させる場合は、酸性条件や水の共存は避ける必要がある。そのため、1)および2)の溶液をあらかじめ調製し、十分ゾル化反応させた上で3)の溶液、若しくは有機化合物と溶媒と混ぜて塗布液とすればよい。1)及び2)においてゾル化反応のために加えた水や酸触媒は、ゾル化反応の進行により消費されて、もしくは揮発して溶液中にはほとんど残らない。そのため、ゾル化反応後に有機化合物と混ぜても、有機化合物の変質を防ぐことができる。

0033

なお、基板上に1)、2)からなるゾル状態液を塗布・固化してポーラス構造無機化合物薄膜層を形成した後、有機化合物溶液中に浸して、ポーラス構造薄膜中に有機化合物を導入しても良い。

0034

上記塗布液を、基板上にスピンコートする。塗布方法に制限はなく、スピンコート以外にも、インクジェット法印刷法なども用いることができる。

0035

この基板を乾燥・加熱処理することでゾルゲル反応の進行を促進し、本発明の無機化合物層を得ることができる。このときの加熱温度は、ゾル状態液の固化が十分に進行し、かつ有機化合物が熱分解しない温度にする。また、薄膜中に残存する水分を揮発させるだけの温度である必要がある。これより、用いる有機化合物の性質にもよるが、一般的には100℃以上200℃以下が好ましい。

0036

無機化合物層の厚さは、目的とする素子により最適な厚さになるように塗布液の濃度やスピンコートの回転速度により制御する。OLED素子中での機能層として利用する場合、注入された電流のリークがおこらないように発光面全体を被覆し、かつ電圧印加時に発光体が発光するのに十分な電流が流れる程度の厚さにする必要がある。具体的には、無機化合物層1層につき、膜厚は10nm以上100nm以下が望ましい。

0037

また、有機化合物の含有比についても、電圧印加時に発光体が発光するのに十分な電流が流れ、かつ無機化合物による耐熱性・耐候性が発揮されるように制御する。具体的には、ある機能層中での有機化合物の割合が、重量比で20%以上80%以下が望ましい。

0038

導入する有機基に特に制限はなく、アルキル系、芳香族系、ビニル系、エポキシ系、スチリル系、メタクリロキシ系、アクリロキシ系、アミノ系ウレイド系、クロロ系、メルカプト系、スルフィド系、イソシアネート系などの有機基が挙げられる。そして、この様な有機基を持つシランカップリング剤のうち、分散体であるOLED材により適した有機基を持つものを使用すればよい。

0039

無機化合物骨格中に直接共有結合により導入する有機基の割合は、出発原料である金属アルコキシドとシランカップリング材の比によって制御できる。無機化合物骨格の耐熱性・耐候性を十分保ちつつ、所望量の有機化合物を均一分散させるのに十分な量の有機基が無機化合物骨格中に残るようにする。なお、シランカップリング剤のみで上記特性を確保できる場合は、金属アルコキシドを使用せずにシランカップリング剤のみで無機酸化物を形成しても良い。

0040

本発明の無機化合物層は、図2に示すように、無機化合物21骨格直接結合した有機基24と、OLED材等の有機化合物22の間で、疎水性相互作用親和力23として働くことにより、有機化合物24同士の凝集が抑制され、均一分散が実現される。そのため、共有結合や水素結合の存在は必ずしも必要ではなく、分散体である有機化合物の構造に特別な制限はない。蛍光発光燐光発光電子輸送正孔輸送のうち少なくとも一つ以上の機能を持つもので、低分子OLED材からオリゴマー系OLED材、金属錯体系OLED材、高分子OLED材など、溶媒に溶解するものであれば使用することができる。更に、発光体として表面が有機系の界面活性剤で被覆されている無機ナノ粒子蛍光体なども、本発明により無機化合物中に均一に分散することができる。

0041

以下、本発明の発光素子として、上記方法によって形成されるOLED材を分散した無機化合物層を有するOLED素子を例にとり、説明する。

0042

無機化合物層の機能は、分散体であるOLED材によって決定される。なお、ここでいう機能とは電子輸送性発光性正孔輸送性などの一般的なOLED素子に必要な機能を指す。素子構造によっては、一つのOLED材料が二つ以上の機能を有する場合もある(例えばAlq3は電子輸送性と発光性の両方をもつ)。OLED素子の層構造としては、図3に示す、発光層35単層電荷輸送・発光の機能を発揮する単層構造が挙げられる。また、図4に示す、発光性と電子輸送性もしくは正孔輸送性の機能を兼ねる発光層45と、電荷輸送性の層(図4では正孔輸送層44)の2層からなる積層構造が挙げられる。また、図5に示す、正孔輸送層54、発光層55、電子輸送層56の機能ごとに層を形成する3層構造が挙げられる。更に、これらの基本層構造に電荷注入層電荷ブロッキング層などを加えた構造もある。

0043

このような各種の層構造において、本発明を用いることにより、素子中における少なくとも1層以上の機能層を、OLED材料が無機化合物中に均一に分散した構造にすることができる。

0044

一つの層の中に2種類以上のOLED材が分散していても良い。また、一つの素子中において2層以上の機能層を本発明の無機化合物層にする場合、無機化合物を構成する金属原子および金属原子と直接結合している有機基は、各層によって組成が異なっていても良い。

0045

このようにして形成された、OLED材が分散した無機化合物層を含む薄膜構造を挟み込む電極間に電圧をかけることにより、素子中の発光体の特性に応じた発光を得ることができる。

0046

本発明の発光素子は、発光体のみを無機化合物中に分散することにより、PL発光を利用した色変換層としての利用も可能である。この場合は電圧を印加する必要が無いため、厚膜化による発光強度の増加も可能である。本発明により得られる無機化合物層は、別光源からの光で分散体である発光体を励起して発光させることにより、耐熱性・耐候性に優れ、かつ膜全体が均一に発光する面照明などの利用が期待できる。

0047

さらに、本発明の発光素子は、無機骨格中に炭素原子との共有結合を少なくとも一つ有する金属原子を含むことから、耐熱性・耐候性・強度に優れた上で、フレキシブルな性質を持たせることができる。一方、OLED素子は、電極を含めた素子構造を極薄型にすることができる。そのため、プラスチック基板を用いることにより従来技術では成し得なかったフレキシブルなディスプレイの実現が期待されている。本発明により、OLED素子中の機能層を本質的にフレキシブルにすることができるため、曲げによる薄膜構造の破壊、及びそれに伴う電流リークの発生を防ぐことができる。

0048

以下、本発明に従った実施例を説明する。

0049

<実施例1>
テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリエトキシシラン(PTES)、エタノールモル比4:1:5で混合した溶液に、水と5N塩酸を加え20時間室温で攪拌することにより、透明なTEOS・PTESゾル液を得た。このゾル液と、正孔輸送性OLED材であるTPDを重量比で等量になるようにクロロホルムに溶解し、塗布液を得た。

0050

溶媒洗浄およびUVオゾン洗浄を施した石英基板上に、該塗布液を塗布後、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、さらに窒素雰囲気下で110℃で1時間加熱処理することにより、膜厚90nmでTPDが均一に分散した透明な無機化合物層を得た。

0051

<比較例1>
テトラエトキシシラン(TEOS)とエタノールをモル比1:1で混合した溶液に、水と5N塩酸を加え20時間室温で攪拌することにより、透明なTEOSゾル液を得た。このゾル液と、OLED材料であるTPDを重量比で等量になるようにクロロホルムに溶解し、塗布液を得た。

0052

この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に薄膜を形成したところ、TPDが1μm程度の微粒子状に凝集して膜全体が白濁し、均一分散膜を得ることができなかった。

0053

<実施例2>
実施例1と同様の方法により得られたゾル液と、蛍光性及び電子輸送性OLED材であるAlq3を重量比で等量になるようにクロロホルムに溶解し、塗布液を得た。

0054

この塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして、膜厚90nmでAlq3が均一に分散した透明な無機化合物層を得た。

0055

<実施例3>
実施例1と同様の方法により得られたゾル液と、燐光発光性のOLED材であるイリジウム錯体(Ir(Ppy)3)を重量比で等量になるようにクロロホルムに溶解し、塗布液を得た。

0056

この塗布液を用いて実施例1と同様に薄膜を形成したところ、膜厚90nmでIr(Ppy)3が均一に分散した透明な無機化合物層を得た。

0057

<実施例4>
チタンエトキシド、フェニルトリエトキシシラン(PTES)、エタノールをモル比4:1:5で混合した溶液に、触媒として水、5N塩酸を、化学改質剤としてエチルアセトアセテートを加え20時間室温で攪拌した。これにより、透明なチタンエトキシド・PTESゾル液を得た。このゾル液と、Alq3を重量比で等量になるようにクロロホルムに溶解し、塗布液を得た。

0058

この塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして、膜厚90nmでAlq3が均一に分散した透明な無機化合物層を得た。

0059

<実施例5>
実施例1と同様の方法により得られたゾル液と、Alq3及びTPDを重量比で5:4:1になるようにクロロホルムに溶解し、塗布液を得た。

0060

この塗布液を用い、ITO電極付きガラス基板を用いた以外は実施例1と同様にして、ITO電極上に無機化合物層を形成した。

0061

その後、背面電極としてアルミニウム電極を蒸着により形成してOLED素子を作製した。電極間に電圧を印加することにより発光面全体が均一に発光するEL発光(緑色)が得られた。

0062

<比較例2>
比較例1と同様の方法により得られたゾル液を用いた以外は、実施例5と同様にしてOLED素子を作製した。電極間に電圧を印加したが、EL発光は確認できなかった。

0063

本発明の発光素子は、耐熱性・耐候性に優れた面発光素子として、色変換層、電界発光素子等に用いることができる。更に、構造的にフレキシブルな性質を併せ持つことが可能なため、フレキシブル基板上に形成することにより、究極薄型ディスプレイとして期待されているフレキシブルディスプレイに用いることができる。

図面の簡単な説明

0064

無機化合物層をゾルゲル法により形成する過程を説明する図である。
無機化合物中に有機化合物が安定に分散した状態を説明する図である。
単層型OLED素子を示す図である。
層型OLED素子を示す図である。
3層型OLED素子を示す図である。

符号の説明

0065

21:無機化合物
22:有機化合物
23:親和力
24:有機基
31,41,51:電源
32,42,52:透明基板
33,43,53:正孔注入電極
35,45,55:発光層
44,54:正孔輸送層
56:電子輸送層
37,47,57:電子注入電極

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