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技術 プレス成形用金型およびその製造方法、並びに磁気ディスク用ガラス基板

出願人 富士電機デバイステクノロジー株式会社
発明者 皆澤宏
出願日 2006年10月24日 (13年4ヶ月経過) 出願番号 2006-288826
公開日 2008年5月8日 (11年10ヶ月経過) 公開番号 2008-105879
状態 未査定
技術分野 ガラスの再成形、後処理、切断、輸送等 ガラスの成形 磁気記録媒体の製造
主要キーワード ガラス成型品 算術平均うねり プレス成型加工 高感度反射法 窒素ガスタンク 規制リング フーリエ変換式 プレス室
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

金型プレス成形面からのガラス材料の優れた離型性を確保し、且つ、繰り返しプレス成形を行ってもプレス成形面に凹凸を生じさせない離型層を、安価に、プレス成形面に設ける。

解決手段

ガラス材料14のプレス成形用金型16は、有機化合物の層を前記金型16のプレス成形面46、48に形成する第1工程と、この第1工程により形成された有機化合物の層をその熱分解温度以上に加熱して、離型層に変換する第2工程と、を経て作製される。

概要

背景

高記録密度化および低コスト化を図ることが望まれている磁気ディスク装置は、高速回転する磁気ディスク磁気記録媒体)上を、ヘッドを僅かに浮上させて走査させることによってランダムアクセスを実現している。高記録密度高速アクセス両立させるためには、磁気ディスクの回転数を上げることと、磁気ディスクとヘッドとの間隔(ヘッド浮上量)を小さくすることとが求められる。磁気ディスク用基板としては、従来、Al合金板にNi−Pメッキを施した基板が主流であった。しかしながら、耐衝撃性の要求されるモバイル用磁気ディスク装置を中心に、近年、磁気ディスク用基板として、高剛性であるので高速回転させても変形し難く、且つ表面の平滑性を高くすることが出来るガラス基板を用いることへの要望が高まっている。そして、現に、そのようなガラス基板の需要が拡大している。

他方、昨今の情報家電製品への磁気ディスク装置の適用もあり、ガラス基板への需要がさらに拡大している。これにより、ガラス基板の供給量の確保と、更なる低コスト化を図ることが求められており、その打開策としてガラス基板をプレスにより作製する動きが強まっている。従来より、ガラス基板を、いわゆるリヒートプレス方式で作製することが行われている。リヒートプレスでは、ガラス成形品であるガラス材料は、原料を溶解してガラス材料を作り、それを軟化点近傍まで再加熱して、プレス成形用金型を用いて圧力をかけて成型し、その後に冷却させ、ガラス材料とプレス成形用金型との熱収縮率の違いを用いて離型させる事で、得られる。

しかしながら、プレス成形により高い圧力がかけられている状態で離型を生じさせる場合、ガラス成形品とプレス成形用金型のプレス成形面との間には大きな摩擦力が発生しているので、安定した離型効果を得るべく何らかの手段を用いることが必要になる。そこで、そのような摩擦力を低減するために、ガラス材料とプレス成形面との間に離型剤を配することが提案されている。

金型からのガラス成形品の離型を促すため、金型のプレス成形面に、離型剤として、高級脂肪酸金属塩を含むパラフィン系オイルを用いることが、特許文献1および2により提案されている。また、特許文献3では、離型剤として脂肪酸金属塩を用いることが提案されていて、さらに、そこにはガラス材料のプレス成型加工により金型表面に産出される離型剤の残留物を、金型とガラス成型品との離型性劣化を防止するべく、除去することが開示されている。

また、特許文献4では、離型剤として、硫酸亜鉛水溶液を用いることが提案されている。さらに、特許文献5において、窒化ホウ素(BN)などの耐熱性離型剤粉末を離型剤として用いることも提案されている。そして、特許文献6では、離型剤としてクラスターダイヤ微粒子を含むカーボン微粒子を用いることが提案されている。さらに、特許文献7では、離型剤として、炭化水素化合物プラズマ処理することによって形成されるカーボン膜を用いることが提案されていて、そのカーボン膜の性状についてはアモルファスカーボンが適当である旨が記されている。

他方、溶融状態にあるガラス成形型内に直接投入し、所要の形状および所要精度の表面状態を有するガラス光学素子をプレス成形する方法において、ガラスゴブを成形型に投入する前に、そのガラスゴブ表面に離型剤を塗布することが、特許文献8に開示されている。そして、そこには、離型剤として、炭化水素燃焼して得られる炭素系粉末を用いることが記されている。

特開2002−338276号公報
特開2003−12339号公報
特開2004−131315号公報
特開2002−338293号公報
特開2001−172029号公報
特開2003−20247号公報
特開2004−67423号公報
特開平6−305740号公報

概要

金型のプレス成形面からのガラス材料の優れた離型性を確保し、且つ、繰り返しプレス成形を行ってもプレス成形面に凹凸を生じさせない離型層を、安価に、プレス成形面に設ける。ガラス材料14のプレス成形用金型16は、有機化合物の層を前記金型16のプレス成形面46、48に形成する第1工程と、この第1工程により形成された有機化合物の層をその熱分解温度以上に加熱して、離型層に変換する第2工程と、を経て作製される。

目的

そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、金型のプレス成形面からのガラス材料の、すなわちガラス成形品の優れた離型性を確保し、且つ、繰り返しプレス成形を行ってもプレス成形面に凹凸を生じさせない離型層を、安価に、プレス成形面に設けることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ガラス材料プレス成形用金型の製造方法において、有機化合物の層を前記金型プレス成形面に形成する第1工程と、前記第1工程により形成された前記有機化合物の層をその熱分解温度以上に加熱して、離型層に変換する第2工程と、を備えることを特徴とするプレス成形用金型の製造方法。

請求項2

前記有機化合物は、水素酸素および窒素からなる群から選択される少なくとも1種の元素と、炭素とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形用金型の製造方法。

請求項3

前記第2工程により、前記プレス成形面に平均厚さが50nm以上100nm以下の前記離型層が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のプレス成形用金型の製造方法。

請求項4

前記第2工程は、非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプレス成形用金型の製造方法。

請求項5

前記ガラス材料は、磁気ディスク用ガラス基板用のガラス材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプレス成形用金型の製造方法。

請求項6

請求項1から5のいずれかに記載のプレス成形用金型の製造方法により製造されたことを特徴とするプレス成形用金型。

請求項7

請求項6に記載のプレス成形用金型を用いて、リヒートプレス方式で製造されたことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。

技術分野

0001

本発明は、磁気ディスク用ガラス基板等を得るべく、ガラス材料プレス成形に用いられるプレス成形用金型およびその製造方法、並びにそのプレス成形用金型を用いて製造される磁気ディスク用ガラス基板に関する。

背景技術

0002

高記録密度化および低コスト化を図ることが望まれている磁気ディスク装置は、高速回転する磁気ディスク磁気記録媒体)上を、ヘッドを僅かに浮上させて走査させることによってランダムアクセスを実現している。高記録密度高速アクセス両立させるためには、磁気ディスクの回転数を上げることと、磁気ディスクとヘッドとの間隔(ヘッド浮上量)を小さくすることとが求められる。磁気ディスク用基板としては、従来、Al合金板にNi−Pメッキを施した基板が主流であった。しかしながら、耐衝撃性の要求されるモバイル用磁気ディスク装置を中心に、近年、磁気ディスク用基板として、高剛性であるので高速回転させても変形し難く、且つ表面の平滑性を高くすることが出来るガラス基板を用いることへの要望が高まっている。そして、現に、そのようなガラス基板の需要が拡大している。

0003

他方、昨今の情報家電製品への磁気ディスク装置の適用もあり、ガラス基板への需要がさらに拡大している。これにより、ガラス基板の供給量の確保と、更なる低コスト化を図ることが求められており、その打開策としてガラス基板をプレスにより作製する動きが強まっている。従来より、ガラス基板を、いわゆるリヒートプレス方式で作製することが行われている。リヒートプレスでは、ガラス成形品であるガラス材料は、原料を溶解してガラス材料を作り、それを軟化点近傍まで再加熱して、プレス成形用金型を用いて圧力をかけて成型し、その後に冷却させ、ガラス材料とプレス成形用金型との熱収縮率の違いを用いて離型させる事で、得られる。

0004

しかしながら、プレス成形により高い圧力がかけられている状態で離型を生じさせる場合、ガラス成形品とプレス成形用金型のプレス成形面との間には大きな摩擦力が発生しているので、安定した離型効果を得るべく何らかの手段を用いることが必要になる。そこで、そのような摩擦力を低減するために、ガラス材料とプレス成形面との間に離型剤を配することが提案されている。

0005

金型からのガラス成形品の離型を促すため、金型のプレス成形面に、離型剤として、高級脂肪酸金属塩を含むパラフィン系オイルを用いることが、特許文献1および2により提案されている。また、特許文献3では、離型剤として脂肪酸金属塩を用いることが提案されていて、さらに、そこにはガラス材料のプレス成型加工により金型表面に産出される離型剤の残留物を、金型とガラス成型品との離型性劣化を防止するべく、除去することが開示されている。

0006

また、特許文献4では、離型剤として、硫酸亜鉛水溶液を用いることが提案されている。さらに、特許文献5において、窒化ホウ素(BN)などの耐熱性離型剤粉末を離型剤として用いることも提案されている。そして、特許文献6では、離型剤としてクラスターダイヤ微粒子を含むカーボン微粒子を用いることが提案されている。さらに、特許文献7では、離型剤として、炭化水素化合物プラズマ処理することによって形成されるカーボン膜を用いることが提案されていて、そのカーボン膜の性状についてはアモルファスカーボンが適当である旨が記されている。

0007

他方、溶融状態にあるガラス成形型内に直接投入し、所要の形状および所要精度の表面状態を有するガラス光学素子をプレス成形する方法において、ガラスゴブを成形型に投入する前に、そのガラスゴブ表面に離型剤を塗布することが、特許文献8に開示されている。そして、そこには、離型剤として、炭化水素燃焼して得られる炭素系粉末を用いることが記されている。

0008

特開2002−338276号公報
特開2003−12339号公報
特開2004−131315号公報
特開2002−338293号公報
特開2001−172029号公報
特開2003−20247号公報
特開2004−67423号公報
特開平6−305740号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上記特許文献1から3に記載の離型剤を用いる場合、プレス成形後に、その離型剤中の金属成分がプレス成形用金型のプレス成形面に残留することになるので、平滑な表面を有するガラス成形品を得るには、定期的に金型を洗浄しなければならない。また、上記特許文献4に記載の離型剤を用いる場合、プレス成形時の加熱によりその離型剤中の水分が蒸発するので硫酸亜鉛結晶化し、この結晶化した硫酸亜鉛によりプレス成形面に凹凸が生じるようになる。したがって、そのまま繰り返してガラス材料をプレス成形すると、その表面に凹み状の欠陥が生じることになり、その表面を平滑にすることが出来なくなる。さらに、上記特許文献5に記載の離型剤を用いても、同様に、金型表面にその離型剤中の成分が残留して凹凸が生じることになるので、平滑な表面形状を有するガラス成形品をプレス成形のみで得るには、金型を頻繁に且つ定期的に洗浄することが必要になる。

0010

さらに、上記特許文献6に記載の離型剤中にはダイヤモンドが含まれるので、その離型剤自体が高価であり、プレス成形費用が増大することになり、プレス成形により製造される製品製造コストを抑えることは難しくなる。そして、上記特許文献7に記載の離型剤は炭化水素化合物をプラズマ処理することによって形成されるので、その離型剤を安価に作ことは難しい。

0011

そして、上記特許文献8に記載の離型剤は炭素系粉末であり、それはガラスゴブ表面に直接に塗布されるので、金型のプレス成形面とガラスゴブとの間の離型性を適切に確保できるのか疑わしい。

0012

そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、金型のプレス成形面からのガラス材料の、すなわちガラス成形品の優れた離型性を確保し、且つ、繰り返しプレス成形を行ってもプレス成形面に凹凸を生じさせない離型層を、安価に、プレス成形面に設けることを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するために、本発明のプレス成形用金型の製造方法は、ガラス材料のプレス成形用金型の製造方法において、有機化合物の層を前記金型のプレス成形面に形成する第1工程と、前記第1工程により形成された前記有機化合物の層をその熱分解温度以上に加熱して、離型層に変換する第2工程と、を備えることを特徴とする。

0014

ただし、前記有機化合物は、水素酸素および窒素からなる群から選択される少なくとも1種の元素と、炭素とから構成されるのが良い。

0015

好ましくは、前記第2工程により、前記プレス成形面に平均厚さが50nm以上100nm以下の前記離型層が形成される。

0016

なお、前記第2工程は、非酸化性雰囲気中で行われるのが望ましい。

0017

前記ガラス材料は、磁気ディスク用ガラス基板用のガラス材料であり得る。

0018

そして、上記目的を達成するために、本発明のプレス成形用金型は、上記プレス成形用金型の製造方法により製造されたことを特徴とする。

0019

さらに、本発明は、上記プレス成形用金型を用いて、リヒートプレス方式で製造された磁気ディスク用ガラス基板に存する。

発明の効果

0020

本発明によれば、金型のプレス成形面からのガラス材料の優れた離型性を確保し、且つ、繰り返しプレス成形を行ってもプレス成形面に凹凸を生じさせない離型層を、安価に、プレス成形面に設けることが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、本発明を実施形態に基づき説明する。ただし、以下では、プレス成形用金型を用いたプレス成形により磁気ディスク用ガラス基板を作製する実施形態を説明する。

0022

図1は、磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いられる磁気ディスク用ガラス基板製造装置10の概略構成図である。この製造装置10は、プレス室12を有している。プレス室12の側壁には、図示しないが、ガラス材料14の搬入および搬出のための開口とそれら各開口を開閉するためのシャッタが設けられている。なお、製造装置10は、プレス室12の前後にガラス材料の予熱室と、冷却室とを備えるようにし、さらに、それらへのガラス材料の搬入および搬出用の機器を備えるようにすることができる。

0023

プレス室12は搬入されたガラス材料14をプレス成形するものであり、そこにはプレス成形用金型(以下、「金型」)16が配置されている。金型16は、上金型である上側型部材18と、下金型である下側型部材20とを備えている。なお、本実施形態の金型16は、規制リング22を下側型部材20に備えているが、これは設けられなくても良い。金型16は一対の上側型部材18と下側型部材20とから構成されても良い。

0024

プレス室12の内部底面24上に搭載台26が設けられ、その上部にヒータブロック28が配備されている。そして、そのヒータブロック28の上側に、下側型部材20が上向きに設置されている。他方、プレス室12の内部頂面30には開口部32が形成され、その開口部32からプレス機34に直結されたシリンダ36がプレス室12の内部38に通されている。プレス室12内に位置される、シリンダ36の先端部にはヒータブロック40が接続され、そのヒータブロック40の下側に下向きに上側型部材18が設置されている。さらに、プレス室12は、プレス成形を行うに際して、その内部38に対して天壁42に貫通された窒素ガス導入管44から、不図示の窒素ガスタンク内の乾燥した窒素ガスが導入されることにより窒素ガス雰囲気とされる。なお、プレス成形および後述する離型層の形成が非酸化性雰囲気で行われるように窒素ガスが用いられるので、窒素ガス以外に、例えばアルゴンガスヘリウムガスなどの不活性ガスなどを用いるようにしても良い。

0025

次に、ガラス材料のプレス成形用金型16について説明する。金型16の上側型部材18と下側型部材20との向かい合う両表面は保護膜により覆われて構成され、その両表面にさらに離型層が形成される。したがって、上側型部材18と下側型部材20との保護膜上に形成されるプレス成形面46、48は、離型層が形成された状態では、実質的に、その離型層上に形成されていることになる。上側型部材18の下面であるプレス成形面46と下側型部材20の上面であるプレス成形面48とは、図1から明らかなように対向されている。これらプレス成形面46、48と、規制リング22の内周面50とでプレス成形時、密閉されたキャビティ、すなわち閉空間が提供される。

0026

本実施形態における金型16、すなわち上側型部材18および下側型部材20の本体は、タングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金で作製されていて、その超硬合金ではバインダーとしてコバルト(Co)が用いられている。そして、その本体の表面に形成された保護膜は、金型16本体を保護するべく、高温下でガラス材料14との濡れ性が悪く、すなわちガラス材料14と化学的に不活性なものから形成されるのが良く、本実施形態では白金(Pt)で形成されている。保護膜は、本実施形態ではスパッタ法により約1μmの厚さに形成されている。なお、本実施形態では、保護膜の表面粗さを、中心線平均粗さで100nm以下にした。すなわち、それら上側型部材18と下側型部材20との対向するプレス成形面46、48は、所定のレベルにまで平滑にされる。

0027

なお、保護膜の構成成分は、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、およびタンタル(Ta)のうちから選ばれた少なくともいずれか1種、あるいは、それらのいずれかを主成分とする合金、あるいは、アルミナ(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、酸化クロム(Cr2O3)、窒化珪素(Si3N4)、および窒化硼素(BN)のうちから選ばれた少なくともいずれか1種であるのが好ましい。また、保護膜の膜厚は、上記厚さに限定されず、保護膜としての機能を発揮すれば如何なる厚さであっても良い。さらに、その成膜方法も、如何なるものでも良い。

0028

金型16の一部をなし、金型16上のプレス成形面46、48に形成される離型層について説明する。離型層は、保護膜の外表面に形成され、プレス成形時に保護膜表面とガラス材料14の表面との摩擦を低減する。これによりガラス材料14を成形した成形品の十分な離型性が確保される。離型層は、有機化合物からなる層をその熱分解温度以上にまで加熱することによって得られる熱分解層として形成される。なお、有機化合物を熱分解させて得られる離型層は、プレス成形時のプレス成形温度以下の温度で燃焼しないのが良い。

0029

離型層は、主に2つの工程を経て各プレス成形面46、48に形成される。その2つの工程の一つは、有機化合物の層を金型16のプレス成形面46、48に形成する第1工程である。そして、その2つの工程の他の一つは、その第1工程により形成された有機化合物の層をその熱分解温度以上(燃焼温度未満の温度)に加熱して、離型層に変換する第2工程である。これらの工程を経て形成されることにより、離型層は、無定形炭素(アモルファスカーボン)を主として含んで構成されるようになる。

0030

上記第1工程で、水素、酸素および窒素からなる群から選択される少なくとも1種の元素と、炭素とを含んで構成される有機化合物の層が、金型16のプレス成形面46、48に形成される。後で説明する実験結果から明らかなように、ここで用いられる有機化合物は、水素、酸素および窒素からなる群から選択される少なくとも1種の元素と、炭素とから構成されるのが最も好ましい。有機化合物の層は、その有機化合物の熱分解温度を下回る温度を有するプレス成形面46、48に形成される。具体的には、有機化合物が液体の場合には、そのような温度のプレス成形面46、48に、上記構成の有機化合物が直接的にあるいは間接的に塗布されて、有機化合物層が形成される。ただし、液体の場合には、塗布された有機化合物は、大気圧下で、その熱分解温度以下の温度で気化せず、プレス成形面46、48に有機化合物の層を形成し続けることが必要である。あるいは、有機化合物が固体粉末を含む。)の場合には、そのような温度のプレス成形面46、48に、上記構成の有機化合物がスプレー等により吹き付けあるいは噴霧等されることにより均一に堆積されて、有機化合物の層が形成され得る。ただし、固体の場合には、有機化合物は、大気圧下で、その熱分解温度以下の温度で気化するものであってはならないが、液体になっても良い。いずれにしても、大気圧下、且つ、その熱分解温度以下の温度で、プレス成形面46、48に形成された有機化合物の層は、第2工程まで存続し続ける。なお、離型層の原料となる上記有機化合物は、液体であるか固体であるかに関わらず、例えば、エタノール等の可溶な揮発性有機溶媒に溶解され、スプレー法ディッピング法スピンコート法等で塗布されても良く、これにより溶媒揮発することで、プレス成形面46、48に層が形成される。なお、このようにして形成される有機化合物の層の厚さの測定は、適切に校正された、エリプソメトリーや、フーリエ変換式赤外分光光度計による高感度反射法などを用いて行うことができる。

0031

次に、第2工程では、第1工程によりプレス成形面46、48上に形成された有機化合物の層がその熱分解温度以上に加熱され、離型層に変換される。これにより、離型層が、プレス成形面46、48に形成された金型16が得られる。なお、この第2工程は、プレス成形に関わらずなされてもよく、プレス成形のための金型16の加熱に伴ってなされても良い。すなわち、プレス成形に先立って、プレス成形面46、48に有機化合物の層が形成された金型16を、プレス成形時の加熱とは別に、その熱分解温度にまで加熱することで、有機化合物の層を変換させて、離型層が形成されても良い。あるいは、離型層は、ガラス材料14がプレス成形面46、48間に配置された状態で、金型16がプレス成形温度まで加熱されることに伴って、有機化合物の層が熱分解温度以上にまで加熱されることで、形成されても良い。なお、有機化合物の熱分解により生じた熱分解物分析厚さ測定は、透過型電子顕微鏡による断面観察ラマン分光法などを用いて行うことができる。

0032

次に、離型層の形成、および離型層の形成された金型16を用いてのガラス材料14のプレス成形の一例について、図1に基づいて説明する。なお、ここでは、プレス成形のための金型の加熱に伴って、離型層が形成される。

0033

図1に示すように、金型16のプレス成形面46、48が互いに離されて配置された状態で、手動で、プレス成形面46、48に、有機化合物の一種であるトリコサン(C23H48)を揮発性有機溶媒に溶かした溶液が塗布される。このとき、金型16は、トリコサンの熱分解温度を下回る温度を有し、非酸化性雰囲気中にない。そして、溶媒が揮発して、トリコサンからなる層がプレス成形面46、48に形成された状態で、ガラス材料14が下側型部材20上に載置される。

0034

トリコサンの層の形成およびガラス材料14の載置後、プレス室12は閉じられ、そのプレス室12の内部38は、窒素ガス導入管44からの窒素ガスの導入により、十分に窒素ガス雰囲気に置換される。なお、プレス室12の壁面に形成された不図示の孔を介して、導入された窒素ガス分、それまでプレス室12内にあった空気などのガスは排出される。したがって、十分な量の窒素ガスが導入されることで、適切にプレス室12の内部38は非酸化性雰囲気に置換される。なお、別途器具を設け、その器具の手動操作あるいは自動操作で、密閉された内部38内での、ガラス材料14の移動、トリコサンの層の形成を行うことができる場合には、予め内部38を窒素ガス雰囲気に置換後、トリコサンの層の形成およびガラス材料14の移動・載置を行うようにしても良い。また、有機化合物の層を形成する有機化合物が真空中で気化しない場合には、有機化合物の層が形成された金型が配置されたプレス室12を、窒素ガス導入管44を介して、外部に設けた真空ポンプでまず真空にし、その後、窒素ガスを導入することで、窒素ガス雰囲気に置換するようにしても良い。

0035

上記の如く、金型16のプレス成形面46、48にトリコサンの層が形成されて、すなわち有機化合物の層が形成され、そのプレス成形面46、48間にガラス材料が載置され、プレス室12が窒素ガス雰囲気に置換された状態で、ヒータブロック28、40での加熱が行われる。ここでは、ガラス材料14は625℃に軟化点を有するアルミノシリケート系ガラスであるので、ヒータブロック28、40を用いて、プレス成形温度である600℃まで金型16およびガラス材料14は加熱される。トリコサンの熱分解温度は600℃よりも低いので、そのプレス成形温度までの加熱により、トリコサンの層は、すなわちトリコサンは熱分解する。このようにして、プレス成形面46、48のトリコサンからなる有機化合物の層は離型層に変換され、プレス成形面46、48にプレス成形に先立って離型層が形成される。

0036

そして、プレス機34によりシリンダ36を直進させることで、所定の圧力で、所定の厚みにまで、ガラス材料14はプレスされる。その後、ヒータブロック28、40による加熱を止め、冷却させることで、金型16からのガラス材料14の離型が促される。離型の完了により、ガラス材料14の成形品、すなわち磁気ディスク用ガラス基板が得られることになる。なお、上記したように、原料を熔解して作られたガラス材料14を、再び加熱してプレス成形する製造方法を、「リヒートプレス」という。

0037

上記本発明の離型層の成形方法および効果などを検証するべく、各種実験を行った。その実験結果について、以下で説明する。

0038

まず、第1実験について説明する。この実験は、離型層を得るのに適した有機化合物の特性を調べるべく行った。この実験では、2つの異なる有機化合物を用いて離型層を形成させた金型16を用意した。以下の説明において、有機化合物としてペンタデカン(C15H32)を用いた場合を実施例Aとし、有機化合物としてトリコサン(C23H48)を用いた場合を実施例Bとする。そして以下では、それぞれの実施例で製造されて用いられる異なる構成要素に、実施例Aであれば「a」を、実施例Bであれば「b」を、上述の符号にさらに加えて付す。すなわち、実施例Aの金型16に対しては、符号「a」をさらに付して、「金型16a」と表す。なお、両有機化合物、ペンタデカンおよびトリコサンは、飽和炭化水素化合物である。

0039

実施例Aでは、ペンタデカンからなる層を、その厚さが500nm均一になるように、金型16aのプレス成形面46a、48aに形成させた。この実施例Aでは、まず、エタノール等の可溶な揮発性有機溶媒にペンタデカンを溶解させて溶液を作製し、その溶液をスプレー法でプレス成形面46a、48aに塗布した。そして、その後、その溶媒を揮発させることで、ペンタデカンからなる層をプレス成形面46a、48aに形成させた。

0040

他方、実施例Bでは、トリコサンからなる層を、上記実施例Aと同じようにして、その厚さが500nm均一になるように、金型16bのプレス成形面46b、48bに形成させた。

0041

そして、このように有機化合物の層が形成された、実施例AおよびBの金型16a、16bを、それぞれ窒素ガス雰囲気中でプレス成形温度まで加熱した。ただし、ガラス材料14として、軟化点が625℃のアルミノシリケート系ガラスを用いることにしたので、その温度−粘度特性を考慮してプレス成形温度を600℃とした。また、加熱時間を10分間とした。したがって、有機化合物の層が形成された金型16a、16bの各々は、600℃にまで加熱され、その温度で10分間保持加熱された。その後、十分に冷却させて離型層の形成された金型16a、16bを得た。

0042

金型16a、16bの離型層を、それぞれ調べた。実施例Aの金型16aの表面を調べると熱分解物は殆どなく、金型16aの保護膜上には、離型層といえるものは殆ど何も存在していなかった。これは、ペンタデカンの沸点が271℃であるので、プレス成形温度までの加熱途中でペンタデカンが揮発してしまったためと考えられる。他方、実施例Bの金型16bの表面を調べると、その保護膜上には主として無定形炭素からなる離型層が存在していた。これは、実施例Bで用いたトリコサンが大気圧下で沸点を持たず、その熱分解温度まで金型16bのプレス成形面46b、48bにあったためと考えられる。したがって、プレス成形温度までの加熱で、トリコサンは熱分解を起こし、熱分解物である無定形炭素を含む層が、離型層としてプレス成形面46b、48bに形成されたと考えられる。なお、熱分解物の分析、測定は、透過型電子顕微鏡による断面観察により行った。

0043

このように離型層を設けた金型16a、16bを用いて、ガラス材料14のプレス成形を行った。なお、実験で用いたガラス材料14は、上記の如く、アルミノシリケート系ガラスであり、実験では直径7.67mmの球状体とした。実施例Aおよび実施例Bでは、同じ条件でプレス成形を行った。それ故、ここでは、実施例Aのプレス成形の流れについて説明して、実施例Bのプレス成形の流れの説明は省略する。実施例Aでは、ガラス材料14を上側型部材18aと下側型部材20aとの間に設置し、それらを600℃であるプレス成形温度まで加熱した後、450kgf/cm2の圧力で、厚さが0.4mmになるまで、ガラス材料14をプレス成形した。その後、約200℃程度まで冷却した後、プレス成形により製造されたガラス成形品、すなわち磁気ディスク用ガラス基板を取り出した。

0044

上記の如きプレス成形を、実施例AおよびBのそれぞれで、複数個のガラス材料14に対して繰り返し行った。その結果、実施例Aでは、プレス成形を繰り返すにしたがって、金型16aへのガラス材料14の付着やその割れなどがますますひどく生じるようになった。これに対して、実施例Bでは、プレス成形を繰り返し行っても、プレス成形によりガラス材料14がそのようになることは認められず、良好な磁気ディスク用ガラス基板を得ることが出来た。すなわち、実施例Aのものでは優れた離型性は得られなかったのに対して、実施例Bの離型層は優れた離型性を有することが明らかになった。

0045

上より、第1実験では、有機化合物の層を熱分解により変換して離型層とすることが、有効であることが明らかになった。そして、この有機化合物には、熱分解温度以下の温度で気化しないことが求められることが示された。

0046

次に、第2実験について説明する。この実験は、離型層の適切な厚さを調べるために行った。この実験では、上記第1実験の実施例Bで用いた「トリコサン」を有機化合物として用いた。そして、上記第1実験と同様にして、トリコサンからなる層を熱分解させて、金型16に離型層を設けた。本第2実験では、離型層の平均厚さを50nm、100nm、500nmとした3つの金型16を用意した。ただし、以下の説明において、平均厚さが50nmの離型層を設けた場合を実施例Cとし、平均厚さが100nmの離型層を設けた場合を実施例Dとし、平均厚さが500nmの離型層を設けた場合を実施例Eとする。そして以下では、上記第1実験と同様に、それぞれの実施例で異なる構成要素の符号に、実施例Cであれば「c」を、実施例Dであれば「d」を、実施例Eであれば「e」をさらに付す。

0047

実施例C、D、Eのそれぞれで、金型16c、16d、16eを用いて、上記アルミノシリケート系ガラスであるガラス材料14のプレス成形を行った。なお、プレス条件は、上記第1実験と同じにした。プレス成形により得られた磁気ディスク用ガラス基板の表面の平坦度を表す値として、その表面の算術平均うねりWaを調べ、金型16からのガラス材料14の離型性を評価した。なお、磁気ディスクの高記録密度化およびヘッド浮上量の低減に鑑みると、磁気ディスク用ガラス基板の表面の算術平均うねりWaは50nm未満であるのが望ましい。

0048

調べた結果、実施例C、Dの金型16c、16dを用いて作製した磁気ディスク用ガラス基板表面の算術平均うねりWaは、50nm未満であった。これに対して、実施例Eの金型16eを用いて作製した磁気ディスク用ガラス基板表面の算術平均うねりWaは、50nm以上であった。したがって、上記の如くして形成される離型層の平均厚さを50nm以上100nm以下とすることで、好適なガラス基板を得ることができることが明らかになった。

0049

次に、第3実験について説明する。この実験は、離型層をどのように形成させるのが良いのかを調べるために行った。この実験では、上記第1実験から有用であることが示された「トリコサン」を有機化合物として用いた。本第3実験では、異なる方法で離型層が形成された2つの金型16を用意した。それらは、一方が有機化合物の熱分解温度以上にまで加熱された金型16に有機化合物の層を形成させるようにするのに対して、他方は上記第1および第2実験の如く、有機化合物の熱分解温度を下回る温度を有する金型16に有機化合物の層を形成させるようにするので相違する。以下の説明において、前者で有機化合物の層を形成させるようにした場合を実施例Fとし、後者で有機化合物の層を形成させるようにした場合を実施例Gとする。そして以下では、上記第1および第2実験と同様に、それぞれの実施例で異なる構成要素の符号に、実施例Fであれば「f」を、実施例Gであれば「g」をさらに付す。

0050

実施例Fでは、有機化合物の層も、離型層も形成されていない金型16fを窒素ガス雰囲気中で、トリコサンの熱分解温度以上の温度である500℃まで加熱し、そのプレス成形面46f、48fに、揮発性有機溶媒にトリコサンが溶解された溶液を塗布した。その塗布直後に、トリコサンは熱分解した。この実施例Fでは、トリコサンの熱分解により生じる離型層の平均厚さが100nmになるように、その溶液を塗布した。

0051

他方、実施例Gでは、上記実施例Dと同様にして、トリコサンの熱分解温度を下回る温度を有する金型16gのプレス成形面46g、48gに、トリコサンからなる層を形成させた。そして、それを熱分解温度以上の600℃まで加熱することで、平均厚さが100nmの離型層をプレス成形面46g、48gに形成させた。

0052

そのようにして形成された離型層を有する金型16f、16gを用いて、上記第2実験と同様にして、ガラス材料14をプレス成形して、磁気ディスク用ガラス基板を作製し、その表面形状を調べた。その結果、上記実施例Dと同様に、実施例Gでは、算術平均うねりWaが50nm未満の表面を有する磁気ディスク用ガラス基板を得ることが出来た。これに対して、実施例Fでは、作製された磁気ディスク用ガラス基板の表面の算術平均うねりWaは50nm以上になってしまった。これは、トリコサンの熱分解温度以上の温度のプレス成形面46f、48fに、トリコサンを含む溶液が塗布されたことで、離型層の厚さを均一に出来なかったためと推察される。

0053

以上、本第3実験により、有機化合物の熱分解温度を下回る温度で、有機化合物の層を金型16のプレス成形面46、48に形成するのが好ましいことが明らかになった。

0054

次に、第4実験について説明する。この実験は、有機化合物の構成元素をどのようにするのが離型層を得る上で好ましいのかを調べるために行った。この実験では、4種類の有機化合物を用いて離型層を形成させた。以下の説明において、有機化合物として飽和炭化水素系アルコールであるペンタデシルアルコール(C15H32O)を用いた場合を実施例Hとし、有機化合物として飽和炭化水素系アミンであるステアリルアミン(C18H39N)を用いた場合を実施例Iとし、有機化合物として飽和炭化水素系カルボン酸であるテトラコサン酸(C24H48O2)を用いた場合を実施例Jとし、有機化合物として飽和炭化水素系カルボン酸ナトリウム塩であるテトラコサン酸ナトリウム(C24H47O2Na)を用いた場合を実施例Kとする。そして以下では、上記第1実験などと同様に、それぞれの実施例で異なる構成要素の符号に、実施例Hであれば「h」を、実施例Iであれば「i」を、実施例Jであれば「j」を、実施例Kであれば「k」をさらに付す。

0055

実施例H〜Kの各々で、上記実施例Dと同様にして、各有機化合物の熱分解温度を下回る温度を有する金型16h、16i、16j、16kに、各有機化合物からなる層を形成させた。そして、それらをそれぞれの熱分解温度以上の600℃まで加熱することで、平均厚さが100nmの離型層を金型16h、16i、16j、16kのプレス成形面46h、48h、46i、48i、46j、48j、46k、48kに形成させた。

0056

そのように形成された離型層を有する金型16h、16i、16j、16kを用いて、上記第2実験と同様にして、ガラス材料14をプレス成形し、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。そして、各実施例H、I、J、Kで複数回のプレス成形を行い、得られた磁気ディスク用ガラス基板の表面形状を調べた。その結果、実施例H、I、Jでは、算術平均うねりWaが50nm未満の表面を有する磁気ディスク用ガラス基板を得続けることが出来た。これに対して、実施例Kでは、磁気ディスク用ガラス基板の表面の算術平均うねりWaは50nm以上になってしまった。これは、プレス成形回数の増加に伴って、次第にプレス成形面46k、48kが平坦でなくなったためである。このようにプレス成形回数の増加に伴ってプレス成形面46k、48kが平坦でなくなる理由は、実施例Kの有機化合物がナトリウム(Na)を含み、熱分解温度での有機化合物の分解後、それが残留物として残留し、プレス成形面が凸凹になるためであると考えられる。なお、ここでは詳述しないが、有機化合物に他の金属元素を含む場合も同様である。また、有機化合物にフッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が含まれる場合には、それらハロゲン元素により保護膜が腐食されることになるので、これら有機化合物を用いて離型層を形成させ、繰り返しプレス成形を行うと、プレス成形面が次第に平滑でなくなる。それ故、このような有機化合物を用いて離型層が形成された金型を用いてプレス成形することで、磁気ディスク用ガラス基板を得るのは好ましくないこと同様である。

0057

以上より、第4実験によれば、離型層を得るための有機化合物として、金属元素やハロゲン元素を含まない有機化合物を用いるのが良いことが明らかになった。なお、そのような有機化合物は、換言すると、炭素、水素、酸素、窒素の群から選択される任意の元素の組合せによってだけ構成される有機化合物である。例えば、このようなものには、ドコサン(C22H46)、テトラコサン(C24H50)、ペンタコサン(C25H52)、ヘキサコサン(C26H54)などがある。

0058

以上第1実験から第4実験によれば、金型16のプレス成形面46、48には、水素、酸素および窒素からなる群から選択される少なくとも1種の元素と炭素とから構成される有機化合物の層を形成し、その有機化合物の層をその熱分解温度以上に加熱して変換させることで、離型性、清浄性などに優れた離型層を設けることが出来ることが示された。なお、有機化合物を熱分解温度以上に加熱することは、意図しない有機化合物の反応が生じるのを防止するべく、上記実験と同様に、非酸化性雰囲気中で行われるのが良い。

0059

このように有機化合物の層をプレス成形面に設けて、その熱分解温度以上に加熱することで、離型性に優れた離型層を形成することが出来るので、離型層自体を安価に作ることができる。したがって、その離型層を有する金型を用いて作製された磁気ディスク用ガラス基板は安価になる。また、このような離型層を有する金型を用いることで、繰り返しプレス成形を行っても表面形状の優れたガラス成形品が得られるので、この離型層は大量生産に適していこと明らかである。より具体的には、このような離型層を有する金型を用いてリヒートプレス方式で表面形状の優れた磁気ディスク用ガラス基板を製造することができるので、磁気ディスク用ガラス基板を安価に大量生産することが可能である。

0060

なお、上記実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。

図面の簡単な説明

0061

磁気ディスク用ガラス基板製造装置の一例を説明するための概略構成図である。

符号の説明

0062

12プレス室
14ガラス材料
16金型
18 上側型部材
20 下側型部材

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