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技術 任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物との安定的な複合体を形成させる方法、該方法に用いる核酸構築物、該方法により形成される複合体、並びに該方法を利用した機能性タンパク質および該タンパク質をコードするmRNAまたはDNAのスクリーニング

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 多比良和誠藤田聡史吉崎愼矢藁科雅岐
出願日 2007年11月12日 (13年0ヶ月経過) 出願番号 2007-293477
公開日 2008年5月1日 (12年6ヶ月経過) 公開番号 2008-099700
状態 拒絶査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物による化合物の製造 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 脱塩システム 直列式 理論曲線 選択モデル 選択効率 応答領域 半定量分析 ペーシ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

配列の多様性減縮させることなく、一群アミノ酸ランダムな配列から機能性タンパク質を選択しうる方法を提供する。

解決手段

RNA結合タンパク質とRNAとの相互作用DNA結合タンパク質とDNAとの相互作用、またはリボソーム不活性化タンパク質を用いることにより、無細胞系においても、遺伝子型表現型の安定的な連結を行いうる方法。この安定的な連結を利用して、機能性タンパク質を選択する方法、この安定的な連結に利用しうる核酸構築物

概要

背景

一群アミノ酸ランダムな配列から機能性タンパク質を選択および同定する方法は、近年その重要性が高まっている。ファージディスプレイ法やツーハイブリッド法などのような特定の機能性タンパク質の選択に有効なスクリーニング系の多くは、生細胞を利用する(Fields, S. 他 Nature 1989, 340, 245-246(非特許文献1). Harada, K. 他 Nature 1996, 380, 175-179(非特許文献2). Moore, J. C. 他 Nature Biotech. 1996, 14, 458-467(非特許文献3). Schatz, P. J. 他 Methods Enzymol. 1996, 267, 171-191(非特許文献4). Boder, E.T.他 Nature Biotech. 1997, 15, 553-557(非特許文献5). Smith, G. P. 他 Chem, Rev. 1997, 97, 391-410(非特許文献6).)。このような選択系においては、選択したタンパク質表現型)をコードする配列情報遺伝子型)は、適切な表現型を提示する各細胞に導入されたDNAから決定される。遺伝子型と表現型の連結は、ランダムな配列から機能性タンパク質を選択する際における一つの重要な決定因子である。

しかし、このような方法が生細胞に依存する限り、配列ライブラリー多様性には限界がある。例えば、トランスフェクションの効率が低いこと、提示されるタンパク質のサイズに限界があること、並びに、細胞に対して有害なタンパク質の選択は不可能であるために対象となるタンパク質の性質に制限があることを理由として、ライブラリーの多様性に限界が生じる。

これらの問題を克服するために、無細胞系でタンパク質を選択するためのいくつかの方法が開発されている(Mattheakis, L. C. 他 Proc. Natl, Acad. Sci. USA 1994, 91, 9022-9026(非特許文献7). Mattheakis, L. C. 他 MethodsEnzymol. 1996, 267, 195-207(非特許文献8). Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 4937-4942(非特許文献9). He, M. 他 Nuclelic Acids Res. 1997, 25, 5132-5134(非特許文献10). Nemoto, N. 他 FEESLett. 1997, 414, 405-408(非特許文献11). Roberts, R. W. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 12297-12302(非特許文献12). Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 14130-14135(非特許文献13). Tawfik, D. S. 他 Nature Biotech. 1998, 16, 652-656(非特許文献14). Doi, N. 他 FEBSLett. 1999, 457, 227-230(非特許文献15). Hanes, J. 他 FEES Lett. 1999, 450, 105-110(非特許文献16). Makeyev, E. V. 他 FEBS Lett. 1999, 444, 177-180(非特許文献17). He, M. 他 J. Immunol. Methods 1999, 231, 105-117(非特許文献18). Schaffitzel, C. 他 J. Immunol. Methods 1999, 231, 119-135(非特許文献19). Hanes, J. 他 Nat. Biotechnol. 2000, 18, 1287-1292(非特許文献20). Hanes, J. 他 Methods Enzymol. 2000, 328, 404-430(非特許文献21).)。
具体的には、リボゾームディスプレイ法、タンパク質-mRNA共有結合融合法、およびミセル法などが挙げられる。しかし、現在利用可能な無細胞系は、多様性を減縮させる操作を含むので、一般的には実用化が困難である。

例えば、リボゾームディスプレイ法においては、翻訳されたタンパク質とそのタンパク質をコードするmRNAとの比較的安定な複合体が、リボゾームにより形成される。これは、終止コドン欠失により複合体からのタンパク質の遊離が遅くなるためである。このような条件下では、終結因子はリボゾーム複合体からのタンパク質の遊離を効率よく誘導できない。しかしながら、この方法では、タンパク質の選択の可否は該複合体の半減期に依存するため(終止コドンの欠損下でのタンパク質の遊離は、限界的な程度まで遅れるだけである)、選択を短時間で終了しなければならない。実際、完全な状態のmRNA-リボゾーム-タンパク質複合体の維持は容易ではない。

大腸菌を用いたリボソームディスプレイは、例えば、Jermutus L, et al. Tailoring in vitro evolution for protein affinity or stability. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Jan 2;98(1):75-80(非特許文献22);Hanes J, et al. Picomolar affinity antibodies from a fully synthetic naive library selected and evolved by ribosome display. Nat Biotechnol. 2000 Dec;18(12):1287-92(非特許文献20);Hanes J, et al. Selecting and evolving functional proteins in vitro by ribosome display. MethodsEnzymol. 2000;328:404-30(非特許文献21);及びSchaffitzel C, et al. Ribosome display: an in vitro method for selection and evolution of antibodies from libraries. J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):119-35(非特許文献19)に記載されており、ウサギ網状赤血球系を用いたリボソームディスプレイは、例えば、He M, et al. Selection of a human anti-progesterone antibody fragment from a transgenic mouse library by ARM ribosome display. J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):105-17(非特許文献18);及びBieberich E, et al. Protein-ribosome-mRNAdisplay: affinity isolation of enzyme-ribosome-mRNA complexes andcDNAcloning in a single-tube reaction. Anal Biochem. 2000 Dec 15;287(2):294-8(非特許文献23)に記載されており、小麦胚芽系を用いたリボソームディスプレイは、GersukGM, et al. High-affinity peptide ligands to prostate-specific antigen identified by polysome selection. Biochem Biophys Res Commun. 1997 Mar 17;232(2):578-82(非特許文献24)に記載がある。

タンパク質-mRNA共有結合融合法では、翻訳されたタンパク質は、3’末端ピューロマイシン(puromycin)で標識されている各mRNAと共有結合する。この方法には、通常、mRNAにピューロマイシンを結合させるための化学合成が必要であるが、この工程により利用可能なライブラリーのサイズが減少する。タンパク質-mRNA共有結合融合法に関する文献としては、Keefe AD, et al. Functional proteins from a random-sequence library. Nature. 2001 Apr 5;410(6829):715-8(非特許文献25); Wilson DS, et al. The use of mRNA display to select high-affinity protein-binding peptides. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Mar 27;98(7):3750-5(非特許文献26); Liu R, et al. Optimized synthesis of RNA-protein fusions for in vitro protein selection. MethodsEnzymol. 2000;318:268-93(非特許文献27);及び、Cho G, et al. Constructing high complexity synthetic libraries of long ORFs using in vitro selection. J Mol Biol. 2000 Mar 24;297(2):309-19(非特許文献28)などが挙げられる。

ミセル法では、化学的修飾を受けた個々のDNA分子一個づつ、一つのコロイド状ミセルにパッケージングされて、転写および翻訳を受けるが、その修飾されたDNAはミセルの内腔でそのコードするタンパク質と結合する。しかし、個々のミセルにDNA1分子がパッケージングされるように設計して反応混合物希釈することにより、配列ライブラリーの多様性が減縮する。従って、無細胞系は、生細胞を用いる系に比べると、より多くの配列を試験できるという利点を有するものの、現在利用可能な無細胞系では、配列のプールのかなりの部分が十分に探索されていない。
Fields, S. 他 Nature 1989, 340, 245-246.
Harada, K. 他 Nature 1996, 380, 175-179.
Moore, J. C. 他 Nature Biotech. 1996, 14, 458-467.
Schatz, P. J. 他 Methods Enzymol. 1996, 267, 171-191.
Boder, E.T.他 Nature Biotech. 1997, 15, 553-557.
Smith, G. P. 他 Chem, Rev. 1997, 97, 391-410.
Mattheakis, L. C. 他 Proc. Natl, Acad. Sci. USA 1994, 91, 9022-9026.
Mattheakis, L. C. 他 Methods Enzymol. 1996, 267, 195-207.
Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 4937-4942.
He, M. 他 Nuclelic Acids Res. 1997, 25, 5132-5134.
Nemoto, N. 他 FEESLett. 1997, 414, 405-408.
Roberts, R. W. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 12297-12302.
Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 14130-14135.
Tawfik, D. S. 他 Nature Biotech. 1998, 16, 652-656.
Doi, N. 他 FEBSLett. 1999, 457, 227-230.
Hanes, J. 他 FEES Lett. 1999, 450, 105-110.
Makeyev, E. V. 他 FEBS Lett. 1999, 444, 177-180.
He M, et al. Selection of a human anti-progesterone antibody fragment from a transgenic mouse library by ARM ribosome display. J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):105-17
Schaffitzel C, et al. Ribosome display: an in vitro method for selection and evolution of antibodies from libraries. J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):119-35
Hanes J, et al. Picomolar affinity antibodies from a fully synthetic naive library selected and evolved by ribosome display. Nat Biotechnol. 2000 Dec;18(12):1287-92
Hanes J, et al. Selecting and evolving functional proteins in vitro by ribosome display. Methods Enzymol. 2000;328:404-30
Jermutus L, et al. Tailoring in vitro evolution for protein affinity or stability. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Jan 2;98(1):75-80
Bieberich E, et al. Protein-ribosome-mRNAdisplay: affinity isolation of enzyme-ribosome-mRNA complexes andcDNAcloning in a single-tube reaction. Anal Biochem. 2000 Dec 15;287(2):294-8
GersukGM, et al. High-affinity peptide ligands to prostate-specific antigen identified by polysome selection. Biochem Biophys Res Commun. 1997 Mar 17;232(2):578-82
Keefe AD, et al. Functional proteins from a random-sequence library. Nature. 2001 Apr 5;410(6829):715-8
Wilson DS, et al. The use of mRNA display to select high-affinity protein-binding peptides. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Mar 27;98(7):3750-5
Liu R, et al. Optimized synthesis of RNA-protein fusions for in vitro protein selection. Methods Enzymol. 2000;318:268-93
Cho G, et al. Constructing high complexity synthetic libraries of long ORFs using in vitro selection. J Mol Biol. 2000 Mar 24;297(2):309-19

概要

配列の多様性を減縮させることなく、一群のアミノ酸のランダムな配列から機能性タンパク質を選択しうる方法を提供する。RNA結合タンパク質とRNAとの相互作用DNA結合タンパク質とDNAとの相互作用、またはリボソーム不活性化タンパク質を用いることにより、無細胞系においても、遺伝子型と表現型の安定的な連結を行いうる方法。この安定的な連結を利用して、機能性タンパク質を選択する方法、この安定的な連結に利用しうる核酸構築物。なし

目的

本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、配列の多様性を減縮させることなく、一群のアミノ酸のランダムな配列から機能性タンパク質を選択しうる方法を提供する

効果

実績

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請求項1

下記(i)および(ii)のDNAを含み、かつ、下記(i)および(ii)のDNAが、融合された転写産物および翻訳産物発現するように結合されている、DNA構築物。(i)任意のポリペプチドをコードするDNA(ii)(i)のDNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を安定化させる機能を有するポリペプチドをコードするDNA

請求項2

(ii)のDNAが、リボソーム不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAである、請求項1に記載のDNA構築物。

請求項3

リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAの下流にスペーサーペプチドをコードするDNAが結合されている、請求項2に記載のDNA構築物。

請求項4

任意のポリペプチドをコードするDNAとリボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAの間にリンカーペプチドをコードするDNAが挿入されている、請求項2に記載のDNA構築物。

請求項5

(ii)のDNAが、RNA結合タンパク質をコードするDNAと該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAとの組み合わせである、請求項1に記載のDNA構築物。

請求項6

(i)および(ii)のDNAの融合された転写産物が終止コドン欠損するように改変されている、請求項5に記載のDNA構築物。

請求項7

RNA結合タンパク質をコードするDNAが複数個並置されており、かつ該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAが複数個並置されている、請求項5に記載のDNA構築物。

請求項8

複数個並置されたRNA結合タンパク質をコードするDNAが、互いに異なる複数個のRNA結合タンパク質をコードするDNAであり、かつ、複数個並置されたRNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAが互いに異なる複数個のRNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAである、請求項7に記載の核酸構築物

請求項9

下記(i)のmRNAと下記(ii)のDNAの複合体である核酸構築物。(i)DNA結合タンパク質をコードするRNAと任意のポリペプチドをコードするRNAとの融合mRNA(ii)(i)の融合mRNAの翻訳産物が結合するDNA領域を含むDNA

請求項10

(i)のmRNAと(ii)のDNAがハイブリダイズすることにより複合体を形成している、請求項9に記載の核酸構築物。

請求項11

(i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている、請求項9に記載の核酸構築物。

請求項12

請求項1に記載のDNA構築物の調製に用いるための、下記(i)または(ii)のDNA構築物。(i)任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAを含むDNA構築物(ii)任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAと、該任意のポリペプチドをコードするDNAのクローニング部位とを含むDNA構築物

請求項13

請求項1に記載のDNA構築物における(i)および(ii)のDNAを発現させることを特徴とする、(i)および(ii)のDNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を製造する方法。

請求項14

請求項9に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を請求項9に記載の核酸構築物における(ii)のDNAに結合させることを特徴とする、該翻訳産物と請求項9に記載の核酸構築物との複合体を製造する方法。

請求項15

(i)のmRNAと(ii)のDNAがハイブリダイズすることにより複合体を形成している核酸構築物を用いる、請求項14に記載の方法。

請求項16

(i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている核酸構築物を用いる、請求項14に記載の方法。

請求項17

請求項15に記載の方法により製造された複合体における(ii)のDNAの3'側領域を伸長する方法であって、該複合体に逆転写酵素を接触させて、(i)のmRNAを鋳型逆転写反応を行うことを含む方法。

請求項18

請求項16に記載の方法により製造された複合体における(ii)のDNAを伸長する方法であって、該複合体に逆転写酵素を接触させて、(i)のmRNAを鋳型に(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことを含む方法。

請求項19

無細胞系で行われる、請求項13から18のいずれかに記載の方法。

請求項20

請求項13に記載の方法により製造される複合体。

請求項21

請求項14から18のいずれかに記載の方法により製造される複合体。

請求項22

特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(c)の工程を含む方法。(a)請求項1に記載のDNA構築物における(i)および(ii)のDNAを発現させることにより、(i)および(ii)のDNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程(c)該標的物質に結合した複合体を回収する工程

請求項23

特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(c)の工程を含む方法。(a)請求項9に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を請求項9に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と請求項9に記載の核酸構築物を含む複合体を形成させる工程(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程(c)該標的物質に結合した複合体を回収する工程

請求項24

特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。(a)請求項10に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を請求項10に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と請求項10に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程(b)工程(a)で形成された複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAを伸長する工程(c)該特定の標的物質と、工程(b)で形成された複合体とを接触させる工程(d)該標的物質に結合した複合体を回収する工程

請求項25

特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。(a)請求項11に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を請求項11に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と請求項11に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程(b)工程(a)で形成された複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に、該複合体における(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAの3'側領域を伸長する工程(c)該特定の標的物質と、工程(b)で形成された複合体とを接触させる工程(d)該標的物質に結合した複合体を回収する工程

請求項26

特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。(a)請求項10に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を請求項10に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と請求項10に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程(c)該標的物質に結合した複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAを伸長する工程(d)該標的物質に結合している複合体を回収する工程

請求項27

特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。(a)請求項11に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を請求項11に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と請求項11に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程(c)該標的物質に結合した複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に、該複合体における(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAの3'側領域を伸長する工程(d)該標的物質に結合している複合体を回収する工程

請求項28

該標的物質が担体に固定されている、請求項22から27のいずれかに記載の方法。

請求項29

請求項1もしくは12に記載のDNA構築物、または請求項20に記載の複合体を含む、請求項21に記載のスクリーニング方法に用いるためのキット

請求項30

請求項9に記載の核酸構築物、または請求項21に記載の複合体を含む、請求項23から27のいずれかに記載のスクリーニング方法に用いるためのキット。

技術分野

0001

本発明は、任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物翻訳産物との複合体を形成させる方法、該方法に用いる核酸構築物、該方法により形成される複合体、並びに該方法を利用した機能性タンパク質および該タンパク質をコードするmRNAまたはDNAのスクリーニングに関する。

背景技術

0002

一群アミノ酸ランダムな配列から機能性タンパク質を選択および同定する方法は、近年その重要性が高まっている。ファージディスプレイ法やツーハイブリッド法などのような特定の機能性タンパク質の選択に有効なスクリーニング系の多くは、生細胞を利用する(Fields, S. 他 Nature 1989, 340, 245-246(非特許文献1). Harada, K. 他 Nature 1996, 380, 175-179(非特許文献2). Moore, J. C. 他 Nature Biotech. 1996, 14, 458-467(非特許文献3). Schatz, P. J. 他 Methods Enzymol. 1996, 267, 171-191(非特許文献4). Boder, E.T.他 Nature Biotech. 1997, 15, 553-557(非特許文献5). Smith, G. P. 他 Chem, Rev. 1997, 97, 391-410(非特許文献6).)。このような選択系においては、選択したタンパク質(表現型)をコードする配列情報遺伝子型)は、適切な表現型を提示する各細胞に導入されたDNAから決定される。遺伝子型と表現型の連結は、ランダムな配列から機能性タンパク質を選択する際における一つの重要な決定因子である。

0003

しかし、このような方法が生細胞に依存する限り、配列ライブラリー多様性には限界がある。例えば、トランスフェクションの効率が低いこと、提示されるタンパク質のサイズに限界があること、並びに、細胞に対して有害なタンパク質の選択は不可能であるために対象となるタンパク質の性質に制限があることを理由として、ライブラリーの多様性に限界が生じる。

0004

これらの問題を克服するために、無細胞系でタンパク質を選択するためのいくつかの方法が開発されている(Mattheakis, L. C. 他 Proc. Natl, Acad. Sci. USA 1994, 91, 9022-9026(非特許文献7). Mattheakis, L. C. 他 MethodsEnzymol. 1996, 267, 195-207(非特許文献8). Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 4937-4942(非特許文献9). He, M. 他 Nuclelic Acids Res. 1997, 25, 5132-5134(非特許文献10). Nemoto, N. 他 FEESLett. 1997, 414, 405-408(非特許文献11). Roberts, R. W. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 12297-12302(非特許文献12). Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 14130-14135(非特許文献13). Tawfik, D. S. 他 Nature Biotech. 1998, 16, 652-656(非特許文献14). Doi, N. 他 FEBSLett. 1999, 457, 227-230(非特許文献15). Hanes, J. 他 FEES Lett. 1999, 450, 105-110(非特許文献16). Makeyev, E. V. 他 FEBS Lett. 1999, 444, 177-180(非特許文献17). He, M. 他 J. Immunol. Methods 1999, 231, 105-117(非特許文献18). Schaffitzel, C. 他 J. Immunol. Methods 1999, 231, 119-135(非特許文献19). Hanes, J. 他 Nat. Biotechnol. 2000, 18, 1287-1292(非特許文献20). Hanes, J. 他 Methods Enzymol. 2000, 328, 404-430(非特許文献21).)。
具体的には、リボゾームディスプレイ法、タンパク質-mRNA共有結合融合法、およびミセル法などが挙げられる。しかし、現在利用可能な無細胞系は、多様性を減縮させる操作を含むので、一般的には実用化が困難である。

0005

例えば、リボゾームディスプレイ法においては、翻訳されたタンパク質とそのタンパク質をコードするmRNAとの比較的安定な複合体が、リボゾームにより形成される。これは、終止コドン欠失により複合体からのタンパク質の遊離が遅くなるためである。このような条件下では、終結因子はリボゾーム複合体からのタンパク質の遊離を効率よく誘導できない。しかしながら、この方法では、タンパク質の選択の可否は該複合体の半減期に依存するため(終止コドンの欠損下でのタンパク質の遊離は、限界的な程度まで遅れるだけである)、選択を短時間で終了しなければならない。実際、完全な状態のmRNA-リボゾーム-タンパク質複合体の維持は容易ではない。

0006

大腸菌を用いたリボソームディスプレイは、例えば、Jermutus L, et al. Tailoring in vitro evolution for protein affinity or stability. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Jan 2;98(1):75-80(非特許文献22);Hanes J, et al. Picomolar affinity antibodies from a fully synthetic naive library selected and evolved by ribosome display. Nat Biotechnol. 2000 Dec;18(12):1287-92(非特許文献20);Hanes J, et al. Selecting and evolving functional proteins in vitro by ribosome display. MethodsEnzymol. 2000;328:404-30(非特許文献21);及びSchaffitzel C, et al. Ribosome display: an in vitro method for selection and evolution of antibodies from libraries. J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):119-35(非特許文献19)に記載されており、ウサギ網状赤血球系を用いたリボソームディスプレイは、例えば、He M, et al. Selection of a human anti-progesterone antibody fragment from a transgenic mouse library by ARM ribosome display. J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):105-17(非特許文献18);及びBieberich E, et al. Protein-ribosome-mRNAdisplay: affinity isolation of enzyme-ribosome-mRNA complexes andcDNAcloning in a single-tube reaction. Anal Biochem. 2000 Dec 15;287(2):294-8(非特許文献23)に記載されており、小麦胚芽系を用いたリボソームディスプレイは、GersukGM, et al. High-affinity peptide ligands to prostate-specific antigen identified by polysome selection. Biochem Biophys Res Commun. 1997 Mar 17;232(2):578-82(非特許文献24)に記載がある。

0007

タンパク質-mRNA共有結合融合法では、翻訳されたタンパク質は、3’末端ピューロマイシン(puromycin)で標識されている各mRNAと共有結合する。この方法には、通常、mRNAにピューロマイシンを結合させるための化学合成が必要であるが、この工程により利用可能なライブラリーのサイズが減少する。タンパク質-mRNA共有結合融合法に関する文献としては、Keefe AD, et al. Functional proteins from a random-sequence library. Nature. 2001 Apr 5;410(6829):715-8(非特許文献25); Wilson DS, et al. The use of mRNA display to select high-affinity protein-binding peptides. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Mar 27;98(7):3750-5(非特許文献26); Liu R, et al. Optimized synthesis of RNA-protein fusions for in vitro protein selection. MethodsEnzymol. 2000;318:268-93(非特許文献27);及び、Cho G, et al. Constructing high complexity synthetic libraries of long ORFs using in vitro selection. J Mol Biol. 2000 Mar 24;297(2):309-19(非特許文献28)などが挙げられる。

0008

ミセル法では、化学的修飾を受けた個々のDNA分子一個づつ、一つのコロイド状ミセルにパッケージングされて、転写および翻訳を受けるが、その修飾されたDNAはミセルの内腔でそのコードするタンパク質と結合する。しかし、個々のミセルにDNA1分子がパッケージングされるように設計して反応混合物希釈することにより、配列ライブラリーの多様性が減縮する。従って、無細胞系は、生細胞を用いる系に比べると、より多くの配列を試験できるという利点を有するものの、現在利用可能な無細胞系では、配列のプールのかなりの部分が十分に探索されていない。
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0009

本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、配列の多様性を減縮させることなく、一群のアミノ酸のランダムな配列から機能性タンパク質を選択しうる方法を提供することにある。また、本発明は、このような機能性タンパク質の選択を可能とするために、無細胞系においても、遺伝子型と表現型の安定的な連結を行いうる方法を提供することをも目的とする。さらに、本発明は、このような遺伝子型と表現型の安定的な連結に利用しうる核酸構築物を提供することをも目的とする。

0010

本発明者は、上記課題を解決するために、無細胞系において、遺伝子型と表現型の安定的な連結を試みた。
第1の手法は、遺伝子型と表現型の安定的な連結のために、RNA結合タンパク質とRNAとの強い相互作用を利用するものである。一例として、TAR(trans activating response region;トランス活性化応答領域)として知られているTat(trans activation;トランス活性化)タンパク質と相互作用するRNAより強い強度でHIV-1のTatタンパク質に結合するアプタマー(Tatアプタマーと呼ぶ)を選択した(Yamamoto, R. 他 Genes Cells 2000, 5, 371-388)。TatアプタマーとTat由来ペプチド(REペプチド、38アミノ酸、またはCQペプチド、36アミノ酸)との相互作用は非常に強く、その解離定数(Kd)はnM以下の範囲である。本発明者らは、この相互作用を利用して遺伝子型と表現型の連結を行うために、TatアプタマーとTat由来のペプチドをコードするDNAがDHFR遺伝子に連結されたDNA構築物を調製し、DHFR遺伝子の転写産物(mRNA)と翻訳産物(タンパク質)が安定的な複合体を形成しうるかを検証した。

0011

その結果、TatアプタマーとTat由来のペプチドの相互作用が、ネットワーク構造を形成しない限り、DHFR遺伝子の遺伝子型と表現型、つまり転写産物と翻訳産物を連結するために有用であることを見出した。DNA構築物におけるアプタマーとペプチドモチーフの数の増加や、転写産物が終止コドンを欠損するようなDNA構築物の改変は、この複合体の安定性の向上に有効であった。

0012

また、他の一例として、MS2コートタンパク質二量体と、それに対応する特異的結合モチーフRNA配列との相互作用を利用して、遺伝子型と表現型の連結を試みたところ、安定的なMS2コートタンパク質遺伝子の転写産物と翻訳産物の複合体を形成することができた。

0013

さらに、本発明者らは、遺伝子型と表現型の安定的な連結のために、上記のRNA結合タンパク質とRNAとの相互作用に代えて、DNA結合タンパク質とDNAとの相互作用の利用を考えた。即ち、DNA結合タンパク質と任意のペプチドとのキメラペプチドをコードするmRNAと該DNA結合タンパク質が結合する領域を含むDNAとの複合体である核酸構築物を調製し、該核酸構築物におけるmRNAを翻訳させれば、翻訳産物が該核酸構築物におけるDNAに結合し、これにより該翻訳産物と該核酸構築物との安定的な複合体を形成しうると考えた。

0014

第2の手法は、遺伝子型と表現型の安定的な連結のために、リボソーム不活性化を利用するものである。リボソームの不活性化のために、一例として、リシンA鎖を選択した。リシンはヒマ由来の細胞毒性を持つタンパク質でリボソームを不活性化することでタンパク質の合成を停止させる。サブユニットであるリシンA鎖は、極めて特異的に28SrRNAに存在するα−サリシン部位のN-グルコシド結合加水分解し、リボソームを不活性化する。ラットの28S rRNAでは、4324番目アデノシンが加水分解を受ける。リシンに不活性化されたリボソームはmRNA鎖上に停止する。本発明者は、リシンA鎖によるリボソーム相互作用を利用して遺伝子型と表現型の連結を行うために、リシンA鎖をコードするDNAが、DHFR遺伝子、GST遺伝子、あるいはストレプトアビジン遺伝子に連結されたDNA構築物を調製し、それら遺伝子の転写産物(mRNA)と翻訳産物(タンパク質)が安定的な複合体を形成しうるかを検証した。

0015

その結果、リシンA鎖によるリボソームの不活性化が、これら遺伝子の転写産物と翻訳産物の複合体の安定化に有効であることを見出した。立体障害を回避するための翻訳産物へのスペーサーペプチドの挿入は、リボソームの不活性化に有効であった。

0016

また、DHFR遺伝子、GST遺伝子、またはストレプトアビジン遺伝子を含む上記DNA構築物を利用して調製された複合体は、それぞれMTXリガンドグルタチオン-セファロースまたはビオチン-アガロースに選択的に結合した。この事実は、特定の遺伝子の表現型に相互作用しうる分子を標的物質として、上記手法により形成された複合体の中から、該標的物質に結合する機能性タンパク質およびそれをコードするmRNAをスクリーニングすることが可能であることを示すものである。本発明の手法は、スクリーニングの対象となるペプチドのアミノ酸配列の多様性を減縮させることなく、機能性タンパク質およびそれがコードするmRNAの効率的な選択を可能とする。また、転写産物と翻訳産物を含む複合体の安定化を、該転写産物および翻訳産物をコードするDNAと該安定化に寄与するDNAとの融合という遺伝子操作で行い、一連の選択工程には複雑な化学合成の工程は含まれておらず、簡便に操作できる点も本方法のさらなる利点である。

0017

即ち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
(1) 下記(i)および(ii)のDNAを含み、かつ、下記(i)および(ii)のDNAが、融合された転写産物および翻訳産物を発現するように結合されている、DNA構築物。
(i)任意のポリペプチドをコードするDNA
(ii)(i)のDNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を安定化させる機能を有するポリペプチドをコードするDNA
(2) (ii)のDNAが、リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAである、(1)に記載のDNA構築物。
(3) リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNA の下流にスペーサーペプチドをコードするDNAが結合されている、(2)に記載のDNA構築物。
(4) 任意のポリペプチドをコードするDNAとリボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAの間にリンカーペプチドをコードするDNAが挿入されている、(2)に記載のDNA構築物。
(5) (ii)のDNAが、RNA結合タンパク質をコードするDNAと該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAとの組み合わせである、(1)に記載のDNA構築物。
(6) (i)および(ii)のDNAの融合された転写産物が終止コドンを欠損するように改変されている、(5)に記載のDNA構築物。
(7) RNA結合タンパク質をコードするDNAが複数個並置されており、かつ該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAが複数個並置されている、(5)に記載のDNA構築物。
(8) 複数個並置されたRNA結合タンパク質をコードするDNAが、互いに異なる複数個のRNA結合タンパク質をコードするDNAであり、かつ、複数個並置されたRNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAが互いに異なる複数個のRNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAである、(7)に記載の核酸構築物。
(9) 下記(i)のmRNAと下記(ii)のDNAの複合体である核酸構築物。
(i)DNA結合タンパク質をコードするRNAと任意のポリペプチドをコードするRNAとの融合mRNA
(ii)(i)の融合mRNAの翻訳産物が結合するDNA領域を含むDNA
(10) (i)のmRNAと(ii)のDNAがハイブリダイズすることにより複合体を形成している、(9)に記載の核酸構築物。
(11) (i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている、(9)に記載の核酸構築物。
(12) (1)に記載のDNA構築物の調製に用いるための、下記(i)または(ii)のDNA構築物。
(i)任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAを含むDNA構築物
(ii)任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAと、該任意のポリペプチドをコードするDNAのクローニング部位とを含むDNA構築物
(13) (1)に記載のDNA構築物における(i)および(ii)のDNAを発現させることを特徴とする、(i)および(ii)のDNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を製造する方法。
(14) (9)に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を(9)に記載の核酸構築物における(ii)のDNAに結合させることを特徴とする、該翻訳産物と(9)に記載の核酸構築物との複合体を製造する方法。
(15) (i)のmRNAと(ii)のDNAがハイブリダイズすることにより複合体を形成している核酸構築物を用いる、(14)に記載の方法。
(16) (i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている核酸構築物を用いる、(14)に記載の方法。
(17) (15)に記載の方法により製造された複合体における(ii)のDNAを伸長する方法であって、該複合体に逆転写酵素を接触させて、(i)のmRNAを鋳型逆転写反応を行うことを含む方法。
(18) (16)に記載の方法により製造された複合体における(ii)のDNAの3'側領域を伸長する方法であって、該複合体に逆転写酵素を接触させて、(i)のmRNAを鋳型に(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことを含む方法。
(19)無細胞系で行われる、(13)から(18)のいずれかに記載の方法。
(20) (13)に記載の方法により製造される複合体。
(21) (14)から(18)のいずれかに記載の方法により製造される複合体。
(22) 特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(c)の工程を含む方法。
(a)(1)に記載のDNA構築物における(i)および(ii)のDNAを発現させることにより、(i)および(ii)のDNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程
(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程
(c)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(23) 特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(c)の工程を含む方法。
(a)(9)に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を(9)に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と(9)に記載の核酸構築物を含む複合体を形成させる工程
(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程
(c)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(24) 特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。
(a)(10)に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を(10)に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と(10)に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程
(b)工程(a)で形成された複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAを伸長する工程
(c)該特定の標的物質と、工程(b)で形成された複合体とを接触させる工程
(d)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(25) 特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。
(a)(11)に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を(11)に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と(11)に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程
(b)工程(a)で形成された複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に、該複合体における(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAの3'側領域を伸長する工程
(c)該特定の標的物質と、工程(b)で形成された複合体とを接触させる工程
(d)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(26) 特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。
(a)(10)に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を(10)に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と(10)に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程
(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程
(c)該標的物質に結合した複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAを伸長する工程
(d)該標的物質に結合している複合体を回収する工程
(27) 特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。
(a)(11)に記載の核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を(11)に記載の核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と(11)に記載の核酸構築物とを含む複合体を形成させる工程
(b)該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させる工程
(c)該標的物質に結合した複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に、該複合体における(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAの3'側領域を伸長する工程
(d)該標的物質に結合している複合体を回収する工程
(28) 該標的物質が担体に固定されている、(22)から(27)のいずれかに記載の方法。
(29) (1)もしくは(12)に記載のDNA構築物、または(20)に記載の複合体を含む、(21)に記載のスクリーニング方法に用いるためのキット
(30) (9)に記載の核酸構築物、または(21)に記載の複合体を含む、(23)から(27)のいずれかに記載のスクリーニング方法に用いるためのキット。

0018

以下、本発明の実施方法及び実施態様について詳細に説明する。
(1)核酸構築物
本発明のDNA構築物は、(i)任意のポリペプチドをコードするDNA、および(ii)該DNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAを含むものである。該DNA構築物においては、上記(i)および(ii)のDNAが、融合された転写産物および翻訳産物を発現するように結合されている。

0019

「任意のポリペプチドをコードするDNA」とは、その転写産物と翻訳産物の複合体の形成を行いたい所望のDNAを意味する。機能性タンパク質のスクリーニングにおいては、例えば、cDNAライブラリーやランダムライブラリーを好適に用いることができる。

0020

転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAの種類は特に限定されない。好適なDNAの第一の例としては、リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAである。

0021

本明細書で言う「リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチド」とは、リボソーム自体を破壊してそれを不活性化するポリペプチドのみならず、リボソームをmRNA上で停止することによりリボソームの翻訳機能を停止させることができるポリペプチドも包含する。

0022

このようなポリペプチドの具体例としては、N-グリコシラーゼ又はRNaseが挙げられる。N-グリコシラーゼの具体例としては、Pokeweed antiviral protein (PAP) (Phytolacca americana)、Momordin (Momordica charantia)、Luffin (Luffa cylindrica)、Bryodin (Bryonia dioica)、Dianthin (Dianthus caryophyllus)、Trichosanthin (Trichosanthes anguina)、a-Momorcharin (Momordia charantia)、Saporin (Saponaria officinalis)、Ricin A-chain (RTA) (ricinus communis)、Abrin A-chain (Abrus precatorius)、Mistletoe lectin I (MLI) (Viscum album)、Shiga toxinAI、またはDiphtheria toxin (DT) A-chainが挙げられる。RNaseの具体例としてはα-Sarcinが挙げられる。

0023

なお、ricinについては、The RNA N-glycosidase activity of ricin A-chain. The characteristics of the enzymatic activity of ricin A-chain with ribosomes and withrRNA.J Biol Chem. 1988 Jun 25;263(18):8735-9に記載され、α−sarcinについては、The ribonuclease activity of the cytotoxin alpha-sarcin. The characteristics of the enzymatic activity of alpha-sarcin with ribosomes and ribonucleic acidsas substrates. J Biol Chem. 1983 Feb 25;258(4):2662-7に記載され、Pokeweed antiviral protein (PAP)については、X-ray crystallographic analysis of the structural basis for the interaction of pokeweed antiviral protein with guanine residues of ribosomal RNA. Protein Sci. 1999 Nov;8(11):2399-405に記載されている。

0024

本発明のDNA構築物の好ましい態様の一つにおいては、リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAの下流にスペーサーペプチドをコードするDNAが結合されている。この「スペーサーペプチド」とは、リボソームによる翻訳が終了する前に、リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドが、リボソームをcisで攻撃できるようにするためのペプチドである。スペーサーペプチドは、それ自体折りたたまれないペプチドであることが好ましい。スペーサーペプチドは、翻訳された、リボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドが、リボソームをcisで攻撃することを保証することができる鎖長を有する。鎖長は、通常、50から200アミノ酸であり、好ましくは100アミノ酸から140アミノ酸である。

0025

また、本発明のDNA構築物の他の好ましい態様において、本発明のDNA構築物上の任意のポリペプチドをコードするDNAとリボソームを不活性化する機能を有するポリペプチドをコードするDNAの間にリンカーペプチドをコードするDNAが挿入されている。この「リンカーペプチド」とは、本発明のDNA構築物からの翻訳産物(融合タンパク質)において、融合されるポリペプチド同士が立体障害によりそのフォールディング阻害されるのを回避するために、融合されるポリペプチドの間に挿入されるポリペプチドである。リンカーペプチドの鎖長さに特に制限はないが、一般的には、10から30アミノ酸程度のペプチドが用いられる。

0026

転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAの好適な第二の例としては、RNA結合タンパク質をコードするDNAと該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAとの組み合わせが挙げられる。このようなRNA結合タンパク質をコードするDNA配列と、該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNA配列との組み合わせを使用する場合、DNA構築物中に、RNA結合タンパク質をコードするDNAが複数個並置されており、かつ該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAが複数個並置されていることが好ましい。これによりRNA結合タンパク質とRNAとの相互作用を強化することができる。

0027

またさらに好ましくは、複数個のRNA結合タンパク質をコードするDNAとして、互いに異なる複数個のRNA結合タンパク質をコードするDNAを使用し、複数個の該RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAとして、上記した互いに異なる複数個のRNA結合タンパク質が結合する互いに異なるRNAをコードするDNAを使用する。このような互いに異なる複数個のDNAを使用することにより、異なる複合体の間におけるネットワーク構造の形成が妨げることができる。

0028

RNA結合タンパク質と該RNA結合タンパク質が結合するRNAの組み合わせの具体例としては、Tatタンパク質とTAR RNAもしくはTatアプタマー、Revタンパク質RRE RNAもしくはRevアプタマー、U1A spliceosomal proteinとU1A spliceosomal proteinアプタマーもしくはU1A Sn RNA、ジンクフィンガータンパク質若しくはその変異体とそれが認識するRNAなどが挙げられる。また、MS2コートタンパク質とそれに対応する特異的結合モチーフのRNA配列を本発明に用いることも可能である。

0029

なお、Tat-TAR 又はTat aptamerについては、A novel RNA motif that bindsefficiently and specifically to the Ttatprotein ofHIVand inhibits the trans-activation by Tat of transcription in vitro and in vivo. Genes Cells. 2000 May;5(5):371-88に記載され、Rev-RRE複合体については、A structural model for the HIV-1 Rev-RRE complex deduced from altered-specificity rev variants isolated by a rapid genetic strategy. Cell. 1996 Oct 4;87(1):115-25に記載され、U1A spliceosomal protein については、Crystal structure at 1.92 A resolution of the RNA-binding domain of the U1A spliceosomal protein complexed with an RNA hairpin. Nature. 1994 Dec 1;372(6505):432-8に記載されている。

0030

また、Zn Fingerタンパク質とRNAの相互作用に関する文献としては、Friesen WJ, et al. Specific RNA binding proteins constructed from zinc fingers. Nat Struct Biol. 1998 Jul;5(7):543-6;McColl DJ, et al. Structure-based design of an RNA-binding zinc finger. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Aug 17;96(17):9521-6; Friesen WJ, et al. Phage display of RNA binding zinc fingers from transcription factor IIIA. J Biol Chem. 1997 Apr 25;272(17):10994-7; Theunissen O, et al. RNA and DNA binding zinc fingers in Xenopus TFIIIA. Cell. 1992 Nov 13;71(4):679-90; Clemens KR, et al. Molecular basis for specific recognition of both RNA and DNA by a zinc finger protein. Science. 1993 Apr 23;260(5107):530-3;及び JohoKE, et al. A finger protein structurally similar to TFIIIA that bindsexclusively to 5S RNA in Xenopus. Cell. 1990 Apr 20;61(2):293-300などが挙げられる。

0031

本発明のDNA構築物の他の好ましい態様においては、該DNA構築物から発現する融合された転写産物が終止コドンを欠損するように該DNA構築物が改変されている。これにより転写産物と翻訳産物を含む複合体からのリボソームの遊離を遅延させ、複合体を安定化することができる。

0032

上記本発明のDNA構築物は、例えば、転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAを、任意のポリペプチドをコードするDNAを含むベクターに挿入することにより調製することができる。また、転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAと該任意のポリペプチドをコードするDNAのクローニング部位とを含むベクターの該クローニング部位に、任意のポリペプチドをコードするDNAを挿入することにより調製することもできる。

0033

本発明は、また、このようにして上記DNA構築物を調製するために用いる、<1>任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAを含むDNA構築物、および<2>任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAと、該任意のポリペプチドをコードするDNAのクローニング部位とを含むDNA構築物、を提供する。

0034

本発明における、mRNAとDNAとからなる核酸構築物は、(i)DNA結合タンパク質をコードするRNAと任意のポリペプチドをコードするRNAとの融合mRNAと、(ii)(i)の融合mRNAの翻訳産物が結合するDNA領域を含むDNAとの複合体である。該核酸構築物における(i)のmRNAと(ii)のDNAは、好ましくはハイブリダイズ(水素結合)することにより複合体を形成している。ハイブリダイズする塩基対の数は、該核酸構築物における(i)のmRNAと(ii)のDNAとが安定的に結合しうる限り特に制限はないが、好ましくは10塩基対以上である。

0035

該核酸構築物における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行えば、該mRNAに対応するDNAを合成することができる。これにより転写産物と翻訳産物に加えて、それらをコードするDNAを複合体の構成要素とすることができる。

0036

該核酸構築物が、(i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている核酸構築物として調製されている場合には、(i)のmRNAを鋳型に(ii)のDNAをプライマーとした逆転写反応を行うことが可能である。

0037

(ii)のDNAを逆転写反応のプライマーとせず、他のプライマーを用いる場合には、核酸構築物において(i)のmRNAと(ii)のDNAの3'側領域同士がハイブリダイズしている必要はなく、5'側領域同士がハイブリダイズしてもよい。この場合、逆転写反応を行うためには、反応系にプライマー((i)のmRNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド)を添加することが必要である。

0038

本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物の調製のための、mRNAとDNAとの結合に関しては、文献(FEBSLett 2001 Nov 23;508(3):309-12)を参照のこと。

0039

(2)転写産物と翻訳産物の複合体の製造方法
本発明は、また、上記した転写産物と翻訳産物の複合体を製造する方法を提供する。この製造方法の一つの態様においては、上記DNA構築物を適当な転写・翻訳系に添加または導入することにより、(i)任意のポリペプチドをコードするDNAと(ii)該DNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAとの融合DNAを発現させることを特徴とする。この融合DNAの発現で生じる転写産物と翻訳産物は、翻訳産物に含まれるリボソームを不活性化するポリペプチドの作用により、あるいは、翻訳産物に含まれるRNA結合タンパク質と転写産物に含まれるその結合部位との相互作用により、安定的な複合体を形成する。

0040

この製造方法の他の態様においては、上記RNAとDNAとからなる核酸構築物を適当な転写・翻訳系に添加または導入することにより、該核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、その翻訳産物を該核酸構築物における(ii)のDNAに結合させることを特徴とする。翻訳産物に含まれるDNA結合タンパク質と該核酸構築物における(ii)のDNAとの相互作用により、安定的な複合体が形成される。該複合体における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行い、(ii)のDNAを伸長させることにより、該mRNAに対応するDNAを合成することができる。(i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている核酸構築物を用いた場合には、(ii)のDNAをプライマーとして逆転写反応を行うことができる。

0041

本方法で用いる転写・翻訳系としては、無細胞転写・翻訳系又は生細胞などが挙げられる。無細胞転写・翻訳系又は生細胞などは、本発明の核酸構築物を添加し又は導入することによって、該核酸構築物からの転写産物および翻訳産物の発現(mRNAとDNAとからなる核酸構築物を用いる場合には、翻訳産物の発現)を保証するものである限り制限されない。本方法では、好ましくは無細胞の転写・翻訳系、特に好ましくは、細胞抽出物から構成される転写・翻訳系を使用することができる。

0042

無細胞転写・翻訳系としては、原核又は真核生物抽出物により構成される無細胞転写・翻訳系、例えば大腸菌、ウサギ網状赤血球、小麦胚芽抽出物などが使用できる。また、生細胞翻訳系としては、原核又は真核生物、例えば大腸菌の細胞などが使用できる。

0043

本方法により得られる、転写産物と翻訳産物を含む複合体も本発明の範囲内である。このような複合体は安定に存在することができ、後述するように特定の標的物質と相互作用するポリペプチドやそれをコードするmRNA若しくはDNAのスクリーニングなどに供することができる。

0044

(3)特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAのスクリーニング方法
本発明は、また、特定の標的物質に結合するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードするmRNA若しくはDNAをスクリーニングする方法を提供する。

0045

本発明の方法の第一の態様は、本発明のDNA構築物を用いる態様である。この態様においては、まず、上記DNA構築物における(i)任意のポリペプチドをコードするDNAと(ii)該DNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAとの融合DNAを発現させ、該融合DNAの転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させ(工程(a))、次いで、特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させ(工程(b))、次いで、該標的物質に結合した複合体を回収する(工程(c))。

0046

本発明の方法の第二から第四の態様は、本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物を用いる態様である。

0047

第二の態様は、逆転写反応を行う工程を含まない態様である。第二の態様においては、まず、本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させることにより、翻訳産物を該核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させ、該翻訳産物と該核酸構築物を含む複合体を形成させ(工程(a))、次いで、該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させ(工程(b))、次いで、該標的物質に結合した複合体を回収する(工程(c))。

0048

本発明の方法の第三および第四の態様は逆転写反応を行う工程を含む態様である。第三の態様は、標的物質と複合体との結合前に、逆転写反応を行う態様であり、第四の態様は、標的物質と複合体との結合後に、逆転写反応を行う態様である。

0049

本発明の方法の第三の態様においては、まず、本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を該核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と該核酸構築物とを含む複合体を形成させ(工程(a))、次いで、工程(a)で形成された複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に、逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAを伸長させ(工程(b))、次いで、該特定の標的物質と、工程(b)で形成された複合体とを接触させ(工程(c))、次いで、該標的物質に結合した複合体を回収する(工程(d))。

0050

本発明の方法の第四の態様においては、本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物における(i)のmRNAを翻訳させ、翻訳産物を該核酸構築物における(ii)に記載のDNAに結合させることにより、該翻訳産物と該核酸構築物とを含む複合体を形成させ(工程(a))、次いで、該特定の標的物質と、工程(a)で形成された複合体とを接触させ(工程(b))、次いで、該標的物質に結合した複合体に逆転写酵素を接触させて、該複合体における(i)のmRNAを鋳型に逆転写反応を行うことにより、該複合体における(ii)のDNAを伸長させ(工程(c))、次いで、該標的物質に結合している複合体を回収する(工程(d))。

0051

本発明の方法の第三または第四の態様において、(i)のmRNAの3'側領域と(ii)のDNAの3'側領域がハイブリダイズしている核酸構築物を用いた場合には、逆転写反応を(ii)のDNAをプライマーとして簡便に行うことができる。

0052

本発明の方法における、標的物質としては特に限定されず、スクリーニングの目的に応じて種々の標的物質を用いることができる。標的物質の具体例としては、ペプチド、タンパク質、低分子化合物、リガンド、酵素、抗体、又は環境汚染物質などが挙げられる。標的物質として、例えば、リガンドを用いれば、該リガンドに結合する受容体をスクリーニングすることができ、オーファン受容体のリガンドの同定などに有用である。複合体の回収を容易にするために、標的物質を担体に固定しておくことが好適である。また、目的に応じて、複数種の標的物質が配置された基盤を用いて、スクリーニングを行ってもよい。

0053

本発明のスクリーニングの一例としては、以下の方法を挙げることができる。本発明の核酸構築物を転写・翻訳後(mRNAとDNAとからなる核酸構築物を用いる場合には、翻訳後)、アガロース等の固相担体に結合した標的物質の懸濁液を添加し、一定期間保持することにより標的物質と目的遺伝子の産物とを結合させる。未結合のmRNAとタンパク質を含む上清を、混合液から除去し、適当な緩衝液で固相担体を洗浄する。固相担体に結合したmRNA(またはDNA)を、尿素を含む溶液高温にて溶出させることにより単離することができる。

0054

また、本発明は、本発明のスクリーニングに用いるためのキットを提供する。本発明のDNA構築物を用いたスクリーニングのためのキットには、例えば、<1>本発明のDNA構築物、<2>本発明のDNA構築物を調製するための、(i)任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAを含むDNA構築物または(ii)任意のポリペプチドをコードするDNAの転写産物と翻訳産物の複合体を安定化させる機能を有するDNAと該任意のポリペプチドをコードするDNAのクローニング部位とを含むDNA構築物、<3>本発明のDNA構築物の発現により形成される複合体、のいずれか一つまたは複数の評品を含むことができる。

0055

また、本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物を用いたスクリーニングのためのキットには、例えば、<1>本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物、<2>本発明のmRNAとDNAとからなる核酸構築物の発現により形成される複合体(逆転写反応を行うことにより複合体中のmRNAに対応するDNAが合成されたものを含む)、のいずれか一つまたは双方の評品を含むことができる。

発明を実施するための最良の形態

0056

以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されることはない。
[実施例1]
A.方法
(A−1)3種のタンパク質[DHFR-(RE)n]の調製
DHFR-(RE)1-3融合タンパク質の調製に際して、プラスミドpTZDHFR20由来(Blakley, R. L. In Folates and Pterins; Blakley, R. L.; Benkovic, S. J,, Eds.;Wiley: New York, 1985; pp. 191-253)の、PstI部位をその3'末端に有するDHFRの遺伝子を、プラスミドpET30a(Novagen、Madison、WI)に挿入した。REペプチド(38アミノ酸;RKKRRQRRRP PQGSQ TBQVS LSKQP TSQSRGDPTGPKE(配列番号3))をコードするセンスおよびアンチセンスのオリゴヌクレオチドを合成し、アニーリングさせ、rTaqポリメラーゼ(Takara Shuzo Co., Kyoto, Japan)を用いて伸長した。得られたdsDNAをPstI部位とEcoT22I部位で切断して、PstI部位でDHFR遺伝子の3'側に挿入した。PstIとEcoT22Iの制限部位は連結し、連結した部位はPstIまたはEcoT22Iのいずれでも切断されないので、REペプチドをコードする配列をDHFRの遺伝子の3'末端にあるPstI部位に連続的に結合させて、pDHFR-(RE)1からpDHFR-(RE)3までを得た。これらのプラスミドを用いて大腸菌NovaBlue(DE3)(Novagen)にトランスフェクションし、得られた菌をLB培地500ml中で30℃にてインキュベートした。対数増殖期に、IPTG(イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトシド)を1mM添加して、30℃で4時間インキュベートした。タンパク質は、ポリヒスチジンタグを付加したポリペプチドとして発現させた。HisTrapTMキレティングキット(Amersham Pharmacia Biotech Uppsala, Sweden)を取扱説明書に従って使用して、タンパク質を精製し、HiTrapTM脱塩システム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて低分子物質を除いた。さらに、分解されたタンパク質を除くために、HiTrapTMSP (Amersham Pharmacia Biotech)陽イオン交換HPLCを行った。タンパク質の純度は、SDS-PAGEで調べた。結果を図1に示す。精製タンパク質の濃度は、BCAアッセイキット(Pierce、Rockford,IL)で測定した。

0057

(A−2)3種のタンデムRNAアプタマー[(Apt)n]の調製
タンデムTatアプタマー[(Apt)1-3]の調製のために、センスとアンチセンスのオリゴヌクレオチド(5'-AAA AAACGA AGCTTGATCCCGTTTGCC GGTCGA TCG CTT CG-3'(配列番号4)および5'-TTT TTT CGA AGC GAT CGA CCGGCAAAC GGG ATC AAG CTT C-3'(配列番号5))を合成した。これらのオリゴヌクレオチドをアニールさせて、DNAライゲーションキットバージョン2(Takara Shuzo Co.)を用いて連結することにより、タンデムにつながったTatアプタマー[(Apt)1-3]を得た。1〜3個のTatアプタマーをコードする連結したDNA配列を、クローニング(TA Clonign Kit, Invitrogen Carlsbad, CA)した後、単離した。1〜3個のアプタマーをコードするDNAを、T7 Ampliscribeキット(Epicentre Technologies, Madison, WI)を用いて、転写した。

0058

(A−3)解離定数(Kd)の測定
ゲル移動度シフトアッセイのために、各々の転写アプタマー[(Apt)1-3]を15%ポリアクリルアミド変性ゲルによるPAGEにより単離して、アルカリホスファターゼ(E.coli A19; Takara Syuzo Co., Kyoto, Japan)で37℃で1時間処理して、5'末端を脱リン酸化した。その後、T4ポリヌクレオチドキナーゼを37℃で1時間作用させて、該アプタマーを32Pで標識し、PAGE(15%ポリアクリルアミド)により精製した。一定の濃度の5'末端標識化アプタマーに40 nMのtRNAを加えて、Tat結合緩衝液[10 mM Tris-HCl(pH 8.0),70 mM NaCl,2 mMEDTA,および0.1% Nonidet P-40]中で95℃で3分間処理して変性させ、室温に放置して再生させ、続いて、Tat結合緩衝液中の過剰濃度範囲内のDHFR-(RE)1-3を総容量が10μlになるように混合し、30℃で一時間以上処理した。遊離のRNA、および、タンパク質に結合したRNA、またはペプチドに結合したRNAは、5〜15%の非変性ポリアクリルアミドゲルを用いて0.5×TBE(Tris-ホウ酸/EDTA)緩衝液中で電気泳動することにより分離し、解析した。

0059

(A−4)pDHFR-(RE)3-(Apt)3(野生型)、pMuDHFR-(RE)3-(Apt)3(変異型)、pDHFR-(RE)3(対照)の構築
DHFRのコア領域部位特異的変異を導入するために、4つのオリゴヌクレオチド(5'-ACA ATT CCC CTC TAG AAA TA-3'(配列番号6)、5'-GTG GTG GTG CTC GAG AAT TC-3'(配列番号7)、5'-CCTGCC GCC CTC GCC TGG GCC AAACGC AACACCTTA AAT AAA-3'(配列番号8)、および5'-GCGTTTGGC CCA GGC GAG GGC GGC AGG CAGGTTCCA CGG-3'(配列番号9))を調製した。これらのオリゴヌクレオチドとメガプライマーPCR突然変異誘発法を用いて、DHFRの遺伝子に2つの変異を導入することにより、pMuDHFR-(RE)3を構築した。次に、タンデムの3つのアプタマー配列(Apt)3を、pDHFR-(RE)3とpMuDHFR-(RE)3内のREペプチドの下流にあるEcoRI部位に導入し、pDHFR-(RE)3-(Apt)3(野生型)、およびpMuDHFR-(RE)3-(Apt)3(変異型)を得た。

0060

(A−5)(Apt)3と(RE)3との相互作用による、遺伝子型と表現型の連結
32Pで標識されたキャップ化(キャップ構造アナログ;New England Bio Labs, Beverly, MA)mRNAを得るために、直鎖状プラスミド[pDHFR-(RE)3-(Apt)3(野生型)、pMuDHFR-(RE)3-(Apt)3(変異型)、pDHFR-(RE)3(対照)]を、T7AmpliscribeTMキット(Epicentre Technologies, Madison, WI)を用いて37℃で2時間処理して、in vitroで転写させた。標識化mRNAをNICKTMカラム(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)で精製した。DHFR-(RE)3(野生型)、またはMuDHFR-(RE)3(変異型)をコードするキャップ化mRNA 1μgを、30℃で20分間ウサギ網状赤血球細胞溶解液20μl中で翻訳させた(Rabbit Reticulocyte Lysate System; Promega, Madison, WI)。対照として、アプタマーを含まないmRNAを翻訳させた(対照)。それぞれのタンパク質は、35Sで標識した。翻訳後、結合緩衝液[10 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)、70 mM NaCl、10μltRNA] 180μlと、無水コハク酸で予め処理してMTX-アガロースビーズ(Sigma, St Louis, MO)の正電荷中和しておいたMTX-アガロースビーズ懸濁液20μlとを細胞溶解液に添加し、30分間4℃にて結合させた。未結合のmRNAとタンパク質を含む上清200μlを、混合液から除去し、結合緩衝液180μlで2回MTX-ビーズを洗浄した。結合したmRNAとタンパク質を、SDSを含む溶液と一緒に高温(95℃)で溶出させることによりMTX-ビーズから単離した。その後、各サンプルを15%ゲルにてSDS-PAGEに供した。

0061

(A−6)ストレプトアビジンmRNAとDHFR mRNAの混合物のプールから、ストレプトアビジンをコードするmRNAのin vitroでの選択
pDHFR-(CQ)3-(Apt)3の構築は、pDHFR-(RE)3-(Apt)3の構築に準じて行った。簡単に述べると、CQペプチド(36アミノ酸;CFTTKALGIS YGRKKRRQRR RPPQG SQTBQ VSLSKQ)(配列番号10)をコードするセンスとアンチセンスのオリゴヌクレオチドを合成し、得られたCQペプチドを含む断片をDHFR配列とアプタマー配列の間に導入した。ストレプトアビジンをコードする鋳型DNAは既報である。ストレプトアビジン遺伝子を含むDNA断片はCQペプチド配列上流にDHFR遺伝子と置換して挿入した。それぞれの32Pで標識したRNA[ストレプトアビジン-(CQ)3-(Apt)3とDHFR-(CQ)3-(Apt)3]は上記の通り調製した。3種のmRNAの組み合わせ(ストレプトアビジンまたはDHFRをコードするmRNAをそれぞれ1:1の比で混合したmRNA、または、対照としていずれかのmRNA)(各組み合わせにおいて、総量1.25μg)を、30℃で20分間細胞溶解液中(25μl)にて翻訳させた。翻訳後、結合緩衝液[20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、70 mM NaCl, 10μl tRHA] 180μlと、ビオチン-アガロースビーズ(Sigma, St Louis, MO)の懸濁液20μlとを細胞溶解液に添加し、10分間上にて結合させた。未結合のmRNAとタンパク質を含む上清(200μl)を、混合液から除去し、結合緩衝液180μlでビオチン-ビーズを2回洗浄した。結合したmRNAを、尿素を含む溶液とともに高温(95℃)にて溶出させることによりビオチン-ビーズから単離した。その後、各サンプルを、4%ゲルの変性PAGEに供した。

0062

(A−7)機能性タンパク質の選択における、リボゾームディスプレイ系と(RE)3と(Apt)3との強い相互作用の組み合わせ
上記の、DHFR遺伝子(pDHFR)を含むpET30aとpDHFR-(RE)3-(Apt)3のプラスミドを、各々32Pで標識したmRNA[DHFR-(RE)3-(Apt)3、DHFR+Stop、およびDHFR-Stop mRNA]を調製するための鋳型として使用した。32Pで標識したmRNAを翻訳し、上述と同様、MTX-ビーズによる選択に供した。結合したmRNAを、高温にて溶出し、MTX-ビーズから単離した。選択されたmRNAの相対量は、32Pで標識したmRNAのカウントおよびRT-PCRにより検出した。

0063

p(Apt)3-(RE)3-DHFRをpDHFR-(RE)3-(Apt)3と同様の方法で構築した。in vitroでの転写に用いる直鎖状DNAは、T7プロモーター配列を含有する各鋳型プラスミド[p(Apt)3-(RE)3-DHFR、およびpDHFR]からのPCR産物として調製した。mRNAは、上述の方法で調製した。大腸菌の各終結因子(大腸菌のRE1〜RE3)についてポリクローナルIgG抗体を別々に調製した。最初のプールのmRNA総量は、2μgであった。そして、直鎖状鋳型用大腸菌抽出液系(Promega, Madison, WI)を用いて、in vitroでの翻訳を37℃で10分間行った。翻訳反応を止めるために、翻訳産物を氷上で1分間静置して、上述の通り、MTX-ビーズを用いたin vitro選択を行った。回収されたmRNAをRNeasy mini kit(QIAGEN, Hilden, Germany)により精製し、MMLV逆転写酵素(Promega)により逆転写を行った。この逆転写されたサンプル、つまりcDNAをPCR(ExTaq;Takara)で増幅し、2.0%のアガロース電気泳動によって分析した。半定量分析を行うために、アガロースゲルをSYBR Green I(Molecular Probes)で染色し、Fluoro Imager 595 (Molecular Dynamics)により解析した。(RE)3と(Apt)3との相互作用の強度は、RT-PCR産物として回収されたmRNAの相対量に基づいて、推定した。

0064

B.結果及び考察
(B−1)タンデムにつながったアプタマーとTat由来ペプチドとの相互作用の増強
機能性タンパク質のモデルとして、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を選択した。その理由はその性質が良く解析されているためである(Blakley, R. L.他New York, 1985, pp.191-253. Taira, K. 他 J. TrendsBiochem. Sci. 1987, 12, 275-278. Taira, K. 他 J. Med. Chem. 1988, 31, 129-137. Iwakura, M. 他 J. Biochem. 1995, 117, 480-488. Fujita, S. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 391-396. Hamada, M. 他 J. Biochem. 1998, 123, 684-692)。数個のアプタマーとTat由来ペプチド(RE)の結合親和力への影響を調べるために、3種のタンパク質[DHFR-(RE)n](図1)と、3種のタンデムRNAアプタマー[(Apt)n](図2A)を調製した。この場合の「n」は1〜3の範囲内であり、それぞれのモチーフのコピー数に相当する。精製タンパク質のSDS-PAGE後のバンド図1に示した。各タンパク質が予想通りDHFR活性を有していることを確認し、REペプチドモチーフの結合が、DHFRドメインの正確なフォールディングを干渉しないことを証明した。それぞれのアプタマーの適切な二次構造を維持するため、Tatアプタマーを6つのアデノシンヌクレオチドを介して互いにタンデムに結合させて、(Apt)2と(Apt)3を得た。非変性ゲルを用いたPAGEの後の精製RNAを、図2Aの対照のレーン(C)に示す。図2Aのゲルは、TatアプタマーはDHFRと相互作用しないことを示している。このゲルは、濃度を増加させた野生型DHFR(個々の場合において、ゲルの上に三角形で示す通り、Cのレーンから右へ、DHFRの濃度を増加させた。)と混合してもアプタマーの移動度は変化しなかったことを示す。

0065

アプタマー(Apt)1-3のゲル移動度は、融合タンパク質DHFR-(RE) 1-3と混合すると、変化した(図2B〜2D)。これらの実験で、32P標識化アプタマー(最終濃度30pM)を過剰量の各融合タンパク質と混合し、形成した複合体の量をイメージアナライザーで定量した。見かけのKd値は、n=1、n=2、およびn=3で、それぞれ、24 nM、200 pM、および16pM未満と計算された。試験した組み合わせの中で、(Apt)3とDHFR-(RE)3との相互作用が最も強かった[Kd(apt)<16 pM]。この複合体は、複数のコンホメーションをとるようであったが、アプタマーとREペプチドの両方の数が増加すると、より強い相互作用が得られた。RNA-タンパク質複合体の安定性の維持、即ち、RNAとタンパク質との極めて強い相互作用が、遺伝子型と表現型との連結において重要な因子であるため、(Apt)3とDHFR-(RE)3
のモチーフを用いて、以下の実験を行った。

0066

(B−2)(Apt)3と(RE)3との相互作用による遺伝子型と表現型の連結
(Apt)3とDHFR-(RE)3を利用できるどうかを確かめるために、2種類のプラスミドを調製した。プラスミドは、野生型および変異型のDHFR-(RE)3融合タンパク質をコードするもので、コードされるmRNAと翻訳されるタンパク質を、図3Aに示した[野生型,pDHFR-(RE)3-(Apt)3;変異型,pMuDHFR-(RE)3-(Apt)3]。

0067

それぞれのプラスミドは、タンデムにつながった3つのREペプチド[(RE)3]を有するDHFRをコードする配列、ならびにタンデムにつながった3つのTatアプタマー(Apt)3の配列を含んでいる。pMuDHFR-(RE)3-(Apt)3に由来する変異型タンパク質[MuDHFR-(RE)3]は、DHFRの活性部位でAsp27からAla27、および、Phe31からAla31というアミノ酸置換を2箇所に有している点で、pDHFR-(RE)3-(Apt)3に由来する野生型のタンパク質[DHFR-(RE)3]と異なる。これらの変異により、メトトレキセート(MTX)への結合能喪失する(Blakley, R. L.他New York, 1985, pp.191-253. Taira, K. 他 J. TrendsBiochem. Sci. 1987, 12, 275-278. Taira, K. 他 J. Med. Chem. 1988, 31, 129-137. Iwakura, M. 他 J. Biochem. 1995, 117, 480-488. Fujita, S. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 391-396. Hamada, M. 他 J. Biochem. 1998, 123, 684-692.)。第二の対照として、野生型のDHFR-(RE)3融合タンパク質をコードし、アプタマー配列をコードしないプラスミド(pDHFR-(RE)3)を調製した。この翻訳産物であるDHFR-(RE)3は、そのmRNAと相互作用できない(図3A、右)。

0068

遺伝子型と表現型の連結のために、(Apt)3-(RE)3間の相互作用を利用できる場合には、野生型の系(図3A、左)においてのみ、翻訳後にその反応液をMTX-アガロースビーズと混合すると、タンパク質(DHFR)とそのmRNAの両方が、MTX-アガロースビーズに結合して回収されるはずである。対照的に、変異体の系(図3A、真中)では、変異型DHFRは、MTXに結合できないように設計されているために、MTX−アガロースビーズへ結合させてもタンパク質(DHFR)とそのmRNAは何れも回収されないはずである。また、第2の対照の系(図3A、右)では、(Apt)3アプタマーがないために、DHFR-(RE)3は、そのmRNAと相互作用できないので、MTXアガロースビーズへ結合させた場合、タンパク質(DHFR)だけが回収され、mRNAは回収されないはずである。

0069

T7ポリメラーゼを用いてそれぞれのプラスミドから、32Pで標識した3種のキャップ化mRNAを調製し、それらを鋳型として用いて、ウサギ網状赤血球細胞溶解液中で各タンパク質に翻訳させた。翻訳の際、各タンパク質は、35S-メチオニンで標識した。翻訳後、適切な結合緩衝液とMTX-アガロースビーズを、各細胞溶解液に添加して、4℃で30分間結合反応を進行させた(この場合低温で行うのは、細胞溶解液中のRNaseによりmRNAの分解率を減らすためである)。結合していないmRNAとタンパク質を含む、結合溶液の上清を除いて、MTX-アガロースビーズを結合緩衝液で二回洗浄した。溶出緩衝液中で加熱(95℃)してビーズから溶出させた産物を、SDS-PAGEにより分析した。翻訳後の各細胞溶解液を調べることにより、翻訳されたタンパク質と投入したmRNAの量は、どの場合でも一致する(図3B、レーン1〜3)ことを確認した。

0070

溶出した産物の分析は、予測どおり、DHFRは野生型および対照の系(図3B、レーン4および6)で検出され、変異型タンパク質はほとんど検出されなかった(図3B、レーン5)。野生型DHFRおよび対照DHFRの回収率は、それぞれ、変異型DHFRの回収率の9倍および16倍高かった(図3C、左)。さらに、MTXとの結合後はMTXビーズは幾分か正電荷を帯びているので、本実験においては、mRNAのMTXビーズへの非特異的結合を完全に防ぐことはできなかったが(図3B、レーン5と6)、野生型の系でのみ、mRNAが検出された(図3B、レーン4)。野生型のmRNAの収量は、バックグランド(つまり、非特異的に結合した変異mRNAおよび対照mRNA)の量に対して2.5倍高いだけであった(図3C、右図)。バンドを定量すると、タンパク質とmRNAの量がバックグラウンドのレベルをかなり上回っていることが明らかになった。これらの結果は、図3Aに模式的に示した相互作用の有効性を実証するものである。

0071

(B−3)in vitroでのストレプトアビジンに結合したmRNAの選択
標的タンパク質の選択において、(Apt)3とDHFR-(RE)3が適切に機能するならば、識別可能な2種のmRNAを同時に翻訳した場合、それぞれのタンパク質は、そのmRNAと特異的に結合するはずである。MTXアガロースビーズは、正電荷を帯びており、関係のないmRNAの非特異的結合を完全に排除できないため(図3Bおよび図3C)、代わりに、ビオチン-アガロ−スビーズを試した。陽性対照としては、pDHFR-(CQ)3-(Apt)3プラスミド内のDHFRの遺伝子をストレプトアビジンの遺伝子で置換した新しいプラスミド、pStreptavidin-(CQ)3-(Apt)3を構築した(REおよびCQは共にTat-由来ペプチドであり、同じ機能を有する)(Yamamoto, R. 他 Genes Cells 2000, 5, 371-388.)。この系(図4)では、pStreptavidin-(CQ)3-(Apt)3とpDHFR-(CQ)3-(Apt)3に由来するmRNAの混合物を最初に用いて行った場合、DHFRではなく、翻訳されたストレプトアビジンがビオチン-アガロースビーズに結合するはずである(Green, N. M. 他 Adv. Protein Chem. 1975, 29, 85-133)。

0072

pStreptavidin-(CQ)3-(Apt)3とpDHFR-(CQ)3-(Apt)3から、T7ポリメラーゼを用いて、2種類の32Pで標識したキャップ化mRNAを調製した。転写されたmRNAを細胞溶解液中で別々に翻訳し(図4B、レーン1と2)、あるいは1:1の比率で混合したものを翻訳して(図4B、レーン3)、それぞれのmRNAをビオチン-アガロースビーズで選択した。この工程は、図3に示した実験で用いた工程と基本的に同様であり、翻訳後に適切な結合緩衝液とビオチン-アガロースビーズを各細胞溶解液に添加して、4℃で10分間結合反応を進行させた。その後、結合していないmRNAとタンパク質を含む結合溶液の上清を除いて、ビオチン-アガロースビーズを結合緩衝液で二回洗浄した。高温(95℃)で溶出緩衝液によりビーズから結合産物を溶出し、選択されたmRNAを同定するために、4%変性PAGEにより分析した(図4B)。

0073

ビオチンビーズに結合した各mRNAを定量すると、結合したストレプトアビジンをコードするmRNA(Streptavidin-(CQ)3-(Apt)3mRNA)の収量が、DHFRをコードするmRNA(DHFR-(CQ)3-(Apt)3mRNA;レーン1と2)の収量よりも3倍高かった。それぞれのmRNAを1:1で混合した群からビオチンビーズに結合したmRNAを単離した場合、pStreptavidin-(CQ)3-(Apt)3mRNAが選択された(レーン3)。この結果は、その強いRNA-タンパク質間の相互作用が、機能性タンパク質の選択に有効であることを実証する。

0074

(B−4)機能性タンパク質の選択における、リボゾームディスプレイ系と(RE)3と(Apt)3との強い相互作用の組み合わせ
RNA-タンパク質間の強い相互作用を用いて、機能的ストレプトアビジンが選択できたので(図4)、リボゾームディスプレイ系と組み合わせることにより、さらに改良できないかを検討した。リボゾームディスプレイ系では、終止コドンの欠損により複合体からのタンパク質の遊離が遅れるので(Hanes, J. 他 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 4937-4942. He, M. 他 Nuclelic AcidsRes. 1997, 25, 5132-5134.)、リボゾームは、翻訳したタンパク質、およびそのそれぞれのmRNAと比較的安定な複合体を形成する。本発明の系で終止コドンの削除の影響を調べるために、終止コドンが欠損したDHFR mRNA(DHFR-Stop mRNA, 図5Aの右図)を調製した。対照として、終止コドンを有するDHFR mRNA(DHFR+Stop mRNA, 図5Aの中図)を用いた。

0075

細胞溶解液中で翻訳して選択した後、MTX-ビーズに結合したmRNAの量を3種のmRNA(即ち、DHFR-(RE)3-(Apt)3、DHFR+Stop、およびDHFR-Stop)について比較した。翻訳の際に、終止コドンを有するDHFR-(RE)3-(Apt)3 mRNAは、(RE)3と(Apt)3間の相互作用により、翻訳されたDHFRタンパク質と結合する。また、終止コドンが存在するのでリボゾームはmRNAから遊離するため、このタンパク質-mRNA複合体には、リボゾームは関与していない。これら3種のmRNAを、ウサギ網状赤血球細胞溶解液中で翻訳し、図3に記載したのと同じ条件下でMTX-アガロースビーズに露出した。選択されたmRNAの相対量は、32Pで標識したRT-PCR産物と、元の結合したmRNAのカウントから検出した(図5Bおよび図5C)。PCR産物の分析(図5B)は一度しか行わなかったので、図5Cに示したmRNAのレベルの定量の方が信頼性が高い。図5Cに示した結果は、4回の独立して行った実験の平均である。平均すると、DHFR+Stop mRNA(図5C、レーン2)のバックグランドのレベルより、選択されたDHFR-(RE)3-(Apt)3 mRNA(図5C、レーン1)は2.5倍高濃度であり、一方、DHFR-Stop mRNAの濃度は1.4倍であった(図5C、レーン3)。従って、この系では、各mRNAとその産物との複合体の安定性においては、(RE)3-(Apt)3相互作用が、終止コドンの削除より効果的であった。

0076

リボゾームディスプレイ法は、機能性抗体を各々の抗原に対して選択する場合には、かなり有効に機能する(Hanes, J. 他 Nat. Biotechnol. 2000, 18, 1287-1292.)。しかし、今回の結果(図5C)は、終止コドンの削除により形成するリボゾーム-mRNA-タンパク質複合体の安定性は、DHFRのような一般的なタンパク質の選択には十分でないことを示唆する。リボゾームディスプレイ系において適切な抗体を短時間に選択するには、抗体とその抗原とのかなり強い相互作用が必要なのかもしれない。

0077

(RE)3-(Apt)3相互作用と、リボゾームディスプレイ系を組み合わせることは、各mRNAとその産物の複合体の安定性を向上させるのに有利である。この目的のために、(Apt)3-(RE)3領域がDHFRの遺伝子の上流に位置する別のプラスミドを調製した(図6)。さらに、終止コドンの削除により複合体をさらに安定化させるために、終結因子である大腸菌のRF1、RF2、およびRF3に対するポリクローナルIgG抗体を調製した(Moffat, J. G.他Biochimie 1991, 73, 1113-1120.)。(Apt)3-(RE)3領域にある終止コドンが3'末端にくることを避けるために、(Apt)3-(RE)3領域を5'末端に設定したので、本発明では、各mRNAの翻訳を(Apt)3と(RE)3の間にSD配列を配置することにより、大腸菌S30抽出液中で行った。

0078

終結因子に対するポリクローナルIgG抗体の存在下(図6のレーン1と3)、および非存在下(図6のレーン2と4)で、MTX-ビーズに結合したmRNAの量を、2種のmRNA、つまりDHFR-Stop mRNA(図6のレーン1と2)および(Apt)3-(RE)3DHFR-Stop mRNA(図6のレーン3と4)について比較した。翻訳されたmRNAは、図3に記載したのと同じ条件で、MTX-アガロース-ビーズの選択に供した。選択されたmRNAの相対量は、RT-PCR(図6Bおよび図6C)により検出した。図6Cに示した結果は、独立して行った2回の実験の平均である。これらの結果は、(RE)3-(Apt)3相互作用とリボゾームディスプレイ系の組み合わせが、特に終結因子に対するポリクローナルIgG抗体の存在下では、mRNA-リボゾーム複合体の安定化に有効であることを実証する。

0079

(B−5)RNA−タンパク質ネットワークの存在の可能性
上記した実験結果から、アプタマー/ペプチド間の強い相互作用がリボソームディスプレイ複合体を安定化させ、この種の相互作用が機能性タンパク質の選択に有用であることが実証された。しかし、in vitro結合アッセイの結果から見て(図2)、タンパク質の選択の効率はそれほど高くはないことが予想される。即ち、図7Aの上の図に示すようなRNA−タンパク質ネットワークの形成により、ライブラリーからのタンパク質の選択は困難になる可能性がある。この問題は、図7Aの下の図に示すようなアプタマーとペプチドの異なる組み合わせを使用することにより解消することができる。

0080

[実施例2]
A.材料と方法
(A−1)Ricin-A 鎖がfusion したジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、グルタチオン−5−トランスフェラーゼ(GST)、及びストレプトアビジン(StAv)発現ベクターの構築
PTZDHFR20由来のDHFR遺伝子を pET30aのマルチクローニングサイトに挿入し、pDHFRを構築した。さらにpCANTABE5(Pharmacia)由来のgeneIII(geneIII配列については、In vitro selection and evolution of functional proteins by using ribosome display. Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 May 13;94(10):4937-42)配列のうち、1-404番目までのアミノ酸(long spacer)と195-315番目までを含むアミノ酸(short spacer)をコードする2種類の配列を下記のプライマーで増幅し、EcoT22I及びPstIで切断し、それぞれDHFR遺伝子の下流のPst I部位に挿入した。用いたプライマーはlong spacer up primer: 5’-GTGGCG ATGCATCGA CTG TTG AAAGTTGTT TAG CAA AAC −3’(配列番号11), long spacer down primer: 5’-TTCTTA CTG CAG AGA CTC CTT ATTACGCAGTATGTTAG-3’(配列番号12), short spacer up primer:5’-GTG GCG ATG CAT CGGATCCAT TCGTTTGTG AAT ATCAAG-3’(配列番号13), short spacer down primer:5’-TTC TTA CTG CAGACCAGT AGC ACC ATT ACC ATT AGC AA-3’(配列番号14)。次にlinkerとしてgeneIII配列の212-258番目のグリシン及びセリンをコードする配列を下記のプライマーで増幅し、ScaI及びEcoRVで切断し、DHFR遺伝子とspacerの間のEcoRVサイトに挿入した。このリンカーの上流には新たにNheIサイトが、下流にはNcoIサイトが挿入された。用いたプライマーはup primer: 5’-ACT CGG AGT ACTTGCTAG CCCTGTCAA TGC TGG CGG CG-3’(配列番号15), down primer:5’-GCT ACG GAT ATC CCG CTT GTA ACA GGA GTG CTC CAT GGA TAA TCA AAA TCA CCG GAA CCG −3’(配列番号16)。次にpUTA(Texas Univ. Prof. Rpbertus J.)由来のリシンA鎖をコードする配列を下記のプライマーで増幅し、NcoI及びEcoRVで切断し、DHFR遺伝子とspacerの間のNcoI及びEcoRVに挿入した。用いたプライマーはup primer:5’-CGC GCG CCA TGG ATG TTT CCC AAA CAA TAC CCA AT-3’(配列番号17), down primer: 5’-GGG GCG GAT ATC CCA AAC TGT GAG CTC GGT GGA GGC GCG-3’(配列番号18)。リシンを不活性化するような変異(Glu-177, Arg-180, Glu-208 をGln-177, His-180, Asp-208)を加えたものも同様に挿入した(pDLRS, pDLRL)。最後にDHFRをGST及びStAvに置換するために、pGEX−4t-3(Pharmacia)由来のGST遺伝子及びpGSH由来のStreptavidin遺伝子を増幅し、XbaI及びNheIサイトで切断し、プラスミドのXbaI及びNheIサイトに挿入した(pGLRS, pGLmRS, pSLRS, pSLRL, pSLmRS)。用いたプライマーはGST用として、up primer:5'-GGC CGG TCT AGA AAT AAT TTT GTT TAA CTT TAA GAA GGA GAT ATA CAT ATG TCCCCTATA CTA GGT TAT TG(配列番号19)、down primer:5'-CGG TGG GCT AGC CAG ATC CGA TTT TGG AGG ATG GTC GC(配列番号20)、StAv用として、up primer: 5’−GGC CGG TCT AGA AAT AAT TTT GTT TAA CTT TAA GAA GGA GAT ATA CAT ATG CAC CAT CAT CAT CAT CAT TC −3’(配列番号21), down primer: 5’−CGG TGG GCT AGC CCG CCG CTC CAG AAT CTC AAAGCA−3’(配列番号22)。

0081

pSLRL(Streptavidin-Linker-Ricin-GeneIII(long))のDNA配列を配列表の配列番号1に示し、pSLRS(Streptavidin-Linker-Ricin-GeneIII(Short))のDNA配列を配列表の配列番号2に示す。

0082

配列番号1の塩基配列の構成は以下の通りである。
Translation Position; 5076−8155
T7 promoter;4987−5004
lac operator;5007−5030
SD sequence; 5061−5067
Steptacidin sequence; 5121−5600
Linker; 5601−5768
Ricin A chain; 5769−6572
Spacer (containing GeneIII(L) sequences); 6573−7856

0083

配列番号2の塩基配列の構成は以下の通りである。
Translation Position;5076−7007
T7 promoter;4987−5004
lac operator;5007−5030
SD sequence;5061−5067
Steptacidin sequence;5121−5600
Linker;5601−5768
Ricin A chain;5769−6572
Spacer (containing GeneIII(S) sequences) ;6573−7007

0084

(A−2)Biotinアフィニティカラム及びGlutathioneアフィニティーカラムによるmRNAの結合及び選択
各プラスミド(pDLRS, pDLRL, pSLRS, pSLRL, pSLmRS, pGLRS, pGLmRS)はXhoIで切断された後、Cap Analog存在下でAmpliScribe T7 Transcription Kit(Epicentre Technologies)を用いてT7 promoterより転写された。場合によってはα32P-CTPによってアイソトープ標識した。これらのmRNAはRabit Reticulocyte Lysate System(Promega)を用いて翻訳した。反応は25μlのスケールでRNA、1μgを翻訳した。溶液の組成は添付のプロトコルに従った。30℃で10分間インキュペーションし、反応溶液20μlにSample Buffer(ストレプトアビジンの選択の場合、50mM Potassium phoshate buffer(pH7.9), 300mM NaCl, 0.05% Tween 20, 2% Block Ace(Yukizirushi);GSTの選択の場合、pH 7.4, 10 mM Na2HPO4, 1.8 mM KH2PO4, 2.7 mM KCl, 140mM NaCl and 1% Triton X-100)を80μl加え、あらかじめSample Bufferで数回洗浄したBiotin-Agarose(Sigma)を10μl加えた。場合によっては、結合及び洗浄のステップの後に結合しているRNAの量をアイソトープのカウントにより定量した。室温で10分間インキュペーションした後、上澄みを取り除き、200μlのSample Bufferで3回洗浄した。その後、結合しているRNAを回収するために100μlのElution Buffer(ストレプトアビジンの選択の場合、50mM Potassium phoshate buffer(pH7.9), 300mM NaCl, 0.05% Tween20, 2% Block Ace, 3M Guanisine, 50mMEDTA;GSTの選択の場合、pH 7.4, 10 mM Na2HPO4, 1.8 mM KH2PO4, 2.7 mM KCl, 140mM NaCl and 1% Triton X-100, 3 M guanidine and 250 mMEDTA)を加え、室温で10分激しく撹拌し、遠心して、上澄みを回収した。この操作を2回繰り返した。回収したRNAはRNeasy minin kit(QIAGEN)により精製した。精製したRNAはRiverse Transcription System (Promega)のプロトコルに従って5μMのdown primerで逆転写され、Ex Taq polymerase(TAKARA)によってPCRを行った。up及びdown primerは1μM加えた。用いたプライマーはup primer:5’-CTT TAA GAA GGA GAT ATACATATG-3’(配列番号23), down primer:5’-CTC CTCCGG TCGACGATA TC-3’(配列番号24)。

0085

B.結果と考察
(B−1)リシンA鎖がフュージョンしたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、グルタチオン−5−トランスフェラーゼ(GST) 及びストレプトアビジン(StAv)発現ベクターの構築
DHFR、GST、StAvタンパク質はその性質がよく研究されているタンパク質である。DHFRはStAvとBiotinの結合のnegative controlとして用いるために挿入された。LinkerはDHFR、GST及びStAvとリシンが立体障害により、foldingが阻害されるのを避けるために導入した。この配列はGeneIII遺伝子上にコードする配列でグリシン及びセリンを多くコードする。リシンはリボソームを不活性化させるドメインであるA鎖のみを導入した。変異リシンは28SrRNAに存在するα−サリシン部位のN−グルコシド結合を加水分解する活性が完全に失われている。リシンの下流にはGeneIII遺伝子により挿入した配列がSpacerとして挿入された。これはリボソームによるタンパク質の翻訳が終了する前にリシンがリボソームをcisで攻撃できるようにするためである。long及びshortの2種類のSpacerを挿入したプラスミドを構築した(図9A)。

0086

(B−2)リシンA鎖による翻訳阻害
リシンA鎖が活性を持ち、リボソームの翻訳活性を阻害し、リボソームを停止させることが出来るかどうか確かめるために、上記にて構築したプラスミド(pSLmRS, pSLRS, pSLmRL, pSLRL)をテンプレートとして転写、翻訳を行った。まずプラスミドのSpacer配列の下流にあるXhoIサイトで切断し、直鎖状のdsDNAにし、T7ポリメラーゼを用いてmRNAを転写した。Lysate中で翻訳できるように5’末端にキャップを導入した。4種類のmRNAをそれぞれ適切な条件下で翻訳し、生成したタンパク質をSDS-PAGEにより検出した(図9のB及びC)。その結果、リシン配列に変異を加えた、活性のないリシンを融合したタンパク質の発現量が野生型のリシンを融合したタンパク質の発現量より多かった(SLmRS, SLmRL)。これはリシンがリボソームを阻害したため、タンパク質の翻訳量が少なくなっていると考えられる。よって本発明者が構築したリシン融合タンパク質はリボソームを停止させる活性を持っていることが間接的に確認された。また、Spacerの配列が長くなるとタンパク質の発現が少なくなる事が分かった。

0087

(B−3)BiotinアフィニティカラムによるmRNAの結合
pDLRS, pSLRS, pSLmRSを上記と同様に、Spacer配列の下流にあるXhoIサイトで切断し、直鎖上のdsDNAにし、T7ポリメラーゼを用いてmRNAを転写した。Lysate中で翻訳できるように5’末端にキャップを導入し、またRNAの定量のためにα−CTPでボディーラベルした。3種類のmRNAをそれぞれ適切な条件下で翻訳し、Biotinが結合したアガロース(Biotin-Agarose)と結合させた。数回Biotin-Agaroseの洗浄を繰り返し、結合していないmRNAを取り除いた。また結合、及び洗浄のステップにおいてBiotin-Agaroseと結合したmRNAを定量した。BiotinはStAvと高い親和性を持つ。

0088

DLRSmRNAが翻訳された場合、リシンがリボソームを停止させ、タンパク質−mRNA複合体が形成されるが、DHFRはBiotinと結合しないため、mRNAがほとんどBiotin-Agaroseに結合しないと考えられる(図10Bの左)。その一方でSLRS mRNAはStAvがBiotin-Agaroseに結合し、mRNAが回収されると期待される(図10Bの真中)。SLmRS mRNAは活性を持たないリシンが挿入されているため、StAvはBiotin-Agaroseに結合するが、mRNA上のOpen Reading Frame(ORF)の末端に終止コドンが入っているため、mRNAとタンパク質が複合体を形成しにくくなると考えられる(図10Bの右)。もし上記で述べたようにSLRS mRNAのみが選択的に回収されるなら、本発明のシステムはタンパク質の選択に非常に有効であると考えられる。

0089

洗浄を繰り返し、非特異的にアガロースに結合しているmRNAを取り除いていくと、SLRS mRNAが選択的に結合した(図10C)。SLRS mRNAの30%がビオチンアガロースに結合し、回収された。これは従来より行われているリボソームディスプレイによるmRNAの回収率の0.015%の2000倍の効率であり、ランダムプールの多様性を確保するために大きな利点があると考えられる。その一方で、DLRS mRNA及びSLmRS mRNAは0.3%以下しか結合しなかった。さらにリシンを不活性化するとmRNAの回収効率がDLRS mRNAの場合と同じレベルまで落ちることから、リシンがリボソームを停止させることでタンパク質−mRNA複合体をより安定にしていると考えられる。またLysateを用いているため大腸菌の系に比べてRNAの分解が少ないのかもしれない。また3回の洗浄によってSLRS mRNAはDLRS mRNA及びSLmRS mRNAに対して100倍以上濃縮される(図10C)。これはリボソームディスプレイの濃縮効率と同等の濃縮効率である。即ち、本発明のシステムはリボソームディスプレイ法と比べて同等以上の効率でタンパク質を選択できる系であることを示唆している。

0090

さらに異なる選択モデルについても検証した。上記にて構築したプラスミド(pGLRS, pSLRS, pSLmRS)より転写して得られたGLRSmRNA,SLRS mRNA,SLmRS mRNAを用いて上記と同様の手法に従って翻訳しその産物をそれぞれBiotin-Agaroseに結合させた(図11)。もしタンパク質の選択システムが正しく働いているならばSLRS mRNAのみがBiotin-Agaroseに結合すると考えられる(図11A真中)。又、(pSLRS, pGLRS, pGLmRS)より転写して得られたSLRS mRNA, GLRS mRNA, GLmRS mRNAを用いて上記と同様の手法に従って翻訳し、その産物をそれぞれGlutathione-Sepharoseに結合させた(図12)。この場合は、GLRS mRNAのみがGlutathione-Sepharoseに結合すると考えられる(図12Aの真中)。洗浄を繰り返し、非特異的に結合しているmRNAを取り除いていくと、それぞれSLRS mRNAとGLRS mRNAが選択的に結合していることが分かる(図11B及び図12B)。それぞれの場合に置いて、mRNAの回収率は5.1%(Biotin-Agarose)及び1.3%(Glutathione-Sepharose)だった。濃縮効率はそれぞれ>25倍、>6倍だった。よってこれらの結果からも本発明のシステムはリボソームディスプレイ法と比べて同等以上の効率でタンパク質を選択できることが示唆され、また様々なタンパク質に応用できるという可能性が示唆された。

0091

(B−4)Biotinアフィニティカラムによるタンパク質のSelection
前記したように4種類のプラスミド(pSLRL, pDLRL, pSLRS, pDLRS)より4種類のmRNA(SLRL mRNA, DLRL mRNA, SLRS mRNA, DLRS mRNA)を転写した。SLRL mRNA, DLRL mRNAではリシンの下流に、より長いspacerを挿入した。これらのmRNAをそれぞれ適切な条件下で翻訳し、Biotinが結合したアガロースと結合させた(図13のA)。またSLRL mRNAとDLRL mRNA、SLRS mRNAとDLRS mRNAをそれぞれ1:1の量で混合し(各0.5μg)これらも同様に適切な条件下で翻訳し、Biotinが結合したアガロースと結合させた。3回アガロースを洗浄した後、mRNAをElution Bufferによって分離した。このmRNAを精製し、逆転写、PCRによって増幅した。その結果、StAvをコードするcDNAが15cycleのPCRで選択的に増幅した(図13のB)。DHFRをコードするcDNAはPCRを25cycle行っても増幅が見られなかった。また1:1で混合した場合においてもStAvをコードするcDNAが選択的に増幅した。即ち、本発明のシステムにおいてStAvタンパク質が正常に選択され、その遺伝子が回収されていることが示唆される。またタンパク質とphenotypeに相当するgenotypeのmRNAが正しく結合していることを示している。興味のある点として、SLRS mRNAの方がSLRL mRNAに比べて効率よくアガロースに結合している。

0092

コントロールとしてそれぞれのmRNAを一定量(0.025μg)逆転写、PCRした。またSLRL mRNAとDLRL mRNA、SLRS mRNAとDLRS mRNAをそれぞれ1:1の量で混合し(各0.0125μg)同様に逆転写、PCRした。これによってcDNAの増幅が濃度に依存していることが確かめられた。またmRNAを逆転写せずにPCRのみを行った場合cDNAは増幅しなかったため、DNAのContaminationはないことが確かめられた。

0093

また同様の選択の手法に従ってGLRSmRNA,SLRS mRNAをそれぞれ1:1の量で混合したプールを適切な条件下で翻訳し、Biotin-Agarose又はGlutathione-Sepharoseと結合させた。Biotin-Agaroseに結合させた場合、SLRS mRNAが選択され(図14A)、Glutathione-Sepharoseに結合させた場合、GLRS mRNAが選択されると考えられる(図14B)。コントロールとしてSLRS mRNA, SLmRS mRNA, GLRS mRNAをそれぞれ転写してBiotin-Agaroseに結合させ(図14A)、又、GLRS mRNA, GLmRS mRNA, SLRS mRNAをそれぞれ転写してGlutathione-Sepharoseに結合させた(図14B)。3回アガロースを洗浄した後、mRNAをElution Bufferによって分離した。このmRNAを精製し、逆転写、PCRによって増幅した。その結果、1:1で混合したGLRS mRNA,SLRS mRNAのプールを用いて翻訳し、Biotin-Agaroseに結合させた場合StAvをコードするcDNAがPCRで選択的に増幅し、Glutathione-Sepharoseに結合させた場合、GSTをコードするcDNAがPCRで選択的に増幅した。よってこの結果からもタンパク質とphenotypeに相当するgenotypeのmRNAが正しく結合していることを示された。

0094

[実施例3]
リボソームディスプレイシステムの一般的な適用可能性を評価するために、本発明者はリボソーム-mRNA複合体の安定性を、停止コドンの存在下および非存在下、さらにはリボソーム-mRNA複合体の内部における翻訳されたペプチドとそのmRNAとの間の追加的な相互作用の存在下および非存在下で検討した。

0095

本発明者が利用した追加的な相互作用は、直列式に融合したMS2コートタンパク質(MSp)二量体と、それに対応する特異的結合モチーフのRNA配列(Cバリアント(またはCv)と命名)との間の相互作用である。
具体的には、図16に示す構築物をin vitroで転写・翻訳し、これにより形成された複合体をNi-NTAアガロースを用いて選択した。
その結果、mMSp-Cv相互作用を追加的に導入することにより、システムの効率が改善され(図18)、選択後のmRNAの回収率は、3回の反復洗浄後で0.46%であり、mMSp-Cv相互作用のない場合の回収率0.24%に比べて明らかに優位であった。本発明者は、定量的RT-PCRによって評価される、ヒスチジンタグをコードするmRNAの量とヒスチジンタグをコードしないmRNAの量との比として選択性を定義したが、算出された選択性は3(Cvなし)から6(Cvあり)に高まった。したがって、mMSp-Cv相互作用の導入により、標的mRNAの収率だけでなく、ポリソームディスプレイシステムの選択性も改善された。

0096

TatアプタマーとTat由来ペプチド(REとCQ)に対するリンカーを選択した結果、RNAとタンパク質との極めて強い相互作用が、ネットワーク構造を避けることにより、遺伝子型と表現型の結合に利用できる可能性が実証された。このような相互作用を利用することにより強いRNA-タンパク質間相互作用を選択でき、操作できるはずである。さらに、より長い半減期をも有するタンパク質とmRNAの複合体を生成でき、選択がかなり容易になる。リボゾームディスプレイ系などの他の手法は、リボゾーム-mRNA複合体の天然の半減期を変えることは困難である。

0097

さらに、本発明の手法は、単に融合遺伝子から終止コドンを削除することによってリボゾームディスプレイ系と組み合わせることができる。その結果、図6のレーン3に示したように、2つの部位で結合する結果として、有意により安定なタンパク質-mRNA複合体が得られる。
また、本発明の選択手法は操作が単純で直接的であるという利点を有する。

0098

リシン遺伝子をStAv遺伝子の下流に接続することでリシンによりリボソームを停止させ、効率よくgenotypeとphenotypeを結合させることが本発明により実証された。これによって極めて高い効率で目的のmRNAを選択することができる。リシン遺伝子の下流にあるspacer配列はlong及びshortの2種類構築したが、短いspacer配列を挿入したほうが効率よくmRNAが回収されることがわかった。SLRS mRNAの場合、回収効率は30%でこれは従来にないほどの高回収率だった。またこの選択システムによってSLRS mRNAはDLRS mRNAに対して100倍以上濃縮されることが示された。

0099

上記した本発明のシステムを用いることによりランダムDNAプールより新規機能タンパク質を効率よくスクリーニングすることが可能である。

図面の簡単な説明

0100

図1は、精製したDHFR-(RE)1-3融合タンパク質および野生型(wt)DHFRを示す模式図とSDS-PAGE後のゲルの写真である。精製した組換え型タンパク質(約100μg)をSDS-PAGEに供し、クマシーブルーで染色して可視化した。レーン1、マーカー; レーン2、野生型DHFR; レーン3、DHFR-(RE)1; レーン4、DHFR-(RE)2; レーン5、DHFR-(RE)3 左側にマーカータンパク質の分子量を示す。DHFRと一つ目のREペプチドの間と、REと隣接するREペプチドの間に、ポリグリシンリンカーを挿入した。精製のためにポリヒスチジン(His)をDHFRのN末端に連結した。
図2は、解離定数(Kd)の測定の結果を示す図および写真である。それぞれのレーンCには、アプタマーのみをロードした。黒い矢印は、タンパク質-RNA複合体を示し、白い矢印は遊離のRNAを指す。複合体と遊離のRNAの相対量は、32Pの放射能から計算した。平衡解離定数は、ペプチドの濃度に対する遊離のRNAまたは複合体のRNAの濃度から最小二乗法により求めた理論曲線から決定した。ひし形は、遊離のRNAの相対量を示し、四角形は複合体の相対量を示す。各パネルにおいて、細長い黒い三角形は、タンパク質の濃度の上昇を示している。 (A)(Apt)1-3と野生型DHFRとの相互作用の欠如を示す写真である。それぞれのレーンCには1 nMの(Apt)1-3をロードし、細長い三角形で示すように、20、100、500 nMの野生型DHFRを加えた。 (B) (Apt)1とDHFR-(RE)1の結合を示す図および写真である。30 pMの(Apt)1(レーンC)に、細長い三角形で示すとおり、0.25、0.5、1、2、4、8、16、32 nMのDHFR-(RE)1を混合した。 (CおよびD)(Apt)2-3とDHFR-(RE)2-3タンパク質の結合を示す図および写真である。30 pMの(Apt)2または(Apt)3RNA(レーンC)に、細長い三角形で示すように、0.03、0.06、0.12、0.25、0.5、1、2、4、8、16 nMのタンパク質を混合した。
図3は、in vitro における(Apt)3と(RE)3との相互作用を用いる機能性タンパク質の選択のモデルを示す図および写真である。 (A)転写されたRNAと翻訳されたタンパク質とメトトレキセート結合アガロースビーズ(MTXリガンド)との相互作用の模式図である。 (B)MTX-ビーズによるDHFR-(RE)3タンパク質およびmRNA(野生型)の濃縮を示すSDS-PAGEの結果の写真である。各サンプルは、15%ゲルのSDS-PAGEに供した。レーン1〜3、それぞれの翻訳反応の後、1μlの細胞溶解液をロードした。レーン4〜6、MTX-ビーズに結合したmRNAおよびタンパク質を含む溶出液を10 μlロードした。レーン1と4は野生型タンパク質を示す;レーン2および5は変異型タンパク質を示す;そしてレーン3と6には対照サンプルをロードした。 (C) (B)に示したタンパク質とmRNAの定量結果を示す図である。
図4は、ストレプトアビジンとDHFR mRNAの混合物のプールからのストレプトアビジンをコードするmRNAのin vitroにおける選択を示す図および写真である。 (A)転写されたRNAと翻訳されたタンパク質とビオチン結合アガロースビーズ(ビオチンリガンド)との相互作用の模式図である。 (B)ビオチンアガロースビーズによるストレプトアビジン-(RE)3-(Apt)3 mRNAの濃縮を示す変性PAGEの結果の写真である。翻訳およびその後の選択の後、各サンプルを4%ゲルにおける変性PAGEに供した。 レーン1;単離したストレプトアビジン-(CQ) 3-(Apt)3 mRNA。ストレプトアビジンをコードするmRNA(1.25 μg)を細胞溶解液中で翻訳し、ビオチンビーズで選択した。 レーン2;単離したDHFR-(CQ)3-(Apt)3 mRNA。DHFRをコードするmRNA(1.25 μg)を細胞溶解液中で翻訳し、ビオチンビーズで選択した。DHFRはビオチンビーズと相互作用しないと予想されるため、結合したDHFR-(CQ)3-(Apt)3 mRNAのレベルは、非特異的な(バックグランドの)相互作用のレベルを示す。 レーン3;単離したストレプトアビジン-(CQ)3-(Apt)3とDHFRのmRNA(上のバンド;DHFR mRNA、下のバンド;ストレプトアビジン)。ストレプトアビジンまたはDHFRのそれぞれをコードするmRNAを1:1の比で混合したものを溶解液中で翻訳し、ビオチンビーズで選択した。
図5は、ウサギ網状赤血球細胞溶解液中の機能性DHFRの選択における、(RE)3-(Apt)3とリボゾームディスプレイ系との相互作用の強度の比較を示す図および写真である。 (A)転写されたRNAと翻訳されたタンパク質とメトトレキセート結合アガロースビーズ(MTXリガンド)との相互作用の模式図である。 (B)DHFR-(RE)3-(Apt)3、DHFR-StopまたはDHFR+Stop mRNAのMTX-ビーズでの濃縮を示すための、RT-PCR産物を2%アガロースで電気泳動した結果を示す写真である。PCR反応は、20サイクル行った。各サンプルを、2%のSea KemGTGアガロースゲル(FMC,Riceland, Maine USA)に供した。レーン1、DHFR-(RE)3-(Apt)3 mRNAからのPCR産物;レーン2、DHFR+Stop mRNAからのPCR産物;レーン3、DHFR-Stop mRNAからのPCR産物。PCR産物の分析を一度行ったが、図5Cに示すmRNAのレベルの定量の方が、より信頼性が高い。 (C)濃縮されたmRNAの定量の結果を示す図である。選択されたmRNAの相対量は、32P標識化mRNAのカウントにより検出した。それぞれのレーンの番号は、図5Bのレーンの番号に相当する。結果は、独立して行った4回の実験の平均である。
図6は、大腸菌S30株抽出液中における、(RE)3-(Apt)3の相互作用とリボゾームディスプレイ系とを組み合わせることによる、各mRNAとその産物の複合体の安定性の増大を示す図および写真である。 (A)転写されたRNAと翻訳されたタンパク質とメトトレキセート結合アガロースビーズ(MTXリガンド)との相互作用の模式図である。 (B)終結因子(大腸菌のRF1、RF2、およびRF3)に対するポリクローナルIgG抗体の存在下(レーン1およびレーン3)、または非存在化(レーン2およびレーン4)の、DHFR-Stop mRNA(レーン1およびレーン2)および(Apt)3-(RE)3-DHFR-Stop mRNA(レーン3およびレーン4)の、MTX-ビーズでの濃縮を示すための、RT-PCR産物を2%アガロースで電気泳動した結果を示す写真である。選択されたmRNAは、図5に記したものと同様の条件で、MTX-アガロースビーズに供した。 (C)(B)に示したRT-PCR産物の定量の結果を示す図である。結果は、独立して行った2回の実験の平均である。
図7Aは、RNA-タンパク質間の結合のネットワーク化の可能性を示す図である。原理的にはタンデムに結合させたTat(RE)ペプチドとアプタマーは分子内だけではなく、分子間でも結合する。分子間で結合した場合、RNA-タンパク質の結合がネットワーク化してしまう。同じペプチド及びアプタマーをタンデムに連結するのではなく、異なるペプチド及びアプタマーを連結することでこの分子間の相互作用を最小限に抑える事ができる。図7Bは、in vitroにおける機能性タンパク質の選択方法の第1の実施態様の模式図である。結合性タンパク質が生成され、転写、翻訳、親和性選択、そしてPCRという工程を何度も繰り返すことにより濃縮される。翻訳工程において、タンデムアプタマー(Apt)3は、タンデムREペプチド(RE)3と、きわめて高い親和性により結合する。該結合が、タンパク質とそのmRNAを結合させる。実施例1においては、DHFRおよびストレプトアビジンを選択ステップの標的として用いたが、任意のタンパク質をタンデムアプタマー(Apt)3およびタンデムREペプチド(RE)3と組み合せて用いることができる。
図8は、リシンを用いたIn vitroでのタンパク質選択システムのモデルを示す図である。DNAのランダムライブラリーもしくはcDNAライブラリーを用意する。この配列の3’末端側にはリシンの配列及びスペーサー配列が挿入されている。転写・翻訳を行うと、ライブラリーのタンパク質に続いてリシンが翻訳され、このリシンが分子内反応でリボソームを不活性化し、リボソームの翻訳を停止させる。その結果RNA-リボソーム-タンパク質複合体が形成される。この複合体のRNAはタンパク質の遺伝情報をコードしているので、特定の機能タンパク質を選択すると、そのタンパク質の遺伝情報を持ったRNAを共に回収することができる。このRNAを逆転写・PCRすることで増幅し、その遺伝情報を読みとることで選択されたタンパク質の配列を知ることが出来る。又、より選択圧をかけるために上記のサイクルを繰り返すことができる。
図9Aは、タンパク質の選択システムのモデル系に用いたDNA配列を示す図である。5’側よりT7プロモーター、ストレプトアビジン若しくはGST配列、リンカー配列、リシンA鎖配列若しくはリシンA鎖配列の一部に変異を加えた不活性型リシンA鎖の配列、M13ファージGene III遺伝子由来のスペーサー配列(360bp若しくは1212bp)の順に遺伝子が挿入されている。ストレプトアビジン及びGST配列は選択の対象となるタンパク質。リンカー配列はペプチドリンカーをコードし、ストレプトアビジン及びGSTとリシンA鎖の立体障害を解消するために挿入した。スペーサー配列はリボソームが他のタンパク質のfoldingや活性が阻害されないようにするため挿入した。図9Bは、SLmRS,SLRS,SLmRL,SLRL遺伝子の翻訳を示す模式図である。SLmRS, SLmRL遺伝子はリシンが機能しないため、RNA-リボソーム-タンパク質複合体が形成されない。よって、タンパク質がリボソームから解離し、効率よくタンパク質が創られる。図9Cは、SLmRS,SLRS,SLmRL,SLRL遺伝子から翻訳されたタンパク質を示す写真である。S35-メチオニンでラベルし、10%SDS-PAGEでタンパク質を検出した。リンカーが短い方がタンパク質が多く創られた。リシンが不活性化している場合、より多くのタンパク質が創られた。SLRL遺伝子からはほとんどタンパク質が検出されなかった。
図10Aは、ビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNA(SLRS)の選択を示す模式図である。一方、DHFRをコードしたmRNAはビオチンアガロースに結合しない(DLRS)。またリシンを不活性化した場合もストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNAはビオチンアガロースに結合しない(SLmRS)。図10Bは、ビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNAの回収量を示す図である。翻訳後、ビオチンアガロースに結合させた後、結合していないmRNAを洗浄し、残ったmRNAの量を測定した。SLRS mRNAは3回の洗浄後、翻訳に使用したmRNAの量の30%がビオチンアガロースに結合した。一方、DLRS、SLmRS mRNAは3回の洗浄後、ほとんど結合が見られなかった。SLRS mRNAは3回の洗浄後、100倍以上濃縮された。
図11Aは、ビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNA(SLRS)の選択を示す模式図である。一方、GSTをコードしたmRNAはビオチンアガロースに結合しない(GLRS)。またリシンを不活性化した場合もストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNAはビオチンアガロースに結合しない(SLmRS)。図11Bは、ビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNAの回収量を示す図である。翻訳後、ビオチンアガロースに結合させた後、結合していないmRNAを洗浄し、残ったmRNAの量を測定した。SLRS mRNAは4回の洗浄後、翻訳に使用したmRNAの量の5%がビオチンアガロースに結合した。一方、GLRS、SLmRS mRNAは4回の洗浄後、ほとんど結合が見られなかった。SLRS mRNAは4回の洗浄後、25倍以上濃縮された。
図12Aは、グルタチオンセファロースによるGSTタンパク質をコードしたmRNA(GLRS)の選択を示す模式図である。一方、ストレプトアビジンをコードしたmRNAはグルタチオンセファロースに結合しない(SLRS)。またリシンを不活性化した場合もGSTタンパク質をコードしたmRNAはグルタチオンセファロースに結合しない(GLmRS)。図12Bは、グルタチオンセファロースによるGSTタンパク質をコードしたmRNAの回収量を示す図である。翻訳後、グルタチオンセファロースに結合させた後、結合していないmRNAを洗浄し、残ったmRNAの量を測定した。GLRS mRNAは4回の洗浄後、翻訳に使用したmRNAの量の1.2%がグルタチオンセファロースに結合した。一方、SLRS、GLmRS mRNAは4回の洗浄後、ほとんど結合が見られなかった(0.2%以下)。GLRS mRNAは4回の洗浄後、6倍以上濃縮された。
図13Aは、ビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質をコードしたmRNA(SLRS、SLRL)の選択を示す模式図である。一方、DHFRをコードしたmRNAはビオチンアガロースに結合しない(DLRS, SLRL)。SLRS, DLRSのスペーサーの長さはSLRL, DLRLのスペーサーの長さに比べて短い。図13Bは、ストレプトアビジン及びDHFRタンパク質をコードしたmRNA(SLRS+DLRS及びSLRL+DLRL)の混合プールからビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質(SLRSおよびSLRL)をコードしたmRNAの選択を示す写真である。mRNAのプールを翻訳し、ビオチンアガロースに結合させた後、結合したmRNAをRT-PCRによって増幅した。その結果、SLRS mRNA及びSLRL mRNAが増幅した。一方、SLmRS(L) mRNA及び DLRS(L) mRNAはRT-PCRによって増幅しなかった。SLRS(L) mRNAとDLRS(L) mRNAを1:1で混合したプールを翻訳し、ビオチンアガロースに結合させた後、RT-PCRを行ったところ、SLRS(L) mRNAが選択的に増幅した。スペーサーが短い方が効率よく選択ができた。
図14Aは、ストレプトアビジン及びGSTタンパク質をコードしたmRNA(SLRS+GLRS)の混合プールからビオチンアガロースによるストレプトアビジンタンパク質(SLRS)をコードしたmRNAの選択を示す写真である。SLRS mRNAを翻訳し、ビオチンアガロースに結合させた後、結合したmRNAをRT-PCRによって増幅した。その結果、SLRS mRNAが増幅した。一方、SLmRS mRNA及び GLRS mRNAはRT-PCRによって増幅しなかった。SLRS mRNAとGLRS mRNAを1:1で混合したプールを翻訳し、ビオチンアガロースに結合させた後、RT-PCRを行ったところ、SLRS mRNAが選択的に増幅した。図14Bは、ストレプトアビジン及びGSTタンパク質をコードしたmRNA(SLRS+GLRS)の混合プールからグルタチオンアガロースによるGSTタンパク質(GLRS)をコードしたmRNAの選択を示す写真である。GLRS mRNAを翻訳し、グルタチオンアガロースに結合させた後、結合したmRNAをRT-PCRによって増幅した。その結果、GLRS mRNAが増幅した。一方、GLmRS mRNA及び SLRS mRNAはRT-PCRによって増幅しなかった。SLRS mRNAとGLRS mRNAを1:1で混合したプールを翻訳し、ビオチンアガロースに結合させた後、RT-PCRを行ったところ、GLRS mRNAが選択的に増幅した。
図15は、想定される環状化ポリソームディスプレイシステムの予想図である。
図16Aは、本発明者の新規選択システムのためのin vitro転写用のテンプレートとして調製した構築物を示す図である。以下のテンプレートDNAを設計した:dCvH(+)mM2D(+),(I);dCvH(-)mM2D(+),(II);dCvH(+)mM2D(-),(III);dCvH(-)mM2D(-),(IV)。dCvH(+)mM2D(+)とdCvH(-)mM2D(+)にはいずれも終止コドンがあるが、dCvH(+)mM2D(-)とdCvH(-)mM2D(-)にはない。予想される長さはそれぞれ1786bp(I)、1723bp(II)、1716bp(III)および1653bp(IV)であった。図16Bは、in vitro翻訳の確認結果を示す写真である。レーン1、rCvH(+)mM2D(+)の翻訳産物;レーン2、rCvH(-)mM2D(+)の翻訳産物;レーン3、rCvH(+)mM2D(-)の翻訳産物;レーン4、rCvH(-)mM2D(-)の翻訳産物。予想される分子量はそれぞれ55.7kDa(レーン1および3)と53.5kDa(レーン2および4)であった。
図17は、本発明者の新規システムの効率を評価するために行ったin vitro選択の結果を示す写真である。RT-PCR産物のアガロースゲル電気泳動後のパターンを示している。レーン1〜3およびレーン5〜7は、in vitro選択後に各mRNAプールから増幅されたRT-PCR産物を示している。レーン1、初期mRNAプールがrCvH(+)mM2D(+)のみを含むもの;レーン5、初期mRNAプールがrCvH(+)mM2D(-)のみを含むもの。以上のレーンは選択に関する陽性対照となる。レーン2、初期mRNAプールがrCvH(-)mM2D(+)のみを含むもの;レーン6、初期mRNAプールがrCvH(-)mM2D(-)のみを含むもの。この2つのレーンは選択に関する陰性対照となる。レーン3、初期mRNAプールがrCvH(+)mM2D(+)とrCvH(-)mM2D(+)の1:1混合物であったもの;レーン7、初期mRNAプールがrCvH(+)mM2D(-)とrCvH(-)mM2D(-)の1:1混合物であったもの。この2つのレーンは選択効率を示す。レーン4、in vitro選択前のrCvH(+)mM2D(+)とrCvH(-)mM2D(+)の1:1混合物から増幅されたRT-PCR産物;レーン8、in vitro選択前のrCvH(+)mM2D(-)とrCvH(-)mM2D(-)の1:1混合物から増幅されたRT-PCR産物。
図18は、システムにmMS2p-Cv相互作用を含めることとin vitro選択との間の相関を示す図である。横軸は、選択の溶出ステップ前のペレット化したNi-NTAアガロースに伴う放射能と投入した放射標識mRNAの放射能との比として定義した収率を示す。各mRNAの収率は2つの独立した実験による結果の平均値である。 (I)ヒスチジンタグを持つ陽性対照。Cvを持つがMSpは持たない(rCvH(+)D(+))。 (II)ヒスチジンタグを持つ陽性対照。CvとMSpを一つづつ持つ(rCvH(+)mM1D(+))。 (III)ヒスチジンタグを持つ陽性対照。Cvを一つ、MSpをニつ持つ(rCvH(+)mM2D(+))。 (IV)ヒスチジンタグを持たない陰性対照。CvとMSpを二つ持つ(rCvH(-)mM2D(+))。

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