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技術 印刷機用乾燥装置及び印刷機

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 木本隆介江田昌之小林信也出島一直濱本寿彦
出願日 2006年10月3日 (14年2ヶ月経過) 出願番号 2006-271656
公開日 2008年4月17日 (12年8ヶ月経過) 公開番号 2008-087354
状態 未査定
技術分野 版および印刷用紙の供給、装着、排除 付属装置、全体制御
主要キーワード 連接ユニット 冷却風供給装置 ヒータ用温度センサ シート状ヒータ 外周側表面 乾燥レベル 乾燥状況 ニスコーティング
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

被印刷媒体上に塗布された印刷液をより確実に乾燥させること。

解決手段

第1乾燥部12Cは、第1〜第3乾燥胴21〜23を備える。このうち、第2乾燥胴22によって、水性ニスNが塗布された紙Sを加熱して、水性ニスNを乾燥させる。第2乾燥胴22は、第1赤外線照射装置30A及び第2赤外線照射装置30Bによって加熱される。そして、第2乾燥胴22の表面温度が、予め設定した所定の温度になったら印刷を開始し、第2乾燥胴22は、これに巻き付けられた紙Sを、水性ニスNの塗布面とは反対側の面から加熱する。

概要

背景

印刷機は、被印刷媒体である紙にインキで印刷して画像を形成する。このうち、シート状の紙に印刷する印刷機は枚葉印刷機と呼ばれる。前記枚葉印刷機で枚葉インキ(油性インキ)を用いる場合、主に酸化重合によって乾燥するため、断裁、中綴じ等の後工程へ移行するためには、半日から一日程度の乾燥時間を要する。この乾燥時間を短縮するため、油性インキによる印刷後に、水性ニスコーティングし、これを乾燥させる技術がある。インキや水性ニスの乾燥に関しては、例えば、特許文献1に、乾燥装置動作温度が達成された場合にのみ、印刷機械の所定のスイッチオン操作を可能にする手法や、乾燥装置の最適な乾燥条件相応する限界値の達成の後で、紙搬送や印刷過程のための駆動部の電源投入を行う手法が開示されている。

特開平7-304164号公報、第2頁

概要

被印刷媒体上に塗布された印刷液をより確実に乾燥させること。第1乾燥部12Cは、第1〜第3乾燥胴21〜23を備える。このうち、第2乾燥胴22によって、水性ニスNが塗布された紙Sを加熱して、水性ニスNを乾燥させる。第2乾燥胴22は、第1赤外線照射装置30A及び第2赤外線照射装置30Bによって加熱される。そして、第2乾燥胴22の表面温度が、予め設定した所定の温度になったら印刷を開始し、第2乾燥胴22は、これに巻き付けられた紙Sを、水性ニスNの塗布面とは反対側の面から加熱する。

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被印刷媒体上に塗布された印刷液をより確実に乾燥できる印刷機用乾燥装置及び印刷機を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

印刷機に備えられ、かつ印刷液が塗布された被印刷媒体を乾燥させるものであり、被印刷媒体の搬送経路上に設けられて、乾燥前の印刷液が塗布されている前記被印刷媒体の面とは反対側の面と、前記被印刷媒体の温度よりも高い所定の温度で接触して、前記反対側の面から前記被印刷媒体を加熱することにより、前記被印刷媒体を乾燥させる被印刷媒体加熱手段を備えることを特徴とする印刷機用乾燥装置

請求項2

前記所定の温度は、前記被印刷媒体に塗布される前記印刷液の膜厚が大きくなるにしたがって高くなることを特徴とする請求項1に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項3

前記被印刷媒体加熱手段は、赤外線照射装置から照射される赤外線により、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分が加熱されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項4

前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分には、赤外線吸収層が設けられることを特徴とする請求項3に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項5

前記赤外線照射装置は、前記印刷液が塗布された前記被印刷媒体の面に赤外線を照射することにより、前記被印刷媒体に塗布された印刷液を乾燥させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項6

前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分は、シート状のヒータで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項7

前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項8

前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分の温度を測定する温度測定手段を備え、前記温度測定手段によって測定された、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分の温度に基づいて、前記被印刷媒体と接触する部分の温度が前記所定の温度になるように制御されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項9

前記印刷液から蒸発した蒸気を除去する蒸気除去手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項10

前記印刷機が印刷を実行していない間は、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分が、前記被印刷媒体を加熱する温度よりも低い温度に保持されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷機用乾燥装置。

請求項11

被印刷媒体の搬送経路に沿って設けられ、前記被印刷媒体に印刷液としてインキを用いて画像を印刷する印刷部と、前記被印刷媒体の画像が形成された面に印刷液として水性ニスを塗布するニスコーティング部と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷機用乾燥装置を備え、前記水性ニスが塗布された被印刷媒体を乾燥させる乾燥部と、を含むことを特徴とする印刷機。

技術分野

0001

本発明は、印刷機においてインキの上に塗布されたニスやインキ等の印刷液を乾燥させるために用いる印刷機用乾燥装置及び印刷機に関する。

背景技術

0002

印刷機は、被印刷媒体である紙にインキで印刷して画像を形成する。このうち、シート状の紙に印刷する印刷機は枚葉印刷機と呼ばれる。前記枚葉印刷機で枚葉インキ(油性インキ)を用いる場合、主に酸化重合によって乾燥するため、断裁、中綴じ等の後工程へ移行するためには、半日から一日程度の乾燥時間を要する。この乾燥時間を短縮するため、油性インキによる印刷後に、水性ニスコーティングし、これを乾燥させる技術がある。インキや水性ニスの乾燥に関しては、例えば、特許文献1に、乾燥装置動作温度が達成された場合にのみ、印刷機械の所定のスイッチオン操作を可能にする手法や、乾燥装置の最適な乾燥条件相応する限界値の達成の後で、紙搬送や印刷過程のための駆動部の電源投入を行う手法が開示されている。

0003

特開平7-304164号公報、第2頁

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1に開示された手法では、被印刷媒体の搬送の開始条件が規定されているのみで、印刷中における乾燥装置の状態については言及されておらず、ニスの剥がれによる光沢の低下やこすれによる傷が発生し、印刷品質の低下を招くおそれがある。

0005

本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被印刷媒体上に塗布された印刷液をより確実に乾燥できる印刷機用乾燥装置及び印刷機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る印刷機用乾燥装置は、印刷機に備えられ、かつ印刷液が塗布された被印刷媒体を乾燥させるものであり、被印刷媒体の搬送経路上に設けられて、乾燥前の印刷液が塗布されている前記被印刷媒体の面とは反対側の面と、前記被印刷媒体の温度よりも高い所定の温度で接触して、前記反対側の面から前記被印刷媒体を加熱することにより、前記被印刷媒体を乾燥させる被印刷媒体加熱手段を備えることを特徴とする。

0007

この印刷機用乾燥装置は、水性ニスやインキ等の印刷液の乾燥において、印刷液が塗布された被印刷媒体を、被印刷媒体の温度よりも高い所定の温度で、乾燥前の印刷液が塗布されている面とは反対側の面から加熱する。これにより、被印刷媒体に印刷液が塗布された面をより確実に乾燥させることができるので、印刷液の剥がれを抑制して、印刷品質低下を抑制することができる。

0008

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記所定の温度は、前記被印刷媒体に塗布される前記印刷液の膜厚が大きくなるにしたがって高くなることを特徴とする。

0009

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、被印刷媒体を加熱する温度を、印刷液の膜厚が大きくなるにしたがって高くする。これによって、印刷液の膜厚を考慮した加熱が可能になるので、印刷液の乾燥不足や過乾燥が抑制されて、印刷品質低下をさらに抑制することができる。

0010

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記被印刷媒体加熱手段は、赤外線照射装置から照射される赤外線により、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分が加熱されることを特徴とする。

0011

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、赤外線照射装置から照射される赤外線によって、被印刷媒体加熱手段の被印刷媒体と接触する部分(被印刷媒体加熱手段の表面)が加熱される。赤外線照射装置は、印刷機の乾燥装置に備えられることが多いため、被印刷媒体加熱手段の表面の加熱において、既存の装置を利用することができる。これによって、印刷装置の大幅なレイアウト変更が不要になる。

0012

赤外線照射装置から照射される赤外線を利用する場合、次の本発明に係る印刷機用乾燥装置のように、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分には、赤外線吸収層が設けることが好ましい。これによって、赤外線の吸収効率が向上するので、被印刷媒体加熱手段の表面の昇温速度を向上させることができる。

0013

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記赤外線照射装置は、前記印刷液が塗布された前記被印刷媒体の面に赤外線を照射することにより、前記被印刷媒体に塗布された印刷液を乾燥させることを特徴とする。

0014

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、赤外線照射装置によって、印刷液が塗布された被印刷媒体の面に赤外線を照射するので、より確実に印刷液を乾燥させることができる。また、被印刷媒体加熱手段の表面を加熱する手段として赤外線照射装置を兼用するため、装置構成を簡略化できる。

0015

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分は、シート状のヒータで構成されることを特徴とする。

0016

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、シート状のヒータで、印刷液が塗布された被印刷媒体を、印刷液の塗布面とは反対側の面から加熱する。シート状のヒータは、温度変化に対する応答性が優れている。このため、印刷開始指令があった場合には、シート状のヒータを迅速に所定の温度まで昇温させることができるので、印刷指令があってから印刷終了までの時間を短縮できる。

0017

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする。

0018

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、冷却手段によって、被印刷媒体加熱手段の表面を冷却する。これによって、被印刷媒体加熱手段の表面が過熱した場合には、積極的に被印刷媒体加熱手段の表面を冷却できるので、自然放熱と比較して迅速に温度を低下させることができる。その結果、印刷の停止時間を短縮できるので、印刷機を効率的に運用できる。

0019

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分の温度を測定する温度測定手段を備え、前記温度測定手段によって測定された、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分の温度に基づいて、前記被印刷媒体と接触する部分の温度が前記所定の温度になるように制御されることを特徴とする。

0020

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、被印刷媒体加熱手段の表面温度に基づき、被印刷媒体加熱手段の表面温度が、印刷液の乾燥に適した所定の温度になるように制御する。これによって、乾燥のばらつきを抑制できるので、印刷品質のばらつきが低減できる。

0021

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記印刷液から蒸発した蒸気を除去する蒸気除去手段を備えることを特徴とする。

0022

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、印刷液から蒸発した蒸気を除去する蒸気除去手段を備える。これによって、より印刷液の乾燥を促進できるので、印刷品質の低下をより効果的に抑制できる。

0023

次の本発明に係る印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置において、前記印刷機が印刷を実行していない間は、前記被印刷媒体加熱手段の前記被印刷媒体と接触する部分が、前記被印刷媒体を加熱する温度よりも低い温度に保持されていることを特徴とする。

0024

この印刷機用乾燥装置は、前記印刷機用乾燥装置と同様の構成を備えるので、前記印刷機用乾燥装置が奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この印刷機用乾燥装置は、印刷機が印刷を実行していない間の待機中においては、被印刷媒体加熱手段の表面温度が被印刷媒体を加熱する温度よりも低い温度に保持される。これによって、被印刷媒体を加熱する温度まで、被印刷媒体加熱手段の表面温度を昇温させる時間を短縮できるので、印刷命令があった場合には、速やかに印刷を開始できる。これによって、印刷機を効率的に運用できる。

0025

次の本発明に係る印刷機は、被印刷媒体の搬送経路に沿って設けられ、前記被印刷媒体に印刷液としてインキを用いて画像を印刷する印刷部と、前記被印刷媒体の画像が形成された面に印刷液として水性ニスを塗布するニスコーティング部と、前記印刷機用乾燥装置を備え、前記水性ニスが塗布された被印刷媒体を乾燥させる乾燥部と、を含むことを特徴とする。

0026

この印刷機は、前記印刷機用乾燥装置を備えるので、被印刷媒体上に塗布された印刷液をより確実に乾燥できる。その結果、印刷液の乾燥不良に起因する印刷品質の低下を抑制できる。

発明の効果

0027

この発明に係る印刷機用乾燥装置及び印刷機では、被印刷媒体上に塗布された印刷液をより確実に乾燥できる。

発明を実施するための最良の形態

0028

以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。

0029

以下の説明において、被印刷媒体とは、印刷機によって画像が形成される記録媒体(例えば紙)をいう。また、印刷液とは、水性ニスやインキ等、被印刷媒体に塗布される液体をいい、被記録媒体上に形成された画像をコーティングするものや、被記録媒体上に画像を形成するものに限定されるものではない。

0030

(実施形態1)
本実施形態は、被印刷媒体にインキ(印刷液)で印刷された画像の上へ塗布された水性ニス(印刷液)を乾燥させる際に、前記被印刷媒体の被印刷面と接触する被印刷媒体加熱手段の接触部を、予め定めた所定の温度にしてから、乾燥を実行する点に特徴がある。以下においては、両面オフセット枚葉印刷機を例として説明するが、本実施形態の印刷機用加熱装置が適用できる印刷機は、これに限定されるものではない。また、印刷液として水性ニスを用い、先刷り印刷の前に前記水性ニスを乾燥させる例を説明するが、印刷液の種類はこれに限定されるものではない。

0031

図1は、実施形態1に係る印刷装置の構成を示す全体構成図である。本実施形態の印刷機用乾燥装置が適用された印刷機10は、両面オフセット枚葉印刷機であって、給紙装置11と、先刷り印刷ユニット12と、後刷り印刷ユニット13と、排紙装置14とを有し、先刷り印刷ユニット12と後刷り印刷ユニット13とが連接ユニット15により連結されている。そして、先刷り印刷ユニット12は、それぞれ先刷り印刷部12A、第1コーティング部12B、印刷機用乾燥装置である第1乾燥部12Cを有し、また、後刷り印刷ユニット13は、後刷り印刷部13A、第2コーティング部13B、第2乾燥部13Cを有している。

0032

上述した構造の印刷機10では、給紙装置11から先刷り印刷ユニット12に被印刷媒体である紙Sが供給されると、まず、先刷り印刷部12Aで、印刷面となる紙Sの裏面に対して4色のインキ(本実施形態では、シアンマゼンタイエローブラック)が、色毎に異なる版胴を介して転写されて、紙Sの裏面に画像が形成される。その後、第1コーティング部12Bで紙Sの印刷面に水性ニスが塗布され、第1乾燥部12Cで水性ニスが塗布された面(ニスコーティング面)が乾燥された後、連接ユニット15により後刷り印刷ユニット13に搬送される。

0033

そして、前述した先刷り印刷ユニット12での印刷工程と同じように、裏面に印刷が施された紙の表面を印刷面として、後刷り印刷ユニット13の後刷り印刷部13Aで、4色のインキがそれぞれの版胴を介して順に転写された後、第2コーティング部13Bで紙Sの印刷面に水性ニスが塗布される。続いて、第2乾燥部13Cでニスコーティング面が乾燥された後、排紙装置14に排出される。すなわち、この印刷機10では、紙Sの裏面に印刷を施した後、この紙Sを反転させることなく、その紙Sの表面に印刷を施すことができる。なお、印刷機10は、紙Sの裏面に印刷を施した後、この紙Sを反転させてからその紙Sの表面に印刷を施すものであってもよい。また、紙の表面、裏面は便宜上の表現であり、特定の面を意味するものではない。次に、本実施形態に係る印刷機用乾燥装置(第1乾燥部12C)の構成を詳細に説明する。

0034

図2は、実施形態1に係る印刷機用乾燥装置の構成を示す説明図である。図3は、印刷面と非印刷面とを説明するための概念図である。図4−1〜図4−5は、実施形態1に係る印刷機用乾燥装置が備える第2乾燥胴の構成を示す説明図である。本実施形態の印刷機10(図1参照)において、先刷り印刷ユニット12で表面が印刷された紙Sは、後刷り印刷ユニット13へ送られる。このとき、後刷り印刷ユニット13の印刷圧力により、紙Sの水性ニスやインキが後刷り印刷ユニット13の圧胴13Dに付着して、印刷品質の低下を招くことがある。この対策として、後刷り印刷ユニット13の圧胴13Dにジャケットと呼ばれる非粘着性のシートを巻き付けて、水性ニスやインキの付着を抑制している。しかし、先刷り印刷ユニット12から送られる紙Sのニスコーティング面の乾燥が十分でないと、水性ニスやインキがジャケットに付着してしまい、光沢の低下等の印刷品質低下を招く。したがって、先刷り印刷ユニット12から送られる紙Sのニスコーティング面は十分に乾燥させる必要がある。

0035

この点について、本発明者らは鋭意研究した結果、次のような解決手段を見出した。すなわち、水性ニスが塗布された紙Sを第1乾燥部12Cで乾燥させる際に、水性ニスが塗布された紙Sが巻き付けられる乾燥胴の表面を所定の温度に保持し、水性ニスの非塗布面側から加熱することにより、紙Sのニスコーティング面の乾燥を促進する。これにより、紙Sのニスコーティング面を十分に乾燥させることができるので、ジャケットに対する水性ニスやインキの付着を抑制して、印刷品質低下を抑制することができる。

0036

図2に示すように、インキで画像が形成された紙Sは、第1コーティング部12Bのニス圧胴20Pに送られる。そして、ニス圧胴20Pとニス版胴20Nとのニップ部で、水性ニス溜24内の水性ニスNが表面に付着したニス版胴20Nから、水性ニスNが印刷面に塗布される。ここで、図3を用いて、紙Sの印刷面と非印刷面について説明する。

0037

先刷り印刷ユニット12で裏面に印刷された紙Sには、画像(図3の「P」)Pが形成され、水性ニスが塗布される。そして、紙S上の水性ニスは、第1乾燥部12Cで乾燥される。このように、紙Sにおいて、水性ニス(印刷液)が塗布されて未乾燥の状態であり、その後に乾燥手段により乾燥される面を印刷面SP_Aといい、印刷面SP_Aの反対面を非印刷面SP_Bという。後刷り印刷ユニット13においては、先刷り印刷ユニット12における非印刷面SP_Bに印刷され、水性ニスが塗布される。このため、後刷り印刷ユニット13においては、先刷り印刷ユニット12における非印刷面SP_Bが印刷面となり、先刷り印刷ユニット12における印刷面SP_Aが非印刷面となる。

0038

第1コーティング部12Bで水性ニスNが塗布された紙Sは、ニス圧胴20Pから第1乾燥胴21を介して第2乾燥胴22へ移動する。ニス圧胴20Pにおいては、紙Sの非印刷面SP_Bがニス圧胴20Pと接するが、第1乾燥胴21においては、紙Sの印刷面SP_Aの表面が第1乾燥胴21と接する。そして、第2乾燥胴22において、紙Sの非印刷面SP_Bが第2乾燥胴22の表面と接し、紙Sの印刷面SP_Aに塗布された水性ニスNが、第1赤外線照射装置(以下第1IRという)30Aで加熱される。これによって、水性ニスN中の蒸気が表面に移動する。この蒸気を、蒸気除去手段である熱風供給装置(以下HAという)31から所定の温度(100℃〜200℃)に加熱された熱風を供給することによって除去する。乾燥後の紙Sは、第3乾燥胴23を介して連接ユニット15(図1参照)へ送られる。

0039

本実施形態では、第2乾燥胴22を被印刷媒体加熱手段として用い、非印刷面SP_B側から紙Sを加熱して、水性ニスNを乾燥させる。このとき、第2乾燥胴22の表面が、被印刷媒体である紙Sに対する伝熱面22htとなる。上述した第1乾燥部12Cの構成から分かるように、被印刷媒体加熱手段である第2乾燥胴22は、被印刷媒体である紙Sの搬送経路上に設けられる。

0040

本実施形態においては、被印刷媒体加熱手段の温度を所定の温度に上昇させて保持する、温度保持手段によって、第2乾燥胴22の表面を、被印刷媒体である紙Sの温度(第2乾燥胴22に送られる前の温度)よりも高い所定の温度(40℃〜100℃程度、好ましくは50℃〜90℃)まで上昇させる。そして、第2乾燥胴22の表面を前記所定の温度に維持するとともに、第1IR30Aによって紙Sの印刷面SP_A側から水性ニスNを乾燥させる。また、HA31によって、紙Sの印刷面SP_Aの表面に移動した蒸気を除去し、水性ニスNの乾燥をさらに促進する。これによって、紙Sのニスコーティング面を十分に乾燥させることができるので、ジャケットに対する水性ニスNやインキの付着を抑制して、印刷品質低下を抑制することができる。

0041

ここで、第1IR30A及び第2赤外線照射装置(以下第2IRという)30Bが被印刷媒体加熱手段の温度保持手段となる。第1IR30Aは、第1乾燥胴21と第3乾燥胴23との間に設けられ、この位置から第2乾燥胴22へ向かって赤外線を放射する。また、第2IR30Bは、第3乾燥胴23と第1乾燥胴21との間に設けられ、この位置から第2乾燥胴22へ向かって赤外線を放射する。本実施形態に係る印刷機用乾燥装置(第1乾燥部12C)は、第1IR30A又は第2IR30Bのうち、少なくとも一方を備えていればよい。

0042

次に、図4−1〜図4−5を用いて、第2乾燥胴22の構造を説明する。第2乾燥胴22を金属材料で構成する場合、金属材料の中で熱伝導率の高い銅やアルミニウムあるいは銅合金アルミニウム合金を用いることが好ましい。図4−1に示すように、第2乾燥胴22の胴本体22Bは、断熱手段25を介して第2乾燥胴回転軸22Sにより支持するようにすることが好ましい。これは、第2乾燥胴22の胴本体22Bは最高100℃程度にまで昇温するため、断熱手段25によってこの熱が第2乾燥胴回転軸22Sを介して印刷機10(図1参照)に伝わることを抑制するためである。断熱手段25は、例えば、フェノール樹脂多孔質樹脂のような樹脂系の断熱材料セラミックスのような無機系の断熱材料等を用いることができる。樹脂系の断熱材料を用いると、第2乾燥胴22の回転軸方向における熱膨張を断熱手段25で吸収できるので、より好ましい。

0043

図4−2は、図4−1のA−A断面を示す。図4−3は、図4−2におけるB部分の拡大図である。図4−2、図4−3に示す第2乾燥胴22の回転軸に垂直な断面から分かるように、第2乾燥胴22の胴本体22B表面には、赤外線吸収層22Aが設けられる。これによって、第1IR30Aあるいは第2IR30Bから照射される赤外線の吸収効率が向上するので、第2乾燥胴22の表面の昇温速度を向上させることができる。赤外線吸収層22Aは、例えば、塗料や樹脂等を用いることができる。そして、赤外線吸収層22Aは、黒色とすることが好ましい。このように、赤外線吸収層22Aを輻射率の高い黒色とすれば、さらに効率的に赤外線を吸収して、第2乾燥胴22を昇温させる際のエネルギー効率を改善し、また、第2乾燥胴22の昇温速度も向上する。

0044

図4−4は、第2乾燥胴22の胴本体22Bと赤外線吸収層22Aとの間に、断熱層22HIを設けた例を示す。断熱層22HIは、例えば多孔質樹脂を用いることができる。このようにすることで、赤外線吸収層22Aから胴本体22Bへ逃げる熱を抑制できるので、温度変化に対する赤外線吸収層22Aの応答性が向上する。なお、胴本体22Bの熱容量を利用して、第2乾燥胴22の胴本体22Bから紙Sへ熱が移動することによる胴本体22Bの温度低下を抑制してもよい。この場合には、胴本体22Bの熱が赤外線吸収層22Aを介して紙Sへ伝わるので、胴本体22Bから紙Sへの伝熱効率を向上させる観点から、断熱層22HIは設けない方が好ましい。

0045

図4−5は、第2乾燥胴22の胴本体22Bと第2乾燥胴回転軸22Sとの間に断熱手段25aを介在させる構成を示している。このようにしても、胴本体22Bの熱が第2乾燥胴回転軸22Sを介して印刷機10(図1参照)に伝わることを抑制することができる。断熱手段25aには、上述した断熱手段25(図4−1参照)と同様の材料を用いることができる。

0046

(第2乾燥胴の第1変形例)
図5は、実施形態1に係る第2乾燥胴の第1変形例の構成を示す断面図である。第1変形例に係る第2乾燥胴22aは、胴本体22Baの内部に熱媒体が通過する熱媒体通路22PSが胴本体22Baの周方向に向かって設けられる。そして、熱媒体通路22PSに熱媒体を通過させて、胴本体22Baを加熱する。熱媒体としては、蒸気や加熱した空気を用いることができる。このような第2乾燥胴22aを用いても、水性ニスが塗布された紙Sを、非印刷面SP_B側から加熱することができる。

0047

(第2乾燥胴の第2変形例)
図6−1〜図6−3は、実施形態1に係る第2乾燥胴の第2変形例の構成を示す断面図である。水性ニスNの乾燥には、紙Sの非印刷面SP_B側(水性ニスNの塗布面とは反対側)から紙Sを加熱すること、及びその加熱温度が支配的である。したがって、第2乾燥胴の胴本体全体を加熱する必要は必ずしもない。このため、第2変形例では、第2乾燥胴のうち、紙Sと接触する部分(外周側表面)に加熱手段を設ける。

0048

第2変形例に係る第2乾燥胴22bは、胴本体22Bの外周側における表面に、被印刷媒体加熱手段としてシート状ヒータ22Hを設け、このシート状ヒータ22Hによって、水性ニスが塗布された紙Sを、非印刷面SP_B側から加熱する。このとき、シート状ヒータ22Hの表面が、被印刷媒体である紙Sに対する伝熱面となる。そして、シート状ヒータ22Hの表面温度は、被印刷媒体である紙Sの温度(シート状ヒータ22Hと接触する前の温度)よりも高い所定の温度(40℃〜100℃程度、好ましくは50℃〜90℃)になっている。また、上述した第1乾燥部12C(図2参照)の構成から分かるように、第2乾燥胴22は被印刷媒体である紙Sの搬送経路上に設けられるので、第2乾燥胴22に保持されるシート状ヒータ22Hも、被印刷媒体である紙Sの搬送経路上に設けられることになる。

0049

本変形例において、シート状ヒータ22Hには、電気式のヒータを用いることができる。このようなシート状ヒータ22Hとしては、例えば、耐熱性を有する樹脂材料発熱素子電熱線抵抗体等)を被覆して、シート状に成形したものがある。シート状ヒータ22Hは、温度変化に対する応答性が優れている。このため、印刷開始の指令があった場合には、シート状ヒータ22Hを迅速に所定の温度まで昇温させることができるので、印刷指令があってから印刷終了までの時間を短縮できる。また、シート状ヒータ22Hは、それ自体が発熱するため、赤外線等で間接的に胴本体22Bを加熱する方式と比較して発熱効率が高い。このため、エネルギー消費を低減できるという効果も得られる。

0050

さらに、シート状ヒータ22Hに電気式のものを用いる場合には、シート状ヒータ22Hへ入力する電力を調整することにより、シート状ヒータ22Hの温度を容易に制御することができる。また、電気式のものを用いると、シート状ヒータ22Hの発熱量は、これに印加する電力に比例するので、シート状ヒータ22Hの温度制御においては、制御の精度が向上する。

0051

図6−2に、シート状ヒータ22Hの配線例を示す。第2乾燥胴22bの胴本体22Bの外周側表面に取り付けられたヒート状ヒータ22Hは、胴本体22Bの内周側から電力供給用電線電力供給線)26が取り出される。電力供給線26は、第2乾燥胴回転軸22Sに設けられる電力供給用スリップリング29SRA、29SRBに接続されている。また、シート状ヒータ22Hには、シート状ヒータ22Hの温度を測定するヒータ用温度センサ27が、胴本体22Bの内周側から取り付けられる。ヒータ用温度センサ27は、第2乾燥胴回転軸22Sに設けられるセンサ用スリップリング29SRCに接続される。

0052

電力供給用スリップリング29SRA、29SRBには、電源を備えるヒータ制御装置28に接続された電力供給用ブラシ29BA、29BBが接触する。これによって、静止系に設けられるヒータ制御装置28から、電力供給用ブラシ29BA、29BB及び電力供給用スリップリング29SRA、29SRBを介して、回転系に設けられるシート状ヒータ22Hへ電力が供給される。また、ヒータ用温度センサ27は、センサ用スリップリング29SRC及びこれに接触するセンサ用ブラシ29BCを介してヒータ制御装置28に接続される。これによって、静止系に設けられるヒータ制御装置28は、回転系に設けられるヒータ用温度センサ27の出力を取得することができる。

0053

ヒータ制御装置28は、ヒータ用温度センサ27から取得するシート状ヒータ22Hの温度に基づいて、シート状ヒータ22Hに供給する電力を制御して、シート状ヒータ22Hの温度を所定の温度に制御する。ヒータ制御装置28は、フィードバック制御フィードフォワード制御、あるいはこれらの制御を切り替えて、シート状ヒータ22Hの温度を制御する。

0054

図6−3は、本変形例に係る第2乾燥胴22bの、回転軸に垂直な断面を示す。図6−3に示すように、胴本体22Bとシート状ヒータ22Hとの間には、断熱材22HIを介在させることが好ましい。胴本体22Bは、銅やアルミニウム等の金属材料で構成されるが、一般に金属材料は熱伝導率が高いため、シート状ヒータ22Hから発生する熱が胴本体22Bへ伝わりやすくなり、紙Sの加熱効率が低下するおそれがあるからである。このため、断熱材22HIによって、シート状ヒータ22Hから発生する熱が胴本体22Bへ逃げることを抑制する。これによって、紙Sの加熱効率が向上するとともに、温度変化指令に対するシート状ヒータ22Hの温度応答性も向上する。断熱材22HIは、例えば、多孔質の樹脂材料を用いることができる。

0055

以上、本実施形態及びその変形例では、水性ニスやインキ等の印刷液の乾燥において、印刷液が塗布された紙を、乾燥前の印刷液が塗布されている面とは反対側の面から加熱する。これにより、紙に印刷液が塗布された面を十分に乾燥させることができるので、ジャケットに対する印刷液の付着を抑制して、印刷品質低下を抑制することができる。なお、上記説明においては、先刷り印刷ユニットの乾燥装置に本実施形態に係る印刷機用乾燥装置を適用した例を説明したが、後刷りユニットの乾燥装置に本実施形態に係る印刷機用乾燥装置を適用してもよい(以下の実施形態でも同様)。また、本実施形態及びその変形例で開示した構成は、以下の実施形態においても適宜適用することができる。

0056

(実施形態2)
本実施形態は、上記実施形態1と略同一の構成であるが、第2乾燥胴の冷却手段及び第2乾燥胴の温度(外周側表面温度)調整手段を設け、第2乾燥胴の外周側表面温度を所定の範囲に制御する点が異なる。その他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略する。

0057

図7は、実施形態2に係る印刷装置の構成を示す全体構成図である。本実施形態に係る印刷機用乾燥装置である第1乾燥部12Caには、第2乾燥胴22の冷却手段として、冷却風供給装置32が設けられている。冷却風供給装置32は、第1乾燥胴21と第3乾燥胴23との間に設けられ、この位置から第2乾燥胴22へ冷却風を供給する。第2乾燥胴22の温度が上昇し過ぎた場合には、冷却風供給装置32から冷却風が第2乾燥胴22の表面へ吹き付けられて、上昇し過ぎた第2乾燥胴22の温度を低下させる。なお、冷却風供給装置32の代わりに、揮発性の高い液体を第2乾燥胴22へ噴射して、その気化潜熱を利用して第2乾燥胴22を冷却してもよい。

0058

第2乾燥胴22の冷却手段である冷却風供給装置32、第2乾燥胴22の加熱手段である第1IR30Aは、印刷機用乾燥装置の制御機能を備える印刷機制御装置35により制御される。また、印刷機制御装置35は、必要に応じてHA31を制御する。ここで、第1IR30Aは、赤外線照射装置コントローラ33を介して制御される。印刷機制御装置35には、画像表示装置36が接続されており、印刷状況や紙Sの乾燥状況モニタリングすることができる。

0059

また、印刷機制御装置35には、第2乾燥胴22の表面温度を測定するために用いる温度センサ34が接続される。温度センサ34は、第1乾燥胴21と第3乾燥胴23との間に設けられ、この位置から第2乾燥胴22の表面温度を測定する。本実施形態において、温度センサ34は、例えば、赤外線式放射温度計のような非接触式の温度センサが用いられる。しかし、本実施形態に適用できる温度センサ34はこれに限定されるものではなく、熱電対のような接触式の温度センサを用いてもよい。

0060

温度センサ34によって取得された第2乾燥胴22の表面温度は、印刷機制御装置35に取り込まれる。印刷機制御装置35は、取得した第2乾燥胴22の表面温度に基づき、冷却風供給装置32又は加熱手段である第1IR30Aの少なくとも一方を制御する。印刷機制御装置35は、フィードバック制御やフィードフォワード制御、あるいはこれらの制御を切り替えて、第2乾燥胴22の表面温度を制御する。次に、第2乾燥胴22の表面温度を説明する。

0061

図8は、水性ニスの乾燥に適した温度範囲を示す説明図である。図9は、水性ニスの膜厚と乾燥に適した温度との関係を記述した制御マップの一例を示す説明図である。図8は、紙Sの表面に塗布された水性ニスの乾燥レベルGと、第2乾燥胴22の表面温度Tとの関係を示している。図8斜線で示す領域が、乾燥レベルGの良好な領域である。第2乾燥胴22の表面温度Tが低すぎる場合には乾燥不足となって水性ニスのはがれ等が発生し、表面温度Tが高すぎる場合には、水性ニスの表面にしわクラックが発生する。このように、水性ニスの乾燥レベルGは温度によって変化する。そして、水性ニスの乾燥レベルGが良好な、第2乾燥胴22の表面温度の範囲が存在する。

0062

例えば、図8に示すように、紙Sに塗布された水性ニスの膜厚がt1である場合、水性ニスの乾燥レベルGは、T1〜T2の範囲で良好となる。また、紙Sに塗布された水性ニスの膜厚がt2である場合、水性ニスの乾燥レベルGはT2〜T3の範囲で良好となり、紙Sに塗布された水性ニスの膜厚がt3である場合、水性ニスの乾燥レベルGはT3〜T4の範囲で良好となる。ここで、t1<t2<t3、T1<T2<T3<T4である。

0063

このように、水性ニスの乾燥レベルGは、紙Sに塗布される水性ニスの膜厚によっても変化する。図9には、上記関係を、第2乾燥胴22の表面温度を制御する際に用いる温度制御マップとして記述したものを示す。この温度制御マップ37は、水性ニスの膜厚と、それに対応する第2乾燥胴22の表面温度の範囲とが記述されている。図9に示す例では、水性ニスの膜厚が大きくなるにしたがって、第2乾燥胴22の表面温度は高くなる。

0064

ここで、水性ニス膜厚と第2乾燥胴22の表面温度との具体的な値について一例を示す。例えば、水性ニス膜厚が1.0μm以上1.5μm以下の場合、第2乾燥胴22の表面温度は50℃以上65℃以下が好ましい。水性ニス膜厚が1.5μmよりも大きく2.5μm以下の場合、第2乾燥胴22の表面温度は65℃よりも大きく80℃以下が好ましい。また、水性ニス膜厚が2.5μmよりも大きく3.5μm以下の場合、第2乾燥胴22の表面温度は75℃以上90℃以下が好ましい。

0065

印刷時に第2乾燥胴22の表面温度を制御するにあたり、印刷機制御装置35は、設定された印刷条件から紙S上における水性ニスの膜厚を取得する。例えば、印刷速度や気温といった印刷条件との関係で水性ニスの膜厚をマップ化しておき、印刷条件が入力されると、対応する水性ニスの膜厚が得られるようにしておく。そして、印刷機制御装置35は、得られた水性ニスの膜厚を温度制御マップ37に与え、対応する第2乾燥胴22の表面温度の範囲を取得する。この第2乾燥胴22の表面温度を、水性ニスの膜厚に基づいて設定した前記温度範囲に制御すれば、水性ニスの乾燥状態をさらに良好なものとして、印刷品質低下を抑制することができる。また、被印刷媒体加熱手段である第2乾燥胴22等の予熱時間を最適に制御することができるので、余分な予熱時間が不要になり、エネルギー消費を抑制できる。さらに、予熱の完了時間を印刷機制御装置35の画像表示装置36に表示することにより、作業者が予熱の完了を知ることができる。これによって、印刷準備に要する時間の損失を最小にすることができる。

0066

図10は、実施形態2に係る印刷機用乾燥装置の制御例を示すフローチャートである。図10を用いて、実施形態2に係る印刷機用乾燥装置(第1乾燥部12Ca、図7参照)の制御の一例を説明する。次の説明においては、適宜図1図7図9を参照されたい。印刷を開始する前には、まず印刷機10(図1)の主電源投入される(ステップS101)。印刷機制御装置35は、主電源の投入を受けて、第2乾燥胴22を加熱する(ステップS102)。

0067

印刷機制御装置35は、温度センサ34から第2乾燥胴22の表面温度を取得して、予め設定した所定の待機温度Tpと比較し(ステップS103)、第2乾燥胴22の表面温度Tが、所定の待機温度Tp以上になるまで加熱する。これは、実際に印刷が開始された場合には、第2乾燥胴22の表面温度を必要な温度まで速やかに上昇させるため、印刷命令がある前に、第2乾燥胴22の表面温度を待機温度Tpに保持するためである。ここで、待機温度Tpは、エネルギー消費を低減する観点から、印刷時において最低限必要な第2乾燥胴22の表面温度より低い温度としてある。

0068

T<Tpである場合(ステップS103:No)、印刷機制御装置35は、第2乾燥胴22の加熱を継続する。T≧Tpである場合(ステップS103:Yes)、第2乾燥胴22は十分に予熱されたので、印刷機制御装置35は、印刷命令があるか否かを判定する(ステップS104)。このとき、第2乾燥胴22の昇温が完了したことを印刷機制御装置35の画像表示装置36に表示してもよい。これによって、作業者は印刷準備が完了したことを知ることができるので、印刷準備に要する時間の損失を最小にすることができる。

0069

印刷命令がない場合(ステップS104:No)、印刷機制御装置35は、第2乾燥胴22の表面温度を待機温度Tp±ΔTpに保持して(ステップS110)、待機モードで印刷命令を待つ(ステップS111)。このようにすることで、印刷命令があったときには、既に第2乾燥胴22の表面温度がある程度の温度まで上昇しているので、水性ニスを乾燥させるために必要な温度まで、第2乾燥胴22の表面温度を迅速に上昇させることができる。これによって、印刷に要する総時間を短縮することができる。

0070

印刷命令がある場合(ステップS104:Yes)、印刷機制御装置35へ印刷条件が入力される(ステップS105)。印刷機制御装置35は、入力された印刷条件に基づき、この印刷条件に適した第2乾燥胴22の表面温度を設定し、その表面温度となるように第2乾燥胴22を加熱する(ステップS106)。そして、印刷機制御装置35は、設定した第2乾燥胴22の表面温度が表面温度になったら印刷を開始して(ステップS107)、印刷が終了していない場合は(ステップS108:No)、印刷が終了するまで印刷を継続する。

0071

印刷が終了したら(ステップS108:Yes)、印刷機制御装置35は、次の印刷指令があるか否かを判定する(ステップS109)。次の印刷指令がある場合(ステップS109:Yes)、ステップS105〜ステップS108が実行される。次の印刷指令がない場合(ステップS109:No)、印刷機制御装置35は、第2乾燥胴22の表面温度を待機温度Tp±ΔTpに保持して(ステップS110)、待機モードで印刷命令を待つ(ステップS111)。上記制御により、印刷命令があったときには、既に第2乾燥胴22の表面温度がある程度の温度まで上昇しているので、第2乾燥胴22の表面温度を印刷時における表面温度まで迅速に上昇させることができる。これによって、印刷に要する総時間を短縮することができる。

0072

以上、本実施形態では、第2乾燥胴の冷却手段及び第2乾燥胴の外周側表面温度調整手段を設け、第2乾燥胴の外周側表面温度を所定の範囲に制御する。これによって、水性ニスやインキ等の印刷液の乾燥に好適な温度を維持できるので、確実に印刷液を乾燥させて、印刷品質の低下を抑制できる。なお、本実施形態及びその変形例と同様の構成を備えるものは、本実施形態及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。

0073

以上のように、本発明に係る印刷機用乾燥装置及び印刷機は、水性ニスやインキ等の印刷液が塗布された被印刷媒体の乾燥に有用であり、特に、確実に印刷液を乾燥させて、印刷品質の低下を抑制することに適している。

図面の簡単な説明

0074

実施形態1に係る印刷装置の構成を示す全体構成図である。
実施形態1に係る印刷機用乾燥装置の構成を示す説明図である。
印刷面と非印刷面とを説明するための概念図である。
実施形態1に係る印刷機用乾燥装置が備える第2乾燥胴の構成を示す説明図である。
実施形態1に係る印刷機用乾燥装置が備える第2乾燥胴の構成を示す説明図である。
実施形態1に係る印刷機用乾燥装置が備える第2乾燥胴の構成を示す説明図である。
実施形態1に係る印刷機用乾燥装置が備える第2乾燥胴の構成を示す説明図である。
実施形態1に係る印刷機用乾燥装置が備える第2乾燥胴の構成を示す説明図である。
実施形態1に係る第2乾燥胴の第1変形例の構成を示す断面図である。
実施形態1に係る第2乾燥胴の第2変形例の構成を示す断面図である。
実施形態1に係る第2乾燥胴の第2変形例の構成を示す断面図である。
実施形態1に係る第2乾燥胴の第2変形例の構成を示す断面図である。
実施形態2に係る印刷装置の構成を示す全体構成図である。
水性ニスの乾燥に適した温度範囲を示す説明図である。
水性ニスの膜厚と乾燥に適した温度との関係を記述した制御マップの一例を示す説明図である。
実施形態2に係る印刷機用乾燥装置の制御例を示すフローチャートである。

符号の説明

0075

10印刷機
11給紙装置
12先刷り印刷ユニット
12A 先刷り印刷部
12B 第1コーティング部
12C、12Ca 第1乾燥部
13後刷り印刷ユニット
13A 後刷り印刷部
13B 第2コーティング部
13C 第2乾燥部
13D圧胴
14排紙装置
15連接ユニット
20Nニス版胴
20Pニス圧胴
21 第1乾燥胴
22Hシート状ヒータ
22、22a、22b 第2乾燥胴
22S 乾燥胴回転軸
22A赤外線吸収層
22H断熱材
22HI断熱層
22ht伝熱面
22B、22Ba 胴本体
22PS熱媒体通路
23 第3乾燥胴
24水性ニス溜
25、25a 断熱手段
26電力供給線
27ヒータ用温度センサ
28ヒータ制御装置
30A 第1赤外線照射装置(第1IR)
30B 第2赤外線照射装置(第2IR)
32冷却風供給装置
33 赤外線照射装置コントローラ
34温度センサ
35印刷機制御装置
36画像表示装置
37温度制御マップ
S 紙
SP_A印刷面
SP_B 非印刷面

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