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技術 アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法

出願人 一般財団法人川村理化学研究所
発明者 王林明原口和敏
出願日 2006年9月20日 (14年3ヶ月経過) 出願番号 2006-254178
公開日 2008年4月3日 (12年9ヶ月経過) 公開番号 2008-074924
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物 重合方法(一般)
主要キーワード 吸水性樹脂材料 平衡膨潤度 回収材料 無機ヒドロゲル 体積膨潤 除去材料 平底ガラス容器 ウレタンゲル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、高い水膨潤性を有する新規有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供する。また、高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、更に、低い表面タック性を示す新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供する。

解決手段

アミノ基含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体との共重合体からなる有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)との三成分を含有し、前記有機高分子(A)と前記水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成しているアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル

概要

背景

(メタ)アクリルアミドヒドロゲルは、シリコンゲルウレタンゲルに比べて良好な親水性を示すが、機械強度脆弱で取り扱いにくいことが知られている。その機械強度を改良するため、様々な努力がなされている。例えば、アクリルアミド誘導体有機架橋剤を含む水溶液ポリビニルアルコール(PVA)を共存させて重合架橋してなる、PVAを保持した高分子マトリックスを形成することを特徴とするヒドロゲルが特許文献1に提案されている。この方法では、数十kPa程度の引張破断強度のヒドロゲルが得られる。

また、(メタ)アクリルアミドヒドロゲルの力学物性を大きく向上させる方法として、水に均一分散している粘土鉱物の共存下に(メタ)アクリルアミド誘導体の重合を行わせることによって、数百kPa引張破断強度の有機無機複合ヒドロゲルが見出されている(特許文献2)。かかる機械強度の向上により、これらのゲル実用性現実的となってきている。一方、いろいろなニーズに対応するため、このヒドロゲルに、更に、力学物性、反応性水膨潤性表面タック性などをはじめとする機能性を更に改良することが望まれている。特に、高い水膨潤性、及び低い表面タック性を示すヒドロゲルを得ることが求められている。
特開2004-292592号公報
特開2002-053629号公報

概要

高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、高い水膨潤性を有する新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供する。また、高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、更に、低い表面タック性を示す新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供する。アミノ基含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体との共重合体からなる有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)との三成分を含有し、前記有機高分子(A)と前記水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成しているアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル

目的

本発明の目的は、高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、高い水膨潤性を有する新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、更に、低い表面タック性を示す新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

アミノ基含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体との共重合体からなる有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)との三成分を含有し、前記有機高分子(A)と前記水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成しているアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル

請求項2

前記水膨潤性粘土鉱物(B)と前記有機高分子(A)の質量比((B)/(A))が0.01〜10である請求項1記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル。

請求項3

前記アミノ基含有(メタ)アクリレートが、下記式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3及びR4はそれぞれ独立的に炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される化合物である請求項1又は2記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル。

請求項4

前記アミノ基含有(メタ)アクリレートが、ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチルアミノエチルメタクリレートジメチルアミノエチルアクリレート及びジエチルアミノエチルアクリレートから選ばれる少なくとも一つである請求項1、2又は3のいずれかに記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル。

請求項5

前記有機高分子(A)中のアミノ基含有(メタ)アクリレートの共重合比率が50モル%以下である請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル。

請求項6

アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル中の前記水(C)の含有率含水率)が90質量%の時点における、引っ張り強度が10kPa以上であり、且つ破断伸びが100%以上である請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル。

請求項7

アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの水による平衡膨潤度Wgel/Wdryが25以上である請求項1、2、3、4、5又は6のいずれかに記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル。

請求項8

請求項1乃至7のいずれかに記載のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの製造方法であって、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体と、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)とを含む均一溶液を調製した後、アミノ基含有(メタ)アクリレートを重合開始剤と同時に又は重合開始剤を添加した直後に加えて、前記(メタ)アクリルアミドと前記アミノ基含有(メタ)アクリレートとを重合させることを特徴とするアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。

技術分野

0001

本発明は医療建築土木機械運輸電子部材、縫製、家庭用品衛生用品農業食品などの分野で用いられる高分子ゲルに関するものである。

背景技術

0002

(メタ)アクリルアミドヒドロゲルは、シリコンゲルウレタンゲルに比べて良好な親水性を示すが、機械強度脆弱で取り扱いにくいことが知られている。その機械強度を改良するため、様々な努力がなされている。例えば、アクリルアミド誘導体有機架橋剤を含む水溶液ポリビニルアルコール(PVA)を共存させて重合架橋してなる、PVAを保持した高分子マトリックスを形成することを特徴とするヒドロゲルが特許文献1に提案されている。この方法では、数十kPa程度の引張破断強度のヒドロゲルが得られる。

0003

また、(メタ)アクリルアミドヒドロゲルの力学物性を大きく向上させる方法として、水に均一分散している粘土鉱物の共存下に(メタ)アクリルアミド誘導体の重合を行わせることによって、数百kPa引張破断強度の有機無機複合ヒドロゲルが見出されている(特許文献2)。かかる機械強度の向上により、これらのゲル実用性現実的となってきている。一方、いろいろなニーズに対応するため、このヒドロゲルに、更に、力学物性、反応性水膨潤性表面タック性などをはじめとする機能性を更に改良することが望まれている。特に、高い水膨潤性、及び低い表面タック性を示すヒドロゲルを得ることが求められている。
特開2004-292592号公報
特開2002-053629号公報

発明が解決しようとする課題

0004

本発明の目的は、高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、高い水膨潤性を有する新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い力学物性を有するだけでなく、反応性に富み、更に、低い表面タック性を示す新規な有機無機複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、(メタ)アクリルアミド誘導体及びアミノ基含有(メタ)アクリレートと、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)との均一混合溶液中で、(メタ)アクリルアミド誘導体とアミノ基含有(メタ)アクリレートとの共重合を行わせることによって得られる、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0006

即ち、本発明は、アミノ基含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体との共重合体からなる有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)との三成分を含有し、前記有機高分子(A)と前記水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成しているアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルを提供するものである。

0007

また、本発明は、上記のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの製造方法であって、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体と、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)とを含む均一溶液を調製した後、アミノ基含有(メタ)アクリレートを重合開始剤と同時に又は重合開始剤を添加した直後に加えて、前記(メタ)アクリルアミドと前記アミノ基含有(メタ)アクリレートとを重合させることを特徴とするアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの製造方法を提供するものである。

0008

アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルについては、特開2002-053629号公報(前記特許文献2)にも述べられている。しかし、例示されたモノマーはアミノ基含有アクリルアミド系モノマーのみであり、本発明で用いられているアミノ基含有(メタ)アクリレートについては、まったく触れられていなかった。本発明者らは上述のアミノ基含有アクリルアミド系モノマー及びアミノ基含有(メタ)アクリレートを用いて有機無機複合ヒドロゲルを合成し、それらの物性を調べて比較した。

0009

その結果、表面タック性において、アミノ基含有アクリルアミド系モノマーを用いた有機無機複合ヒドロゲルでは、べた付きが強く、取り扱いにくい欠点を有するが、アミノ基含有(メタ)アクリレートを用いた有機無機複合ヒドロゲルは、べた付きが殆どなく、表面タック性が顕著に改良されることが解った。また、ヒドロゲルの水膨潤性を調べた結果、アミノ基含有アクリルアミド系モノマーを用いた有機無機複合ヒドロゲルは最も低かった。
一方、ヒドロゲルに力学的強度を十分なものとするためには、アクリルアミド系のモノマーが必須であることが解った。

0010

本発明はこのような知見に基づき為されたものであり、アミノ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミド又はその誘導体を併用することで、上記課題を解決するアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルを見出したものである。

発明の効果

0011

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは有機無機複合ヒドロゲルの高い力学物性を保持し、従来の有機架橋ヒドロゲルと比べて優れた機械強度を有する。また、反応性に富んだアミノ基を有するため、ホウ酸を始めとするアニオン性物質吸着剤や新たな分子鎖導入の基点として好適に用いられる。更にアミノ基含有(メタ)アクリレートを分子鎖に導入したことによって、高い水膨潤性及び低い表面タック性が得られ、高吸水性樹脂材料としての用途展開が可能になった。

0012

例えば、紙おむつを始め、食品加工用接触脱水シート医療用吸収性ヒドロゲルなどでは高い水吸収性(水膨潤性)が求められている。これらの分野では、アミノ基含有(メタ)アクリレートを用いた本発明の有機無機複合ヒドロゲルは、極めて優れた性能を発揮する。特に、ジメチルアミノエチルアクリレートを用いた有機無機複合ヒドロゲルは、従来の有機架橋ヒドロゲル及び有機無機複合ヒドロゲルと比べて、水膨潤性が著しく増大され、上述の分野で吸水性樹脂材料としての用途展開が期待される。

0013

また、表面タック性があると、シート状のヒドロゲルの取り扱い性が悪くなる。特に、創傷被覆剤として用いた場合、ヒドロゲルは皮膚の傷口粘着してしまい、剥がれにくい問題を有する。これらの分野では、本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルが好適に用いられる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明に用いる有機高分子(A)は、アミノ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミド及び/又はその誘導体との共重合によって得られるものであって、水に分散した水膨潤性粘土鉱物(B)と水素結合イオン結合等の非共有結合により三次元網目を形成している。

0015

有機高分子(A)を構成する(メタ)アクリルアミド又はその誘導体としては、N-置換アクリルアミド誘導体、N,N-ジ置換アクリルアミド誘導体、N-置換メタクリルアミド誘導体、N,N-ジ置換メタクリルアミド誘導体などが挙げられる。具体的には、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミドメタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルアクリルアミド、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-アクリロイルピロリディン、N-アクリロイルピペリディン、N-アクリロイルメチルホモペラディン、N-アクリロイルメチルピペラディンなどが例示される。その中に、水溶液中でのポリマー物性(親水性と疎水性)がLCST(下限臨界共溶温度)を持つN-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドなどは機能性の観点から好ましく用いられる。

0016

また、有機高分子(A)を構成するアミノ基含有(メタ)アクリレートは反応性アミノ基を本有機無機複合ヒドロゲルに導入させるものであり、下記式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。

0017

(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3及びR4はそれぞれ独立的に炭素数1〜4のアルキル基を表す。)

0018

中でも、式(1)中のR2はエチレン基であることが好ましく、R3及びR4はメチル基又はエチル基であることが好ましい。その具体例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどが挙げられる。これらの中から選ばれる少なくとも一つのモノマーを使用することが好ましい。特に、ジメチルアミノエチルアクリレート又はジエチルアミノエチルアクリレートを使用すると、水膨潤性が高くなり、平衡膨潤度Wgel/Wdryが高い値を示し、好ましい。

0019

本発明に用いる水膨潤性粘土鉱物(B)は、水に膨潤し均一分散可能なものであり、特に好ましくは水中で分子状(単一層)またはそれに近いレベルで均一分散可能な層状粘土鉱物である。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、具体的には、ナトリウム層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト水膨潤性合成雲母などが挙げられる。これらの粘土鉱物は、水溶性有機高分子のモノマーが重合する前の水溶液中で微細、且つ均一に分散していることが必要であり、特に水溶液中に単位層レベルで分散していることが望ましい。ここで、水溶液中に粘土鉱物の沈殿となるような粘土鉱物凝集体がないことが必要であり、より好ましくは1〜10層程度のナノオーターの厚みで分散しているもの、特に好ましくは1又は2層程度の厚みで分散しているものである。

0020

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルにおける(A)有機高分子と(B)水に均一分散可能な水膨潤性粘土鉱物との比率は、(A)と(B)とからなる三次元網目を有する有機無機ヒドロゲルが調製されれば良く、また用いる(A)や(B)の種類によっても異なり必ずしも限定されないが、ヒドロゲル合成の容易さや均一性の点からは、好ましくは前記水膨潤性粘土鉱物(B)と前記有機高分子(A)の質量比((B)/(A))は0.01〜10である。また、より好ましくは(B)/(A)の質量比が0.01〜5、特に好ましくは0.03〜2、最も好ましくは0.1〜1.0である。

0021

(B)/(A)の質量比が0.01未満では、本発明のヒドロゲルの伸縮性が十分でない場合が多く、10を越えては、得られたヒドロゲルが脆くなるなどの製造上の問題が生じる場合がある。一方、(A)+(B)に対する(C)水の比率は、重合過程での水量調整、もしくはその後の膨潤や乾燥により、目的に応じて広い範囲で任意に設定できる。

0022

また、(A)有機高分子のモノマー組成において、アミノ基含有(メタ)アクリレートの共重合比率が高すぎると、得られたヒドロゲルの力学物性は低下する。一方、その共重合比率が低すぎると、本発明のヒドロゲルの機能性は発揮出来なくなる。従って、有機高分子(A)中のアミノ基含有(メタ)アクリレートの共重合比率としては、モノマー全体に対して0.1〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜40モル%であり、特に好ましくは0.5〜30モル%であり、1〜20モル%であることが最も好ましい。

0023

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルには、低温側で透明及び/又は体積膨潤状態にあり、且つ高温側で不透明及び/又は体積収縮状態となる臨界温度(Tc)を有し、Tcを境にした上下の温度変化により透明性や体積を可逆的に変化できる特徴を有するものが含まれる。このような有機無機複合ヒドロゲルは有機モノマーとして水溶液中でLCST(下限臨界共溶温度)を示す有機モノマーを用いて調製できる。

0024

上記のLCST(下限臨界共溶温度)を示す有機モノマーを用いて調製されるアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、アミノ基を含有するため、親水性が増し、臨界温度(Tc)を消失する傾向にある。従って、臨界温度(Tc)を保持するためには、有機高分子(A)におけるアミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーの共重合比率は、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。

0025

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、有機無機ヒドロゲルの特徴を保持しており、従来の有機架橋ゲルと比べて、高い吸水率を有する他、優れた力学物性などを示している。例えば、強度、伸びタフネスなどの力学物性において、本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、有機架橋ゲルよりすべて優れていることが特徴である。

0026

有機無機複合ヒドロゲルの力学物性は、ヒドロゲルの水含有率及び形状により異なるため、本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの力学物性は、一定範囲内の水含有率及び断面積を持つヒドロゲルを用いて試験した結果で表される。本明細書では、具体的には、試験開始時のヒドロゲルの断面積(初期断面積)を0.237cm2にしたものを試験材料として用い、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲル中の前記水(C)の含有率含水率)が90質量%のものについて力学物性の測定を行った。

0027

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、上記の水含有率と初期断面積のヒドロゲルを用いて測定した場合、引張強度が10kPa以上、より好ましくは20kPa以上、特に好ましくは30kPa以上であること、更に引張破断伸びが100%以上、より好ましくは200%以上、特に好ましくは300%以上であるものが好ましい。

0028

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルにおいては、平衡膨潤度Wgel/Wdryが25以上であることが好ましい。ここで、平衡膨潤度Wgel/Wdryとは、乾燥ゲル1g当たりに膨潤したヒドロゲルの質量数である。Wdryはヒドロゲルの固形分であり、Wgelはヒドロゲルを大量の水に浸して、その重量を増加しなくなるまでの質量である。平衡膨潤度Wgel/Wdryは25〜1000がより好ましく、50〜800が特に好ましい。

0029

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、以下の方法で製造できる。有機高分子(A)のモノマーと、水に均一分散可能な水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)とを含む均一溶液を調製後、層状剥離した(B)の共存下に(A)のモノマーの重合を行わせる。重合過程で(A)のモノマーと粘土鉱物(B)との相互作用により(B)がモノマーの架橋剤の働きをして、(A)と(B)との分子レベルでの複合化が達成され、三次元網目形成によりゲル化したアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルが得られる。

0030

具体的には、水中に微細分散した(B)の水溶液に、(メタ)アクリルアミド誘導体を加え、低温にしてアミノ基含有(メタ)アクリレートとラジカル重合開始剤を添加させ、引き続き所定温度で重合を行わせる。ここで、アミノ基含有(メタ)アクリレートの添加順序は重要である。先にアクリルアミド誘導体と一緒にアミノ基含有(メタ)アクリレートを添加すると、粘土鉱物が(メタ)アクリレートのアミノ基と強い相互作用により凝集を生じてしまう。このようにして得られたヒドロゲルは白濁するだけでなく、力学物性も大きく低下する傾向を示す。粘土鉱物の凝集を最小限に抑えるため、(メタ)アクリルアミド(誘導体)を先に粘土鉱物水分散液に加え、続いてアミノ基含有(メタ)アクリレートと重合開始剤を一度に添加させること又は重合開始剤を加えた直後にアミノ基含有(メタ)アクリレートを添加させることによって、モノマーの分散と共にラジカル重合を行わせ、系全体をゲル化させる方法が有効に用いられる。

0031

上記のラジカル重合反応は、ラジカル重合開始剤及び/又は放射線照射など公知の方法により行わせることができる。ラジカル重合開始剤及び触媒としては、公知慣用のラジカル重合開始剤及び触媒を適時選択して用いることができる。好ましくは水分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが用いられる。

0032

具体的には、重合開始剤として、水溶性過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えば、VA-044, V-50, V-501の他、ポリエチレンオキシド鎖を有する水溶性のラジカル開始剤などが挙げられる。一方、触媒としては、3級アミン化合物であるN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンやβ-ジメチルアミノプロピオ二トリルなどがもちろん用いられるが、本発明では、モノマーとして用いられているアミノ基含有(メタ)アクリレートは触媒の働きをしているため、上述のラジカル重合触媒を添加しなくてもよい。

0033

重合温度は、開始剤の種類にあわせて0℃〜100℃の範囲で設定できる。重合時間も他の重合条件によって異なり、一般に数十秒〜数十時間の間で行われる。

0034

本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、そのアミノ基とホウ酸との高い反応性から、天然ガス付随水からのホウ素の回収材料として好適に用いられる。また、水質汚濁防止の観点からも、下水工場排水などからのホウ素の効率的な除去材料としても利用することができる。本発明の応用例に示したように、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは市販のキレート樹脂よりホウ素の吸着能力が優れている。

0035

本発明は、次の実施例によって更に具体的に説明する。

0036

測定条件
以下の実施例及び比較例において、引張り試験は、島津製作所(株)製卓上型万能試験機AGS-Hを用いて、未精製の丸棒状のヒドロゲル(直径=5.5mm)をチャック部での滑りのないようにして引っ張り試験装置に装着し、標点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分にて測定を行った。光透過率温度依存性は、角柱状の透明ポリスチレンセルにヒドロゲルを合成し、そのまま日本分光(株)製紫外可視分光光度計V-530を用いて測定した。水膨潤度は直径5.5mmの丸棒状ヒドロゲル約1gを大量の水の中に浸して、その質量増加時間依存性から求めた。また、表面タック性については、ヒドロゲルの表面水分ペーパーでふき取り、手でゲルを触って、べた付き具合を調べて評価した。

0037

(実施例1)
粘土鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na+0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)を真空乾燥して用いた。有機モノマーは、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM: 興人株式会社製) 及びジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA:和光純薬工業株式会社製)を用いた。なお、NIPAMは、トルエンヘキサン混合溶媒を用いて再結晶し無色針状結晶に精製してから用いた。DMAEAは活性アルミナ(和光純薬工業株式会社製)を用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS:関東化学株式会社製)をKPS/水=0.2/10(g/g)の割合で純水で希釈し、水溶液にして使用した。

0038

水はイオン交換水蒸留した純水を用いた。水は全て高純度窒素を予め3時間以上バブリングさせ溶存酸素を除去してから使用した。

0039

内径25mm,長さ80mmの平底ガラス容器に、純水19gと0.66gのラポナイトXLGを攪拌して無色透明の溶液を調製した。これにNIPAM 1.87gを加え、続いて、KPS水溶液1gとDMAEA 0.13g(モノマー合計に対して5.2mol%)を攪拌して加え、均一溶液を得た。得られた均一溶液を底の閉じた内径5.5mm,長さ150mmのガラス管容器酸素に触れないようにして移した後、上部を密栓し、20℃で静置重合を行った。15時間後にガラス管容器内に伸縮性、強靭性のある均一な棒状のヒドロゲルが生成された。ヒドロゲルは大量の水に浸して精製した。得られた精製ヒドロゲルを100℃、減圧下にて乾燥して水分を除いたヒドロゲル乾燥体を得た。ゲル乾燥体を20℃の水に浸漬することにより、乾燥前と同じ形状の伸縮性のあるヒドロゲルに戻ることが確認された。また、ゲル乾燥体の熱重量分析(セイコー電子工業株式会社製TG-DTA220:空気流通下、10℃/分で600℃まで昇温)を行い、B/A=0.33(質量比)を得た。

0040

以上から、本実施例で得られたゲルは、仕込み組成に沿った成分比を有する、有機高分子(N,N-ジメチルアクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレートの共重合体)と粘土鉱物と水からなるヒドロゲルであること、有機高分子の合成において架橋剤を添加していないにもかかわらず、均一なヒドロゲルとなること、ヒドロゲルから水分を除いて得られるゲル乾燥体を水に浸漬することにより再びもとの形状のヒドロゲルに戻ることなどから、有機高分子と粘土鉱物が分子レベルで複合化した三次元網目が水中で形成されていると結論された。

0041

なお、粘土鉱物を共存させない以外は同様な条件で合成した有機高分子は高分子水溶液となりヒドロゲルとはならなかった。

0042

未精製の丸棒状のヒドロゲルの引っ張り試験を行い、その結果を図1に示す。また、LCST、水膨潤性の測定結果をそれぞれ図3,図5に示す。

0043

(実施例2〜3)
モノマーとして、実施例2では、DMAEAを0.3g(12.3mol%)、NIPAMを1.7g用い、実施例3では、DMAEAを0.025g(1mol%)、NIPAMを1.975g用いた。それ以外は、実施例1と同様にして重合を行い、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルを調製した。LCSTの測定結果を、図3に示す。

0044

(実施例4〜5)
アミノ基含有(メタ)アクリレートとして、実施例4ではジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM:和光純薬工業株式会社製)を0.15g(5.5mol%)、NIPAMを1.85g用い、実施例5ではジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEM: 和光純薬工業株式会社製)を0.2g(6.4mol%)、NIPAMを1.8g用いた。それ以外は、実施例1と同様にして重合を行い、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルを調製した。引っ張り試験、LCST、水膨潤性の測定結果を、図1、図4、図6にそれぞれ示している。なお、DMAEM, DEAEMはシリカゲルカラム(メルク社製)を用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。

0045

(実施例6〜8)
有機モノマーとして、実施例6ではジメチルアクリルアミド(DMAA:和光純薬工業株式会社製) 1.7gとDMAEA 0.3g(10.9mol%)を、実施例7ではDMAA 1.5gとDMAEA 0.5g(19mol%)を、実施例8ではDMAA 1.65gとDMAEM0.35g(11.8mol%)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして重合を行い、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルを調製した。引っ張り試験、水膨潤性及び表面タック性の測定結果を図2、図5、図6、及び表2に示す。なお、DMAAは活性アルミナを用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。

0046

(比較例1)
粘土鉱物を用いないで、NIPAM、DMAEAモノマーを添加した後、有機架橋剤をモノマーの1mol%添加して用いること以外は実施例1と同様にして、20℃で15時間重合を行い、無色透明ゲルが得られた。有機架橋剤としては、N,N'-メチレンビスアクリルアミド(BIS)(関東化学株式会社製)をそのまま使用した。得られたヒドロゲルを直径5.5mm、長さ50mmに注意深く切り出し、傷つけず、且つ滑らぬようにサンドペーパーで挟み、実施例1と同じ引っ張り試験装置を用いて、標点間=30mm、引っ張り速度=100mm/分にて引っ張り試験を行おうとしたが、サンプルが脆くチャックに装着前に殆どのサンプルが壊れた。また、チャックに軽く装着したものでも試験直後に破断し、物性値は得られなかった。

0047

(比較例2)
DMAEAを用いないで、NIPAM 2g及び重合触媒N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン16μlを用いること以外は、実施例1と同様にして、20℃で15時間重合を行い、有機無機複合ヒドロゲルが得られた。引っ張り試験、LCSTの測定結果を図1及び図4に示す。

0048

(比較例3)
NIPAMの変わりに、DMAA 2gを用いること以外は、比較例2と同様にして、20℃で15時間重合を行い、有機無機複合ヒドロゲルが得られた。引っ張り試験の測定結果を図2に示す。

0049

(比較例4)
DMAEAの変わりに、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA) 0.15g(5.6mol%)を用いること、NIPAM 1.85gを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、20℃で15時間重合を行い、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルが得られた。水膨潤性の測定結果を図6に示す。なお、DMAPAAはシリカゲルカラム(メルク社製)を用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。

0050

(比較例5)
NIPAMの変わりに、DMAA 1.7gとDMAPAA 0.3g(10.1mol%)を用いること以外は、比較例4と同様にして、20℃で15時間重合を行い、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルが得られた。水膨潤性及び表面タック性の測定結果を図6及び表2に示す。

0051

0052

引張試験結果〉
図1及び図2に示したように、アミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルは、有機無機複合ヒドロゲルの高い力学物性を保持し、有機架橋ゲルに比べて極めて優れた機械特性を有する。また、従来の有機無機複合ヒドロゲルに比べて、弾性率がやや低下すると共に破断伸びが向上する傾向を示した。

0053

〈LCSTの測定結果〉
アミノ基含有メタクリレートを用いて調製した有機無機複合ヒドロゲルでは、NIPAM単独の有機無機複合ヒドロゲルと同様に臨界温度(Tc)を示した(図4)。一方、アミノ基含有アクリレートを用いて調製した有機無機複合ヒドロゲルでは、アミノ基含有アクリレートの添加量の増加につれ、臨界温度(Tc)が消失していくことがわかった(図3)。

0054

〈水膨潤性の測定結果〉
図5図6に示したように、アミノ基含有(メタ)アクリレートを用いて調製した有機無機複合ヒドロゲルは、従来のDMAPAAを用いて調製した有機無機複合ヒドロゲルに比べて水膨潤性が高いことが明らかである。特に、DMAEAを用いて調製した有機無機複合ヒドロゲルは、水膨潤性が著しく増大した。

0055

0056

注1)○: べた付きが殆どない。×: べた付き
注2)比較検討を容易にするため、DMAAと併用するモノマーの使用比率が10mol%以上の例について表中に記載した。

0057

(応用例1と比較例6)
固形分0.5g相当の実施例7で得られたアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルを直径5.5mm、長さ5mmに切り出し、予め調製したホウ素濃度600ppmのホウ酸水溶液に入れて、24時間攪拌してホウ素を吸着した。次に濾過により回収したホウ酸残液プラズマ発光分析によってホウ素濃度を調べたところ、残液のホウ素濃度は500ppmであった。これに対して、比較例6は市販のホウ素吸着剤ダイヤイオンCRB02(三菱化学株式会社製)を用いた以外は応用例1と同様にしてホウ酸水溶液を処理したところ、残液のホウ素濃度は510ppmであった。従って、本発明のアミノ基含有有機無機複合ヒドロゲルの優れたホウ素吸着能力が認められた。

図面の簡単な説明

0058

実施例1,4,5及び比較例2で得られたヒドロゲルの強度と伸びを示す図である。
実施例6,7,8及び比較例3で得られたヒドロゲルの強度と伸びを示す図である。
実施例1,2,3で得られたヒドロゲルの光透過率の温度依存性を示す図である。
実施例4,5及び比較例2で得られたヒドロゲルの光透過率の温度依存性を示す図である。
実施例1,2,6及び比較例1,2,3で得られたヒドロゲルの水膨潤度を示す図である。
実施例3,4,5,8及び比較例4,5で得られたヒドロゲルの水膨潤度を示す図である。

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