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技術 高強度マグネシウム合金およびその製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 蔡安邦大橋諭加藤晃
出願日 2006年9月15日 (14年3ヶ月経過) 出願番号 2006-251434
公開日 2008年3月27日 (12年9ヶ月経過) 公開番号 2008-069438
状態 特許登録済
技術分野 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 前駆組成物 高融点元素 標準組成 タンマン管 Mg結晶粒 所要強度 展伸用合金 並進対称性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年3月27日)のものです。
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図面 (3)

課題

高価な希土類元素を用いずに低廉化しつつ高温強度を向上させた高強度マグネシウム合金およびその製造方法を提供する。

解決手段

組成式Mg100-(a+b)ZnaXbで表され、XはZr、Ti、Hfから選択される1種以上であり、a、bはそれぞれat%で表したZn、Xの含有量であり、下記式(1)(2)(3)の関係:(1)a/28≦b≦a/9、(2)2<a<10、(3)0.05<b<1.0を満たし、かつ、Mg母相中にMg−Zn−X系準結晶とのその近似結晶とが微細粒子の形態で分散している高強度マグネシウム合金。不活性雰囲気中にてMgを溶解してMg溶湯を形成し、該Mg溶湯中にMg−Zn−X系準結晶(XはZr、Ti、Hfの1種以上)を添加して合金溶湯を形成し、該合金溶湯を鋳造し、得られた鋳造物熱処理してMg母相中に上記準結晶とその近似結晶を析出させる高強度マグネシウム合金の製造方法。

概要

背景

マグネシウム合金は軽量を活かして種々の構造部材への適用が進められている。特に、自動車に適用すれば燃費向上とそれによる資源環境保護に効果的である。

市販材としては、砂型鋳造用マグネシウム合金としてASTMAZ91C(標準組成[wt%]:Mg−8.7Al−0.7Zn−0.13Mn)、同ZE41A(同:Mg−4.2Zn−1.2RE−0.7Zr)等が、また展伸用マグネシウム合金として同AZ61A(同:Mg−6.4Al−1.0Zn−0.28Mn)、同AZ31B(同:Mg−3.0Al−1.0Zn−0.15Mn)等が汎用されている。

このうち、砂型鋳造用合金であるAZ91C、ZE41Aは、析出効果型合金であり、鋳造材にT6(溶体化+時効)またはT5(時効のみ)を施すことにより所要強度に調整する。ただし室温以上、特に50℃以上に長時間晒されると固溶元素時効析出が起きて、合金組織が徐々に変化し、それに伴って特性に経時変化が生ずる原因となる。その結果、組織および特性の熱的な安定性が低く、安定して高い高温強度を得ることができないという欠点があった。

また、展伸用合金であるAZ61A、AZ31Bは、圧延押出等の際の加工・再結晶による結晶粒微細化強化機構として利用している。しかし100℃以上の高温になるとMg特有の顕著な粒界すべりが発生するので、結晶粒微細化は粒界すべり発生サイトの増加により逆に強度低下の原因となる。また、高温に晒されると結晶粒成長して微細化効果が失われ、室温強度の低下の原因になる。その結果、高い高温強度を確保できないばかりでなく、室温強度も熱的に不安定であるという欠点があった。

上記従来の市販材の欠点を改良して高い高温強度を確保するために、特許文献1(特開2002-309332号公報)には、固溶体マトリクス準結晶粒子により分散強化したMg−1〜10at%Zn−0.1〜3at%Y合金が開示されている。鋳造組織はα−Mg結晶粒界に準結晶共晶組織が形成しており、これを熱間加工することにより準結晶を微細かつ均一に分散させたものである。準結晶は近似組成結晶性化合物よりも遥かに高硬度であるため、強度と延伸性に優れたマグネシウムが得られる。しかし、熱的な安定性は高まったものの、強度自体はZE41のような類似組成の市販合金と同等程度であり、更に高い高温強度を得ることができないという限界があった。

これに対して特許文献2には、高温強度を向上させた合金として、Mg100-(a+b)ZnaYb、a/12≦b≦a/3かつ1.5≦a≦10を満たす組成で、Mg母相中にMg3Zn6Y1準結晶とのその近似結晶(準結晶由来の複雑構造相)とが微細粒子の形態で分散しているマグネシウム合金が開示されている。

更に、特許文献3には、Mg100-(a+b+c)ZnaZrbYc、a/12≦(b+c)≦a/3かつ1.5≦a≦10、0.05<b<0.25cを満たす組成で、Mg母相中に近似結晶の微細粒子が分散しているマグネシウム合金が開示されている。

また、特許文献4には、Mg100-(a+b+c)ZnaAlbYc、(a+b)/12≦c≦(a+b)/3かつ1.5≦a≦10、0.05a<b<0.25aを満たす組成で、Mg母相中に、Mg3Zn6Y1準結晶とのその近似結晶(準結晶由来の複雑構造相)とが微細粒子の形態で分散しているマグネシウム合金が開示されている。

上記従来技術のマグネシウム合金はいずれも、Mg母相中に準結晶とその近似結晶を微細な強化粒子として分散させてことにより高い高温強度を実現しているが、希土類元素(Y)を必須成分とするため、コスト上昇が避けられないという問題があった。

特開2002−309332号公報
特開2005−113235号公報
特開2006−89772号公報
特開2005−113234号公報

概要

高価な希土類元素を用いずに低廉化しつつ高温強度を向上させた高強度マグネシウム合金およびその製造方法を提供する。組成式Mg100-(a+b)ZnaXbで表され、XはZr、Ti、Hfから選択される1種以上であり、a、bはそれぞれat%で表したZn、Xの含有量であり、下記式(1)(2)(3)の関係:(1)a/28≦b≦a/9、(2)2<a<10、(3)0.05<b<1.0を満たし、かつ、Mg母相中にMg−Zn−X系準結晶とのその近似結晶とが微細粒子の形態で分散している高強度マグネシウム合金。不活性雰囲気中にてMgを溶解してMg溶湯を形成し、該Mg溶湯中にMg−Zn−X系準結晶(XはZr、Ti、Hfの1種以上)を添加して合金溶湯を形成し、該合金溶湯を鋳造し、得られた鋳造物熱処理してMg母相中に上記準結晶とその近似結晶を析出させる高強度マグネシウム合金の製造方法。

目的

本発明は、高価な希土類元素を用いずに低廉化しつつ高温強度を向上させた高強度マグネシウム合金およびその製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

組成式Mg100-(a+b)ZnaXbで表され、XはZr、Ti、Hfから選択される1種以上であり、a、bはそれぞれat%で表したZn、Xの含有量であり、下記式(1)(2)(3)の関係:a/28≦b≦a/9・・・(1)2<a<10・・・・・・・(2)0.05<b<1.0・・・(3)を満たし、かつ、Mg母相中にMg−Zn−X系準結晶とのその近似結晶とが微細粒子の形態で分散していることを特徴とする高強度マグネシウム合金

請求項2

請求項1において、上記準結晶はMg11Zn83Zr6、Mg11Zn83Ti6、Mg11Zn83Hf6から選択される1種以上であることを特徴とする高強度マグネシウム合金。

請求項3

請求項1または2に記載の高強度マグネシウム合金を製造する方法であって、下記の工程:不活性雰囲気中にてMgを溶解してMg溶湯を形成する工程、上記Mg溶湯中にMg−Zn−X系準結晶を添加して、合金溶湯を形成する工程、上記合金溶湯を鋳造する工程、得られた鋳造物熱処理してMg母相中に上記準結晶とその近似結晶を析出させる工程を含むことを特徴とする高強度マグネシウム合金の製造方法。

請求項4

請求項3において、上記Mg−Zn−X系準結晶の作製を、Mg、Zn、Xの各原料準結晶組成となるように量する工程、秤量した各原料を坩堝内投入し、不活性雰囲気中にて溶解して溶湯を形成する工程、上記溶湯を降温させ、上記準結晶のみが存在する単相領域の温度に保持する工程、上記単相領域の温度から室温に冷却する工程を含む方法によって行なうことを特徴とする高強度マグネシウム合金の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高強度マグネシウム合金、特に高温強度を高めたマグネシウム合金およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

マグネシウム合金は軽量を活かして種々の構造部材への適用が進められている。特に、自動車に適用すれば燃費向上とそれによる資源環境保護に効果的である。

0003

市販材としては、砂型鋳造用マグネシウム合金としてASTMAZ91C(標準組成[wt%]:Mg−8.7Al−0.7Zn−0.13Mn)、同ZE41A(同:Mg−4.2Zn−1.2RE−0.7Zr)等が、また展伸用マグネシウム合金として同AZ61A(同:Mg−6.4Al−1.0Zn−0.28Mn)、同AZ31B(同:Mg−3.0Al−1.0Zn−0.15Mn)等が汎用されている。

0004

このうち、砂型鋳造用合金であるAZ91C、ZE41Aは、析出効果型合金であり、鋳造材にT6(溶体化+時効)またはT5(時効のみ)を施すことにより所要強度に調整する。ただし室温以上、特に50℃以上に長時間晒されると固溶元素時効析出が起きて、合金組織が徐々に変化し、それに伴って特性に経時変化が生ずる原因となる。その結果、組織および特性の熱的な安定性が低く、安定して高い高温強度を得ることができないという欠点があった。

0005

また、展伸用合金であるAZ61A、AZ31Bは、圧延押出等の際の加工・再結晶による結晶粒微細化強化機構として利用している。しかし100℃以上の高温になるとMg特有の顕著な粒界すべりが発生するので、結晶粒微細化は粒界すべり発生サイトの増加により逆に強度低下の原因となる。また、高温に晒されると結晶粒成長して微細化効果が失われ、室温強度の低下の原因になる。その結果、高い高温強度を確保できないばかりでなく、室温強度も熱的に不安定であるという欠点があった。

0006

上記従来の市販材の欠点を改良して高い高温強度を確保するために、特許文献1(特開2002-309332号公報)には、固溶体マトリクス準結晶粒子により分散強化したMg−1〜10at%Zn−0.1〜3at%Y合金が開示されている。鋳造組織はα−Mg結晶粒界に準結晶共晶組織が形成しており、これを熱間加工することにより準結晶を微細かつ均一に分散させたものである。準結晶は近似組成結晶性化合物よりも遥かに高硬度であるため、強度と延伸性に優れたマグネシウムが得られる。しかし、熱的な安定性は高まったものの、強度自体はZE41のような類似組成の市販合金と同等程度であり、更に高い高温強度を得ることができないという限界があった。

0007

これに対して特許文献2には、高温強度を向上させた合金として、Mg100-(a+b)ZnaYb、a/12≦b≦a/3かつ1.5≦a≦10を満たす組成で、Mg母相中にMg3Zn6Y1準結晶とのその近似結晶(準結晶由来の複雑構造相)とが微細粒子の形態で分散しているマグネシウム合金が開示されている。

0008

更に、特許文献3には、Mg100-(a+b+c)ZnaZrbYc、a/12≦(b+c)≦a/3かつ1.5≦a≦10、0.05<b<0.25cを満たす組成で、Mg母相中に近似結晶の微細粒子が分散しているマグネシウム合金が開示されている。

0009

また、特許文献4には、Mg100-(a+b+c)ZnaAlbYc、(a+b)/12≦c≦(a+b)/3かつ1.5≦a≦10、0.05a<b<0.25aを満たす組成で、Mg母相中に、Mg3Zn6Y1準結晶とのその近似結晶(準結晶由来の複雑構造相)とが微細粒子の形態で分散しているマグネシウム合金が開示されている。

0010

上記従来技術のマグネシウム合金はいずれも、Mg母相中に準結晶とその近似結晶を微細な強化粒子として分散させてことにより高い高温強度を実現しているが、希土類元素(Y)を必須成分とするため、コスト上昇が避けられないという問題があった。

0011

特開2002−309332号公報
特開2005−113235号公報
特開2006−89772号公報
特開2005−113234号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、高価な希土類元素を用いずに低廉化しつつ高温強度を向上させた高強度マグネシウム合金およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記の目的を達成するために、第1発明の高強度マグネシウム合金は、組成式Mg100-(a+b)ZnaXbで表され、XはZr、Ti、Hfから選択される1種以上であり、a、bはそれぞれat%で表したZn、Xの含有量であり、下記式(1)(2)(3)の関係:
a/28≦b≦a/9・・・(1)
2<a<10・・・・・・・(2)
0.05<b<1.0・・・(3)
を満たし、かつ、
Mg母相中にMg−Zn−X系準結晶とのその近似結晶とが微細粒子の形態で分散していることを特徴とする。

0014

第1発明の高強度マグネシウム合金を製造する第2発明の方法は、
不活性雰囲気中にてMgを溶解してMg溶湯を形成する工程、
上記Mg溶湯中にMg−Zn−X系準結晶(XはZr、Ti、Hfの1種以上)を添加して、合金溶湯を形成する工程、
上記合金溶湯を鋳造する工程、
得られた鋳造物熱処理してMg母相中に上記準結晶とその近似結晶を析出させる工程
を含むことを特徴とする。

発明の効果

0015

本発明の高強度マグネシウム合金は、Mg母相中に微細粒子の形態のMg−Zn−X系準結晶とその近似結晶とを強化粒子として分散させたことにより、従来希土類元素を用いて準結晶および近似結晶を分散させた合金と同等の高い強度、特に高温強度を達成できる。

発明を実施するための最良の形態

0016

本発明の高強度マグネシウム合金は、上記規定した組成範囲とすることにより、Mg母相中にMg−Zn−X(X=Zr、Ti、Hfの1種以上)から成る準結晶とその近似結晶とが分散した組織を得ることができる。

0017

準結晶とは、短範囲では規則構造(代表的には5回対称性)であるが、通常の結晶の特徴である並進対称性を持たない構造の化合物である。準結晶を生ずる組成としては、これまでに、Al−Pd−Mn、Al−Cu−Fe、Cd−Yb、Mg−Zn−Yなどが知られている。特異な構造であるため、近似組成の結晶性金属間化合物と比較して、高硬さ、高融点低摩擦係数などを始めとして種々の特異な性質を持つ。
近似結晶とは、準結晶に由来する複雑構造を有し、部分的に準結晶と同様の構造を持つ結晶性化合物であり、由来元の準結晶と同様の性質を持つ。

0018

Mg−Zn−X系準結晶の組成は、望ましくはZnとXとのat%比a:b=83:6であり、Mg11Zn83Zr6、Mg11Zn83Ti6、Mg11Zn83Hf6から選択される1種以上である。しかし、これらに限定する必要はなく、上記規定した合金組成範囲内で許容される組成の準結晶であってよく、その近似結晶も許容される。微細粒子は、数十nm〜数百nm程度の粒径を有する。

0019

準結晶および近似結晶は、非常に硬質であり、かつ230℃程度まで分解せずに安定しているため、微細粒子としてMg母相中に分散していると転位と強く相互作用し、極めて高い分散強化作用を発揮し、常温および高温の強度を向上させる。特に、α−Mg結晶粒界に存在する微細粒子は高温における粒界すべりを抑制し、高い高温強度に貢献する。

0020

本発明の合金は、準結晶および近似結晶の構成成分として従来合金の希土類替えてZr、Ti、Hfを用いるが、これらの元素は合金の主成分であるMgの溶湯と溶け合い難いため、従来の希土類元素を含む合金のように最終組成の合金溶湯を直接溶製することによっては、製造することができない。すなわち、各合金成分の原料を最終的な合金組成に合わせて量し、一緒溶解炉装入して加熱し溶湯を形成しても、高融点のZr、Ti、Hfはこの溶湯には溶け込まず固体として残留してしまう。これら高融点元素の融点は非常に高温であり、Mgの沸点よりも高い。

0021

従来合金で用いたY等の希土類元素もそれ自体はMgに比べて遥かに高融点であるが、溶製時に低温で先に生成したMg溶湯との接触により合金化して低融点化し、容易にMg溶湯に溶け込むため、従来の合金は最終組成の溶湯を直接溶製することができた。

0022

本発明の合金は、上記のように最終組成の合金溶湯を直接溶製できないため、本発明の方法においては、Mgのみを溶解してMg溶湯を形成し、これに準結晶を添加することにより合金溶湯の形成を可能とした。Mg溶湯の量と、準結晶の組成および添加量によって、最終的な合金組成に調整する。合金溶湯は、十分に攪拌して均一な溶湯にする。

0023

得られた合金溶湯を通常の方法により鋳造する。得られた鋳造物を熱処理してMg母相中に準結晶および近似結晶を微細粒子として析出させる。

0024

これにより最終的にMg母相中に準結晶と近似結晶の微細粒子が分散した組織が得られる。

0025

準結晶と近似結晶の微細粒子の生成機構現時点では十分に解明されていないが、次のように生成するものと考えられる。
Mg溶湯中に準結晶を添加し十分に攪拌した合金溶湯は目視上は均一であるが、微視的には溶湯内に組成の揺らぎが存在し、特定元素偏在する微細領域が溶湯内全域に亘って分布しており、鋳造時の冷却過程でこの微細偏在領域を核として準結晶および近似結晶またはその前駆組成物が微細に晶出する。凝固完了した鋳造物は、Mg母相中に準結晶または近似結晶の構成元素であるZnおよびX(Zr、Ti、Hfの1種以上)が過飽和に固溶した状態であり、熱処理により微細な晶出物などを核として準結晶または近似結晶が微細粒子として析出する。
すなわち、最終的に得られる合金の金属組織においては、鋳造時の冷却過程で晶出した準結晶および近似結晶の微細粒子と、その後の熱処理で析出した準結晶および近似結晶の微細粒子とが存在し、両者が共に分散強化により強度向上に寄与する。

0026

〔実施例1〕
本発明により、合金全体の最終組成が表1に示す組成であるMg−Zn−Zrマグネシウム合金を作製し、金属組織観察引張試験を行った。

0027

(1)準結晶の作製
純Mg(99.9%)、純Zn(99.99%)、純Zr(99.5%)の各金属(括弧内の数値純度)を、at%比でMg11Zn83Zr6の準結晶組成となるように秤量し、総量5gとして、アルミナタンマン管(φ12mm×10mm)にセットし、石英管内封入した。石英管の内部を高純度アルゴン置換した。

0028

室温から5時間かけて700℃まで昇温し、12時間保持した後、500℃に降温して48時間保持した。これにより、Mg11Zn83Zr6準結晶が得られた。図1にその電子線回折パターンを示したように、典型的な5回対称性が確認された。
得られた塊状の準結晶を粉砕して粒径数十μmとして、以下に用いた。

0029

(2)合金の溶製
純Mg(純度99.99%)を黒鉛坩堝中に装入し、アルゴン雰囲気下に保持した高周波溶解炉にて700℃に昇温して溶解しMg溶湯を形成した。
Mg溶湯中に、上記(1)で作製した準結晶を、最終的な合金組成が表1に示すMg−Zn−Zr組成となるように調整した量で添加して、溶湯温度を700℃に保持したまま、全て溶解して均一になるまで攪拌した後、2時間保持した。

0030

(3)鋳造
得られた合金溶湯を700℃に保ち、約100℃に予熱した鋳鉄製JIS4号船鋳型(70mm×70mm×300mm)に鋳込んだ。

0031

(4)熱処理
上記で得られた鋳造物をアルゴン雰囲気下で500℃にて48時間熱処理した。

0032

<金属組織の観察>
熱処理後の試料について、透過電子顕微鏡TEM)にて金属組織を観察した。
その結果、図2に示すように、α−Mg結晶粒内に数十nmの微細な析出物が白色の点状に観察された。この析出物はMg11Zn83Zr6準結晶とその近似結晶であることを確認した。

0033

<引張試験>
熱処理後の試料から、平行部φ5×25mmの丸棒引張試験片採取し、室温、150℃および200℃にて引張試験を行った。島津製作所製AG−250kND引張試験機を用い、引張速度0.8mm/分で行なった。

0034

更に、上記熱処理後に押出しを行った試料についても同様に引張試験を行なった。押出し条件は、押出温度250℃、押出比10:1であった。

0035

また、組成が本発明の範囲外である比較例についても同様に引張試験を行った。

0036

〔実施例2〕
本発明により、合金全体の最終組成が表1に示す組成であるMg−Zn−Tiマグネシウム合金を作製し、金属組織観察と引張試験を行った。
準結晶として、Mg11Zn83Ti6準結晶を作製して純Mg溶湯に添加した以外は、実施例1と同様な手順で作製した。

0037

熱処理後に、透過電子顕微鏡によりα−Mg結晶粒内に数十nmの微細な析出物が白色の点状に観察された。この析出物はMg11Zn83Ti6準結晶とその近似結晶であることを確認した。

0038

上記熱処理後の試料および実施例1と同じ条件で押出した試料について、実施例1と同じ条件で引張試験結果を行なった。
また、組成が本発明の範囲外である比較材についても同様に引張試験を行った。
更に、従来材についても同様に引張試験を行った。
以上の試験結果を表1にまとめて示す。

0039

本発明材は、従来材と比較して特に150℃における引張強さが優れている。また、室温から150℃への温度上昇に伴う強度低下が非常に小さい。これは、α−Mg結晶粒内に析出・分散している準結晶および近似結晶から成る微細粒子は熱安定性が非常に高いため、150℃の高温下でも転位と強く相互作用し、転位の運動に対する障壁として有効に機能していることによる。本発明範囲外の組成の比較材は、準結晶および近似結晶が生成しないか、生成しても非常に微少量であるため、これら生成相による分散強化作用がほとんど得られず、高い強度が得られない。

0040

本発明によれば、高価な希土類元素を用いずに低廉化しつつ高温強度を向上させた高強度マグネシウム合金およびその製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0041

本発明により作製したMg11Zn83Zr6準結晶の電子線回折パターンの写真である。
本発明により作製したMg合金の金属組織を示す透過電子顕微鏡写真である。

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