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技術 抗菌性物品とその抗菌性薄膜の作製方法。

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者 吉武道子兼松秀行生貝初
出願日 2007年7月25日 (13年5ヶ月経過) 出願番号 2007-193551
公開日 2008年3月6日 (12年9ヶ月経過) 公開番号 2008-050695
状態 特許登録済
技術分野 農薬・動植物の保存 物理蒸着 その他の表面処理
主要キーワード 表面薄膜 Sn薄膜 金属間化合物化 抗菌性物品 形成薄膜 保持条件 Ag相 塩化化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年3月6日)のものです。
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図面 (4)

課題

本発明は食品用容器器具等の製品表面に形成される抗菌性効果のあるAgをSnと合金化させた層を有する薄膜およびその製造方法ならびにこの薄膜によって表面を被覆された物品を提供する。

解決手段

物品の表面に、めっきあるいは物理蒸着によりAg−Sn積層薄膜を形成し、このAg−Sn積層薄膜を200℃以上300℃以下の温度で加熱・保持し、50℃/min以下の冷却速度で冷却する熱処理をすることにより、抗菌性薄膜を形成させる。

概要

背景

黄色ブドウ球菌病原性大腸菌O−157等の細菌による食中毒事故を未然に防ぐために、食品用容器器具抗菌性を付与する技術が開発されている。表面にSnめっきを施した容器、器具は人体無害であり、耐候性があるため、食品用容器・器具として多く使用されており、Snめっきを施した食品用容器・器具に抗菌性を付与する技術が開発されている。

表面にSnめっきを施した食品用容器・器具に抗菌性を付与するため、特許文献1では抗菌性のある金属微粉末Snめっき皮膜へ添加する技術が開示されている。また、特許文献2では、金属製品の表面に2種以上の金属を合金として電析させる技術が開示されている。これらの技術を用いれば、Snめっき層に添加する微粉末あるいはSnと同時に電析させる金属の作用により、食品用容器、器具表面のSnめっき層に抗菌性を付与することが可能である。
特開平6−16509号公報(段落0012〜0015)
特開2005−139474号公報(段落0015〜0029)

概要

本発明は食品用容器・器具等の製品表面に形成される抗菌性効果のあるAgをSnと合金化させた層を有する薄膜およびその製造方法ならびにこの薄膜によって表面を被覆された物品を提供する。物品の表面に、めっきあるいは物理蒸着によりAg−Sn積層薄膜を形成し、このAg−Sn積層薄膜を200℃以上300℃以下の温度で加熱・保持し、50℃/min以下の冷却速度で冷却する熱処理をすることにより、抗菌性薄膜を形成させる。

目的

そこで、本発明は、耐久性を向上した、抗菌性物品とその抗菌性薄膜の作製方法を提供することを特徴とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

基材表面に抗菌性薄膜が設けられてなる抗菌性物品において,前記抗菌性薄膜がSnを基質とし、Agを抗菌性材とし、これらがSn−Agの金属間化合物相にて一体化されてなることを特徴とする。

請求項2

請求項1に記載の抗菌性物品において,前記薄膜Sn薄膜の表面にSnとAgとの金属間化合物相を有することを特徴とする。

請求項3

請求項1に記載の抗菌性物品において,前記薄膜はSn薄膜の表面にAg薄膜を有し、両薄膜が、それらの金属間化合物相により一体化されてなることを特徴とする。

請求項4

請求項1から3のいずれかに記載の抗菌性物品における抗菌性薄膜の作製方法であって,Sn膜とAg膜を重ねて形成し、次ぎにAgの溶融温度未満の温度にて加熱処理して,少なくともその両膜の界面をAg−Sn金属間化合物化することを特徴とする。

請求項5

請求項4に記載の抗菌性薄膜の作製方法において,前記加熱処理は、2×102℃以上の下記式1で求められたY℃にXmin以上恒温保持することを特徴とする。[式1]

請求項6

請求項5に記載の作製方法において,次式2を満たす冷却速度Z℃/minとすることを特徴とする。[式2]

請求項7

請求項4から6にいずれかに記載の抗菌性物品の抗菌性薄膜の作製方法において,Ag膜は,真空蒸着またはスパッタリングにより形成されてなることを特徴とする。

技術分野

0001

本発明は、物品の表面を被覆して、その物品の抗菌性発現させる抗菌性薄膜を有する抗菌性物品とその抗菌性薄膜の作製方法に関する。

背景技術

0002

黄色ブドウ球菌病原性大腸菌O−157等の細菌による食中毒事故を未然に防ぐために、食品用容器器具に抗菌性を付与する技術が開発されている。表面にSnめっきを施した容器、器具は人体無害であり、耐候性があるため、食品用容器・器具として多く使用されており、Snめっきを施した食品用容器・器具に抗菌性を付与する技術が開発されている。

0003

表面にSnめっきを施した食品用容器・器具に抗菌性を付与するため、特許文献1では抗菌性のある金属微粉末Snめっき皮膜へ添加する技術が開示されている。また、特許文献2では、金属製品の表面に2種以上の金属を合金として電析させる技術が開示されている。これらの技術を用いれば、Snめっき層に添加する微粉末あるいはSnと同時に電析させる金属の作用により、食品用容器、器具表面のSnめっき層に抗菌性を付与することが可能である。
特開平6−16509号公報(段落0012〜0015)
特開2005−139474号公報(段落0015〜0029)

発明が解決しようとする課題

0004

上記従来のいずれのものも、抗菌性材基質となるSnとの結合は混合又は積層によるものであり、衝撃や摩擦により、抗菌性材が容易に剥離脱落するものであった。

0005

そこで、本発明は、耐久性を向上した、抗菌性物品とその抗菌性薄膜の作製方法を提供することを特徴とする。

課題を解決するための手段

0006

発明1の抗菌性物品は、抗菌性薄膜がSnを基質とし、Agを抗菌性材とし、これらがSn−Agの金属間化合物相にて一体化されてなることを特徴とする。

0007

発明2は、発明1の抗菌性物品において,前記薄膜Sn薄膜の表面にSnとAgとの金属間化合物相を有することを特徴とする。
発明3は、発明1の抗菌性物品において,前記薄膜はSn薄膜の表面にAg薄膜を有し、両薄膜が、それらの金属間化合物相により一体化されていることを特徴とする。

0008

発明4は、発明1から3のいずれかの抗菌性物品における抗菌性薄膜の作製方法であって,Sn膜とAg膜を重ねて形成し、次ぎにAgの溶融温度未満の温度にて加熱処理して,少なくともその両膜の界面をAg−Sn金属間化合物化することを特徴とする。

0009

発明5は、発明4の抗菌性薄膜の作製方法において,前記加熱処理は、1×102℃以上の下記式1で求められたY℃にXmin以上恒温保持することを特徴とする。
[式1]

0010

発明6は、発明5の作製方法において,次式2を満たす冷却速度Z℃/minとすることを特徴とする。
[式2]

0011

発明7は、発明4から6いずれかの抗菌性物品の抗菌性薄膜の作製方法において,Ag膜は,真空蒸着またはスパッタリングにより形成されてなることを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、Sn−Agが金属間化合物バインダーとして結合され、膜全体が一体化されているので、抗菌性材が使用中に脱落もしくは剥落し、抗菌性を滅失するという問題をなくした。
また、SnをAgの金属間化合物とすることにより、Sn膜がある場合はその硬さを硬くし、より強度をますことができた。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について図1を参照して説明する。
図1は実施形態の抗菌性薄膜が形成される工程を示す模式図であり、(a)は基材(6)上にSn薄膜(2)とAg薄膜(1)を積層した、金属間化合物を生成する前の状態の薄膜(5)を示す図、(b)は熱処理によりAg薄膜(1)とSn薄膜(2)の界面に金属間化合物相(3)が形成された抗菌性薄膜((4a))の状態を示す図、および(c)は熱処理によりAg薄膜全体が金属間化合物化して、Ag−Sn金属間化合物相(3)が最表面に形成された抗菌性薄膜((4b))の状態を示す図である。

0014

実施形態の抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)を製造するには、まず図1(a)に示す基材(6)となる物品の表面にSn薄膜(2)を形成する。このSn薄膜(2)は、電気めっき、無電解めっき、溶融めっき、真空蒸着またはスパッタリングのいずれの方法で形成されるものであってもよい。Sn薄膜(2)の厚さは限定されない。Sn薄膜(2)自体は、基材(6)の抗菌性に影響しないからである。電気めっきの場合、シアン化合物を使用せず、硫化化合物または塩化化合物めっき浴を用いてSn薄膜(2)を形成可能である。

0015

基材(6)は、導電性または非導電性物質で構成される。基材(6)が非導電性の物質の場合、Sn薄膜(2)は通常電気めっきでは直接には形成することはできず,気相めっき,無電解めっきなどの方法で,非導電性材料表面をメタライズして導電性を持たせ,その上に電気めっきによりSn薄膜を形成する。基材(6)は鉄鋼材アルミニウム材アルミニウム合金材銅材銅合金材マグネシウム合金材プラスチック材もしくはガラス材、これらの混合材を含むもの等である。

0016

Sn薄膜(2)を形成後、図1(a)に示すように前記したSn薄膜(2)の上にAg薄膜(1)を形成し、Ag−Sn積層薄膜(5)が形成される。このAg薄膜(1)の厚さは10nm以上であるのが好ましい。Ag薄膜(1)の厚さが10nm未満の場合、最終的に形成される実施形態の抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)の表面層が、Sn薄膜(2)単層の場合に比べて硬くならない。また、基材(6)に抗菌性を発現させるためには、Ag薄膜(1)の厚さが10nm以上必要である。Ag薄膜(1)は、電気めっき、無電解めっき、真空蒸着またはスパッタリングのいずれかの方法で形成される。

0017

以上のようにして基材(6)上に形成された積層薄膜(5)は、200℃から300℃の温度で1時間以上加熱・保持した後、50℃/min以下の冷却速度で冷却する熱処理をされる。その結果、図1(b)および(c)に示すように、積層薄膜(5)を構成するAg薄膜(1)とSn薄膜(2)が互いに反応し拡散することによって、これらの薄膜の界面に金属間化合物相(3)が形成された抗菌性薄膜(4a)または抗菌性薄膜(4b)が形成される。ここで、加熱・保持の温度が低い場合、図1(b)に示すように、Ag−Sn積層薄膜(5)は金属間化合物相(3)の上にAg薄膜(1)が残留する抗菌性薄膜(4a)となる。また、加熱・保持の温度が高い場合、Ag−Sn積層薄膜(5)中のAg薄膜(1)とSn薄膜(2)の反応がさらに進行して、図1(c)に示すAg薄膜(1)がすべて金属間化合物相(3)となった抗菌性薄膜(4b)となる。
また、図1(c)よりみて明らかなとおり、Sn薄膜がAg薄膜に対してより薄い場合は、Sn単独の相が残存せず、全体が金属間化合物相となるか、Ag相と金属間化合物相との二相になる。
これは、実施例で示す通り、金属間化合物相は、SnとAgが相互に浸透して金属間化合物相を形成するからである。

0018

前記した熱処理において加熱・保持の温度が200℃よりも低い場合または加熱・保持の時間が1時間よりも短い場合、Ag薄膜(1)とSn薄膜(2)の反応が十分に進行しないため金属間化合物相(3)が形成されにくい。また、前記熱処理において冷却速度が50℃/minよりも速いと抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)が基材(6)から剥離するおそれがある。また冷却速度が7℃/minよりも遅い場合には抗菌性薄膜(4b)は酸化するおそれがあるが、このように冷却が遅い場合窒素雰囲気等で熱処理を実施すれば抗菌性薄膜(4b)が酸化することはない。
抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)において、合金化後のSn薄膜(2)の厚さが1μm未満の場合、抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)の耐食性が不十分となるので、Sn薄膜(2)の厚さは、1μm以上であることが望ましい。

0019

以上のようにして基材(6)上に形成された抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)は、Ag薄膜(1)あるいは金属間化合物相(3)のAg元素の作用により、基材(6)に抗菌性を発現させる。この抗菌性は、Ag薄膜(1)あるいは金属間化合物相(3)から微量に溶出するAg+イオンの作用によるものである。また、金属間化合物相(3)はAgとSnの金属間化合物の作用により、Sn薄膜(2)より硬化している。

0020

以下実施例により、本発明について具体的に説明する。本実施例においては、Ag薄膜(1)の厚さおよびAg−Sn積層薄膜(5)の熱処理条件を変化させた実験No.1乃至9の9種類の抗菌性薄膜(4a)および抗菌性薄膜(4b)を作製し、それらの効果について調査した。これら実験例の作製方法について以下説明する。

0021

前記した9種類の実施例はすべて、基材(6)として炭素鋼板SS400を用い、この炭素鋼板上に25℃の硫酸Snめっき浴中で1A/dm2の電流密度で、厚さ5μmのSn薄膜(2)を形成したものである。
このようなSn薄膜(2)が形成された基材(6)である炭素鋼板を用いて、表1に示すようにAg薄膜(1)の厚さおよびAg−Sn積層薄膜(5)の加熱・保持条件を変化させた実験例1乃至実験例24の24種類のサンプルを作製した。これら実験例のAg薄膜(1)は、φ4インチのAgターゲットを用いて、0.5PaのAr雰囲気でRFスパッタリングを行うことにより形成されたものである。
また、比較例としてAg薄膜のないサンプル(加熱・保持熱処理なし)を作製した。

0022

試験を実施したサンプルの内訳
なお、実験No.1から9及び20、21、23は本発明の実施例であり、その他は比較例である。

0023

図2は実験例等の抗菌性薄膜の構成をX線回折により調べた結果であり、(a)は実験例6でAg−Sn積層薄膜の熱処理前サンプルの測定結果、(b)は実験例6の測定結果および(c)は実験例9の測定結果である。X線回折は、X線管電圧40kV、X線管電流40mA,4°/minの測定条件で行った。

0024

図2(a)からわかるように、1μm厚のAg薄膜が5μm厚のSn薄膜上に形成され熱処理をされていないAg−Sn積層薄膜(5)は、AgおよびSnの各金属相のみが検出されこれらの金属間化合物相は検出されなかった。この状態は、Ag−Sn積層薄膜(5)が形成された直後の状態(図1(a)参照)に対応するものである。

0025

一方、Ag−Sn積層薄膜(5)が200℃で2時間熱処理された実験No.6では、図2(b)に示すように、Ag薄膜(1)およびSn薄膜(2)の各金属相の他にAg3Snの金属間化合物相が検出されている。この金属間化合物相は、熱処理によりAgおよびSnの各金属相が互いに反応したことにより生成したものであり、Ag薄膜(1)とSn薄膜(2)の界面に存在するのは明らかである。また、この界面にはX線回折では検出されていないが、AgとSnの固溶体もAg薄膜(1)およびSn薄膜(2)の界面に存在していると思われる。この状態は、実施形態の抗菌性薄膜(4a)(図1(b)参照)に対応するものである。

0026

また、図2(c)からわかるように、Ag−Sn積層薄膜(5)が300℃で2時間熱処理された実験No.9では、Ag薄膜(1)のAg金属相のピーク消失し、Sn薄膜(2)のSn金属相とAg3Snの金属間化合物相のピークのみが検出されている。このことから、300℃の熱処理により、Ag薄膜(1)とSn薄膜(2)の反応が進みAg薄膜(1)がほぼ完全に金属間化合物化し、Ag3Snの金属間化合物相を含む金属間化合物相(3)が最表面に形成されたものである。この状態は、実施形態の抗菌性薄膜(4b)(図1(c)参照)に対応するものである。

0027

加熱・冷却速度を50℃/min一定とし,加熱保持温度加熱保持時間を100℃から250℃,10minから120minに変化させ,薄膜を調整し,X線回折で同定し,形成薄膜の同定を行った(実験No.10〜21).図3にその結果を示す.図3中,●で示したプロットは金属間化合物相(主としてAg3Sn薄膜)が形成された場合,白抜きの○はすず(Sn)層上の銀(Ag)薄膜が未反応のまま形成されている場合に対応する。
この結果、実験No.10〜19は金属間化合物相を有していないことが判明した。
この図から,金属間化合物相の形成される領域は,図中加熱保持温度と加熱保持時間で決まる平面において,指数関数的に減少する実験式で決まるXminとY℃よりも大きい領域であるといえる.

0028

実験例から求められる,Ag−Snの金属間化合物相が形成される境界領域における,加熱保持温度と加熱保持時間の相関に関わるおおよその実験式は,前記式1である。

0029

加熱保持温度,加熱保持時間を220℃,10minに固定して,加熱速度,冷却速度を変化させて薄膜を作製し,形成された薄膜をX線回折にて同定した(実験No.22,23).すでに図3において明らかなように,実験No.19により,加熱保持温度,加熱保持時間,220℃,10minにおいて形成される最表面層は,すず(Sn)とは未反応の銀(Ag)単相であった.一方,実験No.22においては,加熱速度を7℃/minに低下させ昇温し,加熱保持温度220℃にて10min保持し,50℃/minで降温した.この場合は金属間化合物が形成されなかった.

0030

実験No.23においては,加熱速度は50℃/minとし,加熱保持温度200℃,加熱保持時間10minとして,処理後の昇温速度を4℃/minとして,冷却し形成される表面薄膜をX線回折により同定した.その結果,すず(Sn),銀(Ag)の金属間化合物相Ag3Snが形成された.

0031

実験No.22,23の結果から,金属間化合物相形成においては,すず(Sn)の融点付近の2×102℃以上の温度が必要であり,これらの加熱保持温度への到達までの所要時間は薄膜形成には大きくは影響を与えない.一方加熱保持温度に到達後,保持時間と冷却速度(冷却に要する時間)のトータル量は金属間化合物相形成に大きな影響を与える.

0032

従って,各加熱保持温度において,金属間化合物皮膜が形成される最低の冷却速度Z℃/minは,2×102℃以上において,前記式2で与えられ,この条件を満たす冷却速度で皮膜形成が可能である.

0033

実験No.1乃至実験No.9および実験No.24の各サンプルにつき、荷重10gfを負荷するマイクロビッカース測定により表面の膜の硬さを測定した。また、前記各サンプルについて抗菌性の有無について調べた。

0034

抗菌性の有無は次のようにして調べた。
まず、大腸菌(Escherichia coliATCC25922)を10mlの普通ブイヨン接種し、35℃で18時間予備培養した。その後、この予備培養液を0.9%NaCl溶液で104倍に希釈し、大腸菌浮遊液を作製した。
75%エタノールで表面を消毒した表1の各サンプル(50mm×50mm)に前記した大腸菌浮遊液0.4mlを滴下し、直ちに滅菌したポリエチレンフィルム(40mm×40mm)を被せ、滅菌したシャーレの中に移し、35℃で相対湿度99%以上の条件で24時間保持する試験を実施した。ここで各サンプルに前記試験前に滴下した大腸菌浮遊液には、9.5×104個の大腸菌が存在していることが後記する大腸菌数測定方法でわかった。

0035

この後、各サンプルおよび被覆ポリエチレンフィルムに付着した大腸菌を、0.2%Tween20(界面活性剤)を含む0.9%NaCl溶液10mlをシャーレ内に加えマイクロピペット洗い出した。この洗い出した菌液0.1mlを普通寒天培地に接種後、スプレッダを用いて塗り広げた。この寒天培地を35℃で一晩放置した後、形成された大腸菌コロニの数を計数することにより、各サンプル上に前記試験後に存在した大腸菌数を決定した。試験前後における各サンプルの大腸菌数の増減により、抗菌性の有無を判断した。

0036

各サンプルについて、前記した膜の硬さの測定結果および抗菌性の有無の試験結果を表1に示す。

0037

表1の結果から、実験No.1乃至実験No.9のサンプルに形成された抗菌性薄膜(4a)または抗菌性薄膜(4b)の硬さは、Sn薄膜単層に比べて硬くなっている。
Sn薄膜単層の実験No.24(比較例)では試験後の大腸菌数が増えていることから抗菌性はない。しかし、実験No.1乃至実験No.9はいずれも試験後に大腸菌が死滅しており、抗菌性があるのは明らかである。

図面の簡単な説明

0038

実施形態の抗菌性薄膜が形成される工程を示す模式図であり、(a)は基材上にAg−Sn積層薄膜が形成された状態を示す図、(b)は熱処理によりAg薄膜とSn薄膜の界面に合金層が形成された状態を示す図、および(c)は熱処理によりAg薄膜層が消失し、Ag−Sn合金層が最表面に形成された状態を示す図である。
実験例等の抗菌性薄膜の構成をX線回折により調べた結果であり、(a)は実験No.6でAg−Sn積層薄膜の熱処理前サンプルの測定結果、(b)は実験例No.6の測定結果、および(c)は実験No.9の測定結果である。
実験例の抗菌性薄膜の構成をX線回折により調べた結果であり,実験No.3,6,9,10〜21の測定結果がプロットしてある。

符号の説明

0039

(1)Ag薄膜
(2)Sn薄膜
(3)金属間化合物相
(4a),(4b)抗菌性薄膜
(5)Ag−Sn積層薄膜
(6)基材

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