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技術 希土類焼結磁石及びその製造方法

出願人 日立金属株式会社
発明者 小高智織森本英幸
出願日 2006年8月4日 (14年2ヶ月経過) 出願番号 2006-213205
公開日 2008年2月21日 (12年8ヶ月経過) 公開番号 2008-041875
状態 特許登録済
技術分野 金属質粉又はその懸濁液の製造 粉末冶金 硬質磁性材料 コア、コイル、磁石の製造
主要キーワード 基本的組 添加粉末 磁石構成 稀少元素 サイクロン分級機 使用量削減 ロータリクーラ 電気自動車用モータ
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課題

AlやCuを添加された場合の保磁力と同等の保磁力を発揮しつつ、AlやCuを添加された場合よりも残留磁束密度を向上した希土類焼結磁石を提供する。

解決手段

本発明の希土類焼結磁石は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素R(Rは、Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.005原子%〜0.20原子%のガリウム(Ga)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する。

概要

背景

高性能永久磁石として代表的な希土類−鉄−硼素系の希土類焼結磁石は、正方晶化合物であるR2Fe14B型結晶相(主相)と粒界相とを含む組織を有し、優れた磁石特性を発揮する。ここで、Rは希土類元素及びイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、主としてNd及び/又はPrを含む。Feは鉄、Bは硼素であり、これらの元素の一部は他の元素によって置換されていても良い。粒界相には、希土類元素Rの濃度が相対的に高いRリッチ相と、硼素の濃度が相対的に高いBリッチ相とが存在している。

以下、希土類−鉄−硼素系の希土類焼結磁石を「R−T−B系焼結磁石」と称することとする。ここで、「T」は鉄を主成分とする遷移金属元素である。R−T−B系焼結磁石では、R2T14B相(主相)が磁化作用に寄与する強磁性相であり、粒界相に存在するRリッチ相は低融点非磁性相である。

R−T−B系焼結磁石は、R−T−B系焼結磁石用合金母合金)の微粉末平均粒径:数μm)をプレス装置圧縮成形した後、焼結することによって製造される。焼結後、必要に応じて時効処理が施される。R−T−B系焼結磁石の製造に用いられる母合金は、金型鋳造によるインゴット法や冷却ロールを用いて合金溶湯急冷するストリップキャスト法を用いて好適に作製される。

保磁力の高いR−Fe−B系焼結磁石を製造するためには、希土類元素Rとして広く用いられているNdやPrの一部を、重希土類であるDy、Ho、及び/又はTbで置換することが行われている(例えば特許文献1)。Dy、Tb、Hoは、異方性磁界の高い希土類元素であるため、主相の希土類元素RのサイトでNdを置換することにより、保磁力を増大させる効果を発揮する。

一方、保磁力発現のため、AlやCuを微量に添加することがR−T−B系焼結磁石の開発当初から行われてきた(例えば、特許文献2)。R−T−B系焼結磁石が開発された当時、不可避的不純物として原料合金中に混入していたAlやCuが、その後、R−T−B系焼結磁石の高い保磁力を実現する上で不可欠ともいえる添加元素であることがわかってきた。逆に、AlやCuを意図的に排除すると、R−T−B系焼結磁石の保磁力は極めて低い値しか示さず、実用には供しないこともわかっている。
特開昭60−32306号公報
特開平5−234733号公報
特開平4−217302号公報
特開昭60−138056号公報

概要

AlやCuを添加された場合の保磁力と同等の保磁力を発揮しつつ、AlやCuを添加された場合よりも残留磁束密度を向上した希土類焼結磁石を提供する。本発明の希土類焼結磁石は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素R(Rは、Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.005原子%〜0.20原子%のガリウム(Ga)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、AlやCuを添加した場合の保磁力と同等の保磁力を発揮しつつ、AlやCuを添加した場合よりも残留磁束密度を向上させた希土類焼結磁石を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.3原子%の銀(Ag)と、0.005原子%〜0.2原子%のガリウム(Ga)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物と、を含有する希土類焼結磁石

請求項2

Agの組成比率が0.005原子%〜0.20原子%である請求項1に記載の希土類焼結磁石。

請求項3

不可避的不純物はAlを含み、前記Alの含有量は0.4原子%以下である請求項1に記載の希土類焼結磁石。

請求項4

12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.005原子%〜0.2原子%のガリウム(Ga)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、前記粉末を焼結する工程と、を含む希土類焼結磁石の製造方法。

請求項5

12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、前記粉末に対して0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)および0.005原子%〜0.2原子%のガリウム(Ga)を添加し、AgおよびGa添加粉末を作製する工程と、前記AgおよびGa添加粉末を焼結する工程と、を含む希土類焼結磁石の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、希土類焼結磁石及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

高性能永久磁石として代表的な希土類−鉄−硼素系の希土類焼結磁石は、正方晶化合物であるR2Fe14B型結晶相(主相)と粒界相とを含む組織を有し、優れた磁石特性を発揮する。ここで、Rは希土類元素及びイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、主としてNd及び/又はPrを含む。Feは鉄、Bは硼素であり、これらの元素の一部は他の元素によって置換されていても良い。粒界相には、希土類元素Rの濃度が相対的に高いRリッチ相と、硼素の濃度が相対的に高いBリッチ相とが存在している。

0003

以下、希土類−鉄−硼素系の希土類焼結磁石を「R−T−B系焼結磁石」と称することとする。ここで、「T」は鉄を主成分とする遷移金属元素である。R−T−B系焼結磁石では、R2T14B相(主相)が磁化作用に寄与する強磁性相であり、粒界相に存在するRリッチ相は低融点非磁性相である。

0004

R−T−B系焼結磁石は、R−T−B系焼結磁石用合金母合金)の微粉末平均粒径:数μm)をプレス装置圧縮成形した後、焼結することによって製造される。焼結後、必要に応じて時効処理が施される。R−T−B系焼結磁石の製造に用いられる母合金は、金型鋳造によるインゴット法や冷却ロールを用いて合金溶湯急冷するストリップキャスト法を用いて好適に作製される。

0005

保磁力の高いR−Fe−B系焼結磁石を製造するためには、希土類元素Rとして広く用いられているNdやPrの一部を、重希土類であるDy、Ho、及び/又はTbで置換することが行われている(例えば特許文献1)。Dy、Tb、Hoは、異方性磁界の高い希土類元素であるため、主相の希土類元素RのサイトでNdを置換することにより、保磁力を増大させる効果を発揮する。

0006

一方、保磁力発現のため、AlやCuを微量に添加することがR−T−B系焼結磁石の開発当初から行われてきた(例えば、特許文献2)。R−T−B系焼結磁石が開発された当時、不可避的不純物として原料合金中に混入していたAlやCuが、その後、R−T−B系焼結磁石の高い保磁力を実現する上で不可欠ともいえる添加元素であることがわかってきた。逆に、AlやCuを意図的に排除すると、R−T−B系焼結磁石の保磁力は極めて低い値しか示さず、実用には供しないこともわかっている。
特開昭60−32306号公報
特開平5−234733号公報
特開平4−217302号公報
特開昭60−138056号公報

発明が解決しようとする課題

0007

Dy、Tb、Hoは、その添加量を増やすほど、保磁力が高く上昇するという効果が得られるが、Dy、Tb、Hoは稀少元素であるため、今後、電気自動車の実用化が進展し、電気自動車用モーターなどに用いられる高耐熱磁石需要が拡大してゆくと、Dy資源が逼迫する結果、原料コストの増加が懸念される。このため、高保磁力磁石におけるDy使用量削減技術の開発が強く求められている。一方、AlやCuの添加は、保磁力を向上させるが、残留磁束密度の低下を招くという問題がある。

0008

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、AlやCuを添加した場合の保磁力と同等の保磁力を発揮しつつ、AlやCuを添加した場合よりも残留磁束密度を向上させた希土類焼結磁石を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明の希土類焼結磁石は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.005原子%〜0.2原子%のガリウム(Ga)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する。

0010

好ましい実施形態において、Agの組成比率が0.005原子%〜0.20原子%である。

0011

好ましい実施形態において、不可避的不純物はAlを含み、前記Alの含有量は0.4原子%以下である。

0012

本発明による希土類焼結磁石の製造方法は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.005原子%〜0.2原子%のガリウム(Ga)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、前記粉末を焼結する工程とを含む。

0013

本発明による他の希土類焼結磁石の製造方法は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.2原子%〜6.0原子%の硼素(B)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、前記粉末に対して0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)および0.005原子%〜0.20原子%のガリウム(Ga)を添加し、AgおよびGa添加粉末を作製する工程と、前記AgおよびGa添加粉末を焼結する工程とを含む。

発明の効果

0014

本発明の希土類焼結磁石は、硼素(B)の量を5.2原子%〜6.0原子%とし、かつ微量に添加したAg、Gaの働きにより、CuやAlを添加した従来のR−Fe−B系焼結磁石よりも高い磁石特性を示すことができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

従来、保磁力を高める目的で、種々の元素を添加する試みが行われてきた。しかしながら、比較の対象となるR−T−B系焼結磁石には、不可避的不純物とともに、当然の如くAlやCuが含有されていた。これらの元素を含有しない場合に得られる保磁力が余りに低かったためである。

0016

しかしながら、本発明者は、敢えてAlやCuの添加を行わないR−T−B系焼結磁石の基本三元組成に対して、種々の元素を微量に添加したところ、硼素(B)の量を5.2原子%〜6.0原子%とし、かつ微量に添加したAg、Gaを添加した場合に、従来以上の高い磁石特性が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。

0017

なお、従来、AgをR−T−B系焼結磁石に添加する試みが全く行われてこなかったわけではない。例えば特許文献2〜4には、添加の目的は異なるとはいえ、AgをR−T−B系焼結磁石に添加することが記載されている。しかしながら、添加の対象となるR−T−B系焼結磁石には、当然にAlやCuが(意図的又は不可避的に)添加されていたため、Ag添加による保磁力上昇効果は、AlやCuあるいはDyなどによる保磁力上昇効果に埋もれてしまって観察されなかった。しかも、後に詳しく説明するように、本願発明者が見出したAg添加効果は、その添加量を極めて低く、かつ狭い範囲に抑えることによって得られるものであり、特許文献2〜4などに教示されている添加量では、Ag添加効果を適切に得ることはできなかった。

0018

このように本発明は、基本的組成を有するR−T−B系焼結磁石を比較例として用い、しかも、極めて微量のAgを添加することによって初めてわかる新しい知見に基づいてなされたものである。

0019

本願発明者の検討によると、添加したAgは、焼結磁石粒界相中に存在することが確認されている。R−T−B系焼結磁石では、その保磁力の発現に粒界相が重要な役割を担っていることが知られており、添加した微量のAgが粒界相中において保磁力を高める何らかの作用をしていると推定される。しかしながら、Ag添加による保磁力上昇メカニズムの詳細は、現在のところ不明であり、本願発明者は鋭意解明を試みつつある。

0020

以下、本発明の希土類焼結磁石の好ましい実施形態を説明する。

0021

(実施形態1)
[原料合金]
まず、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素Rと、5.2原子%〜6.0原子%のBと、0.005原子%〜0.30原子%のAgと、0.005原子%〜0.20原子%のGaと、残部Fe及び不可避的不純物とを含有する原料合金を用意する。ここで、Rは、Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む。

0022

R、B、Feの組成比率が上記範囲から外れると、R−T−B系焼結磁石の基本的な組織構造が得られず、所望の磁石特性を発揮させることができない。本発明では、Bの量を5.2原子%〜6.0原子%とし、0.005原子%〜0.30原子%という極めて微量のAgと、0.005原子%〜0.20原子%のGaとを添加することにより、基本三元組成のR−Fe−B系希土類磁石に比べ、2倍以上の保磁力を得ることが可能である。

0023

Bの組成比率が5.2原子%未満になると、軟磁性のR2Fe17相が析出し、保磁力が大幅に低下し、6.0原子%を超えるとR2Fe14B相が減少し、高い残留磁束密度を得ることができない。Bの組成比率の好ましい範囲は5.4原子%以上5.8原子%以下である。

0024

添加するAgの組成比率が0.005原子%未満になると、保磁力上昇効果が得られず、逆に0.30原子%を超えると、保磁力が低下してしまうという問題が発生する。このため、Agの組成比率は0.005原子%以上0.30原子%以下の範囲に設定される。Agの組成比率の好ましい範囲は0.005原子%以上0.20原子%以下である。

0025

また、添加するGaの組成比率が0.005原子%未満になると、保磁力上昇効果が得られず、逆に0.20原子%を超えると、残留磁束密度が低下してしまうという問題が発生する。このため、Gaの組成比率は0.005原子%以上0.20原子%以下の範囲に設定される。

0026

添加したAgおよびGaの働きにより、組成中のB量を化学量論比に極めて近い領域まで削減しても保磁力の低下が起こらない。また、B量の削減によって、磁石構成相から実質的にB−rich相(R1.1Fe4B4)を無くして主相の比率を高めることができ、それによって残留磁束密度Brを向上させることが可能になる。

0027

なお、AgおよびGa添加のタイミングは、焼結工程前であれば任意である。原料合金の溶解時に添加してもよいし、AgおよびGa元素を含まない母合金を用意し、ジェットミルによって粉砕する前、又は粉砕した後に微粉末として添加してもよい。AgおよびGaの微粉末は、AgメタルおよびGaメタルを粉砕することによって作製されたものであってもよいし、Ag酸化物、Ga酸化物の粉末であってもよい。粉末状態のAgメタル又はAg化合物ならびにGaメタル又はGa化合物の平均粒径は、例えば0.5μm〜50μmに設定され得る。このような粒径範囲にあれば、他の合金粉末と混合して適正な焼結体を得ることができるからである。

0028

また、Agのみを原料合金溶解時に添加し、Gaのみを酸化物として粉砕する前後に添加してもよいし、その逆にGaのみを原料合金溶解時に添加し、Agのみを酸化物として粉砕する前後に添加してもよい。

0029

なお、本発明の焼結磁石は、不可避的不純物としてAlを含有していてもよいが、Alの含有量が増加すると、残留磁束密度が低下するため、Alの含有量は0.4原子%以下に調節することが好ましい。

0030

本発明による焼結磁石の製造に用いられる母合金を作製するには、例えばインゴット鋳造法や急冷法(ストリップキャスティング法遠心鋳造法など)を用いることができる。以下、ストリップキャスティング法を用いる場合を例にとり、原料合金の作製方法を説明する。

0031

まず、上記組成を有する合金をアルゴン雰囲気中において高周波溶解によって溶融し、合金溶湯を形成する。次に、この合金溶湯を1350℃に保持した後、単ロール法によって合金溶湯を急冷し、例えば厚さ約0.3mmのフレーク状合金鋳塊を得る。このときの急冷条件は、例えばロール周速度約1m/秒、冷却速度500℃/秒、過冷却200℃とする。こうして作製した急冷合金鋳片を、次の水素粉砕前に、1〜10mmの大きさのフレーク状に粉砕する。なお、ストリップキャスト法による原料合金の製造方法は、例えば、米国特許第5、383、978号明細書に開示されている。

0032

このような原料合金の段階において、既にAgおよびGaが添加されていても良いし、以下に説明する粉砕工程の後に添加されても良い。

0033

粗粉砕工程]
上記のフレーク状に粗く粉砕された原料合金鋳片を水素炉の内部へ挿入する。次に、水素炉の内部で水素脆化処理(以下、「水素粉砕処理」と称する場合がある)工程を行なう。水素粉砕後の粗粉砕合金粉末を水素炉から取り出す際、粗粉砕粉大気と接触しないように、不活性雰囲気下で取り出し動作を実行することが好ましい。そうすれば、粗粉砕粉が酸化発熱することが防止され、磁石の磁気特性が向上するからである。

0034

水素粉砕によって、希土類合金は0.1mm〜数mm程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は500μm以下となる。水素粉砕後、脆化した原料合金をロータリクーラ等の冷却装置によって、より細かく解砕するともに冷却することが好ましい。比較的高い温度状態のまま原料を取り出す場合は、ロータリクーラ等による冷却処理の時間を相対的に長くすれば良い。

0035

微粉砕工程]
次に、粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕装置を用いて微粉砕を実行する。本実施形態で使用するジェットミル粉砕装置にはサイクロン分級機が接続されている。ジェットミル粉砕装置は、粗粉砕工程で粗く粉砕された希土類合金(粗粉砕粉)の供給を受け、粉砕機内で粉砕する。粉砕機内で粉砕された粉末はサイクロン分級機を経て回収タンクに集められる。こうして、0.1〜20μm程度の微粉末を得ることができる。このような微粉砕に用いる粉砕装置は、ジェットミルに限定されず、アトライタボールミルであってもよい。

0036

プレス成形
本実施形態では、上記方法で作製された磁性粉末に対し、ロッキングミキサー内潤滑剤を例えば0.3wt%添加・混合し、潤滑剤で合金粉末粒子の表面を被覆する。次に、上述の方法で作製した磁性粉末を公知のプレス装置を用いて配向磁界中で成形する。印加する磁界の強度は、例えば1テスラ(T)である。

0037

[焼結工程]
上記の粉末成形体に対して、650〜1000℃の範囲内の温度で10〜240分間保持する工程と、その後、上記の保持温度よりも高い温度(例えば1000〜1100℃)で焼結を更に進める工程とを順次行なうことが好ましい。焼結時、特に液相が生成されるとき(温度が650〜1000℃の範囲内にあるとき)、粒界相中のRリッチ相が融け始め、液相が形成される。その後、焼結が進行し、焼結磁石が形成される。焼結後、必要に応じて、時効処理が行われる。

0038

以下、本発明の実施例を説明する。

0039

(実施例1)
Nd:14.0原子%、B:6.0原子%、Ag:0.03〜0.6原子%、Ga:0.05原子%、Al:0.05原子%、残部Feからなる合金を用意し、上述した実施形態における製造方法により、焼結磁石を作製した(実施例1)。一方、比較例として、Gaを添加せずAgのみを添加した組成の母合金を用い、実施例1と同様にして焼結磁石を作製した(比較例2)。

0040

プレス成形前における粉末の平均粒径は4.5±0.2μmであった。成形は、1.0Tの磁場中で行った。成形後、1000〜1100℃で4時間の焼結工程、及び550〜700℃で2時間の時効処理を行った。得られた焼結体は、11mm×10mm×18mmの直方体形状を有していた。

0041

図1は、Ag添加量と磁石特性との関係を示すグラフである。グラフの縦軸は保磁力HcJ(kA/m)である。図1において、AgとGaを複合添加したときの保磁力HcJを「○」で示し、Gaを添加せずAgのみ添加したときの保磁力HcJを「■」で示している。

0042

図1から、0.03原子%のAgと0.05原子%のGaを添加するだけで、比較例1(AgとGaが無添加)の保磁力HcJ(約340kA/m)に比べて2倍以上の値(約970kA/m)に増加することがわかる。また、比較例2のAg単独添加に比べ、AgとGaを複合添加することで、HcJがさらに向上することがわかる。図1の例では、Ag添加量が0.03原子%程度で保磁力HcJはピーク値を示している。Ag添加量が0.3原子%を超えて大きくなると、Ag添加の効果はほとんど得られなくなる。一方、残留磁束密度Brは、Ag添加量が増加するに従い、徐々に低下する傾向にある。

0043

更に詳しい実験によると、Ag添加の効果は、Ag添加量が0.005原子%以上の場合に発現することがわかった。以上のことから、本発明では、Ag添加量を0.005原子%以上0.3原子%以下の範囲に設定している。

0044

(実施例2)
Nd:14.0原子%、B:5.0〜6.5原子%、Ag:0.05原子%、Ga:0.05原子%、残部Feからなる合金を用意し、上述した実施形態における製造方法により、焼結磁石を作製した。

0045

プレス成形前における粉末の平均粒径は4.5±0.2μmであった。成形は、1.0Tの磁場中で行った。成形後、1000〜1100℃で4時間の焼結工程、及び550〜750℃で2時間の時効処理を行った。得られた焼結体は、11mm×10mm×18mmの直方体形状を有していた。

0046

図2は、硼素(B)量と磁石特性との関係を示すグラフである。保磁力の測定値は「○」で示し、残留磁束密度Brの測定値は「◆」で示している。

0047

図2より、B量を低下させてゆくと、B量が5.2原子%までは高い保磁力HcJが得られるが、5.2原子%よりも低くなると、保磁力HcJが急激に低下することがわかる。一方、残留磁束密度Brについては、B量が5.2原子%付近でピーク値を示しているが、B量が増えるに従って低下することがわかった。

0048

更に詳細な実験により、適正なAg、Ga添加量の範囲では、B量に対して、同様の結果が得られることがわかったため、本発明では高い磁石特性が得られる範囲として、B量を5.2原子%〜6.0原子%の範囲に設定している。

0049

図2には、GaなしでAgのみを添加した組成の比較例が示されている。比較例の残留磁束密度Brは、図2において、「▲」で示されている。Gaを添加しない場合、B量が5.5原子%より少なくなると、残留磁束密度Brが急激に低下していくことが図2からわかる。Gaを添加することにより、B量を更に少なくすることができ、Gaを添加せずにAgのみを添加した場合よりも、高い残留磁束密度Brを得ることができる。

0050

(実施例3)
Nd:14.0原子%、B:6.0原子%、Ag:0.05原子%、Ga:0.03原子%〜0.40原子%、残部Feからなる合金を用意し、上述した実施形態における製造方法により、焼結磁石を作製した(実施例3)。一方、Agを添加しない組成の合金を用意し、実施例3と同様にして比較例3を作製した。

0051

プレス成形前における粉末の平均粒径は4.5±0.2μmであった。成形は、1.0Tの磁場中で行った。成形後、1000〜1100℃で4時間の焼結工程、及び550〜700℃で2時間の時効処理を行った。得られた焼結体は、11mm×10mm×18mmの直方体形状を有していた。

0052

図3は、Ga添加量と磁石特性との関係を示すグラフである。グラフの縦軸は保磁力HcJ(kA/m)である。図3において、AgとGaを複合添加したときの保磁力HcJを「○」で示し、Agを添加せずGaのみ添加したときの保磁力HcJを「■」で示している。

0053

図3から、Gaを0.03原子%とAgを0.05原子%添加するだけで、比較例1(Ag,Ga無添加)の保磁力HcJ(約340kA/m)に比べて、2倍以上の値(930kA/m)に増加することがわかる。また、比較例3のGa単独添加に比べ、GaとAgを複合添加することにより、Hcjがさらに向上することがわかる。図3の例では、Ga添加量が0.10原子%で保磁力HcJはピーク値を示している。また、Ga添加量が増えるに従い、残留磁束密度Brは徐々に低下してゆく。

0054

更に詳しい実験によると、Ga添加の効果は、Ga添加量が0.005原子%以上の場合に発現することがわかった。以上のことから、本発明では、Ga添加量を0.005原子%以上0.2原子%以下の範囲に設定している。

0055

(実施例4)
Nd:14.0原子%、B:6.0原子%、残部Feからなる合金を用意して、微粉砕を行ったのち、Ag2O、Ga2O3の粉末を添加することにより、Ag及びGaを複合添加した焼結体を作製した(実施例4)。Ag2Oの粉末添加量を調整することにより、最終的なAg添加量を0.03〜0.6原子%の範囲内で変化させた。この時のGa量(最終組成における)は0.06原子%であった。

0056

プレス成形前における粉末の平均粒径は4.5±0.2μmであった。成形は、1.0Tの磁場中で行った。成形後、1000〜1100℃で4時間の焼結工程、及び、550〜650℃で2時間の時効処理を行った。得られた焼結体は、11mm×10mm×18mmの直方体形状を有していた。

0057

図4は、Ag添加量と保磁力HcJ(kA/m)との関係を示すグラフであり、参考のため、実施例1に関するデータも示されている。図4より、AgおよびGaを合金で添加しても、後から粉末形態で添加しても同じ磁石特性が得られることがわかった。

0058

(実施例5)
Nd:12.8原子%、Dy:1.0原子%、B:6.0原子%、Ag:0.05〜0.10原子%、Ga:0.10原子%、残部Feからなる合金、およびNd:11.7原子%、Dy:2.0原子%、B:6.0原子%、Ag:0.05〜0.10原子%、Ga:0.10原子%、残部Feからなる合金を用意し、実施例1と同様の工程により、実施例5を作製した。比較例として、Dyは添加したが、Ag及びGaを添加していない合金を用意し、焼結体を作製した。本実施例および比較例について、磁石特性を測定した。測定結果を以下の表1に示す。

0059

0060

表1からわかるように、Dyが添加された組成系においても、AgおよびGaの複合添加によるHcJ向上効果が得られた。

0061

本発明の希土類焼結磁石は、CuやAlが添加された従来のR−Fe−B系希土類焼結磁石より高い磁石特性を示す。このため、本発明の希土類焼結磁石は、保磁力及び残留磁束密度の両方が高い値を有することの求められる種々の用度に好適に用いられる。

図面の簡単な説明

0062

Ag添加量と保磁力HcJ(kA/m)との関係を示すグラフである。
B量と保磁力HcJ(kA/m)及び残留磁束密度Br(T)との関係を示すグラフである。
Ga添加量と保磁力HcJ(kA/m)との関係を示すグラフである。
異なる方法でAg及びGaを添加した実施例について、Ag添加量と保磁力HcJ(kA/m)との関係を示すグラフである。

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