図面 (/)

技術 濃縮乳製品およびその製造方法

出願人 株式会社日清煉乳
発明者 増野和治塚野久美子原詳治郎
出願日 2006年7月31日 (14年4ヶ月経過) 出願番号 2006-207978
公開日 2008年2月14日 (12年10ヶ月経過) 公開番号 2008-029278
状態 特許登録済
技術分野 乳製品 非アルコール性飲料
主要キーワード 範囲最大値 使用開始位置 濃縮処理前 加熱殺菌効果 加熱処理機 任意粒子 連続濃縮 容量流
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年2月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

本発明は、食品添加物を添加することなく、濃縮乳製品貯蔵期間を長時間とすることが可能であり、かつ製造中、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物凝固物が生じたりするといった問題点の無い濃縮乳製品の製造方法を提供することを主目的とするものである。

解決手段

上記目的を達成するために、本発明は、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す予熱処理工程と、前記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す加熱殺菌処理工程と、前記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程とを有することを特徴とする濃縮乳製品の製造方法を提供する。

概要

背景

一般に濃縮乳は、生牛乳を殺菌あるいは滅菌のために、65℃、20〜30分間程度の低温長時間殺菌処理(以下、LTLT処理とする場合がある。)、75〜98℃、5〜15分間程度高温短時間殺菌処理(以下、HTST処理とする場合がある。)、および110〜140℃、5〜60秒間程度の超高温短時間加熱処理(以下、UHT処理とする場合がある。)などの加熱殺菌処理を施した後に通常は2〜4倍程度まで濃縮処理して濃縮乳としたものを、あるいは脱脂乳乳脂肪等の乳製品主原料として、加水溶解して濃縮したものを、濃縮処理後の加熱殺菌処理を行わないで容器充填するか、殺菌あるいは滅菌のために低温長時間殺菌処理、高温短時間殺菌処理、および超高温短時間加熱処理などの加熱殺菌処理が施された後、ポリ容器紙容器等に充填して濃縮乳製品として製造するか、あるいは濃縮乳を缶などの容器に充填した後に110〜130℃、10〜40分間程度の加熱処理(以下、レトルト殺菌処理とする場合がある。)して濃縮乳製品として製造されてきた。

しかしながら、大量消費する大口消費者向けには、濃縮処理前加熱殺菌を施し、濃縮処理後には加熱殺菌処理を行わずに容器に充填されるか、あるいは濃縮後に加熱殺菌処理としてLTLT処理またはHTST処理を行ったものを容器に充填したものを濃縮乳とする場合が多く、この場合、製造された濃縮乳は、冷蔵下における保存が10日間程度に留まり、長期間の冷蔵下保存が出来ないと言うのが現状であった。
また、濃縮後にUHT処理を行って容器に充填し、濃縮乳製品としているものが一部存在しているが、当該製品は、冷蔵下における保存を長期間とすることは可能であるが、濃縮乳製品中に不溶物凝固物が生じたりするといった製造上の問題点があるか、あるいは、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無いなど、濃縮乳製品としては風味が悪いと言う欠点を有しているものであった。これは、濃縮乳が未濃縮乳と比較して、殺菌や滅菌のために行われる上述したような加熱殺菌処理に対して不安定であり、しばしば凝固を生じることがあるためであり、特にUHT処理により濃縮乳に加熱殺菌処理を行う場合は、加熱によるタンパク変性により加熱殺菌処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりすると言った不安定な製造上の問題点があり、濃縮乳を容器に充填する際は、全く加熱殺菌処理を行わないか、UHT処理より温和な加熱殺菌処理であるLTLT処理またはHTST処理での加熱殺菌処理を行わざるを得ず、従って、濃縮乳製品は、冷蔵下において10日間程度の保存しか出来ないと言うのが現状であり、濃縮乳をUHT処理または、これと同等の加熱殺菌処理をしても、加熱によるタンパク変性により加熱殺菌処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりすることがなく、容器に無菌的に充填して冷蔵下で長期間保存可能な、かつ風味が良好で、品質的にも安定な濃縮乳製品と、その安定な製造方法の提供が望まれていた。

このような問題がある中、濃縮乳を製造する場合、一般的に採用されている製造方法としては、生牛乳を工場受け入れた後、HTST処理またはUHT処理を行い、さらに必要に応じて均質化処理(ホモジナイズ)を行う、または行わないで、真空濃縮機により2〜4倍程度の濃縮を行い、UHT処理またはこれと同等の加熱殺菌効果を有する加熱殺菌処理を施すことがなく、次いで容器に充填することが行われている。しかしながら、この濃縮乳の製造方法では、どうしても、真空濃縮処理を行う際に濃縮乳に外気が引き込まれる場合が多々あるため、外気中に含まれる微生物汚染され、濃縮前に生牛乳をHTST処理またはUHT処理して衛生的にしたにもかかわらず、製造された濃縮乳製品は、冷蔵下であっても衛生的に長期間保存できない欠点を有していた。
このため、長期間保存を実現するための方法として、真空濃縮処理により得られた濃縮乳を一旦、取り出し、必要に応じて均質化処理(ホモジナイズ)を行う、または行わないで缶に充填し、レトルト殺菌処理を行い、いわゆる無糖煉乳(エバミルク)とする方法や、真空濃縮処理の濃縮程度を2倍程度に留めておき、必要に応じて均質化処理(ホモジナイズ)を行う、または行わないでUHT処理を行う方法が行われている。しかしながら、前者の無糖煉乳(エバミルク)とする方法は、少容量流通品を製造することが目的であって、大量に濃縮乳を消費する飲食品の製造には不適であり、かつレトルト殺菌処理と言う過大な加熱条件を経るため、本来の乳の風味が劣化し、またタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたり、乳化破壊が生じて、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無くなったり、あるいは脂肪の分離が生じたりと言う欠点を有していた。一方、後者は、前者と較べて大量に濃縮乳を消費する飲食品の製造に適応できる長期保存可能な濃縮乳の大量製造方法で、かつ比較的、前者に較べ、濃縮程度を2倍程度に留めてUHT処理を行っているため、本来の乳の風味が劣化し、またタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたり、乳化破壊が生じて、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無くなったり、あるいは脂肪の分離が生じたりと言う欠点が緩和されたものとなっているが、その濃縮程度が2倍程度であり、製造コストの面から言えば、3〜4倍程度に濃縮された濃縮乳に較べてコスト面での不利は否めないものであり、さらにUHT処理を行う加熱殺菌機の焦げ付きが常に懸念される中で製造されているのが現状であった。
以上のような理由から、濃縮程度が少なくとも3倍以上であり、当該濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施しても加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点の無い、しかも、世の中に大量に流通している濃縮乳が粒度分布におけるメジアン径が1.5〜3.9μmと言ったものが大部分を占める中、粒度分布におけるメジアン径を1.5μm以下にすることで、より乳化定性が大きく風味が良好なものとし、かつ冷蔵下において貯蔵期間の長期間化が可能な濃縮乳製品の出現が望まれていた。

このような実情を踏まえ乳業界では、濃縮乳の熱安定性を改善して、より過酷な加熱殺菌処理を施すことを可能にするために、濃縮前の牛乳にHTST処理またはUHT処理等の予熱処理を施したり、あるいはクエン酸塩またはリン酸塩等の食品添加物を添加したりすることが提案されてきた。しかしながら、特に3〜4倍程度に濃縮乳された濃縮乳をUHT処理またはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合においては、クエン酸塩またはリン酸塩等の食品添加物を添加したりすることでの加熱安定性に関する改善効果は見出されるが、牛乳以外の食品添加物を添加しなければならないと言う問題があった。また、食品添加物を添加しないで、濃縮前の牛乳にHTST処理またはUHT処理等の予熱処理を施すことで濃縮乳の熱安定性を改善する方法では、上述したような不具合、すなわち加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点を完全に防止することは難しいのが現状であり、また、これらの問題点を解決する技術および理論は見出されていなかった。

一方、このような問題を避けるため、比較的温和な加熱条件である、LTLT処理やHTST処理により濃縮乳を殺菌した場合は、加熱殺菌効果の不足により冷蔵下であっても衛生的な安全性を担保することができないことから、濃縮乳製品の冷蔵下の貯蔵期間を短期間に設定せざるを得ないといった問題があった。また、特にレトルト殺菌処理やUHT処理により殺菌された濃縮乳製品は、冷蔵下の貯蔵期間を長くすることは可能であるが、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料ココア飲料、さらにはスープ等の乳入り飲料に添加した場合、これらの飲料等の製造時の殺菌処理により製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりするといった問題点があった。

そこで、本発明者等は、濃縮乳について鋭意研究を進める中で、特許文献1において、濃縮前の生牛乳に予熱処理を施して、乳の加熱変性度を示すホエイタンパク指数測定法準拠した透過率測定により、少なくとも93%以上の透過率を有するものとし、かつ濃縮処理前および濃縮処理後に均質化処理することを必須条件として、特に、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等に添加した場合、熱安定性が向上し、上述したようなこれらの飲料等の製造時の殺菌処理により製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりするといった問題点が改善されると言った技術を提案した。

しかしながら、このような予熱処理を施し、かつ均質化処理を施した濃縮乳は、より長時間の貯蔵期間を得るために、該濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合においては、同様な不具合、すなわち加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点があり、これらを完全に防止する技術について包含するものではなかった。

そこで、本発明者等は、特許文献1の発明内容を元に、特許文献2および同3において、リン酸塩または炭酸水素ナトリウムを添加することで、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合において、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点を完全に防止する技術を提案した。

しかしながら、このような濃縮乳は、リン酸塩または炭酸水素ナトリウムと言った食品添加物を添加すると言った本来の濃縮乳にはない物質を添加する方法であり、これらの物質を一切添加しないでUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した濃縮乳およびその製造方法が求められていた。

この他、特許文献4においては、牛乳を長期間保存可能で、レトルト殺菌処理しても変色することのない容器詰め牛乳について提案されているが、亜硫酸ナトリウム及び又はピロ亜硫酸カリウムを添加する方法であり、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

また、特許文献5においては、牛乳類を長期保存しても乳化安定性に優れた容器入り牛乳類について提案されているが、ショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法であり、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

さらに、特許文献6においては、乳成分を含有する飲料において、高温で長期間保存しても、耐熱性芽胞菌胞子の発および増殖がない保存性の優れた飲料製について提案されているが、ジグリセリン脂肪酸モノエステル組成物を添加する方法であり、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

次いで、特許文献7においては、15〜45℃の生クリームに濃縮乳や煉乳等の乳製品を添加し、混合撹拌した後、殺菌または滅菌処理する風味および物性を改良した改質クリーム製造法が提案されているが、従来より乳脂肪分主体とし、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりする主原因となる乳タンパクをほとんど含有しない生クリームについては、加熱処理機への焦げ付きが生じずにUHT処理が可能であることが知られており、なおかつ、乳脂肪分を主体とし、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりする主原因となる乳タンパクをほとんど含有しない風味が良好で、かつホイップ性口溶け等の物性が良好な改質クリームを提供することを主たる目的とする発明であるため、濃縮乳に適用できる方法ではなかった。

一方、特許文献8においては、乳タンパクの一種であるホエータンパク質を脱脂乳に配合して濃縮乳とするか、あるいは脱脂乳を濃縮した濃縮乳にホエータンパク質を配合して、これらを70〜100℃にて1〜20分間加熱保持して、ホエータンパク質を加熱変性せしめ、次いで、乾燥して粉乳とし、該粉乳を酸性溶液に添加して加熱しても、乳タンパク質の凝固、沈澱が生じない粉乳とその製造方法が提案されているが、本来、粉乳およびその製造方法を対象としており、しかも本願発明が目的とするUHT処理またはそれと同等な加熱殺菌処理は、100℃、20分間以上の過大な加熱条件であり、本願発明の濃縮乳の内容に、そのまま適用できるものではなかった。

また、特許文献9においては、全乳固形分の全量に対して、乳糖が5%未満、乳タンパク質が40〜70%、および乳脂肪が15〜45%を含有してなる、加熱処理、レトルト殺菌処理、あるいは保存中の褐変が抑制された耐熱性乳原料を提案しているが、そもそも乳原料の褐変は乳成分中の乳糖および乳タンパク質に起因するメイラード反応によるものと言われ、乳糖含有量を少なくして、褐変を抑制するのは当然なる結論であるし、また濃縮乳中に含有される乳糖は全乳固形分の全量に対して、少なくとも20%以上は含有されるものであるから、本願発明の濃縮乳の内容に、そのまま適用できるものではなかった。

さらに、特許文献10においては、還元乳飲料を得るために、超高温殺菌処理を行う殺菌液状濃縮乳を提案しているが、安定剤としてリン酸塩、カラギーナンを含有するものであるので、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

特開2002−345402号公報
特開2005−245281号公報
特開2006−87358号公報
特開平5−137503号公報
特開平6−217687号公報
特開平8−228676号公報
特開平8−205770号公報
特開平10−56962号公報
特開平10−327752号公報
特公表2004−528849号公報

概要

本発明は、食品添加物を添加することなく、濃縮乳製品の貯蔵期間を長時間とすることが可能であり、かつ製造中、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった問題点の無い濃縮乳製品の製造方法を提供することを主目的とするものである。上記目的を達成するために、本発明は、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す予熱処理工程と、前記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す加熱殺菌処理工程と、前記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程とを有することを特徴とする濃縮乳製品の製造方法を提供する。なし

目的

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、リン酸塩または炭酸水素ナトリウム等の食品添加物を添加することなく、濃縮乳製品の貯蔵期間を長期間とすることが可能であり、かつ加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点の無い、しかも粒度分布におけるメジアン径をより小さくすることで、より乳化安定性が大きく風味が良好な、また、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等に添加した場合に、これらの飲料等の製造時に乳成分の分離、沈澱が生じたりと言った問題点がない、冷蔵下で長期間保存可能な濃縮乳製品およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

冷蔵下において、長期保存が可能なことを特徴とする濃縮乳製品

請求項2

0〜10℃の冷蔵下、かつ保存期間が0〜60日間の条件下において、衛生的に安全保存可能なことを特徴とする請求項1に記載の濃縮乳製品。

請求項3

脂肪分を3〜30質量%、無脂固形分を10〜37質量%含有し、全固形分が23〜50質量%であり、かつ乳化剤リン酸塩および増粘多糖類を一切含有しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の濃縮乳製品。

請求項4

前記脂肪分が、乳脂肪植物脂肪および乳脂肪以外の動物脂肪からなる群から選択される一種または二種以上の脂肪分であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の濃縮乳製品。

請求項5

前記無脂固形分が、乳由来植物由来および乳以外の動物由来からなる群から選択されるタンパク炭水化物および灰分からなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の濃縮乳製品。

請求項6

原料獣乳由来であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の濃縮乳製品。

請求項7

請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の濃縮乳製品を含むことを特徴とする乳入り飲料

請求項8

濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す予熱処理工程と、前記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す加熱殺菌処理工程と、前記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程とを有することを特徴とする濃縮乳製品の製造方法。

請求項9

前記予熱処理工程における乳の粒度分布メジアン径が0.9〜5.0μmであることを特徴とする請求項8に記載の濃縮乳製品の製造方法。

請求項10

前記予熱処理工程において得られる乳の加熱変性度について、420nmにおける透過率が、90%以上であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の濃縮乳の製造方法。

請求項11

前記均質化処理工程後に無菌充填された密閉容器入り濃縮乳製品が、冷蔵下において、0〜60日間、衛生的に安全保存することが可能なことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかの請求項に記載の濃縮乳製品の製造方法。

請求項12

請求項8から請求項11のいずれかの請求項に記載の濃縮乳製品の製造方法により濃縮乳製品を製造する濃縮乳製品製造工程と、前記濃縮乳製品製造工程により得られた濃縮乳製品を用いて乳入り飲料を製造する乳入り飲料製造工程とを有することを特徴とする乳入り飲料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、超高温短時間加熱処理殺菌が可能な濃縮乳製品およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

一般に濃縮乳は、生牛乳を殺菌あるいは滅菌のために、65℃、20〜30分間程度の低温長時間殺菌処理(以下、LTLT処理とする場合がある。)、75〜98℃、5〜15分間程度高温短時間殺菌処理(以下、HTST処理とする場合がある。)、および110〜140℃、5〜60秒間程度の超高温短時間加熱処理(以下、UHT処理とする場合がある。)などの加熱殺菌処理を施した後に通常は2〜4倍程度まで濃縮処理して濃縮乳としたものを、あるいは脱脂乳乳脂肪等の乳製品主原料として、加水溶解して濃縮したものを、濃縮処理後の加熱殺菌処理を行わないで容器充填するか、殺菌あるいは滅菌のために低温長時間殺菌処理、高温短時間殺菌処理、および超高温短時間加熱処理などの加熱殺菌処理が施された後、ポリ容器紙容器等に充填して濃縮乳製品として製造するか、あるいは濃縮乳を缶などの容器に充填した後に110〜130℃、10〜40分間程度の加熱処理(以下、レトルト殺菌処理とする場合がある。)して濃縮乳製品として製造されてきた。

0003

しかしながら、大量消費する大口消費者向けには、濃縮処理前加熱殺菌を施し、濃縮処理後には加熱殺菌処理を行わずに容器に充填されるか、あるいは濃縮後に加熱殺菌処理としてLTLT処理またはHTST処理を行ったものを容器に充填したものを濃縮乳とする場合が多く、この場合、製造された濃縮乳は、冷蔵下における保存が10日間程度に留まり、長期間の冷蔵下保存が出来ないと言うのが現状であった。
また、濃縮後にUHT処理を行って容器に充填し、濃縮乳製品としているものが一部存在しているが、当該製品は、冷蔵下における保存を長期間とすることは可能であるが、濃縮乳製品中に不溶物凝固物が生じたりするといった製造上の問題点があるか、あるいは、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無いなど、濃縮乳製品としては風味が悪いと言う欠点を有しているものであった。これは、濃縮乳が未濃縮乳と比較して、殺菌や滅菌のために行われる上述したような加熱殺菌処理に対して不安定であり、しばしば凝固を生じることがあるためであり、特にUHT処理により濃縮乳に加熱殺菌処理を行う場合は、加熱によるタンパク変性により加熱殺菌処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりすると言った不安定な製造上の問題点があり、濃縮乳を容器に充填する際は、全く加熱殺菌処理を行わないか、UHT処理より温和な加熱殺菌処理であるLTLT処理またはHTST処理での加熱殺菌処理を行わざるを得ず、従って、濃縮乳製品は、冷蔵下において10日間程度の保存しか出来ないと言うのが現状であり、濃縮乳をUHT処理または、これと同等の加熱殺菌処理をしても、加熱によるタンパク変性により加熱殺菌処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりすることがなく、容器に無菌的に充填して冷蔵下で長期間保存可能な、かつ風味が良好で、品質的にも安定な濃縮乳製品と、その安定な製造方法の提供が望まれていた。

0004

このような問題がある中、濃縮乳を製造する場合、一般的に採用されている製造方法としては、生牛乳を工場受け入れた後、HTST処理またはUHT処理を行い、さらに必要に応じて均質化処理(ホモジナイズ)を行う、または行わないで、真空濃縮機により2〜4倍程度の濃縮を行い、UHT処理またはこれと同等の加熱殺菌効果を有する加熱殺菌処理を施すことがなく、次いで容器に充填することが行われている。しかしながら、この濃縮乳の製造方法では、どうしても、真空濃縮処理を行う際に濃縮乳に外気が引き込まれる場合が多々あるため、外気中に含まれる微生物汚染され、濃縮前に生牛乳をHTST処理またはUHT処理して衛生的にしたにもかかわらず、製造された濃縮乳製品は、冷蔵下であっても衛生的に長期間保存できない欠点を有していた。
このため、長期間保存を実現するための方法として、真空濃縮処理により得られた濃縮乳を一旦、取り出し、必要に応じて均質化処理(ホモジナイズ)を行う、または行わないで缶に充填し、レトルト殺菌処理を行い、いわゆる無糖煉乳(エバミルク)とする方法や、真空濃縮処理の濃縮程度を2倍程度に留めておき、必要に応じて均質化処理(ホモジナイズ)を行う、または行わないでUHT処理を行う方法が行われている。しかしながら、前者の無糖煉乳(エバミルク)とする方法は、少容量流通品を製造することが目的であって、大量に濃縮乳を消費する飲食品の製造には不適であり、かつレトルト殺菌処理と言う過大な加熱条件を経るため、本来の乳の風味が劣化し、またタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたり、乳化破壊が生じて、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無くなったり、あるいは脂肪の分離が生じたりと言う欠点を有していた。一方、後者は、前者と較べて大量に濃縮乳を消費する飲食品の製造に適応できる長期保存可能な濃縮乳の大量製造方法で、かつ比較的、前者に較べ、濃縮程度を2倍程度に留めてUHT処理を行っているため、本来の乳の風味が劣化し、またタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたり、乳化破壊が生じて、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無くなったり、あるいは脂肪の分離が生じたりと言う欠点が緩和されたものとなっているが、その濃縮程度が2倍程度であり、製造コストの面から言えば、3〜4倍程度に濃縮された濃縮乳に較べてコスト面での不利は否めないものであり、さらにUHT処理を行う加熱殺菌機の焦げ付きが常に懸念される中で製造されているのが現状であった。
以上のような理由から、濃縮程度が少なくとも3倍以上であり、当該濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施しても加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点の無い、しかも、世の中に大量に流通している濃縮乳が粒度分布におけるメジアン径が1.5〜3.9μmと言ったものが大部分を占める中、粒度分布におけるメジアン径を1.5μm以下にすることで、より乳化定性が大きく風味が良好なものとし、かつ冷蔵下において貯蔵期間の長期間化が可能な濃縮乳製品の出現が望まれていた。

0005

このような実情を踏まえ乳業界では、濃縮乳の熱安定性を改善して、より過酷な加熱殺菌処理を施すことを可能にするために、濃縮前の牛乳にHTST処理またはUHT処理等の予熱処理を施したり、あるいはクエン酸塩またはリン酸塩等の食品添加物を添加したりすることが提案されてきた。しかしながら、特に3〜4倍程度に濃縮乳された濃縮乳をUHT処理またはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合においては、クエン酸塩またはリン酸塩等の食品添加物を添加したりすることでの加熱安定性に関する改善効果は見出されるが、牛乳以外の食品添加物を添加しなければならないと言う問題があった。また、食品添加物を添加しないで、濃縮前の牛乳にHTST処理またはUHT処理等の予熱処理を施すことで濃縮乳の熱安定性を改善する方法では、上述したような不具合、すなわち加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点を完全に防止することは難しいのが現状であり、また、これらの問題点を解決する技術および理論は見出されていなかった。

0006

一方、このような問題を避けるため、比較的温和な加熱条件である、LTLT処理やHTST処理により濃縮乳を殺菌した場合は、加熱殺菌効果の不足により冷蔵下であっても衛生的な安全性を担保することができないことから、濃縮乳製品の冷蔵下の貯蔵期間を短期間に設定せざるを得ないといった問題があった。また、特にレトルト殺菌処理やUHT処理により殺菌された濃縮乳製品は、冷蔵下の貯蔵期間を長くすることは可能であるが、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料ココア飲料、さらにはスープ等の乳入り飲料に添加した場合、これらの飲料等の製造時の殺菌処理により製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりするといった問題点があった。

0007

そこで、本発明者等は、濃縮乳について鋭意研究を進める中で、特許文献1において、濃縮前の生牛乳に予熱処理を施して、乳の加熱変性度を示すホエイタンパク指数測定法準拠した透過率測定により、少なくとも93%以上の透過率を有するものとし、かつ濃縮処理前および濃縮処理後に均質化処理することを必須条件として、特に、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等に添加した場合、熱安定性が向上し、上述したようなこれらの飲料等の製造時の殺菌処理により製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりするといった問題点が改善されると言った技術を提案した。

0008

しかしながら、このような予熱処理を施し、かつ均質化処理を施した濃縮乳は、より長時間の貯蔵期間を得るために、該濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合においては、同様な不具合、すなわち加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点があり、これらを完全に防止する技術について包含するものではなかった。

0009

そこで、本発明者等は、特許文献1の発明内容を元に、特許文献2および同3において、リン酸塩または炭酸水素ナトリウムを添加することで、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合において、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点を完全に防止する技術を提案した。

0010

しかしながら、このような濃縮乳は、リン酸塩または炭酸水素ナトリウムと言った食品添加物を添加すると言った本来の濃縮乳にはない物質を添加する方法であり、これらの物質を一切添加しないでUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した濃縮乳およびその製造方法が求められていた。

0011

この他、特許文献4においては、牛乳を長期間保存可能で、レトルト殺菌処理しても変色することのない容器詰め牛乳について提案されているが、亜硫酸ナトリウム及び又はピロ亜硫酸カリウムを添加する方法であり、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

0012

また、特許文献5においては、牛乳類を長期保存しても乳化安定性に優れた容器入り牛乳類について提案されているが、ショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法であり、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

0013

さらに、特許文献6においては、乳成分を含有する飲料において、高温で長期間保存しても、耐熱性芽胞菌胞子の発および増殖がない保存性の優れた飲料製について提案されているが、ジグリセリン脂肪酸モノエステル組成物を添加する方法であり、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

0014

次いで、特許文献7においては、15〜45℃の生クリームに濃縮乳や煉乳等の乳製品を添加し、混合撹拌した後、殺菌または滅菌処理する風味および物性を改良した改質クリーム製造法が提案されているが、従来より乳脂肪分主体とし、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりする主原因となる乳タンパクをほとんど含有しない生クリームについては、加熱処理機への焦げ付きが生じずにUHT処理が可能であることが知られており、なおかつ、乳脂肪分を主体とし、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりする主原因となる乳タンパクをほとんど含有しない風味が良好で、かつホイップ性口溶け等の物性が良好な改質クリームを提供することを主たる目的とする発明であるため、濃縮乳に適用できる方法ではなかった。

0015

一方、特許文献8においては、乳タンパクの一種であるホエータンパク質を脱脂乳に配合して濃縮乳とするか、あるいは脱脂乳を濃縮した濃縮乳にホエータンパク質を配合して、これらを70〜100℃にて1〜20分間加熱保持して、ホエータンパク質を加熱変性せしめ、次いで、乾燥して粉乳とし、該粉乳を酸性溶液に添加して加熱しても、乳タンパク質の凝固、沈澱が生じない粉乳とその製造方法が提案されているが、本来、粉乳およびその製造方法を対象としており、しかも本願発明が目的とするUHT処理またはそれと同等な加熱殺菌処理は、100℃、20分間以上の過大な加熱条件であり、本願発明の濃縮乳の内容に、そのまま適用できるものではなかった。

0016

また、特許文献9においては、全乳固形分の全量に対して、乳糖が5%未満、乳タンパク質が40〜70%、および乳脂肪が15〜45%を含有してなる、加熱処理、レトルト殺菌処理、あるいは保存中の褐変が抑制された耐熱性乳原料を提案しているが、そもそも乳原料の褐変は乳成分中の乳糖および乳タンパク質に起因するメイラード反応によるものと言われ、乳糖含有量を少なくして、褐変を抑制するのは当然なる結論であるし、また濃縮乳中に含有される乳糖は全乳固形分の全量に対して、少なくとも20%以上は含有されるものであるから、本願発明の濃縮乳の内容に、そのまま適用できるものではなかった。

0017

さらに、特許文献10においては、還元乳飲料を得るために、超高温殺菌処理を行う殺菌液状濃縮乳を提案しているが、安定剤としてリン酸塩、カラギーナンを含有するものであるので、本来の濃縮乳にはない物質を一切添加しない方法ではなかった。

0018

特開2002−345402号公報
特開2005−245281号公報
特開2006−87358号公報
特開平5−137503号公報
特開平6−217687号公報
特開平8−228676号公報
特開平8−205770号公報
特開平10−56962号公報
特開平10−327752号公報
特公表2004−528849号公報

発明が解決しようとする課題

0019

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、リン酸塩または炭酸水素ナトリウム等の食品添加物を添加することなく、濃縮乳製品の貯蔵期間を長期間とすることが可能であり、かつ加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点の無い、しかも粒度分布におけるメジアン径をより小さくすることで、より乳化安定性が大きく風味が良好な、また、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等に添加した場合に、これらの飲料等の製造時に乳成分の分離、沈澱が生じたりと言った問題点がない、冷蔵下で長期間保存可能な濃縮乳製品およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。

課題を解決するための手段

0020

上記目的を達成するために、本発明者等は鋭意検討した結果、リン酸塩や炭酸水素ナトリウム等の食品添加物を一切添加しなくても、また、濃縮の程度を2倍程度に留めなくても、濃縮処理前に生牛乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した予熱処理を行い、さらに当該予熱処理前後に好ましくは当該予熱前に、均質化処理を行わないか、あるいは均質化処理を行う場合は、濃縮工程中に乳脂肪の分離を防止する程度の低圧の均質化処理を行う程度に留めて濃縮処理して得られた濃縮乳は、その後、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施しても加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点の無い、冷蔵下において貯蔵期間の長時間化が可能な濃縮乳とすることが可能であることを見出した。さらにUHT処理された当該濃縮乳を加熱処理機後の密閉無菌ライン上で均質化することで、濃縮乳の粒度分布が、従来の濃縮乳に較べて、より細少となり、本来の乳の風味が劣化し、またタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたり、乳化破壊が生じて、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無くなったり、あるいは脂肪の分離が生じたりと言う欠点がない、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等に添加した場合、前述したようなこれらの飲料等の製造時の殺菌処理により製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりするといった問題点が改善された、冷蔵下での長期間貯蔵可能な濃縮乳製品を提供できることを見出した。
本発明は、さらに濃縮処理前の生牛乳を全く、均質化処理を施さないで濃縮処理を行うことも可能であるが、望ましくは濃縮処理中、または濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理する工程中に乳脂肪の分離を生じさせないために、均質化処理を施すことが望ましいこと、ただし、その均質圧力は、均質機により各々特性があるために、特に限定されるものではないが、10〜100kgf/cm2程度、好ましくは30〜50kgf/cm2の低圧均質処理を施すことが望ましいことを見出した。これらの範囲を超えた高均質圧力で均質処理を施すと、濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理する工程において、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった問題が生じることを見出したからである。
この場合の均質処理を施した場合の牛乳または濃縮乳の好ましい粒度分布はメジアン径としては、下記の粒度分布測定条件にて測定した場合において、0.9〜5.0μm、好ましくは1.2〜3.0μmであることが望ましい。通常の生牛乳のメジアン径は3.0〜6.0μmであるが、本発明における好ましい粒度分布の範囲以下のメジアン径である濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理すると、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった問題が生じることを見出したからである。

0021

また、本発明においては、0〜10℃の冷蔵下、かつ保存期間が0〜60日間の条件下において、衛生的に安全保存可能なことが好ましい。

0022

さらに、本発明においては、脂肪分を3〜30質量%、無脂固形分を10〜37質量%含有し、全固形分が23〜50質量%であり、かつ乳化剤、リン酸塩および増粘多糖類を一切含有しないことが好ましい。このような食品添加物を含有しないことにより、乳本来の風味が損なわれることがなく、また食品添加物を含有しない食品を求める健康志向ニーズに合った濃縮乳製品とすることが可能となるからである。

0023

また、本発明においては、上記脂肪分が、乳脂肪、植物脂肪および乳脂肪以外の動物脂肪からなる群から選択される一種または二種以上の脂肪分であってもよい。さらに、本発明においては、上記無脂固形分が、乳由来植物由来および乳以外の動物由来からなる群から選択されるタンパク、炭水化物および灰分からなるものであってもよい。

0024

また、本発明においては、原料獣乳由来であることが好ましい。これにより、乳本来の風味をもつ濃縮乳製品とすることが可能となるからである。

0025

本発明は、上記記載の濃縮乳製品を含むことを特徴とする乳入り飲料を提供する。このような乳入り飲料は、上述した濃縮乳製品を含むものであるので、製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりすることの無い安定性に優れたものである。

0026

本発明は、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理または上記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す予熱処理工程と、上記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する濃縮工程と、上記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理または上記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す加熱殺菌処理工程と、上記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程とを有することを特徴とする濃縮乳製品の製造方法を提供する。

0027

本発明によれば、予熱処理工程において、均質化処理を行わないか、または乳脂肪の分離を防止する程度の低圧下での均質化処理を行うことから、濃縮工程後にUHT処理等により殺菌処理を行い、貯蔵期間の長期間化を図った場合でも、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点のない濃縮乳の製造方法とすることができる。
また、加熱殺菌処理工程後に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程を行うことにより、タンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたりしない高い乳化安定性を有し、また各種の大小の粒度分布を有する風味が良好で、さらに冷蔵下での長期間貯蔵可能な濃縮乳製品を製造可能とすることができる。

0028

上記発明においては、上記予熱処理工程における乳の粒度分布のメジアン径が0.9〜5.0μmであることが好ましい。これにより、加熱殺菌処理工程を行った際、加熱処理機への焦げ付きをより効果的に防ぐことができるからである。

0029

本発明においては、上記予熱処理工程において得られる乳の加熱変性度を示す420nmにおける透過率が、90%以上であることが好ましい。透過率がこの程度であれば、上記の低圧にて均質化処理され、濃縮処理された濃縮乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施す際に、より熱安定性に優れたものと為すからである。

0030

本発明においては、上記均質化処理工程後に無菌充填された密閉容器入り濃縮乳製品が、冷蔵下において、0〜60日間、衛生的に安全保存することが可能なことが好ましい。

0031

また、本発明は、上述した濃縮乳製品の製造方法により濃縮乳製品を製造する濃縮乳製品製造工程と、上記濃縮乳製品製造工程により得られた濃縮乳製品を用いて乳入り飲料を製造する乳入り飲料製造工程とを有することを特徴とする乳入り飲料の製造方法を提供する。これにより得られる乳入り飲料は、製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりすることの無い安定性に優れたものである。

発明の効果

0032

本発明によれば、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点がなく、さらには、乳化安定性が高く、また風味が良好で、さらに冷蔵下での長期間貯蔵可能な濃縮乳を製造することが可能な濃縮乳製品の製造方法を提供できるといった効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

0033

本発明は、長期間の貯蔵が可能な濃縮乳製品、およびそれを含有する乳入り飲料、さらにはこれらの製造方法を含むものである。以下、それぞれについて詳細に説明する。

0034

A.濃縮乳製品
まず、本発明の濃縮乳製品について説明する。本発明の濃縮乳製品は、冷蔵下において長期保存可能なことを特徴とするものである。本発明においては、特に0〜10℃の冷蔵下、かつ保存期間が0〜60日間、好ましくは、0〜5℃の冷蔵下において、保存期間が0〜60日間、より好ましくは0〜5℃の冷蔵下において、保存期間が0〜45日間の条件下において、衛生的に安全保存可能なことが好ましい。

0035

ここで、本発明でいう濃縮乳製品とは、牛乳を2〜4倍程度に濃縮した全脂濃縮乳であるが、本発明における全脂濃縮乳は、特に限定されるものではなく、牛乳以外に乳、馬乳等の獣乳、さらには脂肪、タンパク、炭水化物、灰分を個別に混合溶解したものであってもよく、また牛乳に乳由来の脂肪、タンパク、炭水化物、灰分を、もしくは乳以外の由来の脂肪、タンパク、炭水化物、灰分を適宜混合溶解したものでも良い。なお、乳以外の由来の脂肪とは、動物脂肪であってもよく、また植物脂肪であってもよい。さらに、乳以外のタンパクおよび炭水化物、灰分についても、植物由来のものであってもよく、また乳以外の動物由来のものであってもよい。
本発明において、濃縮乳製品の原料としては、牛乳、羊乳、馬乳等の獣乳由来であることが好ましい。

0036

また、本発明の濃縮乳製品の成分は、脂肪分を3〜30質量%、無脂固形分を10〜37質量%含有し、全固形分(TS)が23〜50質量%からなるもので、かつ乳化剤、リン酸塩、増粘多糖類等の食品添加物を一切含有しないことが好ましい。なお、一般的に、濃縮乳製品(濃縮乳)とは、全固形分(TS)が23〜50質量%の範囲内、乳脂肪(MF)が7〜16質量%の範囲内、無脂固形乳(NFS)が16〜36質量%の範囲内のものを言う。

0037

このような濃縮乳製品の製造方法としては、例えば、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理等を施す予熱処理工程と、上記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する濃縮工程と、上記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理等を施す加熱殺菌処理工程と、上記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程とを経て製造することができる。このような製造方法については、後述する「C.濃縮乳製品の製造方法」の欄で詳述するものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。

0038

B.乳入り飲料
次に、本発明の乳入り飲料について説明する。本発明の乳入り飲料は、上記「A.濃縮乳製品」の欄で説明した濃縮乳製品を含むことを特徴とするものである。このような乳入り飲料は、上述した濃縮乳製品を含むものであるので、製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりすることの無い安定性に優れたものである。

0039

ここで、乳入り飲料とは、乳を含む飲料であれば特に限定されるものではないが、具体的にはミルクコーヒー、ミルク入り紅茶ココア、スープ等を挙げることができる。
このような本発明の乳入り飲料に含まれる濃縮乳製品の量としては、飲料の種類により大きく異なるものではあるが、一般的には、1.0質量%〜10.0質量%の範囲内であるとすることができる。

0040

C.濃縮乳製品の製造方法
次に、本発明の濃縮乳製品の製造方法について説明する。本発明の濃縮乳製品の製造方法は、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す予熱処理工程と、上記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する濃縮工程と、上記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理または上記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す加熱殺菌処理工程と、上記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す均質化処理工程とを有することを特徴とするものであり、その後、無菌的に密閉容器に充填して濃縮乳製品とされるものである。

0041

本発明の濃縮乳製品の製造方法は、リン酸塩や炭酸水素ナトリウム等の食品添加物を一切添加しなくても、また、濃縮の程度を2倍程度に留めなくても、濃縮処理前に生牛乳等の原料となる乳をUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した予熱処理を行い、さらに当該予熱処理前後に好ましくは当該予熱前に、均質化処理を行わないか、あるいは均質化処理を行う場合は、濃縮工程中に乳脂肪の分離を防止する程度の低圧の均質化処理を行う程度に留めて濃縮処理を行うことにより、その後の加熱殺菌処理工程において、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施しても加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった製造上の問題点の無い濃縮乳製品とすることが可能となる。

0042

また、加熱殺菌処理工程が、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を行う工程であるので、冷蔵下において貯蔵期間の長期間化が可能な濃縮乳製品とすることが可能となる。

0043

さらに、上記加熱殺菌処理工程後に、例えば密閉無菌ライン上で均質化処理を行う等の均質化処理工程を行うことにより、濃縮乳の粒度分布が、従来の濃縮乳に較べて、より細少となることで、本来の乳の風味が劣化し、またタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたり、乳化破壊が生じて、乳脂肪の脂肪球が大きくなって滑らかさが無くなったり、あるいは脂肪の分離が生じたりと言う欠点がなく、例えば缶入りミルクコーヒー飲料、ミルク入り紅茶飲料、ココア飲料、さらにはスープ等に添加した場合、前述したようなこれらの飲料等の製造時の殺菌処理により製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりするといった問題点が改善された、冷蔵下での長期間貯蔵可能な濃縮乳製品を得ることができる。
以下、本発明の濃縮乳製品の製造方法について詳しく説明する。

0044

1.予熱処理工程
まず、本発明の濃縮乳製品の製造方法における予熱処理工程について説明する。本発明における予熱処理工程は、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施し、かつ超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す工程である。なお、上記低圧均質化処理を施す場合、低圧均質化処理は、上記加熱殺菌処理を施す前に行われてもよく、また上記加熱殺菌処理を施した後に行われてもよい。

0045

本発明において、濃縮乳製品の原料となる乳としては、通常牛乳、羊乳、馬乳等の獣乳の生乳や、脂肪、タンパク、炭水化物、灰分を適宜混合溶解したもの、上記生乳に上記脂肪、タンパク、炭水化物、灰分等が添加されたもの等が用いられる。なお、上記脂肪、タンパク、炭水化物、灰分としては、植物由来のものであってもよく、また動物由来のものであってもよい。

0046

本発明においては、濃縮乳製品の原料となる乳に、全く均質化処理を施さないか、あるいは低圧均質化処理を施すものであるが、好ましくは、濃縮工程中、または濃縮工程後に行われるUHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理する加熱殺菌処理工程中に乳脂肪の分離を生じさせないために、下記に示す乳の粒度分布におけるメジアン径の範囲内において、低圧均質化処理が施される。なお、乳の粒度分布におけるメジアン径が、下記に示す範囲内である場合、上記低圧均質化処理を行わなくてもよい。
本発明において低圧均質化処理とは、均質圧力を低圧にして行われる処理であり、例えば下記に挙げる通常、一般的に使用されている均質機を使用する場合、均質圧力としては、通常10〜100kgf/cm2の範囲内程度とされ、好ましくは30〜50kgf/cm2とされる。上記範囲を超えた高均質圧力で均質処理を施すと、後述する加熱殺菌処理工程において、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりするといった問題が生じるからである。

0047

また、本工程において低圧均質化処理行った場合、乳の粒度分布におけるメジアン径としては、下記の粒度分布測定条件にて測定した場合において、0.9〜5.0μmの範囲内、中でも1.2〜3.0μmであることが好ましい。上記範囲以下のメジアン径である場合、すなわち、より微細な粒度分布を有する乳化形態の乳とした場合には、後述する加熱殺菌処理工程において、加熱処理機への焦げ付きが生じたり、あるいは濃縮乳製品中に不溶物や凝固物が生じたりする傾向があるからである。
(粒度分布測定条件)
測定機器名;SALD 300ーV MODEL 2(島津製作所株式会社製)
回析散乱光検出条件測定回数;1回、測定間隔;2秒、平均回数;64回、測定吸光度範囲最大値;0.2、同最小値;0.01、評価対象粒子径範囲最大値;350、同最小値0.1、センサー使用開始位置(P);1、屈折率;1.60−0.10i
出力条件任意粒子径テーブル;2、任意%テーブル;0、分布基準;体積頻度分布;q、任意%(1);35、任意%(2);50、任意%(3);5、スムージングベル;0、データシフト;0、分布開数;無変換
グラフ条件粒子径範囲最大粒子径;500μm、同最小粒子径;0.05μm、粒子量最大値積算%;100、同頻度%;20

0048

また、このような本工程における均質化処理とは、少なくとも1回以上均質機(ホモジナイザー)により処理することをいう。用いられる均質機としては、通常、2段式均質機、1段2連式均質機、さらにはアセプテイック式均質機(アセプテイックホモジナイザー)等の現在市販されているものであれば特に限定されるものではない。

0049

本工程においては、超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理が施されるものであるが、ここで、本工程における超高温短時間加熱処理とは、通常110℃〜140℃、5〜60秒間の加熱条件で行われる処理のことを示す。
なお、上記原料の乳に対して、上記超高温短時間加熱処理または前記超高温短時間加熱処理と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理が施される前に、80〜98℃の温度条件加温処理を施してもよい。

0050

本工程においては、上記加熱殺菌処理を施すことにより、加熱殺菌処理後原料乳の加熱変性度について、波長420nmの光における透過率が90%以上、中でも93%以上にすることが好ましい。これにより、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施す際に、より熱安定性に優れたものとすることができるからである。
ここで、420nmにおける透過率とは、ホエイタンパク指数測定法(日本医学会編、乳製品試験法注解)に準拠して、製造工程で所定の予熱処理を施した原料乳の波長420nmにおける透過率を言う。なお、この透過率は、未変性ホエイタンパクの量を相対的に示すものである。

0051

2.濃縮工程
次に、本発明の濃縮乳製品の製造方法における濃縮工程について説明する。本発明における濃縮工程は、上記予熱処理工程後に得られた乳を濃縮する工程である。

0052

上記濃縮工程は、通常の濃縮乳製品の製造方法で行われるものと同様であり、用いられる濃縮機としては、特に限定されるものではないが、2〜3重効用缶を有する減圧方式の連続濃縮機が好適に用いられる。

0053

なお、本工程後、後述する加熱殺菌処理工程が行われる前に、上述した低圧均質化処理が行われてもよい。

0054

3.加熱殺菌処理工程
次に、本発明の濃縮乳製品の製造方法における加熱殺菌処理工程について説明する。本発明における加熱殺菌処理工程は、上記濃縮工程後に得られた濃縮乳に、超高温短時間加熱処理(UHT処理)または上記超高温短時間加熱処理(UHT処理)と同等の加熱効果を有する加熱殺菌処理を施す工程である。

0055

本発明におけるUHT処理とは、通常UHT処理とされている条件で行われる加熱殺菌処理であれば特に限定されるものでなく、さらにUHT処理と同等な加熱殺菌処理をも含むものである。この際の加熱条件としては、特に限定されるものではないが、一般的には10℃以下のチルド温度帯にて長時間保存される場合は、少なくとも120℃、30秒間程度、もしくはそれと同程度の加熱殺菌処理であり、常温帯にて長期間保存される場合には、140℃、5秒間程度、もしくはそれと同程度の加熱殺菌処理である。また、UHT処理を行うUHT加熱殺菌機としては、一般的には直接加熱方式と間接加熱方式があり、その何れの方式でも使用可能であるが、140℃、5秒間程度の加熱殺菌処理を行う場合は、直接加熱方式が好ましい。

0056

4.均質化処理工程
次に、本発明の濃縮乳の製造方法における均質化処理工程について説明する。本発明における濃縮工程後の均質化処理工程は、上記加熱殺菌処理工程後に得られた濃縮乳に、無菌的に均質化処理を施す工程である。

0057

本工程は、無菌的に均質化処理を施すことが可能な工程であれば特に限定されるものではないが、例えば、蒸気シールにて外部からの微生物侵入が阻止可能なアセプテイックホモジナイザーを上記加熱殺菌処理工程において使用される加熱処理機の後ライン上に設置して均質化処理を行う工程とすることができる。このアセプテイックホモジナイザーを使用することで、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した場合であるにもかかわらず、従来には無かったタンパクが熱変性を起こして、凝固を生じたりしない、乳化安定性の高い、各種の大小の粒度分布を有する風味の良好な冷蔵下での長期間貯蔵可能な濃縮乳製品を提供できるのである。

0058

均質化処理の回数は少なくとも1回行えば良いが、均質化処理における圧力条件は、10〜1,000kgf/cm2の範囲内で任意の圧力条件がとり得る。これらの任意の圧力条件をとることで、脂肪球等の大小を任意に変更することが可能となり、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施した濃縮乳であるにもかかわらず、粒度分布が大小異なった種々の風味を有する冷蔵下での長期間貯蔵可能な濃縮乳製品を提供できることになる。

0059

なお、当該均質処理を行う際の温度条件は特に限定されるものではないが、40℃〜95℃の範囲内であれば良く、特に60〜70℃付近がより好ましい。2段式均質機の場合、圧力条件が10〜600kgf/cm2であれば1段で十分であるが、脂肪のクランピングを解消する必要がある場合は、2段目処理を行う必要がある。この際の2段目の圧力条件は1段目の半分以下が好ましく、1段目と合計して圧力条件が10〜1,000kgf/cm2となれば良い。

0060

なお、本工程において均質化処理された濃縮乳の粒度分布のメジアン径としては、特に限定されるものではないが、通常0.3〜5.0μmの範囲内、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲内である。これにより、風味が良く、乳化安定性の高い濃縮乳製品とすることができるからである。

0061

5.その他
本発明においては、通常、上記均質化処理工程後に無菌充填され、密閉容器入り濃縮乳製品とされる。このような密閉容器入り濃縮乳製品は、冷蔵下において、0〜60日間、好ましくは、0〜5℃の冷蔵下において、保存期間が0〜60日間、より好ましくは0〜5℃の冷蔵下において、保存期間が0〜45日間の条件下において、衛生的に安全保存可能なことが好ましい。

0062

D.乳入り飲料の製造方法
次に、本発明の乳入り飲料の製造方法について説明する。本発明の乳入り飲料の製造方法は、上述した濃縮乳製品の製造方法により濃縮乳製品を製造する濃縮乳製品製造工程と、上記濃縮乳製品製造工程により得られた濃縮乳製品を用いて乳入り飲料を製造する乳入り飲料製造工程とを有することを特徴とするものであり、この方法により得られる乳入り飲料は、製造直後に乳の分離、沈殿が生じたり、自動販売機等で長期に加温状態に置かれた場合に、乳の分離、沈殿が生じたりすることの無い安定性に優れたものとすることができる。

0063

本発明における濃縮乳製品製造工程は、上記「C.濃縮乳製品の製造方法」において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、得られる乳入り飲料についても、上記「B.乳入り飲料」の欄で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明における乳入り飲料製造工程は、上記濃縮乳製品を例えばコーヒー抽出液等の乳入り飲料の原料と混合する工程であり、必要に応じて水等により希釈され、安定剤等の添加剤が添加されるものである。用いられる材料や方法等は、一般的な乳入り飲料の製造工程と同様のものを用いることができる。

0064

なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するもの、またはそれらの均等物は、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

0065

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(予熱処理工程)
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温した後、均質機を用いて50kgf/cm2の低圧均質化処理を行い、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が1.33μmである均質化処理牛乳を得た。次いで、120℃、30秒間のUHT処理による予熱処理を行い、420nmにおける透過率が93.1%である濃縮前牛乳を得た。
(濃縮工程)
さらに、2〜3重効用缶を有する減圧方式の連続濃縮機にて固形分が36質量%となるまで、3倍程度の濃縮を行い、得られた濃縮乳をその後、均質機を用いて再度、低圧均質化処理を行い、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が1.28μmである濃縮乳を得た。
(加熱殺菌処理工程および均質化処理工程)
次に、UHT殺菌機にて120℃、30秒間の加熱条件で加熱殺菌処理を施し、アセプテイックホモジナイザーにて150kgf/cm2の均質化処理を行い、最後に無菌ポリ袋に無菌充填して濃縮乳製品となした。
得られた濃縮乳製品は、凝固することもなく、不溶物も無いものであり、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径は0.93μmであり、大変滑らかな風味を有するものであった。濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部における焦げ付きも見られなかった。また、無菌ポリ袋に無菌充填して得られた当該濃縮乳製品は10℃以下のチルド保管において、最低30日間の衛生的安全性を担保するものであった。

0066

[実施例2]
濃縮乳をUHT殺菌機により120℃、30秒間の加熱条件で加熱殺菌処理を施した後、アセプテイックホモジナイザーにて500kgf/cm2の均質化処理を施した以外は、生牛乳を実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固することもなく、不溶物も無いものであり、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径は0.63μmであり、大変滑らかでスッキリとした風味を有するものであった。濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部における焦げ付きも見られなかった。また、無菌ポリ袋に無菌充填して得られた当該濃縮乳製品は10℃以下のチルド帯保管において、最低30日間の衛生的安全性を担保するものであった。

0067

[実施例3]
濃縮乳をUHT殺菌機により140℃、5秒間の加熱条件で加熱殺菌処理を施した以外は、生牛乳を実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固することもなく、不溶物も無いものであり、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径は1.15μmであり、大変滑らかな風味を有するものであった。濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部における焦げ付きも見られなかった。また、無菌ポリ袋に無菌充填して得られた当該濃縮乳製品は25℃の常温帯保管において、最低20日間の衛生的安全性を担保するものであった。

0068

[実施例4]
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温した後、低圧均質化処理を行わず、代わりに濃縮処理直後の濃縮乳を50kgf/cm2の低圧均質化処理して、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が1.39μmであるUHT処理前濃縮乳を得た以外は、実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固することもなく、不溶物も無いものであり、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径は0.89μmであり、大変滑らかな風味を有するものであった。濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部における焦げ付きも見られなかった。また、無菌ポリ袋に無菌充填して得られた当該濃縮乳製品は10℃以下のチルド帯保管において、最低30日間の衛生的安全性を担保するものであった。

0069

[実施例5]
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温した後、均質機を用いて90kgf/cm2の低圧均質化処理を行い、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が1.03μmである均質化処理牛乳を得た以外は、実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固することもなく、不溶物も無いものであり、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径は0.83μmであり、大変滑らかな風味を有するものであった。濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部における焦げ付きも見られなかった。また、無菌ポリ袋に無菌充填して得られた当該濃縮乳製品は10℃以下のチルド帯保管において、最低30日間の衛生的安全性を担保するものであった。

0070

[比較例1]
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温した後、均質機を用いて180kgf/cm2の均質化処理を行い、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が0.75μmである濃縮前牛乳を得た以外は、生牛乳を実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固物、不溶物も存在するものであり、濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部に焦げ付きが見られた。

0071

[比較例2]
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温した後、低圧均質化処理牛乳をUHT殺菌機にて加熱殺菌処理しなかった以外は、生牛乳を実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固物、不溶物も存在するものであり、濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部に焦げ付きが見られた。

0072

[比較例3]
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温せず、低圧均質化処理を行わず、UHT殺菌機にて加熱殺菌処理もせず、濃縮処理して濃縮乳とした直後に、均質機を用いて180kgf/cm2の均質化処理を行い、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が0.79μmであるUHT処理前濃縮乳を得た以外は、生牛乳を実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。得られた濃縮乳製品は、凝固物、不溶物も存在するものであり、濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部に焦げ付きが見られた。

0073

[比較例4]
生牛乳をプレートヒータにて85℃まで加温した後、均質機を用いて130kgf/cm2の均質化処理を行い、前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径が0.80μmである濃縮前牛乳を得た以外は、生牛乳を実施例1と同様に処理して、濃縮乳製品を得た。
得られた濃縮乳製品は、凝固物、不溶物も存在するものであり、濃縮乳を加熱殺菌した後のUHT殺菌機の内部に焦げ付きが見られた。

0074

[参考例1]
(大量消費者向け一般的濃縮乳製造方法)
生牛乳を65〜85℃にて予熱した後、プレートヒータにて100℃以上の加熱殺菌処理を行い、さらに、2〜3重効用缶を有する減圧方式の連続濃縮機にて固形分が36質量%となるまで、3倍程度の濃縮を行い、得られた濃縮乳をその後、UHT処理もしくはそれと同等な加熱殺菌処理を施さずに、また均質化処理を施さずに冷却して容器に充填し、濃縮乳製品とした。
得られた濃縮乳製品の前記粒度分布測定条件における粒度分布のメジアン径は、3.53μmであった。得られた濃縮乳製品は、滑らかさに欠ける風味を有するものであった。容器に充填して得られた当該濃縮乳製品は10℃以下のチルド帯保管において、最低10日間の衛生的安全性を担保するものでしかなかった。

0075

[実施例6]
実施例1〜5で得られた濃縮乳製品を用いて、表1に記載のコーヒー処方でミルクコーヒーを調製した。

0076

0077

コーヒーの調製方法は以下の通りである。
1.コーヒー豆粉砕し、定法により抽出する。
2.抽出液砂糖重曹、濃縮乳製品、香料の順に調合する。
3.60℃に予熱の後、均質化(150kg/cm2)する。
4.缶に充填後、レトルト殺菌(120℃以上の設定温度に達温後所定のF0値*まで)を行う。
*F0値:121.1℃で、一定温度の微生物を死滅させるのに要する時間(耐熱パラメータが10℃)
レトルト殺菌後のミルクコーヒーを観察した結果、沈殿物の発生は見られなかった。

0078

[比較例5]
比較例1から比較例4までで得られた濃縮乳製品を用いて、上記実施例5と同様にしてミルクコーヒーを調製した。
レトルト殺菌後のミルクコーヒーを観察した結果、沈殿物の発生が見られた。

0079

[参考例2]
参考例1で得られた濃縮乳製品を用いて、上記実施例5と同様にしてミルクコーヒーを調製した。
レトルト殺菌後のミルクコーヒーを観察した結果、沈殿物の発生は見られなかった。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ