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課題
解決手段
概要
背景
近年、食品等の品質管理として、力学的性質の評価の社会的必要性が高まってきている。しかし、単純な液体や固形物の物質は少なく、多くの物質は、粘性液体、懸濁液、ゲルなど複合的な組成、構造を持つため、物質の力学的性質の評価は容易ではない。
これらの物質は、液体成分の示す粘性と固体成分の示す弾性の両方を併せ持ち、製造工程中に液状から固形、またその逆に変化する場合もある。さらに、接着剤や塗料などのように使用時に硬化する化成品もある。このような物質の力学特性を評価するためには動的粘弾性測定装置が必要である。
粘弾性測定等のためのアクチュエータ装置としてピエゾ素子を利用することが考えられている。しかし、ピエゾ素子には、ヒステリシス特性やクリープ特性があるため、直接印加電圧を計測することで変位を測定することはできず、これら特性による変位差を軽減または補正する手段が必要となる。すなわち、静電容量変位センサーや歪ゲージ変位センサーなどの変位センサーを用いて、実際の変位量を測定し補正する変位フィードバック制御が必要になる。
ここで、特許文献1は、ピエゾ素子に電圧を印加するための対向電極の外側に検出電極を配置し、検出電極に発生する誘導電荷量を測定することにより、誘導電荷量と線形な変位量を測定する装置である。
また、特許文献2は、チタン基盤上に圧電結晶膜が形成されたピエゾ材料に、電圧印加により変位を発生させるための電極と歪み(荷重)を圧電電荷により検知するための電極とが付与されているセンサー機能を有するアクチュエータである。
特開平10−209516号公報
特開平10−257785号公報
概要
センサー機能とアクチュエータ機能とを備え、変位量出力と応力入力を同時に測定でき、また、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできる、センサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置を提供することを目的とする。本発明は、2つの積層型ピエゾ素子を、中間体を介して、変位発生方向に直列的に接続した駆動部を備えたセンサー機能付アクチュエータ装置であって、駆動部の2つの積層型ピエゾ素子において、一方の積層型ピエゾ素子は、電圧を印加することによって変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能するよう構成し、他方の積層型ピエゾ素子は、他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能するよう構成すること、を特徴とする。
目的
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、振動生成源として軽いピエゾ素子を利用した、小型かつ軽量で、持ち運び可能な、センサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置を提供することを目的とする。また、変位と同時に、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできる、センサー機能付アクチュエータ装置及びその粘弾性測定装置を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 5件
この技術が所属する分野
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請求項1
請求項2
請求項1に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記駆動部の2つの積層型ピエゾ素子における、一方の積層型ピエゾ素子は、電圧を印加することによって変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能するよう構成し、他方の積層型ピエゾ素子は、該他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能するよう構成すること、を特徴とするセンサー機能付アクチュエータ装置。
請求項3
請求項2に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加するための電圧印加用端子と、上記一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加することによって、該一方の積層型ピエゾ素子に発生した誘導電荷を測定するための誘導電荷測定用端子と、上記他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって発生した圧電電荷を測定するための圧電電荷測定用端子と、を備えたことを特徴とするセンサー機能付アクチュエータ装置。
請求項4
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、力点を駆動部側に配し、作用点を測定の対象物側に配する、てこの原理を応用した直動型変位拡大機構を備えたことを特徴とするセンサー機能付アクチュエータ装置。
請求項5
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記センサー機能付アクチュエータ装置は、上記誘導電荷測定用端子または上記圧電電荷測定用端子に接続したチャージアンプ装置を備え、上記チャージアンプ装置は、上記一方の積層型ピエゾ素子の両端に発生する誘導電荷、または、上記他方の積層型ピエゾ素子の両端に発生する上記圧電電荷、を増幅することを特徴とするセンサー機能付アクチュエータ装置。
請求項6
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記中間体は、良導電材料から成り、上記電圧印加用端子、上記誘導電荷測定用端子および上記圧電電荷測定用端子、並びに、上記2つの積層型ピエゾ素子以外から絶縁するよう構成されることを特徴とするセンサー機能付アクチュエータ装置。
請求項7
請求項4または請求項6に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記直動型変位拡大機構の少なくとも一部は、良導電材料から成ることを特徴とするセンサー機能付アクチュエータ装置。
請求項8
請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置に接続される、粘弾性測定装置であって、上記粘弾性測定装置は、少なくとも記憶装置と制御装置とを有しており、上記記憶装置は、上記一方の積層型ピエゾ素子に発生する上記誘導電荷と、上記直動型変位拡大機構の増幅部の変位量と、の関係を表す校正式を記憶する変位量校正式記憶手段と、上記他方の積層型ピエゾ素子に発生する上記圧電電荷と、上記測定の対象物の応力と、の関係を表す校正式を記憶する応力校正式記憶手段と、を備え、上記制御装置は、上記一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加して変位させるよう制御する変位制御手段と、上記印加制御手段によって、上記直動型変位拡大機構の上記増幅部に伝達される変位量を、上記一方の積層型ピエゾ素子に発生した上記誘導電荷を検出し、上記変位量校正式記憶手段に記憶された上記校正式を用いて校正することにより測定する変位量測定手段と、上記印加制御手段により上記増幅部の変位によって発生した応力を、上記他方の積層型ピエゾ素子に発生した上記圧電電荷を検出し、上記応力校正式記憶手段に記憶された上記校正式を用いて校正することにより測定する応力測定手段と、を備えたことにより、試料の粘弾性に関する指標値を算出することを特徴とする粘弾性測定装置。
請求項9
技術分野
0001
本発明は、センサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置に関し、特に、2つの積層型ピエゾ素子を利用したセンサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置に関する。
背景技術
0002
近年、食品等の品質管理として、力学的性質の評価の社会的必要性が高まってきている。しかし、単純な液体や固形物の物質は少なく、多くの物質は、粘性液体、懸濁液、ゲルなど複合的な組成、構造を持つため、物質の力学的性質の評価は容易ではない。
0003
これらの物質は、液体成分の示す粘性と固体成分の示す弾性の両方を併せ持ち、製造工程中に液状から固形、またその逆に変化する場合もある。さらに、接着剤や塗料などのように使用時に硬化する化成品もある。このような物質の力学特性を評価するためには動的粘弾性測定装置が必要である。
0004
粘弾性測定等のためのアクチュエータ装置としてピエゾ素子を利用することが考えられている。しかし、ピエゾ素子には、ヒステリシス特性やクリープ特性があるため、直接印加電圧を計測することで変位を測定することはできず、これら特性による変位差を軽減または補正する手段が必要となる。すなわち、静電容量変位センサーや歪ゲージ変位センサーなどの変位センサーを用いて、実際の変位量を測定し補正する変位フィードバック制御が必要になる。
0006
また、特許文献2は、チタン基盤上に圧電結晶膜が形成されたピエゾ材料に、電圧印加により変位を発生させるための電極と歪み(荷重)を圧電電荷により検知するための電極とが付与されているセンサー機能を有するアクチュエータである。
0007
特開平10−209516号公報
特開平10−257785号公報
発明が解決しようとする課題
0010
また、特許文献2のセンサー機能付アクチュエータにおいては、荷重をピエゾ素子から検出できるものの、依然として印加電圧による変位のヒステリシス特性等を除去する方法については開示されておらず、その正確な変位を測定することはできないという問題点がある。
0011
さらに、特許文献2のセンサー機能付アクチュエータは、センサーとして歪み(荷重)を検知してアクチュエータとして変位を生じさせるための装置であって、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることは想定されておらず、粘弾性測定や微小構造の評価に利用することができないという問題がある。
0012
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、振動生成源として軽いピエゾ素子を利用した、小型かつ軽量で、持ち運び可能な、センサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置を提供することを目的とする。また、変位と同時に、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできる、センサー機能付アクチュエータ装置及びその粘弾性測定装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0014
この発明によれば、圧電効果・逆圧電効果を有する、小型で軽量な、積層型ピエゾ素子を、中間体を介して、変位発生方向に直列に接続したので、アクチュエータとして使用すると同時に、センサーとしても使用することができ、小型かつ軽量なセンサー機能付アクチュエータ装置を提供することができる。
0015
また、請求項2に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項1に記載の発明において、上記駆動部の2つの積層型ピエゾ素子における、一方の積層型ピエゾ素子は、電圧を印加することによって変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能するよう構成し、他方の積層型ピエゾ素子は、該他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能するよう構成すること、を特徴とする。
0016
この発明によれば、さらに駆動部の2つの積層型ピエゾ素子における、一方の積層型ピエゾ素子は、電圧を印加することによって変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能するよう構成し、他方の積層型ピエゾ素子は、積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能するよう構成するので、変位量出力と応力入力を同時に測定でき、また、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできる。
0017
また、請求項3に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項2に記載の発明において、上記一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加するための電圧印加用端子と、上記一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加することによって、該上記一方の積層型ピエゾ素子に発生した誘導電荷を測定するための誘導電荷測定用端子と、上記他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって発生した圧電電荷を測定するための圧電電荷測定用端子と、を備えたことを特徴とする。
0018
この発明によれば、さらに一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加するための電圧印加用端子と、一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加することによって、一方の積層型ピエゾ素子に発生した誘導電荷を測定するための誘導電荷測定用端子と、他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって発生した圧電電荷を測定するための圧電電荷測定用端子と、を備えたので、より適式に、アクチュエータとして機能させるための電圧の印加と、センサーとして機能させるための電荷の測定をすることができる。
0019
また、請求項4に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記センサー機能付アクチュエータ装置は、力点を駆動部側に配し、作用点を測定の対象物側に配する、てこの原理を応用した直動型変位拡大機構を備えたことを特徴とする。
0020
この発明によれば、さらにセンサー機能付アクチュエータ装置は、力点を駆動部側に配し、作用点を測定の対象物側に配する、てこの原理を応用した直動型変位拡大機構を備えたので、ピエゾ素子の変位が小さい場合であっても、変位を増幅させて伝達することができる。
0021
また、請求項5に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記センサー機能付アクチュエータ装置は、上記誘導電荷測定用端子または上記圧電電荷測定用端子に接続したチャージアンプ装置を備え、上記チャージアンプ装置は、上記一方の積層型ピエゾ素子の両端に発生する誘導電荷、または、上記他方の積層型ピエゾ素子の両端に発生する上記圧電電荷、を増幅することを特徴とする。
0022
この発明によれば、さらに、センサー機能付アクチュエータ装置は、誘導電荷測定用端子または圧電電荷測定用端子に接続したチャージアンプ装置を備え、チャージアンプ装置は、一方の積層型ピエゾ素子の両端に発生する誘導電荷、または、他方の積層型ピエゾ素子の両端に発生する圧電電荷を増幅するよう構成したので、誘導電荷または圧電電荷が検出限界を下回るときでも、これら電荷を増幅させて検出することができる。
0023
また、請求項6に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記中間体は、良導電材料から成り、上記電圧印加用端子、上記誘導電荷測定用端子および上記圧電電荷測定用端子、並びに、上記2つの積層型ピエゾ素子以外から絶縁するよう構成されることを特徴とする。
0024
この発明によれば、さらに、中間体は、良導電材料から成り、電圧印加用端子、誘導電荷測定用端子および圧電電荷測定用端子、並びに、2つの積層型ピエゾ素子以外から絶縁するよう構成したので、電圧印加用端子、誘導電荷測定用端子または圧電電荷測定用端子は、積層型ピエゾ素子の両端から接続されることを要せず、中間体の任意の位置に接続させることができ、装置の組み立てが容易になる。
0025
また、請求項7に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項4または請求項6に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置において、上記直動型変位拡大機構の少なくとも一部は、良導電材料から成ることを特徴とする。
0026
この発明によれば、さらに、電圧印加用端子、誘導電荷測定用端子または圧電電荷測定用端子は、積層型ピエゾ素子の両端から接続されることを要せず、良導電材料でできた変位拡大機構の任意の位置に接続させることができ、装置の組み立てが容易になる。
0027
また、請求項8に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載のセンサー機能付アクチュエータ装置に接続される、粘弾性測定装置であって、上記粘弾性測定装置は、少なくとも記憶装置と制御装置とを有しており、上記記憶装置は、上記一方の積層型ピエゾ素子に発生する上記誘導電荷と、上記直動型変位拡大機構の増幅部の変位量と、の関係を表す校正式を記憶する変位量校正式記憶手段と、上記他方の積層型ピエゾ素子に発生する上記圧電電荷と、上記測定の対象物の応力と、の関係を表す校正式を記憶する応力校正式記憶手段と、を備え、上記制御装置は、上記一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加して変位させるよう制御する変位制御手段と、上記印加制御手段によって、上記直動型変位拡大機構の上記増幅部に伝達される変位量を、上記一方の積層型ピエゾ素子に発生した上記誘導電荷を検出し、上記変位量校正式記憶手段に記憶された上記校正式を用いて校正することにより測定する変位量測定手段と、上記印加制御手段により上記増幅部の変位によって発生した応力を、上記他方の積層型ピエゾ素子に発生した上記圧電電荷を検出し、上記応力校正式記憶手段に記憶された上記校正式を用いて校正することにより測定する応力測定手段と、を備えたことにより、試料の粘弾性に関する指標値を算出することを特徴とする。
0028
この発明によれば、センサー機能付アクチュエータ装置に接続される粘弾性測定装置であって、粘弾性測定装置は、少なくとも記憶装置と制御装置とを有しており、記憶装置は、一方の積層型ピエゾ素子に発生する誘導電荷と直動型変位拡大機構の増幅部の変位量との関係を表す校正式を記憶する変位量校正式記憶手段と、他方の積層型ピエゾ素子に発生する圧電電荷と測定の対象物の応力との関係を表す校正式を記憶する応力校正式記憶手段と、を備え、制御装置は、一方の積層型ピエゾ素子に電圧を印加して変位させるよう制御する変位制御手段と、印加制御手段によって、直動型変位拡大機構の増幅部に伝達される変位量を、一方の積層型ピエゾ素子に発生した誘導電荷を検出し、変位量校正式記憶手段に記憶された校正式を用いて校正することにより測定する変位量測定手段と、印加制御手段により増幅部の変位によって発生した応力を、他方の積層型ピエゾ素子に発生した圧電電荷を検出し、応力校正式記憶手段に記憶された校正式を用いて校正することにより測定する応力測定手段と、を備えたことにより、試料の粘弾性に関する指標値を算出するので、変位を発生させながら同時に応力を測定し、正確に動的粘弾性測定を行うことができる。
0029
また、センサー付アクチュエータ装置をコンピュータなどの制御装置と組み合わせるだけで、動的粘弾性測定などの動的物性試験のみならず、圧縮緩和試験、引っ張り試験、曲げ試験等の静的物性測定が可能になり、応力緩和試験、クリープ試験等の高度な制御と解析が必要な装置を校正する際にも有効となる。また、簡素化された装置で、大幅な小型軽量化が可能になる。
0030
また、請求項9に記載のセンサー機能付アクチュエータ装置は、請求項8に記載の粘弾性測定装置において、上記変位制御手段は、正弦波形振動の変位を起こすよう上記電圧を制御し、上記制御装置は、上記変位量測定手段によって測定された上記変位量の位相と同位相である、上記応力測定手段によって測定された上記応力を、弾性応答として取得する弾性応答取得手段と、上記変位量測定手段によって測定された上記変位量の位相と異なる位相である、上記応力測定手段によって測定された上記応力を、粘性応答として取得する粘性応答取得手段と、を更に備えたことを特徴とする。
0031
これにより、さらに、変位の制御の際に、正弦波形振動の変位を起こすよう電圧を制御し、制御装置は、測定された変位量の位相と同位相である、測定された応力を、弾性応答として取得し、測定された変位量の位相と異なる位相である、測定された応力を、粘性応答として取得するので、物質に正弦波形の振動を加えたとき、弾性成分と粘性成分の応答が異なる位相(例えば、π/2位相進んだ位相)で検出されることを利用して、粘性と弾性をそれぞれ同時に評価することができる。
発明の効果
0032
この発明によれば、ピエゾ素子に圧電素子にセンサー機能とアクチュエータ機能を同時に兼ね備えさせることができ、小型かつ軽量な装置で、変位量出力と応力入力を同時に測定できるという効果を奏する。また、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできる。
0033
すなわち、本発明によれば、小型かつ軽量で、持ち運び可能な、センサー機能付アクチュエータ装置及びその粘弾性測定装置を提供することができ、また、変位と同時に、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできる、センサー機能付アクチュエータ装置及びその粘弾性測定装置を提供することができる。
発明を実施するための最良の形態
0034
以下に、本発明にかかるセンサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
0035
特に以下の実施の形態においては、本発明を粘弾性測定に適用した例について説明するが、この場合に限られず、微小構造評価、柔軟物質の微細形成、対人間動作ロボットなどの技術分野において、同様に適用することができる。
0036
[本発明の概要]
以下、本発明の概要について説明し、その後、本発明の構成および処理等について詳細に説明する。図1は、本発明のセンサー機能付アクチュエータ装置の駆動部の基本原理を示す原理構成図である。
0037
本発明は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。
0038
図1に示すように、本発明は、2つの積層型ピエゾ素子1を、中間体2を介して、変位発生方向に直列的に接続した駆動部10を備えたセンサー機能付アクチュエータ装置である。
0039
すなわち、本発明は、駆動部10の2つの積層型ピエゾ素子1における、一方の積層型ピエゾ素子1Bは、電圧を印加することによって変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能するよう構成し、他方の積層型ピエゾ素子1Aは、他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能するよう構成すること、を特徴とする。
0040
例えば図1に示すように、一方の積層型ピエゾ素子1Bは、(1)のように電圧を印加するように構成し、変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能するよう構成する。
0041
ここで、変位量は、積層型ピエゾ素子1B両端電極から(1)による充電電荷によって発生した誘導電荷を計測することにより検知する(2)。ここで、印加電圧と変形量との関係には、ヒステリシスが存在するが、(1)による充電電荷と変形量との間にはヒステリシスが存在しない。そのため誘導電荷を計測することにより、比例する積層型ピエゾ素子1Bの変化量を測定することができる。
0042
これにより、アクチュエータとして機能する積層型ピエゾ素子1Bの正確な変位量を測定することができる。
0043
また、例えば図1に示すように、他方の積層型ピエゾ素子1Aは、(3)のように、他方の積層型ピエゾ素子内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能するよう構成する。
0044
すなわち、(1)によって電圧が印加された一方の積層型ピエゾ素子1Bの変位により、応力(内部応力と外部応力を含む)が発生し、これにより他方の積層型ピエゾ素子1A両端に圧電効果による圧電電荷が発生する。圧電電荷と荷重(応力)との関係は、線形であるので、圧電電荷を検出することにより、比例する積層型ピエゾ素子1Bの荷重(応力)を測定することができる。
0045
これにより、センサーとして機能する積層型ピエゾ素子1Aの圧電電荷から正確な応力(荷重)を計測することができる(3)。
0046
ここで、図2は、本発明の実施の形態であるセンサー付アクチュエータ装置の構成の一例を示す断面図である。
0048
ここで、本センサー機能付アクチュエータ装置の直動型変位拡大機構20は、力点を駆動部10側に配し、作用点を測定の対象物30側に配する、てこの原理を応用する。これにより、積層型ピエゾ素子1の変位が少ない場合であっても、測定の対象には大きな変位を伝達することができる。
0049
また、本発明は、図2に示すように、上記のセンサー機能付アクチュエータ装置において、一方の積層型ピエゾ素子1Bに電圧を印加するための電圧印加用端子P+,P−と、一方の積層型ピエゾ素子1Bに電圧を印加することによって発生した誘導電荷を測定するための誘導電荷測定用端子S2+,S2−と、他方の積層型ピエゾ素子1A内部の圧力変化によって発生した圧電電荷を測定するための圧電電荷測定用端子S1+、S1−と、を備えて構成してもよい。また、変位拡大機構については、変位拡大機構の先端に加えられた力は、変位拡大倍率だけ拡大された力となって圧電素子に伝えられる。従って圧電素荷を計測することにより力を計測する方法は、変位拡大機構との組み合わせにより、より有効に機能する。
0051
また、本発明の本センサー機能付アクチュエータ装置において、誘導電荷測定用端子S2+,S2−または圧電電荷測定用端子S1+,S1−に接続したチャージアンプ装置400を備え、チャージアンプ装置400は、一方の積層型ピエゾ素子1Bの両端に発生する誘導電荷、または、他方の積層型ピエゾ素子1Aの両端に発生する圧電電荷、を増幅するよう構成してもよい。
0052
また、本発明の本センサー機能付アクチュエータ装置において、中間体2は、ステンレス、鉄、アルミ、銅などの良導電材料から成り、電圧印加用端子P+、P−、誘導電荷測定用端子S2+、S2−および圧電電荷測定用端子S1+、S1−、並びに、2つの積層型ピエゾ素子1A,1B以外から絶縁するよう構成してもよい。これにより、例えば図2に示すように、誘導電荷測定用端子S2+は、中間体2と接地させることにより、容易に誘導電荷を測定することができる。
0053
また、本発明の本センサー機能付アクチュエータ装置において、直動型変位拡大機構20の少なくとも一部は、ステンレス、鉄、アルミ、銅などの良導電材料から成るよう構成してもよい。これにより、例えば図2に示すように、誘導電荷測定用端子S2−は、直動型変位拡大機構20と接地させることにより、容易に誘導電荷を測定することができる。
0054
以上が、本発明の本センサー機能付アクチュエータ装置の概要である。
0055
次に、本発明の、上記センサー機能付アクチュエータ装置に接続される粘弾性測定装置500についての概要を説明する。
0056
ここで、本システムを用いた粘弾性測定の基本原理について説明する。
0057
粘弾性材料の品質評価に適した動的粘弾性測定の原理について説明する。動的粘弾性測定では、正弦波形の歪みを材料に与えながらロードセルなどで材料からの応力を検出し、歪みの波形と応力の波形から動的粘弾性の指標である貯蔵弾性率および損失弾性率を測定する。これにより、材料の特性に関する高度な品質管理に必要な各種情報を得ることができる。具体的には、材料の粘性や弾性や構造特性など物性に関する広範な特性の情報を得ることができ、得られた情報から時間変化(経時変化)特性や温度変化特性(温度分散や歪み分散、周波数分散など)などの高度な解析を行うことができる。動的粘弾性測定は、微小変形で測定するので、非破壊的な測定であり、固形材料、液状材料ともに測定対象とできる。
0058
ピエゾ素子は、電界変化により変形する性質(逆圧電効果)および変形により電界を発生する性質(圧電効果)を持つ圧電材料であり、このような性質を持つため、トランスデューサ、アクチュエータ、センサー、振動発生器およびマイクロマニピュレーションなどとして利用されうるが、ここで、ヒステリシス特性は、積層型ピエゾ素子の温度変化や積層型ピエゾ素子に加える圧力変化などの影響を受けて変化し、積層型ピエゾ素子に対して与える指令値(印加電圧信号など)と指令値により変形する積層型ピエゾ素子の変位量との関係は非線形であるので、他に変位量測定手段が必要となる。
0059
そこで、ヒステリシス特性やクリープ特性を軽減または補正するために、本発明に係る本実施の形態では、中間体を介して、変位発生方向に直列的に接続した2つの積層型ピエゾ素子のうち、一方の積層型ピエゾ素子を、電圧を印加することによって変位を生じさせることによりアクチュエータとして機能させ、他方の積層型ピエゾ素子は、内部の圧力変化によって圧電電荷を発生させることによりセンサーとして機能させる。
0060
これにより、誘導電位もしくは圧電電荷と変位量は線形なので、一方の積層型ピエゾ素子の両極から誘導電荷を計測することにより変位量を求めることができ、同時に、他方の積層型ピエゾ素子の両極から圧電電荷を計測することにより応力を求めることができる。また、予め内部応力を計測し校正式で差し引いておくことで、測定に際しては、外部応力だけを検知することができる。
0061
次に、上記基本原理に基づいた、本発明の、上記センサー機能付アクチュエータ装置に接続される粘弾性測定装置500についての制御の概要を説明する。
0062
すなわち、本発明の本センサー機能付アクチュエータ装置に接続される、本粘弾性測定装置は、少なくとも記憶装置と制御装置とを有しており、記憶装置は、一方の積層型ピエゾ素子1Bに発生する誘導電荷と、直動型変位拡大機構20の増幅部の変位量と、の関係を表す校正式を記憶する変位量校正式記憶手段と、他方の積層型ピエゾ素子1Aに発生する圧電電荷と、測定の対象物30の応力と、の関係を表す校正式を記憶する応力校正式記憶手段と、を備える。
0063
つぎに、本粘弾性測定装置の制御装置は、一方の積層型ピエゾ素子1Bに電圧を印加して変位させるよう制御する。
0064
また、直動型変位拡大機構20の増幅部に伝達される変位量を、一方の積層型ピエゾ素子1Bに発生した誘導電荷を検出し、記憶手段に記憶された校正式を用いて校正することにより測定する。
0065
さらに、電圧を印加したことにより増幅部24の変位によって発生した応力を、他方の積層型ピエゾ素子1Aに発生した圧電電荷を検出し、記憶手段に記憶された校正式を用いて校正することにより測定する。これにより、試料の粘弾性に関する指標値を算出することができる。
0066
ここで、本粘弾性測定装置の制御装置は、さらに、変位を制御する場合に、正弦波形振動の変位を起こすよう電圧を制御し、測定された変位量の位相と同位相である、応力測定手段によって測定された応力を、弾性応答として取得し、測定された変位量の位相と異なる位相、例えばπ/2位相進んだ位相である、測定された応力を、粘性応答として取得する。
0067
以上が本発明の概要である。
0068
[システム構成]
まず、本システムの構成について説明する。図3は、本発明が適用される本システム構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。本システムは、概略的に駆動部10と、駆動部10の変位を増大させる直動型変位拡大機構20と、駆動部10に電圧を印加する電圧印加装置200と、駆動部10に発生した電荷を増大させるチャージアンプ装置400と、電圧印加装置200を制御しチャージアンプ装置400から電荷データを入手する粘弾性測定装置500とを、接続して構成される。
0069
図3において、駆動部10は、2つの積層型ピエゾ素子1を、中間体2を介して変位発生方向に接続された駆動手段である。また、中間体2は、良導電材料から成り、電圧印加用端子、誘導電荷測定用端子および圧電電荷測定用端子、並びに、2つの積層型ピエゾ素子1A,1B以外から絶縁するよう構成してもよい。
0070
また、図3において、直動型変位拡大機構20は、力点を駆動部側に配し、作用点を測定の対象物側に配する、てこの原理を応用した直動型変位拡大機構である。ここで、図4を参照して、本実施の形態における本センサー付アクチュエータ装置の本直動型変位拡大機構20の構成の一例について説明する。図4は、本実施の形態における本センサー付アクチュエータ装置の本直動型変位拡大機構20の一例を示す構成図である。
0071
すなわち、図4に示すように、駆動部10は、ほぼ英文字のU形状をなすベース21の底部に固定されている。駆動部10の他の一端には、駆動部10の発生する変位を第2、第4のヒンジ27−1,27−2に伝えるためのキャップ25が取り付けられている。
0072
また、U形状のベース21の上端の一方には第1のヒンジ26−1の一端が接合されている。第1のヒンジ26−1の他端は、ほぼギリシャ文字のΓ形状をなす第1のアーム22−1の上部内側に接合されている。第1のアーム22−1の上部内側には第1のヒンジ26−1と所定の距離を保つ位置に第2のヒンジ27−1が接合されている。第2のヒンジ27−1の他端はキャップ25に接合されている。
0073
また同様にして、これらと左右対称な構造を持つように、第3のヒンジ26−2、第2のアーム22−2、および第4のヒンジ27−2が配置されている。第1のアーム22−1および第2のアーム22−2の先端の間には、ハの字を上下逆にした位置関係で第1の板ばね23−1および第2の板ばね23−2が配置されている。また、第1の板ばね23−1と第2の板ばね23−2が接合される逆ハの字の先端部分には増幅部24が接合されている。
0074
上記構成により、駆動部10の駆動により変位が発生すると、第1のアーム22−1および第2のアーム22−2は、各々てこ機構として動作し、第1のアーム22−1と第2のアーム22−2の先端間の距離を互いに狭めるように変位する。すると、逆ハの字をなす第1の板ばね23−1および第2の板ばね23−2は増幅部24を下方向に突き出すように変位する。したがって、増幅部24に対象物30を接触させることにより、約40倍に増幅した変位を対象物に伝達することができ、逆に増幅した変位により発生した対象物30の応力を駆動部10に伝達することができる。
0075
以上が、本実施の形態における直動型変位拡大機構20の詳細である。この実施の形態に示した直動型変位拡大機構20により、センサー付アクチュエータ装置全体として小型かつ軽量で、持ち運びが可能となる。ここで、直動型変位拡大機構20の構成は、上記したものに限らず、力点を駆動部側に配し、作用点を測定の対象物側に配した、てこ機構を利用していればよい。例えば、アームを3本以上とする構成としてもよい。
0076
再び図3の説明に戻って、電圧印加装置200は、電圧印加用端子P+,P−を介して駆動部10と接続され、さらに粘弾性測定装置500と相互に接続される、電圧印加手段である。
0077
また、図3において、チャージアンプ装置400は、誘導電荷測定用端子S2+、S2−を介して、一方の積層型ピエゾ素子1Bの両端に発生する誘導電荷、または、圧電電荷測定用端子S1+,S1−を介して、他方の積層型ピエゾ素子1Aの両端に発生する圧電電荷を増幅し、増幅した電荷信号を粘弾性測定装置500に送信する電荷増幅手段である。
0078
また、図3において、粘弾性測定装置500は、入出力インターフェース部を介して、電圧印加装置200とチャージアンプ装置400を制御することにより、駆動部10の誘導電荷または圧電電荷を検知し、変位または応力を測定する粘弾性測定制御手段である。ここで、粘弾性測定装置500の内部論理構成を、図5を参照して説明する。図5は、粘弾性測定装置500の内部論理構成を示す論理ブロック図である。
0079
図5に示すように、粘弾性測定装置500は、概略的に、粘弾性測定装置500の全体を統括的に制御するCPU等の制御装置502、入力手段や出力手段に接続される入出力インターフェース部508、および、各種のデータベースやテーブルなどを格納する記憶装置506を備えて構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
0080
ここで、記憶装置506に格納される各種のデータベースやテーブル(変位量校正式記憶手段506a、応力校正式記憶手段506b)は、固定ディスク装置等のストレージ手段であり、各種処理に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベースを格納する。
0081
これら記憶装置506の各構成要素のうち、変位量校正式記憶手段506aは、一方の積層型ピエゾ素子1Bに発生する誘導電荷と、直動型変位拡大機構20の増幅部24の変位量と、の関係を表す校正式を記憶する変位量校正式記憶手段である。
0082
また、応力校正式記憶手段506bは、測定の対象物の応力と、の関係を表す校正式を記憶する応力校正式記憶手段である。ここで、外部応力を測定するために、予め計測した内部応力値を校正しておいてもよい。
0083
また、図5において、入出力インターフェース部508は、入力手段や出力手段の制御を行う。ここで、出力手段としては、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカを用いることができる。また、入力手段としては、キーボード、マウス、およびマイク等を用いることができる。
0084
また、図5において、制御装置502は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム、および所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御装置502は、機能概念的に、変位制御手段502a、変位量測定手段502b、応力測定手段502c、弾性応答取得手段502d、粘性応答取得手段502e、を備えて構成されている。
0085
このうち、変位制御手段502aは、電圧印加装置広告配信サーバ装置200を制御することにより一方の積層型ピエゾ素子1Aに電圧を印加し、変位を起こさせるよう制御する変位制御手段である。ここで、変位制御手段502aは、正弦波形振動の変位を起こさせるよう電圧を制御してもよい。また、変位量測定手段502bの処理により得られた変位量に基づいて、変位が目標変位量に近づくようフィードバック制御を行ってもよい。
0086
また、変位量測定手段502bは、直動型変位拡大機構20の増幅部24に伝達される変位量を、一方の積層型ピエゾ素子1Bに発生した誘導電荷を検出し、変位量校正式記憶手段506aに記憶された校正式を用いて校正することにより測定する変位量測定手段である。
0087
また、応力測定手段502cは、伝達された増幅部24の変位によって発生した応力を、他方の積層型ピエゾ素子1Aに発生した圧電電荷を検出し、応力校正式記憶手段506bに記憶された校正式を用いて校正することにより測定する応力測定手段である。
0088
また、弾性応答取得手段502dは、変位量測定手段502bによって測定された変位量の位相と同位相である、応力測定手段502cによって測定された応力を、弾性応答として取得する弾性応答取得手段である。
0089
また、粘性応答取得手段502eは、変位量測定手段502bによって測定された変位量の位相と異なる位相である、応力測定手段502cによって測定された応力を、粘性応答として取得する粘性応答取得手段である。ここで、粘性応答取得手段502eは、変位量測定手段502bによって測定された変位量の位相からπ/2位相進んだ位相である、応力測定手段502cによって測定された応力を、粘性応答として取得するよう構成してもよい。
0090
以上で、本発明の本システム構成の説明を終える。
0091
[システムの処理]
次に、このように構成された本実施の形態における本システムの処理の一例について、以下に図6〜図8を参照して詳細に説明する。ここで、本実施の形態における処理においては、特に本発明に係る本駆動部を粘弾性測定に用いた態様で、説明を行うが、これに限らず、本駆動部を微小構造評価、柔軟物質の微細形成、対人間動作ロボットなどに用いるための制御装置の処理としても応用できる。
0092
[フィードバック制御処理]
まず、フィードバック処理の詳細について図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態における本粘弾性測定装置500のフィードバック制御処理の一例を示すフローチャートである。
0093
まず、粘弾性測定装置500は、変位制御手段502aの処理により、電圧印加装置200を制御して、駆動部10に電圧を印加する(ステップSA−1)。
0094
つぎに、粘弾性測定装置500は、変位量測定手段502bの処理により、チャージアンプ装置400から増幅された誘導電荷による信号を読み取り、検出した電荷に基づいて、変位量を計測する(ステップSA−2)。ここで、電荷から変位量の算出に当たっては、変位量校正式記憶手段506aに記憶された変位量校正式を用いる。
0095
そして、粘弾性測定装置500は、変位制御手段502aの処理により、フィードバック制御を行う(ステップSA−3)。
0096
具体的には、粘弾性測定装置500は、変位制御手段502aの処理により、検出した変位量が許容範囲でないと判定した場合に、増幅部24が所望の波形(例えば、正弦波形)で振動するための目標となる電圧および時間の関係を表す式を作成し、増幅部24が所望の正弦波形で振動するための目標となる電流値を決定する。
0097
図6の説明に戻って、決定された電圧値をもとに、粘弾性測定装置500は、変位制御手段502aの処理により、電圧印加装置200を制御し、電圧印加により、駆動部10を変位させる(ステップSA−1)。
0098
この処理を繰り返すことにより、変位量フィードバック制御を行う。これにより、粘弾性測定装置500は、変位制御手段502aの処理により、目標となる電圧値に基づいて積層型ピエゾ素子1の変位を精度よく制御することができ、増幅部24を所望の波形で振動させることができる。粘弾性測定装置500は、所望の波形で粘弾性測定を行うことができ、続く応力測定手段502cの処理により、貯蔵弾性率および損失弾性率などの粘弾性に関する指標値を正確に測定することができる。
0100
センサー付アクチュエータ装置は変位を発生させながら、同時に応力を測定できるため、物質に変形や荷重を加えたときの応答から物質の物理的特性値を求める力学物性測定に適しており、特に正確に微小な正弦波形振動を用いる動的粘弾性測定でその特性を最も発揮することができる。
0101
図7は、本実施の形態における本粘弾性測定装置500の粘弾性処理の一例を示すフローチャートである。ここで、粘弾性測定処理の前提として、前述したフィードバック制御処理により適切に変位量の制御が行われているものとする。
0102
まず、粘弾性測定装置500は、応力測定手段502cの処理により、チャージアンプ装置400から増幅された圧電電荷と誘導電荷による信号を読み取る(ステップSB−1)。
つぎに、粘弾性測定装置500は、変位量測定手段502bの処理により、変位量校正式記憶手段506aに記憶された変位量校正式を用いて、読み取った誘導電荷から変位量を算出する(ステップSB−2)。
0103
次に、粘弾性測定装置500は、応力測定手段502cの処理により、応力校正式記憶手段506bに記憶された応力校正式を用いて、読み取った電荷から応力を算出する(ステップSB−3)。この応力校正式を用いることにより、外部応力が求められる。
0104
そして、粘弾性測定装置500は、弾性応答取得手段502dの処理により、算出した応力から弾性応力成分だけを取得し、他方、粘性応答取得手段502eの処理により、算出した応力から粘性応力成分だけを取得する(ステップSB−4)。ここで、図8は、算出された応力から、弾性応力成分と粘性応力成分とに分離する原理を示す原理図である。
0105
図8に示すように、弾性応答は、入力された変位と同位相であるが、粘性応答は、変位とπ/2位相のずれが生じる。すなわち、弾性は変位の大きさに比例して、変位量が最大となるとき弾性応答が最大となるが(フックの法則)、粘性は変位の速さに比例して、変位速度が最大となるときに(+π/2)弾性応答が最大となる(ニュートンの法則)。そのため、粘弾性物質では、観測される応力波形はこれらを複合した波形となり、その位相は粘性応答と弾性応答の比によって変わることになる。
0106
すなわち、動的粘弾性測定では、物質に正弦波形の振動を加えたとき弾性成分と粘性成分の応答に位相差が生ずることを利用して粘性と弾性を別に評価することができる。すなわち、粘弾性測定装置500は、弾性応答取得手段502dの処理により、算出された応力から、算出された変位と同位相の成分を弾性応答として抽出し、粘性応答取得手段502eの処理により、算出された応力から、算出された変位と異なる位相、例えばπ/2位相進んだ位相の成分を粘性応答として抽出する。
0107
これにて、粘弾性測定処理が終了する。
0109
[変位量と応力値との検出]
まず、変位量測定手段502bは、経時的に誘導電荷を検出し、粘弾性測定装置500に入出力インターフェース部508を介して誘導電荷が入力されると、変位量校正式記憶手段506aに記憶された変位量校正式から変位量を求め、変位量測定手段502bは、クロックからシステムの時刻を取得し、入力された変位量と取得した時刻とを相互に関連付けて記憶装置記憶装置506の所定の記憶領域に記憶する。
0110
また、応力測定手段502cは、経時的に圧電電荷を検出し、粘弾性測定装置500に入出力インターフェース部508を介して圧電電荷が入力されると、応力校正式記憶手段506bに記憶された応力校正式から応力を求め、応力測定手段502cは、クロックからシステムの時刻を取得し、入力された応力値と取得した時刻とを相互に関連付けて記憶装置506の所定の記憶領域に記憶する。
0111
[積層型ピエゾ素子の変位の制御]
つぎに、本実施例におけるフィードバック制御処理の詳細について説明する。
0112
制御装置502は、変位制御手段502aの処理により、駆動部10が正弦波形で周期的に振動するように、検出した変位量に基づいて積層型ピエゾ素子1の変位量を制御する(フィードバック制御処理)。ここで、積層型ピエゾ素子の変位の制御を行う積層型ピエゾ素子制御処理の詳細について説明する。図9は、変位制御手段502aの処理による積層型ピエゾ素子制御処理の一例を示すフローチャートである。
0113
まず、変位制御手段502aは、変位量測定手段502bで検出した変位量と所定の目標変位量とを比較して、変位量が許容可能であるか否かを判定する(ステップSC−1)。具体的には、変位量と所定の目標変位量との標準誤差に基づいて、変位量が許容可能であるか否かを判定する。ここで、目標変位量は、予め定めた目標変位量・時間関係式で算出された変位量であり、当該目標変位量・時間関係式は、所定の波形で周期的に振動させるための目標となる変位量および時間の関係を表す式である。
0114
ステップSC−2の判定結果が許容範囲でないと判定された場合(ステップSC−2:NO)、変位制御手段502aは、検出した変位量に基づいて、印加電圧と変位量の関係を表す印加電圧・変位量関係式を作成し、作成した印加電圧・変位量関係式を記憶装置506の所定の記憶領域に格納する(ステップSC−3)。具体的には、検出した変位量に基づいて、予め定めた印加電圧・変位量関係式の係数を決定して、印加電圧・変位量関係式を作成し、作成した変位量関係式を記憶装置506の所定の記憶領域に格納する。ここで、Levenberg−Marquardt法を用いてもよい。これにより、積層型ピエゾ素子1の逆圧電挙動時(変位時)における印加電圧と変位量の関係のような非線形な関係を近似的に表す関数(近似式)を効率よく求めることができる。なお、積層型ピエゾ素子1のヒステリシス特性を考慮するために、印加電圧値の波形および変位量の波形の位相差を考慮して、積層型ピエゾ素子1の伸長時、積層型ピエゾ素子1の収縮時のそれぞれに対応する印加電圧・変位量関係式を作成してもよい。
0115
変位制御手段502aは、予め定めた目標変位量・時間関係式およびステップSC−3で作成した印加電圧・変位量関係式に基づいて、駆動部10を正弦波形で周期的に振動させるための目標となる印加電圧値および時間の関係を表す目標印加電圧・時間関係式を作成し、目標印加電圧・時間関係式を記憶装置506の所定の記憶領域に格納する(ステップSC−4)。具体的には、印加電圧・変位量関係式および目標変位量・時間関係式から変位量を消去して目標印加電圧・時間関係式を作成し、目標印加電圧・時間関係式を記憶装置506の所定の記憶領域に格納する。
0116
変位制御手段502aは、ステップSC−4で作成した目標印加電圧・時間関係式に基づいて、最適な印加電圧値が出力されるように電圧印加装置を制御する(ステップSC−5)。変位制御手段502aは、駆動部10が所望の正弦波形で周期的に振動するようになるまで積層型ピエゾ素子制御処理(ステップSC−1〜ステップSC−5)を実行する。具体的には、ステップSC−5で出力した最適な印加電圧値が増幅部24の振動動作の各動作を経て駆動部10の振動に反映されると、許容可能判定部401a−1は、ステップSC−1と同様の判定を行う。ステップSC−2の判定結果が許容範囲であると判定された場合(ステップSC−2:YES)、変位制御手段502aは処理を終了し、そうでない場合(ステップSC−2:NO)、変位制御手段502aの各部はステップSC−3〜ステップSC−5の処理を行う。これにより、駆動部10は、所望の正弦波形で周期的に振動するようになる。これにて、変位制御手段502aで行われる積層型ピエゾ素子制御処理(フィードバック処理)が終了する。
0117
上記の変位制御手段502aは、駆動部10を周期的に振動させる波形(駆動部10の目標とする波形)を正弦波形に設定したが、かかる場合に限定されることなく、周波数の異なる正弦波形を複合させた波形や三角波形や矩形波形などを設定してもよい。これにより、駆動部10を様々な波形で周期的に振動させることができ、各波形での対象物30の指標値を測定することができる。また、変位制御手段502aは、記憶装置506の所定の記憶領域に予め格納したデータ−ベースから変位量に対応する最適な印加電圧値を取得し、取得した印加電圧値が出力されるように電圧印加装置を制御してもよい。ここで、当該データベースは、使用する各々の積層型ピエゾ素子1に対してヒステリシス特性に影響を与える温度条件ごとに、駆動部10が正弦波形で周期的に振動するための目標となる変位量および印加電圧値とを相互に関連付けて格納する。
0118
[粘弾性測定]
上述の積層型ピエゾ素子制御処理(フィードバック制御処理)を1回乃至複数回繰り返して駆動部10が正弦波形で周期的に振動するようになった後、弾性応答取得手段502dおよび粘性応答取得手段502eは、変位量および応力測定手段502cで検出した応力値を解析して対象物30の弾性応答に係る損失弾性率および粘性応答に係る貯蔵弾性率を測定し、測定された損失弾性率および貯蔵弾性率を記憶装置506の所定の記憶領域に格納する。具体的には、変位量の波形と応力値の波形との位相差、変位量の波形の振幅および応力値の波形の振幅を用いて、貯蔵弾性率および損失弾性率を測定する。
0119
[測定結果出力]
弾性応答取得手段502dおよび粘性応答取得手段502eは、応力測定手段502cで測定した貯蔵弾性率および損失弾性率をモニタに出力する。ここで、図10は、本実施例に係るピエゾアクチュエータ制御用PCアプリケーションの表示例を示す図である。
0120
図10に示すように、主に計測量画面は、測定実行ボタンMA−1、システム終了ボタンMA−2、モニター波形表示画面MA−3、歪振幅設定入力欄MA−4、周波数設定入力欄MA−5、温度設定入力欄MA−6、センサー面積入力欄MA−7、試料厚さ入力欄NA−8、センサー荷重表示欄MA−9、ゼロ復帰ボタンMA−10、荷重表示欄MA−11、振幅表示欄MA−12、変位表示欄MA−13、周波数表示欄MA−14、振幅表示欄MA−15、温度表示欄MA−16、通常感度ボタンMA−17、登録ボタンMA−18から構成される。
0121
設定に際して、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、操作者に、歪振幅設定入力欄MA−4に変位させる振幅を入力させ、周波数設定入力欄MA−5に変位させる周波数を入力させ、温度設定入力欄MA−6に補正のための温度を設定させ、センサー面積入力欄MA−7にセンサー面積を入力させ、試料厚さ入力欄MA−8に試料(対象物30)の厚さを入力させるよう制御する。
0122
また、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、操作者に、予め試料(対象物30)がない場合で稼動させ、ゼロ復帰ボタンMA−10をクリック等することにより、内部応力を控除する(センサー荷重表示欄MA−9で表示)よう制御する。
0123
以上の設定が終わると、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、操作者に、測定実行ボタンMA−1をクリック等させ、応力測定手段502cの処理により、測定を実行する。
0124
測定を始めると、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、測定値をモニター波形表示画面MA−3に出力する。また、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、操作者に通常感度ボタンMA−17をクリック等させることにより、通常感度と増幅感度を選択させ、測定する。
0125
また、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、センサー荷重表示欄MA−9、ゼロ復帰ボタンMA−10、荷重表示欄MA−11、振幅表示欄MA−12、変位表示欄MA−13、周波数表示欄MA−14、振幅表示欄MA−15、および温度表示欄MA−16に、得られた各種データを表示する。
0126
そして、粘弾性測定装置500は、制御装置502の処理により、操作者に、登録ボタンMA−18をクリック等させることにより、各種設定値・測定値を記憶装置506に格納し、操作者に、システム終了ボタンMA−2をクリック等させることにより、システムの処理を終了する。
0127
[検出結果]
実施例の結果例を図11から図13に示す。図11は、正弦波形のアクチュエータ制御信号に対して検出されるセンサー波形を示す図である。図12は、制御信号振幅を変化させたときのセンサー信号振幅の変化を示す図である。また、図13は、それぞれ発生荷重を変化させたときのS1センサー信号振幅と、発生変位を変化させたときのS2センサー振幅の変化を示す実験データ図である。
0128
図11に示すように、正弦波形のアクチュエータ制御信号(信号電圧)を与えた場合、制御に基づいて正弦波形の振動(変位)が生成される。また、振動(変位)に基づいた正弦波形の荷重を測定することができる。
0129
図12に示すように、このシステムにおいて、制御信号振幅(信号電圧)を変化させたとき(0〜1V)、変位振幅と荷重振幅はそれぞれ制御信号振幅に対して線形となる(荷重振幅は一部プラトーに達している)。これにより、変位振幅(S1検出信号)、荷重振幅(S2検出信号)とも新しいセンサーとして利用できることがわかった。
0130
また図13上図に示すように、発生荷重を変化させたとき(0〜2000mg)、発生荷重と圧電電荷を示すS1検出信号は比例することが、実証された。これにより、この系では、応力校正式として、「y=0.002x+0.3776」を用いることができる。
0131
また図13下図に示すように、発生変位を変化させたとき(0〜600μg)、発生変位と圧電電荷を示すS2検出信号は比例することが、実証された。これにより、この系では、変位量校正式として、「y=0.0022x+0.1133」を用いることができる。
0132
以上をまとめると、まず、実施例の粘弾性測定装置500は、変位量測定手段502bの処理により、増幅部24の変位量を積層型ピエゾ素子1への印加電圧値を電圧印加装置200で検出する。
0133
つぎに、粘弾性測定装置500は、変位制御手段502aの処理により、検出した変位量が許容範囲でないと判定した場合、検出した印加電圧値および検出した変位量に基づいて変位量および印加電圧値の関係を表す式を変位制御手段502aの処理により作成する。
0134
そして、粘弾性測定装置500は、増幅部24が所望の正弦波形で振動するための目標となる印加電圧値および時間の関係を表す式を変位制御手段502aで作成し、増幅部24が所望の正弦波形で振動するための目標となる印加電圧値を決定する。
0135
これにより、粘弾性測定装置500は、目標となる印加電圧値に基づいて積層型ピエゾ素子1の変位を精度よく制御することができ、増幅部24を所望の正弦波形で振動させることができる。
0136
粘弾性測定装置500は、所望の正弦波形で粘弾性測定を行うことができ、貯蔵弾性率および損失弾性率などの粘弾性に関する指標値を正確に測定することができる。
0137
また、粘弾性測定装置500は、使用する部品や環境などの様々な影響を受けずに増幅部24の変位を所望な正弦波形にすることができ、高精度の粘弾性測定ができる。
0138
これにて、本実施例にかかる粘弾性測定装置500の動作の説明を終了する。
0139
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
0140
特に、実施の形態においては、本発明を粘弾性測定に適用した例について説明したが、これに限られず、微小構造評価、柔軟物質の微細形成、対人間動作ロボットなどの技術分野において、同様に適用することができる。
0142
また、粘弾性測定装置500がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、粘弾性測定装置500とは別筐体で構成されるクライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するように構成してもよい。
0143
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
0144
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
0145
また、粘弾性測定装置500に関して、図示の各構成要素は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
0146
例えば、粘弾性測定装置500の各装置が備える処理機能、特に制御装置502にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現することができ、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することも可能である。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて粘弾性測定装置500に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶装置506などは、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御装置を構成する。
0147
また、このコンピュータプログラムは、粘弾性測定装置500に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
0148
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
0149
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
0150
記憶装置506に格納される各種のデータベース等(変位量校正式記憶手段506a、応力校正式記憶手段506bなど)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段である。
0151
また、粘弾性測定装置500は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
0152
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
0153
以上詳述に説明したように、本発明によれば、センサー機能とアクチュエータ機能を兼ね備え、小型かつ軽量な装置で、変位量出力と応力入力を同時に測定でき、また、変位を生じさせた結果生ずる歪みや応力などを検知するセンサーとして用いることもできるセンサー機能付アクチュエータ装置および粘弾性測定装置を提供することができるので、粘弾性測定のみならず、微小構造評価、柔軟物質の微細形成、対人間動作ロボットなどのセンサー付動作が必要なアクチュエータの技術分野において利用することができる。
図面の簡単な説明
0154
本発明のセンサー機能付アクチュエータ装置の駆動部の基本原理を示す原理構成図である。
本発明の実施の形態であるセンサー付アクチュエータ装置の構成の一例を示す断面図である。
本発明が適用される本システム構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態における本センサー付アクチュエータ装置の本直動型変異拡大機構20の構成図である。
粘弾性測定装置500の内部論理構成を示す論理ブロック図である。
本実施の形態における本粘弾性測定装置500のフィードバック制御処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、本実施の形態における本粘弾性測定装置500の粘弾性処理の一例を示すフローチャートである。
算出された応力から、弾性応力成分と粘性応力成分とに分離する原理を示す原理図である。
変位制御手段502aの処理による積層型ピエゾ素子制御処理の一例を示すフローチャートである。
本実施例に係るピエゾアクチュエータ制御用PCアプリケーションの表示例を示す図である。
正弦波形のアクチュエータ制御信号に対して検出されるセンサー波形を示す図である。
制御信号振幅を変化させたときのセンサー信号振幅の変化を示す図である。
発生荷重を変化させたときのS1センサー信号振幅と、発生変位を変化させたときのS2センサー振幅の変化を示す実験データ図である。
符号の説明
0155
1積層型ピエゾ素子
2中間体
10 駆動部
20直動型変位拡大機構
21ベース
22アーム
23板バネ
24増幅部
25キャップ
26、27ヒンジ
30 (測定)対象物
200電圧印加装置
400チャージアンプ装置
500粘弾性測定装置
502制御装置
502a変位制御手段
502b変位量測定手段
502c応力測定手段
502d弾性応答取得手段
502e粘性応答取得手段
506記憶装置
506a変位量校正式記憶手段
506b応力校正式記憶手段
508入出力インターフェース部