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技術 回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラム

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 林和仁岡村賢樹
出願日 2006年7月19日 (14年7ヶ月経過) 出願番号 2006-196845
公開日 2008年2月7日 (13年0ヶ月経過) 公開番号 2008-029082
状態 未査定
技術分野 交流電動機の一次周波数制御 交流電動機の制御一般
主要キーワード カレントプローブ 極低温環境 減磁状態 かさ上げ 実トルク値 推定電力 電流補償値 電流検出処理
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

回転電機制御において、トルクの変化を補償することである。

解決手段

回転電機制御装置40は、おおむね3つの信号処理の流れで構成される。第1の構成部分は、トルク指令値42からインバータ回路20に供給する三相駆動信号を生成する部分で、d,q電流マップ44からPWM変換54までの部分がこれに相当する。第2の構成部分は、モータジェネレータ30から駆動電流値32を検出して、電流指令フィードバックする部分で、駆動電流値32を座標変換56し、電流指令値減算器48に入力されるループがこれに相当する。第3の構成部分は、モータ・ジェネレータ30の駆動電力回転数演算し、トルク推定値を求めて、これに基づいて電流指令値を補償し、トルクの変化を補償する部分で、電力演算58、回転数演算60、トルク推定62、電流指令補償部70がこれに相当する。

概要

背景

永久磁石を用いる電動機又は発電機等は、温度によって永久磁石の磁束が変化し、特に高温下において減磁が生じてトルクが低下する。したがって、温度センサ等を用いて永久磁石の磁束を推定し、電動機等のトルクを補償することが行われる。

例えば特許文献1には、界磁として永久磁石を用いる回転電機において、温度が上昇するにつれて永久磁石の減磁の割合が大きくなり、トルク指令に対し回転電機から実際に出力される出力トルクが小さくなることに対応するため、現在の永久磁石の磁束を推定し、この磁束推定値を用いてトルク電流指令補正することが開示されている。ここでは、q軸のIP制御部の出力VIPに基づいて永久磁石の磁束を推定し、この磁束推定値を用いてトルク電流指令を演算することが述べられている。

また、特許文献2には、永久磁石同期電動機における弱め界磁を利用した定出力運転では、巻線鎖交磁束数を一定であるとしているが、実際には永久磁石の温度が上がるにつれて巻線鎖交磁束数が減少することが述べられている。そして、実際の巻線鎖交磁束数を求める方法としてモータ巻線温度を検出しテーブルによって巻線鎖交磁束数を求める方法、電流Iq、Id及び電圧Vqから計算式で求める方法、モータの巻線部分の温度を磁石の温度として、テーブルから電流Iq、Id及を求め、これを電流指令値とする方法、モータモデルから巻線鎖交磁束数を求める方法が開示されている。

また、特許文献3には、極低温環境下で使用される電動モータにおいて、モータ加熱のためのヒータと、モータの周囲温度を検出する温度センサあるいはサーモスタットを用い、限界減磁温度より低い温度のときに、電動モータの作動を停止し、あるいはヒータを作動させることが開示されている。

また、電動機の電力回転数とからトルクを推定し、これを用いてトルク補償を行うものとして、特許文献4には、従来技術として、電力演算部にて得られた推定電力と、モータの回転数とから現在のトルクの推定値を求め、トルク指令と比較してトルク偏差を検出し、検出されたトルク偏差を0に収束させるトルクフィードバックを行うことが述べられている。

また、特許文献5には、誘導電動機トルク制御において、パワーユニットに供給される直流電圧直流電流から直流入力電流を求め、これを回転速度で割り算して推定トルクを得、これを推定トルクフィードバック量とすることが述べられている。

特開平10−229700号公報
特開2002−95300号公報
特開平5−184192号公報
特開2002−359996号公報
特開2003−88197号公報

概要

回転電機制御において、トルクの変化を補償することである。回転電機制御装置40は、おおむね3つの信号処理の流れで構成される。第1の構成部分は、トルク指令値42からインバータ回路20に供給する三相駆動信号を生成する部分で、d,q電流マップ44からPWM変換54までの部分がこれに相当する。第2の構成部分は、モータ・ジェネレータ30から駆動電流値32を検出して、電流指令フィードバックする部分で、駆動電流値32を座標変換56し、電流指令値に減算器48に入力されるループがこれに相当する。第3の構成部分は、モータ・ジェネレータ30の駆動電力と回転数を演算し、トルク推定値を求めて、これに基づいて電流指令値を補償し、トルクの変化を補償する部分で、電力演算58、回転数演算60、トルク推定62、電流指令補償部70がこれに相当する。

目的

本発明の目的は、新しい観点からトルクの変化を補償することができる回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラムを提供することである。他の目的は、永久磁石の減磁以外の原因を排除することを可能としてトルクの変化を補償する回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラムを提供することである。以下の手段は、上記目的の少なくとも1つに貢献する。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
7件

この技術が所属する分野

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請求項1

回転電機駆動電圧値を取得する電圧得手段と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出手段と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力演算する電力演算手段と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定手段と、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値補償する電流指令補償手段と、を備え、回転電機のトルクを補償することを特徴とする回転電機制御装置

請求項2

請求項1に記載の回転電機制御装置において、電流指令補償手段は、トルク指令値とトルク推定値とからトルク誤差を求め、トルク誤差をゼロにするq軸電流補償値を求め、q軸電流指令値を補償することを特徴とする回転電機制御装置。

請求項3

請求項1に記載の回転電機制御装置において、電流指令補償手段は、トルク指令値と、それに対応するq軸電流指令値と、トルク推定値とに基づいて、トルク推定値をトルク指令値に一致させるq軸電流指令値を求めて、求められた値にq軸電流指令値を補償することを特徴とする回転電機制御装置。

請求項4

請求項1に記載の回転電機制御装置において、電流指令補償手段は、トルク指令値とトルク推定値とからトルク誤差を求め、トルク誤差と、現在のq軸電流指令値とに基づいてトルク誤差をゼロにするd軸電流補正値を求め、d軸電流指令値を補償することを特徴とする回転電機制御装置。

請求項5

請求項1に記載の回転電機制御装置において、回転電機の駆動電流値を電流指令値にフィードバックする追従手段と、追従手段がトルク指令値に対し安定追従中か過渡状態かを判断する追従判断手段と、を備え、追従手段が安定追従中であるときに、電流指令補償手段が補償を行うことを特徴とする回転電機制御装置。

請求項6

請求項5に記載の回転電機制御装置において、追従判断手段は、回転電機の駆動電流値から求められるd軸電流推定値とd軸電流指令値との間の偏差であるd軸電流偏差に基づいて、または、q軸電流推定値とq軸電流指令値との間の偏差であるq軸電流偏差に基づいて、または、d軸電流偏差及びq軸電流偏差の双方に基づいて、安定追従中か過渡状態かを判断することを特徴とする回転電機制御装置。

請求項7

請求項1に記載の回転電機制御装置において、トルク指令値とトルク推定値との誤差の原因が所定の制御条件によるものか否かを判断する誤差原因判断手段を備え、誤差原因が所定の制御条件による場合には、補償手段は補償を行わないことを特徴とする回転電機制御装置。

請求項8

駆動に用いられる永久磁石を有する回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得手段と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出手段と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算手段と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定手段と、推定された現在のトルク推定値と、予め求めておいた通常状態におけるトルク推定値との比較に基づいて、永久磁石の減磁率を求める減磁率算出手段と、を備え、求められた減磁率に従って回転電機のトルクを補償することを特徴とする回転電機制御装置。

請求項9

回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得工程と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出工程と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算工程と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定工程と、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値を補償する電流指令補償工程と、を備え、回転電機のトルクを補償することを特徴とする回転電機制御方法

請求項10

回転電機の制御装置上で実行され、回転電機のトルクを補償する回転電機制御プログラムであって、回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得処理手順と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出処理手順と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算処理手順と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定処理手順と、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値を補償する電流指令補償処理手順と、を実行することを特徴とする回転電機制御プログラム。

技術分野

0001

本発明は回転電機制御装置回転電機制御方法及び回転電機制御プログラム係り、特に、回転電機のトルクが減少等した場合にトルクを補償する回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラムに関する。

背景技術

0002

永久磁石を用いる電動機又は発電機等は、温度によって永久磁石の磁束が変化し、特に高温下において減磁が生じてトルクが低下する。したがって、温度センサ等を用いて永久磁石の磁束を推定し、電動機等のトルクを補償することが行われる。

0003

例えば特許文献1には、界磁として永久磁石を用いる回転電機において、温度が上昇するにつれて永久磁石の減磁の割合が大きくなり、トルク指令に対し回転電機から実際に出力される出力トルクが小さくなることに対応するため、現在の永久磁石の磁束を推定し、この磁束推定値を用いてトルク電流指令補正することが開示されている。ここでは、q軸のIP制御部の出力VIPに基づいて永久磁石の磁束を推定し、この磁束推定値を用いてトルク電流指令を演算することが述べられている。

0004

また、特許文献2には、永久磁石同期電動機における弱め界磁を利用した定出力運転では、巻線鎖交磁束数を一定であるとしているが、実際には永久磁石の温度が上がるにつれて巻線鎖交磁束数が減少することが述べられている。そして、実際の巻線鎖交磁束数を求める方法としてモータ巻線温度を検出しテーブルによって巻線鎖交磁束数を求める方法、電流Iq、Id及び電圧Vqから計算式で求める方法、モータの巻線部分の温度を磁石の温度として、テーブルから電流Iq、Id及を求め、これを電流指令値とする方法、モータモデルから巻線鎖交磁束数を求める方法が開示されている。

0005

また、特許文献3には、極低温環境下で使用される電動モータにおいて、モータ加熱のためのヒータと、モータの周囲温度を検出する温度センサあるいはサーモスタットを用い、限界減磁温度より低い温度のときに、電動モータの作動を停止し、あるいはヒータを作動させることが開示されている。

0006

また、電動機の電力回転数とからトルクを推定し、これを用いてトルク補償を行うものとして、特許文献4には、従来技術として、電力演算部にて得られた推定電力と、モータの回転数とから現在のトルクの推定値を求め、トルク指令と比較してトルク偏差を検出し、検出されたトルク偏差を0に収束させるトルクフィードバックを行うことが述べられている。

0007

また、特許文献5には、誘導電動機トルク制御において、パワーユニットに供給される直流電圧直流電流から直流入力電流を求め、これを回転速度で割り算して推定トルクを得、これを推定トルクフィードバック量とすることが述べられている。

0008

特開平10−229700号公報
特開2002−95300号公報
特開平5−184192号公報
特開2002−359996号公報
特開2003−88197号公報

発明が解決しようとする課題

0009

回転電機において、永久磁石の減磁等によるトルクの低下を補償するものとしては、従来技術に開示されるように、永久磁石の温度等に基づいて永久磁石の磁束を推定し、磁束低下を補償するように電流指令値を補償する方法、回転電機のトルクを推定し、トルク低下を補償するようにトルク指令値を補償する方法等を用いるもの等がある。

0010

電流指令値を補償する方法について、特許文献1によれば磁束の推定から電流指令の補償を導くために特別な演算処理を要し、特許文献2によれば、テーブルを用いて電流指令値を求めるので、温度ごとの多数のテーブルを必要とする。また、トルク指令値を補償する方法について、特許文献4及び特許文献5によるものは、永久磁石の減磁によるトルク低下とその他の原因によるトルク低下との区別が困難で、正しい補償を行えない可能性がある。

0011

本発明の目的は、新しい観点からトルクの変化を補償することができる回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラムを提供することである。他の目的は、永久磁石の減磁以外の原因を排除することを可能としてトルクの変化を補償する回転電機制御装置、回転電機制御方法及び回転電機制御プログラムを提供することである。以下の手段は、上記目的の少なくとも1つに貢献する。

課題を解決するための手段

0012

本発明に係る回転電機制御装置は、回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得手段と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出手段と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算手段と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定手段と、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値を補償する電流指令補償手段と、を備え、回転電機のトルクを補償することを特徴とする。

0013

また、電流指令補償手段は、トルク指令値とトルク推定値とからトルク誤差を求め、トルク誤差をゼロにするq軸電流補償値を求め、q軸電流指令値を補償することが好ましい。

0014

また、電流指令補償手段は、トルク指令値と、それに対応するq軸電流指令値と、トルク推定値とに基づいて、トルク推定値をトルク指令値に一致させるq軸電流指令値を求めて、求められた値にq軸電流指令値を補償することが好ましい。

0015

また、電流指令補償手段は、トルク指令値とトルク推定値とからトルク誤差を求め、トルク誤差と、現在のq軸電流指令値とに基づいてトルク誤差をゼロにするd軸電流補正値を求め、d軸電流指令値を補償することが好ましい。

0016

また、本発明に係る回転電機制御装置において、回転電機の駆動電流値を電流指令値にフィードバックする追従手段と、追従手段がトルク指令値に対し安定追従中か過渡状態かを判断する追従判断手段と、を備え、追従手段が安定追従中であるときに、電流指令補償手段が補償を行うことが好ましい。

0017

また、追従判断手段は、回転電機の駆動電流値から求められるd軸電流推定値とd軸電流指令値との間の偏差であるd軸電流偏差に基づいて、または、q軸電流推定値とq軸電流指令値との間の偏差であるq軸電流偏差に基づいて、または、d軸電流偏差及びq軸電流偏差の双方に基づいて、安定追従中か過渡状態かを判断することが好ましい。

0018

また、本発明に係る回転電機制御装置において、トルク指令値とトルク推定値との誤差の原因が所定の制御条件によるものか否かを判断する誤差原因判断手段を備え、誤差原因が所定の制御条件による場合には、補償手段は補償を行わないことが好ましい。

0019

また、本発明に係る回転電機制御装置は、駆動に用いられる永久磁石を有する回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得手段と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出手段と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算手段と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定手段と、推定された現在のトルク推定値と、予め求めておいた通常状態におけるトルク推定値との比較に基づいて、永久磁石の減磁率を求める減磁率算出手段と、を備え、求められた減磁率に従って回転電機のトルクを補償することを特徴とする。

0020

また、本発明に係る回転電機制御方法は、回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得工程と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出工程と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算工程と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定工程と、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値を補償する電流指令補償工程と、を備え、回転電機のトルクを補償することを特徴とする。

0021

また、本発明に係る回転電機制御プログラムは、回転電機の制御装置上で実行され、回転電機のトルクを補償する回転電機制御プログラムであって、回転電機の駆動電圧値を取得する電圧取得処理手順と、回転電機の駆動電流値を検出する電流検出処理手順と、取得された駆動電圧値と検出された駆動電流値とから駆動電力を演算する電力演算処理手順と、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルク推定値を求めるトルク推定処理手順と、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値を補償する電流指令補償処理手順と、を実行することを特徴とする。

発明の効果

0022

上記構成の少なくとも1つにより、回転電機の駆動電圧値と駆動電流値とを取得し、これらから駆動電力を演算し、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルクを推定し、トルク指令値とトルク推定値とに基づいて、電流指令値を補償し、トルクの変化を補償することができる。

0023

また、トルク指令値とトルク推定値とからトルク誤差を求め、トルク誤差をゼロにするq軸電流補償値を求め、q軸電流指令値を補償する。d軸電流Idとq軸電流Iqによって駆動制御される回転電機のトルクTは、極対数をp、磁束をφ、d軸インダクタンスをLd、q軸インダクタンスをLqとして、T=p{φIq+(Ld−Lq)IdIq}で示される。したがって、トルク誤差に相当するIqを求め、これをq軸電流補償値として現在のq軸電流指令値を補償することで、トルクの変化を補償できる。

0024

また、トルク指令値と、それに対応するq軸電流指令値と、トルク推定値とに基づいて、トルク推定値をトルク指令値に一致させるq軸電流指令値を求めて、求められた値にq軸電流指令値を補償する。上記式に従えば、トルクTはq軸電流Iqに比例するので、トルク指令値、それに対応するq軸電流指令値、現在のトルク推定値が分かれば、トルク推定値をトルク指令値に一致させるq軸電流が分かるので、これを新しいq軸電流指令値とすることで、トルクの変化を補償できる。

0025

また、トルク指令値とトルク推定値とからトルク誤差を求め、トルク誤差と、現在のq軸電流指令値とに基づいてトルク誤差をゼロにするd軸電流補正値を求め、d軸電流指令値を補償する。上記式に従って、トルク誤差に相当するIdを求め、これをd軸電流補償値として現在のd軸電流指令値を補償することで、トルクの変化を補償できる。

0026

また、追従手段によって回転電機の駆動電流値を電流指令値にフィードバックする場合、追従手段がトルク指令値に対し安定追従中か過渡状態かを判断し、安定追従中であるときに、電流指令値の補償を行うこととする。過渡状態のときに電流指令値の補償を行うと、電流指令値がかさ上げされて、実トルクオーバーシュート等を起こすことがある。したがって、安定追従中のときに電流指令値の補償を行うことで、目的のトルク補償を行うことができる。

0027

また、トルク指令値とトルク推定値との誤差の原因が所定の制御条件によるものか否かを判断し、誤差原因が所定の制御条件による場合には、補償手段は補償を行わないこととする。これにより、他の制御条件によって生じるトルク偏差の場合を排除してトルク補償を行うことができ、永久磁石の減磁以外の原因を排除することが可能となる。

0028

また、上記構成の少なくとも1つにより、駆動に用いられる永久磁石を有する回転電機の駆動電圧値と駆動電流値とを取得し、これらから駆動電力を演算し、演算された駆動電力と回転電機の回転数とから回転電機のトルクを推定し、推定された現在のトルク推定値と、予め求めておいた通常状態におけるトルク推定値との比較に基づいて、永久磁石の減磁率を求める。これにより、例えば、低温下における永久磁石の減磁を監視するための温度センサ等を用いることなく、回転電機の永久磁石の減磁を検出し、これに基づいて回転電機のトルクを補償することができる。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、車両用三相同期回転電機についての制御を説明するが、車両用以外の回転電機であってもよい。また、回転電機は、電動機と発電機の機能を併せ持つモータ・ジェネレータ(M/G)として説明するが、もちろん電動機のみの機能を有するものあるいは発電機のみの機能を有するものであっても構わない。また、d軸電流指令値とq軸電流指令値によって制御される回転電機であれば、相数は三相以外のものであってもよい。また、回転電機の通常の制御は、回転電機の駆動電流を電流指令値にフィードバックして行うものとして説明するが、それ以外の制御方法を用いるものとしてもよい。

0030

図1は、車両用モータ・ジェネレータの駆動制御を行う回転電機制御装置40の構成を示す図である。図1では、駆動制御の対象であるモータ・ジェネレータ30と、その駆動回路10が合わせて示されている。モータ・ジェネレータ30は、車両を駆動する駆動電動機回生エネルギ回収する回生発電機の機能を有し、永久磁石を備えた三相同期回転電機である。駆動回路10は、電源電池12と低圧平滑コンデンサ14と昇圧コンバータ16と高圧側平滑コンデンサ18とインバータ回路20を備え、モータ・ジェネレータ30に三相駆動信号を供給する機能を有する回路である。

0031

回転電機制御装置40は、トルク指令値42に基づいて演算処理を行い、駆動回路10のインバータ回路20にPWM変換された駆動電圧信号を供給し、モータ・ジェネレータ30からその駆動電流値32を電流指令にフィードバックして、所望の駆動を行わせる機能を有する制御装置である。また、回転電機制御装置40は、モータ・ジェネレータ30の駆動電圧値と駆動電流値とから駆動電力を演算し、演算された駆動電力とモータ・ジェネレータ30の回転数とに基づいてモータ・ジェネレータ30の現在のトルクを推定し、これとトルク指令値42とに基づいて、電流指令値を補償して、モータ・ジェネレータ30のトルク変化を補償する機能を有する。回転電機制御装置40は、信号処理と演算処理等を実行できるコンピュータで構成することができ、これらの機能は、一部ハードウェアで実行することができる他、ソフトウェアで実現することができ、具体的には、対応する回転電機制御プログラムを実行することで実現できる。

0032

回転電機制御装置40は、おおむね3つの信号処理の流れで構成される。第1の構成部分は、トルク指令値42からインバータ回路20に供給する三相駆動信号を生成する部分で、図1においては、d,q電流マップ44からPWM変換54までの部分がこれに相当する。第2の構成部分は、モータ・ジェネレータ30から駆動電流値32を検出して、電流指令にフィードバックする部分で、図1においては駆動電流値32を座標変換56し、各電流指令値に対し減算器48を介して入力されるループがこれに相当する。第3の構成部分は、モータ・ジェネレータ30の駆動電力と回転数を演算し、トルク推定値を求めて、これに基づいて電流指令値を補償し、トルクの変化を補償する部分で、図1においては電力演算58、回転数演算60、トルク推定62、電流指令補償部70がこれに相当する。

0033

第1の構成部分及び第2の構成部分は、トルク指令値42に基づき、電流フィードバックを用いてモータ・ジェネレータ30を所望の状態に駆動制御するためのもので、従来から知られている技術である。具体的には、以下のように構成される。すなわち、トルク指令値42が与えられると、予め記憶されているd,q電流マップ44を検索し、トルク指令に対応したd軸電流指令値及びq軸電流指令値を決定する。決定された電流指令値は、図1においてId,Iq指令値46として示されている。モータ・ジェネレータ30において検出された駆動電流値32は三相駆動電流であるので、これを座標変換56によりd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換され、2つの減算器48においてそれぞれId指令値及びIq指令値に対し減算処理され、フィードバックされる。フィードバック後のd軸電流Id及びq軸電流Iqは比例積分器50によってd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqに変換され、さらに座標変換52によって、三相駆動電圧VU,VV,VWに変換される。この三相駆動電圧値53が、後述の電力演算58に駆動電圧値として伝送される。また、この三相駆動電圧値53は、PWM変換54によってPWM信号に変換されてインバータ回路20に供給される。

0034

第3の構成部分は、第1及び第2の構成部分で処理された信号等を用いて、モータ・ジェネレータ30のトルク変化を補償するためのものである。モータ・ジェネレータ30のトルク変化は、通常の駆動制御の過程においても当然生じるが、ここでは主にモータ・ジェネレータ30の永久磁石の温度特性に起因する減磁により低下するトルクを補償することを対象としている。もちろん、これ以外に、環境等の変化によるモータ・ジェネレータ30のトルク変化も補償することができる。

0035

第3の構成部分は以下のように構成される。すなわち、モータ・ジェネレータ30に対する3相駆動信号線から、カレントプローブ等の適当な電流検出手段によって駆動電流値32が検出され、電力演算58に入力される。駆動電流値32は三相成分のうち、少なくとも2つの相成分の値が検出されれば、残りの相成分は演算で求めることができる。図1では、IV,IWの2成分の検出が示されているが、それ以外の相成分の組み合わせでもよい。また、上記のように、第1の構成部分の座標変換52によって演算された三相駆動電圧値53が取得され、電力演算58に入力される。また、電力演算58には、モータ・ジェネレータ30において角度センサによって検出された電気角34が入力される。電力演算58は、入力された駆動電流値32と駆動電圧値53と、電気角34とに基づき、モータ・ジェネレータ30の推定駆動電力を算出する。

0036

また、モータ・ジェネレータ30の角度センサによって検出された電気角34は回転数演算60に入力され、モータ・ジェネレータ30の回転数が算出される。そして、演算された駆動電力と、算出された回転数は、トルク推定62に入力される。ここで回転数は角速度に変換され、駆動電力を角速度で除することでモータ・ジェネレータ30の現在のトルクの推定値としてのトルク推定値が算出される。算出されたトルク推定値は、電流指令補償部70に入力される。電流指令補償部70にはトルク指令値42も入力される。

0037

電流指令補償部70は、上記第2の構成部分によるフィードバックによって補償できないトルク変化を補償するため、電流指令値を補償する機能を有する。上記第2の構成部分によるフィードバックは、モータ・ジェネレータ30の駆動電流値32のフィードバックであるので、これによって補償できないトルク変化とは、駆動電流値32に関係なくトルクが変化するものである。その例としては、上記のように、モータ・ジェネレータ30の温度変化に起因する永久磁石の減磁によるトルク変化が上げられる。

0038

電流指令補償部70は、補償値算出モジュール72と、追従判断モジュール74と、誤差原因判断モジュール76と、減磁判断モジュール78の4つの機能を有する。補償値算出モジュール72は、入力されたトルク推定値とトルク指令値とに基づき、トルク推定値をトルク指令値に一致させるために必要な電流指令補償値を求める機能を有する。追従判断モジュール74と、誤差原因判断モジュール76は、トルク推定値に基づいて電流指令の補償を行うことが適切か否かを判断し、適切でないと判断するときには電流指令の補償を行わないこととする機能を有する。減磁判断モジュール78は、永久磁石の減磁が生じないような通常状態におけるトルク推定値を予め求めておき、これと現在のトルク推定値とを比較し、永久磁石の減磁状態を判断する機能を有する。

0039

補償値算出モジュール72は、d軸電流Idとq軸電流Iqによって駆動制御される回転電機のトルクTの式に基づき、トルク推定値とトルク指令値との偏差又は誤差を補償するd軸電流Id又はq軸電流Iqを算出する機能を有する。すなわち、極対数をp、磁束をφ、d軸インダクタンスをLd、q軸インダクタンスをLqとすると、トルクTは、T=p{φIq+(Ld−Lq)IdIq}で示されるので、p、φ、Ld、Lqを既知とすれば、トルク誤差ΔTは、Id又はIqの関数で与えられるので、トルク誤差ΔTを補償するd軸電流Id又はq軸電流Iqを算出することができる。この算出にはいくつかの具体的な方法が可能であるので、それぞれについて後に詳述する。

0040

追従判断モジュール74は、上記の第2の構成部分による電流フィードバックによってトルク指令値42に対して追従処理を行っている場合に、その追従状態が安定追従中か過渡状態かを判断する機能を有する。そして、過渡状態であると判断するときは、トルク推定値に基づく電流指令値の補償を行うと、実トルクのオーバーシュート等が生じるので、トルク推定値に基づく電流指令値の補償を行わないこととし、安定追従中であると判断されるときに、トルク推定値に基づく電流指令値の補償を行うこととする機能を有する。

0041

図2は、トルク指令値に対する追従が過渡状態のときにトルク推定値に基づく電流指令値の補償を行うことで生じ得る実トルクのオーバーシュートあるいはトルクサージを説明する図である。図2は、横軸に時間をとり、縦軸にトルクをとり、トルク指令値42、実トルク値100、電流指令値の補償を行った場合の補償後のトルク指令値43の変化が示されている。ここでは、時刻t1でトルク指令値42が変化し、それに伴い実トルク値100が時刻t1から追従を始めている。時刻t1からt2の間に注目すると、この期間において実トルク値100は追従の過渡状態にある。このときに、トルク推定は実トルク値を推定するので、正常にトルク推定が行われれば、時刻t1からt2の間のトルク推定値はその期間の実トルク値100となる。したがって、この期間におけるトルク指令値42と実トルク値100との差がトルク誤差102となる。このトルク誤差102に相当する量が、つぎのサンプリング期間である時刻t2からt3の間に補償量103としてトルク指令値42に付加される。

0042

このように、上記の第2の構成部分による電流フィードバックによってトルク指令値42に対して追従処理を行っている場合に、その追従状態が過渡状態であるにもかかわらず、トルク推定値に基づいて電流指令値を補償してトルク補償を行うと、トルク指令値42に対しかさ上げが行われる。その結果、実トルク値100は急速に立ち上がり、時刻t3以後でオーバーシュートを起こす。このオーバーシュートに対して注目すると、時刻t4からt5におけるトルク指令値42と実トルク値100との差がトルク誤差104となり、このトルク誤差104に相当する量が、つぎのサンプリング期間である時刻t5からt6の間に補償量105としてトルク指令値42から差し引かれる。これによって、実トルク値100はアンダーシュートを生じる。

0043

図2で説明するように、上記の第2の構成部分による電流フィードバックによってトルク指令値に対して追従処理を行っている場合に、その追従状態が過渡状態であるにもかかわらず、トルク推定値に基づいて電流指令値を補償してトルク補償を行うと、追従が過度となり、実トルク値のオーバーシュート、アンダーシュートが生じ得る。そこで、追従判断モジュール74は、トルク指令値42に対して追従処理を行っている場合に、その追従状態が安定追従中か過渡状態かを判断し、安定追従中であると判断されるときに、トルク推定値に基づく電流指令値の補償を行うこととするのである。

0044

安定追従中か過渡状態かの判断には、モータ・ジェネレータ30の駆動電流値32から求められるd軸電流推定値及びq軸電流指令値の安定度を用いることができる。図3は、d軸電流推定値の安定度を説明する図である。図3において、横軸は時間、縦軸はd軸電流で、d軸電流指令値110に対し、駆動電流値32から演算により求められるd軸電流推定値の変化が示されている。ここで、d軸電流指令値110とd軸電流推定値112との間の偏差であるd軸電流偏差114が所定範囲以内のときに安定追従中であると判断することができる。このように、d軸電流偏差に基づいて安定追従中か否かの判断を行う他に、q軸電流指令値とq軸電流推定値との間の偏差であるq軸電流偏差に基づいて追従中か否かの判断を行ってもよい。好ましくはd軸電流偏差とq軸電流偏差との双方に基づいて追従中か否かの判断を行うことがよい。例えば、d軸電流偏差とq軸電流偏差のいずれかが所定範囲を超えているときは過渡状態であると判断し、d軸電流偏差とq軸電流偏差の双方とも所定範囲以内のときに安定追従中であると判断することが好ましい。

0045

再び図1戻り、誤差原因判断モジュール76は、トルク指令値とトルク推定値との誤差の原因が所定の制御条件によるものか否かを判断する機能を有する。そして、誤差原因が所定の制御条件による場合にトルク推定値に基づく電流指令値の補償を行うと、所定の制御条件が正しく実行されないことが起こりえるので、トルク推定値に基づく電流指令値の補償を行わないこととする機能を有する。所定の制御条件とは、制振制御等のように、トルク指令が単位時間に多数の頻度で変更される場合等が上げられる。この場合には、単位時間当たりのトルク指令の頻度を閾値と比較して、所定の制御条件によるものか否かを判断できる。

0046

減磁判断モジュール78は、永久磁石の減磁が生じないような通常状態、例えばモータ・ジェネレータ30の永久磁石の温度が常温以上のときにおけるトルク推定値を予め求めておき、これと現在のトルク推定値とを比較し、永久磁石の減磁状態を判断する機能を有する。上記のように、トルクTは、T=p{φIq+(Ld−Lq)IdIq}で示されるので、磁束φの変化Δφによるトルクの変化ΔTは、ΔT=pIq・Δφで与えられる。これにより、減磁が生じていないことが分かっているときのトルク推定値と現在のトルク推定値の偏差ΔTから、磁束の変化Δφが求めることができる。したがって、予め定めておいた一定期間を超え、予め定めておいたトルク偏差ΔT以上のトルク推定値の低下が継続するときに、モータ・ジェネレータ30の永久磁石が減磁状態にあると判断し、これに基づいて電流指令値を補償し、あるいは直接トルク指令値42を補償して、低下したトルクを補償することができる。

0047

また、永久磁石の減磁率を次のようにして求めることもできる。すなわち、通常状態における磁束をφ1とし、そのときのトルクをT1とし、現在の磁束をφ2とし、現在のトルクをT2とする。通常状態について、そのマグネットトルク成分TM=pφIqとリラクタンストルク成分TL=p(Ld−Lq)IdIq成分との比を予め求めておく。例えば、TM=TL=T1/2の場合で説明すると、減磁率=(φ2−φ1)/φ1=(T2−T1)/TMで与えられる。このように、永久磁石の磁束の測定をすることなく、また、永久磁石の温度を測定することを要せずに、トルク推定値から永久磁石の減磁率を求めることができる。求められた減磁率に基づいて電流指令値を補償し、あるいは直接トルク指令値42を補償して、低下したトルクを補償することができる。

0048

上記のように、トルク誤差ΔTを補償する電流補償値を求める方法はいくつか考えられる。ここでは、トルク誤差をゼロにするq軸電流補償値を求め、q軸電流指令値を補償する方法を説明する。すでに述べたようにトルクTは、T=p{φIq+(Ld−Lq)IdIq}で示されるので、q軸電流Iq以外を既知として、ΔT=p{φ+(Ld−Lq)Id}Iq=KIqとなる。そこで、トルク誤差ΔTを、ΔIq=KpΔT+KiΣΔTの式で比例積分制御を行い、求められたΔIqをq軸電流補償値として、q軸電流指令値に加算することで、ΔTを補償することができる。ここでKpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。

0049

図4は、その様子を示す図である。図4においては、図1のId,Iq指令値46に関する部分を抜き出して示してある。すなわちトルク推定62によって得られたトルク推定値は減算器82に入力され、(トルク指令値42−トルク推定値)が演算されてトルク誤差ΔTが求められる。求められたトルク誤差ΔTについて比例積分器84においてΔIq=KpΔT+KiΣΔTが演算され、q軸電流補償値ΔIqが求められる。求められたΔIqは減算器86に入力され、(q軸電流指令値+ΔIq)が演算され、トルク誤差ΔTを補償することができる新しいq軸電流指令値となる。このようにして、トルク誤差をゼロにするq軸電流補償値を求め、q軸電流指令値を補償することができる。

0050

次に、トルク指令値と、それに対応するq軸電流指令値と、トルク推定値とに基づいて、トルク推定値をトルク指令値に一致させるq軸電流指令値を求めて、求められた値にq軸電流指令値を補償する方法を述べる。この方法は、比例積分制御を行うことなく、演算のみからq軸電流補償値を求める方法である。

0051

上記のようにトルクTは、T=p{φIq+(Ld−Lq)IdIq}で示され、q軸電流Iq以外を既知とすれば、T=p{φ+(Ld−Lq)Id}Iq=kIqとなる。ここで、q軸電流指令値Iq0の下での現在のトルク推定値をT−estとし、そのときのトルク指令値をT−comとし、トルク推定値をトルク指令値に一致させるのに必要なq軸電流指令値をIq1とする。この場合、T−est=kIq0、T−com=kIq1であるので、Iq1=T−com/k=(T−com/T−est)Iq0となる。したがって、この場合のq軸電流指令の補償値ΔIqは、ΔIq=Iq1−Iq0={(T−com/T−est)−1}Iq0で求められる。求められたΔIqをq軸電流補償値として、q軸電流指令値に加算することで、ΔTを補償することができる。

0052

図5は、その様子を示す図である。図5図4と同様に図1の一部を抜き出して示してある。すなわちトルク推定62によって得られたトルク推定値と、トルク指令値42がIq指令補償86に入力され、上記の演算等が行われ、q軸電流補償値ΔIqが求められる。求められたΔIqは減算器88に入力され、(q軸電流指令値+ΔIq)が演算され、トルク誤差ΔTを補償することができる新しいq軸電流指令値となる。このようにして、トルク誤差をゼロにするq軸電流補償値を求め、q軸電流指令値を補償することができる。

0053

次に、トルク誤差と、現在のq軸電流指令値とに基づいてトルク誤差をゼロにするd軸電流補正値を求め、d軸電流指令値を補償する方法を説明する。この方法は、トルク誤差をリラクタンストルクの増加で補償するものである。すでに述べたようにトルクTは、T=p{φIq+(Ld−Lq)IdIq}で示され、リラクタンストルクは、この第2項で与えられ、d軸電流Idに比例する。また、第1項のマグネットトルクは、磁束φが温度に依存するのに対し、リラクタンストルクを構成するインダクタンスLd,Lqは温度にほとんど依存しないので、この方法は温度の影響をほとんど受けないという利点がある。

0054

上記の式から、ΔIdで補償するときのトルク誤差ΔTは、Id以外を既知として、ΔT=p{(Ld−Lq)Iq}ΔIdとなる。したがって、トルク誤差ΔTと現在のq軸電流値を用いて、上記式からd軸電流補償値ΔIdを求め、d軸電流指令値に加算することで、ΔTを補償することができる。d軸電流補償値ΔIdを求める他の方法として、Id、Iqとリラクタンストルクとの関係のマップを予め求めておき、トルク誤差ΔTと現在のq軸電流値を与えてマップから求めることもできる。

0055

図6は、その様子を示す図である。図6は、図4図5と同様に、図1の一部を抜き出して示してある。すなわちトルク推定62によって得られたトルク推定値は減算器82に入力され、(トルク指令値42−トルク推定値)が演算されてトルク誤差ΔTが求められる。求められたトルク誤差ΔTと、現在のq軸電流推定値とがId指令補償90に入力され、上記の式に従って、ΔTについてリラクタンストルクを増加して補償するためのd軸電流補償値ΔIdが求められる。求められたΔIdは減算器92に入力され、(d軸電流指令値+ΔId)が演算され、トルク誤差ΔTを補償することができる新しいd軸電流指令値となる。このようにして、トルク誤差をゼロにするd軸電流補償値を求め、d軸電流指令値を補償することができる。

図面の簡単な説明

0056

本発明に係る実施の形態において、車両用モータ・ジェネレータの駆動制御を行う回転電機制御装置の構成を示す図である。
本発明に係る実施の形態において、トルク指令値に対する追従が過渡状態のときにトルク推定値に基づく電流指令値の補償を行うことで生じ得る実トルクのトルクサージを説明する図である。
本発明に係る実施の形態において、追従判断に用いられるd軸電流推定値の安定度を説明する図である。
本発明に係る実施の形態において、q軸電流指令値の補償によりトルク誤差を補償する構成を説明する図である。
本発明に係る実施の形態において、q軸電流指令値の補償によりトルク誤差を補償する別の構成を説明する図である。
本発明に係る実施の形態において、d軸電流指令値の補償によりトルク誤差を補償する構成を説明する図である。

符号の説明

0057

10駆動回路、12電源電池、14低圧側平滑コンデンサ、16昇圧コンバータ、18高圧側平滑コンデンサ、20インバータ回路、30モータ・ジェネレータ、32駆動電流値、34電気角、40回転電機制御装置、42トルク指令値、43補償後のトルク指令値、44 d,q電流マップ、46 Id,Iq指令値、48,82,86,88,92減算器、50,84比例積分器、52,56座標変換、53駆動電圧値、54PWM変換、58電力演算、60回転数演算、62トルク推定、70電流指令補償部、72補償値算出モジュール、74追従判断モジュール、76誤差原因判断モジュール、78減磁判断モジュール、86 Iq指令補償、90 Id指令補償、100実トルク値、102,104トルク誤差、103,105補償量、110 d軸電流指令値、112 d軸電流推定値、114 d軸電流偏差。

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