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技術 組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材

出願人 トヨタ自動車株式会社新日鐵住金株式会社愛知製鋼株式会社
発明者 棚橋和浩森元秀加田修戸田正弘高田啓督水野浩行岩城昭二加藤英久
出願日 2006年7月6日 (14年5ヶ月経過) 出願番号 2006-186388
公開日 2008年1月24日 (12年11ヶ月経過) 公開番号 2008-013813
状態 未査定
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 焼きもどし ピン留め クランクシャフト形状 耐座屈性 スプレノズル 視野測定 温度誤差 機械強度特性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材において、鋼材における結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を更に微細化することである。

解決手段

0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlとを含む鋼材を熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材の製造方法であって、鋼材は、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工される。また、鋼材は、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを含むことが好ましい。

概要

背景

車両、特に、自動車用部品には、機械構造用炭素鋼等の鋼材が使用される。鋼材には、引張強度疲労強度等の機械的強度特性を向上させるために、焼入れ焼きもどし等の熱処理によりマルテンサイト組織等にする調質処理が行われている。

ここで、鋼材に焼入れ、焼きもどし等による調質処理を行うと熱処理時間等を要するため、鋼材により製造される自動車用部品製造コストが高くなる場合がある。そのため、このような調質処理を行わずに鋼材の組織微細化して、鋼材の機械強度特性等を向上させることが行われている。

特許文献1には、熱間鍛造による自動車部品の製造において、鋼を熱間鍛造後、直接、油冷して、機械加工性に優れ且つ耐座屈性耐疲労性に優れた高強度非調質鋼部品を製造する製造方法が示されている。また、特許文献2と特許文献3とには、熱間加工して製造される非調質鋼が示されている。

特開2001−30036号公報
特開昭58−71354号公報
特開平8−333624号公報

概要

組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材において、鋼材における結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を更に微細化することである。0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlとを含む鋼材を熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材の製造方法であって、鋼材は、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工される。また、鋼材は、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを含むことが好ましい。

目的

そこで、本発明の目的は、鋼材における結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を更に微細化する組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlと、を含む鋼材熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材の製造方法であって、鋼材は、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工されることを特徴とする組織制御された鋼材の製造方法。

請求項2

請求項1に記載の組織制御された鋼材の製造方法であって、鋼材は、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを含むことを特徴とする組織制御された鋼材の製造方法。

請求項3

請求項1または2に記載の組織制御された鋼材の製造方法であって、鋼材は、0.05質量%以上0.30質量%以下のVと、0質量%より多く0.030質量%以下のPと、0質量%より多く0.065質量%以下のSと、0質量%より多く1.20質量%以下のCrと、0質量%より多く0.30質量%以下のMoと、を含むことを特徴とする組織制御された鋼材の製造方法。

請求項4

0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlと、を含む鋼材を熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材であって、鋼材は、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工して製造されることを特徴とする組織制御された鋼材。

請求項5

請求項4に記載の組織制御された鋼材であって、鋼材は、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを含むことを特徴とする組織制御された鋼材。

請求項6

請求項4または5に記載の組織制御された鋼材であって、鋼材は、0.05質量%以上0.30質量%以下のVと、0質量%より多く0.030質量%以下のPと、0質量%より多く0.065質量%以下のSと、0質量%より多く1.20質量%以下のCrと、0質量%より多く0.30質量%以下のMoと、を含むことを特徴とする組織制御された鋼材。

請求項7

請求項4から6のいずれか1に記載の組織制御された鋼材で製造されることを特徴とする車両用部品

技術分野

0001

本発明は、組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材に係り、特に、C、Si、Mn、N及びAlを含む鋼材を、熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材に関する。

背景技術

0002

車両、特に、自動車用部品には、機械構造用炭素鋼等の鋼材が使用される。鋼材には、引張強度疲労強度等の機械的強度特性を向上させるために、焼入れ焼きもどし等の熱処理によりマルテンサイト組織等にする調質処理が行われている。

0003

ここで、鋼材に焼入れ、焼きもどし等による調質処理を行うと熱処理時間等を要するため、鋼材により製造される自動車用部品製造コストが高くなる場合がある。そのため、このような調質処理を行わずに鋼材の組織微細化して、鋼材の機械強度特性等を向上させることが行われている。

0004

特許文献1には、熱間鍛造による自動車部品の製造において、鋼を熱間鍛造後、直接、油冷して、機械加工性に優れ且つ耐座屈性耐疲労性に優れた高強度非調質鋼部品を製造する製造方法が示されている。また、特許文献2と特許文献3とには、熱間加工して製造される非調質鋼が示されている。

0005

特開2001−30036号公報
特開昭58−71354号公報
特開平8−333624号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、上述したような焼入れ、焼きもどし等の調質処理を行なわない非調質鋼は、一般的に、高温、例えば、1200℃以上で熱間鍛造されて製造される。このような高温で熱間鍛造すると、鋼材における結晶粒の粗大化が生じる場合がある。そして、鋼材の結晶粒が粗大化すると、鋼材の強度や靭性が低下する可能性がある。

0007

そこで、本発明の目的は、鋼材における結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を更に微細化する組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る組織制御された鋼材の製造方法は、0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlとを含む鋼材を熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材の製造方法であって、鋼材は、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工されることを特徴とする。

0009

本発明に係る組織制御された鋼材の製造方法において、鋼材は、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを含むことを特徴とする。

0010

本発明に係る組織制御された鋼材の製造方法において、鋼材は、0.05質量%以上0.30質量%以下のVと、0質量%より多く0.030質量%以下のPと、0質量%より多く0.065質量%以下のSと、0質量%より多く1.20質量%以下のCrと、0質量%より多く0.30質量%以下のMoとを含むことを特徴とする。

0011

本発明に係る組織制御された鋼材は、0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlとを含む鋼材を熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材であって、鋼材は、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工して製造されることを特徴とする。

0012

本発明に係る組織制御された鋼材において、鋼材は、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを含むことを特徴とする。

0013

本発明に係る組織制御された鋼材において、鋼材は、0.05質量%以上0.30質量%以下のVと、0質量%より多く0.030質量%以下のPと、0質量%より多く0.065質量%以下のSと、0質量%より多く1.20質量%以下のCrと、0質量%より多く0.30質量%以下のMoとを含むことを特徴とする。

0014

本発明に係る車両用部品は、0.10質量%以上0.48質量%以下のCと、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiと、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnと、0質量%より多く0.020質量%以下のNと、所定の含有率のAlとを含む鋼材を、900℃以上1150℃以下で熱間鍛造加工して製造される組織制御された鋼材で製造されることを特徴とする。

発明の効果

0015

上記のように本発明に係る組織制御された鋼材の製造方法及び組織制御された鋼材によれば、鋼材における結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を更に微細化することができる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は、組織制御された鋼材の製造工程を示すフローチャートである。組織制御された鋼材の製造工程は、溶解工程(S10)と、鋳造工程(S12)と、加熱工程(S14)と、熱間鍛造加工工程(S16)と、冷却工程(S18)とを含んで構成される。

0017

溶解工程(S10)は、溶解したFe(鉄)に合金成分を添加して調製することにより溶鋼を製造する工程である。鋼材には、合金成分として、C(炭素)と、Si(珪素)と、Mn(マンガン)と、N(窒素)と、Al(アルミニウム)とが含まれる。

0018

鋼材には、0.10質量%以上0.48質量%以下のCが含有されることが好ましい。Cは、機械強度特性や硬さ等を向上させるために鋼材に添加される。C含有量が0.10質量%以上であるのは、C含有量が0.10質量%より少ないと十分な機械的強度特性や硬さ等が得られない場合があるからである。また、C含有量が0.48質量%以下であるのは、C含有量が0.48質量%より多いと、靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のC含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0019

鋼材には、0.15質量%以上1.60質量%以下のSiが含有されることが好ましい。Siは、脱酸または固溶強化等のために鋼材に添加される。Si含有量が0.15質量%以上であるのは、Si含有量が0.15質量%より少ないと脱酸または固溶強化等が十分に行われない場合があるからである。また、Si含有量が1.60質量%以下であるのは、Si含有量が1.60質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のSi含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0020

鋼材には、0.60質量%以上2.50質量%以下のMnが含有されることが好ましい。Mnは、脱酸、固溶強化または組織微細化等のために鋼材に添加される。Mn含有量が0.60質量%以上であるのは、Mn含有量が0.60質量%より少ないと脱酸または固溶強化等が十分に行われない場合があるからである。また、Mn含有量が2.50質量%以下であるのは、Mn含有量が2.50質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のMn含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0021

鋼材には、0質量%より多く0.020質量%以下のNが含有されることが好ましい。Nは、Alや後述するV等と化学反応して窒化物を鋼材に析出させるために添加される。そして、鋼材に窒化物を析出させることにより、窒化物のピン留め効果等で鋼材の組織を微細化することができる。N含有量が0.020質量%以下であるのは、N含有量が0.020質量%より多いと窒化物が多く析出されるために靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のN含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0022

鋼材には、所定の含有率のAlが含有される。Alは、Nと化学反応してAlN(窒化アルミニウム)等を鋼材に析出させることができる。また、Alは、脱酸剤としての機能を有している。

0023

鋼材には、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlが含有されることが好ましい。Al含有量が0.015質量%以上であるのは、Al含有量が0.015質量%より少ないと、上述したピン留め効果等により組織を微細化するためのAlNを十分に析出させることができない場合があるからである。また、Al含有量が0.050質量%以下であるのは、Al含有量が0.050質量%より多いとAlNがより多く析出されるために靭性等が低下し、製造時に割れ等が生じる場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のAl含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0024

また、鋼材には、更に、合金成分として、V(バナジウム)と、P(リン)と、S(硫黄)と、Cr(クロム)と、Mo(モリブデン)とを含むことができる。

0025

鋼材には、0.05質量%以上0.30質量%以下のVが含有されることが好ましい。Vは、V炭化物またはV窒化物等を形成させて組織微細化等するために鋼材に添加される。V含有量が0.05質量%以上であるのは、V含有量が0.05質量%より少ないと金属組織ピン止め効果等により微細化するためのV炭化物またはV窒化物等を十分に析出させることができない場合があるからである。また、V含有量が0.30質量%以下であるのは、V含有量が0.30質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のV含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0026

鋼材には、0質量%より多く0.030質量%以下のPが含有されることが好ましい。Pは、鋼材を固溶強化等するために含有される。P含有量が0.030質量%以下であるのは、P含有量が0.030質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のP含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0027

鋼材には、0質量%より多く0.065質量%以下のSが含有されることが好ましい。Sは、被削性の向上等のために含有される。S含有量が0.065質量%以下であるのは、S含有量が0.065質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のS含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0028

鋼材には、0質量%より多く1.20質量%以下のCrが含有されることが好ましい。Crは、Cr炭化物等を鋼材に析出させることによる組織微細化や耐食性を向上させるために含有される。Cr含有量が1.20質量%以下であるのは、Cr含有量が1.20質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のCr含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0029

鋼材には、0質量%より多く0.30質量%以下のMoが含有されることが好ましい。Moは、Mo炭化物等を鋼材に析出させて組織微細化等するために含有される。Mo含有量が0.30質量%以下であるのは、Mo含有量が0.30質量%より多いと靭性等が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、鋼材のMo含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0030

溶解したFeに合金成分を添加して調製することにより溶鋼を製造するためには、一般的に、Feの製鋼に用いられる製鋼法を使用することができる。Feの製鋼法には、平炉を用いた平炉製鋼法、転炉を用いた転炉製鋼法またはアーク炉を用いた電気製鋼法等を使用することができる。勿論、他の条件次第では、上記製鋼法に限定されることはない。

0031

鋳造工程(S12)は、溶解工程(S10)でFeを溶解して合金成分を調製した溶鋼を鋳型に流して、例えば、直方体形状のスラブ鋳造する工程である。鋳造には、一般的に、金属材料の鋳造で行われている鋳造法、例えば、連続鋳造法等を用いることができる。勿論、他の条件次第では、上記鋳造法に限定されることはない。

0032

そして、鋳造したスラブを、例えば、円柱状のビレット塑性加工した後、ビレットを所定の長さに機械加工することにより、鍛造用素材成形される。

0033

加熱工程(S14)は、鍛造用素材を所定の温度まで加熱する工程である。鍛造用素材を所定の温度で加熱するのは、鍛造用素材に析出されたAlN等の窒化物や炭化物等を固溶させるためである。ここで、加熱温度は、例えば、鍛造用素材がオーステナイト相を形成する温度とすることが好ましい。鍛造用素材を所定の温度、例えば、1200℃で加熱することにより、AlN等の窒化物や炭化物等をFeに固溶させることができる。勿論、他の条件次第では、鍛造用素材の加熱温度は、上記温度に限定されることはない。

0034

鍛造用素材を加熱する加熱装置には、一般的に、鍛造用素材の加熱に用いられる鍛造用燃焼炉誘導加熱等で加熱する鍛造用電気加熱炉等を使用することができる。勿論、他の条件次第では、加熱装置は、上記加熱装置等に限定されることはない。

0035

熱間鍛造加工工程(S16)は、加熱工程(S14)で加熱された鍛造用素材を熱間鍛造加工する工程である。加熱された鍛造用素材を熱間鍛造加工することにより所定の形状、例えば、自動車用部品形状であるクランクシャフト形状またはコネクティングロッド形状等に加工することができる。

0036

鍛造温度は、900℃以上1150℃以下とすることが好ましい。また、鍛造温度は、900℃以上1100℃以下とすることが更に好ましい。上記鍛造温度で熱間鍛造加工することにより、AlN等を鋼材に析出させることができるからである。そして、AlN等のピン留め効果により鋼材における結晶粒の粗大化を抑制して、組織を微細化することができる。

0037

鍛造温度が900℃以上であるのは、鍛造温度が900℃より低いと、熱間鍛造加工時の変形抵抗が増大し、クランクシャフト等における自動車用部品形状の鍛造加工が困難になる場合があるからである。また、熱間鍛造加工に用いられる金型の損傷が大きくなる場合があるからである。そして、鍛造温度が1150℃以下であるのは、鍛造温度が1150℃より高いと鋼材の結晶粒が粗大化する場合があるからである。

0038

次に、熱間鍛造加工する鍛造装置について説明する。図2は、鍛造装置10の構成を示す図である。鍛造装置10は、スライド12とベッド14とを含んで構成され、油圧シリンダ等で制御される。スライド12には上型16が設けられ、ベッド14には下型18が設けられる。また、金型である上型16と下型18とには、金型温度を測定するための熱電対20が配置される。そして、鍛造装置10には、上型16と下型18とを潤滑する潤滑剤をスプレするスプレノズル22が、例えば、上型16と下型18との間に設けられる。上型16と下型18とに潤滑剤をスプレすることにより、金型の摩耗を抑えることができる。また、図3は、熱間鍛造加工時の鍛造用素材と金型の測温方法を示す図である。鍛造装置10には、加熱された鍛造用素材24の温度を測定するために、放射温度計26等が設けられる。

0039

鍛造用素材24の鍛造温度における制御方法について説明する。まず、加熱された鍛造用素材24の温度が放射温度計26により測定され、上型16と下型18の金型温度が熱電対20により測定される。そして、鍛造用素材24の温度、上型16と下型18との温度及び鍛造用素材24の形状等に基づいて、上型16と下型18とにスプレノズル22で潤滑剤をスプレするスプレ量とスプレ時間とが演算装置により演算される。

0040

演算装置により演算された所定量の潤滑剤が、上型16と下型18とにスプレノズル22からスプレされた後、鍛造用素材24は、プレスされて熱間鍛造加工される。そして、熱間鍛造加工後に、熱間鍛造加工された鋼材の温度が、放射温度計26等により測定される。

0041

ここで、熱間鍛造加工された鋼材の温度が、鍛造温度である900℃以上1150℃以下の温度範囲から外れた場合には、上記演算装置による演算で温度誤差修正するようにフィードバックされる。例えば、熱間鍛造加工された鋼材の温度が1150℃より高い場合には、金型温度を下げるために、演算装置により金型にスプレするスプレ量が多くなり、スプレ時間が長くなるように演算される。また、熱間鍛造加工された鋼材の温度が900℃より低い場合には、金型温度を上げるために、演算装置により金型にスプレするスプレ量が少なくなり、スプレ時間が短くなるように演算される。このようにして熱間鍛造加工時における鍛造用素材の鍛造温度を900℃以上1150℃以下に制御することができる。勿論、他の条件次第では、鍛造温度の制御は、上記制御方法に限定されることはない。

0042

冷却工程(S18)は、熱間鍛造加工工程(S16)で熱間鍛造加工された鋼材を冷却する工程である。熱間鍛造加工された鋼材は、放冷または空冷により冷却することができる。勿論、他の条件次第では、冷却方法は、放冷または空冷に限定されることはなく、油冷を用いてもよい。

0043

なお、上記構成における組織制御された鋼材は、車両用部品、例えば、クランクシャフトまたはコネクティングロッド等に好適に用いることができる。勿論、上記構成における組織制御された鋼材は、上記車両用部品の用途に限定されることはない。

0044

上記構成によれば、鍛造温度を900℃以上1150℃以下とすることによりAlNを鋼材に析出させることができる。そして、AlNのピン留め効果により結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を微細化することができる。

0045

上記構成によれば、0.015質量%以上0.050質量%以下のAlを鋼材に含有させることにより、より多くのAlNを鋼材に析出させることができる。そして、AlNのピン留め効果により結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を微細化することができる。

0046

上記構成によれば、AlNのピン留め効果により結晶粒の粗大化を抑制して、鋼材の組織を微細化することにより、鋼材における引張強度等の機械強度特性や靭性等を向上させることができる。

0047

鋼材を熱間鍛造加工して組織の微細化について評価した。表1は、評価に使用した鋼材の合金組成を示す表である。なお、表1に示す各々合金成分の単位は、質量%である。

0048

0049

表1に示すように、鋼材には合金組成Aを有する鋼材と合金組成Bを有する鋼材を使用した。合金組成A及び合金組成Bは、C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、Al及びNを含んで構成した。また、合金組成A及び合金組成Bの残部は、Feと不可避的不純物等である。

0050

また、合金組成Bを有する鋼材は、合金組成Aを有する鋼材よりもAlの含有量が多くなるように鋳造された。合金組成Aを有する鋼材におけるAl含有量は、0.011質量%とした。そして、合金組成Bを有する鋼材におけるAl含有量は、0.024質量%とした。

0051

合金組成Aを有する鋼材と合金組成Bを有する鋼材について、鍛造温度を1100℃〜1250℃まで変えて熱間鍛造加工した。そして、熱間鍛造加工後に冷却して、各々熱間鍛造加工された鋼材の組織を光学顕微鏡で観察した。評価した熱間鍛造加工された鋼材を以下に示す。

0052

〔評価した熱間鍛造加工された鋼材〕
発明鋼1:合金組成A、鍛造温度1100℃
発明鋼2: 合金組成A、鍛造温度1150℃
発明鋼3: 合金組成B、鍛造温度1100℃
発明鋼4: 合金組成B、鍛造温度1150℃
比較鋼1: 合金組成A、鍛造温度1210℃
比較鋼2: 合金組成A、鍛造温度1250℃
比較鋼3: 合金組成B、鍛造温度1210℃
比較鋼4: 合金組成B、鍛造温度1250℃

0053

図4は、熱間鍛造加工された鋼材の組織観察結果を示す写真である。合金組成Aを有する鋼材において、発明鋼1及び発明鋼2は、比較鋼1及び比較鋼2よりも結晶粒の粗大化が抑制され、組織が微細化された。また、合金組成Bを有する鋼材において、発明鋼3及び発明鋼4は、比較鋼3及び比較鋼4よりも結晶粒の粗大化が抑制され、組織が微細化された。これらのことから、鍛造温度が1150℃より高くなると結晶粒が粗大化されることがわかった。

0054

そして、発明鋼1は、発明鋼2よりも結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織がより微細化された。また、発明鋼3は、発明鋼4よりも結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織がより微細化された。このことから、鍛造温度は、1150℃よりも1100℃のほうが、結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織がより微細化されることがわかった。

0055

また、0.024質量%のAlを含有する発明鋼3は、0.011質量%のAlを含有する発明鋼1よりも結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織がより微細化された。このことからAlの含有量が多いほど、結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織がより微細化されることがわかった。

0056

図5は、発明鋼1及び発明鋼3における組織の写真である。発明鋼1の結晶粒径は、平均粒径で100μmであるのに対して、発明鋼3の結晶粒径は、平均粒径で20μm〜30μmであった。

0057

次に、上記発明鋼及び上記比較鋼について、JIS G 0551に規定される方法により結晶粒の粒度測定を行った。まず、結晶粒の粒度測定方法について説明する。上記発明鋼及び上記比較鋼における供試体の断面を切断し鏡面研磨した後、3%ナイタールを用いてα(フェライト)+パーライト組織現出した。そして、これらの組織について光学顕微鏡観察を行い、線分法により旧γ(オーステナイト粒径を測定した。本供試体は、いずれも中炭素鋼であり、旧γ(オーステナイト)粒径に沿って初析α(フェライト)が網目状に生成するのでこれによりγ(オーステナイト)化後あるいは熱間鍛造加工後のγ(オーステナイト)組織におけるγ(オーステナイト)粒径を求め、旧γ(オーステナイト)粒径を測定した。光学顕微鏡観察は、各供試体10視野測定し、その平均値とした。

0058

図6は、熱間鍛造加工された鋼材における結晶粒の粒度測定結果を示す図である。図6では、横軸に鍛造温度を取り、縦軸に結晶粒の粒度を取り、合金組成Aを有する鋼材のデータを黒菱形で示し、合金組成Bを有する鋼材のデータを黒四角形で示した。なお、粒度番号は、番号がより大きいほど結晶粒径がより小さいことを表し、番号がより小さいほど結晶粒径がより大きいことを表している。

0059

1150℃以内の鍛造温度で熱間鍛造加工された発明鋼1〜発明鋼4は、1150℃よりも高い鍛造温度で熱間鍛造加工された比較鋼1〜比較鋼4より、粒度番号が大きい結果が得られた。このことから、1150℃以内の鍛造温度で熱間鍛造加工することにより、熱間鍛造加工された鋼材における結晶粒の粗大化が抑制され、組織の微細化が生じていることがわかった。

0060

また、1100℃で熱間鍛造加工された発明鋼1及び発明鋼3は、1150℃で熱間鍛造加工された発明鋼2及び発明鋼4より粒度番号が大きい結果が得られた。このことから、1100℃以内の鍛造温度で熱間鍛造加工することにより、熱間鍛造加工された鋼材における結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織の微細化が生じていることがわかった。

0061

0.024質量%のAlを含有する発明鋼3は、0.011質量%のAlを含有する発明鋼1より粒度番号が大きい結果が得られた。このことから、0.015質量%以上のAlを含有する鋼材を熱間鍛造加工することにより、熱間鍛造加工された鋼材における結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織の微細化が生じていることがわかった。

0062

次に、発明鋼1と発明鋼3とについて引張試験を行い、引張強度、耐力及び伸びを測定した。引張試験は、発明鋼1と発明鋼3とからJIS Z 2201に規定されているJIS 14号A型試験片を加工し、JIS Z 2241に規定されている引張試験方法で試験を実施した。

0063

図7は、発明鋼1と発明鋼3との引張試験結果を示すグラフである。図7では、横軸に引張強度(TS)、耐力(YS)及び伸び(EL)の測定項目を取り、縦軸に引張強度、耐力、伸びの相対値を取り、発明鋼1及び発明鋼3の各データを棒状で示した。なお、引張強度、耐力及び伸びの相対値は、発明鋼1における引張強度、耐力及び伸びのデータを1として表した。

0064

発明鋼3における引張強度、耐力及び伸びは、発明鋼1における引張強度、耐力及び伸びよりも大きいデータが得られた。これは、上述したように、0.024質量%のAlを含有する発明鋼3は、0.011質量%のAlを含有する発明鋼1より、結晶粒の粗大化が更に抑制され、組織の微細化が生じていること等によるからである。

0065

このことから、結晶粒の粗大化を抑制して組織を微細化することにより、引張強度や耐力等の強度特性を向上させることができ、伸びを大きくして靭性を向上させることができることがわかった。

図面の簡単な説明

0066

本発明の実施の形態において、組織制御された鋼材の製造工程を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態において、鍛造装置10の構成を示す図である。
本発明の実施の形態において、熱間鍛造加工時の鍛造用素材と金型の測温方法を示す図である。
本発明の実施の形態において、熱間鍛造加工された鋼材の組織観察結果を示す写真である。
本発明の実施の形態において、発明鋼1及び発明鋼3における組織の写真である。
本発明の実施の形態において、熱間鍛造加工された鋼材における結晶粒の粒度測定結果を示す図である。
本発明の実施の形態において、発明鋼1と発明鋼3との引張試験結果を示すグラフである。

符号の説明

0067

10鍛造装置、12スライド、14ベッド、16上型、18下型、20熱電対、22スプレノズル、24鍛造用素材、26放射温度計。

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