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技術 ポリマーフィルムの製造方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 新井利直山崎英数
出願日 2006年7月7日 (13年8ヶ月経過) 出願番号 2006-187900
公開日 2008年1月24日 (12年2ヶ月経過) 公開番号 2008-012839
状態 未査定
技術分野 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 偏光要素 型の被覆による成形、強化プラスチック成形
主要キーワード 装置振動 冷却溶媒 クリップ型 溶剤供給装置 低減レベル レール間隔 クラウンローラ 製品レベル
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課題

厚みムラが少なく、かつ光学特性に優れるポリマーフィルムを良好な生産性で製造する。

解決手段

連続回転する流延ドラム32の上に流延ダイ21からドープを流延する。表面を冷却させた流延ドラム32を用いることで、ドープを冷却ゲル化させゲル状の流延膜12を形成する。流延ドラム32の回転に応じて移動する流延膜12を、流延ドラム32の表面と厚み矯正ローラ38の表面とで形成される間隙送り込む。このとき、流延ドラム32で一面が支持された流延膜12の片面は厚み矯正ローラ38で押し付けられるため、流延膜12の厚みムラが矯正される。流延ドラム32から流延膜12を剥ぎ取って形成した湿潤フィルム15を渡り部17及びテンタ21に送り、乾燥させてフィルム20とする。以上により、厚みムラが低減されたフィルム20を良好な生産性で製造することができる。

概要

背景

近年、液晶表示装置等の画像表示装置に使用される光学フィルム需要が増加している。光学フィルムとは、画像表示装置の高表示品質を確保することを目的として使用される光学機能を備えたフィルムであり、例えば、偏光板保護フィルムや、光が液晶を透過する過程で発生する光の歪み(複屈折)をフィルムの位相差(光のズレ)により補正して、視野角の拡大や輝度の向上等を実現させる位相差フィルム等が挙げられる。このような光学フィルムとしては、透明性が高く、加工性が良好でありながら、軽量化・薄型化を容易に行うことができる等の利点から、主にポリマーフィルムが用いられる。

光学フィルムに使用されるポリマーフィルムには、耐熱性耐候性を含めた耐久性や、解像力コントラスト等の表示品質を高く維持するために、透明性に優れること、フィルムの表面や内部に傷が付きにくいこと(耐擦傷性)、高レタデーション値であること等が要求され、また、これらの特性を面内で均一に確保されていることが重要となる。

一般に、ポリマーフィルムを製造する方法としては、フィルムの主原料であるポリマー加熱溶融させて使用する溶融製膜方法と、ポリマーを溶剤添加剤等と混合した混合液であるドープを使用する溶液製膜方法とが挙げられる。ただし、溶融製膜方法では、加熱によりポリマーが劣化してフィルムの透明性が低下するおそれがあるため、光学フィルムの製造方法としては溶液製膜方法が主流である。溶液製膜方法では、走行する支持体上にドープを流延して流延膜を形成した後、剥ぎ取った流延膜を乾燥手段により乾燥させることでポリマーフィルムとする。なお、以下の説明では、支持体より剥ぎ取った後から乾燥してフィルムとなるまでの流延膜を湿潤フィルムと称する。

溶液製膜方法では、製膜装置振動や風の流れを受けて流延膜や湿潤フィルムの厚みが不均一になり易い。ただし、このような厚みの不均一さ、すなわち厚みムラが発生すると、外観価値が低下し、更には、その厚みムラに応じた光学特性ムラが生じて、表示品質を著しく低下させたりするので問題となっている。

そこで、厚みムラが低減されたポリマーフィルムを製造する溶液製膜方法として、例えば、特許文献1には、ドープを流延する吐出口の近傍に減圧チャンバを設けて、吐出口付近減圧度とドープの流延速度とを調整する方法が提案されている。また、特許文献2には、吐出口付近に減圧チャンバを設けると共に、吐出口から支持体までの間で形成されるリボン状のドープの流れ、すなわち流延ビードの長さを調整する方法が提案されており、特許文献3には、内径の大きさを調整した吐出口を使用し、更にはドープと同時に溶剤を流延させることにより厚みムラが低減されたポリマーフィルムを作製する方法が提案されている。
特開2000−301588号公報
特開2001−018241号公報
特開2005−212193号公報

概要

厚みムラが少なく、かつ光学特性に優れるポリマーフィルムを良好な生産性で製造する。連続回転する流延ドラム32の上に流延ダイ21からドープを流延する。表面を冷却させた流延ドラム32を用いることで、ドープを冷却ゲル化させゲル状の流延膜12を形成する。流延ドラム32の回転に応じて移動する流延膜12を、流延ドラム32の表面と厚み矯正ローラ38の表面とで形成される間隙送り込む。このとき、流延ドラム32で一面が支持された流延膜12の片面は厚み矯正ローラ38で押し付けられるため、流延膜12の厚みムラが矯正される。流延ドラム32から流延膜12を剥ぎ取って形成した湿潤フィルム15を渡り部17及びテンタ21に送り、乾燥させてフィルム20とする。以上により、厚みムラが低減されたフィルム20を良好な生産性で製造することができる。

目的

特許文献1、2では、減圧チャンバにより流延ビード近傍を減圧し、風の流れや装置振動の影響を低減して安定した流延ビードを形成させることで、厚みが均一な流延膜を得ている。また、特許文献3では、ドープと溶剤とを同時に流延することで、流延ビードの安定性阻害するドープの固化物皮張り)の発生を抑制し、均一な膜厚の流延膜を形成する方法である。しかし、上記いずれの方法も、近年の液晶表示装置の大型化・高精細化に伴い要求される厚みムラの低減レベル満足するようなポリマーフィルムを製造することは難しい。更に、光学用途のポリマーフィルムを製造する際には、優れた光学特性を確保することは当然必要とされるが、加えて、優れた生産性を確保することも重要とされる。この点に関しても、上記いずれの方法では解決することができないため、厚みムラを低減すると同時に、優れた生産性でポリマーフィルムを製造することができる方法の提案が望まれている。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

走行する表面が冷却された支持体の上に、ポリマー及び溶剤を含むドープを流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、前記支持体から剥ぎ取った後の流延膜を乾燥してポリマーフィルムとする乾燥工程とを有し、前記溶剤を200重量%以上300重量%以下の割合で含有する流延膜の片側から、周面の温度が−20℃以上10℃以下の厚み矯正ローラ押し付けることを特徴とするポリマーフィルムの製造方法。

請求項2

前記支持体上の流延膜の片側に前記厚み矯正ローラを押し付けることを特徴とする請求項1記載のポリマーフィルムの製造方法。

請求項3

複数のパスローラで支持しながら搬送する前記剥ぎ取った後の流延膜の片側に前記厚み矯正ローラを押し付けることを特徴とする請求項1または2記載のポリマーフィルムの製造方法。

請求項4

前記厚み矯正ローラの表面張力が、30mN/m以上33mN/m以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。

請求項5

前記厚み矯正ローラが駆動ローラであり、前記支持体或いは前記パスローラと同速で回転することを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつに記載のポリマーフィルムの製造方法。

請求項6

前記支持体或いは前記パスローラの表面温度が、−20℃以上10℃以下であることを特徴とする請求項1ないし5いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリマーフィルムの製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、液晶表示装置等の画像表示装置に使用される光学フィルム需要が増加している。光学フィルムとは、画像表示装置の高表示品質を確保することを目的として使用される光学機能を備えたフィルムであり、例えば、偏光板保護フィルムや、光が液晶を透過する過程で発生する光の歪み(複屈折)をフィルムの位相差(光のズレ)により補正して、視野角の拡大や輝度の向上等を実現させる位相差フィルム等が挙げられる。このような光学フィルムとしては、透明性が高く、加工性が良好でありながら、軽量化・薄型化を容易に行うことができる等の利点から、主にポリマーフィルムが用いられる。

0003

光学フィルムに使用されるポリマーフィルムには、耐熱性耐候性を含めた耐久性や、解像力コントラスト等の表示品質を高く維持するために、透明性に優れること、フィルムの表面や内部に傷が付きにくいこと(耐擦傷性)、高レタデーション値であること等が要求され、また、これらの特性を面内で均一に確保されていることが重要となる。

0004

一般に、ポリマーフィルムを製造する方法としては、フィルムの主原料であるポリマー加熱溶融させて使用する溶融製膜方法と、ポリマーを溶剤添加剤等と混合した混合液であるドープを使用する溶液製膜方法とが挙げられる。ただし、溶融製膜方法では、加熱によりポリマーが劣化してフィルムの透明性が低下するおそれがあるため、光学フィルムの製造方法としては溶液製膜方法が主流である。溶液製膜方法では、走行する支持体上にドープを流延して流延膜を形成した後、剥ぎ取った流延膜を乾燥手段により乾燥させることでポリマーフィルムとする。なお、以下の説明では、支持体より剥ぎ取った後から乾燥してフィルムとなるまでの流延膜を湿潤フィルムと称する。

0005

溶液製膜方法では、製膜装置振動や風の流れを受けて流延膜や湿潤フィルムの厚みが不均一になり易い。ただし、このような厚みの不均一さ、すなわち厚みムラが発生すると、外観価値が低下し、更には、その厚みムラに応じた光学特性ムラが生じて、表示品質を著しく低下させたりするので問題となっている。

0006

そこで、厚みムラが低減されたポリマーフィルムを製造する溶液製膜方法として、例えば、特許文献1には、ドープを流延する吐出口の近傍に減圧チャンバを設けて、吐出口付近減圧度とドープの流延速度とを調整する方法が提案されている。また、特許文献2には、吐出口付近に減圧チャンバを設けると共に、吐出口から支持体までの間で形成されるリボン状のドープの流れ、すなわち流延ビードの長さを調整する方法が提案されており、特許文献3には、内径の大きさを調整した吐出口を使用し、更にはドープと同時に溶剤を流延させることにより厚みムラが低減されたポリマーフィルムを作製する方法が提案されている。
特開2000−301588号公報
特開2001−018241号公報
特開2005−212193号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1、2では、減圧チャンバにより流延ビード近傍を減圧し、風の流れや装置振動の影響を低減して安定した流延ビードを形成させることで、厚みが均一な流延膜を得ている。また、特許文献3では、ドープと溶剤とを同時に流延することで、流延ビードの安定性阻害するドープの固化物皮張り)の発生を抑制し、均一な膜厚の流延膜を形成する方法である。しかし、上記いずれの方法も、近年の液晶表示装置の大型化・高精細化に伴い要求される厚みムラの低減レベル満足するようなポリマーフィルムを製造することは難しい。更に、光学用途のポリマーフィルムを製造する際には、優れた光学特性を確保することは当然必要とされるが、加えて、優れた生産性を確保することも重要とされる。この点に関しても、上記いずれの方法では解決することができないため、厚みムラを低減すると同時に、優れた生産性でポリマーフィルムを製造することができる方法の提案が望まれている。

0008

したがって、本発明は、厚みムラを出来る限り低減しながらも、優れた生産性で光学用途に使用できるポリマーフィルムの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明のポリマーフィルムの製造方法は、走行する表面が冷却された支持体の上に、ポリマー及び溶剤を含むドープを流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、支持体から剥ぎ取った後の流延膜を乾燥してポリマーフィルムとする乾燥工程とを有し、溶剤を200重量%以上300重量%以下の割合で含有する流延膜の片側から、周面の温度が−20℃以上10℃以下の厚み矯正ローラ押し付けることを特徴とする。

0010

支持体上の流延膜の片側に厚み矯正ローラを押し付けることが好ましい。複数のパスローラで支持しながら搬送する剥ぎ取った後の流延膜の片側に厚み矯正ローラを押し付けることが好ましい。

0011

厚み矯正ローラの表面張力が、30mN/m以上33mN/m以下であることが好ましい。厚み矯正ローラが駆動ローラであり、支持体或いはパスローラと同速で回転することが好ましい。また、上記の支持体或いはパスローラの表面温度が、−20℃以上10℃以下であることが好ましい。

発明の効果

0012

本発明により、厚みムラを低減しながら、優れた生産性により光学用途に使用できるポリマーフィルムを製造することができる。また、本発明により得られるポリマーフィルムを液晶表示装置等の画像表示装置に用いると、光学ムラが改善されて、優れた画質品質を確保することができる。

発明を実施するための最良の形態

0013

次に、本発明に係るポリマーフィルムの製造方法について、実施形態を示しながら説明する。なお、ここに挙げる形態は、本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。

0014

図1は、本実施形態に用いるフィルム製造設備10の概略図である。フィルム製造設備10には、走行する支持体上にドープを流延して流延膜12を形成するための流延室13と、流延膜12を支持体から剥ぎ取って湿潤フィルム15を形成した後、この湿潤フィルム15を搬送する間に乾燥させるための渡り部17と、湿潤フィルム15を乾燥してフィルム20とするためのテンタ21と、フィルム20の乾燥を十分に促進させるための乾燥室22と、フィルム20を冷却するための冷却室23と、フィルム20をロール状に巻き取るための巻取室24とが備えられている。また、このフィルム製造設備10は、配管25を介してドープ製造設備26と接続されており、ドープ製造設備26からドープが適宜送り込まれる仕組みになっている。

0015

流延室13には、ドープを合流させるためのフィードブロック30と、ドープの吐出口を備え、ドープを支持体上に流延するための流延ダイ31と、流延膜を形成するための支持体である流延ドラム32と、流延ドラム32の表面温度を調整するために使用する冷媒を供給するための冷媒供給装置33と、支持体から剥ぎ取られる流延膜12を支持するための剥取ローラ34と、流延室13内に浮遊する溶剤ガス凝縮液化するための凝縮器コンデンサ)35と、液化した溶剤を回収するための回収装置36と、流延室13の内部温度を調整するための温調装置37とが備えられている。また、流延ドラム32の近傍には、流延膜12の厚みムラを矯正するための厚み矯正ローラ38が配されている。

0016

流延ダイ31は、その形状や材質、大きさ等は特に限定されるものではないが、流延するドープの幅を略均一に保持するために、コートハンガー型のものを用いることが好ましい。その幅は、安全に所望の幅を有する流延膜を形成することを目的として、最終製品となるフィルム20の幅に対して、1.1〜2.0倍程度のものを用いることが好ましい。更に、その材質は、耐久性、耐熱性、耐腐食性等の観点から、析出硬化型ステンレス鋼を用いることが好ましい。更には、ジクロロメタンメタノール、水の混合用液に3ヶ月浸漬させても気液界面ピッティング孔開き)が生じない耐腐食性を有するものが好ましい。ただし、耐腐食性の観点から、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316製と略同等の耐腐食性を有するものも好適に用いることができる。なお、熱ダメージを抑制するために、熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下である素材を用いることが好ましい。また、平面性に優れる流延膜を形成するために、流延ダイ31の表面は研磨されて凹凸が低減されているものを用いることが好ましい。

0017

流延ダイ31におけるドープの吐出口の先端には、耐摩耗性の向上等を目的として、硬化膜が形成されていることが好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、セラミックスコーティングハードクロムめっき窒化処理等が挙げられる。ここで、硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削加工が可能であり、低気孔率、かつ脆性および耐腐食性に優れるとともに、流延ダイ31に対しては密着性に優れるが、一方で流延するドープに対しては密着性に劣るものが好ましい。具体的には、タングステンカーバイド(WC)やAl2 O3 、TiN、Cr2 O3 等が挙げられるが、中でも、WCを用いることが好ましい。なお、WCのコーティングは、溶射法で行うことができる。

0018

吐出口の端に溶剤供給装置(図示しない)を取り付けて、流延するドープを可溶化させる溶剤を流延ビードの両端部や吐出口と外気との両気液界面に供給することが好ましい。これにより、吐出口から吐出されるドープが、局所的に乾燥して固化するのを防止することができるので、安定した流延ビードを形成することができるため、流延膜12に発生する凹凸を低減することができる。また、ドープの固化物が異物として流延ビードや流延膜12に含有するおそれも解消することができるため、透明性に優れるフィルム20を得ることができる。なお、上記の溶剤としては、ドープを溶解することができる組成化合物であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、ジクロロメタンを86.5重量部と、アセトンを13重量部と、n−ブタノールを0.5重量部とを混合した混合物が挙げられる。そして、上記のような混合物を供給する際には、脈動率が5%以下のポンプを用いて、その供給量が吐出口の端部の片側ごとに0.1〜1.0mL/分の範囲となるように供給することが好ましい。

0019

また、流延ダイ31には、流延ダイ31付近を減圧するための減圧チャンバ39が取り付けられている。なお、この減圧チャンバ39は、その内部温度を所定の範囲で保持することができるジャケット(図示しない)を備えている形態を使用し、ドープの流延時には内部温度を略一定となるように調整する。

0020

流延ドラム32には、駆動装置(図示しない)が取り付けられており、この駆動装置により回転数が制御されながら連続して回転している。また、流延ドラム32の内部には、冷却溶媒(冷媒)の流路(図示しない)が形成されており、この流路の中に冷媒供給装置33から冷媒を供給して循環又は通過させることで、表面温度を所望の範囲で冷却する仕組みになっている。また、厚み矯正ローラ38の内部には、その表面温度を調整するための温度調整機能が備えられている。

0021

渡り部17には、湿潤フィルム15を支持するための複数のパスローラ17aと、搬送する湿潤フィルム15に向かって温度を調整した乾燥風を供給するための乾燥装置40とが備えられている。

0022

テンタ21の内部には、湿潤フィルム15の搬送路に沿って、その両側の位置に、予め所望の間隔で配された1対のレール(図示しない)と、湿潤フィルム15を保持するための複数のピンが取り付けられたチェーン(図示しない)とが備えられている。このチェーンは上記のレールに巻き掛けられており、レールに従い走行する仕組みとなっている。これにより、チェーンの移動に伴い、ピンで固定された湿潤フィルム15は搬送される。また、レールの間隔は拡大されたり縮小されたりして配置されているため、テンタ21の内部は、レール間隔が異なる複数の区画で構成されている。

0023

テンタ21の下流には、フィルム20の両側端部を切除するための耳切装置42が設けられている。また、耳切装置42には、先ほど切断したフィルム20の両側端部をチップとして粉砕するためのクラッシャ43が接続されている。

0024

乾燥室22には、フィルム20を巻き掛けて搬送するための複数のローラ45と、乾燥室22内部に浮遊する溶剤ガスを吸着回収するための吸着回収装置47と、乾燥室22の内部の温度を調整するための温度調整装置48とが備えられている。また、冷却室23の下流には、フィルム43の帯電圧を所定の範囲とするための強制除電装置50と、フィルム20にナーリングを付与するためのナーリング付与ローラ51とが設けられている。更に、巻取室24には、フィルム20を巻き取るための巻取ローラ54とプレスローラ55とが備えられている。

0025

上記のフィルム製造設備10を用いてポリマーフィルムを製造する方法について説明する。

0026

予めドープ製造設備10において調製されたドープを、配管25を通じてフィードブロック30へと送り込む。フィードブロック30から流延ダイ22へとドープを送った後、流延ダイ22の吐出口から連続して回転する流延ドラム32に向かってドープを吐出する。

0027

流延ドラム32は、その内部に形成された流路の中に冷媒供給装置24から所定の温度に調整された冷媒が送り込まれた後、循環または通過させることで、その表面が所望の温度範囲内で冷却されている。ドープの流延時には、流延ドラム23の表面温度は−20℃以上10℃以下であることが好ましい。このような流延ドラム32にドープを流延すると、ドープが効率良くかつ効果的に冷却されて、短時間のうちにゲル状の流延膜12が形成される。また、本実施形態の流延ドラム32は、その表面温度が−5℃となるように調整されている。なお、流延ドラム32の速度変動は3%以下とすることが好ましく、流延ダイ31の直下での流延ドラム32は、安定した流延ビードや平面性に優れる流延膜12を形成させるために、その上下方向の位置変動を500μm以下となるように調整することが好ましい。

0028

流延するドープの温度は、20〜50℃であることが好ましい。これにより、流延ドラム23の上でドープを冷却ゲル化させる効率を向上させることができる。なお、形成させる流延膜12の膜厚は、フィルム20の膜厚が20〜150μmとすることが好ましく、特に好ましくは、25〜100μmとすることである。

0029

流延ドラム32上の流延膜12は、時間の経過と共によりいっそう冷却されて、ゲル化が促進する。また、本実施形態では、流延膜12を形成している間、流延膜12から蒸発して流延室13の内部に浮遊する溶剤を凝縮機35で凝縮液化させた後、回収装置36により回収する。ここで、回収装置36には、再生装置(図示しない)を接続させており、回収した溶剤を再生する。なお、この再生溶剤はドープ調製用溶剤とすることができるので、原料コストの低減を図ることが可能となる。

0030

ドープを流延している間は、減圧チャンバ39により流延ビードの後方を(大気圧−2000Pa)以上(大気圧−10Pa)以下で減圧することが好ましい。これにより、流延ビードの凹凸の原因となる風の流れが低減され、かつ流延ビードは適度に後方へと引っ張られるので、安定した流延ビードを形成することが可能となる。これにより凹凸の発生を抑制しながら流延膜12を形成することができるため、結果として、厚みムラが低減されたフィルム20を得ることが可能となる。また、減圧チャンバ39の内部温度は備え付けの温度調整機能により常時略一定となるように調整されていることが好ましい。なお、上記の温度は特に限定されるものではないが、ドープに使用される溶剤の凝縮点以上であることが好ましい。そして、流延室13の内部温度は、温調装置37により常時−10〜57℃の範囲で略一定に調整する。

0031

流延膜12は、流延ドラム32の回転に応じて移動する。そして、図2に示すように、流延ドラム32の表面と厚み矯正ローラ38の表面との間に所望の間隔D1で設けられた間隙A−A′に送り込まれる。このとき、厚み矯正ローラ38の表面温度は−20℃以上10℃以下となるように調整し、間隙A−A′には、内部に溶剤を含む割合が200重量%以上300重量%以下の流延膜12を送り込むようにする。

0032

流延膜12は、流延ドラム32と厚み矯正ローラ38とに挟み込まれるようにして間隙A−A′を通過する。上記の様に流延膜12は溶剤を多量に含んでいるので、D1が固定された間隙A−A′に挟み込まれることで、容易に変形して膜厚が変動する。このとき、D1よりも大きい膜厚部は、D1よりも膜厚が小さい箇所へと移動するため、膜厚がD1と略同等に調整される。これにより、膜厚が間隔D1と略同等であり、平面の凹凸等を含めて厚みムラが効率良くかつ効果的に矯正された流延膜12を得ることができる。

0033

ただし、残留溶剤量が300重量%を超えるような流延膜12は、自己支持性を有するまでゲル化が進行しておらず不安定なため厚み矯正ローラ38を押し付けると、ローラに流延膜12が付着して厚みムラが悪化する。一方で、残留溶剤量が200重量%未満の流延膜12に厚みムラ矯正ローラ38を押し付けても形状が変動しにくいので、厚みムラの矯正効果を得ることが難しい。また、表面温度が10℃を超える厚み矯正ローラ38を流延膜12に押し付けると、冷却ゲル化により形成された流延膜12との温度差が大きいので、冷却ゲル化を阻害したり、熱ダメージを与えるおそれがある。一方で、厚み矯正ローラ38の表面温度が−20℃未満の場合には、周辺に浮遊する溶剤ガス等がその表面に結露するおそれがある。このように結露が生じたローラを流延膜12に押し付けると、流延膜12の面状に傷を付けてしまうので不適である。なお、流延膜12に押し付ける厚み矯正ローラ38の表面温度は上記範囲の中で適宜調整すれば良いが、流延膜12の冷却ゲル化を阻害したり、熱ダメージを与えたりしないように、流延ドラム32の表面温度との差が小さくなるように調整することが好ましい。

0034

流延膜12に係らず、厚み矯正ローラ38は、片面が支持された所定の残留溶剤量の湿潤フィルム15の片面に対して押し付けることでも、優れた厚みムラの矯正効果を得ることができる。図3は、本発明に係る厚み矯正ローラ38を湿潤フィルム15に押し付ける形態の一例である。湿潤フィルム15に押し付ける場合には、図3に示すように、渡り部17において複数配されるパスローラ17aから任意の1本を選択し、そのパスローラ17aの上方に厚み矯正ローラ38を設ければ良い。この場合、パスローラ17aの表面と厚み矯正ローラ38との表面とが所定の間隔D2を有するように間隙B−B′を設けて厚み矯正ローラ38を配置する。

0035

この場合、湿潤フィルム15はパスローラ17aで支持されながら下流側へと搬送されて、間隙B−B′へと送り込まれる。これによりパスローラ17aと厚み矯正ローラ38とで湿潤フィルム15が挟み込まれるため、その片面に厚み矯正ローラ38による押し圧が係り、湿潤フィルム15の厚みムラを効率良くかつ効果的に矯正することができ、結果として、膜厚がD2と略同等であり、厚みムラが低減された湿潤フィルム15を得ることができる。なお、間隙B−B′に送り込む湿潤フィルム15の残留溶剤量や厚み矯正ローラ38の表面温度は、先ほど説明した条件と同様であるため、ここでの説明は割愛する。

0036

上記の様に、流延膜12や湿潤フィルムを通過させる間隙A−A′、B−B′の間隔D1、D2を規制すると、流延膜12或いは湿潤フィルム15の片面に対する厚み矯正ローラ38の押し圧を制御することができることから、厚みムラの矯正程度を容易に調整することが可能となる。ここで、厚みムラを矯正させる高い効果を得るために、厚み矯正ローラ38による押し圧は、4.9×104 N/m2 以上4.9×106 N/m2 以下とすることが好ましい。また、押し付ける際の厚み矯正ローラ38の表面張力は、30mN/m以上33mN/m以下であることが好ましい。これにより、流延膜12や湿潤フィルム15の表面に傷を付けることなく厚みムラの矯正を行なうことが可能となる。

0037

なお、厚み矯正ローラ38は駆動ローラであり、流延ドラム32或いはパスローラ17aと同速で回転させることが好ましい。これにより、噛み込み不良を抑制しながら、流延膜12や湿潤フィルム15を流延ドラム32やパスローラ17aと厚み矯正ローラ38とで、効率良く挟み込むことができるようになる。

0038

また、厚み矯正ローラ38は、図4に示すような、径が中央から両側端に向かって次第に小さくなるクラウンローラ60を用いることが好ましく、その径の最大外径a1と最小外径a2との差が1mm以上5mm以下であることが好ましい。このような形態のクラウンローラ60を用いると、流延ドラム32やパスローラ17aと厚み矯正ローラ38とで、流延膜12や湿潤フィルム15をしっかりと挟み込むことができるので、非常に優れた厚みムラの矯正効果が得られる。なお、クラウンローラ60の幅W(mm)は特に限定されるものではなく、流延膜12や湿潤フィルム15の幅に応じて適宜選択すれば良い。

0039

厚みムラが矯正され、かつ膜厚が調整された流延膜12を、剥取ローラ34で支持しながら流延ドラム32から剥ぎ取って湿潤フィルム15とする。なお、形成直後の湿潤フィルム15は、固形分基準で10重量%以上200重量%以下の溶剤を含有していることが好ましい。

0040

湿潤フィルム15を渡り部17に送り込み、複数のパスローラ17aで支持しながら搬送する間に、乾燥装置40から供給される所望の温度に調整された乾燥風により乾燥を促進させる。この乾燥風の温度は、20℃以上250℃以下の範囲で略一定とすることが好ましい。ただし、乾燥風の温度は、特に限定されるものではなく、ドープに使用するポリマーや添加剤等の原料種及び製造速度等を考慮しながら上記の範囲で任意に決定すればよい。なお、渡り部17では、渡り部17の出口付近に配されるパスローラ17aの回転速度を、渡り部17の入口付近に配されるパスローラ17よりも速くすると、湿潤フィルム15に対して適度の張力を付与することができるので、しわやつれ等を発生させることなく搬送することが可能となる他、残留溶剤量の多い状態の湿潤フィルム15に張力を付与することで、レタデーション値を制御し易いという効果も得ることができるので好ましい。

0041

乾燥を促進させた湿潤フィルム15をテンタ21に送り込む。テンタ21の内部では、所定の位置に到達した湿潤フィルム15の両側端部に複数のピンを突き刺し湿潤フィルム15を固定した後、レールに従い走行するチェーンの移動に伴って、異なる温度に調整した複数の区画内を搬送させる。これにより湿潤フィルム15は乾燥が促進されるのでフィルム20となる。また、このように異なる温度で段階的に乾燥すると、湿潤フィルム15から溶剤が急激に蒸発することがないため、体積減少による収縮等の形状変化を低減しながら乾燥を促進させることができる。更に、本実施形態では、レールの幅を変更しながら湿潤フィルム15を搬送することで、その幅方向に対する張力を制御して延伸及び緩和させる。これにより湿潤フィルム15における分子配向を制御することができるので、所望のレタデーション値を有するフィルム20を得ることができる。

0042

湿潤フィルム15を幅方向に延伸または緩和させる処理は、渡り部17でも行なうことができる。このとき、湿潤フィルム15の搬送方向及び幅方向の少なくとも1方向を、延伸前の幅に対して0.5〜300%の割合で延伸させることが好ましい。なお、渡り部17やテンタ21で湿潤フィルム15に張力を付与している間は、乾燥温度を略一定に保持することが好ましい。これにより、乾燥温度の違いによって延伸の程度に差が生じるのを防止することができる。

0043

フィルム20を耳切装置42に送り込み、その両側端部を切断する。これにより、先ほどフィルム20に生じたピンの突き刺し傷を除去することができるので、平面性に優れるフィルム20を得ることができる。なお、フィルム20の両側端部を切除する処理は省略することもできるが、流延室13から巻取室24までのいずれかで行うことが好ましい。

0044

フィルム20を耳切装置42と乾燥室22との間に設けられた予備乾燥室(図示しない)に送り込み予備乾燥する。このように乾燥室22で乾燥する前のフィルム20に予備乾燥を施すと、乾燥室22においてフィルム20の膜面温度が急激に上昇して形状変化が発生するのを抑制することができる。

0045

温度調整装置48により内部温度が調整された乾燥室22にフィルム20を送り込む。乾燥室22では、複数のローラ45に巻き掛けて搬送する間に、フィルム20の乾燥を十分に促進させる。乾燥室22の内部温度は、特に限定されるものではないが、フィルム20を構成するポリマーに熱ダメージを与えずに、かつ溶剤を効果的に蒸発させることを目的として、フィルム20の膜面温度が60℃以上145℃以下となるように調整することが好ましい。また、本実施形態では、乾燥室22に吸着回収装置47を接続させることで、乾燥時にフィルム20から蒸発した溶剤ガスを回収した後、溶剤成分を除去してから再度、乾燥室22に乾燥風として供給する。これにより、エネルギーコストの削減による製造コストの低減を図ることができる。

0046

乾燥が完了したフィルム20を冷却室23へと送り込む。冷却室23では、最終的に略室温となるようにフィルム20を徐々に冷却する。これにより、急激な温度変化でフィルム20の表面にしわやつれ等が発生するのを抑制することができるので、平面性に優れるフィルム製品を得ることが可能となる。なお、フィルム20を冷却する方法は、自然冷却でも良いし、冷却室23に冷却装置を取り付けてその内部温度を調整しても良く、特に限定されるものではない。また、乾燥室22と冷却室23との間に調湿室(図示しない)を設けて、フィルム20を調湿した後、冷却室23に送り込むようにすると、フィルム20の表面にしわ等が生じている場合には、優れたしわ伸ばし効果を得ることができるので好ましい。

0047

略室温としたフィルム20を強制除電装置50に送り込み、その帯電圧を所定の範囲(例えば、−3〜+3kV)となるように調整する。なお、図1では、強制除電装置50の設置箇所を冷却室23の下流側とする形態を示しているが、この位置に限定されるものではない。また、フィルム20には、ナーリング付与ローラ51により、その両側端部に対してエンボス加工を施してナーリングを付与する。

0048

最後に、フィルム20を巻取室24に送り込み、プレスローラ55で巻き取り時の張力を調整しながら巻取ローラ54に巻き取る。これによりロール状のフィルム製品が完成する。なお、巻取り時の張力は、巻取開始時から終了時までの間で徐々に変化させることが好ましい。また、巻き取られるフィルム20の長さは、搬送方向に少なくとも100m以上とすることが好ましく、幅方向が1400〜1800mmであることが好ましい。ただし、本発明は、1800mmより大きい場合にも効果を得ることができる。更に、完成したフィルム20の厚みは、20〜500μmであることが好ましい。より好ましくは、厚みが30〜300μmであり、特に好ましくは、35〜200μmである。ただし、完成したフィルム20の膜厚が15〜100μmであるような薄いフィルムを製造する際にも、本発明は効果を発揮する。

0049

なお、上記の説明では、支持体として流延ドラムを使用する形態を示したが、支持体は、その表面を所定の温度範囲で冷却できる形態であれば良く、特に限定されるものではない。例えば、1対の駆動ローラに巻き掛けられ無端で走行する流延バンド等を用いることもできる。また、支持体の幅や材質等も特に限定されるものではないが、過不足なく安定した流延膜を形成させるために、支持体の幅はドープの流延幅に対して1.1〜2.0倍程度が好ましい。また、その材質は、耐腐食性等の観点からステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するSUS316製であることがより好ましい。更に、平面性に優れる流延膜を形成させるために、できる限り表面が研磨されたものが好ましい。

0050

また、本実施形態では、テンタ21として複数のピンを有するピン型テンタを示したが、本発明におけるテンタの形態は特に限定されるものではなく、例えば、ピンの代わりにクリップ等を保持手段として取り付けたクリップ型テンタを使用することもできる。ただし、ドープを冷却ゲル化させて形成したゲル膜である湿潤フィルムは、非常に不安定なことから、クリップでは把持しにくいため、優れた搬送安定性で湿潤フィルムを搬送するためにも、ピン型テンタを使用することが好ましい。

0051

本発明における残留溶剤量とは、流延膜や湿潤フィルム、フィルムにおいて、その内部に含まれる溶剤の残留量である。ただし、上記の対象物の中に多種の溶剤が存在する場合には、それらの溶剤の総和を残留溶剤量とする。また、この残留溶剤量は、乾量基準でのものであり、残留溶剤量を測定したい対象物からサンプルを採取し、このサンプルの重量をx、そのサンプルを完全に乾燥した後の重量をyとするとき、{(x−y)/y}×100で算出される値とする。

0052

以下、本発明に係るドープについて説明する。ドープは、所望のポリマーや有機溶剤或いは添加剤を混合し、調製することで得られる混合物である。ドープを調製する際には、ポリマーとしてセルロースエステルを使用することが好ましい。セルロースエステルとしては、例えば、セルローストリアセテートセルロースアセテートプロピオネートセルロースアシレートブチレート等のセルロースの低級脂肪酸エステルを挙げることができる。中でも、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に、トリアセチルセルロース(TAC)を使用することが好ましい。このようにセルロースアシレートを用いたフィルムは、非常に透明性に優れる。なお、本実施形態では、ポリマーとしてトリアセチルセルロース(TAC)を用いる。

0053

また、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基へのアシル基置換度が下記式(a)〜(c)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(a)〜(c)において、AおよびBは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素数が3〜22のアシル基の置換度である。また、TACの90質量%以上が0.1〜4mmの粒子であることが好ましい。ただし、本発明に用いることができるポリマーは、セルロースアシレートに限定されるものではない。
(a) 2.5≦A+B≦3.0
(b) 0≦A≦3.0
(c) 0≦B≦2.9

0054

セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数が2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合を意味する。なお、100%のエステル化の場合を置換度1とする。

0055

アシル化置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値は、2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)の値は、0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上であり、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2は、グルコース単位における2位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、2位のアシル置換度と称する)であり、DS3は、グルコース単位における3位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、3位のアシル置換度と称する)であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、6位のアシル置換度と称する)である。

0056

本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位、3位および6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位、3位および6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。

0057

また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBは、その20%以上が6位水酸基置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上であることが好ましい。さらに、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは、0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましい。このようなセルロースアシレートを用いると、非常に溶解性に優れたドープを調製することができる。なお、上記のセルロースアシレートを用いると共に、非塩素系有機溶剤を使用すると、非常に優れた溶解性を有し、低粘度であり、かつ濾過性に優れるドープを調製することができる。

0058

セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター綿、パルプ綿のどちらから得られたものでもよいが、リンター綿から得られたものが好ましい。

0059

本発明におけるセルロースアシレートの炭素数が2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステル等が挙げられ、それぞれ、さらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基ナフチルカルボニル基シンナモイル基等が挙げられる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等がより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。

0060

なお、本発明で使用することができるセルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。

0061

ドープ調製用の有機溶剤としては、使用するポリマーを溶解することができる化合物を用いることが好ましい。なお、本発明においてドープとは、ポリマーを溶剤に溶解または分散させることで得られる混合物を意味するため、ポリマーとの溶解性に劣る有機溶剤も使用することができる。好適に用いることができる有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼントルエン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムクロロベンゼン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノールn−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル(例えば、酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピル等)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランメチルセロソルブ等)等が挙げられる。また、これらの溶剤の中から2種類以上の溶剤を選択し、混合した混合溶剤を使用しても良い。このとき、非塩素系の有機溶剤を使用すると、溶解性に優れると共に、低粘度であるドープを調製することができるので好ましい。

0062

ドープ調製用溶剤としては疎水性のものが好ましく、この疎水性溶剤としてはジクロロメタンがもっとも好ましい。また、上記のハロゲン化炭化水素としては、炭素原子数1〜7のものが好ましく用いられる。更に、ポリマーの溶解性や、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械強度、光学特性等の観点から、ジクロロメタンに炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないしは、数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対して2〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物を用いることが好ましい。

0063

また、最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを使用しない溶剤組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることが好ましい。これらの化合物は環状構造を有していても良いし、エーテル、ケトン及びエステルの官能基、すなわち、−O−、−CO−、及び−COO−のいずれかを2つ以上有する化合物も有機溶剤として用いることができる。その他にも、有機溶剤は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。なお、2種類以上の官能基を有する場合には、その炭素原子数がいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれば良く、特に限定はされない。

0064

ドープには、目的に応じて可塑剤紫外線吸収剤(UV剤)、劣化防止剤滑り剤剥離促進剤等の公知である各種添加剤を添加させても良い。例えば、上記のうち可塑剤としては、トリフェニルフィスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤や、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、及びポリエステルポリウレタンエラストマー等の公知の各種可塑剤を用いることができる。

0065

また、ドープには、フィルム同士の接着を防止したり、屈折率を調整したりする目的で微粒子を添加させることが好ましい。この微粒子としては、二酸化ケイ素誘導体を用いることが好ましい。本発明における二酸化ケイ素誘導体とは、二酸化ケイ素や、三次元網状構造を有するシリコーン樹脂も含まれる。このような二酸化ケイ素誘導体は、その表面がアルキル化処理されたものを使用することが好ましい。アルキル化処理のような疎水化処理が施されている微粒子は、溶剤に対する分散性に優れるため、微粒子同士が凝集することなくドープを調製し、更には、フィルムを製造することができるので、面状欠陥が少なく、透明性に優れるフィルムを製造することが可能となる。上記の様に、表面にアルキル化処理された微粒子としては、例えば、表面にオクチル基が導入された二酸化ケイ素誘導体として市販されているアエロジルR805(日本アエロジル(株)製)等を使用することができる。なお、微粒子を添加させる効果を得ながらも、透明性に優れるフィルムを得るためにも、ドープの固形分に対する微粒子の含有量は0.2%以下となるようにすることが好ましい。更に、微粒子が光の通過を阻害させないように、その平均粒径は1.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μmであり、特に好ましくは、0.4〜0.8μmである。

0066

透明性に優れる等の利点からポリマーとしてはTACを利用することが好ましいため、ポリマーをTACとし、更に、有機溶剤や各種添加剤等を混合してドープを調製する場合には、ドープの全量に対してTACの含有される割合が5〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは15〜30重量%であり、特に好ましくは17〜25重量%である。また、添加剤(主に可塑剤)の含有される割合は、ドープ中の固形分全体に対して1〜20重量%とすることが好ましい。

0067

なお、有機溶剤、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤、光学方性コントロール剤レタデーション制御剤染料剥離剤等の各種添加剤や微粒子については、特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。また、TACを利用したドープの製造方法であり、例えば、素材、原料、添加剤の溶解方法及び添加方法濾過方法脱泡等についても同様に、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。

0068

本実施形態では、1種類のドープを用いて単層のフィルムを製造する形態を示したが、本発明は、基層と、基層の両面に接するように配される表層とを有する複層構造のフィルムを製造する際にも効果を発揮する。このように複層構造のフィルムを作製する場合には、基層及び表層を形成するための複数種類のドープを用意し、これらのドープを流延ダイから共に流延すれば良い。また、共流延の形式も特に限定されるものではなく、所望の層構造となるように流路が形成されたフィードブロックや流延ダイを用いて、複数種類のドープを同時に流延させても良いし、各ドープを支持体上に逐次に流延させて、段階的に複層構造を形成させても良いし、これらの方法を組み合わせても良い。

0069

流延ダイ、減圧室、支持体等の構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件ハンドリング方法カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶剤回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号公報の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されており、これらの記載も本発明に適用することができる。

0070

完成したフィルムの性能や、カールの度合い、厚み、及びこれらの測定法は、特開2005−104148号公報の[1073]段落から[1087]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。

0071

完成したフィルムを光学フィルムとして利用する場合には、少なくとも一方の面を表面処理することが好ましい。この表面処理は、真空グロー放電処理大気圧プラズマ放電処理紫外線照射処理コロナ放電処理火炎処理酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種であることが好ましい。

0072

また、本発明で得られるフィルムをベースとして、その両面或いは一方の面に所望の機能性層を設けると、機能性フィルムとして用いることができる。機能性層としては、例えば、帯電防止層硬化樹脂層反射防止層易接着層、防眩層、光学補償層等が挙げられ、これらのうち、少なくとも1層を設けることが好ましい。例えば、反射防止層を設けると、液晶表示装置等の画像反射防止効果を得ることができる機能性フィルムの反射防止フィルムを得ることができる。上記の機能性層は、界面活性剤や滑り剤、マット剤帯電防止剤等の添加剤のうち少なくとも1種を含んでいることが好ましく、その場合の含有量は、0.1〜1000mg/m2 であることが好ましい。なお、フィルムに各種機能を付与するための機能性層や形成方法等は、特開2005−104148号公報の[0890]段落から[1072]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。

0073

本発明により得られるフィルムは、非常に厚みムラが少ないにも係らず、高レタデーション値であり、透明性に優れる等の特徴を有する。そのため、特に、液晶表示装置の主要構成部材である偏光板の保護フィルムとして有用である。保護フィルムとしての利用等、本発明により得られるフィルムの用途に関しては、特開2005−104148号公報において、例えば、[1088]段落から[1265]段落には、液晶表示装置として、TN型、STN型、VA型、OCB型反射型、その他の例が詳しく記載されており、この記載も本発明に適用させることができる。

0074

以下、本発明について行なった実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。

0075

実施例1では、ドープ製造設備26により下記の方法で調製したドープを用いて、図1に示すフィルム製造設備10によりフィルムを製造した。

0076

下記の各種原料を混合した混合物に、レタデーション制御剤(N−N−ジ−m−トルイル−N−P−メトキシフェニル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)を添加して攪拌することによりドープを調製した。なお、レタデーション制御剤は、フィルムとしたときに、その全重量に対して4.0重量%となるように添加した。

0077

ドープ原料
セルローストリアセテート(置換度2.84、粘度平均重合度306、含水率0.2重量%、ジクロロメタン溶液中6重量%の粘度 315mPa・s、平均粒子径1.5mm、標準偏差0.5mmの粉体) 100重量部ジクロロメタン320重量部メタノール83重量部1−ブタノール3重量部可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.6重量部可塑剤B(ジフェニルフォスフェート) 3.8重量部UV剤a:2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニルベンゾトリアゾール0.7重量部UV剤b:2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.3重量部クエン酸エステル混合物クエン酸モノエチルエステル、ジエチルエステルトリエチルエステル混合物) 0.006重量部微粒子(二酸化ケイ素(平均粒径15nm)、モース硬度約7) 0.05重量部

0078

〔フィルムの製造〕
先ず、ドープ製造設備26から配管25を介して適量のドープをフィードブロック30へと送り込んだ。次に、表面が−5℃に調整された流延ドラム32の上に、流延ダイ31の吐出口からドープを吐出した。このとき、ドープの吐出量は、80μmの厚さを有するフィルム20が得られるように調整した。

0079

本実施例では、流延ダイ31として、吐出口として幅が1.8mのスリットを備え、内部温度を調整することができるジャケット(図示しない)を有する形態を用いた。また、流延ドラム32としては、駆動装置(図示しない)により回転数を制御することができるSUS316製のドラムを用いて、流延ダイ31の吐出口の直下に設置した。そして、製膜時には、流延ドラム32の回転周速を100m/min.とし、温調装置37により流延室13の内部温度を常時35℃となるように調整した。更に、流延ダイ31のジャケットに温度を調整した伝熱媒体を送り込んで、流延するドープの温度が36℃となるように流延ダイ31の内部温度を調整すると共に、フィードブロック30や配管等も温度調整機能を有する装置を用いることで、その内部温度を全て36℃に保温した。

0080

図2に示すように、流延膜12に対する厚み矯正ローラ38の押し圧が5×104 N/m2 となるように間隔D1を調整した間隙A−A′に流延膜12を通過させて、流延ドラム32と厚み矯正ローラ38とで流延膜12を挟み込んだ。このとき、残留溶剤量が295重量%の流延膜12を間隙A−A′に送り込んだ。なお、厚み矯正ローラ38の表面張力は31mN/mとし、表面温度は5℃とした。

0081

間隙A−A′を通過させた後の流延膜12を、剥取ローラ34に支持しながら流延ドラム32から剥ぎ取って湿潤フィルム15とした。このとき、剥取時に付与する張力を1×102 N/m2 とし、剥取不良を抑制するために流延ドラム32の速度に対して、剥取速度を100.1〜110%の範囲で調整した。なお、剥ぎ取った湿潤フィルム15の表面温度は15℃であった。そして、この湿潤フィルム15を渡り部17に送り込み、複数のパスローラ17aで支持しながら搬送する間に、乾燥装置40から40℃に調整した乾燥風を送り出すことで湿潤フィルム15を乾燥した。また、渡り部17では、湿潤フィルム15に対して、その搬送方向に約30Nの張力を付与することで一軸延伸を行った。

0082

乾燥を促進させた湿潤フィルム15をテンタ21に送り込んだ。テンタ41としては、レールの間隔に従ってチェーンの走行により無端で走行する複数のピンと、加熱装置を備える複数の区画を設けたピン型テンタを使用した。そして、湿潤フィルム15の両側端部を複数のピンで突き刺した後、チェーンの走行に伴い異なる温度に調整した各区画内を搬送する間に、湿潤フィルム15の乾燥を促進させてフィルム20とした。なお、テンタ21では、レールの間隔を調整することで湿潤フィルム15を幅方向に延伸させた。

0083

テンタ出口から30秒以内にNTカッタを備える耳切装置42を設けて、フィルム20の両側端部から内側に向かって50mmmの位置で切断した。また、切断したフィルム20の両側端部は、カッターブロワ(図示しない)によりクラッシャ43に送り、平均80mm2 程度のチップに粉砕した。なお、本実施例では、このチップをTAC粉末とともにドープ調製用原料として再利用した。

0084

本実施例では、耳切装置42と乾燥室22との間に予備乾燥室(図示しない)を設けて、100℃の乾燥風を供給することにより、乾燥室22で高温乾燥する前のフィルム20を予備加熱した。次に、残留溶剤量が5重量%となったフィルム20を乾燥室22に送り込んだ。乾燥室22は、温度調整装置48から温度を調整した乾燥風を供給して、フィルム20の膜面温度が140±40℃となるようにした。また、複数のローラ45に巻き掛けながらフィルム20の搬送張力を100N/mとして搬送する間に、フィルム20の残留溶剤量が最終的に1重量%になるまで約10分間乾燥した。更に、乾燥室22では、吸着剤活性炭であり、脱着剤乾燥窒素である吸着回収装置47により、内部に浮遊する溶剤ガスを回収した後、溶剤ガスに含まれる水分量が0.3重量%以下になるまで水分を除去した。このガスは、ドープ調製用溶剤として再利用した。

0085

乾燥室22と冷却室23との間には調湿室(図示しない)を設け、フィルム20に対して、温度50℃、露点20℃の空気を給気した後、フィルム20に対して直接、90℃、湿度70%の空気をあてることでフィルム20を調湿し、フィルム20に発生しているカール等の矯正を行った。そして、調湿後のフィルム20を冷却室23に送り込み、30℃以下になるまで徐々に冷却した後、強制除電装置50でフィルム20の帯電圧を常時−3〜+3kVとなるように調整し、更に、ナーリング付与ローラ51でフィルム20の両側端部にナーリングの付与を行った。なお、ナーリング付与時には、ナーリングを付与する幅を10mmとし、凹凸の高さがフィルム20の平均厚みよりも平均して12μm高くなるようにナーリング付与ローラによる押し圧を調整しながら、フィルム20の片側からエンボス加工を行った。

0086

最後に、巻取室24の内部に設置されている巻取ローラ54(φ169mm)により、巻き始め張力を300N/mとし、巻き終わりを200N/mとなるように調整し、更に、巻取ローラ54に対するプレスローラ55の押し圧を50N/mに設定して、フィルム20を巻き取った。以上により、残留溶剤量が1重量%であり、膜厚が80μmのロール状のフィルム20を得た。なお、フィルム製造設備10では、全工程を通して、流延膜12や湿潤フィルム15、フィルム20の平均乾燥速度を20重量%/分とした。

0087

完成したフィルムの厚みムラ及び光学ムラを下記の方法により測定し、この測定結果を基に評価を行なった。なお、後述の各実施例及び比較例においても、本方法を使用して完成したフィルムの評価を行なうが、各項での説明は割愛する。

0088

〔厚みムラ〕
作製したフィルムの切断片をサンプルとし、このサンプルの厚みムラをレーザー干渉計(フジノン(株)製)で測定した。なお、この測定値が1.5μm以下のフィルムは、製品として供することができるレベルであり、上記の値が小さいほどより優れたレベルを意味する。

0089

〔光学ムラ〕
作製したフィルムをサンプルとし、クロスニコル状態の一対の偏光板の間に、一方の偏光板の透過軸とフィルムの遅相軸とが一致するようにサンプルを配置し、この背面から蛍光灯による光を当てたときに、光漏れにより視認することができる光のムラを観察した。このとき、光のムラが確認できない場合を○、光のムラが多量に観察された場合を×として、フィルムの光学ムラを2段階で評価した。なお、光学ムラが○の場合は、製品として満足のいくレベルといえる。

0090

上記の方法により厚みムラ及び光学ムラを評価したところ、厚みムラは0.5μm、光学ムラは○となり、いずれも製品レベルとして非常に満足のいく値が得られた。

0091

実施例2では、厚み矯正ローラ38の配置を、図3に示すように渡り部17のパスローラ17aの上として、パスローラ17aと厚み矯正ローラ38とで形成された間隙B−B′に湿潤フィルム15を通過させる以外は、全て実施例1と同様にしてフィルムを作製した。このとき、湿潤フィルム15に対する厚み矯正ローラ38の押し圧が4×105 N/m2 となるように間隔D2を調整した。また、残留溶剤量が280重量%の湿潤フィルム15を間隙B−B′に送り込んだ。なお、厚み矯正ローラ38の表面張力及び温度は実施例1と同じである。そして、実施例1と同様に厚みムラ及び光学ムラを評価した結果、厚みムラは0.5μm、光学ムラは○となり、いずれも製品レベルとして非常に満足のいく値が得られた。

0092

実施例3では、実施例2と同様に、渡り部17のパスローラ17の上に厚み矯正ローラ38を配し、間隔D2とした間隙B−B′に湿潤フィルム15を通過させる以外は、全て実施例1と同様にフィルムを作製した。このとき、湿潤フィルム15に対する厚み矯正ローラ38の押し圧が3×106 N/m2 となるように調整した間隔D2に、残留溶剤量が230重量%の流延膜を送った。また、流延ドラム32の回転周速は80m/min.とした。なお、厚み矯正ローラ38の表面張力及び温度は実施例1と同じである。そして、実施例1と同様に厚みムラ及び光学ムラを評価した結果、厚みムラは0.7μm、光学ムラは○となり、いずれも製品レベルとして非常に満足のいく値が得られた。

0093

実施例4では、厚み矯正ローラ38の表面張力を34mN/mとした以外は、全て実施例2と同様にして、厚みが80μmのフィルムを作製した。そして、実施例1と同様に厚みムラ及び光学ムラを評価した結果、厚みムラは1.4μm、光学ムラは△となり、いずれも実施例1〜3と比べて劣るが、製品レベルとしては満足のいく値が得られた。

0094

〔比較例1〕
比較例1では、厚み矯正ローラ38を未使用とした以外は、全て実施例1と同様にしてフィルムを作製した。そして、実施例1と同様に厚みムラ及び光学ムラを評価した結果、厚みムラは1.5μm、光学ムラは×となり、製品レベルとして満足のいく値を得ることが出来なかった。

0095

〔比較例2〕
比較例2では、厚み矯正ローラ38の表面温度を15℃とした以外は、全て実施例3と同様にしてフィルムを作製した。そして、実施例1と同様に厚みムラ及び光学ムラを評価した結果、厚みムラは1.7μm、光学ムラは×となり、いずれも製品レベルとして満足のいく値を得ることが出来なかった。

0096

上記の結果から、表面張力の違いにより若干の際はあるが、溶剤を多く含むフィルムに対して、押し圧を調整しながら表面温度が調整された厚み矯正ローラを押し当てると、厚みムラが均一に矯正されると共に、光学ムラに優れるフィルムを製造することができることを確認した。

図面の簡単な説明

0097

本発明に係わるフィルム製造設備の一例の概略図である。
本実施形態において使用する厚み矯正ローラが配された流延ドラム近傍の一例の概略図である。
本発明に係わる厚み矯正ローラを渡り部の近傍に配置した一例の概略図である。
本発明に係る厚み矯正ローラの一例であるクラウンローラの概略図である。

符号の説明

0098

10フィルム製造設備
12流延膜
15湿潤フィルム
17渡り部
17aパスローラ
20フィルム
32流延ドラム
38厚み矯正ローラ
60 クラウンローラ

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