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技術 垂直磁気記録媒体の磁気転写方法、垂直磁気記録媒体及び磁気記録装置

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 長尾信石岡利英
出願日 2006年6月27日 (14年6ヶ月経過) 出願番号 2006-176579
公開日 2008年1月17日 (12年11ヶ月経過) 公開番号 2008-010028
状態 拒絶査定
技術分野 磁気記録媒体の再記録
主要キーワード マスター記録媒体 永久磁石装置 接触過程 積分波形 形成フロー フォトファブリケーション法 トラック面 棒磁石
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

垂直磁気記録媒体に対して良好な磁気転写を行うことができる磁気転写方法、この磁気転写方法による垂直磁気記録媒体、及び垂直磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置を提供する。

解決手段

垂直磁気記録媒体であるスレーブディスク40に転写すべき情報に応じた磁性層の配列からなるパターンが表面に形成された円盤状の基板であるマスターディスク46を、スレーブディスクに密着させながら基板面に平行方向の転写磁界印加して、マスターディスクの磁気パターンをスレーブディスクに転写させる磁気転写工程と、この磁気転写工程によりスレーブディスクに転写された情報に隣接する箇所に磁気ヘッドによりサーボ補正信号情報を書き込むサーボ補正情報書き込み工程とを備える。

概要

背景

近年、急速に普及しているハードディスクドライブに使用される磁気ディスクハードディスク)は、磁気ディスクメーカーよりドライブメーカーに納入された後、ドライブに組み込まれる前に、サーボ信号としてフォーマット情報アドレス情報が書き込まれるのが一般的である。この書き込みは、磁気ヘッドにより行うこともできるが、これらのフォーマット情報やアドレス情報が書き込まれているマスター記録媒体マスターディスク)より一括転写する方法が効率的であり好ましい。

この磁気転写技術は、マスターディスクと被転写記録媒体スレーブディスク)とを密着させた状態で、片側又は両側に電磁石装置永久磁石装置等からなる磁界生成手段により転写用磁界印加し、マスターディスクの有する情報(たとえばサーボ信号)に対応する磁化パターン転写を行うものである。

このような磁気転写については、従来より各種の構成や方法が提案されている(たとえば、特許文献1、2等。)。特許文献1では、一対のホルダユニットによりマスターディスクを保持し、ロボットハンドにより一対のマスターディスクの間にスレーブディスクを供給した後、スレーブディスクの両面にマスターディスクを圧接させ挟持させながら転写用磁界を印加する装置に関する発明が開示されている。

特許文献2では、基板の表面に情報信号に対応する凹凸形状が形成され、少なくとも凸部表面強磁性材料により構成されるマスターディスクをスレーブディスクに圧接させながら転写用磁界を印加する方法に関する発明が開示されている。

ところで、磁気記録媒体としては、その磁性層の面内に磁化容易軸を有する面内磁気記録媒体、及び、磁性層の面に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁気記録媒体分類されるが、従来は、垂直磁化膜の形成は困難であったことから、面内磁気記録媒体が主に用いられていた。

その一方で、記録密度の大幅な向上(記憶容量の増大)が期待できる、垂直磁気記録媒体や垂直磁気記録方法の開発が進んでおり、将来的に市場への大規模な導入が望まれている。

したがって、上記の磁気転写も垂直磁気記録に対応した構成のものが求められている。すなわち、上述した磁気転写技術の開発は、専ら面内磁気記録媒体への磁気転写を主眼において進められており、垂直磁気記録に適用可能な磁気転写技術の開発が求められている。このような事情背景に、垂直磁気転写に関する提案もなされている。

この垂直磁気記録の磁気転写方式としては、以下の2種類の方式が知られている。

一方の方式は、マスターディスク及び被転写ディスク(スレーブディスク)に垂直方向転写磁界を印加して磁気転写を行う方式のもので、いわゆるbit printing(ビットプリンティング)と称されている。図8及び図9は、この方式を説明する図である。図8は、磁気転写装置の転写磁界印加の様子を示す断面図であり、図9は、磁気転写の基本工程を説明するための断面図である。

磁気転写装置において、磁気転写時には、図9(A)に示される初期直流磁化を行った後スレーブディスク40のスレーブ面磁気記録面)を、マスターディスク46の情報担持面に接触させ、所定の押圧力で密着させることができる。そして、図9(B)に示すように、このスレーブディスク40とマスターディスク46との密着状態で、磁界生成手段70により転写用磁界を印加する。これにより図9(C)に示すように、サーボ信号等の磁化パターンを転写記録することができる。

マスターディスク46は、図4により後述するように、表面に凹凸パターンの凸部47A、47A…が形成され、凹凸パターンの凸部47A上に磁性層48が形成されている。

転写用磁界を印加する磁界生成手段70は、密着手段に保持されたスレーブディスク40及びマスターディスク46の厚さ方向におけるギャップ71を有するコア72にコイル73が巻き付けられた電磁石装置が設置されており、スレーブディスク40及びマスターディスク46に垂直な磁力線Gを有する転写用磁界を印加できる構成となっている。

磁界印加時には、スレーブディスク40及びマスターディスク46を一体として回転させながら磁界生成手段70により転写用磁界を印加し、マスターディスク46に記録されている転写情報をスレーブディスク40の磁気記録面に磁気転写することができるように不図示の回転手段が設けられている。

もう一方の方式は、磁界を一方向に印加してスレーブディスク40を初期直流磁化した後、マスターディスク及び被転写ディスク(スレーブディスク)に水平方向の転写磁界を印加して磁気転写を行う方式のもので、いわゆるedge printing(エッジプリンティング)と称されている。図1及び図2は、この方式を説明する図であり、図1は、磁気転写の工程を示す斜視図であり、図2は、磁気転写の基本工程を説明するための断面図である。

図1(c)に示すように、転写用磁界を印加する磁界生成手段30は、密着手段に保持されたスレーブディスク40及びマスターディスク46の半径方向に延びるギャップ31を有する磁気コア32に不図示のコイルが巻き付けられた電磁石装置が設置され、トラック方向に水平な磁力線Gを発生させ転写用磁界を印加できる構成のものである。勿論電磁石に代えて永久磁石を用いることが可能であることは言うまでもない。

磁界印加時には、スレーブディスク40及びマスターディスク46を一体として回転させながら、磁気転写ヘッド30に対して矢印方向に相対移動させつつ、磁気転写ヘッド30により転写用磁界を印加し、マスターディスク46に記録されている転写情報をスレーブディスク40の磁気記録面に磁気転写することができる回転手段36が設けられている。

図2は、既述したように磁気転写の工程を説明するための断面図である。図2(A)に示すようにスレーブディスク40を一方向に垂直に初期磁化した後のスレーブディスク40の磁気記録層40Bの磁化状態を示し、図2(B)は、マスターディスク46とスレーブディスク40の磁気記録層40Bとを密着させて磁界を印加する工程を示し、図2(C)は磁気転写後のスレーブディスク40の磁気記録層40Bの磁化状態を示し、図2(D)は、このスレーブディスク40を再生したときの再生信号を示す。

磁気転写は、図1(a)に示すように垂直に磁界を印加することにより、図2(A)に示すようにスレーブディスク40の磁気記録層40Bを一方向に垂直磁化させた後、図1(b)に示されるように、スレーブディスク40の磁気記録層40B側の面とマスターディスク46の表面の磁性層48側の面とを密着させ、その後、図1(c)に示すように、スレーブディスク40のトラック面に水平な方向に、転写用磁界を印加することにより生じる漏れ磁束Gにより磁気転写を行う。

具体的には、図2(B)に示されるように、転写用磁界Hdの印加によってマスターディスク46の表面には、磁性層48の形状パターンに対応した漏れ磁束Gが発生する。この漏れ磁束Gは、本質的に磁性層48の膜面と平行な方向成分を多く含有するものであるが、磁性層48の形状パターンの両端近傍においては、比較的大きな垂直方向成分を有している。したがって、漏れ磁束Gの垂直方向成分磁界によってスレーブディスク40の磁気記録層40Bには、磁性層48の形状パターンに対応した記録磁化パターンPが図2(C)に示されるように記録される。

なお、図2(C)において、垂直磁化膜における磁気的に孤立した磁化単位は、静電エネルギーが最小になるような方向に、上または下方向に向いているが、磁化遷移領域Qは、マクロ的に見た場合、各々の磁化が打ち消しあい、ほぼ中性になっているものと考えられる。従って、図2(C)に示すスレーブディスク40を再生した場合、図2(D)に示すように、記録磁化パターンPの領域の再生信号は上下方向のピークとなり、磁化遷移領域Qにおける再生信号は0となる。このようにスレーブディスク40に記録される記録磁化は、スレーブディスク40が本来有する残留磁化の値に相応して大きく、この記録磁化パターンから再生される再生波形も、従来の磁気ヘッド記録による記録磁化パターンから再生される再生信号振幅と同等程度に大きな振幅となる。

また、本構成における垂直方向の磁界分布に関しては、磁性層48のパターンの両端部近傍において互いに逆極性の大きな磁界振幅を得ることができる。従って本方式では、初期磁化工程が必須のものではない。
特開2004−87099号公報
特開平10−40544号公報

概要

垂直磁気記録媒体に対して良好な磁気転写を行うことができる磁気転写方法、この磁気転写方法による垂直磁気記録媒体、及び垂直磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置を提供する。垂直磁気記録媒体であるスレーブディスク40に転写すべき情報に応じた磁性層の配列からなるパターンが表面に形成された円盤状の基板であるマスターディスク46を、スレーブディスクに密着させながら基板面に平行方向の転写磁界を印加して、マスターディスクの磁気パターンをスレーブディスクに転写させる磁気転写工程と、この磁気転写工程によりスレーブディスクに転写された情報に隣接する箇所に磁気ヘッドによりサーボ補正信号情報を書き込むサーボ補正情報書き込み工程とを備える。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、垂直磁気記録媒体に対して良好な磁気転写を行うことができる磁気転写方法、磁気ヘッドにより再生されるサーボ信号と補正信号とを正確に判別することができる垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置を提供することを目的とする。

効果

実績

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請求項1

垂直磁気記録媒体転写すべき情報に応じた磁性層の配列からなるパターンが表面に形成された円盤状の基板である垂直磁気転写用マスター記録媒体を、前記垂直磁気記録媒体に密着させながら基板面に平行方向の転写磁界印加して、前記垂直磁気転写用マスター記録媒体の磁気パターンを前記垂直磁気記録媒体に転写させる磁気転写工程と、該磁気転写工程により前記垂直磁気記録媒体に転写された情報に隣接する箇所に磁気ヘッドによりサーボ補正信号情報を書き込むサーボ補正情報書き込み工程と、を備えることを特徴とする磁気転写方法

請求項2

前記隣接する箇所は、サーボ信号領域であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写方法。

請求項3

前記隣接する箇所は、データ信号領域であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写方法。

請求項4

前記サーボ信号情報と前記サーボ補正信号情報との間に3ビット以上の空白ビットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の磁気転写方法。

請求項5

請求項1から4のいずれかに記載の磁気転写方法により磁気転写されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。

請求項6

請求項5に記載の垂直磁気記録媒体を備えたことを特徴とする磁気記録装置

技術分野

0001

本発明は、垂直磁気記録媒体磁気転写方法、垂直磁気記録媒体及び磁気記録装置に関するものであり、特に、ハードディスク装置等に用いられる磁気ディスクに、フォーマット情報等の磁気情報パターン垂直磁気転写するのに好適な垂直磁気記録媒体の磁気転写方法、垂直磁気記録媒体及び磁気記録装置に関する。

背景技術

0002

近年、急速に普及しているハードディスクドライブに使用される磁気ディスク(ハードディスク)は、磁気ディスクメーカーよりドライブメーカーに納入された後、ドライブに組み込まれる前に、サーボ信号としてフォーマット情報やアドレス情報が書き込まれるのが一般的である。この書き込みは、磁気ヘッドにより行うこともできるが、これらのフォーマット情報やアドレス情報が書き込まれているマスター記録媒体マスターディスク)より一括転写する方法が効率的であり好ましい。

0003

この磁気転写技術は、マスターディスクと被転写記録媒体スレーブディスク)とを密着させた状態で、片側又は両側に電磁石装置永久磁石装置等からなる磁界生成手段により転写用磁界印加し、マスターディスクの有する情報(たとえばサーボ信号)に対応する磁化パターンの転写を行うものである。

0004

このような磁気転写については、従来より各種の構成や方法が提案されている(たとえば、特許文献1、2等。)。特許文献1では、一対のホルダユニットによりマスターディスクを保持し、ロボットハンドにより一対のマスターディスクの間にスレーブディスクを供給した後、スレーブディスクの両面にマスターディスクを圧接させ挟持させながら転写用磁界を印加する装置に関する発明が開示されている。

0005

特許文献2では、基板の表面に情報信号に対応する凹凸形状が形成され、少なくとも凸部表面強磁性材料により構成されるマスターディスクをスレーブディスクに圧接させながら転写用磁界を印加する方法に関する発明が開示されている。

0006

ところで、磁気記録媒体としては、その磁性層の面内に磁化容易軸を有する面内磁気記録媒体、及び、磁性層の面に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁気記録媒体に分類されるが、従来は、垂直磁化膜の形成は困難であったことから、面内磁気記録媒体が主に用いられていた。

0007

その一方で、記録密度の大幅な向上(記憶容量の増大)が期待できる、垂直磁気記録媒体や垂直磁気記録方法の開発が進んでおり、将来的に市場への大規模な導入が望まれている。

0008

したがって、上記の磁気転写も垂直磁気記録に対応した構成のものが求められている。すなわち、上述した磁気転写技術の開発は、専ら面内磁気記録媒体への磁気転写を主眼において進められており、垂直磁気記録に適用可能な磁気転写技術の開発が求められている。このような事情背景に、垂直磁気転写に関する提案もなされている。

0009

この垂直磁気記録の磁気転写方式としては、以下の2種類の方式が知られている。

0010

一方の方式は、マスターディスク及び被転写ディスク(スレーブディスク)に垂直方向転写磁界を印加して磁気転写を行う方式のもので、いわゆるbit printing(ビットプリンティング)と称されている。図8及び図9は、この方式を説明する図である。図8は、磁気転写装置の転写磁界印加の様子を示す断面図であり、図9は、磁気転写の基本工程を説明するための断面図である。

0011

磁気転写装置において、磁気転写時には、図9(A)に示される初期直流磁化を行った後スレーブディスク40のスレーブ面磁気記録面)を、マスターディスク46の情報担持面に接触させ、所定の押圧力で密着させることができる。そして、図9(B)に示すように、このスレーブディスク40とマスターディスク46との密着状態で、磁界生成手段70により転写用磁界を印加する。これにより図9(C)に示すように、サーボ信号等の磁化パターンを転写記録することができる。

0012

マスターディスク46は、図4により後述するように、表面に凹凸パターンの凸部47A、47A…が形成され、凹凸パターンの凸部47A上に磁性層48が形成されている。

0013

転写用磁界を印加する磁界生成手段70は、密着手段に保持されたスレーブディスク40及びマスターディスク46の厚さ方向におけるギャップ71を有するコア72にコイル73が巻き付けられた電磁石装置が設置されており、スレーブディスク40及びマスターディスク46に垂直な磁力線Gを有する転写用磁界を印加できる構成となっている。

0014

磁界印加時には、スレーブディスク40及びマスターディスク46を一体として回転させながら磁界生成手段70により転写用磁界を印加し、マスターディスク46に記録されている転写情報をスレーブディスク40の磁気記録面に磁気転写することができるように不図示の回転手段が設けられている。

0015

もう一方の方式は、磁界を一方向に印加してスレーブディスク40を初期直流磁化した後、マスターディスク及び被転写ディスク(スレーブディスク)に水平方向の転写磁界を印加して磁気転写を行う方式のもので、いわゆるedge printing(エッジプリンティング)と称されている。図1及び図2は、この方式を説明する図であり、図1は、磁気転写の工程を示す斜視図であり、図2は、磁気転写の基本工程を説明するための断面図である。

0016

図1(c)に示すように、転写用磁界を印加する磁界生成手段30は、密着手段に保持されたスレーブディスク40及びマスターディスク46の半径方向に延びるギャップ31を有する磁気コア32に不図示のコイルが巻き付けられた電磁石装置が設置され、トラック方向に水平な磁力線Gを発生させ転写用磁界を印加できる構成のものである。勿論電磁石に代えて永久磁石を用いることが可能であることは言うまでもない。

0017

磁界印加時には、スレーブディスク40及びマスターディスク46を一体として回転させながら、磁気転写ヘッド30に対して矢印方向に相対移動させつつ、磁気転写ヘッド30により転写用磁界を印加し、マスターディスク46に記録されている転写情報をスレーブディスク40の磁気記録面に磁気転写することができる回転手段36が設けられている。

0018

図2は、既述したように磁気転写の工程を説明するための断面図である。図2(A)に示すようにスレーブディスク40を一方向に垂直に初期磁化した後のスレーブディスク40の磁気記録層40Bの磁化状態を示し、図2(B)は、マスターディスク46とスレーブディスク40の磁気記録層40Bとを密着させて磁界を印加する工程を示し、図2(C)は磁気転写後のスレーブディスク40の磁気記録層40Bの磁化状態を示し、図2(D)は、このスレーブディスク40を再生したときの再生信号を示す。

0019

磁気転写は、図1(a)に示すように垂直に磁界を印加することにより、図2(A)に示すようにスレーブディスク40の磁気記録層40Bを一方向に垂直磁化させた後、図1(b)に示されるように、スレーブディスク40の磁気記録層40B側の面とマスターディスク46の表面の磁性層48側の面とを密着させ、その後、図1(c)に示すように、スレーブディスク40のトラック面に水平な方向に、転写用磁界を印加することにより生じる漏れ磁束Gにより磁気転写を行う。

0020

具体的には、図2(B)に示されるように、転写用磁界Hdの印加によってマスターディスク46の表面には、磁性層48の形状パターンに対応した漏れ磁束Gが発生する。この漏れ磁束Gは、本質的に磁性層48の膜面と平行な方向成分を多く含有するものであるが、磁性層48の形状パターンの両端近傍においては、比較的大きな垂直方向成分を有している。したがって、漏れ磁束Gの垂直方向成分磁界によってスレーブディスク40の磁気記録層40Bには、磁性層48の形状パターンに対応した記録磁化パターンPが図2(C)に示されるように記録される。

0021

なお、図2(C)において、垂直磁化膜における磁気的に孤立した磁化単位は、静電エネルギーが最小になるような方向に、上または下方向に向いているが、磁化遷移領域Qは、マクロ的に見た場合、各々の磁化が打ち消しあい、ほぼ中性になっているものと考えられる。従って、図2(C)に示すスレーブディスク40を再生した場合、図2(D)に示すように、記録磁化パターンPの領域の再生信号は上下方向のピークとなり、磁化遷移領域Qにおける再生信号は0となる。このようにスレーブディスク40に記録される記録磁化は、スレーブディスク40が本来有する残留磁化の値に相応して大きく、この記録磁化パターンから再生される再生波形も、従来の磁気ヘッド記録による記録磁化パターンから再生される再生信号振幅と同等程度に大きな振幅となる。

0022

また、本構成における垂直方向の磁界分布に関しては、磁性層48のパターンの両端部近傍において互いに逆極性の大きな磁界振幅を得ることができる。従って本方式では、初期磁化工程が必須のものではない。
特開2004−87099号公報
特開平10−40544号公報

発明が解決しようとする課題

0023

しかしながら、通常、サーボ信号は歪があることが多く、磁気ヘッドでサーボ補正信号をサーボ信号の後に記録することが知られている。しかしedge printingでサーボ信号を記録し、補正信号を磁気ヘッドで記録すると両者の波形が異なるため、システム上両者の信号を正しく判別することができない。

0024

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、垂直磁気記録媒体に対して良好な磁気転写を行うことができる磁気転写方法、磁気ヘッドにより再生されるサーボ信号と補正信号とを正確に判別することができる垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0025

前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、垂直磁気記録媒体に転写すべき情報に応じた磁性層の配列からなるパターンが表面に形成された円盤状の基板である垂直磁気転写用マスター記録媒体を、前記垂直磁気記録媒体に密着させながら基板面に平行方向の転写磁界を印加して、前記垂直磁気転写用マスター記録媒体の磁気パターンを前記垂直磁気記録媒体に転写させる磁気転写工程と、該磁気転写工程により前記垂直磁気記録媒体に転写された情報に隣接する箇所に磁気ヘッドによりサーボ補正信号情報を書き込むサーボ補正情報書き込み工程と、を備えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法である。

0026

本発明によれば、スレーブディスクに転写及び書き込みすべき情報として、通常のサーボ信号情報とサーボ補正信号情報とを含んでいるので、サーボ信号に歪があったとしても、このサーボ補正信号情報により正確にトラッキングを行うことができ、垂直磁気記録媒体において高速かつ正確に情報の記録再生を行うことができる。

0027

なお、サーボ補正信号情報とは、サーボ信号が理想的なトラックに記録されていない場合に、このサーボ信号が記録されているトラック位置を示すサーボ補正信号である。例えば、米国特許US6608731B2に記載されたZAPCorection(ZeroAccelerationPath)を意味する。

0028

請求項2に記載の発明は、前記サーボ補正信号情報の書き込まれる領域は、データ信号領域であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法である。

0029

請求項3に記載の発明は、前記サーボ補正信号情報の書き込まれる領域は、サーボ信号領域であって、前記サーボ信号情報と前記サーボ補正信号情報との間に3ビット以上の空白ビットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法である。

0030

請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法により製造したことを特徴とする垂直磁気記録媒体である。

0031

サーボ信号領域に前記補正データを記録する方法では、サーボ信号情報とサーボ補正信号情報との間に3ビット以上の空白ビットを設けるものである。サーボ信号とサーボ補正信号を区別するために、サーボ信号情報とサーボ補正信号情報との間に所定ビット以上の空白ビットを設けることにより、両者の判別が容易となる。尚、3ビット以上の空白ビットを設けるのは、サーボ信号領域に記録されているサーボ信号とサーボ補正信号とを区別するためであり、2ビット以下では、サーボ信号と混同が生じてしまい分離することができなくなるからである。

0032

また、データ領域にサーボ補正信号を記録する場合は、サーボ信号情報とサーボ補正信号情報との間に所定ビット以上の空白ビットを設ける必要はない。データ領域に記録されているため区別をする必要がないからである。

0033

本発明においては、初期磁化は必ずしも必要はないが、再現性を上げるためには、磁気転写前の垂直磁気記録媒体の磁性層を基板面に対し面内又は垂直の1方向に初期磁化することが好ましい。

0034

請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法により製造した垂直磁気記録媒体を備えたことを特徴とする磁気記録再生装置である。

0035

請求項6に記載の発明は、請求項5に記載された磁気記録装置において、前記垂直磁気記録媒体に記録されている情報を再生する際、前記サーボ信号情報は、微分回路を介することなく信号処理を行い、前記サーボ補正信号情報は、微分回路を介した後、信号処理を行うことを特徴とする磁気記録再生装置である。

0036

サーボ信号情報は微分波形であるため部分回路をとおすことなく信号処理を行うことができるが、サーボ補正信号情報は磁気ヘッドで記録されているため積分波形であり、微分回路をとおした後信号処理をおこなうものである。

0037

これにより、サーボ信号とサーボ補正信号とは区別されるため、良好な垂直磁気記録と再生を行うことが可能となる。

発明の効果

0038

上より、本発明によればサーボ信号に歪があったとしても、サーボ補正信号情報により正確にトラッキングを行うことができる垂直磁気記録媒体を高速かつ正確に製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0039

以下、添付図面に従って、本発明に係る磁気転写方法、該磁気転写方法による垂直磁気記録媒体、及び磁気記録装置の好ましい実施の形態について詳説する。

0040

図3は、本発明に使用されるマスターディスクの平面図である。図4は、マスターディスク46の表面の微細な凹凸パターンを示す部分拡大斜視図である。なお、図4は模式図であり各部の寸法は実際とは異なる比率で示している。

0041

図3に示されるように、マスターディスク46は円盤状に形成されており、マスターディスク46の径方向中周部分(マスターディスク46の内周部分46dと外周部分46eを除いた部分)には、円周方向に、サーボ領域46bと非サーボ領域46c(非ハッチング部分)とが交互に形成されている。

0042

サーボ領域46bは、磁気パターン(サーボ情報パターン)が形成されている領域であり、非サーボ領域46cは、磁気パターン(サーボ情報パターン)が形成されていない領域である。

0043

このマスターディスク46は、中心孔を有する円環状(ドーナツ状)であるが、中心孔を有しない円盤状のものであってもよい。

0044

図4は、サーボ領域46bの部分拡大図であり、基板47の片面に磁性層48による微細な凹凸パターンが形成された転写情報担持面が形成されており、基板47の反対側の面が不図示の密着手段に保持されるようになっている。この微細な凹凸パターンの形成は、後述するフォトファブリケーション法等によりなされる。このマスターディスク46の片面(転写情報担持面)は、スレーブディスク40と密着される面である。

0045

微細な凹凸パターンは、平面視で長方形であり、厚さtの磁性層48が形成された状態で、トラック方向(図中の太矢印方向)の長さbと、半径方向の長さlからなるものである。この長さbとlの最適値は、記録密度や記録信号波形等により異なるが、本実施の形態では、長さbを80nm、長さlを100nmにより形成されている。

0046

この微細な凹凸パターンはサーボ信号の場合は、半径方向に長く形成される。この場合、たとえば、クロストラック方向(半径方向)の長さlは、好ましくは30〜300nm、ダウントラック方向(円周方向)の長さbは20〜200nmであることが好ましい。この範囲で半径方向の方が長いパターンを選ぶことが、サーボ信号のパターンとしては好ましい。

0047

基板47表面の微細な凹凸パターンの凹部の深さは、20〜300nmの範囲が好ましく、30〜200nmの範囲がより好ましい。

0048

マスターディスク46において、基板47がNi等を主体とした強磁性体の場合には、この基板47のみで磁気転写が可能であり、磁性層48は被覆しなくてもよいが、転写特性のよい磁性層48を設けることにより、より良好な磁気転写が行える。基板47が非磁性体の場合には、磁性層48を設けることが必要である。マスターディスク46の磁性層48は、保磁力Hcが48kA/m(≒600Oe)以下の軟磁性層であることが好ましい。

0049

マスターディスク46の基板47としては、ニッケルシリコン石英ガラス等各種組成のガラスアルミニウム合金、各種組成のセラミックス合成樹脂等が使用できる。ただし、合成樹脂の場合には、フォトファブリケーション法の際のリフトオフ工程でのレジスト剥離液変質しない材質にするか、レジスト剥離液で変質しないような構成(たとえば、保護コート)にする必要がある。

0050

この基板47表面の凹凸パターンの形成は、フォトファブリケーション法や、フォトファブリケーション法等で形成した原盤によるスタンパー法等によって行える。

0051

スタンパー法における原盤の形成は、たとえば、表面が平滑なガラス板(又は石英ガラス板)の上にスピンコート法等によりフォトレジストの層を形成し、プレベーク後に、このガラス板を回転させながら、サーボ信号に対応して変調したレーザー光(又は電子ビーム)を照射し、フォトレジスト層の略全面に所定のパターン、たとえば各トラックに回転中心から半径方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターンを円周上の各フレームに対応する部分に露光する。

0052

その後、フォトレジストの層を現像処理し、露光部分が除去されたフォトレジストの層により形成された凹凸パターンを有するガラス原盤を得る。次いで、ガラス原盤の表面の凹凸パターンの形成された面に、Niメッキ電鋳)を施し所定厚さまで形成することにより、表面にポジ状の凹凸パターンを有するNi基板を作成する。そして、このNi基板をガラス原盤から剥離する。

0053

このNi基板をそのままプレス原盤とするか、凹凸パターン上に必要に応じて軟磁性層、保護膜等を被覆してプレス原盤とする。

0054

また、ガラス原盤にメッキを施して、電鋳により第2の原盤を作製し、この第2の原盤に更にメッキを施して、電鋳によりネガ状凹凸パターンを有する反転原盤を作製してもよい。更に、第2の原盤にメッキを施して電鋳を行うか、低粘度の樹脂押し付け硬化させた第3の原盤を作製し、第3の原盤にメッキを施して電鋳を行い、ポジ状凹凸パターンを有する基板を作製してもよい。

0055

次に、フォトファブリケーション法における原盤の形成方法について説明する。この形成方法は、平板状の基板の平滑な表面にスピンコート法等によりフォトレジストの層を形成し、プレベーク後に、この基板を回転させながら、サーボ信号に対応して変調したレーザー光(又は電子ビーム)を照射し、フォトレジスト層の略全面に所定のパターン、たとえば各トラックに回転中心から半径方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターンを円周上の各フレームに対応する部分に露光する。

0056

その後、フォトレジスト層を現像処理し、露光部分が除去されたフォトレジスト層により形成された凹凸形状を有する基板を得る。現像処理後の基板をポストベークし、フォトレジスト層の基板への付着力を増大させる。

0057

次いで、エッチング工程により、基板のエッチングを行い、凹凸パターンに相当する深さの穴を形成する。次いで、フォトレジストを除去し、表面を研磨して、バリがある場合には、これを取り除くとともに、表面を平滑化する。これにより、凹凸パターンを有する原盤を得る。

0058

次いで、原盤の表面の凹凸パターンの形成された面に、Niメッキ(電鋳)を施し所定厚さまで形成することにより、表面にネガ状の凹凸パターンを有するNi基板を作製する。そして、このNi基板を原盤から剥離する。

0059

Ni基板や電鋳による原盤の材料としては、金属ではNi又はNi合金を使用することができる。このNi基板を作製する方法としては、無電解メッキ、電鋳、スパッタリングイオンプレーティング等の各種の成膜法等が適用できる。

0060

次に、磁性層48の形成方法について説明する。図5は、磁性層48の形成フローを説明する基板47の断面図である。図5(A)は、未処理の基板47であり、既述の工程により基板47の表面に多数の微細な凹凸パターンの凸部47A、47A…と、この凹凸パターンの凸部47A、47A同士の間に形成される凹陥部47B、47B…とが交互に形成される。

0061

先ず、図5(B)に示されるように、基板47の表面にレジスト剤Rを塗布し、レジスト剤Rで凹凸パターンの凸部47A、47A…の表面を覆うとともに、レジスト剤Rを凹陥部47B、47B…に充填する。レジスト剤Rとしては、フォトレジストが一般的であるが、後述するリフトオフが可能なものであれば、フォトレジストに限定される訳ではなく、他の各種材料が使用できる。

0062

レジスト剤Rの塗布方法としては、スピンコートダイコートロールコート、ディップコートスクリーン印刷等の各種塗布方法等が挙げられる。なお、凹陥部47B、47B…のサイズが微小な場合には、所定粘度以上のレジスト剤Rでは、凹陥部47B、47B…に充填するのが困難な場合があるが、この場合は、希釈することによりレジスト剤Rの粘度を低下させる。

0063

また、減圧雰囲気(たとえば、デシケータの中に基板47を入れ、真空ポンプ等によりデシケータ内部を排気し)で基板47の表面にレジスト剤Rを塗布し、その後に大気圧解放する方法も、微小なサイズの凹陥部47B、47B…にレジスト剤Rを充填するのに有効である。

0064

また、デシケータの中に基板47を入れ、大気圧状態で基板47の表面にレジスト剤Rを塗布し、その後に真空ポンプ等によりデシケータ内部を排気する方法も、微小なサイズの凹陥部47B、47B…にレジスト剤Rを充填するのに有効である。この場合、排気により、凹陥部47B、47B…のレジスト剤R内部に生じた気泡は、レジスト剤Rの表面に移動した後消失する。

0065

次いで、図5(B)の状態で、レジスト剤Rを硬化させる。レジスト剤Rがネガタイプのフォトレジスト(たとえば、環化ゴムタイプ)の場合には、紫外線等を照射して架橋重合させればよい。レジスト剤Rがポジタイプのフォトレジストの場合には、ベーク処理(ポストベーク)を行って架橋重合させればよい。

0066

次いで、図5(C)に示されるように、アッシングにより、凹凸パターンの凸部47A、47A…の表面を覆ったレジスト剤Rを完全に除去する。これに伴い凹陥部47B、47B…に形成されているレジスト剤Rの一部も除去される。

0067

具体的には、凹凸パターンの凸部47A、47A…の表面を覆うレジスト剤Rの厚さと、凹陥部47B、47B…に充填されたレジスト剤Rの厚さは異なるので、凹凸パターンの凸部47A、47A…の表面を覆ったレジスト剤Rを完全に除去した時点において、凹陥部47B、47B…に充填されたレジスト剤Rは残存しており、凹陥部47B、47B…の底面を覆っている。

0068

次いで、図5(D)に示されるように、基板47の表面に磁性膜を形成し、レジスト剤Rが完全に除去された凹凸パターンの凸部47A、47A…の表面、及び凹陥部47B、47B…内に残存しているレジスト剤Rの表面に磁性層48を形成する。

0069

磁性層48(軟磁性層)の形成は、磁性材料真空蒸着法スパッタリング法イオンプレーティング法等の真空成膜方法メッキ法などにより形成する。磁性層48の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)を用いることができる。特に、FeCo、FeCoNiを好ましく用いることができる。

0070

磁性層48の厚さtは、30nm〜1000nmの範囲が好ましく、50nm〜500nmの範囲が更に好ましい。また、磁性層48の厚さtと凹凸パターンの凸部の幅(この場合は、図4のトラック方向の長さb)との比t/bを1以上とすることが好ましい。これにより、磁性層48の磁化方向をディスク面に対して安定的に垂直に維持できるからである。

0071

なお、磁性層48の上にダイヤモンドライクカーボン等の保護膜を設けることも好ましく、保護膜の上に更に潤滑剤層を設けてもよい。この場合、保護膜の厚さは5〜30nmのダイヤモンドライクカーボン膜を設け、その上に潤滑剤層とする構成が好ましい。また、潤滑剤は、スレーブディスク40との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性劣化を改善する効果を有する。更に、磁性層48と保護膜との間にSi等の密着強化層を設けてもよい。次いで、凹陥部47B、47B…内のレジスト剤Rを除去する。これにより、レジスト剤R表面の磁性層48も同時に除去され、その結果、図5(E)に示されるように、凹凸パターンの凸部47A、47A…の表面にのみ磁性層48が形成された垂直磁気転写用のマスターディスク46が得られる。すなわち、凹陥部47B、47B…の磁性層48を選択的に除去するリフトオフ工程がなされる。

0072

凹陥部47B、47B…内のレジスト剤Rを除去する方法としては、レジスト剤Rがフォトレジストである場合には、専用の剥離液を使用する。剥離液は、磁性層48のピンホール等より浸透して、レジスト剤Rに作用し除去される。また、剥離液の作用を促進させるべく、超音波振動を印加や、剥離液を加熱してもよい。

0073

次に、マスターディスク46の磁性層パターン被転写用ディスクであるスレーブディスク40に転写する磁気転写方法について説明する。既述の図1は、本発明におけるマスターディスク46を使用して磁気転写を実施するための磁気転写装置10の要部正面図であり、図2は、磁気転写の基本工程を説明するための断面図である。

0074

次に、スレーブディスク40について説明する。スレーブディスク40は、両面又は片面に磁気記録層が形成されたハードディスク、フレキシブルディスク等の円盤状の磁気記録媒体であり、マスターディスク46に密着させる以前に、グライドヘッド研磨体などにより表面の微小突起又は付着塵埃を除去するクリーニング処理(バーニッシィング等)が必要に応じて施される。また、スレーブディスク40には予め初期磁化が施される。この詳細は後述する。

0075

スレーブディスク40としては、ハードディスク、高密度フレキシブルディスク等の円盤状の磁気記録媒体が使用できる。スレーブディスク40の磁気記録層には、塗布型磁気記録層、メッキ型磁気記録層、又は金属薄膜型磁気記録層が採用できる。

0076

金属薄膜型磁気記録層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi)を用いることができる。これらは、磁束密度が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(垂直磁気記録の場合は垂直方向)の磁気異方性を有していることより、明瞭な転写が行えるため好ましい。例えば、CoPtCr−O、CoPtCr−SiO2等のように酸素やSiO2等の酸化物を含ませることが更に好ましい。

0077

そして磁気記録層の下層支持体側)には、必要な磁気異方性を付与するために、非磁性下地層を設けることが好ましい。この下地層は、磁気記録層の結晶構造格子定数との整合をとるため、Ru、Ti、Cr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru、Pd等を用いることが好ましい。

0078

更に、磁気記録層の垂直磁化状態を安定化させ、また、記録再生時の感度を向上させるために、非磁性の下地層の下に、更に軟磁性材料からなる裏打ち層を設けることが好ましい。

0079

なお、磁気記録層の厚さは、10nm〜500nmであることが好ましく、20nm〜200nmであることが更に好ましい。また、非磁性の下地層の厚さは、10nm〜150nmであることが好ましく、20nm〜80nmであることが更に好ましい。また、裏打ち層の厚さは、50nm〜2000nmであることが好ましく、80nm〜400nmであることが更に好ましい。

0080

マスターディスク46による磁気転写は、既述の図1に示されるように、スレーブディスク40の片面にマスターディスク46を密着させて片面に転写を行う場合と、スレーブディスク40の両面にそれぞれマスターディスク46、46を密着させて両面で同時転写を行う場合とがある。

0081

磁界印加時には、既述したように、スレーブディスク40及びマスターディスク46を一体として回転させつつ、すなわち、磁気転写ヘッド30に対して図1の太矢印方向に相対移動させつつ、磁気転写ヘッド30によって転写用磁界を印加し、マスターディスク46の転写情報をスレーブディスク40のスレーブ面に磁気的に転写記録するが、図1の構成以外に、磁界生成手段である磁気転写ヘッド30を回転移動させるように設ける構成も採用できる。

0082

以上の結果、図2(B)に示されるように、スレーブディスク40の磁気記録層40Bにはマスターディスク46の凹凸パターンの凸部47A、47A…(図2(A)参照)に応じた情報(たとえばサーボ信号)が磁気的に転写記録される。

0083

既述したように、本実施の態様によれば、印加する転写用磁界によって、磁性層48のパターンの両端部近傍において互いに逆の極性を有し、かつ大きな磁界振幅を有する垂直方向磁界分布を得ることができる。このため、直流消去等による初期磁化工程を経て、スレーブディスク40の磁気記録層40Bに初期磁化を残留させることなく、互いに逆の極性を有する磁化領域が磁化遷移領域Q、Q…を介して交互に配列した磁化パターンを記録することができる。

0084

これにより、より大きな再生信号振幅を得ることができる。すなわち、本実施の態様によれば、必ずしも直流消去を行う必要がない。

0085

次に、磁気転写工程によりスレーブディスク40に転写された情報に隣接する箇所に磁気ヘッドによりサーボ補正信号情報を書き込むサーボ補正情報書き込み工程について説明する。このサーボ補正情報の書き込みは、磁気ヘッドを所定のフライングハイトで浮上させながらスレーブディスク40に磁気記録を行うことにより行われる。この記録方法は、通常の記録方法であるため説明は省略する。

0086

図6は、以上の工程によりスレーブディスクに記録された信号を示したものである。この図6において、中心線であるTは、トラック方向(円周方向)を示す。このスレーブディスク40は、磁気転写工程及びサーボ補正情報書き込み工程を経た後、データ領域へのデータ情報の書き込みがなされていない状態のものである。

0087

図6において、期間T10Aの範囲は、図3におけるマスターディスク46のサーボ領域46b(サーボウェッジ)の1ピッチ分が転写された信号であり、期間T10Bは、図3におけるマスターディスク46の非サーボ領域46c(すなわち、データ書き込み領域)に対応する1ピッチ分の信号(信号なし)である。

0088

そして、期間T10Aの後端部と期間T10Bの先端部との間に設けられている期間T10Cが、サーボ補正信号情報が書き込まれる領域である。なお、この期間T10Cにおいて、サーボ信号情報とサーボ補正信号情報との間に3ビット以上の空白ビットである期間TSが設けられている。

0089

期間T10Aの範囲(図3のサーボ領域46bに対応する)の1ピッチ分の信号は、先頭(図の左)より、最初のプリアンブル50、サーボタイミングマーク52、セクターアドレス54、シリンダーアドレス56、定周期バースト信号58(58A、58B、58C、及び58Dの4種よりなる)、及び最後のプリアンブル60よりなる。これらは、磁気記録において一般的に採用されているサーボ領域46bの方式である。

0090

次に、本発明におけるサーボ補正信号情報62(期間T10C)について説明する。サーボ補正信号は本来あるべきサーボ位置よりダウントラック方向、クロストラック方向共にズレを表す信号であり、再生ヘッドがサーボ補正信号に基づきサーボ追従を行う。クロストラック方向のズレが非常に大きい場合の概念図を図7に示す。

0091

図7において、a、b、c…は、スレーブディスク40の各トラックを示している。そして、現在、図示しない磁気ヘッド(読み取りヘッド)はトラックa上にあるものとする。

0092

通常、磁気転写が正確に行われれば、トラックa上には、図3のサーボ領域46bに対応する1ピッチ分の信号が、T10A−1、T10A−2、T10A−3…の順で記録されているものであるが、図7のように、信号T10A−2が、本来あるべき位置より大きく外れ、たとえば2トラック外側のトラックc上に記録されていた場合、磁気ヘッドは追従できず、読み取りエラーを生じてしまう。

0093

本発明のサーボ補正信号情報62は、このような場合に対処できるように設けられたものであり、磁気ヘッドがトラックa上にある際には、信号T10A−2を読みにいくことはなく、磁気ヘッドがトラックc上に一周前に動かし、信号T10A−2を読み込むように制御する補正信号情報である。

0094

以上説明したように、本発明によれば、スレーブディスク40に転写及び書き込みすべき情報には、サーボ信号情報(図6のT10A)と積分波形のサーボ補正信号情報(図6のT10C)とが含まれているので、サーボ信号に歪があったとしても、このサーボ補正信号情報により正確にトラッキングを行うことができ、垂直磁気記録における高速かつ正確な磁気転写を行うことができる。

0095

通常のサーボ信号情報(図6のT10A)はエッジプリントで転写した微分波形に似た波形であり、サーボ補正信号情報(図6のT10C)は磁気ヘッドで記録した積分波形である。

0096

サーボ信号情報については、微分回路をとおすことなく信号処理を行い、サーボ補正信号は微分回路をとおした後、信号処理を行うことにより、サーボ信号情報とサーボ補正信号情報とを区別して読み取ることが可能である。サーボ補正信号情報は、サーボ信号とは異なる方式により記録されているため、サーボ信号に歪があったとしても、サーボ補正信号情報は正確に再生することができるため正確にトラッキングを行うことができる。

0097

このように作製されたスレーブディスク40は、ハードディスクドライブ等の磁気記録装置に組み込んで使用することができ、この磁気記録装置には、上記のようにサーボ信号情報については微分回路をとおすことなく信号処理を行い、サーボ補正信号情報に関しては、微分回路をとおした後信号処理を行う機能が組み込まれている。

0098

以上、本発明に係る垂直磁気記録媒体の磁気転写方法、垂直磁気記録媒体及び磁気記録装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様がある。

0099

また、マスターディスク46は、図4に示されるように、非磁性基体である基板47の片面の凹凸パターン上に磁性層48によるパターンが形成されているが、これに代えて、非磁性基体である平坦な基板の片面に磁性層48による凹凸パターンが形成されている構成も採用できる。

0100

同様に、マスターディスク46の構成を図4に構成に代えて、非磁性材料からなる平坦な基板の表層部に強磁性薄膜よりなるパターン形状が埋め込み配列した、表面に凹凸のない平坦なものであってもよい。

0101

更に、図4においては、磁性層48の平面形状はすべて長方形としているが、実際にはこれに限られたものではなく、用途に応じて様々な形状をとることが可能である。

0102

また、本実施形態においては、磁界生成手段である磁気転写ヘッド30において、電磁石装置34がスレーブディスク40及びマスターディスク46の下側に設置されているが、これに代えて、磁石装置棒磁石)を2個マスターディスク46の下側に間隔を設けて配して磁界を印加させる構成であってもよい。更に、磁石装置は、電磁石でも永久磁石でもよい。

図面の簡単な説明

0103

本発明に係る磁気転写方法における磁気転写工程の斜視図
磁気転写の基本工程を説明するための断面図
垂直磁気転写用マスターディスクの平面図
マスターディスクの表面の微細凹凸パターンを示す部分拡大斜視図
磁性層の形成フローを説明する基板の断面図
スレーブディスクに記録された信号を示した図
サーボ補正信号情報の例を説明する概念図
他の磁気転写方法に使用される磁気転写装置の断面図
他の磁気転写の基本工程を説明するための断面図

符号の説明

0104

30…磁界生成手段、31…ギャップ、32…磁気コア、36…回転手段、40…スレーブディスク(被転写用ディスク)、40B…磁気記録層、46…マスターディスク、46b…サーボ領域、46c…非サーボ領域、47…基板、48…磁性層、b…凹凸パターンの凸領域の円周方向の幅、G…磁束、Q…磁化遷移領域、l…凹凸パターンの凸領域の径方向の幅、t…磁性層の厚さ

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