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課題・解決手段

本発明は、グルタミン酸作動性毒性治療又はその予防に関するものであり、有効な量の分岐鎖α−ケト酸を、単独で、又はL−メチオニンS−スルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン及びグルホシネート等の他の抗グルタミン酸剤と組み合わせて投与する投与方法組成物等を採用するものである。特に、本発明は、脳神経細胞内のグルタミン酸レベルの上昇を特徴とする疾患又は症状への治療又はその予防に関するものである。

概要

背景

グルタミン酸は、哺乳動物中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質である5−炭素骨格アミノジカルボン酸である。グルタミン酸は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質Gタンパク質)を介して様々なシグナル伝達経路に結合している代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)を活性化させる。グルタミン酸は、イオンチャネル内蔵型受容体である様々な興奮性アミノ酸受容体にも結合する。脱分極及び神経興奮をもたらすのは、これらの受容体の活性化である。通常のシナプス機能では、興奮性アミノ酸受容体の活性化は一過性である。しかし、細胞外体液中のグルタミン酸濃度が高くなる場合のように、何らかの理由で、受容体の活性化が過剰になり又は長期化する場合、標的神経細胞は損傷を受け最終的に死滅する。この神経細胞死過程興奮毒性と呼ばれる。内因性グルタミン酸の細胞外蓄積によりもたらされる興奮毒性は、神経細胞死の主要因である。グルタミン酸興奮毒性は、ミトコンドリアを含む細胞構成要素の損傷の増大や、細胞死をもたらすことを特徴とする。

血液−脳関門神経細胞から多くのアミノ酸を排除するので、神経細胞にアミノ酸を供給するための特有生理学的方法が発達している。放出されたグルタミン酸は脳のグリア細胞によって取り込まれ、グルタミン合成酵素によってグルタミンに変換され、シナプス前ニューロン輸送され、次いでグルタミンの神経細胞内アミド分解を経てグルタミン酸に戻される。この過程で、グルタミンは、アンモニアと、グルタミン合成酵素活性富む唯一の脳細胞である星状細胞のグルタミン合成酵素によって触媒されたグルタミン酸とにより合成される。このようにして生成されたグルタミンは、神経細胞に輸送され、そこで2つの役割を果たす;1)タンパク質合成酵素に使用され(例えば、ハンチントン(Huntington))、2)神経細胞系グルタミナーゼによってアミド分解されグルタミン酸を供給し、それが神経伝達物質の一として多くの機能を果たす。それらの蓄積及びグルタミン酸作動性の毒性を避けるために、グルタミン酸はその輸送体により星状細胞に戻され、グルタミンに再合成されて循環を繰り返す。神経細胞系グルタミン酸は、神経細胞系輸送体によりシナプス間隙に輸送され、そこから星状細胞の輸送体により星状細胞に輸送されて戻り(Reisberg B、Doody R、Stoffler Aら、「中等度から重度アルツハイマー病におけるメマンチン(Memantine in moderate−to−severe Alzheimers disease)」N Engl J Med、2003年、348巻、1333〜1341頁)、そこでグルタミン合成酵素による触媒反応でグルタミンに合成されて戻る。

グルタミン酸は、脳を含めたすべての組織内の多くのトランスアミナーゼ生成物でもある。アミノ酸のアミノ基は、α−ケトグルタール酸転移され、グルタミン酸及び同族のα−ケト酸を形成する。例えば、ロイシンアミノトランスフェラーゼ(又は、ロイシントランスアミナーゼ)は、ロイシンとα−ケトグルタール酸とを反応させ、グルタミン酸及びα−ケトイソカプロアート(α−keto isocaproate)を形成させる。これらの反応は自由な可逆性を有する。その方向は質量作用、すなわち反応物と生成物との相対濃度により規定される。

グルタミン酸−グルタミンサイクル破壊は、筋萎縮性側索硬化症(Heath PR、Shaw PJ、「グルタミン酸作動性神経伝達物質システム及び筋萎縮性側索硬化症における興奮毒性の役割に関する最新情報(Update on the glutamatergic neurotransmitter system and the role of excitotoxicity in amyotrophic lateral sclerosis)」、Muscle and Nerve、2002年、36巻、438〜458頁)、アルツハイマー病、てんかん及び脳卒中(Maragakis NJ、Rothstein JD、「神経疾患におけるグルタミン酸輸送体(Glutamate transporters in neurologic disease)」、Arch Neurol、2001年、58巻、365〜370頁)、統合失調症(Tsai G、Coyle JT、「統合失調症におけるグルタミン酸作動性の機構(Glutamatergic mechanisms in schizophrenia)」、Ann Rev Pharmacol Toxico、2002年、42巻、165〜179頁)、及び多発性硬化症(Sarchielli,P.、Greco,L.、Floridi,A.、Floridi,A.、Gallai,V.、2003年、「興奮性アミノ酸と多発性硬化症(Excitatory amino acidsand multiple sclerosis)」、Arch.Neurol.、60巻、1082〜1088頁)等の数々の神経変性疾患に関係を及ぼしている。さらに、早産児は、脳性麻痺及びてんかん等の長期の神経的異常をもたらし得る興奮毒性に対して特に脆弱である(Koh S、Jensen FE、「トピラマート周生期低酸素性脳症げっ歯類モデルにおける発作阻害する(Topiramate blocks seizures in a rodent model of perinatal hypoxic encephalopathy)。」、Ann Neurol、2001年、50巻、366〜72頁)。

抗グルタミン酸作動性療法の試みが提唱されている(非特許文献1:KimAH、Kerchner GA、ChoiDW、「興奮毒性の阻止(Blocking excitotoxicity)」;Marcoux FW、Choi DW編集、中枢神経系の神経保護CNSNeuroprotection)、Berlin:Springer、2002年、3〜36頁;非特許文献2:Reisberg B、Doody R、Stoffler Aら、「中等度から重度のアルツハイマー病におけるメマンチン(Memantine in moderate−to−severe Alzheimer’s disease)」、N Engl J Med、2003年、348巻、1333〜1341頁)が、これらの試みは、グルタミン代謝又は脳のグルタミン酸濃度を操作するものではない。N−メチル−D−アスパラギン酸NMDA)受容体を拮抗する他の薬物が提唱されているが、一般的に成功していない(非特許文献3:Fogarty,M.、「興奮毒性の標的(Targeting Excitotoxicity)」、Preclinica、2巻、1号、2004年)。

KimAH、Kerchner GA、ChoiDW、「興奮毒性の阻止(Blocking excitotoxicity)」;Marcoux FW、Choi DW編集、中枢神経系の神経保護(CNSNeuroprotection)、Berlin:Springer、2002年、3〜36頁
Reisberg B、Doody R、Stoffler Aら、「中等度から重度のアルツハイマー病におけるメマンチン(Memantine in moderate−to−severe Alzheimer’s disease)」、N Engl J Med、2003年、348巻、1333〜1341頁
Fogarty,M.、「興奮毒性の標的(Targeting Excitotoxicity)」、Preclinica、2巻、1号、2004年

概要

本発明は、グルタミン酸作動性毒性治療又はその予防に関するものであり、有効な量の分岐鎖α−ケト酸を、単独で、又はL−メチオニンS−スルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン及びグルホシネート等の他の抗グルタミン酸剤と組み合わせて投与する投与方法組成物等を採用するものである。特に、本発明は、脳神経細胞内のグルタミン酸レベルの上昇を特徴とする疾患又は症状への治療又はその予防に関するものである。

目的

前記製剤は、単位用量、又はマルチドーズ容器、例えば、密封したアンプル及びバイアルで提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

患者脳神経細胞グルタミン酸レベルを低下させるための薬品投与法であって、ロイシンイソロイシン、又はバリン由来する分岐鎖α−ケト酸をその治療を要する患者に投与することを特徴とする投薬方法

請求項2

前記患者が、筋萎縮性側索硬化症アルツハイマー病てんかん、脳卒中、多発性硬化症統合失調症及び低酸素虚血症からなる群から選択される疾患又は症状を患っている請求項1に記載の投薬方法。

請求項3

経口的に、静脈内に、又はくも膜下腔内に投薬する請求項1に記載の投薬方法。

請求項4

ロイシン、イソロイシン又はバリンに由来する前記分岐鎖α−ケト酸を、6〜10日間に100〜500mg/kg体重の範囲の投与量で経口投与する請求項1に記載の投薬方法。

請求項5

ロイシン、イソロイシン又はバリンに由来する前記分岐鎖α−ケト酸を、6〜10日間に280〜380mg/kg体重の範囲の投与量で経口投与する請求項4に記載の投薬方法。

請求項6

L−メチオニンS−スルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン、及びグルホシネートからなる群から選択される化合物をさらに含む請求項1に記載の投薬方法。

請求項7

前記分岐鎖α−ケト酸が、α−ケトイソカプロアート(α−ketoisocaproate)、α−ケト−β−メチルブチレート及びα−ケト−吉草酸、ならびにそれらの塩からなる群から選択される請求項1に記載の投薬方法。

請求項8

神経保護化合物及び抗グルタミン酸剤からなる群から選択される第2化合物を投与することをさらに含む請求項1に記載の投薬方法。

請求項9

前記第2化合物が、リルゾール、レマセミド、アマンタジンメマンチンガバペンチンリチウムトピラメート及びシスタミンからなる群から選択される請求項8に記載の投薬方法。

請求項10

a)脳神経細胞内グルタミン酸レベルを低下させるのに有効な、ロイシン、イソロイシン、又はバリンに由来する分岐鎖α−ケト酸、b)第2抗グルタミン酸剤、及びc)薬学的に許容される担体、を含む組成物

請求項11

前記第2抗グルタミン酸剤が、リルゾール、レマセミド、アマンタジン、メマンチン、ガバペンチン、リチウム、トピラメート及びシスタミンからなる群から選択される請求項10に記載の組成物。

請求項12

L−メチオニン−Sスルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン、及びグルホシネートからなる群から選択される化合物をさらに含む請求項10に記載の組成物。

請求項13

a)ロイシン、イソロイシン又はバリンに由来する分岐鎖α−ケト酸と、b)L−メチオニンS−スルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン、及びグルホシネートからなる群から選択される1つ又は複数の化合物とを分離収納したキット

請求項14

グルタミン酸作動性毒性の治療に有用な化合物をさらに含む請求項13に記載のキット。

請求項15

グルタミン酸作動性毒性の治療に有用な前記化合物が、リルゾール、レマセミド、アマンタジン、メマンチン、ガバペンチン、リチウム、トピラメート及びシスタミンからなる群から選択される請求項14に記載のキット。

請求項16

L−メチオニンをさらに含む請求項13に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、分岐鎖α−ケト酸であるL−メチオニンS−スルホキシイミン(MSO)、L−エチオニンS−スルホキシイミン、及び/又はグルホシネートの効果的な量の投与によるグルタミン酸作動性毒性治療又は予防全般に関する。特に、本発明は、蓄積したグルタミン酸による興奮発生中毒作用(the toxic excitogenic effect)における疾患又は症状の治療に関する。このような疾患及び症状には、以下に限定されないが、筋萎縮性側索硬化症アルツハイマー病てんかん、脳卒中、多発性硬化症統合失調症及び低酸素虚血症が含まれる。

背景技術

0002

グルタミン酸は、哺乳動物中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質である5−炭素骨格アミノジカルボン酸である。グルタミン酸は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質Gタンパク質)を介して様々なシグナル伝達経路に結合している代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)を活性化させる。グルタミン酸は、イオンチャネル内蔵型受容体である様々な興奮性アミノ酸受容体にも結合する。脱分極及び神経興奮をもたらすのは、これらの受容体の活性化である。通常のシナプス機能では、興奮性アミノ酸受容体の活性化は一過性である。しかし、細胞外体液中のグルタミン酸濃度が高くなる場合のように、何らかの理由で、受容体の活性化が過剰になり又は長期化する場合、標的神経細胞は損傷を受け最終的に死滅する。この神経細胞死過程興奮毒性と呼ばれる。内因性グルタミン酸の細胞外蓄積によりもたらされる興奮毒性は、神経細胞死の主要因である。グルタミン酸興奮毒性は、ミトコンドリアを含む細胞構成要素の損傷の増大や、細胞死をもたらすことを特徴とする。

0003

血液−脳関門神経細胞から多くのアミノ酸を排除するので、神経細胞にアミノ酸を供給するための特有生理学的方法が発達している。放出されたグルタミン酸は脳のグリア細胞によって取り込まれ、グルタミン合成酵素によってグルタミンに変換され、シナプス前ニューロン輸送され、次いでグルタミンの神経細胞内アミド分解を経てグルタミン酸に戻される。この過程で、グルタミンは、アンモニアと、グルタミン合成酵素活性富む唯一の脳細胞である星状細胞のグルタミン合成酵素によって触媒されたグルタミン酸とにより合成される。このようにして生成されたグルタミンは、神経細胞に輸送され、そこで2つの役割を果たす;1)タンパク質合成酵素に使用され(例えば、ハンチントン(Huntington))、2)神経細胞系グルタミナーゼによってアミド分解されグルタミン酸を供給し、それが神経伝達物質の一として多くの機能を果たす。それらの蓄積及びグルタミン酸作動性の毒性を避けるために、グルタミン酸はその輸送体により星状細胞に戻され、グルタミンに再合成されて循環を繰り返す。神経細胞系グルタミン酸は、神経細胞系輸送体によりシナプス間隙に輸送され、そこから星状細胞の輸送体により星状細胞に輸送されて戻り(Reisberg B、Doody R、Stoffler Aら、「中等度から重度のアルツハイマー病におけるメマンチン(Memantine in moderate−to−severe Alzheimers disease)」N Engl J Med、2003年、348巻、1333〜1341頁)、そこでグルタミン合成酵素による触媒反応でグルタミンに合成されて戻る。

0004

グルタミン酸は、脳を含めたすべての組織内の多くのトランスアミナーゼ生成物でもある。アミノ酸のアミノ基は、α−ケトグルタール酸転移され、グルタミン酸及び同族のα−ケト酸を形成する。例えば、ロイシンアミノトランスフェラーゼ(又は、ロイシントランスアミナーゼ)は、ロイシンとα−ケトグルタール酸とを反応させ、グルタミン酸及びα−ケトイソカプロアート(α−keto isocaproate)を形成させる。これらの反応は自由な可逆性を有する。その方向は質量作用、すなわち反応物と生成物との相対濃度により規定される。

0005

グルタミン酸−グルタミンサイクル破壊は、筋萎縮性側索硬化症(Heath PR、Shaw PJ、「グルタミン酸作動性神経伝達物質システム及び筋萎縮性側索硬化症における興奮毒性の役割に関する最新情報(Update on the glutamatergic neurotransmitter system and the role of excitotoxicity in amyotrophic lateral sclerosis)」、Muscle and Nerve、2002年、36巻、438〜458頁)、アルツハイマー病、てんかん及び脳卒中(Maragakis NJ、Rothstein JD、「神経疾患におけるグルタミン酸輸送体(Glutamate transporters in neurologic disease)」、Arch Neurol、2001年、58巻、365〜370頁)、統合失調症(Tsai G、Coyle JT、「統合失調症におけるグルタミン酸作動性の機構(Glutamatergic mechanisms in schizophrenia)」、Ann Rev Pharmacol Toxico、2002年、42巻、165〜179頁)、及び多発性硬化症(Sarchielli,P.、Greco,L.、Floridi,A.、Floridi,A.、Gallai,V.、2003年、「興奮性アミノ酸と多発性硬化症(Excitatory amino acidsand multiple sclerosis)」、Arch.Neurol.、60巻、1082〜1088頁)等の数々の神経変性疾患に関係を及ぼしている。さらに、早産児は、脳性麻痺及びてんかん等の長期の神経的異常をもたらし得る興奮毒性に対して特に脆弱である(Koh S、Jensen FE、「トピラマート周生期低酸素性脳症げっ歯類モデルにおける発作阻害する(Topiramate blocks seizures in a rodent model of perinatal hypoxic encephalopathy)。」、Ann Neurol、2001年、50巻、366〜72頁)。

0006

抗グルタミン酸作動性療法の試みが提唱されている(非特許文献1:KimAH、Kerchner GA、ChoiDW、「興奮毒性の阻止(Blocking excitotoxicity)」;Marcoux FW、Choi DW編集、中枢神経系の神経保護CNSNeuroprotection)、Berlin:Springer、2002年、3〜36頁;非特許文献2:Reisberg B、Doody R、Stoffler Aら、「中等度から重度のアルツハイマー病におけるメマンチン(Memantine in moderate−to−severe Alzheimer’s disease)」、N Engl J Med、2003年、348巻、1333〜1341頁)が、これらの試みは、グルタミン代謝又は脳のグルタミン酸濃度を操作するものではない。N−メチル−D−アスパラギン酸NMDA)受容体を拮抗する他の薬物が提唱されているが、一般的に成功していない(非特許文献3:Fogarty,M.、「興奮毒性の標的(Targeting Excitotoxicity)」、Preclinica、2巻、1号、2004年)。

0007

KimAH、Kerchner GA、ChoiDW、「興奮毒性の阻止(Blocking excitotoxicity)」;Marcoux FW、Choi DW編集、中枢神経系の神経保護(CNSNeuroprotection)、Berlin:Springer、2002年、3〜36頁
Reisberg B、Doody R、Stoffler Aら、「中等度から重度のアルツハイマー病におけるメマンチン(Memantine in moderate−to−severe Alzheimer’s disease)」、N Engl J Med、2003年、348巻、1333〜1341頁
Fogarty,M.、「興奮毒性の標的(Targeting Excitotoxicity)」、Preclinica、2巻、1号、2004年

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の目的は、グルタミンの供給源である星状細胞内の遊離グルタミン酸及びグルタミンの利用を減らすことであり、究極的には、神経細胞のグルタミン酸の利用を減らすことである。グルタミン酸の利用低減によって、グルタミン酸作動性毒性の治療又は予防の一助となる。

課題を解決するための手段

0009

本発明の目的は、分岐鎖α−ケト酸であるL−メチオニンS−スルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン、及び/又はグルホシネートの有効量の投与によって達成される。特に、本発明は、蓄積したグルタミン酸による興奮発生中毒作用(the toxic excitogenic effect)における疾患又は症状の治療に関する。このような疾患には、それだけには限定されないが、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、てんかん、脳卒中、多発性硬化症及び統合失調症が含まれる。本発明は、出産時に脳への血液及び酸素の供給が損なわれることによる外傷(例えば、低酸素虚血)を受けた乳児における脳の損傷を低減することにも有用である。

発明を実施するための最良の形態

0010

本発明のさらなる特徴及び利点を、以下に詳しく記載する。神経細胞と星状細胞の間のグルタミン−グルタミン酸回路に加えて、ロイシン−グルタミン酸回路が提唱されており(Daikhin,Y.、及びYudkoff、2000年、M、「神経細胞及びグリアにおける脳のグルタミン酸代謝の区画化(Compartmentation of brain glutamate metabolism in neurons and glia)」、J.Nutrition、130巻、1026S〜1031S頁;Yudkoffら、1994年、「培養星状細胞におけるロイシン及びグルタミン酸塩相互関係(Interrelationships of leucine and glutamate in cultured astrocytes)」、J.Neurochemistry、62巻、1192〜1202頁)、この回路ではロイシン及び他の分岐鎖アミノ酸は血液−脳関門を通過し(Conn,A.R.、及びSteele,R.D.、1982年、「ラットにおけるアミノ酸のα−ケト類似体の血液−脳関門を越えた輸送(Transport of α−keto analogues of amino acidsacross blood−brain barrier in rats)」Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.、243巻、E272〜E277頁;Steele,R.D.、1986年、「アミノ酸のα−ケト類似体の血液−脳関門輸送(Blood−brain barrier transport of the α−keto analogs of amino acids)」、Federation Proceedings、45巻、2060〜2064頁)、グルタミン酸を形成する機構として、星状細胞内で、α−ケトグルタール酸によりグルタミン酸と、同族α−ケト酸とにアミノ基転移される。次いで、グルタミン酸はグルタミン合成酵素によりアミド化されてグルタミンを形成し、これは星状細胞を出て神経細胞中に輸送され、そこでグルタミン酸とアンモニアに加水分解される。神経細胞のグルタミン酸は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって酸化され、又はα−ケト酸によりアミノ基転移されてα−ケトグルタール酸及び同族のアミノ酸を形成することができる。α−ケトグルタール酸はミトコンドリアの代謝によって酸化可能であり、そして、アミノ酸は神経細胞から放出され、これらは血液−脳関門を互いに交差可能であり、もしくは、星状細胞によって再び取り込まれ得る。

0011

ロイシン、バリン、及びイソロイシンという3つの分岐鎖アミノ酸のα−ケト誘導体は、摂食によるこれら3つの必須アミノ酸で得ることができる。これらは血液−脳関門を越え、そこでグルタミン酸によりアミノ基転移されて同族アミノ酸及びα−ケトグルタール酸を形成し、脳内グルタミン酸レベルを低下させる。得られたアミノ酸は、タンパク質の合成に用いることができ、又は血液−脳関門を越えて身体中に輸送され、そこで引き続きタンパク質合成に用いられたり、他の化合物に代謝される。脳グルタミン及びグルタミン酸は、脳内部のこれらの濃度に比べると血液−脳関門を通過する量が少ないので、最終的な結果として脳のグルタミン酸が減少し、その結果星状細胞において合成されるグルタミンの量が減少する。

0012

ロイシン、イソロイシン、及びバリンのα−ケト酸の塩であるα−ケトイソカプロアート(α−keto isocaproate)、α−ケトメチルブチレート、及びα−ケト−イソ吉草酸塩の投与(1日あたり投与量で約100〜500mg/kg体重、好ましくは280〜380mg/kg体重)によって、それぞれが、α−ケトグルタール酸合成方向におけるトランスアミナーゼ反応を作動させ、その結果、神経細胞のグルタミン酸レベルを低下させる。後者の作用は、蓄積されたグルタミン酸の毒性の興奮発生性の作用が関係しているこれらの疾患(それだけには限定されないが、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、てんかん、脳卒中、多発性硬化症、統合失調症及び低酸素虚血症を含む)に有益である。分岐鎖α−ケト酸は、高アンモニア血症及び肝性脳症の治療における効力試験されており(Walser,M、1984年、「分岐鎖アミノ酸及びケト酸の治療的側面(Therapeutic aspects of branched−chain amino and keto acids)」、Clinical Sci.Mol.Med、66巻、1〜15頁)ほとんど又はまったく成功していなかった上に、本発明におけるように興奮毒性の治療には用いられていなかった。

0013

本発明のα−ケト酸は、星状細胞に特異的な酵素であるグルタミン合成酵素を阻害するL−メチオニンS−スルホキシイミン(MSO)と組み合わせて投与することができ(Martinez−Hernandez A、Bell KP、Norenberg MD.、「グルタミン合成:脳におけるグリアの局在性(Glutamine synthetase:Glial localization in brain)」、Science、1977年、195巻、1356〜1358頁)、グルタミン合成酵素はアンモニア及びグルタミン酸からグルタミンの生合成を触媒し(Lamar C、「メチオニンスルホキシイミンによるグルタミン合成酵素の阻害の持続(The duration of the inhibition of glutamine synthetase by methionine sulfoximine)」、Biochem Pharm、1968年、17巻、636〜640頁)、正常の動物で脳星状細胞内グルタミンレベルを66%低下させ、神経末端のグルタミン酸レベルを52%低下させることが知られている(Laake JH、Slyngstad TA、HaugFS、Otterson OP、「グリア細胞からのグルタミンは神経末端のグルタミン酸プールを維持するために不可欠である:海馬切片培養物によるイムノゴールド証明(Glutamine from glial cells is essential for the maintenance of the nerve terminal pool of glutamate:Immunogold evidence from hippocampal slice cultures)」、J Neurochem、1995年、65巻、871〜881頁)。MSOを正常の動物に投与すると、脳内グルタミンレベルを5.6から1.8(mmol/kg脳)に低下させる(AM J.physiol、1991年、261巻、H825〜829頁)。患者の脳内グルタミン酸レベルは、処置の前、間及び後に、脳脊髄液におけるグルタミン酸レベルの決定を含めたあらゆる適切な方法によりモニターすべきである。投与量は各患者の必要に応じて調節することができる。

0014

MSOは、6〜10日あたり2.0〜40.0mg/kgの投与量で(経口的に又は静脈内に)投与することができ、もしくは6〜10日あたり1.0〜5.0mgの投与量でくも膜下腔内に投与することができる。この投与量には2つの作用がある。星状細胞のグルタミンプールの低下と、結果的に神経細胞のグルタミン酸プールの低下とをもたらし(Laake JH、Slyngstad TA、HaugFS、Otterson OP、「グリア細胞からのグルタミンは神経末端のグルタミン酸プールを維持するために不可欠である:海馬の切片培養物によるイムノゴールド証明(Glutamine from glial cells is essential for the maintenance of the nerve terminal pool of glutamate:Immunogold evidence from hippocampal slice cultures)。」、J Neurochem、1995年、65巻、871〜881頁)、それにより興奮発生中毒作用(the toxic excitogenic effect)を低下させる。後者の作用は、蓄積したグルタミン酸の興奮発生中毒作用(the toxic excitogenic effect)が関係している疾患及び症状(筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、てんかん、脳卒中、統合失調症及び低酸素虚血症)に有益である。

0015

グルタミン合成酵素阻害作用の他に、MSOは、投与量に応じて周期性痙攣を引き起こすことがある。この痙攣作用を予防するために、2つの戦略を用いることができる。1つの戦略は、ある種、特に霊長類おそらくはヒトを含む種に、より低い投与量のMSOを用いることであり、投与量がより低いと、グルタミン合成酵素の阻害活性が維持されて痙攣の活性が回避される。より高い投与量が望まれる場合には、MSOと共にL−メチオニンを同時に投与することができる。Sellingerら(「メチオニンスルホキシイミン発作。VIII。痙攣誘発薬の解離とグルタミン合成酵素阻害作用(Methionine sulfoximine seizures.VIII.The dissociation of the convulsant and glutamine synthetase inhibitory effects.)」、Journal Pharmacology and Experimental Therapeutics、164巻、212〜222頁、1968年)は、ラットに対するL−メチオニン(MW148)と、MSO(MW179)の既知痙攣薬との同時投与は、グルタミン合成酵素の阻害活性を維持するが、痙攣誘発薬の活性を妨げることを示している。L−メチオニンは、(モルベースで)MSO1mmolあたり5mmolのL−メチオニン、又はMSO1mgあたり4mgのL−メチオニンの投与量で投与される。

0016

グルホシネート、アンモニウム−D−L−ホモアラニン−4−イル(メチル)−ホスフィネート(Hack R、Ebert E、Leist H、「グルホシネートアンモニウム−哺乳動物における作用機構のある側面(Glufosinate ammonium−some aspects of its mode of action in mammals)」、Fd Chem Toxic、1994年、32巻、461〜470頁)も、α−ケト酸と組み合わせて投与することができるグルタミン合成酵素の触媒作用阻害物質である。グルホシネートは血液−脳関門を通過しないので、6〜10日あたり1.0〜5.0mgの投与量で、くも膜下腔内投与しなければならない。しかし、この方法で投与すると、上述のMSOの場合と同じ機構(Gill HS、Eisenberg D、「グルタミン合成酵素の活性部位におけるホスフィノスリシン結晶構造酵素阻害の機構を解明する(The crystal structure of phosphinothricin in the active site of glutamine synthetase illuminates the mechanism of enzymatic inhibition)。」、Biochemistry、2001年、440巻、1903〜1912頁)により効果を表す。本発明の前には、動物だけでなく、ヒトも試験管調製物においても、それらの疾患にグルホシネートを用いた処理はされていない。

0017

本発明による1つ又は複数の成分を、グルタミン酸作動性毒性の治療に有用であることが知られている他の成分とともに組成物中に配合することができる。このような成分には、以下に限定されないが、神経保護化合物及び他の抗グルタミン酸剤が含まれる。この成分の例には、以下に限定されないが、リルゾール、レマセミド(remacemide)、アマンタジン、メマンチン、ガバペンチンリチウム、トピラマート及びシスタミンが含まれる。本発明に係る成分は、L−メチオニンS−スルホキシイミン、L−エチオニンS−スルホキシイミン、グルホシネート及び/又は分岐鎖α−ケト酸と、グルタミン酸作動性毒性の治療に有用であることが知られている他の成分とをそれぞれ容器に分離収納したキットに含めることもできる。前記成分は注文処方組成物を生成するために混合することができ、又は前記成分を別々に投与することができる。

0018

前記成分は、症状の発生遅延又は予防のために、症状の発現前に投与可能である。

0019

本発明の製剤は、経口、直腸経鼻吸入(例えば、へ)、口腔(例えば、下へ)、経膣非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、又は静脈内)、局所(すなわち、皮膚及び粘膜両方の表面、気道表面を含む)及び経皮による投与に適切なものを含むが、いずれの場合でも最も適切な経路性質と被治療時における症状の重症度に依存し、また、用いられる特定の有効成分の性質に依存する。

0020

経口投与に適する製剤は、粉末または顆粒として、溶液または水性懸濁液または非水性液体として、又は水中油型もしくは油中水型乳剤として、所定量の有効成分をそれぞれ含有し、カプセル剤カシェ剤ロゼンジ剤、又は錠剤等といった不連続単位で存在している。このような製剤は、有効成分及び適切な担体(上記した1つ又は複数の副成分を含むものとすることができる)を結合するステップを含む、あらゆる適切な調剤方法により調製することができる。一般に、本発明の製剤は、有効成分を液体もしくは微細化した固体の担体又はその両方と、均一かつ密に混合し、次いで、得られた混合物を必要に応じて形作ることにより調製される。例えば、錠剤は、有効成分を含む粉末又は顆粒を、場合により1つ又は複数の副成分と共に、圧縮又は成型することにより調製することができる。圧縮された錠剤は、結合剤潤滑剤、不活性の希釈剤、及び/又は界面活性剤分散剤任意選択で混合した粉末又は顆粒等、易流動性の形態の化合物を適切な機械で、圧縮することにより調製することができる。成型された錠剤は不活性な液体の結合剤で湿らせた粉末の化合物を適切な機械で成型することにより製造することができる。経口投与に適する製剤は、制御放出製剤又は浸透圧投与製剤とすることが可能である。

0021

口腔(舌下)投与に適する製剤には、通常、ショ糖及びアラビアゴム又はトラガカントである着香基剤に有効成分を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴム等の不活性基剤に成分を含む香錠が含まれる。

0022

経鼻、非経口、又は吸入による投与に適する本発明の製剤は、有効成分の水性及び非水性の無菌注射用溶液を含み、この調製物は意図された受容者の血液と等張であることが好ましい。これらの調製物は、抗酸化剤バッファー静菌薬、及び意図された受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含むものとすることができる。水性及び非水性の無菌懸濁液には、懸濁化剤及び増粘剤を含むものとすることができる。前記製剤は、単位用量、又はマルチドーズの容器、例えば、密封したアンプル及びバイアルで提供することができ、使用の直前に、例えば、食塩水又は注射用水滅菌といった液体担体を添加することだけを必要とするフリーズドライした(凍結乾燥した)条件で貯蔵することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、先に記載した種類の滅菌粉末剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。例えば、本発明の一態様では、密封した容器における単位投与量形態で、有効成分を含み、注射可能で安定な滅菌組成物が提供される。化合物又は塩は、対象にそれを注射するのに適する液体組成物を形成するために適切であり、薬学的に許容できる担体によって再構成することができる凍結乾燥品の形態で提供される。前記化合物又は塩が実質的に水に不溶である場合は、生理学的に許容できる十分な量の乳化剤を、該化合物又は塩を水性担体において乳化するために十分な量で用いることができる。このような有用な乳化剤の1つは、ホスファチジルコリンである。

0023

直腸投与に適する製剤は、好ましくは単位投与量坐剤として提供される。これらは有効成分を1つ又は複数の従来の固体担体、例えば、ココアバターと混合し、次いで、得られた混合物を成型することにより調製することができる。

0024

皮膚への局所適用に適する製剤は、軟膏剤クリーム剤ローション剤パスタ剤ゲル剤スプレー剤エアロゾル剤、又は油剤の形態をとることが好ましい。使用可能な担体には、ワセリンラノリンポリエチレングリコールアルコール経皮増強剤、及びそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。

0025

経皮投与に適する製剤は、受容者の表皮と長時間密着し続けることに適応した別個パッチ剤として提供することができる。経皮投与に適する製剤は、イオン浸透療法(例えば、Pharmaceutical Research、3(6)巻、318頁(1986年)を参照されたい)により投与することもでき、必要に応じて緩衝化された有効成分の水溶液の形態をとるのが典型的である。適切な製剤は、クエン酸又はビストリスバッファー(pH6)、又はエタノール/水であり、0.1から0.2Mの有効成分を含む。

0026

さらに、本発明は、本明細書に開示した有効成分のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁剤を形成するための技術は、当技術分野ではよく知られている。前記化合物又は塩が水可溶性の塩である場合は、従来のリポソーム技術を用いて、これを脂質の小胞組み入れることができる。そのような場合には、前記化合物又は塩の水溶性によって、前記化合物又は塩はリポソームの親水性中心又はコア内に実質的に取り込まれる。使用される脂質層は、あらゆる従来の組成物を用いればよく、さらにコレステロールを含んでもよく、コレステロールなしでもよい。対象とする前記化合物又は塩が不水溶性である場合は、再び従来のリポソーム形成技術を用いて、リポソーム構造を形成する疎水性脂質二重層内に、塩を実質的に取り込むことができる。いずれの場合でも、生成されるリポソームは標準的な超音波処理及び均質化技術を使用することにより、大きさを小さくすることができる。

0027

本明細書に開示する成分を含むリポソーム製剤を凍結乾燥して、水等の薬学的に許容できる担体で還元し、リポソーム懸濁液を再生することができる凍結乾燥品を生成することができる。

0028

他の薬剤組成物を、本明細書に開示した化合物又はその塩、例えば水ベースの乳剤から調製することができる。そのような場合には、組成物は、所望の量の化合物又はその塩を乳化するのに十分であり、薬学的に許容できる量の乳化剤を含む。特に有用な乳化剤には、ホスファチジルコリン、及びレシチンが含まれる。

0029

前記成分に加えて、pH調整用添加物等の他の薬剤組成物を含むことができる。特に、有用なpH調整剤には、塩酸等の酸、乳酸ナトリウム酢酸ナトリウムリン酸ナトリウムクエン酸ナトリウムホウ酸ナトリウム、又はグルコン酸ナトリウム等の塩基又はバッファーが含まれる。さらに、前記組成物は微生物用保存剤を含むことができる。有用な微生物用の保存剤には、メチルパラベンプロピルパラベン、及びベンジルアルコールが含まれる。マルチドーズ用途のために設計されたバイアルに製剤が配置されている場合に、微生物用の保存剤を用いるのが典型的である。もちろん、既述の通り、本発明の薬剤組成物を、当技術分野でよく知られている技術を用いて凍結乾燥することができる。

0030

治療上有効な投与量又は任意の1つの有効成分の治療有効量は、前述のように成分によって、及び患者によって(対象の年齢及び症状に応じて)多少変化し、患者の年齢及び症状等ならびに送達経路の要素に依存する。このような投与量は、当業者に周知の日常薬理学的手順にしたがって決定することができる。前記化合物は、発症を遅らせ又は予防するために、症状が発現する前に投与することができる。

0031

前記投与は慢性ベースで又は急性ベースで行うことができる。投与工程が急性投与工程である場合、有効成分を(例えば)上述の単回投与量として、又は6〜10日の期間に前記の投与量で毎日投与することができる。投与工程が慢性投与工程である場合、少なくとも2週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、又はさらに少なくとも6カ月もしくはそれを超えた期間において、1週間に少なくとも3、4又は5回(例えば、1週間に7日)、1日の投与量を与える。慢性の投与量レジメン企図される場合、患者を再評価し、必要に応じて投与を継続又は変更することができる。

0032

本明細書で用いる「対象の脳に投与する」とは、治療用化合物処置対象である中枢神経系の組織、特に脳に供給するための、当技術分野で知られているような投与経路の使用を意味する。

0033

血液−脳関門は、血流からCNSの様々な領域中ヘの物質受動拡散に対するバリアである。しかし、ある物質は血液−脳関門を越えてどちらの方向にも能動輸送が起こることが知られている。血流から脳への出入りが制限されている物質は脳脊髄液中に直接注射することができる。脳の虚血及び炎症は血液−脳関門を変更することも知られており、その結果、血流における物質の出入りが増加する。

0034

治療用化合物を脳に直接投与することは、当技術分野では知られている。くも膜下腔内注射では、薬剤脳室及び髄液に直接投与する。外科的に埋め込み可能な注入ポンプも、髄液中への薬剤の直接投与を継続的に行うために利用可能である。薬剤化合物の脳脊髄液中への注射での腰椎穿刺(「脊髄注射」)は、当技術分野で知られており、本治療用化合物を投与するのに適している。

0035

親水性化合物を脂質可溶性薬物転換することを含む、血液−脳関門を回避するための薬理学に基づく手順も当技術分野では知られている。有効成分を、脂質の小胞又はリポソーム中カプセル化することができる。

0036

血液−脳関門を一過性に開き、親水性の薬物を脳中に通過させるための高張物質の動脈注入も、当技術分野では知られている。Kozarichらの米国特許第5686416号では、受容体が媒介する浸透化物質(RMP)ペプチドと治療用化合物との同時投与によって脳の間質液分布に送達させ、血液−脳関門の透過性の増大をもたらし治療用成分の脳への送達を増大させることを開示している。本発明の成分を投与するために、静脈内又は腹腔内投与も用いることができる。

0037

有効成分を血液−脳関門を通過させて輸送する一方法は、血液−脳関門を通過する能力と、血液−脳関門を透過して有効成分を輸送する能力とにより選択されたペプチド又は非タンパク質性の部分である第2分子(「担体」)と有効成分とを結合させ又は複合することである。適切な担体の例には、ピリジニウム脂肪酸イノシトール、コレステロール、及びグルコース誘導体が含まれる。前記担体は、脳の内皮細胞における特定の輸送システムを通して脳に入る化合物となり得る。血液−脳関門を通して受容体が媒介するトランスサイトーシスにより、神経薬理学的剤を脳中に送達するように適合されたキメラペプチドが、Pardridgeらの米国特許第4902505号に開示されている。これらのキメラペプチドは、トランスサイトーシスにより血液−脳関門を越えることができる輸送可能なペプチドに結合している薬剤を含んでいる。Pardridgeらが開示した特定の輸送可能ペプチドには、ヒストンインスリントランスフェリン等が含まれる。また、血液−脳関門を越えるための、化合物と担体分子との複合体は、Podusloらの米国特許第5604198号に開示されている。開示されている特定の担体分子には、ヘモグロビンリゾチームチトクロームC、セルロプラスミンカルモジュリンユビキチン、及びサブスタンスPが含まれる。Bodorの米国特許第5017566号も参照されたい。

0038

本発明の方法により処置する対象は、典型的にはヒトを対象とするが、獣医学の目的、又は薬物デザイン及びスクリーニングの目的として、イヌネコ、ラット、マウス昆虫等の動物を対象(特に、哺乳動物の対象)にしてもよい。この対象は、蓄積したグルタミン酸の興奮発生中毒作用(the toxic excitogenic effect)が関係している疾患又は症状を罹患しているものを対象としてもよく、又は蓄積したグルタミン酸の興奮発生中毒作用(the toxic excitogenic effect)に関連している症状を発症する危険があるものを対象としてもよく、又は高レベル脳神経細胞内グルタミン酸を有することが疑われるものを対象としてもよい。

0039

以下の実施例は、例示を意図したものであるが、本発明を制限するものではない。

0040

細胞ベース検定は、α−ケト分岐鎖アミノ酸が脳神経細胞内グルタミン酸レベルを低下を示すのに用いられる。ラットの脳星状細胞の初代培養を、酸化ストレス曝すためにtert−ブチルヒドロペルオキシドで30分間インキュベートし、その後30〜90分間洗浄を続ける。α−ケトイソカプロン酸ナトリウム塩(ケトロイシンナトリウム)を投与した作用を、α−ケトイソカプロン酸ナトリウム塩の投与前後に、グルタミン酸の取り込量みと、d−アスパラギン酸塩(グルタミン酸の非代謝性類似体)の放出量とを計測することにより測定する。興奮発生性の細胞死に対するα−ケトイソカプロン酸ナトリウム塩の作用を、培地中に放出された乳酸脱水素酵素LDH)の活性を計測することにより測定する。

0041

オスのSprague−Dawleyラットに、中大脳動脈閉塞の24時間前にα−ケトイソカプロン酸ナトリウム塩(ケトロイシンナトリウム)溶液又は食塩水のいずれかを腹腔内投与し、3日後に断頭する。脳を取り出し、梗塞性灰白質分析する。Swansonらが記載した通り(「メチオニンスルホキシイミンは中大脳動脈梗塞後のラットで皮質梗塞の大きさが縮小する(Methionine Sulfoximine Reduces Cortical Infarct Size in Rats After Middle Cerebral Artery Occlusion)。」、Stroke、21巻、2号、1990年2月)に、梗塞部の体積を測定することができる。

0042

α−ケト分岐鎖アミノ酸によるグルタミンの阻害が脳神経細胞内グルタミン酸のレベルを低下させることを示すために、L−グルタミン(L−GLN)を、α−ケト分岐鎖アミノ酸で処理した分化型誘導性PC12細胞の培養物に加える(Proc Natl Acad Sci USA、2003年5月13日、100(10)巻、5950〜5955頁)。L−グルタミンの添加により、グルタミンの減少と、細胞に対するα−ケト分岐鎖アミノ酸の阻害作用によるグルタミン酸レベルとが逆転し、その結果、グルタミン酸レベルが上昇した。それとは対照的に、L−GLNを添加しても、α−ケト分岐鎖アミノ酸で処理していない細胞、又はα−ケト分岐鎖アミノ酸の抑制濃度以下で処理した培養物には増殖作用がない。

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