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課題・解決手段

本発明は、患者に4−ヒドロキシタモキシフェン投与することにより女性化乳房治療及び予防する方法を提供する。患者の乳房経皮投与されると、4−ヒドロキシタモキシフェンは局所集まり抗エストロゲン作用を発揮する。女性化乳房の患者では、これにより乳房組織中の実効的なエストロゲンアンドロゲン比が低下し、乳管発達上皮及び間質過形成、並びに痛みが減少する。女性化乳房になる危険性のある患者では、4−ヒドロキシタモキシフェンの抗エストロゲン作用により組織増殖及びそれに伴う痛みが予防される。

概要

背景

女性化乳房は、乳房組織良性で且つ時折痛みを伴いながら肥大化する、少年又は成人男性によく見られる臨床状態であり、基礎疾患から二次的に発生することが多い(Mathur及びBraunstein、1997)。その状態の初期、すなわち発赤段階では、乳房組織において上皮及び間質過形成を伴いながら乳管発達する。そして、長期間が経過すると、発赤段階から、間質のヒアリン化及び乳管拡張によって特徴付けられる線維化段階へと進行する。多くの患者の場合、この女性化乳房は自然消退する。

一般的に女性化乳房は、ホルモンエストロゲン及びアンドロゲンバランスが乳房組織レベル崩れた結果として生じる。根底にある様々な病態生理学的メカニズムも、このエストロゲンとアンドロゲンとの不均衡の原因となり得る。これらの病態生理学的メカニズムは、生理学的、病理学的、或いは薬理学的な原因が存在するものとして大まかに分類される。重度の患者の場合、様々な病態生理学的メカニズムが組合わさった結果として女性化乳房が生じる。

生理学的な女性化乳房は、新生児期思春期、或いは老齢期の個体に生じ得る。新生児期における症状の発現は、概して一過性のものであり、母親のホルモンに曝されることによって生じる。思春期における女性化乳房は、通常のホルモン変化の結果として高い頻度で生じ、大抵は自然治癒性のものである。高齢男性において、女性化乳房は、老化過程における潜在的な一側面、例えば一次精巣障害及び脂肪組織全身的な増加に基づいて生じる。

女性化乳房はまた、エストロゲンとアンドロゲンとの不均衡を引き起こす様々な病理学的メカニズムによっても生じ得る。この不均衡は、精巣、副腎又は様々な新生物からのホルモン産生の増加、アンドロゲンと比較したときのエストロゲンの血行性の性ホルモン結合グロブリン(SHBG)からの解離の増加、エストロゲン代謝の低下、或いは外因性のエストロゲン又はエストロゲン様化合物投与によって生じることもある。また、エストロゲンとアンドロゲンとの不均衡は、先天的又は後天的な性腺機能不全、精巣からのアンドロゲン分泌の低下、アンドロゲンの代謝変化、エストロゲンと比較したときのアンドロゲンのSHBGへの結合の増加、或いはアンドロゲン受容体欠陥に起因した、アンドロゲン量又はアンドロゲンの効果の低下によって生じることもある。さらに、女性化乳房は、慢性疾患の結果、或いは乳房組織の通常濃度のエストロゲンに対する感受性向上に起因して、突発的に生じることもある。

薬物投与は、様々なメカニズムによって作用するが、同様に女性化乳房を引き起こし得る。処方薬大衆薬、或いは気晴らしのための麻薬にも、このような効果があり得る。例えば、シメチジンフルタミド及びスピロノラクトンのような薬剤は、アンドロゲン受容体の機能を阻害し、その結果、エストロゲンとアンドロゲンとの実効的な不均衡が乳房組織レベルで生じる。抗真菌剤であるケトコナゾールは、テストステロン生合成を阻害するものとして知られている。アルキル化剤等の癌の化学療法剤も、精巣に対する直接的な作用により女性化乳房を生じさせることができ、血清中ゴナドトロピンの濃度を上昇させる。さらに、HIVAIDSのために高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を受けている患者にも、女性化乳房が生じ得る。

農薬等の環境及び工業物質によっても、女性化乳房が生じ得る。

根底にあるメカニズムが様々であるため、女性化乳房を予防又は治療する画一的且つ満足のいく方法は存在しない。思春期の一過性の女性化乳房、及び薬物による女性化乳房に対する主な治療法は、患者の交感神経落ち着かせることである(Lazala及びSaenger、2002)。また、薬物による女性化乳房は、多くの場合、原因薬剤の投与を中止することによって治療される(Glass、1994)。しかしながら、例えばHAARTによるHIV/AIDS治療のような場合、代替療法の選択肢が少ないことが、原因薬剤を中止する際の障壁となっている。肝機能障害甲状腺機能亢進症性腺機能低下症、或いはそれらと同等の疾患を治療することによっても、女性化乳房を改善又は解消し得る。前立腺癌の患者で去勢手術を受けた者、或いは薬剤によって性腺機能低下症になった者については、女性化乳房を予防するために、低ドーズ量の放射線療法が予防的に用いられている(Gagnonら、1979)。前立腺癌のような場合、基礎疾患を完全に治療することはできないため、女性化乳房を改善するための薬物療法も試みられる。女性化乳房が長期間に亘り、或いは薬物療法の効果が見られなかった場合、最終的に、過剰な組織外科切除が行われることがある。乳房組織の切除はよく知られているものの、重大な欠点がある。すなわち、乳房ドーナツ状変形、乳頭壊死、乳頭の平坦化、反転無感覚化などの手術の後遺症が残る。また、費用リスクを負うのが明白なことに加えて、手術痕や乳頭−乳輪の非対称化が生じてしまうことが、患者に元の状態よりも当惑させる一因となっている。多くの場合、外見的には満足できない結果となるが、これは胸部インプラント脂肪吸引術によって復元し得る。

殆どの治療法は乳管の発達及び過形成を生じさせる血清中エストロゲン−アンドロゲン比率を低下させることに焦点を当てているため(Lazala及びSaenger、2002)、女性化乳房の発赤段階においては薬物療法が最も効果的である。テストステロン療法では一般的に満足のいく結果が得られていないが、これは、そのホルモンは芳香化されてエストロゲンとなり、エストロゲンとアンドロゲンとの不均衡をさらに悪化させてしまうからである。芳香化されないテストステロン誘導体には幾つかの利点がある。しかしながら、この治療法には、浮腫にきび痙攣などの多くの望ましくない副作用がある。タモキシフェンのようなエストロゲン受容体阻害剤も女性化乳房の治療に使用されている。タモキシフェンは米国では女性化乳房の治療用として認可されていないが、Gruntmanis及びBraunstein(2002)によれば、エストロゲン受容体阻害剤であるタモキシフェンは最もよい治療効果を期待し得るとされている。

タモキシフェンには利点があるものの、重大な欠点もある。タモキシフェンは、体内の全てのエストロゲン受容体発現細胞に影響を与える可能性があり、また、アゴニスト又はアンタゴニストとして様々な全身的作用を引き起こす。タモキシフェンはよく知られた遺伝毒性物質であり、ラット肝細胞癌を生じさせることが示されている。このため、タモキシフェンは国際癌研究機関によって第一種発癌性物質として分類されている。タモキシフェンに関連した副作用には、悪心及び嘔吐、骨及び腫瘍の痛み、高カルシウム血症、抑鬱、眩暈及び頭痛脱毛症発疹肝障害白内障深部静脈血栓症肺塞栓症、並びに白血球減少好中球減少、及び血小板減少のような末梢血及び血小板障害がある。
Barrat,J.、B.de LigniΠres、L.Marpeau、L.Larue、S.Fournier、K.Nahoul、G.Linares、H.Giorgi、及びG.Contesso、Effect in vivo de l’administration locale de progestΠrone sur l’activitΠ mitotique des galactophores humains、J.Gynecol.Obstet.Biol.Reprod.、19:269−274(1990)(フランス語)。
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概要

本発明は、患者に4−ヒドロキシタモキシフェンを投与することにより女性化乳房を治療及び予防する方法を提供する。患者の乳房に経皮投与されると、4−ヒドロキシタモキシフェンは局所集まり抗エストロゲン作用を発揮する。女性化乳房の患者では、これにより乳房組織中の実効的なエストロゲン−アンドロゲン比が低下し、乳管の発達、上皮及び間質の過形成、並びに痛みが減少する。女性化乳房になる危険性のある患者では、4−ヒドロキシタモキシフェンの抗エストロゲン作用により組織増殖及びそれに伴う痛みが予防される。なし

目的

効果

実績

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請求項1

女性化乳房治療用薬剤を製造する際の4−ヒドロキシタモキシフェンの使用であって、上記薬剤は、経皮投与に適した形態であり、上記4−ヒドロキシタモキシフェンは、浸透促進剤を含む媒体中に含まれている、使用。

請求項2

上記薬剤は、患者日当たり約0.25〜2.0mg/乳房、好ましくは約0.5〜1.0mg/乳房の4−ヒドロキシタモキシフェンを投与できるだけの量の上記4−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項1に記載の使用。

請求項3

上記薬剤は、1日当たり約0.25mg/乳房、好ましくは約0.5mg/乳房、より好ましくは約0.75mg/乳房、さらに好ましくは約1.0mg/乳房の4−ヒドロキシタモキシフェンを投与できるだけの量の上記4−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項1又は2に記載の使用。

請求項4

上記4−ヒドロキシタモキシフェンは、アルコール溶液中で製剤化されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。

請求項5

上記4−ヒドロキシタモキシフェンは、含水アルコールゲル中で製剤化されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。

請求項6

上記含水アルコールゲルは、浸透促進剤、及び/又は水性媒体、及び/又はアルコール性媒体、及び/又はゲル化剤を含む、請求項5に記載の使用。

請求項7

上記浸透促進剤は、少なくとも1種の脂肪酸エステル、好ましくはイソプロピルミリステートを含む、請求項6に記載の使用。

請求項8

上記含水アルコールゲルは、a)重量基準で約0.01%〜1%、好ましくは0.01%〜0.1%の4−ヒドロキシタモキシフェン、b)重量基準で0.5%〜2%のイソプロピルミリステート、c)重量基準で約65%〜75%の無水アルコール、d)重量基準で約25%〜35%の水性媒体、e)重量基準で約0.5%〜5%のゲル化剤、を含み、成分の百分率組成物の重量に対する成分の重量である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の使用。

請求項9

上記4−ヒドロキシタモキシフェンは、重量基準で組成物の約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、又は0.10%を構成する、請求項8に記載の使用。

請求項10

上記イソプロピルミリステートは、重量基準で組成物の約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、又は2.0%を構成する、請求項8又は9に記載の使用。

請求項11

上記アルコールは、エタノール及び/又はイソプロパノールであり、重量基準で組成物の約65%〜75%を構成し、該百分率は無水エタノール及び/又は無水イソプロパノールとの比較によって決定される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の使用。

請求項12

上記水性媒体はリン酸緩衝溶液であり、重量基準で組成物の約25%〜35%を構成する、請求項8〜11のいずれか一項に記載の使用。

請求項13

上記ゲル化剤は、ポリアクリル酸、及び/又はヒドロキシプロピルセルロール若しくは他のセルロース誘導体であり、重量基準で組成物の約0.1%〜5%を構成する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の使用。

請求項14

上記含水アルコールゲルは、水酸化ナトリウム水酸化アンモニウム水酸化カリウムアルギニンアミノメチルプロパノールトロラミン、及びトロメタミンからなる群から選ばれる中和剤をさらに含み、該中和剤と上記ゲル化剤との比は10:1〜0.1:1、好ましくは7:1〜0.5:1、より好ましくは4:1〜1:1である、請求項8〜13のいずれか一項に記載の使用。

請求項15

上記含水アルコールゲルは、単回投与パケット、又は定量ポンプを有する反復投与コンテナ充填されている、請求項6〜14のいずれか一項に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、4−ヒドロキシタモキシフェン(4−OHT)を用いた女性化乳房の予防及び治療に関する。

背景技術

0002

女性化乳房は、乳房組織良性で且つ時折痛みを伴いながら肥大化する、少年又は成人男性によく見られる臨床状態であり、基礎疾患から二次的に発生することが多い(Mathur及びBraunstein、1997)。その状態の初期、すなわち発赤段階では、乳房組織において上皮及び間質過形成を伴いながら乳管発達する。そして、長期間が経過すると、発赤段階から、間質のヒアリン化及び乳管拡張によって特徴付けられる線維化段階へと進行する。多くの患者の場合、この女性化乳房は自然消退する。

0003

一般的に女性化乳房は、ホルモンエストロゲン及びアンドロゲンバランスが乳房組織レベル崩れた結果として生じる。根底にある様々な病態生理学的メカニズムも、このエストロゲンとアンドロゲンとの不均衡の原因となり得る。これらの病態生理学的メカニズムは、生理学的、病理学的、或いは薬理学的な原因が存在するものとして大まかに分類される。重度の患者の場合、様々な病態生理学的メカニズムが組合わさった結果として女性化乳房が生じる。

0004

生理学的な女性化乳房は、新生児期思春期、或いは老齢期の個体に生じ得る。新生児期における症状の発現は、概して一過性のものであり、母親のホルモンに曝されることによって生じる。思春期における女性化乳房は、通常のホルモン変化の結果として高い頻度で生じ、大抵は自然治癒性のものである。高齢男性において、女性化乳房は、老化過程における潜在的な一側面、例えば一次精巣障害及び脂肪組織全身的な増加に基づいて生じる。

0005

女性化乳房はまた、エストロゲンとアンドロゲンとの不均衡を引き起こす様々な病理学的メカニズムによっても生じ得る。この不均衡は、精巣、副腎又は様々な新生物からのホルモン産生の増加、アンドロゲンと比較したときのエストロゲンの血行性の性ホルモン結合グロブリン(SHBG)からの解離の増加、エストロゲン代謝の低下、或いは外因性のエストロゲン又はエストロゲン様化合物投与によって生じることもある。また、エストロゲンとアンドロゲンとの不均衡は、先天的又は後天的な性腺機能不全、精巣からのアンドロゲン分泌の低下、アンドロゲンの代謝変化、エストロゲンと比較したときのアンドロゲンのSHBGへの結合の増加、或いはアンドロゲン受容体欠陥に起因した、アンドロゲン量又はアンドロゲンの効果の低下によって生じることもある。さらに、女性化乳房は、慢性疾患の結果、或いは乳房組織の通常濃度のエストロゲンに対する感受性向上に起因して、突発的に生じることもある。

0006

薬物投与は、様々なメカニズムによって作用するが、同様に女性化乳房を引き起こし得る。処方薬大衆薬、或いは気晴らしのための麻薬にも、このような効果があり得る。例えば、シメチジンフルタミド及びスピロノラクトンのような薬剤は、アンドロゲン受容体の機能を阻害し、その結果、エストロゲンとアンドロゲンとの実効的な不均衡が乳房組織レベルで生じる。抗真菌剤であるケトコナゾールは、テストステロン生合成を阻害するものとして知られている。アルキル化剤等の癌の化学療法剤も、精巣に対する直接的な作用により女性化乳房を生じさせることができ、血清中ゴナドトロピンの濃度を上昇させる。さらに、HIVAIDSのために高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を受けている患者にも、女性化乳房が生じ得る。

0007

農薬等の環境及び工業物質によっても、女性化乳房が生じ得る。

0008

根底にあるメカニズムが様々であるため、女性化乳房を予防又は治療する画一的且つ満足のいく方法は存在しない。思春期の一過性の女性化乳房、及び薬物による女性化乳房に対する主な治療法は、患者の交感神経落ち着かせることである(Lazala及びSaenger、2002)。また、薬物による女性化乳房は、多くの場合、原因薬剤の投与を中止することによって治療される(Glass、1994)。しかしながら、例えばHAARTによるHIV/AIDS治療のような場合、代替療法の選択肢が少ないことが、原因薬剤を中止する際の障壁となっている。肝機能障害甲状腺機能亢進症性腺機能低下症、或いはそれらと同等の疾患を治療することによっても、女性化乳房を改善又は解消し得る。前立腺癌の患者で去勢手術を受けた者、或いは薬剤によって性腺機能低下症になった者については、女性化乳房を予防するために、低ドーズ量の放射線療法が予防的に用いられている(Gagnonら、1979)。前立腺癌のような場合、基礎疾患を完全に治療することはできないため、女性化乳房を改善するための薬物療法も試みられる。女性化乳房が長期間に亘り、或いは薬物療法の効果が見られなかった場合、最終的に、過剰な組織外科切除が行われることがある。乳房組織の切除はよく知られているものの、重大な欠点がある。すなわち、乳房ドーナツ状変形、乳頭壊死、乳頭の平坦化、反転無感覚化などの手術の後遺症が残る。また、費用リスクを負うのが明白なことに加えて、手術痕や乳頭−乳輪の非対称化が生じてしまうことが、患者に元の状態よりも当惑させる一因となっている。多くの場合、外見的には満足できない結果となるが、これは胸部インプラント脂肪吸引術によって復元し得る。

0009

殆どの治療法は乳管の発達及び過形成を生じさせる血清中エストロゲン−アンドロゲン比率を低下させることに焦点を当てているため(Lazala及びSaenger、2002)、女性化乳房の発赤段階においては薬物療法が最も効果的である。テストステロン療法では一般的に満足のいく結果が得られていないが、これは、そのホルモンは芳香化されてエストロゲンとなり、エストロゲンとアンドロゲンとの不均衡をさらに悪化させてしまうからである。芳香化されないテストステロン誘導体には幾つかの利点がある。しかしながら、この治療法には、浮腫にきび痙攣などの多くの望ましくない副作用がある。タモキシフェンのようなエストロゲン受容体阻害剤も女性化乳房の治療に使用されている。タモキシフェンは米国では女性化乳房の治療用として認可されていないが、Gruntmanis及びBraunstein(2002)によれば、エストロゲン受容体阻害剤であるタモキシフェンは最もよい治療効果を期待し得るとされている。

0010

タモキシフェンには利点があるものの、重大な欠点もある。タモキシフェンは、体内の全てのエストロゲン受容体発現細胞に影響を与える可能性があり、また、アゴニスト又はアンタゴニストとして様々な全身的作用を引き起こす。タモキシフェンはよく知られた遺伝毒性物質であり、ラット肝細胞癌を生じさせることが示されている。このため、タモキシフェンは国際癌研究機関によって第一種発癌性物質として分類されている。タモキシフェンに関連した副作用には、悪心及び嘔吐、骨及び腫瘍の痛み、高カルシウム血症、抑鬱、眩暈及び頭痛脱毛症発疹肝障害白内障深部静脈血栓症肺塞栓症、並びに白血球減少好中球減少、及び血小板減少のような末梢血及び血小板障害がある。
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Dietze,E.C.、L.E.Caldwell、S.L.Grupin、M.Mancini、及びV.L.Seewald、Tamoxifen,but not 4−hydroxytamoxifen initiates apoptosis in p53(−) normal human mammary epithelial cells by inducing mitochondrial depolarization、J.Biol.Chem.、276(7):5384−94(Feb.16、2001)。
Gagnon,J.D.、W.T.Moss、K.R.Stevens、Pre−estrogen irradiation for patients with carcinoma of the prostate:a critical review、J.Urol.、121:182−84(1979)。
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発明が解決しようとする課題

0011

したがって、全身的な副作用を殆ど引き起こさない女性化乳房の治療薬及び予防薬がなお強く望まれている。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、4−ヒドロキシタモキシフェンを投与することにより女性化乳房を治療する方法を含む。この治療アプローチによれば、好ましくは局所適用されることにより、乳房組織の肥大化を効果的に解消することができる。

0013

本発明はまた、4−ヒドロキシタモキシフェンを投与することにより女性化乳房を予防する方法を含む。上述の治療アプローチと同様に、この予防アプローチも局所適用されることが好ましい。

0014

予防及び治療のため、4−ヒドロキシタモキシフェンは、それをインビボでエストロゲン受容体発現細胞に送達するあらゆる手段によって投与することができる。記載した通り、初回通過効果、及びそれに関連した4−ヒドロキシタモキシフェンの肝代謝を避けるため、投与は経皮的(局所的)に行われることが好ましい。経皮投与は、あらゆる皮膚に対して行うことができる。4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲン受容体を有する局所の皮下組織に集まる傾向があるため、経皮投与を乳房に対して行うことは有効である。

0015

本発明の実施のためには、様々な剤形が適しているが、含水アルコール溶液及びゲルが好ましい。これらの製剤中の4−ヒドロキシタモキシフェン濃度は変動し得るものの、4−ヒドロキシタモキシフェンの局所における組織濃度によってエストロゲン誘導作用を効果的に阻害できるだけの投与量が必要である。

発明を実施するための最良の形態

0016

本発明の重要な側面は、4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与が、驚くべきことに女性化乳房の治療のみならず予防においても有効であることを発見したことにある。さらに、4−ヒドロキシタモキシフェンを経皮投与した場合には、通常量のタモキシフェンを経口投与した場合よりも血漿中の薬物濃度が低くなるため、副作用が少ない。したがって、経皮的な4−ヒドロキシタモキシフェンは、治療及び予防の両面においてタモキシフェンの代替物となる。

0017

化合物としての4−ヒドロキシタモキシフェン、すなわち1−[4−(2−N−ジメチルアミノエトキシフェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルブト−1−エンは、詳しく同定された抗エストロゲン化合物であるタモキシフェンの活性代謝物を構成する。2つの炭素原子間の2重結合に起因して、4−ヒドロキシタモキシフェンは2つの立体異性体で存在する。医学及び生化学の文献では、4−ヒドロキシタモキシフェンの異性体は共通してシス及びトランス異性体表記されている。しかしながら、純粋に化学的見地からすると、この表記は厳密には正確ではない。なぜなら、2重結合している各炭素原子が同一の化学基を持たないからである。そこで、それらの異性体は、E立体配置(いわゆるシス体)及びZ立体配置(いわゆるトランス体)と称する方が好ましい。4−ヒドロキシタモキシフェンのE及びZの異性体は、単独であっても組合わせても、本発明にとって有用である。但し、Z異性体の方がE異性体よりも高活性であるため好ましい。

0018

4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲンを受容する組織に対する組織特異性を示す選択的エストロゲン受容体モジュレータとして機能する。また、乳房組織ではエストロゲンのアンタゴニストとして機能する。研究によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲンに関連した受容体転写活性を調節することができ、それが組織特異性をもたらすものと思われる。エストロゲン受容体、すなわちERsへの結合親和力を測定したところ、4−ヒドロキシタモキシフェンは、インビトロではタモキシフェンよりも結合能が高く、その結合親和力はエストロゲン受容体へのエストラジオールの結合親和力と類似していた(Robertsonら、1982;Kuiperら、1997)。Z−4−ヒドロキシタモキシフェンは、正常ヒト上皮乳腺細胞培地内での増殖をZ−タモキシフェンよりも100倍多く阻害した(Maletら、1988)。

0019

4−ヒドロキシタモキシフェンはタモキシフェンの代謝物であるものの、それが女性化乳房に有効であることは、タモキシフェン自体を用いた従来の実験からは予想されなかった。4−ヒドロキシタモキシフェンの治療効果を測定した研究報告は際立って不足している。加えてタモキシフェンは、図1に示すように人間の体内で様々に代謝される。したがって、タモキシフェンのインビボでの作用は、親となる化合物と、標的組織内で受容体を占有しようと競合するその代謝物とによる個々の作用が総合したものである。例えば、Jrodan、1982を参照されたい。これらの各化合物は、様々な細胞において互いに異なり且つ予測できない生物学的活性を示しており、その一部はエストロゲン受容体の立体構造における各化合物の個別の効果によって特定されている。すなわち、各化合物がエストロゲン受容体に結合することによって、異なる共同因子を呼び込む独自の受容体−リガンド構造が形成され、この結果、各化合物に応じた薬理効果を示すようになる(Wijayaratneら、1999;Giambiagiら、1988)。

0020

これらの効果の幾つかの例は既に報告されている。例えば、4−ヒドロキシタモキシフェンではなくタモキシフェンは、ラット肝臓に対する潜在的発癌性物質である(Carthewら、2001;Sauvezら、1999)。また、4−ヒドロキシタモキシフェンではなくタモキシフェンは、報告によれば、p53(−)正常ヒト乳腺上皮細胞アポトーシス誘導する(Dietzeら、2001)。一方、4−ヒドロキシタモキシフェンは、乳癌細胞株エストロンスルファターゼ活性を著しく阻害するが、タモキシフェンは、そのような効果を殆ど又は全く示さない(Chetriteら、1993)。

0021

4−ヒドロキシタモキシフェンを合成する方法はよく知られている。例えば、米国特許第4,919,937号明細書には、Robetson及びKatzenellenbogen、1982に基づく合成方法が記載されている。この合成方法は以下のような段階で進行する。

0022

第1段階:4−(β−ジメチルアミノエトキシ)−α−エチルデオキシベンゾインとp−(2−テトラヒドロラニロキシフェニルマグネシウムブロミドとを反応させる
第2段階:第1段階とは独立して、1,2−ジフェニル−1−ブタノン水酸化して1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブタノンを生成する、
第3段階:第1段階及び第2段階の生成物を反応させて、1−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−1−[p−(2−テトラヒドロピラニロキシ)フェニル]−2−フェニルブタン−1−オルを生成する、
第4段階:メタノール塩酸脱水することにより、1−[p−(β−ジメチルアミノエトキシ)フェニル]−Z−1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブト−1−エン、すなわち4−OH−タモキシフェンのE異性体及びZ異性体の混合物を生成する、
第5段階:クロマトグラフィでE異性体及びZ異性体を分離し、結晶化して比活性を測定する。

0023

本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンは、女性化乳房の患者に投与され得る。患者の状態は発赤段階であることが好ましい。これは、4−ヒドロキシタモキシフェンは先ず、エストロゲンとアンドロゲンとの実効的な比率を乳房組織レベルで低下させるように作用すると考えられているからである。例えば、活性型の痛みを伴う女性化乳房に罹患している思春期の男性の場合、片方又は両方の乳房に4−ヒドロキシタモキシフェンを局所投与することにより、その状態を治療し得る。したがって、局所投与の1つの利点は、片方の組織だけ増殖している患者の場合に、片方の乳房のみ治療することを選択できることにある。

0024

本発明はまた、女性化乳房に罹患する危険性が高まった患者に4−ヒドロキシタモキシフェンを経皮投与することも意図している。女性化乳房の危険因子としては多くのものが確立されている。例えば、前立腺癌の患者で去勢手術を受けた者、或いはホルモン療法の薬剤によって性腺機能低下症になった者は、女性化乳房に罹患する可能性が高い。このような患者については、女性化乳房を予防するために低ドーズ量の放射線療法が予防的に用いられている(Gagnonら、1979)。熟練した医師であれば、4−ヒドロキシタモキシフェンの予防的使用が患者にとって有益か否かを判断する適当な危険因子を評価することができる。

0025

本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンはあらゆる投与形態で、そしてその活性化合物をインビボでエストロゲン受容体に運んでくれるあらゆるシステムを介して、投与することができる。好ましくは、4−ヒドロキシタモキシフェンは「経皮投与」される。この用語は、薬剤を患者の皮膚から角質層表皮及び真皮の層を介して微小循環へと運ぶあらゆる態様を示す。これは、典型的には濃度勾配拡散により低下することによって実現される。拡散は、細胞内浸透(細胞を通して)、細胞間浸透(細胞の間で)、経皮膚付属器(transappendageal)浸透(毛包汗腺脂腺を通して)、或いはこれらの任意の組合せを通じて起こり得る。

0026

4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与には幾つかの利点がある。第1に、経口投与に続く肝代謝を避けることができる(Mauvais−Jarvisら、1986)。第2に、経皮投与によれば、全身が薬剤に曝され、体内のエストロゲン受容体が非特異的に活性化されてしまう付帯リスクを著しく抑えることができる。これは、局所投与された4−ヒドロキシタモキシフェンは、先ず局所組織に吸収されるからである。特に、4−ヒドロキシタモキシフェンを乳房に経皮投与した場合、恐らくそこに多くのエストロゲン受容体が存在するため乳房組織に高濃度の4−ヒドロキシタモキシフェンが蓄積され、血漿濃度は高くならない(Mauvais−Jarvisら、上掲)。したがって、本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンはあらゆる皮膚表面に対して適用可能であるが、片方又は両方の乳房に対して適用することが好ましい。

0027

本発明は何らかの特定の理論に制約されるものではないが、その薬剤が非標的組織においてエストラジオールと置き換わった場合には、抗エストロゲン剤による臨床上重大な副作用が発生してしまう。4−ヒドロキシタモキシフェンとエストラジオールとは、エストロゲン受容体に対する結合親和力が同程度であるため、一方の濃度が他方の濃度と同程度の場合、受容体結合に対する競合力も拮抗する。仮に4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度がエストラジオールの濃度を上回った場合には、前者が優先してエストロゲン受容体に結合し、逆もまた同様である。

0028

したがって、4−ヒドロキシタモキシフェンの投与量は、血漿中濃度が20pg/mL未満、すなわち正常男性における平均エストラジオール濃度未満となるような量が好ましい。日々の投与量は、4−ヒドロキシタモキシフェンの吸収係数、所望の乳房組織濃度、及び上回ってはいけない血漿中濃度に基づいて最初に見積もられる。勿論、その初期投与量は各患者の反応に応じて最適化することができる。

0029

上述したように、4−ヒドロキシタモキシフェンの標的を乳房組織とすることで、エストラジオール受容体との重大な全身性の競合が生じるレベルまで4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿中レベルを上昇させることなく、その組織中の濃度を高濃度とすることができる。一例として女性では、1mg/乳房/日の経皮投与量で、乳房組織中の4−ヒドロキシタモキシフェン濃度は乳房組織中の正常なエストラジオール濃度の4倍に達する(Barratら、1990;Pujolら、上掲)。さらに、このようにして投与された4−ヒドロキシタモキシフェンの乳房組織中の濃度は、血漿中濃度よりも1桁大きい、すなわち10:1である。一方、タモキシフェンを経口投与した後の4−ヒドロキシタモキシフェンの乳房組織中と血漿中とにおける比は約5:1である。

0030

男性には、年齢に関係なく、乳房組織中に多数のER陽性細胞が存在する。実際、男性は、乳房疾患のない同年齢の女性よりもER陽性乳腺細胞の割合が高い。女性化乳房の乳房組織もERの発現レベルが高く(Sasanoら、1996)、増殖マーカであるKi67の発現も著しく上昇している(Shokerら、2000)。したがって、女性の乳房組織と同様に男性の乳房組織も、皮膚から放出された4−ヒドロキシタモキシフェンを取り込むことができる。

0031

経皮投与では、4−ヒドロキシタモキシフェンの投与量を0.25〜2.0mg/乳房/日の範囲とすることで所望の効果を奏することができ、好ましくは約0.5〜1.0mg/乳房/日である。特定の実施態様では、4−ヒドロキシタモキシフェンの投与量は、約0.25、0.5、0.75又は1.0mg/乳房/日である。

0032

経皮投与は主として2種類の方法により行うことができる。すなわち、(i)治療活性のある化合物又はその薬剤的許容される無毒性の塩を、適当な薬剤担体、及び必要に応じて浸透促進剤と混合して軟膏エマルジョンローション溶液クリーム、ゲルなどとし、その製剤を皮膚の所定の領域に適用する、又は(ii)治療活性物質を公知の技術にしたがってパッチ或いは経皮送達システムに含有させる。

0033

経皮投与の効果は、薬剤濃度、適用する表面領域、適用する時間及び継続期間、皮膚の水分、薬剤の物理化学的性質、及び製剤と皮膚との間の薬剤の分離度を含む様々な因子に依存する。経皮投与を意図した製剤は、最適な送達を実現するために、これらの因子をうまく利用している。このような製剤は浸透促進剤を含むことが多く、この浸透促進剤は、角質層の物理化学的性質を可逆的に変え、角質層内の水分量を変化させ、共溶媒として作用し、或いは細胞内空間の脂質及びタンパク質の構成を変えることにより、角質層の防御を弱め、経皮吸収を向上させる。そのような経皮吸収の促進剤としては、界面活性剤DMSO、アルコールアセトンプロピレングリコールポリエチレングリコール脂肪酸又は脂肪族アルコール及びそれらの誘導体、ヒドロキシ酸ピロリドン尿素精油、並びにそれらの組合せを含む。化学的な促進剤に加えて、物理的方法によっても経皮吸収を促進することができる。例えば、密封包帯によって皮膚の水分量が増える。他の物理的方法にはイオン導入法及び超音波導入法があり、これらは、サイズがイオン特性のために吸収が悪い薬剤の吸収率を上げるために、それぞれ電場及び高周波の超音波を用いるものである。

0034

経皮的な薬剤送達に関連した因子や方法は、REMINGTON:THEAND PRACTICE OFPHARMACY、Alfonso R.Gennaro(Lippincott Williams&Wilkins、2000)の836−58頁、及びPERCUTANEOUS ABSORPTION:DRUGS COSMETICS MECHAISMS METHODOLOGY、Bronaugh及びMaibach(Marcel Dekker、1999)で検討されている。これらの文献の証拠により、医学分野に携わる者であれば経皮送達を効率化する様々な因子や方法を扱うことができる。

0035

4−ヒドロキシタモキシフェンは、大きく且つ脂溶性の高い分子であり、浸透促進剤が存在しなければ皮膚を浸透し難い。したがって、本発明における4−ヒドロキシタモキシフェン製剤は、1種又は2種以上の浸透促進剤を含むことが好ましい。4−ヒドロキシタモキシフェンはアルコール中で溶解するため、促進剤としてはアルコールが好ましい。イソプロピルミリステートもまた好ましい促進剤である。

0036

経皮投与に際して、4−ヒドロキシタモキシフェンは、軟膏、クリーム、ゲル、エマルジョン(ローション)、パウダーオイル、或いは類似した形態で送達される。この目的のため、製剤は慣用賦形剤を含んでいてもよい。賦形剤は、アーモンド油、オリーブ油杏仁油落花生油ひまし油、及び同等物などの植物油動物油、DMSO、脂質及び脂質様物質ラノリン類脂質ホスファチドパラフィンなどの炭化水素ワセリン洗浄性乳化剤レシチン、アルコール、カロチングリセロール(又はグリセリン)、グリセロールエステルグリコールグリコールエステル、ポリエチレングリコールなどのポリオール又はポリグリコール非揮発性の脂肪族アルコール、酸、エステル揮発性アルコール性化合物、尿素、タルクセルロース誘導体着色料抗酸化物質、及び保存料を含む。

0037

本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンはまた、経皮パッチを介して投与することができる。一実施態様では、パッチは4−ヒドロキシタモキシフェン製剤の貯蔵部を有する。パッチは、(a)溶液非透過性支持ホイル、(b)空隙を有する層状部、(c)微多孔性又は半透性の膜、(d)粘着層、及び(e)必要に応じて取り外し可能な支持ホイルを有する。上記空隙を有する層状部は、上記支持ホイルと上記膜とから構成することもできる。代わりに、パッチは、(a)溶液非透過性の支持ホイル、(b)空隙を有する層状部、貯蔵部としての開孔性発泡体、閉孔性発泡体組織状層、又は繊維性網状層、(c)(b)の層が粘着性でない場合には粘着層、及び(d)必要に応じて取り外し可能な支持ホイルを有してもよい。

0038

本発明の好ましい実施態様では、4−ヒドロキシタモキシフェンは含水アルコールゲル中で製剤化される。そのようなゲル中の4−ヒドロキシタモキシフェン量は、ゲル100g当たり4−ヒドロキシタモキシフェンを約0.001〜約2.0gの範囲とし得る。4−ヒドロキシタモキシフェン量は、ゲル100g当たり4−ヒドロキシタモキシフェンを約0.01〜約2.0g、約0.01〜約1.75g、約0.01〜約1.5g、約0.01〜約1.25g、約0.01〜約1g、約0.01〜約0.75g、約0.02〜約0.5g、約0.03〜約0.4g、約0.04〜約0.3g、約0.05〜約0.25g、約0.05〜約0.2g、約0.05〜約0.15g、約0.05〜約0.1gの範囲とすることもできる。好ましくはゲル100g当たり4−ヒドロキシタモキシフェンが約0.01〜約0.1gの範囲である。したがって、ゲル100g当たりの4−ヒドロキシタモキシフェン量は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0gとなり得る。

0039

4−ヒドロキシタモキシフェン製剤はまた、1種又は2種以上の脂肪酸エステルを浸透促進剤として含むことが好ましい。脂肪酸エステルの浸透促進剤として非常に好ましい例はイソプロピルミリステートである。イソプロピルミリステートがゲル中で用いられる場合、その量はゲル100g当たり約0.1〜約5.0gの範囲とし得る。イソプロピルミリステート量は、ゲル100g当たり約0.1〜約4.5g、約0.2〜約4.0g、約0.3〜約3.5g、約0.4〜約3g、約0.4〜約2.5g、約0.5〜約2.0g、約0.5〜約1.9g、約0.5〜約1.8g、約0.5〜約1.7g、約0.5〜約1.6g、約0.5〜約1.5g、約0.6〜約1.4g、約0.7〜約1.3g、約0.8〜約1.2g、約0.9〜約1.1g、又は約1.0gの範囲とすることもできる。好ましくはゲル100g当たりイソプロピルミリステート量が約0.5〜約2.0gの範囲であり、最も好ましくは約0.9〜約1.1gの範囲である。

0040

本発明における4−ヒドロキシタモキシフェン製剤は、一般に1種又は2種以上の非水性媒体を含む。この媒体は、4−ヒドロキシタモキシフェン及び使用されている全ての浸透促進剤を溶解できなければならない。また、皮膚に接触した後に迅速に揮発するように沸点が低く、好ましくは大気圧で100℃未満でなければならない。適当な非水性媒体の例としては、エタノールイソプロパノール、及び酢酸エチルが挙げられる。エタノール及びイソプロパノールが好ましい。特にエタノールは、皮膚に接触した後に迅速に揮発するため、4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮吸収が効果的に促進される。ゲル製剤中の非水性媒体の量は、重量基準で40%〜85%の範囲とすることができ、一般的には54%〜85%の範囲である。好ましくは、ゲル製剤中の非水性媒体の量は、重量基準で60%〜80%の範囲であり、より好ましくは65%〜75%の範囲である。

0041

製剤はまた、製剤中のあらゆる親水性分子を可能化すると共に、脂溶性分子の製剤から皮膚への拡散を促進する水性媒体を含んでいてもよい。水性媒体はpHを調整することもできる。水性媒体としては、リン酸緩衝溶液(例えば、二塩基性又は一塩基性リン酸ナトリウム)、クエン酸緩衝溶液(例えば、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム)、及び単なる精製水を含む、アルカリ性にする塩基性緩衝溶液が挙げられる。水性媒体の量は、好ましくは重量基準でゲル製剤の15%〜45%の範囲であり、より好ましくは25%〜35%の範囲である。

0042

さらに4−ヒドロキシタモキシフェン製剤は、製剤の粘性を高め、及び/又は可能化剤として作用させるため、1種又は2種以上のゲル化剤を含んでいてもよい。ゲル化剤は、その性質に応じて、重量基準で製剤の0.1%〜20%の範囲、好ましくは0.5%〜10%の範囲、より好ましくは1%〜5%の範囲である。好ましいゲル化剤は、カルボマー、セルロース誘導体、ポロキサマー、及びポロキサミンである。より具体的には、好ましいゲル化剤は、キトサンデキストランペクチン天然ゴム、及びセルロル誘導体、例えばエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースCMC)、及び同等物である。非常に好ましいゲル化剤の1つはヒドロキシプロピルセルロースである。

0043

製剤がゲル化剤、特に予め中和されていないアクリルポリマを含む場合、中和剤を含むことが好ましい。中和剤とゲル化剤との比は、好ましくは10:1〜0.1:1、より好ましくは7:1〜0.5:1、さらに好ましくは4:1〜1:1である。中和剤はポリマの存在下で媒体に溶解する塩の形態となっていなければならない。また中和剤は、ポリマ鎖電荷の中和に際して膨潤し、ポリマ塩を形成するようなものでなければならない。有用な中和剤としては、水酸化ナトリウム水酸化アンモニウム水酸化カリウムアルギニンアミノメチルプロパノールトロラミン、及びトロメタミンが挙げられる。当業者であれば、製剤中に用いられているゲル化剤のタイプに応じて中和剤を選択することが可能である。但し、ゲル化剤としてセルロース誘導体が用いられている場合には中和剤は不要である。

0044

表1に、4−ヒドロキシタモキシフェンゲル製剤の2つの非常に好ましい組成を示す。

0045

0046

以下の実施例を参照すれば、本発明をより完全に理解できるであろう。

0047

<実施例1:経皮的な4−ヒドロキシタモキシフェン送達の実証>
4人の乳癌患者は、罹患組織を切除する手術の前に、12時間から7日までの特定の間隔を空けて、アルコール溶液中の[3H]−4−ヒドロキシタモキシフェンが乳房に対して直接投与された。手術後には、切除した組織と腫瘍周辺の正常な乳房組織との双方が、放射活性を示していた(Kuttennら、1985)。

0048

追跡調査では、ホルモン依存性乳癌の外科的切除が予定されている12人の患者のうち9人の患者は、60%アルコール溶液中のZ−[3H]−4−ヒドロキシタモキシフェン(80μCi)が投与され、3人の患者は、比較のためにZ−[3H]−タモキシフェン(80μCi)が投与された。患者は、罹患組織を切除する手術の前に、12時間から7日までの特定の間隔を空けて、[3H]ラベルされた薬剤が乳房に対して直接投与された。3つの領域からの乳房組織、すなわち腫瘍、腫瘍を直接囲んでいる組織、及び正常組織が切除され、すぐに液体窒素中で凍結された。さらに、血液サンプル及びサンプルも特定の間隔で採取され、解析時まで凍結された。

0049

表2に解析結果を示す。4−ヒドロキシタモキシフェンは、大部分がエストロゲン受容体が存在する乳房組織の細胞画分及び核画分に集まっていた。これらの細胞内部位では、4−ヒドロキシタモキシフェンはZ体からE体への限定された異性化を除いて、代謝されないままであった。4−ヒドロキシタモキシフェン群は乳房中に約4日間保持されたが、これはタモキシフェン群よりも短く、ずっと弱かった。

0050

0051

経皮投与後に乳房組織中で[3H]−4−ヒドロキシタモキシフェンとして同定された放射活性の割合は、7日間に亘って徐々に減少した(97%から65%)。この期間中、Z異性体からE異性体への異性化が進行し、7日目には同程度の割合となった(32%及び33%)。

0052

[3H]−4−ヒドロキシタモキシフェンに起因した血中の放射活性は徐々に増加し、4日目から6日目で平衡に達した。これは、すぐに血中に現れ2日目で平衡に達した[3H]−タモキシフェンとは対照的であった。[3H]−4−ヒドロキシタモキシフェンを経皮投与した36時間後では、投与した0.5%の放射活性しか血中で観察されなかった。

0053

4−ヒドロキシタモキシフェンの代謝物が乳房組織中に殆ど存在しないのに対して、血中では代謝が顕著に起こっている。血中では、投与の24時間後、放射活性の68%が4−ヒドロキシタモキシフェンを示しており、18%がN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンを示しており、11%がビスフェノールを示していた。

0054

4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与後の尿中排出のピークは、タモキシフェンを経口投与した場合よりも遅い時点であった。4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与後には尿中の代謝物が増加し、その殆どはN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン及びビスフェノールであった。

0055

この実施例から、乳房に4−ヒドロキシタモキシフェンを経皮投与した場合、局所組織における薬剤濃度は高いまま長時間持続し、血漿中濃度は安定して低く、尿による排出は遅いことが分かる。これらのことから、経皮投与された4−ヒドロキシタモキシフェンは女性化乳房の予防及び治療に特に重要になることが予想される。

0056

<実施例2:20gのタモキシフェンを経口投与した場合と比較したときの、経皮投与された4−OH−タモキシフェンの薬物動態及び薬物動力学の実証>
この実験では、含水アルコールゲルを介して4−ヒドロキシタモキシフェンを経皮投与した後の組織中及び血漿中濃度を、タモキシフェンを経口投与した後の組織中及び血漿中濃度と比較した(Pujol、1995)。

0057

乳癌手術が予定された31人の患者は、ランダムに5グループのうちの1つに振り分けられた。そして患者は、概要を表3に示すように、タモキシフェンの経口投与又は4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与によって治療を受けた。治療は、手術前の3〜4週間に亘って毎日続けられた。この実験では、4−ヒドロキシタモキシフェンの3通りの投与量(0.5、1、又は2mg/日)と、2通りの適用部位(両乳房、又は上腕前腕及び肩を含む広範囲の皮膚)とを調べた。1つの患者のグループは、20mg/日(10mgを1日2回)となるように、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))が経口投与された。

0058

0059

4−ヒドロキシタモキシフェンゲル(含水アルコールゲル(Besins−International Laboratories)100g当たり、4−ヒドロキシタモキシフェンを20g)は、単位量当たり1.25gのゲルを送出できる加圧式定量ポンプ充填された。

0060

手術中には、一方が腫瘍で他方が顕微鏡的に正常である2つの乳房組織サンプル(各1mm3)が切除された。その組織はすぐに液体窒素によって凍結され、解析まで保存された。また、手術当日及び手術前に血液サンプルが採取された。全ての組織サンプル及び血液サンプルについて、ガスクロマトグラフマススペクトロメトリGC−MS)によって4−ヒドロキシタモキシフェン濃度が測定された。

0062

以下の表4は、乳房組織中及び血漿中の4−ヒドロキシタモキシフェン濃度をまとめたものである。正常乳房組織と腫瘍乳房組織とにおける4−ヒドロキシタモキシフェン濃度は、5つの治療グループ全てで同程度であった。ゲルを乳房に直接適用した場合の方が、他の広範囲の皮膚に適用した場合よりも多くの4−ヒドロキシタモキシフェンが乳房組織に集まった。

0063

0064

副作用は重大な問題を引き起こさなかった。経皮治療では局所炎症は全く起こらなかった。グループ2(4−ヒドロキシタモキシフェンゲルを0.5mg/日)の1人の女性は、治療7日目に眩暈、膀胱炎、及び軽度の膣炎訴えた。また、グループ1(経口タモキシフェン)の1人の女性は、治療5日目に体のほてり及び軽い膣炎を訴えた。

0065

4−ヒドロキシタモキシフェンが適用された患者では、治療前の血液サンプルと治療後の血液サンプルとで、血液学又は血清化学検査で何も違いは見られなかった。しかしながら、タモキシフェンを経口投与したグループでは、抗トロンビンIII及びフィブリノーゲンが統計的に有意に減少すると共に、血小板数及び白血球数が統計的に有意に増加しており、これは他の研究で確認されていたこの薬剤の生物学的効果と一致していた。したがって、経皮投与された4−ヒドロキシタモキシフェンは、その副作用の低さから、女性化乳房の予防及び治療に特に有望である。

0066

<実施例3:経皮投与された4−OH−タモキシフェンの健康な女性における耐性及び薬物動態の実証>
この実験では、18から45歳までの健康な閉経前の女性に4−ヒドロキシタモキシフェンゲルを局所適用したときの耐性及び薬物動態を実証した。各患者は、2月経周期に亘って毎日ゲルが適用された。

0067

表5に示すように、3通りの投与量と2通りのゲル濃度を試した。グループA〜Cでは、ゲルは100g中に20mgの4−ヒドロキシタモキシフェンを含んでおり、一投与当たり0.25mgの4−ヒドロキシタモキシフェンを送達する加圧式定量ポンプを用いて投薬された。グループCの実験は、ゲル量が片方の乳房に適用するには多すぎたため延期された。グループD及びEは、約3倍の4−ヒドロキシタモキシフェンを含む高濃度のゲル、すなわち100g当たり57mgの4−ヒドロキシタモキシフェン又は50mgの4−ヒドロキシタモキシフェンを含むゲルが適用された。この高濃度のゲルもまた、一投与当たり0.25mgの4−ヒドロキシタモキシフェンを送出する定量ポンプを用いて送達された。

0068

0069

月経周期の最後に、各患者は単回投与が行われ、その後0、0.5、1、1.5、2、3、4、6、12、18、24、36、48、及び72時間後に血液サンプル系列が採取された。

0070

月経後の最初の日に、2月経周期に亘って毎日ゲルを適用する治療を開始した。第1及び第2月経周期の7、20、及び25日目のにゲルを適用したから24時間後に血液サンプルを採取した。また、適用の最終日、すなわち第2月経周期の25日目には、ゲルの適用前、並びにゲルを適用した0.5、1、1.5、2、3、4、6、12、18、24、36、48、及び72時間後に、血液サンプル系列を採取した。そのサンプルは、4−ヒドロキシタモキシフェン、エストラジオール、プロゲステロン、FSH、及びLHが測定された。

0071

4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿中濃度は、最後にゲルを適用してから72時間後にも検出可能なレベルであった。そこで、4−ヒドロキシタモキシフェンが血中に検出されなくなるまでデータ点が得られるように、一部の患者については、ゲルを最後に適用してから最大92日間の間隔を空けて血液サンプルを採取した。

0072

表6に、4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿中濃度の平均±標準偏差(SD)を示す。括弧内は範囲を示す。0.5mgの単回投与では、4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿中濃度は検出可能なレベルにならなかったが、1mgの単回投与後には、12人中6人の患者で血漿中濃度は検出可能なレベル(>5pg/mL)になった。

0073

0074

図2に、第2月経周期の25日目の最終投与後における血漿中濃度−時間曲線を示す。また、表7に、第2月経周期の25日目の最終投与に関連した平均薬物動態パラメータを示す。

0075

0076

データは、試した3通りの投与量(0.5、1、及び2mg)について用量反応に反しないものであった。AUC及びCavから判断すると、高濃度のゲルは低濃度のゲルよりも約2倍だけ吸収率がよかった。

0077

生物学的耐性は35人の患者全てについて非常に優れたものであった。月経周期の間、FSH、LH、エストラジオール、又はプロゲステロンホルモンのレベルは、治療によって影響されなかった。さらに、治療の最後に行った卵巣超音波検査では、全ての患者が正常であり、発育卵胞も正常サイズであった。1人の患者はゲルに対するアレルギー反応を起こし、10人は顔のにきびを訴えた(そのうち5人は過去ににきびの経験がある)。

0078

要約すると、この実験から、局所投与後の4−ヒドロキシタモキシフェンへの曝露は投与量に応じて増加し、4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿中濃度は典型的なエストラジオール濃度(80pg/mL)よりも低く、全身的効果の実験室的又は臨床的な証拠は検出されないことが分かる。このことから、4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与は、女性化乳房の予防及び治療に特に有用になることが期待される。

図面の簡単な説明

0079

タモキシフェンの代謝を表す図である。
健康な女性の皮下投与後の血清中4−ヒドロキシタモキシフェン濃度を示す図である。

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