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課題・解決手段

本発明は、クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)などの病原菌による感染の作用を治療するための経口組成物の製造における肉抽出物及びペプトンを個別に又は組み合わせて含む経口組成物の使用に関する。こうした作用には、腸上皮細胞完全性障害及び下痢並びに他のCOX−2媒介作用が含まれていることがある。

概要

背景

ヒト及び動物胃腸管は、とりわけ、老化ウィルス、細菌及び/又はそれらの毒素或いは暴行及び薬物乱用が原因のものを含む、様々な障害を生じるリスクがある。

様々な胃腸障害徴候を軽減し得るいくつかの要因又は治療法がある。とりわけ、微生物叢として知られている常在フローラは、腸の環境の調節において重要な役割を果たす。微生物から放出された又は食品成分として食事一緒に摂取された前生物的分子と共にプロバイオティックスとして知られている腸に住んでいる非病原性微生物は、C.ディフィシレ(C.difficile)感染を含む胃腸障害を予防又は治療する潜在的な手段を与える。

ヒト腸内細菌は、腸内におけるC.ディフィシレ毒素Aの産生を調節し、毒素Aは、従来のマウスよりも無菌マウスから単離した腸膜により結合することが実証されており、これは、常在微生物がC.ディフィシレの病原性に重要な役割を果たすことを示している。C.ディフィシレ誘導大腸炎及び下痢を治療するための栄養手法を試験した臨床研究の結果、乳酸菌GG(Lactobacillus GG)が入院している成人又は乳児における大腸炎の徴候を改善することが示されている。同じ方法で、非病原性酵母菌サッカロミセスボウラディ(Saccharomyces boulardii)は、成人又は乳児におけるC.ディフィシレ誘導大腸炎及び下痢の予防又は治療に明白な効果があることが示されている。さらに、ロシア特許RU2168915号は、子供及び病弱な人々における胃腸障害に対する治療又は予防食品として、所定の割合で牛肉豚肉湯通ししたレバー、カボチャ又はペポカボチャ、及びバターを含む肉製品の使用を開示している。上記のすべての報告は、C.ディフィシレ感染に対する栄養介入の分野が依然として開かれていることを示している。

概要

本発明は、クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)などの病原菌による感染の作用を治療するための経口組成物の製造における肉抽出物及びペプトンを個別に又は組み合わせて含む経口組成物の使用に関する。こうした作用には、腸上皮細胞完全性障害及び下痢並びに他のCOX−2媒介作用が含まれていることがある。

目的

ヒトのC.ディフィシレ感染を誘発する条件を模倣するために、マウスを、それらの腸の微生物叢を変化させることを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

エンテロトキシン産生病原体による感染の作用を治療するための、経口組成物の製造におけるペプトン及び/又は肉抽出物の使用。

請求項2

作用が、腸管上皮完全性障害下痢及び他のCOX−2媒介作用を含む、請求項1に記載の使用。

請求項3

病原体が、クロストリジウムディフィシレ(Clostridiumdifficile)、ウェルシュ菌(Clostridiumperfringens)、大腸菌(E.coli)、熱帯リーシュマニア(Leishmaniadonovani)、コレラ菌(Vibriocholera)、鼠チフス菌(Salmonellatyphimurium)、シンゲラエ(Shingellae)、アエロモナスヒドロフィラ(Aeromonashydrophila)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus)、及び/又は毒素原性バクテロイデスフラジリス(enterotoxigenicBacteroidesfragilis)である、請求項1又は2に記載の使用。

請求項4

経口組成物が0.3〜7体積%のペプトン又は肉抽出物を含む、前記請求項のいずれかに記載の使用。

請求項5

ペプトンが、平均ペプチドサイズが5アミノ酸以下の乳清タンパク質加水分解産物である、前記請求項のいずれかに記載の使用。

請求項6

経口組成物がペプトンと肉抽出物の両方を含む、前記請求項のいずれかに記載の使用。

請求項7

経口組成物が0.3〜7体積%の肉抽出物及び0.3〜7体積%のペプトンを含む、請求項6に記載の使用。

請求項8

経口組成物が酵母抽出物をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の使用。

請求項9

経口組成物が0.01〜5体積%の酵母抽出物を含む、請求項8に記載の使用。

請求項10

経口組成物が薬物療法に対するアジュバントである、前記請求項のいずれかに記載の使用。

請求項11

経口組成物が乳児用調製粉乳又は経腸組成物である、前記請求項のいずれかに記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、病原体による感染の結果として生じるエンテロトキシンの作用を緩和するための栄養手法に関する。

背景技術

0002

ヒト及び動物胃腸管は、とりわけ、老化ウィルス、細菌及び/又はそれらの毒素或いは暴行及び薬物乱用が原因のものを含む、様々な障害を生じるリスクがある。

0003

様々な胃腸障害徴候を軽減し得るいくつかの要因又は治療法がある。とりわけ、微生物叢として知られている常在フローラは、腸の環境の調節において重要な役割を果たす。微生物から放出された又は食品成分として食事一緒に摂取された前生物的分子と共にプロバイオティックスとして知られている腸に住んでいる非病原性微生物は、C.ディフィシレ(C.difficile)感染を含む胃腸障害を予防又は治療する潜在的な手段を与える。

0004

ヒト腸内細菌は、腸内におけるC.ディフィシレ毒素Aの産生を調節し、毒素Aは、従来のマウスよりも無菌マウスから単離した腸膜により結合することが実証されており、これは、常在微生物がC.ディフィシレの病原性に重要な役割を果たすことを示している。C.ディフィシレ誘導大腸炎及び下痢を治療するための栄養手法を試験した臨床研究の結果、乳酸菌GG(Lactobacillus GG)が入院している成人又は乳児における大腸炎の徴候を改善することが示されている。同じ方法で、非病原性酵母菌サッカロミセスボウラディ(Saccharomyces boulardii)は、成人又は乳児におけるC.ディフィシレ誘導大腸炎及び下痢の予防又は治療に明白な効果があることが示されている。さらに、ロシア特許RU2168915号は、子供及び病弱な人々における胃腸障害に対する治療又は予防食品として、所定の割合で牛肉豚肉湯通ししたレバー、カボチャ又はペポカボチャ、及びバターを含む肉製品の使用を開示している。上記のすべての報告は、C.ディフィシレ感染に対する栄養介入の分野が依然として開かれていることを示している。

課題を解決するための手段

0005

本発明は、病原体による感染の結果として生じるエンテロトキシンの作用を治療するためのペプトン及び/又は肉抽出物を含む経口組成物の使用に関する。こうした作用には、アクチンフィラメントの分解による腸管上皮完全性障害及びその結果として生じる密着帯破壊、並びに腸液の毒素誘導分泌の結果として生じる下痢及びシクロオキシゲナーゼ誘導によって媒介された他のプロセスがある。

発明を実施するための最良の形態

0006

本出願では、「経口組成物」は、任意の摂取可能な組成物を表すものであり、栄養組成物栄養補助食品、又は医薬品であってよい。これは、例えば、薬物療法アジュバントであってもよい。これは、病原体による感染の結果として生じるエンテロトキシンの作用に苦しんでいる乳児又は早産児から高齢者までのヒトに使用するものである。これはまた、病原体による感染の結果として生じるエンテロトキシンの作用に苦しんでいるウサギネズミハムスターなどのペット、より一般に、、牛、ニワトリなど人間によって飼育されている任意の動物を対象としている。

0007

「肉抽出物」という用語は、とりわけ、牛、ラム、鶏及び/又は七面鳥など任意の肉の抽出物包含するものである。これは、上記の肉の混合物由来であってもよい。いずれにしても、これは、少なくとも窒素アミノ酸、及び炭素を供給することになる。本発明で使用するのに適した市販の肉抽出物の例は、Becton Dickinson and Company社によって供給されているBD Bacto Beef Extractである。

0008

酵母抽出物」という用語は、酵母自己消化物水溶性部分を含んでいてよく、ビタミンB複合体を含むことが好ましい。これはまた、パン酵母自己消化物の可溶性及び不溶性部分の両方を含む抽出物を包含するものであり、この場合は、さらにリボフラビン及びパントテン酸を含むことが好ましい。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、「酵母抽出物」は、微生物を包含せず、微生物によって産生された酵素を含まない。酵母抽出物は、サッカロミセスセレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)からの抽出物であってよい。本発明で使用するのに適した市販の酵母抽出物の例は、Becton Dickinson and Company社によって供給されているBD Bacto Yeast Extractである。

0009

「ペプトン」という用語は、タンパク様物質の部分酵素又は酸加水分解によって得た生成物の任意の可溶性混合物を表す。タンパク質出発物質の選択は重要ではないが、カゼイン乳清及び肉タンパク質が好ましい。ペプトンの分子量は、3kDa未満であることが好ましい。本発明で使用するのに適した市販のペプトンの例は、Becton Dickinson and Company社によって供給されているBD Bacto Peptoneである。

0010

エンテロトキシンは、腸粘膜に作用する細菌外毒素である。これらは、病原菌によって腸内に産生され得る。細菌エンテロトキシンは、粘膜及び全身免疫反応の両方を活性化させる強力な粘膜イムノゲンであり、したがって食中毒、一般的な下痢、大腸炎、慢性炎症及び赤痢を含む様々な疾患の原因である。エンテロトキシンはまた、重篤粘膜潰瘍出血性炎症性滲出又は血性下痢を生じる。毒素誘導疾患は、しばしば腹部痙攣及び直腸痛を伴う。エンテロトキシンは、体液分泌及び腸炎症の主要な刺激物質である。それらの上皮細胞への結合により、線維アクチンの非分離及び密着帯の透過性の増大並びに細胞経路及び後続の合成及び体液分泌活性化物質の放出の活性化が生じる。毒素はまた、感覚腸神経の活性化及び感覚神経ペプチドの放出、それに続くサイトカインの放出及び上皮細胞破壊を経て、通常粘膜中の好中球遊出及び腸細胞壊死を特徴とする重篤な炎症を誘導する。

0011

病原菌は、共生ミクロフローラの一部であってよく、即ち、例えば、抗生物質、特に広域抗生物質を用いた治療中に起こり得るようにミクロフローラのバランスが乱されない場合、及び乱されるまで悪影響なく腸内に存在し得る。このような場合には、これらの「日和見病原体」は、急速に増殖し、腸ミクロフローラの支配に及び、腸炎を引き起こす毒素を産生する可能性がある。こうした細菌の例には、クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)及びウェルシュ菌(Clostridium perfringens)があり、本発明の組成物は、こうした細菌によって産生された毒素の作用を治療するのに特によく適している。したがって、本発明は、院内感染の治療に使用するのに特に適していることが理解されよう。

0012

他のエンテロトキシン産生細菌の例は、大腸菌(E.coli)、熱帯リーシュマニア(Leishmania donovani)、コレラ菌(Vibrio cholera)、鼠チフス菌(Salmonella typhimurium)、シンゲラエ(Shingellae)、アエロモナスヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、又は毒素原性バクテロイデスフラジリス(enterotoxigenic Bacteroides fragilis(ETBF))である。

0013

クロストリジウムディフィシレ感染は、抗生物質の摂取によって腸の微生物叢が変化した入院患者の大腸炎及び下痢の主な原因である。C.ディフィシレは、2種類のエンテロトキシン:毒素A及び毒素Bを放出することによって腸炎を引き起こす。どちらの毒素もヒトに対して強力な細胞毒性をもつが、毒素Aが体液分泌(したがって下痢)及び腸の炎症の主要な刺激物質である。毒素Aは、上皮細胞の表面に結合し、被覆小窩細胞質中に内部移行する。内部移行は、アクチン張力繊維の分解、アクチン関連付着板の破壊、密着帯の開口、細胞剥離及び体液分泌の増大をもたらす。これらの作用は、培養ヒト上皮細胞系、例えばT84結腸細胞系でin vitroで実証されており、この場合、単層への毒素Aの添加により経上皮抵抗が減少し、単層の透過性が増大した。in vivoにおけるC.ディフィシレエンテロトキシンは、モルモット、ウサギ又はラット回腸を毒素Aに曝露した場合、粘膜中の好中球の遊出及び腸細胞壊死を特徴とする重篤な炎症を誘導することがわかっている。この急性炎症反応をもたらすメカニズムは、感覚腸神経の活性化及び感覚神経ペプチドの放出であると思われる。最近の研究は、毒素Aが腸内のCOX−2の発現を上向き調節することも提案した。

0014

胃腸の病原体が原因の障害の最も一般的な結果は下痢である。下痢は、病原菌(エンテロトキシン産生細菌を含む)、寄生虫又はウィルスによって誘導され得る腸内の上皮細胞からの分泌が増大した結果である。

0015

COX−2は、アラキドン酸からのプロスタグランジンの合成を触媒する酵素である。COX−2の知られている他の基質には、それぞれPGE1及びPGE3を産生するジホモ−γ−リノレン酸(20:3n:6)及びエイコサペンタエン酸(EPA、20:5n−3)がある。ヒトCOX−2遺伝子はクローン化されており、そのゲノムパターン並びにそのcAMP、NF−κB及びTGF−β、IL−1又はTNF−αなど異なる成分への遺伝子発現応答性が説明されている。

0016

COX−2は、アレルギー反応及び腸の炎症を含む多くの炎症に関連している。腸の炎症及び障害の中で、COX−2活性が関与しているのは、胃炎炎症性腸疾患過敏性腸症候群、又は腸癌である。

0017

ペプトンは、体積で0.3〜7%のペプトンを含む経口組成物の形で投与することが好ましい。ペプトンの適当な供給源には乳清タンパク質があり、平均ペプチドサイズが5アミノ酸以下の高度に加水分解した乳清タンパク質が特に好ましいが、加水分解の程度が15〜20%の乳清タンパク質も使用することができる。肉タンパク質はペプトンの代替供給源であり、肉タンパク質の中では牛肉タンパク質が好ましい。肉抽出物を、好ましくは0.3〜7.0体積%の量で加えてもよい。好ましい実施形態では、経口組成物は、(体積で)1%の肉抽出物及び1%のペプトンを含む。さらに、この組成物は、好ましくは0.01〜5体積%の濃度で酵母抽出物を含んでいてよい。

0018

本発明の経口組成物は、様々な異なる食品の形態を取ることができる。例えば、標的集団が乳児集団の場合、乳児用調製粉乳であってよい。これは、スープなどの脱水食品であってもよい。これは、さらに経腸組成物又は栄養補助剤であってよい。腸の障害に苦しんでいる個体がペットの場合、経口組成物は、任意のウェット又はドライペットフードであってもよい。

0019

本発明による組成物を医薬品に混合する場合、任意の適切な賦形剤と一緒に混合して任意の医薬形態にすることができる。

0020

ペプトンと一緒に又はペプトンを含まずに肉抽出物を、或いは単独でペプトンを摂取することによって、腸管上皮の完全性障害及び下痢などの腸の障害からも明らかなように病原体による感染に苦しんでいる個体は、同じ障害をもつが、肉抽出物もペプトンも補充していない食餌を取っている個体と比較して、体液分泌が正常化し、細胞構造がより損傷を受けず、且つ炎症が低減することを発見した。

0021

本発明の枠内では、腸の不調、損傷及びストレスを受けた個体の腸の完全性に対して改善された効果が得られるように、肉抽出物及び/又はペプトンは酵母抽出物を伴っていてもよい。

0022

以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる製品の一部及びそれらを作製する方法を例示したものである。それらは、決して本発明を限定するものと考えるべきではない。本発明に関して修正及び変更を行うことができる。即ち、当業者は、種々の応用のために本発明の化合物天然に存在するレベルを合理的に調整するため、これらの実施例中の多くの変形形態が広範な処方、成分、処理、混合物を含むことを認識するはずである。

0023

(実施例1)
密着帯及びアクチンフィラメントへの組成物の作用
原料と方法
ヒト結腸細胞系T84(ATCC、CCL−248)を、20%FBSウシ胎児血清)、2mMグルタミン及び100U/mlペニシリンストレプトマイシンで補充したDMEM:F12 1:1中で培養した。ヒト初代皮膚線維芽細胞を、10%FBS及び100U/mlペニシリン−ストレプトマイシンで補充したDMEM中で培養した。

0024

T84単層を0.5×106細胞/インサート6穴インサートプレート播種し、3週間培養した。TEER(経上皮電気抵抗)の基底値を測定し、培地を、de Man−Rogosa−Sharpe増殖培地(以下「MRS」と呼ぶ、1%牛肉抽出物、1%肉ペプトン及び0.5%酵母抽出物をPBS中に含む溶液)の20%溶液と交換した。37℃で1h後、C.ディフィシレ毒素Aを100ng/mlの最終濃度で単層の先端側に加え、37℃で1、2、4、6及び24h後にTEERをさらに測定した。対照の単層は培地にだけ曝露した。各条件で三通りのインサートを用いた。各時点で、1mlの先端及び1mlの基底外側の培地を捕集し、製造業者使用説明書に従って細胞毒性検出キットを用いてLDH放出を測定することによって細胞生存度を評価した。

0025

T84細胞又はヒト初代線維芽細胞(2×105/チャンバー)を4チャンバースライドガラスに播種し、前述のように増殖させ、20%MRS溶液で1hインキュベートしてから毒素Aを最終濃度500ng/mlで加えた。6h後、細胞をPBSで洗浄し、3.7%パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで2回洗浄し、アセトンを用いて−20℃で5分間透過化処理し、PBS−1%BSA(ウシ血清アルブミン)で処理して非特異的標識を低減させた。アクチン非分離及び細胞の球体化を、200U/mlローダミン標識ファロトキシン標識付けした後蛍光顕微鏡によって評価した。

0026

結果
毒素Aは、上皮細胞の密着帯に影響し、それは上皮単層の経上皮電気抵抗(TEER)の低下によって測定される作用である。MRSが毒素Aの病原性を相殺できるかどうか評価するために、T84単層を組成物の存在下又は不在下で毒素Aに曝露し、TEERを測定した。100ng/mlの毒素AをT84単層に加えた結果、6hのインキュベーション後にTEER対照値が3分の1に低下した(309±8対985±49Ωcm2)。20%MRS溶液を毒素Aと一緒に加えることにより、TEER低下が抑制された(1403±95対309±8Ωcm2)が、T84細胞の基底TEER値は変化しなかった(1217±277Ωcm2対985±49Ωcm2)。細胞生存度の改変は観察されず、毒素Aが6hの期間中に細胞死を誘導しないことが示唆された。上記の結果は、ペプトン、肉抽出物及び酵母抽出物の混合物によって毒素Aが相殺され、T84単層の毒素A誘導TEER低下が妨げられ得ることを実証している。

0027

毒素A誘導TEER低下に対するMRSの保護作用が細胞の球体化をもたらす細胞骨格の変化と相関関係にあったかどうかを明らかにするために、T84細胞を毒素A単独で又は20%MRS溶液と併せて処理し、細胞骨格アクチンを免疫細胞化学によって分析した。500ng/mlの毒素Aを加えることによってT84細胞の球体化が誘導され、それは、アクチン非分離、及びパッケージングにより細胞単層が蜂の形を示すことによって証明されている。20%MRS溶液を毒素Aと併せて加えることにより、毒素Aによって誘導されるアクチン非分離とその後の細胞の球体化が一部妨げられるが、単独で加えた場合、細胞の細胞骨格に影響を及ぼさなかった。これらの作用は、T84単層の空間配置によってほとんど見えなかった。判断をより容易にするために、平面単層を形成する初代ヒト皮膚線維芽細胞を用いて実験を繰り返した。毒素Aの存在下で6h後に、すべての線維芽細胞が、完全な細胞骨格の破壊を示唆する球状の外観を示した。20%MRS溶液を毒素Aと併せて加えることにより、アクチン非分離及び細胞の球体化が一部妨げられた。毒素Aと20%の組成物で処理した線維芽細胞の形状は似ていたが、対照線維芽細胞又は組合せ単独で処理した線維芽細胞の形状とは同一ではなかった。したがって、MRSは、アクチン非分離による細胞骨格変化とその後の細胞の球体化を一部妨げて毒素Aを相殺することができる。

0028

次いで、20%MRS溶液の代わりに以下のものを使用してこれらの実験を繰り返した。
1%牛肉ペプトン溶液の20%溶液
1%牛肉抽出物溶液の20%溶液
0.5%酵母抽出物溶液の20%溶液
1%の高度に加水分解した乳清ペプチド(平均ペプチドサイズ約5アミノ酸未満)を含む溶液
10%の高度に加水分解した乳清ペプチド(平均ペプチドサイズ5アミノ酸以下)を含む溶液

0029

20%MRS溶液と同様の結果が得られた。

0030

考察
ここで観察された保護作用のメカニズムははっきりと解明されておらず、おそらく多種多様である。毒素Aは、アクチンフィラメントの重合を誘導し、細胞骨格アクチンの非分離をもたらす。アクチン破壊は、in vitroで観察される細胞の球体化、及び密着帯の透過性の増大の原因である。アクチンに対する毒素Aの作用は、タンパク質のRhoファミリーに対するそのグルコトランスフェラーゼ活性によるものである。毒素Aは、グルコシル残基をUDPグルコースからRho、Rac及びCdc−42のスレオニン37へ酵素的転移させることができ、アクチン張力繊維の分解、アクチン関連付着板の破壊、密着帯の開口、細胞剥離及び体液分泌の増大をもたらす。それらの作用は、T84細胞でin vitroで実証されており、この場合、単層への毒素Aの添加により、上皮細胞中のRhoタンパク質の改変が原因で経上皮抵抗が減少し、単層の透過性が増大した。したがって、我々は、ペプトン、酵母抽出物、及び牛肉抽出物が、Rhoタンパク質のシグナル伝達経路干渉し、毒素Aの作用を阻害すると考える。特定の理論に拘するものではないが、この干渉は、グルコシル残基のRhoタンパク質への転移の上流又は下流であってよい。

0031

(実施例2)
エンテロトキシンを産生する胃腸病原体が原因の損傷に対する組成物の作用
原料と方法
週齢雄マウスを、腸の微生物叢を排除するために60mg/Lゲンタマイシン、250mg/Lバンコマイシン、300mg/Lアモキシシリン及び10mg/Lアンホテリシンで1週間適宜処理した。次いでマウスを3つのグループ:i)対照グループ;ii)適宜20%MRS溶液を溶かした飲料水を1週間与えたグループ;及びiii)2日おきに組成物500μlを2回胃管栄養によって与えたグループに分けた。処理が終了した次の日、30mg/kg体重ナトリウムペントバルビタールで動物に麻酔をかけ、手術の全所要時間にわたって0.8〜3%イソフルオラン麻酔下で暖かい毛布(37℃)の上に置いた。腹部を正中切開によって開き、空腸末端露出させた。5cmの空腸セグメント2個の各末端を手術糸で2重に結紮させて、それらの間に2cmの間隔がある腸ループを2個形成した。一方のループには、対照としてPBS600μlを注射し、もう一方には、毒素Aを20μg含有するPBS 600μlを注射した。次いで腸ループを腹腔に戻し、切開部を縫合して閉じた。マウスを回復させ、継続的に経過を観察した。動物を4h後に安楽死させ、ループを単離し、それらの質量対長さ比(mg/cmで)を記録して体液分泌を評価した。次いでループを氷冷PBSで2回洗浄し、RNAlater(商標)中に浸し、液体窒素中で瞬間冷凍し、−80℃で保存した。

0032

結果
下痢及び大腸炎をもたらすC.ディフィシレ感染は、病院及び高齢者宅でほとんど発生して抗生物質を摂取している患者を襲い、それによって彼らの腸の微生物叢が変化する。本発明の組成物及びその成分がin vivoで毒素Aの作用を相殺できるかどうかを評価するために、マウスモデルを使用した。ヒトのC.ディフィシレ感染を誘発する条件を模倣するために、マウスを、それらの腸の微生物叢を変化させることを目的とした抗生物質で1週間処理した。抗生物質処理が終了した次の日、あるグループのマウスに適宜20%MRS溶液を1週間与えた。この期間の終了時、腸ループを形成し、PBS又は毒素A 20μgを注射した。4hのインキュベーション後、対照マウス由来のループは、毒素Aを注射した場合にPBS注射ループと比較して体液分泌の増大を示した(121.9±31.7対64.6±13.5mg/cm)。対照的に、1週間MRSを与えられたマウスでは、毒素A又はPBSを注射したループにおいて体液分泌の違いは観察されなかった(73.6±8.3対66.8±10.8mg/cm)。マウスに2回投与で20%MRS溶液500μlを胃管栄養によって与えた場合、類似の結果が得られた。これらの結果は、ペプトン、肉抽出物及び酵母抽出物を用いた処理が、腸の微生物叢の欠陥を示している対象において毒素Aの悪影響を抑制できることを示している。

0033

組成物が毒素Aの直接的な不活性化によってその保護作用を発揮するかどうかを確認するために、20%MRS溶液、又は対照としてのPBSを毒素Aと1h混合してから、この混合物を1週間抗生物質で処理したマウスの腸ループに注射した。対照(PBS)とMRS注射ループの間に毒素A誘導体液分泌のレベルで有意差は記録されなかった。この結果は、組成物が直接的な結合及び毒素の不活性化によって毒素Aの作用を相殺せず、そのため毒素結合エピトープの毒素切断又はマスキングがもたらされ得ることを示唆している。

0034

考察
MRS組成物は、毒素Aによって誘導される腸液分泌からマウスを保護した。特定の理論に拘泥するものではないが、我々は、毒素Aを切断するペプトン、牛肉抽出物及び酵母抽出物の保護作用が、2つの主な理由で酵素活性によるものではないと考える:i)使用した溶液は常に、溶液中に含まれるプロテアーゼなど任意の酵素の非活性化をもたらすオートクレーブにかけており、ii)マウスの腸ループに注射する前に毒素Aと一緒に混合及びインキュベートした組成物は、腸液分泌を阻害できなかった。したがって、ペプトン、酵母抽出物及び牛肉抽出物の保護活性は、腸上皮細胞上の毒素A受容体に結合し、毒素Aの結合及び関与しているシグナル伝達経路の活性化を妨げ得る溶液中の自由分子(例えばアミノ酸又はペプチド)の存在によるものであると我々は考える。

0035

(実施例3)
COX−2発現に対する組成物の作用
原料と方法
実施例2に記載されているものと同じ手順を使用した。RNAをマウス腸ループから抽出し、COX−2mRNA発現RTPCRによって評価した。Superscript II(登録商標)酵素200Uを用いて全RNA(1μg)を逆転写した。5’−CACAGTACACTACATCCTACC−3’をセンス、5’−TCCTCGTTCTGATTCTGTCTTG−3’をアンチセンスプライマーとして用いてPCRによってマウスCOX−2の400bp断片を増幅した。5’−ATGAGGTAGTCTGTCAGGT−3’をセンス、5’−ATGGATGACGTATCGCT−3’をアンチセンスプライマーとして用いて同じRTミックスから内部標準として用いたβ−アクチンの700bp断片を増幅した。DNA混入を排除するために、RNA試料にPCRを直接行った。PCR産物を1%アガロースゲルに添加し、撮影し、写真バンド強度定量化による濃度測定に使用した。内部標準β−アクチンの発現に対して標準化を行った:COX−2と対応するβ−アクチンのmRNAシグナルの比を決定し、任意スコア1を割り当てた「無処理試料」(水を与えてPBSを注射した)のものを基準として示した。

0036

結果
毒素A媒介体液分泌に関与していることが知られているCOX−2が組成物の保護作用にも関係しているかどうかを明らかにするために、COX−2mRNA発現をRT−PCRによって評価した。異なる処理によるCOX−2発現の変化を、β−アクチンを基準として示した。対照マウスの腸ループ中に毒素Aを20μg注射した結果、COX−2 mRNA発現が3.6倍増大した。マウスを組成物で1週間処理した結果、毒素Aによって媒介されたCOX−2増大が2分の1に低下した。毒素Aによって誘導された腸のCOX−2発現は、ペプトン又は牛肉抽出物処理下ではマウスの基底レベルに完全に標準化されたが、酵母抽出物処理下では2.3分の1に低減した。組成物もその成分もCOX−2 mRNA発現の基底レベルを著しく改変していない。胃管栄養によって投与した場合、組成物又はその成分は、毒素Aによって誘導されたCOX−2mRNAの増大を相殺することも可能であった。

0037

考察
毒素Aが上皮細胞上に結合するとき、好中球遊走及び腸細胞壊死及び柔突起の破壊を含む炎症を誘導することがわかっている。これらの作用は、基質P及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドなどの感覚神経ペプチドの放出によって媒介され、その後感覚腸神経が活性化される。さらに、腸上皮におけるSPの受容体であるNK−1Rの発現は、C.ディフィシレに感染した動物とヒトの両方で著しく増大する。最近の研究では、C.ディフィシレの毒素Aが腸内のCOX−2の発現を上向き調節することも提案されている。COX−2は、腸液分泌を増大させ、下痢を生じさせることで知られている薬剤であるプロスタグランジンE2(PGE2)の合成を媒介するシクロオキシゲナーゼ酵素の誘導アイソフォームである。特定の理論に拘泥するものではないが、我々は、ペプトン、酵母抽出物及び牛肉抽出物がこれらの経路のいずれかを阻害し毒素Aを相殺すると考える。我々の結果は、ペプトン、酵母抽出物又は牛肉抽出物が、腸の毒素媒介COX−2誘導を阻害することを示唆している。これは、我々の溶液がその腸受容体への毒素の結合を阻害又は低減する場合にCOX−2活性化をもたらす毒素A媒介シグナル伝達の阻害による可能性がある。

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