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課題・解決手段
概要
背景
細菌によるコロニー形成から哺乳類の胃腸(GI)管を保護するための防衛機構は非常に複雑である。大抵の哺乳類のGI管は、天然微生物相、及び侵襲性の病原微生物によってコロニー形成される。健康状態では、これらの対抗する微生物相は平衡状態にある。ヒト、並びにネコ、イヌ及びウサギを包含するコンパニオンアニマルなどの他の哺乳類種の両者において、腸の微生物層平衡の変更が多くのGI疾患を引き起こすか又は予防することがある。コンパニオンアニマルの健康は、その摂食やGIの健康と密接に関係しており、及びこれら動物体内での腸微生物層の平衡の維持が、より健康なペットをもたらすことがある。
腸微生物相の数と組成は安定している傾向にあるが、年齢及び食餌によって変更されることがある。胃液酸性度、胆汁、腸ぜん動運動及び局所免疫は、ヒト及び様々な他の哺乳類の小腸内の細菌叢の調整に重要であると考えられている因子である。イヌ科動物及びネコ科動物に見出されるものを包含するペットのGI疾患はしばしば、細菌の異常増殖及び病原菌によるエンテロトキシンの生成と関係がある。これら因子は、腸内微生物相平衡を乱して、炎症及び異常な免疫反応を促進することがある。
ここ数年内に、いくつかの貴重な細菌株及びプロバイオティク剤としてのそれらの潜在的な利用に脚光を当てた研究が始まっている。プロバイオティクスは、生菌もしくは死菌、タンパク質もしくは炭水化物などのそれらの構成成分、又は天然微生物相をGI管内に保存することによって哺乳類の健康を促進する細菌発酵の精製画分を調製して、異常な免疫反応における正常な制御を強化すると考えられている。プロバイオティク細菌は、治療を意図している種に由来するか又は近縁種である場合、より有効であると一部では考えられている。そのため、ヒトに由来するものとは異なる、コンパニオンアニマルに由来するプロバイオティク菌株が、コンパニオンアニマルに使用される必要がある。
PCT国際公開特許WO01/90311には、プロバイオティク活性を有する、ネコ及びイヌから得られた糞便試料から単離されるプロバイオティク微生物が開示されている。とはいえ、これら細菌は、糞便試料から得られたものであって、GI管の上部に存在する天然の腸内微生物相の一部を形成することはできない。
概要
本発明によれば、動物体内でプロバイオティク活性を有する、切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られる乳酸桿菌属の乳酸菌株が提供される。使用方法及び本発明の乳酸桿菌を含む組成物も提供される。
目的
従って、コンパニオンアニマルに特に適合し、並びにプロバイオティク特性及び加工を生き延びる能力で選択された、GI管の上部に存在する天然の腸内微生物相から単離することによって得られる細菌株を提供する必要と、これら菌株を前記の使用に適した組成物中に組み込む必要とがある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 2件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
請求項2
コンパニオンアニマルの胃腸管において生存してコロニーを形成する能力を有する、請求項1に記載の菌株。
請求項3
0.5%胆汁酸塩の存在下で培養する場合、少なくとも66%増殖する、請求項1又は2に記載の菌株。
請求項4
pH2.5において1時間後に生存能力を維持することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の菌株。
請求項5
前記菌株が、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種、ラクトバシラスクリスパトゥス種、ラクトバシラスアシドフィルス種、ラクトバシラスフェルメントゥム種、ラクトバシラスブクネリ種、ラクトバシラスロイテリ種、ラクトバシラスラクティス種又はこれらの組み合わせからなる群から選択される種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の菌株。
請求項6
前記菌株がラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種である、請求項5に記載の菌株。
請求項7
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4から選択される配列と少なくとも88%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有するものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の菌株。
請求項8
前記菌株が、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC1222、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC5323、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC6331、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC3133又はこれらの突然変異体から選択されるものである、請求項7に記載の菌株。
請求項9
請求項10
請求項11
コンパニオンアニマルの健康を維持又は改善するための、切除及び洗浄されたイヌ胃腸管から単離することによって得られる、乳酸桿菌属の菌株。
請求項12
前記菌株が、コンパニオンアニマルの胃腸管において生存してコロニーを形成する能力で選ばれるものである、請求項11に記載の菌株。
請求項13
0.5%胆汁酸塩の存在下で培養する場合、少なくとも66%増殖する、請求項11又は12に記載の菌株。
請求項14
前記菌株が、pH2.5で1時間後に生存能力を維持することができる、請求項11〜13のいずれか一項に記載の菌株。
請求項15
前記菌株が、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種、ラクトバシラスクリスパトゥス種、ラクトバシラスアシドフィルス種、ラクトバシラスフェルメントゥム種、ラクトバシラスブクネリ種、ラクトバシラスロイテリ種、ラクトバシラスラクティス種又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、請求項11〜14のいずれか一項に記載の菌株。
請求項16
前記菌株がラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種である、請求項15に記載の菌株。
請求項17
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4から選択される配列と少なくとも88%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有するものである、請求項11〜16のいずれか一項に記載の菌株。
請求項18
前記菌株が、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC1222、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC5323、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC6331、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC3133又はこれらの突然変異体から選択されるものである、請求項17に記載の菌株。
請求項19
前記突然変異体が、自然突然変異体、遺伝子組換え突然変異体又は遺伝子誘導突然変異体である、請求項18に記載の菌株。
請求項20
コンパニオンアニマルにおける免疫系の調整、コンパニオンアニマルにおける皮膚及び/もしくは被毛系の健康の維持又は改善、コンパニオンアニマルにおける老化の影響の改善又は低減、ペット類における感染中及びその後の体重減少の予防、コンパニオンアニマルにおける胃腸感染の治療又は予防、コンパニオンアニマルにおける尿路疾患の治療又は予防あるいはこれらの組み合わせから選択される状態の処置のための、請求項11〜19のいずれか一項に記載の菌株。
請求項21
コンパニオンアニマルにおける自己免疫疾患の治療又は予防、コンパニオンアニマルにおける炎症の治療又は予防あるいはこれらの組み合わせを含む、コンパニオンアニマルの免疫系の調整のための、請求項20に記載の菌株。
請求項22
コンパニオンアニマルにおけるアトピー性皮膚疾患の治療又は予防を含む、コンパニオンアニマルの皮膚及び/もしくは被毛系の健康の維持又は改善のための、請求項20に記載の菌株。
請求項23
コンパニオンアニマルにおける微生物生態系の改善、コンパニオンアニマルにおける糞便中の病原菌濃度の低下あるいはこれらの組み合わせを含む、コンパニオンアニマルにおける胃腸感染の治療又は予防のための、請求項20に記載の菌株。
請求項24
請求項25
請求項26
前記プロバイオティク乳酸桿菌がインビトロにてシュウ酸の分解を増進する、請求項25に記載の菌株。
請求項27
コンパニオンアニマルにおける繊維消化の向上のための、請求項11に記載の菌株。
請求項28
コンパニオンアニマルにおけるストレスレベルを減少させるための、請求項11に記載の菌株。
請求項29
前記ストレスレベルが、エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、コルチゾール、C−反応性タンパク質及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるストレスホルモンのレベルを決定することによって測定される、請求項28に記載の菌株。
請求項30
前記菌株が、1.0E+04〜1.0E+12CFU/動物/日のいずれかの量で動物に与えられる、請求項11〜29のいずれか一項に記載の菌株。
請求項31
コンパニオンアニマルがイヌ又はネコである、請求項11〜30のいずれか一項に記載の菌株。
請求項32
請求項33
前記菌株が、ペット類の胃腸管において生存してコロニーを形成する能力で選択されるものである、請求項32に記載の組成物。
請求項34
前記菌株が、0.5%胆汁酸塩の存在下で培養する場合、少なくとも66%増殖する、請求項32又は33に記載の組成物。
請求項35
前記菌株が、pH2.5において1時間後に生存能力を維持することができる、請求項32〜34のいずれか一項に記載の組成物。
請求項36
前記菌株が、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種、ラクトバシラスクリスパトゥス種、ラクトバシラスアシドフィルス種、ラクトバシラスフェルメントゥム種、ラクトバシラスブクネリ種、ラクトバシラスロイテリ種、ラクトバシラスラクティス種及びこれらの組み合わせからなる群から選択される種である、請求項32〜35のいずれか一項に記載の組成物。
請求項37
前記菌株がラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種である、請求項36に記載の組成物。
請求項38
前記菌株が、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4から選択される配列と少なくとも88%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有するものである、請求項32〜37のいずれか一項に記載の組成物。
請求項39
前記菌株が、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC1222、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC5323、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC6331、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株AHC3133又はこれらの突然変異体から選択されるものである、請求項32〜38のいずれか一項に記載の菌株。
請求項40
前記突然変異体が、自然突然変異体、遺伝子組換え突然変異体又は遺伝子誘導突然変異体である、請求項39に記載の組成物。
請求項41
前記コンパニオンアニマルがイヌ又はネコである、請求項32〜40のいずれか一項に記載の組成物。
請求項42
請求項43
前記組成物が、湿式アニマルフード、乾燥アニマルフード、粗挽きの穀物、噛み物、ビスケット、コンパニオンアニマルの食品サプリメント、肉汁、ヨーグルト、チーズもしくは他の乳製品、カプセル、錠剤又は丸薬である、請求項32〜42のいずれか一項に記載の組成物。
請求項44
約1.0E+04CFU/g〜約1.0E+12CFU/gの乳酸菌のうち少なくとも0.001%を含む、請求項32〜43のいずれか一項に記載の組成物。
請求項45
技術分野
0001
本発明は、プロバイオティク微生物、特に、イヌ科動物のプロバイオティク乳酸菌の分野、及び使用方法に関する。
背景技術
0002
細菌によるコロニー形成から哺乳類の胃腸(GI)管を保護するための防衛機構は非常に複雑である。大抵の哺乳類のGI管は、天然微生物相、及び侵襲性の病原微生物によってコロニー形成される。健康状態では、これらの対抗する微生物相は平衡状態にある。ヒト、並びにネコ、イヌ及びウサギを包含するコンパニオンアニマルなどの他の哺乳類種の両者において、腸の微生物層平衡の変更が多くのGI疾患を引き起こすか又は予防することがある。コンパニオンアニマルの健康は、その摂食やGIの健康と密接に関係しており、及びこれら動物体内での腸微生物層の平衡の維持が、より健康なペットをもたらすことがある。
0003
腸微生物相の数と組成は安定している傾向にあるが、年齢及び食餌によって変更されることがある。胃液酸性度、胆汁、腸ぜん動運動及び局所免疫は、ヒト及び様々な他の哺乳類の小腸内の細菌叢の調整に重要であると考えられている因子である。イヌ科動物及びネコ科動物に見出されるものを包含するペットのGI疾患はしばしば、細菌の異常増殖及び病原菌によるエンテロトキシンの生成と関係がある。これら因子は、腸内微生物相平衡を乱して、炎症及び異常な免疫反応を促進することがある。
0004
ここ数年内に、いくつかの貴重な細菌株及びプロバイオティク剤としてのそれらの潜在的な利用に脚光を当てた研究が始まっている。プロバイオティクスは、生菌もしくは死菌、タンパク質もしくは炭水化物などのそれらの構成成分、又は天然微生物相をGI管内に保存することによって哺乳類の健康を促進する細菌発酵の精製画分を調製して、異常な免疫反応における正常な制御を強化すると考えられている。プロバイオティク細菌は、治療を意図している種に由来するか又は近縁種である場合、より有効であると一部では考えられている。そのため、ヒトに由来するものとは異なる、コンパニオンアニマルに由来するプロバイオティク菌株が、コンパニオンアニマルに使用される必要がある。
0005
PCT国際公開特許WO01/90311には、プロバイオティク活性を有する、ネコ及びイヌから得られた糞便試料から単離されるプロバイオティク微生物が開示されている。とはいえ、これら細菌は、糞便試料から得られたものであって、GI管の上部に存在する天然の腸内微生物相の一部を形成することはできない。
発明が解決しようとする課題
0006
従って、コンパニオンアニマルに特に適合し、並びにプロバイオティク特性及び加工を生き延びる能力で選択された、GI管の上部に存在する天然の腸内微生物相から単離することによって得られる細菌株を提供する必要と、これら菌株を前記の使用に適した組成物中に組み込む必要とがある。
課題を解決するための手段
0007
本発明によれば、動物体内でプロバイオティク(probiotic)活性を有する、切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られる乳酸桿菌属の乳酸菌株が適用される。乳酸菌株は、好ましくはラクトバシラスムリヌス/ルミヌス(Lactobacillus murinus/ruminus)種から選択される。
0008
好ましい実施形態では、乳酸菌株は、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも93%の相同性を有する16s−23sスペーサー領域DNA配列を有するものである、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス種である。
0009
更に好ましい実施形態では、乳酸菌株は、ラクトバシラスムリヌスAHC1222(NCIMB 41194);ラクトバシラス ムリヌスAHC3133(NCIMB 41195);ラクトバシラス ムリヌスAHC5323(NCIMB 41196);ラクトバシラス ムリヌスAHC6331(NCIMB 41197)及びこれらの組み合わせからなる群からから選択される。
0010
さらに、本発明は、ペットの健康を維持及び改善するための、切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られる乳酸菌の使用、ならびに前記乳酸菌を含む組成物を提供することを対象とする。
0012
(配列)
配列番号1 −ラクトバシラスムリヌスAHC 1222(NCIMB 41194)からの16s−23s遺伝子間スペーサーヌクレオチド配列。
配列番号2 − ラクトバシラス ムリヌスAHC 3133(NCIMB 41195)からの16s−23s遺伝子間スペーサーヌクレオチド配列。
配列番号3 − ラクトバシラス ムリヌスAHC 5323(NCIMB 41196)からの16s−23s遺伝子間スペーサーヌクレオチド配列。
配列番号4 − ラクトバシラス ムリヌスAHC 6331(NCIMB 41197)からの16s−23s遺伝子間スペーサーヌクレオチド配列。
配列番号5 −配列分析用16s−23sPCRプライマー配列。
0013
(菌委託番号)
以下の表に、本発明の例である菌株のための乳酸桿菌種及び菌株番号を表す。菌株は、国立産業食品及び海洋菌収集所(National Collections of Industrial Food and Marine Bacteria(NCIMB))、英国アバディーン、に委託されている。
発明を実施するための最良の形態
0017
特に指示のない限り、本文内で参照される全ての文献の内容は、その全てを本明細書に参考として組み込む。
0020
本明細書で使用する時、「その突然変異体類」という用語には、参照菌株の16s−23s遺伝子間スペーサーポリヌクレオチド配列と少なくとも88%の相同性、好ましくは少なくとも90%の相同性、より好ましくは95%の相同性を有する派生した細菌株が包含されるが、そうでなければ、細菌ゲノム内の他のDNA配列中のDNA突然変異を含む。
0021
本明細書で使用する時、「DNA突然変異」という用語には、親ヌクレオチド又はアミノ酸配列に組み込まれる遺伝子組換えを包含するが、親配列と少なくとも50%の相同性を維持する、欠失、挿入、トランスバージョン、及び当業者に公知の他のDNA修飾などの少なくとも一塩基変化を含む自然又は誘導突然変異が包含される。好ましくは、DNA突然変異(単数又は複数)を含む配列は、親配列と少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは85%の相同性を有する。本明細書で使用する時、配列の「相同性」は、当業者に公知の標準的な方法を用いて求めることができる。例えば、相同性は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で公的に入手可能なオンライン相同性アルゴリズム「BLAST」プログラムを用いて求めることができる。
0022
本明細書で使用する時、「遺伝子組換え」は、外来性及び/又は内在性DNA配列を生物体のゲノムへ、前記生物体のゲノムへの挿入によって又は当業者に公知のプラスミドDNAもしくはバクテリオファージを包含するベクターによって、組み込むことを包含し、前記DNA配列の長さは、デオキシリボ核酸塩基少なくとも2個分である。
0023
本明細書で使用する時、「コンパニオンアニマル」は家畜を意味する。好ましくは、「コンパニオンアニマル」は、飼い慣らされたイヌ科動物、ネコ科動物、ウサギ、フェレット、ウマ、ウシなどを意味する。より好ましくは、「コンパニオンアニマル」は飼い慣らされたイヌ科動物又はネコ科動物を意味する。
0024
(乳酸ラクトバシラス菌株類)
本発明の第一態様は、動物体内でプロバイオティク活性を有する、切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られる乳酸桿菌属の乳酸菌株を含む。プロバイオティクスは、生存可能かもしくは死んだ微生物、微生物の加工組成物、タンパク質もしくは炭水化物などのそれらの構成成分、又は宿主に有利に作用する細菌発酵の精製画分である。プロバイオティク細菌の一般的な使用は、生存可能な細胞の形である。しかしながら、それは、死菌液類又はプロバイオティク細菌で表される有益な要因を含有する組成物などの生育不能な細胞にまで拡大することができる。これには、加熱殺菌された微生物類、又は変化したpHへの曝露もしくは圧迫を受けることによって殺菌された微生物類を包含することができる。本発明の目的のために、「プロバイオティクス」は、別個に表示されないのであれば、発酵中に本発明の微生物類によって産生された代謝産物も包含するものとする。これらの代謝産物は、発酵の媒質から放出されることがあるか、又は微生物の体内に保存されることがある。本明細書で使用する時、「プロバイオティクス」は、細菌、細菌性ホモジネート、細菌性タンパク質、細菌性抽出物、細菌性発酵上澄み、及びこれらの組み合わせをも包含し、これらは、治療投与量で与えられると宿主動物に有利な機能を発揮する。
0025
切除及び洗浄された哺乳類のGI管から直接単離することによって得られる乳酸桿菌属の乳酸菌は、生存可能な細菌細胞の摂食後にGI管に接着すること、及び生存可能な形、生育不能な形又は分割された形で動物に与えると、著しく免疫調節性でもあることが分かっている。理論に束縛されるものではないが、切除及び洗浄されたGI管から単離することによって得られる乳酸桿菌は、腸粘膜組織と密に結び付くと考えられる。更に理論に束縛されるものではないが、これによって、プロバイオティク作用を引き起こす代替の宿主反応を生じさせる本発明のプロバイオティク乳酸桿菌が得られると考えられる。切除及び洗浄されたGI管から単離することによって得られるプロバイオティク細菌は、粘膜上皮及び宿主の免疫細胞との直接的な相互作用を介して宿主の免疫系を調節し得ることが分かっている。この免疫調節は、プロバイオティク細菌に関連する伝統的な作用機序、すなわち栄養素のための閉塞及び競合による病原体の腸への接着を予防することと併せて、プロバイオティク生物体として非常に有効な本発明の乳酸桿菌をもたらす。
0026
切除及び洗浄されたイヌ科動物のGI管から単離することによって得られる本発明の乳酸桿菌は、多数の病原菌株/種に対して生体外抗菌活性を有する。理論に束縛されるものではないが、生体外抗菌活性は動物、好ましくはイヌ科動物及びネコ科動物などのコンパニオンアニマルの生体内での潜在的なプロバイオティク活性の指標となると考えられる。本発明の乳酸菌は、好ましくは、ネズミチフス菌、リステリア菌、リステリアイノキュア又は大腸菌(Eschericia coli)、より好ましくはこれら菌株の組み合わせ、更に好ましくはこれら菌株全て、に対して生体外抗菌活性を有する。
0027
理論に束縛されるものではないが、本発明の乳酸菌の前記抗菌活性は、本明細書中の乳酸菌による多数の異なる作用の結果であり得ると考えられる。糞便試料から単離された幾つかの細菌株は、閉塞による腸粘膜への病原体類の接着を予防することによって、経口消費の後でGI管内でそれらのプロバイオティク効果を発揮することが、当該分野では以前に提案されている。これには、細菌コロニーが腸内で確立されるために「生」又は生存可能な細菌細胞の経口消費が必要である。しかしながら、切除及び洗浄されたイヌ科動物のGI管から単離によって得られる本発明の乳酸桿菌は、生存可能な形で与えられた場合には、閉塞に起因していくらかのプロバイオティク効果を発揮すると同時に、病原微生物の増殖を阻害するか又は病原微生物を殺す物質(単数又は複数)の生体外発酵中の産生に起因して、生存可能な形か又は生育不能な形で実質的なプロバイオティク効果を供給することができ、及び/又は宿主動物の免疫適合性を変えることができると考えられる。この形のプロバイオティク活性は、本発明の細菌が生存可能もしくは生育不能な培養菌又は精製された発酵産物として与えられ、その上、宿主動物に有益な治療効果を供給することができるので、望ましい。
0028
好ましくは、本発明の乳酸菌は、GI管内を通過した後に生存能を維持することが可能である。このことは、前記細菌の生きた培養菌を経口服用するため、及び食道及び胃を通過した後で腸及び腸管の中でコロニー形成が生じるために、望ましい。本発明の乳酸菌による腸及び腸管のコロニー形成は、長期のプロバイオティク効果が宿主に供給されるため望ましい。生育不能な細胞又はそれらの精製単離株の経口服用は、一時的な効果を引き起こすが、細菌は生存可能ではないので、増殖することや、その場でプロバイオティク効果を連続的に供給することができない。結果として、これは、健康上の利益を維持するために宿主に定期的に投与される必要があるかもしれない。対照して、生存可能な形で胃通過を生き延び、その後、腸粘膜に接着して増殖することによってコロニー形成することができる生存可能な細胞は、その場で連続的にプロバイオティク効果を供給することが可能である。
0029
従って、本発明の乳酸菌はpH2.5の培地中において1時間懸濁した後に生存能を維持することが好ましい。本明細書で使用する時、「生存能を維持する」とは、試験培地中で初期懸濁された細菌の少なくとも25%が、当業者に公知の平板計数法を用いて生存可能であることを意味する。好ましくは、「生存能を維持する」とは、初期懸濁された細菌の少なくとも50%が生存可能であることを意味する。本発明の乳酸菌にとって、低いpHに曝露した後に生存能を維持することは、このことが動物体内での経口消費後の生体内の胃及び上部腸内での胃液への曝露を模倣するので、望ましい。
0030
更に、本発明の乳酸菌は、少なくとも0.5%ブタ胆汁酸塩が存在下にある場合(whenin)、少なくとも66%の増殖を示すことが好ましい。本明細書で使用する増殖は、実施例3で更に詳細に説明する。より好ましくは、本発明の細菌は、少なくとも1%ブタ胆汁酸塩の存在下にある場合、少なくとも33%の増殖を示す。更に好ましくは、本発明の細菌は、少なくとも0.5%ブタ胆汁酸塩の存在下で、100%の増殖を示す。理論に束縛されるものではないが、本発明の乳酸菌は、少なくとも0.5%ブタ胆汁酸塩の存在下で生存能を維持することができ、腸内に存する状況で生存することが可能である。このことは、腸の状況を模倣する培地へのブタ胆汁の添加の結果であると考えられる。
0031
更にその上、本発明の乳酸菌は、生体外腸上皮細胞への顕著な接着を示すことが好ましい。本明細書で使用する時、「顕著な接着」とは、上皮細胞と共インキュベーションされた乳酸菌の総数の少なくとも0.2%が上皮細胞とインビトロで接着することを意味する。より好ましくは、共インキュベーションされた細菌細胞の少なくとも0.3%が上皮細胞とインビトロで接着する。理論に束縛されるものではないが、腸上皮細胞の生体外接着は、インビトロにて動物のGI管をコロニー形成する乳酸菌の能力の指標であると考えられる。
0032
好ましくは、本発明の乳酸菌株は、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス(Lactobacillus murinus/ruminus)種、ラクトバシラスクリスパトゥス(Lactobacillus crispatus)種、ラクトバシラスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)種、ラクトバシラスフェルメントゥム(Lactobacillus fermentum)種、ラクトバシラスブクネリ(Lactobacillus buchneri)種、ラクトバシラスロイテリ(Lactobacillus reuteri)種、ラクトバシラスラクティス(Lactobacillus lactis)種、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される種、より好ましくはラクトバシラス ムリヌス/ルミヌス種である。
0033
16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列は、様々な細菌の種及び菌株を同定するために使用され得る細菌ゲノム中のDNAの配列として当業者には公知である。この遺伝子間ポリヌクレオチド配列は、以下の実施例4に詳述する方法によって求めることができる。
0034
本発明の好ましい実施形態において、乳酸桿菌属の乳酸菌株は、配列番号1に係るポリヌクレオチド配列と少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有する。より好ましくは、本発明の乳酸菌株は、配列番号1に係る16s−23sポリヌクレオチド配列を有する。更に好ましくは、本発明の乳酸菌株は、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株NCIMB 41194(AHC1222)又はその突然変異体である。
0035
本発明の別の好ましい実施形態において、乳酸桿菌属の乳酸菌株は、配列番号2に係るポリヌクレオチド配列と少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有する。より好ましくは、本発明の乳酸菌株は、配列番号2に係る16s−23sポリヌクレオチド配列を有する。更に好ましくは、本発明の乳酸菌株は、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株NCIMB 41196(AHC5323)又はその突然変異体である。
0036
本発明の別の好ましい実施形態において、乳酸桿菌属の乳酸菌株は、配列番号3に係るポリヌクレオチド配列と少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有する。より好ましくは、本発明の乳酸菌株は、配列番号3に係る16s−23sポリヌクレオチド配列を有する。更に好ましくは、本発明の乳酸菌株は、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株NCIMB 41197(AHC6331)又はその突然変異体である。
0037
本発明の別の好ましい実施形態において、乳酸桿菌属の乳酸菌株は、配列番号4に係るポリヌクレオチド配列と少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の相同性を有する16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列を有する。より好ましくは、本発明の乳酸菌株は、配列番号4に係る16s−23sポリヌクレオチド配列を有する。更に好ましくは、本発明の乳酸菌株は、ラクトバシラスムリヌス/ルミヌス菌株NCIMB 41195(AHC3133)又はその突然変異体である。
0038
切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られる乳酸桿菌属の乳酸菌株は、動物、好ましくはコンパニオンアニマル又はヒトにおける経口消費後にプロバイオティク効果を供給するのに用いることができる。このプロバイオティク効果は一般に、動物の健康全般を維持及び改善する。症状の治療的軽減又は予防法による病気の予防において利益を得る動物の健康及び生理機能の非限定的な要素としては、炎症性疾患、免疫不全症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌(特に胃腸及び免疫系の癌)、下痢性疾患、抗生物質による下痢、虫垂炎、自己免疫疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、アミロイド症、リウマチ様関節炎、関節炎、関節可動性、真性糖尿病、インスリン抵抗性、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染症、歯周病、泌尿生殖器疾患、手術による外傷、手術に起因する転移性疾患、敗血症、体重減少、体重増加、過剰な脂肪組織の蓄積、拒食症、体温の調節、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア感染症、アレルギー、喘息、呼吸器系疾患、循環器系疾患、冠状動脈性心疾患、貧血、血液凝固系の疾患、腎疾患、中枢神経系の疾患、肝疾患、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌系疾患、及び上皮疾患が挙げられる。胃腸管の治療が好ましく、下痢の治療又は予防;免疫系の調節、好ましくは自己免疫疾患及び炎症の治療又は予防;皮膚及び/又は被毛の健康の維持又は改善、好ましくはアトピー性皮膚疾患の治療又は予防;精神的な自覚及び活動レベルを包含する、老化の影響の回復又は低減;並びに感染中及び感染後の体重減少の予防が挙げられる。
0039
上記の疾患の治療は、当業者に公知の方法を用いて測定することができる。例えば、自己免疫疾患や炎症を包含する炎症性疾患は、リンパ球幼若化現象、ナチュラルキラー細胞活性、ワクチンに対する抗体反応、遅延型過敏症、及びこれらの組み合わせなどの生体内免疫機能試験を用いて検出及びモニターすることができる。かかる方法は、本明細書で詳細に説明するが、当業者には周知である。
0040
1.リンパ球幼若化現象:このアッセイは、様々な分裂促進因子に対する試験動物と対照動物の新鮮全血から分離したリンパ球の生体外増殖反応を測定し、総体的なT細胞機能及びB細胞機能の測度である。詳細には、末梢血単核球(PBMC)を、当業者に公知のフィコール・ハイパーク密度遠心分離法によって全血から分離する。分離されたPBMCを、HEPES、L−グルタミン及びペニシリン/ストレプトマイシンが補充されたRPMI1640細胞培養液で2回洗浄する。洗浄した細胞をRPMI 1640中に再懸濁し、数を数えて、細胞密度を適切に調節する。2×105細胞を、様々な分裂促進因子の濃度範囲(0.1μg/mL〜100μg/mL)に曝露するが、そのうちの幾つかの例としては、ポークウィード・マイトジェン(ギブコ(Gibco))、植物性血球凝集素(ギブコ(Gibco))及びコンカナバリンA(シグマ(Sigma))に37℃において72時間で3回、並びに10%ウシ胎児血清(シグマ(Sigma))を含む5% CO2が挙げられる。54時間で、細胞を1μCi3H−チミジンに適用し、前記細胞を収集して、シンチレーション計数をトップカウント(TopCount)NXTにおいて72時間で読み取る。
0041
2.ナチュラルキラー細胞活性:米国特許第6,310,090号に記載の通り、このアッセイは、試験動物と対照動物の新鮮全血から分離されたナチュラルキラー細胞の生体外エフェクター活性を測定する。ナチュラルキラー細胞は、哺乳類の生得的な免疫機能の一構成要素である。イヌ甲状腺の腺ガン細胞を、NK細胞の細胞毒性活性を評価する際に標的細胞として使用した。この細胞株は、イヌNK細胞によって殺され易いことが以前に示された。標的細胞を、10%ウシ胎児結成(FCS)、ペニシリン100U/mL及びストレプトマイシン100μg/mLが補充された最小必須培養液(MEM;シグマ・ケミカル社(Sigma Chem.Co.)、ミズーリ州セントルイス)20mLを含むT75フラスコ内で培養した。密集したら、標的細胞をトリプシン処理し、3回洗浄して、完全培地(RPMI−1640 + 10%FCS + ペニシリン100U/mL + ストレプトマイシン100μg/mL)に5×105細胞/mLまで再懸濁した。3通りの標的細胞のアリコート100μLをピペットで96穴のU底プレート(コスター(Costar)、マサチューセッツ州ケンブリッジ)に移し、8時間インキュベートして細胞を粘着させた。(上述と同様の)フィコール・ハイパーク分離で分離したリンパ球(エフェクター細胞;100μL)を次に標的細胞に添加して、エフェクター/標的細胞(E:T)比10:1を提供した。37℃で10時間インキュベートした後、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)5μgを含有する基質20μLを添加した。前記混合物を37℃で4時間インキュベートし、その後、未代謝のMTTを吸引により除去した。95%エタノール200μLを添加することによって、ホルマザン結晶を溶解した。マイクロプレート読み取り機を用いて、570nmで光学密度を測定した。NK細胞−特異的溶解の百分率を以下のようにして計算した:
特異的細胞毒性(%)=100×{1−[(標的細胞及びエフェクター細胞のOD− エフェクター細胞のOD)/(標的細胞のOD)]}
3.ワクチンに対する抗体反応:試験対象に、プロバイオティクス又は対照摂食の少なくとも12週後に複数のワクチン(5つまで)を与える。ワクチンは新規ワクチンと重複性ワクチンの混合物であってよい。使用できる複数のワクチンの非限定的な例には、フォートドッジ・アニマル・ヘルス社(Fort Dodge Animal Health)で調製されたワクチンの混合物が包含される。本明細書に用いるのに好適なワクチンの非限定的な例としては、犬ジステンパー、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザ、及びパルボウイルスが挙げられる。試験対象のワクチン履歴によって、使用すべきワクチンが決定される。与えられたワクチンに対する特異抗体を、血中で3週間測定し、対照及びプロバイオティクス摂食群での反応の長さ及び強さを比較する。
0042
4.遅延型過敏症:免疫系状態を評価する生体内非侵襲法。この試験は、ヒツジ赤血球多価ワクチン、ヒスタミン(0.0275g/Lリン酸ヒスタミン 100μL;グリア(Greer)、ノースカロライナ州ルノアール)、又はPBS(リン酸緩衝食塩水100μL、8.5g/L;シグマ(Sigma))と組み合わせたポリクローナル分裂促進因子フィトヘムマグルチニン(PHA)の皮内注射を含む。抗原に対する免疫反応を、キャリパーを用い、注射後0、24、48及び72時間の時間間隔で皮下脂肪厚として記録する。皮下脂肪厚の増加は、本発明の細菌の処置により低下すべき高い敏捷反応の指標である。
0043
本発明の乳酸桿菌細菌の効果を求めるための追加的な方法は、米国特許第6,133,323号及び米国特許第6,310,090号に記載されている。
0044
さらに、老化の影響を回復させることは、体脂肪重量、除脂肪体重及び骨塩量を包含する身体組成を測定するための複式X線吸光光度計又はCTスキャンを用いて求めることができる。同様に、この方法は、感染後の対象の体重減少又は骨密度などの解剖学形態変化を決定するのに用いることができる。
0045
本発明の乳酸桿菌はまた、コンパニオンアニマルにおけるストレスレベルを減少させるための方法に使用することもできる。エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、コルチゾール及びC反応性タンパク質を包含する血中ストレスホルモン濃度を測定して、ストレスレベル及びその低下又は維持を求めることができる。これらホルモンは、ストレスの公認生物マーカーであり、当業者に公知の方法を用いて容易に測定することができる。
0046
更にその上、アトピー性皮膚疾患を包含するコンパニオンアニマルにおける皮膚及び/又は被毛の健康の維持又は改善を、2人の訓練された個人によって行われる皮膚及び被毛判定を用いて測定することができる。かかる判定中に評価される判定基準の例としては以下のものが挙げられる:
a)抜け毛指数:抜け毛指数は、標準化されたブラシがけセッション中に発生した毛髪を集めることによって各試験対象に割り当てられる。毛髪を確保して重さを計り、対照及び試験対象を比較する。
b)主観的な皮膚/被毛評価:訓練された官能試験員が、抜け毛、フケ、つや、均一性、柔軟性及び密度を評価することによって皮膚及び被毛状態を主観的に評価する。
c)皮膚機能性判定:皮膚表面をアセトン浸漬ガーゼで拭くことによって皮膚のバリア機能を判定することができる。この方法は、単細胞層と、関連する角質層の脂質画分とを除去することによって、皮膚バリアを効果的に破壊する。バリア破壊を、経皮水分損失(TEWL)の増加、及び障害を受けた部分の赤みの程度を当業者に公知の方法を用いて測定することによって定量化する。赤み(紅斑)スコアは、先に記載したカメラと照明装置を用いて得られる。破壊直前及び直後にTEWL読み及び赤みスコアを入手し、5時間及び24時間終点において皮膚の保護及び回復特性を判定する。
0047
コンパニオンアニマルにおける下痢の治療又は予防は便スコアを用いて測定することができる。便スコアは、以下のガイドラインに従って毎日記録することができ、本発明にかかる細菌を摂食した前後で対照群及び試験群を比較する。
0048
スコア:5 非常に乾燥している
この便は固くて、表面に張り付かない。便は、押すと転がる。便を摘み上げたときに、凹みが生じない。便は、1個の完成単位の代わりにしばしば個々の便の群で排泄される。回収後、便は元の形を保持している。
スコア:4 堅い(理想的な便)
この便は堅くて、形がよく、円筒形である。この便は、摘み上げたときに容易にはばらばらにならない。この便は表面及び手袋に残留物を残すことがある。この便はしばしば一単位として排泄される。回収後、便は元の形を保持している。
スコア:3 柔らかく、形がある
この便は柔らかいが、明確な形がある。この便は、容易にばらばらになり、また例外なく表面及び手袋に残留物を残す。便は回収後にしばしば元の形を失う。この便はしばしば別のスコアと共に現れるが、全便試料を含むことができる。
スコア:2 柔らかく、形がない
この便は柔らかく、円筒形ではない。しばしば「2」を連想させる形は「牛のパテ」型である。この便は回収するときに元の形を失い、例外なく表面及び手袋に残留物を残す。この便スコアはしばしば別のスコアと共に現れるが、全便試料を含むことができる。この便試料は数インチ(5〜15センチ)の面積に広がっていることがある。
スコア:1 液状
この便スコアは、常に液体のようであり、粒状物が存在しているかどうか分からない。この便は、1個の完全な単位の代わりに、しばしば何層もの層状に排泄される。この便試料には粘液がしばしば存在する。この便試料は非常に回収し難く、表面及び手袋に残留物が常に残る。この便試料は、数インチ(5〜15センチ)の面積に広がっていることがある。
0050
更に、コンパニオンアニマルにおける胃腸管の治療は、コンパニオンアニマルにおける微生物生態系の改善を含むこともできる。コンパニオンアニマルにおける微生物生態系の改善は、好ましくは、コンパニオンアニマルにおける糞便中の病原菌レベルの低下を含む。コンパニオンアニマルにおける糞便中に存在する病原菌のレベルは、当業者に公知の標準的な平板計数法を用いて数えることができる。より好ましくは、病原菌は、クロストリジウム属(Clostridia)、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、バクテリオデス(bacteriodes)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。病原菌の好適な菌株の非限定的な例としては、ウェルシュ菌、クロストリジウムディフィシレ、大腸菌(Eschericia coli)、ネズミチフス菌及びこれらの組み合わせが挙げられる。
0051
本発明の細菌の使用方法は、哺乳類、好ましくはコンパニオンアニマルにおける尿路の予防上又は治療上の処置を包含することもできる。尿路処置の非限定的な例としては、尿路感染の治療又は予防、腎結石を包含する腎疾患の治療又は予防、膀胱感染の治療又は予防などが挙げられる。理論に束縛されるものではないが、本発明の乳酸桿菌は、インビトロにて立証されるように、そのシュウ酸分解能の結果としてこれらの疾患の予防に有用であると考えられる。シュウ酸は、腎臓、膀胱及び他の尿路感染をもたらす不溶性沈殿を形成し得る尿代謝の副産物である。シュウ酸を分解して、その結果その沈殿及び尿路内での蓄積を潜在的に予防することによって、本発明の細菌は、尿路の感染及び他の疾患を治療及び予防することができる。シュウ酸分解は、ベーリンガー・マンハイム/R−バイオ医薬品(Boehringer Mannheim/R-Biopharm)から市販されているシュウ酸試験キットカタログ番号755699を用いてインビトロにて測定することができる。
0052
本発明の乳酸桿菌は、繊維消化の改善を含む、コンパニオンアニマルにおける健康を改善又は維持するための方法で使用することができる。繊維消化の改善は、前記プロバイオティク細菌並びに有益な内因性微生物相の増殖を促進し、そのことがいくつかの潜在的な病原菌の阻害に役立つので、望ましい。加えて、有害な代謝産物及び結腸発酵から生じる有害な酵素の量を低減することが、ヒトについて報告されている(トモマツ・H(Tomomatsu,H.)「オリゴ糖類の健康効果(Health effects of oligosaccharides)」、(1994年)フード・テクノル(Food Technol)48、61〜65)。繊維消化は、希釈糞便試料を用いて接種する代わりに、各実験が、重要な細菌株の純粋培養を用いたこと以外は、ヴィッカーズ(Vickers)ら(2001年)、「イヌ科動物の結腸微生物相による、選ばれたフラクトオリゴ糖類及び他の繊維基質の発酵の比較(Comparison of fermentation of selected fructooligosaccharides and othe rfiber substrates by canine colonic microflora)」、Am.J.Vet.Res.61(4)、609〜615に記載の方法を用いて決定することができる。
0053
本発明の乳酸菌の使用方法は、通常、動物による経口消費を伴う。経口消費は、標準的な食事摂取量の一部として、又はそのサプリメントとして行われてよい。前記の経口消費は、典型的には、少なくとも月1回、好ましくは少なくとも週1回、より好ましくは少なくとも一日1回行う。本発明の乳酸菌は、コンパニオンアニマルに治療上有効な量で与えて、動物、好ましくはコンパニオンアニマルの健康を維持又は改善することができる。本明細書で使用する時、乳酸菌に関する「治療上有効な量」とは、治療が必要な宿主動物に望ましい効果、又は利益を与えるのには十分であり、更には毒性、過敏、又はアレルギー反応などの副作用を回避するのに十分低く、本発明の方式で用いられる場合に適切な利益/危険比に見合う、細菌の量を意味する。特定の「治療上有効な量」は、治療されている特定の状態、ユーザーの物理的状態、治療の期間、併用している療法(もしあれば)の性質、用いられる特定の投薬形態、使用されるキャリア、投与形態の溶解性、及び特定の投与レジメンなどの要因によって変化する。
0054
好ましくは、乳酸菌は、コンパニオンアニマルに一日に1.0E+04〜1.0E+14 CFU、より好ましくは一日に1.0E+06〜1.0E+12 CFUの投与量で与える。前記組成物は好ましくは、切除及び洗浄されたイヌ科動物のGI管から単離することによって得られる乳酸桿菌属の乳酸菌1.0E+04〜1.0E+12 CFU/gを少なくとも0.001%含有し得る。乳酸菌は、生存可能な形態で、又は死んだ細胞、又は留出物、単離物もしくは本発明の乳酸菌の発酵産物の他の画分、あるいはこれらのいずれかの組み合わせとして、動物に与えることができる。
0055
好ましくは、乳酸菌、又はその精製もしくは単離された画分を用いて、動物の健康を維持又は改善することを目的とする組成物を調製する。上述の通り、前記組成物は標準的な食事摂取量の一部又はサプリメントであってよい。前記組成物が標準的な食事摂取量の一部を構成する場合、前記組成物は、ビスケット又は粗挽きの穀物(kibble)のような乾燥アニマルフード、加工された粒餌、湿式アニマルフード、ヨーグルト、肉汁、噛み物(chew)、トリーツなどの形態であってよい。
0056
かかる組成物は、更なる構成成分を含んでいてよい。他の構成成分は、本明細書で使用される組成物に含めるのに有益であるが、本発明の目的には任意である。例えば、フード組成物は好ましくは、栄養的にバランスが取れている。1つの実施形態では、フード組成物は、乾燥物質基準で、フード組成物の約20重量%〜約50重量%の粗タンパク質、好ましくは約22重量%〜約40重量%の粗タンパク質を含んでもよい。粗タンパク質材料は、タンパク質含量が少なくとも約15重量%のいずれかの材料を含んでいてよく、その非限定的な例としては、大豆、綿実及び落花生などの植物性タンパク質、カゼイン、アルブミン、及び肉組織などの動物性タンパク質が挙げられる。本明細書で有用な肉組織の非限定的な例としては、新鮮な肉、及び魚粉、家禽の肉粉、肉粉、骨粉などのような乾燥粉又は粉砕物(rendered meals)が挙げられる。好適な粗たんぱく質源の他の種類としては、小麦グルテン又はトウモロコシグルテン、及び酵母などの微生物起源から抽出されたタンパク質類が挙げられる。
0057
さらに、フード組成物は、乾燥物質基準で、フード組成物の約5重量%〜約35重量%の脂肪、好ましくは約10重量%〜約30重量%の脂肪を含んでもよい。その上さらに、本発明の乳酸菌を含むフード組成物は、合計食物繊維を約4重量%〜約25重量%含んでいてもよい。前記組成物は、PCT国際公開特許WO99/51108に記載されているような複合的デンプン源を含んでいてもよい。
0058
本発明の組成物は、炭水化物源をさらに含んでよい。米、トウモロコシ、ミロ、サトウモロコシ、大麦、アルファルファ、小麦などのグレイン又は穀物類が実例的な供給源である。加えて、前記組成物は、乾燥乳清及び他の酪農副産物などの他の材料を含有していてもよい。
0059
本発明の細菌を含む組成物は、プレバイオティクスを含んでいてもよい。「プレバイオティクス」には、ペットの腸管内菌叢によって発酵され、それにより病原菌を犠牲にしてペットの胃腸管内での乳酸菌の増殖又は発達を促進する物質又は化合物が包含される。この発酵の結果は、脂肪酸の放出、特に結腸内での短鎖脂肪酸の放出である。これは、結腸内でpHを下げる効果を発揮する。好適なプレバイオティクスの非限定的な例としては、イヌリン、及びフラクトオリゴ糖類、ガラクトオリゴ糖類、キシロオリゴ糖類又はデンプンのオリゴ誘導体類として一般に知られているその加水分解生成物などのオリゴ糖類が挙げられる。プレバイオティクスは、いずれかの好適な形態で提供することができる。例えば、プレバイオティクスは、繊維を含有する植物材料の形態で提供することができる。好適な植物材料としては、アスパラガス、アーティチョーク、たまねぎ、小麦又はチコリ、あるいはこれら植物材料の残留物が挙げられる。別法として、プレバイオティク繊維は、イヌリン抽出物として提供することができ、例えばチコリからの抽出物が適している。好適なイヌリン抽出物は、ベルギー国チルルモン3300のオラフティSA(Orafti SA)から「ラフチリン(Raftiline)」の商標で入手可能である。例えば、イヌリンは、白色微粉末であって、約90〜94重量%のイヌリン、約4重量%までのグルコース及びフルクトース、並びに約4〜9重量%のスクロースを含有するラフチリン(Raftiline)(g)STの形態で提供され得る。あるいは、前記繊維は、ベルギー国チルルモン3300のオラフティSA(Orafti SA)から「ラフチロース(Raftilose)」の商標で得られるようなフラクトオリゴ糖の形態であってよい。例えば、イヌリンは、ラフチロース(Raftilose)(g)P95の形態で(in the form o)提供され得る。別法では、フラクトオリゴ糖類は、酵素法によって又は微生物を用いて、イヌリンを加水分解することにより入手可能である。
0060
乾燥ペットフードの場合、適した加工は、押出し成形調理であるが、焼くことや他の好適な加工を使用してもよい。押出し成形調理の場合、乾燥ペットフードは通常、粗挽きの穀物の形態で提供される。プレバイオティクスを用いる場合、加工する前にプレバイオティクスを乾燥ペットフードの他の成分と混合することができる。適した加工は、欧州特許出願第0850569号に記載されている。プロバイオティク微生物を用いる場合、生物体を最善には乾燥ペットフードにコーティングするか又は乾燥ペットフードに詰める。好適なプロセスは、欧州特許出願EP0862863号に記載されている。
0061
湿式フードの場合、米国特許第4,781,939号及び同第5,132,137号に記載のプロセスを用いて、擬似肉製品を製造することができる。ぶつ切りタイプの製品を製造する他の手順を用いてもよい;例えば、蒸気オーブンでの調理など。あるいは、ローフ型の製品は、適した肉材料を乳化して肉エマルションを製造し、好適なゲル化剤を添加して、缶又は他の容器に詰める前に肉エマルションを加熱することによって製造することができる。典型的な湿式フード組成物は、約5%〜約15%のタンパク質、約1%〜約10%の脂肪、及び約1%〜約7%の繊維を含んでいてよい。湿式フード組成物に使用できる非限定的な成分としては、鶏肉、シチメンチョウ、牛肉、ホワイトフィッシュ、チキンブロス、シチメンチョウブロス、ビーフブロス、鶏レバー、発酵用米、挽き割りトウモロコシ、魚肉、卵、ビートパルプ、塩化物、亜麻粉、子羊、牛肉副産物、鶏肉副産物及びこれらの組み合わせが挙げられる。
0062
別の実施形態では、ビスケット、噛み物及び他のトリーツなどのサプリメント組成物は、乾燥物質基準で、サプリメント組成物の約20重量%〜約60重量%のタンパク質、又は約22重量%〜約40重量%のタンパク質を含んでもよい。別の例としては、前記サプリメント組成物は、乾燥物質基準で、サプリメント組成物の約5重量%〜約35重量%の脂肪、又は約10重量%〜約30重量%の脂肪を含んでもよい。イヌ科動物又はネコ科動物による使用を意図されたフード及びサプリメント組成物は、一般的に当該技術分野において既知である。
0063
ペットフードは、長鎖脂肪酸及び亜鉛などの他の活性剤を含有していてよい。好適な長鎖脂肪酸には、α−リノール酸、γ−リノレン酸、リノール酸、エイコサペンタン酸(eicosapentanoic acid)、及びドコサヘキサン酸(docosahexanoic acid)が包含される。魚油は、エイコサペンタン酸(eicosapentanoic acid)及びドコサヘキサン酸(docosahexanoic acid)の好適な供給源である。
0064
ルリチシャ油、黒フサスグリ実油及びマツヨイグサ油はγ−リノレン酸の好適な供給源である。ベニバナ油、ヒマワリ油、コーン油及び大豆油は、リノール酸の好適な供給源である。これらの油は、前記のコーティング基材中で使用することもできる。亜鉛は様々な好適な形態で、例えば硫酸亜鉛又は酸化亜鉛として提供され得る。さらに、ペットフードに通常使用される多くの成分は、脂肪酸及び亜鉛の供給源である。プレバイオティクス供給源としてのチコリと、大豆油などのリノール酸リッチオイルとの組み合わせは、相乗効果を連想させる、予期しない利益を提供することが観察されている。
0065
前記組成物が肉汁の形態である場合、組成物は好ましくは、少なくとも10%のブロス、又はストックを含み、ストックの非限定的な例としては、ベジタブル ビーフ(vegetable beef)、チキン又はハムのストックが挙げられる。典型的な肉汁組成物は、約0.5%〜約5%の粗タンパク質、約2%〜約5%の粗脂肪、及び約1%〜約5%の繊維を含んでいてよい。
0066
本明細書で使用するのに好適なサプリメントの更なる非限定的な例としては、粉末、油懸濁液、乳をベースとした懸濁液であるチーズ、及びピル又はカプセルが挙げられる。前記組成物がピルの形状である場合、好適な結合剤は、ピルを固体の加圧形状に保持するよう要求される。好適な結合剤の非限定的な例には、キサンタンガムなどの天然ゴム類、ペクチン、レシチン、アルギネート及び当業者に公知の他のものが包含される。前記組成物がカプセルの形状である場合、組成物は好ましくは、当業者に公知の技術を用いてカプセル封入される。好適な封入材料の非限定的な例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルギネート及びゼラチンが挙げられる。ヨーグルト系組成物は、約1%〜約5%のタンパク質、約10%〜約20%の炭水化物、約1%〜約5%の繊維、約1%〜約5%の脂肪及び約50%〜約90%の乳などの液体キャリアを含んでいてよい。
0067
以下の実施例は本発明を説明するために提供され、及びいかなる方式においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
0068
実施例1:イヌ科動物のGI管からの乳酸菌の単離
イヌ科動物の腸試料は、安楽死に着手することを承認した所有者のために地元の獣医師立会いのもとで複数の健常犬から入手した。動物は全て健康であって、病気持ちではなかった。各イヌの結腸、中央結腸、盲腸及び回腸を、粘膜を曝露するために解剖した。
0069
粘膜組織の攪拌後(1分間攪拌)、前記組織を機械的に均質化した後で上澄みを除去した。上澄みをそれぞれ、マン・ロゴサ・シャープ(de Mann Rogosa Sharpe)(MRS)寒天培地に蒔いた。これらを、アネロカルト・ガスパック・システム(Anerocult GasPak system)を用いて、37℃で48時間嫌気的にインキュベートした。プレートから単離したコロニーをMRS上に再画線し、再び、同じ条件下で嫌気的に増殖させた。単一菌株を精製するために、単離したコロニーを更に4回再画線した。コロニーのモルホロジー(morphology)及び顕微鏡像を評価した。好適な単離株は、グラム(Gram)反応及びカタラーゼ活性について試験した。グラム陽性でカタラーゼ陰性の桿体の同定は、API試験(API 50CHL、ビオメリュー(BioMerieux))を用いて行った。収集した細胞を、0.05Mリン酸緩衝液(pH6.5)及びシステイン−HCl(500mg/L)で2回洗浄した後、音波処理した。遠心分離によって細胞残屑を取り除いた。上澄みをNaF(6mg/mL)及びヨウ化酢酸Na(10mg/mL)と共に37℃で30分間インキュベートした。ヒドロキシルアミンHCl(pH6.5)と共に室温で10分間インキュベーションすることによって反応を停止した。HCl(4M)、FeCl3.6H2O(0.1M HCl中、5%(w/v))及びフルクトース−6−ホスフェート(Na塩)を加えた後、コロニーの発達をモニターした。フルクトース−6−ホスフェートからのアセチルリン酸の形成は、そのヒドロキシメートの第二鉄キレートによって形成される赤みを帯びた色で証明された。
0070
58個の乳酸菌株を切除及び洗浄されたイヌ科動物のGI管から単離し、そのうち22個が乳酸桿菌属であることが分かった。
0071
実施例2:抗菌活性のスクリーニング
単離した乳酸菌株をそれぞれ、MRSブロス中で嫌気的にインキュベートした。各培養液2μLをMRS寒天プレートにスポットで移して、嫌気的に一晩インキュベートした。ネズミチフス菌、リステリアモノサイトジェネス、リステリア イノキュア及び大腸菌(Eschericia coli)O157H45を一晩予備増殖させて、100μLを溶融寒天中に播種した(1% v/v)。この指標培養液を、播種したMRSプレートの表面に流し込んだ。一晩インキュベートした後、プロバイオティクスのコロニー周辺の阻害領域を測定した。実験はいずれも、3つの別個の機会において2回ずつ行った。加えて、緩衝液2%β−グリセロリン酸を寒天に組み込むことによって、観察したインビトロにての病原体阻害への酸産生の寄与の評価が可能になった。
0072
図1,2,3及び4に示したデータは、切除及び洗浄されたイヌ科動物のGI管から単離することによって得られる本発明の乳酸菌株が、潜在的なプロバイオティク活性の指標である、インビトロにての顕著な抗菌活性を有することをはっきりと表している。
0073
実施例3:生存及びコロニー形成のインビトロ測定
pH許容度
細菌細胞を一晩培養物から収集して、リン酸緩衝液(pH6.5)で2回洗浄し、1M HClでpH2.5に調節したMRS/TPYブロス中に再懸濁した。前記細胞を37℃で嫌気的にインキュベートし、それらの生存を、当業者に公知の平板計数法を用いて0、30、60、120、240及び360分の間隔で測定した。
0074
図5は、9個の菌株がpH2.5において1時間を超える耐性がなかったこと、及び49個の菌株がpH2.5において1時間を超える耐性を示したことがはっきりと表している。表2には、菌株毎にこのデータをまとめる。
0075
(胆汁耐性)
菌株は、ブタ胆汁(シグマ(Sigma))を0.5%、1%及び5%(w/v)で補充したMRS寒天に画線した。プレートを嫌気性条件下、37℃でインキュベートし、48時間後に増殖を記録した。増殖を、経験をつんだ観察者により、対照プレートと比較し、コロニーの成長は以下に記載の通りであった:
陰性(0)−成長せず;
+(1)−かすんだ半透明の成長(<33%対照−胆汁0%含有プレート);
++(2)−対照ほどではないが明確な成長(>33%であるが<66%);
+++(3)−対照と同等に成長(>66%)。
0078
(腸上皮細胞接着)
ヒト上皮株化細胞、HT−29、を用いて、選択された菌株の接着特性を評価した。上皮細胞を、単層として75cm2組織培養フラスコ中、37℃において5%CO2を含有する湿潤雰囲気で、10%子ウシ胎児血清(FCS)、pen/strep、グルタミン及びフンギソンを含有するダルベッコ(Dulbecco)基礎培地(DMEM)において規則的に培養した。実験目的のために、上皮細胞を6穴培養プレート(サルシュテッド(Sarstedt))に、一穴につき5×105細胞/mL(合計容量3mL)の濃度で蒔いた。7日間インキュベートした後、分化を行い、上皮の単層を10%FCSを含有する抗生物質を含まない培養液で洗浄した。抗生物質を含まないDMEMと共に/その中の細菌懸濁液をそれぞれの穴に加えて、細胞を37℃で90分間インキュベートした。インキュベート後、単層をPBSで3回洗浄した。上皮細胞を脱イオンH2Oに溶解し、接着性細菌の数を、当業者に公知の平板計数法を用いて数え上げた。接着を、最初に蒔いた細菌の数の百分率で表した。
0079
図7から分かるように、NCIMBに委託番号NCIMB 41194、NCIMB 41195、NCIMB 41196及びNCIMB 41197で預けられた乳酸桿菌株は、HT−29腸上皮細胞に少なくとも0.2%の程度で接着する。
0080
実施例4:16s−23s遺伝子間ポリヌクレオチド配列決定
乳酸桿菌コロニーを寒天プレートから選んで、IXPCR緩衝液中に再懸濁し、96℃で5分間加熱し、−70℃で5〜10分間凍結させ、解凍して、アリコートをPCRエッペンドルフ(eppendorf)チューブに入れた。PCRは、遺伝子間スペーサー(IGS)プライマー、IGS L:5’−GCTGGATCACCTCCTTTC−3’及びIGS R:5’−CTGGTGCCAAGGCATCCA−3’を用いて行った。サイクル条件は、96℃で1分(1サイクル)、94℃で30秒、53℃で30秒、72℃で30秒(28サイクル)であった。PCR反応は、DNA 5μL、PCR緩衝液(バイオライン(Bioline)、英国)、0.2mM dNTPs(ロッシュ(Roche)、英国)、0.4μM IGS L及びRプライマー(150 ng/50μL)(MWGバイオテック(Biotech)、ドイツ)並びにバイオライン(Bioline)Taqポリメラーゼ(0.6単位)を含有していた。PCR反応はハイバイド(Hybaid)熱循環装置で行った。PCR生成物(8μL)は、分子量マーカー(φΧ174 Hae III、プロメガ(Promega))と一緒にTAE中2%アガロースEtBr染色ゲル上でにじませて、それらのIGS特性を求めた。上記と同じプライマーを用いて、4種のイヌ科動物の乳酸桿菌株についての遺伝子間スペーサー(IGS)DNAを、当業者に公知の方法を用いて配列決定した。
0081
配列決定後、4種の預けられた菌株について得られた配列を、他の預けられた細菌16s−23s配列との相同性についてhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で入手可能なオンライン配列データベース「BLAST」と比較した。AHC1222,3133,5323及び6331(それぞれNCIMB 41194,41195,41196及び41197)と最もよく一致したのは、ラクトバシラスルミニス(Lactobacillus ruminis)菌株AF080103であった。しかしながら、AHC菌株とラクトバシラス ルミニス(Lactobacillus ruminis)菌株との間の幾つかの大きな違いがスペーサー領域にあり、その結果、相同性スコアは87%、及びBLASTスコアは少なくとも170となる。
0082
実施例5:組成物例
実施例1〜4は、本発明のプロバイオティク乳酸桿菌を含む乾燥した粗挽き穀物組成物の例である。
0084
実施例8〜10は、本発明のプロバイオティクスビフィズス菌グロボスムを含むヨーグルトサプリメント組成物の例である。
0085
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図面の簡単な説明
0086
実施例2で設定した方法論に従った本発明の乳酸桿菌によるネズミチフス菌のインビトロ増殖の阻害を表す。
実施例2で設定した方法論に従った本発明の乳酸桿菌によるリステリアモノサイトジェネスのインビトロ増殖の阻害を表す。
実施例2で設定した方法論に従った本発明の乳酸桿菌によるリステリア イノキュアのインビトロ増殖の阻害を表す。
実施例2で設定した方法論に従った本発明の乳酸桿菌による大腸菌O157H45のインビトロ増殖の阻害を表す。
実施例3で設定した方法論に従った本発明の乳酸桿菌のインビトロ酸安定性を表す。
0.5%、1%及び5%ブタ胆汁酸塩の存在下での本発明の乳酸桿菌の増殖特性を表す。
本発明の乳酸桿菌の、HT−29腸上皮細胞へのインビトロ接着能を表す。
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