図面 (/)

技術 ナノスケールの金触媒、活性化剤、担体媒体、および、特に金を物理的蒸着を用いて担体媒体の上に堆積させて、そのような触媒系を製造するのに有用な関連の方法

出願人 スリーエムイノベイティブプロパティズカンパニー
発明者 ラリー・エイ・ブレイトーマス・イー・ウッドジーナ・エム・ブッセラートマービン・イー・ジョーンズクレイグ・エス・チェンバレンアレン・アール・シードル
出願日 2004年9月23日 (16年2ヶ月経過) 出願番号 2006-528169
公開日 2007年3月22日 (13年8ヶ月経過) 公開番号 2007-506548
状態 特許登録済
技術分野 炭素・炭素化合物 原子、分子の操作により形成されたナノ構造物 触媒 物理蒸着 触媒 空気の消毒,殺菌または脱臭 ナノ構造物
主要キーワード 較正機器 スウェイジ 合計回転 微量調整 ゲスト粒子 認定品 気泡流量 ソースターゲット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年3月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

活性化担体媒体の上にナノスケールの金を堆積させるために物理的蒸着法を使用することによって、触媒的に活性な金が劇的に容易に使用できるようになり、金ベースの触媒系の開発、製造および使用に関連して顕著な改良への道が開けた。したがって本発明は、金ベースの不均一触媒系新規な特性、成分および配合に関し、一般的には、ナノ多孔質担体の上に堆積されたナノスケールの金を含む。

概要

背景

超微細な、ナノスケール金粒子は、通常の粗い金の結晶粒性質とは異なった、特異的な物理的および化学的な性質を示すことが知られている(非特許文献1参照)。具体的には、そのような超微細な金は触媒的に活性であって、一酸化炭素酸化して二酸化炭素を形成させるための触媒として使用することができる。触媒的に活性な金についてはさらに、その他の酸化反応、たとえばディーゼル排気流れ中の炭素質の酸化、不飽和および飽和炭化水素の酸化などの触媒に使用することも提案されている。

一般的には、超微細な金の粒子は極めて移動しやすく、大きな表面エネルギーを有しているために、容易に凝結する傾向がある。事実、そのような凝結が起きることを防ぐのは困難であって、そのために超微細な金の取扱は困難であった。そのような移動性は、金の粒子サイズが大きくなるにつれて、その触媒活性が低下してしまうという点から、望ましいものではない。この難点は、比較的金独特のものであって、他の貴金属たとえばPtおよびPdではほとんど問題とならない。そのために、担体の上に超微細な金粒子を均質に分散させた状態で堆積させ、固定するための方法の開発が望まれていた。

各種の担体の上に触媒的に活性な金を堆積させるための、今日までに知られている基本的な方法について、ボンド(Bond)およびトンソン(Thompson)が最近まとめているが(非特許文献2)、それに含まれているのは、以下のような方法である:(i)共沈殿法(担体と金の前駆体を、炭酸ナトリウムのような塩基を添加することによって、溶液からおそらく水酸化物として取り出す)、(ii)堆積−沈殿法(pHを高くすることによって、予め形成してある担体の懸濁体の上に金の前駆体を沈殿させる)、(iii)イワサワ法(Iwasawa’s method)(金−ホスフィン錯体(たとえば、[Au(PPh3)]NO3)を製造して、フレッシュに沈殿させた担体前駆体と反応させる)。その他の方法、たとえばコロイドの使用、グラフト、および蒸着を用いた場合も、その成功の程度は様々である。

しかしながら、それらの方法には重大な困難さがあり、その結果についてはヴォルフ(Wolf)およびシュース(Schuth)によって適切にまとめられている(非特許文献3、以後、「ヴォルフ(Wolf)らの文献」と呼ぶ)。「論文明記されることは少ないが、活性の高い金触媒では典型的には、非常に再現性が低いということも、よく知られている。」それらの方法に付随して、このような深刻な再現性の問題が起きる理由としては以下のようなことを挙げることができる:金粒子のサイズを調節するのが困難、たとえばClのようなイオンによる触媒の被毒、それらの方法ではナノサイズの金粒子の堆積を調節することが不可能、基材の細孔の内部での金の活性の喪失、触媒を活性化させるために場合によっては加熱処理が必要、加熱処理によるある程度の触媒サイト不活性化、金の酸化状態の調節不能、塩基の添加による金溶液の加水分解における不均質性

特許文献1には、担体媒体の上に金を堆積させるためにPVD法を使用することが記載されている。しかしながら、実施例に挙げられている担体媒体は、その媒体ナノ多孔性には欠けるような条件下で製造された、単なるセラミックチタネートである。したがって、この文献は、PVD法を用いて堆積させた触媒的に活性な金を担持するためには、ナノ多孔質媒体を使用することが重要であるということに関する認識に欠ける。特許文献2および特許文献3には、担体媒体、触媒的に活性な金属、および/またはそれらの担体媒体の上に触媒的に活性な金属を提供するための方法が列挙されている。しかしながら、これらの2件の文献は、PVDによって堆積させる触媒的に活性な金のための担体としてナノ多孔質媒体を使用することの利点に関する認識に欠けている。事実、特許文献2では、好適な担体として、ナノ多孔性に欠けるものが多数挙げられている。
独国特許出願公開第10030637A1号明細書
国際公開第99/47726号パンフレット
国際公開第97/43042号パンフレット
ウルトラファインパーティクルズ(Ultra−fine Particles)』(アグネ・パブリッシングセンター(Agne Publishing Center)、1986)
G.C.Bond(G.C.Bond)およびデービッド・T・トンプソン(David T.Thompson)、ゴールドブリテン(Gold Bulletin)、2000、33(2)41
ヴォルフ(Wolf)およびシュース(Schuth)、アプライド・キャタリシス・A:ジェネラル(Applied Catalysis A、General)、226(2002)2

概要

活性化担体媒体の上にナノスケールの金を堆積させるために物理的蒸着法を使用することによって、触媒的に活性な金が劇的に容易に使用できるようになり、金ベースの触媒系の開発、製造および使用に関連して顕著な改良への道が開けた。したがって本発明は、金ベースの不均一触媒系新規な特性、成分および配合に関し、一般的には、ナノ多孔質担体の上に堆積されたナノスケールの金を含む。

目的

そのために、担体の上に超微細な金粒子を均質に分散させた状態で堆積させ、固定するための方法の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
6件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ナノ多孔質担体媒体の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させることを含む、不均一触媒系を製造する方法。

請求項2

前記触媒系が約1×10−9〜約0.1の範囲の浸透深さ比を有するような条件下で、前記触媒的に活性な金を、担体媒体の上に堆積させる、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記系が、金と担体媒体との合計重量を基準にして、0.005〜1.5重量パーセントの金を含むような条件下で、前記触媒的に活性な金を、担体媒体の上に堆積させる、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記系が、金と担体媒体との合計重量を基準にして、0.005〜0.1重量パーセントの金を含む、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記担体媒体が活性炭を含む、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記担体媒体がアルミナを含む、請求項1に記載の方法。

請求項7

水溶性の塩を前記担体媒体の上に含浸させる工程をさらに含み、ここで前記含浸を、金の堆積よりも先に起こさせる、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記担体媒体の上に活性化剤を含浸させる工程をさらに含み、ここで前記含浸を、金の堆積よりも先に起こさせる、請求項1に記載の方法。

請求項9

約200℃を超える温度で、前記含浸された担体媒体を加熱処理する工程をさらに含み、ここで前記加熱処理を、金の堆積よりも先に起こさせる、請求項7に記載の方法。

請求項10

前記水溶性の塩が硝酸塩を含む、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記水溶性の塩が炭酸塩を含む、請求項7に記載の方法。

請求項12

前記水溶性の塩がアルカリ金属塩を含む、請求項7に記載の方法。

請求項13

前記アルカリ金属塩がカリウム塩を含む、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記水溶性の塩がアルカリ土類金属塩を含む、請求項7に記載の方法。

請求項15

前記アルカリ土類金属塩がバリウム塩を含む、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記水溶性の塩が炭酸カリウムを含む、請求項7に記載の方法。

請求項17

前記担体媒体が炭素質物質を含む、請求項7に記載の方法。

請求項18

前記担体媒体が炭素質物質を含む、請求項11に記載の方法。

請求項19

前記担体媒体が炭素質物質を含む、請求項12に記載の方法。

請求項20

前記担体媒体が炭素質物質を含む、請求項16に記載の方法。

請求項21

前記水溶性の塩がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を含む、請求項7に記載の方法。

請求項22

前記アルカリ金属塩がカリウム塩を含み、前記アルカリ土類金属塩がバリウム塩を含む、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記アルカリ金属塩が炭酸カリウムを含み、前記アルカリ土類金属塩が硝酸バリウムを含む、請求項21に記載の方法。

請求項24

前記担体媒体がアルミナを含む、請求項21に記載の方法。

請求項25

前記担体媒体がアルミナを含む、請求項22に記載の方法。

請求項26

前記担体媒体が、触媒的に活性な金の物理的蒸着を起こさせている時間の少なくとも一部の間に、混合および微粉化される、請求項1に記載の方法。

請求項27

前記担体媒体の上に、少なくとも1種の追加の触媒を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項28

前記ナノ多孔質担体媒体がメッシュサイズ、a×bを有し、ここで、aが約8〜約12の範囲であり、bが約20〜約40の範囲である、請求項1に記載の方法。

請求項29

aとbとの差が、約8〜約30の範囲である、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記ナノ多孔質担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金の全厚みが、50nm未満である、請求項1に記載の方法。

請求項31

前記ナノ多孔質担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金の全厚みが、30nm未満である、請求項1に記載の方法。

請求項32

前記ナノ多孔質担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金の全厚みが、20nm未満である、請求項1に記載の方法。

請求項33

a)ナノ多孔質担体媒体、b)前記担体媒体の上に含浸させた少なくとも1種の水溶性の塩、およびc)前記担体媒体に上に、約1×10−9〜約0.1の範囲の浸透深さ比で堆積させた触媒的に活性な金、を含む不均一触媒系。

請求項34

前記ナノ多孔質担体媒体がメッシュサイズ、a×bを有し、ここで、aが約8〜約12の範囲であり、bが約20〜約40の範囲である、請求項33に記載の不均一触媒系。

請求項35

aとbとの差が、約8〜約30の範囲である、請求項34に記載の不均一触媒系。

請求項36

前記ナノ多孔質担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金の全厚みが、50nm未満である、請求項33に記載の不均一触媒系。

請求項37

前記ナノ多孔質担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金の全厚みが、30nm未満である、請求項33に記載の不均一触媒系。

請求項38

前記ナノ多孔質担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金の全厚みが、20nm未満である、請求項33に記載の不均一触媒系。

請求項39

COを酸化させる方法であって:a)以下のものを含む不均一触媒系を提供する工程:i)ナノ多孔質担体媒体、ii)前記担体媒体の上に存在する、促進作用を有する量のアルカリ金属塩、およびiii)前記担体媒体の上に存在する触媒的に活性な金、ならびにb)前記不均一触媒系をCOと触媒的に接触させるようにする工程、を含む、方法。

請求項40

前記担体媒体が炭素質物質を含む、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記アルカリ金属塩がカリウム塩を含む、請求項40に記載の方法。

請求項42

前記アルカリ金属塩が炭酸カリウムを含む、請求項40に記載の方法。

請求項43

前記担体媒体に上に含浸させたアルカリ土類金属塩をさらに含む、請求項39に記載の方法。

請求項44

前記アルカリ土類金属塩がバリウム塩を含む、請求項43に記載の方法。

請求項45

前記担体媒体がアルミナを含む、請求項43に記載の方法。

請求項46

前記担体媒体がアルミナを含む、請求項44に記載の方法。

請求項47

前記工程(b)を、周囲条件下においてCOを供給することにより起こさせる、請求項39に記載の方法。

請求項48

前記工程(b)を、5℃未満の温度でCOを供給することにより起こさせる、請求項39に記載の方法。

請求項49

請求項1に記載の方法に従って製造した不均一触媒系を、COと触媒的に接触させるようにする工程を含む、COを酸化させる方法。

請求項50

(a)ナノ多孔質、触媒担体媒体の上に水溶性の塩を含浸させる工程、(b)前記含浸させた担体媒体を、約200℃より高い温度で加熱処理する工程、および(c)前記加熱処理した担体媒体の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程、を含む、触媒系を製造する方法。

請求項51

(a)ナノ多孔質触媒担体媒体の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程、および(b)前記物理的蒸着の少なくとも一部の間に、前記担体媒体を混合および微粉化する工程、を含む、触媒系を製造する方法。

請求項52

請求項1の方法に従って調製した不均一触媒系。

請求項53

a)水溶性塩を用いて含浸された担体媒体の上に物理的に蒸着された金の触媒活性に対して、前記塩が与える影響力を示す情報を決定する工程、およびb)前記情報を使用して、塩、媒体、および金を含む成分から誘導される触媒系を製造する工程、を含む、不均一触媒系を製造する方法。

請求項54

(a)ナノ多孔質触媒担体媒体の上に水溶性の塩を含浸させる工程、(b)前記含浸させた担体媒体の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程、を含む、触媒系を製造する方法。

請求項55

a)ナノ多孔質担体媒体、b)前記担体媒体の上に含浸させたアルカリ金属塩、およびc)前記担体媒体の上に物理的に蒸着された触媒的に活性な金、を含む不均一触媒系。

請求項56

請求項33〜38、52、または55に記載の不均一触媒系を含む、呼吸保護システム

請求項57

前記システムが、個人のための呼吸保護システムである、請求項56に記載の呼吸保護システム。

請求項58

前記システムが、建造物における呼吸保護システムである、請求項56に記載の呼吸保護システム。

請求項59

前記システムが、車両における呼吸保護システムである、請求項56に記載の呼吸保護システム。

請求項60

前記システムが、マスクおよび避難用フードからなる群より選択される、請求項56に記載のシステム。

請求項61

前記システムが、空気清浄化装置を含む、請求項56に記載のシステム。

請求項62

前記システムが、前記不均一触媒系を含む濾過床を含む、請求項56に記載のシステム。

請求項63

有機化合物を酸化させるために、請求項56〜62のいずれか一項に記載のシステムを使用する方法。

請求項64

前記化合物がCOである、請求項63に記載の方法。

請求項65

有機化合物を酸化させるために、請求項33〜38、52、または55のいずれか一項に記載の触媒系を使用する方法。

請求項66

前記化合物がCOである、請求項65に記載の方法。

請求項67

ナノ多孔質担体媒体の上の金属アルコキシド加水分解する工程を含み、前記加水分解工程に続けて、物理的蒸着を使用して、前記担体の上に触媒的に活性な金を堆積させることを含む、触媒系を製造する方法。

請求項68

前記加水分解工程の後ではあるが、前記金の堆積工程の前に、前記担体を加熱処理する工程をさらに含む、請求項67に記載の方法。

請求項69

請求項63〜68のいずれか一項に記載のプロセスにより製造した触媒系。

請求項70

a)比較的大きなホスト粒子の上に複数の比較的細かいナノ多孔質ゲスト粒子組み入れて、複数の複合粒子を形成させる工程、およびb)前記複合粒子の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程、を含む、触媒系を製造する方法。

請求項71

複数の比較的小さいナノ多孔質ゲスト粒子の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程、および前記金堆積の後に、複数の比較的大きなホスト粒子の上に前記ナノ多孔質ゲスト粒子を組み入れる工程、を含む、触媒系を製造する方法。

請求項72

請求項70および71のいずれかに記載の方法により製造された複合粒子を含む、呼吸保護システム。

請求項73

請求項70および71のいずれかに記載の方法により製造された触媒系。

請求項74

(a)複数の比較的細かい、ナノ多孔質粒子と、複数の比較的粗い粒子とを複数の複合粒子の中に組み入れる工程、および(b)前記複合粒子の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程、を含む、不均一触媒系を製造する方法。

請求項75

前記比較的細かい、ナノ多孔質粒子が、チタン酸化物を含む、請求項74に記載の方法。

請求項76

前記比較的粗い粒子が、アルミナを含む、請求項74に記載の方法。

請求項77

前記比較的細かい、ナノ多孔質粒子が、100マイクロメートル未満粒径を有する、請求項74に記載の方法。

請求項78

前記比較的粗い粒子が、30メッシュよりも大きい、請求項74に記載の方法。

請求項79

不均一触媒系であって、複数の、複合的で触媒的に活性な粒子を含み、ここで、前記複合的で触媒的に活性な粒子が、比較的細かい粒子と、比較的粗い粒子とを含む成分から誘導され、そして、ここで、前記複合粒子が、比較的細かい粒子の上に、物理的蒸着を使用して堆積させた触媒的に活性な金を含む、不均一触媒系。

請求項80

前記比較的細かい粒子が、チタンの酸化物を含む、請求項79に記載の不均一触媒系。

請求項81

前記比較的粗い粒子が、アルミナを含む、請求項79に記載の不均一触媒系。

請求項82

前記複合粒子が、酸化チタンコーティングしたアルミナ粒子を含む、請求項79に記載の不均一触媒系。

請求項83

前記成分が、アルカリ金属塩をさらに含む、請求項79に記載の不均一触媒系。

請求項84

前記アルカリ金属塩が炭酸カリウムを含む、請求項83に記載の不均一触媒系。

請求項85

前記成分が、塩から誘導される活性化構成要素をさらに含む、請求項79に記載の不均一触媒系。

請求項86

前記活性化構成要素が、カリウムを含む、請求項83に記載の不均一触媒系。

請求項87

前記活性化構成要素が、ナトリウムを含む、請求項83に記載の不均一触媒系。

請求項88

不均一触媒系であって、比較的粗い担体媒体の上に堆積させた複数の比較的細かい粒子を含み、そして、前記系が触媒的に活性な金を含む、不均一触媒系。

請求項89

請求項79〜88のいずれか一項に記載の不均一触媒系を含む、呼吸保護システム。

技術分野

0001

本発明は金ベース触媒系に関し、特に、ナノスケール金粒子ナノ多孔質担体媒体上に固定した金ベース触媒系に関する。

背景技術

0002

超微細な、ナノスケールの金粒子は、通常の粗い金の結晶粒性質とは異なった、特異的な物理的および化学的な性質を示すことが知られている(非特許文献1参照)。具体的には、そのような超微細な金は触媒的に活性であって、一酸化炭素酸化して二酸化炭素を形成させるための触媒として使用することができる。触媒的に活性な金についてはさらに、その他の酸化反応、たとえばディーゼル排気流れ中の炭素質の酸化、不飽和および飽和炭化水素の酸化などの触媒に使用することも提案されている。

0003

一般的には、超微細な金の粒子は極めて移動しやすく、大きな表面エネルギーを有しているために、容易に凝結する傾向がある。事実、そのような凝結が起きることを防ぐのは困難であって、そのために超微細な金の取扱は困難であった。そのような移動性は、金の粒子サイズが大きくなるにつれて、その触媒活性が低下してしまうという点から、望ましいものではない。この難点は、比較的金独特のものであって、他の貴金属たとえばPtおよびPdではほとんど問題とならない。そのために、担体の上に超微細な金粒子を均質に分散させた状態で堆積させ、固定するための方法の開発が望まれていた。

0004

各種の担体の上に触媒的に活性な金を堆積させるための、今日までに知られている基本的な方法について、ボンド(Bond)およびトンソン(Thompson)が最近まとめているが(非特許文献2)、それに含まれているのは、以下のような方法である:(i)共沈殿法(担体と金の前駆体を、炭酸ナトリウムのような塩基を添加することによって、溶液からおそらく水酸化物として取り出す)、(ii)堆積−沈殿法(pHを高くすることによって、予め形成してある担体の懸濁体の上に金の前駆体を沈殿させる)、(iii)イワサワ法(Iwasawa’s method)(金−ホスフィン錯体(たとえば、[Au(PPh3)]NO3)を製造して、フレッシュに沈殿させた担体前駆体と反応させる)。その他の方法、たとえばコロイドの使用、グラフト、および蒸着を用いた場合も、その成功の程度は様々である。

0005

しかしながら、それらの方法には重大な困難さがあり、その結果についてはヴォルフ(Wolf)およびシュース(Schuth)によって適切にまとめられている(非特許文献3、以後、「ヴォルフ(Wolf)らの文献」と呼ぶ)。「論文明記されることは少ないが、活性の高い金触媒では典型的には、非常に再現性が低いということも、よく知られている。」それらの方法に付随して、このような深刻な再現性の問題が起きる理由としては以下のようなことを挙げることができる:金粒子のサイズを調節するのが困難、たとえばClのようなイオンによる触媒の被毒、それらの方法ではナノサイズの金粒子の堆積を調節することが不可能、基材の細孔の内部での金の活性の喪失、触媒を活性化させるために場合によっては加熱処理が必要、加熱処理によるある程度の触媒サイト不活性化、金の酸化状態の調節不能、塩基の添加による金溶液の加水分解における不均質性

0006

特許文献1には、担体媒体の上に金を堆積させるためにPVD法を使用することが記載されている。しかしながら、実施例に挙げられている担体媒体は、その媒体ナノ多孔性には欠けるような条件下で製造された、単なるセラミックチタネートである。したがって、この文献は、PVD法を用いて堆積させた触媒的に活性な金を担持するためには、ナノ多孔質媒体を使用することが重要であるということに関する認識に欠ける。特許文献2および特許文献3には、担体媒体、触媒的に活性な金属、および/またはそれらの担体媒体の上に触媒的に活性な金属を提供するための方法が列挙されている。しかしながら、これらの2件の文献は、PVDによって堆積させる触媒的に活性な金のための担体としてナノ多孔質媒体を使用することの利点に関する認識に欠けている。事実、特許文献2では、好適な担体として、ナノ多孔性に欠けるものが多数挙げられている。
独国特許出願公開第10030637A1号明細書
国際公開第99/47726号パンフレット
国際公開第97/43042号パンフレット
ウルトラファインパーティクルズ(Ultra−fine Particles)』(アグネ・パブリッシングセンター(Agne Publishing Center)、1986)
G.C.Bond(G.C.Bond)およびデービッド・T・トンプソン(David T.Thompson)、ゴールドブリテン(Gold Bulletin)、2000、33(2)41
ヴォルフ(Wolf)およびシュース(Schuth)、アプライド・キャタリシス・A:ジェネラル(Applied Catalysis A、General)、226(2002)2

発明が解決しようとする課題

0007

端的に言えば、金は触媒としては大きな可能性を有してはいるが、触媒的に活性な金を取扱うのが困難であるために、商業的に使用可能な金ベースの触媒系を開発するには大きな制約があった。

課題を解決するための手段

0008

本願発明者らの見出したところでは、活性化ナノ多孔質担体媒体の上にナノスケールの金を堆積させるために物理的蒸着法を使用することによって、触媒的に活性な金が劇的に容易に使用できるようになり、金ベースの触媒系の開発、製造および使用に関連して顕著な改良への道が開けた。したがって本発明は、金ベースの不均一触媒系新規な特性、成分および配合に関し、一般的には、ナノ多孔質担体の上に堆積されたナノスケールの金を含む。本発明の多くの態様によって、担体媒体の上への触媒堆積(特に、ナノ多孔質担体の上への触媒的に活性な金の堆積)、触媒担体構造、触媒系の設計、触媒活性化剤、および触媒系の性能向上のための活性化剤使用方法、のような領域において顕著な進歩が得られるが、これらに限定される訳ではない。本発明のいくつかの態様は一般に、たとえば白金パラジウムロジウムルテニウムモリブデンイリジウム、銅、銀、ニッケル、鉄、などのような他の触媒の、広い範囲に適用することができる。

0009

本発明の金ベース触媒系は、優れた触媒性能を有している。これらの系は、人、車両、建造物保護形態でのCOの低減、内燃機関からの排気ガス浄化のための触媒および触媒担体燃料電池原料からのCOの除去の領域における応用、ならびに、ディーゼル排気流れ中の炭素質の煤の酸化、および有機化合物選択的酸化のようなその他の酸化反応への触媒作用への応用が見出された。たとえばこれらの金ベース触媒系は、不飽和および飽和炭化水素の接触酸化のための触媒系として適している。「炭化水素」という用語は、不飽和または飽和炭化水素、たとえばオレフィンまたはアルカンを意味する。その炭化水素には、N、O、P、Sまたはハロゲンのようなヘテロ原子が含まれていてもよい。酸化される有機化合物は、非環式単環式、2環式、または多環式のいずれであってもよく、また、モノオレフィン性ジオレフィン性、またはポリオレフィン性のいずれであってもよい。二つ以上の二重結合を有する化合物の中の二重結合は共役していても、非共役であってもよい。

0010

総括的には、本発明の一つの態様には、1種または複数の触媒的に活性な金属たとえば金を、ナノ多孔質担体の上へ堆積させるための、物理的蒸着(PVD)法の使用を含む。ナノ多孔質担体のいくつかの実施態様では、担体の容積全体を通して極めて大きな表面積を有しており、通常の方法では、可能な限りその容積全体にわたって、触媒によりそのような媒体を含浸させることを含んでいる。事実、技術文献においては、受容可能な触媒性能を達成するためには、そのような「全容積(full volume)」含浸が必要であると書かれている。しかしながら、PVDは、視線コーティング(line of sight coating)技術となる傾向があって、これが意味するところは、PVDでは、主としてナノ多孔質担体媒体の表面と表面の直ぐ近く(たとえば拡散によって、ほんのわずかではあるが表面浸透が起きるため)に触媒を堆積させるということである。従来からの考え方からすれば、ナノ多孔質媒体は充分に利用されないように思われ、そのため、PVDはあたかもこのような文脈で使用するのには不適切な技術であるかのように見える。しかしながら、ナノ多孔質媒体のナノスケールトポグラフィー上へ、触媒的に活性な金属を表面堆積/コーティングさせると、従来からの知見に反して、その触媒系に優れた性能が与えられるということを、本願発明者らは見出した。たとえば金の場合、それらのナノスケールの特性が金を固定するのに役立ち、別な方法では性能低下をもたらす可能性のある金の集積を防ぐと思われる。簡潔に言えば、ナノ多孔質担体媒体が、単にその媒体の容積全般で大きな表面積を有しているということ以上に、触媒としてより大きな寄与があるということを、本発明が正当に評価したということである。

0011

本発明のいくつかの態様においては、触媒的に活性な金属のPVDを独特の方法で実施している。一つのアプローチにおいては、少なくともPVD処理の一部の間に、ある程度まで担体媒体をタンブリング(あるいは別な方法としては、流動化)と微粉化(たとえば、粉砕または磨砕)の両方を実施する。PVDの間に媒体を微粉化(comminuting)させると、得られる触媒系の性能が向上することが見出された。

0012

別な態様においては、担体媒体に活性化剤を含浸させることとは独立して、および含浸させた後に、PVDを用いて、金のような触媒的に活性な金属を堆積させる。簡潔に言えば、実施の好ましい形態には、担体媒体を1種または複数の活性化剤を用いて含浸させ、乾燥させ、場合によってはか焼した後にのみ、PVDを用いて金を堆積させることが含まれる。このことは、触媒的に活性な金属と組み合わせて使用することが可能な活性化剤の範囲を大幅に広げることになる。本願発明者らは、別な方法としての、金を堆積させるために使用する湿式法では、反応してしまったり、溶液の中に溶解しすぎたりする成分も、使用することができた。たとえば、本発明のプロセスでは、極めて塩基性または水溶性物質を含む媒体の上にも、金またはその他の金属を堆積させることができる。このことは、水溶性の金属塩を活性化剤として試験し、使用することに道を開いたことになるが、その理由は、次いで金をPVDを用いて堆積させる際に、それらの金属塩が洗い流されてしまうことがないからである。担体媒体の上に金を溶液プロセスによって含浸させるような場合には、そのような塩を活性化剤として使用することは、極めて非実用的なものとなるであろうが、その理由は、その金溶液がその水溶性物質を洗い流してしまうか、および/またはその金溶液がそれらの活性化剤とは化学的に両立しないからである(たとえば、金溶液は、たとえば、HAuCl4の場合のように、強酸性となりやすい)。

0013

アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩のような水溶性の塩は、安価で、容易に入手でき、そして本発明を実施する場合には触媒系の中に容易に組み込むことが可能である。特にナノ多孔質炭素担体媒体を活性化させるために使用した場合には、金ベースの触媒の作用に対してそれらの塩が有力な活性化剤であることが見出されたのは、極めて重要なことである。前もって担体媒体を活性化させておくことと、触媒的に活性な金をPVD堆積させることとを分けておくことが、金ベースの触媒作用のために活性化塩を含む炭素媒体担体を使用することにおいて、この進歩を可能とするためのキーである。

0014

本発明は、多くの特徴と利点を提供する。第一に、本願発明者らの観察したところでは、金のような触媒的に活性な金属は、PVDにより堆積させたときに、ただちに活性を示す。いくつかの他の方法の場合では必要とされるような、金を堆積した後でのその系の加熱処理をする必要はない。その他の貴金属の場合でも、堆積させた後での加熱工程を必要としないであろう、と本願発明者らは予測している。当然のことであるが、このことは、希望しているのに加熱工程が実施不能であるということを意味している訳ではない。続けて加熱工程を実施することも、本発明の範囲内である。さらに、PVDを用いて金を堆積させた場合に、金は担体媒体の表面に近いところだけに堆積される傾向があるにもかかわらず、CO酸化に関しては、金は比較的長期間にわたって触媒的に高い活性を有している。その触媒系はさらに、高湿度の環境でも効果を有し、また、広い温度範囲、たとえば室温(たとえば、約22℃〜約27℃)から、さらに低温(たとえば、5℃未満)においてさえ、機能する。

0015

溶液状態のプロセスの場合とは異なって、物理的蒸着プロセスは、系の中に不純物が導入されないという点から、極めてクリーンである。具体的には、そのプロセスは塩化物を含まないようにすることができ、そのため、溶液状態での堆積プロセスではほとんどの場合必要とされる、塩化物あるいはその他望ましくないイオン、分子あるいは反応副生物などを除去するための洗浄工程を必要としない。

0016

このプロセスを使用することによって、高い活性を得るためであっても、極めて低レベルの金属しか必要ない。この領域の研究においてはほとんどの場合、活性を得るためには少なくとも1重量%の金を使用し、高い活性を達成するためには1重量%をはるかに超える金を使用することも多いが、本発明の検討では、0.05重量%またはそれ以下の金でも極めて高い活性を本願発明者らは得た。高い活性を得るために必要な貴金属の量を減らすことによって、大幅なコストダウンが可能となる。

0017

この触媒系は、頑で、バラツキがない。たとえば、本願発明者らは、本願発明者らの系の二つの同一の実施態様を約1ヶ月の間隔を開けて調製し、試験した。その2種の実施態様は別個に製造されたにもかかわらず、それぞれにおけるデータは、実用的には同一であった。このようなバラツキのなさは、金ベース触媒系では、滅多にないことである。ヴォルフ(Wolf)らの文献を参照されたい。

0018

このプロセスによって、粒子あたりの貴金属濃度、ならびに金属ナノ粒子粒径および粒径分布において、極めて均質な製品が得られる。TEMの検討から、本願発明者らのプロセスでは、所望に応じて、ばらばらのナノ粒子の形態および小さなクラスターの形態、あるいはより連続な薄膜の形態に、金を堆積させることが可能であることが判った。一般的には、ナノ粒子/小さな金クラスターの形態で金を含んでいるのが望ましい。

0019

この触媒調製方法では、不均質(non−uniform)または不均一(non−homogeneous)な表面上に、触媒金属を均質に堆積させることが可能である。溶液状態での堆積プロセスでは、このようにはならないが、その理由は、溶液堆積では、堆積していく金属イオンと逆の電荷を有する表面の上に堆積しやすく、その他の表面は被覆されないままか、せいぜいのところ弱く被覆されるに過ぎないからである。

0020

PVDプロセスを用いて、他の金属を同時にまたは順次に堆積させたり、多相ターゲットを使用することによって金属の混合物を堆積させたりすることが可能であり、それによって、多相ナノ粒子、たとえばM1とM2との原子混合物(ここでM1とM2は異なった金属を表す)を含むナノ粒子を含むように触媒粒子を形成させたり、あるいは、多機能触媒のための金属ナノ粒子の組合せ、たとえば、ばらばらのM1粒子とばらばらのM2粒子を混合して含むようなナノ粒子混合物を含むような触媒粒子を形成させたりすることが可能となる。このやり方で、二つ以上の反応に対して触媒作用を有するような触媒粒子を調製することが可能で、使用時にそれらの機能を同時に発揮させることが可能である。したがって、COを酸化させながら、同時にNOxも効果的に酸化させるような触媒粒子を調製することも可能となる。

0021

このプロセスでは、触媒的に活性な金属を、より広範囲な担体媒体、たとえば繊維やスクリムの上に効率よく堆積させることができる。繊維は、溶液コーティングプロセスによってもコーティングすることが可能ではあるが、繊維をパルプ状にし、分散させるために使用する剪断力が原因となって、通常は、ダストが形成されると共に、そのコーティングプロセスの間の繊維の摩擦のためにコーティングの効率が低下する。触媒作用を有する繊維は、新規で、触媒的に高活性なフェルト、布、繊維スクリムを製造するために使用することができる。

0022

この新規なプロセスにより、炭素上、およびその他の酸化を受けやすい基材の上での活性金属の新規なファミリーを形成することが可能となった。触媒粒子に固定し、活性化させるための加熱工程を必要とする当業者公知のプロセスにおいては、そのために通常必要とされる高温では、酸化性雰囲気の存在下における炭素は耐えることができない。したがって、炭素粒子がその加熱工程の間に酸素攻撃を受けるために、炭素粒子は還元性の雰囲気で扱わねばならなかった。そのような還元工程では、他の触媒構成成分(たとえば、炭素上または多孔質炭素内に担持させた酸化鉄の場合)を還元してしまうので望ましくないことがある。本発明においては、炭素粒子およびその他の非酸化物粒子は、触媒ナノ粒子によってコーティングされ、加熱工程や後還元は必要ない。この方法においては、高表面積炭素に、ガス流れから他の不純物を除去するための多孔質炭素の吸着性能を失うことなく、CO酸化のための触媒性能を付与することが可能となる。

0023

この新規なプロセスを使用することによって、触媒担体の極めて細かい粒子をコーティングすることが可能であり、それにより、その微粒子を次いで、第二の粒子層の上にコーティングすることが可能となったり、あるいは多孔質粒状物成形することにより、使用時の背圧を低く維持しながら、高いCO酸化活性を与えたりすることが可能となる。

0024

本発明の一つの態様においては、不均一触媒系を製造するための方法が提供される。その方法には、触媒的に活性な金をナノ多孔質担体媒体の上へ物理的に蒸着させる工程が含まれる。

0025

本発明の別な態様においても、不均一触媒系が提供される。その系には、ナノ多孔質担体媒体を含む。そのナノ多孔質担体媒体には、担体媒体の上に含浸させた少なくとも1種の水溶性の塩が含まれる。そのナノ多孔質担体媒体にはさらに、担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金が含まれるが、ここでその触媒的に活性な金は、浸透深さ比(Penetration Depth Ratio)が約1×10−9〜約0.1となるように堆積させる。

0026

本発明の別な態様においては、ナノ多孔質担体媒体、その担体媒体の上に含浸させたアルカリ金属塩、およびその担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金を含む、不均一触媒系が提供される。

0027

触媒系を製造するための方法が、本発明の態様により提供される。その方法には、触媒担体媒体の上に水溶性の塩を含浸させる工程が含まれる。その方法にはさらに、約200℃を超える温度で、その含浸された担体媒体を加熱処理する工程も含まれる。さらに、その方法には、その加熱処理された担体媒体の上に、触媒を物理的に蒸着させる工程も含まれる。

0028

本発明の別な態様においては、触媒系を製造するための方法が提供される。その方法には、触媒担体媒体の上に触媒を物理的に蒸着させる工程が含まれる。その方法にはさらに、少なくともその物理的蒸着の一部の間に、その担体媒体を混合および微粉化する工程も含まれる。

0029

さらに、活性炭担体媒体の上に堆積させた触媒的に活性な金を含む不均一触媒系が、本発明の別な態様において提供される。

0030

本発明のさらに別な態様においては、不均一触媒系を製造するための方法が提供される。その方法には、水溶性塩を用いて含浸された担体媒体の上に物理的に蒸着された金の触媒活性に対して、その塩が与える影響力を示す情報を決定する工程が含まれる。その方法にはさらに、その情報を使用して、その塩、その媒体および金を含む成分から得られる触媒系を製造する工程も含まれる。

0031

さらに、本発明の別な態様においては、触媒系を製造するための方法が提供される。その方法には、触媒担体媒体の上に水溶性の塩を含浸させる工程が含まれる。その方法にはさらに、その含浸させた担体媒体の上に触媒的に活性な金を物理的に蒸着させる工程も含まれる。

0032

さらなる態様においては、本発明は、基材の表面を活性化させる方法にも関し、それを提供する。この方法には、触媒担体媒体の上で、金属アルコキシドを加水分解させる工程が含まれる。その方法には、その活性化させた担体の表面上に触媒的に活性な金属を堆積させる工程を含み、また、活性な金属としての金と、前記金属を堆積させる方法としての物理的蒸着とを含む。

0033

さらなる態様においては、本発明は、活性な金属触媒の担体のための、大きな表面積の粒子を製造する方法に関し、それを開示する。この方法には、より粗い粒子(すなわち、ホスト粒子)の上に、より小さなナノ多孔質粒子(すなわち、ゲスト粒子)を組み入れることを含む。その方法には、その表面積を増やした担体の上に触媒的に活性な金属を堆積させる工程を含み、また、活性な金属としての金と、前記金属を堆積させる方法としての物理的蒸着とを含む。ホスト粒子のゲスト粒子に対する、平均粒子径の比は、10,000:1から10:1までの比とするのが望ましい。

発明を実施するための最良の形態

0034

以下において説明する本発明の実施態様は、すべてを網羅している訳ではなく、また、以下の詳細な説明において開示されるそのままの形態に本発明を限定するものでもない。むしろ、それらの実施態様は、選択されたものであって、本発明の原理と実施を当業者に評価させ、理解させるための説明である。金ベース触媒系の特定の文脈において本発明を説明するが、本発明の原理は、他の触媒系にも同様に適用することが可能である。

0035

本発明の実施においては、物理的蒸着を使用して、所望の担体の上に触媒的に活性な金を堆積させる。物理的蒸着とは、金含有のソースまたはターゲットから担体へと金を物理的に移行させることを言う。物理的蒸着は、原子1個ずつを堆積させているように見えるが、実際には、集積物(body)1個あたり1原子よりは多くからなる極端微細な集積物として、金は移行していてよい。表面に達すると、その金はその表面と、物理的、化学的、イオン的および/またはその他の様式で相互に作用しあう。

0036

物理的蒸着は一般に、金が極めて易動性であるような温度条件および真空条件のもとで起きる。したがって、金が極めて易動性で、何らかの形、たとえばその担体の表面の上またすぐ近傍にある、あるサイトに付着することによって、固定されるまでは、基材の表面上を移動する傾向がある。付着のためのサイトとしては、表面空孔のような欠陥、段や転位のような構造的不連続部分、相または結晶境界面、あるいは小さな金クラスターのような別種の金の化学種などがあると考えられる。堆積された金が高いレベルの触媒活性を維持したままで、その金が効果的に固定されているということは、本発明の明瞭な効果である。このことは、従来の方法では金が集積して大きな集積物となり、触媒活性が過度に損なわれたり、さらには失われたりするのとは、対照的である。

0037

物理的蒸着を実施するためのまた別なアプローチも存在する。代表的なアプローチ方法としては、スパッタ堆積法、蒸発法、およびカソードアーク堆積法が挙げられる。これらあるいはその他のPVDアプローチ方法のいずれを用いてもよいが、使用したPVD法の性質によって、触媒活性には大きな影響が出る可能性がある。たとえば、使用した物理的蒸着技術エネルギーが、堆積させる金の易動性、したがってその金の集積性に影響する可能性がある。エネルギーが大きいほど、金の集積性を高くする傾向がある。集積が強いほど、今度は触媒活性が低下する傾向につながる。一般的に言って、化学種を堆積させるエネルギーは、蒸発では一番低く、スパッタ堆積(衝突する金属化学種の内の少量がイオン化されて、幾分かのイオン含量を有している)ではそれより高く、カソードアーク(数十パーセントのイオン含量となりうる)では最も高い。したがって、ある特定のPVD法でできる金の堆積物の易動性が、望んでいるよりも高いような場合には、それに代えてよりエネルギーの低いPVD法を使用すると効果があるであろう。

0038

物理的蒸着は一般に、金のソースと担体との間での、視線/表面コーティング技術である。これは、担体の露出している外側表面のみが直接コーティングされ、基材の充分に内側にある内部細孔はコーティングされない、ということを意味している。ソースからの直接的な視野に入らないような内部表面は、金による直接的なコーティングはされにくい。しかしながら、本願発明者らがTEM解析によって見出したところでは、多孔質基材の表面上に堆積させた後で、金の原子が拡散またはその他のメカニズムによってその触媒の表面の中にある程度の距離を移行することが可能であって、それによって、表面にすぐ隣接している領域に存在する基材の細孔の中でナノ粒子および金クラスターを形成してから、固定される。多孔質基材の中への平均の浸透は、深さ50ナノメートルまで、場合によってはもっと深くたとえば約70〜約90nmまでになりうる。しかしながら一般的には、浸透深さは50nm未満、場合によっては30nm未満である。金の浸透は、典型的な担体サイズに比較して極めて浅い。

0039

金の全厚み、すなわちCtは、金の浸透深さに、基材の表面に堆積されたが拡散によって浸透はしていない金の厚みを加えたものに等しい。この全厚みは一般に、50nm未満であり、多くの場合30nm未満、さらには20nm未満となることもある。深さが約10nm〜20nmよりも深い表面細孔を有する物質の上では、金の全厚みは、見かけ上50nmよりも大きくなることがあるが、その理由は、金の層が表面の輪郭に沿い、実際の表面の輪郭は、それが有している細孔構造を反映しているからである。活性な金の化学種が触媒粒子の最も外側の部分の上に集中しているのが最も好ましいが、それは、ガス状反応物質に対して最も容易に作用できるのがこの触媒表面だからである。

0040

触媒担体の粒子径に対するこの金のシェル領域の厚みは、次式定量化される。
PDR=Ct/UST
ここで、PDRは浸透深さ比、USTはその下にある担体の厚みまたは粒子径、Ctは先に説明したように金の全厚みである。下にある担体の厚みとは、触媒表面に対して垂直に測定した担体のサイズを表すもので、通常は粒子径を表す。下にある担体の厚みは、光学顕微鏡法または走査型電子顕微鏡法などの、顕微鏡的な方法を用いて測定することができる。Ctの値は、薄膜の場合には透過型電子顕微鏡法、もっと厚い膜の場合には高分解能走査型電子顕微鏡法により測定することができる。全厚みCtは、TEMデータから目視により極めて容易に求めることができる。金のコーティングが均質であるために、代表的なTEM写真1枚だけからでも、そのコーティングの特性を判定することができる。実際のところでは、触媒表面の断面の数枚のTEM写真を調べることにより、サンプルの特性解析を行うことができる(下記参照)。好ましい実施態様においては、PDRは約1×10−9〜0.1、好ましくは1×10−6〜1×10−4の範囲にあって、その金のシェル領域が、担体全体の厚みに比較して極めて薄いことが判る。先にも述べたように、このことは一般に、好適な担体の上での浸透深さが約50nmまで、好ましくは約30nmまでであることに相当する。

0041

表面領域および金の集積物の特性解析は、触媒業界では周知のように、透過型電子顕微鏡法を使用して実施することができる。触媒表面の特性解析に適した一つの方法としては、以下のような方法がある:触媒粒子を、使い捨て埋め込みカプセルの中で、3M・スコッチキャスト(3M Scotchcast)(商標エレクトリカル・レジン#5(Electrical Resin #5)(エポキシミネソタセントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company))に包埋させ、その樹脂を室温で24時間かけて硬化させる。

0042

それぞれのサンプルについて、ランダムに包埋された粒子をその粒子の内部表面まで(予めイソプロピルアルコールを用いて清浄化しておいたステンレス鋼剃刀刃を用いて)切断して、片面ではその粒子のほとんどが切断されており、もう一方の側にはエポキシが残るようにする。小さな台形状(1辺が0.5ミリメートル未満)の面を選択して切断して、エポキシ/粒子の界面がそのままの状態を保つようにする。その界面の長手方向もまた、切断方向である。ライカ・ウルトラカット・UCT・ミクロトーム(Leica Ultracut UCT microtome)(イリノイ州バノックバーン(Bannockburn,IL)のライカ・ミクロシステムズ・インコーポレーテッド(Leica Microsystems Inc.)製)を使用して、表面を切断する。その表面をまず、その粒子の表面がナイフエッジに垂直になるように配置する。厚み約70nmのセクションを、0.08mm/秒の速度で切断する。それらのセクションを脱イオン水の上に浮かべて分離し、ミクロトームヘアツールを用いて集め、「パーフェクトループ(Perfect Loop)」(ペンシルニアフォートワシントン(Fort Washington,PA)エレクトロンマイクロスコピー・サイエンシズ(Electron Microscopy Sciences)により販売されているループ)を用いて取り出す。このループを介してサンプルを、炭素/ホルムバールレース状基材を有する直径3mm、300メッシュ銅TEMグリッドに移す。基材の穴の上にある、対象の領域(界面領域を示す、完全な、きれいにカットされた試験片)の画像を得て、解析する。

0043

画像は、各種の倍率(50,000倍および100,000倍)で撮影したが、それには、ヒタチH−9000(Hitachi H−9000)透過型電子顕微鏡(TEM、カリフォルニアプレザントン(Pleasanton,CA)のヒタチ・ハイテクノロジーズ・アメリカ(Hitachi High Technologies America)製)(加速電圧300KV)、ガタン(Gatan)CCDカメラ(ペンシルバニア州ワレントン(Warrenton,PA)のガタン・インコーポレーテッド(Gatan Inc.)製)およびデジタルマイクログラフ(Digital Micrograph)ソフトウェアを用いた。代表的な領域(触媒表面の界面が、サンプルの表面に垂直な状態で鮮明に写せるように選択した領域)の画像を撮影する。それぞれの画像の上には、キャリブレーションマーカーとサンプル名をつけておく。複数の(>10)界面領域を調べる。

0044

本発明の代表的な触媒(実施例3の物体)の表面の断面のTEM画像の例を図1に示す。金のナノ粒子が、担体の表面と、担体の表面のすぐ下の領域の両方に認められる。金のナノ粒子を含む領域は極めて薄く、金の堆積が担体の表面の輪郭に沿っているように見える。

0045

視線型コーティングの結果として、それによって得られる本発明の触媒的に活性な物質は、一つの見地からは、その外側表面の上および近傍に不連続な、触媒の金の比較的薄いシェルを有するナノ多孔質触媒担体とみなすことができる。すなわち、得られる触媒的に活性な物質は、表面に近いところでは金リッチなシェル領域を含むが、内部の領域での金は無視できる程度である。好ましい実施態様においては、この金リッチなシェル領域には、小さな(一般的には10nm未満、最も好ましくは5nm未満の)、分散された金の集積物が含まれる。

0046

ナノ多孔質担体の表面上だけに触媒的に活性なシェル領域を形成させるという本発明のアプローチは、新規な触媒物質を開発する際の一般的常識とは相反するもので、そのため、得られる物質が高い触媒的な活性を有しているという事実は、極めて驚くべきことである。具体的には、本発明では、高度に多孔質な担体の表面に近い部分だけに触媒的機能を与えるものである。内部の多孔性は、意識的に使用していない。従来的な見方をすれば、このようにしてナノ多孔質担体を充分に活用しないというのは、的はずれのように見える。触媒的に活性な金属が担体の表面にだけ堆積されるということを知れば、従来的な偏見からは、触媒的に活性な金を担体に堆積させる際に、非多孔質な基材を使用すれば、ということになる。PVDが、いかなることがあってもその多孔質担体の内部に接近することが不可能な場合には、これは特によくあることである。(1)金の移動はナノ多孔質担体の表面上においては強く制約されること、および(2)この表面コーティングアプローチにより得られる極めて低い担持量においてさえ、金は依然として触媒的に高活性であること、という認識を組み合わせることにより、本発明はこの偏見を打ち破った。したがって、そのような担体を使用するということが、ナノ多孔質担体の表面領域の上に金を堆積させるという文脈においては、その担体の触媒的な容量を完全に利用していないにもかかわらず、高度かつユニークに有利となる。

0047

一般的には、処理すべき担体を(たとえば、タンブリング、流動化などにより)充分に混合して、粒子表面が充分に処理されるようにしてやりながら、物理的蒸着を実施するのが好ましい。PVDにおいて堆積のために粒子をタンブリングする方法については、米国特許第4,618,525号明細書にまとめられている。特に触媒を目的とした方法については、ワイズ(Wise)の「ハイ・ディスパーションプラチナム・キャタリストバイ・RF・スパッタリング(High Dispersion Platinum Catalyst by RF Sputtering)」(ジャーナルオブ・キャタリシス(Journal of Catalysis)、第83巻、p.477〜479(1983)、および米国特許第4,046,712号明細書(ケーンズ(Cairns)ら)を参照されたい。PVDプロセスの少なくとも一部の間に、担体に対して、タンブリングまたは別な方法としては流動化させることと、さらには微粉化(たとえば、ある程度まで粉砕または磨砕)させることの両方を行うのがより好ましい。この操作により、粒子の表面にある程度の機械的な摩耗を与え、金堆積の際に幾分かの微細粉(fines)の発生をもたらす。本願発明者らのデータからは、微粉化をさせながら堆積を実施すると、触媒性能が向上することが示唆されている。これらのプロセス、すなわち、微細粉の発生とグリットが互いに機械的に相互作用をすることによって、得られる触媒物質の活性が向上すると、本願発明者らは考えている。理論に束縛されることは望まないが、そのような微細粉が、高活性のための高い表面積を与えているというのが、本願発明者らの考えである。担体のフレッシュな表面が露出されるので、これもまた性能向上に寄与しているのであろう。

0048

得られる触媒系の表面特性に及ぼすそのような微粉化の影響を、TEMを解析することによって検討した。本発明の活性化剤を含む炭素上の金の場合、金をコーティングした粒子の表面上に、金のナノ粒子とクラスター、および炭素質物質を含むと考えられるユニークな2相構造が存在していることが、TEMから明らかになった。一つの粒子からの炭素質物質が、こすり合わせることによって別な粒子の金をコーティングした表面上に移行することが原因で、機械的な作用がこのユニークな構造をもたらした可能性がある。金/活性剤および炭素というこのナノ複合体が、CO酸化の触媒作用に極めて高い活性を与えていると考えられる。

0049

好適なPVDプロセスを実施するための装置10を、図2および3に示す。装置10には、粒子撹拌器16を含む真空チャンバー14を画定するハウジング12が含まれる。そのハウジング12(所望によりアルミニウム合金製であってもよい)は、垂直に配置された中空円筒である(高さ45cm、直径50cm)。底部18には、高真空ゲートバルブ22(さらにその先で6インチ拡散ポンプ24に接続されている)のためのポート20、さらには粒子撹拌器16のための支持物26が含まれる。チャンバー14は、排気することによって、バックグラウンド圧力を10−6トルの範囲とすることができる。

0050

ハウジング12の頂部には、取り外し可能な、ゴム製L字型ガスケットシールした平板28があり、それに外部取り付け式の直径3インチの直流マグネトロンスパッタ堆積ソース30(US・ガン・II(US Gun II)、カリフォルニア州サン・ホセ(San Jose,CA)のUS・インコーポレーテッド(US Inc.)製)が取り付けられている。ソース30の中に金のスパッタターゲット32(直径7.6cm(3.0インチ)×厚み0.48cm(3/16インチ))が固定されている。スパッタソース30は、アーク消弧スパークル(arc suppressing Sparc−le)20(コロラド州フォート・コリンズ(Fort Collins,CO)のアドバンスド・エナージー・インダストリーズ・インコーポレーテッド(Advanced Energy Industries,Inc)製)を取り付けた、MDX−10・マグネトロンドライブ(MDX−10 Magnetron Drive、コロラド州フォート・コリンズ(Fort Collins,CO)のアドバンスド・エナージー・インダストリーズ・インコーポレーテッド(Advanced Energy Industries,Inc)製)により、駆動する。

0051

粒子撹拌器16は中空円筒(長さ12cm×直径9.5cm、水平)で、頂部36に矩形の開口部34(6.5cm×7.5cm)がある。その開口部34は、金のスパッタターゲット32の表面36の直下7cmのところに位置していて、スパッタされた金原子が、撹拌器の空間38に入ることができるようになっている。撹拌器16には、その軸に合わせたシャフト40が取り付けられている。シャフト40は、正方形(1cm×1cm)の断面を有していて、それに4枚のブレード42がボルト止めしてあり、そのブレードが、担体粒子をタンブリングさせるための撹拌メカニズムすなわちパドルホイールを形成している。それぞれのブレード42には二つの穴44(直径2cm)が開いていて、ブレード42と撹拌器の円筒16により形成される、四つの四分円のそれぞれに含まれる粒子空間の間での往来を促進している。ブレード42の寸法を選択して、撹拌器の壁48との間に、それぞれ2.7mmまたは1.7mmの側面ギャップおよび末端ギャップ距離を与えるようにする。この装置の好ましい使用形態については、後に実施例において説明する。

0052

撹拌器16とハウジング12の壁との間のギャップ間隔が、得られる触媒の性能に影響する。そのギャップを狭くするほど、担体粒子がある程度まで破砕される傾向が大きくなる。そのような粉砕の方が有利であろうと考えられるので、ギャップを適当な距離に設定して、そのような粉砕が起きるようにする。一つの好ましい形態においては、ギャップを、コーティングする担体粒子のほぼ直径の大きさに設定した。

0053

物理的蒸着は、広い範囲にわたって、所望の温度で実施することができる。しかしながら、金を比較的低い温度、たとえば、約150℃未満、好ましくは約50℃未満、より好ましくは周囲温度(たとえば、約20℃〜約27℃)以下で堆積させると、その堆積させた金の触媒的な活性をより高くすることができる。周囲条件下で操作をすれば、効果も高く、また堆積の際に加熱や冷却をする必要もないためにコストがかからないので、好ましい。

0054

理論に束縛されることは望まないが、より低い温度で堆積させると、触媒的により活性な金が得られるということには、少なくとも二つの理由が考えられる。第一の理由は、低温では、幾何学的なサイズおよび/または形状(角ができる、よじれる、段差ができるなど)の面で、より欠陥の多い金が生成する。そのような欠陥は、多くの触媒プロセスでは重要な役割を果たすと考えられる(Z.P.リュー(Z.P.Liu)およびP.ヒュー(P.Hu)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)、2003、125、1958)。他方、より高い温度で堆積させると、より組織化され欠陥の少ない結晶構造を有する金が生成する傾向があり、そのために活性がより低くなる。さらに、堆積温度は金の移動性にも影響する可能性がある。高温になるほど金は移動しやすくなり、そのためにより集積しやすくなって、触媒活性を失いやすい。

0055

本発明では、所望の担体の上に触媒的に活性な金を提供して、本発明の不均一触媒系を形成させる。金は、黄色の貴金属で、比較的不活性であることはよく知られている。しかしながら、ナノスケールの領域になると金の特性が劇的に変化して、金の触媒的な活性が極めて高くなる。他の金属触媒に比較して金の触媒が高い活性を有していることについては、周囲条件下でのCOの酸化、およびNOの還元、さらには不飽和炭化水素エポキシ化および塩化水素化のような反応を例に挙げることができる。

0056

好ましい実施態様においては、触媒的に活性な金は、サイズ、色および/または電気的特性など、一つまたは複数の必要な特性により、特徴付けることができる。一般的には、金のサンプルがこれらの必要な特性の一つまたは複数、好ましくはこれらの特性の二つ以上を有しているならば、それは、本発明を実施において触媒的に活性であると考えられる。サイズがナノスケールであるということは、触媒的に活性な金に付随する重要な要件であって、金の触媒活性は、その金のサンプルの厚みの寸法(たとえば、粒子の直径、繊維の直径、膜の厚みなど)がナノスケールの領域にあるかどうかに関わる部分が大きい。サイズがより小さい集積物(文献においてはクラスターと呼ばれていることもある)ほど、触媒的な活性がより高くなる傾向がある。サイズが大きくなっていくと、触媒特性が急速に低下する。したがって、触媒的に活性な金の好ましい実施態様は、広い範囲でナノスケールのサイズを有していて、より高い活性を望むなら、より小さなサイズとするのが好ましい。一般的なガイドラインとしては、触媒的に活性な金は、約0.5nm〜約50nm、好ましくは約1nm〜約10nmの範囲の粒子またはクラスター寸法を有している。金が、どの方向にも、約2nm以下から約5nmまでのサイズであるのが好ましい。技術文献では、約2nm〜約3nmの範囲のサイズにすると、触媒活性を最大とすることができると報じられている。個々の金のナノ粒子のサイズは、TEM解析によって決定することができるが、これは当業者には周知のことで、本明細書においても説明している。

0057

色に関しては、金は、より大きなサイズ領域では黄色に近い色を有している。しかしながら、金が触媒的な活性を有しているようなナノスケールのサイズ領域においては、金の色は、白色光の下で見ると赤みがかったピンク色となるが、ただし、非常に小さな金のクラスターおよび金の表面化学種は無色となることもある。そのような無色の化学種は、極めて高い触媒能を有することができ、またそのような無色の化学種が存在すると、いくぶんかの着色した金のナノ粒子を伴っていることが多い。従って、金のサンプルの色が明らかに赤みがかったピンク色の成分を含んでいたりおよび/または無色であったりしたら、それは、そのサンプルが触媒的に活性である可能性を示唆している。

0058

担体の上に担持させる触媒的に活性な金の量は、広い範囲で変化させることが可能である。しかしながら、実務的な見地からは、所望の担持量を選択する際には、いくつかの因子を考慮しバランスさせるのがよい。たとえば、触媒的に活性な金は、本発明の実施によるナノ多孔質担体の上に担持させると、極めて活性が高い。したがって、極めて少量を担持させるだけで、良好な触媒性能を達成することが可能である。金が高価であるので、このことは幸運である。したがって、経済的な理由から、所要のレベルの触媒活性を達成させるのに合理的に必要とされる以上の金を使用するのは、望ましいことではない。さらに、PVDを使用して堆積させた場合、ナノスケールの金は極めて移動しやすいので、金を必要以上に使用すると、金が集まって大きな集積物を形成するために、触媒活性が損なわれる可能性がある。そのような因子を配慮し、一般的なガイドラインに沿うと、担体上への金の担持量は、担体と金を合計重量を基準にして、0.005〜10重量%、好ましくは0.005〜2重量%、最も好ましくは0.005〜1.5重量%の範囲の範囲である。

0059

担体の上に触媒的に活性な金を堆積させるには、PVD法が極めて適合している。金をスパッタさせると、そのままで、ナノ多孔質担体の表面上に触媒的に活性な、ナノスケールの粒子およびクラスターが生成する。金は主として元素の形態で堆積されると考えられるが、他の酸化状態が存在していてもよい。金は移動しやすく、その表面の低エネルギーサイトに集積しやすいが、その担体のナノ多孔質の特性および本発明の実施において好ましいとされる活性化剤を使用することが、金を固定させ、堆積させた金のクラスターを独立させたまま、好ましくは不連続な状態で維持するのに役立つ。このことは、他の方法で、金が集まってより大きなサイズの集積物になったとしたら損なわれることになる、触媒活性を維持するのに役立つ。別な方法として、ナノスケールの厚みを有する極めて薄い金の膜を、所望により担体表面の一部または全部の上に形成させることも可能であるが、膜の厚みが増えると触媒活性が低下することには注意しておく必要がある。そのような膜を触媒活性が有るように作ることはできるが、不連続で、孤立した金のクラスターの方が、触媒的にははるかに高い活性とすることができ、ほとんどの用途では好ましい。

0060

場合によっては、所望により、金を堆積させた後でその不均一触媒系を熱処理することもできる。従来の方法のいくつかでは、金に触媒的な活性を与えるためには、そのような加熱処理を必要とした。しかしながら、本発明により堆積させた金は、堆積させたままでも活性が高く、加熱処理も一切必要としない。事実、そのような金は、室温あるいはもっと低い温度でも、極めて効果的にCOを触媒的に酸化させてCO2を生成させることができる。さらに、担体の性質、活性化剤、金の量などのような因子によっては、あまりにも高い温度で加熱処理すると、触媒活性がある程度損なわれる可能性もある。事実、不均一触媒系を加熱環境、たとえば約200℃を超えるような温度環境下で使用するような、いくつかの実施形態においては、そのような温度におけるその系の触媒活性は確認しておく必要がある。そのような高温領域においてCOの酸化を触媒的に良好に実施するような本発明の実施態様については、下記の実施例において説明する。そのようなものとしては、担体が1種または複数のアルミナチタニアシリカおよび/またはその他のものなどを含むような系が含まれる。

0061

触媒のナノ粒子の中では、低配位の金が有利であるとも考えられる。低配位の金とは、Aunで、nが平均して1〜100の範囲、好ましくは約2〜20の範囲にあるものを指す。理論に束縛されることは望まないが、非常に小さな金のクラスターの触媒活性は、少なくともある程度は、低配位の欠陥に関わるものであり、また、それらの欠陥は、下にある担体および/または他の供給源から移動してくる電荷を貯蔵するためのサイトを与えることが可能である、と本願発明者らは提案する。したがって、そのような欠陥およびメカニズムを配慮すると、本発明の不均一系触媒が以下の特性の一つまたは複数を有しているのが好ましい:(a)金、したがってその欠陥が主として、下にある担体の表面上に位置している、(b)nの平均値が約2よりも大きい、そして(c)実際上可能である範囲において、金のクラスターが孤立してはいるが、互いに近いところ(約1〜2nm以下の距離)に位置している。(d)それらの特性は、小さなサイズの金のクラスターに付随するものではあるが、そのような特性がもっと大きなクラスターの主として段状部分または端部にも見出すことができる。

0062

金に加えて、1種または複数のその他の触媒も、同一の担体上および/または金含有担体と混ぜ合わせたその他の担体の上に得ることができる。そのような例としては、銀、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、銅、イリジウム、その他の1種または複数が挙げられる。使用するのならば、それらは、金ソースターゲットと同じであるかあるいは別のターゲットソースから担体の上に共堆積させることができる。別な方法として、そのような触媒を金を担持させるより前、または担持させた後にその担体の上に得ることも可能である。その他の触媒で、活性化のために加熱処理する必要があるようなものは、担体上に塗布し、加熱処理して、その後で金を堆積させるのが好都合である。ある種のケースでは、Rh、PdおよびPtのような触媒は、本発明に従って堆積させ、金を存在させることなく触媒として使用することもできる。

0063

本発明の実施においては、触媒的に活性な金を、1種または複数のナノ多孔質担体の上に堆積させて、それにより不均一触媒系を形成させる。透過型電子顕微鏡法によって、ナノ細孔を観察することができ、またナノ細孔のサイズを測定することができる。担体のナノ多孔質としての性質は、ASTM標準試験法D4641−94に記載の技術によって特性解析することも可能であるが、そこでは、窒素等温脱着を用いて、約1.5〜100nmの範囲の触媒および触媒担体の細孔径分布を計算する。ナノ多孔質とは、ASTM D4641−94から得られるデータを用い、下記の式を用いて計算した1〜100nmの範囲の担体物質全細孔容積を基準にして、サイズの範囲が1〜10nmの範囲にある細孔の全ナノ多孔質容積が20%より大きい(すなわち、下記の式を用いて約0.20より大きい)ことを意味している(このASTM全体を参照により本明細書に援用する):

0064

担体がナノ多孔質の特性を有していることが、担体表面上の金のクラスターの固定に役立っている。極めて小さな金の粒子およびクラスターが安定化されていることは、ナノ多孔質表面を有する物質のTEMの検討でより小さな金の粒子が直接観察されることと、空気の存在下でCOをCO2へ転化させる触媒性能で測定される高い触媒活性を有していることとの両方から、証明される。

0065

担体がナノ多孔質の特性を有していることが、担体表面上の金のクラスターの固定に役立っている。極めて小さな金の粒子およびクラスターが安定化されていることは、ナノ多孔質表面を有する物質のTEMの検討でより小さな金の粒子が直接観察されることと、空気の存在下でCOをCO2へ転化させる触媒性能で測定される高い触媒活性を有していることとの両方から、証明される。有利なことには、PVDを使用すれば、加熱処理やその他の活性化処理をさらに必要とすることなく、非多孔質担体の上に触媒的に活性な状態で金を容易に堆積させることができる。場合によっては、基材粒子は、ナノ多孔性に加えてさらに、IUPAC・コンペンティアム・オブ・ケミカル・テクノロジー(IUPAC Compendium of Chemical Technology)第2版(1997)に定義されているような、ミクロ多孔質メゾ多孔質、および/またはマクロ多孔質な特性を有することができる。活性炭またはアルミナ担体粒子の典型的な母集団では、ナノ多孔質、ミクロ多孔質、メゾ多孔質、およびマクロ多孔質的な性質が組み合わさっている傾向が強い。

0066

本発明において注目すべき重要なことは、担体物質では、金原子の浸透深さに等しいかまたはそれより深い、担体の外部表面領域の中だけが、ナノ多孔質である必要がある、ということである。したがって、本発明には、通常では表面積が小さく、非ナノ多孔質である物質を、ナノ多孔性を特徴とする外部表面を有するようにすることができるようにする方法が含まれる。それらの方法の例としては、物質の表面上にゲルナノ粒子サイズのコロイドのようなナノ多孔質を吸着させて、ナノ多孔質物質を形成させる方法、物質の表面上で金属アルコキシドまたは金属塩を加水分解させて、ナノ多孔質物質を形成させる方法、および、物質の表面上の金属、たとえば、アルミニウムチタン、スズ、アンチモンなどの薄いコーティングを酸化させて、ナノ多孔質物質を形成させる方法、などが挙げられる。上記最後の場合では、薄い金属膜を物理的蒸着法により堆積させ、乾燥または湿潤空気によって酸化させて、その基材の上にナノ粒子膜を形成させることができる。

0067

金属アルコキシドの加水分解の場合では、本明細書においても例を挙げるが、液相の水または水溶液を用いて加水分解させるよりは、気相の水を用いて加水分解させる方が、一般的には、ナノ多孔質膜を活性化させるのには効果がある。

0068

担体は、たとえば、粉体、粒子、ペレット細粒押出し物、繊維、シェル、ハニカム、平板などのような、各種の形状または形状の組合せで使用することができる。それらの粒子は形状が規則的であっても、不規則的であっても、樹枝状であっても、あるいは非樹枝状であってもよい。本質的に粒子状または粉体のものが、担体としては好ましい。

0069

粗い(30メッシュより大の)粒子の上に、細かい(100マイクロメートル未満、好ましくは50マイクロメートル未満、最も好ましくは10マイクロメートル未満の)ナノ多孔質粒子を吸着させるか、付着させて作った担体が、特に好ましい。この「大粒子の上に小粒子を担持させた」複合構造物は、より粗い方の粒子の望ましい通気特性、すなわち低圧力損失を維持しながらも、全外部表面積を劇的に増やすことができる。さらに、それらの複合粒子を構成するのにナノ多孔質の小粒子を使用することによって、安価な非ナノ多孔質の粗い粒子を使用することが可能となる。したがって、触媒床の容積の大部分を、安価な、下積みの粗い粒子が占めるために、極めて安価で、かつ高い活性を有する触媒粒子を調製することが可能となる。このような方式で使用可能なナノ多孔質の小粒子の例としては、ゾルゲル法誘導される小粒子、ナノ多孔質の微粒子サイズゼオライト、および高表面積エアロゲル粒子などが挙げられる。

0070

複合担体粒子を構築するには、接着剤として、部分加水分解アルコキシド溶液塩基性金属塩溶液、またはナノ粒子サイズのコロイド状の金属の酸化物およびオキシ水酸化物を使用して、小粒子を大粒子に接着させることができる。部分加水分解アルコキシド溶液は、ゾルゲル法において周知の方法により調製される。有用な金属アルコキシドとしては、チタン、アルミニウム、ケイ素、スズ、バナジウムアルコキシド、およびそれらのアルコキシドの混合物が挙げられる。塩基性金属塩としては、チタンおよびアルミニウムの硝酸塩およびカルボン酸塩を挙げることができる。ナノ粒子サイズのコロイド状物質としては、アルミニウム、チタンの酸化物およびオキシ水酸化物、およびケイ素、スズ、およびバナジウムの酸化物のコロイドを挙げることができる。接着剤は溶液中に、一般的には、接着させるナノ多孔質小粒子サイズ物質の2〜約50酸化物重量パーセントで存在させる。

0071

複合担体粒子を構築するためには一般に、2種の好ましい方法の内の1種を使用する。一つの方法では、そのナノ多孔質、小粒子サイズ物質を溶液中の選択された接着剤と混合し、次いでその混合物を粗い粒子と組み合わせる。その粗い粒子が多孔質ならば、小粒子−接着剤溶液混合物は、多孔質の大粒子を初期湿潤(incipient wetting)させることにより導入することができる。その大粒子が多孔質ではない場合には、小粒子−接着剤溶液混合物を、その粗い粒子と混合し、その溶液の液体を、混合と同時あるいは混合させた後のいずれかで除去することができる。いずれの場合においても、ナノ多孔質の小粒子サイズ物質、接着剤、および粗粒子を組合せ、その溶液から液体を除去した後で、その混合物を乾燥させ、か焼することによって、粗い粒子の表面上に小さなナノ多孔質粒子を有する複合粒子が得られる。そのか焼温度としては、そのナノ多孔質粒子が多孔性を失う温度よりは低い温度を選択する。一般的にか焼温度は、200℃〜800℃の範囲である。

0072

担体媒体の粒子の実施態様では、幅広い範囲のサイズが採用できる。担体の粒子径は一般に、メッシュサイズという用語で表すことができる。メッシュサイズにおける典型的な表現は「a×b」として表されるが、ここで「a」は、実質的に全部の粒子が通過するメッシュ密度(mesh density)を指し、「b」は、実質的に全部の粒子が上となるほどに高いメッシュ密度を指す。たとえば、メッシュサイズが12×30であるということは、1インチあたり12本のワイヤのメッシュ密度を有するメッシュを実質的に全部の粒子が通過し、1インチあたり30本のワイヤの密度を有するメッシュ密度によって実質的に全部の粒子が篩上となる、ということを意味している。メッシュサイズが12×30であることを特性とする担体粒子は、直径が約0.5mm〜約1.5mmの範囲の粒子の集団を含んでいることになる。

0073

基材粒子に適切なメッシュサイズを選択することによって、密度および触媒速度(catalytic rate)と、空気流抵抗との間のバランスをとることができる。一般的には、メッシュサイズが細かい程(すなわち、粒子が小さい程)、触媒速度と濾過容量が大きくなるだけではなく、空気流抵抗も高くなる。これらのバランスを考慮に入れると、「a」は典型的には8〜12の範囲で、「b」は典型的には20〜約40の範囲とするが、ただし、aとbとの差は一般に約8〜約30とする。本発明の実施において好適であると見出された具体的なメッシュサイズとしては、12×20、12×30、および12×40などが挙げられる。

0074

ナノ多孔性に加えて、本発明の担体媒体にはさらに、一つまたは複数の特性が含まれているのが好ましい。たとえば、担体媒体の好ましい実施態様では、多相、たとえば、2相表面を特徴とする。「多相」とは、表面に2相以上の相を有することを意味する。本願発明者らのデータからは、金を多相表面上に堆積させると、触媒活性が向上することが見出されている。理論に束縛されることは望まないが、表面の上に形成される相の境界が金を安定化させるのに役立つと考えられる。本明細書に記載するようなTEMの検討から、および当業者では周知のことであるが、表面が2相であるかどうかを評価することができる。それらの相の境界は、ナノスケールで極めて細かく分散されていて、それによって、その境界が金を効果的に固定するのに役立っている、と考えられる。

0075

多相特性は、担体を1種または複数の活性化剤を用いて処理することにより、得ることができる。一つの例を挙げれば、Ba(NO3)2は一つのタイプの活性化剤であって、それを溶液含浸により金を堆積させるより前に担体に添加し、次いでか焼処理することができる。ガンマアルミナ担体のための活性化剤として硝酸バリウムを使用する実施態様を考えてみよう。得られた物質をX線回折法を用いて調べると、孤立したバリウム相は検出されない。理論に束縛されることは望まないが、バリウムがアルミナ担体の表面と反応して、それにより表面を変性している、と考えられる。その結果、その表面では、アルミニウムリッチな領域が一つの相を形成し、バリウムリッチな領域がもう一つの相を形成している、と考えられる。それぞれの相は異なった性質を有し、金に対する親和性も異なっている。したがって、その相の境界は、一つの考えではあるが、金の移行と集積を防止するためのフェンスに似た役割を果たしている。活性化剤については、以下においてさらに詳しく説明する。

0076

本発明の実施においては、各種広い範囲の物質を好適な担体として使用することができる。代表的な例を挙げれば、炭素質物質、シリケート系物質(たとえばシリカ)、金属化合物たとえば金属酸化物または硫化物、それらの組合せなどがある。代表的な金属酸化物(または硫化物)としては、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロムマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛ガリウムゲルマニウムストロンチウムイットリウムジルコニウムニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウムインジウム、鉄、スズ、アンチモン、バリウム、ランタンハフニウムタリウムタングステンレニウム、オスミウム、イリジウム、および白金の1種または複数の酸化物(硫化物)を挙げることができる。

0077

炭素質物質の例としては、活性炭およびグラファイトを挙げることができる。好適な活性炭粒子は、石炭ココヤシピート、各種出発物質からの各種活性炭、それらの少なくとも2種の組合せ、など、広い範囲の出発物質から誘導することができる。

0078

好ましい担体媒体の実施態様は、アルミニウム系酸化物、チタニア、チタニア−アルミナ、活性炭、二元系酸化物たとえばホプカライト(CuMnO2)、モレキュラーシーブなどから選択することができる。これらの内でも、アルミナ、チタニアおよび活性炭が特に好適な担体物質である。活性炭、チタニアおよびアルミナは、ナノ多孔性を特徴とする形態で見出され、そのため、それらの形態が好ましい担体物質なのである。活性炭は、触媒活性のための担体となるのに加えて、炭素が有害ガス吸着剤としても機能するので、好ましい。活性アルミナもまた、経時変化や加熱に対して極めて堅牢であるので、好ましい担体物質である。高温のところや、および/または長期の使用寿命が望まれるところで触媒系を使用するような場合には、不均一触媒系をアルミナ担体を含む成分から製造するのが有利である。

0079

場合によっては、本発明の不均一触媒系に1種または複数の活性化剤を組み込んで、その系の触媒性能を向上させることもできる。本明細書で使用するとき、「活性化剤」とは一般に、それ自体は触媒性能を有さないが、系の中にその活性化剤と触媒の両方を組み入れたときに触媒の性能を向上させることが可能な各種成分を指す。

0080

本発明における一つの好適なタイプの活性化剤としては、1種または複数の金属塩を挙げることができる。そのような金属塩を使用すれば明らかに触媒性能が向上するのではあるが、性能向上の正確なメカニズムについては不明である。束縛されることは望まないが、金属カチオンが担体の表面と反応して、(たとえば、多相表面を与えることによって)金の固定化に役立ったり、および/またはその金属カチオンが電子受容体として機能したりなんらかの形で触媒反応の流れに参与したりするのであろう、と考えられる

0081

金属塩の例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、たとえば、リチウムナトリウム、マグネシウム、カルシウム、および/またはバリウムなどの塩を挙げることができる。その他の金属としては、Cs、Ruなども挙げられる。それらの金属塩を各種組み合わせたものも使用することができる。いくつかの実施態様においては、活性化剤には、少なくとも1種のアルカリ金属塩と少なくとも1種のアルカリ土類金属塩とを含み、そこでアルカリ金属塩のアルカリ土類金属塩に対する重量比が、約1:19から約19:1まで、好ましくは約1:3から約3:1までである。たとえば、金触媒を有するナノ多孔質アルミナ担体上にカリウム塩バリウム塩を含む系の触媒性能は、下記の実施例に見られるように、驚くべきものである。簡潔に言えば、その系は、1500ppmのCOを含む試験流れの中のCOのほとんど全部を、室温でかなりの長期間にわたって触媒的に酸化した。

0082

それらの金属塩には、各種適切なカウンターアニオンが含まれていてよい。例を挙げれば、硝酸塩、水酸化物、酢酸塩炭酸塩、それらの組合せなどである。炭酸塩は、それだけでも活性化特性を有しているように思われるので、特に好適なアニオンである。炭酸塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と組み合わせて使用すると、さらに一層効果的である。したがって、本発明における好適な活性化剤としては、炭酸塩、特に好ましくは、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられる。

0083

炭酸カリウムは、たとえば金触媒を含む活性炭上で使用した場合に特に効果があるが、他のタイプの担体、たとえばアルミナなどを用いた系でも同様に効果がある。炭酸カリウムが炭素−金系を活性化させるというのは、極めて驚くべきことである。第一に、炭素または他のナノ多孔質担体が存在しない状態で、K2CO3の上に金を堆積させても、その系の触媒活性は、たとえあったとしても、極めて低い。さらに、K2CO3が存在しない状態で、活性炭の上に金を堆積させても、その系の触媒活性は、たとえあったとしても、やはり極めて低い。ところが、それら三つの成分を組み合わせると、極めて効果の高い触媒系が得られるのであり、これについては以下の実施例により示す。実際のところ、活性炭を触媒的に活性な金のための担体とするためのこのような単純で、効果的な方法を見つけたということは、顕著な進歩である。硫酸カリウムが活性化剤としての効果に乏しい(ただし、硫酸カリウムを含浸させた担体を熱処理にかけてから金を堆積させれば、その性能は改良されるとも考えられるが)ということを示すデータからも、炭酸塩の利点が浮き彫りになる。

0084

さらに、本明細書で言及される炭酸カリウムおよび多くの他の塩は、水溶液中に易溶性である。PVDを用いて基材の上に金を堆積させることによって、金とそのような活性化物質との両方を含む系を、容易に製造することが可能となる。K2CO3のような水溶性活性化剤は、通常の水系含浸法または沈殿法では使用することができない。その理由は、それらが水溶媒に溶解して、担体媒体から洗い出されてしまうからである。

0085

また別なタイプの好適な活性化剤としては、アルコキシド物質、特に、多孔質性の低いホスト粒子の上にナノ多孔質表面特性を与えることに関して上に述べたようなもの、を挙げることができる。好適なアルコキシドとしては、TiおよびAlのアルコキシドが挙げられる。アルコキシド物質は、上に挙げた水溶性の塩物質の1種または複数と組み合わせて使用するのが有利である。この二つのタイプの物質を併用すると、それらを担体の上に、同時または順次(その順は問わない)に含浸させることができるが、ただし、担体の上に、塩を含浸させた後にアルコキシド物質を含浸させる方が好ましい。代表的なプロセスにおいては、水溶性の塩を担体の上に含浸させ、次いでその担体を乾燥させ、場合によってはか焼する。次いでアルコキシドをその担体の上に含浸させ、生成物を加水分解させ、乾燥させ、そして場合によってはか焼する。このようにして調製した後で、その活性化させた担体の上に金を堆積させる。

0086

本願発明者らがTEMで検討したところでは、含浸剤/活性化剤としてアルコキシドを使用することによって、担体の結晶構造が変化すると思われる。具体的には、担体表面に近い部分の担体の結晶粒構造が、そのコアの領域よりも細かく、また別な方法としてアルコキシドなしで調製した同一の系よりも細かくなっているように見える。その構造の変化は、多くの場合、担体の中に金より深いところまで、たとえば50nm以上の深さまで及んでいる。場合によっては、変化した表面領域と、変化していないコア領域との境界が容易に観察される。

0087

すべてのアルコキシドが、すべての条件下で効果があるという訳ではない。たとえば、TiおよびAlのアルコキシドは、実施例にも見られるように、触媒系の中に組み込むと触媒性能を向上させることが見出された。しかしながら、それらの配合の中でZr系のアルコキシドに置きかえると、COを酸化させる系の性能の向上は全く見られない。

0088

同様にして、いくつかの水溶性の塩の活性化剤、特に硫酸塩、シュウ酸塩、およびリン酸塩は、本願発明者らの検討のいくつかにおいては、活性化性能を示さないが、ただし、その含浸させた担体をか焼することによって、少なくとも硫酸塩およびシュウ酸塩の性能は改良される可能性はあると考えられる。理論に束縛されることは望まないが、これらの種類のアニオンは配位しやすい傾向があり、担体の表面電荷に影響して、金を固定する表面の能力を損なうことになったと考えられる。ただし、硫酸塩およびシュウ酸塩アニオンは適当なか焼温度で容易に分解されるので、このことが、それらの物質の活性化性能がか焼によって向上させられるであろうと、本願発明者らが考えている理由である。

0089

鉄塩もまた、PVD法を使用して金を堆積させる際に唯一の活性化剤として使用するための候補としては、性能の低いものである。溶液法により金を粒子の上に含浸させる場合には、鉄塩は効果的な活性化剤であるので、これは予想外現象である。このことは、一つの状況、たとえば溶液法においては容易に機能する成分も、他の状況、たとえばPVD法においては同じようには機能しない、ということを示している。

0090

同様にして、他の担体媒体ではうまく機能したのと同じ条件下であっても、すべての多孔質担体で容易に活性化できるとは必ずしも限らない。たとえば、ある種のゼオライト、たとえば、ナトリウムY型ゼオライトは、アルミナ、炭素、シリカ、ホプカライトなどでは有効な方法で処理しても、形成される担体媒体の性能は低い。塩を用いて活性化させても、アルミナにおいて有効な処理をゼオライト媒体に適用しても、CO酸化に対する触媒活性は低いか、全くない。ゼオライトはより規則的な構造を有しており、他の酸化物のような欠陥は有していないことが知られている。シリカライトは、ZSM−5−タイプゼオライトでアルミニウムを含まない形であるが、本発明においては、良好に機能することが見出された。したがって、担体媒体として使用するある種のゼオライト物質では、その表面の金を固定する能力を向上させるような表面処理をしておくのが好ましい。

0091

この不均一触媒系において使用する活性化剤の量は、広い範囲で変化させることが可能であって、活性化剤の性質、系の中に組み込まれる金の量、担体の性質などの各種の因子に依存する。一般的には、使用する活性化剤が少なすぎると、活性化剤を使用する本来の利点充分に発揮されないということもあり得る。その一方で、ある量以上になると、活性化剤を余計に使用しても顕著な利点が追加されず、触媒性能をある程度損ねてしまう可能性もある。したがって、ガイドラインとして示したように、本発明の代表的な実施態様では、活性化剤および担体の全重量を基準にして、0.25〜15、好ましくは1〜5重量パーセントの活性化剤を含む。1種または複数の水溶性の塩と、1種または複数のアルコキシド物質とを組み合わせて使用する場合、塩のアルコキシド成分に対するモル比は、1:100から100:1まで、好ましくは1:5から5:1までの範囲である。

0092

活性化剤は不均一触媒系の中に、各種の方法で組み込むことができる。場合によっては、使用する担体がもともと、適切な活性化剤を含んでいてもよい。たとえば、ココヤシ殻から誘導される活性炭には、天然成分として炭酸カリウムを含んでいる。このタイプの活性炭は、さらなる活性化成分を必要とすることなく、金触媒のための優れた担体となる。

0093

本願発明者らは、ココヤシ殻からの活性炭を使用するメリット、さらには炭酸カリウムを活性化剤として使用するメリットについて述べてきた。クラGC(Kuraray GC)活性炭およびクラレGG(Kuraray GG)活性炭はいずれも、ココヤシ殻から得られたものである。クラレGG(Kuraray GG)活性炭は、炭酸カリウムを含む天然のままで得られた活性炭である。クラレGC(Kuraray GC)活性炭も同様であるが、ただし、酸洗いをし、次いで水を用いて充分に洗い流してあるので、炭酸カリウムならびにその他の酸および水溶性の構成成分が除去されている。PVDを使用してこれら2種の活性炭の上に金を堆積させると、クラレGG(Kuraray GG)活性炭(炭酸カリウムを含む)から誘導される系は、特により湿度の高い条件下では、極めて良好なCO酸化のための触媒である。その一方で、クラレGC(Kuraray GC)活性炭(炭酸カリウムを実質的に含まない)から誘導される系は、乾燥環境湿潤環境のいずれにおいても、CO酸化に対する活性が低い。さらに、クラレGG(Kuraray GG)活性炭を洗浄してカリウム塩を除去すると、得られる系の触媒性能は、顕著に損なわれている。そのような洗浄したクラレGG(Kuraray GG)活性炭を、金を堆積させる前に、活性化剤を用いて含浸させたり、特に、その含浸させた活性炭を、金を堆積させる前に熱処理(以下において説明する)したりすると、触媒活性を復活させることができる。

0094

クラレGG(Kuraray GG)活性炭粒子の上に物理的蒸着法により金を堆積させたものをTEM(透過型電子顕微鏡写真)で調べると、担体のすぐ表面と担体表面に近接した細孔の中との両方に、ナノ粒子およびプロトドット(protodot)が存在しているのが観察された。透過型電子顕微鏡写真からもわかるように、金は、ナノ粒子および極めて細かいクラスターの両方の形態で存在していた。金粒子が、活性炭の小さな溝や裂け目状になっている細孔に優先的に形成されていることが、活性炭の表面上に金の粒子が直線状でネックレスのようなパターンで配列されていたことから判る。同じ領域の暗視野像は、金リッチなしわを明瞭に示していた。金の堆積が均質であることも、TEM画像から鮮明に判った。TEMにより観察された金のクラスターは、小さいもので1nm以下、大きなもので約5nmであった。金がリッチになっている金の溝またはしわは、幅が約7nmで、長さが約50〜100nmであった。暗視野像の中でベール状明るい領域として見える、極端に微細な金のアレーを含む金リッチな領域もまた存在した。これらの領域が、性質的には完全に結晶性であるにもかかわらず、単一の金の結晶に凝集しない理由については、不明である。

0095

理論に束縛することは望まないが、炭酸カリウムの挙動によって、水が吸着できるサイトを炭酸カリウムが与えている、と説明することも可能である。事実、いくつかのケースでは、湿分の存在下では金触媒がより高い活性を有することを、本願発明者らは見出した。

0096

クラレGG(Kuraray GG)活性炭の場合とは異なり、その他の多くの望ましい担体では、天然由来の活性化剤を含んでいるようなことはない。したがって、場合によっては、所望の担体の中に、1種または複数の構成成分を含む活性化剤を組み込むのが望ましい。そのような組込みは、どのような方法で起こさせてもよい。初期湿潤法含浸(incipient wetness impregnation)は一つの好適な方法であって、溶液含浸を使用する方法については、以下の実施例で説明する。簡潔に言えば、初期湿潤法含浸には、所望の活性化剤を含む溶液を、撹拌しながら乾燥担体粒子に徐々に添加することが含まれる。その溶液は一般に、飽和に達するまで加えるが、溶液を過剰に加えることは避けるのが望ましい。そのような溶液は典型的には水溶液であり、その溶液中の活性化剤の化学種の濃度は一般に、約0.2M〜約2.5Mの範囲である。活性化剤の2種以上の化学種を添加する場合には、それらは、同時、別個、あるいは重なる様に加えることができる。含浸させた後、その粒子を乾燥させ、場合によってはか焼(加熱処理)する。

0097

含浸、乾燥、および場合によってはか焼した後で、PVDを用いて金を堆積させるのが好ましい。多くの理由から、含浸と金の堆積とを分離することには、明らかに利点がある。第一に、金を溶液含浸法によって粒子に添加する場合には、使用可能な活性化剤の種類が限定される。たとえば、比較的安価であることが理由で溶液法において一般的に使用される金の化学種である、HAuCl4は、極めて酸性が強く、好適なアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩のような塩基性の活性化剤とは、両立しない。塩基性の金の化学種を使用するようなケースでは、水性の含浸法では、所望の活性化イオンをある程度洗い流してしまう傾向がある。したがって、活性化剤を用いた含浸とは分けて、その後でPVD(非溶液プロセス)を用いて金を堆積させるということは、それらの極端に有効な活性化剤と組み合わせて、金を実質的にはるかに容易に使用することを可能とする、という点で優れたプロセス特性を有する。さらなる利点としては、この方法では、すでに配置してある活性化剤を含む担体の上に金を堆積することができる。本願発明者らが考えるところでは、このことは、本願発明者らの発明にしたがって堆積させた金が、堆積させたままでその後の加熱処理を必要とすることなく高い活性を有している、一つの理由であろう。

0098

しかしながら、金を堆積させる前に、活性化処理をした担体を加熱処理(か焼)することは、極めて効果的となりうる。場合によっては、か焼するまでは、活性化剤が所望の程度の機能を有さない可能性もある。たとえば、活性化剤が硝酸塩を含んでいるような場合には、か焼が明らかに改良を生む傾向がある。他の場合としては、有効な活性化剤の性能がさらに向上することもある。たとえば、一般的に効果のある炭酸塩の性能を、か焼することによってある程度まで挙げることが可能である。さらに、炭酸カリウムのような塩は、含浸させた時に既に活性な形態となっていることが多く、そうして得られた活性化担体は、たとえば約200℃までの温度で乾燥させればよく、か焼処理を実施する必要はない。

0099

一般的には加熱処理には、温度は125℃〜約1000℃の範囲、時間は1秒〜40時間、好ましくは1分〜6時間の範囲で、各種好適な雰囲気たとえば空気、不活性な雰囲気たとえば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、あるいは還元性雰囲気たとえば水素などの中で、含浸させた担体を加熱することが含まれる。使用する具体的な加熱条件は、担体の性質および含浸剤の性質などの因子に依存する。一般的には、加熱処理は、含浸させた担体の構成成分が分解したり、劣化したり、あるいは、さもなければ過度に熱的な損傷を受けるような温度より低い温度で行うべきである。いくつかの含浸させた担体のか焼処理については、下記の実施例において説明する。

0100

活性化剤は塩などとして供給されるが、不均一触媒系の中に組み込まれた後における、それらからの塩またはその成分イオンの形態については、確かなことは判らない。X線回折による分析では、明白な金属の酸化物や炭酸塩の相は認められないが、本質的に炭酸塩であるものが幾分か認められる。したがって、金属イオンが担体表面と反応して、変性しているものと考えられる。

0101

本発明の触媒においては、幅広い用途が存在する。これらの触媒の用途としては、自動車排気ガスの処理の触媒として、水素化触媒として、炭化水素を酸化するための触媒として、および、窒素酸化物除去のための触媒として、ならびに、ガスや上記の検出と測定のためのセンサー居住空間からのCOの除去などの分野があると、本願発明者らは考えている。呼吸保護装置たとえば防煙マスク避難用フードなどでは、呼吸空気から有害なCOまたはその他のガスを除去するために、本発明の触媒を使用することができよう。

0102

ここで本発明を、以下の実施例においてさらに説明する。

0103

試験方法1:COチャレンジ試験手順
図4は、CO酸化のための触媒的特性を評価するための、サンプルをCOチャレンジ(CO challenge)にかけるのに使用した試験システム50の図である。供給配管52からの高圧圧縮空気を、調節器54(3M・モデル・W−2806・エア・フィルトレーション・アンドレギュレーションパネル、ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company))を用いて、減圧、調節、濾過して、粒子状物およびオイル分を除去する。その調節器を調整して、40〜60psiの間の圧力を発生させる。バルブ56(サウスカロライナ州スパータンバーグ(Spartanburg,SC)のホーク・インコーポレーテッド(Hoke Inc.)製)を用いて所望のメイン空気流量に設定して、流量計58(ギルモント(Gilmont)(登録商標)、イリノイ州バリントン(Barrington,IL)のバーナント・カンパニー(Barnant Co.)製)により測定して、0〜77LPMの範囲になるようにする。この流量計58は、ギリブレーター(Gilibrator)(登録商標)気泡流量計(フロリダ州クリアウォーター(Clearwater,FL)のセンシダイン・インコーポレーテッド(Sensidyne,Inc.)製、図示せず)を用いて、較正した。特に断らない限り、すべての触媒の試験において64LPMの空気流量を用いた。

0104

メインの空気流れは、容器64の加熱蒸留水浴62の上のヘッドスペース60を通り、次いで配管57および75を経て、1000mLの混合フラスコ66に入る。その混合フラスコの中の相対湿度をRHセンサー68(タイプ(Type)850−252、ゼネラル・イースタン(General Eastern)、マサチューセッツウィルミントン(Wilmington,MA))を用いてモニターする。そのRHセンサー68が、湿度コントローラー70(コネチカット州スタンフォード(Stamford,CT)のオメガエンジニアリング・インコーポレーテッド(Omega Engineering Inc.)からの、オメガ・エンジニアリング(Omega Engineering)PIDコントローラー・シリーズCN1200)に電気信号送り、そのコントローラーが、配線71を経由して水中ヒーター72に電力を送って、RHを設定値に維持する。特に断らない限り、その相対湿度は85%に調節する。

0105

CO供給に適した調節器76を取り付けた一酸化炭素のボンベ74から、配管73を介してCOガスを調整しながら流す。ステンレス鋼製の、超精密アングル定量バルブ78(オハイオソロン(Solon,OH)のスウェイジロック・カンパニー(Swagelok Co.)製)を用いて、所望のCO流量に設定する。特に断らない限り、空気流れ中のCO濃度を1500ppmとするために、96mL/分のCO流量を用いる。混合フラスコ66の中で、計量したCOを加湿空気と組み合わせる。

0106

次いでその組み合わせた流れを、13クオートの、ステンレス鋼製バケツを逆さにして支持プラットフォーム83に密に係合させたようなボックス81を有する試験チャンバー80の中に流す。その試験チャンバー80の内側に、試験取付具82がある。試験チャンバー80は、フォームガスケット(図示せず)を使用して、支持プラットフォーム83に対して封止させる。二つのクランプ(図示せず)を用いて、支持プラットフォーム83への密封を確保する。そのボックス81は、触媒試験取付具を、試験のために中に入れ、また試験完了後に取り出すために、取り外し可能となっている。その支持プラットフォーム83には、試験する触媒を含む取付具82がその上に搭載できるように、内寸29/42のテーパー付きフィッティングが備わっている。

0107

COおよびCO2濃度ならびに露点温度を、試験チャンバーの出口で測定するが、それに使用するのは、ブリューエル・アンド・キエール・マルチ・ガス・モニター・タイプ1302(Bruel & Kjaer Multi−gas Monitor Type 1302)センサー(デンマーク国ナエルム(Naerum,Denmark)のブリューエル・アンド・キエール(Bruel & Kjaer)製)に、CO2を検出するための#982と、COを検出するための#984の光学フィルターを取り付けたものである。そのマルチ・ガス・モニター(Multi−gas Monitor)は、メーカー推奨手順に従って、10,000ppmのCO2と3,000ppmのCO標準ガスを用いて較正した。そのマルチ・ガス・モニター(Multi−gas Monitor)は、データ収集装置たとえばチャートレコーダーまたはハイパーターミナル・ソフトウェア(Hyperterminal Software)(ミシガン州モンロー(Monroe,MI)のヒルグレーブ(Hilgraeve)製)を実行するラップトップパソコンに、データを出力する。テキストファイルを、マイクロソフト(Microsoft)(登録商標)エクセル(Excel)ソフトウェア(ワシントン州レドモンド(Redmond,WA)のマイクロソフト・コーポレーション(Microsoft Corp.)製)にインポートしてデータ解析を行う。試験を開始する前に、システム50を、公称1500ppmCOの一定濃度の平衡に達するようにしておく。初期CO濃度の変動性は、1500ppmでの試験サンプルの場合で±5%、3600ppmCOでの試験サンプルの場合で±3%であった。空気流れの温度は、試験取付具の下流側で、K型の熱電対(図示せず)と、デジタル読み取り装置(図示せず)(ワシントン州エベレット(Everett,WA)のフルーク・コーポレーション(Fluke Corporation)からの、フルーク・51K/J・サーモミター(Fluke 51K/J Thermometer))とを用いてモニターする。

0108

触媒サンプルは試験の前に篩にかけて微粉を除去する。特に断らない限り、米国標準篩(A.S.T.M.E−11規格、イリノイ州マンライン(Mundelein,IL)のザ・マードック・カンパニー(The Murdock Co.)製)を用いた篩にサンプルをかけて、20メッシュよりも細かい粒子を除去した。所定の触媒容積、典型的には100mLを、内径8.9cm(3.5インチ)で、外側29/42のテーパー付きフィッティングを備えたアルミニウム製試験取付具82の中に、ローディングカラムを使用して仕込む(英国特許第606,876号明細書の記載にならったが、1カ所だけ修正して、上向きの円錐を除いた)。典型的なベッドの深さは約1.6cm(0.6インチ)である。試験取付具82の内側に金網を取り付けて、試験の間の触媒粒子のロスを防ぐ。CO濃度の測定値が安定したら、空気/CO混合物を送っていた配管85の接続を、テーパーフィッティング(図示せず)のところで試験チャンバー80の上から外し、ボックス81を取り除き、触媒を含む試験取付具82を支持プラットフォーム81の上の29/42フィッティングの上に置く。ボックス81をもう一度置き、支持プラットフォーム83に対して密閉する。空気/COの配管85を試験チャンバー80の上のテーパーフィッティングのところに再接続して、COおよびCO2濃度の測定を開始する。測定を所定の時間、典型的には30分間続ける。

0109

3600ppmのCOを用いて64LPMで実施する試験の場合には、バルブ78をステンレス鋼製、微量調整用、ダブルパターンバルブ(オハイオ州ソロン(Solon,OH)のスウェイジロック・カンパニー(Swagelok Co.)製)と置きかえて、より高いCO流量を調節することが可能になるようにする。

0110

試験方法2:クロマトグラフィーの試験手順と装置
図5は、サンプルの触媒特性をクロマトグラフ的に解析するために使用したシステム100を示している。システム100は、タンク102の中に貯蔵されている高圧の空気中CO混合物(1.9%v/v)を含み、また配管106を介して建造物の圧縮空気の供給源104にも接続されている。圧力調節器兼閉め切りバルブ101と、微量用ニードルバルブ103を用いて、配管105を通過する空気中COの流量を調節する。空気中COの流量は、ロータメーター107(ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville,PA)のアルファガッツ(Alphagaz)(エア・リクイデ(Air Liquide))3502フローチューブ)により測定する。

0111

配管106からの建造物の圧縮空気を、調節器110(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)からの3M・モデル・W−2806・エア・フィルトレーション・アンド・レギュレーション・パネル)によって減圧、調節、濾過する。その調節器を調整して、40〜60psiの間の圧力を発生させる。微細ニードルバルブ112を用いて、配管106を通る空気流量を所望の値に設定する。

0112

空気中COと建造物の圧縮空気の流れを接続点108で合わせて、所望の濃度と流量の空気中CO混合物を得る。配管116にあるロータメーター114(ニューヨーク州オレンジバーグ(Orangeburg,NY)のアールボルグ・インストラメンツ(Aalborg Instruments)、112−02フローチューブ)で、その組み合わせた流れの合計の流量を測定する。これらのロータメーターは、触媒床においた(触媒はなし)ギリブレーター(Gilibrator)(登録商標)気泡流量計(図示せず)を用いて較正する。107と114の2本のロータメーターは、実験室環境条件下で、流速約100mL/分〜約500mL/分で約1000〜20,000ppmのCO濃度が得られるように選択する。

0113

次いで、配管116の中の空気で希釈したCO混合物を加湿して所望のRHとするが、それにはその空気混合物を、図示したようなチューブ・イン・シェル型ナフィオン(Nafion)(登録商標)ドライヤー118(ニュージャージー州トムス・リバー(Toms River,NJ)のパーマ・ピュア(Perma Pure)のMD110−12P)を加湿モード運転してその中を通過させるか、水を含む加圧容器(図示せず)の中を、その空気混合物を通過させる。そのドライヤー118には加湿空気を、配管120から入れ、配管122から出す。後者のプロセスの場合、流速200mL/分で約70%のRHが得られた。加湿空気をドライヤーのシェル側に通して、内側のチューブを通過する乾燥した空気中のCOを加湿する。その加湿空気は、冷却水浴中調節温度に維持したフラスコ内の水に、ガラスフリットを通して圧縮空気をバブリングさせることにより得られたものである。RHを低くしたい場合には、空気中CO混合物が所望のRHになるまで、水浴の温度を下げる。RHは、ゼネラル・イースタン・ハイグロ−M1(General Eastern Hygro−M1)光学露点湿度計(マサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington,MA)のGE・ゼネラル・イースタン・インストラメンツ(GE General Eastern Instruments)製)を用いて測定する。ドライヤーのシェルに、室温の水で飽和させた空気を約3L/分の速度で通すと、100mL/分のCO/空気の流れを、90%を超えるRHに加湿することができる。

0114

触媒のサンプル(通常は深さ約1〜2cm)を、厚壁で内径4mm、長さ約8cmのポリエチレンチューブ124の中に雪片状に詰めて、触媒床125を形成させる。チューブ124の一方の端部は、綿のプラグ127でシールする。空気中CO混合物は、その触媒床を通過してから、粒子カートリッジフィルター126(マサチューセッツ州チュークスベリ(Tewksbury,MA)のパーカー・ハニフィン・コーポレーション(Parker Hannifin Corporation)製、バルストンDFU(Balston DFU)サンプルフィルターグレードBQ)を通過し、ガスクロマトグラフ128(カリフォルニア州トランス(Torrance,CA)のSRIモデル8610Cガスクロマトグラフ、サンプリングバルブならびに熱伝導度検出器およびヘリウムイオン検出器装備)のサンプリングバルブに入る。粒子フィルター126によって、触媒床から漏れだした粒子によってGCのバルブが破損されることから、保護する。

0115

ガスサンプリングバルブによって、5フィートのモレキュラーシーブ5Aカラムに、触媒床から出てくる流れを定期的に注入する。これがCOと空気を分離する。CO濃度を、熱伝導度検出器(CO検出限界、約500ppm)またはヘリウムイオン化検出器(CO検出限界、<10ppm)のいずれかにより測定する。試験の間、CO濃度は約4分おきに測定して表示し、データファイルに記録する。

0116

それらの検出器は、既知流量のスコット(Scott)の検定済みCO(99.3%)を、既知流量の空気を用いて希釈して、既知のCO濃度を発生させることにより、較正する(流量の較正機器:フロリダ州クリアウォーター(Clearwater,FL)のセンシダイン(Sensidyne)のギリブレーター(Gilibrator)流量較正器)。それらのデータから較正曲線を作成する。

0117

金の付着方法:基材粒子の上へ金のナノ粒子を堆積させるためのプロセス:
詳細に説明し、図2および3に示した装置を以下のようにして用い、特に断らない限り、以下の手順にしたがって触媒物質を調製する。300ccの基材粒子をまず、空気中約200℃(活性炭機材の場合は120℃)で一夜加熱して残存している水分を除去する。次いでそれらを、熱いうちに粒子撹拌器装置10の中に入れ、次いでチャンバー14を真空にする。チャンバーの圧力が10−5トルの範囲にまで低下したら、アルゴンスパッタリングガスをチャンバー14に導入して約10ミリトルの圧力とする。次いで0.03キロワットカソード電力印加することにより、金堆積プロセスを開始する。その金堆積プロセスの間、粒子撹拌器のシャフト40を約4rpmで回転させる。60分後に電力を停止する。空気を用いてチャンバー14の圧力を戻し、金をコーティングした粒子を装置10から取り出す。金スパッタターゲット32をコーティングの前後に量して、堆積させた金の量を測定する。活性炭粒子の場合には、堆積させた金の量は、処理した活性炭粒子についてイオン結合プラズマ元素分析により測定すると、0.05%w/wであった。

0118

その堆積プロセスの間、ブレード42とチャンバーの壁との間のギャップを1.7mm(堆積条件1)または2.7mm(堆積条件2)に維持した。

0119

ガンマアルミナ粒子の調製:
室温で、脱イオン水(2600mL)、48gの16N分析グレード硝酸、および800gのアルファアルミナ一水和物ベーマイト)粉体(商品ディスペラル(DISPERAL)として販売されているもの)を、18.9リットルポリエチレンライニングした鋼製容器の中に仕込んだ。ギフォード−ウッドホモジナイザーミキサー(Gifford−Wood Homogenizer Mixer)(ニューハンプシャー州ヒドソン(Hydson,NH)のグリーコ・コーポレーション(Greeco Corp.)製)を用いて、その仕込み物を5分間高速処理をして分散させた。得られたゾルを46cm×66cm×5cmのポリエステルライニングしたアルミニウムトレー流し込み、空気炉中100℃で乾燥させると、砕けやすい固体が得られた。

0120

そうして得られた乾燥物を、鋼製平板の間のギャップを1.1mmとした、「ブラウン(Braun)」タイプのUD微粉砕器を用いて粉砕した。その破砕物を篩にかけて、0.125mm〜約1mmの篩サイズのものを残し、それをか焼器の一端にフィードしたが、そのか焼器は、直径23cm、長さ4.3メートルのステンレス管で、2.9メートルの加熱ゾーンを有し、その管を水平に対して2.4度傾けて7rpmで回転させると、滞留時間が約15〜20分となった。そのか焼器の加熱ゾーンは、フィード端の温度が約350℃、出口端の温度が約800℃であった。か焼の際に、か焼器の加熱端におけるアルミナ粒子上のガス温度を測定すると約380℃であった。次いでその予備焼成物を、米国標準篩(A.S.T.M.E−11規格、イリノイ州マンダライン(Mundelein,IL)のザ・マードック・カンパニー(The Murdock Co.)製)を用いて、20メッシュより大、16メッシュより小のサイズに篩い分けた。この画分をアルミナ粒子「A」と呼ぶことにした。予備焼成物のさらなるサンプルを、米国標準篩(A.S.T.M.E−11規格、イリノイ州マンダライン(Mundelein,IL)のザ・マードック・カンパニー(The Murdock Co.)製)を用いて、20メッシュより大、14メッシュより小のサイズに篩い分けた。この14〜20メッシュ粒子径のサンプルを、アルミナ粒子「B」と呼ぶことにした。これらの物質を用いて、以下の触媒担体を調製した。

0121

実施例1
タイプAガンマアルミナ粒子:
タイプAガンマアルミナ粒子を、堆積条件2を用い、先に述べたようにして、プラズマアシストスパッタリングにより金を用いて処理した。触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における、実施例1のCO酸化触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは3600ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図6に示す。これらの実施例における図6およびその他のグラフは、測定したガス濃度(単位ppm)と、試験ガス混合物を100mLの試験床を通した試験時間との関係を表している。その経過時間は、分:秒:1/10秒で表してある。

0122

実施例2
未変性のタイプBガンマアルミナ粒子:
タイプBガンマアルミナ粒子を、堆積条件2を用い、先に述べたようにして、プラズマアシストスパッタリングにより金を用いて処理した。触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における、実施例2のCO酸化触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは3600ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図7に示す。

0123

ガンマアルミナ粒子の含浸:
充分な量の含浸金属の可溶性塩を、所望の濃度を有する溶液とするに充分な量の脱イオン水と混合することにより、含浸液体の溶液を調製した。たとえば、炭酸カリウム(FW=138.21g/モル)の0.5M溶液を調製するには、69.11gの炭酸カリウムを、充分な量の脱イオン水に溶解させて、最終的に容積を1リットルとした。

0124

粒子は初期湿潤法(incipient wetness)により含浸させた。初期湿潤法では、乾燥させたガンマアルミナ粒子に、その粒子をパドルまたはスパチュラで撹拌しながら含浸溶液を徐々に添加して、ガンマアルミナ粒子の細孔の中に溶液を浸透させることにより、そのガンマアルミナ粒子の細孔をその溶液で完全に飽和させる。粒子の上または間で液相の存在が目に見えるような、過剰な含浸溶液を加えることは避けた。粒子を完全に飽和させたら、その含浸粒子強制空気炉中130℃で乾燥させてから、それぞれのサンプルのところで述べる条件でか焼した。

0125

実施例3
炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−サンプル加熱130℃:
710gのガンマアルミナ粒子A(ガンマアルミナ粒子の容積950mL)を、0.5MのK2CO3(メルク・KgaA(Merck KgaA)、独国ダルムシュタット(Darumstadt,Germany))溶液を用いて、初期湿潤法により含浸させた。0.5MのK2CO3を469mL加えたところで、完全な飽和に到達した。この結果として、乾燥後には約2.5重量%のカリウムを含む触媒担体が得られた。その粒子を130℃で乾燥させ、そのサンプルの内の300mLを金を用いて処理した(堆積条件2)。

0126

このサンプルの上の金の重量パーセントを、誘導結合アルゴンプラズマ分光分析法(ICP)により測定した。反復サンプルについての結果は、0.0486重量%金、および0.0521重量%金であった。

0127

実施例3からのサンプルを、先に説明したようにしてTEMにより調べた。サンプルを代表すると思われる起伏領域(undulating region)にあるAu粒子のおよその粒径範囲は2.1〜6.6nmであった。この領域におけるAu粒子の平均粒径は3.0nmであり、基材の中への深さの範囲は38〜60nmであった。サンプルのフラットな領域においては、Au粒子のおよその粒径範囲は、2.4〜11.4nmであった。その領域におけるAu粒子の平均粒径は8.6nmであり、それらの金粒子は完全に粒子の表面に見出されて、浸透はほとんど観察されなかった。

0128

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例3の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図8に示す。これらの結果から、カリウムソースを用いて変性した担体では、触媒性能が改良されたことが判る。

0129

実施例4
炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−サンプル加熱300℃:
実施例3からの乾燥サンプルの内の300mLを、箱形炉中空気中300℃に加熱してか焼し、そのサンプルを300℃で1時間維持した。冷却してから、そのか焼サンプルを金で処理した(堆積条件2)。

0130

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例4の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図9に示す。

0131

実施例5
炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−サンプル加熱600℃:
実施例3からの乾燥サンプルの内の300mLを、箱形炉中空気中600℃に加熱してか焼し、そのサンプルを600℃で1時間維持した。冷却してから、そのか焼サンプルを金で処理した(堆積条件2)。

0132

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例5の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図10に示す。

0133

実施例6
炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−炭酸カリウム含量の影響:
6.91gのK2CO3(独国ダルムシュタット(Darumstadt,Germany)のメルク・KGAA(Merck KGGA)製)を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積200mLとすることにより、炭酸カリウムの溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Bのサンプル(粒子容積300mL、224.14g)を、約150mLの0.4MのK2SO4を用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、130℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0134

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例6の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは3600ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図11に示す。

0135

実施例7
炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−炭酸カリウム含量の影響:
実施例6に記載したのと同様にして炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子を調製し、試験したが、ただし、6.91gの炭酸カリウムに代えて、13.82gの炭酸カリウムを使用した。試験の結果を図12に示す。

0136

実施例8
炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−炭酸カリウム含量の影響:
実施例6に記載したのと同様にして炭酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子を調製し、試験したが、ただし、6.91gの炭酸カリウムに代えて、20.72gの炭酸カリウムを使用した。試験の結果を図13に示す。

0137

実施例9
炭酸アンモニウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製:
11.41gの炭酸アンモニウム水和物を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積を200mLとすることにより、0.5Mの炭酸アンモニウム(フィッシャー・サイエンティフィック・カンパニー(Fisher Scientific Co.)、ニュージャージー州フェアローン(Fair Lawn,NJ))の溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Aのサンプル(粒子容積300mL、サンプル量224.14g)を、約150mLの0.5Mの炭酸アンモニウム溶液を用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、100℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0138

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例9の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図14に示す。

0139

実施例10
水酸化カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製:
4.49gのKOH(独国ダルムシュタット(Darumstadt,Germany)のメルク・KgaA(Merck KgaA)製)を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積を200mLとすることにより、0.4Mの水酸化カリウムの溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Aのサンプル(粒子容積300mL、サンプル量224.14g)を、約150mLの0.4MのKOHを用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、100℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0140

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例10の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図15に示す。

0141

実施例11
酢酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製:
7.85gのKCH3O2(ニュージャージー州フェア・ローン(Fair Lawn,NJ)のフィッシャー・サイエンティフィック・カンパニー(Fisher Scientific Co.)製)を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積を200mLとすることにより、0.4Mの酢酸カリウムの溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Aのサンプル(粒子容積300mL、224.14g)を、約150mLの0.4MのKCH3O2を用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、100℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0142

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例11の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図16に示す。

0143

実施例12
硫酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製:
13.94gのK2SO4(ニュージャージー州フィリップスバーグ(Phillipsburg,NJ)のJ.T.ベーカー・ケミカル・カンパニー(J.T.Baker Chemical Co.)製)を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積を200mLとすることにより、硫酸カリウムの溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Aのサンプル(粒子容積300mL、224.14g)を、約150mLの0.4MのK2SO4を用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、100℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0144

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例12の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図17に示す。

0145

実施例13
シュウ酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製:
14.74gのK2C2O4(マリンクロット・ケミカル・ワークス(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO)のMallinkrodt Chemical Works)製)を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積を200mLとすることにより、シュウ酸カリウムの溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Aのサンプル(粒子容積300mL、224.14g)を、約150mLの0.4MのK2C2O4を用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、100℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0146

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例13の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図18に示す。

0147

実施例14
リン酸カリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製:
13.93gのK2HPO4(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)のアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.)製)を充分な量の脱イオン水に溶解させて容積を200mLとすることにより、リン酸カリウムの溶液を調製した。ガンマアルミナ粒子Aのサンプル(粒子容積300mL、224.14g)を、約150mLの0.4MのK2HPO4を用いて、初期湿潤法により含浸させた。含浸させてから、100℃の炉の中でその粒子を乾燥させた。乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングによりその含浸粒子を金処理した(堆積条件2)。

0148

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例14の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図19に示す。

0149

実施例15
バリウム含浸ガンマアルミナ粒子の調製−130℃で乾燥:
初期湿潤法を使用して、A型のガンマアルミナ粒子に、含浸溶液として0.4Mの硝酸バリウム(A.C.S.認定品、ニュージャージー州フェア・ローン(Fair Lawn,NJ)のフィッシャー・サイエンティフィック・カンパニー(Fisher Scientific Co.)製)の溶液を用いて含浸させた。この含浸には、224.1gのガンマアルミナを、20.9gの硝酸バリウムを脱イオン水に溶解させて最終的に容積を200mLとした溶液の148mLを用いて、含浸することを含む。130℃で乾燥させてから、プラズマアシストスパッタリングにより金でそのサンプルを処理した(堆積条件2)。

0150

触媒床にガスを通過させている間のCO酸化における触媒活性に関する実施例15の触媒の性能を、試験方法1を用いて測定した。COチャレンジは1500ppmCOであり、ガスの全流量は64リットル/分であった。そのガスの相対湿度は85%であった。結果を図20に示す。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ