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技術 車両用自動変速機の変速制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 綾部篤志杉村敏夫
出願日 2006年6月6日 (13年1ヶ月経過) 出願番号 2006-157859
公開日 2007年12月20日 (11年6ヶ月経過) 公開番号 2007-327525
状態 未査定
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
主要キーワード ブレーキ接点 係合切 ブロック線 間接経路 合計期間 電磁制御 チップイン 解除速度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年12月20日)のものです。
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図面 (16)

課題

コーストダウン変速中において変速待機制御が実行されても、そのコーストダウン変速を達成する係合側摩擦係合要素耐久性の低下が抑制される車両用自動変速機変速制御装置を提供する。

解決手段

変速強制終了手段110により、変速待機制御が実行されない場合はコーストダウン変速の変速開始からの経過時間teが予め設定された通常時強制終了時間TBに達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させられる一方、変速待機制御が実行される場合には、経過時間teが通常時強制終了時間TBよりも長く設定された第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させられるので、コーストダウン変速中において変速待機制御が実行されても、そのコーストダウン変速を実行する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される。

概要

背景

複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段成立させる車両用自動変速機が種々の車両において用いられている。斯かる自動変速機において、車両の減速時から再び加速する際にレスポンスよく適切な駆動力で加速できるように、車両の減速時にはコーストダウン変速を行い、アクセルの踏み込みに備える技術が知られている。また、特許文献1に記載された自動変速機の制御装置のように、解放側摩擦係合要素係合側摩擦係合要素との掴み換えクラッチツウクラッチ)によるコーストダウン変速を行うに当たり、その変速特性を好適なものとするために、通常の変速における変速線とは異なるコーストダウン変速用の変速線を設ける技術も提案されている。

特開2003−269601号公報

概要

コーストダウン変速中において変速待機制御が実行されても、そのコーストダウン変速を達成する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される車両用自動変速機の変速制御装置を提供する。変速強制終了手段110により、変速待機制御が実行されない場合はコーストダウン変速の変速開始からの経過時間teが予め設定された通常時強制終了時間TBに達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させられる一方、変速待機制御が実行される場合には、経過時間teが通常時強制終了時間TBよりも長く設定された第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させられるので、コーストダウン変速中において変速待機制御が実行されても、そのコーストダウン変速を実行する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される。

目的

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とするところは、変速待機制御手段の実行、非実行に拘わらず適切に変速を強制終了させて、コーストダウン変速を実行する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される車両用自動変速機の変速制御装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段成立させる車両用自動変速機において、車両の減速時に解放側摩擦係合要素係合側摩擦係合要素との掴み換えによるコーストダウン変速を行う車両用自動変速機の変速制御装置であって、前記コーストダウン変速中に運転者減速意図があるか否かを判定する減速意図判定手段と、該減速意図判定手段の判定が肯定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させない変速待機制御を実行する変速待機手段と、該変速待機手段により前記係合圧の上昇が停止させられた状態において、前記減速意図判定手段の判定が否定される場合には前記変速待機制御を解除して前記係合側摩擦係合要素の係合圧を再び上昇させて変速を進行させる変速進行手段と、前記変速待機手段により変速待機制御が実行されない場合は、前記コーストダウン変速の変速開始又はイナーシャ相開始からの経過時間が予め設定された通常時強制終了時間に達した時点で該コーストダウン変速を強制終了させる一方、前記変速待機手段により変速待機制御が実行される場合には、前記経過時間が前記通常時強制終了時間よりも長く設定された強制終了時間に達した時点で該コーストダウン変速を強制終了させる変速強制終了手段とを、含むことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。

請求項2

前記変速強制終了手段は、前記変速待機手段により変速待機制御が実行される場合には、前記変速待機制御の終了から所定時間経過した時点で前記コーストダウン変速を強制終了させるものである請求項1の車両用自動変速機の変速制御装置。

請求項3

前記所定時間は、前記通常時強制終了時間と同じ長さである請求項2の車両用自動変速機の変速制御装置。

請求項4

前記変速強制終了手段は、前記経過時間が、前記変速待機制御の終了から前記所定時間が経過した時点、および予め設定された変速待機制御実行時強制終了時間に達した時点のうちのいずれか早く発生した時点で、前記コーストダウン変速を強制終了させるものである請求項2または3の車両用自動変速機の変速制御装置。

技術分野

0001

本発明は、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段成立させる車両用自動変速機変速制御装置に関し、特に、惰性走行コースト)時のダウンシフトにおける変速時間の長期化を制限する技術に関するものである。

背景技術

0002

複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる車両用自動変速機が種々の車両において用いられている。斯かる自動変速機において、車両の減速時から再び加速する際にレスポンスよく適切な駆動力で加速できるように、車両の減速時にはコーストダウン変速を行い、アクセルの踏み込みに備える技術が知られている。また、特許文献1に記載された自動変速機の制御装置のように、解放側摩擦係合要素係合側摩擦係合要素との掴み換えクラッチツウクラッチ)によるコーストダウン変速を行うに当たり、その変速特性を好適なものとするために、通常の変速における変速線とは異なるコーストダウン変速用の変速線を設ける技術も提案されている。

0003

特開2003−269601号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、前記従来の技術において、変速中ブレーキ操作がなされた状態にあっては、そのブレーキにより生じる減速度の変化によって所定の同期タイミングで係合側摩擦係合要素を係合させることが難しくなる等、制御精度を確保できないおそれがある。

0005

これに対し、コーストダウン変速中に運転者減速意図があると判定された場合には、係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させる変速待機制御を実行し、運転者の減速意図がないと判定されるとその変速待機制御を解除して変速を進行させることにより、再加速時の加速応答性変速ショックの低減との両立を図ることが考えられる。

0006

ところで、変速期間が長期化すると摩擦係合要素の耐久性が低下する。この問題を解決するために、変速開始又はイナーシャ相開始からの経過時間が予め設定された強制終了時間に達した時点で変速を強制終了させる変速強制終了制御を行うようにしている。しかし、このような変速強制終了制御を実行するようにした場合には、変速待機制御とその変速強制終了制御との干渉が生じる。すなわち、変速待機制御が実行され、変速を進行させないようにしているにも拘わらず、その間も経過時間を計数し、経過時間が強制終了時間に到達した時点で変速を終了させると、摩擦係合要素の耐久性の上で変速を強制終了させたい時点よりも早く変速強制終了制御が実行され、必要以上に変速強制終了制御が実行されてしまう。これに対し、強制終了時間の設定を長期化すると、逆に、変速待機制御が実行されなかった場合に摩擦係合要素の耐久性の低下を招くという問題がある。また、制御干渉を防止すべく、変速待機制御が実行されたときには、変速強制終了制御を中止することも考えられるが、この場合には変速期間が長期化した場合に摩擦係合要素の耐久性低下を招くという問題があった。

0007

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とするところは、変速待機制御手段の実行、非実行に拘わらず適切に変速を強制終了させて、コーストダウン変速を実行する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される車両用自動変速機の変速制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

斯かる課題を解決するために、本発明の要旨とするところは、(a) 複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる車両用自動変速機において、車両の減速時に解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掴み換えによるコーストダウン変速を行う車両用自動変速機の変速制御装置であって、(b) 前記コーストダウン変速中に運転者の減速意図があるか否かを判定する減速意図判定手段と、(c) その減速意図判定手段の判定が肯定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させない変速待機制御を実行する変速待機手段と、(d) その変速待機手段により前記係合圧の上昇が停止させられた状態において、前記減速意図判定手段の判定が否定される場合には前記変速待機制御を解除して前記係合側摩擦係合要素の係合圧を再び上昇させて変速を進行させる変速進行手段と、(e) 前記変速待機手段により変速待機制御が実行されない場合は、前記コーストダウン変速の変速開始又はイナーシャ相開始からの経過時間が予め設定された通常時強制終了時間に達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させる一方、前記変速待機手段により変速待機制御が実行される場合には、前記経過時間が前記通常時強制終了時間よりも長く設定された強制終了時間に達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させる変速強制終了手段とを、含むことにある。

発明の効果

0009

このようにすれば、前記コーストダウン変速中に運転者の減速意図があるか否かを判定する減速意図判定手段と、その減速意図判定手段の判定が肯定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにする変速待機手段と、その変速待機手段により前記係合圧の上昇が停止させられた状態において、前記減速意図判定手段の判定が否定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧を再び上昇させて変速を進行させる変速進行手段とを、有することから、運転者の減速意図がある場合すなわち減速状態から停止状態へと移行させる意図があると考えられる場合にコーストダウン変速を進行させないようにすることで、不必要なコーストダウン変速により変速ショックが発生するのを防止できることに加え、運転者の減速意図がなくなった場合にはコーストダウン変速を進行させることで、減速時から再び加速する際にレスポンスよく加速できる。すなわち、車両の減速時から再び加速する際にレスポンスよく加速できるようにしつつ変速ショックを低減することができる。

0010

しかも、変速強制終了手段により、前記変速待機手段による変速待機制御が実行されない場合は、前記コーストダウン変速の変速開始又はイナーシャ相開始からの経過時間が予め設定された通常時強制終了時間に達した時点で該コーストダウン変速を強制終了させられるので、変速待機制御が行われないときにおいて、コーストダウン変速の必要以上の長期化が可及的に防止され、係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が可及的に防止される一方、変速強制終了手段により、前記変速待機手段による変速待機制御が実行される場合には、前記経過時間が前記通常時強制終了時間よりも長く設定された強制終了時間に達した時点で該コーストダウン変速を強制終了させられるので、コーストダウン変速中において変速待機制御が実行されても、そのコーストダウン変速を実行する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される。

0011

ここで、好適には、前記変速強制終了手段は、前記変速待機手段により変速待機制御が実行される場合には、前記変速待機制御の終了から所定時間経過した時点で前記コーストダウン変速を強制終了させるものである。このようにすれば、変速待機制御が行われたときにおいて、コーストダウン変速の必要以上の長期化が可及的に防止され、係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が可及的に防止される。また、好適には、上記所定時間は、前記通常時強制終了時間と同じ長さとすれば、所定時間が容易に設定される。

0012

また、好適には、前記変速強制終了手段は、前記経過時間が、前記変速待機制御の終了から所定時間が経過した時点、および予め設定された変速待機制御実行時強制終了時間に達した時点のうちのいずれか早く発生した時点で、前記コーストダウン変速を強制終了させるものである。このようにすれば、コーストダウン変速の長期化が確実に防止され、係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が好適に防止される。

0013

また、好適には、前記摩擦係合要素は、油圧式摩擦係合装置であり、前記変速待機手段は、前記減速意図判定手段の判定が肯定される場合には前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにするものであり、前記変速進行手段は、前記減速意図判定手段の判定が否定される場合には前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧を再び上昇させて変速を進行させるものである。このようにすれば、複数の油圧式摩擦係合装置を備えた実用的な車両用自動変速機において、車両の減速時から再び加速する際にレスポンスよく加速できるようにしつつ変速ショックを低減することができる。

0014

また、好適には、前記減速意図判定手段は、ブレーキ操作が解除されたこと、アクセル操作がなされたこと、及びブレーキ操作量解除速度所定値以上であることの何れかが判定された場合に運転者の減速意図がなくなった旨を判定するものである。このようにすれば、運転者の減速意図の有無を好適に判定できる。

0015

また、好適には、車両が旋回状態であるか否かを判定する旋回判定手段を有し、前記変速待機手段は、その旋回判定手段の判定が否定されていることを条件に前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにするものである。このようにすれば、車両が旋回中である場合には、旋回のためにブレーキ操作が為された直後に再び加速される可能性が高いことから、斯かる再加速時における加速性の悪化を好適に抑制できる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

0017

図1は、本発明が好適に適用される車両用自動変速機(以下、自動変速機と表す)10の構成を説明する骨子図であり、図2は、その自動変速機10において複数の変速段を成立させる際の摩擦係合要素の作動を説明する作動表である。この自動変速機10は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース(以下、ケースと表す)26内において、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを共通の軸心上に有し、入力軸22の回転を変速して出力軸24から出力する。入力軸22は入力回転部材に相当するものであり、本実施例では走行用動力源であるエンジン30によって回転駆動されるトルクコンバータ32のタービン軸である。出力軸24は出力回転部材に相当するものであり、例えば図示しない差動歯車装置終減速機)や一対の車軸等を順次介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、この自動変速機10はその軸心に対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその軸心の下半分が省略されている。

0018

上記第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1、そのピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するキャリヤCA1、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備え、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1によって3つの回転要素が構成されている。キャリヤCA1は入力軸22に連結されて回転駆動され、サンギヤS1は回転不能にケース26に一体的に固定されている。リングギヤR1は中間出力部材として機能し、入力軸22に対して減速回転させられて、回転を第2変速部20へ伝達する。本実施例では、入力軸22の回転をそのままの速度で第2変速部20へ伝達する経路が、予め定められた一定の変速比(=1.0)で回転を伝達する第1中間出力経路PA1であり、その第1中間出力経路PA1には、入力軸22から第1遊星歯車装置12を経ることなく第2変速部20へ回転を伝達する直結経路PA1aと、入力軸22から第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1を経て第2変速部20へ回転を伝達する間接経路PA1bとがある。また、入力軸22からキャリヤCA1、そのキャリヤCA1に配設されたピニオンギヤP1、およびリングギヤR1を経て第2変速部20へ伝達する経路が、第1中間出力経路PA1よりも大きい変速比(>1.0)で入力軸22の回転を変速(減速)して伝達する第2中間出力経路PA2である。

0019

前記第2遊星歯車装置16は、サンギヤS2、ピニオンギヤP2、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するキャリヤCA2、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えている。また、前記第3遊星歯車装置18は、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびP3、そのピニオンギヤP2およびP3を自転および公転可能に支持するキャリヤCA3、ピニオンギヤP2およびP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えている。

0020

上記第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18では、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。具体的には、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置16のキャリヤCA2および第3遊星歯車装置のキャリヤCA3が互いに一体的に連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに一体的に連結されて第3回転要素RM3が構成され、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第4回転要素RM4が構成されている。この第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置16のピニオンギヤP2が第3遊星歯車装置18の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。

0021

前記自動変速機10は、ギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素としてクラッチC1、クラッチC2、クラッチC3、クラッチC4(以下、特に区別しない場合には単にクラッチCという)、ブレーキB1、ブレーキB2(以下、特に区別しない場合には単にブレーキBという)を備えており、上記第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第1ブレーキB1を介してケース26に選択的に連結されて回転停止され、第3クラッチC3を介して中間出力部材である第1遊星歯車装置12のリングギヤR1(すなわち第2中間出力経路PA2)に選択的に連結され、さらに第4クラッチC4を介して第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1(すなわち第1中間出力経路PA1の間接経路PA1b)に選択的に連結されている。第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびCA3)は、第2ブレーキB2を介してケース26に選択的に連結されて回転停止させられるとともに、第2クラッチC2を介して入力軸22(すなわち第1中間出力経路PA1の直結経路PA1a)に選択的に連結されている。第3回転要素RM3(リングギヤR2およびR3)は、出力軸24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に選択的に連結されている。なお、第2回転要素RM2とケース26との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1が第2ブレーキB2と並列に設けられている。

0022

図2の作動表は、前記自動変速機10において各変速段(ギヤ段)を成立させる際のクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の作動状態を説明する図表であり、「○」は係合状態を、「(○)」はエンジンブレーキ時のみ係合状態を、空欄解放状態をそれぞれ表している。第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要はない。また、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。

0023

図3は、前記第1変速部14および第2変速部20の各回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図であり、下の横線が回転速度「0」を示し、上の横線が回転速度「1.0」すなわち入力軸22と同じ回転速度を示している。また、第1変速部14の各縦線は、左側から順番にサンギヤS1、リングギヤR1、キャリヤCA1を表しており、それ等の間隔は第1遊星歯車装置12のギヤ比ρ1(=サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数)に応じて定められる。第2変速部20の4本の縦線は、左側から右端へ向かって順番に第1回転要素RM1(サンギヤS2)、第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびキャリヤCA3)、第3回転要素RM3(リングギヤR2およびリングギヤR3)、第4回転要素RM4(サンギヤS3)を表しており、それ等の間隔は第2遊星歯車装置16のギヤ比ρ2および第3遊星歯車装置18のギヤ比ρ3に応じて定められる。

0024

図2及び図3に示すように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられると、出力軸24に連結された第3回転要素RM3は「1st」で示す回転速度で回転させられ、最も大きい変速比(=入力軸22の回転速度/出力軸24の回転速度)の第1変速段「1st」が成立させられる。また、第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「2nd」で示す回転速度で回転させられ、第1変速段「1st」よりも変速比が小さい第2変速段「2nd」が成立させられる。また、第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合させられて、第4回転要素RM4および第1回転要素RM1が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられて第2変速部20が一体回転させられると、第3回転要素RM3は「3rd」で示す回転速度で回転させられ、第2変速段「2nd」よりも変速比が小さい第3変速段「3rd」が成立させられる。また、第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第1回転要素RM1が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「4th」で示す回転速度で回転させられ、第3変速段「3rd」よりも変速比が小さい第4変速段「4th」が成立させられる。また、第1クラッチC1および第2クラッチC2係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「5th」で示す回転速度で回転させられ、第4変速段「4th」よりも変速比が小さい第5変速段「5th」が成立させられる。また、第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合させられて、第2変速部20が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「6th」で示す回転速度すなわち入力軸22と同じ回転速度で回転させられ、第5変速段「5th」よりも変速比が小さい第6変速段「6th」が成立させられる。この第6変速段「6th」の変速比は1である。また、第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合させられて、第1回転要素RM1が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「7th」で示す回転速度で回転させられ、第6変速段「6th」よりも変速比が小さい第7変速段「7th」が成立させられる。また、第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合させられて、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられるとともに、第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「8th」で示す回転速度で回転させられ、第7変速段「7th」よりも変速比が小さい第8変速段「8th」が成立させられる。また、第3クラッチC3および第2ブレーキB2が係合させられると、第1回転要素RM1が第1変速部14を介して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられて、第3回転要素RM3は「Rev1」で示す回転速度で逆回転させられ、逆回転方向で変速比が最も大きい第1後進変速段「Rev1」が成立させられる。また、第4クラッチC4および第2ブレーキB2が係合させられると、第1回転要素RM1が入力軸22と一体回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられ、第3回転要素RM3は「Rev2」で示す回転速度で逆回転させられ、第1後進変速段「Rev1」よりも変速比が小さい第2後進変速段「Rev2」が成立させられる。第1後進変速段「Rev1」、第2後進変速段「Rev2」は、それぞれ逆回転方向の第1変速段、第2変速段に相当する。

0025

このように本実施例の自動変速機10は、複数の摩擦係合要素すなわちクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものであり、変速比が異なる2つの中間出力経路PA1、PA2を有する第1変速部14および2組の遊星歯車装置16、18を有する第2変速部20により、4つのクラッチC1〜C4および2つのブレーキB1、B2のうち所定の解放側摩擦係合要素の解放係合側摩擦係合装置の係合とによる係合切換えで前進8速の変速ギヤ段が達成されるため、小型に構成され、車両への搭載性が向上する。また、図2の作動表から明らかなように、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2の何れか2つを掴み替える所謂クラッチツウクラッチにより各変速段の変速を行うことができる。また、上記クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBと表す)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。

0026

図4は、図1の自動変速機10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。この図4に示す電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記エンジン30の出力制御や自動変速機10の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や変速制御用等に分けて構成される。

0027

図4において、アクセルペダル50の操作量Accがアクセル操作量センサ52により検出されるとともに、そのアクセル操作量Accを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。このアクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるものであることからアクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。また、常用ブレーキであるフットブレーキブレーキペダル54の操作の踏込量θSCを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。このブレーキペダル54は、運転者の減速要求量に応じて大きく踏み込み操作されるものであることからブレーキ操作部材に相当し、その踏込量θSCはブレーキ操作量に相当する。

0028

また、エンジン30の回転速度NEを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン30の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度Tairを検出するための吸入空気温度センサ62、エンジン30の電子スロットル弁全閉状態アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチスロットル弁開度センサ64、車速V(出力軸24の回転速度NOUTに対応)を検出するための車速センサ66、エンジン30の冷却水温TWを検出するための冷却水温センサ68、ブレーキペダル54の操作の有無乃至は踏込量θSCを検出するためのブレーキセンサ70、シフトレバー72のレバーポジション操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度NIN)を検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOILを検出するためのAT油温センサ78、車両の加速度(減速度)Gを検出するための加速度センサ80などが設けられており、それらのセンサやスイッチなどから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度Tair、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW、ブレーキ操作の有無乃至は踏込量θSC、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL、車両の加速度(減速度)Gなどを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。

0029

上記シフトレバー72は例えば運転席の近傍に配設され、図5に示すように、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、または「S」へ手動操作されるようになっている。「P」ポジションは自動変速機10内の動力伝達経路を解放し且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力軸24の回転を阻止(ロック)するための駐車位置であり、「R」ポジションは自動変速機10の出力軸24の回転方向を逆回転とするための後進走行位置であり、「N」ポジションは自動変速機10内の動力伝達経路を解放するための動力伝達遮断位置であり、「D」ポジションは自動変速機10の第1速乃至第8速の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で自動変速制御を実行させる前進走行位置であり、「S」ポジションは変速可能な高速側の変速段が異なる複数の変速レンジ或いは異なる複数の変速段を切り換えることにより手動変速が可能な前進走行位置である。この「S」ポジションにおいては、シフトレバー72の操作毎に変速範囲或いは変速段をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、シフトレバー72の操作毎に変速範囲或いは変速段をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションが備えられている。前記レバーポジションセンサ74はシフトレバー72がどのレバーポジション(操作位置)PSHに位置しているかを検出する。

0030

また、前記油圧制御回路98には、例えば上記シフトレバー72にケーブルリンクなどを介して連結されたマニュアルバルブが備えられ、シフトレバー72の操作に伴ってそのマニュアルバルブが機械的に作動させられることにより油圧制御回路98内の油圧回路が切り換えられる。例えば、「D」ポジションおよび「S」ポジションでは前進油圧PDが出力されて前進用回路が機械的に成立させられ、前進変速段である第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」で変速しながら前進走行することが可能となる。電子制御装置90は、シフトレバー72が「D」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断して自動変速モードを成立させ、第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の総ての前進変速段を用いて変速制御を行う。

0031

上記電子制御装置90は、例えば図6に示すような車速Vおよびアクセル操作量Accをパラメータとして予め記憶された関係(マップ変速線図)から実際の車速Vおよびアクセル操作量Accに基づいて変速判断を行い、その判断した変速段が得られるように変速制御を行う変速制御手段100(図8参照)を機能的に備えており、例えば車速Vが低くなったりアクセル操作量Accが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段が成立させられる。この変速制御においては、その変速判断された変速段が成立させられるように変速用の油圧制御回路98内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁や電流制御が実行されてクラッチCやブレーキBの係合、解放状態が切り換えられるとともに変速過程過渡油圧などが制御される。すなわち、前記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁をそれぞれ制御することによりクラッチCおよびブレーキBの係合、解放状態を切り換えて第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の何れかの前進変速段を成立させる。なお、スロットル弁開度θTHや吸入空気量Q、路面勾配などに基づいて変速制御を行うなど、種々の態様が可能である。

0032

上記図6の変速線図において、実線アップシフトが判断されるための変速線(アップシフト線)であり、破線はダウンシフトが判断されるための変速線(ダウンシフト線)である。また、この図6の変速線図における変速線は、実際のアクセル操作量Acc(%)を示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否かすなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点車速)VSを越えたか否かを判断するためのものであり、上記値VSすなわち変速点車速の連なりとして予め記憶されていることにもなる。なお、図6の変速線図は自動変速機10で変速が実行される第1変速段乃至第8変速段のうちで第1変速段乃至第6変速段における変速線が例示されている。

0033

図7は、油圧制御回路98のうちリニアソレノイドバルブSL1〜SL6に関する部分を示す回路図で、クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータ油圧シリンダ)34、36、38、40、42、44には、油圧供給装置46から出力されたライン油圧PLがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1〜SL6により調圧されて供給されるようになっている。油圧供給装置46は、前記エンジン30によって回転駆動される機械式オイルポンプ48(図1参照)や、ライン油圧PLを調圧するレギュレータバルブ等を備えており、エンジン負荷等に応じてライン油圧PLを制御するようになっている。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、基本的には何れも同じ構成で、電子制御装置90(図4参照)により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータ34〜44の油圧が独立に調圧制御されるようになっている。そして、自動変速機10の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放と係合とが同時に制御される所謂クラッチツウクラッチ変速が実行される。例えば、図2係合作動表に示すように5速→4速のダウンシフトでは、クラッチC2が解放されると共にクラッチC4が係合され、変速ショックを抑制するようにクラッチC2の解放過渡油圧とクラッチC4の係合過渡油圧とが適切に制御される。

0034

図8は、前記電子制御装置90の制御機能の要部すなわちアクセルオフ操作に伴う惰性走行時のダウンシフトに際しての制御作動(以下、コーストダウン変速制御作動と表す)を説明する機能ブロック線図である。図8において、変速制御手段100は、例えば図6に示すように予め記憶された変速線図から実際の車速Vおよびアクセル操作量Accに基づいて変速判断を実行し、判断された変速を実行させるための変速出力を油圧制御回路98に対して行うことにより、自動変速機10のギヤ段を自動的に切り換える。例えば、自動変速機10の変速段が第3変速段とされているときの惰性走行時において、変速制御手段100は実際の車速Vがアクセル操作量Accがにおける3速→2速ダウンシフトを実行すべき変速点車速V3−2を越えたと判断した場合には、クラッチC3を解放開始させ、その係合トルクがある程度維持されているときにブレーキB1の係合圧をたとえば図9に示すように上昇させることによりそのブレーキB1の係合を開始させてその係合トルクを発生させ、この状態で第3変速段の変速比γ3から第2変速段の変速比γ2へ移行させつつ、クラッチC3の解放とブレーキB1の係合とを完了させる指令を油圧制御回路98に出力する。

0035

減速意図判定手段102は、上記変速制御手段100による変速制御に際して運転者の減速意図があるか否かを判定する。この判定はコーストダウン変速中に所定の時間周期で繰り返し実行されるものであり、たとえばブレーキ操作がなされたことがブレーキセンサ70からの信号に基づいて判定された場合に運転者の減速意図がある旨を判定する。好適には、(a)ブレーキ操作が解除されたこと、(b)アクセル操作がなされたこと、及び(c)ブレーキ操作量の解除速度が所定値以上であることの何れかが判定された場合には、運転者の減速意図がなくなった旨を判定する。(a)の判定は前記ブレーキセンサ70を介して検出される前記フットブレーキのブレーキ接点信号のオンオフや図示しないブレーキマスタシリンダ圧等に基づいて行われ、ブレーキ接点信号がオフとされた場合或いはブレーキマスタシリンダ圧が所定値以下となった場合にはブレーキ操作が解除されたと判定される。また、(b)の判定は前記アクセル操作量センサ52を介して検出される前記アクセルペダル50の操作量Acc等に基づいて行われ、アクセル操作量Accが零ではない場合すなわちエンジン30がアイドル状態ではない場合にはアクセル操作がなされたと判定される。また、(c)の判定は前記ブレーキセンサ70を介して検出される前記フットブレーキの踏込量θSCの変化速度(所定時間あたりの変化量)や図示しないブレーキマスタシリンダ圧の変化速度等に基づいて行われ、ブレーキ踏込量θSCの変化速度が所定値以下となった場合或いはブレーキマスタシリンダ圧の変化速度が所定値以下となった場合にはブレーキ操作量の解除速度が所定値以上であると判定される。なお、上記(a)、(b)、(c)の判定のうち何れか1つの判定のみを行い、その判定に基づいて運転者の減速意図がなくなった旨を判定してもよい。

0036

前記変速制御手段100は、変速待機手段104及び変速進行手段106、および変速強制終了手段110を含んでいる。変速待機手段104は、コーストダウンシフト変速中に上記減速意図判定手段102の判定が肯定される場合、すなわち運転者の減速意図があると判定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させない変速待機制御を実行する。ここで、係合側摩擦係合要素とは、各コーストダウンシフト変速におけるクラッチツウクラッチ変速に関して係合される側(新たに係合される)の油圧式摩擦係合装置であり、本実施例の自動変速機10における8速→7速ダウンシフトではクラッチC3が、7速→6速ダウンシフトではクラッチC4が、6速→5速ダウンシフトではクラッチC1が、5速→4速ダウンシフトではクラッチC4が、4速→3速ダウンシフトではクラッチC3が、3速→2速ダウンシフトではブレーキB1が、2速→1速ダウンシフトではブレーキB2がそれぞれ相当する。すなわち、本実施例において変速待機手段104は、上記減速意図判定手段102の判定が肯定される場合には前記油圧制御回路98を介して前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにする。なお、本実施例では、2速→1速ダウンシフトではブレーキB2に併設されたワンウェイクラッチF1がはたらくため斯かる係合圧の制御は行われない。

0037

また、変速進行手段106は、コーストダウンシフト変速中に上記変速待機手段104により前記係合圧の上昇が停止させられた場合において、前記減速意図判定手段102の判定が否定される場合、すなわち運転者の減速意図がないと判定される場合には、変速待機手段104による変速待機制御によって上昇停止させられていた前記係合側摩擦係合要素の係合圧を再び上昇させて変速を進行させる。すなわち、減速意図判定手段102の判定が否定される場合には、油圧制御回路98を介して前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧を再び上昇させて変速を進行させ、よく知られたコーストダウン変速の実行を継続させる。

0038

また、図8に示す旋回判定手段108は、車両が旋回状態(旋回走行中)であるか否かを判定する。好適には、図示しないセンサにより検出されたステアリングホイール或いは車輪舵角横方向加速度(横G)、コーナーRなどが所定の判断基準値を越えたか否かに基づいて、車両が旋回状態であるか否かを判定する。また、好適には、加速指向中においてチップイン操作を除くアクセル戻し速度が所定値以上であるとき、或いは制動時の減速度が所定値以上であるときに車両の旋回を判定する。これにより、舵角センサなどの検出装置を設けることなく、車両のコーナ走行およびコーナ中走行が判定される。なお、上記旋回判定手段108は、単純に車両が旋回状態であるか否かを判定するものであってもよいが、車両の旋回量が所定の範囲内であるか否かを判定するもの等、様々な態様が考えられる。

0039

ここで、前記変速待機手段104は、運転者の減速意図があることに加え、上記旋回判定手段108の判定が否定されていることすなわち車両が旋回状態ではないことを条件として、前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにする前述の変速待機制御を行う。すなわち、前記変速進行手段106は、上記旋回判定手段108の判定が肯定される場合、すなわち車両が旋回状態である場合には前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧を上昇させて変速を進行させる。

0040

図9は、本実施例のコーストダウン変速制御作動の一例として3速→2速コーストダウンシフトにおける係合側の油圧式摩擦係合装置すなわちブレーキB1に対応する油圧指令値を説明するタイムチャートであり、図9は変速中に運転者の減速意図がなくなり再加速される例を示している。図9に示す油圧指令値は、前記油圧制御回路98に備えられたリニアソレノイドバルブSL5を介して前記ブレーキB1の係合状態を制御するための指令値であり、そのブレーキB1の係合圧に対応している。

0041

図9に示すタイムチャートでは、先ず、時点t1において前記変速制御手段100により3速→2速ダウンシフト(変速出力)の開始が判定され、前記ブレーキB1への作動油の供給が開始されると、所謂ファーストフィル制御が実行されて前記リニアソレノイドバルブSL5の出力ポートから出力される作動油の流量が一時的に急上昇させられ、次いで比較的緩やかな所定速度で係合圧が昇圧するように作動油がブレーキB1に供給される。次に、時点t2において前記ブレーキセンサ70によりフットブレーキの操作が検出され、前記減速意図判定手段102の判定が肯定される状態すなわち運転者の減速意図がある状態と判定されると、前記リニアソレノイドバルブSL5を介して前記ブレーキB1に供給される作動油により所定速度で上昇させられている途中の係合側油圧の上昇が停止させられて一定に維持され、変速がそれ以上進行させられないように制御される。次に、時点t3′において前記ブレーキセンサ70によりフットブレーキの解除が検出され、前記減速意図判定手段102の判定が否定される状態すなわち運転者の減速意図がない状態と判定されると、前記リニアソレノイドバルブSL5を介して前記ブレーキB1に供給される係合側油圧の上昇が再び開始させられる。そして、時点t4において前記ブレーキB1が完全に係合させられ、3速→2速ダウンシフト変速が完了させられる。なお、斯かる制御は、前述した図9に示す制御と同様に、変速出力が開始された後に運転者によりブレーキ操作が行われた場合のみならず、運転者によるブレーキ操作が3速→2速ダウンシフトが判定される時点t1以前から行われている場合であっても同様に実行される。

0042

図9に示すように、本実施例の制御では、コーストダウン変速中に減速意図判定手段102の判定が肯定される状態すなわち運転者の減速意図がある状態と判定される状態では、変速待機制御により前記ブレーキB1の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにする一方、そのようにして前記ブレーキB1の係合圧の上昇が停止させられた状態において減速意図判定手段102の判定が否定された場合すなわち運転者の減速意図がない状態と判定された場合には、変速待機制御が解除されて前記ブレーキB1の係合圧が再び上昇させられて変速が再び進行させられる。惰性走行(コースト)時のダウンシフトでは、一般に、再び加速する際にレスポンスよく適切な駆動力で加速できるようにアクセルの踏み込みに備えるコーストダウン変速制御が行われるが、減速意図判定手段102の判定が肯定される状態すなわち運転者の減速意図があると判定される状態が継続する場合は、減速状態から車両停止状態への移行が考えられるため、変速を中途で停止させて進行しないようにすることで、変速ショックの発生を好適に抑制できる。一方、減速意図判定手段102の判定が否定される状態すなわち運転者の減速意図がない状態と判定される状態になった場合には、車両の減速時から再加速に転ずることが考えられるため、コーストダウン変速を進行させてそれを終了させ、レスポンスよく適切な駆動力で加速できるようにアクセルの踏み込みに備える。ここで、本実施例の制御では、ブレーキ操作の解除により変速が進行するため、その解除の後にダウン変速が行われる可能性があるが、運転者により体感されるブレーキオフによるショックと変速ショックとは類似するものであることから、意図的なブレーキオフ操作によるショックに変速ショックが重なることで、運転者にそれを変速ショックとして感じさせることを抑制できるという利点もある。

0043

図10は、図9のタイムチャートに対応して、車両の旋回走行状態における出力軸24のトルク及びブレーキのオン・オフを示すタイムチャートであり、本実施例の制御による出力軸トルクを実線で、前記ブレーキB1の係合圧の上昇を停止させない従来の制御による出力軸トルクを点線でそれぞれ示している。車両が旋回走行中である場合には、ブレーキ操作が解除された直後にアクセルペダル50が踏み込まれて再び加速される可能性が高いが、ブレーキ操作によりコーストダウン変速制御が進行しないようにされ、そのブレーキ操作の解除と共にコーストダウン変速制御を再進行させる態様において、そのようにブレーキ操作の解除の直後に前記アクセルペダル50が踏み込まれて再加速されると、図10の時点t3′以降に実線で示すように短時間に出力軸トルクの変化幅が大きくなりやや変速ショックが生じてしまう特性となる可能性がある。そこで、本実施例では前述したように、旋回判定手段108の判定が肯定される場合すなわち車両が旋回走行状態である場合には変速待機制御を実行せずブレーキB1に供給される係合側油圧を上昇させて変速を進行させる。これにより、従来の制御と同様に3速→2速のコーストダウンシフト変速が速やかに完了させられ、図10に点線で示すように斯かる変速ショックを抑制することができる。

0044

変速強制終了手段110は、コーストダウン変速中において変速待機手段104による変速待機制御が行われない場合は、図13に示すように、コーストダウン変速の開始時たとえばイナーシャ相開始からの経過時間teが正常時にはコーストダウン変速が完了する数秒程度に予め設定された通常時強制終了時間TBに達した時点でコーストダウン変速を強制終了させる。また、変速強制終了手段110は、コーストダウン変速中において変速待機手段104による変速待機制御が行われた場合は、図14に示すように、上記経過時間teが上記通常時強制終了時間TBよりも長く設定された第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点でコーストダウン変速を強制終了させる。第1変速待機制御実行時強制終了時間T1は、所定時間たとえば上記通常時強制終了時間TBと同じ長さの時間だけ変速待機終了時点t4から経過した時間であるので、必然的に上記通常時強制終了時間TBよりも長い値となる。

0045

上記経過時間teが予め設定された通常時強制終了時間TBに達する前に変速待機手段104による変速待機制御が行われた場合において、変速強制終了手段110は、その変速待機制御の終了時点t4から再計数された経過時間t4eが上記所定時間に達した時点でコーストダウン変速を強制終了させてもよく、実質的に、上記経過時間teが第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点でコーストダウン変速を強制終了させることと同じである。

0046

また、上記変速待機手段104による変速待機制御が行われた場合において、変速強制終了手段110は、上記経過時間teが第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点と、上記経過時間teが通常時強制終了時間TBよりも長く予め設定された第2変速待機制御実行時強制終了時間T2に達した時点とのいずれか早く発生した時点で、コーストダウン変速を強制終了させる。図15は、経過時間teが第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達する時点よりも、経過時間teが予め設定された第2変速待機制御実行時強制終了時間T2に達した時点の方が早く発生した時点で、コーストダウン変速が強制終了させられた例が示されている。上記第2変速待機制御実行時強制終了時間T2は、ブレーキ操作に関連した変速待機制御が繰り返し実行されるとコーストダウン変速の終了が大幅に長期化することの対策として設定されたコーストダウン変速の最長許容時間であり、たとえば30秒程度の値に予め設定される。

0047

図11および図12は前記電子制御装置90による制御作動の要部を説明するフローチャートであって、図11はコーストダウン変速制御作動の要部を説明するためのものであり、図12は前記変速強制終了手段110に対応する複数のステップを含むルーチンであって、コーストダウン変速の強制終了制御作動の要部を説明するためのものである。図11および図12は数ms乃至十数msの比較的短い周期で繰り返し実行されるものである。

0048

先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、コーストダウンシフト変速が行われる状態であるか否かすなわち惰性走行(コースト)時のダウンシフト変速であるか否か判断される。このS1の判断が否定される場合には、本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、前記減速意図判定手段102の動作に対応するS2において、運転者の減速意図があるか否かが判断される。例えば、前記ブレーキセンサ70を介して検出される前記フットブレーキのブレーキ接点信号のオン・オフや図示しないブレーキマスタシリンダ圧等に基づいて、ブレーキ接点信号がオンとされている場合或いはブレーキマスタシリンダ圧が所定値以上である場合には運転者の減速意図があるものと判断される。また、ブレーキ接点信号がオフとされた場合或いはブレーキマスタシリンダ圧が所定値以下となった場合や、前記アクセル操作量センサ52を介して検出される前記アクセルペダル50の操作量Acc等に基づいて、アクセル操作量Accが零ではない場合すなわちエンジン30がアイドル状態ではない場合には減速意図がないものと判断される。更に、前記ブレーキセンサ70を介して検出される前記フットブレーキの踏込量θSCの変化速度(所定時間あたりの変化量)や図示しないブレーキマスタシリンダ圧の変化速度等に基づいて、ブレーキ踏込量θSCの変化速度が所定値以下である場合或いはブレーキマスタシリンダ圧の変化速度が所定値以下となった場合にはブレーキ操作の解除速度が所定値以上であると判断され、その場合には減速意図がないものと判断される。このS2の判断が否定される場合、すなわち運転者の減速意図がないと判断される場合には、前記変速進行手段106の動作に対応するS4において、前記油圧制御回路98を介して前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧が上昇させられ、コーストダウン変速制御が再開させられた後、本ルーチンが終了させられるが、S2の判断が肯定される場合、すなわち運転者の減速意図があると判断される場合には、前記旋回判定手段108の動作に対応するS3において、車両が旋回状態(旋回中)であるか否かをが判断される。例えば、図示しないセンサにより検出されたステアリングホイール或いは車輪の舵角、横方向加速度(横G)、コーナーRなどが所定の判断基準値を越えたか否かに基づいて、その判断基準を超えている場合には車両が旋回状態であると判断される。また、加速指向中においてチップイン操作を除くアクセル戻し速度が所定値以上である場合、或いは制動時の減速度が所定値以上である場合には車両が旋回状態であると判断される。このS3の判断が肯定される場合には、S4以下の処理が実行されるが、S3の判断が否定される場合には、前記変速待機手段104の動作に対応するS5において、前記油圧制御回路98を介して前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧の上昇が停止させられ、変速を進行させない状態とされた後、本ルーチンが終了させられる。

0049

コーストダウン変速の強制終了作動を図12のフローチャートと図13乃至図15のタイムチャートを用いて説明する。図13コーストダウン変速期間内で運転者の減速意図に基づく変速待機制御が行われないときの強制終了作動を説明するタイムチャートであり、図14はコーストダウン変速期間内で当初から運転者の減速意図に基づく変速待機制御が行われているときの強制終了作動を説明するタイムチャートであり、図15はコーストダウン変速期間内で運転者の減速意図に基づく変速待機制御が当初から行われるとともにそれが一旦終了させられ、再び変速待機制御が行われたときの強制終了作動を説明するタイムチャートである。

0050

図12は、何らかの原因でコーストダウン変速期間が長期化することを防止するために強制終了させるものであり、そのコーストダウン変速判断が行われたときに実行されるフローチャートである。図12において、先ずSA1では、コーストダウン変速が開始される。すなわち、解放側の摩擦係合要素の解放が指令され、係合側の摩擦係合要素の係合が指令され、コーストダウン変速の進行が開始される。図13乃至図15のt1時点はこの状態を示している。次いで、SA2では、コーストダウン変速中にたとえば前記(a)、(b)、(c)の判定のうち何れか1つが肯定されて減速意図の発生に基づく変速待機制御の開始条件が成立したか否かが判断される。

0051

図13に示すように、コーストダウン変速中に変速待機制御が行われない場合は、上記SA2の判断が否定されるので、SA3において変速開始から変速待機制御が行われたという履歴があるか否かが判断される。このSA3の判断も否定されるので、SA4において、イナーシャ相開始を示すt2時点から計数されている経過時間teが予め設定された通常時強制終了時間TBを越えたか否かが判断される。当初はこのSA4の判断が否定されるので、上記SA2、SA3、SA4が繰り返し実行される。この繰り返しのうちSA4の判断が肯定されると、変速強制終了手段110に対応するSA5において、コーストダウン変速が未だ継続している場合はそれの強制終了が実行されて本ルーチンが終了させられる。図13のt3時点はこの状態を示している。

0052

図14図15に示すように、コーストダウン変速中に変速待機制御が行われた場合において、変速待機制御が実行中であればSA2の判断が肯定されるので、SA6において、前記経過時間teが予め設定された第2変速待機制御実行時強制終了時間T2に達したか否かが判断される。この判断が否定されるうちは未だコーストダウン変速中である確率が高いので、SA2およびSA6が繰り返し実行される。この状態でSA6の判断が肯定されると、変速強制終了手段110に対応するSA5において継続中のコーストダウン変速が強制終了させられる。

0053

しかし、上記SA2の判断が否定される場合は、変速待機制御の終了後の状態であることから、SA3において変速開始から変速待機制御が行われたという履歴があると判断されるので、SA7において、前記経過時間teが予め設定された第2変速待機制御実行時強制終了時間T2に達したか否かが判断される。当初はこのSA7の判断が否定されるので、SA8において、前記経過時間teが予め設定された第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達したか否かが判断される。当初はこのSA8の判断も否定されるので、SA2、SA3、SA7、およびSA8が繰り返し実行される。すなわち、SA7およびSA8により、経過時間teが予め設定された第2変速待機制御実行時強制終了時間T2に達した時点と、経過時間teが予め設定された第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点とのうちの早い方の時点が判断される。

0054

上記SA2、SA3、SA7、およびSA8が繰り返し実行されるうち、図14に示すように、コーストダウン変速中に行われた変速待機制御の回数或いは期間が比較的少ないか短い場合には、上記SA8の判断が肯定されるので、変速強制終了手段110に対応するSA5において継続中のコーストダウン変速が強制終了させられる。図14のt5時点はこの状態を示している。また、上記SA2、SA3、SA7、およびSA8が繰り返し実行されるうち、図15に示すように、コーストダウン変速中に行われた変速待機制御の回数或いは合計期間が比較的多いか長い場合には、上記SA7の判断が肯定されるので、変速強制終了手段110に対応するSA5において継続中のコーストダウン変速が強制終了させられる。図15のt7時点はこの状態を示している。なお、図14および図15において、破線は、実際には用いられなかった通常時強制終了時間TBおよび第1変速待機制御実行時強制終了時間T1を示している。

0055

上述のように、本実施例によれば、変速強制終了手段110により、変速待機手段104による変速待機制御が実行されない場合は、コーストダウン変速の変速開始又はイナーシャ相開始からの経過時間teが予め設定された通常時強制終了時間TBに達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させられるので、変速待機制御が行われないときにおいて、コーストダウン変速の必要以上の長期化が可及的に防止され、係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が可及的に防止される一方、変速強制終了手段110により、変速待機手段104による変速待機制御が実行される場合には、経過時間teが通常時強制終了時間TBよりも長く設定された第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点でそのコーストダウン変速を強制終了させられるので、コーストダウン変速中において変速待機制御が実行されても、そのコーストダウン変速を実行する係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が抑制される。

0056

また、本実施例によれば、変速強制終了手段110は、変速待機手段104により変速待機制御が実行される場合には、その変速待機制御の終了から所定時間経過した時点で、すなわちイナーシャ相開始から第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点でコーストダウン変速を強制終了させるものであることから、コーストダウン変速中に変速待機制御が行われたときにおいて、コーストダウン変速の必要以上の長期化が可及的に防止され、係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が可及的に防止される。また、上記所定時間は、通常時強制終了時間TBと同じ長さであるので、容易に設定される。

0057

また、本実施例によれば、変速強制終了手段110は、経過時間teが、変速待機制御の終了から所定時間が経過した時点すなわちイナーシャ相開始から第1変速待機制御実行時強制終了時間T1に達した時点と、予め設定された第2変速待機制御実行時強制終了時間T2に達した時点のうちのいずれか早く発生した時点で、コーストダウン変速を強制終了させるものであるので、コーストダウン変速の長期化が確実に防止され、係合側摩擦係合要素の耐久性の低下が好適に防止される。

0058

また、本実施例によれば、前記コーストダウン変速中に運転者の減速意図があるか否かを判定する減速意図判定手段102(S2)と、その減速意図判定手段102の判定が肯定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにする変速待機手段104(S5)と、その変速待機手段104により前記係合圧の上昇が停止させられた状態において、前記減速意図判定手段102の判定が否定される場合には前記係合側摩擦係合要素の係合圧を再び上昇させて変速を進行させる変速進行手段106(S4)とを、有することから、運転者の減速意図がある場合すなわち減速状態から停止状態へと移行させる意図があると考えられる場合にコーストダウン変速を進行させないようにすることで、不必要なコーストダウン変速により変速ショックが発生するのを防止できることに加え、運転者の減速意図がなくなった場合にはコーストダウン変速を進行させることで、減速時から再び加速する際にレスポンスよく加速できる。すなわち、車両の減速時から再び加速する際にレスポンスよく加速できるようにしつつ変速ショックを低減する車両用自動変速機10の変速制御装置を提供することができる。

0059

また、前記摩擦係合要素は、油圧式摩擦係合装置であり、前記変速待機手段104は、前記減速意図判定手段102の判定が肯定される場合には前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにするものであり、前記変速進行手段106は、前記減速意図判定手段102の判定が否定される場合には前記係合側の油圧式摩擦係合装置に供給される係合側油圧を再び上昇させて変速を進行させるものであるため、複数の油圧式摩擦係合装置を備えた実用的な車両用自動変速機10において、車両の減速時から再び加速する際にレスポンスよく加速できるようにしつつ変速ショックを低減することができる。

0060

また、前記減速意図判定手段102は、ブレーキ操作が解除されたこと、アクセル操作がなされたこと、及びブレーキ操作量の解除速度が所定値以上であることの何れかが判定された場合に運転者の減速意図がなくなった旨を判定するものであるため、運転者の減速意図の有無を好適に判定できる。

0061

また、車両が旋回状態であるか否かを判定する旋回判定手段108(S3)を有し、前記変速待機手段104は、その旋回判定手段108の判定が否定されていることを条件に前記係合側摩擦係合要素の係合圧の上昇を停止させて変速を進行させないようにするものであるため、車両が旋回中である場合には、旋回のためにブレーキ操作が成された直後に再び加速される可能性が高いことから、斯かる再加速時における加速性の悪化を好適に抑制できる。

0062

以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。

0063

例えば、前述の実施例において、経過時間te、通常時強制終了時間TB、第1変速待機制御実行時強制終了時間T1、および第2変速待機制御実行時強制終了時間T2は、コーストダウン変速のイナーシャ相開始を基準とするものであったが、それに替えて、そのコーストダウン変速の変速出力判断時或いは変速出力時等の変速開始時を基準とするものであってもよい。

0064

前述の実施例において、第1変速待機制御実行時強制終了時間T1は、変速待機終了時点t4から経過した時間じ所定時間として通常時強制終了時間TBと同じ長さの時間を加えた時間であったが、その所定時間は通常時強制終了時間TBと必ずしも同じでなくてもよく、通常時強制終了時間TBよりも短い値や長い値が用いられてもよい。

0065

また、前述の実施例において、前記自動変速機10は、選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるための摩擦係合要素として、複数の油圧式摩擦係合装置すなわちクラッチC及びブレーキBを備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電磁式クラッチ磁粉式クラッチ等の電磁制御による摩擦係合要素を備えたものであってもよい。この場合、前記変速待機手段104及び変速進行手段106は、それら摩擦係合要素に供給される指令信号を制御することによりそれら摩擦係合要素の係合圧を制御する。

0066

また、前述の実施例では、前記解放側の油圧式摩擦係合装置の解放圧や係合側の油圧式摩擦係合装置の係合圧を前記リニヤソレノイドバルブSL1〜SL6を用いて直接的に制御してダウン変速を実行する直接圧制御について説明したが、そのように各油圧式摩擦係合装置に対応してリニヤソレノイドバルブが設けられたものではなく、直接圧制御ではない他の制御方式の油圧制御回路を用いた変速機構にも本発明は好適に適用されるものである。

0067

また、前述の実施例では、コーストダウンシフト変速の例として、3速→2速及び第2変速段を経ない3速→1速のダウンシフト変速すなわちワンウェイクラッチ変速を含む制御について説明したが、本発明は車両の減速時に解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掴み換えによるコーストダウン変速に広く適用されるものであり、ワンウェイクラッチ変速を含まないクラッチツウクラッチ変速の制御にも好適に適用されるものであることは言うまでもない。

0068

その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。

図面の簡単な説明

0069

本発明が好適に適用される車両用自動変速機の構成を説明する骨子図である。
図1の自動変速機において複数の変速段を成立させる際の摩擦係合要素の作動を説明する作動表である。
図1の自動変速機に備えられた第1変速部および第2変速部の各回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図である。
図1の自動変速機などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。
図4のシフトレバーの操作位置を説明する図である。
図4の電子制御装置の変速制御において用いられる変速線図の一例を示す図である。
図4の油圧制御回路の要部を説明する図である。
図4の電子制御装置の制御機能の要部すなわち惰性走行時のダウンシフトに際しての制御作動を説明する機能ブロック線図である。
図4の電子制御装置によるコーストダウン変速制御作動の一例として3速→2速ダウンシフトにおける係合側の油圧式摩擦係合装置に対応する油圧指令値を説明するタイムチャートであり、変速中に運転者の減速意図がなくなり再加速される例を示している。
図9のタイムチャートに対応して、車両の旋回状態における出力軸トルク及びブレーキのオン・オフを示すタイムチャートであり、本発明の制御による出力軸トルクを実線で、係合側の油圧式摩擦係合装置の係合圧の上昇を停止させない従来の制御による出力軸トルクを点線でそれぞれ示している。
図4の電子制御装置によるコーストダウン変速制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図4の電子制御装置によるコーストダウン変速制御の強制終了制御作動の要部を説明するフローチャートである。
変速待機制御が行われないときのコーストダウン変速であるときの変速強制終了制御作動を説明するタイムチャートである。
コーストダウン変速中において変速待機制御が行われるときの変速強制終了制御作動を説明するタイムチャートである。
コーストダウン変速中において変速待機制御が複数回行われるときの変速強制終了制御作動を説明するタイムチャートである。

符号の説明

0070

10:車両用自動変速機
100:変速制御手段
102:減速意図判定手段
104:変速待機手段
106:変速進行手段
110:変速強制終了手段
TB:通常時強制終了時間
T1:第1変速待機制御実行時強制終了時間(強制終了時間)
T2:第2変速待機制御実行時強制終了時間(強制終了時間)
B1、B2:ブレーキ(摩擦係合要素、油圧式摩擦係合装置)
C1、C2、C3、C4:クラッチ(摩擦係合要素、油圧式摩擦係合装置)

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