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技術 有機単結晶の形成方法

出願人 古河機械金属株式会社
発明者 鈴木千里
出願日 2006年5月24日 (14年7ヶ月経過) 出願番号 2006-144033
公開日 2007年12月6日 (13年0ヶ月経過) 公開番号 2007-314365
状態 拒絶査定
技術分野 ピリジン系化合物 結晶、結晶のための後処理 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード 部材表 電界センサー 異種部材 フォトクロミック現象 核発生位置 恒温水槽内 DAST結晶 ゲル温度
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図面 (3)

課題

結晶性の優れた大型の有機単結晶形成方法及びその有機単結晶を提供する。

解決手段

有機単結晶4Aを構成する有機物が溶解した溶液1中にゲル化剤2を投入することによりゲル3を形成し、ゲル3を冷却することにより有機物が過飽和となり、この有機物の結晶核4がゲル3の中に発生する。そして、ゲル3の中に形成された結晶核4から結晶成長が進行して、有機単結晶4Aが形成される方法において、結晶成長に最適なゲル3の性状を特定する。ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに0.2Pa・s以上600Pa・s以下に調整することが望ましい。

概要

背景

4−ジメチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムトシレート(4−dimethylamino−N−methyl−4−stilbazolium tosylate:以下、DASTとする)単結晶は、大きな非線形性を示し、光通信用赤外光波長変換デバイス電界センサー光サンプリングフォトクロミック現象を用いた光メモリー及び超高速ICの計測ブローブなどの電子部品への応用が期待されている。このような有機単結晶の代表的な形成方法としては、自然核成長及び種結晶成長法がある。

自然核成長法による有機単結晶の形成は、以下のようにして行う。最初に有機単結晶を構成する有機物メタノールなどに溶解した後、この溶液温度を降下し前記有機物が過飽和になるようにする。溶液が過飽和になると溶液から前記有機物が析出する。その析出物が核となり成長することにより、有機単結晶が得られる。

一方、種結晶成長法は前記自然核成長法によって得られた有機単結晶を種結晶とし、この種結晶を溶液中に投入し、温度を降下させることにより前記種結晶をさらに発達させ、大型の有機単結晶を得る方法である。この方法は、上記応用に供することができる大型のDAST単結晶を得るために好適な手法である。

自然核成長法は結晶性の高い単結晶を形成することができるが、核発生位置の制御が困難である。このため、成長過程において核発生位置が接近した場合には、その後の結晶成長過程で結晶同士が接触して多結晶化したり、育成容器の底に接して成長した場合は、結晶内部に大きな応力が加わり結晶欠陥が発生するという問題があった。

一方、種結晶成長法は、自然核成長法によって得られ種結晶の欠陥をそのまま引き継がれる。このため、種結晶の品質が悪い場合には、得られるDAST結晶が多結晶化したり、内部に多くの結晶欠陥が導入されるので、結晶性の高い大型DAST結晶を得ることは極めて困難であった。

特許文献1には、4−フッ化エチレン樹脂製の傾斜板の表面に溝部を形成し、傾斜面上で有機物の結晶核を析出させ、傾斜面を滑り落ちる結晶核を溝部で捕捉して大型の単結晶に成長させる方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法では、成長して得られる結晶の下端部が、結晶成長の場所を提供する4−フッ化エチレン樹脂製の部材表面に設けられた溝部と接しており、この溝部との接触箇所およびその周辺において結晶欠陥が発生することがあった。

ここで、本発明者は、有機単結晶を構成する有機物が溶解した溶液中から有機単結晶を育成する方法において、前記溶液中にゲル化剤を投入することによりゲルを形成し、ゲル中で結晶成長を行う有機単結晶の形成方法(以下、ゲル法とする)を提案している(非特許文献1)。
特開2000−256100号公報
鈴木千里、郭 俊清、碓井 彰,ゲル内成長法における有機非線形光学結晶DASTの育成,応用物理応用物理学会,2005年3月10日発行,Vol.34,No.3,第52回応用物理学関係連合講演プログラムp.76

概要

結晶性の優れた大型の有機単結晶の形成方法及びその有機単結晶を提供する。有機単結晶4Aを構成する有機物が溶解した溶液1中にゲル化剤2を投入することによりゲル3を形成し、ゲル3を冷却することにより有機物が過飽和となり、この有機物の結晶核4がゲル3の中に発生する。そして、ゲル3の中に形成された結晶核4から結晶成長が進行して、有機単結晶4Aが形成される方法において、結晶の成長に最適なゲル3の性状を特定する。ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに0.2Pa・s以上600Pa・s以下に調整することが望ましい。

目的

本発明は、上記課題を解決するものであって、ゲル法を用いた有機単結晶の形成方法において結晶の成長に最適なゲルの性状を特定することにより、有機単結晶の核発生数の抑制による結晶サイズの大型化や結晶性の向上が可能な有機単結晶の形成方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

有機単結晶を構成する有機物が溶解した溶液中にゲル化剤投入することによりゲルを形成し、前記ゲル中で結晶成長を行なう有機単結晶の形成方法において、前記ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに0.2Pa・s以上600Pa・s以下に調整することを特徴とする有機単結晶の形成方法。

請求項2

前記ゲル化剤はオルガノゲル分類されることを特徴とする請求項1の有機単結晶の形成方法。

請求項3

請求項1または2に記載の有機単結晶の形成方法において、 前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする有機単結晶の形成方法。

請求項4

請求項1乃至3に記載の有機単結晶の形成方法において、前記有機物は、4−ジメチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムトシレートまたはトシレートを他のカウンターイオンで置き換え誘導体であることを特徴とする有機単結晶の形成方法。

請求項5

請求項1乃至3に記載の有機単結晶の形成方法において、前記有機物は、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド−4−ニトロフェニルヒドラゾンまたは(−)−4−(4'−ジメチルアミノフェニル)−2−(2−ヒドロキシプロピルアミノシクロブテン−3,4−ジオンであることを特徴とする有機単結晶の形成方法。

技術分野

0001

本発明は、有機単結晶形成方法に関し、特に、非線形光学効果を有する有機単結晶の形成方法に関する。

背景技術

0002

4−ジメチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムトシレート(4−dimethylamino−N−methyl−4−stilbazolium tosylate:以下、DASTとする)単結晶は、大きな非線形性を示し、光通信用赤外光波長変換デバイス電界センサー光サンプリングフォトクロミック現象を用いた光メモリー及び超高速ICの計測ブローブなどの電子部品への応用が期待されている。このような有機単結晶の代表的な形成方法としては、自然核成長及び種結晶成長法がある。

0003

自然核成長法による有機単結晶の形成は、以下のようにして行う。最初に有機単結晶を構成する有機物メタノールなどに溶解した後、この溶液温度を降下し前記有機物が過飽和になるようにする。溶液が過飽和になると溶液から前記有機物が析出する。その析出物が核となり成長することにより、有機単結晶が得られる。

0004

一方、種結晶成長法は前記自然核成長法によって得られた有機単結晶を種結晶とし、この種結晶を溶液中に投入し、温度を降下させることにより前記種結晶をさらに発達させ、大型の有機単結晶を得る方法である。この方法は、上記応用に供することができる大型のDAST単結晶を得るために好適な手法である。

0005

自然核成長法は結晶性の高い単結晶を形成することができるが、核発生位置の制御が困難である。このため、成長過程において核発生位置が接近した場合には、その後の結晶成長過程で結晶同士が接触して多結晶化したり、育成容器の底に接して成長した場合は、結晶内部に大きな応力が加わり結晶欠陥が発生するという問題があった。

0006

一方、種結晶成長法は、自然核成長法によって得られ種結晶の欠陥をそのまま引き継がれる。このため、種結晶の品質が悪い場合には、得られるDAST結晶が多結晶化したり、内部に多くの結晶欠陥が導入されるので、結晶性の高い大型DAST結晶を得ることは極めて困難であった。

0007

特許文献1には、4−フッ化エチレン樹脂製の傾斜板の表面に溝部を形成し、傾斜面上で有機物の結晶核を析出させ、傾斜面を滑り落ちる結晶核を溝部で捕捉して大型の単結晶に成長させる方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法では、成長して得られる結晶の下端部が、結晶成長の場所を提供する4−フッ化エチレン樹脂製の部材表面に設けられた溝部と接しており、この溝部との接触箇所およびその周辺において結晶欠陥が発生することがあった。

0008

ここで、本発明者は、有機単結晶を構成する有機物が溶解した溶液中から有機単結晶を育成する方法において、前記溶液中にゲル化剤を投入することによりゲルを形成し、ゲル中で結晶成長を行う有機単結晶の形成方法(以下、ゲル法とする)を提案している(非特許文献1)。
特開2000−256100号公報
鈴木千里、郭 俊清、碓井 彰,ゲル内成長法における有機非線形光学結晶DASTの育成,応用物理応用物理学会,2005年3月10日発行,Vol.34,No.3,第52回応用物理学関係連合講演プログラムp.76

発明が解決しようとする課題

0009

ゲル法は自然核成長法、種結晶成長法、あるいは特許文献1の方法に比べて、その全体において均一で結晶性の優れた大型の有機単結晶を形成することが可能であるが、本発明者が、その後、鋭意研究したところゲルの性状によっては有機単結晶の核発生数の増加による結晶サイズの小型化や結晶性の低下などを引き起こし、結晶成長に影響を及ぼすことを知見した。

0010

本発明は、上記課題を解決するものであって、ゲル法を用いた有機単結晶の形成方法において結晶の成長に最適なゲルの性状を特定することにより、有機単結晶の核発生数の抑制による結晶サイズの大型化や結晶性の向上が可能な有機単結晶の形成方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、有機単結晶の形成に関する前記問題を解決するものであって、有機単結晶を構成する有機物が溶解した溶液中にゲル化剤を投入することによりゲルを形成し、ゲル中で結晶成長を行なう有機単結晶の形成方法において、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに、0.2Pa・s以上600Pa・s以下に調整することを特徴とする。

0012

本発明によれば、ゲル法を用いた有機単結晶の形成方法において、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに0.2Pa・s以上600Pa・s以下に調整しており均一である。したがって、大型で高品質な有機単結晶が得られる。また、有機単結晶の定常的な形成が可能となる。ここで、複素粘度が周波数1Hzのときに、0.2Pa・sより小さいとゲルが溶液化し結晶を保持することが困難であり、逆に、600Pa・sより大きいと均一なゲル化が困難である。

0013

ゲル化剤としてオルガノゲル分類されるものを投入すると、ゲルを均一に調整することが容易であるので好ましい。その理由は、有機単結晶は水に対して溶解性があり、有機溶媒で使用できるゲル化剤が好ましい。ゲル化剤にはヒドロゲルとオルガノゲルがあり、ヒドロゲルは水を使用してゲル化させるため、本発明による有機単結晶の育成方法の使用には適さない。一方、オルガノゲルはメタノールなどの有機溶媒中で使用することができ、本発明のように、有機単結晶原料の溶解に有機溶媒が必要であり、かつ水分の使用が好ましくない場合にはゲル化剤として適している。

0014

ゲル化剤をヒドロキシプロピルセルロースとすると、迅速にゲルを均一に調整することが可能であり、ゲル化が不十分な状態で結晶が析出し保持できないという事態は発生しないので、より好ましい。

発明の効果

0015

本発明の有機単結晶の形成方法によれば、ゲル法を用いた有機単結晶の形成方法において結晶の成長に最適なゲルの性状を特定することができるため、有機単結晶の核発生数の抑制による結晶サイズの大型化や結晶性の向上が可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下、本発明の有機単結晶の形成方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の有機単結晶の形成方法は、有機単結晶を構成する有機物が溶解した溶液中から有機単結晶を育成する方法において、前記溶液中にゲル化剤を投入することによりゲルを形成し、ゲル中で結晶成長を行う。
図1は、本発明の形成方法による有機単結晶の育成過程を説明するための図である。
図1において、有機単結晶を構成する有機物の溶液1中にゲル化剤2としてヒドロキシプロピルセルロースを投入するが、このとき、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数が1Hzのときに0.2Pa・s以上600Pa・s以下となるようゲル化剤2の投入量を調整し(図1(a))、ゲル3を作製する(図1(b))。続いて、ゲル3を冷却することにより有機物が過飽和となり、この有機物の結晶核4がゲル3の中に発生する。そして、このようなゲル3の中に形成された結晶核4から結晶成長が進行して、有機単結晶4Aが得られる(図1(c))。

0017

本発明による結晶成長方法においては、ゲル中に固定されて結晶成長が進行するため、通常の溶液成長のように近接した結晶同士が集まって多結晶化することがない。また育成容器との接触もなく、特許文献1で記載されているような4−フッ化エチレン樹脂製の傾斜板などの設置も不要なため、これらの部材に結晶が接することがなく、結晶欠陥の少ない結晶性に優れた有機単結晶4Aを得ることができる。また、結晶成長をゲルの中で行うことで、通常溶液中で行う結晶成長に比べて溶液の対流が抑制され、拡散律速で成長が進むため、結晶成長速度の制御が容易となり、結晶性に優れた単結晶を得ることができる。

0018

特に、ここで有機物単結晶として、DAST単結晶およびその誘導体の単結晶の形成に対して、本実施形態の方法を実施する場合には、図1(b),(c)に示すように、ゲル3の中においてDAST単結晶およびその誘導体の単結晶の全ての結晶面に対し、異種部材への接触による応力の発生を抑えることができる。このため、結晶欠陥などの発生する割合を低くすることができ、結晶性の優れた単結晶を得ることができる。
本実施形態では、最初に有機単結晶を構成する有機物を溶解させた溶液中にゲル化剤を投入する(図1(a))。

0019

ここで、溶媒は有機物を溶解させるものであれば特に限定されない。
特に、DAST単結晶の形成の場合に、水の存在が単結晶の品質を悪化させるので、ゲルの作製および結晶成長の際に、水系溶液を用いないようにすることが好ましく、例えばメタノール、エタノールプロパノールなどのアルコール類アセトニトリルなどの有機物を溶解する有機溶媒の使用が好ましい。

0020

ゲル化剤としては、DAST単結晶の形成の場合に、前記有機溶媒を使用することから、ヒドロキシプロピルセルロースまたはポリエチレンイミンまたはポリビニルピロリドンなどのオルガノゲルを用いることが好ましい。

0021

有機物としては、あらゆる種類の有機物を用いることができるが、本実施形態の方法は、特に4−ジメチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムトシレート(DAST)またはトシレートを他のカウンターイオンで置き換えた誘導体、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド−4−ニトロフェニルヒドラゾン(DANPH:4−dimethylaminobenzaldehyde−4−nitorophenyl−hydrazone)または(−)−4−(4'−ジメチルアミノフェニル)−2−(2−ヒドロキシプロピルアミノシクロブテン−3,4−ジオンDAD:((−)−4−(4'−dimethylaminophenyl)−2−(2−hydroxypropylamino)cyclobutene−3,4−dione)などの単結晶の形成に好適に使用することができる。

0022

続いて、有機物およびゲル化剤を含む溶液を昇温して、溶液をゲル化する(図1(b))。このゲル化は、結晶成長中に溶液の対流を抑えるという観点から、完全に行うことが好ましい。さらに作製されたゲル3を降温することにより、前述したように有機物が過飽和となり、結晶核4がゲル3の中で発生し、それが成長して有機単結晶4Aとなる。

0023

ここで、溶液のゲル化に必要な温度としては、溶液をゲル化することができれば特に限定されることはないが、例えば40℃〜60℃以下にすることが好ましい。また、結晶の育成に必要なゲルの降温プロセスについては、ゲル化にかかる温度よりも低い温度、例えば室温程度まで徐々に降温させることが、安定した結晶成長を行う観点から好ましい。

0024

以下、本実施形態の方法による単結晶の形成の具体例として、DAST単結晶の形成について説明する。
所定量のDAST原料の粉末を、恒温水槽内において40℃〜60℃以下で保温されたメタノールなどの有機溶媒に溶解して図1(a)に示すようなDASTの溶液1を作製する。次いで、溶液1の中にゲル化剤2としてヒドロキシプロピルセルロースを投入してゲル3を作製する(図1(a),(b))。さらに恒温水槽中において40℃〜60℃以下に保持することによって前記溶液を完全にゲル化させ、ゲル化剤の量を調節するなどして、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに0.2Pa・s以上600Pa・s以下となるように調整した後、溶液温度を降下させる。すると、過飽和になったゲルからDASTの結晶核4がゲル中に析出し、前述したように、ゲル中にDAST単結晶4Aが成長する。最終的にはゲル温度を0.1〜1.5℃/dayの降温速度で25〜35℃まで低下させる。単結晶を形成するための時間は24〜1000時間である。

0025

以上説明した実施形態によれば、例えばDAST単結晶またはその誘導体の単結晶を形成した場合に、(0 0 1)面のX線ロッキングカーブ半値幅が30 arcsec以下の優れた結晶性を有する有機単結晶を得ることができる。

0026

図2は、DAST単結晶の(0 0 1)面のX線回折ロッキングカーブを示す図である。本実施形態の方法によって得られたDAST単結晶のX線回折ロッキングカーブは、カーブ5の形状を有し、ゲル化剤の量を調節するなどして、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数1Hzのときに0.2Pa・s以下となるように調整したゲルを使用することにより得られたDAST単結晶のX線回折ロッキングカーブ6の半値幅と比較すると小さいことが分かる。したがって、本実施形態の方法によって得られたDAST単結晶の結晶性が、従来の方法により得られたものよりも優れていることが分かる。このように本発明によればその全体において均一で結晶性に優れた有機単結晶を形成できる。

0027

以上、説明したように、本実施形態によれば、有機単結晶をゲル中で成長させることができるため、育成容器の底や、特許文献1のような傾斜板の溝部などの異種部材と接触することがないので、結晶内部に大きな応力が加わり結晶欠陥が発生するという現象が見られない。また、発生する結晶核が少なく、近接した箇所で育成した結晶同士が多結晶化することを抑制できるので、結晶全体均質で結晶性に優れた大型の有機単結晶が得られる。

0028

以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すようなゲルを用いて、DAST単結晶の育成を行った。DAST粉末2.8gを恒温水槽内において55℃に保持された80mlメタノール中に入れてDAST溶液を作製した。次いで、この溶液にヒドロキシプロピルセルロース1.6gを投入した。そして、恒温水槽中において55℃に保持することによって前記溶液を完全にゲル化させ、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数が1Hzのときに10Pa・sとなるように調整した後、30日間かけて35℃まで降温させた。その結果、ゲル中からDAST単結晶が得られた。このDAST単結晶の大きさを実測したところ幅が約9mm、縦が約2.0mm、厚さが約0.7mmであった。次いで、得られたDAST単結晶の(0 0 1)面のX線ロッキングカーブを、測定したところ、X線回折ロッキングカーブは、図2のカーブ5の形状を有し、その半値幅は、29 arcsecと小さく、結晶性に優れていた。

0029

(実施例2)
実施例1と同様の条件でDAST溶液を作製した。次いで、この溶液にヒドロキシプロピルセルロース8.0gを投入した。そして、恒温水槽中において55℃に保持することによって前記溶液を完全にゲル化させ、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数が1Hzのときに260Pa・sとなるように調整した後、30日間かけて35℃まで降温させた。その結果、ゲル中からDAST単結晶が得られた。このDAST単結晶の大きさを実測したところ幅が約11mm、縦が約2.5mm、厚さが約0.9mmであった。また、実施例1と同様にして測定した、得られたDAST単結晶の(0 0 1)面のX線回折ロッキングカーブは、図2のカーブ5の形状を有し、その半値幅は、23 arcsecと小さく、結晶性に優れていた。

0030

(比較例1)
実施例1と同様の条件でDAST溶液を作製した。次いで、この溶液にヒドロキシプロピルセルロース0.4gを投入した。そして、恒温水槽中において55℃に保持することによって前記溶液を完全にゲル化させ、ゲルの振動による複素粘度を、温度25℃、周波数が1Hzのときに0.1Pa・sとなるように調整した後、30日間かけて35℃まで降温させた。その結果、ゲル中からDAST単結晶が得られた。このDAST単結晶の大きさを実測したところ幅が約4mm、縦が約1.5mm、厚さが約0.3mmであった。また、実施例1と同様にして測定した、得られたDAST単結晶の(0 0 1)面のX線回折ロッキングカーブは、図2のカーブ6の形状を有し、その半値幅は、59 arcsecであった。

0031

(比較例2)
実施例1と同様の条件でDAST溶液を作製した。次いで、この溶液にヒドロキシプロピルセルロース24gを投入した。そして、恒温水槽中において55℃に保持することによって前記溶液をゲル化させたところ、ゲル化剤の一部が溶液に溶解せず、均一なゲルが作製できなかった。

0032

(比較例3)
実施例1と同様の条件でDAST溶液を作製した。次いで、この溶液にセルロース0.4gを投入した。そして、恒温水槽中において55℃に保持することによって前記溶液をゲル化させたところ、ゲル化剤が溶液に溶解せず、均一なゲルが作製できなかった。

0033

以上の結果から明らかなように、本発明の形成方法によれば結晶性に優れたDAST単結晶を得ることができる。
以上、具体的に示しながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲においてあらゆる変形や変更が可能である。

図面の簡単な説明

0034

本実施形態の形成方法による有機単結晶の育成過程を説明するための図である。
DAST単結晶の(0 0 1)面のX線回折ロッキングカーブを示す図である。

符号の説明

0035

1溶液
2ゲル化剤
3ゲル
4有機物の結晶核
4A 有機単結晶

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