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技術 食品用添加剤

出願人 ヒガシマル醤油株式会社
発明者 築山良一小早川知子松尾和吉
出願日 2006年5月11日 (14年6ヶ月経過) 出願番号 2006-132941
公開日 2007年11月22日 (13年0ヶ月経過) 公開番号 2007-300859
状態 未査定
技術分野 食品の保存(凍結・冷却・乾燥を除く) 穀類誘導製品
主要キーワード 握り飯 竹抽出物 カツオ節 日持ち向上効果 米飯用 非解離型 保存日数 食品品質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年11月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

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課題

静菌効果を有する食品用添加剤、特に米飯用に適する添加剤、を提供することを課題とする。

解決手段

甘草エタノール抽出して得られる抽出物と、醸造酢酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含むことで、静菌効果の高い食品用添加剤を得た。

概要

背景

近年、食生活のスタイル多様化しており、すしや握り飯などの米飯食品や出来合いの惣菜類家庭に持ち帰って食べる、いわゆる「中食」が広まり、その結果、食品保存性を高める工夫が重要となっている。
特に、米飯類の中でも味飯、色飯といわれる炊き込みご飯は、素材から由来する微生物が多いことや、成分的に微生物が増殖しやすい環境にあるため、非常に保存性の低い食品といわれている。
これらの食品において微生物を増殖させない方法として、完全殺菌する、冷凍あるいは低温保存する等様々な手段があるが、実用的には、微生物の増殖を抑制するための食品素材添加剤を用いる方法がとられている。

この目的を達するための添加剤として、保存料静菌剤抗菌剤の利用が一般的である。食品添加物としての保存料を食品に使用した場合は「保存料」としての表記が必要であり、消費者から敬遠される傾向がみられる。そこで、消費者意識への配慮から、従来から抗菌性を示すことで知られている酢酸を初めとする有機酸及びその塩類グリシンアラニンなどのアミノ酸類縮合リン酸(塩)等を用いることが好まれている。しかしこれらの成分を単独使用で目的を達することは困難であり、これらの組み合わせ、さらには、種々の天然抽出物等との組み合わせ技術の開発が多くみられる。

酢酸などの有機酸の抗菌力は一般に非解離分子によるものであり、pHによって大きな影響を受け、pHが低いほど抗菌力が強く、一方では酸味が強い結果となる。そのため、有機酸を利用する場合は酸味や酸臭マスクする手法も重要な要素となっている。
また、グリシンなどのアミノ酸独特の味があるため添加量に制限がある。これら静菌効果を持つ物質はそれぞれに特有の問題を持ち、単独使用で目的を達することができない。そのため、様々な組み合わせにより個々の問題を克服する試みが行われている。

例えば、酢酸、酢酸ソーダアジピン酸から選ばれた有機酸にマルチトールエリスリトールを加えることによって酢酸臭や酸味をマスクする方法(特許文献1参照)、有機酸、有機酸塩及び水溶液中で炭酸イオンを発生する食品添加物が配合された水溶液であって、かつpHが5.0〜5.7であるか、または水で希釈することによって5.0〜5.7のpHになる、食品用低酸味性鮮度保持剤(特許文献2参照)や、グリシンを酢酸ナトリウムと共に、リゾチームチアミンラウリル硫酸塩グリセリン脂肪酸エステル及び竹抽出物からなる群から選ばれた1種を用いる方法(特許文献3参照)等が挙げられる。これらの結果、これまでに多くの技術が開発されその一部は実用化されているが、さらに効果的で経済的なあるいは食品品質への影響が少ない技術を求めて開発が進められている。

添加剤の成分の一つに油性甘草を用いる方法としては、甘草のハロゲン化炭化水素による抽出物または、その抽出物とソルビン酸、グリシン、縮合リン酸塩、酢酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種と共に食品に添加することを特徴とする食品の防腐方法(特許文献4参照)が開示されている。この中で、甘草のエタノール抽出物ハロゲン化炭化水素抽出物に較べて色が濃く抗菌力も弱いとされている。
同公報では煮豆の製造の際に、甘草抽出物0.01%、グリシン1%、酢酸ソーダ0.1%を添加すると、酢酸ソーダを添加しないものより保存日数が増加したとされており、この条件で作成した煮豆のpHは6程度である。また、この中で、酢酸ソーダ0.1%だけを添加したときは保存性向上に全く効果がないとされている。これらのことから、同発明における酢酸ソーダの効果は一般に知られている非解離型分子によるものではなく、他の効果が発揮されたものと思われる。

また、同公報には甘草のジクロルメタン抽出物とグリシン及び酢酸ソーダの併用が有効であるとされているが、この例としては大豆煮物において甘草のジクロルメタン抽出物0.02%、グリシン1%、酢酸ソーダ0.1%の組み合わせのみである。しかし、この配合では、グリシン特有の味が強く、繊細な味を要求する米飯には適切でなく、米飯用添加剤としては適切でないと考えられる。

また、同公報において使用されている甘草は、本発明のリコカルコンAを含有するシンキョウ産甘草ではないことが記載内容から理解できる。すなわち、リコカルコンAを含有するシンキョウ産甘草であれば、ハロゲン化炭化水素による抽出物も強い黄色を呈し、同公報記載のアセトンエタノールで抽出するとハロゲン化炭化水素抽出物より着色物質が多いという記載、あるいは、使用用途としてのかまぼこ、ちくわ、はんぺんなどは黄色く着色されるため、同公報の目的が達成されることはないからである。

一般的に国内で利用される甘草は数種類が存在する。これらの成分は化学的に異なっており、特にシンキョウ産甘草は抗菌力が強いリコカルコンAを多く含有することで知られており他の甘草抽出物とは色調が大きく異なる。色調は、エタノール抽出液を水に添加希釈したとき、シンキョウ産甘草の抽出物は延びのよい黄色であるのに対し、その他の甘草の色は黄色さが格段に弱くむしろ褐色から白濁になり、色延びも小さい。
このように、甘草であっても種類や抽出方法によって静菌効果や色調が異なり、他の物質との組み合わせによって抗菌力の相乗効果も異なることから、実際に試してみないと判定できないのが現状である。従って、十分な静菌効果を有し、かつ炊き込みご飯に添加することによって、風味に影響を与えない米飯用添加剤は得られておらず、開発が望まれている。
特開2003-144115号公報
特開平9-140365号公報
特開平11-313622号公報
特開昭60-176572号公報

概要

静菌効果を有する食品用添加剤、特に米飯用に適する添加剤、を提供することを課題とする。甘草をエタノール抽出して得られる抽出物と、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含むことで、静菌効果の高い食品用添加剤を得た。なし

目的

本発明は食品保存用の添加剤を得ることを課題とする。特に、味飯あるいは色飯といわれる炊き込みご飯に添加することによって、風味に影響を与えず、保存性の高い米飯を得るために適する食品用添加剤を得ることを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

甘草エタノール抽出して得られる抽出物と、醸造酢酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含む食品用添加剤

請求項2

甘草がシンキョウ産甘草である請求項1に記載の食品用添加剤。

請求項3

リコカルコンAと、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含む食品用添加剤。

請求項4

酢酸塩がナトリウム塩またはカリウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の食品用添加剤。

請求項5

添加剤溶液状である請求項1〜4のいずれかに記載の食品用添加剤。

請求項6

添加剤が粉末状である請求項1〜4のいずれかに記載の食品用添加剤。

請求項7

食品米飯である請求項1〜6記載の添加剤

請求項8

請求項1〜6のいずれかに記載の食品用添加剤を含む調味料

請求項9

請求項1〜6のいずれかに記載の食品用添加剤が添加された米飯。

請求項10

請求項8に記載の調味料が添加された米飯。

請求項11

pHが5〜6である請求項9または10に記載の米飯。

技術分野

0001

本発明は食品保存用の添加剤に関する。さらに詳しくは、味飯あるいは色飯といわれる炊き込みご飯に添加することによって、風味に影響を与えない米飯用添加剤に関する。

背景技術

0002

近年、食生活のスタイル多様化しており、すしや握り飯などの米飯食品や出来合いの惣菜類家庭に持ち帰って食べる、いわゆる「中食」が広まり、その結果、食品保存性を高める工夫が重要となっている。
特に、米飯類の中でも味飯、色飯といわれる炊き込みご飯は、素材から由来する微生物が多いことや、成分的に微生物が増殖しやすい環境にあるため、非常に保存性の低い食品といわれている。
これらの食品において微生物を増殖させない方法として、完全殺菌する、冷凍あるいは低温保存する等様々な手段があるが、実用的には、微生物の増殖を抑制するための食品素材や添加剤を用いる方法がとられている。

0003

この目的を達するための添加剤として、保存料静菌剤抗菌剤の利用が一般的である。食品添加物としての保存料を食品に使用した場合は「保存料」としての表記が必要であり、消費者から敬遠される傾向がみられる。そこで、消費者意識への配慮から、従来から抗菌性を示すことで知られている酢酸を初めとする有機酸及びその塩類グリシンアラニンなどのアミノ酸類縮合リン酸(塩)等を用いることが好まれている。しかしこれらの成分を単独使用で目的を達することは困難であり、これらの組み合わせ、さらには、種々の天然抽出物等との組み合わせ技術の開発が多くみられる。

0004

酢酸などの有機酸の抗菌力は一般に非解離分子によるものであり、pHによって大きな影響を受け、pHが低いほど抗菌力が強く、一方では酸味が強い結果となる。そのため、有機酸を利用する場合は酸味や酸臭マスクする手法も重要な要素となっている。
また、グリシンなどのアミノ酸独特の味があるため添加量に制限がある。これら静菌効果を持つ物質はそれぞれに特有の問題を持ち、単独使用で目的を達することができない。そのため、様々な組み合わせにより個々の問題を克服する試みが行われている。

0005

例えば、酢酸、酢酸ソーダアジピン酸から選ばれた有機酸にマルチトールエリスリトールを加えることによって酢酸臭や酸味をマスクする方法(特許文献1参照)、有機酸、有機酸塩及び水溶液中で炭酸イオンを発生する食品添加物が配合された水溶液であって、かつpHが5.0〜5.7であるか、または水で希釈することによって5.0〜5.7のpHになる、食品用低酸味性鮮度保持剤(特許文献2参照)や、グリシンを酢酸ナトリウムと共に、リゾチームチアミンラウリル硫酸塩グリセリン脂肪酸エステル及び竹抽出物からなる群から選ばれた1種を用いる方法(特許文献3参照)等が挙げられる。これらの結果、これまでに多くの技術が開発されその一部は実用化されているが、さらに効果的で経済的なあるいは食品品質への影響が少ない技術を求めて開発が進められている。

0006

添加剤の成分の一つに油性甘草を用いる方法としては、甘草のハロゲン化炭化水素による抽出物または、その抽出物とソルビン酸、グリシン、縮合リン酸塩、酢酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種と共に食品に添加することを特徴とする食品の防腐方法(特許文献4参照)が開示されている。この中で、甘草のエタノール抽出物ハロゲン化炭化水素抽出物に較べて色が濃く抗菌力も弱いとされている。
同公報では煮豆の製造の際に、甘草抽出物0.01%、グリシン1%、酢酸ソーダ0.1%を添加すると、酢酸ソーダを添加しないものより保存日数が増加したとされており、この条件で作成した煮豆のpHは6程度である。また、この中で、酢酸ソーダ0.1%だけを添加したときは保存性向上に全く効果がないとされている。これらのことから、同発明における酢酸ソーダの効果は一般に知られている非解離型分子によるものではなく、他の効果が発揮されたものと思われる。

0007

また、同公報には甘草のジクロルメタン抽出物とグリシン及び酢酸ソーダの併用が有効であるとされているが、この例としては大豆煮物において甘草のジクロルメタン抽出物0.02%、グリシン1%、酢酸ソーダ0.1%の組み合わせのみである。しかし、この配合では、グリシン特有の味が強く、繊細な味を要求する米飯には適切でなく、米飯用添加剤としては適切でないと考えられる。

0008

また、同公報において使用されている甘草は、本発明のリコカルコンAを含有するシンキョウ産甘草ではないことが記載内容から理解できる。すなわち、リコカルコンAを含有するシンキョウ産甘草であれば、ハロゲン化炭化水素による抽出物も強い黄色を呈し、同公報記載のアセトンエタノールで抽出するとハロゲン化炭化水素抽出物より着色物質が多いという記載、あるいは、使用用途としてのかまぼこ、ちくわ、はんぺんなどは黄色く着色されるため、同公報の目的が達成されることはないからである。

0009

一般的に国内で利用される甘草は数種類が存在する。これらの成分は化学的に異なっており、特にシンキョウ産甘草は抗菌力が強いリコカルコンAを多く含有することで知られており他の甘草抽出物とは色調が大きく異なる。色調は、エタノール抽出液を水に添加希釈したとき、シンキョウ産甘草の抽出物は延びのよい黄色であるのに対し、その他の甘草の色は黄色さが格段に弱くむしろ褐色から白濁になり、色延びも小さい。
このように、甘草であっても種類や抽出方法によって静菌効果や色調が異なり、他の物質との組み合わせによって抗菌力の相乗効果も異なることから、実際に試してみないと判定できないのが現状である。従って、十分な静菌効果を有し、かつ炊き込みご飯に添加することによって、風味に影響を与えない米飯用添加剤は得られておらず、開発が望まれている。
特開2003-144115号公報
特開平9-140365号公報
特開平11-313622号公報
特開昭60-176572号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は食品保存用の添加剤を得ることを課題とする。特に、味飯あるいは色飯といわれる炊き込みご飯に添加することによって、風味に影響を与えず、保存性の高い米飯を得るために適する食品用添加剤を得ることを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行い、甘草をエタノール抽出して得られる抽出物と、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを併用することによって、食品への風味影響が小さく効果的な静菌剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

0012

すなわち、本発明は次の食品用添加剤、またはこれを添加した米飯に関する。
(1)甘草をエタノール抽出して得られる抽出物と、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含む食品用添加剤。
(2)甘草がシンキョウ産甘草である上記(1)に記載の食品用添加剤。
(3)リコカルコンAと、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含む食品用添加剤。
(4)酢酸塩がナトリウム塩またはカリウム塩である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の食品用添加剤。
(5)添加剤が溶液状である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の食品用添加剤。
(6)添加剤が粉末状である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の食品用添加剤。
(7)食品が米飯である上記(1)〜(4)記載の添加剤。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の食品用添加剤を含む調味料
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の食品用添加剤が添加された米飯。
(10)上記(8)に記載の調味料が添加された米飯。
(11)pHが5〜6である上記(9)または(10)に記載の米飯。

発明の効果

0013

本発明の食品用添加剤は、特に、米飯用の静菌剤または調味料として、風味に影響がなく、日持ち向上効果に優れた米飯食品や出来合いの惣菜類の製造に用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明で用いる甘草は、リコカルコンAを含有し、酸やグリシン等との組み合わせにより、高い静菌効果を有するものであればいずれも用いることができる。特にシンキョウ産甘草()を用いることが好ましい。甘草の抽出方法としては、いずれの抽出方法も用いることができるが、リコカルコンAを多く含有できる抽出方法であることが好ましく、特にエタノール抽出が好ましい。エタノールは、毒性が低く残存しても問題にならないこと、抽出物に低極性の成分の含有率が低く、よって調味料や水に溶解し易い製剤が調整しやすいことなどの利点がある。

0015

組み合わせに用いる酸としては醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上であることが好ましい。酢酸塩を用いる場合は、いずれの酢酸塩も用いることができるが、特に酢酸塩がナトリウム塩またはカリウム塩を用いることが好ましい。

0016

これらの成分の配合比率としては、高い静菌効果を有し、かつ添加する食品の風味に影響を与えなければ、いずれの配合比率でも用いることができる。混合時の全体のpHがpH5〜6の間においては、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上を酢酸量として1に対してグリシン量0.05〜1.0となる配合比率で加えることが好ましく、さらに、グリシン量0.05〜0.5となる配合比率で加えることが好ましい。この配合比率の場合、少ない甘草抽出物の添加量で十分な静菌効果を示すことができる。例えばこれにシンキョウ産甘草のエタノール抽出物を可溶化して、抽出物固形分として加える場合には、酢酸量のおよそ1/5〜1/200を加えることで、風味に影響がなく、日持ち向上効果に優れた静菌剤力を発揮することができる。

0017

本発明の食品用添加剤は、静菌剤または調味料として使用できるものであればよく、その形態は特に問わず、溶液状または粉末状であってもよい。
本発明の食品用添加剤はいずれの食品をも対象とすることができるが、特に、米飯用に好適である。例えば、味飯あるいは色飯といわれる炊き込みご飯や、炊き込みご飯の具剤等を混ぜ込んだご飯等に用いることができる。また、本発明の食品用添加剤を惣菜類の製造に用いることもできる。
以下、本発明の詳細を実施例において示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

0018

1.シンキョウ産甘草のエタノール抽出物の製造
シンキョウ産甘草を20倍量の熱水で抽出し固液分離後に抽出液を捨て、残存した残渣を乾燥したもの1kgに80%エタノール10Lを加えて5時間還流抽出した。これを固液分離して、エタノール抽出液を採取し、60℃以下の減圧濃縮を行い、濃縮物を80℃にコントロールした減圧乾燥機中で乾燥すると、水分2%を含む乾燥物約50gが得られ、これを粉砕しシンキョウ産甘草抽出物として用いた。この抽出物には15.1%のリコカルコンAが含まれていた。

0019

2.シンキョウ産甘草のエタノール抽出物と酢酸及びグリシンの相乗効果
培地として、たき込みご飯の保存性がおおよそ判定できる液体モデルを用いて、酢酸とグリシンの混合系における、シンキョウ産甘草のエタノール抽出物のB.subtilisに対する最小発育阻止濃度を求めた。すなわち、ポリペプトン1.5%、酵母エキス0.5%、ブドウ糖0.5%、食塩0.25%、カツオ節微粉末0.05%の混合溶液オートクレーブで殺菌後、リン酸カリウムを用いてpH5.0,5.5,6.0に調整した。この培地に、B.subtilis の芽胞103個/mlを添加して試験管分注した。ついで、酢酸、グリシン、および、シンキョウ産甘草のエタノール抽出物を段階的に量を変えて添加した。このとき、酢酸はpHを調整して10%水溶液としたもの、グリシンは上記培地に5%を溶解してpH調整したもの、また、シンキョウ産甘草のエタノール抽出物はジメチルスルフォキシドに溶解して1%溶液としたものをそれぞれ用いた。その後80℃で15分熱後冷却し、36℃で48時間後に増殖が認められない最小濃度(最小発育阻止濃度)を目視によって判定した。目視による判定は、芽胞を添加しない培地との培地の濁りを比較することで行った。結果を表1に示す。

0020

0021

3.結果
表1に示されるように、酢酸、グリシン、甘草抽出物は、それぞれ単独で用いるより、併用することで、相乗効果があることが分かった。また、酢酸量1に対するグリシン量の比率が0.5を越えても甘草抽出物の抗菌力を向上させることはなかった。すなわち、pH5.0、pH5.5、pH6.0のいずれの場合においても、酢酸量1に対してグリシン量の比率が0.5でも、1対1の場合と同様に十分な抗菌力を有し、必要とされる甘草抽出物の量が低減できることが確認できた。なお、表中、>1は、1%添加しても静菌効果が見られなかったことを示している。

0022

<食品用添加剤の製造>
食品用添加剤1)
シンキョウ産甘草のエタノール抽出物10g、乳化剤(第一工業製薬製DK-SS)25g、ゼラチン30g、食塩50gを50%エタノール500mlに添加して加温溶解した。これに酢酸75ml、酢酸ソーダ100g、グリシン60gを加えて溶解後、水を加えて1000gにすると、濃い黄褐色の食品用添加剤1を得た。
食品用添加剤2)
シンキョウ産甘草のエタノール抽出物2.5g、乳化剤(第一工業製薬製DK-SS)6gを95%エタノール200mlに添加し加温溶解し、ついで水を加えて400mlに調整した。その後ゼラチン30gと食塩50gを加えて加温溶解した。この液に、15%醸造酢200ml、酢酸130ml、酢酸ソーダ120g、グリシン100gを溶解し、水を加えて1000gにし黄褐色の食品用添加剤2を得た。

0023

<食品用添加剤1または2の静菌剤としての使用>
食品用添加剤1、2を用いて以下のように炊き込みご飯を調製し、25℃で48時間保存し、保存前後の細菌数を測定した。対照としてそれぞれの系において、シンキョウ産甘草抽出物のみを添加しない添加剤を用いた。

0024

1.炊き込みご飯の調理法
材料として、米300gに対して、水400ml、市販の調味料50ml、鶏もも肉30g、ニンジン20g、こんにゃく30g、油揚げ15g、および調製した食品用添加剤1または2を2.4ml加えて常法通り炊飯した。充分冷却した炊き込みご飯のおよそ100gを、容器に入れ蓋をして25℃で48時間保存した。保存後、標準平板法によって一般細菌数を測定し表2に示した。対照として甘草抽出物無添加の食品用添加剤1または2、および食品用添加剤を添加しない炊き込みご飯を用いた。

0025

0026

2.結果
表2に示す通り、食品用添加剤1または2を添加した炊き込みご飯は、これらの甘草抽出物無添加添加剤、または食品用添加剤自体を添加しないものと較べて48時間後菌数が少なかった。このことより、甘草抽出物と、醸造酢、酢酸あるいは酢酸塩のいずれか一つ以上と、グリシンとを含む食品用添加剤の静菌力が優れていることが確認された。また、食品用添加剤1、2とも炊き込みご飯の色調は肉眼的には対照区と全く差は認められなかったことから、食品用添加剤1および2は米飯用として特に有用であることが確認された。

0027

<食品用添加剤の調味料としての使用>
1.市販のつゆ800mlに醸造酢(酢酸量約5%) 200mlとグリシン2g、さらに食品用添加剤1を20ml添加して調味料を製造した。
米300gに対してこの調味料50mlを用いて、上記と同様にして炊き込みご飯を調製した。すなわち、材料として、米300gに対して、水400ml、本調味料50ml、鶏もも肉30g、ニンジン20g、こんにゃく30g、油揚げ15gを加えて常法通り炊飯した。充分冷却した炊き込みご飯のおよそ100gを、容器に入れ蓋をして25℃で48時間保存した。保存後、標準平板法によって一般細菌数を測定した。保存前後の細菌数を測定し表3に示した。対照として甘草抽出物のみを添加しない調味料を用いた。

0028

0029

2.結果
表3に示す通り甘草抽出物と、醸造酢と、グリシンとを含む調味料は、炊き込みご飯に用いた場合に甘草抽出物無添加の調味料と較べて48時間後菌数が少なかった。このことより、本発明の調味料は静菌力が優れており、特に米飯用調味料として有用であることが確認された。

0030

本発明の食品用添加剤は、特に米飯用の静菌剤または調味料として、風味に影響がなく、日持ち向上効果に優れた米飯食品や出来合いの惣菜類の製造に用いることができる。これによって中食産業発展に役立つことができる。

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