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技術 希土類焼結磁石の使用方法

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 榊一晃島尾正信中村元美濃輪武久
出願日 2007年5月9日 (14年1ヶ月経過) 出願番号 2007-124337
公開日 2007年11月15日 (13年6ヶ月経過) 公開番号 2007-300790
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金 磁性鉄合金の熱処理 硬質磁性材料 コア、コイル、磁石の製造 同期機の永久磁石界磁
主要キーワード 製品組み立て 複合組織層 耐水素性 水素ガス試験 レアアース ディッピング塗装 磁石素材 オイルタイプ
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図面 (10)

解決手段

R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面にCo、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在する複合組織層を有する希土類焼結磁石を、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中で用いることを特徴とするモーター用希土類焼結磁石の使用方法

効果

本発明によれば、Sm2Co17系焼結磁石を水素雰囲気中においても長時間、水素脆性を引き起こさずにモーターに使用できる。

概要

背景

希土類元素遷移金属金属化合物においては、水素結晶格子間に侵入する、即ち、合金中に水素を吸蔵、放出する特性を持っており、その特性はいろいろな分野で利用されている。その例としては、LaNi5に代表的される水素吸蔵合金による水素電池が挙げられ、また希土類焼結磁石においても、R2Fe14B系合金粉砕方法として、更に、R2Fe14B系ボンド磁石の製造方法(HDDR,特許文献1:特開平3−129702号公報)として利用されている。

しかしながら、合金中又は磁石中に水素を吸蔵、放出させた場合、水素脆性を引き起こしてしまうため、水素雰囲気中において、希土類焼結磁石を用いたモーター等を使用した場合、磁石素材が粉状に分解したり、ワレクラックが入るという問題が生じている。

現在、希土類焼結磁石には、R2Fe14B系、SmCo3系、Sm2Co17系等の種類がある。一般に、水素に対しては、2−17型結晶の構造よりも、1−5型結晶の構造、1−5型結晶の構造よりも2−7型結晶の構造のほうがプラトー圧が低い、即ち、レアアースリッチ(以下、Rリッチと称す)な合金のほうが水素吸蔵されやすい傾向にあり、水素脆化しやすい。

また、通常、R2Fe14B系磁石は、耐食性向上のためのメッキ樹脂コーティングなどの表面処理がなされているが、水素脆化を防止する手段とはなっていない。この問題を解決する手段として、R2Fe14B系磁石の表面処理膜に水素吸蔵合金を含有させる方法が提案されている(特許文献2:特開平11−87119号公報)。この方法により作製されたR2Fe14B系磁石は、Rリッチ相を有するため0.1MPa以下の圧力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こさないものの、それを超える圧力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入ることとなる。

SmCo5系磁石も、R2Fe14B系磁石と同様に、Rリッチ相を有すると共に主相であるSmCo5相のプラトー圧が約0.3MPaである。このことから、0.3MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入ることとなる。

Sm2Co17系磁石は、主相が2−17相であり、R2Fe14B系、SmCo5系に比べRリッチではないことと、Rリッチ相を含有しないため、水素脆性を引き起こしにくい。しかしながら、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、他の希土類焼結磁石と同様に、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入ることがわかっている。
特開平3−129702号公報
特開平11−87119号公報

概要

R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面にCo、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在する複合組織層を有する希土類焼結磁石を、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中で用いることを特徴とするモーター用希土類焼結磁石の使用方法。本発明によれば、Sm2Co17系焼結磁石を水素雰囲気中においても長時間、水素脆性を引き起こさずにモーターに使用できる。なし

目的

本発明は、このような問題を解決したSm2Co17系焼結磁石の水素雰囲気に晒されるモーターへの使用方法を提供するものである。即ち、従来の希土類焼結磁石の様に、水素雰囲気下で水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入るという問題を解決したSm2Co17系焼結磁石の水素雰囲気に晒されるモーターへの使用方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面にCo、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在する複合組織層を有する希土類焼結磁石を、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中で用いることを特徴とするモーター用希土類焼結磁石の使用方法

請求項2

希土類焼結磁石表面における複合組織層の厚さが0.1μm以上3mm以下であることを特徴とする請求項1記載の使用方法。

請求項3

複合組織層上に、樹脂塗膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の使用方法。

請求項4

樹脂塗膜の厚さが1μm以上3mm以下であることを特徴とする請求項3記載の使用方法。

技術分野

0001

本発明は、水素雰囲気に長時間晒されるモーターへのSm2Co17系磁石使用方法に関する。

背景技術

0002

希土類元素遷移金属金属化合物においては、水素結晶格子間に侵入する、即ち、合金中に水素を吸蔵、放出する特性を持っており、その特性はいろいろな分野で利用されている。その例としては、LaNi5に代表的される水素吸蔵合金による水素電池が挙げられ、また希土類焼結磁石においても、R2Fe14B系合金粉砕方法として、更に、R2Fe14B系ボンド磁石の製造方法(HDDR,特許文献1:特開平3−129702号公報)として利用されている。

0003

しかしながら、合金中又は磁石中に水素を吸蔵、放出させた場合、水素脆性を引き起こしてしまうため、水素雰囲気中において、希土類焼結磁石を用いたモーター等を使用した場合、磁石素材が粉状に分解したり、ワレクラックが入るという問題が生じている。

0004

現在、希土類焼結磁石には、R2Fe14B系、SmCo3系、Sm2Co17系等の種類がある。一般に、水素に対しては、2−17型結晶の構造よりも、1−5型結晶の構造、1−5型結晶の構造よりも2−7型結晶の構造のほうがプラトー圧が低い、即ち、レアアースリッチ(以下、Rリッチと称す)な合金のほうが水素吸蔵されやすい傾向にあり、水素脆化しやすい。

0005

また、通常、R2Fe14B系磁石は、耐食性向上のためのメッキ樹脂コーティングなどの表面処理がなされているが、水素脆化を防止する手段とはなっていない。この問題を解決する手段として、R2Fe14B系磁石の表面処理膜に水素吸蔵合金を含有させる方法が提案されている(特許文献2:特開平11−87119号公報)。この方法により作製されたR2Fe14B系磁石は、Rリッチ相を有するため0.1MPa以下の圧力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こさないものの、それを超える圧力の水素雰囲気下においては、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入ることとなる。

0006

SmCo5系磁石も、R2Fe14B系磁石と同様に、Rリッチ相を有すると共に主相であるSmCo5相のプラトー圧が約0.3MPaである。このことから、0.3MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入ることとなる。

0007

Sm2Co17系磁石は、主相が2−17相であり、R2Fe14B系、SmCo5系に比べRリッチではないことと、Rリッチ相を含有しないため、水素脆性を引き起こしにくい。しかしながら、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、他の希土類焼結磁石と同様に、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入ることがわかっている。
特開平3−129702号公報
特開平11−87119号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、このような問題を解決したSm2Co17系焼結磁石の水素雰囲気に晒されるモーターへの使用方法を提供するものである。即ち、従来の希土類焼結磁石の様に、水素雰囲気下で水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に分解したり、ワレ、クラックが入るという問題を解決したSm2Co17系焼結磁石の水素雰囲気に晒されるモーターへの使用方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、Sm2Co17系焼結磁石の表面にCo、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在する複合組織層を形成することにより、水素雰囲気中でも水素脆性を引き起こさず、このため水素雰囲気に長時間晒されるモーターに好適に用いられるSm2Co17系焼結磁石が得られることを知見した。また、この場合、Sm2Co17系焼結磁石を製造するに当り焼結時効後焼結磁石を、研削加工後、最適な熱処理をすることで、磁石体表面に、耐水素性に優れた層を磁気特性劣化がなく形成させることができることを知見した。

0010

更に、Sm2Co17系焼結磁石、及び、該表面層は、欠け易いため、製品組み立て等の際、取扱いが難しく、欠け、チッピング等を引き起こすおそれがある。欠け、チッピング等を引き起こした希土類焼結磁石は、磁気特性には影響はないものの、耐水素脆性は低下し、表面層のない場合と同等になってしまうおそれがある。つまり、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中では、水素脆性を引き起こし、磁石素材が粉状に粉化し、ワレ、クラックが生じるおそれがあるが、上記Sm2Co17系焼結磁石表面に形成した複合組織層表面に樹脂塗装を施すことにより、欠け、チッピングを防止する効果を与えることを見出した。これらのことから、水素雰囲気に長時間晒されるモーターに好適に用いられるSm2Co17系焼結磁石が得られることを知見し、本発明をなすに至った。

0011

即ち、本発明は、R(但し、RはSm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素)20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる希土類焼結磁石において、該希土類焼結磁石の表面にCo、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在する複合組織層を有する希土類焼結磁石を、1MPaを超える圧力の水素雰囲気中で用いることを特徴とするモーター用希土類焼結磁石の使用方法を提供する。

発明の効果

0012

本発明によれば、Sm2Co17系焼結磁石を水素雰囲気中においても長時間、水素脆性を引き起こさずにモーターに使用できる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明におけるSm2Co17系永久磁石合金組成の主成分は、Sm又はSmを50重量%以上含む2種以上の希土類元素20〜30重量%、Fe10〜45重量%、Cu1〜10重量%、Zr0.5〜5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる。前記Sm以外の希土類金属としては、特に限定されるものではなく、Nd、Ce、Pr、Gdなどを挙げることができる。希土類元素中のSmの含有量が50重量%未満の場合や、希土類元素量が20重量%未満、30重量%を超える場合は、有効な磁気特性を持つことはできない。

0014

本発明のSm2Co17系焼結磁石は、上記組成を有する焼結磁石の表面に、Co、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在する複合組織層を有するもので、これにより水素脆性が生じることを効果的に防止する。

0015

この場合、この層の厚さは0.1μm以上3mm以下であり、より好ましくは1〜500μm、更に好ましくは1〜50μm、特には磁石の厚さに対し0.01〜2%であることが好ましい。0.1μm未満の場合、有効な耐水素脆性を持つことが出来ない場合がある。また、3mmを超える厚さでは、磁石体の水素脆化は防ぐものの、この層自身により磁気特性の劣化が生じるおそれがある。

0016

なお、Sm2O3及び/又はCoFe2O4が存在するとは、通常Sm2O3やCoFe2O4が1〜100nmの粒子状で分散されている状態である。

0017

上記のような表面にSm2O3及び/又はCoFe2O4を含有した複合組織層を有する焼結磁石を製造する方法は特に制限されないが、上記組成の合金を鋳造し、これを粉砕し、更に好ましくはこれを微粉砕し、次いで磁場中成形、焼結、時効を順次行って焼結磁石とし、更に表面を加工仕上げした後、熱処理を行うこと又は上記時効処理表面加工仕上げ後に行うことによって製造する方法が好適に採用される。

0018

更に、本発明に係るSm2Co17系磁石の好適な製造方法について説明すると、まず、本発明のSm2Co17系磁石合金は、上記組成範囲原料非酸化性雰囲気中において、例えば高周波溶解により溶解、鋳造する。

0019

鋳造されたSm2Co17系磁石合金を粗粉砕し、次いで好ましくは平均粒径1〜10μm、より好ましくは約5μmに微粉砕する。この粗粉砕は、例えば、N2,Ar等の不活性ガス雰囲気中で、ジョークラッシャーブラウンミルピンミル及び水素吸蔵等により行うことができる。また、前記微粉砕は、アルコールヘキサン等を溶媒に用いた湿式ボールミル、N2,Ar等の不活性ガス雰囲気中による乾式ボールミル、N2,Ar等の不活性ガス気流によるジェットミル等により行うことができる。

0020

次に、前記微粉砕粉を、好ましくは10kOe以上の磁場を印可することが可能な磁場中プレス機等により、好ましくは500kg/cm2以上2000kg/cm2未満の圧力により圧縮成形する。続いて、得られた圧縮成形体を、熱処理炉により、アルゴンなどの非酸化性雰囲気ガス中で、好ましくは1100〜1300℃、より好ましくは1150〜1250℃において、好ましくは0.5〜5時間、焼結、溶体化し、終了後、急冷を行う。

0021

続いて、アルゴン雰囲気中で好ましくは700〜900℃、より好ましくは750〜850℃の温度で、好ましくは5〜40時間保持し、例えば−1.0℃/分の降温速度で400℃以下まで徐冷する時効処理を施し、切断及び/又は研摩して表面の加工仕上げを行う。

0022

本発明においては、表面加工仕上げ後、酸素分圧が10-6〜152torr、好ましくは10-3〜152torr、更に好ましくは1〜152torrであるアルゴン,窒素等の不活性ガス、空気、又は真空雰囲気下において、10分〜20時間、好ましくは80〜850℃で熱処理を行う。特に高い水素ガス条件で晒す場合は400〜600℃で熱処理することが好ましい。酸素分圧として好ましくは酸素量の多い1〜152torrの雰囲気で処理されることがよい。前記熱処理時間は、10分未満では、ものによるばらつきが多くなるため適当ではなく、また、20時間を超える熱処理は、効率的ではないことと、磁気特性を劣化させる原因となることがある。前記熱処理温度は、80℃未満では、耐水素脆性に優れた複合組織層を形成した希土類磁石を得るために長時間かかるため効率的ではなく、また、850℃を超える温度では、磁石が相変態を起こし、磁気特性の劣化が生じるおそれがある。

0023

なお、熱処理時間は、好ましくは、10分〜10時間、更に好ましくは1〜5時間であり、このような熱処理により、表面に水素脆化阻止層として複合組織層、好ましくは厚さ0.1〜3μmの複合組織層が形成される。この複合組織層は、上述した通り、主としてCo及び/又はCo,Fe中に微細なSm2O3及び/又はCoFe2O4が形成されたものである。また、複合組織層はCo層がないと水素脆化を防げず、前記層自身により磁気特性の劣化が生じるおそれがある。

0024

本発明においては、上記Co、及び/又は、Co及びFe中にSm2O3及び/又はCoFe2O4が存在している複合組織層を有する希土類焼結磁石表面に樹脂塗装(吹き付け塗装電着塗装粉体塗装ディッピング塗装等による樹脂塗装)を施し、上記複合組織層上に樹脂塗膜を形成する。

0025

ここで、樹脂塗装の樹脂は特に限定されるものではなく、アクリル樹脂系エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系シリコーン樹脂系ポリエステル樹脂系ポリイミド系、ポリアミド系、ポリウレタン樹脂系等の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられるが、耐熱性の点から熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。用いる樹脂の分子量(Mw)は200〜数十万程度のもの、好ましくは200〜10000が挙げられ、好ましくはオイルタイプの樹脂を用いることが良い。

0026

樹脂塗装は、吹き付け塗装、電着塗装、粉体塗装或いは、ディッピング塗装等の塗装方法から選ばれ、樹脂塗装の厚さは磁石の大きさにもよるが、1μm以上3mm以下であって、好ましくは10μm以上1mm以下、更に10μm以上50μm以下であるのが望ましい。1μm未満の厚さでは、均一に塗装するのが難しく、そのため、磁石の欠け、チッピングを防止する効果が得られにくい。また、3mmを超える厚さの樹脂塗装は、時間、コスト共にかかり、効率的な生産が出来ない場合がある。

0027

このようにして得られた本発明の希土類焼結磁石は、1〜5MPa(25℃)での水素化においてもワレ等の劣化がない磁石としてモーターに使用される。

0028

次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

0029

[実施例1]
Sm2Co17系磁石合金は、Sm:25.5重量%、Fe:14.0重量%、Cu:4.5重量%、Zr:3.0重量%、残部Coの組成になるように配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、鋳型鋳造することにより作製した。

0030

次に、前記Sm2Co17系磁石合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミルで約500μm以下に粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径5μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕粉を、磁場中プレス機により15kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で1200℃、2時間焼結した後、アルゴン雰囲気中で1185℃、1時間溶体化処理を行った。溶体化処理終了後、急冷し、得られたそれぞれの焼結体を、アルゴン雰囲気中で800℃、10時間保持し、400℃まで−1.0℃/分の降温速度で徐冷を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石から、5×5×5mmに磁石を切り出し、Vibrating Sample Magnetometer(VSM)により磁気特性の測定を行った。

0031

次に、前記磁石に対し400℃、2時間、真空中(酸素分圧10-3torr)の熱処理を施し、その後、室温まで徐冷した。ここで得られた水素ガス試験用試料について、VSMにより磁気特性の測定、XRDにより相の同定、走査型電子顕微鏡により組織観察を行った。

0032

前記水素ガス試験用試料を、耐圧容器に水素、3MPa、25℃の条件で封入し、24時間放置するという水素ガス試験を施し、その後、取り出した。取り出した磁石は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0033

[実施例2]
実施例1と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を、実施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0034

次に、前記磁石に対し500℃、2時間、真空中(酸素分圧10-3torr)の熱処理を施し、その後、室温まで徐冷した。ここで得られた水素ガス試験試料についてVSMにより磁気特性の測定を行い、走査型電子顕微鏡により組織観察を行った。

0035

前記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後、取り出した。取り出した磁石は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0036

[比較例1]
実施例1と同様な組成、方法で磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を、実施例1と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。ここで得られた水素ガス試験用試料を実施例1と同様に走査型電子顕微鏡により組織観察、及びXRDにより相の同定を行った。

0037

前記水素ガス試験用試料に対し、実施例1と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後、取り出した。

0038

図1〜3にそれぞれ実施例1,2、比較例1の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。また、表1に、熱処理条件、水素ガス試験条件、水素ガス試験後の状態、Co及び/又はCo,Fe中にSm2O3が形成されている複合組織層の厚さを示した。実施例1,2は、水素ガス試験において変化がなかったのに対し、比較例1は、粉々に粉砕されていた。このことから、実施例1,2は、水素脆性を引き起こさなかったことは明らかである。表2に、熱処理前後及び水素ガス試験後の磁石の磁気特性を示した。熱処理及び水素ガス試験後で、実施例1,2は、ほとんど磁気特性に変化はなかった。このことは、実施例1,2において、熱処理による磁気特性の劣化及び水素脆性がなかったことを示している。比較例1は、水素処理により粉砕されてしまったため、水素処理後の磁気特性は、測定不能であった。

0039

0040

0041

また、図4,5に実施例1と比較例1のXRD像を示す。実施例1のXRD像には、Sm2Co17のピークの他にCo(bcc&fcc)及びSm2O3のピークが見られ、比較例1のXRD像には、Sm2O3のピークは見られるものの、Co(bcc&fcc)及びSm2O3のピークが見られない。

0042

[実施例3]
Sm2Co17系磁石合金は、Sm:25.5重量%、Fe:20.0重量%、Cu:4.5重量%、Zr:3.0重量%、残部Coの組成になるように配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、鋳型鋳造することにより作製した。

0043

次に、前記Sm2Co17系磁石合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミルで約500μm以下に粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径5μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕粉を磁場中プレス機により15kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を、熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で1200℃、2時間焼結した後、アルゴン雰囲気中で1185℃、1時間の溶体化処理を行った。溶体化処理終了後、急冷し、得られたそれぞれの焼結体を、アルゴン雰囲気中で800℃、10時間保持し、400℃まで−1.0℃/分の降温速度で徐冷を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石から、5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0044

次に、前記磁石を400℃、2時間、空気中(酸素分圧152torr)の熱処理を施し、その後、室温まで徐冷した。

0045

前記水素ガス試験用試料を、耐圧容器に水素、3MPa、25℃の条件で封入し、24時間放置するという水素ガス試験を施し、その後、取り出した。取り出した磁石は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0046

[実施例4,5]
実施例3と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を実施例3と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0047

次に、前記磁石を500℃、2時間、真空中(酸素分圧10-3torr)[実施例4]、600℃、2時間、真空中(酸素分圧10-6torr)[実施例5]の熱処理をそれぞれ施し、その後、室温まで徐冷した。ここで得られた水素ガス試験用試料は、VSMにより磁気特性の測定を行い、走査型電子顕微鏡により組織観察を行った。

0048

前記水素ガス試験用試料に対し、実施例3と同様な条件で、水素ガス試験を施し、その後、取り出した。取り出した磁石は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0049

[比較例2]
実施例3と同様な組成、方法で磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を実施例3と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。前記磁石に対し、実施例3と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後、取り出した。

0050

表3に、熱処理条件、水素ガス試験条件、水素ガス試験後の状態を示した。実施例3,4及び5は、水素ガス試験において変化がなかったのに対し、比較例2は、粉々に粉砕されていた。このことから、実施例3,4及び5は、水素脆性を引き起こさなかったことは明らかである。

0051

表4に、熱処理前後、及び水素ガス試験後の磁石の磁気特性を示した。熱処理、水素ガス試験後で、実施例3,4及び5は、ほとんど磁気特性に変化がなかった。このことは、実施例3,4及び5において、熱処理による磁気特性の劣化、及び水素脆性がなかったことを示している。比較例2は、水素処理により粉砕されてしまったため、水素処理後の磁気特性は、測定不能であった。

0052

0053

0054

[実施例6]
実施例3と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に得られた焼結磁石を実施例3と同様に5×5×5mmに磁石を切り出した。

0055

次に、前記磁石を、それぞれ表5に示す条件で実施例3と同様に熱処理を施し、その後、室温まで徐冷し、水素ガス試験用試料を得た。

0056

前記水素ガス試験用試料に対し、耐圧容器に水素、3MPa、24時間、80℃、120℃、160℃の表5に示す条件で水素ガス試験を施し、その後、取り出した。結果を表5に示す。

0057

0058

[実施例7]
Sm2Co17系磁石合金は、Sm:25.5重量%、Fe:16.0重量%、Cu:4.5重量%、Zr:3.0重量%、残部Coの組成になるように配合し、アルゴンガス雰囲気中で、アルミナルツボを使用して高周波溶解炉で溶解し、鋳型鋳造することにより作製した。

0059

次に、前記Sm2Co17系磁石合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミルで約500μm以下に粗粉砕後、窒素気流によるジェットミルにより平均粒径5μmに微粉砕を行った。得られた微粉砕粉を、磁場中プレス機により15kOeの磁場中にて1.5t/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を、熱処理炉を用い、アルゴン雰囲気中で1195℃、2時間焼結した後、アルゴン雰囲気中で1180℃、1時間の溶体化処理を行った。溶体化処理終了後、急冷し、得られたそれぞれの焼結体を、アルゴン雰囲気中で800℃、10時間保持し、400℃まで−1.0℃/分の降温速度で徐冷を行い、焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石から、5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0060

次に、前記磁石を500℃、2時間、空気中で熱処理を施し、その後室温まで徐冷した。ここで得られた磁石はXRDにより相の同定、走査型電子顕微鏡により組織観察を行った。

0061

図6に500℃、2時間、空気中で熱処理を施した磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。また、図9にXRD像を示す。

0062

続いて、上記熱処理を施した磁石に、エポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装した。ここで得られた水素ガス試験用試料は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0063

前記水素ガス試験用試料を耐圧容器に水素、3MPa、25℃の条件で封入し、24時間放置するという水素ガス試験を施し、その後取り出した。取り出した磁石は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0064

[実施例8]
実施例7と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を実施例7と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0065

次に、前記磁石を400℃、2時間、空気中で熱処理を施し、その後室温まで徐冷した。ここで得られた磁石は、走査型電子顕微鏡により組織観察を行った。

0066

図7に、400℃、2時間、空気中で熱処理を施した磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。

0067

続いて、上記熱処理を施した磁石に、実施例7と同様にエポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装した。ここで得られた水素ガス試験用試料は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0068

前記水素ガス試験用試料を、実施例7と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後、取り出した。取り出した磁石は、VSMにより磁気特性の測定を行った。

0069

[実施例9]
実施例7と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を実施例7と同様に5×5×5mmに磁石を切り出した。

0070

次に、前記磁石を実施例7と同様に500℃、2時間、空気中で熱処理を施し、その後室温まで徐冷した。

0071

続いて、実施例7と同様に、エポキシ系樹脂を吹き付けにより塗装した。その後、塗装を施した磁石を10cmの高さから鉄板上に落として、水素ガス試験用試料とした。

0072

前記水素ガス試験用試料に対し、実施例7と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後取り出した。

0073

[比較例3]
実施例7と同様な組成、方法で焼結磁石を作製した。次に、得られた焼結磁石を実施例7と同様に5×5×5mmに磁石を切り出し、VSMにより磁気特性の測定を行った。ここで得られた水素ガス試験用試料を実施例7と同様に走査型電子顕微鏡により組織観察及びXRDにより相の同定を行った。

0074

図8に、走査型電子顕微鏡による反射電子像写真を示す。また、図10にXRD像を示すが、図9図10との対比から認められるように、実施例7のXRD像には、Co(bcc&fcc)、CoFe2O4及びSm2O3のピークが見られ、比較例3のXRD像には、Sm2Co17のピークは見られるものの、Co(bcc&fcc)、CoFe2O4及びSm2O3のピークは見られないものである。

0075

更に、前記水素ガス試験用試料に対し、実施例7と同様な条件で水素ガス試験を施し、その後取り出した。

0076

表6に熱処理条件、樹脂塗装の有無、水素ガス試験条件、水素ガス試験後の状態及び、Co及び/又はCo、Fe中にCoFe2O4及び/又はSm2O3が微細に存在している層(複合組織層)の厚さを示した。実施例7,8は水素ガス試験において変化がなかったのに対し、比較例3は粉々に粉砕されていた。このことから、実施例7,8は、水素脆性を引き起こさなかったことは明らかである。

0077

0078

表7に、熱処理前後及び水素ガス試験後の磁石の磁気特性を示した。熱処理、水素ガス試験後で、実施例7,8はほとんど磁気特性に変化がなかった。このことは実施例7,8において、熱処理による磁気特性の劣化及び水素脆性がなかったことを示している。比較例3は水素処理により粉砕されてしまったため、水素処理後の磁気特性は測定不能であった。

0079

0080

表8に、熱処理条件、樹脂塗装の有無、水素ガス試験条件及び水素ガス試験後の状態を示した。実施例9は、水素ガス試験において変化がなかった。このことから実施例9は、水素脆性を引き起こさなかったことが明らかであり、樹脂塗装により更に欠け、チッピングが防止されたことが分かる。

0081

図面の簡単な説明

0082

実施例1における、400℃、2時間、真空中(酸素分圧10-3torr)の熱処理を施した磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。
実施例2における、500℃、2時間、真空中(酸素分圧 10-3torr)の熱処理を施した磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。
比較例1における磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。
実施例1のXRD像である。
実施例2のXRD像である。
実施例7における、500℃、2時間、空気中で熱処理を施した磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。
実施例8における、400℃、2時間、空気中で熱処理を施した磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。
比較例3における磁石の走査型電子顕微鏡による反射電子像写真である。
実施例7のXRD像である。
比較例3のXRD像である。

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