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技術 垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置

出願人 昭和電工株式会社
発明者 向井良一
出願日 2006年3月31日 (14年8ヶ月経過) 出願番号 2006-100585
公開日 2007年10月18日 (13年2ヶ月経過) 公開番号 2007-273053
状態 特許登録済
技術分野 磁気記録担体 磁気記録媒体の製造
主要キーワード 酸化抑制層 雰囲気ガス圧 微結晶体 液面低下 窒化カーボン 酸化部分 配向分散 スパイクノイズ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

記録層が良好な結晶配向性を有し、高記録密度化を図れる垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供する。

解決手段

基板11と、基板11上に、軟磁性裏打積層体12、シード層13、酸化抑制層14、第1下地層15、第2下地層16、記録層18、保護膜19、および潤滑層20を順次積層した構成を有し、Ruを除く貴金属元素を含む酸化抑制層14をRuあるいはhcp結晶構造を有するRu合金からなる第1下地層15の下地として設け、第1下地層15、第2下地層16、さらには記録層18の結晶配向性を向上する。

概要

背景

磁気記憶装置は、大規模なシステムからパーソナルユースコンピュータ通信機器等の様々な機器に使用されている。そして、磁気記憶装置にはその総ての用途において情報のよりいっそうの高密度記録および高速転送が望まれている。

垂直磁気記録方式は、磁気記録媒体記録層基板面に垂直な方向に磁化させて情報を記録するため、記録された情報が面内記録方式よりも消失し難い。そのため、垂直磁気記録方式は、面内磁気記録方式よりも高密度記録が可能である。

垂直磁気記録媒体は、基板上に軟磁性材料からなる軟磁性裏打ち層と、その上に記録層が積層されて構成されている。記録層は通常、CoCr基合金からなり、基板を加熱した状態でCoCr基合金をスパッタ法により形成することで、CoリッチなCoCr基合金の磁性粒子と、磁性粒子の粒界非磁性であるCrが偏析して磁性粒子間磁気的な孤立化を図っている。

一方、軟磁性裏打ち層は再生の際に磁気ヘッドに流れ込む磁束の磁路を形成し、結晶質軟磁性材料では磁区の形成によりスパイクノイズを発生する。そのため、軟磁性裏打ち層は磁区を形成し難い非晶質あるいは微結晶体により構成されるので、結晶化を回避するため記録層を形成する際の加熱温度が制限される。

そこで、磁性粒子の孤立化を図かり、高温加熱処理を必要としない記録層として、CoCr基合金からなる磁性粒子をSiO2の非磁性母相により互いに離隔した、いわゆる柱状グラニュラー構造を有する記録層が提案されている。さらに、磁性粒子のc軸が基板面に垂直方向成長した柱状構造を形成すると共に、磁性粒子をほぼ等間隔に成長させるために記録層の下地層としてRu膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−353256号公報

概要

記録層が良好な結晶配向性を有し、高記録密度化をれる垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供する。、基板11と、基板11上に、軟磁性裏打積層体12、シード層13、酸化抑制層14、第1下地層15、第2下地層16、記録層18、保護膜19、および潤滑層20を順次積層した構成を有し、Ruを除く貴金属元素を含む酸化抑制層14をRuあるいはhcp結晶構造を有するRu合金からなる第1下地層15の下地として設け、第1下地層15、第2下地層16、さらには記録層18の結晶配向性を向上する。

目的

そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、記録層が良好な結晶配向性を有し、高記録密度化を図れる垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

基板と、前記基板上に形成された軟磁性裏打ち層と、前記軟磁性裏打ち層上に形成された非晶質材料からなるシード層と、前記シード層上に形成された酸化抑制層と、前記酸化抑制層上に形成されたRuあるいはhcp結晶構造を有するRu合金からなる複数の結晶粒子と、該結晶粒子を互いに離隔する空隙部からなる下地層と、前記下地層上に形成された、基板面に対して略垂直方向磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、該磁性粒子を互いに離隔する空隙部あるいは非磁性の非固溶相からなる記録層とを備え、前記酸化抑制層は、Ruを除く貴金属元素を含む垂直磁気記録媒体

請求項2

前記シード層と下地層との間に他の下地層をさらに備え、前記他の下地層は、RuまたはRu合金からなる結晶粒子と該他の結晶粒子同士が結晶粒界部を介して結合した連続膜からなることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。

請求項3

前記hcp結晶構造を有するRu合金は、Ru−X合金と表され、XがTa、Nb、Co、Cr、Fe、Ni、Mn、およびCからなる群のうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または2記載の垂直磁気記録媒体。

請求項4

前記酸化抑制層は、Pt、Au、およびAgからなる群のうち、少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の垂直磁気記録媒体。

請求項5

磁気ヘッドを有する記録再生手段と、請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の垂直磁気記録媒体と、を備える磁気記憶装置

請求項6

基板上に軟磁性裏打ち層と、シード層と、酸化抑制層と、下地層と、前記基板面に対して略垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、該磁性粒子を互いに離隔する非磁性の非固溶相からなる記録層とが順次積層された垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記シード層上に、Ruを除く貴金属元素を含む酸化抑制層を形成する工程と、前記酸化抑制層上に、Ruまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を1nm/秒以下でかつ圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により下地層を形成する工程と、を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。

請求項7

前記酸化抑制層を形成する工程と下地層を形成する工程との間に、他の下地層を形成する工程をさらに含み、前記他の下地層を形成する工程は、スパッタ法によりRuまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を5nm/秒以上で、かつ圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により他の下地層を形成することを特徴とする請求項6記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。

請求項8

前記酸化抑制層を形成する工程と下地層を形成する工程との間に、他の下地層を形成する工程をさらに含み、前記他の下地層を形成する工程は、スパッタ法によりRuまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を3nm/秒以下で、かつ圧力を2.66Pa以下に設定してスパッタ法により他の下地層を形成することを特徴とする請求項6記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置係り、特に磁性粒子非磁性材料により離隔された磁性層を備えた垂直磁気記録媒体に関する。

背景技術

0002

磁気記憶装置は、大規模なシステムからパーソナルユースコンピュータ通信機器等の様々な機器に使用されている。そして、磁気記憶装置にはその総ての用途において情報のよりいっそうの高密度記録および高速転送が望まれている。

0003

垂直磁気記録方式は、磁気記録媒体記録層基板面に垂直な方向に磁化させて情報を記録するため、記録された情報が面内記録方式よりも消失し難い。そのため、垂直磁気記録方式は、面内磁気記録方式よりも高密度記録が可能である。

0004

垂直磁気記録媒体は、基板上に軟磁性材料からなる軟磁性裏打ち層と、その上に記録層が積層されて構成されている。記録層は通常、CoCr基合金からなり、基板を加熱した状態でCoCr基合金をスパッタ法により形成することで、CoリッチなCoCr基合金の磁性粒子と、磁性粒子の粒界非磁性であるCrが偏析して磁性粒子間磁気的な孤立化を図っている。

0005

一方、軟磁性裏打ち層は再生の際に磁気ヘッドに流れ込む磁束の磁路を形成し、結晶質軟磁性材料では磁区の形成によりスパイクノイズを発生する。そのため、軟磁性裏打ち層は磁区を形成し難い非晶質あるいは微結晶体により構成されるので、結晶化を回避するため記録層を形成する際の加熱温度が制限される。

0006

そこで、磁性粒子の孤立化を図かり、高温加熱処理を必要としない記録層として、CoCr基合金からなる磁性粒子をSiO2の非磁性母相により互いに離隔した、いわゆる柱状グラニュラー構造を有する記録層が提案されている。さらに、磁性粒子のc軸が基板面に垂直方向成長した柱状構造を形成すると共に、磁性粒子をほぼ等間隔に成長させるために記録層の下地層としてRu膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−353256号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、記録層の磁性粒子はRu膜の表面に結晶成長するので、磁性粒子の結晶配向性はRu膜の結晶配向性に大きく影響される。すなわち、Ru膜は(0002)結晶面が優先的に成長面となり、その表面に磁性粒子のCo(0002)結晶面が成長する。Ru膜の(0002)結晶面が基板面に平行な面から外れる割合が多くなると、Co(0002)結晶面の配向性もその影響を受ける。その結果、多数の磁性粒子のうち、磁化容易軸(c軸)が基板面に垂直な方向から外れる割合が多くなり、いわゆる磁化容易軸の配向分散が悪化する。特に、Ru膜はスパッタ法によりArガス等の不活性ガス雰囲気において成膜されるが、製造装置では成膜室内壁等に吸着した酸素ガスの影響で、Ru膜の初期成長状態における結晶配向性が乱れ易い。この乱れはRu膜の全体に悪影響を及ぼし、さらに記録層の磁性粒子に悪影響を及ぼす。その結果、記録再生特性劣化し、記録密度のさらなる向上、いわゆる高記録密度化が困難となるという問題を生ずる。

0008

そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、記録層が良好な結晶配向性を有し、高記録密度化を図れる垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一観点によれば、基板と、前記基板上に形成された軟磁性裏打ち層と、前記軟磁性裏打ち層上に形成された非晶質材料からなるシード層と、前記シード層上に形成された酸化抑制層と、前記酸化抑制層上に形成されたRuあるいはhcp(六方細密充填結晶構造を有するRu合金からなる複数の結晶粒子と、該結晶粒子を互いに離隔する空隙部からなる下地層と、前記下地層上に形成された、基板面に対して略垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、該磁性粒子を互いに離隔する空隙部あるいは非磁性の非固溶相からなる記録層とを備え、前記酸化抑制層は、Ruを除く貴金属元素を含む垂直磁気記録媒体が提供される。

0010

本発明によれば、シード層と下地層の間にRuを除く貴金属元素を含む酸化抑制層を設けることで、酸化抑制層の表面の酸化を抑制する。酸化抑制層の表面に酸化部分が形成された場合は、Ruあるいはhcp結晶構造を有するRu合金からなる下地層の結晶粒子の初期成長部分結晶性および結晶配向性が劣化するが、酸化抑制層は耐酸化性が良好であるので、酸化抑制層の表面に酸化部分が生じることを抑制する。これにより、下地層の結晶配向性が良好となり、これが記録層に引き継がれてその磁性粒子の結晶配向性を向上する。その結果、記録再生特性が向上し、垂直磁気記録媒体の高記録密度化が可能になる。 本発明の他の観点によれば、磁気ヘッドを有する記録再生手段と、上記の垂直磁気記録媒体と、を備える磁気記憶装置が提供される。

0011

本発明によれば、磁気記憶装置は、良好な記録再生特性を有すると共に、優れたSN比を有し、高記録密度化が可能である。

0012

本発明のその他の観点によれば、基板上に軟磁性裏打ち層と、シード層と、酸化抑制層と、下地層と、前記基板面に対して略垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、該磁性粒子を互いに離隔する非磁性の非固溶相からなる記録層とが順次積層された垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記シード層上に、Ruを除く貴金属元素を含む酸化抑制層を形成する工程と、前記酸化抑制層上に、Ruまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を1nm/秒以下でかつ圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により下地層を形成する工程と、を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法が提供される。

0013

本発明によれば、酸化抑制層を形成することで、雰囲気ガス中に酸素ガスが不純物ガスとして含まれる場合であっても、酸化抑制層の耐酸化性が優れているので、その上に形成される下地層の結晶粒子の結晶性および結晶配向性が良好となる。さらに、この良好な結晶性および結晶配向性が記録層に引き継がれ、磁性粒子の結晶配向性が向上する。その結果、記録再生特性が向上し、高記録密度化が可能な垂直磁気記録媒体を製造できる。

発明の効果

0014

本発明によれば、記録層が良好な結晶配向性を有し、高記録密度化を図れる垂直磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置を提供できる。

発明を実施するための最良の形態

0015

下図面を参照しつつ実施の形態を説明する。

0016

(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の概略断面図、図2は、図1に示す垂直磁気記録媒体の要部を模式的に示した拡大図である。

0017

図1および図2を参照するに、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体10は、基板11と、基板11上に、軟磁性裏打積層体12、シード層13、酸化抑制層14、第1下地層15、第2下地層16、記録層18、保護膜19、および潤滑層20を順次積層した構成からなる。

0018

基板11は、例えば、プラスチック基板結晶化ガラス基板強化ガラス基板Si基板アルミニウム合金基板などから構成される。垂直磁気記録媒体10が磁気ディスクの場合は、円盤状の基板が用いられる。また、垂直磁気記録媒体10が磁気テープの場合はポリエステル(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、耐熱性に優れたポリイミド(PI)などのフィルムを基板11として用いることができる。

0019

軟磁性裏打積層体12は、2つの非晶質軟磁性層12a,12bとそれらの間に形成された非磁性結合層12cからなる。非晶質軟磁性層12a,12bの各々の磁化は、非磁性結合層12cを介して反強磁性的に結合している。非晶質軟磁性層12a,12bは、それぞれ、例えば膜厚が50nm〜2μmであり、Fe、Co、Ni、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、C、およびBから選択された少なくとも1種の元素を含む非晶質の軟磁性材料からなる。非晶質軟磁性層12a,12bの具体的材料としては、例えば、FeSi、FeAlSi、FeTaC、CoNbZr、CoCrNb、CoFeB、およびNiFeNb等が挙げられる。

0020

非晶質軟磁性層12a,12bは、基板11が円盤状の場合、磁化容易軸が径方向に設定されることが好ましい。これにより、残留磁化状態では、例えば、非晶質軟磁性層12aの磁化の向きが内周方向、非晶質軟磁性層12bの磁化の向きが外周方向となる。このような構成とすることにより、非晶質軟磁性層12a,12b中に磁区の形成を抑制し、磁区と磁区との界面から漏れ磁界が発生することを抑制できる。

0021

非晶質軟磁性層12a,12bは互いに同じ組成の軟磁性材料を用いることが好ましく、さらには、非晶質軟磁性層12a,12bのそれぞれの膜厚は互いに同等であることが好ましい。これにより、非晶質軟磁性層12aおよび12bから漏れるそれぞれの磁界が互いに打ち消し合うので、磁気ヘッドの再生素子ノイズが抑制される。なお、非晶質軟磁性層12aおよび12bは互いに異なる組成の軟磁性材料を用いてもよい。

0022

非磁性結合層12cは、Ru、Cu、Cr、Rh、Ir、Ru系合金、Rh系合金、およびIr系合金からなる群のうちいずれかの非磁性材料から選択される。Ru系合金としてはRuに、Co、Cr、Fe、Ni、およびMnのうちいずれか一つを少なくとも含む非磁性材料が好適である。非磁性結合層14は、その膜厚が非晶質軟磁性層13と非晶質軟磁性層15とが反強磁性的に交換結合する範囲に設定される。その範囲は、0.4nm〜1.5nmである。

0023

なお、軟磁性裏打積層体12は、非晶質軟磁性層12cの上にさらに非磁性結合層と非晶質軟磁性層との積層体を設けた構成としてもよく、さらにこの積層体を複数積層した構成としてもよい。但し、この場合、軟磁性裏打積層体12の各々の非晶質軟磁性層15の単位体積当たりの残留磁化と膜厚との積の総和を略0()とすることが好ましい。これにより、軟磁性裏打積層体12からの漏れ磁束を略0(零)とすることができる。

0024

シード層13は、例えば膜厚が2nm〜10nm(好ましくは2nm〜5nm)であり、Ta、Ti、Mo、W、Re、Hf、およびMgからなる群のうち少なくとも1種の非晶質の非磁性材料からなる。シード層13は非晶質状態であるため、この上の酸化抑制層14の結晶配向に影響を与えない。そのため、酸化抑制層14が自己組織的に結晶配向し易くなり、結晶配向性が向上する。

0025

酸化抑制層14は、Ruを除く貴金属元素を含む材料からなる。すなわち、酸化抑制層14は、Au、Ag、Rh、Pd、Os、Ir、およびPtからなる群のうち、少なくとも1種を含む材料からなる。貴金属元素は、酸素ガスが不純物として含まれる不活性ガス雰囲気において成膜しても酸化し難い。特に、製造に用いられるスパッタ装置では、雰囲気ガスとして用いられる不活性ガスに不純物ガスとして含まれる酸素ガスや、不活性ガスの導入配管や成膜室の内壁に吸着した酸素が脱離した酸素ガスがシード層の表面を酸化させてしまう。しかし、本発明では、貴金属元素を含む酸化抑制層14により、かかる酸化を抑制できる。酸化抑制層14は、特にPt、Au、およびAgからなる群のうち、少なくとも1種からなることが好ましい。これらの元素は耐酸化性が高い。さらに、酸化抑制層14がその表面の酸化を防止すると共に活性化する点で、Ptであることが特に好ましい。

0026

また、酸化抑制層14はシード層13上に(111)結晶面が自己組織的に優先的に配向する。そして、酸化抑制層14の(111)結晶面に第1下地層のRu(0002)結晶面が良好な格子整合をもって成長する。したがって、酸化抑制層14を設けることで、第1下地層の結晶性が良好でかつ結晶配向性が良好になる。この良好な結晶性および結晶配向性は、さらに第2下地層を介して記録層に引き継がれ、記録層の磁性粒子の結晶配向性を向上する。その結果、記録再生特性が向上し高記録密度化が可能になる。

0027

また、酸化抑制層14の膜厚は、2nm以上に設定されることが好ましい。酸化抑制層14の膜厚が2nmを切ると、酸化抑制層14を設けた効果が低下する傾向にある。また、酸化抑制層14の効果は3nmを超えると略同等である。なお、酸化抑制層14の膜厚の好ましい範囲の上限は書込容易性の劣化が生じる膜厚により制限されるべきである。

0028

第1下地層15は、膜厚が2nm〜16nmの範囲に設定され、Ruあるいはhcp結晶構造を有するRu−X合金(X=Ta、Nb、Co、Cr、Fe、Ni、Mn、およびCからなる群のうち少なくとも1種からなる。)から構成される。第1下地層15は、結晶粒子15aと結晶粒界部15bから構成される。第1下地層15は、結晶粒子15a同士が結晶粒界部15bを介して結合した連続膜を形成しているので、結晶粒子15aの結晶性が良好である。また、第1下地層15は、酸化抑制層14上に(0002)結晶面が基板面に対して平行に優先的に配向する。結晶粒子15aの結晶性が良好であるので、結晶粒子15aの結晶配向性も良好となる。これのため第2下地層16の結晶粒子16aの結晶性および結晶配向性がいっそう良好となり、さらには、記録層18の磁性粒子の結晶性および結晶配向性がいっそう良好となる。その結果、記録再生特性がいっそう向上し高記録密度化が可能になる。

0029

第2下地層16は、Ruあるいはhcp結晶構造を有するRu−X合金からなる、多数の結晶粒子16aと、結晶粒子16a同士を互い離隔する空隙部16bから構成される。結晶粒子16aは、第1下地層15の表面から膜厚方向に成長し、記録層18との界面に達する柱状構造を有し、一つの結晶粒子16a内は一つの単結晶から構成される。

0030

また、空隙部16bは、結晶粒子16aを囲むように形成され、結晶粒子16a同士を離隔する。記録層18の磁性粒子18aが結晶粒子16a上に結晶成長するため、このような第2下地層16の構造により、記録層18の磁性粒子18a同士を適度に離隔することができる。第2下地層16は、後程詳述するが、Arガス等の不活性ガス雰囲気中の圧力、あるいは、第2下地層16の堆積速度を所定の範囲に設定することで形成することができる。

0031

記録層18は、膜厚が例えば6nm〜20nmで、柱状構造を有する磁性粒子18aと、磁性粒子18aを囲み、隣り合う磁性粒子18aを物理的に離隔する非磁性材料からなる非固溶相18bから構成されている。磁性粒子18aの柱状構造は膜厚方向に延びており、面内方向に配置された多数の磁性粒子18aのそれぞれの間を非固溶相18bが充填するように形成されている。

0032

磁性粒子18aは、Co、CoCr、CoPt、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPt−Mを含むCo系合金からなる群のうちいずれかの材料から構成される。ここで、Mは、B、Ta、Cu、W、Mo、およびNbからなる群のうち少なくとも1種から選択される。磁性粒子18aは膜厚方向に磁化容易軸を有し、磁性粒子18aを構成する強磁性合金hcp構造を有する場合は、膜厚方向すなわち成長方向が(001)面となることが好ましい。

0033

磁性粒子18aがCoCrPt合金よりなる場合は、Co含有量が50原子%〜80原子%、Cr含有量が5原子%〜20原子%、Pt含有量が15原子%〜30原子%に設定される。Pt含有量を従来の垂直磁気記録媒体と比較して多く含有させることにより、垂直異方性磁界を増加して高保磁力化を図ることができる。特にこのような高Pt含有量は、Cr系下地に対してエピタキシャル成長が困難であることとされてきたが、本実施の形態の非磁性粒子18aの材料を用いることにより結晶性の優れた磁性粒子18aを形成することができる。

0034

非固溶相18bは、磁性粒子18aを形成する強磁性合金と固溶あるいは化合物を形成しない非磁性材料から構成され、非磁性材料は、Si、Al、Ta、Zr、Y、Ti、及びMgから選択されるいずれか1種の元素と、O、N、及びCから選択される少なくともいずれか1種の元素との化合物からなり、例えば、SiO2、Al2O3、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、MgOなどの酸化物や、Si3N4、AlN、TaN、ZrN、TiN、Mg3N2などの窒化物や、SiC、TaC、ZrC、TiCなどの炭化物が挙げられる。磁性粒子18aはこのような非磁性材料よりなる非固溶相18bによって、隣り合う磁性粒子18aと物理的に離隔されるので磁気的相互作用が低減され、その結果、媒体ノイズを低減することができる。

0035

また、記録層18は、図示を省略するが、非固溶層18bの代わりに空隙部が形成されていてもよい。磁性粒子18aが空隙部により離隔されることで、非固溶層18bの場合と同様の効果を有する。

0036

保護膜19は、例えば膜厚が0.5nm〜15nmのアモルファスカーボン水素カーボン窒化カーボン酸化アルミニウム等により構成される。

0037

潤滑層20は、例えば膜厚が0.5nm〜5nmのパーフルオロポリエーテルが主鎖の潤滑剤などにより構成される。潤滑層18は、保護膜16の材料に応じて設けてもよく、設けなくともよい。

0038

本実施の形態の垂直磁気記録媒体10は、シード層13と第1下地層15との間に酸化抑制層14を設けることで、酸化抑制層14の表面の酸化を抑制し、酸化部分が形成された場合に生じる第1下地層15の結晶粒子15aの初期成長部分の結晶性および結晶配向性の劣化を抑制する。これにより、第1下地層15の結晶配向性が良好となり、さらに、第2下地層16および記録層18に引き継がれ、磁性粒子18aの結晶配向性を向上する。その結果、記録再生特性が向上し、垂直磁気記録媒体10の高記録密度化が可能になる。

0039

また、酸化抑制層14を設けることで第1下地層15の結晶粒子15aの核形成が均一となり、結晶粒子15aの面内方向の配置が均一となる。これにより第2下地層16の結晶粒子16a、さらには磁性層18の磁性粒子18aの配置に引き継がれ、磁性粒子18aの面内方向の配置が均一となる。その結果、媒体ノイズが低減されてSN比が向上する。したがって、この点でも垂直磁気記録媒体10の高記録密度化が可能になる。

0040

なお、上述したように、第1下地層15を設けることが好ましいが、省略してもよい。その場合は、酸化防止層14の表面に第2下地層16の結晶粒子16aが直接結晶成長する。また、軟磁性裏打積層体12は、上述したように軟磁性非晶質層12aおよび12bが反強磁性的に交換結合した構造が好ましいが、その代わりに軟磁性非晶質層12aが1層のみでもよい。

0041

次に、図1を参照しつつ、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の製造方法を説明する。

0042

最初に、基板11の表面を洗浄・乾燥後、基板11上に上述した軟磁性裏打積層体12の非晶質軟磁性層12a、非磁性結合層12c、および非晶質軟磁性層12bを、この順でスパッタ法により形成する。

0043

次いで、軟磁性裏打積層体12上にスパッタ装置を用いて、上述した材料からなるスパッタターゲットを用いてシード層13を形成する。スパッタ装置は予め10-7Paまで排気可能な超高真空スパッタ装置を用いることが好ましい。具体的には、シード層13は、例えばDCマグネトロン法によりArガス雰囲気中で圧力0.4Paに設定して形成する。この際、基板11の加熱は行わない方が好ましい。非磁性軟磁性層12a,12bの結晶化を抑制することができる。もちろん、非磁性軟磁性層12a,12bの結晶化を伴わない程度の温度、例えば150℃程度あるいはそれ以下の温度に加熱してもよい。なお、基板11の加熱は、シード層13〜保護膜19の各層において同様である。

0044

次いで、シード層13上にスパッタ装置を用いて、例えばDCマグネトロン法によりArガス雰囲気中で圧力0.4Paに設定して酸化抑制層14を形成する。

0045

次いで、酸化抑制層14上に上述したRuあるいはhcp結晶構造を有するRu−X合金からなるスパッタターゲットを用いて第1下地層15を形成する。具体的には、第1下地層15は、例えばDCマグネトロン法により不活性ガス、例えばArガス雰囲気で、堆積速度を5nm/秒以上で、かつ圧力を2.66Pa(20mTorr)以上に設定する。このように堆積速度および圧力を設定することで、上述した結晶粒子15aと結晶粒界部15bからなる多結晶体の連続膜の第1下地層21を形成することができる。また、この堆積速度および圧力に設定することで、結晶粒子の肥大化抑制の効果を有する。また、第1下地層15は、上記の堆積速度および圧力の代わりに、堆積速度を3nm/秒以下で、かつ圧力を2.66Pa(5mTorr)以下に設定してもよい。この、この堆積速度および圧力に設定することで、結晶粒子の肥大化抑制および第1下地層15の材料の高純度化の効果を有する。
このように堆積速度あるいは圧力を設定することで、上述した結晶粒子15aと結晶粒界部15bからなる多結晶体の連続膜の第1下地層15を形成することができる。

0046

なお、堆積速度および圧力は上述した範囲にすることが好ましいが、さらに、堆積速度は膜厚の制御性が良好な点で8nm/秒以下に設定することが好ましく、圧力は、スパッタ装置のプラズマ放電が安定な点で0.26Pa以上に設定することが好ましい。

0047

次いで、第1下地層15上に上述したRuあるいはhcp結晶構造を有するRu−X合金からなるスパッタターゲットを用いて第2下地層16を形成する。具体的には、第2下地層16は、例えばDCマグネトロン法により不活性ガス、例えばArガス雰囲気で成膜する。成膜の際の堆積速度を1nm/秒以下でかつ圧力を2.66Pa(20mTorr)以上に設定する。このように堆積速度および圧力を設定することで、上述した結晶粒子16aと空隙部16bからなる第2下地層16を形成することができる。ここで、堆積速度を1nm/秒よりも大きく、あるいは、圧力を2.66Paよりも低く設定した場合、空隙部16bが十分に形成されず結晶粒子と結晶粒界部からなる連続膜が形成される傾向となる。

0048

なお、堆積速度を生産効率過度に低下しない点で0.1nm/秒以上に設定することが好ましい。また、圧力を26.6Pa(200mTorr)以下に設定することが好ましい。圧力が26.6Paよりも高い場合、不活性ガスが結晶粒子16a中に取り込まれ、その結晶性が低下する傾向にあり、さらには粉体を形成してしまう。なお、上述した理由と同様に第2下地層16を形成する際に基板11の加熱は行わない方が好ましい。

0049

次いで、第2下地層16上にスパッタ装置を用いて、上述した材料からなるスパッタターゲットを用いて記録層18を形成する。具体的には、RFマグネトロン法により、磁性粒子18aの磁性材料と非固溶相18bの非磁性材料を複合化したスパッタターゲットを用い、不活性ガス、あるいは、不活性ガスに非固溶相15bが含む酸素あるいは窒素を添加した雰囲気で成膜する。なお、磁性粒子18aの磁性材料と、非固溶相18bの非磁性材料のそれぞれのスパッタターゲットを同時スパッタしてもよい。成膜時の圧力は、2.00Pa〜8.00Pa(とりわけ好ましくは2.00Pa〜3.99Pa)の範囲に設定することが好ましい。これにより、磁性粒子18aと、磁性粒子18aを囲む非固溶相18bからなる記録層18が形成される。

0050

なお、磁性粒子18aと、磁性粒子18aを囲む空隙部からなる記録層18を形成してもよい。このような記録層18の形成は、具体的には、例えばDCマグネトロン法により、磁性粒子18aの磁性材料のスパッタターゲットを用い、不活性ガス雰囲気、例えばArガス雰囲気で成膜する。記録層18の磁性粒子18aは第2下地層16の結晶粒子16aの表面に成長し、磁性粒子18aの周囲には空隙部18bが形成される。なお、成膜の際、圧力は非固溶相を形成する場合と同様である。

0051

次いで、記録層18上に、スパッタ法、CVD法FCA(Filtered Cathodic Arc)法等を用いて保護膜19を形成する。次いで、保護膜19の表面に、引き上げ法スピンコート法液面低下法等により潤滑層20を塗布する。以上により、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体が形成される。

0052

第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の製造方法によれば、酸化抑制層14を形成することで、雰囲気ガス中に酸素ガスが不純物ガスとして含まれる場合であっても、酸化抑制層14の耐酸化性が優れているので、その上に形成される第1下地層15の結晶粒子15aの結晶性および結晶配向性が良好となる。さらに、この良好な結晶性および結晶配向性が第2下地層16および記録層18に引き継がれ、磁性粒子18aの結晶配向性が向上する。その結果、記録再生特性が向上し、高記録密度化が可能な垂直磁気記録媒体10を製造できる。

0053

次に、第1の実施の形態に係る実施例を説明する。

0054

[実施例1]
実施例1に係る垂直磁気記録媒体を以下に示す構成で作製した。なお、括弧内の数値は膜厚を示す。

0055

ガラス基板
軟磁性裏打ち層:CoZrNb膜(200nm)
シード層:Ta膜(2nm)
酸化抑制層:Pt膜(3nm)
第1下地層:Ru膜(15nm)
第2下地層:Ru膜(5nm)
記録層:(CoCrPt15)87−(SiO2)13膜(16nm)
保護膜:カーボン膜(3nm)
潤滑層:パーフルオロポリエーテル(1.5nm)
実施例1の垂直磁気記録媒体は、ガラス基板を洗浄・乾燥後、基板加熱を行わないで、DCマグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気中、圧力0.266Pa(2mTorr)に設定して、CoZrNb膜、Ta膜、およびPt膜を上記の膜厚に、この順に形成した。

0056

次いで、DCマグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気中、圧力0.399Pa(3mTorr)、成膜速度0.6nm/秒に設定して、第1下地層のRu膜を上記の膜厚に形成した。さらに、DCマグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気中、圧力5.32Pa(40mTorr)、成膜速度0.3nm/秒に設定して、第2下地層のRu膜を上記の膜厚に形成した。

0057

次いで、RFスパッタ法により、Arガス雰囲気中、圧力2.66Pa(20mTorr)に設定して、(CoCrPt15)87−(SiO2)13膜の複合スパッタターゲットを用いて記録層を形成した。

0058

次いで、DCマグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気中、圧力0.399Pa(3mTorr)に設定してカーボン膜を形成した。さらに、浸漬法により潤滑層を塗布し、実施例1の垂直磁気記録媒体を得た。

0059

[比較例1]
本発明によらない比較例1の垂直磁気記録媒体として、酸化抑制層のPt膜を設けない以外は実施例1と同様の構成および作製条件の垂直磁気記録媒体を形成した。

0060

実施例1および比較例1の垂直磁気記録媒体を、X線ディクラメータ(Cu−Kα線)を用いてRuの(0002)結晶面に対応する回折線ロッキングカーブを測定し、そのプロファイルから半値幅(Δθ50)を測定した。

0061

その結果、比較例1ではΔθ50が7.2度であったのに対し、実施例1ではΔθ50が5.7度であった。このことは、Ru膜の(0002)結晶面の配向性が比較例1よりも実施例1の方が極めて良好であることを示している。したがって、酸化抑制層のPt膜を設けることで、第1下地層および第2下地層のRu膜の(0002)結晶面の結晶配向性が良好となっていることが分かる。このことから、記録層の磁性粒子の磁化容易軸の配向性が良好になっていることが十分に期待できる。

0062

[実施例2]
実施例2に係る垂直磁気記録媒体を以下に示す構成で作製した。なお、括弧内の数値は膜厚を示す。

0063

ガラス基板
軟磁性裏打ち層:CoZrNb膜(200nm)
シード層:Ta膜(4.5nm)
酸化抑制層:Pt膜(3nm)
第1下地層:Ru膜
第2下地層:Ru膜(3.7nm)
記録層:(CoCrPt15)87−(SiO2)13膜(16nm)
保護膜:カーボン膜(3nm)
潤滑層:パーフルオロポリエーテル(1.5nm)
実施例2の垂直磁気記録媒体を上述した実施例1と略同様の条件で作製した。なお、実施例2では、第1下地層の膜厚を7nm、15nm、22.5nmとした垂直磁気記録媒体を作製した。

0064

[比較例2および3]
本発明によらない比較例2の垂直磁気記録媒体として、酸化抑制層のPt膜を設けない以外は実施例2と同様の構成および作製条件の垂直磁気記録媒体を作製した。比較例2においても第1下地層の膜厚を同様に異ならせた垂直磁気記録媒体を作製した。

0065

また、本発明によらない比較例3の垂直磁気記録媒体として、シード層のTa膜の膜厚を3nmとした以外は比較例2と同様の構成および作製条件の垂直磁気記録媒体を作製した。

0066

図3は、実施例2、および比較例2および3のRu膜の結晶配向性と第1下地層のRu膜の膜厚との関係図である。縦軸は、Ru膜の(0002)結晶面に対応する回折線のΔθ50である。Δθ50は実施例1と同様の方法で測定し、この結果は、第1下地層と第2下地層の両方のRu膜の結晶配向性が反映されている。また、横軸は、第1下地層のRu膜の膜厚である。

0067

図3を参照するに、比較例2および3に対して、第1下地層の3種類の膜厚の総てに亘って、実施例2はΔθ50が小さい。このことは、Ru膜の(0002)結晶面の配向性が比較例2および3よりも実施例2の方が極めて良好であることを示している。したがって、酸化抑制層のPt膜を設けることで、第1下地層および第2下地層のRu膜の(0002)結晶面の結晶配向性が良好となっていることが分かる。このことから、記録層の磁性粒子の磁化容易軸の配向性が良好になっていることが十分に期待できる。

0068

[実施例3、4および比較例4〜6]
実施例3および4に係る垂直磁気記録媒体として、酸化抑制層のPt膜の膜厚を異ならせた垂直磁気記録媒体を作製した。

0069

実施例3の垂直磁気記録媒体は、第1下地層のRu膜の膜厚を15nmとし、Pt膜の膜厚を3.0nm、6.0nm、および10.0nmに異ならせた以外は実施例2の垂直磁気記録媒体と同様の構成を有する。なお、比較のため、実施例3の構成において、Pt膜を設けない垂直磁気記録媒体を作製した(これを「比較例4」と称する。)。

0070

実施例4の垂直磁気記録媒体は、第1下地層のRu膜の膜厚を22.5nmとし、Pt膜の膜厚を3.0nm、6.0nm、および10.0nmに異ならせた以外は実施例2の垂直磁気記録媒体と同様の構成を有する。なお、比較のため、実施例4の構成において、Pt膜を設けない垂直磁気記録媒体を作製した(これを「比較例5」と称する。)。さらに比較のため、シード層のTa膜の膜厚を2.0nmとして以外は比較例5と同様の構成の垂直磁気記録媒体を作製した(これを「比較例5」と称する。)。

0071

図4は、実施例3および4、および比較例4〜6のRu膜の結晶配向性と酸化抑制層のPt膜の膜厚との関係図である。縦軸は、Ru膜の(0002)結晶面に対応する回折線のΔθ50である。Δθ50は実施例1と同様の方法で測定し、この結果は、第1下地層と第2下地層の両方のRu膜の結晶配向性が反映されている。また、横軸は、酸化抑制層のPt膜の膜厚である。

0072

図4を参照するに、実施例3は、Pt膜の3.0nm〜10.0nmの膜厚に亘って、Pt膜を設けない比較例4よりもΔθ50が小さい。このことは、Ru膜の(0002)結晶面の配向性が比較例4よりもPt膜の3.0nm〜10.0nmの膜厚に亘って実施例3の方が極めて良好であることを示している。また、この特性線によれば、Pt膜が3.0nmよりも薄い側でも比較例4よりもRu膜の(0002)結晶面の配向性が良好であり、Pt膜が2.0nmでも比較例4よりも良好であることが推察される。

0073

また、実施例4は、Pt膜の3.0nm〜10.0nmの膜厚に亘って、Pt膜を設けない比較例5よりもΔθ50が小さい。このことは、Ru膜の(0002)結晶面の配向性が比較例5よりもPt膜の3.0nm〜10.0nmの膜厚に亘って実施例4の方が極めて良好であることを示している。また、この特性線によれば、Pt膜が3.0nmよりも薄い側でも比較例5よりもRu膜の(0002)結晶面の配向性が良好であり、Pt膜が2.0nmでも比較例5よりも良好であることが推察される。さらに、実施例3および4は、比較例6よりも良好である。

0074

(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体を備えた磁気記憶装置に係るものである。

0075

図5は、本発明の実施の第2の実施の形態に係る磁気記憶装置の要部を示す図である。図5を参照するに、磁気記憶装置50は大略ハウジング51からなる。ハウジング51内には、スピンドル(図示されず)により駆動されるハブ52、ハブ52に固定され回転される垂直磁気記録媒体53、アクチュエータユニット54、アクチュエータユニット54に取り付けられ垂直磁気記録媒体53の半径方向に移動するアーム55およびサスペンション56、サスペンション56に支持された磁気ヘッド58が設けられている。

0076

磁気ヘッド58は、例えば、単磁極型記録ヘッドGMR(Giant Magneto Resistive)素子を備えた再生ヘッドから構成される。

0077

単磁極型記録ヘッドは、垂直磁気記録媒体53に記録磁界印加するための、軟磁性材料からなる主磁極と、主磁極に磁気的に接続されたリターンヨークと、主磁極とリターンヨークに記録磁界を誘導するための記録用コイルなどから構成されている。単磁極型記録ヘッドは、主磁極から記録磁界を垂直磁気記録媒体に対して垂直方向に印加して、垂直磁気記録媒体に垂直方向の磁化を形成する。

0078

また、再生ヘッドはGMR素子を備え、GMR素子は、垂直磁気記録媒体53の磁化が漏洩する磁界の方向を抵抗変化として感知して垂直磁気記録媒体53の記録層に記録された情報を得ることができる。なお、GMR素子の代わりにTMR(Ferromagnetic Tunnel Junction Magneto Resistive)素子等を用いることができる。

0079

垂直磁気記録媒体53は、第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体である。垂直磁気記録媒体53は、記録層の結晶配向性が向上し良好な記録再生特性を有する。また同時に優れたSN比を有し、高記録密度化が可能である。

0080

なお、第2の実施の形態に係る磁気記憶装置50の基本構成は、図5に示すものに限定されるものではなく、磁気ヘッド58は上述した構成に限定されず、公知の磁気ヘッドを用いることができる。また、本発明で用いる垂直磁気記録媒体53は、磁気ディスクに限定されず磁気テープであってもよい。

0081

第2の実施の形態によれば、磁気記憶装置50は、良好な記録再生特性を有すると共に、優れたSN比を有し、高記録密度化が可能である。

0082

以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

0083

なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)基板と、
前記基板上に形成された軟磁性裏打ち層と、
前記軟磁性裏打ち層上に形成された非晶質材料からなるシード層と、
前記シード層上に形成された酸化抑制層と、
前記酸化抑制層上に形成されたRuあるいはhcp結晶構造を有するRu合金からなる複数の結晶粒子と、該結晶粒子を互いに離隔する空隙部からなる下地層と、
前記下地層上に形成された、基板面に対して略垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、該磁性粒子を互いに離隔する空隙部あるいは非磁性の非固溶相からなる記録層とを備え、
前記酸化抑制層は、Ruを除く貴金属元素を含む垂直磁気記録媒体。
(付記2) 前記シード層と下地層との間に他の下地層をさらに備え、
前記他の下地層は、RuまたはRu合金からなる結晶粒子と該他の結晶粒子同士が結晶粒界部を介して結合した連続膜からなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記3) 前記hcp結晶構造を有するRu合金は、Ru−X合金と表され、XがTa、Nb、Co、Cr、Fe、Ni、Mn、およびCからなる群のうち少なくとも1種からなることを特徴とする付記1または2記載の垂直磁気記録媒体。
(付記4) 前記酸化抑制層は、その膜厚が2.0nm以上の範囲に設定されることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記5) 前記酸化抑制層は、Pt、Au、およびAgからなる群のうち、少なくとも1種からなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記6) 前記シード層は、Ta、Ti、Mo、W、Re、Hf、およびMgからなる群のうち少なくとも1種の非晶質の非磁性材料からなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記7) 前記記録層は、その磁性粒子が、Co、CoCr、CoPt、CoCrTa、CoCrPt、およびCoCrPt−Mからなる群のうちいずれか1種からなり、該Mが、B、Ta、Cu、W、Mo、およびNbからなる群のうち少なくとも1種から選択されことを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記8) 前記軟磁性裏打ち層は、基板側から、第1の軟磁性層と、非磁性結合層と、第2の磁性層とがこの順に積層してなり、
前記第1の軟磁性層および第2の軟磁性層は、面内に磁化容易軸を有すると共に、該第1の軟磁性層の磁化および第2の軟磁性層の磁化は、面内に配向すると共に、互いに反強磁性的に結合してなることを特徴とする付記1記載の垂直磁気記録媒体。
(付記9)磁気ヘッドを有する記録再生手段と、
付記1記載の垂直磁気記録媒体と、を備える磁気記憶装置。
(付記10) 基板上に軟磁性裏打ち層と、シード層と、酸化抑制層と、下地層と、前記基板面に対して略垂直方向に磁化容易軸を有する複数の磁性粒子と、該磁性粒子を互いに離隔する非磁性の非固溶相からなる記録層とが順次積層された垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
前記シード層上に、Ruを除く貴金属元素を含む酸化抑制層を形成する工程と、
前記酸化抑制層上に、Ruまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を1nm/秒以下でかつ圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により下地層を形成する工程と、を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記11) 前記酸化抑制層を形成する工程と下地層を形成する工程との間に、他の下地層を形成する工程をさらに含み、
前記他の下地層を形成する工程は、スパッタ法によりRuまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を5nm/秒以上で、かつ圧力を2.66Pa以上に設定してスパッタ法により他の下地層を形成することを特徴とする付記10記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記12) 前記酸化抑制層を形成する工程と下地層を形成する工程との間に、他の下地層を形成する工程をさらに含み、
前記他の下地層を形成する工程は、スパッタ法によりRuまたはhcp結晶構造を有するRu合金からなる材料を、堆積速度を3nm/秒以下で、かつ圧力を2.66Pa以下に設定してスパッタ法により他の下地層を形成することを特徴とする付記10記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
(付記13) 前記記録層を形成する工程は、雰囲気ガス圧を2.00Pa以上かつ8.00Pa以下の範囲に設定してスパッタ法により記録層を形成することを特徴とする付記10記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。

図面の簡単な説明

0084

本発明の第1の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の断面図である。
図1に示す垂直磁気記録媒体の要部を模式的に示した拡大図である。
実施例および比較例のRu膜の結晶配向性と第1下地層のRu膜の膜厚との関係図である。
実施例および比較例のRu膜の結晶配向性と酸化抑制層のPt膜の膜厚との関係図である。
本発明の第2の実施の形態に係る磁気記憶装置の要部平面図である。

符号の説明

0085

10,53垂直磁気記録媒体
11基板
12軟磁性裏打積層体
12a,12b非晶質軟磁性層
12c非磁性結合層
13シード層
14酸化抑制層
15 第1下地層
15a結晶粒子
15b結晶粒界部
16 第2下地層
16a 結晶粒子
16b 空隙部
18記録層
18a磁性粒子
18b 非固溶相
19 保護膜
20潤滑層
50磁気記憶装置
58 磁気ヘッド

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