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技術 組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 嬉野欣成
出願日 2006年3月29日 (14年9ヶ月経過) 出願番号 2006-091410
公開日 2007年10月11日 (13年2ヶ月経過) 公開番号 2007-262529
状態 未査定
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 熱間鍛造装置 焼きもどし ピン留め 熱間加工前 機械強度特性 熱間圧延装置 回加工 調質処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年10月11日)のものです。
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図面 (4)

課題

炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼であって、フェライトバンド組織の形成を抑制することである。

解決手段

炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0.4質量%より多く2.0質量%より少ないCと、50ppm以上200ppm以下のNとを含有し、更に、0.1質量%以上0.5質量%以下のV、0.01質量%以上0.1質量%以下のTi、0.01質量%より多く0.05質量%以下のAlまたは0.01質量%以上0.08質量%以下のNbのうち少なくとも1つを含有する。また、組織制御された炭素鋼のフェライトバンド組織の比率が5%以下である。

概要

背景

車両、特に、自動車用部品には、機械構造用炭素鋼等の炭素鋼が使用される。炭素鋼には、引張強度疲労強度等の機械強度特性を向上させるために、焼入れ焼きもどし等の熱処理によりマルテンサイト組織にする調質処理が行われている。

ここで、炭素鋼に焼入れ、焼きもどし等による熱処理を行うと、炭素鋼により製造される部品の製造コストが高くなる場合がある。そのため、このような熱処理を行わずに、炭素鋼のフェライト粒組織微細化等して機械強度特性等を向上させることが行われている。

特許文献1には、化学組成において、0.35〜1.0重量%のC(炭素)を含有し、平均粒径が10μm以下のフェライトオーステナイトパーライトセメンタイト、およびマルテンサイトの少なくとも1種以上の組織を有する鋼を、550℃からAe1点+50℃までの温度範囲で、ひずみ0.7以上の加工を行い、平均粒径3μm以下の微細組織を有する鋼とすることを特徴とする高C(炭素)添加超微細粒鋼の製造方法が示されている。

特開2005−194547号公報

概要

炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼であって、フェライトバンド組織の形成を抑制することである。炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0.4質量%より多く2.0質量%より少ないCと、50ppm以上200ppm以下のNとを含有し、更に、0.1質量%以上0.5質量%以下のV、0.01質量%以上0.1質量%以下のTi、0.01質量%より多く0.05質量%以下のAlまたは0.01質量%以上0.08質量%以下のNbのうち少なくとも1つを含有する。また、組織制御された炭素鋼のフェライトバンド組織の比率が5%以下である。

目的

そこで、本発明の目的は、フェライトバンド組織の形成を抑制した組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0.65質量%より多く2.0質量%より少ないCを含有し、熱間加工は、炭素鋼を所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工することを特徴とする組織制御された炭素鋼の製造方法。

請求項2

請求項1に記載の組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0質量%より多く1.0質量%より少ないSiと、0.1質量%より多く2.0質量%より少ないMnと、0.1質量%以下のPと、0.5質量%以下のSと、を含有することを特徴とする組織制御された炭素鋼の製造方法。

請求項3

炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0.4質量%より多く2.0質量%より少ないCと、50ppm以上200ppm以下のNと、を含有し、更に、0.1質量%以上0.5質量%以下のV、0.01質量%以上0.1質量%以下のTi、0.01質量%より多く0.05質量%以下のAlまたは0.01質量%以上0.08質量%以下のNbのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする組織制御された炭素鋼の製造方法。

請求項4

請求項3に記載の組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0質量%より多く1.0質量%より少ないSiと、0.1質量%より多く2.0質量%より少ないMnと、0.1質量%以下のPと、0.5質量%以下のSと、を含有することを特徴とする組織制御された炭素鋼の製造方法。

請求項5

請求項3または4に記載の組織制御された炭素鋼の製造方法であって、熱間加工は、炭素鋼を70%以上の加工度で加工することを特徴とする組織制御された炭素鋼の製造方法。

請求項6

請求項3から5のいずれか1に記載の組織制御された炭素鋼の製造方法であって、熱間加工は、炭素鋼を所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工することを特徴とする組織制御された炭素鋼の製造方法。

請求項7

炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼であって、フェライトバンド組織比率が、5%以下であることを特徴とする組織制御された炭素鋼。

請求項8

請求項7に記載の組織制御された炭素鋼であって、平均粒径2μm以下のフェライトと、平均粒径0.5μm以下の球状化セメンタイトと、を有することを特徴とする組織制御された炭素鋼。

技術分野

0001

本発明は、組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼に係り、炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼に関する。

背景技術

0002

車両、特に、自動車用部品には、機械構造用炭素鋼等の炭素鋼が使用される。炭素鋼には、引張強度疲労強度等の機械強度特性を向上させるために、焼入れ焼きもどし等の熱処理によりマルテンサイト組織にする調質処理が行われている。

0003

ここで、炭素鋼に焼入れ、焼きもどし等による熱処理を行うと、炭素鋼により製造される部品の製造コストが高くなる場合がある。そのため、このような熱処理を行わずに、炭素鋼のフェライト粒組織微細化等して機械強度特性等を向上させることが行われている。

0004

特許文献1には、化学組成において、0.35〜1.0重量%のC(炭素)を含有し、平均粒径が10μm以下のフェライトオーステナイトパーライトセメンタイト、およびマルテンサイトの少なくとも1種以上の組織を有する鋼を、550℃からAe1点+50℃までの温度範囲で、ひずみ0.7以上の加工を行い、平均粒径3μm以下の微細組織を有する鋼とすることを特徴とする高C(炭素)添加超微細粒鋼の製造方法が示されている。

0005

特開2005−194547号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上述したような調質処理されない炭素鋼は、例えば、フェライトとパーライトとからなる組織であり、マルテンサイト組織からなる調質処理された炭素鋼と比較すると強度、降伏比耐力/引張強度)、衝撃強度等が低い場合がある。また、このような炭素鋼には、フェライトの粗大なバンド状組織であるフェライトバンド組織が形成される場合がある。図3は、炭素鋼に形成されたフェライトバンド組織を示す図である。そして、炭素鋼に図3に示すようなフェライトバンド組織が多く形成されると、炭素鋼の疲労強度等が低下する場合がある。

0007

そこで、本発明の目的は、フェライトバンド組織の形成を抑制した組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る組織制御された炭素鋼の製造方法は、炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0.65質量%より多く2.0質量%より少ないCを含有し、熱間加工は、炭素鋼を所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工することを特徴とする。

0009

本発明に係る組織制御された炭素鋼の製造方法は、炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼の製造方法であって、炭素鋼は、0.4質量%より多く2.0質量%より少ないCと、50ppm以上200ppm以下のNとを含有し、更に、0.1質量%以上0.5質量%以下のV、0.01質量%以上0.1質量%以下のTi、0.01質量%より多く0.05質量%以下のAlまたは0.01質量%以上0.08質量%以下のNbのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする。

0010

本発明に係る組織制御された炭素鋼の製造方法において、炭素鋼は、0質量%より多く1.0質量%より少ないSiと、0.1質量%より多く2.0質量%より少ないMnと、0.1質量%以下のPと、0.5質量%以下のSとを含有することが好ましい。

0011

本発明に係る組織制御された炭素鋼の製造方法において、熱間加工は、炭素鋼を70%以上の加工度で加工することを特徴とする。

0012

本発明に係る組織制御された炭素鋼の製造方法において、熱間加工は、炭素鋼を所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工することを特徴とする。

0013

本発明に係る組織制御された炭素鋼は、炭素鋼を900℃以上1200℃以下で加熱した後、500℃以上700℃以下で熱間加工して製造される組織制御された炭素鋼であって、フェライトバンド組織の比率が、5%以下であることを特徴とする。

0014

本発明に係る組織制御された炭素鋼は、平均粒径2μm以下のフェライトと、平均粒径0.5μm以下の球状化セメンタイトとを有することが好ましい。

発明の効果

0015

上記組織制御された炭素鋼の製造方法及び組織制御された炭素鋼によれば、フェライトバンド組織の形成を抑制することができる。また、炭素鋼におけるフェライトバンド組織の形成を抑制することにより、炭素鋼の疲労強度等を更に向上させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は、組織制御された炭素鋼の製造方法における工程を示す図である。

0017

炭素鋼には、0.4質量%より多く2.0質量%より少ないC(炭素)が含有される。C含有量が0.4質量%より多いのは、C含有量が0.4質量%以下であると十分な機械特性や硬さ等が得られないからである。また、C含有量が2.0質量%より少ないのは、C含有量が2.0質量%以上であると靭性が低下等するからである。勿論、他の条件次第では、炭素鋼のC含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0018

炭素鋼には、0.65質量%より多く2.0質量%より少ないCが含有されることが好ましい。Cの含有量を多くすることによりFeとCの化合物であるセメンタイト(Fe3C)、例えば、球状化セメンタイトを増加させることができる。そして、球状化セメンタイトがピン留め粒子となり、フェライトの粗大なバンド状組織であるフェライトバンド組織の形成を抑制することができる。

0019

炭素鋼には、0質量%より多く1.0質量%より少ないSi(珪素)と、0.1質量%より多く2.0質量%より少ないMn(マンガン)と、0.1質量%以下のP(リン)と、0.5質量%以下のS(硫黄)と、が含有されることが好ましい。勿論、他の条件次第では、炭素鋼のSi、Mn、PまたはSの含有量は、上記の範囲に限定されることはない。

0020

Siは、脱酸または固溶強化等のために炭素鋼に含有される。Siは、炭素鋼に多く含有されると靭性が低下するため、Siの含有量を0質量%より多く1.0質量%より少ない範囲とした。

0021

Mnは、脱酸、固溶強化または組織微細化等のために炭素鋼に含有される。Mnは、炭素鋼に多く含有されると靭性が低下するため、Mnの含有量を0.1質量%より多く2.0質量%より少ない範囲とした。

0022

Pは、炭素鋼中に多く含有されると靭性が低下するため、Pの含有量を0.1質量%以下の範囲とした。

0023

Sは、被削性の向上等のために炭素鋼に含有される。Sは、炭素鋼に多く含有されると靭性が低下するため、Sの含有量を0.5質量%以下の範囲とした。

0024

炭素鋼には、50ppm以上200ppm以下のN(窒素)が含有されることが好ましい。Nは、後述する元素であるV、Ti、AlまたはNbと化学反応して窒化物を炭素鋼に析出させるために含有される。Nの含有量が50ppm以上であるのは、50ppmより少ない場合には、フェライトバンド組織の形成を抑制することができるだけの窒化物が炭素鋼に析出されないからである。そして、Nの含有量が200ppm以下であるのは、200ppmより多く含有すると窒化物が多く析出されるため炭素鋼の靭性等が低下するからである。

0025

炭素鋼には、0.1質量%以上0.5質量%以下のV(バナジウム)、0.01質量%以上0.1質量%以下のTi(チタン)、0.01質量%より多く0.05質量%以下のAl(アルミニウム)または0.01質量%以上0.08質量%以下のNb(ニオブ)のうち少なくとも1つが含有されることが好ましい。炭素鋼は、V、Ti、AlまたはNbのうち、いずれか1つの元素を含有していてもよいし、複数の元素を含有することもできる。

0026

V、Ti、AlまたはNbのうち少なくとも1つの元素を含有することにより、炭素鋼に、V、Ti、AlまたはNbの炭化物または窒化物等が析出物として析出される。V、Ti、AlまたはNbの炭化物または窒化物等がピン留め粒子となり、オーステナイト結晶粒を微細化することによりフェライトバンド組織の形成を抑制することができる。そして、V、Ti、AlまたはNbの炭化物または窒化物等がピン留め粒子となり、フェライト粒子浮き上がりを防止することができる。

0027

Vの含有量が0.1質量%以上であるのは、0.1質量%より少ない場合には、フェライトバンド組織の形成を抑制することができるだけのV炭化物またはV窒化物等が炭素鋼に析出されないからである。そして、Vの含有量が0.5質量%以下であるのは、0.5質量%より多く含有することにより炭素鋼の靭性等が低下するからである。

0028

Tiの含有量が0.01質量%以上であるのは、0.01質量%より少ない場合には、フェライトバンド組織の形成を抑制することができるだけのTi炭化物またはTi窒化物等が炭素鋼に析出されないからである。そして、Tiの含有量が0.1質量%以下であるのは、0.1質量%より多く含有することにより炭素鋼の靭性等が低下するからである。

0029

Alの含有量が0.01質量%より多いのは、0.01質量%以下の場合には、フェライトバンド組織の形成を抑制することができるだけのAl炭化物またはAl窒化物等が炭素鋼に析出されないからである。そして、Alの含有量が0.05質量%以下であるのは、0.05質量%より多く含有することにより炭素鋼の靭性等が低下するからである。

0030

Nbの含有量が0.01質量%以上であるのは、0.01質量%より少ない場合には、フェライトバンド組織の形成を抑制することができるだけのNb炭化物またはNb窒化物等が炭素鋼に析出されないからである。そして、Nbの含有量が0.08質量%以下であるのは、0.08質量%より多く含有することにより炭素鋼の靭性等が低下するからである。

0031

また、炭素鋼の上記含有元素以外の残部は、Fe及びその他不純物元素を有している。そして、炭素鋼は、一般的な金属材料の製造方法である溶解、鋳造等により製造することができる。

0032

炭素鋼は、所定の昇温速度で900℃以上1200℃以下で加熱される。900℃以上1200℃以下で炭素鋼を熱処理するのは、オーステナイト中にC等を十分に固溶させるためである。勿論、他の条件次第では、炭素鋼の加熱温度は、上記の温度範囲に限定されることはない。

0033

炭素鋼は、900℃以上1200℃以下で30秒以上保持される。保持時間が30秒より少ないと、C等をFe中に十分に固溶させることができないからである。炭素鋼の加熱は、一般的に、金属材料の熱処理に使用される熱処理炉等を使用することができる。そして、炭素鋼は、900℃以上1200℃以下で30秒以上保持された後、冷却速度1℃/s以上50℃/s以下で冷却されることが好ましい。そして、更に好ましい冷却速度は、4℃/sである。勿論、他の条件次第では、冷却速度は、上記範囲の冷却速度に限定されることはない。

0034

炭素鋼は、900℃以上1200℃以下で加熱された後、所定の冷却速度で500℃以上700℃以下に冷却される。そして、炭素鋼は、500℃以上700℃以下で熱間加工されて組織制御される。上記温度範囲で熱間加工することにより、炭素鋼にフェライトと球状化セメンタイトとの組織を有するようにすることができる。炭素鋼が500℃以上で熱間加工されるのは、500℃より低い温度で加工すると塑性変形が生じ難くなり、炭素鋼に割れクラック等が生じやすいからである。また、炭素鋼が700℃以下で熱間加工されるのは、700℃より高い温度で熱間加工するとフェライト等の結晶粒が粗大化等するためである。

0035

炭素鋼は、500℃以上700℃以下で30秒間以上保持された後、熱間加工されることが好ましい。炭素鋼を30秒間以上保持するのは、炭素鋼をより均一な温度にするためである。そして、熱間加工は、炭素鋼を鍛造圧延等することにより行うことができる。勿論、熱間加工は、これらの加工方法に限定されることはなく、押出し等により加工することもできる。

0036

熱間加工は、炭素鋼を70%以上の加工度で加工することが好ましい。また、更に好ましくは、炭素鋼を70%以上の加工度で1回(1パス)で加工することである。上記の条件で熱間加工することにより、炭素鋼が平均粒径2μm以下のフェライトと、平均粒径0.5μm以下の球状化セメンタイトとを有するようにすることができる。図2は、炭素鋼の熱間加工における加工度の算出方法を示す図である。炭素鋼の加工度は、熱間加工前の炭素鋼10における幅または板厚をt0、熱間加工後の炭素鋼12における幅または板厚をtとして、図2に示す計算式により算出される。

0037

熱間加工は、炭素鋼を所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工してもよい。熱間加工は、例えば、加工率30%以上を水平面と垂直面に各々付与することができる。このように、2回目の加工を1回目の加工方向と直角方向に加工することにより、炭素鋼におけるフェライトまたは球状化セメンタイト等の結晶粒における伸びの方向をより均等にすることができる。また、1回目の加工と2回目の加工の間の時間であるパス間は、1秒間以内であることが好ましい。そして、更に好ましくは、0.5秒である。

0038

熱間加工は、1/s以上100/s以下の歪速度で加工されることが好ましい。そして、更に好ましい歪速度は、10/sである。歪速度が1/s以上であるのは、歪速度が1/sより少ないとフェライト等の結晶粒が粗大化等するためである。歪速度が100/s以下であるのは、歪速度が100/sより大きいと、炭素鋼に割れやクラック等が生じやすいからである。勿論、他の条件次第では、熱間加工の歪速度は、上記の歪速度に限定されることはない。また、熱間加工装置は、一般的に、金属材料の熱間加工に使用される熱間鍛造装置熱間圧延装置等を用いることができる。

0039

炭素鋼は、熱間加工終了後、冷却速度1℃/s以上50℃/s以下で冷却されることが好ましい。そして、更に好ましい冷却速度は、4℃/sである。冷却速度が1℃/s以上であるのは、冷却速度が遅いと、フェライト等の結晶粒が粗大化等するためである。また、冷却速度が50℃/s以下であるのは、冷却速度が速いと炭素鋼に割れやクラック等が生じやすいからである。勿論、他の条件次第では、冷却速度は、上記範囲の冷却速度に限定されることはない。そして、炭素鋼は、フェライト等の結晶粒粗大化を抑えるために、熱間加工終了後、直ちに冷却されることが好ましい。

0040

上記構成によれば、平均粒径が2μm以下のフェライトと平均粒径が0.5μm以下の球状化セメンタイトとを有し、結晶粒が微細化し組織制御された炭素鋼を製造することができる。

0041

上記構成によれば、フェライトバンド組織の比率が5%以下である組織制御された炭素鋼を製造することができる。

0042

上記構成によれば、フェライトバンド組織の形成を抑制することにより、炭素鋼の疲労強度等を、更に向上させることができる。

0043

各種炭素鋼を、上記構成等により製造してフェライトバンド組織の比率、疲労特性等を検討した。表1に、使用した炭素鋼の組成比を示す。

0044

0045

炭素鋼A〜Fは、Cの含有量が0.1質量%以上0.9質量%以下の炭素鋼を使用した。そして、炭素鋼A〜Fには、0.24質量%以上0.25質量%以下のSiと、0.74質量%以上0.76質量%以下のMnと、0.01質量%以上0.02質量%以下のPと、0.02質量%以上0.03質量%以下のSとが含有されている。また、炭素鋼A〜Fの残部は、Fe及びその他不純物元素である。

0046

炭素鋼A〜Fは、900℃または1200℃で加熱され、30秒間以上保持した後、冷却速度4℃/sで熱間加工する温度まで冷却された。そして、熱間加工は、500℃、600℃、700℃、1100℃で行い、加工前に各々60秒間保持した。熱間加工の各温度で60秒間保持した後、炭素鋼A〜Fを加工率70%、80%、90%まで各々1回(1パス)で熱間加工する1回加工を行った。また、炭素鋼A〜Fを所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工する2回加工を行った。2回加工における合計の加工率は50%とし、2回加工における1回目の加工と2回目の加工との間のパス間時間は0.5秒間とした。また、熱間加工における歪速度は、10/sとした。そして、熱間加工終了後、直ちに冷却速度4℃/sで冷却した。

0047

組織制御して製造された各々炭素鋼について、金属組織フェライト平均粒径、セメンタイト平均粒径、フェライトバンド組織比率変形抵抗比、降伏比(耐力/引張強度)、衝撃値、疲労強度等を測定した。金属組織、フェライト平均粒径、セメンタイト平均粒径、フェライトバンド組織比率については金属顕微鏡観察等により測定した。また、疲労強度等については、JISまたはASTM等の金属材料に関する強度試験法等に基づいて測定した。

0048

表2は、1回加工により製造された炭素鋼である発明鋼1〜4と、比較鋼1〜10との測定結果である。

0049

0050

比較鋼1では、1100℃で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトとパーライトとから形成され、フェライトの平均粒径が20μmであった。また、比較鋼1における疲労強度は、265MPaであった。

0051

比較鋼2〜10は、500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が1.3μm以上1.9μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.3μm以上0.5μm以下であった。そして、比較鋼2〜10におけるフェライトバンド組織比率は、10%以上18%以下であった。また、比較鋼2〜10における疲労強度は、349MPa以上381MPa以下であった。このように、比較鋼2〜10では、比較鋼1よりフェライトの平均粒径が小さくなったこと等により疲労強度が向上した。

0052

発明鋼1〜4は、炭素鋼のC含有量が0.7質量%または0.9%と他の炭素鋼と比較して高いこと及び500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が1.0μm以上1.8μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.3μm以上0.5μm以下であった。そして、発明鋼1〜4におけるフェライトバンド組織比率は、2%以上5%以下であった。また、発明鋼1〜4における疲労強度は、436MPa以上442MPa以下であった。このように、発明鋼1〜4では、比較鋼2〜10よりフェライトバンド組織比率が小さくなり5%以下であること等により疲労強度が向上した。

0053

表3は、2回加工により製造された炭素鋼である発明鋼5〜8と、比較鋼11〜19との測定結果である。

0054

0055

比較鋼11では、1100℃で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトとパーライトとから形成され、フェライトの平均粒径が20μmであった。また、比較鋼11における疲労強度は、278MPaであった。

0056

比較鋼12〜19は、500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が0.8μm以上1.8μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.2μm以上0.5μm以下であった。そして、比較鋼12〜19におけるフェライトバンド組織比率は、9%以上17%以下であった。また、比較鋼12〜19における疲労強度は、346MPa以上381MPa以下であった。このように、比較鋼12〜19では、比較鋼11よりフェライトの平均粒径が小さくなったこと等により疲労強度が向上した。

0057

発明鋼5〜8は、炭素鋼のC含有量が0.7質量%または0.9%と他の炭素鋼と比較して高いこと及び500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が0.8μm以上1.5μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.3μm以上0.4μm以下であった。そして、発明鋼5〜8におけるフェライトバンド組織比率は、2%以上4%以下であった。また、発明鋼5〜8における疲労強度は、435MPa以上452MPa以下であった。このように、発明鋼5〜8では、比較鋼12〜19よりフェライトバンド組織比率が小さくなり4%以下であること等により疲労強度が向上した。

0058

ここで、発明鋼1〜4と発明鋼5〜8とは、C含有量が0.7質量%である炭素鋼EとC含有量が0.9質量%である炭素鋼Fをベース材として使用しており、C含有量を比較鋼2〜10または比較鋼12〜19より多くすることで球状化セメンタイトを増やし、球状化セメンタイトによるピン留め効果等によりフェライトバンド組織比率を5%以下とすることができた。

0059

V、Ti、Al、Nb、N等を含有した各種炭素鋼を、上記構成等により製造してフェライトバンド組織の比率、疲労特性等を検討した。表4に、使用した炭素鋼の組成比を示す。

0060

0061

炭素鋼G〜Nは、Cの含有量が0.2質量%以上0.55質量%以下の範囲の炭素鋼を使用した。そして、炭素鋼G〜Nには、0.24質量%以上0.27質量%以下のSiと、0.73質量%以上0.77質量%以下のMnと、0.01質量%以上0.02質量%以下のPと、0.01質量%以上0.04質量%以下のSとが含有されている。

0062

炭素鋼G〜Nには、Nを30ppm以上160ppm以下の範囲で含有させた。特に、炭素鋼MにおけるNの含有量を30ppmとし、その他の炭素鋼については、Nの含有量を143ppm以上160ppm以下とした。

0063

また、炭素鋼GにはAlを0.01質量%含有させ、炭素鋼HにはAlを0.025質量%含有させ、炭素鋼JにはNbを0.03質量%含有させ、炭素鋼Kには、Tiを0.03質量%含有させ、炭素鋼LにはVを0.15質量%含有させ、炭素鋼Mと炭素鋼NにはAlを各々0.025質量%含有させた。また、炭素鋼G〜Nの残部は、Fe及びその他不純物元素である。

0064

炭素鋼G〜Nは、900℃または1200℃で加熱され、30秒間以上保持した後、冷却速度4℃/sで熱間加工する温度まで冷却された。そして、熱間加工は、500℃、600℃、700℃、1100℃で行い、熱間加工前に各々60秒間保持した。各温度で60秒間保持した後、炭素鋼G〜Nを加工率70%、80%、90%まで1回(1パス)で加工する1回加工を行った。また、炭素鋼G〜Nを所定の方向に30%以上の加工度で加工した後、所定の方向と直角方向に30%以上の加工度で加工する2回加工を行った。2回加工における合計の加工率は50%とし、2回加工における1回目の加工と2回目の加工との間のパス間時間は0.5秒間とした。また、熱間加工における歪速度は、10/sとした。そして、熱間加工終了後、直ちに冷却速度4℃/sで冷却した。各々炭素鋼について、実施例1と同様に、金属組織、フェライトバンド組織比率及び疲労強度等を測定した。

0065

表5は、1回加工により製造された炭素鋼である発明鋼9〜16と、比較鋼20〜27との測定結果である。

0066

0067

比較鋼20では、1100℃で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトとパーライトとから形成され、フェライトの平均粒径が20μmであった。また、比較鋼20における疲労強度は、265MPaであった。

0068

比較鋼21〜27は、500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が1.3μm以上3.7μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.3μm以上0.8μm以下であった。そして、比較鋼21〜27におけるフェライトバンド組織比率は、10%以上35%以下であった。また、比較鋼21〜27における疲労強度は、288MPa以上379MPa以下であった。このように、比較鋼21〜27では、比較鋼20よりフェライトの平均粒径が小さくなったこと等により疲労強度が向上した。

0069

発明鋼9〜16は、炭素鋼に所定量のNと所定量のAl、Nb、TiまたはVのうち少なくとも1つが含有されていること及び500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が0.9μm以上1.1μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.3μm以上0.4μmであった。そして、発明鋼9〜16におけるフェライトバンド組織比率は、3%〜5%以下であった。また、発明鋼9〜16における疲労強度は、442MPa以上456MPa以下であった。このように、発明鋼9〜16では、比較鋼21〜27よりフェライトバンド組織比率が小さくなり5%以下であることにより疲労強度が向上した。

0070

表6は、2回加工により製造された炭素鋼である発明鋼17〜24と、比較鋼28〜33との測定結果である。

0071

0072

比較鋼28では、1100℃で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトとパーライトとから形成され、フェライトの平均粒径が20μmであった。また、比較鋼28における疲労強度は、278MPaであった。

0073

比較鋼29〜33は、500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が0.9μm以上2.7μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.2μm以上0.8μm以下であった。そして、比較鋼29〜33におけるフェライトバンド組織比率は、10%以上31%以下であった。また、比較鋼29〜33における疲労強度は、264MPa以上441MPa以下であった。このように、比較鋼29〜32では、比較鋼28よりフェライトの平均粒径が小さくなったこと等により疲労強度が向上した。

0074

発明鋼17〜24は、炭素鋼に所定量のNと所定量のAl、Nb、TiまたはVのうち少なくとも1つが含有されていること及び500℃以上700℃以下で熱間加工等したことにより、金属組織がフェライトと球状化セメンタイトとから形成され、フェライトの平均粒径が0.8μm以上1.0μm以下、球状化セメンタイトの平均粒径が0.2μm以上0.4μm以下であった。そして、発明鋼17〜24におけるフェライトバンド組織比率は、3%以上4%以下であった。また、発明鋼17〜24における疲労強度は、441MPa以上452MPa以下であった。このように、発明鋼17〜24では、比較鋼29〜33よりフェライトバンド組織比率が小さくなり4%以下であることにより疲労強度が向上した。

0075

ここで、発明鋼9〜16と発明鋼17〜24とは、C含有量が略0.55質量%と、N含有量が143ppm以上160ppm以下と、所定量のAl、Nb、TiまたはVのうち少なくとも1つが含有されている炭素鋼H〜Lをベース材として使用しており、比較鋼21〜27または比較鋼29〜33よりAl、Nb、TiまたはVの炭化物や窒化物等を析出させることで、析出されたAl、Nb、TiまたはVの炭化物や窒化物等によるフェライトのピン止め効果等によりフェライトバンド組織比率を5%以下とすることができた。

図面の簡単な説明

0076

本発明における実施の形態である組織制御された炭素鋼の製造方法における工程を示す図である。
本発明における実施の形態である炭素鋼の熱間加工における加工度の算出方法を示す図である。
炭素鋼に形成されたフェライトバンド組織を示す図である。

符号の説明

0077

10熱間加工前の炭素鋼、12熱間加工後の炭素鋼。

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