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技術 車両の差動制限制御装置

出願人 三菱自動車工業株式会社
発明者 後田祐一澤瀬薫藤井祐介
出願日 2006年3月7日 (14年8ヶ月経過) 出願番号 2006-060855
公開日 2007年9月20日 (13年2ヶ月経過) 公開番号 2007-239819
状態 特許登録済
技術分野 動力伝達制御装置の配置,取付け 減速機2
主要キーワード 逆モーメント 目標旋回状態 終制御 車両旋回方向 作動制限 旋回モーメント トルク移動 リアプロペラシャフト
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

車両の走行状態を端的に表す指標に基づいて左右輪間差動制限力を適切に制御でき、もって車両の走行状態に関わらず良好なステア特性を実現できる車両の差動制限制御装置を提供する。

解決手段

車両旋回時において実ヨーレイトYと目標ヨーレイトYtgtとの偏差ΔYに基づいてヨーレイト対応制御量Tyを算出すると共に、現在の車両のステア特性US,OS及び左右前輪車輪速Nin,Noutの大小関係を判定し、ステア特性と車輪速Nin,Noutの大小関係との組み合わせに応じてベース制御量Tbaseをヨーレイト対応制御量Tyにより増加補正側または減少補正側に作用させ、補正後の最終制御量Tに基づいて左右前輪間の差動制限力を制御する。

概要

背景

エンジン駆動力が伝達される前輪後輪左右輪間クラッチポンプモータなどの制御デバイスを利用した電子制御式差動制限装置を設け、当該差動制限装置により左右輪間に差動制限力を作用させて車輪速の高い側から低い側へとトルクを移動させ、これにより車両の走行特性を適切に制御する技術が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。

当該特許文献1に開示された技術は車両旋回時のアンダステアオーバステアの抑制を目的としたものであり、FR車ベースの4輪駆動車に適用されている。車両の前後輪間には後輪の駆動力の一部を前輪に分配するトランスファーが設けられ、後輪の左右輪間には差動制限力を発生する差動制限装置が設けられ、旋回外輪の車輪速が旋回内輪の車輪速より高くて内輪グリップしていると推測されるときには、差動制限制御装置の差動制限力を低下させると共にトランスファーによる前輪への駆動力の分配量を減少させ、これによりアンダステアの抑制を図っている。
特許第2527204号明細書

概要

車両の走行状態を端的に表す指標に基づいて左右輪間の差動制限力を適切に制御でき、もって車両の走行状態に関わらず良好なステア特性を実現できる車両の差動制限制御装置を提供する。車両旋回時において実ヨーレイトYと目標ヨーレイトYtgtとの偏差ΔYに基づいてヨーレイト対応制御量Tyを算出すると共に、現在の車両のステア特性US,OS及び左右前輪の車輪速Nin,Noutの大小関係を判定し、ステア特性と車輪速Nin,Noutの大小関係との組み合わせに応じてベース制御量Tbaseをヨーレイト対応制御量Tyにより増加補正側または減少補正側に作用させ、補正後の最終制御量Tに基づいて左右前輪間の差動制限力を制御する。

目的

本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両の走行状態を端的に表す指標に基づいて左右輪間の差動制限力を適切に制御でき、もって車両の走行状態に関わらず良好なステア特性を実現することができる車両の差動制限制御装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

駆動源からの駆動力が伝達される左右輪間差動制限力を調整可能な差動制限手段と、車両の走行状態に基づいて目標旋回状態指標を決定する目標旋回状態指標決定手段と、上記車両の実際の旋回状態指標を検出する実旋回状態指標検出手段と、上記目標旋回状態指標と上記実旋回状態指標とに基づき、上記左右輪間に作用させるべき差動制限力に対する補正量として旋回対応制御量を算出する制御量算出手段と、上記目標旋回状態指標と上記実旋回状態指標とに基づき現在の車両のステア特性を判定するステア特性判定手段と、上記左右輪車輪速をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、上記ステア特性判定手段により判定されたステア特性と上記車輪速検出手段により検出された左右輪の車輪速の大小関係との組合せに応じて、上記旋回対応制御量を増加補正側または減少補正側に作用させ、該補正後の差動制限力に基づいて上記差動制限手段を制御する差動制限制御手段とを備えたことを特徴とする車両の差動制限制御装置

請求項2

上記差動制限制御手段は、旋回内輪の車輪速が旋回外輪の車輪速より高いと判定した場合、上記ステア特性判定手段により判定されたステア特性がアンダステアのときには上記左右輪間の差動制限力を上記旋回対応制御量に基づき増加補正する一方、該ステア特性がオーバステアのときには上記左右輪間の差動制限力を上記旋回対応制御量に基づき減少補正し、旋回内輪の車輪速が旋回外輪の車輪速より低いと判定した場合、上記ステア特性判定手段により判定されたステア特性がアンダステアのときには上記左右輪間の差動制限力を上記旋回対応制御量に基づき減少補正する一方、該ステア特性がオーバステアのときには上記左右輪間の差動制限力を上記旋回対応制御量に基づき増加補正することを特徴とする請求項1記載の車両の差動制限制御装置。

請求項3

上記目標旋回状態指標決定手段は、上記目標旋回状態指標として車両の目標ヨーレイトを決定し、上記実旋回状態指標検出手段は、上記実旋回状態指標として車両の実ヨーレイトを検出し、上記制御量算出手段は、上記目標ヨーレイトと上記実ヨーレイトとに基づき上記旋回対応制御量を算出し、上記ステア特性判定手段は、上記目標ヨーレイトと上記実ヨーレイトとに基づき車両のステア特性を判定することを特徴とする請求項1または2記載の車両の差動制限制御装置。

請求項4

上記制御量算出手段は、上記旋回対応制御量に加えて、上記左右輪の車輪速の差に基づく差回転対応制御量、アクセル操作に伴う車両の加速状態に基づく加速対応制御量、及びブレーキ操作に伴う車両の減速状態に基づく減速対応制御量の内の少なくとも一つを上記差動制限力のベース制御量として算出し、上記差動制限制御手段は、上記ベース制御量を上記旋回対応制御量に基づいて増加補正または減少補正することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両の差動制限制御装置。

技術分野

0001

本発明は車両の左右輪間差動制限力を制御する差動制限制御装置に関するものである。

背景技術

0002

エンジン駆動力が伝達される前輪後輪の左右輪間にクラッチポンプモータなどの制御デバイスを利用した電子制御式差動制限装置を設け、当該差動制限装置により左右輪間に差動制限力を作用させて車輪速の高い側から低い側へとトルクを移動させ、これにより車両の走行特性を適切に制御する技術が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。

0003

当該特許文献1に開示された技術は車両旋回時のアンダステアオーバステアの抑制を目的としたものであり、FR車ベースの4輪駆動車に適用されている。車両の前後輪間には後輪の駆動力の一部を前輪に分配するトランスファーが設けられ、後輪の左右輪間には差動制限力を発生する差動制限装置が設けられ、旋回外輪の車輪速が旋回内輪の車輪速より高くて内輪グリップしていると推測されるときには、差動制限制御装置の差動制限力を低下させると共にトランスファーによる前輪への駆動力の分配量を減少させ、これによりアンダステアの抑制を図っている。
特許第2527204号明細書

発明が解決しようとする課題

0004

上記特許文献1の技術は左右輪の車輪速に着目して差動制限力を制御しているが、左右輪の車輪速は車両の走行状態を表す指標の一つに過ぎないため、差動制限力を適切に制御するには不十分であった。例えば左右輪の車輪速が同一条件であっても車両のステア特性がアンダステアであるかオーバステアであるかによって最適な差動制限力が相違することから、結果として車両の走行状態によっては差動制限力が不適切に制御されて良好なステア特性を実現できないという問題が生じた。

0005

本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両の走行状態を端的に表す指標に基づいて左右輪間の差動制限力を適切に制御でき、もって車両の走行状態に関わらず良好なステア特性を実現することができる車両の差動制限制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するため、請求項1の発明は、駆動源からの駆動力が伝達される左右輪間の差動制限力を調整可能な差動制限手段と、車両の走行状態に基づいて目標旋回状態指標を決定する目標旋回状態指標決定手段と、車両の実際の旋回状態指標を検出する実旋回状態指標検出手段と、目標旋回状態指標と実旋回状態指標とに基づき、左右輪間に作用させるべき差動制限力に対する補正量として旋回対応制御量を算出する制御量算出手段と、目標旋回状態指標と実旋回状態指標とに基づき現在の車両のステア特性を判定するステア特性判定手段と、左右輪の車輪速をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、ステア特性判定手段により判定されたステア特性と車輪速検出手段により検出された左右輪の車輪速の大小関係との組合せに応じて、旋回対応制御量を増加補正側または減少補正側に作用させ、補正後の差動制限力に基づいて差動制限手段を制御する差動制限制御手段とを備えたものである。

0007

従って、車両の走行状態に基づいて目標旋回状態指標決定手段により目標旋回状態指標が決定され、実旋回状態指標検出手段により実旋回状態指標が検出され、これらの目標旋回状態指標と実旋回状態指標とに基づき、制御量算出手段により旋回対応制御量が算出されると共に、ステア特性判定手段により現在の車両のステア特性、例えばアンダステアであるかオーバステアであるかが判定される。一方、左右輪の車輪速が車輪速検出手段により検出され、ステア特性と左右輪の車輪速の大小関係との組合せに応じて、差動制限制御手段により旋回対応制御量に基づき差動制限力が増加補正または減少補正されて差動制限手段に対する制御に適用される。

0008

車両旋回中には左右輪の車輪速の大小関係に応じて差動制限手段を介して左右輪間でトルクが移動し、そのトルク移動量に応じて左右輪の発生する駆動力が増減して車両の旋回を助長する旋回モーメントや車両の旋回を妨げる旋回逆モーメントが発生している。このような左右輪の車輪速の大小関係に基づく左右輪間のトルク移動方向を前提とし、車両に生じた旋回モーメントや旋回逆モーメントが適切な方向、例えばアンダステアやオーバステアの抑制方向に変化するように左右輪間の差動制限力が増加補正または減少補正される。これにより左右輪の車輪速のみならず車両のステア特性も反映して統合的に左右輪間の差動制限力が制御され、車両の走行状態に関わらず良好なステア特性が実現される。

0009

請求項2の発明は、請求項1において、差動制限制御手段が、旋回内輪の車輪速が旋回外輪の車輪速より高いと判定した場合、ステア特性判定手段により判定されたステア特性がアンダステアのときには左右輪間の差動制限力を旋回対応制御量に基づき増加補正する一方、ステア特性がオーバステアのときには左右輪間の差動制限力を旋回対応制御量に基づき減少補正し、旋回内輪の車輪速が旋回外輪の車輪速より低いと判定した場合、ステア特性判定手段により判定されたステア特性がアンダステアのときには左右輪間の差動制限力を旋回対応制御量に基づき減少補正する一方、ステア特性がオーバステアのときには左右輪間の差動制限力を旋回対応制御量に基づき増加補正するものである。

0010

車両旋回中において、例えば旋回内輪が接地荷重の減少によりスリップを発生して旋回外輪より車輪速が高い場合、旋回内輪から旋回外輪へとトルクが移動して旋回外輪の駆動力が旋回内輪の駆動力より高くなり、車両の旋回を助長する旋回モーメントが発生する。従って、車両のステア特性がアンダステアであるとして旋回対応制御量に基づき左右輪間の差動制限力が増加補正されると、旋回内輪から旋回外輪に伝達されるトルクの増加に伴って旋回モーメントが増加してアンダステアが抑制され、ステア特性がオーバステアであるとして旋回対応制御量に基づき左右輪間の差動制限力が減少補正されると、旋回内輪から旋回外輪に伝達されるトルクの減少に伴って旋回モーメントが減少してオーバステアが抑制される。

0011

また、例えば旋回内輪がグリップして旋回外輪より車輪速が低い場合、旋回外輪から旋回内輪へとトルクが移動して旋回内輪の駆動力が旋回外輪の駆動力より高くなり、車両の旋回を妨げる旋回逆モーメントが発生する。従って、車両のステア特性がアンダステアであるとして旋回対応制御量に基づき左右輪間の差動制限力が減少補正されると、旋回外輪から旋回内輪に伝達されるトルクの減少に伴って旋回逆モーメントが減少してアンダステアが抑制され、ステア特性がオーバステアであるとして旋回対応制御量に基づき左右輪間の差動制限力が増加補正されると、旋回外輪から旋回内輪に伝達されるトルクの増加に伴って旋回逆モーメントが増加してオーバステアが抑制される。

0012

請求項3の発明は、請求項1または2において、目標旋回状態指標決定手段が、目標旋回状態指標として車両の目標ヨーレイトを決定し、実旋回状態指標検出手段が、実旋回状態指標として車両の実ヨーレイトを検出し、制御量算出手段が、目標ヨーレイトと上記実ヨーレイトとに基づき上記旋回対応制御量を算出し、ステア特性判定手段が、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとに基づき車両のステア特性を判定するものである。

0013

従って、車両の旋回状態を端的に表すヨーレイトに基づいて旋回対応制御量の算出処理やステア特性の判定処理が行われるため、左右輪間の差動制限力が一層適切に補正される。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、制御量算出手段が、旋回対応制御量に加えて、左右輪の車輪速の差に基づく差回転対応制御量、アクセル操作に伴う車両の加速状態に基づく加速対応制御量、及びブレーキ操作に伴う車両の減速状態に基づく減速対応制御量の内の少なくとも一つを差動制限力のベース制御量として算出し、差動制限制御手段が、ベース制御量を旋回対応制御量に基づいて増加補正または減少補正するものである。

0014

従って、差動制限力のベース制御量として差回転対応制御量、加速対応制御量、減速対応制御量の内の少なくとも一つが算出され、このベース制御量が旋回対応制御量に基づいて増加補正または減少補正される。即ち、ベース制御量に対して旋回対応制御量に基づく補正が行われるため、増加補正のみならず減少補正も常に可能となり、旋回対応制御量が確実に差動制限力に反映される。

発明の効果

0015

以上説明したように請求項1の発明の車両の差動制限制御装置によれば、車両の走行状態を端的に表す現在のステア特性と左右輪の車輪速の大小関係との組合せに応じて左右輪間の差動制限力を増加補正または減少補正するため、左右輪間の差動制限力を適切に制御でき、もって車両の走行状態に関わらず良好なステア特性を実現することができる。
請求項2の発明の差動制限制御装置によれば、請求項1に加えて、旋回外輪と旋回内輪との車輪速の大小関係に応じた旋回モーメント及び旋回逆モーメントの発生状況に基づき、車両のアンダステアやオーバステアステアの抑制方向に左右輪間の差動制限力を補正するため、車両のステア特性を一層適切に制御することができる。

0016

請求項3の発明の差動制限制御装置によれば、請求項1及び2に加えて、車両の走行状態を端的に表すヨーレイトに基づいて左右輪間の差動制限力を一層適切に補正することができる。
請求項4の発明の差動制限制御装置によれば、請求項1乃至3に加えて、ベース制御量に対して旋回対応制御量に基づく補正を実行するため、増加補正のみならず減少補正も常に可能となって旋回対応制御量を確実に差動制限力に反映させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、本発明を車両の左右前輪間の差動制限力を制御する差動制限制御装置に具体化した実施形態を説明する。
図1は本実施形態の車両の差動制限制御装置を示す全体構成図であり、車両はFF車ベースの電子制御式オンディマンド4輪駆動車として構成されている。車両前部にはフロントディファレンシャル1(以下、フロントデフと称する)が設けられ、フロントデフ1に固定されたリングギア2には図示しないエンジン(駆動源)の駆動力が変速機を介して入力される。フロントデフ1にはドライブシャフト3を介して左右の前輪4が接続され、フロントデフ1はリングギア2に入力されたエンジンの駆動力を、差動を許容しながら左右の前輪4に伝達する。フロントデフ1にはフロント電子制御LSD5(差動制限手段)が併設され、当該フロント電子制御LSD5は内蔵された図示しない電磁クラッチ係合状態に応じて左右前輪4間に差動制限力を作用させる。なお、フロント電子制御LSD5の作動原理はこれに限ることはなく、ポンプやモータなどの制御デバイスを利用して差動制限力を発生するものであれば任意に変更可能であり、例えば油圧ポンプから供給した作動油により油圧ピストンを作動させてクラッチの係合状態を調整してもよい。

0018

フロントデフ1のリングギア2にはフロントプロペラシャフト6の前端に固定されたギア7が噛合し、フロントプロペラシャフト6の後端電子制御カップリング8を介してリアプロペラシャフト9の前端に接続されている。リアプロペラシャフト9の後端に固定されたギア10はリアディファレンシャル11(以下、リアデフと称する)のリングギア12に噛合し、リアデフ11にはドライブシャフト13を介して左右の後輪14が接続されている。

0019

エンジンの駆動力の一部はフロントデフ1からプロペラシャフト6,9及び電子制御カップリング8を介してリアデフ11側に分配され、リアデフ11により差動を許容されながら左右の後輪14に伝達される。電子制御カップリング8は内蔵された図示しない電磁クラッチの係合状態に応じて後輪14側に分配される駆動力を調整すると共に、前後輪4,14間に差動制限力を作用させる。

0020

一方、車両の室内には4WD用ECU21が設置され、この4WD用ECU21は図示しない入出力装置制御プログラム制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えている。4WD用ECU21の入力側には、ステアリング操舵角θstrを検出する操舵角センサ22、車速Vを検出する車速センサ23、車両のヨーレイトYを検出するヨーレイトセンサ24、車両の各輪4,14の車輪速NFR,NFL,NRR,NRLを検出する車輪速センサ25などの各種センサ類が接続され、4WD用ECU21の出力側には、上記フロント電子制御LSD5の電磁クラッチ及び電子制御カップリング8の電磁クラッチなどの各種デバイス類が接続されている。

0021

4WD用ECU21は上記各種センサからの検出情報に基づいてフロント電子制御LSD5や電子制御カップリング8の電磁クラッチの係合状態を制御する。電子制御カップリング8に関しては、前後輪4,14間の差回転(前輪速NFR,NFLの平均値と後輪速NRR,NRLの平均値との差)を反映した制御量に基づき電磁クラッチの係合状態を制御する一般的な手法を採用するのに対して、フロント電子制御LSD5に関しては、左右前輪間の差回転に加えて車両のステア特性を反映した制御量に基づいて電磁クラッチの係合状態を制御する独自の手法を採っている。そこで、当該フロント電子制御LSD5の差動制限力に関する制御量の設定手順を説明する。

0022

図2はECU21により実行されるフロント電子制御LSD5の制御量の設定手順を示す制御ブロック図である。
ヨーレイト対応制御量算出部31は車両旋回時に発生するヨーレイトに応じた差動制限力としてヨーレイト対応制御量Tyを設定する機能を奏し、目標値算出部32、偏差算出部33、制御量算出部34から構成されている。目標値算出部32には操作角センサ22からの操舵角θstr及び車速センサ23からの車速Vが入力され、これらの操舵角θstr及び車速Vに基づいて旋回中の車両に発生するヨーレイトの最適値として目標ヨーレイトYtgtが算出される。算出された目標ヨーレイトYtgtはヨーレイトセンサ24により検出された実ヨーレイトYと共に偏差算出部33に入力され、偏差算出部33では目標ヨーレイトYtgtから実ヨーレイトYを減算してヨーレイト偏差ΔYが算出される。ヨーレイト偏差ΔYは制御量算出部34に入力され、このヨーレイト偏差ΔYに基づいてヨーレイト対応制御量Ty(旋回対応制御量)が算出される。予めヨーレイト偏差ΔYに対応してアンダステアやオーバステアを抑制する最適なヨーレイト対応制御量Tyが制御マップに設定されており、制御量算出部34ではこの制御マップに従ってヨーレイト偏差ΔYからヨーレイト対応制御量Tyが算出される。

0023

一方、ベース制御量算出部35では、ヨーレイト対応制御量Ty以外のベース制御量Tbaseが算出される。例えば車両旋回時には左右前輪4の車輪速NFR,NFLの差に基づいて差回転対応制御量が算出され、アクセル操作に伴う車両加速時にはアクセル操作量などに基づいて初期スリップを抑制するための加速対応制御量が算出され、ブレーキ操作に伴う車両減速時には車両減速度などに基づいて車両姿勢を安定化するための減速対応制御量が算出され、これらの制御量を加算した総和がベース制御量Tbaseとして設定される。

0024

また、車輪速判定部36では、例えば操舵角θstrから推定した車両旋回方向に基づいて左右前輪4の内輪及び外輪判別され、判別結果に基づいて旋回内輪の車輪速(以下、内輪速Ninと称する)と旋回外輪の車輪速(以下、外輪速Noutと称する)との大小関係が判定される。
ステア特性判定部37では、目標ヨーレイトYtgtと実ヨーレイトYとの比較結果に基づいて現在の車両のステア特性、即ちアンダステアかオーバステアかが判定される。

0025

以上のヨーレイト対応制御量算出部31からのヨーレイト対応制御量Ty、ベース制御量算出部35からのベース制御量Tbase、車輪速判定部36からの内輪速Ninと外輪速Noutとの大小関係、ステア特性判定部37からのステア特性は最終制御量算出部38に入力され、最終制御量算出部38ではこれらの情報に基づき図2中に示すように最終制御量Tが算出される。

0026

なお、図2では示されていないが、車両が旋回中でないとき及び旋回中であってもステア特性がニュートラルステアのときには最終制御量Tの算出にヨーレイト制御量Tyは反映されず、ベース制御量Tbaseがそのまま最終制御量Tとして設定される。
そして、このようにして設定された最終制御量Tに基づいて左右前輪4間の実際の差動制限力が制御される。即ち、最終制御量Tに対応するデューティ率が図示しないマップから設定され、そのデューティ率に基づく電磁クラッチの励磁により係合状態が調整され、その結果、左右前輪4間の差動制限力が上記最終制御量Tに対応する値に調整される。

0027

次に、以上の4WD用ECU21により設定される最終制御量Tに基づく左右前輪4間の差動制限力の制御状況を、車両が左旋回した場合を例に挙げて説明する。
図3は内輪速Ninが外輪速Noutより高い場合の差動制限力の制御状況を示す模式図、図4は内輪速Ninが外輪速Noutより低い場合の差動制限力の制御状況を示す模式図であり、両図において中央は車両のステア特性がニュートラルステアのときの差動制限力の制御状況を、左側はステア特性がアンダステア(図ではUSと表示)のときの差動制限力の制御状況を、右側はステア特性がオーバステア(図ではOSと表示)のときの作動制限力の制御状況をそれぞれ示している。また、左右前輪4に付した白抜き回転矢印Arevの長さは内輪速Nin及び外輪速Noutを表し、同じく左右前輪4に付した黒塗り直線矢印Adrvの長さは駆動力を表し、左右前輪4間の黒塗り直線矢印Atrqの長さ及び方向は最終制御量Tに応じた差動制限力によるトルク移動量及び移動方向を表し、車両中心の白抜き回転矢印Ametの大きさ及び方向は車両の旋回を助長または抑制するモーメントの大きさ及び方向を表している。

0028

まず、図3に従って内輪速Ninが外輪速Noutより高い場合の差動制限力の制御状況を述べると、左右前輪4間の差動制限によるトルク移動は車輪速の高い側から低い側へと行われることから、内輪速Nin>外輪速Noutのときには内輪から外輪へとトルクが移動し、そのトルク移動量に応じた駆動力を左右前輪4が発生している。車両には左右前輪4の駆動力に応じたモーメントが発生するが、このように内輪から外輪へのトルク移動時には何れにしても内輪より外輪の方が高い駆動力を生じることから、車両には旋回を助長する方向の旋回モーメントが発生している。

0029

図3中央のニュートラルステアではベース制御量Tbaseがそのまま最終制御量Tとして設定されており、この状態から車両のステア特性が図3左側のアンダステアに転じると、最終制御量Tはヨーレイト対応制御量Tyだけ増加補正されるため、最終制御量Tの増加に応じて実際の左右前輪4間の差動制限力も増加する。結果として内輪から外輪へのトルク移動量が増加し、内輪の駆動力が低下する一方、外輪の駆動力が増加することから、車両の旋回モーメントが高められてアンダステアが抑制される。

0030

また、ニュートラルステアから図3右側のオーバステアに転じると、最終制御量Tはヨーレイト対応制御量Tyだけ減少補正されるため、最終制御量Tの低下に応じて実際の左右前輪間の差動制限力も低下する。結果として内輪から外輪へのトルク移動量が減少し、内輪の駆動力が増加する一方、外輪の駆動力が低下することから、車両の旋回モーメントが低められてオーバステアが抑制される。即ち、このときの内外輪速Nin,Noutの大小関係により内輪から外輪へのトルク移動方向は変更できずに、車両には依然として旋回を助長する旋回モーメントが発生しているが、差動制限力の制御により旋回モーメントを可能な限り低減してオーバステア抑制を図っているのである。

0031

次に、図4に従って内輪速Ninが外輪速Noutより低い場合の差動制限力の制御状況を述べると、内輪速Nin<外輪速Noutのときには外輪から内輪へとトルクが移動していることから外輪より内輪の方が高い駆動力を生じ、車両には旋回を妨げる方向の旋回逆モーメントが発生している。
車両のステア特性が図4中央のニュートラルステアから図4左側のアンダステアに転じると、最終制御量Tはヨーレイト対応制御量Tyだけ減少補正されるため、最終制御量Tの低下に応じて実際の左右前輪4間の差動制限力も低下する。結果として外輪から内輪へのトルク移動量が減少し、内輪の駆動力が低下する一方、外輪の駆動力が増加することから、車両の旋回逆モーメントが低められてアンダステアが抑制される。即ち、このときの内外輪速Nin,Noutの関係により外輪から内輪へのトルク移動方向は変更できずに、車両には依然として旋回逆モーメントが発生しているが、差動制限力の制御により旋回逆モーメントを可能な限り低減してアンダステア抑制を図っているのである。

0032

また、ニュートラルステアから図4右側のオーバステアに転じると、最終制御量Tはヨーレイト対応制御量Tyだけ増加補正されるため、最終制御量Tの増加に応じて実際の左右前輪間の差動制限力も増加する。結果として外輪から内輪へのトルク移動量が増加し、内輪の駆動力が増加する一方、外輪の駆動力が低下することから、車両の旋回逆モーメントが高められてオーバステアが抑制される。

0033

以上のように本実施形態の車両の差動制限制御装置では、車両の旋回中において内輪速Ninと外輪速Noutとの大小関係のみならず車両のステア特性も反映して統合的に左右前輪4間の差動制限力を制御している。内輪速Ninと外輪速Noutとの大小関係は、左右前輪4間のトルク移動方向ひいては現在車両に発生しているモーメント(旋回モーメントまたは旋回逆モーメント)を表し、車両のステア特性は上記車両のモーメントを何れの方向に修正すべきかを表すため、双方の条件の組み合わせに基づき車両の走行状態に対して最適な左右前輪4間の差動制限力を設定できる。よって、左右前輪4間の差動制限力を適切に制御してアンダステアやオーバステアを確実に抑制でき、もって車両の走行状態に関わらず常に良好なステア特性を実現することができる。

0034

また、制御量算出部34でのヨーレイト対応制御量Tyの算出処理やステア特性判定部37での車両のステア特性の判定処理には実ヨーレイトY及び目標ヨーレイトYtgtが適用されるが、これらのヨーレイトY,Ytgtは車両の旋回状態を端的に表す指標と見なせる。よって、これらのヨーレイトY,Ytgtに基づいてヨーレイト対応制御量Tyの算出やステア特性の判定を適確に実行でき、ひいては左右前輪4間の差動制限力を一層適切に制御することができる。

0035

さらに、左右前輪4間の差動制限力に対する制御量として、ヨーレイト対応制御量Tyのみならず差回転対応制御量、加速対応制御量及び減速対応制御量をベース制御量Tbaseとして算出し、ベース制御量Tbaseをヨーレイト対応制御量Tyにより増加補正または減少補正することで最終制御量Tを求めている。即ち、差動制限力を発生させるためのベース制御量Tbaseが存在し、このベース制御量Tbaseに対してヨーレイト対応制御量Tyに基づく補正が行われるため、増加補正のみならず減少補正も常に可能となり、左右前輪4間の差動制限力にヨーレイト対応制御量Tyを確実に反映させてステア特性の適切化を達成することができる。

0036

以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、FF車ベースの電子制御式オンディマンド4輪駆動車に適用して左右前輪4間の差動制限力を制御したが、これに限ることはなく、例えばFF車の左右前輪間の差動制限力を制御したり、FR車ベースの4輪駆動車の左右前輪間の差動制限力を制御したりしてもよいし、或いは左右後輪間の差動制限力を制御するようにしてもよい。

0037

また、上記実施形態では、目標旋回状態指標としてヨーレイトを適用したが、車両の旋回状態と相関する指標であればこれに限ることはなく、例えばヨーレイトに代えて横Gを適用してもよい。

図面の簡単な説明

0038

実施形態の車両の差動制限制御装置を示す全体構成図である。
ECUにより実行されるフロント電子制御LSDの制御量の設定手順を示す制御ブロック図である。
内輪速が外輪速より高い場合の差動制限力の制御状況を示す模式図である。
内輪速が外輪速より低い場合の差動制限力の制御状況を示す模式図である。

符号の説明

0039

4前輪
5フロント電子制御LSD(差動制限手段)
21 4WD用ECU(目標旋回状態指標決定手段、制御量決定手段、
ステア特性判定手段、差動制限制御手段)
24ヨーレイトセンサ(実旋回状態指標検出手段)
25車輪速センサ(車輪速検出手段)

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