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技術 蚕体からの高分子絹タンパクの抽出法。

出願人 群馬県
発明者 小林初美清水治
出願日 2006年2月7日 (14年9ヶ月経過) 出願番号 2006-029601
公開日 2007年8月23日 (13年3ヶ月経過) 公開番号 2007-210902
状態 未査定
技術分野 医療用材料 化粧料 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 分離収集 交換間隔 液状絹 養蚕農家 溶解初期 絹セリシン 冷蔵処理 絹タンパク
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年8月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

不安定なタンパク構造の体内液状絹が、タンパク構造の転移することなく、高分子絹タンパク性状のまま得るための水抽出法及び乾燥固化して保存する方法を提供する。

解決手段

熟蚕又は未熟蚕絶食し、蚕の頭部から尾部に向けてローラー状のもので絹糸腺押し出す。絹糸腺は水中で細かく切断して細胞を除去して液状絹を得る。これを液温20〜30℃の水中で緩やかに攪拌して絹タンパクを溶解し、30〜120分間隔で水を交換して溶解性の異なる絹セリシン絹フィブロイン分離抽出し、これを平板に乾燥固化して水溶性の高いフィルムとして保存する。

概要

背景

家蚕絹タンパクは、生糸絹糸布などをアルカリ中性塩熱処理などで溶解させ、抽出した再生絹セリシン再生絹フィブロインを皮膚ケア材(例えば特許文献1、特許文献2)、化粧料(例えば特許文献3)、創傷被覆材(例えば特許文献4)などに利用されている。

優れた生体適合性を有する高分子絹タンパクは、絹セリシンが、尿素などを溶媒とした繭糸からの抽出法が開発されている(例えば特許文献5)。絹フィブロインは、精練過程低分子化が起こることが明らかにされ(非特許文献1)、中性塩による繭糸の未分解高分子絹フィブロインの抽出法が開発されている(特許文献6)。

体内における絹タンパクは、絹フィブロインが後部糸で作られ、中部糸腺に送られて糸を吐く時期まで溜められる。中部糸腺では皮膜細胞で絹セリシンが作られ、絹フィブロインを包むように細胞から分泌される。中部糸腺が両絹タンパクで充満すると、液状の絹フィブロインの外層に絹セリシンが覆う構造のまま前部糸腺を通過し、吐糸口から吐き出され、瞬時に水に不溶性の繭糸になる。熟蚕の中部糸腺は、絹セリシン、絹フィブロインを大量に蓄積した組織である。

蚕体中の液状絹は、蚕を虫ピンで固定し、皮膚をハサミ切開し、中腸を除去してから前部糸腺、中部糸腺、後部糸腺をピンセット摘出し、尿素液や水などで溶解抽出して、絹タンパクの分子量や各種セリシンの分泌部位やそれらタンパク性状などが試験研究されている。

蚕から液状絹を分離抽出して再生繊維を作製する方法として、蚕を圧殺してこれによる粘性状態物を構成する該幼虫の皮膚、体液及び液状絹、及び絹糸腺内の液状絹を抽出分離し、かつ親水性を有する溶媒を使用して結合水を除去して液状絹から不織布を製造する方法がある(特許文献7)。

分子量約37万の絹フィブロインは、分子量約35万のH鎖と分子量約2.5万のL鎖が、S−S結合している。また、後部糸腺の液状絹から得た不安定な構造を持つ絹フィブロイン液(silk1)は、圧力を加え、細い口から噴射したり、高温処理すると安定したβ構造(silk2)に転移し、結晶化することが知られている(例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。また、分子量約40万の絹セリシンも結晶化しやすい。このように、分子量が30万を超える絹タンパクは、結晶化しやすいことが問題となっている。

特開2003−002898号公報
特開2004−339189号公報
特開2001−026517号公報
特許第2990239号
特開2002−128691号公報
特開2001−163899号公報
特開平06−184809号公報
特開平08−041097号公報
内紘三・山田弘生・高須陽子、日本蚕糸雑誌,71巻, 1-5, (2002)
良均・荒井三雄・平林潔、日本蚕糸学雑誌,65巻, 270-274, (1996)
秦珠子、蚕糸・昆虫機能講演会講演要旨,50, (2005)
シルクへの招待、小計一著, 85-89

概要

不安定なタンパク構造の蚕体内液状絹が、タンパク構造の転移することなく、高分子絹タンパクの性状のまま得るための水抽出法及び乾燥固化して保存する方法を提供する。熟蚕又は未熟蚕絶食し、蚕の頭部から尾部に向けてローラー状のもので絹糸腺を押し出す。絹糸腺は水中で細かく切断して細胞を除去して液状絹を得る。これを液温20〜30℃の水中で緩やかに攪拌して絹タンパクを溶解し、30〜120分間隔で水を交換して溶解性の異なる絹セリシンと絹フィブロインを分離抽出し、これを平板に乾燥固化して水溶性の高いフィルムとして保存する。

目的

本発明の目的は、このような事実をもとに不安定なタンパク構造を有する絹糸腺中の液状絹が、タンパク構造の転移することなく、高分子絹タンパクの性状のまま得るための抽出法及び乾燥固化して保存する方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

体内絹糸腺から分子量約40万の絹セリシン及び分子量約37万の絹フィブロインを未分解のまま、結晶化させずに水抽出し、フィルム状に乾燥固化することを特徴とする蚕体からの高分子絹タンパク抽出法

請求項2

蚕体内の絹糸腺の液状絹を水に溶解し、その溶解性で絹セリシンと絹フィブロインを分離抽出すること特徴とする請求項1の高分子絹タンパクの抽出法。

請求項3

液状絹を液温20〜30℃の水中で緩やかに攪拌して絹タンパクを溶解し、30〜120分の間隔で水を交換して溶解の早い絹セリシンと遅い絹フィブロインとを分離して抽出することを特徴とする請求項2の抽出法。

請求項4

絹糸腺を水中で5mm以下に切断し、これを攪拌して細胞剥離浮遊させて除去した液状絹を請求項3の方法に移すことを特徴とする請求項1の高分子絹タンパクの抽出法。

請求項5

ローラー状の物で、蚕の頭部から尾部に向けて圧迫して、絹糸腺を押し出して分離することを特徴とする請求項1の高分子絹タンパクの抽出法。

請求項6

熟蚕又は未熟蚕絶食し、腸内の内容物を排泄させた後に、1日以内の冷蔵処理をして請求項5の絹糸腺分離をすることを特徴とする請求項1の高分子絹タンパクの抽出法。

請求項7

請求項6、請求項5により分離した絹糸腺を請求項4、請求項3の方法により分離、抽出した液を冷蔵保存せずに平板上に展開し、50℃で乾燥することを特徴とした請求項1に記載の乾燥固化法。

請求項8

70%以上の水溶解性を有する絹フィブロインフィルムが得られることを特徴とする請求項1の高分子絹タンパクの抽出法。

技術分野

0001

本発明は生体に対して優れた機能性を有する高分子絹タンパクの利用を実用化するため、体内液状絹から未分解のまま、結晶化させずに高分子絹タンパクを効率よく分離抽出して、これをフィルム状に乾燥固化する方法に関する。

背景技術

0002

家蚕絹タンパクは、生糸絹糸布などをアルカリ中性塩熱処理などで溶解させ、抽出した再生絹セリシン再生絹フィブロインを皮膚ケア材(例えば特許文献1、特許文献2)、化粧料(例えば特許文献3)、創傷被覆材(例えば特許文献4)などに利用されている。

0003

優れた生体適合性を有する高分子絹タンパクは、絹セリシンが、尿素などを溶媒とした繭糸からの抽出法が開発されている(例えば特許文献5)。絹フィブロインは、精練過程低分子化が起こることが明らかにされ(非特許文献1)、中性塩による繭糸の未分解高分子絹フィブロインの抽出法が開発されている(特許文献6)。

0004

蚕体内における絹タンパクは、絹フィブロインが後部糸で作られ、中部糸腺に送られて糸を吐く時期まで溜められる。中部糸腺では皮膜細胞で絹セリシンが作られ、絹フィブロインを包むように細胞から分泌される。中部糸腺が両絹タンパクで充満すると、液状の絹フィブロインの外層に絹セリシンが覆う構造のまま前部糸腺を通過し、吐糸口から吐き出され、瞬時に水に不溶性の繭糸になる。熟蚕の中部糸腺は、絹セリシン、絹フィブロインを大量に蓄積した組織である。

0005

蚕体中の液状絹は、蚕を虫ピンで固定し、皮膚をハサミ切開し、中腸を除去してから前部糸腺、中部糸腺、後部糸腺をピンセット摘出し、尿素液や水などで溶解抽出して、絹タンパクの分子量や各種セリシンの分泌部位やそれらタンパク性状などが試験研究されている。

0006

蚕から液状絹を分離抽出して再生繊維を作製する方法として、蚕を圧殺してこれによる粘性状態物を構成する該幼虫の皮膚、体液及び液状絹、及び絹糸腺内の液状絹を抽出分離し、かつ親水性を有する溶媒を使用して結合水を除去して液状絹から不織布を製造する方法がある(特許文献7)。

0007

分子量約37万の絹フィブロインは、分子量約35万のH鎖と分子量約2.5万のL鎖が、S−S結合している。また、後部糸腺の液状絹から得た不安定な構造を持つ絹フィブロイン液(silk1)は、圧力を加え、細い口から噴射したり、高温処理すると安定したβ構造(silk2)に転移し、結晶化することが知られている(例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。また、分子量約40万の絹セリシンも結晶化しやすい。このように、分子量が30万を超える絹タンパクは、結晶化しやすいことが問題となっている。

0008

特開2003−002898号公報
特開2004−339189号公報
特開2001−026517号公報
特許第2990239号
特開2002−128691号公報
特開2001−163899号公報
特開平06−184809号公報
特開平08−041097号公報
内紘三・山田弘生・高須陽子、日本蚕糸雑誌,71巻, 1-5, (2002)
良均・荒井三雄・平林潔、日本蚕糸学雑誌,65巻, 270-274, (1996)
秦珠子、蚕糸・昆虫機能講演会講演要旨,50, (2005)
シルクへの招待、小計一著, 85-89

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献5の分子量40万の絹セリシン抽出法及び特許文献6の分子量37万〜35万の絹フィブロイン抽出法は、何れも溶媒を用いて繭糸などから抽出する方法で、溶媒を透析などで除去する行程が必要となる。また、絹フィブロインは、中性塩で溶解する際に、若干タンパクの分解が認められる。蚕体の液状絹から溶媒を使用せずに直接抽出できれば、これらの問題は解決される。

0010

特許文献7の蚕を圧殺してこれによる粘性状態物から液状絹を抽出分離し、液状絹から不織布を製造する方法があるが、この方法ではタンパク分解酵素や細菌の影響を受けやすい問題がある。特許文献8は、液状絹又は絹糸を溶解した絹フィブロイン液から絹スポンジを製造する方法であり、蚕体からの実用的な具体的な液状絹の抽出法はみられない。

0011

蚕体からの絹タンパクの抽出は、絹タンパクのみで構成されている繭糸からの抽出とは異なり、蚕体内には各種組織や腸内細菌及びタンパク分解酵素などが存在するため、問題が多い。また、絹タンパクは腐敗しやすいことも問題となっている。

0012

非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4にある通り、蚕体内の液状絹は、不安定なタンパク構造しており、圧力などの刺激高温などの影響で安定なタンパク構造に転移するため、絹フィブロインが抽出できても、フィルム状に乾燥固化した時に不透明の壊れやすい水に不溶性のフィルムになりやすい問題がある。

0013

また、高分子絹タンパクは、冷凍すると結晶化するため、保存方法に問題がある。

0014

本発明の目的は、このような事実をもとに不安定なタンパク構造を有する絹糸腺中の液状絹が、タンパク構造の転移することなく、高分子絹タンパクの性状のまま得るための抽出法及び乾燥固化して保存する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0015

本発明は、ローラー状の物で蚕の頭部から尾部に向けて圧迫して、各組織や消化液と混じることなく、肛門部から絹糸腺のみを押し出して分離し、絹タンパクの抽出に用いることを特徴とする。

0016

蚕は、絶食して中腸の内容物を排泄させた後に冷蔵庫に入れ、蚕の行動を停止させてから頭部から尾部に向けてローラー状の物で押しつぶし、絹糸腺を分離する方法である。

0017

絹糸腺細胞の除去は、絹糸腺を水中に5〜10分間浸けた後に、5mm以下に細かく切断し、強く攪拌して細胞を剥離浮遊させて除去する。この際、細胞が少し付着した液状絹は浮遊し易いので、すくい取って分離し、細胞は極力除去する。

0018

細胞を除去した液状絹は、蚕1頭当たり10mlの水中で、水平又は円状に緩やかに攪拌して溶解し、水温20〜30℃で速やかに溶解させる。

0019

液状絹の水溶解濃度が低いので、短い間隔で水を交換する。絹セリシンは溶解が早く、30分程度の間隔で水を交換し、絹フィブロインは1〜2時間の間隔で水を交換して、絹セリシン、絹フィブロイン及び両者混入した抽出液を得る。

0020

抽出液は、低温保存することなく、平板上に展開して50℃で乾燥固化して保存する。

発明の効果

0021

これまで、絹タンパクの利用は、繭糸から抽出した絹セリシンや絹フィブロインを化粧剤や創傷被覆材などに利用されてきたが、何れも、溶媒を使用して抽出しているため、これを除去する行程が必要となっている。また、溶媒は、絹タンパクの低分子化に少なからず影響している。本発明は、溶媒を使用しない水だけの抽出であって、未分解の機能性の優れた高分子絹タンパクが得られるため、新しい分野への利用が拡大される。

0022

ローラー状の物で押しつぶして蚕体から絹糸腺を分離する方法、及び絹糸腺を細かく切って絹糸腺細胞を除去する方法は、将来の機械化に繋がる基礎技術になる。

発明を実施するための最良の形態

0023

本発明は、現在普及されている蚕品種のすべてに利用できる。また、絹糸腺遺伝子を物質生産遺伝子組み換えを行った蚕品種でも利用が可能であり、溶媒を使わない特徴を活かした物質の抽出にも適応する。

0024

絹糸腺を分離する蚕は、過熟蚕を1日以上冷蔵処理すると絹糸腺の絹タンパクの変性が始まり、液状絹の溶解が悪くなる。と同時に、溶解した絹タンパクも結晶化が起きやすく、熟蚕又は未熟蚕を使用するのが好ましい。

0025

蚕体からの絹糸腺分離は、ローラー状の物で、蚕の頭部から尾部に向けて押し出すのが簡易な方法であるが、中腸から離れた蚕の腹側の前部又は後部を切開し、この方法で押し出すと、絹糸腺の損傷は、より小さくなる。

0026

絹糸腺を細かく切り、強く攪拌して細胞を剥離させる方法は、絹セリシンの流出が多くなるが、細胞がほとんど無くなるまで液を換えて、液状絹をよく洗浄するのが好ましい。

0027

液状絹の水溶解は、液温により溶解性が異なり、高いほど溶解速度が速く、溶解液の濃度も高くなる。一方、液温が高い場合は、絹タンパクの腐敗が進みやすい。極端な高温や低温は、絹タンパクの結晶化を起こすので、溶解液温は、25℃前後が好ましい。

0028

液状絹の溶解時における絹タンパクの繊維化は、液状絹の水との比率、攪拌の速度、絹タンパク濃度により異なるため、それらの要因を調整することで防止できる。好ましくは、液温25℃では、蚕1頭分の液状絹に対し水10mlを目安にし、緩やかな攪拌、短い間隔で液交換を行うことである。

0029

液状絹から抽出した絹タンパク液は、そのまま素材として使えるが、絹フィブロインを水溶性の絹タンパクとして保存する場合は、50℃の平板上でフィルム状に乾燥固化させるのが好ましい。

0030

蚕の押しつぶしに用いた器具は、直径20cm高さ7cmの円筒状のいを2つ重ねて、テープで固定し、これを横倒しにして幅14cmのローラーに見立てて使用した。押しつぶしの手順は、(1)絶食させてを排泄させた後、1晩5℃に冷蔵した熟蚕の尾部を揃えて並べ、手でローラーの圧力を調整しながら、蚕の頭部から尾部に向けて押しつぶす。(2)肛門部から飛び出てた絹糸腺を水を入れた容器に落として収集する(図1)。この方法は、絹糸腺がローラーで潰されるなどの損傷がなく、絹糸腺のみが分離でき(図2)、主に、中部糸腺が分離収集される。

0031

絹糸腺の細胞除去は、(1)絹糸腺を水中に入れ、5分以上かけてよく洗浄する。(2)少量の水中でハサミを用いて5mm以下に細かく切る。(3)強く攪拌して浮遊する細胞を取り除くの手順で行う。絹糸腺の細胞が水の浸透を受け、壊れ易くなった状態と水に溶けやすい絹セリシンが膨潤した時点で、絹糸腺の切断を行うと、その衝撃を受けて剥がれやすくなる。図3のように切断長が長く、細胞が残っている場合は、再度攪拌浮遊させて取り除く。

0032

過熟蚕を5℃に1日保存すると、絹糸腺の液状絹が結晶化を起こし、水に溶けにくくなり、絹タンパクの収量が低下する。また、抽出液を乾燥すると白濁した水に難溶性の壊れやすいフィルムになる(図4)。そのため、低温保存は短時間にするのが好ましい。熟蚕や未熟蚕は、1日間5℃に保存しても影響はない。

0033

溶解時の水温と液状絹溶解量は、30℃が15℃より約3割多く、水温が高いほど速く溶ける。

0034

液状絹溶解時における水の交換間隔は、長くなるほど溶液の粘性が高くなり、絹タンパクの結晶化を促進する。絹セリシンが溶解する溶解初期は、30〜60分間隔が適当である。後半に溶解する絹フィブロインは、60〜120分が適当である。

0035

0036

0037

0038

蚕品種「ぐんま200」の熟蚕20頭を2時間冷蔵処理し、出庫した後にローラーで中部糸腺を分離する。この中部糸腺は、蒸留水で数回洗浄し、少量の水中でハサミを用いて細かく切断する。その後、蒸留水100ml加え攪拌し、細胞が浮遊する上清ガーゼ濾過する(第1液)。沈殿している液状絹に蒸留水200mlを加え、同じ処理を繰り返し、濾液を得る(第2液)。洗浄した液状絹は、蒸留水200ml加え、液温25℃で、水平振動シェーカーを用いて緩やかに攪拌溶解させる。上清液は、45分〜120分の間隔で、蒸留水に交換し、7回抽出液を得る。これらはガーゼ濾過し、抽出順に第3〜第9液とする。洗浄液及び抽出液は、蛋白計により濃度を測定し、ホットプレートを用いて50℃で乾燥し、乾物重を測定して収量を調査する。また、抽出液に2−メルカプトエタノール液を加え、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で絹タンパクの分子量を調査する。

0039

図5の4%ゲル濃度電気泳動によると、洗浄液に流出する絹タンパクは、絹セリシンである。抽出液の第3〜第5液は、絹セリシンと絹フィブロインが含まれ、第6液以降は絹フィブロインのみである。何れも分子量約40万の絹セリシン及び分子量約35万の絹フィブロインH鎖と約2.5万の絹フィブロインL鎖で未分解の絹タンパクである。第5液の絹セリシンのバンドがかなり薄いことから絹セリシンは、抽出開始から2時間程度で溶解が終了することが分かる。図版掲載しないが、15%ゲルで電気泳動すると絹フィブロインのL鎖のバンドが明瞭に確認でき、絹タンパクに優しい抽出法である。また、洗浄液と抽出液には合計6.22g絹タンパクが含まれ、対中部糸腺当たり収率は95%とロスが少なく、対繭層では中部糸腺のみからの抽出のため、約70%である。

0040

実施例6で得たフィルムは、絹セリシンを含むものはやや不透明、絹フィブロインのみでは透明である(図6)。何れも水溶性であり、特に絹フィブロインは、水溶性が70%以上で高い。しかし、1晩5℃に保存した後に抽出した第8液、第9液は、溶解性が低く、タンパク構造が転移することが分かる。このことから、未溶解の液状絹や絹タンパク溶解液は、5℃保存はしない方がよい。
また、絹セリシンと絹フィブロインが混合した抽出液を80〜50℃で温度処理1時間行うと、図7のように70℃以上で絹タンパクの分解がある。絹フィブロインのみの抽出液は、同様な高温処理しても絹タンパク質の分解がないことから、絹セリシンが分解しやすいことが分かり、絹タンパク抽出液の乾燥は、50℃が安全である。

0041

実施例6の1日前の未熟蚕を用いて、同様に絹タンパクの抽出を行うと、収量は少なくなるが、液状絹が柔らかく、水に速く溶け、作業が楽になる。

0042

0043

0044

0045

本発明は、大量製造の実証や、蚕から抽出した高分子絹タンパクの機能性試験はこれから行う予定になっている。大量製造では、技術面では大きな問題はないが、現状の養蚕農家の蚕を用いる場合、蚕期が限られているため、製造に蚕を安定供給できる飼育形態に変える課題がある。生糸に加工される繭単価は低価格であるが、機能性が実証されれば、蚕1頭が数百倍の付加価値を持った商品になる可能性がある。そうなれば、実用化は十分可能である。

図面の簡単な説明

0046

ローラーを用いた蚕体からの絹糸腺の分離法
ローラーを用いて蚕体から分離した絹糸腺
絹糸腺を水中で細断して細胞を取り除く行程の液状絹
白濁化した水に不溶性のフィルム
抽出順に集めた絹タンパク液の電気泳動
抽出順に集めた絹タンパク液を乾燥固化したフィルム
高温処理した絹タンパク抽出液の電気泳動

符号の説明

0047

A・・・・ローラー
B・・・・台
C・・・・水を入れた容器
D・・・・蚕
E・・・・蚕の頭部
F・・・・絹糸腺
CS・・・・絹糸腺細胞
FH・・・・絹フィブロインのH鎖
FL・・・・絹フィブロインのL鎖
S・・・・絹セリシン

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