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技術 テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体の製造方法、抗体、ハイブリドーマ、その免疫学的測定方法および測定キット

出願人 株式会社ホリバ・バイオテクノロジー
発明者 山下弘内ヶ島美枝子伊東茂壽
出願日 2006年1月31日 (15年0ヶ月経過) 出願番号 2006-022551
公開日 2007年8月16日 (13年6ヶ月経過) 公開番号 2007-204394
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 登録保留 高感度性 簡便法 農作物中 バックグランド値 前処理法 血清部分 テイー
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

テブフェノジドおよびその類似化合物クロマフェノジドおよびメトキシフェノジド)に対して高感度、かつ選択性の高い抗体を作製するための方法、およびテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体、ならびに当該抗体を用いた高感度かつ定量性に優れたテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法を提供すること。

解決手段

式(1)で表わされる構造を有する化合物ハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いる。

概要

背景

テブフェノジドは、以下の式(2):



で表される構造を有するベンゾイルヒドラジド殺虫剤である。脱皮ホルモン様の作用を示し、新しい表皮の形成を異常に誘導する。このため昆虫は比較的速やかに摂食を停止し、脱皮が不能または不完全となり発育できずに死に至る。テブフェノジドは水稲果樹をはじめとする種々の作物および樹木鱗翅目害虫に対して低薬量で活性を示す(農薬ハンドブック2005年版(改訂新版) 第123頁 社団法人日植物防疫協会)。テブフェノジドに構造類似のベンゾイルヒドラジド系殺虫剤としてクロマフェノジドメトキシフェノジドも広く使用されている。

クロマフェノジド

メトキシフェノジド

近年、土壌、水、大気等の環境中での残留農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物の農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられている。テブフェノジドについては、環境長官個別設定の農薬登録保留基準値が、例えば、米(0.5ppm)、りんご(1.0ppm)、ぶどう(0.5ppm)、カリフラワー(0.5ppm)、てんさい(0.1ppm)、くるみ(0.1ppm)、(25ppm)などと定められている(非特許文献1参照)。

従来、例えば農作物中のテブフェノジドの含有量は、米、果実野菜、茶等から抽出し、メチル化メチル誘導体とした後、ガスクロマトグラフGC)により分析されてきた。即ち、試料ヘキサンで抽出した後、ヨウ化メチルでメチル化し、テブフェノジドのメチル誘導体とした後、GCで測定する方法が採用されている(非特許文献1参照)。

近年、多種類の農薬を一括して分析する機器分析による一斉分析法公定法として認められてきており、一斉分析法は残留農薬分析で大きな位置を占めつつある。しかし、テブフェノジドはその複雑な前処理法の故に一斉分析法による分析はできず、単一の分析でも時間がかかることから簡便な分析法確立が望まれている。

一方、免疫学的測定法は、抗原抗体反応を利用して抗原の測定を行うもので、測定精度が優れているばかりでなく、迅速、簡便かつ経済的な測定法である。従来、免疫学的測定法は、臨床診断の分野で患者病態解析法の一つとして大きな役割を担ってきたが、環境負荷化学物質の測定への適用が進んでいる。

「農薬登録保留基準ハンドブック(改正4版)」 〔第518〜519頁〕 (化学工業日報社)

概要

テブフェノジドおよびその類似化合物(クロマフェノジドおよびメトキシフェノジド)に対して高感度、かつ選択性の高い抗体を作製するための方法、およびテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体、ならびに当該抗体を用いた高感度かつ定量性に優れたテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法を提供すること。 式(1)で表わされる構造を有する化合物ハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いる。 なし

目的

本発明の目的は、テブフェノジドおよびその類似化合物(クロマフェノジド、メトキシフェノジド)に対して高感度、かつ選択性の高い抗体を作製するための方法、およびテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体、ならびに当該抗体を用いた高感度かつ定量性に優れたテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法、および測定キットを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

下記式(1):(式中、AはCH2,NR1,OまたはSを、R1は水素原子または炭素数1から5のアルキル基を、Rは−CO(CH2)nR2または−(CH2)nR2を、R2はカルボキシル基アミノ基、アルデヒド基またはヒドロキシル基を、nは1から10の整数を表す。)で表わされる構造を有する化合物ハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることを特徴とするテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体の製造方法。

請求項2

請求項1に記載の化合物で、AがCH2、RがCH2COOHで表される構造を有する化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることによるテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体の製造方法。

請求項3

請求項1または2に記載の製造方法にて得られるテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体または抗原と結合可能なそのフラグメント

請求項4

テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体またはそのフラグメントがポリクローナル抗体またはそのフラグメント、あるいはモノクローナル抗体またはそのフラグメントであることを特徴とする請求項3に記載の抗体またはそのフラグメント。

請求項5

請求項3または4記載の抗体を産生するハイブリドーマ

請求項6

ハイブリドーマがTBF−10H7−5である請求項5記載のハイブリドーマ。

請求項7

請求項3または4記載の抗体またはそのフラグメントを含んでなるテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法

請求項8

請求項3または4記載の抗体またはそのフラグメントを含んでなるテブフェノジドおよびその類似化合物の測定キット

技術分野

0001

本発明は、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体の製造方法、抗体、ハイブリドーマ、その免疫学的測定方法および測定キットに関する。
ここで、テブフェノジドとは、化学名:N−tert−ブチル−N’−4−エチルベンゾイル−3,5−ジメチルベンゾヒドラジドと表される物質をいう。

背景技術

0002

テブフェノジドは、以下の式(2):



で表される構造を有するベンゾイルヒドラジド殺虫剤である。脱皮ホルモン様の作用を示し、新しい表皮の形成を異常に誘導する。このため昆虫は比較的速やかに摂食を停止し、脱皮が不能または不完全となり発育できずに死に至る。テブフェノジドは水稲果樹をはじめとする種々の作物および樹木鱗翅目害虫に対して低薬量で活性を示す(農薬ハンドブック2005年版(改訂新版) 第123頁 社団法人日植物防疫協会)。テブフェノジドに構造類似のベンゾイルヒドラジド系殺虫剤としてクロマフェノジドメトキシフェノジドも広く使用されている。

0003

クロマフェノジド

0004

メトキシフェノジド

0005

近年、土壌、水、大気等の環境中での残留農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物の農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられている。テブフェノジドについては、環境長官個別設定の農薬登録保留基準値が、例えば、米(0.5ppm)、りんご(1.0ppm)、ぶどう(0.5ppm)、カリフラワー(0.5ppm)、てんさい(0.1ppm)、くるみ(0.1ppm)、(25ppm)などと定められている(非特許文献1参照)。

0006

従来、例えば農作物中のテブフェノジドの含有量は、米、果実野菜、茶等から抽出し、メチル化メチル誘導体とした後、ガスクロマトグラフGC)により分析されてきた。即ち、試料ヘキサンで抽出した後、ヨウ化メチルでメチル化し、テブフェノジドのメチル誘導体とした後、GCで測定する方法が採用されている(非特許文献1参照)。

0007

近年、多種類の農薬を一括して分析する機器分析による一斉分析法公定法として認められてきており、一斉分析法は残留農薬分析で大きな位置を占めつつある。しかし、テブフェノジドはその複雑な前処理法の故に一斉分析法による分析はできず、単一の分析でも時間がかかることから簡便な分析法確立が望まれている。

0008

一方、免疫学的測定法は、抗原抗体反応を利用して抗原の測定を行うもので、測定精度が優れているばかりでなく、迅速、簡便かつ経済的な測定法である。従来、免疫学的測定法は、臨床診断の分野で患者病態解析法の一つとして大きな役割を担ってきたが、環境負荷化学物質の測定への適用が進んでいる。

0009

「農薬登録保留基準ハンドブック(改正4版)」 〔第518〜519頁〕 (化学工業日報社)

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、上記GCで測定する方法は、試料の調製が煩雑で多大の手順と時間を必要とし、分析に熟練を要すること、並びに、測定装置設備等に高額の費用を必要とする等の問題点がある。テブフェノジドの測定は短時間で膨大な数の試料の分析結果を出す必要があり、精度面だけでなく、簡便性、迅速性及び経済性をも具備した新規測定方法が要求されている。

0011

また、免疫学的測定法においても、テブフェノジドに対する抗体の作製、それを用いた測定方法についての報告はなく、実用化の要請が強まっている。

0012

本発明の目的は、テブフェノジドおよびその類似化合物(クロマフェノジド、メトキシフェノジド)に対して高感度、かつ選択性の高い抗体を作製するための方法、およびテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体、ならびに当該抗体を用いた高感度かつ定量性に優れたテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法、および測定キットを提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すテブフェノジド誘導体ハプテンとして使用することによるテブフェノジドおよびその類似化合物の抗体作製方法、抗体、その抗体を産生するハイブリドーマ、その抗体を含んでなるテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法、および測定キットにより前記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。

0014

すなわち、本発明は、下記式(1):



(式中、AはCH2、NR1、OまたはSを、R1は水素原子または炭素数1から5のアルキル基を、Rは−CO(CH2)nR2または−(CH2)nR2を、R2はカルボキシル基アミノ基、アルデヒド基またはヒドロキシル基を、nは1から10の整数を表す。)で表わされる構造を有する化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることによるテブフェノジドに対する抗体の製造方法である。
本発明者は、上記化合物(1)をテブフェノジドおよびその類似化合物のハプテンとして好適に用いることにより、高感度かつ選択性の高いテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体の作製が可能であることを案出したものであり、当該抗体を用いることにより高感度かつ定量性に優れたテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法および測定キットを提供することができる。

0015

特に、前記式(1)で表される化合物において、AがCH2、RがCH2COOHで表される構造を有することが好ましい。
こうした構成を有することによって、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体製造のハプテンとして特に優れた効果を奏することができる。

0016

本発明は、上記製造方法にて得られるテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体または抗原と結合可能なそのフラグメントである。
本発明においては、上記ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより、動物においてテブフェノジドおよびその類似化合物に対する免疫応答を良好に惹起することができ、特異的かつ高感度なテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体、またはその抗体を公知の方法で処理することによりフラグメントを得ることができる。

0017

本発明は、上記抗体またはそのフラグメントであって、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体またはそのフラグメントが、ポリクローナル抗体またはそのフラグメントあるいはモノクローナル抗体またはそのフラグメントであることを特徴とする。
一般に抗体には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が包含され、本発明においては、いずれの抗体をも利用できる。また、本発明に係る抗原−抗体反応においては、さらに、こうした抗体のみならず、FabフラグメントやF(ab’)2フラグメントなどのように抗原結合性を有する抗体の一部も包含される。

0018

本発明は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマである。
本発明に係るハイブリドーマによって、前記モノクローナル抗体を安定して産生することができるとともに、当該ハイブリドーマを培養または由来の動物の腹腔内に投与腹水を作らせることにより、大量のモノクローナル抗体を製造することができる。

0019

具体的には、本発明においては、前記ハイブリドーマがTBF−10H7−5であることが好ましい。
こうしたハイブリドーマによって、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する高感度かつ選択性が高い抗体を安定的に産出することができることを見出したもので、テブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定に好適に用いることができる。

0020

本発明は、上記いずれかの抗体またはそのフラグメントを含んでなるテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法である。
本発明のテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法は、本発明の抗体またはそのフラグメントを用いることにより感度特異性および操作の簡便性にすぐれた効果を奏する。

0021

また、本発明は、上記いずれかの抗体またはそのフラグメントを含んでなるテブフェノジドおよびその類似化合物の測定キットである。
本発明の測定キットは、本発明の抗体またはそのフラグメントおよび測定方法を含むことにより、テブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定に好適に用いられ、テブフェノジドおよびその類似化合物を特異的、高感度および簡便に測定することができる。

発明の効果

0022

本発明の製造方法は、テブフェノジドおよびその類似化合物の抗体製造に好適に用いられるものである。テブフェノジドのハプテン化合物と高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより、動物においてテブフェノジドおよびその類似化合物に対する免疫応答を良好に惹起することがき、特異的かつ高感度なテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体を得ることができる。また、前記式(1)で表される化合物において、AがCH2、RがCH2COOHの場合、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体製造のハプテンとして特に優れた効果を奏する。

0023

本発明の抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれの場合も、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する感性を有し、本発明に係る抗原−抗体反応に用いることができる。特に、モノクローナル抗体である場合、テブフェノジドおよびその類似化合物に対して高感度であり、しかも他の化合物に対する交差反応性が認められず、テブフェノジドおよびその類似化合物を特異的に検出することができる。本発明のハイブリドーマは、前記モノクローナル抗体を安定して産生することができ、例えば、当該ハイブリドーマを培養または由来の動物の腹腔内に投与し腹水を作らせることにより、大量のモノクローナル抗体を製造することができる。また、本発明においては、上記いずれかの抗体またはそのフラグメントを含むことにより、テブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法に好適に用いられ、テブフェノジドおよびその類似化合物を特異的、高感度および簡便に測定することのできる測定キットを提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

0024

本発明は、下記式(1):



(式中、AはCH2、NR1、OまたはSを、R1は水素原子または炭素数1から5のアルキル基を、Rは−CO(CH2)nR2または−(CH2)nR2を、R2はカルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基またはヒドロキシル基を、nは1から10の整数を表す。)で表わされる構造を有する化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることによるテブフェノジドに対する抗体の製造方法を提供する。該製造方法は、テブフェノジドおよびその類似化合物の抗体の製造方法として好適に使用される。

0025

ハプテン化合物として用いる上記化合物(1)の製造は、公知の合成方法により行うことができ、特に限定されるものではないが、例えば化合物(1)のAがCH2、RがCH2COOHのものは、下記反応式



により高収率で化合物を得ることから好適に用いられる。

0026

化合物(i)は公知の方法、例えば特許公開公報 特開昭62−167747記載の方法に準じて容易に合成することができる。
化合物(ii)は化合物(i)とアクリル酸エチルをHeck反応の条件下、例えばジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)とトリフェニルホスフィンの混合物などの触媒下、トリエチルアミンなどの塩基の存在下にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルスルホキシドなどの溶媒中で反応させることにより得られる。
化合物(iii)は化合物(ii)を還元、例えばパラジウムカーボンなどの接触還元反応触媒の存在下に、アルコールや酸などの溶媒中、水素で還元することにより合成できる。
化合物(iv)は化合物(iii)を公知のカルボン酸エステル加水分解する方法、例えばアルコール中でアルカリにより、または酸で加水分解することにより容易に合成できる。
詳細な合成方法は、実施例に記載する。

0027

このようにして得られたテブフェノジド誘導体は、牛血清アルブミンBSA)、ウサギ血清アルブミン(RSA)、オボアルブミン(OVA)、スカシヘモシアニン(KLH)、チログロブリン(TG)、免疫グロブリン等の高分子化合物(タンパク質)との複合体を形成させた後、抗原として用いる。

0028

複合体の形成方法は、公知の方法により行うことができ、特に限定されるものではない。例えば、混合酸無水物法または活性エステル法等によって、テブフェノジド誘導体のカルボキシル基と前記高分子化合物の官能基とを反応させて、複合体を形成することができる。

0029

本発明は、上記テブフェノジド誘導体と高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体を提供する。当該抗体は、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する特異性を有する抗体である。

0030

抗体には、一般に免疫したウサギヤギなどから血液を採取後その中に含まれる抗体を分離・精製するいわゆるポリクローナル抗体や、抗体産生能を持つクローン化ハイブリドーマの分泌する抗体を分離・精製するいわゆるモノクローナル抗体がある。本発明においては、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が包含される。モノクローナル抗体が有する高感度性および高選択性、さらには、複数のモノクローナル抗体の組み合わせによる複数成分との分離可能反応性など、適用の汎用性の広さから、特にモノクローナル抗体が好ましい。

0031

前記モノクローナル抗体は、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する特異性と他の物質に対する交差反応性とを明確にするため、下記のようなIC50値を有することが好ましい。ここでIC50値とは、間接競合ELISAまたは直接競合ELISAにより標準阻害曲線を求めて、50%阻害を示す検体の濃度をいう。ここで、ELISAとは、Enzyme−linked Immunosorbent Assayをいう。

0032

すなわち、本抗体は、テブフェノジドおよびその類似化合物を測定対象とする場合は、直接競合ELISAによるテブフェノジドおよびその類似化合物に対するIC50が50ng/mL以下であることが好ましく、10ng/mL以下がより好ましい。

0033

前記抗体は、通常の製造方法に従って製造することができる(Current Protocol in Molecular Biology, chapter 11.12〜11.13(2000))。具体的には、本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合には、常法に従ってテブフェノジドハプテンと高分子化合物との複合体を形成させた後、当該複合体を家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、前記複合体を常法に従ってマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞スクリーニングし、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを培養することにより得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4 〜11.11 )。

0034

抗体の調製は、限外ろ過硫安分画イオン交換クロマトグラフィーゲルろ過クロマトグラフィー、アフィテイークロマトグラフィーなどの濃縮精製法を適宜組み合わせて行うことができる。

0035

また、本発明は、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。以下、マウスでのハイブリドーマの作製方法についてより詳細に説明する。

0036

前記のように、調製した抗原を2mg/mL程度になるように生理リン酸緩衝液に溶解し、アジュバントと等量混合した後、Balb/cマウスの腹腔内に投与する。その後、約2週間毎に追加免疫する。尾血管から採取した血液の血清中抗体力価が高くなった前記マウスの脾臓摘出し、無血清DMEM培地ダルベッコ改変イーグル培地)中で、組織片等を取り除いた後に新しい培地中に移し、脾細胞を完全に培地中に浮遊させる。遠心上清除去を数回繰り返し、細胞を洗った後、マウスのミエローマ細胞(P3X63Ag8.653)と細胞数の比5:1〜10:1(脾細胞:ミエローマ)で混合する。細胞を沈殿させ上清を取り除いたあと、攪拌しながら50%ポリエチレングリコール分子量1500)をゆっくり加え細胞融合を行う。細胞融合後、遠心分離によって集めた細胞に、細胞数が5×105個/mLになるようにHAT培地を加えて懸濁し、細胞懸濁液を96穴プラスチックプレートに250μL/ウェルの量で分注して、37℃、5%炭酸ガス加湿条件下インキュベーター中で培養する。1週間後、ウェル中の培地の半量をHAT培地で置換して、10日から14日間培養する。培養液中の抗体の活性をELISAで調べ、目的とする抗体を産生しているウェルの細胞について、限界希釈法によりハイブリドーマのクローニングを行う。クローニングにより、テブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体を産生している安定なハイブリドーマ株を得る。

0037

本発明では、前記方法によりハイブリドーマを作製したTBF−10H7−5について、2006年1月26日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター寄託した(受領番号 FERAP−20772)。

0038

本発明のハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎児血清を含むDMEM)を用いて培養し、その培養液の遠心上清モノクローナル抗体溶液とすることができる。また、本ハイブリドーマを由来する動物の腹腔に注入することにより、腹水を生成させ、得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。これらの抗体溶液は、さらに上述のように精製・濃縮することができる。

0039

また、本発明においては、テブフェノジドおよびその類似化合物に特異的に結合する抗体を含むことにより、テブフェノジドおよびその類似化合物を簡便に測定することができ、後述するテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法、および測定手段としての測定キットに好適に使用することができる。

0040

さらに、本発明は、前記抗体を用いることを特徴とするテブフェノジドおよびその類似化合物の免疫学的測定方法に関する。測定方法としては、通常の抗原−抗体反応を利用する方法であれば特に制限されず、放射性同位元素免疫測定法RIA)、酵素免疫測定法EIA)、蛍光もしくは発光測定法凝集法イムノブロット法、イムノクロマト法等(Meth. Enzymol., 92, 147-523 (1983), Antibodies Vol.II IRL Press Oxford (1989))が挙げられるが、感度や簡便性等の点からEIAが好ましく、汎用性の面からELISAがより好ましい。ELISAに用いる酵素としては、ペルオキシダーゼアルカリホスファターゼβ−ガラクトシダーゼルシフェラーゼ等が挙げられる。

0041

ELISAによる測定法は、間接競合ELISAまたは直接競合ELISAなどが挙げられる。例えば以下に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用いた直接競合ELISAによって行うことができる。

0042

(1)本発明のモノクローナル抗体を、担体固相化する。
用いる担体は、96穴、48穴、192穴等のマイクロタイタープレートが好ましい。固相化は、例えば、固相化用抗体を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗体の濃度は、通常0.01μg/mLから100μg/mL程度である。緩衝液としては、検出手段に応じて公知のものを使用することができる。

0043

(2)担体の固相表面へのタンパク質の非特異的吸着を防止するため、固相化用抗体が吸着していない固相表面部分を、抗体と無関係なタンパク質等によりブロッキングする。ブロッキング剤としては、BSAもしくはスキムミルク溶液、または市販のブロクエース(大日本製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、前記ブロッキング剤を担体に添加し、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液洗浄することにより行われる。洗浄液としては特に制限はないが、前記(1)と同じ緩衝液を使用することができる。

0044

(3)各種濃度のテブフェノジドおよびその類似化合物を含む試料に、テブフェノジド誘導体と酵素を結合させた酵素結合ハプテンを加えた混合物を調製する。酵素結合ハプテンの調製は、テブフェノジド誘導体を酵素に結合する方法であれば特に制限なく、いかなる方法で行ってもよい。

0045

(4)工程(3)の混合物を工程(2)で得られた抗体固相化担体と反応させる。
テブフェノジドおよびその類似化合物と酵素結合ハプテンとの競合阻害反応により、これらと固相化担体との複合体が生成する。反応は例えば、約25℃で約1時間行う。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、固相化抗体と結合しなかった酵素結合ハプテンを除去する。固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線から試料中のテブフェノジドおよびその類似化合物の量を決定する。

0046

(5)担体に結合した標識酵素と反応する発色基質溶液を加え、吸光度を測定することによって検量線からテブフェノジドおよびその類似化合物の量を算出することができる。標識酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素と、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンまたはo−フェニレンジアミンを含む発色基質溶液を使用することができる。通常、発色基質溶液を加えて室温で約10分程度反応させた後、硫酸を加えることにより酵素反応を停止させる。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを使用する場合、450nmの吸光度を測定する。o−フェニレンジアミンを使用する場合、492nmの吸光度を測定する。なお、バックグランド値補正するため、630nmの吸光度も同時に測定することが望ましい。標識酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸基質として発色させ、NaOH溶液を加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法が挙げられる。
テブフェノジドおよびその類似化合物を添加しない反応溶液の吸光度に対して、テブフェノジドおよびその類似化合物を添加して抗体と反応させた溶液の吸光度の減少率阻害率として計算する。既知の濃度のテブフェノジドおよびその類似化合物を添加した反応液の阻害率により予め作成しておいた検量線を用いて、試料中のテブフェノジドおよびその類似化合物の濃度を算出することができる。

0047

別の態様として、テブフェノジドおよびその類似化合物の測定は、以下のような手順により間接競合ELISAによって行うことができる。

0048

(1)固相化抗原を担体に固相化する。
用いる担体は、通常のELISAに用いる担体であれば特に制限されないが、96穴等のマイクロタイタープレートが好ましい。固相化は、例えば、固相化用抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗原の濃度は、通常0.01μg/mLから100μg/mL程度である。緩衝液としては、検出手段に応じて公知のものを使用することができる。

0049

(2)担体の固相表面へのタンパク質の非特異的吸着を防止するため、固相化用抗原が吸着していない固相表面部分を、抗原と無関係なタンパク質等によりブロッキングする。ブロッキング剤としては、BSAもしくはスキムミルク溶液、または市販のブロックエース(大日本製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、前記ブロッキング剤を担体に添加し、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液としては特に制限はないが、前記(1)と同じ緩衝液を使用することができる。

0050

(3)前記(1)および(2)で処理された固相表面に各種濃度のテブフェノジドおよびその類似化合物を含む試料および本発明のモノクローナル抗体溶液を加え、該抗体を前記固相化抗原、およびテブフェノジドまたはその類似化合物に競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体および、テブフェノジドまたはその類似化合物に対する抗体複合体を生成させる。
反応は、通常室温、1〜2時間程度で行うことができる。テブフェノジドおよびその類似化合物は、水に不溶性であるため、反応溶液中には各種有機溶媒を含有することができる。前記有機溶媒としては、テブフェノジドおよびその類似化合物を溶解させ、かつ抗原−抗体反応を阻害しない範囲で有機溶媒およびその含有量を選択すればよい。具体的には、メタノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、含有量は5〜50重量%程度である。

0051

(4)固相化抗原−抗体複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線から試料中のテブフェノジドおよびその類似化合物の量を決定することができる。
固相化抗原−抗体複合体の量は、酵素標識した二次抗体マウス抗体を認識する抗体)を添加して測定することができる。例えばテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素標識(例えば、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ等)した抗マウス−ヤギ抗体を用いて、担体に結合したテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体と反応させるのが望ましい。反応は、前記(3)と同様の条件下で行えばよい。反応後、緩衝液で洗浄する。

0052

(5)担体に結合した二次抗体の標識酵素と反応する発色基質溶液を加え、酵素結合ハプテンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の直接競合阻害ELISA法と同様に加え、吸光度を測定することにより検量線からテブフェノジドおよびその類似化合物の量を算出することができる。

0053

前記本発明の測定方法においては、測定対象物に応じた前処理をして試料とした後、前記直接競合ELISAの工程(3)または間接競合ELISAに供することができる。例えば、測定対象物が土壌または食品の場合、テブフェノジドおよびその類似化合物が抽出できる全ての方法を用いることができる。抽出物は、メタノールに転溶させて緩衝液で希釈後、測定試料にする。簡便法として、メタノールで抽出し緩衝液で希釈したものをそのまま試料とすることも可能である。具体的には、例えば試料5gに、メタノール5mLを加えて20分間振とうする。室温で30分間静置した後、抽出物の上層2mLを2500Rpmで10分間遠心分離する。上清を蒸留水で1:4に希釈し、これを前記工程(3)に供する。また、測定対象物が環境水の場合、抽出工程を必要とせず、直接測定試料とすることが可能である。

0054

また、本発明は、前記抗体および免疫学的測定方法を用いることを特徴とするテブフェノジドおよびその類似化合物の測定キットに関するものである。具体的に本測定キットは、測定法に応じて、酵素標識された二次抗体もしくは酵素標識されたテブフェノジド誘導体(抗原)、緩衝液、検出試薬および/またはテブフェノジドおよびその類似化合物の標準溶液等から構成される。さらに、好ましくは、本測定キットは、ELISA法に用いられうるものであり、前記直接競合ELISA法に用いる場合、固相化されたテブフェノジドおよびその類似化合物に対する抗体、固相化抗体を保持する担体、酵素標識された抗原、標準溶液、検出試薬、反応停止液および洗浄液などを含む。酵素標識された抗原および標準溶液は凍結乾燥されていてもよい。こうした構成からなる測定キットを使用し、前記の直接競合ELISAおよび間接競合ELISAによる測定方法を用いることによって、テブフェノジドおよびその類似化合物を簡便、かつ迅速に測定することができる。

0055

<実施例>
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。

0056

〔実施例1〕テブフェノジドハプテンの合成
(1)N−tert−ブチル−N’−(4−ヨードベンゾイル)−3,5−ジメチルベンゾヒドラジド(1)の合成
N−tert−ブチル−N’−(4−ヨードベンゾ)ヒドラジド(1)1.7g(5.34mmol)をアセトン12mLに溶かし、炭酸水素ナトリウム0.45g(4.74mmol)を加え、攪拌した。ここへ、3,5−ジメチル安息香酸クロライド0.8g(4.74mmol)をアセトン4mLに溶かした溶液を滴下した後、室温で1時間攪拌反応させた。溶媒を留去後、希水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、希塩酸、水で洗い、無水硫酸マグネシウム脱水、ろ過、濃縮した。残渣にアセトンを加え、ろ過し、白色結晶のN−tert−ブチル−N’−(4−ヨードベンゾイル)−3,5−ジメチルベンゾイルヒドラジド(1)1.4g(収率65.5%)を得た。
融点:219〜221℃

0057

1H NMR(DMSO−D6) δ 1.45(9H、s、CH3)、2.23(1H、s、NH)、3.31(6H、s、CH3)、6.91(1H、s、Ph−H)、7.03(2H、s、2Ph−H)、7.24(2H、d、2Ph−H)、7.79(2H、d、2Ph−H)

0058

(2)3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニルフェニルアクリル酸エチルエステル(2)の合成
N−tert−ブチル−N’−(4−ヨードベンゾイル)−3,5−ジメチルベンゾヒドラジド(1)0.30g(0.67mmol)をDMF4mLに溶かし、アクリル酸エチル0.67g(6.7mmol)、トリエチルアミン0.13g(1.3mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)45mg(0.065mmol)を加え、攪拌後、45℃で2時間、70℃で7時間反応させた。溶媒を留去、水20mLを加えて、酢酸エチル20mLで3回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで脱水、ろ過、濃縮し、シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して、淡褐色結晶の3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕アクリル酸 エチルエステル(2)0.24g(収率91%)を得た。
融点:103〜105℃

0059

1H NMR(DMSO−D6) δ 1.23(3H、t、CH3)、1.46(9H、s、3CH3)、2.20(6H、s、2CH3)、4.17(2H、q、CH2)、6.70(1H、d、=CH)、6.91(1H、s、Ph−H)、7.05(2H、s、2Ph−H)、7.48(2H、d、2Ph−H)、7.61(1H、d、=CH)、7.75(2H、d、2Ph−H)、10.65(1H、s、NH)

0060

(3)3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕プロピオン酸エチルエステル(3)の合成
3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕アクリル酸エチルエステル(2)0.22g(0.65mmol)をエタノールに溶かし、10%パラジウムカーボン0.02gを加え、水素存在下で一晩攪拌した。反応液をろ過、ろ液を濃縮して、シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製して、油状淡黄色液体の3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕プロピオン酸 エチルエステル(3)0.19g(収率86%)を得た。

0061

1H NMR(DMSO−D6) δ 1.10(3H、t、CH3)、1.45(9H、s、3CH3)、2.18(6H、s、2CH3)、2.58(2H、t、CH2)、2.82(2H、t、CH2)、3.99(2H、q、CH2)、6.90(1H、s、Ph−H)、7.05(2H、s、2Ph−H)、7.23(2H、d、2Ph−H)、7.38(2H、d、2Ph−H)、10.50(1H、s、NH)

0062

(4)3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕プロピオン酸(4)の合成
3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕プロピオン酸エチルエステル(3)130mg(0.31mmol)をエタノール1mLに溶かし、水酸化ナトリウム33mg(0.83mmol)を水35μLに溶かした溶液を加えた。室温で30分攪拌後、反応液を濃縮し、水を加え塩酸でpH3に調整し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、白色結晶の3−〔4−(N’−tert−ブチル−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)ヒドラジノカルボニル)フェニル〕プロピオン酸(4)76mg(収率62%)を得た。
融点:240〜242℃

0063

1H NMR(DMSO−D6) δ 1.99(9H、s、3CH3)、2.20(6H、s、2CH3)、2.50(2H、t、CH2)、2.81(2H、t、CH2)、6.92(1H、s、Ph−H)、7.07(2H、s、2Ph−H)、7.21(2H、d、2Ph−H)、7.25(2H、d、2Ph−H)、10.61(1H、s、NH)、12.10(1H、s、COOH)

0064

〔実施例2〕 (免疫原の調製)
免疫原として、チログロブリン(TG)と本発明テブフェノジドハプテンとの結合体を、活性エステル法を用いて作製した。
実施例1で製造したテブフェノジドハプテン10mg、N−ヒドロキシスクシンイミド1.2mgおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩1.9mgを、ジメチルスルホキシド1mLに溶解し、この溶液を25℃の暗所に1.5時間放置しテブフェノジドハプテン溶液とした。別途、0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.0)1mLにTGを10mg加え、室温で1.5時間攪拌することにより、TG溶液を得た。
このTG溶液に、先に調製したテブフェノジドハプテン溶液を徐々に滴下し、暗所にて室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、4℃で2日間生理的リン酸緩衝液(PBS、10mMリン酸緩衝液、150mM NaCl、pH7.0)に対して透析した後、−40℃で貯蔵した。このようにして得られたテブフェノジドハプテンとTGとの結合体を免疫原として使用した。

0065

〔実施例3〕 (固相化抗原の調製)
固相化抗原としてウサギ血清アルブミン(RSA)とテブフェノジドハプテンとの結合体を、活性エステル法を用いて作製した。テブフェノジドハプテン10mg、N−ヒドロキシスクシンイミド1.2mgおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩1.9mgを、ジメチルスルホキシド1mLに溶解し、この溶液を25℃の暗所に1.5時間放置しテブフェノジドハプテン溶液とした。別途、0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.0)1mLにRSAを10mg加え、一晩攪拌することにより、RSA溶液を得た。このRSA溶液に、先に調製したテブフェノジドハプテン溶液を徐々に滴下し、暗所にて室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、4℃で一晩PBS緩衝液(PBS、10mMリン酸緩衝液、150mM NaCl.pH7.0)に対して透析した後、30℃で貯蔵した。このようにして得られたテブフェノジドハプテンとRSAとの結合体を固相化抗原として使用した。

0066

〔実施例4〕 (マウスへの免疫)
実施例2で調製した免疫原を2mg/mLとなるようにPBS緩衝液(0.4%BSA、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(以下「NaPB」という)、150mM NaCl、pH7.0)に溶解し、これに等量の完全アジュバント商品名:フロイント完全アジュバントFCA)を等量混合しエマルジョン化し、その100μLを7週齢メスのBALB/cマウスに腹腔投与した。これと同様の手順で、不完全アジュバント(商品名:フロイント不完全アジュバント;FICA)を等量混合し、2週間後に追加免疫した。更に0.25mg/mLの免疫原を不完全アジュバントと等量混合し、その100μLを2週間毎に追加免疫した。4回の免疫後、眼底から採血し、血清中の抗体力価とテブフェノジドに対する阻害を間接競合法で確認した。

0067

〔実施例5〕 (抗血清の間接競合試験
(1)4回の免疫から1週間後に、マウスの眼底から採血し、血清部分を10%ブロックエース−PBS緩衝液で100倍希釈し抗血清希釈液とした。
(2)実施例3で調製した固相化抗原をPBS緩衝液で5.0μg/mLに調製し、96穴マイクロプレートに100μL/ウェルずつ分注、4℃で一晩静置することにより固相化した。次に液を吸引除去後、25%ブロックエース−PBS緩衝液を300μg/ウェル分注、4℃で一晩静置することによりブロッキングを行い固相化プレートとした。
(3)抗血清希釈液を10%ブロックエース−PBS緩衝液で順次希釈し、固相化プレートに100μL/ウェルずつ分注、20℃で1時間静置反応させた後、プレートを洗浄した。
(4)ブロックエースで4000倍に希釈した西ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗マウスIgGヤギ抗体(第2抗体)の10%PBS溶液を100μL/ウェル加え、室温℃で1時間静置した後、プレートを洗浄した。
(5)HRP基質溶液(100μg/mLの3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジンおよび0.006%過酸化水素を添加した0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5))を100μL/ウェル加え、25℃で10分間反応、発色させた。1N硫酸を100μL/ウェル加えて酵素反応を止め、450nmの吸光度を測定した。最終希釈倍数が20000倍で約1.0の吸光度を示す3匹のマウス(No4、No5、No6)の抗血清について、以下のようにしてテブフェノジドに対する阻害試験を行った。
(6)0.2%BSA−PBS緩衝液で20000倍に希釈した抗血清溶液と10%ブロックエースBSA−PBS緩衝液で希釈した各種濃度のテブフェノジド標準液を等量混合し、固相化プレートに100μL/ウェルずつ分注して、25℃に1時間静置反応させた。
(7)以後の操作は(4)、(5)と同様に行った。抗血清の間接阻害試験結果を図1に示す。

0068

〔実施例6〕 (モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製)
実施例4で実施したマウスの抗血清の力価が十分に高くなったことを確認し、1週間後に最終免疫として免疫原10μg/100μL・PBSを尾静脈から投与した。その3日後に当該マウスから脾臓を摘出し細胞融合に供した。
摘出した脾臓を無血清DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)中で余分な組織片を切除したあと、脾臓から完全に細胞を取り出し、培地中に浮遊させた。浮遊している大きな組織片を沈降させるために5分間静置、細胞浮遊液遠沈管に集め、1500rpmで遠心し、上清を吸引除去して、新しい無血清DMEMを添加して細胞を浮遊させた。この操作を2回繰り返した。あらかじめ培養してあったミエローマ細胞(P3X63Ag8.653)を回収し、遠沈、上清除去、無血清DMEM培地で再浮遊を2回繰り返した。それぞれの細胞数を計数して脾細胞とミエローマ細胞との比率が10:1〜7.5:1になるように混合し、1500rpmで5分間遠心して、上清を吸引除去した。遠沈管を激しく攪拌しながら50%ポリエチレングリコール(分子量1500)溶液2mLを約60秒かけて添加した。次いで約10mLの無血清DMEMを攪拌しながら3〜4分かけて添加した。遠沈管を1000rpm,5分で遠心して上清を完全に吸引除去し、脾細胞が2.5×106個/mLになるようにHT培地(ヒポキサンチンチミジン、10%牛胎児血清入DMEM培地)に浮遊させ、96穴培養プレートに100μL/ウェル分注し、37℃、8%炭酸ガス、加湿条件下で培養を開始した。翌日に約40μL/ウェルのHAT培地(ヒポキサンチン、チミジン、アミノプテリン、10%牛胎児血清入DMEM培地)を添加し、ミエローマ細胞が死滅し、ハイブリドーマ細胞のコロニーが形成されるまで観察を続け、以後は細胞の状態を見ながらHT培地を添加した。培養開始から10日後に培養液を採取し、間接競合阻害法でテブフェノジドに対する抗体を産生しているウェルを選別し、96ウェル、48ウェル、24ウェルと順次培養スケールを上げた。24ウェルの段階で限界希釈法によるクローニングを行い、テブフェノジドに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株[TBF−10H7−5]を得た。

0069

〔実施例7〕 (モノクローナル抗体の作製)
実施例6で得られたハイブリドーマ株を10%牛胎児血清入りDMEMで培養し、約2×107個の細胞をBALB/cメスマウスの腹腔内に注射し、腹水液を採取した。得られた腹水はプロテインカラムによりIgG精製を行い、抗テブフェノジド抗体TBF−10H7−5を得た。

0070

〔実施例8〕 (テブフェノジドハプテンとHRPとの結合体の調製)
直接競合ELISAにおいてトレーサーとして用いるため、活性エステル法によりテブフェノジドハプテンとHRPとの結合体を調製した。テブフェノジドハプテン10mg、N−ヒドロキシスクシンイミド1.2mgおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩1.9mgを、ジメチルスルホキシド1mLに溶解し、この溶液を25℃で暗所に1.5時間放置しテブフェノジドハプテン溶液とした。
別途、0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.0)1mLにHRPを10mg加え、一晩攪拌することにより、HRP溶液を得た。
このHRP溶液に、先に調製したテブフェノジドハプテン溶液を徐々に滴下し、暗所にて室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、4℃で一晩生理的リン酸緩衝液(PBS、10mMリン酸緩衝液、150mM NaCl、pH7.0)に対して透析した後、30℃で貯蔵した。ゲル濾過で精製を行い、濃度の測定はDCプロテインアッセイで行った。

0071

〔実施例9〕 (直接競合ELISA法によるテブフェノジドの測定)
(1)抗マウスIgGヤギ抗体をPBS緩衝液(10mM NaPB,150mM NaCl)で10μg/mLに希釈し、96穴マイクロプレートに100μg/ウェルずつ分注し、4℃で一晩放置することにより固相化した。次に液を吸引除去後、PBS緩衝液(0.4%BSA、10mM NaPB、150mM NaCl、pH7.0)を300μg/ウェル分注し、4℃で一晩静置することによりブロッキングを行った後、ブロッキング液を吸引除去した。
(2)実施例7で得られたモノクローナル抗体TBF−10H7−5をPBS緩衝液(0.2%BSA、10mMリン酸緩衝液、150mM NaCl、pH7.0)で0.05μg/mLに希釈し、(1)で作製した抗マウスIgGヤギ抗体固相化プレートに100μg/ウェルずつ分注し、20℃で1時間静置した後、PBSで洗浄し抗体固相化プレートとした。
(3)HRPとテブフェノジドハプテンの結合体をPBS緩衝液(0.4%BSA、10mMリン酸緩衝液、150mM NaCl、pH7.0)で0.12μg/mLに希釈しHRP希釈液とした。
(4)上記HRP希釈液と10%メタノール溶液に溶解したテブフェノジドの標準溶液(0.125、0.25、0.5、1.0、2.5、5および10μg/mL)を等量混合し、その混合液の100μg/ウェルを(2)で得られた抗体固相化プレートに加え、20℃で1時間静置した後、PBSで洗浄した。
(5)HRP基質溶液(100μg/mLの3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジンおよび0.006%過酸化水素を添加した0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5))100μLをウェルに加え、25℃で10分間インキュベーションした後、1N硫酸100μLをウェルに加えて酵素反応を止め、450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
モノクローナル抗体TBF−10H7−5溶液についての直接競合阻害法によるテブフェノジドの標準阻害曲線を図2に示す。モノクローナル抗体TBF−10H7−5溶液を用いた直接競合ELISA法によるテブフェノジドの測定可能な範囲は1.5ng/mL〜7.5ng/mLであり、50%阻害を示す値(IC50値)は2.7ng/mLであった。

0072

以上の結果から、本発明のテブフェノジド誘導体を用いて得られるモノクローナル抗体を使用する直接競合ELISA法により、テブフェノジド分析の大幅な簡略化および測定時間の短縮が可能となり、多数の検体を迅速、簡便かつ低コストで測定できることがわかる。

0073

〔実施例10〕 (抗体のテブフェノジド構造類似化合物に対する交差反応性)
テブフェノジドと同じベンゾイルヒドラジド系に属し化学構造が類似しているクロマフェノジドとメトキシフェノジド、およびテブフェノジドを含む混合剤相手の農薬(フルトラニルイソプロチオランブプロフェジン、フェノキサニル、フサライド)について抗体TBF−10H7−5の交差反応性を調べた。交差反応性は、実施例9に記載の方法と同様にして試験化合物のIC50値を求め、次式により計算し交差反応率を算出した。
交差反応率(%)=(テブフェノジドのIC50値/試験化合物のIC50値)×100
その結果、構造類似農薬のクロマフェノジドに45%、メトキシフェノジドに13.5%の比較的高い交差反応性を示したが、試験に供した他の農薬にはいずれも0.1%以下の低い交差反応性であり、抗体TBF−10H7−5はテブフェノジド、クロマフェノジドおよびメトキシフェノジド特異的な抗体といえる。

図面の簡単な説明

0074

抗血清を用いた間接競合ELISA法におけるテブフェノジドに対する阻害曲線(マウスNo4,No5、No6)を示す。

0075

抗体TBF−10H7−5を用いた直接競合ELISA法におけるテブフェノジドに対する阻害曲線を示す。

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