図面 (/)

技術 二輪車用アンチロックブレーキ装置

出願人 日信工業株式会社
発明者 長谷川哲哉
出願日 2006年2月1日 (14年9ヶ月経過) 出願番号 2006-024523
公開日 2007年8月16日 (13年3ヶ月経過) 公開番号 2007-203867
状態 特許登録済
技術分野 ブレーキシステム(制動力調整) 自転車用制動装置 ブレーキシステム(制動力調整)
主要キーワード 浮き状態 着地後 周波数ジャンプ 前輪後輪 速度閾値α ホイルスピン 等加速度 デジタルフィルタ処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年8月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (14)

課題

本発明では、ウィリー走行後であっても、適切なアンチロック制御を迅速に機能させることができる二輪車用アンチロックブレーキ装置を提供することを目的とする。

解決手段

二輪車用アンチロックブレーキ装置1は、車輪速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段32Cと、車輪速度及び推定車体速度に基づいて各車輪Tをアンチロック制御するアンチロック制御手段32Bとを主に備えている。推定車体速度算出手段32Aは、前輪TFが非アンチロック制御中で、且つ、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大であり、且つ、前輪車輪加速度加速度閾値以上に大である場合に、ウィリー走行が終了したと判定するウィリー終了判定手段32Dをさらに備え、ウィリー終了判定手段32Dによってウィリー走行が終了したと判定された場合には、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出する。

概要

背景

近年、二輪車用アンチロックブレーキ装置として、前輪または後輪車輪速度に基づいた推定車体速度制御対象車輪の車輪速度とから算出されるスリップ率によって、各車輪に付与するブレーキ圧を適宜制御して二輪車の各車輪のロックを防止するものが知られている。そして、このような二輪車用アンチロックブレーキ装置は、一般的に、非アンチロック制御中においては、従動輪である前輪の車輪速度に基づいて推定車体速度を算出することで、駆動輪である後輪が空回りホイルスピン)して後輪の車輪速度が実際の車体速度実車体速度)よりも高くなったとしても、従動輪の車輪速度に基づいて正確な推定車体速度の算出が可能となっている。

ところで、前記した一般的な二輪車用アンチロックブレーキ装置では、急加速することで二輪車がウィリーした場合(すなわち前輪が浮いた状態で走行する場合)には、ブレーキ操作が行われていないことから常に非アンチロック制御中であるため、前輪車輪速度に基づいて推定車体速度が算出されている。そのため、この場合、ウィリー中においては前輪が宙に浮いていることから、その車輪速度は極めて低いが、前輪の着地後においては実車体速度に応じて前輪が急激に回転するため、前輪車輪速度が急激に上昇(以下、「周波数ジャンプ」ともいう。)し、その周波数ジャンプの幅が現実の加速ではあり得ない値であるとノイズとして誤認される問題があった。なお、この一般的な二輪車用アンチロックブレーキ装置では、ノイズと判断された場合には、ノイズの検出前の前輪車輪速度を低速のまま固定し、その値に基づいて推定車体速度の算出を行うため、前記したような周波数ジャンプをノイズと誤認すると、前輪の着地後においてアンチロック制御を行う場合、実車体速度よりも推定車体速度が低くなり適切なアンチロック制御ができないという問題があった。

前記したような問題に対する技術としては、従来、所定のデータ(詳しくは、デジタルフィルタ処理前の前輪車輪速度とデジタルフィルタ処理後の後輪車輪速度)を比較することで、周波数ジャンプとノイズとを識別して、前輪車輪速度を低速のまま固定することを回避するものが知られている(特許文献1)。具体的に、このアンチロックブレーキ装置では、図13に示すように、駆動輪である後輪を急激に加速させることでウィリー走行が開始されると、従動輪である前輪が宙に浮くことにより前輪車輪速度が低い値となるとともに、この低い値に基づいて推定車体速度も実車体速度よりも低い値で算出される。その後、前輪が着地すると、前輪車輪速度が周波数ジャンプ(実車体速度まで急激に上昇)するが、前記したアンチロックブレーキ装置では、この周波数ジャンプをノイズと誤認せずに、前輪車輪速度に基づく推定車体速度の算出を続ける。ただし、推定車体速度の算出は、通常実際の車体の加速限界を考慮して行われるようになっており、この加速限界よりも大きな加速度で推定車体速度が上昇する場合は、図に示すように実際の車体の最大の加速度に対応した傾斜角度で推定車体速度が上昇されるようになっている。そして、この技術では、前記したように前輪着地後に推定車体速度が所定の傾斜角度で上昇する結果、周波数ジャンプをノイズと誤認して推定車体速度を低速のまま固定する場合に比べて、前輪の着地から所定時間経過したときに推定車体速度を実車体速度に一致させることができ、その後のアンチロック制御を適切に行うことが可能となっている。

特開平10−203344号公報

概要

本発明では、ウィリー走行後であっても、適切なアンチロック制御を迅速に機能させることができる二輪車用アンチロックブレーキ装置を提供することを目的とする。二輪車用アンチロックブレーキ装置1は、車輪速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段32Cと、車輪速度及び推定車体速度に基づいて各車輪Tをアンチロック制御するアンチロック制御手段32Bとを主に備えている。推定車体速度算出手段32Aは、前輪TFが非アンチロック制御中で、且つ、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大であり、且つ、前輪車輪加速度加速度閾値以上に大である場合に、ウィリー走行が終了したと判定するウィリー終了判定手段32Dをさらに備え、ウィリー終了判定手段32Dによってウィリー走行が終了したと判定された場合には、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出する。

目的

そこで、本発明では、ウィリー走行後であっても、適切なアンチロック制御を迅速に機能させることができる二輪車用アンチロックブレーキ装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

前輪後輪それぞれについて車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、取得した車輪速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段と、前輪車輪速度に基づいて前輪車輪加速度を算出する前輪車輪加速度算出手段とを備え、前記車輪速度および前記推定車体速度に基づいて前輪後輪それぞれについてアンチロック制御をする二輪車用アンチロックブレーキ装置であって、前記推定車体速度算出手段は、前輪が非アンチロック制御中で、且つ、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大であり、且つ、前輪車輪加速度が加速度閾値以上であるという判定条件満足した場合に、ウィリー走行が終了したと判定するウィリー終了判定手段をさらに備え、前記ウィリー終了判定手段によってウィリー走行が終了したと判定された場合には、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出する、ことを特徴とする二輪車用アンチロックブレーキ装置。

請求項2

前記ウィリー終了判定手段の前記判定条件に、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してから、さらに後輪車輪速度が増加したことをAND条件として加えたことを特徴とする請求項1に記載の二輪車用アンチロックブレーキ装置。

請求項3

後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態の持続時間を計時する計時手段をさらに備え、前記ウィリー終了判定手段の前記判定条件に、前記計時手段で計時された持続時間が時間閾値より大であることをAND条件として加えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二輪車用アンチロックブレーキ装置。

請求項4

後輪車輪速度に基づいて後輪車輪加速度を算出する後輪車輪加速度算出手段をさらに備え、前記ウィリー終了判定手段の前記判定条件に、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が所定値以上減少したことをAND条件として加えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の二輪車用アンチロックブレーキ装置。

技術分野

0001

本発明は、二輪車の各車輪ロックを防止する二輪車用アンチロックブレーキ装置に関する。

背景技術

0002

近年、二輪車用アンチロックブレーキ装置として、前輪または後輪車輪速度に基づいた推定車体速度制御対象車輪の車輪速度とから算出されるスリップ率によって、各車輪に付与するブレーキ圧を適宜制御して二輪車の各車輪のロックを防止するものが知られている。そして、このような二輪車用アンチロックブレーキ装置は、一般的に、非アンチロック制御中においては、従動輪である前輪の車輪速度に基づいて推定車体速度を算出することで、駆動輪である後輪が空回りホイルスピン)して後輪の車輪速度が実際の車体速度実車体速度)よりも高くなったとしても、従動輪の車輪速度に基づいて正確な推定車体速度の算出が可能となっている。

0003

ところで、前記した一般的な二輪車用アンチロックブレーキ装置では、急加速することで二輪車がウィリーした場合(すなわち前輪が浮いた状態で走行する場合)には、ブレーキ操作が行われていないことから常に非アンチロック制御中であるため、前輪車輪速度に基づいて推定車体速度が算出されている。そのため、この場合、ウィリー中においては前輪が宙に浮いていることから、その車輪速度は極めて低いが、前輪の着地後においては実車体速度に応じて前輪が急激に回転するため、前輪車輪速度が急激に上昇(以下、「周波数ジャンプ」ともいう。)し、その周波数ジャンプの幅が現実の加速ではあり得ない値であるとノイズとして誤認される問題があった。なお、この一般的な二輪車用アンチロックブレーキ装置では、ノイズと判断された場合には、ノイズの検出前の前輪車輪速度を低速のまま固定し、その値に基づいて推定車体速度の算出を行うため、前記したような周波数ジャンプをノイズと誤認すると、前輪の着地後においてアンチロック制御を行う場合、実車体速度よりも推定車体速度が低くなり適切なアンチロック制御ができないという問題があった。

0004

前記したような問題に対する技術としては、従来、所定のデータ(詳しくは、デジタルフィルタ処理前の前輪車輪速度とデジタルフィルタ処理後の後輪車輪速度)を比較することで、周波数ジャンプとノイズとを識別して、前輪車輪速度を低速のまま固定することを回避するものが知られている(特許文献1)。具体的に、このアンチロックブレーキ装置では、図13に示すように、駆動輪である後輪を急激に加速させることでウィリー走行が開始されると、従動輪である前輪が宙に浮くことにより前輪車輪速度が低い値となるとともに、この低い値に基づいて推定車体速度も実車体速度よりも低い値で算出される。その後、前輪が着地すると、前輪車輪速度が周波数ジャンプ(実車体速度まで急激に上昇)するが、前記したアンチロックブレーキ装置では、この周波数ジャンプをノイズと誤認せずに、前輪車輪速度に基づく推定車体速度の算出を続ける。ただし、推定車体速度の算出は、通常実際の車体の加速限界を考慮して行われるようになっており、この加速限界よりも大きな加速度で推定車体速度が上昇する場合は、図に示すように実際の車体の最大の加速度に対応した傾斜角度で推定車体速度が上昇されるようになっている。そして、この技術では、前記したように前輪着地後に推定車体速度が所定の傾斜角度で上昇する結果、周波数ジャンプをノイズと誤認して推定車体速度を低速のまま固定する場合に比べて、前輪の着地から所定時間経過したときに推定車体速度を実車体速度に一致させることができ、その後のアンチロック制御を適切に行うことが可能となっている。

0005

特開平10−203344号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、前記した従来の技術では、推定車体速度が実際の車体の加速限界を考慮した傾きでしか上昇できないので、推定車体速度が実車体速度に到達するのに時間がかかり、その結果ウィリー走行後に適切なアンチロック制御を行うのに時間がかかっていた。

0007

そこで、本発明では、ウィリー走行後であっても、適切なアンチロック制御を迅速に機能させることができる二輪車用アンチロックブレーキ装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

前記課題を解決する本発明は、前輪後輪それぞれについて車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、取得した車輪速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段と、前輪車輪速度に基づいて前輪車輪加速度を算出する前輪車輪加速度算出手段とを備え、前記車輪速度および前記推定車体速度に基づいて前輪後輪それぞれについてアンチロック制御をする二輪車用アンチロックブレーキ装置であって、前記推定車体速度算出手段は、前輪が非アンチロック制御中で、且つ、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大であり、且つ、前輪車輪加速度が加速度閾値以上であるという判定条件満足した場合に、ウィリー走行が終了したと判定するウィリー終了判定手段をさらに備え、前記ウィリー終了判定手段によってウィリー走行が終了したと判定された場合には、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出する、ことを特徴とする。

0009

ここで、「後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である」とは、処理方法を限定するものではなく、結果的に前記した関係となっていることを意味している。すなわち、「後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である」を判断するための処理方法としては、例えば、後輪車輪速度と推定車体速度との差が速度閾値以上であるか否かを判断する方法や、後輪車輪速度が「速度閾値+推定車体速度」以上であるか否かを判断する方法や、(後輪車輪速度—速度閾値)/推定車体速度≧1であるか否か(すなわち、比率が所定の関係であるか否か)を判断する方法などを採用すればよい。また、同様に、「前輪車輪加速度が加速度閾値以上に大である」を判断する処理方法としては、前記したような差分で行う方法や比率で行う方法などを採用すればよい。さらに、「所定時間の間」を判断する手法としては、例えば、実際の時間を計測することで判断する方法や、制御サイクルを所定回繰り返したときに所定時間経過したと判断する方法などを採用すればよい。

0010

本発明によれば、運転者が急激にスロットル開放動作を行うことによりウィリー走行が開始される際には、ブレーキ操作が行われていないことからその制御状態が非アンチロック制御状態であるため、推定車体速度算出手段は、まず、前輪が非アンチロック制御中であるという条件が満たされていることを認識する。その後、ウィリー走行が継続することにより後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大となる条件が満たされ、さらに、浮いていた前輪が着地することにより前輪車輪速度に基づく前輪車輪加速度が加速度閾値以上に大となる条件が満たされると、ウィリー終了判定手段によりウィリー走行が終了したと判定される。そして、このようにウィリー走行の終了が判定されると、推定車体速度算出手段は、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出する。

0011

また、本発明は、前記した構成に加えて、前記ウィリー終了判定手段の前記判定条件に、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してから、さらに後輪車輪速度が増加したことをAND条件として加えてもよい。
これによれば、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してからの後輪車輪速度の増加をAND条件として加えたので、主に加速しながら行われるウィリー走行をより正確に判断し、類似するその他の状況(例えば、段差乗り越えや段差降りにより発現する前輪の短時間の浮き上がり状態、ホイルスピンなど)を峻別することができる。

0012

また、本発明は、前記した構成に加えて、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態の持続時間を計時する計時手段をさらに設けるとともに、前記ウィリー終了判定手段の前記判定条件に、前記計時手段で計時された持続時間が時間閾値より大であることをAND条件として加えてもよい。

0013

これによれば、前記した作用に加え、計時手段は、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大となると、この状態の持続時間の計時を開始する。また、ウィリー終了判定手段は、前記した各判定条件を満たすかを判断するとともに、「計時手段で計時している持続時間が時間閾値より大となったか否か」をAND条件として判断する。したがって、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大となる状態が所定時間維持されるウィリー走行をより正確に判断し、前記したような類似するその他の状況を峻別することができる。

0014

また、本発明は、前記した構成に加えて、後輪車輪速度に基づいて後輪車輪加速度を算出する後輪車輪加速度算出手段をさらに設け、ウィリー終了判定手段の前記判定条件に、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が所定値以上減少したことをAND条件として加えてもよい。

0015

これによれば、前記した作用に加え、後輪車輪加速度算出手段が、後輪車輪速度に基づいて後輪車輪加速度を算出する。また、ウィリー終了判定手段は、前記した各判定条件を満たすかを判断するとともに、「後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が所定値以上減少したか否か」をAND条件として判断する。そのため、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値以上に大である状態に達してからの後輪車輪加速度の所定値以上の減少を判断することで、スロットルの戻しを判断でき、ウィリー走行の終了をより正確に判断し、前記したような類似するその他の状況を峻別することができる。

発明の効果

0016

本発明によれば、ウィリー走行が終了した後は、ウィリー走行の開始から終了までの間常時地面に接地している後輪の車輪速度、すなわち実車体速度に近い後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出するので、ウィリー走行後であっても、適切なアンチロック制御を迅速に機能させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

〔第1の実施形態〕
次に、本発明に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は第1の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図であり、図2は推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能を示すフローチャートである。

0018

図1に示すように、二輪車用アンチロックブレーキ装置1は、二輪車Bの前輪(従動輪)TFと後輪(駆動輪)TRのそれぞれの車輪速度を取得するための車輪速センサ(車輪速度取得手段)2と、運転者のブレーキ操作によって生じるブレーキ液圧を適宜制御して各車輪T(前輪TF、後輪TR)に付与するブレーキ液圧制御装置3とを主に備えている。ここで、ブレーキ液圧制御装置3は、二輪車Bの車体の適所に設けることが可能な程度の小さなものであるが、説明の便宜上、大きく図示している。

0019

ブレーキ液圧制御装置3は、油路や各種部品電磁弁ポンプ等)が設けられた油圧ユニット31と、この油圧ユニット31内に設けられる各種部品を適宜制御することで各車輪Tに各車輪ブレーキTBを介して加わるブレーキ液圧を増圧減圧・保持させる制御装置32とを備えて構成されている。

0020

制御装置32は、前輪車輪加速度算出手段32Aと、アンチロック制御手段32Bと、推定車体速度算出手段32Cと、ウィリー終了判定手段32Dとを備えて構成されている。ここで、制御装置32は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、各車輪速センサ2,2からの信号と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、アンチロック制御を実行するように構成されている。

0021

前輪車輪加速度算出手段32Aは、前輪TFの車輪速センサ2で取得した前輪車輪速度に基づいて前輪車輪加速度を算出し、その算出した前輪車輪加速度を推定車体速度算出手段32Cに出力する機能を有している。

0022

アンチロック制御手段32Bは、前輪TFの車輪速センサ2で取得した前輪車輪速度と、推定車体速度算出手段32Cから出力されてくる推定車体速度とに基づいて前輪TFのスリップ率を算出し、これに基づいて油圧ユニット31の各種部品を適宜制御することで前輪TFのロックを防止する公知のアンチロック制御を実行する機能を有している。また、同様に、このアンチロック制御手段32Bは、後輪TRの車輪速センサ2で取得した後輪車輪速度と、推定車体速度算出手段32Cから出力されてくる推定車体速度とに基づいて後輪TRのスリップ率を算出し、これに基づいて公知のアンチロック制御を後輪TRに対して実行する機能を有している。また、このアンチロック制御手段32Bは、前輪TFまたは後輪TRのアンチロック制御を開始したときに、前輪TFまたは後輪TRがアンチロック制御中であることを示す前輪ON信号または後輪ON信号を推定車体速度算出手段32Cに出力するとともに、前輪TFまたは後輪TRのアンチロック制御を終了したときに、前輪TFまたは後輪TRが非アンチロック制御中であることを示す前輪OFF信号または後輪OFF信号を推定車体速度算出手段32Cに出力する機能をも有している。

0023

推定車体速度算出手段32Cは、アンチロック制御手段32Bから前輪OFF信号および後輪OFF信号の両方を受信している際、すなわち両車輪T,Tが非アンチロック制御中においては、従動輪である前輪TFの車輪速センサ2で取得した前輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出する機能を有している。また、この推定車体速度算出手段32Cは、アンチロック制御手段32Bから前輪ON信号および後輪ON信号のうち少なくとも一方の信号を受信している際、すなわちアンチロック制御中においては、各車輪速センサ2,2で取得した前輪車輪速度と後輪車輪速度とを比較して、そのうちの大きい値となる方の車輪速度に基づいて推定車体速度を算出する機能を有している。ちなみに、二輪車Bがウィリー走行をしている間においては、運転者がブレーキ操作を行わないことから、アンチロック制御が開始されることがないため、推定車体速度算出手段32Cは、前記した非アンチロック制御中の算出方法(前輪車輪速度に基づく算出方法)で推定車体速度を算出するようになっている。

0024

さらに、この推定車体速度算出手段32Cは、後記するウィリー終了判定手段32Dを備えており、このウィリー終了判定手段32Dによって二輪車Bのウィリー走行が終了したと判定された場合には、前輪車輪速度に基づく推定車体速度の算出に代えて、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度のみに基づいて推定車体速度を算出する機能を有している。

0025

ウィリー終了判定手段32Dは、前輪TFが非アンチロック制御中で、且つ、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α図2参照)以上に大であり、且つ、前輪車輪加速度が加速度閾値β(図2参照)以上である場合に、ウィリー走行が終了したと判定する機能を有している。具体的には、図2に示すように、ウィリー終了判定手段32Dは、少なくとも前輪TFが非アンチロック制御中であるか否か、具体的にはアンチロック制御手段32Bから少なくとも前輪OFF信号を受信しているか否かを判断する機能(ステップS1)を有している。また、ウィリー終了判定手段32Dは、前輪TFが非アンチロック制御中であると判断した場合に(ステップS1;Yes)、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大であるか否か、具体的には後輪車輪速度と推定車体速度との差が速度閾値α以上であるか否かを判断する機能(ステップS2)を有している。

0026

さらに、ウィリー終了判定手段32Dは、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大であると判断した場合に(ステップS2;Yes)、前輪車輪加速度が加速度閾値β以上であるか否かを判断する機能(ステップS3)を有している。そして、ウィリー終了判定手段32Dは、前輪車輪加速度が加速度閾値β以上であると判断した場合に(ステップS3;Yes)、ウィリー走行が終了したことを判定するようになっている。そして、このウィリー終了判定手段32Dによりウィリー走行の終了が判定されると(ステップS3;Yes)、推定車体速度算出手段32Cがウィリー終了時処理を実行する、すなわち前輪車輪速度に基づく推定車体速度の算出に代えて、少なくとも所定時間の間、後輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出するようになっている(ステップS4)。なお、このウィリー終了判定手段32Dは、ステップS4の処理が終わったときや、前記した各ステップS1,S2,S3でNoと判断されたときに、再度このフローの先頭(START)に戻るように機能している(RETURN)。

0027

次に、第1の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置1の動作について図2および図3を参照して説明する。参照する図面において、図3はウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。

0028

図3に示すように、運転者が急激にスロットル開放動作を行うことによりウィリー走行が開始される際においては(時刻t1)、ブレーキ操作が行われていないことからその制御状態が非アンチロック制御状態であるため、推定車体速度算出手段32Cは、まず、ウィリー走行開始前と同様に前輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出する。また、このときウィリー終了判定手段32Dは、前記したようにウィリー走行中は非アンチロック制御中であることから、図2のステップS1においてYesと判断する。ただし、ウィリー走行開始直後においてはステップS2の条件が揃わないため、ウィリー終了判定手段32Dは、ステップS2でNoと判断して、再度ステップS1の処理を繰り返す。

0029

その後、後輪車輪速度と推定車体速度との差が速度閾値α以上となると(時刻t2)、ウィリー終了判定手段32Dは、図2のステップS2においてYesと判断する。ただし、時刻t2〜t4の間においてはステップS3の条件が揃わないため、ウィリー終了判定手段32Dは、ステップS3でNoと判断して、再度ステップS1,S2の処理を繰り返す。

0030

時刻t2から所定時間経過後に、運転者がスロットルを戻すことによって後輪TRが減速すると(時刻t3)、その後に前輪TFが着地することで、今まで宙に浮いた状態で惰性回転していた前輪TFが相対的に移動する地面に追従して、その前輪車輪加速度が急激に上昇する(時刻t4)。そして、このように前輪車輪加速度が急上昇して加速度閾値β以上になると、ウィリー終了判定手段32Dは、図2のステップS3でYesと判断して、ウィリー走行が終了したと判定する。

0031

前記したようにウィリー終了判定手段32Dによってウィリー走行の終了が判定されると、推定車体速度算出手段32Cは、前輪車輪速度に基づく推定車体速度の算出に代えて、少なくとも所定時間の間(時刻t4〜t5)、後輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出する(ステップS4)。そのため、ウィリー走行の終了直後に運転者がブレーキ操作してアンチロック制御が開始されたとしても、実車体速度に近い後輪車輪速度に基づいて算出された推定車体速度によって、適切なアンチロック制御が実行されることとなる。なお、時刻t5の後、推定車体速度算出手段32Cは、アンチロック制御中である場合には前輪車輪速度および後輪車輪速度のうちの大きい値となる方の車輪速度に基づいて推定車体速度を算出し、非アンチロック制御中である場合には前輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出するといった、通常の方法で推定車体速度を算出するようになっている。ここで、「所定時間(すなわち、時刻t4〜t5の間の時間)」とは、ウィリー走行の終了により前輪TFが着地して前輪車輪加速度が加速度閾値β以上になった時刻t4(すなわち、前輪車輪速度が急激に増加した時点)から、オーバーシュートなどを経て、前輪車輪速度の変動が収束・安定するまでに要する時間若しくはそれよりも僅かに長い時間であり、この時間の設定は、車両の仕様や想定される使用条件等を考慮して実験シミュレーション等により適宜決定される。

0032

以上によれば、第1の実施形態において、次のような効果を得ることができる。
ウィリー走行が終了した直後は、ウィリー走行の開始から終了までの間常時地面に接地している後輪TRの車輪速度、すなわち実車体速度に近い後輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出するので、ウィリー走行直後であっても、適切なアンチロック制御を迅速に機能させることができる。
前輪TFの着地後において前輪車輪速度の変動(上下動のノイズ)が落ち着いてから通常の算出方法を選択するので、ノイズがなくなった後においては通常の算出方法により推定車体速度を正確に算出することができる。なお、前記した「所定時間(後輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出する時刻t4〜t5)」は、図13に示す従来技術に係るタイムチャートにおいて、推定車体速度を車体の加速限界を考慮した傾きで上昇させている時間よりも短い。すなわち、この二輪車用アンチロックブレーキ装置によれば、従来技術の場合よりも早期に、通常の推定車体速度の算出方法に復帰することが可能となる。

0033

〔第2の実施形態〕
以下に、本発明に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の第2の実施形態について説明する。この実施形態は第1の実施形態のブレーキ液圧制御装置3の制御装置32を一部変更したものなので、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。参照する図面において、図4は第2の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図であり、図5は推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。

0034

図4に示すように、制御装置33は、第1の実施形態と同様の前輪車輪加速度算出手段32A、アンチロック制御手段32Bおよび推定車体速度算出手段32Cを備える他、第1の実施形態とは多少機能の異なるウィリー終了判定手段33Dを備えて構成されている。

0035

ウィリー終了判定手段33Dは、図5に示すように、前記した各判定条件(ステップS1〜S3)に加え、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態(ステップS2;Yes)に達してから、さらに後輪車輪速度が増加したことをAND条件としている。すなわち、このウィリー終了判定手段33Dは、フラグが立っているか(「1」であるか)否かを判断することで、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、さらに後輪車輪速度が所定値γ分増加したことが過去にあったか否かを判断する機能(ステップS11)を有し、このステップS11においてYesと判断した場合には、ステップS3に移行し、Noと判断した場合には、ステップS12に移行する機能を有している。

0036

また、このウィリー終了判定手段33Dは、ステップS12において、後輪車輪速度と推定車体速度との差が、速度閾値αと所定値γとを足し合わせた値以上であるか否かを判断することで、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、さらに後輪車輪速度が所定値γ分増加したか否かを判断するように機能する。そして、このステップS12においてYesと判断した場合、ウィリー終了判定手段33Dは、フラグを立てる(フラグを「0」から「1」とする)ことで、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、さらに後輪車輪速度が所定値γ分増加したことが過去にあったことを履歴として残す機能を有している(ステップS13)。また、ウィリー終了判定手段33Dは、ステップS12においてNoと判断した場合には、フラグを立てずに、再度ステップS1→S2→S11→S12の動作を繰り返すようになっている。なお、ステップS13において立てたフラグは、例えばステップ4の処理において戻すようにすればよい。

0037

次に、第2の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置1の動作について図5および図6を参照して説明する。参照する図面において、図6はウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。なお、第1の実施形態と同様の動作については、適宜省略して記載することとする。

0038

図6に示すように、時刻t1〜時刻t2の間においては、第1の実施形態と同様に、ウィリー終了判定手段33Dは、ステップS1,S2の処理を適宜行い、時刻t2において後輪車輪速度と推定車体速度との差が速度閾値α以上となると、ステップS2でYesと判断して、ステップS11において、フラグが立っているか否かを判断する。このとき、まだフラグは立っていないので、ウィリー終了判定手段33Dは、このステップS11でNoと判断し、ステップS12において後輪車輪速度と推定車体速度の差が速度閾値αと所定値γを足した値以上となっているか否かを判断する。ただし、時刻t2〜t11の間においてはステップS12の条件が揃わないため、ウィリー終了判定手段33Dは、フラグを立てずに(ステップS12;No)、再度ステップS1→S2→S11→S12の処理を繰り返す。

0039

そして、時刻t11において後輪車輪速度と推定車体速度の差が速度閾値αと所定値γを足した値以上になると、ウィリー終了判定手段33Dは、ステップS12においてYesと判断して、フラグを立てる(ステップS13)。その後、ウィリー終了判定手段33Dは、再度ステップS1,S2の処理を行った後、ステップS11においてYesと判断し、前記したステップS3の処理に進むこととなる。なお、その後の動作は、第1の実施形態と同様であるため、その説明は省略することとする。

0040

以上によれば、第2の実施形態において、次のような効果を得ることができる。
後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから(時刻t2以降)の後輪車輪速度の所定値γ分の増加をAND条件として加えたので、主に加速しながら行われるウィリー走行をより正確に判断し、類似するその他の状況(例えば、段差の乗り越えや段差降りにより発現する前輪TFの短時間の浮き上がり状態、ホイルスピンなど)を峻別することができる。

0041

〔第3の実施形態〕
以下に、本発明に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の第3の実施形態について説明する。この実施形態は第1の実施形態のブレーキ液圧制御装置3の制御装置32を一部変更したものなので、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。参照する図面において、図7は第3の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図であり、図8は推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。

0042

図7に示すように、制御装置34は、第1の実施形態と同様の前輪車輪加速度算出手段32A、アンチロック制御手段32Bおよび推定車体速度算出手段32Cを備える他、第1の実施形態とは多少機能の異なるウィリー終了判定手段34Dと、第1の実施形態には設けられていない計時手段34Eとを備えて構成されている。

0043

計時手段34Eは、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α(図8参照)以上に大である状態の持続時間を計時する機能を有しており、具体的には、図9に示すように、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大となったとき(時刻t2)から計時を開始し、前輪車輪加速度が加速度閾値β以上になったとき(時刻t4)に計時を終了させる機能を有している。言い換えると、計時手段34Eは、図7に示すウィリー終了判定手段34Dから「後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大となったこと」を示す信号を受信したときに、計時を開始させ、ウィリー終了判定手段34Dから「前輪車輪加速度が加速度閾値β以上になったこと」を示す信号を受信したときに、計時を終了させ、その計時により取得した持続時間をウィリー終了判定手段34Dに出力するように機能している。

0044

ウィリー終了判定手段34Dは、図8に示すように、第1の実施形態における各判定条件(ステップS1〜S3)に加え、計時手段34Eで計時される持続時間が時間閾値Tbより大であることをAND条件としている。すなわち、このウィリー終了判定手段34Dは、ステップS3でYesと判断した後、持続時間が時間閾値Tbよりも大きいか否かを判断する機能を有している(ステップS21)。そして、このウィリー終了判定手段34Dは、持続時間が時間閾値Tb以下と判断した場合には(No)、ウィリー走行をしていなかったと判定してステップS4のウィリー終了時処理を行わないように機能し、時間閾値Tbよりも大きいと判断した場合には(Yes)、ウィリー走行が行われていたと判定してステップS4に処理を進める機能を有している。なお、このウィリー終了判定手段34Dは、ステップS2,S3でYesと判定したときには、そのことを示す信号を計時手段34Eに出力するとともに、計時手段34Eから出力されてくる持続時間を、ステップS21で参照する機能も有している。

0045

次に、第3の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置1の動作について図8および図9を参照して説明する。参照する図面において、図9はウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。なお、第1の実施形態と同様の動作については、適宜省略して記載することとする。

0046

図9に示すように、時刻t1〜時刻t2の間においては、第1の実施形態と同様に、ウィリー終了判定手段34Dは、ステップS1;Yes→ステップS2;Noの処理を繰り返し、時刻t2において後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大となると、ステップS2でYesと判断する。このとき、計時手段34Eは、持続時間の計時を開始する。そして、時刻t2〜t4の間においては、ウィリー終了判定手段34Dは、ステップS1;Yes→ステップS2;Yes→ステップS3;Noの処理を繰り返し、時刻t4において前輪車輪加速度が加速度閾値β以上になると、ステップS3でYesと判断する。このとき、計時手段34Eは、持続時間の計時を終了させる。

0047

そして、このようにウィリー終了判定手段34DがステップS3でYesと判断した後は、ウィリー終了判定手段34Dは、ステップS21において、計時した持続時間が時間閾値Tbよりも大きいか否かを判断する。ここで、本実施形態においては持続時間が時間閾値Tbよりも大きいため、ウィリー終了判定手段34Dは、ステップS21においてYesと判断して、第1の実施形態と同様のステップS4の処理に進むこととなる。

0048

以上によれば、第3の実施形態において、次のような効果を得ることができる。
計時手段34Eで計時している持続時間が時間閾値Tbより大となったか否かをAND条件として加えたので、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大となる状態が所定時間維持されるウィリー走行をより正確に判断し、類似するその他の状況(例えば、段差の乗り越えや段差降りにより発現する前輪TFの短時間の浮き上がり状態、ホイルスピンなど)を峻別することができる。

0049

〔第4の実施形態〕
以下に、本発明に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の第4の実施形態について説明する。この実施形態は第1の実施形態のブレーキ液圧制御装置3の制御装置32を一部変更したものなので、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。参照する図面において、図10は第4の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図であり、図11は推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。

0050

図10に示すように、制御装置35は、第1の実施形態と同様の前輪車輪加速度算出手段32A、アンチロック制御手段32Bおよび推定車体速度算出手段32Cを備える他、第1の実施形態とは多少機能の異なるウィリー終了判定手段35Dと、第1の実施形態には設けられていない後輪車輪加速度算出手段35Fとを備えて構成されている。

0051

後輪車輪加速度算出手段35Fは、後輪TRの車輪速センサ2で取得した後輪車輪速度に基づいて後輪車輪加速度を算出し、その算出した後輪車輪加速度をウィリー終了判定手段35Dに出力する機能を有している。

0052

ウィリー終了判定手段35Dは、図11に示すように、第1の実施形態における各判定条件(ステップS1〜S3)に加え、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少したことをAND条件としている。すなわち、このウィリー終了判定手段35Dは、ステップS2の後にフラグが立っているか(「1」であるか)否かを判断することで、後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少したことがあるか否かを判断する機能(ステップS31)を有し、このステップS31においてYesと判断した場合には、ステップS3に移行し、Noと判断した場合には、ステップS32に移行する機能を有している。

0053

また、このウィリー終了判定手段35Dは、ステップS32において、今回後輪車輪加速度が、前回後輪車輪加速度から所定値を引いた値以下であるか否かを判断することで、後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少したか否かを判断するように機能する。ここで、「後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少する」とは、図12(速度と時間との関係を示すグラフ)で説明すると、時刻t21付近において後輪車輪速度の傾きが急激に下がったときのことをいう。ここで、後輪車輪加速度が前回値よりも減少する現象は、時刻t2付近における増速状態等加速度状態)から等速状態(加速度が0の状態)に移行する際にも起こるが、その速度の傾きの変化量(前記所定値)を、時刻t21付近の急激な変化に対応した値(スロットルを戻すことで前輪が着地するだろうと予測される値)に設定することで、時刻t21付近で前記した条件を満たすように設定することができる。また、「所定値」は、実験やシミュレーション等で適宜決定されるようになっている。

0054

そして、このステップS32においてYesと判断した場合、ウィリー終了判定手段35Dは、フラグを立てる(フラグを「0」から「1」とする)ことで、後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少したことが過去にあったことを履歴として残す機能を有している(ステップS33)。また、ウィリー終了判定手段35Dは、ステップS32においてNoと判断した場合には、フラグを立てずに、再度ステップS1→S2→S31→S32の動作を繰り返すようになっている。なお、ステップS33において立てたフラグは、例えばステップ4の処理において戻すようにすればよい。

0055

次に、第4の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置1の動作について図11および図12を参照して説明する。参照する図面において、図12はウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。なお、第1の実施形態と同様の動作については、適宜省略して記載することとする。

0056

図12に示すように、時刻t1〜時刻t2の間においては、第1の実施形態と同様に、ウィリー終了判定手段35Dは、ステップS1,S2の処理を適宜行い、時刻t2において後輪車輪速度と推定車体速度との差が速度閾値α以上となると、ステップS2でYesと判断して、ステップS31において、フラグが立っているか否かを判断する。このとき、まだフラグは立っていないので、ウィリー終了判定手段35Dは、このステップS31でNoと判断し、ステップS32において後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少したか否かを判断する。ただし、時刻t2〜t21の間においてはステップS32の条件が揃わないため、ウィリー終了判定手段35Dは、フラグを立てずに(ステップS32;No)、再度ステップS1→S2→S31→S32の処理を繰り返す。

0057

そして、時刻t21において後輪車輪加速度が前回値よりも所定値以上減少すると、ウィリー終了判定手段35Dは、ステップS32においてYesと判断して、フラグを立てる(ステップS33)。その後、ウィリー終了判定手段35Dは、再度ステップS1,S2の処理を行った後、ステップS31においてYesと判断し、第1の実施形態と同様のステップS3の処理に進むこととなる。なお、その後の動作は、第1の実施形態と同様であるため、その説明は省略することとする。

0058

以上によれば、第4の実施形態において、次のような効果を得ることができる。
「後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が所定値以上減少したか否か」をAND条件として加えたので、その後輪車輪加速度の減少によりスロットルの戻しを判断でき、ウィリー走行の終了をより正確に判断し、類似するその他の状況(例えば、段差の乗り越えや段差降りにより発現する前輪TFの短時間の浮き上がり状態、ホイルスピンなど)を峻別することができる。

0059

以上、本発明は、前記各実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
前記した各実施形態では、非アンチロック制御中においては、前輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出するようにしているが、本発明はこれに限定されず、例えば非アンチロック制御中においては、前輪車輪速度と後輪車輪速度とから推定車体速度を算出するようにしてもよい。ただし、このような非アンチロック制御中において前輪車輪速度と後輪車輪速度を参照する場合には、公知のウィリー開始判定手段(例えば、前輪を支持するフレーム歪ゲージを取り付け、この歪ゲージからの信号によって前輪の浮き状態を検知して、ウィリー開始を判定する手段や、前輪車輪加速度が所定時間以上略0となったときにウィリー開始と判定する手段)によってウィリー開始を判定し、ウィリー開始後は、前輪車輪速度に基づいて推定車体速度を算出させるのが望ましい。

0060

第2〜第4の実施形態では、第1の実施形態の判定条件に対して、それぞれ新たな条件を1つずつAND条件として加えているが、本発明はこれに限定されず、第2〜第4の実施形態の各AND条件を、2つ以上組み合わせて第1の実施形態の判定条件に加えるようにしてもよい。

0061

第4の実施形態では、「後輪車輪速度が推定車体速度よりも速度閾値α以上に大である状態に達してから、後輪車輪加速度が所定値以上減少したか否か」を判断することで、スロットルの戻しを判断したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スロットルにその開度を検出するスロットル開度センサを設けた場合には、「後輪車輪加速度が所定値以上減少したか否か」という条件の代わりに、「スロットルの開度が所定値以下となったか否か」を条件としてもよい。

0062

前記した各実施形態では、制動力をブレーキ液圧により発現させたが、本発明はこれに限定されず、例えば機械式ブレーキ回生ブレーキを含む)等により制動力を発現させてもよい。
また、各実施形態では、1つのブレーキ液圧制御装置3で各車輪Tに適切なブレーキ液圧を付与するようにしているが、本発明はこれに限定されず、各車輪にブレーキ液圧制御装置を1つずつ設けるようにしてもよい。この場合は、例えば一方のブレーキ液圧制御装置の制御装置において本願発明の機能を持たせ、この一方の制御装置によって他方のブレーキ液圧制御装置の油圧ユニットを制御するようにしてもよい。

図面の簡単な説明

0063

第1の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図である。
推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。
第2の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図である。
推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。
第3の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図である。
推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。
第4の実施形態に係る二輪車用アンチロックブレーキ装置の構造を示す概念図である。
推定車体速度算出手段およびウィリー終了判定手段の機能に係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ウィリー走行の開始から終了直後までの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。
従来におけるウィリー走行の開始から終了後所定時間経過したときまでの推定車体速度の推移を示すタイムチャートである。

符号の説明

0064

1二輪車用アンチロックブレーキ装置
2車輪速センサ(車輪速度取得手段)
3ブレーキ液圧制御装置
31油圧ユニット
32制御装置
32A前輪車輪加速度算出手段
32Bアンチロック制御手段
32C推定車体速度算出手段
32Dウィリー終了判定手段
33 制御装置
33D ウィリー終了判定手段
34 制御装置
34D ウィリー終了判定手段
34E 計時手段
35 制御装置
35D ウィリー終了判定手段
35F後輪車輪加速度算出手段
B二輪車
TB車輪ブレーキ
TF前輪
TR 後輪

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • トヨタ自動車株式会社の「 車両制動制御装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】機械式に車輪に付加される制動力に起因した車両走行が不安定になることを低減する。【解決手段】本発明に係る車両制動制御装置は、油圧式移動部材及び機械式移動部材をブレーキディスクに近づく方向に移動さ... 詳細

  • 株式会社SUBARUの「 ハイドロリックユニットの支持構造」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】簡単な構成により車体挙動の検出精度を確保するとともに低速時の車体振動を抑制したハイドロリックユニットの支持構造を提供する。【解決手段】液圧式ブレーキのブレーキフルード液圧を制御するとともに車体... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 ハイブリッド車両、及びハイブリッド車両の制動方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】車両走行中の減速時にエンジンブレーキによって十分な制動力を確保しやすくなるハイブリッド車両、及びハイブリッド車両の制動方法を提供する。【解決手段】ハイブリッド車両において、エンジン及びMG1の... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ