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課題
解決手段
概要
背景
従来から、複数個の単電池を直列接続して、所望の出力電圧を得る蓄電池モジュールを形成する場合、単電池間を接続するための接合体が用いられている。一般的な電池は円柱状の一端面を除く、全体を外装する金属ケースが電池の負極端子を兼ね、電池ケースの一端面の開口部が、正極端子となる封口板により、絶縁性ガスケットを介して、閉塞されている。このような単電池2個を電気的に接続する方法として、一方の単電池の正極の端子と他方の単電池の負極端子とを接続体を介して、スポット溶接により、接続する方法が現在でも適用されている。
スポット溶接方法は2枚の金属板を上下から接続する場合は比較的容易に溶接できるが、前述したような単電池を溶接する場合は1枚の金属板と金属板状でない電池端子を溶接することになり、基本的に上下から溶接することは困難となる。したがって、一方から2本の溶接棒を近接させて、溶接電流を流すことにより、金属板を溶融するまで、発熱させて、電池端子に金属板を溶接する方法が採用されている。この方法では金属板を溶融させるまでの温度上昇させる必要があり、接続する金属板の厚みが厚い場合は確実に溶接させることが非常に困難となり、仮に溶接できても、溶接電流により単電池の温度上昇が大きくなり、電池特性の劣化原因となる。
この方法は接続子が薄板(約300μm以下)の場合に限り、発熱も少なく溶接が容易にできること、及び、比較的小さい電流で使用する用途においては問題とならないことから、広く実用化されている。しかし、単電池間の電気抵抗値が問題となるような大電流放電が求められる用途では、前述したスポット溶接方法では、溶接部間の距離が長くなり電気抵抗が大きくなる結果、放電電圧の低下、出力特性の低下の原因となる。また、単電池の接続部における機械的強度も弱いことから、振動が課題となる自動車用の用途には別途機械的強度を向上させる措置を講ずる必要性がある。
このような背景から、特許文献1及び2に開示された電池においては、プロジェクション溶接方法が開示されている。これらの方法はいずれの場合も、平面で接する部分に突起を設けて、溶接電流を集中的に流すように工夫したものである。
特開平10−106533号公報
特開2000−149907号公報
概要
電池間の抵抗を大幅に低減し、機械的強度を向上させた電池間接続構造を提供する。一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケース2、5と、他方の電極端子を兼ねる電池ケース2、5の開口部を閉塞する封口板3と、を有する電池B1、B2を複数個直列に接続する単電池間の接続構造であって、一方の電池B1の電池ケース2の底部にフランジを有する第1金属製リング1aが導電可能に接合され、他方の電池B2の封口板3上部にフランジを有する第2金属製リング1bが導電可能に接合され、第1金属製リング1aと第2金属製リング1bとが嵌合されたこと特徴とする単電池間の接続構造とする。
目的
その結果、上述したような前記電池特性に悪影響を及ぼさないで、強固に溶接できる方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 3件
この技術が所属する分野
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請求項1
一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケースと、他方の電極端子を兼ねる前記電池ケースの開口部を閉塞する封口板と、を有する電池を複数個直列に接続する単電池間の接続構造であって、一方の電池の電池ケース底部にフランジを有する第1金属製リングが導電可能に接合され、他方の電池の封口板上部にフランジを有する第2金属製リングが導電可能に接合され、前記第1金属製リングと前記第2金属製リングとが嵌合されたこと特徴とする単電池間の接続構造。
請求項2
一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケースと、他方の電極端子を兼ねる前記電池ケースの開口部を閉塞する封口板と、を有する電池を複数個直列に接続する単電池間の接続構造であって、一方の電池の電池ケース底部にフランジを有する第1金属製リングが導電可能に接合され、他方の電池の封口板上部にフランジを有する第2金属製リングが導電可能に接合され、前記第1及び前記第2金属製リングのうち、一方のリングの円筒部外側面及び他方のリングの円筒部内側面にねじ溝が刻まれ、前記第1及び前記第2金属製リングが螺嵌されたことを特徴とする単電池間の接続構造。
請求項3
請求項4
前記第1金属製リングと前記第2金属製リングとが溶接されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の単電池間の接続構造。
請求項5
前記溶接がレーザー溶接であることを特徴とする請求項4に記載の単電池間の接続構造。
請求項6
前記第1金属製リングのフランジと前記第2金属製リングのフランジとの距離が3mm以上であり、連結された単電池間を2点以上で固定可能で、空気の流通ができる絶縁性樹脂固定枠を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の単電池間の接続構造。
請求項7
請求項8
一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケースと他方の電極端子を兼ねる前記電池ケースの開口部を閉塞する封口板とを有する電池を複数個直列に接続する電池間接続構造において、一方の電池の電池ケース底部にフランジを有する第1金属製リングが導電可能に接合され、他方の電池の封口板上部にフランジを有する第2金属製リングが導電可能に接合され、前記第1及び前記第2金属製リングには、それぞれ、中心にねじ孔を備えた第1及び第2金属製連結具が嵌合又は螺嵌され、前記第1及び前記第2連結具を連結する金属製連結板がねじにより導電可能に接続されたことを特徴とする単電池間の接続構造。
請求項9
前記第1金属製リングと前記第2金属製リングとは、金属箔を介して、嵌合または螺嵌されていることを特徴とする請求項1、2、8のいずれかに記載の単電池間の接続構造。
請求項10
請求項11
技術分野
背景技術
0002
従来から、複数個の単電池を直列接続して、所望の出力電圧を得る蓄電池モジュールを形成する場合、単電池間を接続するための接合体が用いられている。一般的な電池は円柱状の一端面を除く、全体を外装する金属ケースが電池の負極端子を兼ね、電池ケースの一端面の開口部が、正極端子となる封口板により、絶縁性ガスケットを介して、閉塞されている。このような単電池2個を電気的に接続する方法として、一方の単電池の正極の端子と他方の単電池の負極端子とを接続体を介して、スポット溶接により、接続する方法が現在でも適用されている。
0003
スポット溶接方法は2枚の金属板を上下から接続する場合は比較的容易に溶接できるが、前述したような単電池を溶接する場合は1枚の金属板と金属板状でない電池端子を溶接することになり、基本的に上下から溶接することは困難となる。したがって、一方から2本の溶接棒を近接させて、溶接電流を流すことにより、金属板を溶融するまで、発熱させて、電池端子に金属板を溶接する方法が採用されている。この方法では金属板を溶融させるまでの温度上昇させる必要があり、接続する金属板の厚みが厚い場合は確実に溶接させることが非常に困難となり、仮に溶接できても、溶接電流により単電池の温度上昇が大きくなり、電池特性の劣化原因となる。
0004
この方法は接続子が薄板(約300μm以下)の場合に限り、発熱も少なく溶接が容易にできること、及び、比較的小さい電流で使用する用途においては問題とならないことから、広く実用化されている。しかし、単電池間の電気抵抗値が問題となるような大電流放電が求められる用途では、前述したスポット溶接方法では、溶接部間の距離が長くなり電気抵抗が大きくなる結果、放電電圧の低下、出力特性の低下の原因となる。また、単電池の接続部における機械的強度も弱いことから、振動が課題となる自動車用の用途には別途機械的強度を向上させる措置を講ずる必要性がある。
0005
このような背景から、特許文献1及び2に開示された電池においては、プロジェクション溶接方法が開示されている。これらの方法はいずれの場合も、平面で接する部分に突起を設けて、溶接電流を集中的に流すように工夫したものである。
特開平10−106533号公報
特開2000−149907号公報
発明が解決しようとする課題
0006
特許文献1及び2などは、いずれも、単電池を完成したのちに、単電池間を溶接する方法である。電気抵抗を低下させることや機械的強度を高めるためには、溶接電流を大きくして、接続体を強固に溶接する必要がある。また、単電池の接続に必要な接続体と単電池の封口板を溶接する場合や前記接続体と電池ケースを溶接する場合において、溶接電流を流す場所の厚みを同じ程度にしないと強固に溶接できない課題もある。言い換えれば電池の封口板、電池ケースと接続体の溶接部分は同程度の厚みにすることで、強固に溶接できることになる。したがって、接続体だけを肉厚の電気抵抗が小さい材料を使用することは、強固な溶接ができない課題が残されている。
0007
さらに、強固に溶接するには溶接電流を増大させる方法で改善することは容易に想定できるが、溶接電流が増大することにより、溶接部の発熱が大きくなり、熱伝導により電池の温度は上昇することは不可避である。電池の温度上昇が生じた場合、電池内の圧力が異常に上昇した時に外部へガスを放出させるゴム弁体の変形や電池を外部より密閉しているガスケットの変形が起こる。これらにより、電池特性の低下原因となることから、単に溶接電流を増大させて、強固に溶接することには限界がある。
0008
そこで、本発明は単電池を連結するための接続体、特に電気抵抗の小さい厚手の材料でも溶接が可能で、溶接する時点では温度上昇を伴うが、前記電池特性に悪影響を及ぼさずに、強固に溶接できる結果、電気抵抗を大幅に低減できる単電池間の接続構造が必要となっている。
0009
このほかに、この種の電池は大電流の充放電が求められることから、作動中は電池の温度上昇は大きくなる。一般的に電池に使用されている材料の耐熱性とか電池特性を考慮した場合、電池温度は常温近傍が望ましいことから、高温になった場合は何らかの冷却方法が必要となる。しかし、従来例の一例である特許文献1では単電池間の電気抵抗を低下させるために単電池間の距離を極力短くする方法を採用しているので、連結している単電池間からの放熱効果が期待できる構造が必要となっている。
課題を解決するための手段
0010
本発明は、一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケースと、他方の電極端子を兼ねる前記電池ケースの開口部を閉塞する封口板と、を有する電池を複数個直列に接続する単電池間の接続構造であって、
一方の電池の電池ケース底部にフランジを有する第1金属製リングが導電可能に接合され、他方の電池の封口板上部にフランジを有する第2金属製リングが導電可能に接合され、
前記第1金属製リングと前記第2金属製リングとが嵌合されたこと特徴とする単電池間の接続構造である。
0011
一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケースと、他方の電極端子を兼ねる前記電池ケースの開口部を閉塞する封口板と、を有する電池を複数個直列に接続する単電池間の接続構造であって、
一方の電池の電池ケース底部にフランジを有する第1金属製リングが導電可能に接合され、他方の電池の封口板上部にフランジを有する第2金属製リングが導電可能に接合され、
前記第1及び前記第2金属製リングのうち、一方のリングの円筒部外側面及び他方のリングの円筒部内側面にねじ溝が刻まれ、前記第1及び前記第2金属製リングが螺嵌されたことを特徴とする単電池間の接続構造でもある。
0012
単電池を連結するための金属製リングを溶接する際に温度上昇を伴うが、電池を製造する前の段階で、電池ケース及び封口板に金属製リングが接合されている。その結果、上述したような前記電池特性に悪影響を及ぼさないで、強固に溶接できる方法を提供するものである。
0014
本発明の単電池間接続構造では、封口板を金属製リングで囲う構造となる。しかし、フランジの接合面に、リング内部が大気に連通可能な連通溝を備えたことにより、電池の内圧が上昇しても、その圧力を逃がすことができる。
0015
本発明は、前記第1金属製リングと前記第2金属製リングとが溶接されていることを特徴とし、また、溶接がレーザー溶接であることを特徴とする単電池間の接続構造である。さらに、前記第1金属製リングのフランジと前記第2金属製リングのフランジとの距離が3mm以上であり、連結された単電池間を2点以上で固定可能で、空気の流通ができる絶縁性樹脂固定枠を備えたことを特徴とする単電池間の接続構造でもある。
0016
さらに、金属製リングが嵌合あるいは螺嵌による固定後に機械的強度の向上と接続部の電気抵抗を低下させる目的で周辺への熱伝導が少ないレーザー溶接などが可能な構造となっている。
0017
本発明による単電池接続構造では従来の接続構造に比較して、強固な機械的強度が得られることから、隣り合う単電池間の距離を従来に比較して、長くすることが可能となる。この結果、単電池間からの放熱効果が期待でき、電池特性の低下要因となる温度上昇が抑制できる構造となる。
0018
本発明は、一方の電極端子を兼ねる有底円筒状の電池ケースの底部にフランジを有する第1金属製リングが導電可能に接合し、及び/又は、
他方の電極端子を兼ねる前記電池ケースの開口部を閉塞する封口板の上部にフランジを有する第2金属製リングが導電可能に接合し、
前記電池ケース内に、電極、セパレータ、電解液を含む発電要素を装填し、前記電極を前記電池ケース及び前記封口板に電気的に接続し、前記電池ケースの開口部を前記封口板により閉塞すること特徴とする単電池の製造方法である。
0019
従来では電池の発電要素を電池ケース内へ挿入後、電池を密閉した状態で単電池を電気的に接続されている。本発明によれば、フランジを有する金属製リングと有底円筒状ケースや封口板との溶接が発電要素である電極やセパレータを有底円筒状ケースに挿入する前あるいはガスケットを介して封口板で電池を密閉する前にできる構成となっている。この構成により、溶接時点では金属に比較して耐熱性が低い合成樹脂からなるセパレータやガスケットが存在しないことから、溶接出力を高められ、強固な溶接ができることになる。この結果、溶接部の機械的強度を強くでき、移動や振動などが伴う用途において、有効な方法であることが言える。また、接続部の電気抵抗の小さくなることから、大電流の充放電が必要となる用途においても、有効な方法であることが言える。
0020
本発明は、フランジを有する金属製リングで単電池を接続する構造で、従来の接続構造と比較して、単電池間の距離を長くしても、接続部の電気抵抗は高くならない構成が得られる。この構成により、単電池間の溶接がレーザー溶接のような溶接部に非接触で出力密度の高い溶接方法を採用することが可能となる。また、出力密度の高い溶接ができることから、溶接強度の向上と溶接部分を集中化させることができ、溶接部周辺の温度を抑制できる。従来の単電池間の接続方法では溶接不良が生じた場合、少なくとも、2個以上の単電池の不良となるが、本発明では電池の部品としての不良になる。溶接不良率が同じの場合は不良に対する損出金額は少なくなり、工業的にも価値が大きいことが言える。
発明を実施するための最良の形態
0021
以下、添付図面を参照にして、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明による単電池間接続構造の接続前の状態を示す概略断面図である。上部に示す電池B1では、有底円筒状ケース2の底面にフランジを有する第1金属製リング1aが予め導電可能に接合されている。下部に示す電池B2では、封口板3の上部にフランジを有する第2金属製リング1bが予め導電可能に接合されている。接合は溶接などにより行なうことが好ましい。
0022
接合され一体化された封口板3と第2金属製リング1bとは、ガスケット4を介して、電池を密閉化した構造となっている。この図において、第1金属製リング1aの内径と第2金属製リング1bの外径がほぼ同じ寸法に設計されている。この設計により、第1金属製リング1aと第2金属製リング1bは隙間なく嵌合できることになる。この構成により、単電池B1と単電池B2が電気的と機械的に接続できることになる。なお、第1金属製リング1aと第2金属製リング1bとの間隙に金属箔(図示しない)を挟んで嵌合させることにより、更に電気抵抗を抑えることができる。金属箔材料は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)もしくはそれらを主材料とする合金であることが好ましい。
0023
隙間なく嵌合させた状態でも、固定して使用する場合や低電流での充放電などでは嵌合部の緩みによる機械的強度の低下や接触抵抗の増大は大きな問題とはならないと考えられる。しかし、自動車など移動するような用途などでは振動が避けられないことから、嵌合部の緩みが起こる危険性は十分考えられる。これにより、機械的強度の低下や接触抵抗の増大する問題が発生し、電池を使用している時に支障が生じることが考えられる。したがって、好ましくは嵌合させた状態で、金属製リングの円筒部外周を、例えばほぼ90度間隔に4点あるいは60度間隔に6点にレーザー溶接を施すことにより、嵌合部の機械的強度を向上させ、電気抵抗を低下させることができる。本発明では嵌合後にレーザー溶接やアーク溶接などが適用できることなり、接続強度を高められることが可能な構造が実現できる。この方法により溶接接合した場合、単に嵌合した時の接合部抵抗に対して、電気対抗の実測値で0.2〜0.3mΩの電気抵抗の低下が確認された。例えば、ハイブリッド電気自動車などに用いられている電池では瞬間的ではあるが電流値は150Aにも達することがある。このような大電流で使用された場合は前記電気抵抗値から30〜45mVの電池電圧が低下することが試算でき、ハイブリッド電気自動車用の電池には本発明のような接続部の電気抵抗を低下させることは重要な因子となる。
0024
図2は第1金属製リング1aと第2金属製リング1bの斜視図を示し、嵌合部分は円筒形状になり、その肉厚は嵌合した場合の強度や電気抵抗から1.5mm以上が必要であり、望ましくは2〜3mmにすることが、強度や電気抵抗の測定結果より、肉厚の下限は前述した範囲になることが明らかになった。それ以上にすることは、強度や電気抵抗はさらに向上することになったが、電池の重量増大と後述する嵌合部の溶接に大きな出力が必要となり、それに伴う溶接時の温度上昇なよる悪影響から円筒部の肉厚としては前記指定範囲が適当である。
0025
本発明では嵌合強度が十分確保でき、嵌合部をレーザー溶接することが望ましいことから、金属製リング1a、1bの円筒部分21、22の長さを一定以上設定する必要がある。このような観点より、円筒部分21、22の長さと嵌合部強度の関係、および、実際にレーザー溶接で溶接の可否を確認した結果、その長さは最低でも、3mm以上とすることが必要であることが確認できた。したがって、本発明ではフランジ状接続体のパイプ状部分の長さは嵌合された状態で3mm以上とすることが不可避となる。しかし、必要以上に長くすることは、接続部の電気抵抗の増大を招くことになることから、おのずとして上限はある。この構成により、後述する電池の発熱が抑制できることになる。
0026
一方の電極端子を兼ねる有底円筒状電池ケース2または他方の電極端子を兼ねる封口板3に一体化させる時に直接接触する金属製リング1a、1bのフランジ23、24の厚みはスポット溶接で一体化する場合は0.5mm前後の厚みにすることが溶接強度の向上には効果があることが分かった。この厚みは有底円筒状電池ケース2、封口板3を構成する材料の厚みとほぼ同じであることから、フランジ23、24の厚みは溶接する部分の厚みとほぼ同じ寸法にすることが溶接強度の確保には望ましいことになる。したがって、フランジ23、24の厚みは電池を構成する部品により、最適値が異なることから、有底円筒状電池ケース2、封口板3の厚みから設定する必要がある。
0027
また、本発明においては、スポット溶接方法だけでなくインバータ直流電源を用いるいわゆるインバータ溶接方法でも溶接が可能である。この場合はフランジ23、24の溶接される面に同一半径上に突起部を設けて、その部分に集中的に電流を流す構成が可能となり、より強固に溶接できる。
0028
第1金属製リング1aの内径と第2金属製リング1bの外径は嵌合部分で一定寸法である場合について記載したが、第1金属製リング1aの嵌合部分先端内径を太くして、フランジ23に近い部分の内径を細くする形状にして、これに対応する第2金属製リング1bの外径の先端部を細く、フランジ24に近い部分の外径を太くすることにより、強固に固定でき有効である。もちろん、第1金属製リング1aの外側に第2金属製リング1bが嵌合する構造としてもよい。
0029
以上のように、本発明の構成により、従来と異なる大きな特徴として、電池の発電要素や電解液を電池ケース2内へ収納する前の段階で第1金属製リング1aを有底円筒状ケース2に直接溶接が可能となる。同様に第2金属製リング1bも、封口板3に溶接が可能となる。すなわち、金属接合体を電池として組み立てる前に部品として作製できることになり、従来例と比較して、溶接部分が強固なることが可能になる。その結果、第1金属製リング1aと有底円筒状ケース2との溶接強度及び第2金属製リング1bと封口板3との溶接強度が向上することから電気抵抗の低減が期待できることになる。
0030
つぎに、図2において、連通溝7について説明する。一般的にこの種の電池は図1に示すゴム弁体6が封口板3の中に装着されている。電池内の圧力が異常に上昇した場合、ゴム弁体6が変形して内部からガスが放出できる構造になっている。しかし、本発明では第1金属製リング1aと第2金属製リング1bとが嵌合することで、リング1a、1bの内部が気密状態となることから、異常時に発生したガスを放出することができなくなる。したがって、外部にガスが放出できる連通溝7をフランジ23、24の接合面の少なくとも一方に刻んでおくことが好ましい。
0031
従来に比較して、本発明では第1金属製リング1a及びと第2金属製リング1bの円筒部21、22の肉厚を厚くすることにより、電気抵抗を低下させることができる。その結果、図3に示す嵌合された状態で、フランジ23、24間の距離Aを長くしても、電気抵抗の増大となる割合は少なくなる。このことから、前述したように、嵌合部をレーザー溶接などが可能となるほかに、第1金属製リング1a及びと第2金属製リング1bの少なくとも一部が露出できる構造が可能になることから、放熱性の優れた機能が付加されることになる。したがって、充放電により、温度上昇が伴う電池系においては温度の上昇を抑制できることになる。なお、固定枠18を単電池間に挿入して、折り曲げに対するモジュール電池の機械的強度を向上させることもできる。この際、固定枠18を単電池間の間隙をすべて覆う構造とすると、嵌合部や螺嵌部の溶接ができず放熱性が低下する。したがって、図6に示すように、固定枠18は、2点以上で支持できる支持部18aを備え、嵌合部や螺嵌部の溶接及び空気の流通が可能な構造とすることが好ましい。
0032
現在実用化されているニッケル・水素電池は電池温度の上昇により、充電効率の低下やサイクル寿命の低下などの電池特性の劣化原因となる。本発明においては前述したように、放熱性の優れた電池構造が達成できることから、温度上昇により、悪影響が懸念される電池系においては電池特性の低下が少なくなることが予測できる。また、図3に示すように、第1金属製リング1a及びと第2金属製リング1bが嵌合できるような構成について説明したが、図4に示すように、第1金属製リング1aの円筒部内側へねじ溝(雌ねじ)8を刻み、第2金属製リング1bの円筒部外側へ対応するねじ溝(雄めじ)9を刻み、第1金属製リング1a及びと第2金属製リング1bを螺嵌接続する構成も可能となる。
0033
図4には金属製リング1a、1bにそれぞれねじ溝8、9を設けた場合においても、記述した嵌合方式と同様に、螺嵌接続後、螺嵌部をレーザー溶接やアーク溶接により、強固に固定することも可能で、接続部が露出される構造も可能である。また、嵌合方式あるいは螺嵌方式により接続する場合、第1金属製リング1aと第2金属製リング1bとの間に金属箔(図示しない)を介して嵌合又は螺嵌で固定することにより、その強度はさらに向上することができる。金属箔材料は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)もしくはそれらを主材料とする合金であることが好ましい。
0034
以上の発明の形態については単電池を直線的に接続する方法について説明した。所望の電圧を得るために、直線的に接続した複数の電池を180度折り曲げた状態での接続する必要も生じる。この場合、図5に示すように、直線的に接続する時に使用する第1金属製リング1aと第2金属製リング1bが電池に固定されている状態で、更に第1及び第2金属製連結具1c及び1dが第1金属製リング1aと第2金属製リング1bにそれぞれが嵌合又は螺嵌されている。第1及び第2金属製連結具1c及び1dの中心にはねじ孔13、14が設けられていて、連結板15とボルト11、12により導電可能に接続されているので、電気的・機械的に固定できる。なお、密閉状態を避けるため、封止板3を有する側に嵌合又は螺嵌される第2金属製連結具1dに連通孔17を設けることが好ましい。
0035
本発明に係る単電池間の接続構造について、接続部の電気抵抗を測定した。測定に供した電池はDサイズ(単一サイズで外径が32mm,高さが56mmの円筒密閉形電池)である。図2で示すように、第1金属製リング1aを正極端子である封口板3に溶接した。この時使用した第1金属製リング1aのフランジ23の厚みは0.5mm、外径は23mm、円筒部21の外径は17mm、内径は13.8mmとした。第2金属製リング1bは電池の負極端子である電池ケース2の底部に溶接した。第2金属製リング1bのフランジ24の厚みは0.5mm、外径は20mm、円筒部22の外径は13.7mm、内径は10mmとした。
0036
接続方式、銅箔の有無、レーザー溶接の有無は表1に示すとおりである。嵌合方式は図1に示す接続方式であり、螺嵌方式は図4に示す接続方式である。嵌合部又は螺嵌部の接触抵抗を低下させる目的で使用した金属箔は厚み20μmの銅箔を使用した。また、レーザー溶接機(ミヤチテクノス株式会社製:型式ML−2550A)を用いて、照射径を0.6mmφとして、出力5.4kWで0.1秒間照射した。螺嵌により接続した場合は第1金属製リング1aの円筒部内側面にM16の雌ねじを刻み、第2金属製リング1bの円筒部外側面にM16の雄ねじを刻み螺嵌できる構造とした。
0037
0038
表1の電気抵抗測定結果より、単に嵌合した場合、螺嵌だけをした場合に比較して、接合部に銅箔を介在させることにより、接触抵抗は低減できることがわかった。また、レーザーで溶接することにより、その効果はさらに顕著に認められることが明らかとなった。レーザー溶接のポイント数は多くすることにより、接触抵抗は下がることになったが、必要以上にポイント数を増加した場合、機械的強度の低下が懸念されることから、6〜8ポイントが最適と考えられる。
0039
単に嵌合又は螺嵌した場合の抵抗値は1.31〜1.55mΩの値を示した。この値は大電流用の電池として実用化されているニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池で仮に、50アンペアの電流を流したときにこの値から、65.5〜77.5mVの電圧低下となり、電池の作動電圧が1.2Vであることから、5%強の電圧低下となり、実用的には支障がないと言える。
図面の簡単な説明
0040
本発明による単電池間接続構造の接続前の状態を示す概略断面図である。
フランジを有する第1及び第2金属製リングを示す斜視図である。
本発明による単電池間接続構造の接続状態を示す概略断面図である。
螺嵌による接続の場合の単電池間接続構造の接続前の状態を示す概略断面図である。
隣接する単電池の接続構造を示す概略断面図である。
固定枠を示す斜視図である。