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技術 アルコキシアルキルアクリレートがグラフト重合した充填剤

出願人 昭和電工株式会社
発明者 岡田由治新保邦明近藤英幸
出願日 2005年12月20日 (14年6ヶ月経過) 出願番号 2005-366321
公開日 2007年7月5日 (12年11ヶ月経過) 公開番号 2007-170907
状態 未査定
技術分野 クロマトグラフィによる材料の調査、分析 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード 架橋有機高分子 妨害ピーク 湿式充填法 親水性ビニル単量体 エチレン性炭素 分離材料 有機重合体粒子 液体クロマトグラフィー用充填剤
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課題

水溶性高分子低分子化合物との良好な分離性能を有し、かつ特定のグラジエント条件下において微量の低分子化合物の検出を妨げる妨害ピークを抑制しうる充填剤を提供する。

解決手段

低分子化合物を吸着しうる多孔性有機高分子担体に、メトキシエチルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートグラフト重合させることにより、上記課題を解決する充填剤が得られる。担体となる多孔性有機高分子の原料モノマーとしては、例えばグリセリンジメタクリレートなど、2個のエチレン性炭素炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物が好ましい。また、上記多孔性有機高分子担体100質量部に対して、上記メトキシエチルアクリレートが1〜20質量部の割合でグラフト重合させることが好ましい。

概要

背景

生体由来試料等に含まれる低分子化合物を対象としてクロマトグラフィー分析を行う場合、その試料中に共存するタンパク質などの水溶性高分子充填剤吸着しやすいことが問題される。そのため、タンパク質等の吸着を防ぎつつ低分子化合物を好適に分離するためのクロマトグラフィー用充填剤が開発されており、これまでにも提案されてきている(例えば特願2005−215930号など)。

ところが、従来のそのような充填剤を、例えばアルブミンを含有する試料を対象としたグラジエント条件下での分析において使用した場合、UV検出におけるクロマトグラム妨害ピークが見られることがある。この妨害ピークは低分子化合物が溶出するところに出現するため、微量の低分子化合物の検出を妨げるおそれがあり、大きな問題である。

クロマトグラフィー分析における分離性能などを向上させるために、支持体となる高分子化合物別種単量体付加重合させて得られる充填剤としては、例えば下記のようなものが提案されている。

特許第3059443号公報(特許文献1)には、ヒドロキシル基を有する親水性ポリマー支持体粒子とし、この支持体粒子の表面に所定の式で表される反復単位を含有するポリマーグラフト重合により結合させて得られる、クロマトグラフィー用分離材料が記載されている。

特公平8−7197号公報(特許文献2)には、ジ(メタアクリル酸エステルなどの単量体を用いて調製された疎水性架橋重合体粒子の表面に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの単量体を用いて調製された、厚さ10〜300Åの親水性重合体の層が形成された被覆重合体粒子からなる、液体クロマトグラフィー用充填剤が記載されている。

特許第3316915号公報(特許文献3)には、ビニル単量体(例えばグリセロールジ(メタ)アクリレートなど)を含浸させた有機重合体粒子種粒子)と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの親水性ビニル単量体とを用いたシード重合法により得られる、粒子表面が親水化された分離用樹脂が記載されている。

しかし、これらの特許文献においては、上述のような妨害ピークに関する問題について検討されておらず、支持体となる重合体の表面に特定の化合物(例えば本発明で使用されるメトキシエチルアクリレート)をグラフト重合させることにより、クロマトグラフィー分析での妨害ピークを抑制する効果が表れ、低分子化合物を含有する試料を対象とする際に好適に用いることができる充填剤が得られることは記載されていない。
特許第3059443号公報
特公平8−7197号公報
特許第3316915号公報

概要

水溶性高分子と低分子化合物との良好な分離性能を有し、かつ特定のグラジエント条件下において微量の低分子化合物の検出を妨げる妨害ピークを抑制しうる充填剤を提供する。低分子化合物を吸着しうる多孔性有機高分子担体に、メトキシエチルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートをグラフト重合させることにより、上記課題を解決する充填剤が得られる。担体となる多孔性有機高分子の原料モノマーとしては、例えばグリセリンジメタクリレートなど、2個のエチレン性炭素炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物が好ましい。また、上記多孔性有機高分子担体100質量部に対して、上記メトキシエチルアクリレートが1〜20質量部の割合でグラフト重合させることが好ましい。なし

目的

本発明は、上述のような従来技術に伴う問題点を解決するためのものであり、水溶性高分子と低分子化合物との良好な分離性能を有し、かつ特定のグラジエント条件下において微量の低分子化合物の検出を妨げる妨害ピークを抑制しうる充填剤を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

請求項2

アルコキシアルキルアクリレートがメトキシエチルアクリレートである請求項1に記載の充填剤。

請求項3

上記多孔性有機高分子が、2個のエチレン性炭素炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物原料モノマーの90質量%以上使用して得られた架橋有機高分子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の充填剤。

請求項4

上記2個のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物が、グリセリンジメタクリレートであることを特徴とする、請求項3に記載の充填剤。

請求項5

上記多孔性有機高分子担体100質量部に対して、上記メトキシエチルアクリレートが1〜20質量部の割合でグラフト重合したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の充填剤。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の充填剤が充填された液体クロマトグラフィー用カラム

技術分野

0001

本発明は、水溶性高分子低分子化合物とを含む試料を対象とした分析に使用される充填剤に関する。より詳しくは、本発明は、タンパク質などの高分子化合物を含む生体由来などの試料中の微量の低分子化合物を、高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」ともいう。)分析などにより分離、分析する際に使用される充填剤に関する。

背景技術

0002

生体由来の試料等に含まれる低分子化合物を対象としてクロマトグラフィー分析を行う場合、その試料中に共存するタンパク質などの水溶性高分子が充填剤に吸着しやすいことが問題される。そのため、タンパク質等の吸着を防ぎつつ低分子化合物を好適に分離するためのクロマトグラフィー用充填剤が開発されており、これまでにも提案されてきている(例えば特願2005−215930号など)。

0003

ところが、従来のそのような充填剤を、例えばアルブミンを含有する試料を対象としたグラジエント条件下での分析において使用した場合、UV検出におけるクロマトグラム妨害ピークが見られることがある。この妨害ピークは低分子化合物が溶出するところに出現するため、微量の低分子化合物の検出を妨げるおそれがあり、大きな問題である。

0004

クロマトグラフィー分析における分離性能などを向上させるために、支持体となる高分子化合物に別種単量体付加重合させて得られる充填剤としては、例えば下記のようなものが提案されている。

0005

特許第3059443号公報(特許文献1)には、ヒドロキシル基を有する親水性ポリマー支持体粒子とし、この支持体粒子の表面に所定の式で表される反復単位を含有するポリマーグラフト重合により結合させて得られる、クロマトグラフィー用分離材料が記載されている。

0006

特公平8−7197号公報(特許文献2)には、ジ(メタアクリル酸エステルなどの単量体を用いて調製された疎水性架橋重合体粒子の表面に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの単量体を用いて調製された、厚さ10〜300Åの親水性重合体の層が形成された被覆重合体粒子からなる、液体クロマトグラフィー用充填剤が記載されている。

0007

特許第3316915号公報(特許文献3)には、ビニル単量体(例えばグリセロールジ(メタ)アクリレートなど)を含浸させた有機重合体粒子種粒子)と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの親水性ビニル単量体とを用いたシード重合法により得られる、粒子表面が親水化された分離用樹脂が記載されている。

0008

しかし、これらの特許文献においては、上述のような妨害ピークに関する問題について検討されておらず、支持体となる重合体の表面に特定の化合物(例えば本発明で使用されるメトキシエチルアクリレート)をグラフト重合させることにより、クロマトグラフィー分析での妨害ピークを抑制する効果が表れ、低分子化合物を含有する試料を対象とする際に好適に用いることができる充填剤が得られることは記載されていない。
特許第3059443号公報
特公平8−7197号公報
特許第3316915号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上述のような従来技術に伴う問題点を解決するためのものであり、水溶性高分子と低分子化合物との良好な分離性能を有し、かつ特定のグラジエント条件下において微量の低分子化合物の検出を妨げる妨害ピークを抑制しうる充填剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、グリセリンジメタクリレートなどを原料モノマーとする低分子化合物を吸着しうる多孔性有機高分子に、アルコキシアルキルアクリレートをグラフト重合させて得られる充填剤を用いることにより、HPLC分析でのUV検出における妨害ピークの出現が従来より抑制されることを見出し、本願発明を完成させるに至った。

0011

すなわち本発明は、下記〔1〕〜〔6〕の事項に関する。
〔1〕低分子化合物を吸着しうる多孔性有機高分子担体にアルコキシアルキルアクリレートがグラフト重合した充填剤。
〔2〕 アルコキシアルキルアクリレートがメトキシエチルアクリレートである上記〔1〕に記載の充填剤。
〔3〕 上記多孔性有機高分子が、2個のエチレン性炭素炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物を原料モノマーの90質量%以上使用して得られた架橋有機高分子であることを特徴とする、上記〔1〕または〔2〕に記載の充填剤。
〔4〕 上記2個のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物が、グリセリンジメタクリレートであることを特徴とする、上記〔3〕に記載の充填剤。
〔5〕 上記多孔性有機高分子担体100質量部に対して、上記メトキシエチルアクリレートが1〜20質量部の割合でグラフト重合したことを特徴とする、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の充填剤。
〔6〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の充填剤が充填された液体クロマトグラフィー用カラム

発明の効果

0012

本発明の充填剤を用いることにより、特定のグラジエント条件下で出現する妨害ピークを抑制することが可能となる。これにより、水溶性高分子と低分子化合物とを含む試料における低分子化合物を分離、分析する際に、本発明の充填剤を好適に使用できる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明の充填剤に関する多孔性有機高分子、アルコキシアルキルメタクリレート(特にメトキシエチルアクリレート)のグラフト重合および分析における利用などについて、順次説明する。

0014

多孔性有機高分子
本発明の充填剤の担体としては、低分子化合物を吸着しうる多孔性有機高分子を使用する。生体由来の低分子化合物には極性の高いものが多く、この極性の高い低分子化合物の充填剤での保持の程度は、水素結合性双極子相互作用などの静電的相互作用疎水性相互作用との両方により決められる。そのため、本発明で用いられる多孔性有機高分子の水素結合性や疎水性は適切に調整することが求められる。

0015

本発明で使用される多孔性有機高分子は、低分子化合物に対する適切な吸着性を有し、かつ後述するようにアルコキシアルキルアクリレートがグラフト重合しうるものであれば特に限定されず、適宜好適なモノマー原料として選択し、調製することが可能である。

0016

例えば、本発明における多孔性有機高分子の原料モノマーとしては、2個のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物を好ましく用いることができる。このような化合物を用いて得られる多孔性有機高分子は、水素結合性および疎水性相互作用ならびに架橋構造による強度を適度に有するなどのことから、低分子化合物の分離を目的とするHPLC分析の充填剤として好適である。

0017

上記2個のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物としては、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン(1,3−ジ(メタ)アクリル酸グリセロール)、1−ヒドロキシ−2,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン(1,2−ジ(メタ)アクリル酸グリセロール)、2−ヒドロキシ−1,3−ジアリロキシプロパン、
2−ヒドロキシ−1,3−ジビニロキシプロパンなどが挙げられる。これらの化合物の中
でも、得られる充填剤粒子の径を小さくでき、HPLC用充填剤としての高性能化を図れるなどのことから、下記式(1)で表されるグリセリンジメタクリレート(2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパンが特に好ましい。

0018

CH2=C(CH3)-C(O)-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-C(CH3)=CH2 …(
1)
上記原料モノマーとしては、上述した化合物以外にも、充填剤用の多孔性有機高分子のモノマーとして従来公知の化合物を併用することができる。例えば、スチレンジビニルベンゼンメチルアクリレートビス(メタ)アクリルアミドエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。

0019

また、上記原料モノマーにおける、上記2個のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物の割合は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。上記割合を満たすことにより、水素結合性が大きく、極性の高い低分子化合物であっても充分に分離することが可能である多孔性有機高分子が得られる。

0020

アルコキシアルキルアクリレート
本発明で用いられるアルコキシアルキルアクリレートのアルコキシ基炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。また、アルコキシアルキル基アルキル基は炭素数1〜4のアルキル基の残基が好ましく、特にエチル基残基(すなわちエチレン基)が特に好ましい。アルコキシアルキルアクリレートとしてはメトキシエチルアクリレートが特に好ましい。以下、メトキシエチルアクリレートを例として本発明を説明する。

0021

メトキシエチルアクリレート
本発明で用いられるメトキシエチルアクリレートは、下記式(2)で表される化合物である。

0022

CH2=CH-C(O)-O-CH2-CH2-O-CH3 …(2)
このメトキシエチルアクリレートは、前述したような多孔性有機高分子にグラフト重合により結合し、多孔性有機高分子担体の表面に層を形成する。このグラフト重合は、通常、多孔性有機高分子におけるエチレン性炭素−炭素二重結合の未反応の部位に対して行われる。一方、低分子化合物の吸着性を阻害しない範囲で、多孔性有機高分子の水酸基にグラフト重合させることも可能であり、その場合は適切な重合開始剤(例えば硝酸セリウム(IV)アンモニウムなど)を使用すればよい。

0023

多孔性有機高分子にメトキシエチルアクリレートがグラフト重合した充填剤
本発明の充填剤は、例えば後述するような製造方法により、多孔性有機高分子を担体とし、この多孔性有機高分子にメトキシエチルアクリレートをグラフト重合させて得られる。この担体となる多孔性有機高分子は、球状粒子であってもモノリスであってもよい。以下、本発明の充填剤の一実施形態として、球状の多孔性有機高分子担体を用いて得られる、球状粒子の充填剤について説明することがあるが、本発明の充填剤の形状はこれに限定されるものではない。

0024

多孔性有機高分子にグラフト重合させるメトキシエチルアクリレートの量は、担体となる多孔性有機高分子に応じて適宜調整することが可能である。例えば、多孔性有機高分子の原料モノマーとして、2個のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個の水酸基を有する化合物を使用した場合、分離性能の高い充填剤を得るために、多孔性有機高分子100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがさらに好ましい。なお、グラフト重合したメトキシエチルアクリレートの重量は、グラフト重合の前後における充填剤粒子の重量を比較することにより測定される。

0025

また、充填剤が球状粒子である場合、HPLC分析などにおいては、充分な理論段数を有するよう粒子径が小さいことが求められる。そのため、重量平均粒子径は0.1〜10
0μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、3〜5μmがさらに好ましい。このような粒子径の充填剤は、重合の際の分散剤の量や攪拌速度の調整や、調製された粒子の分級により得ることができる。なお、上記重量平均粒子径は「コールカウンター」(登録商標)や光学顕微鏡等により測定できる。

0026

製造方法
本発明の充填剤は、担体となる多孔性有機高分子を調製した後、この多孔性有機高分子にメトキシエチルアクリレートをグラフト重合させることにより製造することができる。

0027

・多孔性有機高分子の調製
本発明で用いられる多孔性有機高分子は、例えば溶液重合塊状重合懸濁重合乳化重合などの公知の重合方法を用いて調製することが可能であり、調製方法は特に限定されるものではない。以下、本発明における一実施形態として、水性懸濁重合により球状粒子の多孔性有機高分子を調製する場合について説明する。

0028

上記水性懸濁重合は、前述したような原料モノマーの他、希釈剤、重合開始剤などが含有される油相と、分散安定剤などが含有される水相とを混合して重合反応させる。
上記希釈剤は、生成される架橋有機高分子の粒子中に分散して取り込まれた後、除去されることにより、架橋有機高分子粒子多孔性にするため添加される。水性懸濁重合においては、水に難溶性有機化合物を用いることが好ましい。例えば、トルエンキシレンジエチルベンゼンヘプタンオクタンドデカン酢酸ブチルフタル酸ジブチルイソアミルアルコール1−ヘキサノールシクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ドデカノール、非架橋ポリスチレンなどが挙げられ、これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。このような希釈剤の添加量は、充填剤の多孔性と物理的強度との兼ね合いにより適宜調整することができるが、例えば、原料モノマーと希釈剤との総量を基準として10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜60質量%の割合で用いられる。

0029

上記重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベン
イル過酸化ジクミル過酸化ジ−t−ブチル過安息香酸−t−ブチルメチルエチルケトンペルオキシド等の有機過酸化物などを使用できる。このような重合開始剤の添加
量は、単量体の種類などに応じて適宜調整されるが、例えば、原料モノマー100質量部に対して0.1〜5質量部の割合で用いることが好ましい。

0030

一方、水相に含有される上記分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコールアルキルセルロースヒドロキシアルキルセルロースカルボキシアルキルセルロースポリアクリル酸ナトリウムゼラチンなどの水溶性高分子化合物が挙げられる。水相における分散安定剤の濃度は特に限定されないが、例えば、水100質量部に対して0.1〜5
質量部の割合で用いることが好ましい。

0031

水相には、さらに、油相に含有される原料モノマーが水相に溶解するのを防ぐため、塩化ナトリウム塩化カルシウム硫酸ナトリウムなどの塩類を添加することが好ましい。このような塩類の濃度は特に限定されないが、溶解度の許す範囲で可能な限り高いことが好ましい。例えば、水100質量部に対して、塩化ナトリウムであれば1〜15質量部、塩化カルシウムであれば1〜40質量部の割合で用いることができる。

0032

また、後述する混合の際に、油相に対する水相の比率が大きすぎると、水相に溶解する原料モノマーの量が多くなり、小さすぎると油滴合一が起こりやすくなるため、水相における水の質量は、原料モノマーおよび希釈剤の総量100質量部に対して200〜1000質量部の割合が好ましい。

0033

以上のような油相および水相を、水性懸濁重合を開始する前に混合し、油滴が目的とする粒子径(球状粒子の直径)になるよう分散させる。この分散の際には、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装置、または高速分散機(ホモジナイザー)などを用いることができるが、例えば、液体クロマトグラフィー用などの粒子径が比較的小さな充填剤を製造する場合は、高速分散機を好ましく用いることができる。

0034

水性懸濁重合の反応は、通常の攪拌下において、通常40〜100℃の温度範囲で5〜16時間行われる。この反応により得られた充填剤の微粒子は、熱水有機溶媒などで充分洗浄し、粒子に含有されている、または付着している分散安定剤、溶媒残存モノマー、希釈剤などを除去し、さらに必要に応じて粒子を分級した後、メトキシエチルアクリレートをグラフト重合させるために使用する。

0035

・メトキシエチルアクリレートのグラフト重合
本発明の充填剤は、上述したようにして得られた多孔性有機高分子に、メトキシエチルアクリレートをグラフト重合させることにより得られる。本発明におけるこのグラフト重合の方法は特に限定されるものではないが、例えば、上記水性懸濁重合により調製された多孔性有機高分子を水性媒体中に分散させ、さらに重合開始剤およびメトキシエチルアクリレートならびに必要に応じて分散安定剤を添加し溶解させ、系内を窒素置換した後、
40〜100℃の温度範囲で5〜16時間程度攪拌することにより、グラフト重合させることが可能である。

0036

また、上記水性懸濁重合において重合が進行し多孔性有機高分子が生成した後、引き続きメトキシエチルアクリレートと、必要に応じて重合開始剤を添加することにより、連続的にグラフト重合させることも可能である。

0037

なお、本発明による効果を阻害しない範囲において、メトキシエチルアクリレート以外のモノマーをこのグラフト重合の際に使用することも可能である。
このようにして調製された、メトキシエチルアクリレートがグラフト重合した多孔性有機高分子を、熱水や有機溶媒などで充分洗浄し、粒子に含有されている、または付着している分子安定剤、溶媒、残存モノマー、希釈剤などを除去し、さらに必要に応じて粒子を
分級することにより、本発明の充填剤が得られる。

0038

分析における利用
本発明の充填剤は、水溶性高分子と低分子化合物とを含有する生体由来などの試料を対象としたHPLCなどの分析において、特に、一定のグラジエント条件下で行われるこのような分析において、好適に用いることができる。

0039

上記生体由来の試料に含有される水溶性高分子としては、例えば分子量が10,000
程度以上のタンパク質、有機高分子天然高分子などの水溶性高分子、より具体的には、生体由来の試料に一般に多く含まれ、分析において妨害になりやすい化合物である血清アルブミン、アルブミン2量体などが挙げられる。また、同じく低分子化合物としては、例えば分子量4,000程度以下の有機化合物、より具体的には、カフェイン、テオブロミ
ン、テオフィリンバルビタール類、2−エチルピリジンフェノール安息香酸エチル、N,N−ジエチルアニリンナフタレン等、あるいは、生体試料中に含有される薬物や
薬物の代謝物などが挙げられる。

0040

このような水溶性高分子および低分子化合物のうち、低分子化合物、とくに極性の高いものは本発明の充填剤により良好に保持され、HPLC分析において両者を充分に分離、分析することが可能である。

0041

さらに、本発明の充填剤は、グラジエント条件下におけるHPLC分析において好適に用いることができる。
例えば、分析の初期の時間は、水または5〜10mMの酢酸アンモニウム水溶液などの水性緩衝液溶離液A)のみを使用して水溶性高分子を分離し、続いて、アセトニトリルなどの水と相溶する有機溶媒と水性緩衝液との混合液(溶離液B)を漸増、溶離液Aを漸減させて低分子化合物を分離するようなグラジエント条件は、生体由来の試料を対象としたHPLC分析において一般的である。

0042

多孔質有機高分子にメトキシエチルアクリレートがグラフト重合していない充填剤を使用し、上記のような条件下の分析を行った場合、UVなどによる検出において、低分子化合物が検出される時間に亘って妨害ピークが出現することがある。しかし、本発明の充填剤を使用した場合は、そのような妨害ピークの出現が抑制され、低濃度の低分子化合物であっても充分に検出することが可能となる。

0043

なお、用いる溶離液やグラジエント条件は、対象とする試料の成分組成などにより適宜調整することが可能である。例えば、溶離液Aとして10mMの酢酸アンモニウム水溶液を用いた場合、溶離液Bとしては、アセトニトリルと10mMの酢酸アンモニウム水溶液との混合比率が、好ましくは60〜100質量%:40〜0質量%(合計100質量%)、より好ましくは80〜100質量%:20〜00質量%の溶離液を用いることができる。

0044

本発明の充填剤によるこのような効果の理由は明らかではないが、多孔性有機高分子にメトキシエチルアクリレートをグラフト重合させたことにより、従来の妨害ピークとして現れていた化合物を分離する能力が向上したことが、その一つとして考えられる。

0045

実施例および試験
以下、本発明の充填剤について実施例および試験例により更に詳細に説明する。

0046

[グリセリンジメタクリレートの架橋重合体粒子の調製]
グリセリンジメタクリレート(NKエステル701、新中化学工業(株))2000gとシクロヘキサノール(純正化学(株))1340gとの混合液に、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株))30gを溶解させ、油相を調製した。一方、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製クラレポバールPVA−224)120gを水3リットルに溶解させ、そこへ水7リットル、次いで塩化ナトリウム240gが溶解した水溶液2リットルを加えて混合し、水相を調製した。上記油相と上記水相とを20Lのステンレス製容器内で混合し、高速分散機(ホモジナイザー)にかけ、回転数と分散時間を調節することにより、油滴の最大粒子径が5μmになるように調整した。

0047

次いで、通常の撹拌翼を使用し、150rpmで撹拌しながら、60℃で7時間、重合反応を行った。生成した架橋重合体粒子を遠心分離(2000rpm、10分間)して上澄みを捨て、沈澱を70℃の温水12リットルに分散(超音波洗浄器使用)させた後、70℃で3時間撹拌した。これを吸引ろ過し、漏斗上のケーキを70℃の温水60リットル、次いでアセトン18リットルで洗浄した後、ステンレス製バットに広げて風乾し、さらに60℃で24時間減圧乾燥した。これを風力分級装置で分級した。コールターカウンターベックマンコールターMultisizer 3)で測定したところ、重量平均粒子径5.1μmの架橋重合体粒子1300gが得られた。

0048

上記工程で得られた架橋重合体粒子50gに純水500mlを加え、60℃で5時間加熱撹拌した後、粒子をろ取し、70℃の温水2000ml、メタノール300mlで順次洗浄した。これをステンレス製バットに広げて風乾後、さらに70℃で24時間減圧乾燥し、充填剤48gを得た。この充填剤を「グリセリンジメタクリレート充填剤」とよぶ。

0049

[メトキシエチルアクリレートのグラフト重合による充填剤の製造]
上記グリセリンジメタクリレート充填剤6.0gをジオキサン中に分散した。ここに、
AIBN0.13gとメトキシエチルアクリレート1.0gを添加した。これらを反応容器投入し、系内を窒素置換した後、70℃に過熱し3時間撹拌した。内容物をガラスフィルター濾過した。グラスフィルター上に得られたものにジオキサン、純水、アセトンをこの順に加え、洗浄し、重量平均粒子径が5.2μmである、メトキシエチルアクリレ
ートがクラフト重合したグリセリンジメタクリレート共重合体6.5gを得た。このようにして得られた充填剤を「PMEAグラフト充填剤」と呼ぶ。

0050

カラム性能評価
(試験例)
上記工程により製造されたPMEAグラフト充填剤約0.6gを、直径4.6mm、長さ50mmのステンレス製カラムに湿式充填法により充填した。このカラムを用いて下記表1に示す条件でHPLC分析を行い、UV検出により測定した。

0051

得られたクロマトグラムを図1に示す。グラジエント時の11〜18分程度にかけての妨害ピークは小さく、特に11〜15分程度にかけて、低分子化合物のピークを妨げることはほとんどない。

0052

なお、図3に、同条件下での11〜18分にかけて表れる代表的な低分子化合物のピークを示す。
比較試験例)
PMEAグラフト充填剤の代わりにグリセリンジメタクリレート充填剤を用いた以外は上記試験例1と同様の試験方法により、HPLC分析およびUV検出を行った。得られたクロマトグラムを図2に示す。

0053

グラジエント時の11〜18分にかけて妨害ピークが出現し、特に11〜15分程度に
かけては、本発明の充填剤(PMEAグラフト充填剤)を用いた場合より低濃度の低分子化合物のピークが検出されにくくなる。

0054

図面の簡単な説明

0055

メトキシエチルアクリレートがクラフト重合したグリセリンジメタクリレート共重合体を用いて行われた、試験例における牛血清アルブミンのクロマトグラム(UV検出:波長254nm)。1minのピークが牛血清アルブミン、11〜18minにかけてのピークが妨害ピークを示す(ピーク2の面積:1703006)。
メトキシエチルアクリレートがクラフト重合していない、グリセリンジメタクリレート重合体を用いて行われた、比較試験例における牛血清アルブミンのクロマトグラム。図1と同様、1minのピークが牛血清アルブミン、11〜18minにかけてのピークが妨害ピークを示す(ピーク2の面積:4454565)。
比較例および比較試験例と同一条件下における、低分子化合物を含有する標準サンプル注入量10μL)のクロマトグラム。各ピークは、1:ウラシル(分子量112、20mg/L)、2:カフェイン(分子量194、100mg/L)、3:2−エチルピリジン(分子量102、50mg/L)、4:フェノール(分子量94、360mg/L)、5:安息香酸エチル(分子量150、500mg/L)、6:N,N-ジエチルアニリン(分子量149、40mg/L)、7:ナフタレン(分子量128、100mg/L)を示す。

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