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技術 トナー用ポリエステル

出願人 花王株式会社
発明者 白井英治上野哲也
出願日 2005年12月12日 (15年0ヶ月経過) 出願番号 2005-357910
公開日 2007年6月28日 (13年6ヶ月経過) 公開番号 2007-163682
状態 特許登録済
技術分野 電子写真における現像剤 電子写真における現像剤
主要キーワード マイクロ抽出法 自動加熱 トラップ管 分析モード GC装置 マイクロ抽出 バルブ温度 加熱脱着
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年6月28日)のものです。
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課題

低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ機内汚染を低減することのできるトナー用ポリエステル及びその製造方法並びに該ポリエステルを含有したトナーを提供すること。

解決手段

アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合して得られるトナー用ポリエステルであって、加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析において6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が各々0.5ppm以下であるトナー用ポリエステル及びその製造方法、並びに前記トナー用ポリエステルを含有してなるトナー。

概要

背景

電子写真システム、特に熱ローラー方式の定着システムを用いる電子写真システムに使用されるトナーに対しては、優れた低温定着性及び耐オフセット性が求められる。そこで、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を使用して得られたポリエステル樹脂は低温定着性及び耐オフセット性に優れることが特許文献1に開示されている。
特開2000−35695号公報

概要

低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ機内汚染を低減することのできるトナー用ポリエステル及びその製造方法並びに該ポリエステルを含有したトナーを提供すること。アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合して得られるトナー用ポリエステルであって、加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析において6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が各々0.5ppm以下であるトナー用ポリエステル及びその製造方法、並びに前記トナー用ポリエステルを含有してなるトナー。なし

目的

本発明の課題は、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ機内汚染を低減することのできるトナー用ポリエステル及びその製造方法並びに該ポリエステルを含有したトナーを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合して得られるトナー用ポリエステルであって、加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析において6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が各々0.5ppm以下であるトナー用ポリエステル。

請求項2

固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析において炭素数4〜8のケトン化合物帰属されるピーク面積の総和(KS)と、アセトンに帰属されるピーク面積(AS)の比(KS/AS)が0.1〜3.0である請求項1記載のトナー用ポリエステル。

請求項3

炭素数が11〜13のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が11〜13のアルケニルコハク酸を、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸中に、70モル%以上含有してなる、請求項1又は2記載のトナー用ポリエステル。

請求項4

アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合する工程を有するトナー用ポリエステルの製造方法であって、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸とアルコール成分との反応中及び/又は反応後に、得られるポリエステル100重量部に対して0.1〜50重量部の水を100〜300℃の反応系内に添加するトナー用ポリエステルの製造方法。

請求項5

水の反応系への添加を、4〜100kPaの気圧下で行う請求項4記載の製造方法。

請求項6

請求項1〜3いずれか記載のトナー用ポリエステルを含有してなるトナー

技術分野

0001

本発明は、電子写真法静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像現像に用いられるトナー用ポリエステル及びその製造方法並びに該ポリエステルを含有したトナーに関する。

背景技術

0002

電子写真システム、特に熱ローラー方式の定着システムを用いる電子写真システムに使用されるトナーに対しては、優れた低温定着性及び耐オフセット性が求められる。そこで、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を使用して得られたポリエステル樹脂は低温定着性及び耐オフセット性に優れることが特許文献1に開示されている。
特開2000−35695号公報

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を使用して得られたポリエステルを含有したトナーは、電子写真システムにおいて、機内汚染、特にコロトロンスコロトロン等の帯電部材汚染が問題となる。

0004

本発明の課題は、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ機内汚染を低減することのできるトナー用ポリエステル及びその製造方法並びに該ポリエステルを含有したトナーを提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明は、
(1)アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合して得られるトナー用ポリエステルであって、加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析において6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が各々0.5ppm以下であるトナー用ポリエステル、
(2) アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合する工程を有するトナー用ポリエステルの製造方法であって、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸とアルコール成分との反応中及び/又は反応後に、得られるポリエステル100重量部に対して0.1〜50重量部の水を100〜300℃の反応系内に添加するトナー用ポリエステルの製造方法、並びに
(3) 前記(1)記載のトナー用ポリエステルを含有してなるトナー
に関する。

発明の効果

0006

本発明のトナー用ポリエステルは、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ機内汚染をも低減することができるという優れた効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

0007

本発明のトナー用ポリエステルは、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を含有したカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるトナー用ポリエステルであり、加熱脱着−ガスクロマトグラフ−質量分析(TD-GC/MS)において、6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が特定の範囲内にある点に1つの特徴を有する。アルキルコハク酸及び又はアルケニルコハク酸を原料モノマーとして使用して得られるポリエステルは、低温定着性及び耐オフセット性に優れる一方で、電子写真システムにおける機内汚染が生じやすい。そこで、本発明者らが検討した結果、機内汚染は、画像印刷中、機内温度の上昇により、トナー中の不純物等が揮発していることに起因していることが判明した。そして、さらに研究を重ねた結果、特定温度条件下で揮発する特定のケトン成分、即ち6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンが低減されている場合に、機内汚染が抑制されることを見出した。

0008

本発明において、6-メチル-2-ヘプタノン及び/又は5-メチル-2-ヘプタノンの検出に用いられる加熱脱着−ガスクロマトグラフ−質量分析(TD-GC/MS)は、試料を加熱して揮発してくる成分をトラッピング(加熱脱着)し、そのトラッピング成分をガスクロマトグラフにより各成分に分離し、質量分析により検出するものである。本発明では、試料の加熱を、機内環境に近い条件下で、すなわち、120℃で1時間行い、かかる条件下でのTD-GC/MSを測定手段として用いることにより、機内汚染の原因となる6-メチル-2-ヘプタノン又は5-メチル-2-ヘプタノンを検出できる。

0009

6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量は、各々0.5ppm以下であり、好ましくは0.3ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下である。6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの総検出量は、1.0ppm以下が好ましく、0.6ppm以下がより好ましい。

0010

さらに、本発明のポリエステルは、機内汚染、特に、帯電部材の汚染抑制の観点から、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析(SPME-GC/MS)において、炭素数4〜8のケトン化合物帰属されるピーク面積の総和(KS)と、アセトンに帰属されるピーク面積(AS)の比(KS/AS)が、0.1〜3.0であるのが好ましく、0.5〜2.5がより好ましく、1.0〜2.0がさらに好ましい。

0011

固相マイクロ抽出法(SPME)は、細いニードルに結合された固相(ファイバーと言う)に試料中の化学物質吸着させ、吸着後、ニードルをGC/MSの注入口に挿入して固相に吸着した化学物質を加熱脱着させることにより、ガスクロマトグラフ−質量分析を行う方法である。機内汚染の発生は、コロトロン、スコロトロン等の帯電部材で顕著である。本発明において、予め試料を180℃で10分間を加熱した後、45℃で30分間の加熱条件下でのSPMEによる固相への吸着は、機内温度上昇によるトナー揮発成分の帯電部材への吸着(汚染)を再現していると考えられる。

0012

炭素数4〜8のケトン化合物としては、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、3-ブテン-2-オン2-ペンタノンジアセチル、3-メチル-3-ブテン-2-オン、4-メチル-2-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、2-ヘキサノン、4-メチル-2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-メチル-2-ヘプタノン、4-メチル-2-ヘプタノン、6-メチル-2-ヘプタノン、5-メチル-2-ヘプタノン等が挙げられる。

0013

本発明のトナー用ポリエステルは、アルコール成分と、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を含有したカルボン酸成分とを原料モノマーとして用い、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる。なお、本明細書において、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸とは、炭素数が10以上のアルキル基置換されたコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニル基で置換されたアルケニルコハク酸を意味する。

0014

炭素数が10以上のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸は、低温定着性及び耐オフセット性の向上に有効であり、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸の含有量、両者が併用されている場合には両者の総含有量は、カルボン酸成分中、0.5〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは8〜30モル%である。

0015

炭素数が10以上のアルキルコハク酸としては、ウンデシルコハク酸、ドデシルコハク酸、トリデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、ノナデシルコハク酸等が挙げられる。また、炭素数が10以上のアルケニルコハク酸としては、ウンデセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸ドリデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ヘプタデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘプタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸ノナデセニルコハク酸等が挙げられる。

0016

炭素数が10以上のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸のなかでも、機内汚染防止の観点から、ウンデシルコハク酸、ドデシルコハク酸、トリデシルコハク酸、ウンデセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ドリデセニルコハク酸等の炭素数が11〜13のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸が好ましい。かかる炭素数が11〜13のアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸の含有量は、炭素数10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸中、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、85モル%以上がさらに好ましい。

0017

炭素数が10以上のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸以外の2価のカルボン酸成分としては、フタル酸イソフタル酸テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸シュウ酸マロン酸マレイン酸フマル酸シトラコン酸イタコン酸グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸オクチルコハク酸等の炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数2〜9のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、耐久性定着性及び着色剤分散性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。なお、カルボン酸、これらのカルボン酸の無水物、及びカルボン酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。

0018

芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、2価のカルボン酸成分中、50〜99.5モル%が好ましく、60〜95モル%がより好ましく、70〜92モル%がさらに好ましい。

0019

3価以上の多価カルボン酸成分としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。

0020

一方、アルコール成分には、定着性及び耐久性の両立の観点から、式(I):

0021

0022

(式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含有されていることが好ましい。

0023

式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。

0024

前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、90モル%以上が好ましく、95〜100モル%がより好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。

0025

前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の2価のアルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオールネオペンチルグリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。

0027

原料モノマーには、3価以上の単量体が含有されていることが好ましい。3価以上の単量体、即ち3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物、好ましくは3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、耐久性の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分の総量中、1〜25モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。

0028

さらに、原料モノマーには、分子量調整等の観点から、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。

0029

ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒の存在下、180〜250℃の温度で縮重合する工程を経て得られるが、本発明のポリエステルを製造する際には、樹脂中の汚染源の原因となる、6-メチル-2-ヘプタノン、5-メチル-2-ヘプタノン等を除去するために、縮重合工程において、水との共沸工程を有することが好ましい。

0030

具体的に、縮重合反応において水との共沸工程を有する方法とは、アルコール成分と炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を0.5〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合する工程を有するトナー用ポリエステルの製造方法において、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸とアルコール成分との反応中及び/又は反応後に、100〜300℃で水を反応系に添加する方法が挙げられる。

0031

反応系に添加する水は、得られるポリエステル100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、0.5〜40重量部がより好ましく、1〜30重量部がさらに好ましい。

0032

水を添加する反応系内の温度は、水の蒸発効率及び反応混合物の粘度の観点から、100〜300℃が好ましく、130〜250℃がより好ましく、150〜240℃がさらに好ましい。

0033

反応系に水を添加する方法は、液状の水を反応物とを混合する方法、液状や気体状(水蒸気)の水を反応物に接触させる方法等、特に限定されないが、好ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜50℃の液状の水を反応物とを混合する方法が望ましく、好ましくは100〜260℃、より好ましくは120〜180℃の水蒸気を反応物中に吹き込む方法がより望ましい。空気や窒素の吹き込み等によるバブリングの方法では、樹脂粘度が高いと、泡の一つ一つが大きくなり、また泡と樹脂との相互作用もないため、十分な効果が得られないが、水蒸気を吹き込む場合、反応物の温度より水蒸気の温度が低いため水蒸気が膨張拡散し結果として微細な泡が広範囲に均一に拡散、また、膨張・拡散時に樹脂中の低沸点物を巻き込んで蒸発することが期待される。

0034

水を添加する際、反応系内の気圧は、水の効率的拡散の観点から、4〜100kPaが好ましく、6〜90kPaがより好ましく、20〜60kPaがさらに好ましい。

0035

反応系に水を添加する速度は、得られるポリエステル100重量部に対して0.002〜0.5重量部/分が好ましく、0.008〜0.3重量部/分がより好ましく、0.008〜0.2重量部/分がさらに好ましい。

0036

本発明の課題である機内汚染は、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸中に含有される不純物や、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸がポリエステル反応中に一部熱分解して生成した分解物に起因するものと推定されるが、特に、反応温度が高い場合に機内汚染が顕著になることから、後者が主要因と考えられる。そのため、反応系に水を添加する工程は、熱分解を抑制する観点から、全縮重合反応の最高温度到達時又は到達後に行うことが好ましく、全縮重合反応の最高温度経過後、最高温度よりも低い温度で行うことがより好ましい。

0037

従って、本発明のポリエステルの縮重合反応は、少なくとも2段階の反応温度下で行うことが好ましく、最も高い反応温度での縮重合反応後に、少なくともも一段階低い反応温度で縮重合反応を行うことがより好ましい。最も高い反応温度は、225〜245℃が好ましく、230〜240℃がより好ましい。一方、低い反応温度としては、180〜215℃が好ましく、200〜210℃がより好ましい。また、最も高い反応温度とかかる反応温度後の反応温度との差は、熱分解に依る汚染物質の増加を防ぐ観点から、20〜60℃が好ましく、25〜45℃がより好ましい。

0038

本発明のポリエステルのより好ましい製造方法としては、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を、前記の最も高い反応温度で縮重合反応させ、その反応物を水と接触及び/又は混合させた後、比較的反応性の高いトリメリット酸等の3価以上の単量体を前記の低い反応温度で縮重合させる方法が挙げられる。これにより、反応時間の犠牲最低限に抑えつつ、ケトン化合物等の不純物が低減されたポリエステルを効率よく得ることができる。

0039

本発明のトナー用ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性、定着可能領域及び保存性の観点から、70〜170℃が好ましく、80〜160℃がより好ましく、90〜155℃がさらに好ましい。また、ガラス転移点は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、40〜80℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。酸価は、トナーの帯電性及び環境安定性の観点から、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜30mgKOH/gがより好ましい。

0040

本発明により得られるトナー用ポリエステルを結着樹脂として用い、着色剤等とともに混合することにより、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、機内汚染のない電子写真用トナーが得られる。本発明のポリエステルの含有量は、結着樹脂中、30〜100重量%が好ましく、40〜90重量%がより好ましく、45〜80重量%がさらに好ましい。

0041

着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラックフタロシアニンブルーパーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカレットピグメントグリーンBローダミン−Bベースソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドンカーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナーカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。

0042

結着樹脂及び着色剤以外のトナーの原料としては、離型剤荷電制御剤導電性調整剤、体質顔料繊維状物質等の補強充填剤酸化防止剤老化防止剤流動性向上剤クリーニング性向上剤等の添加剤が挙げられる。

0043

離型剤としては、低分子量ポリプロピレン低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体マイクロクリスタリンワックスパラフィンワックスフィッシャートロプシュワックス等の脂肪族系炭化水素ワックス及びそれらの酸化物カルナウバワックスモンタンワックスサゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス脂肪酸アミド類脂肪酸類高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらのなかでは、離型性及び安定性の観点から、脂肪族系炭化水素ワックスが好ましく、ポリプロピレンワックスがより好ましい。離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜7.0重量部が好ましく、1.0〜4.0重量部がより好ましい。

0044

トナーの製造方法は、混練粉砕法転相乳化法等の従来より公知のいずれの方法であってもよい。粉砕トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等の添加剤等をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕分級して製造することができる。さらに得られたトナー表面に疎水性シリカ等の無機微粒子樹脂微粒子外添してもよい。トナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。

0045

本発明のポリエステルを含有したトナーは、単独で現像剤として用いられる一成分系現像用トナーとして、またはキャリアと混合して現像剤として用いられる二成分現像用トナーとして用いることができる。

0046

〔軟化点〕
フローテスター島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。

0047

〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱最高ピーク温度以下のベースライン延長線ピーク立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。

0048

〔体積中位粒径(D50)〕
測定機コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプバージョン1.19(ベックマンコールター社製)
電解液アイトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテルHLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。

0049

樹脂製造例1
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びオクチル酸錫4gを窒素導入管脱水管攪拌器及び熱電対装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃で8時間かけて反応させた後、同温度で8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃に降温した後、常圧に戻して無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A、F、Gを得た。

0050

樹脂製造例2
8.3kPaにて1時間反応させた後、反応物を攪拌しながら、常圧に戻して235℃で40℃の水300mlを1時間かけて滴下し、滴下終了後に210℃に降温して無水トリメリット酸を添加した以外は、樹脂製造例1と同様にして、樹脂Bを得た。

0051

樹脂製造例3
210℃に降温後、40kPaにて反応物を攪拌しながら、40℃の水300mlを1時間かけて滴下し、滴下終了後に常圧に戻して無水トリメリット酸を添加した以外は、樹脂製造例1と同様にして、樹脂Cを得た。

0052

樹脂製造例4
210℃に降温後、20kPaにて反応物を攪拌しながら、1時間かけて140℃の水蒸気を300g/hrの速度で樹脂中に吹き込み、添加終了後に常圧に戻して無水トリメリット酸を添加した以外は、樹脂製造例1と同様にして、樹脂Dを得た。

0053

樹脂製造例5
8.3kPaにて1時間反応させた後、反応物を攪拌しながら、235℃で40℃の水300mlを1時間かけて滴下し、滴下終了後に235℃で無水トリメリット酸を添加した以外は、樹脂製造例1と同様にして、樹脂Eを得た。

0054

樹脂A〜Eを、加熱脱着−ガスクロマトグラフ−質量分析(TD-GC/MS)及び固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析(SPME-GC/MS)に以下の測定条件で供し、TD-GC/MSにより6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの含有量を、SPME-GC/MSにより炭素数4〜8のケトン化合物に帰属されるピーク面積の総和(KS)とアセトンに帰属されるピーク面積(AS)の比(KS/AS)をそれぞれ測定した。

0055

ナックスTA入りチューブ標品5mg/L 重トルエンメタノール溶液を5μL注入し、試料10mgを量して、TD−GC/MS測定を行った。

0056

<TDの測定条件>
装置:Perkin Elmer社製のTurbo Matrix ATD(自動加熱脱着(ATD)装置)

0057

分析モード:2段階脱着
注入:2回

0058

チューブからの加熱脱着条件:120℃で1時間
トラップ管への吸着条件:-30℃で50分
トラップ管からの脱着条件:-30℃から開始し、40℃/minで300℃まで昇温

0059

パージ時間 1分
バルブ温度300℃、トランスファー温度 300℃
カラム圧力150kPa
入口スプリット50mL
出口スプリット 5mL
脱着 50mL

0060

<GC/MSの測定条件>
GC装置:Agilent Technologies社製の6890N
MS装置:Agilent Technologies社製の5973N

0061

オーブン:40℃で3分間保持、2℃/minで70℃まで昇温、5℃/minで150℃まで昇温、10℃/minで300℃まで昇温
カラム:HP5-MS(60m×250μm×0.25μm)
Constant pressure 150kPa(ATDから制御)
MS:scan renge m/z=40〜460
Initial Area Reject:0
Initial Peak Width:0.097
Shoulder Detection:off
Initial Threshold:12.0
なお、5mg/L 重トルエン/メタノール溶液による1点検量で定量を行う。

0062

〔SPME-GC/MSの測定条件〕
試料1gをバイアルに詰めて密栓し、180℃のオーブンで10分間加熱した後、SPME-GC/MSに供する。
SPME:使用ファイバーCarboxen/PDMS吸着条件45℃/30min
GC:カラムDB-WAX 60m×0.25mm Film 0.25μm
<SPME>
メーカー; SUPELCO
使用ファイバー ; CarboxenTM-PDMS 75um
型番; 57319
<GC>
メーカー ; Agilent Technologies
型番 ; HP6890 series GC System
<MS>
メーカー ; Agilent Technologies
型番 ; 5973 Mass Selective Detector

0063

0064

実施例1〜4及び比較例1、2
表2に示す結着樹脂100重量部、着色剤「MONARCH 880」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤ボントロンS-34」(オリエン化学工業社製)0.5重量部及びポリプロピレンワックス「NP-055」(三井化学社製)2重量部を、ヘンシェルミキサーにて良く攪拌後、混練部分全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱温度は120℃であり、混合物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物冷却ローラー圧延冷却した後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)7.5μmの粉体を得た。

0065

得られた粉体100重量部に、外添剤として「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。

0066

試験例1〔低温定着性及び耐オフセット性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)にトナーを実装し、トナー付着量が0.5mg/cm2の未定着画像(2cm×12cm)を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機オフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度100mm/sec)を用い、定着温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各定着温度で未定着画像を定着させ、定着試験を行った。

0067

500gの荷重をかけた、底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、各定着温度で得られた画像を5往復擦り、擦る前後の光学反射密度反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。また、各定着温度でのオフセットの発生を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐オフセット性を評価した。定着紙には、「CopyBondSF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を使用した。結果を表2に示す。

0068

〔低温定着性の評価基準〕
◎:最低定着温度が170℃未満
○:最低定着温度が170℃以上190℃未満
×:最低定着温度が190℃以上

0069

〔耐オフセット性の評価基準〕
○:非オフセット域が80℃以上である。
×:非オフセット域が80℃未満である。

0070

試験例2〔機内汚染〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)にトナーを実装し、印字率5%の画像を5000枚連続して印刷した後、10cm×15cmのベタ画像を印刷した。ベタ画像の品質と、帯電部材の汚染の様子を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、機内汚染の程度を評価した。印字率5%の画像の印刷には、45g/m2の再生紙を、ベタ画像の印刷には、「CopyBondSF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を、それぞれ使用した。結果を表2に示す。

0071

〔評価基準〕
◎:均一なベタ画像が得られ、帯電部材の汚染もみられない。
○:帯電部材に若干の汚染が見られるが、均一なベタ画像が得られる。
×:帯電部材に汚染が見られ、ベタ画像にもむらが生じる。

0072

0073

以上の結果より、実施例のトナーは、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又は炭素数が10以上のアルケニルコハク酸を使用しているにもかかわらず機内汚染も低減されていることが分かる。これに対し、6-メチル-2-ヘプタノン及び5-メチル-2-ヘプタノンの検出量が低減されていないポリエステルを含有した比較例1のトナーは、機内汚染が生じており、アルキルコハク及びアルケニルコハク酸を使用していないポリエステルを含有した比較例2のトナーは、機内汚染は生じていないものの、低温定着性及び耐オフセット性に欠けている。

0074

本発明のトナー用ポリエステルは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂等として用いられるものである。

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